JP2006019728A - 交換結合された反強磁性/強磁性構造による垂直磁気バイアスを有する異常磁気抵抗センサ - Google Patents

交換結合された反強磁性/強磁性構造による垂直磁気バイアスを有する異常磁気抵抗センサ Download PDF

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Abstract

【課題】小さい印加磁場においてセンサの磁気抵抗がより高く、印加磁場への応答がより直線的な、改良型磁場バイアスを備えたEMRセンサを得る。
【解決手段】EMRセンサ110は、EMR活性フィルム130の上部に交換結合された反強磁性/強磁性積層膜構造を有する。積層膜構造内の強磁性層180は垂直磁気異方性を有し、反強磁性層190により交換バイアスされている。積層膜構造は、EMR活性フィルム130の面に対して垂直な磁場181を提供し、EMRセンサ110の磁場応答に対して磁気抵抗をバイアスする。強磁性層180は垂直磁気記録にとって有益な任意の強磁性材料から形成することができ、その異方性軸が著しく面外となるように作成される。反強磁性層190は、Mn合金あるいは絶縁性反強磁性材料で形成される。
【選択図】図4

Description

本発明は、一般に磁気抵抗センサに関し、より詳細には、異常磁気抵抗(EMR:Extraordinary Magnetoresistance)に基づくこのようなセンサに関する。
磁気記録ハードディスクドライブ用読取りヘッドセンサとして、異常磁気抵抗(EMR)による磁気抵抗センサが提案されてきた。EMRセンサ内の活性領域は非磁性半導体から形成されるため、EMRセンサは、巨大磁気抵抗効果(GMR)およびトンネル磁気抵抗効果(TMR)(いずれも活性領域に磁気フィルムを使用する)による読取りヘッドセンサに存在する磁気ノイズの問題に悩まされることはない。
EMRは、活性領域の片側に接触する一対の電圧リードおよび一対の電流リードと、活性領域のもう片側に接触する導電性シャントとを含む。印加磁場が存在しなければ、電流リードを通るセンス電流が半導体の活性領域の中を通り、シャントを通してシャントされる。印加磁場が存在すれば、電流はシャントから偏向され、主として半導体の活性領域中を通過する。印加磁場による電気抵抗の変化は電圧リードの両端で検出される。EMRは非特許文献1で説明されている。読取りヘッドを応用するためのEMRセンサは非特許文献2で説明されている。
EMRセンサの問題の1つに、その磁気抵抗が印加磁場のほぼ二次関数であるということがある。このように、磁気抵抗応答は、記録の行われる磁気媒体からの小さな磁場が存在する場合、小さくかつ非線形である。電圧リードを非対称に配置することによって、EMRセンサのバイアスが提案されてきた。EMRセンサのバイアスは、特許文献1に記載されているように、センサに垂直磁場を印加する単一の強磁性層の使用によっても提案されてきた。
米国特許第6714374号明細書 T. Zhou et al著「Extraordinary magnetoresistance in externally shunted van der Pauw plates」, Appl. Phys. Lett., Vol. 78, No.5、2001年1月29日、p.667‐669 S. A. Solin et al著「Nonmagnetic semiconductors as read-head sensors for ultra-high-density magnetic recording」, Appl. Phys. Lett., Vol. 80, No. 21、2002年5月27日、p.4012‐4014
必要とされているのは、小さい印加磁場においてセンサの磁気抵抗がより高く、印加磁場への応答がより直線的な、改良型磁場バイアスを備えたEMRセンサである。
本発明は交換結合された反強磁性/強磁性積層膜構造を使用するEMRセンサであり、この構造がセンサ用垂直磁気バイアスを提供する。積層膜構造内の強磁性層は垂直磁気異方性を有し、反強磁性層によって交換バイアスされている。反強磁性/強磁性の積層膜構造はEMR活性フィルムの上部にあり、活性フィルムの面に対して垂直な磁場を提供して、EMRセンサの磁気抵抗を磁場応答に対してバイアスする。
強磁性層は、その磁化を層の面に対して実質的に垂直に配向できるような方法で作成可能な、任意の強磁性材料あるいは多層膜から形成することができる。本来の磁気異方性が事実上面外である強磁性材料を選択することにより、実質的に面に対して垂直な磁化を実現することができる。反強磁性層は、公知のMn合金、例えばPtMn、NiMn、FeMn、IrMn、PdMn、PtPdMn、およびRhMnのうちのいずれか、あるいは絶縁反強磁性材料、例えば酸化コバルトおよび酸化ニッケル反強磁性材料に基づくもののうちのいずれかから形成される。強磁性層あるいは反強磁性層のいずれも、積層膜構造内で下層とすることができる。EMR活性フィルムと、交換結合された反強磁性/強磁性の積層膜との間には、拡散隔壁を配置することができる。
