以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置をプリンタに適用した場合における構成例を示す図である。図示するように、プリンタ1の標準構成(以下プリンタ本体100という)は、メインユニット102と、第1の転写材として機能する無端ベルトである中間転写体ベルト136と、標準排出トレイ(CenterTray)154と、手差しトレイ(SMH)180と、メインユニット102の下部側に設置されたフィーダ部196および用紙カセット198を有する第1の給紙トレイ(TRAY1 )190とからなる。中間転写体ベルト136は、図中Xで示すベルト搬送方向に回転するようになっている。
プリンタ本体100は、図示しない接続ケーブルやネットワークを介して外部機器に接続可能になっている。たとえば、接続ケーブルは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LANという)により図示しないパーソナルコンピュータ(パソコン)などの画像入力端末に接続される。
なお、プリンタ本体100は、ページプリンタ機能を持つプリンタ1を構成する本体部分として利用されるだけでなく、複写機能を持つ複写装置、あるいはファクシミリ送受信機能を持つFAX装置、あるいはページプリンタ機能、複写機能、およびファクシミリ送受信機能などの複数の機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)としての本体部分としても利用することができる。
たとえば、図示を割愛するが、原稿を読み取る画像読取部(スキャナ部)を設けることで、複写機能を持つ複写装置を構成することもできる。あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )やISDN(Integrated Switched Digital Network )、またはインターネットを含む他の通信媒体を介して、FAX装置やパソコンなどの画像入力端末と接続するようにすることで、通信インタフェースを介して取得したFAXデータに基づいて印刷出力するFAX装置を構成することもできる。
<基本構成>
プリンタ本体100は、画像入力端末から入力される画像形成データ(たとえばスキャナで読み取られた画像データやパソコンから入力された印刷データなど)により表される画像を、電子写真式の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの記録媒体上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、プリンタ本体100のメインユニット102は、プリンタ1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS;Raster Output Scan)ベースのプリントエンジンを備える。
メインユニット102における上面の所定位置には、図示を割愛するが、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを表示する操作パネル部やオペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるための操作キー部を有するユーザインタフェース部が設けられている。なお、上面配置の操作パネル部や操作キー部に代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えた専用のユーザインタフェース装置を設けてもよい。
メインユニット102の内部には、記録用紙をROSベースの走査出力系103側に搬入する、あるいは走査出力系103、Y,M,C,Kの各色用のトナーカートリッジ(Toner Cartridge)が配されたカートリッジ部105、およびROSベースの走査出力系103にて印刷された記録紙を標準排出トレイ154や手差しトレイ180に排紙させるための、各種のロール部材(回転体)108などからなる標準搬送系107が収容されている。
ロール部材108としては、たとえば、手差しトレイ1次フィードロール108a、手差しフィードロール対108b、手差しテイクアップロール対108c、レジストロール対(Regi Roll )108d、用紙取出ロール対108eなどが設けられている。
なお、図示を割愛するが、標準排出トレイ154の下部には、プリンタ本体100と組み合わされてオプション的に使用される周辺機器の一例であるトレイキャビネットを設けることが可能になっている。このトレイキャビネットを利用することで、複数種類(サイズや紙質の異なる)の用紙を用意しておき、トレイ選択によって、簡単に用紙を切り替えて出力させることができる。
フィーダ部196は、用紙カセット198から記録用紙を1枚ずつ捲りだしてメインユニット102内の標準搬送系107に送り出す。
ROSベースの走査出力系103は、第1の画像担持体の一例であって感光性部材であるドラムと1次バイアス転写ロールとで第1の転写材の一例である中間転写体ベルトに画像を転写し、この中間転写体ベルトを第2の画像担持体として用いて中間転写体ベルトの転写画像部分と第2の転写材である出力媒体の一例としての記録用紙とを2次バイアス転写ロール対で挟み付けることにより画像を記録用紙に転写することで記録媒体上に画像を印刷(形成)する構成である。
すなわち走査出力系103は先ず、一方向に順次一定間隔をおいて並置されたY,M,C,Kの各色の印刷実行部130(それぞれにY,M,C,Kを付す;その他の部材についても同様;纏めていうときには色を省略して示す)を有する。
印刷実行部130は、第1の画像担持体である感光体ドラム131上に形成されたトナー像を第1の転写材でありかつ第2の画像担持体である中間転写体ベルト136に接触転写する第1転写部として機能するようになっている。
