JP2005230686A - マイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料 - Google Patents

マイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】カプセル壁材と芯物質を含む油相液との相溶性や反応性等で制約の無い、壁材の選択範囲が広く且つ製造工程の自由度が大きいマイクロカプセルの製造方法、及び諸性能を向上させたマイクロカプセル、更に高品質の感熱記録材料を提供する。
【解決手段】芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有するマイクロカプセルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なマイクロカプセルの製造方法、該製法で製造されるマイクロカプセル、及び該マイクロカプセルを用いた感熱記録材料に関する。
主要な有効成分をマイクロカプセルに内包して用いる技術は、感熱或いは感圧記録材料を始め、香料カプセル等の衣料分野、ドラックデリバリーシステム等の医療分野、人造イクラ等の食品分野等に広汎に利用されている。これらのマイクロカプセルは加熱や光照射、圧力、pH、酵素、水和等の外部作用により隔離機能を喪失し、カプセル内外に物質拡散することによって、初めて所望の効能を発現させる目的で形成されている場合が多い。
例えば、記録材料においては、熱記録後に記録画像の定着を行う目的で、発色成分としてジアゾニウム塩を用いた感熱記録材料が多く開発されている。この様なジアゾニウム塩を含有する感熱記録材料は、加熱によって画像を印画した後、光によって残存ジアゾニウム塩を分解(定着)させるもので、ここで、該ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させることで、生保存性や発色濃度を大きく向上させることができる。
マイクロカプセルの形成方法としては、化学的手法と物理化学的手法及び物理的手法があり、各々の具体的な手順については、従来より様々な方式が提案されている。
即ち、親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法(例えば、特許文献1参照)や、界面重合法(例えば、特許文献2〜4参照)、ポリマー析出による方法(例えば、特許文献5参照)等がある。更に、これらを詳しく述べると、イソシアネート−ポリオール壁材料を用いる方法(例えば、特許文献6参照)、イソシアネート壁材料を用いる方法(例えば、特許文献7参照)、尿素−ホルムアルデヒド系、尿素−ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法(例えば、特許文献8参照)、ポリウレタン−ポリウレアを主成分とする高分子物質を用いる方法(例えば、特許文献9参照)、キシリレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルイソシアネートの混合物を用いる方法(例えば、特許文献10参照)、予めモノアルコールと一部反応せしめた多価イソシアネートを用いる方法(例えば、特許文献11参照)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法(例えば、特許文献12参照)、モノマー重合によるin situ法(例えば、特許文献13参照)、電解分散冷却法(例えば、特許文献14参照)、スプレードライング法(例えば、特許文献15参照)、等が開示されている。
具体的には、上記界面重合法による方法では、芯をなす物質が疎水性有機溶媒に溶解もしくは分散された油相を、水溶性高分子を含む水相に投入し、ホモジナイザー等の高速攪拌手段によって乳化分散した後、加温して油滴界面で高分子形成反応を起こさせる。これにより、高分子物質からなるマイクロカプセル壁が形成され、カプセル化することができる。この界面重合法は、保存安定性の良好なマイクロカプセルを短時間で且つ均一な粒径にて得ることができる等の利点を有し広汎に利用されている。
また、上記in situ重合法は、ラジカル重合性モノマーの重合膜によりカプセル壁が形成されるもので、芯物質の内側からポリマーが沈積してカプセル膜が形成される場合と、芯物質の外側からポリマーが沈積する場合とがあり、芯物質としては液体に限らず固体や気体でもカプセル化することができるという利点がある。
一方、マイクロカプセルの応用分野においては、目的とする性能に合せてカプセルの特性を所望通りに制御できることが要望される。例えば、記録材料にマイクロカプセルを使用する場合においては、(1)溶液での保存安定性に優れる、(2)長期の生保存性に優れる、(3)地肌被れが抑制される、(4)加熱時の物質透過性が高い、(5)発色濃度が安定して高い、(6)感熱感度のバラツキが少ない、(7)耐光性や耐水性に優れる、(8)黄変ないし汚れが少ない、(9)耐熱性や耐湿性がある、等々の諸性能が要求される。
これらの多様なニーズに応える為には、マイクロカプセル形成用に多種多様な壁材を使用できることと、該マイクロカプセルを製造する上で出来るだけ制約や問題が無いことが望まれる。
しかしながら、従来、芯物質となる油相に壁材を添加すると、溶解度の変化が起こったり相溶性の低下が有ったりなどして、所望の壁材の必要量を添加できない、カプセル壁の形成反応が進まない、或いは芯物質を覆いきれないという問題が発生する場合があった。また、芯物質とカプセル壁材が反応し易いものであると、混合の際に反応してしまい被りや着色が発生するという問題が発生する場合があった。更に、乳化分散の段階で水と接触する、或いは高速攪拌により発熱が生じることのため、部分的に反応が進み十分に乳化分散を行うことが出来ないという場合もあった。また更に、カプセル形成反応が終了した後に芯物質内に未反応の壁材が残留するという問題や、カプセル粒径を十分に小さく出来ないという問題が発生する場合があった。
以上、実際にマイクロカプセル化できる壁材物質にはかなりの制約があり、所望の性能に対するカプセル壁材の選択範囲が狭く、或いは製造適性に欠けるという問題があるので、カプセル性能を広汎に自由に設計できる様なマイクロカプセルの製造方法が強く要望されている。
米国特許第2800457号明細書 米国特許第3287154号明細書 英国特許第990443号明細書 特公昭38−19574号公報 米国特許第3418250号明細書 米国特許第3796669号明細書 米国特許第3914511号明細書 米国特許第4001140号明細書 特公平4−75147号公報 特公平6−86154号公報 特開平5−317694号公報 米国特許第4025455号明細書 特公昭36−9168号公報 英国特許第952807号明細書 米国特許第3111407号明細書
この様に芯物質をマイクロカプセル化して使用することは、幅広い分野で利用されているが、上記諸問題についての十分な解決方法が見出されていないのが現状である。
従って、本発明はこれらの問題を解決するために為されたものであり、本発明の目的はカプセル性能を広汎に自由に設計できる様な新しいマイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の新しいマイクロカプセルの製造方法を用いて製造した、カプセル性能を広汎に自由に設計されたマイクロカプセルを提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、上記の様なカプセル性能を有するマイクロカプセルを用いて作製した感熱記録材料を提供することにある。
上記の課題を解決する為に、本発明者らは鋭意研究を推進した結果、下記に示す様なマイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の手段を提供するものである。
<1> 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
<2> 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)芯物質を含有する油相液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
<3> 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成するする第2の乳化工程を、それぞれ別々に行い、次いで(3)上記乳化分散物を混合して乳化分散し2次分散粒子を形成する第3の乳化工程と、更に(4)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