本発明の性質および利点を完全に理解するために、添付の図と合わせて考慮される以下の詳細な説明を参照すべきである。
本発明によれば、小さい印加磁場においてセンサの磁気抵抗がより高く、印加磁場への応答がより直線的な、改良型磁場バイアスを備えたEMRセンサを提供することができる。
<従来技術>
図1は従来技術によるEMRセンサ10の等角図である。EMRセンサ10は、GaAsなどの半導体基板12上に形成されたIII‐Vヘテロ構造である構造20を含む。しかし本発明で説明するEMRセンサはIII‐V半導体に限定されるものではなく、例えば、シリコンからなる基板上に形成することもできる。ヘテロ構造20は、第一バンドギャップを有する半導体材料の第一層22と、第一層22の上に形成されて第一バンドギャップよりも小さい第二バンドギャップを有する半導体材料の第二層30と、第二層30の上部に形成されて第二バンドギャップよりも大きい第三バンドギャップを有する半導体材料の第三層24とを含む。第一層22および第三層24の材料は、類似あるいは同一にすることもできる。種々のバンドギャップが種々の材料からできているため、第一、第二、第三の半導体材料層によってエネルギー的ポテンシャル井戸(量子井戸)を作ることができる。したがって、センサ10内のEMR活性フィルムと見做される層30の内部に担体を閉じ込めることができる。
第一層22は通常、単数または複数の層とすることのできるバッファ層26の上部に形成される。バッファ層26は、基板中に存在する不純物が機能層22、24、30へ移動するのを防ぐよう機能する数周期の超格子構造を含む。さらにバッファ層26は、基板12とヘテロ構造20の機能層との通常は異なる格子定数を適応させ、基板と機能層との間の張力緩和層の機能を果たすように選択される。
第一層22、または第三層24、あるいは両層22、24にある半導体材料には単数または複数のドープ層が組み込まれており、このドープ層は第二および第三半導体材料の境界から離間している。ドープ層は量子井戸へ、電子(n型ドープの場合)、あるいは正孔(p型ドープの場合)を提供する。電子あるいは正孔は、それぞれ二次元電子ガスあるいは二次元正孔ガスの形態で量子井戸に集められる。
先に言及した参考文献に記載されているように、層22/30/24は、バッファ層26を間にして半絶縁性基板GaAs12上へと成長したAl0.09In0.91Sb/InSb/Al0.09In0.91Sbヘテロ構造であってもよい。InSbは細いバンドギャップ半導体である。バンドギャップ半導体が細ければ、有効電子質量が著しく減少するため、一般に電子移動度が高くなる。一般的な細いバンドギャップの材料はInSbおよびInAsである。例えば、InSbおよびInAsの室温電子移動度は、それぞれ70,000cm/Vsおよび35,000cm/Vsである。
バッファ層26上に形成されるAl0.09In0.91Sb底層22は約1〜3ミクロンの範囲の厚さを有し、Al0.09In0.91Sb最上層24は約10〜1000nmの範囲、通常50nmの厚さを有する。層22あるいは24に組み込まれたドーピング層は、1モノレイヤー(デルタ‐ドープ層)〜最大10nmの厚さを有する。ドーピング層は、第一と第二半導体材料、あるいは第二と第三半導体材料のInSb/Al0.09In0.91Sb境界から10〜300オングストロームの距離で離間している。電子は通常、正孔よりも移動度が高いので、N型ドーピングが好ましい。通常のN型ドーパントは、1〜1019/cmの範囲の濃度のシリコンである。ヘテロ構造20の蒸着方法は分子線エピタキシー法が好ましいが、別のエピタキシャル成長法を使用することもできる。
ヘテロ構造20の上にはキャッピング層40が形成されて、装置を腐食から保護する。キャッピング層は、アルミニウムやシリコンの酸化物または窒化物(例えばSi、Al)などの絶縁材料、あるいは非腐食性の半絶縁性半導体から形成される。
2つの電流リード50、52、および2つの電圧リード60、62がEMR構造20の片側にパターニングされ、これらが量子井戸と電気的に接触する。EMR構造20の電流リードおよび電圧リードの反対側には金属シャント70がパターニングされ、これが量子井戸と電気的に接触する。印加磁場H、すなわち検知されるべき磁場を矢印で示す。これはEMR構造20のフィルム面に対して垂直である。リードは通常、装置中に拡散させた金属接触部、例えば、Au、AuGe、あるいはGeを含む。リードは通常、キャッピング層40形成後に形成されるが、キャッピング層材料の一部を除去した後に形成されることもある。
