JP4120917B2

JP4120917B2 - フレキシブルカップリング

Info

Publication number: JP4120917B2
Application number: JP2002016597A
Authority: JP
Inventors: 孝良高津佐
Original assignee: Nok Corp
Current assignee: Nok Corp
Priority date: 2002-01-25
Filing date: 2002-01-25
Publication date: 2008-07-16
Anticipated expiration: 2022-01-25
Also published as: JP2003214456A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動側回転軸と従動側回転軸との軸端間を弾性的に連結して回転トルクを伝達すると共に両軸間で軸方向振動や撓みを吸収するフレキシブルカップリングであって、特に、駆動側回転軸側に取り付けられるボビンと従動側回転軸側に取り付けられるボビンが、ループ状の連結帯を介して連結された構造を備えるものに関する。
【０００２】
図４は、この種のフレキシブルカップリング１００の典型的な従来技術をその軸心と直交する平面で切断して示す断面図、図５は、図４におけるＶ−Ｖ’線で切断して示す拡大断面図である。すなわち図４及び図５に示されるフレキシブルカップリング１００は、複数かつ同数の円筒状の駆動側接続子１０１及び従動側接続子１０２が円周方向交互に配置され、円周方向に隣り合う駆動側接続子１０１と従動側接続子１０２とを、その外周にそれぞれ装着した駆動側ボビン１０３と従動側ボビン１０４に跨ってループ状に巻き掛けた第一及び第二連結帯１０５，１０６によって連結し、前記ボビン１０３，１０４及び連結帯１０５，１０６をゴム等からなる環状弾性体１０７に埋設一体化したものである。第一及び第二連結帯１０５，１０６は、適当な引張弾性を有するポリエステル等のコードを多層状に巻いたものである。
【０００３】
図５に示されるように、駆動側及び従動側ボビン１０３，１０４は、それぞれ駆動側接続子１０１又は従動側接続子１０２の外周に圧入される鋼製のスリーブ１０８と、その外周面に軸方向所定間隔をもって圧入固定された一対の鋼製のカラー１０９とからなる。カラー１０９，１０９は、それぞれ軸方向両側に環状の鍔部を有する断面略コ字形にプレス成形されたものである。
【０００４】
第一連結帯１０５は、駆動側ボビン１０３のスリーブ１０８の外周面におけるカラー１０９，１０９の間の部分と、従動側ボビン１０４のスリーブ１０８の外周面におけるカラー１０９，１０９の間の部分に巻き掛けられており、その円周方向隣の第二連結帯１０６は、駆動側ボビン１０３のカラー１０９，１０９と、従動側ボビン１０４のカラー１０９，１０９にそれぞれ巻き掛けられている。すなわち、互いに円周方向等間隔で交互に配置された各駆動側接続子１０１と各従動側接続子１０２は、一束の第一連結帯１０５と二束の第二連結帯１０６，１０６によって、円周方向交互に連結されている。
【０００５】
このフレキシブルカップリング１００は、駆動側接続子１０３の内周の駆動側接続子１０１が駆動側回転軸の軸端のヨークに円周方向等間隔で配置されたボルト・ナット（図示省略）を介して取り付けられる一方、従動側ボビン１０４の内周の従動側ボビン１０２が従動側回転軸の軸端のヨークに円周方向等間隔で配置されたボルト・ナット（図示省略）を介して取り付けられる。そしてこれによって、駆動側回転軸の回転トルクを従動側回転軸へ伝達すると共に、第一及び第二連結帯１０５，１０６と環状弾性体１０７の変形特性によって、駆動側回転軸と従動側回転軸の軸心の方向が異なる接続状態（こじり状態）での回転伝達や、両回転軸の軸方向相対変位を許容すると共に、両回転軸間での伝達振動を吸収するものである。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフレキシブルカップリング１００によれば、駆動側ボビン１０３及び従動側ボビン１０４は、鋼管を引き抜き加工して両端面の内周部を切削により面取りしたスリーブ１０８の外周面に、鋼板をプレス成形した一対のカラー１０９を圧入することによって製作される。スリーブ１０８の面取りは、駆動側接続子１０１又は従動側接続子１０２の外周にスリーブ１０８を圧入しやすくするために形成されるものである。しかし、このようにして製作されたボビン１０３，１０４は、スリーブ１０８の製作の際に、鋼管の引き抜き加工及びその両端面内周部の切削による面取り加工が必要であるため製造コストが高く、カラー１０９も、平板状の鋼鈑から、軸方向両端に鍔部１０９ａを有する形状にプレス成形する工程が煩雑であるため、製造コストが高くなってしまう問題がある。
