JP2011027122A - トルクリミッタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルクリミッタ装置の摩擦材の固定に関し、構成を簡単かつ安価にする。
【解決手段】この装置は、フライホイール5と、クラッチプレート20と、スプラインハブ22と、クラッチディスク組立体6と、伝達トルク制限部7と、を備えている。フライホイール5は摩擦連結面14bを有する。クラッチプレート20は、軸方向に貫通する複数の孔20bを有し、この孔20bに摩擦材26が装着されている。スプラインハブ22はトランスミッション側の軸3に係合可能である。クラッチディスク組立体6はクラッチプレート20とスプラインハブ22とを円周方向に弾性的に連結する。伝達トルク制限部7は、摩擦材26をフライホイール5の摩擦連結面14bとの間で狭持して、フライホイール5からトランスミッション側の軸3に伝達されるトルクを制限する。
【選択図】図1
【解決手段】この装置は、フライホイール5と、クラッチプレート20と、スプラインハブ22と、クラッチディスク組立体6と、伝達トルク制限部7と、を備えている。フライホイール5は摩擦連結面14bを有する。クラッチプレート20は、軸方向に貫通する複数の孔20bを有し、この孔20bに摩擦材26が装着されている。スプラインハブ22はトランスミッション側の軸3に係合可能である。クラッチディスク組立体6はクラッチプレート20とスプラインハブ22とを円周方向に弾性的に連結する。伝達トルク制限部7は、摩擦材26をフライホイール5の摩擦連結面14bとの間で狭持して、フライホイール5からトランスミッション側の軸3に伝達されるトルクを制限する。
【選択図】図1
Description
本発明は、トルクリミッタ装置、特に、エンジンのクランク軸からトランスミッション側の軸に伝達されるトルクを制限するためのトルクリミッタ装置に関する。
車両において、エンジンからの過大トルクによってトランスミッション等が破損するのを防止するために、エンジンとトランスミッションとの間に、伝達されるトルクを制限するためのトルクリミッタ装置が設けられることがある。このトルクリミッタ装置は、例えば、1枚以上の摩擦フェーシングを1対のプレートで両側から所定の挟持力で挟み込み、その入力側をエンジン側の部材としてのフライホイール等に連結し、出力側をトランスミッション側の入力軸等に連結するものである。
この種のトルクリミッタ装置は、外周部に摩擦連結部を有するドライブプレートと、1対のプレートによってドライブプレートの摩擦連結部を所定の挟持力で挟み込む伝達トルク制限部と、トランスミッションの入力軸に連結されるドリブン側部材と、これらの間に設けられたダンパー機構と、を有している(例えば、特許文献1を参照)。この装置では、摩擦連結部を挟み込む1対のプレート(あるいは摩擦連結部の外周部に設けられたダンパーカバー)がフライホイールに連結されている。
このトルクリミッタ装置では、エンジンのトルクは、フライホイールから摩擦連結部を介してドライブプレートに伝達され、さらにダンパー機構を介してドリブン側部材及びトランスミッションの入力軸に伝達される。そして、エンジンからのトルクが所定のトルクを上回ると、摩擦連結部とプレートとの間で滑りが発生する。これにより、伝達トルク制限部で制限された以上のトルクはトランスミッション側に伝達されず、過大トルクによるトランスミッションの破損を防止することができる。
従来のトルクリミッタ装置では、摩擦材は、一般的な自動車用のクラッチディスクと同様に、クラッチプレートに固定されたクッショニングプレートに固定されている。そして、摩擦材をクッショニングプレートに固定する方法としては、(a)リベットかしめ、(b)接着剤による固定、(c)モールド成型による一体化、などが採用されてきている。
しかし、リベットかしめによる固定方法では、リベットの頭部を摩擦材表面から突出しないようにするために、摩擦材に座ぐり孔を形成したり、リベットを用意する必要がある。さらに、リベットかしめによる固定方法では、摩擦材の摩擦代が少なくなってしまう。また、接着剤による固定方法では、加工工数が増え、高コストを招く。さらに、モールド成形により一体化する固定方法では、形成できるクッショニング形状に制約があり、かつ高コストである。
本発明の課題は、摩擦材の固定に関し、低コストで構成が簡単なトルクリミッタ装置を提供することにある。