図2はEMRセンサ10の活性フィルム30の一区域を通る上面概略図であり、センサの基本動作を示す。印加磁場Hが存在しない場合、リード50、52を通るセンス電流は半導体活性フィルム30の中を通り、線80に示すようにシャント70を通ってシャントされる。図2の紙面に矢印後部が示すような印加磁場Hが存在する場合、電流がシャント70から偏向され、線82に示すように主として半導体活性フィルム30中を通過する。印加磁場による電気抵抗の変化は電圧リード60、62の両端で検出される。
従来技術によるEMRセンサ10の問題の1つに、その磁気抵抗[(R−Rmin)/Rmin]が印加磁場の関数としてほぼ二次関数になるというものがある。したがって、対象範囲の印加磁場、すなわち記録の行われる磁気媒体からの小さい磁場において、磁気抵抗応答は小さくかつ非線形である。このことは図3Aにおいて、図1、図2と図3Aの線図とに示すような、電流リードおよび電圧リードが対称的であるEMRセンサの、磁場応答に対する理論上の磁気抵抗により示される。
図3Bの線図に示すように、電圧リードの非対称配置によるEMRセンサのバイアスが提案されてきた。図3Bは、電圧リードが非対称であるEMRセンサの磁場応答に対する理論上の磁気抵抗を示す。図3Bのセンサは、印加磁場ゼロにおいて、図3Aのセンサよりも磁気抵抗が高く、応答がより線形的である。
特許文献1に記載されているように、EMRセンサのバイアスは、垂直磁場をセンサに印加する単一の強磁性層を使用することによっても提案されてきた。
<本発明>
本発明のEMRセンサは、反強磁性層を有する層の面に対して垂直に交換バイアスされ、EMRフィルム構造の上部に配置された強磁性材料層を含む。この反強磁性/強磁性(AF/F)積層膜構造は、EMRセンサの磁気抵抗を磁場応答に対してバイアスする磁場をもたらす。米国特許第6650513号明細書には、AF/F構造において保磁力が強化されてヒステリシス・ループをシフトできる、面に対して垂直で強磁性層が面外の強磁性容易軸を有する交換‐バイアスが記載されている。垂直な交換‐バイアス効果の規模は、強磁性層が層の面内で交換バイアスされている、同様のAF/F構造内に見受けられるものに匹敵する。
図4は本発明によるEMRセンサの等角図である。EMRセンサ110は、第一半導体層122、第二半導体EMR活性層130、および第三半導体層124と、半導体基板112上に形成されたバッファ層126とを含む量子井戸フィルム構造120を有するという点では従来技術のセンサ10と同じである。2つの電流リード150、152、および2つの電圧リード160、162がEMR活性フィルム130と電気接触し、電流リードおよび電圧リードの反対側では金属シャント170がEMR活性フィルム130と電気接触する。印加磁場H、すなわち検知されるべき磁場を矢印で示す。これはEMR構造120のフィルム面に対して垂直である。センサ110の上部にはキャッピング層140がある。
EMRセンサ110は基板112上に強磁性層180も含む。図4の好ましい実施態様において、基板112と強磁性層180との間にEMR構造120が描かれる。強磁性層180は垂直磁気異方性を有し、EMR活性フィルム130の面に対して垂直に配向された面外の磁気モーメント181を有する。強磁性層180からのモーメント181はバイアス磁場であり、これに対してEMR活性フィルム130が晒されている。これにより、印加磁場ゼロにおいてセンサ110がより高い磁気抵抗と、より線形的な応答を有するように、磁気抵抗が磁場応答曲線に対してシフトされる。バイアス磁場をもたらす強磁性層180は反強磁性層190により交換バイアスされる。
面に対して垂直に帯磁する強磁性層から生成された磁場Hに、均一に帯磁する厚さt、長さLの平方ブロックの磁場を接近させることができる。原点を平方ブロックの上面とすれば、層に対して垂直なY軸に沿う磁場Hは次式により得られ、
Figure 2006019728
ここでqおよびqは、
Figure 2006019728
であり、yはY軸に沿う距離である。一例として、面に対して垂直に帯磁するCo層が、磁化M約1400emu/cm、長さL=100nm、厚さt=10nmの場合、y=10nmにおいて、磁場Hは約1400Oeである。
強磁性バイアス層180の材料は、垂直磁気記録に有益な強磁性材料のうちの任意のものであってよく、化学的規則性のあるL1相のFePt合金、CoPt合金、あるいは(FeCo)Pt合金や、CoCrPt合金、およびCo/Pd多層膜、Co/Pt多層膜、Fe/Pd多層膜、Fe/Pt多層膜を含む。この強磁性層は、その異方性軸が著しく面外となるように作成されるので、「垂直」磁気異方性を有すると見做される。これらの合金および多層膜は付加的元素でドープされていてもよい。例えば、垂直記録用にCoCrPtX合金が提案される(X=B、Nb、Taは一般的なドーパント)。同様に、Co/Pd多層膜およびCo/Pt多層膜におけるCo層はしばしば元素Yを含み、CoはCo‐Y合金である(Y=B、Ta、Cr、O、Cu、Ag、Pt、Pd)。別の好適な強磁性材料として、フェライト、例えばCo‐フェライトあるいはNi‐フェライトがある。これらのフェライトは絶縁性であり、したがって絶縁層を使用してEMRヘテロ構造を強磁性バイアス層180から離間する必要がないという利点を有する。
