JP2006027336A - 車輪の支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】道路等に存在する段差等の障害物の上に,車輪を円滑に乗り上げさせることが可能な車輪の支持構造を提供する。
【解決手段】車体3を支持しながら接地して回転する車輪2と,前記車輪2の外径より小さい外径で形成された回転体5を備え,前記車輪2と前記回転体5は,同一の回転軸8を中心として回転し,前記回転体5の回転を前記車輪2に対して相対的に車体3の進行に伴う車輪2の回転方向に対して反対方向にのみ許容する回転規制機構7を備え,車体2の進行方向に対して前記回転軸5よりも後方かつ上方に,ストッパー12Aを備え,前記回転体5は,前記ストッパー12Aに接触しながら車体3の進行方向に対して後方かつ下方に転動自在であり,前記回転軸8は,車体3の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在であることとした。
【選択図】 図6

Description

本発明は,各種産業における運搬又は移動用機器(台車,車椅子,ベビーカー,ストレッチャー等)に取り付け,車輪が段差を容易に乗り上げることを可能とするための支持構造に関する。
車椅子の前車輪や,ベビーカー,ストレッチャー等に取り付けられる車輪は,車輪の半径が小さく,道路や建築物内に存在する段差等の障害物を乗り越えさせるときに大きな力を必要とし,困難な作業を伴う。小さな段差や小石等であっても大きな抵抗となり,走行が中断する。また,車輪全体を持ち上げなければならないことも多い。このため,小型の車輪を障害物の上に容易に乗り越えさせることができる機構の開発が,極めて重要な課題となっている。
従来,車輪を段差の上に乗り上げさせるための種々の工夫がなされている。例えば,車輪を支持する支持部材に,小車輪が付いたアームを取り付け,車輪より先に小車輪が段差に突き当たり,車輪が段差の上に持ち上げられるようにした構成が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。また,車輪を支持する支持部材に,略円弧状の補助部材を取り付け,段差が所定の高さより高い場合に車輪より先に補助部材が段差に突き当たり,車輪が段差の上に持ち上げられるようにした構成が提案されている(例えば,特許文献2参照。)。
特開2002−35039号公報 特開2002−2206号公報
しかしながら,上記の構成にあっては,車輪より先に小車輪が付いたアームや補助部材等が段差に突き当たることで,アームや補助部材が破損するおそれや,円滑な走行が妨げられる懸念がある。
本発明の目的は,道路等に存在する段差等の障害物の上に,車輪を円滑に乗り上げさせることが可能な車輪の支持構造を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明によれば,車体を支持しながら接地して回転する車輪と,前記車輪の外径より小さい外径を有する回転体を備え,前記車輪と前記回転体は,同一の回転軸を中心として回転し,前記回転体の回転を前記車輪に対して相対的に車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ許容する回転規制機構を備え,車体の進行方向に対して前記回転軸よりも後方かつ上方に,ストッパーを備え,前記回転体は,前記ストッパーに接触しながら車体の進行方向に対して後方かつ下方に転動自在であり,前記回転軸は,車体の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在であることを特徴とする,車輪の支持構造が提供される。
この車輪の支持構造にあっては,前記車輪を前記回転体の外周に備え,前記車輪の内周面と前記回転体の外周面との間に,前記回転規制機構を設け,前記回転体を前記車輪の側方に突出させ,前記車輪の側方に突出した部分に,前記ストッパーを接触させることとしても良い。また,前記回転体を前記車輪の側方に配置し,前記車輪の側面と前記回転体の側面との間に,前記回転規制機構を設けても良い。
前記回転軸は,回転体とストッパーが接触しない位置まで車体の進行方向に向かって前方に移動した基準位置から,回転体とストッパーが接触する接触位置までの間を移動自在であることとしても良い。
さらに,前記車輪の両側に板状部材を備え,前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え,前記回転軸をガイド溝内で移動させることとしても良い。この場合,前記ストッパーは,車体の進行方向に対して反対方向に向かうほど下方に傾斜する傾斜面を備え,前記回転体は,前記傾斜面に沿って移動する構成とし,前記ガイド溝は,前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第1のガイド部と,前記回転軸を前記傾斜面と略平行な直線状の軌道でガイドする第2のガイド部とを有することとしても良い。また,前記ストッパーは,円弧状に湾曲させた湾曲面を備え,前記回転体は,前記湾曲面に沿って移動する構成とし,前記ガイド溝は,前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第1のガイド部と,前記回転軸を円弧状に湾曲した軌道でガイドする第2のガイド部とを有することとしても良い。
また,前記第1のガイド部の上面を,基準位置から接触位置に向かうに従い下がるように傾斜させても良い。さらに,前記第1のガイド部の下面に突起を形成し,前記回転軸は,前記突起を越えて基準位置と接触位置との間を移動するようにしても良い。前記回転軸を接触位置から基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けても良い。
また,前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え,前記回転軸は,前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置から接触位置に移動し,前記板状部材が車体の進行方向に向かって前方に移動することにより接触位置から基準位置に移動するようにしても良い。
車輪に対して接触及び離隔させるように前記ストッパーを移動させるストッパー移動装置を備えても良い。また,前記回転体の周面にガイド溝を設け,前記ストッパーに,前記ガイド溝をガイドするレールを備えても良い。前記車輪は,双輪キャスターの車輪であっても良い。