この印刷実行部130の中央部には、感光体ドラム131が配され、この感光体ドラム131の周囲には、感光体ドラム131上に転写されずに残ったトナーを回収するクリーナ132と、感光体ドラム131の表面をトナーと同極性電位に均一に帯電する1次帯電器133と、感光体ドラム131上に形成された潜像をトナー像として顕像化させる現像器134と、トナー出力信号に基づいて潜像を感光体ドラム131に記録するための図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー176やその他のミラー177a,177b,177cなどからなる書込走査光学系(ROS Unit)179とが配されている。
また各色用の印刷実行部130の図中上部には、中間転写体ベルト136を挟持するように感光体ドラム131に対向して1次バイアス転写ロール(BTR;Bias Transfer Roll)135が配設されている。
1次バイアス転写ロール135には、図示しない電荷供給源から電荷が供給されることで、1次バイアス転写ロール135の表面電位は所定のバイアス電位(たとえば+1kV程度)に帯電されるようになっている。
中間転写体ベルト136は、複数のベルト搬送ロール137に架けられている。たとえば、図ではアイドルロール(Idle Roll )137a、ドライブ・ステアリングロール(Drive & Steering Roll)137b、バックアップロール(Back Up Roll)137c、プリロール(Pre Roll)137d、およびテンションロール(Tension Roll)137eの5つが設けられている。
複数のベルト搬送ロール137のうちのバックアップロール137cと対向する位置には、2次バイアス転写ロール(2nd BTR )138が配設されている。図中右側に配されたベルト搬送ロール137b近傍には、中間転写体ベルト136上に転写されずに残ったトナーを回収するベルトクリーニングユニット(Belt Cleaning Unit)140が配されている。
バックアップロール137cと2次バイアス転写ロール138とが圧接して、第1の転写材でありかつ第2の画像担持体である中間転写体ベルト136上に形成されたトナー像を第2の転写材でありかつ出力媒体である印刷用紙に接触転写する第2転写部が構成される。中間転写体ベルト136の回転につれてトナー像が第2転写部位に到来すると、これにタイミングを合わせて標準搬送系107から第2の転写材である印刷用紙が第2転写部に供給され、同時に図示しない電荷供給源(たとえば転写高圧用電源)によって2次バイアス転写ロール138に転写バイアスが印加されて、中間転写体ベルト136側のトナー像は第2の転写材(出力媒体/印刷用紙)に転写される。
またメインユニット102内の図中左側には、2次バイアス転写ロール138から送り出された印刷済みの記録用紙を機外に排出するために、2次バイアス転写ロール138の記録用紙の搬送方向下流側に、たとえば定着ロール(フュザーロール;Fuser Roll)139a、定着排出ロール(フュザー排出ロール;Fuser Exit Roll )139bなどの種々の搬送ロールが設けられている。定着ロール139aと定着排出ロール139bとで定着部139が構成されている。
また、標準排出トレイ154の定着部139の後流側には、メインユニット102から送られた記録用紙を機外に排出するための排出ロール(Exit Roll )152が設けられている。
また、プリンタ本体100の中間転写体ベルト136の周回に沿って、光学濃度センサの一例であるパッチ(MOB;Mark On Belt)・自動濃度制御(Auto Density Control)センサ182(以下MOB&ADCセンサ182という)がテンションロール137eと印刷実行部130Kとの間に、またホームポジション(Home Position)センサ184が印刷実行部130Y,130Mの間に、またエッジ(Edge)センサ186が印刷実行部130M,130Cの間に、それぞれ設けられている。
MOB&ADCセンサ182は、中間転写体ベルト136の外周に、そのMOB&ADCセンサ182の面と中間転写体ベルト136の面とが平行に保たれる位置に設置される。このMOB&ADCセンサ182は、環境の変化や長時間の使用による装置各部の変動(纏めて環境変化という)の影響を受けずに安定した画像を得るべく、中間転写体ベルト136上に形成された任意の濃度の参照画像(トナーパッチ/Mark On Belt)である未定着トナー像を検知し、その検知結果に基づいて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけて濃度制御を行なうことで、装置各部の変動が起こっても一定の階調−濃度特性が得られるように画像濃度を補正・制御するために設けられている。
ホームポジションセンサ184は、中間転写体ベルト136における周回の基準位置(ホームポジション)を検出し、その検出結果に基づいて、中間転写体ベルト136の回転速度や位相を所定値に維持するために設けられている。
またエッジセンサ186は、中間転写体ベルト136における側縁(エッジ)を検出し、その検出結果に基づいて、中間転写体ベルト136の横方向移動(ステアリング)を制御するために設けられている。
また、本実施形態特有の構成として、当該装置の動作に関わる環境情報を取得する機能要素を備えている。一例としては先ず、プリンタ1は、装置内の温度(機内温度)を検出する稼働温度検出部188を備えている。本実施形態において、稼働温度検出部188は、湿度センサを有し、この湿度センサを利用して、装置内における所望位置の湿度を検出するようにしている。一例としては、装置内の特にMOB&ADCセンサ182近傍の温度環境状態を検出するように、MOB&ADCセンサ182の近傍に温度センサを設ける。本実施形態においては、MOB&ADCセンサ182の故障判定に際して、温度の影響を排除するように所定の補正を行なうためである(詳細は後述する)。