反強磁性層190は十分に厚いMn合金層(PtMn、NiMn、FeMn、IrMn、PdMn、PtPdMn、あるいはRhMn)とすることができる。PtMn層であれば、アニーリングの際、化学的規則性があり、かつ反強磁性となるように約100オングストロームより厚くする必要があり、IrMn層であれば、約40オングストロームよりも厚い場合、蒸着すると反強磁性となる。これらの反強磁性Mn合金は、通常、腐食抵抗を向上、あるいは電気抵抗を増加するために付加される付加的元素、例えばCr、V、Pt、Pd、Niを少量含んでもよい。これらの反強磁性材料は金属であるため、電気的絶縁材料である反強磁性層190を形成するのが望ましいことがあり、これには例えば酸化コバルト、酸化ニッケル、およびコバルトとニッケルとの合金の酸化物から形成される公知の反強磁性材料などがある。
強磁性層180はHC0の本来の保磁力を有する。反強磁性層190に交換結合される場合、その保磁力はH>HC0へと強化されることになり、そのM‐Hループは交換磁場Hによりシフトされることになる。交換磁場Hは、強磁性層180と反強磁性層190との間の磁気結合力J、強磁性層180の厚さtと磁化Mにより、次式で確定する。
=J/M
したがって、EMRセンサ110が磁気記録読取りヘッドでの使用を意図されている場合、値(H+H)は、磁気媒体上の磁気遷移からの磁場、すなわち、通常+/−200〜+/−500Oeの範囲の検知磁場よりも大きく、しかし磁気媒体のビットを反転するのに必要な磁場よりも低くなければならない。値(H+H)が磁気遷移からの磁場よりも大きければ、印加磁場に晒されても、強磁性層180のモーメント181が切り換わらないことが保証される。したがって、交換‐バイアス磁場Hを比較的大きくすることができることにより、強磁性層180の本来の保磁力HC0は比較的低くすることができる。このことにより、強磁性層180の材料および厚さの選択肢を広げることができる。例えば、[Co(0.7nm)/Pt(0.5nm)]多層膜を強磁性層180として使用し、15nm厚のPtMn層を反強磁性層190として使用する結果、Hが約200Oe、Hが約450Oeとなる。[Co(0.7nm)/Pt(0.5nm)]多層膜は本来の保磁力HC0が約100Oe程度と比較的低く、これは検知磁場よりもさらに少ない。
上記事例における[Co(0.7nm)/Pt(0.5nm)]多層膜は、面に対して垂直な本来の磁気異方性を呈するCo/Pt多層膜、Co/Pd多層膜、Fe/Pt多層膜、Fe/Pd多層膜の群のうちの1つである。これらの多層膜は、室温あるいは低温で蒸着する際でも、保磁力および有効磁化を広い範囲内で作成できるので本発明において特別有益である。これらの多層膜の可同調性が高いことは、Fe層あるいはCo層の強磁性結合がPtあるいはPdよりも高いうえ、CoおよびFeのモーメントが大きく、PtあるいはPdの誘発的モーメントがはるかに小さいことに起因する。さらに、これらの多層膜は、直角度の高いM‐Hループを有する。すなわち、飽和磁気モーメントへの残留率が1に近い。
EMRセンサ110は、任意でEMR構造120と強磁性層180との間に拡散隔壁182を含むこともできる。拡散隔壁182にとって好ましい材料には、アルミニウムおよびシリコンの酸化物および窒化物、例えばAl、Si0、Siを含む。
図4では、反強磁性/強磁性積層膜180/190を、反強磁性層190を強磁性層180の上にして示す。一方で、反強磁性層190は強磁性層180の下に配置することもできる。このような配置において、反強磁性層190が電気的に絶縁性であれば、拡散隔壁182は必ずしも必要でない。
EMRセンサ110は次のようにして作製される。半絶縁性基板上に、先に述べたようなヘテロ構造を成長させる。反応性イオンエッチング(RIE)あるいはイオンミリングにより、作製すべきEMRセンサの形状を画定するメサをエッチングする。そして、例えばシャドーマスクを使用してリード150、152、160、162、およびシャント170を蒸着する。次に、拡散隔壁182として、メサ、リード、シャントの上にアルミナなどの絶縁材料を蒸着する。そして例えば化学機械研磨(CMP)により、構造を平坦化する。スパッタリング、イオンビーム堆積、蒸着、分子気相成長法(MOCVD)、あるいはこれらの技術の組み合わせにより、平坦化した表面の上部に強磁性層180および反強磁性層190を成膜する。
