JP2006016683A - 高炭素クロム軸受鋼材の製造方法 - Google Patents

高炭素クロム軸受鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 短時間のソーキングであっても巨大炭化物を高度に抑制できる技術を提供する。
【解決手段】 高炭素クロム軸受鋼用鋳片を、少なくともソーキング及び熱間圧延することにより、高炭素クロム軸受鋼材を製造する方法であり、かつ前記ソーキング温度として1150〜1260℃を採用する方法において、
前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.009質量%であるものを使用し、前記ソーキング温度の保持時間を2時間未満にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は例えば転がり軸受などを製造するのに有用な高炭素クロム軸受鋼材に関するものである。
軸受鋼は、転動疲労寿命を向上させるため、酸化物系介在物や巨大炭化物を極力低減することが求められている。例えば酸化物系介在物(アルミナ、スピネルなど)を抑制する手段としては、精錬時に十分に真空脱ガス処理を施す方法(例えば、転炉や電気炉で、脱炭・脱燐等の酸化精錬を行った後、RH脱ガス装置などを用いて真空脱ガス処理を施す方法として非特許文献1参照)、転炉や電気炉からもち込まれる酸化性スラグを完全に還元性スラグに置き換えるとともに、ポーラスプラグからのガス吹き込み攪拌により介在物の凝集とスラグへの吸収を促進させる方法(前記非特許文献1参照)、溶鋼搬送用の取鍋から連続鋳造用タンディッシュに溶鋼を注入する際、取鍋内への残鋼量を管理することにより注入末期における取鍋内のトップスラグの侵入を防止する方法(前記非特許文献1参照)などが知られている。
一方、巨大炭化物[(Fe,Cr)3Cなど]は鋳片の中心偏析部に晶出しやすい。そこで巨大炭化物を抑制するために中心偏析を抑制する方法としては、凝固過程において未凝固溶鋼を電磁攪拌するとともに、凝固末期に圧下を行ってC偏析を抑制する方法が知られている(前記非特許文献1参照)。ただし中心偏析を完全に防止することは困難であり、鋳造ままの鋳片に巨大炭化物が晶出するのを完全に防止することは困難である。そこで、より高度に巨大炭化物を抑制する目的で、鋳造後の鋳片を炭化物の晶出温度(約1150℃)以上の高温に数時間〜十数時間保持する均熱処理(ソーキング)を施し、晶出した巨大炭化物の拡散消失も行われている(例えば、非特許文献2参照)。
しかし巨大炭化物を高度に抑制するために、鋳片を炭化物の晶出温度(約1150℃)以上の高温に数〜十数時間保持して均熱処理(ソーキング)したのでは、エネルギーロスが大きくなる。また加熱保持中に鋳片表層で脱炭が過度に進行するため、その後、表層部を深くスカーフィング(溶削)する必要が生じ、歩留まりロスが大きくなる。さらに脱炭層を深く溶削すると、表面疵が増大する。
また前記軸受鋼は、ミニチュアベアリングボール用途にも使用されている。ミニチュアベアリングボールは、優れた音響特性が求められる用途(例えば、ハードディスクなど)に使用されるが、該音響特性にはTi系介在物が有害であるとされている。そこで、Cr鉱石など、使用する全ての原料について、Ti含有量が極めて低い原料を使用している(例えば、非特許文献3参照)。
しかし鋼中のチタン濃度を抑制する方法よりも高いレベルで、巨大なチタン系介在物を抑制できる技術が求められている。
加藤,「超高清浄鋼の溶製技術」,山陽特殊製鋼技報,山陽特殊製鋼株式会社,1995年,第2巻,p.15−21 長尾,「3.軸受鋼」,特殊鋼,社団法人特殊鋼倶楽部,2004年5月,第53巻,第3号,p.28−31 石上,「軸受鋼の製造工程の特徴」,特殊鋼,社団法人特殊鋼倶楽部,1990年2月,第39巻,第2号,p.58−59
