JP2006022205A - 難燃性の向上した接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、難燃性に優れた接着フィルムを提供することにある。
【解決手段】 絶縁性フィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けてなることを特徴とする、接着フィルムによって上記課題を解決しうる。絶縁性フィルムは、ポリイミドフィルムであることが、難燃剤はハロゲン化合物、リン化合物が好適に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】 絶縁性フィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けてなることを特徴とする、接着フィルムによって上記課題を解決しうる。絶縁性フィルムは、ポリイミドフィルムであることが、難燃剤はハロゲン化合物、リン化合物が好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、絶縁性フィルムをコアフィルムとし、これに熱可塑性ポリイミドと難燃剤を含有する接着層を設けた、難燃性に優れた接着フィルムに関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブルプリント配線板(FPCとも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブルプリント配線板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせて得られる積層板(以下、フレキシブル金属張積層板ともいう)から、金属箔層をエッチングして回路形成する方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
一方、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)についても検討が行われている(特許文献1)。二層FPCは接着層にもポリイミドを使用することにより、電気信頼性、耐熱性、屈曲性等の面で三層FPCよりも優れる。しかし、低温加工性を向上させるために熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度を低くしたり、接着フィルムの厚み構成を薄くした場合では、難燃性が低下してしまうという問題があった。
特開平02−180682
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、難燃性に優れた接着フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、接着層に熱可塑性ポリイミドだけでなく難燃剤を含有させることにより、得られる接着フィルムの難燃性を向上できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けてなることを特徴とする、接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、絶縁性フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
更に好ましい実施態様は、難燃剤がハロゲン化合物、リン化合物のいずれかであることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
本発明の接着フィルムは、難燃性に優れており、低温接着性を発現させるために接着層のガラス転移温度を低くした場合や、接着フィルムの厚み構成が薄い場合においても、十分な難燃性を有する接着フィルムを提供することが可能である。
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
本発明にかかる接着フィルムは、絶縁性フィルム上に、接着層を設けることにより得られる。絶縁性フィルムとしては、電子・電気機器用途(部品も含む)に使用することを考慮に入れると、耐熱性、電気信頼性、絶縁性に優れたポリイミドフィルムを用いることが好ましい。
本発明に用いられるポリイミドフィルムとしては、従来公知の方法を用いて作製することが可能である。また、市販されているポリイミドフィルムを使用しても良い。現在市販されているポリイミドフィルムとしては、例えば、アピカル(鐘淵化学工業社製)、カプトン(デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)が挙げられる。
本発明に用いられるポリイミドフィルムの製造方法の例を説明する。ポリイミドフィルムはポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて反応させ、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
本発明に用いられるポリイミドフィルムの製造方法の例を説明する。ポリイミドフィルムはポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて反応させ、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
ここで、本発明にかかるポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いうる適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
本発明において用いうる適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
これら酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。(ここまで)
本発明にかかる接着フィルムは、絶縁性フィルムに熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けることにより得られる。
本発明にかかる接着フィルムは、絶縁性フィルムに熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けることにより得られる。
接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。
なお、本発明における熱可塑性ポリイミドとは、ガラス転移温度を有し、かつ、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こすものをいう。
なお、本発明における熱可塑性ポリイミドとは、ガラス転移温度を有し、かつ、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こすものをいう。
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸については、特に限定されるわけではなく、あらゆるポリアミド酸を用いることができる。
難燃剤としては、ハロゲン化合物、リン化合物が好ましく用いられ得る。ハロゲン化合物としては、例えば、ニューフロンティアBR−30、BR−30M、BR−31、BR−42M(第一工業製薬製)などの臭素系モノマー、ピロガードSR−245(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族トリアジン、ピロガードSR−250、SR−400A(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族ポリマー、ピロガードSR−990A(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族化合物、などが挙げられる。
リン化合物としては、例えば、ジフェノキシホスファゼン、フェノキシイソプロポキシホスファゼン、アミドホスファゼン、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、亜リン酸エステルなどが挙げられる。
また、ハロゲン原子を有するリン系化合物を用いても良く、このような化合物としては、CLP(トリス(2−クロロエチル)ホスフェート)、TMCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、CRP(トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート)、CR−900(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)などが挙げられる。
これら難燃剤は、一種類を用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。難燃剤の割合としては、熱可塑性ポリイミド100重量部に対して、0.1〜20.0重両部の範囲内で用いることが好ましい。上記範囲を下回ると、難燃性が十分に発現されない場合がある。逆に上記範囲を上回ると、加熱時の接着層流動性に影響を及ぼし、接着性等に問題が生じる場合がある。