本発明によれば,車輪,回転体,回転軸を移動自在にしたことにより,障害物が車輪に当接したときに回転体がストッパーに接触して,回転体がストッパーによって進行方向に押されながら,車輪と回転体が障害物の上方に向かって移動する。これにより,車輪を障害物の上に円滑に乗り上げさせることができる。車輪を障害物上に乗り上げさせた後も,車輪の前進を円滑に開始させることができる。また,本発明は構造が簡素であり,アームや補助部材等が障害物に突き当たって破損するといったおそれが無く,安全である。
以下,本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1及び図2に示す本発明にかかる車輪支持構造1は,車体の一例としての車椅子の前部に備えられており,車椅子の前輪である車輪2を支持している。この車輪支持構造1は,車椅子本体3に固定支持されたフレーム4と,車輪2の外径より小さい外径を有する回転体5とを備えている。
車輪2は,回転体5の外周に備えられている。車輪2の内周面と回転体5の外周面との間には,車輪2を回転体5に対して相対的に一方向にのみ回転を許容する回転規制機構7が備えられている。回転体5には,回転軸8が取り付けられている。かかる構成により,車輪2は,回転体5に対して相対的に,回転軸8を中心として,一方向の回転方向W1(図1において反時計方向)にのみ,回転体5の外周面に沿って回転可能になっている。一方,回転体5は,車輪2に対して相対的に,回転軸8を中心として,回転方向W1の反対に向かう回転方向W2(図1において時計方向)にのみ回転可能になっている。また,車輪2及び回転体5は,車椅子本体3が前方(図1において左方)へ進行(前進)するときは,回転軸8を中心として,回転方向W1に一体的に回転し,車椅子本体3が後方(図1において右方)へ退行(後退)するときは,回転軸8を中心として,回転方向W2に一体的に回転するようになっている。なお,回転規制機構7としては,例えばラチェット機構や,ワンウェイクラッチ機構などを使用することができる。
図2に示すように,回転体5の幅は,車輪2の幅より大きく形成されており,車輪2の左右両側方に回転体5の左端部5a,右端部5bがそれぞれ突出した状態になっている。回転体5の左端部5aの後方かつ上方には,ストッパー12Aが備えられ,回転体5の右端部5bの後方かつ上方には,ストッパー12Bが備えられている。ストッパー12A,12Bは,車椅子本体3に対して固定されている。各ストッパー12A,12Bには,図1に示すように,後方に向かうほど下方に傾斜する傾斜面13が形成されている。
図3に示すように,回転軸8は,回転体5とストッパー12A,12Bとが接触しない位置まで前方に移動した基準位置P1(図3において実線)から,回転体5の左端部5a,右端部5bと各ストッパー12A,12Bの傾斜面13とが接触する接触位置P2(図3において一点鎖線)までの間で移動自在になっている。さらに,回転軸8は,接触位置P2より車椅子本体3の進行方向に対して後方かつ下方に向かって移動自在になっている。従って,車輪2と回転体5は,回転軸8を移動させつつ,車椅子本体3の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在になっており,回転体5が後方に移動したとき,回転体5の左端部5aの外周面と右端部5bの外周面に,各ストッパー12A,12Bの傾斜面13がそれぞれ接触するようになっている。また,回転体5は,ストッパー12A,12Bの各傾斜面13に接触しながら,回転軸8を接触位置P2より後方かつ下方に移動させつつ,車椅子本体3の進行方向に対して後方かつ下方に向かって転動自在になっている。回転体5がストッパー12A,12Bに沿って転動するとき,回転軸8は,接触位置P2より後方において,傾斜面13と略平行で回転体5の半径にほぼ等しい距離だけ傾斜面13から離れた直線状の軌道Rに沿って移動するようになっている。
図2に示すように,フレーム4は,互いに略平行に配置された板状部材20A,20Bを有する。板状部材20A,20Bは,車椅子本体3が走行する平坦面(地面)に対し垂直に,かつ,車椅子本体3の進行方向に向かう方向に沿って配置されており,回転体5の左右両側にそれぞれ配置されている。
各板状部材20A,20Bには,回転軸8を基準位置P1,接触位置P2,軌道Rに沿って移動させるようにガイドするためのガイド溝25が形成されている。図2に示すように,板状部材20Aのガイド溝25は回転軸8の左端部をガイドし,板状部材20Bのガイド溝25は回転軸8の右端部をガイドするようになっている。各板状部材20A,20Bのガイド溝25は,互いに面対称な形状及び位置に形成されている。
各ガイド溝25は,傾斜面13と略平行な直線状に形成されている。各ガイド溝25の幅は,回転軸8の直径より僅かに大きく形成して,回転軸8が各ガイド溝25の内側で余裕を持って円滑に移動及び自転できるようにすることが好ましい。図3に示すように,各ガイド溝25は,上部が回転軸8を基準位置P1と接触位置P2との間でガイドする第1のガイド部25aになっており,第1のガイド部25aより下方は,回転軸8を軌道Rに沿ってガイドする第2のガイド部25bとなっている。
図1及び図2に示すように,車輪2及び回転体5は,板状部材20A,20Bの間に配置され,回転軸8は,左右両端部が各板状部材20A,20Bの各ガイド溝25の内側を貫通するように,また,各板状部材20A,20Bに対して垂直な向きにした状態で配置される。そして,車椅子本体3が平坦面上にある状態においては,各ガイド溝25の上斜面から回転軸8の上面に対して,車椅子本体3の自重による力が加えられ,これにより,回転軸8は各ガイド溝25の上斜面によって前方に押し出され,各ガイド溝25の上端部に配置されるようになっている。
回転軸8の左右両側には,フランジ部28A,28Bが形成されている。フランジ部28A,28Bは,それぞれ各板状部材20A,20Bのガイド溝25の外側に配置される。従って,回転軸8が各板状部材20A,20Bのガイド溝25から外れることを防止でき,回転軸8がガイド溝25内に確実に保持される。
次に,以上のように構成された車輪支持構造1の作用について説明する。図4に示すように,車椅子本体3が略水平な平坦面30上で走行するときは,回転軸8は基準位置P1に位置している。回転軸8の左右両端部は,各板状部材20A,20Bのガイド溝25内において,第1のガイド部25aの上縁に接触している。即ち,回転軸8によって各板状部材20A,20Bが支持されており,車椅子本体3は,フレーム4,回転軸8,回転体5及び回転規制機構7を介して,車輪2に支持されている。また,回転体5の左端部5a,右端部5bは,ストッパー12A,12Bの傾斜面13から離隔している。車椅子本体3が前進するとき,車輪2は,回転体5と一体的に,回転軸8を中心として回転方向W1に回転しながら前進する。また,車椅子本体3が後退するときは,車輪2は,回転体5と一体的に,回転軸8を中心として回転方向W2に回転しながら後退する。
