JP2006024375A - 非水電解液二次電池用電極板、その製造方法、及び非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用電極板、その製造方法、及び非水電解液二次電池 Download PDF

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史陽 菊地
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Abstract

【課題】 電極板が変形することなく捲回の周回ごとに重なるようにリード線をとることが可能で、且つリード線の取り付けが容易で効率的に生産可能な非水電解液二次電池用電極板、及びその製造方法を提供する。また、上記電極板を用いて組み立てた高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】 集電体と該集電体2の少なくとも一面へ所定パターン状に設けられた電極活物質層3を備えた非水電解液二次電池用電極板1において、該パターン形状は少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチ5(1)〜5(5)が異なる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池用の電極、当該電極の製造方法、及び、それらを用いた非水電解液二次電池に関する。
非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度で高電圧を有し、且つ軽量性に優れることから、駆動機器、携帯電子機器、電気自動車等、種々の分野で用いられている。
有機電解液を主成分とする非水電解質を用いる非水電解液二次電池では、非水電解質の電気伝導度が水系電解質に比べて低いので、電極板を薄くする必要がある。また、大電流を取り出すには反応面積を大きくする必要があるため、正、負の電極板をシート状にし、これらの電極板をセパレータを介してロール状に捲回した構造等が採用されている。
電気自動車等に用いられる大型の非水電解液二次電池では、高出力かつ充放電時の発熱を抑えるため、電極を積層した電池、または電極を捲回し、捲回の周回ごとにリード線をとった電池がある。積層型の電池では電極を切り抜くか又は打ち抜いて、セパレータを挟んで積層させる。一方、捲回型電池では、電極の片側に未塗工部を作り、その未塗工部にリード線をタブ付け溶接して集電する方法が開示されている(特許文献1、2)。しかし、この方法では作業中に未塗工部が変形し易く、作業性が悪かった。
また、電極板にリード線をタブ付けするための方法としては、導電性基材の生地部を形成するために、従来から、活物質層用塗工組成物の塗布、乾燥により形成された活物質層を除去することが行なわれている。除去する方法として、一対のナイフ材で筋入れを行なうとともに筋間の活物質層をスリ割フライスにより削り落とす方法(特許文献3)や、両面に塗布された活物質層の上下両方向から刃状体を当接し、活物質層を剥離除去する方法(特許文献4)が提案されている。しかしこれらの方法では、活物質層の剥離除去という余分な作業工程を必要とするだけでなく、除去しきれなかった活物質層があった場合、その影響でリード線のタブ付け溶接が困難になった。
導電性基材の生地部を形成するための方法としては、特許文献5には、特定の粘性を有する電極材料塗布液を、塗布液供給システムに接続されたダイノズルによって吐出させ、走行する導電性基材上に、長手方向の一定間隔ごとに未塗布部を設けながら前記塗布液を塗布することを特徴とするシート状極板の製造方法が開示されている。
特開平9−306470号公報 特開平9−306471号公報 特公昭60−48865号公報 特開平2−98040号公報 特開平10−55799号公報
本発明は上記の実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、電極板が変形することなく捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能で、且つリード線の取り付けが容易で効率的に生産可能な非水電解液二次電池用電極板を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、電極板が変形することなく捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能で、且つリード線の取り付けが容易で効率的に生産可能な非水電解液二次電池用電極板の製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記電極板を用いて、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、集電体と該集電体の少なくとも一面へ所定パターン状に設けられた電極活物質層を備えた非水電解液二次電池用電極板において、該パターン形状は少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なることを特徴とする。
また、本発明に係る非水電解液二次電池用電極板の製造方法は、集電体へ電極活物質層用塗工組成物を塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを、当該各塗布部のピッチが異なるように、集電体の塗布流れ方向へ設けることにより、所定パターン状に電極活物質層を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする。