<4> 前記マイクロカプセル壁が、高分子物質であることを特徴とする上記<1>〜<3>の何れかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<5> 前記高分子物質が、ポリウレタン−ポリウレア混合物を主成分とすることを特徴とする上記<4>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<6> 上記<1>〜<5>の何れかに記載の方法で製造されたことを特徴とするマイクロカプセル。
<7> 前記芯物質が、発色成分(a)又は該発色成分と反応して発色させる発色成分(b)の少なくとも一方を含有することを特徴とする上記<6>に記載のマイクロカプセル。
<8> 支持体上に、上記<7>に記載のマイクロカプセルを含有する感熱記録層を設けたことを特徴とする感熱記録材料。
本発明は新規なマイクロカプセルの製造方法を提供するものである。本発明に依れば、カプセル壁材と芯物質を含有する油相液との相溶性及び溶解度に制約されることがないので、カプセル壁材及び油相液溶媒の選択範囲が大幅に広がり、材料設計及び製造プロセス上の自由度が増大する。また、乳化分散時の発熱及びカプセル壁材と油相液の反応等の問題も軽減され、カプセル内に残留する壁材も減少するので、マイクロカプセルに内包する効果が最大限に発揮される。
従って、本発明のマイクロカプセルの製造方法により、カプセル諸性能(生保存性、感熱感度、発色濃度、地肌被り、環境依存性等)を向上させたマイクロカプセルを提供することが可能となり、該マイクロカプセルを用いた高性能な感熱記録材料等を提供することができる。
以下に、本発明のマイクロカプセルの製造方法、マイクロカプセル、及び感熱記録材料について詳細に説明する。但し、本発明はこれらの説明事項や例示物等に限定されるものではない。
(マイクロカプセルの製造方法)
第1の本発明のマイクロカプセルの製造方法は、芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とする。
第2の本発明のマイクロカプセルの製造方法は、芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)芯物質を含有する油相液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とする。
第3の本発明のマイクロカプセルの製造方法は、芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成するする第2の乳化工程を、それぞれ別々に行い、次いで(3)上記乳化分散物を混合して乳化分散し2次分散粒子を形成する第3の乳化工程と、更に(4)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とする。
上記第1〜第3の本発明のマイクロカプセル製造方法の特徴が示す様に、本発明のマイクロカプセルの製造方法においては、カプセル壁材を含有する壁材溶液を芯物質を含有する油相液に溶解させる必要が無い。従って、カプセル壁材の、芯物質を含有する油相液への溶解性や溶解度に制約されることが全くなく、如何なる材質のカプセル壁材でも使用することが出来る。また、芯物質を含有する油相液に対するカプセル壁材の添加量にも何ら制限がないので、目的とするカプセル性能に応じて必要且つ十分な量のカプセル壁材を含有する壁材溶液を添加することが出来る。更に、芯物質を含有する油相液の溶媒についても、カプセル壁材との相溶性を考慮する必要がないので、目的に応じて適切な溶媒を所要の量だけ使用すればよい。
即ち、本発明のマイクロカプセルの製造方法は、従来製法では不可能であった、(1)芯物質を含有する油相液との相溶性の悪いカプセル壁材も使用することができる、(2)芯物質を含有する油相液と反応する様なカプセル壁材も使用することができる、(3)必要にして十分な量のカプセル壁材を含有する壁材溶液を添加することができる、(4)高速攪拌手段等を用いて乳化分散する段階で、発熱を極力抑制することができるので、極めて微小な粒径の且つ狭い粒径分布を有するマイクロカプセルを調製することができる、(5)カプセル内に残留する壁材を極力減少することができるので、マイクロカプセルに内包する効果が最大限に発揮される、等の利点を有し有用な製法を提供するものである。
(マイクロカプセルの壁材)
本発明のマイクロカプセルを形成する壁材としては、その材質や性状において何ら制約はなく、目的及び必要等に応じて適宜に選択することができるが、緻密で強度のある膜を速やかに形成する観点より、界面重合により高分子物質を生成することができるリアクタントが好ましい。本発明のマイクロカプセルを形成する上記の様な高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びこれらの任意の共重合体等が挙げられる。これらの中でも、カプセル形成能及びカプセル特性の観点より、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、特にポリウレタン−ポリウレア混合樹脂が好ましい。
本発明においては、例えば、上記ポリウレタン−ポリウレア混合樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー等の多価イソシアネートのカプセル壁前駆体を、水相媒体中又は乳化分散媒体中に添加し乳化分散して分散粒子を形成し、更に該マイクロカプセル壁前駆体と反応して高分子物質(カプセル壁)を形成する第2物質(例えば、2個以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン又はその誘導体、ポリオール等、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミンポリアミンなど)を水相媒体中又は乳化分散媒体中に混合し、通常は加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こさせ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
また、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁から構成されるマイクロカプセル、もしくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁から構成されるマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド又はポリアミン、ポリオールなど)を水相媒体中又は乳化分散媒体中に添加し乳化分散して分散粒子を形成し、通常は加温することにより作製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報等に記載されている。
本発明のカプセル壁材として用いるイソシアネート化合物は、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、2官能のイソシアネート系化合物を併用してもよい。
例えば、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
また、特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特開平10−114153号公報等に記載の化合物も使用できる。
本発明に用いる上記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類;
4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらは必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。上記の中でも特に、分子内にイソシアネート基を3個以上有する多価イソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート系化合物とともに、マイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加されるポリオール及び/又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアネート、ポリオール、反応触媒、及び、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については、例えば、岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)に詳しい。
また、本発明のマイクロカプセル壁としては、上述のイソシアネート系反応(求核−求電子反応系)のもの以外に、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを壁材として用いて、該モノマーの重合により形成することもできる。この様なモノマーとしては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意に選択し或いは組み合せて使用することができる。