ここで、自動車用のクラッチ装置等におけるクラッチディスク組立体では、クラッチ装置がオン(動力伝達)、オフ(遮断)されるので、前述のような従来の摩擦材固定方法が用いられている。しかし、トルクリミッタ装置においては、摩擦材のオン、オフ(押圧及び押圧解除)を行う必要がなく、摩擦材を軸方向において固定する必要もない。さらに、トルクリミッタ装置における摩擦材の摩耗量は、自動車用クラッチ装置等において用いられる場合に比較して少ない。
そこで、本発明のトルクリミッタ装置は、以上の点に鑑みてなされてものであり、請求項1に係るトルクリミッタ装置は、エンジン側部材からトランスミッション側の軸に伝達されるトルクを制限するための装置であって、ドライブ部材と、摩擦連結用プレートと、出力側部材と、ダンパー機構と、伝達トルク制限部と、を備えている。ドライブ部材は、エンジン側部材に連結され、摩擦連結面を有する。摩擦連結用プレートは、軸方向に貫通する少なくとも1つの孔を有し軸方向に第1厚みを有するプレート本体と、摩擦連結用プレートの孔に装着され第1厚みより厚い第2厚みを有する摩擦材と、を有する。出力側部材はトランスミッション側の軸に係合可能である。ダンパー機構は摩擦用連結プレートと出力側部材とを円周方向に弾性的に連結する。伝達トルク制限部は、摩擦材をドライブ部材の摩擦連結面との間で狭持して、ドライブ部材からトランスミッション側の軸に伝達されるトルクを制限する。
この装置では、ドライブ部材に伝達されたトルクは、摩擦連結用プレートの摩擦材を介して出力側部材に伝達され、トランスミッション側の軸に伝達される。過大なトルクがエンジン側から入力された場合は、伝達トルク制限部の作用によって摩擦材部分での伝達トルクが制限される。
ここでは、摩擦材は、摩擦連結用プレートの孔に装着されて固定されている。このため、リベットや接着剤、あるいはモールド成型による従来の固定方向に比較して、摩擦材を低コストでプレートに固定することができる。また、構成が簡単であり、特に、軸方向の寸法を短縮することができる。
請求項2に係るトルクリミッタ装置は、請求項1の装置において、ダンパー機構は、入力側プレートと、トランスミッション側の軸に連結される出力側プレートと、入力側プレートと出力側プレートとの間に配置され両プレートを弾性的に連結する複数のトーションスプリングと、を備えている。そして、摩擦連結用プレートは入力側プレートの外周部である。
ここでは、ダンパー機構の入力側プレートと摩擦連結用プレートとが1つの部材で構成されている。このため、構成がより簡単になり、特に軸方向の短縮化をより実現することができる。
請求項3に係るトルクリミッタ装置は、請求項1又は2に記載の装置において、複数の摩擦連結用プレートの孔及び摩擦材は、円周方向に等角度間隔で配置されている。
請求項4に係るトルクリミッタ装置は、請求項3に記載の装置において、複数の摩擦材は、対応する孔に対して円周方向に隙間のない状態で圧入されている。
請求項5に係るトルクリミッタ装置は、請求項1から4のいずれかに記載の装置において、伝達トルク制限部は、摩擦材をドライブ材の摩擦連結面に押圧するプレッシャリングを有し、ドライブ材の摩擦連結面及びプレッシャリングの少なくともいずれか一方には、摩擦材の内周側に配置され、摩擦連結用プレートの側面に近づくように突出する突起を有している。
ここでは、摩擦材の内周側に、ドライブ部材及びプレッシャリングの少なくともいずれか一方から突出する突起が設けられているので、この突起によって、泥、水等の異物が摩擦材側に侵入するのを抑えることができる。
請求項6に係るトルクリミッタ装置は、請求項1から5のいずれかの装置において、ドライブ部材と摩擦連結用プレートとの間に設けられ、摩擦連結用プレートをドライブ部材から離れる側に付勢する付勢部材をさらに備えている。
ここでは、摩擦連結用プレートの軸方向移動が抑えられるので、摩擦連結用プレートの軸方向の移動(振動)による各部の摩耗及び異音を抑えることができる。
請求項7に係るトルクリミッタ装置は、請求項1から6のいずれかの装置において、伝達トルク制限部は、プレッシャリングと、コーンスプリングと、支持部材と、を有している。プレッシャリングは摩擦材をドライブ材の摩擦連結面との間で挟持する。コーンスプリングは、リング状に形成され、内周部がプレッシャリングをドライブ部材側に押圧する。支持部材は、ドライブ部材に装着され、コーンスプリングの外周部を支持する。
以上のような本発明では、トルクリミッタ装置において、低コスト、かつ簡単な構成で摩擦材を固定することができる。
[全体構成]