本発明においては、少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なるため、当該ピッチに含まれる非塗布部にリード線を取り付けることにより電極板が変形することなく捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能である。本発明においては、非塗布部にリード線を取り付けるためリード線の取り付けが容易で、且つ効率的に生産可能である。
前記各電極活物質層のピッチは、電池1セル分全体で、又は電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の少なくとも1つの領域で、集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなることが、捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能になる点から好ましい。
前記各電極活物質層のピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さは、ピッチの長さが長い程それよりも短いピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さと同じか又はそれよりも長いことが、電池容量の点から好ましい。
前記各電極活物質層のピッチは、電極板を捲回する時に非塗布部が同位置に重なるように設定されていることが、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な非水電解液二次電池を提供する点から好ましい。
次に、本発明に係る非水電解液二次電池は、上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板を備えることを特徴とする。この二次電池は、内部に装填された電極板が、変形することなく捲回の周回ごとに重なるようにリード線をとることが可能で、且つリード線の取り付けが容易で効率的に生産可能なので、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な捲回型電池とすることができる。
本発明においては、少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なるため、当該非塗布部にリード線を取り付けることにより電極板が変形することなく捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能である。また本発明においては、非塗布部にリード線を取り付けるためリード線の取り付けが容易で、且つ効率的に生産可能である。また、集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されていることから、高密度化するための圧延プレス時の高圧でもシワが発生しないというメリットも有する。
また、本発明に係る非水電解液二次電池は、上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板を備えることを特徴とする。この二次電池は、内部に装填された電極板が、変形することなく捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能で、且つリード線の取り付けが容易で効率的に生産可能なので、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な捲回型電池とすることができる。
本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、集電体と該集電体の少なくとも一面へ所定パターン状に設けられた電極活物質層を備えた非水電解液二次電池用電極板において、該パターン形状は少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なることを特徴とする。
また、本発明に係る非水電解液二次電池用電極板の製造方法は、集電体へ電極活物質層用塗工組成物を塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを、当該各塗布部のピッチが異なるように、集電体の塗布流れ方向へ設けることにより、所定パターン状に電極活物質層を形成する工程を少なくとも有することを特徴とするものである。
本発明においては、少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なるため、当該ピッチに含まれる非塗布部にリード線を取り付けることにより電極板が変形することなく捲回の周回ごとに重なるようにリード線をとることが可能である。本発明においては、非塗布部にリード線を取り付けるためリード線の取り付けが容易で、且つ効率的に生産可能である。また、集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されていることから、高密度化するための圧延プレス時の高圧でもシワが発生しないというメリットも有する。
なお、本発明に係る非水電解液二次電池用電極板は、正極板であっても負極板であってもいずれでも良い。正極板は、少なくとも正極活物質及び結着材を含有する正極用活物質層塗工組成物を集電体の少なくとも一面に塗布して、正極活物質層を形成することによって作製される。一方、負極板は、少なくとも負極活物質及び結着材を含有する負極用活物質層塗工組成物を集電体の少なくとも一面に塗布して、負極活物質層を形成することによって作製される。