温度センサとしては、たとえば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などで構成された電子式センサを使用することが好ましい。あるは、物体から放射される赤外線を測定し、その赤外線の量から物体の温度を測定するサーモパイルなどの非接触方式のものを用いてもよい。
またプリンタ1は、当該装置の動作に関わる環境情報を取得する機能要素の他の一例として、装置内の湿度を検出する稼働湿度検出部189を備えている。本実施形態において、稼働湿度検出部189は、湿度センサを有し、この湿度センサを利用して、装置内における所望位置の湿度を検出するようにしている。一例としては、装置内の特にMOB&ADCセンサ182近傍の湿度環境状態を検出するように、MOB&ADCセンサ182の近傍に湿度センサを設ける。本実施形態においては、MOB&ADCセンサ182の故障判定に際して、湿度の影響を排除するように所定の補正を行なうためである(詳細は後述する)。
湿度センサとしては、たとえば雰囲気の湿分の吸脱着による電気的性質の変化を主として利用する電子式センサなど、種々のものを使用できる。たとえば、乾湿球式、毛髪式、水晶振動式、高分子系センサや金属酸化物センサなどを用いたものなどを使用できる。特に、高分子系や金属酸化物は、回路との相性のよい小型センサであり、本実施形態の適用に好ましい。
<基本構成の動作>
このような構成の走査出力系103においては先ず、感光体ドラム131はその表面を1次帯電器133によってトナーと同極性の負に帯電され、VD電位となる。その後、露光光源としてのイエロー(Y)用のレーザ光源(図示せず)は、イエローのトナー出力信号(たとえばオンオフ2値化信号)によって駆動されることで、イエローのトナー出力信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光で感光体ドラム131Yに向けて照射する。これによりレーザ光は、クリーナ132Yによってクリーニングされた後に1次帯電器133Yによって帯電された感光体ドラム131Y上を走査することで、感光体ドラム131Y上に静電潜像を形成する。すなわち、像露光され感光体ドラム131上の露光された部分は電位の絶対値が小さくなり、VL電位となり静電潜像を形成する。
この静電潜像は、イエローのトナーが供給される現像器134Yによってトナー像として顕像化される。すなわち、現像器134に回転自在に取り付けられた図示しないスリーブ上にトナーが薄層コートされており、このトナーは負に帯電している。スリーブには感光体ドラム131の暗電位VDと明電位VLの間の電位が外部電源によって与えられているので、スリーブ上のトナーは感光体ドラム131の明電位VLの部分のみ転移して静電潜像が顕像化される。
この後、感光体ドラム131Yと1次バイアス転写ロール(BTR;Bias Transfer Roll)135Yとが対をなし中間転写体ベルト136を狭持搬送することで、トナー像は中間転写体ベルト136に転写される。すなわち、中間転写体ベルト136を狭持搬送する過程で、中間転写体ベルト136には1次バイアス転写ロール135から感光体ドラム131の帯電電荷(本例では負電荷)と逆極性の電荷(本例では正電荷)が与えられ、感光体ドラム131上のトナー像は電気的引力によって第1の転写材である中間転写体ベルト136に転移し転写されることで、中間転写体ベルト136が第2の画像担持体として機能するようになる。そして転写後は、クリーナ132によって感光体ドラム131Y上から余分なトナーが除去(クリーニング)される。
同様に、イエローのトナー出力信号に対して順次一定間隔をおいて得られる対応するM,C、Kの各色のトナー出力信号に基づいて1次帯電器133M,133C,133Kによって帯電された感光体ドラム131M,131C,131K上を走査することで、感光体ドラム131M,131C,131K上に静電潜像を順次形成する。
各静電潜像は、各色のトナーが供給される現像器134M,134C,134Kによって順次トナー像とされ、各トナー像は、1次バイアス転写ロール135M,135C,135Kによって中間転写体ベルト136上に順次転写される。そして転写後は、クリーナ132によって感光体ドラム131M,131C,131K上から余分なトナーが除去される。
この転写後は、中間転写体ベルト136の画像が転写された部位(転写画像部分)が、2次バイアス転写ロール138の方向に搬送される。一方、標準搬送系107はレジストロール対108dなどにより、ベルト搬送ロール137cと2次バイアス転写ロール138との当接部に向けて、記録用紙を搬送する。そして、中間転写体ベルト136上の転写画像部分と記録用紙とを2次バイアス転写ロール138で挟み付けながら下流側に搬送することにより、画像を記録用紙に印刷する。
そして、このようにY,M,C,Kの各色のトナー像が順次多重転写された記録用紙は、中間転写体ベルト136から剥離され、定着ロール139aを有する定着部139まで搬送され、定着ロール139aによってトナー像が熱定着されることでトナー像が記録用紙上に固着され、その後、標準排出トレイ154などの機外に排出される。
また、所定タイミングでなされる校正処理(プロセスコントロール)時には、所定のメモリから基準画像信号が読み出され、この基準画像信号に基づいて中間転写体ベルト136にカラーパッチを形成する。この中間転写体ベルト136に形成されたカラーパッチをMOB&ADCセンサ182で読み取り、その結果を図示しない制御部へ渡す。
制御部はカラーパッチの読取値に基づいて、印刷実行部130などを制御する。たとえば、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件、ルックアップテーブルなどの階調補正手段を校正(キャリブレート)し色度を校正したり、各印刷実行部130における画像形成位置(レジストレーション)を調整したりする。このようにして、これ以降形成される出力画像の色はカラーパッチの読取値で定義された色・位置に高い精度で一致させられる。