図1に本発明の一実施形態としてのフライホイール付きトルクリミッタ装置の断面図を示す。また、図2に、フライホイール付きトルクリミッタ装置の正面図の一部を示す。図1においては、図示していないが、左側にエンジンが配置され、右側にトランスミッションが配置されている。
図1に本発明の一実施形態としてのフライホイール付きトルクリミッタ装置の断面図を示す。また、図2に、フライホイール付きトルクリミッタ装置の正面図の一部を示す。図1においては、図示していないが、左側にエンジンが配置され、右側にトランスミッションが配置されている。
このトルクリミッタ装置1は、エンジンのクランク軸2とトランスミッション入力軸3との間に設けられ、エンジンからトランスミッションに伝達されるトルクを制限するためのものである。そして、このトルクリミッタ装置1は、ドライブ部材としてのフライホイール5と、クラッチディスク組立体6と、クラッチディスク組立体6の一部を含む伝達トルク制限部7と、を有している。
[フライホイール]
フライホイール5は、円板状の部材であり、中心部に孔5aを有するとともに、内周部から径方向中間部にかけて円板部10を有している。また、円板部10の外周側には質量部11が設けられている。中心部の孔5aはクランク軸2の端面に形成されたインロウ部2aに嵌合され、これにより、フライホイール5とクラン軸2との径方向の位置決めがなされている。
フライホイール5は、円板状の部材であり、中心部に孔5aを有するとともに、内周部から径方向中間部にかけて円板部10を有している。また、円板部10の外周側には質量部11が設けられている。中心部の孔5aはクランク軸2の端面に形成されたインロウ部2aに嵌合され、これにより、フライホイール5とクラン軸2との径方向の位置決めがなされている。
円板部10の内周部には、円周方向に並ぶ複数の貫通孔5bが形成されている。この貫通孔5bには複数のボルト12が挿入されており、この複数のボルト12をクランク軸2のネジ孔に螺合することによって、フライホイール5をクランク軸2の端面に固定可能である。また、円板部10は、径方向の全てにおいてほぼ同じ軸方向厚みを有している。なお、ボルト12は頭部に締め付け工具が挿入される六角孔が形成された六角孔付きボルトである。
質量部11は、円板部10に比較して軸方向に厚く形成されている。質量部11のトランスミッション側の面には、図3に拡大して示すように、エンジン側に窪む収容部14が形成されている。収容部14は、軸方向に延びる径方向位置決め面14aを外周部に有し、収容部14の底面(エンジン側の側壁面)に相当する部分には摩擦連結面14bが形成されている。
また、フライホイール5のエンジン側の側面において、円板部10と質量部11との境界部分には、トランスミッション側に窪む複数の凹部15が形成されている。複数の凹部15は円周方向に並べて配置されており、複数の凹部15のそれぞれは円弧状に形成されている。そして、この凹部15に対応して、逆側の面には、凹部15に貫通する貫通孔16が形成されている。なお、貫通孔16は、軸方向視でトランスミッション側からエンジン側が見通せないように形成されている。より具体的には、貫通孔16が形成された部分において、摩擦連結面14bの内径は円板部10の最外径より小さくなるように形成されている。
[クラッチディスク組立体]
クラッチディスク組立体6は、主に、入力側プレートとしてのクラッチプレート20及びリティーニングプレート21と、出力側部材としてのスプラインハブ22と、クラッチプレート20及びリティーニングプレート21とスプラインハブ22とを弾性的に連結する複数のトーションスプリング(ダンパー機構)23と、を有している。
クラッチディスク組立体6は、主に、入力側プレートとしてのクラッチプレート20及びリティーニングプレート21と、出力側部材としてのスプラインハブ22と、クラッチプレート20及びリティーニングプレート21とスプラインハブ22とを弾性的に連結する複数のトーションスプリング(ダンパー機構)23と、を有している。
クラッチプレート20及びリティーニングプレート21は、例えば共に板金製の環状の部材であり、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。クラッチプレート20はエンジン側に配置され、リティーニングプレート21はトランスミッション側に配置されている。リティーニングプレート21の外周部の一部は、クラッチプレート20側に折り曲げられ、さらに内周側に折り曲げられている。このリティーニングプレート21の内周側に折り曲げられた部分が、クラッチプレート20の外周部にリベット24により固定されている。これにより、クラッチプレート20とリティーニングプレート21とは一体回転するようになっている。
