JP2006017226A - トルクリミッタ装置、その製造方法、及びその組み付け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 このトルクリミッタ装置1は、エンジンに連結されたフライホイール2からトランスミッション側の入力軸3へ伝達されるトルクを制限するためのものである。外周部に摩擦連結部が固定されたクラッチディスク13と、トランスミッション側の入力軸3に係合するスプラインハブ15と、クラッチディスク13とスプラインハブ15とを円周方向に弾性的に連結するダンパー機構16と、クラッチディスク13に装着され摩擦連結部を1対のプレート間で狭持して、フライホイールから入力軸3へ伝達されるトルクを制限する伝達トルク制限部6とを備えている。フライホイール2と伝達トルク制限部6とは、半径方向に相対移動不能に係合している。
【選択図】 図1
Description
◎入力側プレートと、出力側部材と、ダンパー機構とをクラッチディスク組立体として組み付ける第1工程。
◎伝達トルク制限部を芯出し用の治具に組み付けることで伝達トルク制限部と治具との芯出しを行う第2工程。
◎クラッチディスク組立体を治具に組み付ける第3工程。
◎伝達トルク制限部とクラッチディスク組立体との組み付けを行う第4工程。
また、この製造方法では、伝達トルク制限部と治具とは、半径方向に相対移動不能に係合している。
◎出力側部材と伝達トルク制限部とを芯出し組み付けしてトルクリミッタ装置を組み付ける第1工程。
◎伝達トルク制限部とエンジン側部材とを半径方向に係合させることでエンジン側部材と出力側部材との芯出しを行い、トルクリミッタ装置を伝達トルク制限部を介してエンジン側部材に組み付ける第2工程。
1.トルクリミッタ装置の構造
図1に本発明の一実施形態としてのトルクリミッタ装置の断面図を示す。図1においては、左側にエンジン及びフライホイール2が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。
クラッチディスク組立体5は、主に、入力回転体としてのクラッチプレート11、リティーニングプレート12及びクラッチディスク13と、出力回転体としてのスプラインハブ15と、入力回転体と出力回転体との間に形成されたダンパー機構16とから構成されている。
伝達トルク制限部6は、クラッチディスク組立体5のクラッチディスク13と、クラッチディスク13の摩擦フェーシング21を軸方向両側から挟み込むように設けられた第1プレート30及び第2プレート31と、1対のプレート30、31に挟持力を与えるためのコーンスプリング32と、クラッチディスク13の外周側に配置されるリング状のカバー部材33とを有している。
トルクリミッタ装置1の製造方法及び芯出し用の治具について説明する。図2に芯出し用の治具の構造図、図3にトルクリミッタ装置の製造工程を示す。
まず、芯出し用の治具の構造について説明する。治具40は、図2に示すように、治具本体41と、スプライン軸42と、環状部43とから構成される。治具本体41は、治具の主要部を構成する円板状の部材である。スプライン軸42は、治具本体41の表面において、その中心部に突出して設けられており、クラッチディスク組立体5のスプラインハブ15のスプライン孔25aに係合可能となっている。環状部43は、治具本体41の表面外周部において、全周にわたり突出した環状の部分である。環状部43とスプライン軸42とは、予め芯出しが行われている。
第1工程S1では、まずクラッチディスク組立体5の組み付けを行う。具体的には、クラッチプレート11、リティーニングプレート12及びクラッチディスク13と、スプラインハブ15と、ダンパー機構16とを組み付ける。クラッチディスク組立体5の組み付けは、従来の組み付け工程と何ら変わるところはなく、ここでは詳細な説明は省略する。なお、このクラッチディスク組立体5の組み付けに際しては、クラッチプレート11の中心孔とスプラインハブ15のボス25との間には、ブッシュ28が設けられる。したがって、クラッチプレート11とスプラインハブ15との芯出しはこのブッシュ28によって行われ、容易に確実な芯出しを行って組み付けることができる。しかも、このブッシュ28によって、組み付け後にクラッチプレート11とスプラインハブ15(特にボス25)との芯がずれるのを抑えることができる。
次に、第2工程S2では、伝達トルク制限部6を芯出し用の治具40に組み付ける。具体的には、伝達トルク制限部6のカバー部材33が治具40に対して組み付けられる。治具本体41は、環状部43の内周側に複数のボルト孔が設けられている。そして、カバー部材33は、治具本体41に対してボルトにて組み付けられる。このとき、環状部43の内周面43aとカバー部材33の外周面33aとが当接する。環状部43の内径とカバー部材33の外径とは、挿嵌させたときにガタが生じないよう嵌め合い公差が設けられている。これにより、カバー部材33が環状部43に挿嵌されることで、カバー部材33と環状部43との芯出しが容易にかつ確実に行われる。