<MOB&ADCセンサ周辺の詳細構成例>
図2は、MOB&ADCセンサ182周辺の詳細構成例を示す図である。
本実施形態では、MOB&ADCセンサ182の環境変化を考慮して、MOB&ADCセンサ182の故障判定基準を補正するために、プリンタ本体100には、図2に示すように、光学部材としてのシャッタ機構を持つ基準反射板290を、中間転写体ベルト136とMOB&ADCセンサ182との間に配置可能に構成されている。
MOB&ADCセンサ182は、図示を割愛するが、外光の影響を受けることがないように、箱状のケーシング内に収容される。
MOB&ADCセンサ182は、被測定物(中間転写体ベルト136や基準反射板290)に照明光L1を照射する光源部(発光部)182aと、被測定物の測定ポイントにて反射された反射光L2を受光する受光部182bとを有している。
光源部182aと受光部182bとは、光軸が所定の関係を常に満たすように、図示しないケーシングに収容されている。たとえば、光源部182aとしては発光素子としての発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)が用いられ、また受光部182bとしては受光素子としてのフォトダイオード(PD;Photo Diode )が用いられ、正反射型の光学検知手段として機能し、中間転写体ベルト136や基準反射板290に対して入射角と反射角が同一の角度に対して最も感度を有するように、図において左右対称の姿勢で収容される。
なお、光源部182aを0°、受光部182bを45°に、もしくは光源部182aを45°、受光部182bを0°に配置すると、被測定物による拡散光(散乱光)を反射光L2として検出するため、被測定物の表面形状や光沢の影響を避けることができる。
光源部182aは、所定タイミングで照明光L1を被測定物に照射する。このため、光源部182aには、制御信号が図示しない制御部から入力される。受光部182bは、反射光L2を検知した受光信号に基づき所定の信号処理を施して所定の基礎情報を得、これをセンサ出力Voとして図示しない制御部に渡す。
このような構成のMOB&ADCセンサ182では、LEDなどの光源部182aから図示しないケーシングの窓を通して被測定物としての中間転写体ベルト136の表面へ向けて所定波長の照明光L1(たとえばピーク波長約950nmの赤外光)を出射する。そして、中間転写体ベルト136の表面(地肌)またはこの表面上に形成された基準となるトナーパッチTPによる反射光L2を、図示しないケーシングの窓を通してフォトダイオードなどの受光部182bで受光し、この受光した光量に応じたセンサ出力Voを発生させる。
これにより、ブラック(K)トナー付着量やカラートナー(C,M,Y)トナー付着量に応じたセンサ出力Voが得られる。
ここで、基準反射板290は、光学濃度センサであるMOB&ADCセンサ182の特性ばらつきや故障判定性能を考慮して、MOB&ADCセンサ182(受光部182b)からのセンサ出力Voや判定基準値を補正するために、光源部182aのピーク波長付近で一定の反射率を有する光学部材として機能する。
トナーパッチの色材種(Y,M,C,K)に応じて適切な反射率を有するものとするのがよく、たとえば、ブラックトナー用の基準反射板290の反射率は比較的大きく(カラートナーの高付着量に相当する)、カラートナー用の基準反射板290の反射率は中程度(カラートナーの中間調の付着量に相当する)に、中間転写体ベルト136の表面(地肌)の反射率は比較的低く、それぞれ設定されるのがよい。これらの基準反射板290および中間転写体ベルト136の表面(地肌)の反射率は、センサ出力Voを補正するための基準となる。
なお、不透明の中間転写体ベルト136の材料としては、半導電PC(ポリカーボネート)、半導電ETFE(エチレン、エトラフルオロエチレン共重合体)、半導電エステル、半導電PVDF(ポリフッ化ビニルデン)、半導電PI(ポリイミド)、半導電ナイロン、半導電PET(ポリエチレンテレフタレート)などを使用することができる。
中間転写体ベルト136や基準反射板290に対する光学反射率は、MOB&ADCセンサ182の光源部182aから発せられる照明光L1に対する反射率のことを意味するのは言うまでもない。MOB&ADCセンサ182の光源部182aおよび受光部182bの入出力特性は、それぞれ発光量あるいは受光量とそれぞれを駆動する電圧との間にリニア(線形)な相関を有するものとするのがよい。ただし、実際には完全にリニアな相関を有するものとすることは難しく、判定基準値の環境補正に際してもこの点を考慮する必要がある。
基準反射板290に対するシャッタ機構は、図示を割愛するが、たとえば、ステップモータと、基準反射板290を保持するホルダと、ステップモータによる回転運動をホルダの往復運動に変換するリンクとからなっている。このような構成の移動機構によって、基準反射板290は、中間転写体ベルト136とMOB&ADCセンサ182との間から外れた待機位置と、中間転写体ベルト136とMOB&ADCセンサ182との間の光経路に入る作動位置との間で移動される。
これにより、たとえば、シャッタを閉じた状態でMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)を点灯し、シャッタ機構を持つ基準反射板290の裏面からの反射光L2をMOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、基準出力Vref が得られる。