車輪2の前方において,平坦面30から障害物としての段差31が突出していると,車輪2の外周面の前下部が段差31の角部に突き当たる。段差31の高さが車輪2の大きさと比較して十分に低い場合は,車輪2は段差31に当たって止められることなく,回転軸8の左右両端部が第1のガイド部25a内に位置した状態のまま,段差31を乗り越えて前進することができる。
一方,段差31の高さが車輪2の大きさと比較して高く,車輪2の前進が止められた場合は,図5に示すように,車輪2が段差31に当接したまま,車椅子本体3,フレーム4及びストッパー12A,12Bが前進する。車輪2,回転体5及び回転軸8は,車椅子本体3,フレーム4及びストッパー12A,12Bに対して相対的に後退する。回転軸8は,各板状部材20A,20Bの第1のガイド部25a内において,基準位置P1から後方かつ下方に相対的に移動する。回転軸8が接触位置P2に移動すると,回転軸8よりも後方かつ上方において,回転体5の左端部5aにストッパー12Aの傾斜面13の上端部が当接し,右端部5bにストッパー12Bの傾斜面13の上端部が当接した状態になる。
その後,車椅子本体3,フレーム4及びストッパー12A,12Bがさらに前進しようとすると,ストッパー12A,12Bの傾斜面13によって回転体5の左端部5a,右端部5bの外周面がそれぞれ前進方向に押される。ここで,回転体5は,車輪2との間に設けられた回転規制機構7の作用により,車輪2に対して一方向の回転方向W2にのみ回転可能になっているので,ストッパー12A,12Bによって回転軸8よりも後方かつ上方から押されても,段差31によって止められた車輪2に対して相対的に回転方向W1に回転することはできない。そのため,回転体5は,車輪2とともに,ストッパー12A,12Bによって前方かつ上方に向かって押し上げられる。こうして,車椅子本体3の前進方向の推進力が,ストッパー12A,12Bを介して回転体5に伝達される。そして,図6に示すように,回転体5及び車輪2が,段差31の角部を中心として,段差31の上面に上がる方向に回転移動を開始する。
回転体5は,段差31の上面に上がる方向に回転移動する一方で,各ストッパー12A,12Bの傾斜面13に沿って,ストッパー12A,12Bからみて相対的に回転方向W1に転動しながら,各ストッパー12A,12Bの傾斜面13の後部に向かって移動する。回転軸8は,左右両端部を各板状部材20A,20Bのガイド溝25において第2のガイド部25b内で移動しながら,各板状部材20A,20Bに対して相対的に,軌道Rに沿って後方に向かって移動する。なお,軌道Rに沿って移動する間,回転軸8の左右両端部は,第2のガイド部25bの縁から離れており,第2のガイド部25bの内側で浮いた状態になっている。従って,第2のガイド部25b内で回転軸8を円滑に移動させることができる。
こうして,車輪2及び回転体5は,ストッパー12A,12Bが回転体5の外周面を押す力により,段差31の角部を中心として移動し,図7に示すように,段差31の上面に乗り上がることができる。そして,車椅子本体3は,ストッパー12A,12B,回転体5及び回転規制機構7を介して車輪2に支持されながら,前進,上昇移動する。
ここで,通常の車輪2の支持構造,即ち,回転軸8をフレーム4に対して固定した場合と比較して,本発明の効果を説明する。通常は車椅子本体3の前進方向の推進力が,フレーム4及び回転軸8を介して伝達され,回転軸8に加えられる力により,段差31の角部を支点として車輪2が上昇移動することとなる。これに対し,本発明においては,ストッパー12A,12Bが回転体5の外周面を押す力により,段差31の角部を支点として車輪2及び回転体5が上昇移動する。ストッパー12A,12Bと回転体5との接触位置は回転軸8より高い位置にあるので,通常の場合よりも力点の位置が高くなる。即ち,通常の場合よりも力点と支点との距離が離れているので,車輪2を少ない力で段差31の上方に移動させることができる。従って,車輪2を円滑に段差31の上に乗り上げさせることができる。
車輪2が段差31の上方に移動すると,図7に示すように,車輪2及び回転体5は前進し,ストッパー12A,12B,フレーム4及び車椅子本体3は,自重によって下降する。ストッパー12A,12Bの傾斜面13は,回転体5を前方に押しながら,回転体5の外周面に沿って滑り降りるように下降する。ここで,回転体5は回転規制機構7の作用により,回転軸8を中心として回転方向W2に回転できる構造になっているため,ストッパー12A,12Bの後方かつ下方に向かう移動によって,回転体5が回転軸8を中心として回転方向W2に回転させられる。従って,ストッパー12A,12Bは,回転体5を回転させながら円滑に滑り降りることができる。また,回転体5は,回転方向W2に回転することにより,各ストッパー12A,12Bの傾斜面13に沿って相対的に,円滑に前進することができる。一方,車輪2は,回転規制機構7の作用により,回転体5が回転方向W2に回転しているときも,回転軸8を中心として地面からみて回転方向W1に回転することができる。従って,ストッパー12A,12B,回転体5,回転規制機構7を介して前方に押された車輪2は,回転方向W1に回転して前進する。こうして,車輪2及び回転体5を段差31の上に乗り上げさせた後,車輪2及び回転体5の前進を円滑に開始させることができる。
段差31の上で車輪2及び回転体5が前進し,ストッパー12A,12B,フレーム4及び車椅子本体3が下降する間,回転軸8は,各ガイド溝25の第2のガイド部25bによってガイドされながら,軌道Rに沿って移動する。車椅子本体3は,ストッパー12A,12B,回転体5及び回転規制機構7を介して車輪2に支持されながら前進,下降移動する。その後,図8に示すように,回転軸8が接触位置P2に達し,さらに,図9に示すように,車輪2,回転体5及び回転軸8がストッパー12A,12B,フレーム4及び車椅子本体3に対して相対的に前進して,回転軸8が接触位置P2から基準位置P1に相対的に移動し,回転体5がストッパー12A,12Bから離隔する。こうして,段差31に突き当たる前と同様に,各板状部材20A,20Bのガイド溝25内において,回転軸8の左右両端部の上部に第1のガイド部25aの上縁が接触し,車椅子本体3は,フレーム4,回転軸8,回転体5及び回転規制機構7を介して車輪2に支持された状態になる。