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、短時間のソーキングであっても巨大炭化物を高度に抑制できる技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、巨大Ti系析出物を高度に抑制できる技術を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の高炭素クロム軸受鋼材の製造方法とは、高炭素クロム軸受鋼用鋳片を、少なくともソーキング(ソーキング温度:1150〜1260℃)及び熱間圧延する方法において、前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.009質量%であるものを使用し、前記ソーキング温度の保持時間を2時間未満にする点に要旨を有するものである。なお音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼材(例えば、ミニチュアベアリング用高炭素クロム軸受鋼材など;Ti濃度は、通常、0.001質量%以下となっている)を製造する場合には、前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.006質量%であるものを使用することが推奨される。
本発明には、前記製造方法によって得られた高炭素クロム軸受鋼材を用いた鋼部品も含まれる。
また本発明には、高炭素クロム軸受鋼線材であって、この線材の軸芯部から析出物抽出法によって抽出した大きさ10μm以上の介在物を採取したとき、チタン系介在物個数が溶解量1g当たり2個以下となっている音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼線材も含まれる。該線材は、例えば、P濃度は0.002〜0.006質量%程度、Ti濃度は0.001質量%以下程度である。
なお本明細書では、用語「鋼線材」は、太さを特に限定するものではなく棒鋼も含む意味で使用する。
本発明によれば、所定のP濃度の高炭素クロム軸受鋼用鋳片を用いているため、短時間のソーキングであっても巨大炭化物を高度に抑制でき、また巨大Ti系析出物をも高度に抑制することができる。
鋳片の中心偏析粒の中に晶出した巨大炭化物は、ソーキング中に再溶融し、溶融部から周囲の地鉄(オーステナイト)中にCが拡散していくことにより、次第に溶融部が小さくなっていき、ソーキング後には巨大炭化物が再晶出しにくくなると考えられているが、その詳細なメカニズムは十分には解明されていない。
本発明者らは、軸受鋼の巨大炭化物の組成がソーキング前(鋳造ままの鋳片段階)と、ソーキング後とでどのように変化しているか調査した。その結果、下記の表1に示すように、ソーキング前では実質的にPを含有しない炭化物であったのに対して、ソーキング後にはステダイトのような燐・炭化物になっており、ソーキング中に炭化物中のPが濃化していることを見出した。
Figure 2006016683
なお軸受鋼鋳材に現れる巨大炭化物にPが影響することは、昭和27年に出口によって報告されている(出口,「軸受鋼材に現わるゝ粗大炭化物について」,鉄と鋼,社団法人日本鉄鋼協会,1952年,第38巻,第6号,p.406参照)。しかし出口の報告は軸受鋼が連続鋳造される以前の中心偏析が著しいインゴット鋳造に関するものであり、またPを変化させて調査した範囲もJIS G 4805の規格上限(0.025%)に近いか、規格上限よりもはるかに高い0.018〜1.110%の範囲であって、現在の軸受鋼製造条件とはかけ離れている。加えて、その後、軸受鋼が連続鋳造によって生産されるようになり、機器分析が発達した昭和40年頃には太田らによって、軸受鋼の巨大炭化物にPの偏析が関与するという考え方が否定されており(太田ら,「軸受鋼巨大炭化物の均熱拡散」,鉄と鋼,社団法人日本鉄鋼協会,1966年,第52巻,第13号,p.1852参照)、それ以後、巨大炭化物やチタン系介在物に及ぼすPの影響については報告されていない。
これに対し、本発明者らは、軸受鋼のPを安定的に低減できるようになると共に連続鋳造により偏析が大幅に軽減された現在において、鋳造ままの鋳片では巨大炭化物がほぼ純粋なFe、Crの炭化物となっている一方で、ソーキング後の鋳片では巨大炭化物中にPが著しく濃化し、Fe、Crの燐・炭化物に変化していることを初めて明らかにし、この知見をさらに発展させていったのである。