また、クラッチプレート20及びリティーニングプレート21の外周部には、回転方向に等間隔で4つの窓孔が形成されており、この窓孔によって、トーションスプリング23が支持されている。ここで、クラッチプレート20及びリティーニングプレート21の中心部には、それぞれ孔20a,21aが形成されている。両プレート20,21の中心部の孔20a,21aの径は、フライホイール5をクランク軸2に固定するためのボルト12の取付ピッチ円P(図1参照)より大きい。したがって、クラッチディスク組立体6の内周部には、スプラインハブ22以外の構成部品は配置されていない。
クラッチプレート20の外周部は、フライホイール5の摩擦連結面14bにまで延びて形成されている。クラッチプレート20の外周面はフライホイール5の収容部14の径方向位置決め面14aに近接しており、この径方向位置決め面14aによってクラッチプレート20の径方向の位置決めがなされている。
また、クラッチプレート20の外周部には複数の摩擦材26が配置されている。すなわち、クラッチプレート20の外周部は摩擦連結用プレートとして機能している。より詳細には、図2に示すように、クラッチプレート20の外周部には、複数の円弧状の孔20bが円周方向に並べて形成されている。そして、この複数の円弧状の孔20bのそれぞれに、円弧状に形成された摩擦材26が装着されている。摩擦材26は、円周方向の両端面が孔20bに圧入されて装着されている。なお、径方向においては、摩擦材26と孔20bとの間に隙間が形成されている。摩擦材26の厚みはクラッチプレート20の厚みより大きく形成されている。
スプラインハブ22は、軸方向に延びる筒状のボス28と、ボス28から半径方向に延びる円板状のハブフランジ29と、から構成されている。このボス28とハブフランジ29とは一体に形成されている。そして、ボス28の内周部には、トランスミッション入力軸3が係合するスプライン孔28aが形成されている。また、ハブフランジ29には回転方向に並んだ複数の切欠きが形成されている。この複数の切欠きのそれぞれに、トーションスプリング23が収容されている。ハブフランジ29の径方向中間部には、複数のボルト12に対応する位置に、ボルト12を締め付けるための工具が挿入可能な孔29aが形成されている。
また、スプラインハブ22のハブフランジ29とクラッチプレート20及びリティーニングプレート21との間には、それぞれブシュ30が配置されている。各ブシュ30はクラッチプレート20とリティーニングプレート21とに固定されており、各ブシュ30がハブフランジ29の側面と相対回転する際に、ヒステリシストルクが発生されるようになっている。
[伝達トルク制限部]
伝達トルク制限部7は、図1〜図3に示されるように、前述の摩擦材26と、摩擦材26をフライホイール5の摩擦連結面14bとの間で挟持するプレッシャリング32と、コーンスプリング33と、支持部材としてのカバー部材34と、を有している。プレッシャリング32、コーンスプリング33は、摩擦材26とともにフライホイール5の収容部14に収容されている。
伝達トルク制限部7は、図1〜図3に示されるように、前述の摩擦材26と、摩擦材26をフライホイール5の摩擦連結面14bとの間で挟持するプレッシャリング32と、コーンスプリング33と、支持部材としてのカバー部材34と、を有している。プレッシャリング32、コーンスプリング33は、摩擦材26とともにフライホイール5の収容部14に収容されている。
プレッシャリング32は、リング状のプレート部材であり、外周部には、径方向外方に突出する複数の係合突起32aが形成されている。一方、フライホイール5の収容部14の外周面には、図4に拡大して示すように、複数の係合凹部14cが形成されている。複数の係合凹部14cは円周方向に等間隔で形成されている。そして、プレッシャリング32の係合突起32aがフライホイール5の係合凹部14cに係合することにより、プレッシャリング32はフライホイール5に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能になっている。
コーンスプリング33は、前述のように、フライホイール5の収容部14の内部に配置されており、内周部がプレッシャリング32をフライホイール5側に押圧している。
カバー部材34は、リング状のプレート部材であり、複数のリベット36によってフライホイール5の質量部11のトランスミッション側の端面に固定されている。そして、コーンスプリング33の外周部を支持している。すなわち、カバー部材34の内径は、コーンスプリング33の外径よりも小径になっている。
