JP2006021471A - マイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料 - Google Patents

マイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 粒径が小さく且つ粒径分布が狭く安定性に優れるマイクロカプセル、特に感熱記録材料に好適に用いるマイクロカプセルを、工業的に実施可能な程度の製造効率で製造する方法、及び該マイクロカプセルを含む感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】 少なくともマイクロカプセルに内包させる芯物質とカプセル壁材とを含む油相液を水相媒体中に乳化分散させる工程を有し、カプセル壁が界面重合法により作成されるマイクロカプセルの製造方法であって、該乳化分散が、超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行われることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法、及び該製造方法により製造されたマイクロカプセル、及び該マイクロカプセルを含む感熱記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規なマイクロカプセルの製造方法、該製法で得られるマイクロカプセル、及び該マイクロカプセルを含有する感熱記録材料に関する。
マイクロカプセルの製造方法については、種々の方法が公知である。例えば、マイクロカプセル化すべき材料とマイクロカプセル壁材とを有機溶媒に溶解させ、これを水溶性高分子を溶解させた水系媒体中に投入して、高速撹拌手段、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー、インラインミキサー等を用いて、微粒子状に乳化して安定した乳化分散液を調製し、その後、マイクロカプセル壁材からマイクロカプセル壁を形成する方法が良く知られている。この様なマイクロカプセル壁材としては、ポリオール及び/又はポリアミンとポリイソシアネートを組み合わせた、ポリウレタン及び/又はポリウレアがよく知られている。
この様なマイクロカプセルを利用する記録材料として、感熱記録材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、カプラー化合物及び塩基物質を乳化するため、有機溶媒中にこれらの化合物を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪拌中に添加する。
マイクロカプセルを製造する工程において、上記のごとき高速撹拌機(ディゾルバー)、ホモジナイザー、インラインミキサーなどの乳化手段は、乳化に必要な剪断力の働く領域が、乳化翼の極く近傍に限られているため、剪断力が乳化翼の遠近で不均一になり、分散された液滴の粒子径分布が広くなる問題があった。
感熱記録材料は、マイクロカプセルの粒径分布が狭いことが、感熱度特性及び地肌カブリの両立を図る目的から望まれるが、マイクロカプセルの粒径分布は、マイクロカプセルの製造工程における乳化分散液中の液滴の粒径分布に依存するので、液滴の粒径分布の狭い乳化方法を用いることが肝要となる。
上記の様な乳化手段を用いることにより生ずる粒径分布の問題を解決する乳化方法として、所謂、シリンドリカルミルを用いる乳化方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この乳化方法は、固定した外側円筒の中で内側円筒を回転させて、内側円筒と外側円筒との間隙に分散媒と分散液との混合液を通して乳濁液を得る乳化方法であり、上記混合液を外側円筒の一端部の側面より円周に沿って接線方向から供給し、混合液が内外円筒間の間隙を回転しつつ移動する間、内側円筒の長さに亙って均一な剪断力を働かせる様にして充分に乳化させる方法である。この乳化方法によると、極めて狭い粒径分布を有する乳化液が得られるが、この方法で得られる液滴粒径の大きさは、上記内側円筒と外側円筒との間隙の大きさに依存するので、ある限度以下の粒径の乳化粒子を得るのが難しく、この方法で得られる液滴の粒径は、通常、10μm程度が限度で、数μm以下の粒径の液滴を得ることは出来ない。
更に、ホモジナイザーを用いて乳化分散し平均粒子径が1μm程度のジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセル液を調製したこと(例えば、特許文献1参照)や、マイクロフルイダイザーの如き超高圧乳化機を用いて混合するマイクロカプセルの作成方法(例えば、特許文献3参照)が開示されているが、感熱記録材料に用いるマイクロカプセルとしては、平均粒径や粒径分布の制御及びマイクロカプセル含有液の生産性や安定性の面で未だ不十分な水準にある。
感熱記録材料に用いるマイクロカプセルは、前記の如く、粒径分布が狭いことだけでなく、粒径そのものの大きさも、一般的に数μm以下、より好ましくは1μm以下の粒径を有することが、熱発色特性、取り分け好ましい発色階調を制御する点から必要であるので、上記の従来からの乳化分散方法では達成し難く、1μm以下の粒径を有するマイクロカプセルであって、且つ粒径分布が狭い乳化方法の開発が強く要望されている。
特開平6−297856号公報 特許第2630501号公報 特開平7−303829号公報
本発明は上記の様な認識の下に為されたものであり、本発明の目的は、粒子径が小さく且つシャープな粒径分布を有するマイクロカプセルを製造できる新規な方法を提示し、特に感熱記録材料に好適に用いられるマイクロカプセルを、工業的に実施可能な水準の製造効率で製造する方法、及び該方法で作製されるマイクロカプセルを含む感熱記録材料を提供することにある。
上記の課題は、以下のマイクロカプセルの製造方法及び感熱記録材料を提供することにより解決される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくともマイクロカプセルに内包させる芯物質とカプセル壁材とを含む油相液を水相媒体中に乳化分散させる工程を有し、カプセル壁が界面重合法により作成されるマイクロカプセルの製造方法であって、該乳化分散が、超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行われることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法である。
<2> 前記流体の圧力が10〜300MPaであることを特徴とする<1>に記載のマイクロカプセルの製造方法である。
<3> 前記流体の流速が100〜400m/sであることを特徴とする<1>又は<2>に記載のマイクロカプセルの製造方法である。
<4> 前記油相液と前記水相媒体との質量混合比率が、0.1/1〜2/1であることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルの製造方法である。
<5> 前記水相媒体が、界面活性剤を含む水溶液であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルの製造方法である。