【０００７】
また、平板状の鋼鈑から、軸方向両端に鍔部１０９ａを有する形状にプレス成形したカラー１０９は、一方の鍔部１０９ａの肉厚にバラツキを生じやすい。したがって、第二連結帯１０６におけるコードの緻密な巻き付けが困難になって、捩りばね特性や耐久性のバラツキの原因となっている。しかも、カラー１０９は軸方向両端に鍔部１０９ａを有することによってその軸方向長さが長くなり、そのことも一方の鍔部１０９ａの肉厚のバラツキが大きくなる原因となっている。
【０００８】
更には、スリーブ１０８は円筒状の駆動側接続子１０１又は従動側接続子１０２に圧入されるが、その圧接面の面積が大きく、スリーブ１０８は鋼製であるため、圧入の際の抵抗が大きかった。
【０００９】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、ループ状連結帯を用いたフレキシブルカップリングを低コストで製作できるようにすることにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項１の発明に係るフレキシブルカップリングは、円周方向交互に配置された複数の駆動側ボビン及び従動側ボビンと、前記駆動側ボビンと円周方向に隣り合う従動側ボビンに跨がってループ状に巻き掛けられ円周方向交互に配置された第一及び第二連結帯と、前記各ボビン及び第一、第二連結帯を埋設して成形され円周方向に連続した環状弾性体とを備え、前記各ボビンが、筒状接続子と、その外周面の軸方向中間部に圧入されて軸方向両端に鍔部を有する合成樹脂製の第一連結帯用カラーと、前記筒状接続子の外周面に前記第一連結帯用カラーの軸方向両側に位置して圧入されて前記第一連結帯用カラーと反対側の端部にのみ鍔部を有する金属製の一対の第二連結帯用カラーからなるものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図１は、自動車のプロペラシャフト等における駆動側回転軸１と従動側回転軸２とを本発明によるフレキシブルカップリング４を介して結合した状態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図、図２は、本発明のフレキシブルカップリング４をその軸心と直交する平面で切断して示す断面図、図３は、図２におけるIII−III’線で切断して示す拡大断面図である。なお、以下の説明において「円周方向」とは、当該フレキシブルカップリングの軸心を中心とする円周の方向のことである。
【００１２】
まず図１において、参照符号１は駆動側回転軸、２は従動側回転軸、３は駆動側回転軸１と従動側回転軸２の互いのセンタリングを保持するためのセンタリングブッシュである。駆動側回転軸１と従動側回転軸２の互いに対向する軸端間は、本発明によるフレキシブルカップリング４を介して連結されている。
【００１３】
フレキシブルカップリング４は、図２に示されるように、円周方向１２０°間隔で３個配置された円筒状の駆動側ボビン１０Ａと、この駆動側ボビン１０Ａ，１０Ａの間の各中間位置すなわち駆動側ボビン１０Ａとは６０°異なる位相、かつ円周方向１２０°間隔で３個配置された円筒状の従動側ボビン１０Ｂとを備える。これら駆動側ボビン１０Ａ及び従動側ボビン１０Ｂは、それぞれの軸心が当該フレキシブルカップリング４の軸心と平行になるように配置されている。
【００１４】
図１に示されるように、駆動側ボビン１０Ａは、それぞれに挿通されたボルト５Ａ及びこれに螺合されるナット６Ａによって、駆動側回転軸１の軸端のヨーク１ａに円周方向１２０°間隔で取り付けられ、従動側ボビン１０Ｂは、それぞれに挿通されたボルト５Ｂ及びこれに螺合されるナット６Ｂによって、従動側回転軸２の軸端のヨーク２ａに円周方向１２０°間隔で取り付けられる。
【００１５】
円周方向に隣り合う駆動側ボビン１０Ａと従動側ボビン１０Ｂは、第一及び第二連結帯２０，３０を介して交互に連結されている。そして、これら各ボビン１０Ａ，１０Ｂ及び各連結帯２０，３０は、ゴムなどのエラストマ材料によって成形された環状弾性体４０に一体に埋設されている。すなわち環状弾性体４０は、各ボビン１０Ａ，１０Ｂを各連結帯２０，３０を介して連結した状態で金型内にセットし、この金型内に成形用エラストマ材料を充填して加硫することにより、各ボビン１０Ａ，１０Ｂ及び各連結帯２０，３０と一体的に成形されたものである。