正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の正極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、LiMn24(マンガン酸リチウム)、LiCoO2(コバルト酸リチウム)若しくはLiNiO2(ニッケル酸リチウム)等のリチウム酸化物、または
TiS2、MnO2、MoO3もしくはV25等のカルコゲン化合物を例示することができる。特に、LiCoOを正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用いることにより、4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系2次電池が得られる。
正極活物質は、塗工層中に均一に分散させるために、1〜100μmの範囲の粒径を有し、且つ平均粒径が約10μmの粉体であることが好ましい。これらの正極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、天然グラファイト、人造グラファイト、アモルファス炭素、カーボンブラック、または、これらの成分に異種元素を添加したもののような炭素質材料が好んで用いられる。溶媒が有機系の場合には金属リチウムまたはリチウム合金のようなリチウム含有金属が好適に用いられる。
負極活物質の粒子形状は特に限定されないが、例えば、鱗片状、塊状、繊維状、球状のものが使用可能である。負極活物質は、塗工層中に均一に分散させるために、1〜100μmの範囲の粒径を有し、且つ平均粒径が約10μmの粉体であることが好ましい。これらの負極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工組成物中の正極又は負極活物質の配合割合は、溶剤を除く配合成分を基準(固形分基準)とした時に通常は90〜98.5重量%とする。
結着材としては従来から用いられているもの、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーを結着材中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。
塗工組成物中の結着材の配合割合は、固形分基準で通常は0.5〜10重量%、好ましくは2〜4重量%とする。
正極又は負極用活物質層塗工組成物には、導電剤を添加しても良い。導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラック等の炭素質材料が必要に応じて用いられる。塗工組成物中の導電剤の配合割合は、通常、通常、固形分基準で1.5〜2.0重量%とする。
正極又は負極用活物質層塗工組成物を調製する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン或いはこれらの混合物のような有機溶剤を用いることができる。塗工組成物中の溶剤の割合は、通常は30〜60重量%、好ましくは45〜55重量%とし、塗工液をスラリー状に調製する。
正極又は負極活物質層用塗工組成物は、適宜選択した正極又は負極活物質、結着材、及び他の配合成分を適切な溶剤中にいれ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散して、スラリー状に調製できる。
このようにして調製された正極又は負極活物質層用塗工組成物を、基体である集電体の少なくとも一面に塗布・乾燥して正極又は負極活物質層を形成する。正極板の集電体としては通常、アルミニウム箔が好ましく用いられる。一方、負極板の集電体としては、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。
特に、本発明においては、集電体へ電極活物質層用塗工組成物を塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを、当該各塗布部のピッチが異なるように、集電体の塗布流れ方向へ設けることにより、所定パターン状に電極活物質層を形成する。図1は、本発明の非水電解液二次電池用電極板1の一例を模式的に示した図であり、集電体2の少なくとも一面に、集電体2の長手方向へ電極活物質層3が間欠的に、すなわち電極活物質層3と非塗布部4が交互に配置されてなり、集電体2の長手方向の各電極活物質層3のピッチ(5(1)、5(2)、・・・5(n))が異なっている。上記電極活物質層(塗布部)のピッチとは、各電極活物質層(塗布部)の集電体の長手方向(塗布流れ方向)の一辺の長さの起点(又は終点)6と、当該電極活物質層(塗布部)に隣接する電極活物質層(塗布部)の集電体の長手方向(塗布流れ方向)の同じ側の一辺の長さの起点(又は終点)6との間の距離をいう。
各塗布部のピッチが異なるとは、ランダムに異なることも、所定の規則性を持って異なることも含まれる。
前記各電極活物質層のピッチは、電池1セル分全体で、又は電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の少なくとも1つの領域で、集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなることが、捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能になる点から好ましい。なお、電池1セル分9とは、電池1セルに使用する電極板の部分をいう。本発明の電極板は、電池1セル分9が複数個提供できるような長尺の電極板であっても良く、例えば図1に示されるように、電池1セル分9毎の間には、電池作製に使用されない電極活物質層や非塗布部を含んでいても良い。
