JP2006020539A - スタテリン融合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スタテリンの製造が可能な新たな生産系を確立する。
【解決手段】 スタテリン構造ペプチドがシスタチンのカルボキシ末端と融合してなるスタテリン融合タンパク質;当該スタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子;当該遺伝子を挿入した組換えベクターを宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して当該遺伝子を発現させ、培養物中に生成蓄積されたタンパク質を採取することを特徴とするスタテリン融合タンパク質の製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、スタテリン融合タンパク質及びその製造法に関する。
スタテリンは、ヒトの顎下腺及び耳下腺唾液中に認められるリン酸化ペプチドである。スタテリンは43アミノ酸残基からなる低分子量(5.380kDa)のペプチドであり、酸性(pI 4.2)でチロシン、プロリンに富んだユニークなアミノ酸一次配列を持ち、高い電荷の非対称性を持つ(非特許文献1及び2参照)。斯かるスタテリンは、多様な生理学的性質を有する機能性分子であり、ヒドロキシアパタイトに吸着すること(非特許文献3参照)や、唾液中で過飽和したリン酸カルシウムの析出を抑制することが報告されている(非特許文献4参照)。また、近年スタテリンが歯の表面にペリクル(歯牙表面に吸着した唾液タンパク質の層)を形成し、濃度依存的にう触原因菌の歯牙への吸着を抑制することが報告されている(特許文献1参照)。従って、スタテリンは、う蝕防止、歯牙の着色予防、歯垢形成抑制効果等を発揮する口腔衛生用の素材として期待されている。
斯かるスタテリンの生産は、これまでに大腸菌を用いた遺伝子工学的手法による生産が報告されているが(非特許文献5参照)、生産量が少なく、生産物が菌体内に蓄積されるため精製に負担がかかってしまう等の問題があり、現在のところ、実用可能なレベルでスタテリンを生産できる系は未だ構築されていない。
特開2002−29948号公報 Schlesinger and Hay, (1977) J. Biol. Chem. 252. 1689-1695 Elgavish et al., (1984) Int. J. Peptide Protein Res. 23. 230-234 Douglas et al., (1991) Biochem. Biophys. Res. Commun. 180, 91-97 Schwartz et al., (1992) Calcif. Tiss Int, 50, 511-517 Michele and Patrick, (1999) Protein Exp. Purif. 16. 243-250
本発明は、スタテリンの製造が可能な新たな生産系を確立することを目的とする。
本発明者らは、微生物を用いた種々の生産系によりスタテリンの製造を試みた結果、宿主によっては、スタテリン構造遺伝子を組み込みスタテリンを単独発現させると、目的のものとは分子量が異なるポリペプチドが発現する場合があるが、シスタチンをコードする遺伝子の下流にスタテリンをコードする遺伝子を組込み、これを発現させると、菌体外に目的の分子量を持つ可溶性の融合タンパク質としてスタテリンが生産できることを見出した。
すなわち、本発明は、スタテリン構造ペプチドがシスタチンのカルボキシ末端と融合してなるスタテリン融合タンパク質に関するものである。
また本発明は、以下の(a)又は(b)に示すスタテリン融合タンパク質に関するものである。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質
また本発明は、上記スタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子に関するものである。
また本発明は、以下の(a)又は(b)のDNAからなるスタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子に関するものである。
(a)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA
(b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質をコードするDNA
また本発明は、上記遺伝子を挿入した組換えベクターを宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して当該遺伝子を発現させ、培養物中に生成蓄積されたタンパク質を採取することを特徴とするスタテリン融合タンパク質の製造法に関するものである。