また、シャッタを開いた状態で、中間転写体ベルト136のトナー像がない場所にMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)から照明光L1を照射し、その反射光L2をMOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、クリーン出力Vclean が得られる。
また、シャッタを閉じた状態でMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)を点灯せずに、MOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、暗時出力Vdarkが得られる。
<自動濃度制御処理に着目した構成例>
図3は、図1に示したプリンタ1(プリンタ本体100)のMOB&ADCセンサ182、稼働温度検出部188、および稼働湿度検出部189を利用した自動濃度制御処理に着目した構成例の機能ブロック図である。
プリンタ本体100は、MOB&ADCセンサ182、稼働温度検出部188、および稼働湿度検出部189からの検知情報を得て自動濃度制御処理を行なうなどの印刷処理に関わる制御機能部分である印刷制御部220と、印刷出力処理用のデータ(画像形成データ)を生成する画像処理部320と、印刷処理(画像形成処理)を実行する印刷動作機構部340を備えている。
ここで、本実施形態の構成では、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189からの検知情報を利用することで、MOB&ADCセンサ182の故障判定に用いる各判定閾値自体を、周囲の環境(温度、湿度)を考慮して補正することで、センサ故障判定の精度向上を実現している点に特徴を有する。この点については後で詳しく説明する。
印刷制御部220は、たとえば、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に画像処理部320や印刷動作機構部340などを制御するように構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどのコンピュータ(電子計算機)の機能を利用してソフトウェア的に制御機能を実現することができる。このようなコンピュータを用いた構成に限らず、それぞれの機能をなす専用のハードウェアの組合せにより構成することもできる。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
たとえば、印刷制御部220は、MOB&ADCセンサ182からの検知情報を得て自動濃度制御処理を行なう自動濃度制御処理224および稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189からの検知情報を得てMOB&ADCセンサ182の故障判定のための判定基準値を補正し、この補正後の判定基準値を使用してMOB&ADCセンサ182の故障判定を行なう故障判定部226をなすCPU(Central Processing Unit )222を備える。
さらに印刷制御部220は、CPU222の他、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)232、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)240、および不揮発性の記憶部の一例であるROMもしくはRAM(NVMと記述する)250を有する記憶部230を備える。
上記において“揮発性の記憶部”とは、プリンタ本体100の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、プリンタ本体100のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、強誘電体不揮発メモリ(FeRAM)など半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。
なお、RAMやNVMなどの記憶手段は、随時書込みおよび読取り可能な特性を有し、信号情報を書き換え可能に記憶、保持するものであれば特に限定されるものではなく、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクなどの磁気記録媒体や磁気バブルメモリ、あるいは光磁気メモリなどの磁気的記憶手段や、光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
記憶部230には、自動濃度制御処理と関わりのある情報が記憶・保持される。一例として、ROM232やNVM250には、暗時出力Vdark、基準出力Vref 、およびクリーン出力Vclean のそれぞれについて、故障判定閾値初期値の上限値と下限値が記憶される故障判定閾値初期値保持領域230aと、暗時出力Vdark、基準出力Vref 、およびクリーン出力Vclean のそれぞれについて、温度や湿度に対する補正用のテーブル値の上限値と下限値が記憶される温度湿度補正テーブル保持領域230bとが用意される。
また、RAM240やNVM250には、暗時出力Vdark、基準出力Vref 、およびクリーン出力Vclean のそれぞれについて、温度や湿度などの環境を考慮して算出(補正)された故障判定閾値補正値の上限値と下限値が記憶される故障判定閾値補正値保持領域230cが用意される。
ここで、それぞれについて上限値と下限値とを用意しているのは、MOB&ADCセンサ182の光源部182aおよび受光部182bの入出力特性は、それぞれ発光量あるいは受光量とそれぞれを駆動する電圧との間にリニア(線形)な相関を有するものとすることは難しく、判定基準値の環境補正に際してもこの点を考慮するためである。