前記各電極活物質層のピッチが、電池1セル分全体で、集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなる場合の一例としては、図1のような場合が挙げられる。また、電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の少なくとも1つの領域で、集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなる場合の一例としては、図2(a)のように、電池1セル分の中で3つに分けられた領域10(1)、10(2)、10(3)のうち、10(2)において、各電極活物質層のピッチが集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなっている場合が挙げられる。また別の一例としては図2(b)のように、電池1セル分の中で4つに分けられた領域10(1)、10(2)、10(3)、10(4)のうち、10(2)及び10(3)において各々別のピッチで次第に大きくなるか又は次第に小さくなる場合等が挙げられる。例えば図2(b)のような、電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の2以上において、各電極活物質層のピッチが集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなっている場合には、捲回時に、巻きの内側部におけるリード線を付ける周回数と、巻きの外側部におけるリード線を付ける周回数とを変えていくことが可能になる。例えば、捲回時に、巻きの内側部においては4周回ごとにリード線を付け、巻きの外側部においては3周回ごとにリード線を付けること等ができるようになる。捲回時に、リード線を付ける周回数を適宜調節することにより、非塗布部を最小限に減らして電池容量を上げながら良好に充放電時の発熱を抑える等が可能になる。なお、電池1セル分の中で2以上に分けられた領域には、非塗布部のみからなる領域があっても良い。このような非塗布部のみからなる領域は、例えば、小型電池等において電極板を捲き回した時に最外周に用いられる。
前記各電極活物質層のピッチが、電池1セル分全体でランダムである場合であっても、捲回時に、リード線を付ける周回数を適宜ランダムに取れば、捲回する時に重なるようにリード線をとることが可能になる。
塗布部のピッチを変える方法としては、電極活物質層の長手方向の長さと非塗布部の長手方向の長さの両方を変える方法、電極活物質層の長手方向の長さは一定にして非塗布部の長手方向の長さを変える方法、非塗布部の長手方向の長さはそれぞれ一定にして電極活物質層の長手方向の長さを変える方法等が挙げられるが、単位面積当りの電極活物質量を増加する点からは、電極活物質層の長手方向の長さはなるべく長くすることが好ましい。
従って、前記各電極活物質層のピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さは、ピッチの長さが長い程それよりも短いピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さと同じか又はそれよりも長いことが、単位面積当りの電極活物質量を増加することができ、電池容量の点から好ましい。
更に、リード線を良好に取り付ける目的から非塗布部の長手方向の長さをリード線が良好に取り付けられる最低限の長さに一定に確保して、電極活物質層の長さをピッチの長さに合わせて調節することが、単位面積当りの電極活物質量を増加することができ、電池容量の点から好ましい。
また、前記各電極活物質層のピッチは、電極板を捲回する時に非塗布部が同位置に重なるように設定されていることが、当該非塗布部にリード線を重ねて設けることができ、その結果、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な非水電解液二次電池を提供する点から好ましい。特に、捲回する時に重なるようにリード線をとる場合には、異極リード線との接触による短絡が防げるというメリットがある。なお、電極板を捲回する時に非塗布部が同位置に重なるように設定されているとは、電極板を捲回する1回ごとに非塗布部が同位置に重ならなくてもよく、電極板を捲回する複数回ごとに非塗布部が同位置に重なるようにしても良い。
本発明の非水電解液二次電池用電極板において、上記のように間欠的に配置された電極活物質層は、集電体の少なくとも一方の面にあればよい。集電体の他方の面は電極活物質層が設けられていなくても良く、電極活物質層が設けられていても間欠的に配置されておらず全面塗布されていても良い。集電体の他方の面も間欠的に電極活物質層が設けられている場合であっても、電極活物質層のパターンは両面が同じでも、異なっていてもよい。中でも、両面の非塗布部は重なる位置とするが、リード線をタブ付けしない方の面については非塗布部の長手方向の長さをより短くして電極活物質層の長さを長くすることが、良好にリード線を取り付け可能でありながら、単位面積当りの電極活物質量を増加することができ、さらに高密度化するための圧延プレス時の高圧でもシワが発生しない点から好ましい。また、例えば、集電体の他方の面のみ、電池1セル分の中で電極を捲き回した時に最外周になる部分を非塗布部のみからなる領域としても良い。
なお、各塗布部のピッチ、非塗布部の集電体の長手方向の長さ、電極活物質層の集電体の長手方向の長さ等は、製造する非水電解液二次電池の設計によりそれぞれ適宜調節されるものであり、特に制限されない。