本発明にかかる接着フィルムの製造方法としては、絶縁性フィルムに接着層を形成する方法、又は接着層を別途シート状に成形し、これを上記絶縁性フィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、絶縁性フィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これを絶縁性フィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができるが、ケミカルキュア法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱キュア法によりイミド化する方がより好ましい。
一方、熱可塑性ポリイミドが有機溶媒に対して良好な溶解性を示す場合は、ポリアミド酸を完全にイミド化してポリイミドを得た後、これを適当な有機溶媒に溶解させた溶液を上記絶縁性フィルムに塗工しても良い。
接着層への難燃剤の導入方法としては、あらかじめ熱可塑性ポリイミドの前駆体含有溶液または熱可塑性ポリイミド含有溶液中に難燃剤を分散させておき、これを用いて接着層を形成させる方法が、接着層中に均一に難燃剤が添加されるので好ましい。また、分散性を向上させるため、あらかじめ難燃剤を適当な有機溶媒に分散させた溶液を調製しておき、この分散溶液を熱可塑性ポリイミド前駆体溶液または熱可塑性ポリイミド含有溶液に混合する方法をとった方が好ましい。
また、前記ポリアミド酸溶液には、難燃剤以外にも、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。
また、接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。更に、必要に応じて、接着層を設ける前または設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
本発明にかかる接着フィルムは難燃性に優れるため、電子機器用途に好適に用いることが可能である。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
また、前記ポリアミド酸溶液には、難燃剤以外にも、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。
また、接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。更に、必要に応じて、接着層を設ける前または設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
本発明にかかる接着フィルムは難燃性に優れるため、電子機器用途に好適に用いることが可能である。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を103.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を28.6g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を65.4g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.1gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を103.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を28.6g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を65.4g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.1gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例1)
ブロモ系難燃剤(第一工業製薬株式会社製BR−42M(臭素化ジメタクレート))を固形分濃度10%となるようにDMFに添加し、分散させた。この分散溶液を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対してブロモ系難燃剤が5重量部となるように合成例1のポリアミド酸溶液に添加し、分散させた。
ブロモ系難燃剤(第一工業製薬株式会社製BR−42M(臭素化ジメタクレート))を固形分濃度10%となるようにDMFに添加し、分散させた。この分散溶液を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対してブロモ系難燃剤が5重量部となるように合成例1のポリアミド酸溶液に添加し、分散させた。
上記ポリアミド酸溶液を、ポリイミドフィルム(アピカル10HPP、鐘淵化学工業社製、厚み10μm)の両面に、最終厚みが2μmとなるように、それぞれ塗布し、140℃で1分間乾燥させた。続いて、330℃で20秒乾燥を行い、両面接着フィルムを得た。
一方、上記ポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。得られた熱可塑性ポリイミドフィルムのTgを動的粘弾性測定により確認したところ、190℃であった。また、熱機械分析測定において、永久圧縮変形を起こした。
(実施例2)
ブロモ系難燃剤の割合を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対して10重量部に変更した以外は、実施例1と同等の両面接着フィルムを作製した。
ブロモ系難燃剤の割合を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対して10重量部に変更した以外は、実施例1と同等の両面接着フィルムを作製した。
(実施例3)
ブロモ系難燃剤の割合を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対して20重量部に変更した以外は、実施例1と同等の両面接着フィルムを作製した。
ブロモ系難燃剤の割合を、熱可塑性ポリイミド100重量部に対して20重量部に変更した以外は、実施例1と同等の両面接着フィルムを作製した。
これら実施例の接着フィルムの燃焼試験を、UL94のVTM−0に従って行った。その結果、いずれの接着フィルムにおいても、燃焼試験をクリアした。
(比較例1)
ブロモ系難燃剤(第一工業製薬株式会社製BR−42M(臭素化ジメタクレート))を固形分濃度10%となるようにDMFに添加し、分散させた。一方、エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ社製)を固形分濃度50%となるようにDMFに溶解させた。エポキシ樹脂100重量部に対してブロモ系難燃剤が5重量部となるように上記溶液を混合し、難燃剤分散エポキシ樹脂溶液を得た。
ブロモ系難燃剤(第一工業製薬株式会社製BR−42M(臭素化ジメタクレート))を固形分濃度10%となるようにDMFに添加し、分散させた。一方、エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ社製)を固形分濃度50%となるようにDMFに溶解させた。エポキシ樹脂100重量部に対してブロモ系難燃剤が5重量部となるように上記溶液を混合し、難燃剤分散エポキシ樹脂溶液を得た。
上記難燃剤分散エポキシ樹脂溶液を、ポリイミドフィルム(アピカル10HPP、鐘淵化学工業社製、厚み10μm)の両面に、最終厚みが2μmとなるように、それぞれ塗布し、140℃で1分間乾燥させた。続いて、180℃で1分間乾燥を行い、両面接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムのUL94のVTM−0に従って行った。その結果、燃焼試験はクリアできなかった。
Claims (3)
- 絶縁性フィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドならびに難燃剤を含有する接着層を設けてなることを特徴とする、接着フィルム。
- 絶縁性フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1記載の接着フィルム。
- 難燃剤がハロゲン化合物、リン化合物のいずれかであることを特徴とする、請求項1または2記載の接着フィルム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-07-08 JP JP2004201445A patent/JP2006022205A/ja active Pending
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