そして、EMRメサ構造の真上と、特にEMR活性領域の上とにこれらの層の一部のみが残るように、RIEあるいはイオンミリングにより強磁性層180および反強磁性層190を部分的に除去する。PtMnあるいはNiMnのような化学的規則性のある反強磁性体が層190に使用される場合、層の面に対して垂直に配向された磁場が存在すると構造はアニーリングされる。合金は化学的に配列して常磁性‐反強磁性の相転移を受ける。反強磁性体を、ブロッキング温度以下、すなわち強磁性層180と反強磁性層190との間で交換結合が生ずる温度以下に冷却すると、強磁性層180の磁化方向181が設定され、反強磁性層190により固定される。選択的に、強磁性層180および反強磁性層190を高温で蒸着して、反強磁性層190の化学的規則が蒸着中にはすでに含まれているようにすることができる。そして、層の面に対して垂直に配向された磁場内で、蒸着温度からブロッキング温度へと構造を冷却する。
IrMnあるいはFeMnのように化学的に不規則な反強磁性体を層190に使用すれば、アニーリングは不要となる。層の面に対して垂直に配向された磁場が存在する場合には、強磁性層180および反強磁性層190を蒸着するだけで十分である。一方で、層の面に対して垂直に配向された磁場が存在する場合、蒸着後にアニーリングすると、バイアス磁場Hが増加し得るので好ましいことがある。
本発明を、好ましい実施態様を参照して具体的に示し記述したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細を様々に変更できるということが当業者には理解されよう。したがって、開示された本発明は、単に説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲で規定される範囲においてのみ限定されるものと見做されるべきである。
従来技術によるEMRセンサの等角図である。 図1の従来技術によるEMRセンサの、EMR活性フィルムの一区域を通る上面概略図であり、センサの基本動作を示す。 電流リードおよび電圧リードが対称的である従来技術のEMRセンサの、磁場応答に対する理論上の磁気抵抗を示す図である。 電圧リードが非対称的である従来技術のEMRセンサの、磁場応答に対する理論上の磁気抵抗を示す図である。 本発明によるEMRセンサの等角図である。
符号の説明
110…EMRセンサ、
112…基板、
120…EMR構造、
122…第一半導体層、
124…第三半導体層、
126…バッファ層、
130…第二半導体EMR活性層、
140…キャッピング層、
150,152…電流リード、
160,162…電圧リード、
170…金属シャント、
180…強磁性層、
181…磁気モーメント、
182…拡散隔壁、
190…反強磁性層。

Claims (22)

  1. 半導体基板と、
    前記基板上にある異常磁気抵抗(EMR)活性フィルムであって、当該EMR活性フィルムに対して概ね垂直な磁場に応答する非磁性半導体材料を含むEMR活性フィルムと、
    前記活性フィルムに接触する導電性シャントと、
    前記活性フィルムに接触する一対の電流リードと、
    前記活性フィルムに接触する一対の電圧リードと、
    前記基板上にある強磁性層であって、その磁気モーメントが当該強磁性層および前記活性フィルムの面に対して概ね垂直に配向されている強磁性層と、
    前記強磁性層に接触する反強磁性層であって、前記強磁性層の磁気モーメントが当該反強磁性層によって垂直にバイアスされる反強磁性層と、
    を有することを特徴とする異常磁気抵抗(EMR)センサ。
  2. 前記強磁性層の材料が、コバルト‐白金‐クロム合金、鉄‐白金合金、単数または複数のコバルト‐白金積層膜、単数または複数のコバルト‐パラジウム積層膜、単数または複数の鉄‐白金積層膜および単数または複数の鉄‐パラジウム積層膜からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  3. 前記強磁性層の材料が、Co/Pt多層膜、Co/Pd多層膜、Fe/Pt多層膜およびFe/Pd多層膜の群から選択される多層膜であることを特徴とする請求項2記載のセンサ。
  4. 前記強磁性層の材料が、(a)Co‐Y合金およびPtの単数または複数の積層膜、および(b)Co‐Y合金およびPdの単数または複数の積層膜からなる群から選択される(ここでYはB、Ta、Cr、O、Cu、Ag、PtおよびPdからなる群から選択される)ことを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  5. 前記強磁性層の材料が、FePt、CoPtおよび(FeCo)Ptからなる群から選択された材料の化学的規則性のあるL1相であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  6. 前記強磁性層の材料が電気的に絶縁性のフェライトであることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  7. 