集電体へ電極活物質層用塗工組成物を塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを、当該各塗布部のピッチが異なるように、集電体の塗布流れ方向へ設けることにより、所定パターン状に電極活物質層を形成する工程における塗布方法としては、電極活物質層用塗工組成物をダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、該電極活物質層用塗工組成物を集電体に塗布する方法や、電極活物質層用塗工組成物をダイヘッドへ連続的に供給し、ダイヘッド及び/又は集電体を離間、接近させて、該電極活物質層用塗工組成物を該集電体に塗布することで、集電体へ塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを集電体の塗布流れ方向へ設ける方法や、電極活物質層用塗工組成物を第1のロール上へ供給しコンマヘッドで掻き取って所定量とし、該所定量の電極活物質組成物をコンマリバース法により第2ロール上に沿って走行する集電体へ転移させる際に、第2ロールを第1ロールから離間、接近させることで、前記集電体へ前記電極活物質組成物の塗布部と非塗布部とを設ける方法等が挙げられる。なお、活物質層は、複数回塗布、乾燥を繰り返すことにより形成してもよい。
塗布された電極活物質層用塗工組成物は、組成物中に含まれる溶剤を除去するために、通常乾燥される。乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、結着材を架橋反応させて活物質層を得ることもできる。
更に、得られた電極活物質層をプレス加工することにより、電極活物質層の密度、集電体に対する密着性、均質性を向上させることができる。
プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行う。本発明においてプレス温度は、活物質層の塗工膜を乾燥させる温度よりも低い温度とする限り、室温で行っても良いし又は加温して行っても良いが、通常は室温(室温の目安としては15〜35℃である。)で行う。
ロールプレスは、ロングシート状の負極板を連続的にプレス加工できるので好ましい。ロールプレスを行う場合には定位プレス、定圧プレスいずれを行っても良い。プレスのライン速度は通常、5〜50m/min.とする。ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を0.5kgf/cm〜1tf/cmとする。
また、シートプレスを行う場合には通常、4903〜73550N/cm(500〜7500kgf/cm)、好ましくは29420〜49033N/cm(3000〜5000kgf/cm)の範囲に圧力を調節する。プレス圧力が小さすぎると活物質層の均質性が得られにくく、プレス圧力が大きすぎると集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
電極活物質層の塗工量は通常、20〜250g/m2とし、その厚さは、乾燥、プレス後に通常10〜200μm、好ましくは50〜170μmの範囲にする。負極活物質層の密度は、塗工後は1.0g/cc程度であるが、プレス後は1.5g/cc以上(通常は1.5〜1.75g/cc程度)まで増大する。従って、プレス加工を支障なく行って体積エネルギー密度を向上させることにより、電池の高容量化を図ることが出来る。
このようにして得られる電極板の活物質層は、少なくとも正極又は負極活物質及び結着材を含有し、さらに必要に応じて導電剤やその他の成分を含有してなるものであり、乾燥後の活物質層に含有される各成分の配合割合は、活物質層用塗工組成物の固形分基準での配合割合と同じである。
以上のようにして本発明に係る非水電解液二次電池用電極板が得られ、この電極板を用いて非水電解液二次電池を作製することができる。
本発明に係る電極板を用いて二次電池を作製する際には、電極活物質層用塗工組成物の非塗布部に適宜リード線を取り付けることが好ましい。例えば、図3に示すように、リード線7をタブ付けすることができる。電極板にリード線を取り付けることにより集電抵抗が少なくなり、高出力且つ充放電時の発熱を抑えられた電池を得ることが可能になる。リード線は公知のリード線でよく、例えば集電体に溶接すること等により固定することができる。
次に、本発明に係る非水電解液二次電池は、上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板を備えることを特徴とする。この二次電池は、内部に装填された電極板が、変形することなく捲回の周回ごとに重なるようにリード線をとることが可能なので、複数のリード線をまとめて正極又は負極の端子につなぐことが可能となり、高出力且つ充放電時の発熱を抑えることが可能な捲回型電池とすることができる。
本発明に係る非水電解液二次電池は、負極板と正極板とセパレータと電解液を外装容器へ封入したものであり、少なくとも正極板又は負極板の一方、好ましくは正極板及び負極板の両方に上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板を用いたものである。
通常、正極板及び負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して渦巻状に捲き回し、外装容器に挿入する。挿入後、正極板に取り付けられたリード線を外装容器に設けた正極端子に接続し、一方、負極板に取り付けられたリード線を外装容器に設けた負極端子に接続し、外装容器に非水電解液を充填し、密封することによって、本発明に係る電極板を備えた非水電解液二次電池が完成する。