ここで、カバー部材34とプレッシャリング32は、1つのリング状のプレート部材から形成されたものである。このため、カバー部材34の内周縁部には径方向外方に向かう複数の凹部34a(図2参照)が形成されている。具体的には、1つのリング状プレート部材からプレッシャリング32をプレス加工によって打ち抜くと、残りの部分(カバー部材34)には係合突起32aに対応する部分に凹部34aが形成される。この凹部34aは、クラッチプレート20の摩擦材26の外周部とこのトルクリミッタ装置1の外部とを連通する流路40(図4参照)として機能している。このため、クラッチプレート20の外周部に侵入した泥水等を、この流路40を介して外部に排出することができる。
このような構成では、コーンスプリング33による付勢力と、摩擦材26の摩擦係数と、摩擦連結部の有効半径によって伝達可能なトルクが決定され、この伝達可能トルクを上回るトルクがエンジン側から入力されると、摩擦連結部において滑りが生じ、伝達トルクは所定のトルクに制限される。
[トルクリミッタ装置の組立及び組み付け]
以上のようなトルクリミッタ装置を組み立てる場合は、まず、クラッチディスク組立体6を組み立てておく。次に、フライホイール5のボルト装着孔にボルト12を挿入する。そして、フライホイール5の収容部14に、クラッチディスク組立体6、プレッシャリング32、コーンスプリング33の順に配置し、最終的にカバー部材34をリベット36によってフライホイール5に固定する。
以上のようなトルクリミッタ装置を組み立てる場合は、まず、クラッチディスク組立体6を組み立てておく。次に、フライホイール5のボルト装着孔にボルト12を挿入する。そして、フライホイール5の収容部14に、クラッチディスク組立体6、プレッシャリング32、コーンスプリング33の順に配置し、最終的にカバー部材34をリベット36によってフライホイール5に固定する。
以上にようにして得られたフライホイール付きトルクリミッタ装置をクランク軸2に装着する。具体的には、フライホイール5の中心孔5aにクランク軸2のインロウ部2aを嵌め込み、トルクリミッタ装置全体をクランク軸2にセットする。そして、複数のボルト12をクランク軸端面に形成されたネジ孔に締め込む。このとき、ボルト12の頭部に形成された締め付け工具用の六角孔に、スプラインハブ22のハブフランジ29に形成された孔29aを通して工具を差し込み、ボルト12を締め込んで固定する。
[特徴]
摩擦材26は、クラッチプレート20に形成された孔20bに装着されて固定されている。このため、リベットや接着剤、あるいはモールド成型による従来の固定方向に比較して、摩擦材を低コストでプレートに固定することができる。また、軸方向の寸法を短縮することができる。
摩擦材26は、クラッチプレート20に形成された孔20bに装着されて固定されている。このため、リベットや接着剤、あるいはモールド成型による従来の固定方向に比較して、摩擦材を低コストでプレートに固定することができる。また、軸方向の寸法を短縮することができる。
また、クラッチプレート20の外周部が、摩擦連結用プレートとして機能している。このため、構成がより簡単になり、特に軸方向の短縮化をより実現することができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)図5に示すように、フライホイール5の摩擦連結面14bの内周端部に環状の突起42を形成するとともに、プレッシャリング32の内周部に同様の環状の突起43を形成しても良い。両突起42,43は、摩擦材26の内周端部に近接して配置されており、互いにクラッチプレート20の表面に近接するように、かつ所定の隙間を確保して形成されている。なお、突起はいずれか一方の部材にのみ設けられていても良い。
以上のような両突起42,43によって、内周側から移動してくる泥水等が摩擦材26部分に侵入するのを抑えることができる。このため、摩擦材26の摩耗や、滑りを抑えることができる。
(b)図6にさらに他の実施形態を示す。ここでは、フライホイール5の摩擦連結件14bの内周端部に、環状の切欠き部44が形成されている。そして、この切欠き部44にウェーブワッシャ45が配置されている。すなわち、摩擦材26の内周側において、フライホイール5とクラッチプレート20との間にウェーブワッシャ45が設けられている。このウェーブワッシャ45によって、クラッチプレート20はフライホイール5から離れる側(プレッシャリング32側)に付勢されている。