中間転写体ベルト136や基準反射板290に対する光学反射率は、MOB&ADCセンサ182の光源部182aから発せられる照明光L1に対する反射率のことを意味するのは言うまでもない。MOB&ADCセンサ182の光源部182aおよび受光部182bの入出力特性は、それぞれ発光量あるいは受光量とそれぞれを駆動する電圧との間にリニア(線形)な相関を有するものとするのがよい。ただし、実際には完全にリニアな相関を有するものとすることは難しく、判定基準値の環境補正に際してもこの点を考慮する必要がある。
また、プリンタ本体100は、ユーザインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部262と、表示デバイスや音声デバイスなどのマルチメディアデバイスを有し、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに通知する通知部264を含むユーザインタフェース部260を備える。
CPU222には、画像処理部320や印刷動作機構部340に対する制御機能だけでなく、プリンタ1全体の種々の処理をするための演算・制御機能が搭載される。たとえば、画像形成装置として構成する場合の資源であるそれぞれ図示しないドキュメントフィーダ、操作パネル部、画像読取部(スキャナ部)、画像形成ユニット(印刷実行部130に相当)、両面複写ユニット、排紙ユニット、あるいは給紙トレイなどを制御する機能が搭載される。
たとえば、印刷制御部220には、半導体製の記憶媒体(ROM232,RAM240,NVM250)を利用して、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
印刷動作機構部340は、手差しトレイ180や用紙カセット198などを有してなる給紙部342と、印刷処理を実行する印刷部350と、処理済みの用紙に対して排紙処理やパンチング穴形成処理やステープラ処理などの終末処理をする排出処理部360とを備えている。
印刷制御部220からの制御出力信号CN0は画像処理部320に接続され、同じく制御出力信号CN1は印刷動作機構部340の給紙部342、印刷部350、および排出処理部360に接続されている。
印刷部350は、印刷用紙を搬送する標準搬送系107を有する搬送部352と、感光体ドラム131上に潜像として形成された文字や画像を現像する現像器134を有する現像部354と、現像部354によって顕在化された文字や画像を中間転写体ベルト136や印刷用紙に対して転写する1次バイアス転写ロール135や2次転写ロール138などを有する印刷実行部としての転写部356と、転写部356によって印刷用紙上に転写された文字や画像を定着させる定着ロール139aなどを有する定着部358(図1の定着部139に相当)とを有している。
印刷制御部220のCPU222に構成される自動濃度制御処理224は、中間転写体ベルト136に自動濃度調整用のトナーパッチTPが形成された後、MOB&ADCセンサ182で読み取った濃度情報に基づいて、最適な濃度に対応する現像高圧値を求め、それ以降の画像形成のための現像高圧値を決定したり、印刷動作機構部340に供給される画像信号(印字用の画像形成データ)に電気的補正を掛けたりする。
<記憶部に保持される情報例>
図4は、記憶部230に保持される、自動濃度制御処理と関わりのある情報例の詳細を示す図である。
ROM232やNVM250の故障判定閾値初期値保持領域230aには、暗時出力Vdarkについての故障判定閾値上限初期値VdarkThUpInitおよび故障判定閾値下限初期値VdarkThLwInitと、基準出力Vref についての故障判定閾値上限初期値Vref ThUpInitおよび故障判定閾値下限初期値Vref ThLwInitと、クリーン出力Vclean についての故障判定閾値上限初期値Vclean ThUpInitおよび故障判定閾値下限初期値Vclean ThLwInitとが記憶される。
また、ROM232やNVM250の温度湿度補正テーブル保持領域230bには、暗時出力Vdarkについての温度湿度閾値上限補正テーブル値VdarkThUpTbl[温度][湿度]および温度湿度閾値下限補正テーブル値VdarkThLwTbl[温度][湿度]と、基準出力Vref についての温度湿度閾値上限補正テーブル値Vref ThUpTbl[温度][湿度]および温度湿度閾値下限補正テーブル値Vref ThLwTbl[温度][湿度]と、クリーン出力Vclean についての温度湿度閾値上限補正テーブル値Vclean ThUpTbl[温度][湿度]および温度湿度閾値下限補正テーブル値Vclean ThLwTbl[温度][湿度]とが記憶される。
なお本例では、温度湿度補正テーブル保持領域230bには、“ Tbl[温度][湿度]”というように、温度と湿度の双方についての補正テーブル値を纏めた2次元テーブルを用意しているが、温度と湿度のそれぞれについて個別の補正テーブル値を纏めた1次元テーブルを用意する用にしてもよい。この場合、環境補正に際しては、温度について補正テーブル値と湿度について補正テーブル値との積を利用するとよい。
また、RAM240やNVM250の故障判定閾値補正値保持領域230cには、暗時出力Vdarkについて環境補正された故障判定閾値上限値VdarkThUpおよび故障判定閾値下限値VdarkThLwと、基準出力Vref について環境補正された故障判定閾値上限値Vref ThUpおよび故障判定閾値下限値Vref ThLwと、クリーン出力Vclean について環境補正された故障判定閾値上限値Vclean ThUpおよび故障判定閾値下限値Vclean ThLwとが記憶される。
<MOB&ADCセンサの故障判定の処理手順>
図5は、自動濃度調整処理に関わるMOB&ADCセンサの故障判定の処理手順の一例を説明するフローチャートである。