本発明に係る非水電解液二次電池は、高出力でありながら、抵抗を低くし、充放電時の発熱を抑えることが可能なように、上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板の非塗布部にリード線が取り付けられた電極板を備え、該リード線が同位置に重なるように当該電極板が捲回されていることが好ましい。図4には、本発明に係る非水電解液二次電池に用いられる、非塗布部にリード線7が取り付けられた上記本発明に係る非水電解液二次電池用電極板1が、当該リード線7が同位置に重なるように捲回されて、テープ8で固定されている一例の概略図を示す。なお、リード線は電極板を捲回する1回ごとに同位置に重ならなくてもよく、電極板を捲回する複数回ごとにリード線が同位置に重なるようにしても良い。
リチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiOSOCF、LiOSO、LiOSO、LiOSO、LiOSO11、LiOSO13、LiOSO15等の有機リチウム塩等が用いられる。
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
(実施例1)
正極用活物質としてLiCoO粉末を90重量部と、正極用導電剤としてアセチレンブラックを5重量部と、正極用結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量部と、固形分が組成物中60重量%になるように溶剤としてN−メチル−ピロリドンを用いて、これらをプラネタリーミキサーで混合することにより、正極活物質層用塗工組成物の調製を行った。集電体として厚さ15μmのアルミ箔に、捲回時に1周ごとに非塗布部が重なるように、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、正極活物質層用塗工組成物を塗工した。一面あたりの塗工量は約250g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、非塗布部は9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが180mmで、塗布部は各ピッチごとに20mmずつ長手方向に長くなるように9回塗布した。また、各電池1セル分の間は、非塗布部を30mm、塗布部を100mm設けた。
また、負極用活物質として人造黒鉛を97重量部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1重量部と、負極用結着材としてスチレン−ブタジエンゴムを2重量部と、固形分が組成物中48重量%になるように溶剤としてイオン交換水を用いて、これらをプラネタリーミキサーで混合することにより、負極活物質層用塗工組成物の調製を行った。集電体として厚さ10μmの銅箔に、捲回時に1周ごとに非塗布部が重なるように、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、負極活物質層用塗工組成物を塗工した。一面あたりの塗工量は約110g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、非塗布部は9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが190mmで、塗布部は各ピッチごとに23mmずつ長手方向に長くなるように9回塗布した。また、各電池1セル分の間は、非塗布部を30mm、塗布部を100mm設けた。
塗工乾燥後、ロールプレス機にて、正極は塗工部が3.45g/cc、負極は塗工部が1.45g/ccになるように圧延加工を行った。
その後、正極は120mm幅、負極は125mm幅になるようにスリットを行い、各電極板を作製した。
(実施例2)
正極活物質層用塗工組成物は、実施例1と同様に行った。集電体として厚さ15μmのアルミ箔に、捲回時に3周ごとに5回非塗布部が重なった後、2周ごとに4回非塗布部が重なるように、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、正極活物質層用塗工組成物を塗工した。一面あたりの塗工量は約250g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、1〜5ピッチめまでは非塗布部を9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが200mmで、塗布部は各ピッチごとに45mmずつ長手方向に長くなるように5回塗布し、更に、1〜5ピッチめまでは非塗布部を9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが315mmで、塗布部は各ピッチごとに32mmずつ長手方向に長くなるように4回塗布した。また、各電池1セル分の間は、非塗布部を30mm、塗布部を100mm設けた。
負極活物質層用塗工組成物は、実施例1と同様に行った。集電体として厚さ10μmの銅箔に、捲回時に3周ごとに5回非塗布部が重なった後、2周ごとに4回非塗布部が重なるように、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、負極活物質層用塗工組成物を塗工した。一面あたりの塗工量は約110g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、1〜5ピッチめまでは非塗布部を9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが210mmで、塗布部は各ピッチごとに48mmずつ長手方向に長くなるように5回塗布し、更に、1〜5ピッチめまでは非塗布部を9mmに固定し、最初に塗布した塗布部の集電体の長手方向の長さが320mmで、塗布部は各ピッチごとに35mmずつ長手方向に長くなるように4回塗布した。また、各電池1セル分の間は、非塗布部を 30mm、塗布部を100mm設けた。