更に本発明は、上記遺伝子を挿入した組換えベクターを宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して当該遺伝子を発現させ、培養物中に生成蓄積したスタテリン融合蛋白質又は生成蓄積後に採取したスタテリン融合蛋白質からスタテリン構造ペプチドを切り出し、次いで当該ペプチドのSer及びSerをリン酸化することを特徴とするスタテリンの製造法に関するものである。
本発明によれば、ヒドロキシアパタイト結合能、歯牙表面でのペリクル形成作用等の生理学的活性を有し、う蝕防止、歯牙の着色予防、歯垢形成抑制等の効果を発揮する口腔衛生用素材としての利用が期待されるスタテリン構造ペプチドを可溶性の融合タンパク質として、菌体外に産生することができる。
本発明のスタテリン融合タンパク質は、スタテリン構造ペプチドがシスタチンのカルボキシ末端と融合してなるものである。
スタテリンは、43アミノ酸残基からなり、Ser及びSerがリン酸化された分子量5.380kDaのリン酸化ペプチドである。本発明において、スタテリン構造ペプチドとは、スタテリンを構成するペプチド又はその部分ペプチドであって、リン酸化を受けることによりスタテリンとしての生理活性、特にヒドロキシアパタイト結合能を有するものをいう。
シスタチンとは、システインプロテアーゼ阻害剤の総称であり、その起源や種類に限定されず、ファミリー1(ステフィンファミリー)、ファミリー2(シスタチンファミリー)及びファミリー3(キニノーゲンファミリー)に分類される全てのシスタチンスーパーファミリー並びに、システインプロテアーゼに対する阻害活性を有する特開平7−126294号公報に記載の新規システインプロテアーゼインヒビター、特表2001−512966号公報に記載のCSTINのようなシスタチン様タンパク質が挙げられる。
斯かる、1)ファミリー1としては、ヒトシスタチンA、ヒトシスタチンB、ラットシスタチンα、ラットシスタチンβ、ヒトc−Ha−ras oncogene product−p21、オリザシスタチンI、オリザシスタチンII、コーンシスタチン、ソヤシスタチン等が挙げられ、2)ファミリー2としては、ヒトシスタチンC、ヒトシスタチンS、ヒトシスタチンSN、ヒトシスタチンSA、ヒトシスタチンD、ヒトシスタチンM、ヒトロイコシスタチン(シスタチンF)、ラットシスタチンC、ラットシスタチンS、マウスシスタチンC、マウスロイコノシスタチン、チキンシスタチン、ウズラシスタチン、ウシ初乳シスタチン、カープシスタチン、タイワンコブラ毒シスタチン、カブトガニシスタチン、チャムサーモンシスタチン、Drosophiaシスタチン、サーコシスタチン、マムシ毒シスタチン等が挙げられ、3)ファミリー3としては、ヒト低分子量キニノ−ゲン、ヒト高分子量キニノーゲン、ウシ低分子量キニノーゲン、ウシ高分子量キニノーゲン、ラット低分子量キニノーゲン、ラット高分子量キニノーゲン、ラットT−キニノーゲン1、ラットT−キニノーゲン2等が挙げられる。このうち、ヒトシスタチンSが好ましい。
本発明のスタテリン融合タンパク質としては、以下の(a)又は(b)に示すタンパク質であるのが好ましい。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質
ここでいう、特異的プロテアーゼとは、血液凝固因子Xa、レニン、エンテロキナーゼ等のプロテアーゼが挙げられる。また、リン酸化の手法としては公知の手法(Glass DBら, Coll Relat Res. 1984 Jan;4(1):63-74やNakamura A. and Shiomi H.,Peptides. 1991 Nov-Dec;12(6):1375-7 など)を用いることができる。すなわち、化学試薬や酵素による反応が利用できる。特に酵素としてはキナーゼを利用することができ、好ましくはセリン/スレオニンキナーゼ、特にカゼインキナーゼIIが好ましい。
ここで、配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列とは、配列番号1のアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すアミノ酸配列をいい、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。スタテリン様活性とは、ヒドロキシアパタイト結合能、唾液中における過飽和リン酸カルシウムの析出の抑制、歯表面でのペリクル形成等のスタテリンと同様の生理活性をいう。
なお、上記のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、公知の部位特異的変異誘発法により実施することができる。