<6> <1>乃至<5>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルの製造方法により製造されたことを特徴とするマイクロカプセルである。
<7> 前記マイクロカプセルの平均粒径が0.2〜1.0μmであり、且つそのスパン値(Span Value)が1.5以下であることを特徴とする<6>に記載のマイクロカプセルである。
<8> カプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアであることを特徴とする<6>又は<7>に記載のマイクロカプセルである。
<9> 前記マイクロカプセルが、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする<6>乃至<8>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルである。
<10> 支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該感熱記録層が<6>乃至<9>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルと顕色剤とを含有することを特徴とする感熱記録材料である。
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、その乳化分散工程において、上記の如く超高圧超高速流体の衝突せん断分散を利用するので、粒径が小さく且つ粒径分布が狭いマイクロカプセルを製造することができる。また、乳化分散工程に用いる水相液を低粘度にすることができるので、乳化分散装置内の流量を大きくすることができ、乳化分散液の調製を高能率化することができる。
また、上記マイクロカプセルを用いた本発明の感熱記録材料は、マイクロカプセルの粒径が小さく且つ粒径分布が狭いため、発色濃度が高く且つ地肌カブリの少ない高品質の感熱記録材料である。
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、少なくともマイクロカプセルに内包させる芯物質とカプセル壁材とを含む油相液を水相媒体中に乳化分散させる工程を有し、カプセル壁が界面重合法により作成されるマイクロカプセルの製造方法であって、該乳化分散が、超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行われることを特徴とする。
本発明は、マイクロカプセルの製造方法において、芯物質やカプセル壁材を含む油相液を水相媒体中に投入して乳化分散させる工程が、上記の如く超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行われるので、粒径が小さく且つ粒径分布が狭いマイクロカプセルを効率的に安定して製造することができる。また、該乳化分散工程に用いる水相媒体としては、水もしくは界面活性剤を含む比較的低粘度の水溶液とすることができるので、乳化分散装置内の流量を大きくすることができ、乳化分散物の調製を高能率化することができる。
(本発明の乳化分散工程)
本発明において用いられる超高圧超高速流体の衝突せん断分散による乳化分散工程は、油滴を含む流体同士を超高圧で超高速にて衝突ないしせん断させることを繰り返すことにより、芯物質を含む油滴を水系媒体中に微小に均一に乳化分散させるものである。この際、(1)分散質が狭間隙(数十μm〜数百μm程度)を高圧且つ高速で通過する際に生じる「せん断力」、(2)高圧化の狭い空間での流体−流体同士の衝突、或いは流体−壁面の衝突により生じる「衝撃力」、及び(3)その後の圧力急降下による「キャビテーション力」、等が作用して均一で効率の良い分散が行われると考えられている。
この種の乳化分散装置としては、例えば図1に示す様に、基本的に超高圧発生部1(例えば、プランジャーポンプなど)、試料投入部2、及び衝突せん断分散部3の3ユニットから構成される。
具体的には、芯物質やカプセル壁材を含む油相液及び界面活性剤や水溶性高分子等を含む水相媒体は、試料投入部2に投入され、超高圧発生部1において超高圧を付加されて超高速にて噴出し、衝突せん断分散部3において超高圧超高速の流体同士の衝突せん断により、微小に均一に乳化分散される。
ここで、衝突せん断分散部3は、所望とする粒径や粒径分布に応じて、複数のユニットを設けたり、或いは、数回に亙り超高圧超高速の流体を循環させてもよい。
図2(a)は、衝突せん断分散部3の拡大断面図である。衝突せん断分散部3においては、図2に示す様に、超高圧超高速の流体の流れ方向を急激に変更したり、或いは超高圧超高速の流体の流れ口径を急激に変化させて、超高圧超高速の流体同士を激しく衝突ないしせん断させることにより、目的とする微小粒径及び粒径分布にまで乳化分散させるものである。また、衝突せん断分散部3は、図2(b)に示す形態であってもよい。
本発明の上記超高圧超高速流体の衝突せん断分散による乳化分散は、超硬セラミックスの様な粉砕媒体を用いないメディアレス分散方式であるので、不純成分の混入或いは着色等のコンタミの惧れが無いクリーンな乳化分散方法である。
この様な超高圧超高速流体の衝突せん断分散により乳化分散させる装置としては、ナノマイザー社或いは吉田機械興業(株)や特殊機化興業(株)の製品である商品名「ナノマイザー」を好適に利用することができる。
本発明の超高圧超高速流体の衝突せん断分散の工程において、流体の圧力としては、効率的に微細に乳化分散させるために、10〜300MPaであることが好ましく、また流体の流速としては、100〜400m/sであることが好ましい。更に、液体の圧力としては、50〜300MPaであることがより好ましく、また液体の流速としては、200〜400m/sであることがより好ましい。
本発明の乳化分散工程においては、効率的に微細に且つ均一に乳化分散させるために、芯物質等を含む油相液と水相媒体との質量混合比率は、0.1/1〜2/1であることが好ましく、該混合比率は0.2/1〜1.8/1であることがより好ましい。油相液の混合比率が0.1/1未満であると、得られるマイクロカプセルの収率が低く経済性を損なうことがあり、また該混合比率が2/1を越えると、微小な粒径のマイクロカプセルが得られないことがある。
また本発明の乳化分散工程においては、微細に且つ均一に乳化分散させるために、水相媒体として界面活性剤を含む水溶液を用いるのが好ましい。この様に界面活性剤を含む比較的粘度の低い水相媒体とすることにより、乳化分散装置内の流量を大きくすることができ、乳化分散物の調製を高能率化することができる。
(マイクロカプセルの製造)
次に、本発明のマイクロカプセルの製造方法について詳述する。
本発明のマイクロカプセルの製造方法では、電子供与性染料前駆体又はジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル化する。カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体又はジアゾニウム塩化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、上述の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のカプセル壁を形成させる界面重合法を採用している。