【００１６】
すなわち、フレキシブルカップリング４は、駆動側回転軸１の回転トルクを第一及び第二連結帯２０，３０を介して従動側回転軸２へ伝達すると共に、第一及び第二連結帯２０，３０と環状弾性体４０の変形特性によって、駆動側回転軸１と従動側回転軸２の軸心の方向が異なるこじり状態での回転伝達や、両回転軸１，２の軸方向相対変位を許容すると共に、前記両回転軸１，２間での伝達振動を吸収するものである。
【００１７】
駆動側ボビン１０Ａと従動側ボビン１０Ｂは同一のものであって、図３に最も明確に示されるように、炭素鋼の鋼管等を切り出して製作された筒状接続子１１と、その外周面の軸方向中間部に固定された第一連結帯用カラー１２と、筒状接続子１１の外周面に第一連結帯用カラー１２の軸方向両側に位置して固定された一対の第二連結帯用カラー１３とからなる。
【００１８】
第一連結帯用カラー１２は、円筒部１２ａ及びその軸方向両端に鍔部１２ｂを有するリール状を呈するもので、その軸方向両側の第二連結帯用カラー１３，１３は、円筒部１３ａ及びその一端から展開する鍔部１３ｂからなる断面略Ｌ字形をなしている。また、第二連結帯用カラー１３，１３は、鍔部１３ｂが第一連結帯用カラー１２と反対側を向いており、第一連結帯用カラー１２側を向いた円筒部１２ａの端部が、この第一連結帯用カラー１２の端部と接触又は近接対向している。第一連結帯用カラー１２の鍔部１２ａ，１２ａ間の間隔は、第一連結帯用カラー１２の鍔部１２ａと第二連結帯用カラー１３の鍔部１３ｂとの間の間隔よりも長いものとなっている。
【００１９】
第一連結帯２０と第二連結帯３０は、例えばポリエステル等の所要の引張弾性を有する高分子材料からなるコードを、多層状に巻回したものであって、円周方向交互に配置されている。
【００２０】
詳しくは、第一連結帯２０は、１２０°の位相間隔で円周方向３箇所に各一束づつ配置され、従動側ボビン１０Ｂにおける第一連結帯用カラー１２の円筒部１２ａと、この従動側ボビン１０Ｂと円周方向に隣り合う駆動側ボビン１０Ａにおける第一連結帯用カラー１２の円筒部１２ａとに跨がって、ループ状に巻き掛けられている。第二連結帯３０は、第一連結帯２０と６０°異なる位相上で各二束づつ円周方向３箇所に配置され、それぞれ、駆動側ボビン１０Ａにおける一対の第二連結帯用カラー１３の円筒部１３ａと、この駆動側ボビン１０Ａと円周方向に隣り合う従動側ボビン１０Ｂにおける一対の第二連結帯用カラー１３の円筒部１３ａとに跨って、ループ状に巻き掛けられている。すなわち、各駆動側ボビン１０Ａと各従動側ボビン１０Ｂは、互いに６０°の位相間隔で円周方向交互に配置され、一束の第一連結帯２０と、二束の第二連結帯３０，３０とによって、円周方向交互に連結されている。
【００２１】
環状弾性体４０は、ＮＲ等のゴム状弾性材料によって、各駆動側ボビン１０Ａと各従動側ボビン１０Ｂの周囲及びその間を延びる第一及び第二連結帯２０，３０の周囲を包み込むように成形されている。各ボビン１０Ａ，１０Ｂにおける筒状接続子１１は、その軸方向両端部が第二連結帯用カラー１３の内周から外側へ突出しており、その突出部分１１ａの外周面には、環状弾性体４０が一体的に焼付け接着されている。そしてこれによって、第一連結帯用カラー１２及び第二連結帯用カラー１３の抜け出し荷重が補償されている。
【００２２】
環状弾性体４０には、各駆動側ボビン１０Ａと各従動側ボビン１０Ｂの中間に位置して、軸方向一側に開口した穴部４１が形成されている。この穴部４１は、当該フレキシブルカップリング４への捩り入力に伴う駆動側ボビン１０Ａと従動側ボビン１０Ｂの相対変位によって、その間の環状弾性体４０に圧縮による亀裂が生じるのを防止するためのものである。
【００２３】
以上のように構成された本形態のフレキシブルカップリング４によれば、第一連結帯用カラー１２は合成樹脂材料からなるものであるため、樹脂成形用の金型を用いて、低コストで製作することができる。また、第二連結帯用カラー１３はＳＰＣＣ等の鋼鈑からなるものであって、軸方向一端にのみ鍔部１２ａを有する形状であるため、先に説明した図５に示される従来のフレキシブルカップリング１００のカラー１０９のように、軸方向両側に鍔部１０９ａを有するものと異なり、打ち抜きプレス等によって、低コストで容易に製作することができる。しかも、第一連結帯用カラー１２及び第二連結帯用カラー１３を、筒状接続子１１の外周に圧入した構造とするとによって、従来のようなスリーブ１０８の製作やその圧入工程も不要となるので、このことも製造コストの低減に大きく寄与する。