本発明のスタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子は、上述したスタテリン構造ペプチドがシスタチンのカルボキシ末端と融合してなるスタテリン融合タンパク質、或いは配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものであればよいが、特に、(a)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA、又は(b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質をコードするDNA、からなる遺伝子であるのが好ましい。
ここで、「ストリンジェントな条件下」とは、例えばMolecular cloning - a Laboratory manual 2nd edition (Sambrookら、1989)に記載の条件等が挙げられる。例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5Xデンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明のスタテリン融合タンパク質は、本発明のスタテリン融合タンパク質をコードするDNAをベクターに挿入して組換えベクターを作製し、それを宿主に挿入して形質転換体を作製し、その形質転換体を培養し、培養物中に生成蓄積されたタンパク質を採取することにより、製造することができる。
以下、本発明のスタテリン融合タンパク質の製造法を説明する。
(1)スタテリン遺伝子のクローニング
ヒト唾液スタテリンの遺伝子配列は、既に決定されている[Sabatini L., et al, GENE, 89,245-251(1990)]。従って、スタテリン遺伝子のクローニングは、この配列を参考にしてプライマーを合成し、プラスミドDNA型cDNA Library Human Pituitary Gland(タカラバイオ)を鋳型として、スタテリン構造ペプチド43残基をコードする領域をPCR法により増幅することにより行うことができる。PCR反応は、例えばPyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ)を用いることができ、反応条件はその説明書に従って行えばよい。
(2)プラスミドベクターの作製
本発明のスタテリン融合タンパク質発現用に用いることのできるプラスミドベクターとしては、宿主細胞内で複製可能であり、適当な形質転換マーカー遺伝子、宿主内で分泌可能なシグナル配列等をもち、導入した宿主細胞で機能するプロモーターの制御下、シスタチン遺伝子の下流にスタテリン遺伝子を接続した時にシスタチンと融合した状態でスタテリンを発現させることのできるものであれば如何なるものでもよい。また、シスタチン−スタテリンcDNA挿入のため、適当な制限酵素サイトがあることが望ましい。斯かるベクターとしては、例えばStaphylococcus aureus由来のpUB110、Bacilluscereus由来のpBC16、Enterococcus faecalis由来のpAMα1、pAMα1の一部を含み大腸菌、枯草菌で増殖できるシャトルベクターpHY300PLK(タカラバイオ)等が挙げられる。
斯かるプラスミドは、例えば、プロモーター配列及びリボソーム結合部位の下流に本発明のDNAを挿入する方法、例えばシグナルペプチドをコードするDNAの下流に、読み取り枠を揃え、本発明のDNAを挿入する方法等により作製することができる。
プロモーター配列、シグナルペプチド配列等は、上記ベクターを導入する各々の宿主細胞で機能し得るものであればよく、枯草菌を宿主として用いる場合、アルカリバチルス属細菌由来のセルラーゼのプロモーター配列及びシグナルペプチド配列を用いるのが好ましく、特にBacillus sp. KSM-S237のセルラーゼプロモーター及びシグナル配列[Hakamada Y., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 64,2281-2289(2000)]が望ましい。
(3)形質転換体の作製
得られた組換えDNAを用いて、宿主細胞を形質転換することにより、形質転換体を作製する。本発明においてスタテリン融合タンパク質を生産するための宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母等を用いることができるが、枯草菌が好ましい。特に、プロテアーゼ遺伝子が欠損若しくは欠失した枯草菌、プロテアーゼの菌体外分泌が低下した枯草菌が好ましく、特に細胞外プロテアーゼであるaprE遺伝子が削除若しくは不活性化した枯草菌が好適である。プロテアーゼ遺伝子を欠損させる削除又は不活性化させる方法は、公知の方法、例えば標的遺伝子を順次削除又は不活性化する方法や、ランダムな遺伝子の削除又は不活性化変異を与えた後、適当な方法によりプロテアーゼ生産性の評価等を行うことにより目的の遺伝子を削除又は不活性化した菌株を得る方法がある。
