本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用トナー及び該静電荷像現像用トナーの製造方法並びに該静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像用現像剤を提供することを目的とする。また、本発明は、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した画像形成方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、結着樹脂及び着色剤を有する静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂の50重量%以上は、結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂であり、前記着色剤は、フラッシング法により顔料を樹脂中に分散させた着色剤であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記結着樹脂の50重量%以上は、結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂であり、前記着色剤は、フラッシング法により得られた着色剤であるので、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化温度及びガラス転移温度は、それぞれ65℃以上140℃以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化温度及びガラス転移温度は、それぞれ65℃以上140℃以下であるので、トナーの低温定着性及び耐オフセット性をより確実に保持することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂のo−ジクロロベンゼン可溶分のGPCによる数平均分子量は500以上6000以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂のo−ジクロロベンゼン可溶分のGPCによる数平均分子量は500以上6000以下であるので、結晶性ポリエステル樹脂の軟化温度及びガラス転移温度を比較的低温にすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂のo−ジクロロベンゼン可溶分のGPCによる数平均分子量に対する重量平均分子量の比は、2以上8以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂のo−ジクロロベンゼン可溶分のGPCによる数平均分子量に対する重量平均分子量の比は、2以上8以下であるので、ガラス転移温度の周辺の比較的狭い温度範囲で結晶性ポリエステル樹脂を溶融させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上45mgKOH/g以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上45mgKOH/g以下であるので、トナーの低温定着性とホットオフセット性を両立させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であるので、トナーの低温定着性と帯電特性を両立させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性不飽和ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性不飽和ポリエステル樹脂を含有するので、軟化温度及びガラス転移温度をトナーの低温定着性と耐オフセット性が良好な温度範囲にすることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性不飽和ポリエステル樹脂の赤外線吸収スペクトルは、965±10cm−1及び990±10cm−1の波数の少なくとも一方に吸収ピークを有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、前記結晶性不飽和ポリエステル樹脂の赤外線吸収スペクトルは、965±10cm−1及び990±10cm−1の少なくとも一方に吸収ピークを有するので、オレフィン二重結合の存在を容易に確認することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性不飽和ポリエステル樹脂は、一般式
で示される樹脂であり、lは、1以上3以下の整数であり、m及びnは、それぞれ整数であり、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ水素原子又は炭素数4以下の炭化水素基であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、前記結晶性不飽和ポリエステル樹脂は、一般式
で示される樹脂であり、lは、1以上3以下の整数であり、m及びnは、それぞれ整数であり、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ水素原子又は炭素数4以下の炭化水素基であるので、トナーの低温定着性と耐オフセット性を両立させることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、mは、2以上6以下の整数であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、mは、2以上6以下の整数であるので、トナーの低温定着性と耐オフセット性を両立させることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含有するので、トナーの耐オフセット性を向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記変性ポリエステル樹脂は、ウレア変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、前記変性ポリエステル樹脂は、ウレア変性ポリエステル樹脂を含有するので、トナーの耐オフセット性を向上させることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記変性ポリエステル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、前記変性ポリエステル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であるので、画像の劣化を抑制することができる。
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂は、ガラス転移温度が30℃以上70℃以下である非結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、前記結着樹脂は、ガラス転移温度が30℃以上70℃以下である非結晶性ポリエステル樹脂を含有するので、低温定着性を向上させることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であることを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、前記非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であるので、画像の劣化を抑制することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項14又は15に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記変性ポリエステル樹脂の重量に対する、前記非結晶性ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂の総重量の比は、3以上19以下であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、前記変性ポリエステル樹脂の重量に対する、前記非結晶性ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂の総重量の比は、3以上19以下であるので、耐ホットオフセット性と低温定着性を両立させることができる。
請求項17に記載の発明は、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の重量の比は、1以上99以下であることを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の重量の比は、1以上99以下であるので、耐オフセット性と低温定着性を両立させることができる。
請求項18に記載の発明は、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤を含有することを特徴とする。