かかる車輪支持構造1によれば,ストッパー12A,12Bによって回転体5を後方かつ上方から前方に向かって押すことにより,通常の場合より少ない力で,車輪2を段差31の上に円滑に乗り上げさせることができる。また,回転体5が車輪2に対して相対的に回転方向W2にのみ回転する構成としたことにより,車輪2を段差31の上に乗り上げさせた後,ストッパー12A,12Bを迅速に下降させ,車輪2及び回転体5を確実かつ迅速に前進させることができる。従って,段差31があっても,円滑な走行が可能になる。さらに,段差31のような障害物が連続する場合であっても,車輪2を円滑に乗り上げさせ,前進を迅速に開始させることができるので,円滑な走行が可能である。また,構造が簡素であり,アームや補助部材等が障害物に突き当たって破損するといったおそれが無く,安全である。
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,本実施の形態においては,車輪支持構造1は車椅子本体3の前輪を車輪2として支持していることとしたが,本発明を車椅子の後輪に適用して,車椅子本体3が後退するときに,車椅子本体3の後方の段差を円滑に乗り越えさせるようにすることもできる。さらに,本発明は,車椅子以外の各種の運搬器具や移動用器具,例えば,台車,ベビーカー,ストレッチャー等の車輪支持機構や,各種の運搬機械や移動機械,例えば,自動車,工作機械などの車輪支持機構に適用することもできる。
本実施の形態では,フレーム4とストッパー12A,12Bは車椅子本体3に固定されているとしたが,フレーム4とストッパー12A,12Bを車椅子本体3に対して可動にしても良い。この場合,平坦面に対して略垂直な向きの軸を中心として旋回可能なキャスターに,本発明を適用することもできる。即ち,例えば,平坦面に対して略垂直に配置した縦軸を車椅子本体3に取り付け,さらに,縦軸を中心として回転可能な回転部材を設け,この回転部材にフレーム4とストッパー12A,12Bを固定すれば良い。これにより,車輪2,回転体5及び回転軸8が,前記縦軸を中心として回転可能になり,車椅子本体3の進行方向を円滑に変えることができるようになる。
図10に示すように,ストッパー12A,12Bの傾斜面13に,回転体5をガイドするレール35をそれぞれ設けても良い。図10に示す例では,回転体5の左端部5aの外周面,及び,右端部5bの外周面に沿って,それぞれガイド溝36が形成されている。各ガイド溝36は,各ストッパー12A,12Bのレール35によってガイドされながら,レール35に沿って移動するようになっている。この場合,回転体5をストッパー12A,12Bの傾斜面13に沿って,確実に転動させることができる。
本実施の形態では,回転軸8の左右両端部は,第2のガイド部25bの縁から離れて第2のガイド部25bの内側で浮いた状態で移動することとしたが,勿論,第2のガイド部25bの縁に接触しながら移動することとしても良い。この場合,回転軸8の左右両端部を確実に誘導でき,安全である。
本実施の形態では,ストッパー12A,12Bに傾斜面13が形成され,ガイド溝25は傾斜面13に沿って傾斜させた直線状としたが,ストッパー12A,12Bとガイド溝25の形状は,かかるものに限定されない。例えば,図11に示すように,ガイド溝25の第1のガイド部25aを,第2のガイド部25bに対して下方に傾斜させても良い。この場合,第1のガイド部25aにおいて,回転軸8を基準位置P1から接触位置P2に円滑に移動させやすくなる。また,図12に示すように,ガイド溝25の第1のガイド部25aを,第2のガイド部25bに対して上方に傾斜させても良い。この場合,第1のガイド部25aにおいて,回転軸8が第1のガイド部25aの上斜面に押され,回転軸8を基準位置P1に確実に保持できる。
図13に示すように,ストッパー12A,12Bに,傾斜面13に替えて,車輪2の進行方向において下方に凸状に湾曲させた湾曲面38を備え,回転軸8を,湾曲面38に沿って湾曲した軌道R’に沿って移動自在にしても良い。この場合,板状部材20A,20Bのガイド溝25における第2のガイド部25b’は,下方に向かって凸状に湾曲させた形状にして,回転軸8を接触位置P1から後方に軌道R’に沿ってガイドできるように形成すると良い。図13に示す例では,第1のガイド部25aは実施の形態に示したものと同様の形状であり,湾曲面38,軌道R’,第2のガイド部25b’は,それぞれ円弧状になっている。かかる構成により,図14に示すように,回転体5は,ストッパー12A,12Bの湾曲面38に沿って転動し,回転軸8は,第2のガイド部25b’内で湾曲した軌道R’に沿って移動することができる。この場合も,ストッパー12A,12Bによって回転体5を押し,車輪2及び回転体5を段差31の上に乗り上げさせることができる。
なお,第1のガイド部25aの上面は,基準位置P1から接触位置P2に向かうに従い下がるように傾斜させることが好ましい。このようにすると,車椅子本体3が平坦面上にあるとき,第1のガイド部25aの上斜面から回転軸8の上面に対して,車椅子本体3の自重による力が加えられるため,回転軸8は第1のガイド部25aの上斜面によって前方に押し出され,第1のガイド部25aの上端部に押さえられる。従って,車椅子本体3が平坦面上で前進しているときに,回転軸8が基準位置P1から外れて接触位置P2に向かって後方に移動することを防止できる。また,回転軸8を基準位置P1から軌道R(R’)に向かって円滑に移動させることができる。
また,回転軸8を接触位置P2から基準位置P1に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば,図15及び図16に示すように,各板状部材20A,20Bの外側に,弾性体としてのバネ42をそれぞれ備える。図15及び図16において,各バネ42の上端は,基準位置P1に位置する回転軸8より前方かつ上方において,板状部材20A,20Bに対してそれぞれ固定接続されている。各バネ42の下端は,回転軸8の左右両端部に接続されている。回転軸8の左右両端部が,第1のガイド部25aから第2のガイド部25bに向かって移動すると,バネ42が伸びて,回転軸8の左右両端部に対し,第1のガイド部25a側に戻そうとする力が働くようになっている。かかる構成によれば,小さな段差を乗り越えるときや,車椅子本体3の前部を地面から持ち上げたとき等に,回転軸8が第2のガイド部25bに移動して回転体5がストッパー12A,12Bに接触することを防止できる。従って,車輪2の走行を安定した状態で行うことができる。また,車輪2が段差31の上方に移動した後,回転軸8を接触位置P2から基準位置P1に戻し易くなる。なお,バネ42の一端を回転軸8より前方かつ上方ではなく,回転軸8の後方かつ下方に固定して,回転軸8の左右両端部が第1のガイド部25aから第2のガイド部25bに向かって移動するときにバネ42が圧縮され,回転軸8の左右両端部に対し,第1のガイド部25a側に戻そうとする力が働くようにしても良い。また,弾性体としては,バネの他,ゴム等の伸縮性を有するものや,エアサスペンションや,油圧シリンダや,その他各種のダンパ機構などを使用しても良い。