すなわち本発明者らは、鋳造段階での中心偏析粒サイズ、ソーキング中のCの拡散、及びソーキング中のTi系介在物の晶出などにPが与える影響についてさらに詳細に調査したところ、さらに以下の(1)〜(3)の知見を得た。
(1)鋳造段階での中心偏析粒サイズとPとの関係
図1は鋳造段階での中心偏析粒サイズと、鋼中のP濃度との関係を示すグラフである。P濃度が低すぎるときはV偏析が生じており、逆にP濃度が高すぎるときは逆V偏析が生じていた。そのため図1に示すように、P濃度が低すぎても高すぎても中心偏析粒サイズが大きくなり、中心偏析粒サイズを小さくするためには適当なP濃度が存在することが判明した。なおP濃度を適正化して、中心偏析粒の厚みを約5mm程度から約3mm程度まで縮小しても、中心偏析粒内には巨大炭化物が晶出するが、中心偏析粒サイズを小さくしておけば、その後のソーキング時におけるCの拡散(巨大炭化物の低減)に必要となる時間を著しく低減できる。単純な拡散だけを考慮する場合、拡散所要時間は、中心偏析粒径の2乗に反比例する。従って中心偏析粒を約5mm程度から約3mm程度まで縮小した場合には、それだけで拡散所要時間は約36%まで低減すると考えられる。
(2)ソーキング中のCの拡散とPとの関係
図2は、ソーキング中の溶融部サイズとソーキング時間との関係を示す模式図である。図2に模式的に示すように、ソーキング初期には、巨大炭化物の溶融部から周囲の固相(オーステナイト)中にCの拡散が進行していくため、溶融部サイズが小さくなっていくが、ソーキング時間がある程度以上になると、溶融部サイズの減少がストップすることが判明した。しかも、この最小の溶融部サイズ(以下、飽和粒径と称する)は、鋳片中のP濃度が少ない程、小さくなることも判明したのである。その理由は、以下のように推定される。すなわちソーキングの経過に伴って溶融部サイズが小さくなるにつれて、上述したように溶融部中にPが著しく濃化されていく。Pは平衡分配係数が極めて小さく、溶融部に濃化しやすい元素であるためと考えられる。そしてPが濃化しているほど、溶融部の凝固温度が低くなると思慮され、溶融部(巨大炭化物)の消失が難しくなっていると考えられる。また以下のようにも推定される。すなわち、溶融部のC濃度が、該溶融部の周囲の固相(オーステナイト)のC濃度[C濃度は鋼材全体の平均濃度(例えば、約1%程度)に略等しい]と平衡する濃度(約3%程度)までは、該溶融部の凝固(小径化)はこの溶融部のCの拡散に律速されるが、Cの平衡以降の溶融部の凝固(小径化)は拡散速度の遅いPの拡散に律速されてしまう。置換型元素であるPの拡散速度は、侵入型元素であるCに比べて著しく遅いため、数〜十数時間程度の限られたソーキング時間ではPを十分に拡散させることは難しく、ソーキング後に残存する溶融部からは、巨大な燐炭化物(ステダイト)が晶出するものと考えられる。
そこでソーキング前のP濃度を低減しておけば、短時間のソーキングであっても溶融部サイズを小さくできることが判明した。しかも飽和粒径は、ソーキング前の中心偏析粒が小さいほど、小さくなることも判明した。なお中心偏析粒は、上述したように、P濃度を低減することによって小さくなる。従って逆にいえば、P濃度を低減しておけば、この中心偏析粒の小径化による飽和粒径の小径化効果と、前述のC拡散終了時のP濃化低減による飽和粒径の小径化効果とが相乗的に発揮され、短時間で飽和粒径を低減できることが判明した。
(3)Ti系介在物とP濃度との関係
図3及び図4は、溶鋼(溶融部)中の実際のTi濃度とN濃度の積と溶鋼(溶融部)温度との関係を示した模式図である。また溶鋼(溶融部)中のTiNの溶解度積と溶鋼(溶融部)温度との関係もこの図3及び図4に併せて示している。なお各温度での溶鋼中におけるTiNの溶解度積K(=[%Ti]×[%N]の上限値)は、例えば、下記式(1)に基づいて計算できる(沢村ら,「鋼中に含有される非金属介在物に関する熱力学的研究(II)」,鉄と鋼,社団法人日本鉄鋼協会,1957年,第43巻,第1号,p.31−38 参照)。
logK=−16586/T+5.90 …(1)
[式中、Tは全体温度(K)を示す]