請求項18に記載の発明によれば、離型剤を含有するので、トナーの耐オフセット性を向上させることができる。
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記離型剤の含有量は、1重量%以上40重量%以下であることを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれば、前記離型剤の含有量は、1重量%以上40重量%以下であるので、離型剤の効果をより効果的に発現させることができる。
請求項20に記載の発明は、請求項18又は19に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記離型剤の融点は、40℃以上160℃以下であることを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、前記離型剤の融点は、40℃以上160℃以下であるので、トナーの耐熱保存性と耐コールドオフセット性を両立させることができる。
請求項21に記載の発明は、結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂を50重量%以上含有する結着樹脂及び着色剤を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、フラッシング法により顔料を樹脂中に分散させて着色剤を得る工程、前記結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂、前記着色剤及び有機溶媒を含有する混合物を得る工程並びに前記混合物を水性溶媒中で分散させる工程を有することを特徴とする。
請求項21に記載の発明によれば、フラッシング法により顔料を樹脂中に分散させて着色剤を得る工程、前記結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂、前記着色剤及び有機溶媒を含有する混合物を得る工程並びに前記混合物を水性溶媒中で分散させる工程を有するので、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記混合物を得る工程は、前記着色剤を前記有機溶媒中に分散させて分散液を得る工程並びに前記結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂、前記分散液及び前記有機溶媒を含有する混合物を得る工程を有することを特徴とする。
請求項22に記載の発明によれば、前記混合物を得る工程は、前記着色剤を前記有機溶媒中に分散させて分散液を得る工程並びに前記結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂、前記分散液及び前記有機溶媒を含有する混合物を得る工程を有するので、結着樹脂中における着色剤の分布の均一性を向上させることができる。
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記分散液を得る工程における前記着色剤の重量に対する前記有機溶媒の重量の比は、1以上19以下であることを特徴とする。
請求項23に記載の発明によれば、前記分散液を得る工程における前記着色剤の重量に対する前記有機溶媒の重量の比は、1以上19以下であるので、有機溶媒中で着色剤を均一に分散させることができる。
請求項24に記載の発明は、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記顔料を分散させる樹脂は、ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項24に記載の発明によれば、前記顔料を分散させる樹脂は、ポリエステル樹脂を含有するので、結着樹脂中における着色剤の分布の均一性をさらに向上させることができる。
請求項25に記載の発明は、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記顔料を分散させる樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
請求項25に記載の発明によれば、前記顔料を分散させる樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂を含有するので、着色剤の樹脂中での分散性を向上させることができる。
請求項26に記載の発明は、請求項21乃至25のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記混合物を得る工程で活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂及び活性水素含有基を有する化合物をさらに混合し、前記水性溶媒中で分散させる工程の後に前記活性水素含有基を有する化合物を前記活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂と反応させる工程を有することを特徴とする。
請求項26に記載の発明によれば、前記混合物を得る工程で活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂及び活性水素含有基を有する化合物をさらに混合し、前記水性溶媒中で分散させる工程の後に前記活性水素含有基を有する化合物を前記活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂と反応させる工程を有するので、トナーの組成の均一性を向上させることができる。
請求項27に記載の発明は、静電荷像現像用トナーにおいて、請求項21乃至26のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造されることを特徴とする。
請求項27に記載の発明によれば、請求項21乃至26のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造されるので、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項28に記載の発明は、静電荷像現像用現像剤において、請求項1乃至20及び27のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする。
請求項28に記載の発明によれば、請求項1乃至20及び27のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを含有するので、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の静電荷像現像用現像剤において、前記静電荷像現像用トナーを担持するキャリアを含有することを特徴とする。
請求項29に記載の発明によれば、前記静電荷像現像用トナーを担持するキャリアを含有するので、二成分系静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
請求項30に記載の発明は、画像形成方法において、請求項28又は29に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて画像を形成することを特徴とする。
請求項30に記載の発明によれば、請求項28又は29に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて画像を形成するので、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した画像形成方法を提供することができる。
本発明によれば、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した静電荷像現像用トナー及び該静電荷像現像用トナーの製造方法並びに該静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像用現像剤を提供することができる。また、本発明によれば、低温定着性に優れ、耐オフセット性が良好で、さらに色再現域も確保した画像形成方法を提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂の50重量%以上は結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂であるため、熱定着ローラを接触させ、結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上に加熱溶融させたときに、結晶性ポリエステル樹脂は、固体状態から溶融状態に急激に変化し、紙へ浸透する。また、定着ローラから離れた直後、結晶性ポリエステル樹脂は、急激に結晶化し、固化する。このとき、優れた低温定着性を有するためには、結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度及び軟化温度は、トナーの耐熱保存性及び耐オフセット性を維持する範囲内で低温であることが求められ、いずれも65℃以上140℃以下であることが好ましく、80℃以上135℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度及び軟化温度がこの範囲より高温になると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。なお、軟化温度は、高架式フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、ダイス径1mm、加圧10kg/cm2、昇温速度3℃/分の条件下で測定した。軟化温度は、1cm3の試料を溶融流出させた際に総流出量の1/2が流出した時の温度である。また、ガラス転移温度は、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を用いて測定した。まず、試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダーユニットに乗せ、電気炉中にセットする。次に、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱し、150℃で10分間放置後、室温まで試料を冷却して10分間放置した。これを窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で再度150℃まで加熱してDSC測定を行い、ガラス転移温度を算出した。