図17に示すように,第1のガイド部25aの下面に突起43を形成しても良い。図17において,突起43は,第1のガイド部25aの後部に,下縁から上方に向かって突出するように設けられている。車輪2の回転軸8の左右両端部は,突起43を越えて第1のガイド部25a内の基準位置P1から接触位置P2に移動するようになっている。突起43の材質は,例えばゴム等であることが好ましい。かかる構成によれば,小さな段差を乗り越えるときや,車椅子本体3の前部を地面から持ち上げたとき等に,回転軸8が第2のガイド部25bに移動して回転体5がストッパー12A,12Bに接触することを防止できる。従って,車輪2の走行を安定した状態で行うことができる。
本実施の形態では,車輪2は回転体5の外周に備えられ,車輪2の内周面と回転体5の外周面との間に回転規制機構7が設けられたこととしたが,車輪2,回転体5及び回転規制機構の配置は,かかるものに限定されない。例えば,図18及び図19に示すように,車輪50の左右両側に,回転体51A,51Bをそれぞれ配置して,車輪50の左側面と回転体51Aとの間に回転規制機構52Aを備え,車輪50の右側面と回転体51Bとの間に回転規制機構52Bを備えるようにしても良い。図18及び図19において,回転軸53は,車輪50,回転体51A,51Bを貫通するように備えられている。車輪50は,回転規制機構52A,52Bの作用により,回転体51A,51Bに対して相対的に,回転軸53を中心として,一方向の回転方向W1(図18において反時計方向)にのみ回転可能になっている。回転体51A,51Bは,回転規制機構52A,52Bの作用により,車輪50に対して相対的に,回転軸53を中心として,一方向の回転方向W2(図18において時計方向)にのみ回転可能になっている。ストッパー12A,12Bの傾斜面13は,それぞれ回転体51A,51Bの外周面に接触するようになっている。この場合も,ストッパー12A,12Bによって回転体51A,51Bを押し,回転体51A,51Bをストッパー12A,12Bに沿ってそれぞれ転動させることにより,車輪50及び回転体51A,51Bを段差の上に乗り上げさせることができる。
なお,回転規制機構52A,52Bとしては,例えばラチェット機構や,ワンウェイクラッチ機構などを使用することができる。また,例えば図20に示すように,車輪50の側面と回転体51A,51Bの側面にそれぞれ歯形を設けることにより,一方向にのみ回転可能な構成とすることもできる。図20において,回転規制機構52Aは,車輪50の左側面の周縁部に沿って設けられた複数の歯形55と,回転体51Aの右側面に設けられた複数の歯形56によって構成されている。車輪50において,各歯形55は,回転方向W2に向かうほど側方に突出するように形成されている。回転体51Aの左側には,弾性体としてのバネ57が設けられている。このバネ57の弾性力により回転体51Aを車輪50に向かって押すように付勢することにより,歯形55Aと歯形56Aを確実に噛み合わせながら,回転体51Aを車輪50に対して相対的に回転させることができる。なお,弾性体としては,バネの他,ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良い。回転規制機構52Bも,回転規制機構52Aと対称な同様の構造を有し,回転体51Bの右側にバネ57が設けられている。かかる回転規制機構52A,52Bにおいては,各歯形56Aを各歯形55Aに沿って回転方向W2に移動させることができるので,回転体51A,51Bを車輪50に対して回転方向W2に回転させることができる。一方,各歯形56Aを各歯形55Aに沿って回転方向W1に移動させようとすると,各歯形56Aが各歯形55Aの端部に引っ掛かるので,回転体51A,51Bを車輪50に対して回転方向W1に回転させることができないようになっている。このように,簡素な構成により,回転体の回転方向の規制を実現することができる。
図21及び図22に示すように,回転体61を筒部61aと,筒部61aの両端部から外周に向かって延びるフランジ61b,61cとを有する構成とし,車輪62を回転体61の筒部61aの外周面によって支持し,車輪62の左右両側にフランジ61b,61cをそれぞれ配置するようにして,車輪62の左側面とフランジ61bとの間に回転規制機構63Aを備え,車輪62の右側面とフランジ61cとの間に回転規制機構63Bを備えるようにしても良い。図21において,回転軸64は,回転体61の筒部61aを貫通するように備えられている。回転規制機構63A,63Bの作用により,回転体61は,車輪62に対して相対的に,回転軸64を中心として,一方向の回転方向W2(図21において時計方向)にのみ回転可能になっている。ストッパー12A,12Bの傾斜面13は,それぞれフランジ61b,61cの外周面に接触するようになっている。この場合も,ストッパー12A,12Bによってフランジ61b,61cを押し,車輪62及び回転体61を段差の上に乗り上げさせることができる。
本発明は,例えば図23及び図24に示すような双輪キャスター70用の車輪支持構造71に適用することもできる。図23及び図24において,双輪キャスター70は,外径が等しい2個の車輪72A,72Bによって構成されている。各車輪72A,72Bは,車輪72A,72Bの外径より小さい外径で形成された回転体75A,75Bの外周面にそれぞれ備えられている。車輪72Aの内周面と回転体75Aの外周面との間,及び,車輪72Bの内周面と回転体75Bの外周面との間には,それぞれ回転規制機構77が備えられている。回転体75Aは,回転軸78の左側に支持され,他方の回転体75Bは,回転軸78の右側に支持されている。