【００２４】
第一連結帯用カラー１２は合成樹脂材料からなるものであるため、筒状接続子１１の外周面に小さな圧入抵抗で容易に圧入することができる。そして、その軸方向両側の第二連結帯用カラー１３は、軸方向片側にのみ鍔部１３ｂを有する形状であるため、その分だけ軸方向幅を短くでき、筒状接続子１１への圧入抵抗も小さくなる。そして、先に説明したように、筒状接続子１１の突出部分１１ａと環状弾性体４０が一体的に焼付け接着されているので、第一連結帯用カラー１２及び第二連結帯用カラー１３の抜け出し荷重が補償される。
【００２５】
第一連結帯用カラー１２は合成樹脂製であるのに対し、第二連結帯用カラー１３は鋼製であるため、軸方向荷重に対する所要の強度が保たれる。しかも、第二連結帯用カラー１３は成形過程で鍔部１３ｂの肉厚のバラツキが発生しないため、第二連結帯３０のコードの緻密な巻き付けができ、捩りばね特性や耐久性のバラツキを小さくすることができる。
【００２６】
【発明の効果】
請求項１の発明に係るフレキシブルカップリングによれば、駆動側ボビン及び従動側ボビンが、筒状接続子と、その外周面の軸方向中間部に圧入されて軸方向両端に鍔部を有する合成樹脂製の第一連結帯用カラーと、前記筒状接続子の外周面に前記第一連結帯用カラーの軸方向両側に位置して圧入されて前記第一連結帯用カラーと反対側の端部に鍔部を有する金属製の一対の第二連結帯用カラーからなるものであるため、第一連結帯用カラーを樹脂成形により低コストで製作することができ、第二連結帯用カラーを打ち抜きプレス等によって低コストで製作することができ、しかも圧入抵抗も小さくなるため、製造が容易になって、安価に提供することができる。また、第二連結帯用カラーの鍔部に肉厚のバラツキが発生しないので、第二連結帯を緻密に巻き付けて、捩りばね特性や耐久性のバラツキを小さくすることができる。
【００２７】
また、駆動側ボビン及び従動側ボビンが、筒状の接続子と一体的に製作されるため、従来のようにスリーブとカラーの組み立てによりボビンを接続子と別部品として製作する必要がなく、スリーブも不要になり、これによっても製造コストが引き下げられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動車のプロペラシャフト等における駆動側回転軸１と従動側回転軸２とを本発明によるフレキシブルカップリング４を介して結合した状態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図２】本発明に係るフレキシブルカップリング４の好ましい実施の形態を、その軸心と直交する平面で切断して示す断面図である。
【図３】図２におけるIII−III’線で切断して示す拡大断面図である。
【図４】従来の技術に係るフレキシブルカップリング１００をその軸心と直交する平面で切断して示す断面図である。
【図５】図４におけるＶ−Ｖ’線で切断して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
１駆動側回転軸
２従動側回転軸
３センタリングブッシュ
４フレキシブルカップリング
５Ａ，５Ｂボルト
６Ａ，６Ｂナット
１０Ａ駆動側ボビン
１０Ｂ従動側ボビン
１１筒状接続子
１１ａ突出部分
１２第一連結帯用カラー
１２ａ，１３ａ円筒部
１２ｂ，１３ｂ鍔部
１３第二連結帯用カラー
２０第一連結帯
３０第二連結帯
４０環状弾性体
４１穴部

Claims

円周方向交互に配置された複数の駆動側ボビン（１０Ａ）及び従動側ボビン（１０Ｂ）と、前記駆動側ボビン（１０Ａ）と円周方向に隣り合う従動側ボビン（１０Ｂ）に跨がってループ状に巻き掛けられ円周方向交互に配置された第一及び第二連結帯（２０，３０）と、前記各ボビン（１０Ａ，１０Ｂ）及び第一、第二連結帯（２０，３０）を埋設して成形され円周方向に連続した環状弾性体（４０）とを備え、前記各ボビン（１０Ａ，１０Ｂ）が、筒状接続子（１１）と、その外周面の軸方向中間部に圧入されて軸方向両端に鍔部（１２ｂ）を有する合成樹脂製の第一連結帯用カラー（１２）と、前記筒状接続子（１１）の外周面に前記第一連結帯用カラー（１２）の軸方向両側に圧入されて前記第一連結帯用カラー（１２）と反対側の端部にのみ鍔部（１３ｂ）を有する金属製の一対の第二連結帯用カラー（１３）からなることを特徴とするフレキシブルカップリング。