本発明における上記モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸及びその塩類、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類;メタクリル酸及びその塩類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類;マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、マレイン酸アミド類;イタコン酸、イタコン酸エステル類、イタコン酸アミド類;スチレン及び置換スチレン類;ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類;アリルエーテル類、アリルエステル類、N−アリル複素環類;イソプロペニルエーテル類、イソプロペニルエステル類、N−イソプロペニル複素環類等が挙げられる。
本発明における上記不飽和モノマーの中でも、原料として入手が容易であり、緻密で強度のあるカプセル壁を効率良く形成できる点で、特に、炭素原子数が20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が好ましい。
更に、本発明に用いるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、緻密で強度のあるカプセル壁を効率良く形成する観点より、分子内に少なくとも2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーを含有する形態が好ましい。
この様な多官能モノマーの例としては、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類と不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)とのエステル類;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フエノール類やビスフエノール類のアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類;不飽和カルボン酸類と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物;並びに、アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ類、アクリレート又はメタクリレート末端ポリエステル類、等が挙げられる。
上記多官能モノマーの中でも、原料として入手が容易であり、緻密なカプセル壁を効率良く形成する上で、特に、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が好ましい。
本発明に用いるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーにおいて、上記のエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する多官能モノマーの含有率は、カプセル壁の強度や緻密性及びその形成効率を更に向上させる観点より、0.1〜90モル%であることが好ましく、該含有率は0.5〜80モル%がより好ましく、特に1.0〜70モル%が好ましい。
本発明において、カプセル壁材はマイクロカプセルの平均粒径が0.05〜20μmで、カプセル壁の厚みが0.005〜0.3μm程度となる様に添加されることが好ましい。上記分散粒子径は0.1〜15μm程度が一般的である。
また本発明においては、カプセル壁に所要の強度及び緻密性を確保する観点より、上述の壁材の添加量は、芯物質を含有する油相質量に対して5〜95%であることが好ましく、該添加量は10〜90%がより好ましく、特に15〜70%が好ましく、20〜60%が最も好ましい。上記添加量が5%未満であると、カプセル壁の強度及び緻密性が不足することがあり、一方、該添加量が90%を越えると、感熱感度等に問題が生じ更に所望のカプセル内包の効果が得られないことがある。
本発明におけるカプセル壁材を含有する壁材溶液は、上記カプセル壁材と該カプセル壁材を溶解させる有機溶媒から形成される。上記有機溶媒はカプセル壁材自身がオイル成分の場合は、必ずしも用いる必要はない。上記有機溶媒としては、例えば酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、等の低沸点補助溶媒が好ましい。
本発明のマイクロカプセルには、少なくとも、芯物質、例えば、発色成分(a)又は発色成分(b)のいずれか一方、が内包されるが、更に目的や必要に応じて、オイル成分としての高沸点有機溶媒や補助溶媒として低沸点有機溶媒、及び疎水性ポリマーや可塑剤、各種の添加剤や充填剤等を芯物質として含むことができる。
本発明において、芯物質を形成する油相液には溶媒特に有機溶媒を用いることができる。この様な有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、及び/又は、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等の高沸点有機溶剤が挙げられる。
上記の高沸点有機溶剤の具体例としては、例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、アルコール系溶剤、リン酸エステル系溶剤、カルボン酸エステル系溶剤、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが特に好ましい。
また、上記高沸点溶剤として、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、例えば、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
本発明において、水相媒体中には水溶性高分子を含有するのが好ましい。この様な水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
上記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョン又はラテックス等を併用することもできる。該エマルジョン又はラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
本発明のマイクロカプセルの形成方法としては、下記に述べる3つの方法が採用される。
第1の本発明のマイクロカプセルの形成方法では、芯物質を内包するマイクロカプセルの形成において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を経て作製される。
第1の本発明のマイクロカプセルの形成方法においては、乳化分散を安定して行なうために、第1の乳化工程において、油相液と水相液の質量混合比は5/95〜90/10が好ましく、該混合比は10/90〜70/30がより好ましく、15/85〜60/40が最も好ましい。油相の比率が5%未満であると、所望の分散粒径が得られないことがあり、一方、油相の比率が90%を越えると、乳化分散が困難になったり、カプセル形成工程の際にカプセルの形成が難しくなる或いはカプセルが凝集し易くなるという問題が発生することがある。
また、上記マイクロカプセルの形成方法においては、第1の乳化工程において、乳化温度は水相が液体として存在する0℃〜100℃の温度範囲で任意に設定することができる。一方、第2の乳化工程においては、カプセル壁材を添加することから、乳化温度は0℃〜50℃の範囲が好ましく、0℃〜45℃がより好ましく、10℃〜45℃が最も好ましい。上記乳化温度が0℃未満であると水相が固化する場合があり、また乳化温度が50℃を越えると、カプセル化反応が乳化作業時に始まり凝集を起すことがある。
第2の本発明のマイクロカプセルの形成方法では、芯物質を内包するマイクロカプセルの形成において、(1)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)芯物質を含有する油相液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を経て作製される。