上記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アミノアルデヒド、ゼラチン、ポリビニルアルコール、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン及び/又はポリウレアであることが特に好ましい。
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
前記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
また、前記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体、又はジアゾニウム塩化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレングリコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体、又はジアゾニウム塩化合物の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
電子供与性染料前駆体、又はジアゾニウム塩化合物を感熱記録材料の感熱記録層に含有する場合、該電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。また、ジアゾニウム塩化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
電子供与性染料前駆体の含有量が上記範囲にあると、充分な発色濃度が得られ、また、両者の含有量が5.0g/m2以内であると、充分発色濃度が保持され、且つ感熱記録層の透明性を保持することができる。
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを用いて、前述の超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行なわれる。乳化後は、カプセル壁形成の界面重合反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
この様にして得られた本発明のマイクロカプセルは、後述する感熱記録材料において、発色成分としてのジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルとして好適に使用されるが、この場合、発色感度や地肌カブリの観点より、マイクロカプセルの平均粒径が0.2〜1.0μmであり、且つそのスパン値(Span Value)が1.5以下であることが好ましい。上記マイクロカプセルの平均粒径は0.2〜0.8μmがより好ましく、上記スパン値は1.4以下がより好ましい。
本明細書においては、「体積平均粒径」という用語は、K.Gotoh等「パワーテクノロジーハンドブック」(Power Technology Handbook、第2版、Marcell Dekker Publications、1997年)の3〜13頁に定義されているものを指す。
本発明における上記体積平均粒径及びその粒径分布は、例えば、市販されているCoulter LS粒径測定装置(Coulter Electronics Co.,Ltd.、米国フロリダー州セントピッツバーグ所在)、及び堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LB−500」等を使用して容易に測定できる。
また、本明細書においては、上記体積平均粒径の分布を規定する指数としてのスパン値(Span Value)を、下記の様に定義して使用する。該体積平均粒径の分布において、体積を基準にして、10%に該当する粒径をd10、90%に該当する粒径をd90、また平均値に該当する50%分布の粒径をd50と定義した時、上記3つの値を用いて求めたスパン値は、下記の様に示すことができる。
スパン値=(d90−d10)/d50
この様にスパン値は、上記の定義からも分かる様に、その値が小さい程、粒径分布が狭まく、その値が大きい程、粒径分布が広いことを示している。
(感熱記録材料)
次いで、上述の如きマイクロカプセルの製造方法を用いて得られたマイクロカプセルを用いた感熱記録材料について説明する。
感熱記録材料の感熱記録層は、発色成分としてジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含む。また、感熱記録層は、上記のマイクロカプセルと、マイクロカプセルに含まれる上記発色成分に応じて顕色剤であるカプラー化合物又は電子受容性化合物を含む。顕色剤は、乳化分散又は固体分散して微粒子化する。感熱記録層は、後述のようにして調製するマイクロカプセル液と顕色剤の分散液を混合したものを支持体に塗布することにより形成される。
本発明の感熱記録材料は、マイクロカプセル製造の乳化分散工程において、本発明に係わる超高圧超高速流体の衝突せん断分散による乳化分散物を用いるため、発色濃度が高く且つ長期保存における地肌カブリが少ない。
ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を含むマイクロカプセルの製造は、まず、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体及びマイクロカプセル壁材料を含む油相液と、水相液を用意し、これらを超高圧超高速流体の衝突せん断分散により乳化分散させる。
次いで、得られた乳化分散液を用いてマイクロカプセル化し、マイクロカプセルを得る。この際、乳化分散液に、界面活性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液を加え、その後マイクロカプセル化することが好ましい。
上記油相液の調製は、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体、マイクロカプセル壁材料、及びこれらに更に必要に応じて各種添加剤を、水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解させることにより行われる。また、水相液は、水のみ、あるいは水に各種界面活性剤を溶解させたものが用いられる。
前記ジアゾニウム塩化合物とは下記式により表される化合物であり、加熱によりカプラー化合物とカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
Ar−N2 +-
〔上式中、Arは芳香族部分を示し、X-は酸アニオンを示す。〕