尚、形質転換は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、塩化ルビジウム法、リポフェクション法、DEAE−デキストラン法、リチウム法、スフェロプラスト法、ウイルス等により行えばよい。
(4)融合タンパク質の採取
以上のようにして得られた形質転換体を適当な培地にて培養し、培養物中にタンパク質を生成蓄積させ、これを採取することにより、本発明のスタテリン融合タンパク質を得ることができる。形質転換体を培養する方法は、その宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
形質転換体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。例えば、組換え枯草菌の培養に用いる培地としては、炭素源として、ぶどう糖や果糖等の単糖類、しょ糖、麦芽糖等の二糖類又は可溶性澱粉等の多糖類等を配合した培地や、窒素源として、酵母エキス、魚肉エキス、コーンスティープリカー(CSL)等を配合した以下に示すようなCM培地等を用いることができる。
また、培地のpHは6.0〜8.0に調節することが適当であり、pHの調整は、無機又は有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行えばよい。
培養は、15〜45℃、好ましくは25〜45℃で、6〜60時間、更に好ましくは24〜60時間行い、必要により通気や攪拌を加えてもよい。
上記、組換え枯草菌の場合は、培地のpHは用いる枯草菌が生育し得る範囲、例えば、pH6.0〜8.0に調整するのが好適である。また、培養条件は、15〜42℃、好ましくは28〜37℃で2〜7日間振盪、または通気撹拌培養すればよい。
上記形質転換体の培養液から、発現させたタンパク質を単離精製するためには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。本発明のスタテリン融合タンパク質は、細胞外に溶解状態で産生されているので、培養終了後、遠心分離により細胞を除いた上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製することにより得ることができる。
また、得られたスタテリン融合タンパク質は、血液凝固因子Xa、レニン、エンテロキナーゼ等の特異的プロテアーゼや化学的切断により、スタテリン構造ペプチドのみを切り出すことができる。そして、当該スタテリン構造ペプチドのSer及びSerをリン酸化することにより、生理活性を有するスタテリンを得ることができる。
比較例1 スタテリンの単独生産
(1)バチルス・エスピーKSM-S237株由来のセルラーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpHYEglSを鋳型とし、配列番号3(GCGAATTCGATTTGCCGATGCAACAGGCTTATATTTAG)及び配列番号4(AGGAACTTCATATTACCTCCTAAATATTTTTAAAG)の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによって237プロモーター、シグナル遺伝子を含む0.66kbの遺伝子断片を得た。
(2)脳下垂体ヒトcDNAライブラリー(タカラバイオ)を鋳型とし配列番号5(GGAGGTAATATGAAGTTCCTTGTCTTTGC)及び配列番号6(GAAAGCTTACTAAAAGGTATATTGTTGGTA)の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによってスタテリン構造遺伝子を含む0.13kbの遺伝子断片を得た。
(3)(1)及び(2)で得た遺伝子断片を鋳型として、配列番号3及び配列番号6の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによって237プロモーター、シグナル遺伝子及びスタテリン構造遺伝子が結合した0.79kb遺伝子断片を得た。
(4)(3)で得た遺伝子断片のEcoRI及びHindIII分解物と、シャトルベクターpHY300PLKをEcoRI及びHindIIIにより分解して調製した4.9kb断片をT4DNAリガーゼで結合した。遺伝子のサブクローニングに用いる大腸菌宿主としてEsherichiacoli HB101株(タカラバイオ)を使用した。遺伝子をサブクローニングするベクターとしてpHY300PLK(タカラバイオ)を使用した。増幅された遺伝子断片の塩基配列をサンガー法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,,74:5463(1982)]により決定し、PCR法による配列のエラーが起こっていないことを確認し、組換えプラスミドpH237STを得た。