第2の本発明のマイクロカプセルの形成方法においては、乳化分散を安定して行なうために、第1の乳化工程において、カプセル壁材を含有する壁材溶液と水相液の質量混合比は5/95〜90/10が好ましく、該混合比は5/95〜70/30がより好ましく、5/95〜60/40が最も好ましい。壁材溶液の比率が5%未満であると、所望の分散粒径が得られないことがあり、一方、壁材溶液の比率が90%を越えると、乳化分散が困難になったり、カプセル形成工程の際にカプセルの形成が難しくなる或いはカプセルが凝集し易くなるという問題が発生することがある。
また、上記マイクロカプセルの形成方法においては、第1の乳化工程及び第2の乳化工程において、乳化温度は0℃〜50℃の範囲が好ましく、0℃〜45℃がより好ましく、10℃〜45℃が最も好ましい。上記乳化温度が0℃未満であると水相が固化する場合があり、また乳化温度が50℃を越えると、カプセル化反応が乳化作業時に始まり凝集を起すことがある。
第3の本発明のマイクロカプセルの形成方法では、芯物質を内包するマイクロカプセルの形成において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成するする第2の乳化工程を、それぞれ別々に行い、次いで(3)上記乳化分散物を混合して乳化分散し2次分散粒子を形成する第3の乳化工程と、更に(4)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を経て作製される。
第3の本発明のマイクロカプセルの形成方法においては、乳化分散を安定して行なうために、第1の乳化工程において、油相液と水相液の質量混合比は5/95〜90/10が好ましく、該混合比は10/90〜70/30がより好ましく、15/85〜60/40が最も好ましい。油相の比率が5%未満であると、所望の分散粒径が得られないことがあり、一方、油相の比率が90%を越えると、乳化分散が困難になったり、カプセル形成工程の際にカプセルの形成が難しくなる或いはカプセルが凝集し易くなるという問題が発生することがある。
また、上記マイクロカプセルの形成方法においては、第1の乳化工程において、乳化温度は水相が液体として存在する0℃〜100℃の温度範囲で任意に設定することができる。一方、第2の乳化工程においては、カプセル壁材を含有する壁材溶液と水相液の質量混合比は5/95〜90/10が好ましく、5/95〜70/30がより好ましく、5/95〜60/40が最も好ましい。壁材溶液の比率が5%未満であると、所望の分散粒径が得られないことがあり、一方、壁材溶液の比率が90%を越えると、乳化分散が困難になったり、カプセル形成工程の際にカプセルの形成が難しくなる或いはカプセルが凝集し易くなるという問題が発生することがある。
また、第2の乳化工程及び第3の乳化工程において、乳化温度は0℃〜50℃の範囲が好ましく、0℃〜45℃がより好ましく、10℃〜45℃が最も好ましい。上記乳化温度が0℃未満であると水相が固化する場合があり、また乳化温度が50℃を越えると、カプセル化反応が乳化作業時に始まり凝集を起すことがある。
上記の乳化分散は、第1の乳化工程、第2の乳化工程、及び第3の乳化工程ともに、例えば、ホモジナイザーやマントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。また、第1の乳化工程、第2の乳化工程、及び第3の乳化工程において、その乳化装置や乳化条件は、それぞれ同一でもよく異なっていてもよく、またその内2つの工程が同じでもよい。
次いで、第1と第2もしくは第1と第2及び第3の乳化工程が終了した2次乳化分散粒子は、その油滴界面でカプセル壁を形成するカプセル形成工程に移る。該カプセル形成工程では、カプセル形成反応を促進させる目的で、上記2次乳化分散液を25℃〜80℃好ましくは30〜70℃の温度に加温することが行われる。また、カプセル形成反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
また、カプセル形成工程では、カプセル形成反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加することもできる。
尚、多価イソシアネート化合物を用いた場合等では、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点と見なすことができる。炭酸ガスが発生しない場合は、モノマー成分やカプセル壁前駆体の消失もしくはそれ以上に反応しなくなった時点を終点と見なすことができる。
しかしながら、実際の反応工程の終了としては、100%反応が完結している必要はなく、実用上で問題のない程度まで反応が進行しておればよい。通常、数十分から数時間かけて反応を行うことにより、この実用上問題のない程度まで反応を完了させることができ、所望のマイクロカプセルを得ることができる。
(発色成分と感熱記録材料)
本発明の製造方法に依り製造されたマイクロカプセルは、例えば、感熱記録材料に好適に適用され、その芯物質として発色成分(a)又は該発色成分と反応して発色させる発色成分(b)の少なくとも一方を含有するマイクロカプセルを調製し、支持体上に該マイクロカプセルを含有する感熱記録層を設けることにより、印画前の生サンプルの保存性や、発色感度(γ)が良好で地肌部の黄変(ステイン)が抑制された高品質の感熱記録材料を提供することができる。
本発明に用いられる上記発色成分としては、実質的に無色の発色成分(a)と該発色成分と反応して発色させる実質的に無色の発色成分(b)との組合せ、所謂、2成分型の組合せからなる発色成分系が用いられ、貯蔵安定性及び地肌被り等を向上させる観点より、発色成分(a)或いは(b)のいずれか一方が本発明のマイクロカプセルに内包されている形態を取る。
この様な2成分型の発色成分系としては、例えば、下記の(ア)〜(ツ)の組合せが挙げられる。以下の各組合せにおいて、前者は発色成分(a)を後者は該成分(a)と反応して発色させる発色成分(b)を示す。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する)との組合せ
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ(フタロシアニンが生成する組合せ)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)
上記の中でも、本発明の発色成分としては、(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、及び(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分との組合せ、が好ましく、特に、発色成分(A)として、(ア)の電子供与性染料前駆体、或いは(イ)のジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包する態様が好ましい。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合せ
本発明に用いられる電子供与性染料前駆体としては、エレクトロンを供与して、或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有する実質的に無色の化合物であり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触した時に、速やかにこれらの部分骨格が開環もしくは開裂する化合物が好適に挙げられる。
上記電子供与性染料前駆体の例としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
上記フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23024号、米国特許第3491111号、同第3491112号、同第3491116号及び同第3509174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(p−ジプロピルアミノ−o−メチルフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−5−アザ(又は−6−アザ、又は−7−アザ)フタリド等が挙げられる。
上記フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3624107号、同第3627787号、同第3641011号、同第3462828号、同第3681390号、同第3920510号、同第3959571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