第3工程S3では、クラッチカバー組立体5を治具40に組み付ける。具体的には、カバー部材33の内周部にコーンスプリング32、第2プレート31をセットし、さらにクラッチディスク組立体5を載置する。その際、スプラインハブ15のスプライン孔25aに治具40のスプライン軸42を挿入しながら行う。これにより、スプラインハブ15と伝達トルク制限部6(カバー部材33)との芯出しが行えたことになる。なお、前述のように、クラッチディスク組立体5の組立に際してクラッチプレート11とスプラインハブ15とが芯出し組み付けされているので、結局、クラッチプレート11とカバー部材33の芯出しも行えたことになる。
第4工程S4では、伝達トルク制限部6とクラッチディスク組立体5との組み付けを行う。具体的には、第3工程が終了した状態で第1プレート30をセットし、リベット34をかしめる。これにより、各部が芯出しされた状態で、クラッチディスク組立体5と伝達トルク制限部6とが組み付けることができる。
以上の製造方法により製造されたトルクリミッタ装置1を、実際に車輌に組み付けるフライホイール2及び組み付け方法の手順について説明する。
フライホイール2は、図1に示すようにフライホイール本体2aと、突出部2bとから構成される。フライホイール本体2aは、フライホイール2の主要部を構成する環状の部材であり、図示しないエンジンのクランクシャフトに固定されている。突出部2bは、フライホイール本体2aの表面外周部において、軸方向トランスミッション側へ突出した環状の部分である。
この組み付け方法では、前述の製造方法により組上がったトルクリミッタ装置1をフライホイール2に組み付ける。具体的には、トルクリミッタ装置1の伝達トルク制限部6のカバー部材33を、フライホイール2の突出部2bの内周側に挿嵌する。そして、伝達トルク制限部6をフライホイール本体2aに対してボルトにて固定する。このとき、突出部2bの内周面2cとカバー部材33の外周面33aとが当接する。これにより、突出部2bと伝達トルク制限部6との芯出しが行われる。前述の製造方法により、伝達トルク制限部6とスプラインハブ15との芯出しが行われているため、突出部2bによりスプラインハブ15とフライホイール2との芯出しも行われる。これにより、従来、芯ずれによって最も重大な問題の発生していたスプラインハブ15とトランスミッション入力軸3との結合部の異常摩耗を抑えることができる。
本発明に係る製造方法の作用効果を以下にまとめる。
このトルクリミッタ装置1では、伝達トルク制限部6が突出部2bの内周側に挿嵌されており、突出部2bの内周面2cと伝達トルク制限部6のカバー部材33の外周面33aとが当接するため、フライホイール2と伝達トルク制限部6との芯出しを行うことができる。その結果、フライホイール2とスプラインハブ15との芯出しを容易にかつ確実に行うことができる。また、このトルクリミッタ装置1では、ノックピン及びノック孔を設けることなく、容易にかつ確実にエンジン側部材と伝達トルク制限部6との芯出しを行うことができる。
この製造方法では、伝達トルク制限部6が環状部43の内周側に挿嵌されているため、伝達トルク制限部6と治具40との芯出しを行うことができる。その結果、伝達トルク制限部6とスプラインハブ15との芯出しを行うことができる。また、この製造方法では、ノックピン及びノック孔を設けることなく、容易にかつ確実に伝達トルク制限部6とスプラインハブ15との芯出しを行うことができる。
この組み付け方法では、伝達トルク制限部6が突出部2bの内周側に挿嵌されているため、フライホイール2と伝達トルク制限部6との芯出しを行うことができる。その結果、フライホイール2とスプラインハブ15との芯出しを容易にかつ確実に行うことができる。また、この組み付け方法では、ノックピン及びノック孔を設けることなく、容易にかつ確実に伝達トルク制限部とフライホイール2との芯出しを行うことができる。
本発明は係る上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(1)突出部及び環状部
本発明の突出部2b及び環状部43は、伝達トルク制限部6の外周側と係合するよう設けられているが、伝達トルク制限部6の内周側と係合するよう設けてもよいし、あるいは伝達トルク制限部6のカバー部材33側に設けてもよい。
2 フライホイール(エンジン側部材)
2a フライホイール本体
2b 突出部
2c 内周面