また、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を有することを特徴とする。Cu−Kα線による粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークが現れることにより結晶構造を確認することができる。具体的には、X線回折パターンにおいて、入射X線と回折X線とのなす角2θが20°以上25°以下の位置に少なくとも1つの回折ピークが存在することを特徴とする。このとき、2θが、19°以上20°以下、21°以上22°以下、23°以上25°以下及び29°以上31°以下の位置に回折ピークが存在することが好ましい。なお、粉末X線回折は、理学電機RINT1100を用い、管球をCu、管電圧−電流を50kV−30mAの条件で広角ゴニオメーターを用いて測定した。
結晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度及び軟化温度を好ましい温度範囲にするという観点から結晶性不飽和ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。このような結晶性不飽和ポリエステル樹脂は、一般式
で表される。lは1以上3以下の整数が好ましい。lが4以上の整数になると、共役二重結合の広がりにより反応性が高くなり、経時安定性が低くなる。また、mは2以上6以下の整数であることが好ましい。mが7以上の整数になると、結晶性が高く溶融させにくい傾向にあり、分散しにくくなる。さらに、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ水素原子又は炭素数4以下の炭化水素基が好ましい。このような観点から、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びこれらの誘導体を80モル%以上、好ましくは85モル%以上含有したジオールとフマル酸又は不飽和二重結合を有するカルボン酸及びこれらの誘導体を縮合したポリエステル樹脂が好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度及び軟化温度を制御する方法として、アルコールとしてグリセリン等の三価以上の多価アルコール、酸として無水トリメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸を用いて縮合される分枝ポリエステル樹脂を使用する方法が挙げられる。
上記一般式の分子構造の存在は、NMR、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR等により確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1及び990±10cm−1の波数の少なくとも一方に、オレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収ピークを有することにより確認することができる。なお、赤外線吸収スペクトルは、Nicolet Magna 850を用いて、フーリエ変換赤外線分光光度透過法で測定した。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、低温定着性の観点から耐オフセット性を維持できる範囲で低分子量であるのが好ましく、分子量分布は、シャープメルトの観点から狭いことが好ましい。具体的には、結晶性ポリエステル樹脂のo−ジクロロベンゼン可溶分のGPCによる数平均分子量が500以上6000以下であり、数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2以上8以下であることが好ましい。GPCは、以下のようにして測定を実施した。145℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させた後、このカラムに溶離液として0.3重量%BHT入りのo−ジクロロベンゼンを1ml/分の流速で流し、0.3重量%に調整した試料のo−ジクロロベンゼン溶解液を50μl以上200μl以下注入して測定する。測定機としては、Waters製150CV型を用い、カラムとしてShodexAT−G+AT−806MS(2本)を用いた。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。スライス幅は0.05秒である。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
本発明で用いる結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、目的とする低温定着性を達成し、さらにホットオフセット性を向上させるためには、5KOH/g以上45mgKOH/g以下であることが好ましく、10KOH/g以上40mgKOH/g以下がより好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、低温定着性を達成し、良好な帯電特性を得るためには、5KOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましく、10〜45mgKOH/gがより好ましい。なお、酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法により得られる。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサン又はTHF、o−ジクロロベンゼン等の溶媒を用いてもよい。
本発明で用いる結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂の他に変性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。変性ポリエステル樹脂は、活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂(以下、ポリエステルプレポリマーという)と活性水素含有基を有する化合物を反応させたもので、乾式トナー、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない広範な用途での耐オフセット性及び定着性(オイルレス低温定着特性)を確保するのに好都合である。活性水素含有基と反応可能な官能基は公知のものであれば全て使用でき、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。活性水素含有基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。また、変性ポリエステル樹脂としては、ウレア変性ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂の定着温度域での高流動性、透明性を維持したまま、定着用加熱媒体への接着性を抑制することができる。ウレア変性ポリエステル樹脂は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーと後述するアミン類を付加反応させることにより得られる。また、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーは、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物で活性水素含有基を有するポリエステル樹脂を、ポリイソシアネートと付加反応させることにより得られる。