上記フェノチアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられ、ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられ、ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。また、スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3971808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられ、ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3775424号、同第3853869号、同第4246318号に記載の化合物が挙げられ、フルオレン系化合物としては、例えば、特開昭63−094878号(←特願昭61−240989号)等に記載の化合物が挙げられる。
多色感熱記録材料とする場合には、シアン、マゼンタ、イエローから選ばれる1つ以上の発色色素用の電子供与性無色染料が用いられる。シアン、マゼンタ、イエロー発色としては、米国特許第4800149号等に記載のものを使用でき、更にイエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4800148号等に記載のものも使用でき、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開昭63−53542号等に記載のものも使用できる。
本発明の感熱記録層としては、上記電子供与性無色染料の含有量は、記録層中に0.01〜3g/m2が好ましく、0.1〜1g/m2がより好ましい。電子供与性無色染料の含有量を特に上記範囲にすると、充分な発色濃度が得られると共に、塗布適性の劣化を招くこともない。多層記録層の場合には、上記範囲で電子供与性無色染料を含有する記録層の複数枚を積層して構成するのがよい。
本発明で用いる電子受容性化合物としては、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。これらの中でも、特に3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
上記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸の具体例としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等;
スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸;
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)、等が好適に挙げられる。
上記の他、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等も挙げることができる。これらの化合物は、例えば、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
上記フェノール誘導体としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
上記サリチル酸誘導体としては、例えば、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
本発明の感熱記録層において、上記電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。該電子供与性無色染料の含有量を特に上記範囲にすると、充分な発色濃度が得られると共に、感度の低下や塗布適性の低下を来たすこともない。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分の組合せ
本発明に用いるジアゾニウム塩化合物としては、Ar−N2 +・X-〔Arは芳香族環基を表し、X-は酸アニオンを表す。〕で表される化合物が挙げられる。このジアゾニウム塩化合物は加熱により後述するカプラー化合物と速やかにカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する性質を有する化合物である。これらはAr(芳香族環基)部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
上記式中のArは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
上記アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。また、これらの基は更に、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
前記X-は酸アニオンを表す。該酸アニオンは、無機陰イオン、有機陰イオンのいずれであってもよい。
前記無機陰イオンとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好適に挙げられ、中でも、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。また、前記有機陰イオンとしては、例えば、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが好適に挙げられ、中でも、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオンが特に好ましい。
本発明の感熱記録層において、上記ジアゾニウム塩化合物の含有量は、記録層中に0.01〜3g/m2が好ましく、0.02〜1.0g/m2がより好ましい。該ジアゾニウム塩化合物の含有量を特に上記範囲にすると、充分な発色性が得られると共に、感度が低下したり、定着時間を長くする必要が生じることもない。
本発明に用いるカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気で上記のジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。この様なカプラー化合物としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド;
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
更に、カプラー化合物の詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−319025号、特開平10−035113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている。
本発明の感熱記録層において、上記カプラー化合物の含有量は、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。該カプラー化合物の含有量を特に上記範囲にすると、発色性を向上させるうえで効果的であり、塗布適性の低下を来たすこともない。
本発明で上記カプラー化合物は、その他の成分と共に水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤と共に乳化し、乳化物として用いることもできる。固体分散又は乳化する方法としては、特に限定はなく、公知の方法の中から適宜に選択することができる。分散又は乳化方法の詳細については、特開昭59−190886号、特開平2−141279号、特開平7−17145号の各公報に記載されている。
また、カップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。有機塩基については、特開昭57−123086号、特開昭60−49991号、特開昭60−94381号、特開平9−071048号(←特願平7−228731号)、特開平9−077729号(←特願平7−235157号)、特開平9−077737号(←特願平7−235158号)等の各公報に記載されている。有機塩基の使用量は特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩化合物1モルに対し、1〜30モルが好ましい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、芯物質として上述の発色成分(a)又は該発色成分と反応して発色させる発色成分(b)の少なくとも一方を含有する本発明に係わるマイクロカプセルを含む塗布液を塗布し乾燥して、感熱記録層を設けることに作製される。該感熱記録材料においては、その感熱記録層の構成には特に制限はなく、発色成分(a)又は発色成分(b)を含み、オイル成分や有機溶媒、その他の各種添加剤等は同一の記録層に含まれていてもよく、別の層に含まれている積層型の構成を取ることもできる。
上記塗布液の塗布方法としては、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。塗布量としては、塗布し乾燥後の固形分質量で、2〜30g/m2の記録層となる量を塗布するのが望ましい。