センサ故障判定部226は、プリント処理を開始すると、それまでのプリント積算枚数カウンタCが予め定められている光学濃度センサの故障判定処理起動タイミングのカウンタ値Pに達しているか否かを判定する(S100)。このような判定を行なうのは、毎回故障判定を行なうことを排除する訳ではないが、所定回数ごとに判定すれば十分であるからである。
プリント積算枚数カウンタCが故障判定処理起動カウンタ値Pに達していなければ(C<P)、センサ故障判定部226は、プリント積算枚数カウンタCをカウントアップし(C=C+1)、次のプリント処理を待つ(S100−NO,S102)。
一方、プリント積算枚数カウンタCが故障判定処理起動カウンタ値Pに達している場合には(C≧P)、センサ故障判定部226は、先ずプリント積算枚数カウンタCをリセットし((C=0)する(S100−YES,S110)。
次にセンサ故障判定部226は、基準反射板290のシャッタを閉じた状態でMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)を点灯せずに、MOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、暗時出力Vdarkを測定する(S112)。
次に、センサ故障判定部226は、基準反射板290のシャッタを閉じた状態でMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)を点灯し、基準反射板290の裏面からの反射光L2をMOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、基準出力Vref を測定する(S114)。
次に、センサ故障判定部226は、基準反射板290のシャッタを開いた状態で、中間転写体ベルト136のトナー像がない場所にMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)から照明光L1を照射し、その反射光L2をMOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、クリーン出力Vclean を測定する(S116)。
次に、センサ故障判定部226は、基準反射板290のシャッタを開いた状態で、中間転写体ベルト136上に形成された自動濃度調整用のトナーパッチTPにMOB&ADCセンサ182の光源部182a(LED)から照明光L1を照射し、その反射光L2をMOB&ADCセンサ182(受光部182b)で読み込むことで、センサ出力Voとして、濃度調整出力Vpatch を測定する(S118)。
また、センサ故障判定部226は、MOB&ADCセンサ182の環境条件に起因するセンサ出力Voの特性ばらつきや故障判定基準値を補正するべく、稼働温度検出部188の温度センサ188aを用いてMOB&ADCセンサ182近傍の温度を測定するとともに(S120)、稼働湿度検出部189の湿度センサ189aを用いてMOB&ADCセンサ182近傍の湿度を測定する(S122)。
次にセンサ故障判定部226は、暗時出力Vdarkについて環境補正された故障判定閾値上限値VdarkThUpと故障判定閾値下限値VdarkThLwとを算出する(S130)。具体的には、暗時出力Vdarkについての故障判定閾値上限初期値VdarkThUpInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応する暗時出力Vdarkについての温度湿度閾値上限補正テーブル値VdarkThUpTbl[温度][湿度]との積により、暗時出力Vdarkについて環境補正された故障判定閾値上限値VdarkThUpを算出する。
また、暗時出力Vdarkについての故障判定閾値下限初期値VdarkThLwInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応する暗時出力Vdarkについての温度湿度閾値下限補正テーブル値VdarkThLwTbl[温度][湿度]との積により、暗時出力Vdarkについて環境補正された故障判定閾値下限値VdarkThLwを算出する。
次にセンサ故障判定部226は、基準出力Vref について環境補正された故障判定閾値上限値Vref ThUpと故障判定閾値下限値Vref ThLwとを算出する(S132)。具体的には、基準出力Vref についての故障判定閾値上限初期値Vref ThUpInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応する基準出力Vref についての温度湿度閾値上限補正テーブル値Vref ThUpTbl[温度][湿度]との積により、基準出力Vref について環境補正された故障判定閾値上限値Vref ThUpを算出する。
また、基準出力Vref についての故障判定閾値下限初期値Vref ThLwInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応する基準出力Vref についての温度湿度閾値下限補正テーブル値Vref ThLwTbl[温度][湿度]との積により、基準出力Vref について環境補正された故障判定閾値下限値Vref ThLwを算出する。
次にセンサ故障判定部226は、クリーン出力Vclean について環境補正された故障判定閾値上限値Vclean ThUpと故障判定閾値下限値Vclean ThLwとを算出する(S134)。具体的には、クリーン出力Vclean についての故障判定閾値上限初期値Vclean ThUpInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応するクリーン出力Vclean についての温度湿度閾値上限補正テーブル値Vclean ThUpTbl[温度][湿度]との積により、クリーン出力Vclean について環境補正された故障判定閾値上限値Vclean ThUpを算出する。