ポリオールとしては、ジオール及び三価以上のポリオールが挙げられ、ジオール単独、又はジオールと少量のポリオールとの混合物が好ましい。ジオールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオール及び上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)付加物等が挙げられる。この中で、炭素数2以上12以下のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物及びこれと炭素数2以上12以下のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。三価以上のポリオールとしては、三価以上八価以下又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);三価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び三価以上のポリカルボン酸が挙げられ、字カルボン酸単独及びジカルボン酸と少量のポリカルボン酸との混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。この中で、炭素数4以上20以下のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸が好ましい。三価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9以上20以下の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物及び低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてポリオールと反応させてもよい。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら二種以上の併用が挙げられる。
ポリエステル樹脂の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比は、通常1以上5以下であり、1.2以上4以下が好ましく、1.5以上2.5以下がさらに好ましい。この当量比が5を超えると低温定着性が悪化し、1未満ではウレア変性ポリエステルの場合、ウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5重量%以上40重量%以下であり、1重量%以上30重量%以下が好ましく、2重量%以上20重量%以下がさらに好ましい。この含有量が0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
ポリエステルプレポリマー1分子が有するイソシアネート基の平均数は、通常1個以上であり、1.5個以上3個以下が好ましく、1.8個以上2.5個以下がさらに好ましい。この平均数が1個未満では、変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
アミン類としては、ジアミン、三価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸及びこれらのアミノ基をブロックしたもの等が挙げられる。ジアミンとしては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。三価以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタンとしては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。アミノ基をブロックしたものとしては、アミンとケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)を反応させて得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物等が挙げられる。これらアミン類のうち、ジアミン及びジアミンと少量のポリアミンの混合物が好ましい。
さらに、ウレア変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂は、伸長停止剤を用いて分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)及びこれらをブロックしたケチミン化合物等が挙げられる。変性ポリエステル樹脂中のイソシアネート基に対するアミン類のアミノ基の当量比は、通常0.5以上2以下であり、2/3以上1.5以下が好ましく、5/6以上1.2以下がさらに好ましい。この当量比が2を超えた場合及び0.5未満では、ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合数とウレタン結合数の和に対するウレタン結合数の比は、通常0.9以下であり、0.2以上0.8以下が好ましく、0.4以上0.7以下がさらに好ましい。この比が0.9を超えると、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明で用いるウレア変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂は、ワンショット法及びプレポリマー法により製造される。変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、通常1万以上であり、2万以上100万以下が好ましく、3万以上100万以下がさらに好ましい。重量平均分子量が1万未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、後述の低分子量ポリエステル樹脂を用いる場合は特に限定されるものではなく、上記の重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。変性ポリエステル樹脂単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下であり、1000以上10000以下が好ましく、2000以上8000以下がさらに好ましい。数平均分子量が20000を超えると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
変性ポリエステル樹脂の酸価は通常30mgKOH/g以下であり、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましい。なお、酸価を持たせることで、負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価がこの範囲を超えるものは、高温高湿度及び低温低湿度の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
本発明においては、低温定着性の観点から、変性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂の他に、30℃以上70℃以下のガラス転移温度を有する非結晶性ポリエステル樹脂と混合させることが好ましい。なお、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度が30℃未満では耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が悪化する。非結晶性ポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル樹脂と同様なポリオールとポリカルボン酸との重縮合物等が挙げられる。また、非結晶性ポリエステル樹脂は無変性のポリエステル樹脂だけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
非結晶性ポリエステル樹脂のメインピークの重量平均分子量は、通常1000以上30000以下であり、1500以上10000以下が好ましく、2000以上8000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が1000未満の成分が増えると、耐熱保存性が悪化し、キャリア汚染が起こるため、この成分は5重量%以下にすることが好ましい。重量平均分子量30000以上の成分が増えると、低温定着性が低下する傾向にある。このため、重量平均分子量30000以上の成分の含有量は、通常1%以上で、トナー材料により異なるが3%以上6%以下が好ましい。1%未満では充分な耐ホットオフセット性が得られない。