本発明の感熱記録材料に用い得る支持体としては、公知の支持体の中から適宜選択することができ、例えば、中性紙、酸性紙、再生紙、ポリオレフィン樹脂ラミネート紙、合成紙、ポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム等が挙げられ、これら単体で、或いは、貼り合わせて用いることができる。
上記支持体の厚みとしては、20〜200μmが好ましい。また、支持体上には、下塗り層又はバック層を設けることも可能である。また、支持体と記録層との間に中間層を設けることも可能である。これについては特開昭61−54980号公報等に記載されている。
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に上記感熱記録層の他、必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、感熱記録層上にサーマルヘッドで印字する際の、スティッキングやヘッド汚れ等を防止したり記録材料に耐水性を付与する目的で、ポリビニルアルコール等を主成分とし、各種の顔料や潤滑剤、離型剤等を添加した保護層を設けることができる。
また、保護層内には耐光性と光定着性との両立を図る観点から、紫外線透過率調整機能を有する化合物を含有させることができる。この紫外線透過率調整機能を有する化合物を含有する感熱記録材料については、特開平7−276808号公報に詳細に記載されている。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に異なる色相に発色する単色の記録層の複数枚を積層することにより、多色の感熱記録材料として構成することもできる。
多色の感熱記録材料の記録層の層構成としては、発色成分(a)として感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩化合物を、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色させるカプラー化合物と組合わせて、それぞれ別層に含有させた2枚の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層(A層)とを積層した多色感熱記録材料等が挙げられる。この場合に、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)となる様に選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
また、すべての感熱記録層(支持体側から順に、A層、B層、C層)を、感光波長が異なる3種のジアゾニウム塩化合物を、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーと組合わせて、それぞれ別層に含有させた3層の感熱記録層とし、これら3層を支持体上に積層して構成することもできる。各層の積層順としては、視感度の低いイエロー層を最下層にすることが、支持体面上の粗さに起因する画質への影響を減らすことができ、特に画質向上を図る場合に有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#801ゼラチン」)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)0.9143部、及びイオン交換水367.1部を混合し、温度40℃にて溶解して、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
(ジアゾニウム塩溶液の調製)
酢酸エチル15.0部に、365nmに分解の最大吸収波長を有する下記ジアゾニウム塩化合物(A)2.8部、高沸点溶媒としてトリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製の商品名「ライトエステルTMP」)4.16部、ジフェニルフタレート7.76部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の界面活性剤「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.08部を添加し、加熱して均一に混合して、ジアゾニウム塩溶液を得た。
Figure 2005230686
(カプセル壁剤溶液の調製)
酢酸エチル7.5部に、カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)6.80部、及びキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)2.48部を添加し、均一に混合して、カプセル壁剤溶液を得た
(水相溶液の調製)
前記フタル化ゼラチン水溶液55.0部に、イオン交換水21.0部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製の界面活性剤「ネオペレックスG15」、15%水溶液)1.12部を添加し、均一に混合して、水相溶液を得た。
[実施例1]
前記水相溶液77.12部に、前記カプセル壁剤溶液16.78部を添加して、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃で10分間かけて乳化分散した。得られた乳化分散液に、更に前記ジアゾニウム塩溶液29.8部を添加して、再度、ホモジナイザーを用いて温度40℃で10分間乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液に水30部を加えて均一化した後、温度40℃にて撹拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、液温を35℃に下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)6.5部、及び「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)13部を加え、更に1時間撹拌した。次いで、上記イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18%になる様に濃度を調節して、目的とするジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。該マイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.445μmであった。また粒径分布を見ると、分布が狭く頻度のピークは1つで0.06μm〜2.27μmの間で粒子が分布していた。
[実施例2]
前記水相溶液77.2部に、前記ジアゾニウム塩溶液29.8部を添加して、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃で10分間かけて乳化分散した。得られた乳化分散液に、更に前記カプセル壁剤溶液16.78部を添加して、再度、ホモジナイザーを用いて温度40℃で10分間乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液に水30部を加えて均一化した後、温度40℃にて撹拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、液温を35℃に下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)6.5部、及び「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)13部を加え、更に1時間撹拌した。次いで、上記イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18%になる様に濃度を調節して、目的とするジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。該マイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.420μmであった。また粒径分布を見ると、分布が狭く頻度のピークは1つで0.06μm〜2.27μmの間で粒子が分布していた。
[実施例3]