実際のTi濃度とN濃度との積(図3及び図4中の実線参照)は温度が低くなる程、上昇していく傾向にある。逆に、TiNの溶解度積(図3及び図4中の一点鎖線参照)は、前記式(1)から明らかなように、温度が低くなる程、低下していく傾向にある。Tiも、CやPなどと同様に平衡分配係数が小さく、凝固過程において溶鋼中に濃化しやすい元素である為と思慮される。そして、鋳造中又はソーキング後の鋳片冷却過程において、未凝固溶鋼中の実際のTi濃度とN濃度の積が、当該温度におけるTiNの溶解度積よりも大きくなった時、TiNが晶出すると考えられる。
ところで上述したように、溶融部のP濃度が高くなるほど、溶融部の凝固温度が低くなる。そのためP濃度が高い時は、図3に示すように実際のTi濃度とN濃度の積がTiNの溶解度積よりも高くなってしまう低温域まで凝固温度が低下してしまい、ソーキング後の鋳片冷却過程においてTiNが晶出してしまう。これに対してP濃度が低い時は、図4に示すように実際のTi濃度とN濃度の積がTiNの溶解度積よりも低くなる程度の高温域に凝固温度を高めることができ、巨大なTiNの晶出を防止できる。
なお固相(オーステナイト)中のTiとNの溶解度積は、溶融部中よりも小さい為、Ti濃度とN濃度の積が固相部と溶融部とで等しいとの前提に立って平衡論からのみ考えると、TiNは溶融部に晶出するよりも、固相中に析出しやすいことになる。しかし、実際にはTiNの析出には大きな過冷度が必要とされるため、巨大なTiNは溶鋼中で晶出しているものと推定される。
また優れた音響特性が求められる用途(ミニチュアベアリングなど)に使用される軸受鋼で問題となるTi系介在物をEPMA等で分析すると、Ti、Nの他、C、Cr、Fe、Zrなどの元素が検出される場合も多い。しかし、上記では、議論を簡単にするためTi系介在物をTiNと見なして説明した。
以上のような知見に基づき、本発明者らは、鋳片中のP濃度が適切であれば、短時間のソーキングであっても巨大炭化物を高度に抑制でき、また巨大Ti系析出物をも高度に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、高炭素クロム軸受鋼用鋳片(鋳造ままの鋼材である限り、大きさは問わない)を、少なくともソーキング及び熱間圧延する技術に関するものである。ソーキング及び熱間圧延することにより、またその後、必要に応じて、分塊圧延、熱間圧延(熱間伸線など)、冷間圧延(冷間伸線など)などを適当に行うことにより、高炭素クロム軸受鋼材(線材、鋼線など)を製造できる。
そして本発明は、前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.009質量%であるものを使用する点に特徴を有する。P濃度を0.009質量%以下、好ましくは0.008質量%以下、さらに好ましくは0.007質量%以下とすることにより、短時間のソーキングであっても巨大炭化物を高度に抑制できる。また優れた音響特性が求められる用途(例えば、ミニチュアベアリング用など)に使用する場合には、P濃度を0.006質量%以下、好ましくは0.005質量%以下、さらに好ましくは0.004質量%以下とすることが推奨される。P濃度を前記範囲とすることによって、音響特性を劣化させるTi系介在物を抑制できる。なおP濃度を0.002質量%以上(好ましくは0.003質量%以上)としたのは、酸化物系介在物を抑制する為である。P濃度を極端に低くする為には、転炉や電気炉における酸化精錬(脱リン)を十分に行う必要が生じるが、このことによって鋼中の酸素濃度が増大すると、その後の取鍋精錬や真空脱ガス処理によっても、鋳造ピッチに合わせた所定の溶鋼処理時間内で十分に酸素濃度を低減できなくなり、有害な酸化物系介在物が増大してしまう。ところで特開昭62−294150号公報には、Pが0.006質量%を超えるとPが結晶粒界に析出して転動寿命を低下させることが記載されている。しかし本発明者らの検討によれば、結晶粒界へのPの析出は認められなかった。
なお前記ソーキング温度は、炭化物を溶融(分解)できる温度(すなわち1150℃)以上である。また前記ソーキング温度は、1260℃以下とした。ソーキング温度が高すぎると、焼き割れが生じる為である。