非結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000以上15000以下であり、数平均分子量に対する重量平均分子量の比は、5以下であることが好ましい。この比が5を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、通常30mgKOH/g以下であり、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましい。酸価を持たせることで、負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価がこの範囲を超えるものは、高温高湿度及び低温低湿度の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。水酸基価は通常5mgKOH/g以上であり、10mgKOH/g以上120mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下がさらに好ましい。水酸基価が5未満では、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂は、低温定着性、耐ホットオフセット性の面で、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。このため、これらのポリエステル樹脂は類似の構造を有することが好ましい。また、変性ポリエステル樹脂の重量に対する、非結晶性ポリエステル樹脂の重量及び結晶性ポリエステル樹脂の総重量の比は、通常3以上19以下であり、3以上9以下が好ましく、11/39以上22/3以下がさらに好ましい。さらに、非結晶性ポリエステル樹脂の重量に対する結晶性ポリエステルの重量の比は1以上99以下であり、1.2以上19以下が好ましく、12/7以上9以下が特に好ましい。この範囲を外れると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利となる。
本発明の着色剤は、疎水性の顔料を含有していればよく、トナーに使用される種々の有機顔料、無機顔料及びそれらの混合物が使用可能である。例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリノン顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノン顔料、チオインジゴ顔料等を挙げることができる。なお、着色剤の含有量は、通常トナーに対して1重量%以上15重量%以下であり、3重量%以上10重量%以下が好ましい。
また、詳細は後述するが、本発明の着色剤はフラッシング法により顔料を樹脂中に分散させたものを用いる。フラッシング法を用いると、顔料の凝集が防止できるため、顔料の粒子径が小さくなり、トナーの色再現域を確保できる。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤と共に離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては公知のものが使用でき、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックス等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等のポリアルカン酸エステル、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等のポリアルカノールエステル、エチレンジアミンジベヘニルアミド等のポリアルカン酸アミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のポリアルキルアミド、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中で好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。離型剤の融点は、通常40℃以上160℃以下であり、50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がさらに好ましい。40℃未満の融点を有する離型剤は、耐熱保存性に悪影響を与える。また、160℃を超える融点を有する離型剤は、低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。なお、トナー中の離型剤の含有量は、他のトナー材料の性能とのバランスを考慮すると、通常40重量%以下であり、3重量%以上30重量%以下が好ましい。
本発明のトナーは、これらの他に帯電制御剤、トナー形状を制御する樹脂微粒子、耐熱保存性及び帯電性を補助する無機微粒子等を添加してもよい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、フラッシング法により顔料を樹脂中に分散させて着色剤を得る工程を有する。まず、疎水性の顔料の水分散液に樹脂を添加し、ニーダー等の混練機で混合撹拌する。この混合撹拌の過程で、水中に存在していた顔料は、樹脂中に移行する。これと並行して、水中及び顔料中に含まれる不純物が混合物から分離する。フラッシング法とは、顔料を樹脂中に移行させると同時に、水分等を分離する操作を指す。ここで、分離した水分を除去する際に、混練機の負荷を一定に保ち、混練の効率を維持するために、樹脂を適宜添加してもよい。なお、脱水工程は、混合撹拌後に常圧下で主に水を除去する一次脱水と、その後、樹脂を添加して混合物の粘度を一定に保ちつつ、減圧下で行う真空脱水の二段階で行うことができる。
顔料の水分散液としては、各種顔料の製造工程における顔料濃度25重量%以上40重量%以下程度の顔料ウェットケーキ又は顔料濃度2重量%以上10質量%以下程度の顔料スラリーを用いることができる。
顔料ウェットケーキを用いる場合、フラッシング法の初期配合としては、混練機の負荷及び脱水効率を考慮して、40重量部以上60重量部以下の顔料ウェットケーキに30重量部以上60重量部以下の樹脂を添加することが好ましい。このとき、10重量部以下の有機溶媒を添加することもできる。混練機としては、混合物に対して剪断力を加えることのできるニーダー等が好ましい。また、一次脱水は、40℃以上80℃以下で5分以上20分以下程度実施することにより、60%以上70%以下程度の水分を除去することができる。温度上昇及び時間延長で、一次脱水における水分の除去率を上げることができるが、水分の除去率が60%以上70%以下の時点で、真空脱水を行うことにより脱水効率を更に向上させることができる。真空脱水を始める際に、混練効率を維持するために、混練機の負荷を一定範囲に保つように、樹脂、有機溶媒等を添加することができる。有機溶媒は特に限定されないが、樹脂を溶解又は分散させるものであればよく、沸点が150℃未満の揮発性有機溶媒であると、除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、単独又は2種以上組合せて用いることができる。真空脱水は、真空度が400hPa以上900hPa以下、温度が80℃以上120℃以下程度で、30分以上120分以下程度行う。なお、真空脱水終了時点での水分含有率を1重量%以下にすることが好ましい。
顔料の水分散液として、上記の顔料スラリーを用いる場合、フラッシング法の初期配合としては、顔料スラリー及び樹脂は、それぞれ90重量部以上95重量部以下、5重量部以上10重量部以下であることが好ましい。さらに、有機溶媒を5重量部以下添加してもよい。混練機としては、混合物に対して剪断力を加えることのできるタンクミキサー等が好ましい。上記のニーダーでの混練と同様に、混練の効率を維持するために、混練機の負荷を一定範囲に保つよう、樹脂、有機溶媒等を添加することができる。
フラッシング法で顔料を樹脂中に分散させた後、必要に応じて、樹脂、有機溶媒、更には各種添加剤を添加することによって、着色剤を得ることができる。
一般的に、フラッシング法に用いる樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独又は混合して使用できる。
本発明では、結着樹脂との相溶性の観点からポリエステル樹脂が好ましく、不飽和ポリエステル樹脂がさらに好ましい。不飽和ポリエステル樹脂は水との親和性が比較的高いため、顔料の水相から樹脂相への移行がしやすく、結着樹脂中での着色剤の分散性の向上に繋がる。なお、樹脂を顔料の水分散液に添加する際には、有機溶媒に溶解又は分散させた状態でもよく、有機溶媒に対する樹脂の重量比は、0.25以上1.5以下程度である。
また、顔料分散剤として、塩基性高分子共重合体系分散剤、変成ポリウレタン系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルの重合体、着色剤の誘導体等を用いることができる。顔料分散剤は、フラッシング法で分散している時に添加してもよく、フラッシング法で処理した後に添加してもよい。
有機溶剤に溶解又は分散した時の着色剤の粒子径は、1μm以下であることが望ましい。1μmより大きいとトナーを形成した際に、着色剤の粒子径が大きくなり、画質が低下しやすい。この現象は、OHPの場合に光透過性が低下するため、顕著である。なお、粒子径は、レーザー回折/散乱粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)で求めることができる。