前記水相溶液38.56部に、前記ジアゾニウム塩溶液29.8部を添加して、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて、温度40℃で10分間かけて乳化分散した。別途、前記水相溶液38.56部に、前記カプセル壁剤溶液16.78部を添加して、ホモジナイザーを用いて温度40℃で10分間乳化分散した。上記2種の乳化分散液を混合して、再び、ホモジナイザーを用いて温度40℃で10分間乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液に水30部を加えて均一化した後、温度40℃にて撹拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、液温を35℃に下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)6.5部、及び「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)13部を加え、更に1時間撹拌した。次いで、上記イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18%になる様に濃度を調節して、目的とするジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。該マイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.421μmであった。また粒径分布を見ると、分布が狭く頻度のピークは1つで0.06μm〜2.27μmの間で粒子が分布していた。
[比較例1]
酢酸エチル7.5部に、前記ジアゾニウム塩溶液29.8部、カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)6.80部、及びキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)2.48部を添加し、均一に混合して、油相混合溶液(A)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.0部に、イオン交換水21.0部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製の界面活性剤「ネオペレックスG15」、15%水溶液)1.12部を添加し、均一に混合して、水相溶液を得た。
上記水相溶液77.12部に、前記油相混合溶液(A)46.58部を添加して、ホモジナイザーを用いて温度40℃で20分間乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液に水30部を加えて均一化した後、温度40℃にて撹拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行った。この後、液温を35℃に下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)6.5部、及び「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)13部を加え、更に1時間撹拌した。次いで、上記イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18%になる様に濃度を調節して、目的とするジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。該マイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.917μmであった。また粒径分布を見ると、分布が広く頻度のピークが2つあり、0.06μm〜4.47μmの間で粒子が分布していた。
次いで、上記で得られた実施例1〜3及び比較例1のジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を用いて、マゼンタ発色の感熱記録材料を作製しその感熱性能を評価した。
(アルカリ処理ゼラチン溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)25.5部、1,2−ベンジチアゾリン−3−オン(大東化学工業所(株)製、3.5%メタノール溶液)0.5部、水酸化カルシウム0.153部、及びイオン交換水143.85部を混合して、温度50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
(カプラー乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9部に、下記カプラー化合物(E)6.3部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールM」)16.0部、1,1’−(−p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン12部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.5部を溶解して、混合液(VII)を得た。
Figure 2005230686
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部に、イオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
上記混合液(VIII)に前記混合液(VII)を添加し、日本精機製作所(株)製のホモジナイザーを用いて温度40℃下で乳化分散した。得られたカプラー乳化液を減圧し加熱して酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になる様に濃度調節を行い、カプラー乳化液(b)を得た。この得られたカプラー乳化液(b)の粒径を、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」を用いて測定した結果、メジアン径で0.22μmであった。
(マゼンタ感熱記録層用塗布液の調製)
実施例1〜3及び比較例1で得られた各ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液とカプラー乳化液(b)を、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が2.0/1になる様に混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液を、混合したジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液10部に対して0.2部となる量を混合し、実施例1〜3及び比較例1のマゼンタ感熱記録層用塗布液を得た。
(保護層用塗布液の調製)
(1)保護層用PVA溶液の調製
ビニルアルコール(PVA)−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解して均一化し、保護層用PVA溶液を得た。
(2)保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製の商品名「BF−21F」、硫酸バリウム含有量93%以上)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」、40%水溶液)0.2部、及びイオン交換水11.8部を混合して、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を得た。この時の粒径を堀場製作所(株)製「LA−700」を用いて測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
ここで得られた硫酸バリウム分散液45.6部に、コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」、20%水分散液)8.1部を添加して、保護層用顔料分散液を得た。
(3)保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(新進食料工業(株)製の商品名「小麦澱粉S」)220部に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(I.C.I(株)製の商品名「PROXEL B.D」)3.81部、及びイオン交換水1976.19部を混合し均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
(4)保護層用塗布液の調製
上記より得た保護層用PVA溶液1000部に、フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製の商品名「メガファックF−120」、5%水溶液)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、上記より得た保護層用顔料分散液49.87部、上記より得た保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の商品名「ハイドリンF115」、20.5%水溶液)48.7部、及びイオン交換水280部を均一に混合して、保護層用塗布液を得た。