(5)(4)で得た組換えプラスミドによる細胞外プロテアーゼであるaprE遺伝子を削除又は不活性化した枯草菌の形質転換を行い再生用DM3培地に出現した形質転換体コロニーを、表1に示したCM培地を使用し、以下の条件で培養した。すなわち、大型試験管(シード培地、5mL仕込)にて15時間培養した前培養液を、500mLヒダつき三角フラスコ(メイン培地、20mL仕込)に4%植菌し、培養温度30℃、回転数210rpmで3日間培養を行った。培養液を遠心分離し、得られた培養上清をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、CBB染色、抗スタテリン抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。その結果、培養上清にCBB染色では発現産物は認められず、抗体染色では目的と異なるサイズに抗スタテリン抗体に反応する発現産物が認められた(図1)。
実施例1 融合タンパク質によるスタテリンの生産
(1)バチルス・エスピーKSM-S237株由来のセルラーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpHYEglSを鋳型とし、配列番号3及び配列番号7(TTTATCATCATCATCGGCTTCTTGACACCTGGA)の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによって237プロモーター、シグナル遺伝子、ヒト唾液シスタチン構造遺伝子及びエンテロキナーゼ認識配列遺伝子を含む1.04kbの遺伝子断片を得た。
(2)脳下垂体ヒトcDNAライブラリー(タカラバイオ)を鋳型とし配列番号8(GATGATGATGATAAAGATTCATCTGAAGAGAAA)及び配列番号9(GAAAGCTTACTAAAAGGTATATTGTTGGTA)の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによってエンテロキナーゼ認識配列を含むスタテリン構造遺伝子が結合した0.14kbの遺伝子断片を得た。
(3)(1)及び(2)で得た遺伝子断片を鋳型として、配列番号3及び配列番号6の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRによって237プロモーター、シグナル遺伝子、ヒト唾液シスタチン遺伝子、エンテロキナーゼ認識配列遺伝子及びスタテリン構造遺伝子が結合した1.17kb遺伝子断片を得た。
(4)(3)で得た遺伝子断片のEcoRI及びHindIII分解物と、シャトルベクターpHY300PLKをEcoRI及びHindIIIにより分解して調製した4.9kb断片をT4DNAリガーゼで結合した。遺伝子のサブクローニングに用いる大腸菌宿主としてEsherichiacoli HB101株を使用した。遺伝子をサブクローニングするベクターとしてpHY300PLKを使用した。増幅された遺伝子断片の塩基配列をサンガー法により決定し、PCR法による配列のエラーが起こっていないことを確認し、組換えプラスミドpH237CyESTを得た。
(5)(4)で得た組換えプラスミドによる細胞外プロテアーゼであるaprE遺伝子を削除又は不活性化した枯草菌の形質転換を行い再生用DM3培地に出現した形質転換体コロニーを、表1に示したCM培地を使用し、以下の条件で培養した。すなわち、大型試験管(シード培地、5mL仕込)にて15時間培養した前培養液を、500mLヒダつき三角フラスコ(メイン培地、20mL仕込)に4%植菌し、培養温度30℃、回転数210rpmで3日間培養を行った。培養液を遠心分離し、得られた培養上清をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、CBB染色、抗ヒト唾液シスタチン抗体、抗スタテリン抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。その結果、培養上清にスタテリン融合蛋白質(分子量:約20kDa)が認められ、そのサイズは目的の融合蛋白質のサイズと一致した。(図2)
(6)融合タンパク質の精製には抗体カラム法を用いた。カラム操作に用いるバッファー類は、全てマイレクス−GV 0.22μm(ミリポア)のフィルターでろ過した。まず抗シスタチンS特異的IgGを全血清より精製するため、シスタチンS固定化ゲルを作成した。枯草菌により組換え生産された精製シスタチンS(特願2002−226244)12.5mgを添付の説明書にしたがってAffi-Gel 10Gel(バイオラド)25mlに対して固定化した。シスタチンS固定化ゲルを100ml PBSバッファー(ニッポンジーン)で洗浄した後、PBSバッファーで全血清を10倍に希釈した抗体希釈液300mlに添加し、室温で30min振盪攪拌した。ゲルを含む抗体希釈液をグラスフィルターでろ過し、200mlのPBSバッファーで洗浄した。溶出操作は0.1M グリシン+0.5M NaCl pH3.0溶液50mlで2回行い、抗シスタチンS特異的IgG 4.13mgを含む精製抗体液100mlを得た。