着色剤と顔料分散剤との相互作用を高め、顔料を分散安定化するために、着色剤の表面処理を行うことが好ましい。着色剤の表面処理剤としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン等の天然ロジン、アビエチン酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸等のアビエチン酸誘導体、これらのカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩、ロジン変成マレイン酸樹脂、ロジン変成フェノール酸樹脂等が挙げられる。特に、顔料分散剤との親和性を高めるために酸性の表面処理剤が好ましく用いられる。着色剤誘導体及び着色剤の表面処理剤の添加量は、着色剤誘導体及び着色剤に対して、0.1重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上10重量%以下がより好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂、着色剤及び有機溶媒を含有する混合物を得る工程を有する。
ここで用いる有機溶媒は、トナーの原料組成物(以下、トナー原料という)を溶解又は分散可能なものであれば特に限定されるものではなく、フラッシング法で用いた有機溶媒と同様のものを用いることができる。
トナー原料100重量部に対する有機溶媒の使用量は、通常40重量部以上300重量部以下であり、60重量部以上140重量部以下が好ましく、80重量部以上120重量部以下がさらに好ましい。
このとき、着色剤を有機溶媒中に分散させた分散液を予め調製し、この分散液、結晶性ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂及び有機溶媒を含有する混合物を得ることにより、着色剤がポリエステル樹脂中でさらに均一に分散するため、好ましい。また、分散液中の着色剤の重量に対する有機溶媒の重量の比は、1以上19以下が好ましい。この比が1未満であると、有機溶媒が多いために、後述する水性溶媒中での分散でのロスが多くなり、19を超えると、十分に分散しない。
なお、本発明においては、上記の混合物に活性水素含有基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂(ポリエステルプレポリマー)及び活性水素含有基を有する化合物をさらに添加し、後述するように水性溶媒中で分散させ、ポリエステルプレポリマーと活性水素含有基を付加反応させることによりトナーを形成させることが好ましい。ここで形成される変性ポリエステル樹脂としては、前述したように、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を付加反応させることにより得られるウレア変性ポリエステル樹脂が好ましく、反応時間は官能基の反応性に依存するが、通常10分以上40時間以下であり、2時間以上24時間以下が好ましい。反応温度は、通常0℃以上150℃以下であり、40℃以上98℃以下が好ましい。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法は、混合物を水性溶媒中で分散させる工程を有する。
本発明に用いる水性溶媒は、水性溶媒は、水単独でもよいが、水と混和可能な有機溶媒を併用することもできる。混和可能な有機溶媒としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類(メチルセロソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
分散の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2μm以上20μm以下にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000rpm以上30000rpm以下であり、5000rpm以上20000rpm以下が好ましい。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1分以上5分以下である。分散時の温度は、通常0℃以上150℃以下(加圧下)であり、40℃以上98℃以下が好ましい。高温の方が、分散体の粘度が下がり、分散が容易なため、好ましい。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いた方が、粒度分布がシャープになると共に分散が安定である点で好ましい。
トナー原料を有機溶媒中に溶解又は分散させた成分を水性溶媒中で分散させるための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤、アルキルアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミンの塩、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、少量の添加量で上記の分散剤と同様の効果を得ることができる。フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2以上10以下のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102、(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)等が挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としては、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等も用いることができる。なお、分散剤として、リン酸カルシウム等の酸及びアルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウムを溶解した後、水洗する等の方法によって、微粒子からリン酸カルシウムを除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えば、モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を有するアクリルモノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のエーテル基を有するビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸塩化物、メタクリル酸塩化物等の酸塩化物類;ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素含有化合物等を用いたホモポリマー又はコポリマー;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン類;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
分散剤を使用した場合には、分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
ポリエステル樹脂を含むトナー原料100重量部に対する水性溶媒の使用量は、通常50重量部以上20000重量部以下であり、100重量部以上10000重量部以下が好ましい。水性溶媒の使用量が50重量部未満では、トナー原料の分散状態が悪く、所望の粒子径のトナーが得られない。また、水性溶媒の使用量が20000重量部を超えると経済的でない。
本発明においては、着色剤、離型剤等のトナー原料は、必ずしも、水性溶媒中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成させた後で添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
得られた分散液から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。また、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて分散剤を蒸発除去することも可能である。分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレードライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルン等の短時間の処理で目的とする品質が得られる。
また、乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保った状態で洗浄及び乾燥処理が行われた場合には、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。分級操作としては、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子を取り除く操作が挙げられる。乾燥した粉体を分級しても構わないが、分散液の状態で分級する方が効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子及び粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子及び粗粒子はウェットの状態でも構わない。