(下塗り層付支持体の作製)
(1)下塗り層用塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量10000、PAGI法粘度=15mP、PAGI法ゼリー強度=20g)40部をイオン交換水60部に加えて、温度40℃下で撹拌し溶解して、下塗り層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
別途、水膨潤性の合成雲母(コープケミカル社製の商品名「ソマシフME100」、アスペクト比1000)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散して、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となる様に水を加えて均一に混合して、雲母分散液を得た。
温度40℃で濃度40%に調整した、下塗り層用塗布液調製用のゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加えて十分に撹拌し混合した後、濃度5%に調整した上記雲母分散液208部を加えて、更に十分に撹拌し混合した後、濃度1.66%のポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を添加した。そして、液温を35〜40℃に保持して、エポキシ化合物であるゼラチン硬膜剤7.3部を加えて、下塗り層用塗布液(濃度5.7%)を得た。
(2)下塗り層付支持体の作製
次いで、LBPS50部及びLBPK50部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、及びカチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加して、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造した後、キャレンダー処理により厚み100μmに調整した。
続いて、得られた原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなる様にコーティングして、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」という)。次に、樹脂層を形成した側とは逆側の表面に、アナターゼ型ニ酸化チタン10%と微量の群青とを含むポリエチレンを溶融押出機を用いて厚さ50μmとなる様にコーテイングして、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」という)。
上記ウラ面の樹脂層表面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の商品名「アルミナゾル100」)と二酸化珪素(日産化学工業(株)製の商品名「スノーテックスO」)を酸化アルミニウム/二酸化珪素の質量比1/2の割合で水に分散させ、これを乾燥質量が0.2g/m2となる様に塗布した。
続いて、上記オモテ面のポリエチレン樹脂層の表面にコロナ放電処理した後、上記より得た下塗り層用塗布液を、雲母塗布量が0.26g/m2となる様に塗布し乾燥して、下塗り層付支持体を得た。
(感熱記録材料の作製)
上記下塗り層付支持体の下塗り層表面に、該層側から順次、マゼンタ感熱記録層用塗布液及び保護層用塗布液を同時に連続して塗布し(2層同時塗布)、温度30℃湿度30%RH及び温度40℃湿度30%RHの乾燥条件でそれぞれ乾燥処理を行って、実施例1〜3及び比較例1の感熱記録材料を作製した。
この時、マゼンタ感熱記録層用塗布液は、ジアゾニウム塩(D)の塗布量が固形分塗布量で0.225g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.39g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
(発色性の評価)
上記より得た実施例及び比較例の各感熱記録材料に対して、京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用いて、単位面積当たりの記録エネルギーが30mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電圧とパルス幅を設定して熱印画し、更に画像形成された感熱記録層表面に、発光中心波長450nm及び出力40Wの紫外線ランプを用いて紫外線を15秒間照射し、その後発光中心波長365nmで出力40Wの紫外線ランプを用いて紫外線を15秒間照射して画像を得た。また別途、単位面積当たりの記録エネルギーが50mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電圧とパルス幅を設定して熱印画し、更に画像形成された感熱記録層表面に、発光中心波長365nmで出力40Wの紫外線ランプを用いて紫外線を20秒間照射して画像を得た。
その後、マクベス社製のマクベス反射濃度計「RD918」を用いて、30mJ印画時の画像のM発色濃度、及び50mJ印画時の画像のマゼンタの最大発色濃度を各々測定した。それらの測定結果を下記の表1に示す。
Figure 2005230686
以上の実施例及び比較例から明らかな様に、本発明の製造方法に従って作製されたマイクロカプセル(実施例1〜3)の平均粒径は、従来法によるマイクロカプセル(比較例1)よりも微小であることが判った。また、本発明に依り作製されたマイクロカプセル液は、分散安定性に優れ粒径分布もシャープであった。更に、このマイクロカプセルを用いて作製した感熱記録材料(実施例1〜3)は、比較例のものに比べて、発熱感度(γ)が良好で発色濃度が高く優れた感熱記録材料であった。

Claims (8)

  1. 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  2. 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、次いで(2)芯物質を含有する油相液を該乳化分散物に添加して乳化分散し2次分散粒子を形成する第2の乳化工程と、更に(3)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  3. 芯物質を内包するマイクロカプセルの製造において、(1)芯物質を含有する油相液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成する第1の乳化工程と、(2)カプセル壁材を含有する壁材溶液を水相媒体中に添加して乳化分散し1次分散粒子を形成するする第2の乳化工程を、それぞれ別々に行い、次いで(3)上記乳化分散物を混合して乳化分散し2次分散粒子を形成する第3の乳化工程と、更に(4)該2次分散粒子の界面にカプセル壁を形成するカプセル形成工程と、を有することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  4. 前記マイクロカプセル壁が、高分子物質であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
  5. 前記高分子物質が、ポリウレタン−ポリウレア混合物を主成分とすることを特徴とする請求項4に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の方法で製造されたことを特徴とするマイクロカプセル。
  7. 前記芯物質が、発色成分(a)又は該発色成分と反応して発色させる発色成分(b)の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項6に記載のマイクロカプセル。
  8. 支持体上に、請求項7に記載のマイクロカプセルを含有する感熱記録層を設けたことを特徴とする感熱記録材料。
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JP2010509060A (ja) * 2006-11-14 2010-03-25 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア サブミクロンのシェル/コア粒子のミニサスポエマルジョン又は懸濁液の製造方法
JP2015125216A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 日本製紙クレシア株式会社 封緘シール及び封緘シール付きウェットシート包装体

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