塗工乾燥後、ロールプレス機にて、正極は塗工部が3.45g/cc、負極は塗工部が1.45g/ccになるように圧延加工を行った。
その後、正極は120mm幅、負極は125mm幅になるようにスリットを行い、各電極板を作製した。
得られた正極板と負極板の各非塗布部にリード線をタブ付けした。当該正極板と負極板を外装容器に挿入できるように、セパレータを介して、捲回時に3周ごとに5回非塗布部が重なった後、2周ごとに4回非塗布部が重なるように捲き回した。捲き回した電極板を外装容器に挿入し、電解液として1M LiPF6のエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート(1/1)溶液を注入した。
本発明に係る電極板の活物質層の配置の一例を模式的に示した図である。 本発明に係る電極板の活物質層の配置の他の一例を模式的に示した図である。 本発明に係る電極板の活物質層の配置の他の一例を模式的に示した図である。 本発明に係る電極板にリード線が取り付けられた場合の一例を模式的に示した図である。 本発明に係る電極板にリード線が取り付けられて捲回した一例を示した概略図である。
符号の説明
1…非水電解液二次電池用電極板
2…集電体
3…電極活物質層
4…電極活物質層非塗布部
5(1)、5(2)、・・5(n)…各電極活物質層のピッチ
6…各電極活物質層の集電体の長手方向の一辺の長さの起点又は終点
7…リード線
8…テープ
9…電池1セル分
10(1)、10(2)、・・10(n)…電池1セル分で2以上に分けられた領域

Claims (10)

  1. 集電体と該集電体の少なくとも一面へ所定パターン状に設けられた電極活物質層を備えた非水電解液二次電池用電極板において、該パターン形状は少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されてなり、集電体の長手方向の各電極活物質層のピッチが異なることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板。
  2. 前記各電極活物質層のピッチが、電池1セル分全体で、又は電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の少なくとも1つの領域で、集電体の長手方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解液二次電池用電極板。
  3. 前記各電極活物質層のピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さは、ピッチの長さが長い程それよりも短いピッチに含まれる電極活物質層の集電体の長手方向の長さと同じか又はそれよりも長いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池用電極板。
  4. 前記各電極活物質層のピッチが、電極板を捲回する時に電極活物質層非塗布部が同位置に重なるように設定されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板。
  5. 集電体へ電極活物質層用塗工組成物を塗布する塗布部と塗布しない非塗布部とを、当該各塗布部のピッチが異なるように、集電体の塗布流れ方向へ設けることにより、所定パターン状に電極活物質層を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  6. 前記各塗布部のピッチが、電池1セル分全体で、又は電池1セル分の中で2以上に分けられた領域の少なくとも1つの領域で、集電体の塗布流れ方向に向かって次第に大きくなるか又は次第に小さくなることを特徴とする、請求項5に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  7. 前記各塗布部のピッチに含まれる電極活物質層の集電体の塗布流れ方向の長さが、ピッチの長さが長い程それよりも短いピッチに含まれる電極活物質層の集電体の塗布流れ方向の長さと同じか又はそれよりも長いことを特徴とする、請求項5又は6に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  8. 前記各塗布部のピッチを、電極板を捲回する時に前記非塗布部が同位置に重なるように設定することを特徴とする、請求項5乃至7のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  9. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板を備える、非水電解液二次電池。
  10. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の非塗布部にリード線が取り付けられた電極板を備え、該リード線が同位置に重なるように当該電極板が捲回されている、請求項9に記載の非水電解液二次電池。
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