JP2006020599A - 芳香コーヒーオイルの製造方法およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コーヒーオイルに焙煎コーヒー豆の粉砕時に放出されるアロマ成分を含有させた芳香コーヒーオイルの製造方法であって、下記工程:(1)焙煎コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを、抽出済みコーヒー豆を圧搾処理して得られたコーヒーオイル中に導入する工程、および(3)導入した前記粉砕ガスを前記コーヒーオイルで捕集して芳香コーヒーオイルを調製する工程を含むことを特徴とする製造方法、前記製造方法により得られた芳香コーヒーオイル、前記芳香コーヒーオイルを食品に添加することを特徴とする、芳香食品の製造方法、ならびに前記製造方法により得られた芳香食品。
【選択図】なし
Description
コーヒーオイルに焙煎コーヒー豆の粉砕時に放出されるアロマ成分を含有させた芳香コーヒーオイルの製造方法であって、下記工程:
(1)焙煎コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、
(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを、抽出済みコーヒー豆を圧搾処理して得られたコーヒーオイル中に導入する工程、および
(3)導入した前記粉砕ガスを前記コーヒーオイルで捕集して芳香コーヒーオイルを調製する工程
を含むことを特徴とする。
本発明の芳香コーヒーオイルによれば、原料のコーヒーオイルとして抽出済みコーヒー豆から搾油したものを使用したことから、従来の圧搾条件により得られたコーヒーオイルと比べて焦げ臭を伴うことがなく安価に得られ、さらに焙煎コーヒー豆の粉砕時のアロマ成分を十分吸収したものであることから、良質かつバランスのとれた芳香剤という効果を奏する。
焙煎コーヒー豆の粉砕サイズは、粒度を細かくするにつれて、単位時間当たりのコーヒーオイルに対するアロマ成分の捕集量は多くなる。しかしながら、アロマ成分を捕集した後の粉砕コーヒー豆から抽出液を採取する場合は、あまりに細かい粒度では通常のドリップ型やカラム型の抽出器を用いて抽出したときに、粉砕コーヒー豆が抽出液の通過を閉塞させて抽出品質に問題を発生させることがある。そこで、粉砕ガスの発生量と抽出操作を考慮し、最適な条件を決めることが好ましい。一般的な工業用ドリップ抽出機を用いた場合、粉砕コーヒー豆の粒度は、1.7mm(10mesh)以上が4〜60%、好ましくは5〜50%が適している。コーヒー豆の粒度は、標準ふるいを用いて測定した値である。なお、粉砕コーヒー豆から抽出液を採取しない場合は、できる限り細かい粒度に粉砕することが好ましい。
放出されたコーヒー粉砕ガスは、ガス捕集装置内のコーヒーオイルに導入・接触させる。コーヒーオイルは、前記したように抽出済み粉砕コーヒー豆から搾油したものを100%使用することができる。また、本発明の効果を損なわない程度に従来法で得られたコーヒーオイルを混合してもよい。ただし、混合する場合は、従来法で得られたコーヒーオイルの割合は、50%以下程度に押えることが好ましい。
粉砕ガスの捕集に要するコーヒーオイルの量は、粉砕時に発生するアロマ量およびアロマ成分の溶解度等に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものでない。
前記コーヒー製品は、インスタントコーヒー、レギュラーコーヒー、コーヒー飲料、コーヒーゼリーなどが好適な例としてあげられ、製造過程でアロマの損失が大きいインスタントコーヒーがより好ましい。
以下、実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等により何ら限定されるものではない。
コーヒーオイルの調製
本発明の芳香コーヒーオイルを製造するための原料となるコーヒーオイルの調製を、以下のように行った。
従来法によるコーヒーオイルの調製
コーヒーテクノロジー(Coffee Technology),Sivets & Desrosier,AVI Publishing, 1979,第2章にもあるように、焙煎したアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種のコーヒー豆を、2軸のエクスペラー搾油装置(例えば、V.D.Anderson社製)に投入し、ゲージバースリットを2〜3/1000インチ幅に調整し、シャフト回転数20rpmの条件で搾油する。得られたコーヒーオイルは、コーヒー豆約1kgで0.07kg程度である。
芳香コーヒーオイルの調製
製造例1で得られたコーヒーオイル200gを、図1に示す装置(ガス捕集装置2を1個連結して使用)のガス捕集装置2に充填した。工業用コーヒー炒り豆コロンビア210gを粉砕機1に投入し、粉砕した。粉砕と同時に500ml/分の速度で粉砕機1のガス入口4から窒素ガスを送り、粉砕アロマとともにガス出口8から出て、配管10を通り、前記コーヒーオイルを充填したガス捕集装置2に導入した後、ガス捕集装置出口11から出て、粉砕機1のガス入口4に再循環させた。この循環を43.5分繰り返し、最終的に三方コック12からガスを排出した。前記粉砕したコーヒー炒り豆を、新しい炒り豆と交換して粉砕し、窒素ガスによる循環を繰り返した。この操作を8回繰り返し、芳香コーヒーオイルを得た。
芳香コーヒーオイルの調製
実施例1において、コーヒーオイルとして製造例2で得られた従来法によるコーヒーオイルを200g使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例の芳香コーヒーオイルを得た。