3 トランスミッション入力軸(出力軸)
5 クラッチディスク組立体
6 伝達トルク制限部
13 クラッチディスク
15 スプラインハブ(出力側部材)
21 摩擦フェーシング
30 第1プレート
31 第2プレート
32 コーンスプリング
33 カバー部材
33a 外周面
40 治具
41 治具本体
42 スプライン軸
43 環状部
43a 内周面
Claims (9)
- エンジンに連結されたエンジン側部材から出力軸へ伝達されるトルクを制限するためのトルクリミッタ装置であって、
外周部に摩擦連結部が固定された入力側プレートと、
前記出力軸に係合する出力側部材と、
前記入力側プレートと前記出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するダンパー機構と、
入力側プレートに装着され前記摩擦連結部を1対のプレート間で狭持して、前記エンジン側部材から前記出力軸へ伝達されるトルクを制限する伝達トルク制限部とを備え、
前記エンジン側部材と前記伝達トルク制限部とは、半径方向に相対移動不能に係合している、
トルクリミッタ装置。 - 前記エンジン側部材は、
円板状のエンジン側部材本体と、
前記エンジン側部材本体から軸方向へ突出した環状の突出部とを有しており、
前記突出部と前記伝達トルク制限部とは、半径方向に係合している、
請求項1に記載のトルクリミッタ装置。 - 前記伝達トルク制限部は、前記突出部の内周側に挿嵌される、
請求項2に記載のトルクリミッタ装置。 - 前記突出部の内周面と前記伝達トルク制限部の外周面とは、半径方向に当接している、
請求項2または3に記載のトルクリミッタ装置。 - 外周部に摩擦連結部が固定された入力側プレートと、出力軸に係合する出力側部材と、前記入力側プレートと前記出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するダンパー機構と、エンジン側部材に装着され前記摩擦連結部を1対のプレート間で狭持して、前記エンジン側部材から前記出力軸へ伝達されるトルクを制限する伝達トルク制限部とを備えるトルクリミッタ装置の製造方法であって、
前記入力側プレートと、前記出力側部材と、前記ダンパー機構とをクラッチディスク組立体として組み付ける第1工程と、
前記伝達トルク制限部を芯出し用の治具に組み付けることで前記伝達トルク制限部と前記治具との芯出しを行う第2工程と、
前記クラッチディスク組立体を前記治具に組み付ける第3工程と、
前記伝達トルク制限部と前記クラッチディスク組立体との組み付けを行う第4工程とを含み、
前記伝達トルク制限部と前記治具とは、半径方向に相対移動不能に係合している、
を含むトルクリミッタ装置の製造方法。 - 前記治具は、
円板状の治具本体と、
前記治具本体の中心部から突出したスプライン軸と、
前記治具本体から軸方向へ突出した環状の環状部とを有しており、
前記第2工程は、前記伝達トルク制限部と前記環状部とが半径方向に係合することで前記伝達トルク制限部と前記治具との芯出しを行う工程を含む、
請求項5に記載のトルクリミッタ装置の製造方法。 - 前記第2工程は、前記伝達トルク制限部が前記環状部の内周側に挿嵌されることで前記伝達トルク制限部と前記治具との芯出しを行う工程を含む、
請求項6に記載のトルクリミッタ装置。 - 外周部に摩擦連結部が固定された入力側プレートと、出力軸に係合する出力側部材と、前記入力側プレートと前記出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するダンパー機構と、エンジン側部材に装着され前記摩擦連結部を1対のプレート間で狭持して、前記エンジン側部材から前記出力軸へ伝達されるトルクを制限する伝達トルク制限部とを備えるトルクリミッタ装置を、前記エンジン側部材に装着するための組み付け方法であって、
前記出力側部材と前記伝達トルク制限部とを芯出し組み付けして前記トルクリミッタ装置を組み付ける第1工程と、
前記伝達トルク制限部と前記エンジン側部材とを半径方向に係合させることで前記エンジン側部材と前記出力側部材との芯出しを行い、前記トルクリミッタ装置を前記伝達トルク制限部を介して前記エンジン側部材に組み付ける第2工程と、
を含むトルクリミッタ装置の組み付け方法。 - 前記エンジン側部材は、環状のエンジン側部材本体と、前記エンジン側部材本体から軸方向へ突出した環状の突出部とを有し、
前記第2工程は、前記伝達トルク制限部を前記突出部の内周側に挿嵌することで前記伝達トルク制限部と前記エンジン側部材との芯出しを行う工程を含む、
請求項8に記載のトルクリミッタ装置の組み付け方法。
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