前記強磁性層が前記EMR活性フィルムと前記反強磁性層との間に配置されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  8. 前記反強磁性層が前記EMR活性フィルムと前記強磁性層との間に配置されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  9. 前記EMR活性フィルムが前記基板と前記強磁性層との間に配置されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  10. 前記反強磁性層が、酸化コバルト、酸化ニッケルおよびコバルトとニッケルの合金の酸化物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  11. 前記反強磁性層が、Mnと、Pt、Rh、Ni、Fe、IrおよびPdからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む合金であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  12. 前記EMR活性フィルムと前記強磁性層との間に拡散隔壁をさらに有することを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  13. 前記拡散隔壁が、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  14. 半導体基板と、
    前記基板上にある異常磁気抵抗(EMR)活性フィルムであって、当該活性フィルムに対して概ね垂直な磁場に応答する非磁性半導体材料を含むEMR活性フィルムと、
    前記活性フィルムに接触する導電性シャントと、
    前記活性フィルムに接触する一対の電流リードと、
    前記活性フィルムに接触する一対の電圧リードと、
    前記活性フィルム上にあり、前記活性フィルムの面に対して実質的に垂直なバイアス磁場を提供する交換結合された反強磁性/強磁性積層膜であって、(a)コバルト‐白金‐クロム合金、鉄‐白金合金、単数または複数のコバルト‐白金積層膜および単数または複数のコバルト‐パラジウム積層膜からなる群から選択された材料で形成される強磁性層と、(b)前記強磁性層と交換結合され、酸化コバルト、酸化ニッケル、コバルトとニッケルの合金の酸化物およびMnと、Pt、Ni、Fe、Ir、Pdからなる群から選択された1種の元素とを含む合金からなる群から選択された材料から形成される反強磁性層とを有する積層膜と、
    を有することを特徴とする異常磁気抵抗(EMR)センサ。
  15. 前記強磁性層の材料が、コバルトおよび白金からなる単数または複数の積層膜、あるいはコバルトおよびパラジウムからなる単数または複数の積層膜であり、かつ、前記積層膜中のコバルト層がB、Ta、Cr、O、Cu、Ag、PtおよびPdからなる群から選択された1種の元素を含むことを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  16. 前記強磁性層の材料が、B、NbおよびTaからなる群から選択された1種の元素を含むコバルト‐白金‐クロム合金であることを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  17. 前記反強磁性層が前記強磁性層に交換磁場Hを提供し、前記強磁性層がHにより強化されてHC0よりも大きい保磁力Hとなる本来の保磁力HC0を有し、HとHとの和がセンサにより検知されるべき磁場よりも大きいことを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  18. 前記強磁性層の本来の保磁力HC0が検知されるべき磁場よりも小さいことを特徴とする請求項16記載のセンサ。
  19. 前記強磁性層が前記EMR活性フィルムと前記反強磁性層との間に配置されることを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  20. 前記反強磁性層が前記EMR活性フィルムと前記強磁性層との間に配置されることを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  21. 前記EMR活性フィルムと前記反強磁性/強磁性積層膜との間に拡散隔壁をさらに有することを特徴とする請求項14記載のセンサ。
  22. 前記拡散隔壁が、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択されることを特徴とする請求項21記載のセンサ。
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