製造例1、2、実施例1および比較例1で得たコーヒーオイルについて、ガスクロマトグラフィーによる香気量の測定と専門パネルによる官能評価を行った。参考のため、粉砕したレギュラーコーヒーおよびインスタントコーヒーの粉末についても、ガスクロマトグラフィーによる香気量を測定した。
測定装置:日立製ガスクロマトグラフィーG−3000
カラム:ジーエルサイエンス(株)製TC−WAX 0.53mm×30m
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス流量:1ml/分
カラム温度:40℃(5分)→220℃(5℃/分で昇温)
検出器:FID。
高沸点エリア:カラム温度101℃〜220℃
中沸点2エリア:カラム温度76℃〜100℃
中沸点1エリア:カラム温度41℃〜75℃
低沸点エリア:カラム温度40℃。
結果を表1および2に示す。官能評価は専門パネル6名により、各試料の加熱風味の強さ、甘い香の強さ、酸臭の強さを、絶対評価にて、非常に強い、強い、弱い、なしの4段階で評価した。
インスタントコーヒーとして、ブラジル産のコーヒー豆を焙煎し、抽出、濃縮、凍結乾燥した工業用インスタントコーヒーを使用し、実施例1で得られた芳香コーヒーオイルを噴霧コーティングした。噴霧量は、インスタントコーヒーの重量に対して0.2重量%とした。噴霧コーティングは、ヤマト科学株式会社製流動造粒装置パルビスミニベットGA−21で行った。噴霧コーティングしたインスタントコーヒー100gをガラス瓶に充填し、紙・アルミ・プラスチックからなる蓋材でシールした。
実施例2において、芳香コーヒーオイルの噴霧量を0.5重量%としたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
実施例2において、比較例1の芳香コーヒーオイルを0.2重量%用いたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
実施例2において、比較例1の芳香コーヒーオイルを0.5重量%としたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
1)ガスクロマトグラフィーによる分析方法
実施例2、3および比較例2、3で得た瓶詰試料は、そのヘッドスペース部の香気成分をガスクロマトグラフィーにて分析した。対照として、未コーティングのインスタントコーヒーを瓶詰した試料も同様に評価した。
測定装置:(株)島津製作所製 ガスクロマトグラフィー GC−14A
カラム:ジーエルサイエンス(株)製 TC−WAX 0.53mm× 30m
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス流量:1ml/分
カラム温度:40℃・5分 → 220℃(5℃/分で昇温)
検出器:FID
注入口温度:180℃
スプリット比:設定比1:2
ガスクロマトグラフィー分析によるピークの総面積を、総香気量として算出した。また、各ピークを分析時のカラム温度を基に下記のように4つのエリアに分類し、各エリア別のピーク面積を算出し、総香気面積を100%として比較した。
高沸点エリア:カラム温度101℃〜220℃
中沸点2エリア:カラム温度76℃〜100℃
中沸点1エリア:カラム温度41℃〜75℃
低沸点エリア:カラム温度40℃
結果を表3に示す。
瓶詰された各インスタントコーヒーを6名の専門パネルが各自開封し、その直後の瓶ヘッドスペースの香りの特徴を評価した。官能評価は専門パネル6名により、各試料の加熱風味の強さ、甘い香の強さ、酸臭の強さを、絶対評価にて、非常に強い、強い、弱い、なしの4段階で評価した。結果を表4に示す。
2 ガス捕集装置
3 送ガスポンプ
4 ガス入口
5 三方コック
6 不活性ガス
7 コーヒー豆
8 ガス出口
9 カッター
10 配管
11 ガス捕集装置出口
12 三方コック
13 恒温槽
14 コーヒー抽出後のコーヒー豆
15 コーヒーオイル
16 コーヒー搾油粕
17 搾油装置(エキスペラー)
Claims (9)
- コーヒーオイルに焙煎コーヒー豆の粉砕時に放出されるアロマ成分を含有させた芳香コーヒーオイルの製造方法であって、下記工程:
(1)焙煎コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、
(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを、抽出済みコーヒー豆を圧搾処理して得られたコーヒーオイル中に導入する工程、および
(3)導入した前記粉砕ガスを前記コーヒーオイルで捕集して芳香コーヒーオイルを調製する工程
を含むことを特徴とする芳香コーヒーオイルの製造方法。 - 前記工程(2)が不活性ガスによる搬送である請求項1に記載の芳香コーヒーオイルの製造方法。
- 前記不活性ガスが炭酸ガスまたは窒素ガスである請求項2に記載の芳香コーヒーオイルの製造方法。
- 前記コーヒー粉砕ガスとコーヒーオイルとの接触がガス分散型の気泡塔もしくは泡鐘棟または液分散型のスクラバーもしくは多管式濡れ壁塔である請求項1〜3のいずれかに記載の芳香コーヒーオイルの製造方法。
- 前記導入工程(2)において、コーヒーオイルに導入した後のガスを再度粉砕機に搬送させて粉砕コーヒー豆とコーヒーオイルとの間を循環させる請求項1〜4のいずれかに記載の芳香コーヒーオイルの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた芳香コーヒーオイル。
- 請求項6に記載の芳香コーヒーオイルを食品に添加することを特徴とする芳香食品の製造方法。
- 前記食品がインスタントコーヒーである請求項7に記載の芳香食品の製造方法。
- 請求項7又は8に記載の製造方法により得られた芳香食品。
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