上記塩を形成するジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明においてジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するカプラー化合物としては、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラー化合物はすべてカプラー化合物として使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等がある。
更に、カプラー化合物の詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平9−156229号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−319025号、特開平10−035113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている。
また、本発明のマイクロカプセルに内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などが挙げられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
また、感熱記録材料の感熱記録層に含ませる前記カプラー化合物あるいは電子受容性化合物は乳化分散あるいは固体分散して微粒子化するが固体分散して用いることが好ましい。
本発明の感熱記録材料は、前記のようにして調製したマイクロカプセル分散液とカプラー化合物あるいは電子受容性化合物の分散液を混合し、これを支持体に塗布して感熱記録層を形成することにより作製することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、本実施例中の「部」及び「%」は全て、「質量部」及び「質量%」を表す。
[実施例1]
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン(ニッピコラーゲン(株)製の商品名「MGPゼラチン」)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)0.9143部、及びイオン交換水367.1部を混合し、温度40℃において溶解して、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
(アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、及びイオン交換水143.6部を混合し、温度50℃において溶解して、乳化物作成用のアルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
(イエロー記録層用塗布液の調製)
(1)ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製
酢酸エチル17.2部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部、及びフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製の商品名「ルシリンTPO」)0.2部を添加し、温度40℃に加熱して均一に溶解した。この混合溶液にカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)8.6部を添加し、均一に攪拌して混合溶液(I)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液59.5部にイオン交換水20.3部、「Scraph AG−8」(日本精化(株)製、50%)0.2部添加して、混合溶液(II)を得た。
上記混合溶液(II)に前記混合溶液(I)を添加し、吉田機械興業(株)製の湿式微粒化装置「ナノマイザー」を用いて、衝突せん断部を氷冷しながら圧力60MPa、流速200m/sの条件で2回乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液に水20部を加えて均一化した後、温度40℃で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。次いで、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になる様に濃度を調節して、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
Figure 2006021471
(2)カプラー化合物乳化分散液(a)の調製
酢酸エチル33.0部に、下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールM」)20.8部、3,3,3′,3′−テトラメチル−5,5′,6,6′−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1′−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.2部を溶解して、混合溶液(III)を得た。
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合して、混合溶液(IV)を得た。
上記混合溶液(IV)に前記混合溶液(III)を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃において乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化分散物を減圧し加熱して酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になる様に濃度を調節した。
上記のカプラー化合物乳化分散物の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に、上記カプラー化合物乳化分散物100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%分散液)を26.5%に濃度を調整したもの9部を添加し均一に撹拌して、カプラー化合物乳化分散液(a)を得た。
Figure 2006021471
(3)感熱記録層用塗布液(a)の調製
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)及び上記カプラー化合物乳化分散液(a)を、カプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.2/1になる様に混合して、目的とする感熱記録層用塗布液(a)を得た。
(マゼンタ記録層用塗布液の調製)
(1)ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、「ライトエステルTMP」(共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.1部を添加し、温度40℃に加熱して均一に溶解した。この混合溶液にカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)6.8部を添加し、均一に攪拌して混合溶液(V)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部を添加し混合して、混合溶液(VI)を得た。