かかる構成により,各車輪72A,72Bは,回転体75A,75Bに対して相対的に,回転軸78を中心として,一方向の回転方向W1(図23において反時計方向)にのみ,回転体75A又は75Bの外周面に沿って回転可能になっている。一方,各回転体75A,75Bは,車輪72A,72Bに対して相対的に,回転軸78を中心として,回転方向W1の反対に向かう回転方向W2(図23において時計方向)にのみ回転可能になっている。また,車輪72A,72B及び回転体75A又は75Bは,車椅子本体3が前方(図23において左方)へ進行(前進)するときは,回転軸78を中心として,回転方向W1に一体的に回転し,車椅子本体3が後方(図1において右方)へ退行(後退)するときは,回転軸78を中心として,回転方向W2に一体的に回転するようになっている。
車輪支持構造71において車椅子本体3に支持されたフレーム80は,平坦面に対して垂直な向きになるように配置された板状部材82を備えており,実施の形態に示したガイド溝25と同様のガイド溝85が形成されている。即ち,第1のガイド部25aおよび第2のガイド部25bと同様の,第1のガイド部85aと第2のガイド部85bが形成されている。図24に示すように,回転軸78は,ガイド溝85の内側を貫通するように備えられ,車輪72A及び回転体75Aは,板状部材82の左側に配置され,車輪72B及び回転体75Bは,板状部材82の右側に配置されている。回転軸78の中央部分は,ガイド溝85に沿って移動自在になっている。
また,図24に示すように,車輪72Aの右側からは回転体75Aの右端部が突出し,車輪72Bの左側からは回転体75Bの左端部が突出した状態になっている。回転体75Aの右端部の後方かつ上方,及び,回転体75Bの左端部の後方かつ上方には,それぞれ実施の形態に示したものと同様のストッパー12A,12Bが備えられている。
回転軸78が基準位置にあるときは,回転体75Aの右端部とストッパー12Aの傾斜面13,及び,回転体75Bの左端部とストッパー12Bの傾斜面13とが,それぞれ離隔した状態になっている。回転軸78の中央部分は,第1のガイド部85a内にある。回転軸78が接触位置にあるときは,回転体75Aの右端部とストッパー12Aの傾斜面13が接触し,また,回転体75Bの左端部とストッパー12Bの傾斜面13が接触する。回転軸78が直線状の軌道に沿って移動するときは,回転体75Aの右端部がストッパー12Aの傾斜面13に沿って転動し,また,回転体75Bの左端部がストッパー12Bの傾斜面13に沿って転動するようになっている。回転軸78の中央部分は,第2のガイド部85b内で移動する。この場合も,各ストッパー12A,12Bによって各回転体75A,75Bを後上方から前方に向かってそれぞれ押すことにより,通常の場合より少ない力で,車輪72A,72Bを段差の上に円滑に乗り上げさせることができる。
なお,車輪支持構造71にあっては,実施の形態と同様に2枚の板状部材を備え,板状部材の間に車輪72A,72B及び回転体75A,75Bを備え,各回転体75A,75Bの外側に回転軸78をそれぞれ突出させ,回転軸78の左右両端部を,各板状部材のガイド溝の内側に配置するようにしても良い。
本実施の形態では,回転軸8がガイド溝25内で基準位置P1から接触位置P2まで移動し,車輪2及び回転体5が板状部材20A,20Bに対して相対的に後退して,回転体5にストッパー12A,12Bが接触するようにしたが,回転体5とストッパー12A,12Bが接触する状態と接触しない状態とを切り替える構成は,かかるものに限定されない。例えば,図25に示すように,板状部材を前後に移動可能な構成とし,回転軸8をガイド溝に対して静止させたまま,車輪2,回転体5及び回転軸8を板状部材と共にストッパー12A,12Bに向かって後方に移動させることにより,回転体5とストッパー12A,12Bを接触させるように構成しても良い。
図25及び図26に示す車輪支持構造90において,車輪2,回転体5,回転規制機構7,回転軸8,ストッパー12A,12Bは,実施の形態に示したものと同様の構成を有するので説明を省略する。フレーム4は,車輪2を保持する保持体91と,保持体91を車椅子本体3の進行方向に沿って前後にスライド可能に保持した保持体支持部材92を備えている。保持体91には,実施の形態に示した板状部材20A,20Bが形成されている。板状部材20A,20Bには,ガイド溝95が形成されている。このガイド溝95は,実施の形態に示したガイド溝25の第2のガイド部25bと同様に,回転軸8の軌道Rに沿って形成されている。
保持体支持部材92は,車椅子本体3に固定支持されている。保持体支持部材92の後部には,ストッパー12A,12Bが支持されている。図27に示すように,保持体支持部材92の内面の左右両側には,レール97A,97Bが設けられている。レール97A,97Bは,車椅子本体3の進行方向に沿って前後に延びるように形成されている。また,保持体91の上部の左右両側には,レール97A,97Bにそれぞれ噛み合う凹部98A,98Bが形成されている。保持体91は,凹部98A,98Bをレール97A,97Bにそれぞれ噛み合わせた状態で,保持体支持部材92に支持されている。凹部98A,98Bは,レール97A,97Bに沿って前後に移動させることができ,これにより,保持体91を前後にスライドさせることができる。即ち,板状部材20A,20Bを車椅子本体3の進行方向に沿ってスライドさせることができる構成になっている。かかる構成により,車輪2,回転体5及び回転軸8は,板状部材20A,20Bと共に前後に移動させることができる。また,図28に示すように,回転軸8をガイド溝95の上端部に配置した状態で板状部材20A,20Bを前後に移動させることにより,回転体5とストッパー12A,12Bが接触しない位置まで前方に移動した基準位置P3から,回転体5とストッパー12A,12Bが接触する位置まで後方に移動した接触位置P4までの間で,回転軸8を移動させることができる。
車輪支持構造90において,車椅子本体3が前進しているとき,保持体91は,保持体支持部材92の前部に位置しており,回転体5とストッパー12A,12Bは離隔している。回転軸8は基準位置P3に位置している。車輪2が段差31に当接すると,車輪2が段差31に当接したまま,車椅子本体3及び保持体支持部材92が前進する。車輪2,回転体5,回転軸8及び保持体91は,車椅子本体3及び保持体支持部材92に対して相対的に後退する。これにより,回転体5とストッパー12A,12Bが接触する。回転軸8は基準位置P3から接触位置P4に移動する。こうして,回転体5は,ストッパー12A,12Bに沿って移動可能な状態となり,回転軸8は,軌道Rに沿って移動自在な状態となる。そして,実施の形態に説明した動作と同様にして,段差31を乗り越えることができる。