また、クリーン出力Vclean についての故障判定閾値下限初期値Vclean ThLwInitと、稼働温度検出部188および稼働湿度検出部189で実測した温度および湿度に対応するクリーン出力Vclean についての温度湿度閾値下限補正テーブル値Vclean ThLwTbl[温度][湿度]との積により、クリーン出力Vclean について環境補正された故障判定閾値下限値Vclean ThLwを算出する。
次にセンサ故障判定部226は、自動濃度制御用のMOB&ADCセンサ182の故障の有無を判断する。具体的には、先ず、ステップS112で測定した暗時出力Vdarkが、温度および湿度について環境補正された故障判定閾値下限値VdarkThLw以上(VdarkThLw≦Vdark)であるか、もしくは故障判定閾値上限値VdarkThUp以下(Vdark≦VdarkThUp)であるかを判定する(S140)。
判定基準に合致する場合には(S140−YES)、次にセンサ故障判定部226は、ステップS114で測定した基準出力Vref が、温度および湿度について環境補正された故障判定閾値下限値Vref ThLw以上(Vref ThLw≦Vref )であるか、もしくは故障判定閾値上限値Vref ThUp以下(Vref ≦Vref ThUp)であるかを判定する(S142)。
判定基準に合致する場合には(S142−YES)、次にセンサ故障判定部226は、ステップS116で測定したクリーン出力Vclean が、温度および湿度について環境補正された故障判定閾値下限値Vclean ThLw以上(Vclean ThLw≦Vclean )であるか、もしくは故障判定閾値上限値Vclean ThUp以下(Vclean ≦Vclean ThUp)であるかを判定する(S144)。
判定基準に合致する場合には(S144−YES)、センサ故障判定部226は、ステップS100に戻り、次のプリント処理を待機する。
一方、各判定基準に合致しない場合には(S140,S142,S144の各NO)、センサ故障判定部226は、MOB&ADCセンサ182が異常であると判断して、光学濃度センサ(ADCセンサ)Fail情報をユーザインタフェース部260の通知部264に送信して、この通知部264を介して表示デバイスや音声デバイスなどのマルチメディアデバイスにて、エラーメッセージをユーザに通知し、指示入力部262を介したユーザからの指示を待つ。
このように、本実施形態においては、光学濃度センサの故障判定のために、MOB&ADCセンサ182と中間転写体ベルト136との間に配される基準反射板290に光を当てその反射光L2を検知し、その測定値がセンサ故障判定の閾値の上限値と下限値の間に入っているか否かで判定を行なうシステムにおいて、故障判定のための上限閾値と下限閾値といった判定基準値について、稼働温度検出部188や稼働湿度検出部189を使用して実測で求められた温度や湿度に基づいて補正することで、センサ故障判定の精度(故障の検知精度)を向上させることができる。
温度や湿度の環境によらず、センサ故障判定を精度良く行なうことが可能となり、出力画像に関するトラブルを未然に防止することができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、温度湿度補正テーブル保持領域230bに、温度と湿度の双方についての補正テーブル値を纏めた2次元テーブルを用意して、環境条件としての温度と湿度の双方に基づいて、光学濃度センサの故障判定のための判定基準である上限値と下限値とを補正するようにしていたが、温度と湿度の何れか一方のみに基づいて、光学濃度センサの故障判定のための判定基準である上限値と下限値とを補正するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、中間転写体ベルト136として所定の反射率を持つ材料からなる中間転写体ベルト136を使用するものとして、MOB&ADCセンサ182として、反射光を検知するタイプのセンサ(反射型センサ)を使用していたが、透明材料からなる中間転写体ベルト136を使用するものとして、MOB&ADCセンサ182として、透過光を検知するタイプのセンサ(透過型センサ)を使用してもよい。
また、光学濃度センサの故障判定に影響を与える環境条件は、温度や湿度だけに限らないので、温度や湿度以外の環境条件についても同様に考慮して、判定基準である上限値と下限値とを補正することで、温度や湿度以外の環境条件についてもセンサ故障判定の精度(故障の検知精度)を向上させることができる。
たとえば、上記実施形態では、補正を行なう場合に、基準反射板290の反射光を利用していたが、トナーパッチTPのトナー付着量が同じであって、かつ環境変化や経時変化などによって光学濃度センサ自身の特性が変化しない場合であっても、環境変化や経時変化などによって基準反射板290の反射率が以前とは異なる値を呈することがあるため、精度良く故障判定ができないという問題が生じる。この問題を解消するには、基準反射板290の反射率の環境変化についても考慮するのがよい。
1…プリンタ、100…プリンタ本体、102…メインユニット、103…走査出力系、130…印刷実行部、131…感光体ドラム、132…クリーナ、133…1次帯電器、134…現像器、135…1次バイアス転写ロール、136…中間転写体ベルト、138…2次バイアス転写ロール、139…定着部、140…ベルトクリーニングユニット、179…書込走査光学系、180…手差しトレイ、182…MOB&ADCセンサ、184…ホームポジションセンサ、186…エッジセンサ、188…稼働温度検出部、189…稼働湿度検出部、190…給紙トレイ、220…印刷制御部、222…CPU、224…自動濃度制御処理、230…記憶部、230a…故障判定閾値初期値保持領域、230b…温度湿度補正テーブル保持領域、230c…故障判定閾値補正値保持領域、232…ROM、240…RAM、250…NVM、340…印刷動作機構部