上記混合溶液(VI)に前記混合溶液(V)を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて,温度40℃において乳化分散した。得られた乳化分散液に水24部を加えて均一化した後、温度40℃で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部と「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。次いで、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になる様に濃度を調節して、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。
Figure 2006021471
(2)カプラー化合物乳化分散液(b)の調製
酢酸エチル36.9部に、下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールM」)14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3′,3′−テトラメチル−5,5′−6,6′−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1′−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.5部を溶解して、混合溶液(VII)を得た。
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合溶液(VIII)を得た。
上記混合溶液(VIII)に前記混合溶液(VII)を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃において乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化分散物を減圧しながら加熱して、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になる様に濃度を調節して、カプラー化合物乳化分散液(b)を得た。
Figure 2006021471
(3)感熱記録層用塗布液(b)の調製
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)及び上記カプラー化合物乳化分散液(b)を、カプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になる様に混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液を上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)10部に対して、0.2部になる様に混合して、目的とする感熱記録層用塗布液(b)を得た。
(シアン感熱記録層用塗布液の調整)
(1)電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンと1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(日本石油(株)製の商品名「ハイゾールSAS−310」)8.0部、及び下記化合物(I)(チバガイギー(株)の商品名「Irgaperm2140」)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。この混合溶液にカプセル壁材として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「ミリオネートMR−200」)5.3部を添加して、均一に攪拌し混合溶液(IX)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、「Scraph AG−8」(日本精化(株)製、濃度50%)0.17部及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加し混合して、混合溶液(X)を得た。
上記混合溶液(X)に前記混合溶液(IX)を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃において乳化分散した。得られた乳化分散液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、温度65℃に昇温して攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間かけてカプセル化反応を行ない、カプセル液の固形分濃度が33%になる様に濃度を調節して、マイクロカプセル液(c)を得た。
更に、上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(花王(株)製の商品名「ネオペレックスF−25」)3.7部と4,4′−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2′−ジスルフォン誘導体を含む螢光増白剤(日本曹達(株)製の商品名「Kaycall BXNL」)4.1部を添加し均一に撹拌して、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。
Figure 2006021471
(2)電子受容性化合物乳化分散液(c)の調製
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールP」)15部、2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム2%水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩かけて乳化分散した。この乳化分散液の固形分濃度は26.6%であった。
上記乳化分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、乳化分散液の固形分濃度が23.5%となる様にイオン交換水を加えて、電子受容性化合物乳化分散液(c)を得た。
(3)感熱記録層用塗布液(c)の調製
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び上記電子受容性化合物乳化分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になる様に混合して、目的とする感熱記録層用塗布液(c)を得た。
(中間層用塗布液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)100部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)2.875部、水酸化カルシウム0.5部、及びイオン交換水521.643部を混合し、温度50℃に昇温して溶解して、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