ここでは、ウェーブワッシャ45の付勢力によって、クラッチプレート20の軸方向移動が抑えられるので、クラッチプレート20の軸方向の移動(振動)による各部の摩耗及び異音を抑えることができる。
なお、クラッチプレート20を付勢するための部材は、ウェーブワッシャに限定されるものではなく、樹脂等で形成された弾性部材であっても良い。
(c)摩擦材の形状、個数は前記実施形態に限定されない。例えば、複数の摩擦材のそれぞれを円形にしてもよい。
1 トルクリミッタ装置
2 クランク軸
3 トランスミッション入力軸
5 フライホイール(ドライブ部材)
6 クラッチディスク組立体
7 伝達トルク制限部
14b 摩擦連結面
20 クラッチプレート(入力側プレート)
20b 孔
21 リティーニングプレート(入力側プレート)
22 スプラインハブ(出力側部材)
23 トーションスプリング
26 摩擦材
32 プレッシャリング
33 コーンスプリング
34 カバー部材(支持部材)
42,43 突起
45 ウェーブスプリング(付勢部材)
2 クランク軸
3 トランスミッション入力軸
5 フライホイール(ドライブ部材)
6 クラッチディスク組立体
7 伝達トルク制限部
14b 摩擦連結面
20 クラッチプレート(入力側プレート)
20b 孔
21 リティーニングプレート(入力側プレート)
22 スプラインハブ(出力側部材)
23 トーションスプリング
26 摩擦材
32 プレッシャリング
33 コーンスプリング
34 カバー部材(支持部材)
42,43 突起
45 ウェーブスプリング(付勢部材)
Claims (7)
- エンジン側部材からトランスミッション側の軸に伝達されるトルクを制限するためのトルクリミッタ装置であって、
前記エンジン側部材に連結され摩擦連結面を有するドライブ部材と、
軸方向に貫通する少なくとも1つの孔を有し軸方向に第1厚みを有するプレート本体と、前記摩擦連結用プレートの孔に装着され前記第1厚みより厚い第2厚みを有する摩擦材と、を有する摩擦連結用プレートと、
前記トランスミッション側の軸に係合可能な出力側部材と、
前記摩擦用連結プレートと前記出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するダンパー機構と、
前記摩擦材を前記ドライブ部材の摩擦連結面との間で狭持して、前記ドライブ部材から前記トランスミッション側の軸に伝達されるトルクを制限する伝達トルク制限部と、
を備えたトルクリミッタ装置。 - 前記ダンパー機構は、入力側プレートと、前記トランスミッション側の軸に連結される出力側プレートと、前記入力側プレートと前記出力側プレートとの間に配置され前記両プレートを弾性的に連結する複数のトーションスプリングと、を備え、
前記摩擦連結用プレートは前記入力側プレートの外周部である、
請求項1に記載のトルクリミッタ装置。 - 複数の前記摩擦連結用プレートの孔及び摩擦材は円周方向に等角度間隔で配置されている、請求項1又は2に記載のトルクリミッタ装置。
- 複数の前記摩擦材は、対応する前記孔に対して円周方向に隙間のない状態で圧入されている、請求項3に記載のトルクリミッタ装置。
- 前記伝達トルク制限部は、前記摩擦材を前記ドライブ材の摩擦連結面に押圧するプレッシャリングを有し、前記ドライブ材の摩擦連結面及び前記プレッシャリングの少なくともいずれか一方には、前記摩擦材の内周側に配置され、前記摩擦連結用プレートの側面に近づくように突出する突起を有している、請求項1から4のいずれかに記載のトルクリミッタ装置。
- 前記ドライブ部材と前記摩擦連結用プレートとの間に設けられ、前記摩擦連結用プレートを前記ドライブ部材から離れる側に付勢する付勢部材をさらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載のトルクリミッタ装置。
- 前記伝達トルク制限部は、
前記摩擦材を前記ドライブ材の摩擦連結面との間で挟持するプレッシャリングと、
リング状に形成され、内周部が前記プレッシャリングを前記ドライブ部材側に押圧するコーンスプリングと、
前記ドライブ部材に装着され、前記コーンスプリングの外周部を支持する支持部材と、を有している、請求項1から6のいずれかに記載のトルクリミッタ装置。
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Cited By (2)
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