得られた乾燥後のトナーの粉体を、離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子等の異種粒子と共に混合したり、混合した粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させたりすることにより、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等がある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
本発明のトナーを現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1重量部以上10重量部以下が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20μm以上200μm以下程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリア等、従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンとアクリル単量体との共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。また、本発明のトナーは、キャリアを使用しない現像剤としても用いることができる。
本発明の現像剤を用いて画像を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、感光体上に形成した静電荷像を、トナーを用いて紙等の転写材上に転写し、加熱等の方法で定着する方法が挙げられる。カラー画像を形成する場合は、一般に三原色であるマゼンタ、シアン、イエローの3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカラートナー用いて、全ての色の再現を行う。即ち、上記の転写工程を各色に対して順次行い、同一転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられた後、定着することによりフルカラー画像を得ることができる。
本実施例中の部数は全て重量部であり、本実施例は本発明を例示したものに過ぎず、これら実施例により本発明は限定されない。
(樹脂微粒子の合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキシド付加物硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌すると、白色の乳濁液が得られた。これを系内温度が75℃になるまで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を添加し、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン、メタクリル酸及びアクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下、樹脂微粒子分散液という)を得た。樹脂微粒子分散液をLA−920で測定した体積平均粒子径は、105nmであった。樹脂微粒子分散液の乾燥樹脂分のガラス転移温度は59℃であり、重量平均分子量は15万であった。
(水性溶媒の調製)
水990部、樹脂微粒子分散液83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体(以下、水性溶媒という)を得た。
(非結晶性ポリエステル樹脂の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及び酸化ジブチルスズ(IV)2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させ、さらに10mmHg以上15mmHg以下の減圧下で5時聞反応させた後、無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させ、非結晶性ポリエステル樹脂を得た。数平均分子量は2500、重量平均分子量は6700、ガラス転移温度は43℃、酸価は25mgKOH/gであった。
(ポリエステルプレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及び酸化ジブチルスズ(IV)2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させ、さらに10mmHg以上15mmHg以下の減圧下で5時間反応させ、中間体ポリエステル樹脂を得た。数平均分子量は2100、重量平均分子量は9500、ガラス転移温度は55℃、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル樹脂410部、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を添加し、100℃で5時間反応させ、ポリエステルプレポリマーを得た。遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
(ケチミン化合物の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン化合物を得た。アミン価は418mgKOH/gであった。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール2253部、フマル酸2757部、無水トリメリット酸317部、ハイドロキノン5.3部を仕込み、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに83hPaで1時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂を得た。融点は119℃、数平均分子量は710、重量平均分子量は2100、酸価は24mgKOH/g、水酸基価は28mgKOH/gであった。
(フラッシング法による顔料分散体の調製)
マゼンタ顔料の水性分散液として、25.6重量%の顔料ウェットケーキPR269(大日本インキ化学工業社製)の中間体1130部及び非結晶性ポリエステル樹脂214部を混練機2Lニーダー(井上製作所社製)で混練した。45℃で25分間混練した後、分離した水分を約500g除去した。次に、結晶性ポリエステル樹脂214部及び非結晶性ポリエステル樹脂214部を追加し、400hPa以上800hPa以下の減圧下、120℃で3時間混練し、マゼンタ顔料分散体1を得た。
上記と同様に、PR269の中間体1130部及び非結晶性ポリエステル樹脂214部を2Lニーダーで混練した。45℃で25分間混練した後、分離した水分を約500g除去した。次に、非結晶性ポリエステル428部を追加し、400hPa以上800hPa以下の減圧下、120℃で3時間混練し、マゼンタ顔料分散体2を得た。
水1200部、粉体顔料PR269を540部、結晶性ポリエステル樹脂400部及び非結晶性ポリエステル樹脂800部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。次に、2本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、マゼンタ顔料分散体3を得た。
イエロー顔料の水性分散液として、24.3重量%の顔料ウェットケーキPY74(山陽色素社製)の中間体1200部及び非結晶性ポリエステル樹脂216部を2Lニーダーで混練した。45℃で10分間混練した後、分離した水分を約600g除去した。次に、結晶性ポリエステル樹脂216部及び非結晶性ポリエステル樹脂216部を追加し、400hPa以上530hPa以下の減圧下、80℃で3時間混練し、イエロー顔料分散体1を得た。
上記と同様に、PY74の中間体1200部及び非結晶性ポリエステル樹脂216部を2Lニーダーで混練した。45℃で10分間混練した後、分離した水分を約600g除去した。次に、非結晶性ポリエステル樹脂432部を追加し、400hPa以上530hPa以下の減圧下、80℃で3時間混練し、イエロー顔料分散体2を得た。
水1200部、粉体顔料PY74を540部、結晶性ポリエステル樹脂400部及び非結晶性ポリエステル樹脂800部を上記ヘンシェルミキサーで混合した。次に、2本ロールを用いて150℃で30分混練した後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、イエロー顔料分散体3を得た。
シアン顔料の水性分散液として、35.7重量%の顔料ウェットケーキPB15:3(東洋インキ製造社製)の中間体900部及び非結晶性ポリエステル樹脂238部を2Lニーダーで混練した。60℃で10分間混練した後、分離した水分を約350g除去した。次に、結晶性ポリエステル樹脂238部及び非結晶性ポリエステル樹脂238部を追加し、400hPa以上800hPa以下の減圧下、120℃で3時間混練し、シアン顔料分散体1を得た。
上記と同様に、PB15:3の中間体900部及び非結晶性ポリエステル樹脂238部を、2Lニーダーで混練した。60℃で10分間混練した後、分離した水分を約350g除去した。次に、非結晶性ポリエステル樹脂476部を追加し、400hPa以上800hPa以下の減圧下、120℃で3時間混練し、シアン顔料分散体2を得た。