上記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J′)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、及びイオン交換水0.76部を混合して、目的の中間層用塗布液を得た。
Figure 2006021471
(光透過率調整層用塗布液の調製)
(1)紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2′−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリフェニル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(三井化学(株)製の商品名「MSD−100」)5.7部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.45部を添加して均一に溶解した。この混合溶液にカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)54.7部を添加し均一に攪拌して、紫外線吸収剤前駆体混合溶液を得た。
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の商品名「KL−318」)52部に、30%燐酸水溶液8.9部、及びイオン交換水532.6部を混合して、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用のPVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用のPVA水溶液516.06部に、前記紫外線吸収剤前駆体混合溶液を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度20℃において乳化分散した。得られた乳化分散液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、温度40℃に昇温して攪拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトMB−3」(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が13.5%になる様に濃度を調節した。
このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレン−ブタジエンラテックス(住友ノーガタック(株)製の商品名「SN−307」、48%分散液)2.416部、及びイオン交換水39.5部を添加し混合して、紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液を得た。
(2)光透過率調整層用塗布液の調製
上記紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液1000部に、下記化合物(K)(大日本インキ化学工業(株)の商品名「メガファックF−120」、5%水溶液)5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、及び(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合して、目的の光透過率調整層用塗布液を得た。
Figure 2006021471
(保護層用塗布液の調製)
(1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(電気化学工業(株)製の商品名「EP−130」)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(東邦化学工業(株)製の商品名「ネオスコアCM−57」、54%水溶液)8.74部、及びイオン交換水3832部を混合し、温度90℃において1時間溶解して、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
(2)保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製の商品名「BF−21F」、硫酸バリウム含有量93%以上)8部、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」、40%水溶液)0.2部、及びイオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。この分散液の粒径は、堀場製作所(株)の粒径分布測定装置「LA−910」で測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」、20%水分散液)8.1部を添加して、保護層用顔料分散液を得た。
(3)保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(新進食料工業(株)製の商品名「小麦澱粉S」)220部に、1−2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(I.C.I(株)製の商品名「PROXEL B.D」)3.81部、及びイオン交換水1976.19部を混合し均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
(4)保護層用塗布液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に、化合物(K)(大日本インキ化学工業(株)の商品名「メガファックF−120」、5%水溶液)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、上記保護層用顔料分散液49.87部、上記保護層用マット剤分散液16.65部、及びステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の商品名「ハイドリンF115」、20.5%水分散液)48.7部を均一に混合して、目的の保護層用塗布液を得た。
(下塗り層付支持体の作製)
(1)下塗り層用塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量10000、PAGI法粘度1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度20g)40部をイオン交換水60部に加えて、温度40℃で攪拌して溶解し、下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(コープケミカル社製の商品名「ソマシフME100」、アスペクト比1000)8部と水92部を混合した後、ビスコミルで湿式分散して、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となる様に水を加え均一に混合して、所望の雲母分散液を調製した。