抗シスタチンS抗体カラムの作成は、HiTrap ProteinG HP, 1mlカラム(アマシャムバイオサイエンス)を使用した。精製抗体溶液100mlをアミコンウルトラ‐30(ミリポア)を用いて10倍に濃縮し、PD−10脱塩カラム(アマシャムバイオサイエンス)を用いて、14ml のPBSバッファーに交換した。HiTrap ProteinG HP, 1mlカラムを5mlの超純水で洗浄し、バッファー交換した精製抗体溶液をカラムに送液した。カラムをシールし室温で30min置いた後、5mlのPBSバッファーで洗浄した。次にピメリン酸ジメチル2塩酸塩45.9mgを0.2M トリエタノールアミン−HCl pH8.3溶液5mlに溶解させたカップリングバッファー5mlをカラムに送液した。カラムをシールし室温で1h反応させ抗体とProteinGをカップリングさせた後、0.5Mグリシン+0.5M NaCl pH8.3溶液5mlを送液した。カラムをシールし室温で1h置いてブロッキングした後、0.1Mグリシン pH3.0溶液5mlで洗浄し、架橋しなかった抗体を溶出させた。抗体の失活を防ぐためにすぐに50mM Tris-HCl pH7.5溶液5mlで平衡化した。
枯草菌168ΔaprE−pH237CySTの培養上清500mlをアミコンウルトラ‐10(ミリポア)を用いて10倍に濃縮し、PD‐10脱塩カラムを用いて70mlのPBSバッファーに交換した。抗CyS抗体カラムを5mlのPBSバッファーで平衡化したのち、バッファー交換した培養上清70mlを送液した。5mlのPBSバッファーで洗浄したのち、0.1M グリシン pH3.0溶液5mlで溶出させた。抗CyS抗体カラムは0.5M グリシン+0.5M NaCl pH8.3 溶液で洗浄し、50mM Tris-HCl+コンプリートミニ(ロシュ)pH7.5溶液5mlで平衡化し、4℃で保存した。
融合タンパク質の切断には組換えエンテロキナーゼ(ノバジェン)を使用した。切断条件は添付の説明書に従った。切断され生じた7kDaのペプチドについて抗スタテリン抗体による発色を確認した。(図3)
図1は、スタテリン単独発現の結果を示す。 図2は、シスタチン−スタテリン融合タンパク質発現の結果を示す。 図3は、融合タンパク質からのスタテリンの切り出し結果を示す。

Claims (8)

  1. スタテリン構造ペプチドがシスタチンのカルボキシ末端と融合してなるスタテリン融合タンパク質。
  2. シスタチンがヒトシスタチンSである請求項1記載のスタテリン融合タンパク質。
  3. ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約20kDaである請求項1記載のスタテリン融合タンパク質
  4. 以下の(a)又は(b)に示すスタテリン融合タンパク質。
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質
  5. 請求項1又は2記載のスタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子。
  6. 以下の(a)又は(b)のDNAからなるスタテリン融合タンパク質をコードする遺伝子。
    (a)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA
    (b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ特異的プロテアーゼにより切断され、更にSer及びSerのリン酸化を受けることによりスタテリン様活性を示すタンパク質をコードするDNA
  7. 請求項3又は4に記載の遺伝子を挿入した組換えベクターを宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して当該遺伝子を発現させ、培養物中に生成蓄積されたタンパク質を採取することを特徴とするスタテリン融合タンパク質の製造法。
  8. 請求項3又は4に記載の遺伝子を挿入した組換えベクターを宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して当該遺伝子を発現させ、培養物中に生成蓄積したスタテリン融合蛋白質又は生成蓄積後に採取したスタテリン融合蛋白質からスタテリン構造ペプチドを切り出し、次いで当該ペプチドのSer及びSerをリン酸化することを特徴とするスタテリンの製造法。
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