なお,保持体91と保持体支持部材92をスライドさせる構成は,図27に示したレール97A,97Bと凹部98A,98Bによってスライドさせるものに限定されない。また,保持体91をスライドさせ易くするために,保持体91と保持体支持部材92の間で回転する回転部材を設けても良い。例えば図29に示すように,保持体支持部材92の内側の上面に複数の回転部材105を備えるようにする。図29において,各回転部材105は球状に形成されている。回転部材105は,保持体支持部材92の内側の上面に形成された穴106の内側に保持されており,穴106内で自在に回転可能になっている。回転部材105の下端部は,保持体支持部材92の内側の上面より下方に突出しており,回転部材95の下端と保持体91の上面が接触する高さに配置されている。保持体91の上面は,保持体91がスライドする方向に沿った平面になっている。この構成において,保持体91をスライドさせると,各回転部材105が保持体91のスライド方向に沿ってそれぞれ回転するので,保持体91を保持体支持部材92に対して円滑にスライドさせることができる。
また,保持体91を保持体支持部材92の前部に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば,図30に示すように,保持体支持部材92の内側の左右両側面に,弾性体としてのバネ108をそれぞれ備える。図30において,バネ108は保持体91の前方に配置され,バネ108の前端は保持体支持部材92の内側の左右両側面に接続されており,バネ108の後端は保持体91の前縁部に接続されている。保持体91が保持体支持部材92に対して後方に移動すると,バネ108が伸びて,保持体91を前方に戻そうとする力が働くようになっている。かかる構成によれば,平坦面を走行しているときや,小さな段差を乗り越えるとき等に,保持体91が後退して回転体5とストッパー12A,12Bが接触することを防止できる。従って,車輪2の走行を安定させることができる。また,車輪2が段差31の上方に移動した後,保持体91が前方に戻るように付勢され,回転体5とストッパー12A,12Bが接触しない状態に戻し易くなる。なお,バネ108を保持体91の後方に配置し,バネ108の前端を保持体91の後縁部に接続し,バネ108の後端を保持体支持部材92の内側の左右両側面に接続するようにして,保持体91が保持体支持部材92に対して後方に移動するときにバネ108が圧縮され,保持体91を前方に戻そうとする力が働くようにしても良い。弾性体としては,バネの他,ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良い。
回転体5とストッパー12A,12Bが接触する状態と接触しない状態との切り替えは,例えば図31に示した車輪支持構造115のように,ストッパー12A,12Bを前後に移動させることができるストッパー移動装置116によって行っても良い。図31に示した車輪支持構造115において,板状部材20A,20Bは,車椅子本体3に対して固定支持されている。回転軸8は板状部材20A,20Bのガイド溝95に保持されている。ストッパー移動装置116は,板状部材20A,20Bの後方において,車椅子本体3に対して固定支持されており,ストッパー12A,12Bを支持している。また,ストッパー移動装置116の駆動を制御する制御部121が備えられている。この制御部121の制御信号によって,ストッパー移動装置116を駆動させることにより,ストッパー12A,12Bを回転体5と接触しない位置まで車体の進行方向に対して後方に移動させ,また,回転体5と接触する位置まで車体の進行方向に対して前方に移動させる構成となっている。
車椅子の操作を行う者は,制御部121を操作することにより,ストッパー12A,12Bを任意に移動させ,回転体5とストッパー12A,12Bを接触させる状態に切り替えることができる。例えば,平坦面を走行するときは,回転体5とストッパー12A,12Bを離隔させるように操作すれば,平坦面において車輪2の前進及び後退を安定した状態で円滑に行うことができる。そして,段差を乗り越えるときは,車椅子の操作を行う者の任意で,回転体5とストッパー12A,12Bを接触させる状態に切り替えて,実施の形態に示した車輪2を段差に円滑に乗り上げさせる動作を行うことができる。
なお,ストッパー移動装置は,例えば,自転車の前輪用のブレーキ装置として一般的に使用されているキャリパーブレーキ等のように,レバーとワイヤーロープを備えた構成によってストッパー12A,12Bを移動させる構成としても良い。即ち,レバーとストッパー12A,12Bをワイヤーロープを介して接続し,レバーを操作することによりワイヤーロープを引っ張ると,ストッパー12A,12Bが回転体5に向かって前方に移動して接触し,レバーを戻すとストッパー12A,12Bが後方に戻り,回転体5から離隔する構成としても良い。
本実施の形態にかかる車輪支持構造の側面図である。 本実施の形態にかかる車輪支持構造の背面図である。 ガイド溝を拡大して示す説明図である。 車輪が平坦面を前進する状態を示す説明図である。 車輪が段差に当たった状態を示す説明図である。 車輪,回転体及び回転軸が段差の上に向かって移動する途中の状態を示す説明図である。 車輪,回転体及び回転軸が段差の上に乗り上げた直後の状態を示す説明図である。 回転体が段差の上でストッパーに押される状態を示す説明図である。 車輪,回転体及び回転軸が段差の上で前進し,回転体がストッパーから離れた状態を示す説明図である。 ストッパーにレールを形成した実施形態を示す断面図である。 別の実施形態にかかるガイド溝の形状を示す説明図である。 別の実施形態にかかるガイド溝の形状を示す説明図である。 別の実施形態にかかるストッパー及びガイド溝の形状を示す側面図である。 別の実施形態にかかる車輪支持構造において,車輪,回転体及び回転軸が段差の上に向かって移動する途中の状態を示す説明図である。 回転軸に弾性体を備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。 回転軸に弾性体を備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の背面図である。 ガイド溝に突起を形成した実施形態を示す説明図である。 車輪の側方に回転体を備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。 