水1200部、粉体顔料PB15:3を540部、結晶性ポリエステル樹脂400部及び非結晶性ポリエステル樹脂800部を上記ヘンシェルミキサーで混合した。次に、2本ロールを用いて150℃で30分混練した後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、シアン顔料分散体3を得た。
(トナー原料分散液の調製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、非結晶性ポリエステル樹脂378部、カルナバワックス110部、サリチル酸金属錯体E−84(オリエント化学工業社製)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃まで昇温し、80℃で5時間保持した後、1時問で30℃まで冷却した。次に、マゼンタ顔料分散体1を500部及び酢酸エチル500部を添加して1時間混合し、マゼンタ原料混合液1を得た。
マゼンタ原料混合液1324部を容器に移し、ビーズミルとして、ウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/h、ディスク周速度6m/秒で0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で分散を行った。次に、非結晶性ポリエステル樹脂の65%酢酸エチル溶液1324部を添加し、上記条件のビーズミルで1パスし、マゼンタ原料分散液1を得た。130℃で30分間乾燥させた際の固形分濃度は50%であった。
上記と同様に、マゼンタ顔料分散体2からマゼンタ原料混合液2を経て、マゼンタ原料分散液2を調製した。
上記と同様に、マゼンタ顔料分散体3からマゼンタ原料混合液3を経て、マゼンタ原料分散液3を調製した。
上記と同様に、イエロー顔料分散体1からイエロー原料混合液1を経て、イエロー原料分散液1を調製した。
上記と同様に、イエロー顔料分散体2からイエロー原料混合液2を経て、イエロー原料分散液2を調製した。
上記と同様に、イエロー顔料分散体3からイエロー原料混合液3を経て、イエロー原料分散液3を調製した。
上記と同様に、シアン顔料分散体1からシアン原料混合液1を経て、シアン原料分散液1を調製した。
上記と同様に、シアン顔料分散体2からシアン原料混合液2を経て、シアン原料分散液2を調製した。
上記と同様に、シアン顔料分散体3からシアン原料混合液3を経て、シアン原料分散液3を調製した。
(実施例1)
マゼンタ原料分散液1を664部、ポリエステルプレポリマーを109.4部、結晶性ポリエステル樹脂73.9部及びケチミン化合物4.6部を容器に仕込み、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて5000rpmで1分間混合した後、水性溶媒1200部を添加し、TKホモミキサーを用いて13000rpmで20分間混合し、乳化スラリーを得た。これを撹拌機及び温度計をセットした容器に投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
分散スラリー100部を減圧濾過して得られた濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。この濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を添加し、TKホモミキサーを用いて12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。この濾過ケーキに10%塩酸100部を添加し、TKホモミキサーを用いて12000rpmで10分間混合した後、濾過した。この濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TKホモミキサーを用いて12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。この濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、マゼンタトナー1を得た。
(実施例2)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をイエロー原料分散液1に変更する以外は実施例1と同様に操作してイエロートナー1を得た。
(実施例3)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をシアン原料分散液1に変更する以外は実施例1と同様に操作してシアントナー1を得た。
(比較例1)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をマゼンタ原料分散液2に変更する以外は実施例1と同様に操作してマゼンタトナー2を得た。
(比較例2)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をマゼンタ原料分散液3に変更する以外は実施例1と同様に操作してマゼンタトナー3を得た。
(比較例3)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をイエロー原料分散液2に変更する以外は実施例1と同様に操作してイエロートナー2を得た。
(実施例4)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をイエロー原料分散液3に変更する以外は実施例1と同様に操作してイエロートナー3を得た。
(比較例5)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をシアン原料分散液2に変更する以外は実施例1と同様に操作してシアントナー2を得た。
(比較例6)
実施例1におけるマゼンタ原料分散液1をシアン原料分散液3に変更する以外は実施例1と同様に操作してシアントナー3を得た。
(評価方法及び評価結果)
このようにして得られたトナー100部、疎水性シリカ0.7部及び疎水化酸価チタン0.3部をヘンシェルミキサーで混合した後、トナーの評価を実施し、結果を表1に示した。
トナーの熱特性を測定するフローテスターとしては、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所社製)を用いた。なお、口径0.50mm、長さ10.0mmのダイを用い、10kgf/cm
2の圧力で3℃/分の昇温をすることにより測定を実施した。その結果、結晶性ポリエステル樹脂を用いない比較例1、3及び5では、軟化温度及び流出開始温度のいずれも、結晶性ポリエステル樹脂を用いた実施例及び比較例2、4及び6より高温になる傾向が見られた。
透明なプラスチックフィルム(OHPシート)上にトナーを転写し、その濁度をヘイズメーターTC−H3DP(東京電色社製)を用いて測定し、フィルム透明性を評価した。なお、○、△及び×は、濁度がそれぞれ10未満、10以上20未満及び20以上であることを示す。その結果、粉体顔料を用いた比較例2、4並びに6では、フラッシング法により得られた着色剤を用いた実施例及び比較例1、3並びに5より、透明性が低くなる傾向が見られた。
次に、外添剤処理を施したトナー5重量%及びシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%から構成される現像剤を調製した。imagio Neo 450(リコー社製)を用いて、A4サイズの用紙を45枚/分で連続印刷することにより、この現像剤を評価し、結果を表1に示した。
定着ベルトの温度が可変となるように調整を行った上で、ベタ画像で1.0±0.1mg/cm2のトナーを現像し、定着特性の評価を実施した。なお、ホットオフセット発生温度は、普通紙の転写紙タイプ6200(リコー社製)を用いて測定し、定着下限温度は、厚紙の複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)を用いて測定した。また、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度を定着下限温度とした。その結果、結晶性ポリエステル樹脂を用いない比較例1、3及び5では、定着下限温度が140℃付近の比較的高い温度が必要であったのに対し、結晶性ポリエステル樹脂を用いた実施例並びに比較例2、4及び6では、120℃付近で定着した。また、フラッシング法により得られた着色剤の代わりに粉体顔料を用いた比較例2、4及び6では、200℃付近でオフセットが発生したのに対し、フラッシング法により得られた着色剤を用いた実施例並びに比較例1、3及び5では、220℃以下ではオフセットは発生しなかった。
クリーニングローラー汚染性は、10万枚印刷後のクリーニングローラーの付着物量を測定し、殆ど無いもの、微量なもの、多いもの及び良好と不良の間の4段階で評価した。その結果、実施例及び比較例のいずれも、付着物が微量である良好な結果(○)が得られ、顕著な差は認められなかった。
また、10万枚印刷後の現像ローラ又は感光体上のトナーフィルミングの発生状況を観察した。なお、○、△及び×は、それぞれフィルミングが無い状態、スジ上のフィルミングが見られる状態及び全体的にフィルミングがある状態を示す。その結果、実施例及び比較例のいずれもフィルミングは見られなかった。