次いで、温度40℃で濃度40%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌し混合した後、濃度5%の上記雲母分散液208部を加えて、十分に攪拌し混合した後、濃度1.66%のポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。その後、液温を35℃〜40℃に保持し、ゼラチン硬膜剤としてエポキシ化合物7.3部を加えて、下塗り層用塗布液(濃度5.7%)を調製した。
(下塗り層付支持体の作製)
LBPSの50部とLBPKの50部からなる木材パルプを、デイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、及びカチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
次に、原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレン樹脂を厚み36μmとなる様にコーテイングして、マット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次いで、上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%及び微量の群青を含有したポリエチレン樹脂を厚み50μmとなる様にコーテイングして、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の商品名「アルミナゾル100」)/二酸化珪素(日産化学工業(株)製の商品名「スノーテックスO」)=1/2(質量比)を水に分散させた液を、乾燥後の質量で0.2g/m2となる様に塗布した。次いで、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理をした後、上記の下塗り層液用塗布液を雲母の塗布量が0.28g/m2となる様に塗布して、下塗り層付支持体を得た。
(多色感熱記録材料の作製)
上記で得られた下塗り層付支持体の上に、下から順に、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に、7層を同時に連続して塗布し、温度30℃湿度30%RH、及び温度40℃湿度30%RHの条件でそれぞれ乾燥して、本発明の多色感熱記録材料(1)を得た。
上記塗布において、感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の固形塗布量が0.078g/m2となる様に、同様に感熱記録層用塗布液(b)は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(D)の固形塗布量が0.206g/m2となる様に、同様に感熱記録層用塗布液(c)は、液中に含まれる電子供与性染料前駆体(H)の固形塗布量が0.355g/m2となる様に各々塗布を行なった。
また、中間層用塗布液は、感熱記録層用塗布液(a)と感熱記録層用塗布液(b)との間は固形分塗布量が2.39g/m2となる様に、感熱記録層用塗布液(b)と感熱記録層用塗布液(c)との間は固形分塗布量が3.34g/m2となる様に、また光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.35g/m2となる様に、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.39g/m2となる様に各々塗布を行った。
[実施例2]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、混合溶液(II)の調製で用いたイオン交換水20.3部の代りに、イオン交換水140.3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の多色感熱記録材料(2)を得た。
[実施例3]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、前記フタル化ゼラチン水溶液59.5部とイオン交換水20.3部の代りに、フタル化ゼラチン(ニッピコラーゲン(株)製の商品名「MGPゼラチン」)4.76部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)0.91部、及びイオン交換水35.0部を混合して温度40℃にて溶解したフタル化ゼラチン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−3)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の多色感熱記録材料(3)を得た。
[実施例4]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、カプセル壁材として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)6.9部、及びキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量4000)の混合物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD116N」、50%酢酸エチル溶液)1.7部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−4)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の多色感熱記録材料(4)を得た。
[比較例1]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、混合溶液(II)に混合溶液(I)を添加して乳化分散させる際に、吉田機械興業(株)製の湿式微粒化装置「ナノマイザー」の代りに、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、回転数11000rpmで8分間かけて乳化分散したこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−5)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例の多色感熱記録材料(5)を得た。
[比較例2]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、混合溶液(II)に混合溶液(I)を添加して乳化分散させる際に、吉田機械興業(株)製の湿式微粒化装置「ナノマイザー」の代りに、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、回転数9000rpmで8分間かけて乳化分散したこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−6)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例の多色感熱記録材料(6)を得た。