車輪の側方に回転体を備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の背面図である。 車輪の側方に回転体を備えた実施形態における回転規制機構の一例を説明する車輪支持構造の背面図である。 車輪の側方に回転体のフランジを備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。 車輪の側方に回転体のフランジを備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の背面図である。 双輪キャスターを支持する実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。 双輪キャスターを支持する実施形態にかかる,車輪支持構造の背面図である。 車輪を保持した保持体をスライドさせる実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。 車輪を保持した保持体をスライドさせる実施形態にかかる,車輪支持構造の背面図である。 保持体上部と保持体支持部材を拡大して示した断面図である。 車輪を保持した保持体をスライドさせる実施形態にかかる,車輪支持構造の概略断面図である。 保持体支持部材の内側に回転部材を設けた実施形態を説明する説明図である。 保持体を前方に戻すように付勢する弾性体を備えた実施形態にかかる,車輪支持構造の断面図である。 ストッパー移動装置によってストッパーを移動させる実施形態にかかる,車輪支持構造の側面図である。
符号の説明
P1 基準位置
P2 接触位置
R 軌道
1 車輪支持構造
2 車輪
3 車椅子本体
4 フレーム
5 回転体
7 回転規制機構
8 回転軸
12A,12B ストッパー
13 傾斜面
25 ガイド溝

Claims (14)

  1. 車体を支持しながら接地して回転する車輪と,前記車輪の外径より小さい外径を有する回転体を備え,
    前記車輪と前記回転体は,同一の回転軸を中心として回転し,
    前記回転体の回転を前記車輪に対して相対的に車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ許容する回転規制機構を備え,
    車体の進行方向に対して前記回転軸よりも後方かつ上方に,ストッパーを備え,
    前記回転体は,前記ストッパーに接触しながら車体の進行方向に対して後方かつ下方に転動自在であり,
    前記回転軸は,車体の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在であることを特徴とする,車輪の支持構造。
  2. 前記車輪を前記回転体の外周に備え,
    前記車輪の内周面と前記回転体の外周面との間に,前記回転規制機構を設け,
    前記回転体を前記車輪の側方に突出させ,
    前記車輪の側方に突出した部分に,前記ストッパーを接触させることを特徴とする,請求項1に記載の車輪の支持構造。
  3. 前記回転体を前記車輪の側方に配置し,
    前記車輪の側面と前記回転体の側面との間に,前記回転規制機構を設けたことを特徴とする,請求項1に記載の車輪の支持構造。
  4. 前記回転軸は,回転体とストッパーが接触しない位置まで車体の進行方向に向かって前方に移動した基準位置から,回転体とストッパーが接触する接触位置までの間を移動自在であることを特徴とする,請求項1,2又は3に記載の車輪の支持構造。
  5. 前記車輪の両側に板状部材を備え,
    前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え,
    前記回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする,請求項4に記載の車輪の支持構造。
  6. 前記ストッパーは,車体の進行方向に対して反対方向に向かうほど下方に傾斜する傾斜面を備え,
    前記回転体は,前記傾斜面に沿って移動する構成とし,
    前記ガイド溝は,前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第1のガイド部と,前記回転軸を前記傾斜面と略平行な直線状の軌道でガイドする第2のガイド部とを有することを特徴とする,請求項5に記載の車輪の支持構造。
  7. 前記ストッパーは,円弧状に湾曲させた湾曲面を備え,
    前記回転体は,前記湾曲面に沿って移動する構成とし,
    前記ガイド溝は,前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第1のガイド部と,前記回転軸を円弧状に湾曲した軌道でガイドする第2のガイド部とを有することを特徴とする,請求項5に記載の車輪の支持構造。
  8. 前記第1のガイド部の上面を,基準位置から接触位置に向かうに従い下がるように傾斜させたことを特徴とする,請求項6又は7に記載の車輪の支持構造。
  9. 前記第1のガイド部の下面に突起を形成し,
    前記回転軸は,前記突起を越えて基準位置と接触位置との間を移動するようにしたことを特徴とする,請求項6,7又は8に記載の車輪の支持構造。
  10. 前記回転軸を接触位置から基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けたことを特徴とする,請求項4〜9のいずれかに記載の車輪の支持構造。
  11. 前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え,
    前記回転軸は,前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置から接触位置に移動し,前記板状部材が車体の進行方向に向かって前方に移動することにより接触位置から基準位置に移動することを特徴とする,請求項5に記載の車輪の支持構造。
  12. 車輪に対して接触及び離隔させるように前記ストッパーを移動させるストッパー移動装置を備えたことを特徴とする,請求項1,2又は3に記載の車輪の支持構造。
  13. 前記回転体の周面にガイド溝を設け,
    前記ストッパーに,前記ガイド溝をガイドするレールを備えたことを特徴とする,請求項1〜12のいずれかに記載の車輪の支持構造。
  14. 前記車輪は,双輪キャスターの車輪であることを特徴とする,請求項1〜13のいずれかに記載の車輪の支持構造。
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