[比較例3]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、混合溶液(II)に混合溶液(I)を添加して乳化分散させる際に、吉田機械興業(株)製の湿式微粒化装置「ナノマイザー」の代りに、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、回転数7500rpmで8分間かけて乳化分散したこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−7)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例の多色感熱記録材料(7)を得た。
[比較例4]
実施例1の(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)において、混合溶液(II)に混合溶液(I)を添加して乳化分散させる際に、吉田機械興業(株)製の湿式微粒化装置「ナノマイザー」の代りに、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、回転数6000rpmで8分間かけて乳化分散したこと以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−8)を調製した。
次いで、感熱記録層用塗布液(a)の調製において、上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−8)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例の多色感熱記録材料(8)を得た。
(評価試験)
上記で得られた各ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)、及び各多色感熱記録材料(実施例1〜4、比較例1〜4)について、下記の様にしてマイクロカプセルの平均粒径、粒径安定度、熱記録感度指数、地肌部濃度及び飽和濃度(Dmax)の評価試験を行い、その結果を下記の表1に示す。
(1)マイクロカプセル粒径、粒径安定度及びスパン値
実施例1〜4及び比較例1〜4の工程において、得られたジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)をサンプリングして、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」を用いて、超音波印加処理(処理時間2分)を行なった場合と行なわない場合の粒径を測定した。次いで、超音波処理を行った場合の平均粒径をA、行わない場合の平均粒径をBとし、下記の式により粒径安定度を算出して、その結果を表1に記した。この粒径安定度は、数値が小さい程マイクロカプセルが凝集していないことを表し、カプセル分散液が安定していることを意味する。
粒径安定度(%)=100×(B−A)/A
また、超音波処理を行なった場合の粒径の分布から、スパン値を算出した。
(熱記録感度指数、地肌部濃度及び飽和濃度(Dmax))
上記で得られた各多色感熱記録材料(実施例1〜4、比較例1〜4)について、温度23℃/湿度50%RHの環境下で24時間調湿した後、京セラ(株)製サーマルヘッドKST型を用いて、記録エネルギーが0〜100mJ/mm2になるよう印可電圧及びパルス幅を調節してイエロー画像をウエッジ状パターンで熱印画した。熱印画の後に発光中心波長が365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に15秒間照射した。得られた各ステップ及び地肌部のイエロー(カブリ)濃度を、X−rite社製の反射濃度計「RD918」を用いて測定した。イエロー濃度が1.0となるときに必要な記録エネルギーを熱記録感度の指標(熱記録感度指数)とした。当該指標は、数値が小さいほど高感度であることを表す。
熱記録感度指数、地肌部(カブリ)濃度及び飽和濃度(Dmax)の結果を表1に示す。
Figure 2006021471
実施例1〜4の本発明の製法により作成したマイクロカプセル含有液は、比較例のものに比べて、凝集し難い安定性に優れたマイクロカプセル液であることが確認できた。更に、本発明のマイクロカプセル含有液を用いて作製した多色感熱記録材料(1〜4)は、比較例のものに比べて、熱記録感度が高く優れた感熱記録材料であることが判明した。
本発明に用いる乳化分散装置の概念図である。 衝突せん断分散部の断面図である。
符号の説明
1 超高圧発生部
2 試料投入部
3 衝突せん断分散部

Claims (10)

  1. 少なくともマイクロカプセルに内包させる芯物質とカプセル壁材とを含む油相液を水相媒体中に乳化分散させる工程を有し、カプセル壁が界面重合法により作成されるマイクロカプセルの製造方法であって、該乳化分散が、超高圧超高速流体の衝突せん断分散により行われることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  2. 前記流体の圧力が10〜300MPaであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  3. 前記流体の流速が100〜400m/sであることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  4. 前記油相液と前記水相媒体との質量混合比率が、0.1/1〜2/1であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  5. 前記水相媒体が、界面活性剤を含む水溶液であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法により製造されたことを特徴とするマイクロカプセル。
  7. 前記マイクロカプセルの平均粒径が0.2〜1.0μmであり、且つそのスパン値が1.5以下であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロカプセル。
  8. カプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアであることを特徴とする請求項6又は7に記載のマイクロカプセル。
  9. 前記マイクロカプセルが、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
  10. 支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該感熱記録層が請求項6乃至9のいずれか1項に記載のマイクロカプセルと顕色剤とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
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