また本発明では前記ソーキング温度の保持時間(以下、ソーキング時間という)を2時間未満、好ましくは1.7時間以下、さらに好ましくは1.5時間以下に設定した。ソーキング時間を短くすることによって、エネルギーロスを低減できる。また脱炭をも抑制でき、スカーフィング時の溶削量を低減できるため、歩留まりを高めることができると共に表面疵の発生量を抑制できる。なおソーキング時間の下限は、巨大炭化物を抑制できる限り特に限定されないが、例えば、0.5時間以上、好ましくは1.0時間以上、さらに好ましくは1.3時間以上である。
なお前記ソーキングに使用する炉は、バッチ式の炉(例えば、均熱炉)であってもよく連続式の炉(例えば、加熱炉)であってもよいが、バッチ式は多数の鋳片を一つの炉内に積み重ねて加熱する為に使用されることが多く、炉内で鋳片が置かれる位置によって昇温時間にバラツキが生じやすいため、昇温速度の低い位置に置かれた鋳片のソーキングに必要な加熱時間が長くなりやすい。トータルの在炉時間を短くすることを考慮すれば、連続式の炉を使用するのが簡便である。
前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としては、例えば、JIS G 4805、SKF Hofes3、SKF Hofes24〜27、AISI 50100、AISI 51100、AISI 52100、DIN 1005Cr2(W1)、DIN 1005Cr4(W2)、DIN 100Cr6(W3)、DIN 100CrMn6(W4)など(特にJIS G 4805)に規定される成分規格を満足する鋳片が使用でき、またC:0.92〜1.10質量%、Si:0.15〜0.70質量%、Mn:0.25〜1.15質量%、S:0.025質量%以下、Cr:0.90〜1.90質量%を含有する鋳片[残部はFe及び不純物(例えば、Ni、Cu、Moなど)]も使用できる。また優れた音響特性が求められる用途に使用する場合には、前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片のうち、Ti濃度が著しく低減されたものが使用できる。Ti濃度は、例えば、0.001質量%以下、好ましくは0.0009質量%以下、さらに好ましくは0.0008質量%以下である。なお実操業上、Ti濃度を0%とすることは著しく高コストとなる為、現実的ではない。従ってTi濃度は、0.0001質量%以上、好ましくは0.0003質量%以上、さらに好ましくは0.0005質量%以上とすることが多い。
本発明の方法によって得られた高炭素クロム軸受鋼材は、炭化物、酸化物、及び好ましくはTi系介在物が著しく抑制されている。そのため転動疲労寿命や、好ましくは音響特性に優れており、種々の鋼部品(例えば、ハードディスクのようなOA機器や、VTRのようなAV機器用軸受のように静粛性が要求される軸受部品;特に高い転動疲労寿命が求められる自動車用軸受部品など。特にミニチュアベアリング)に好適に使用できる。例えば、本発明によれば、高炭素クロム軸受鋼線材であって、この線材の軸芯部から析出物抽出法(丸善「第3版 鉄鋼便覧 IV 鉄鋼材料、試験・分析」日本鉄鋼協会編、第329〜330頁参照;本明細書では、酸溶解簡便法と称する場合もある)によって抽出した大きさ10μm以上の介在物を採取したとき、チタン系介在物個数が溶解量1g当たり2個以下(好ましくは1.8個以下、さらに好ましくは1.0個以下、特に0.7個以下)に抑制されているものをも製造することができ、この線材は音響特性に極めて優れている。
[チタン系介在物の評価法]
なお前記チタン系介在物の評価法についても、本発明者らが工夫を加えたところであるので、以下、詳述する。
<従来のチタン系介在物評価技術の問題点>
軸受鋼中の切断研磨面に露出したチタン系介在物は、光学顕微鏡で観察すると桃色に見えるため、灰色に見えるMnS系介在物や、黒色に見えるアルミナ等の酸化物系介在物と容易に区別できる。このため軸受鋼中のチタン系介在物頻度が高かった従来は、JIS G 0555法やATMS A 295法の様に、試験片切断面を光学顕微鏡で観察する方法(顕微鏡試験法)によって、チタン系介在物の品質を精度よく評価できていた。
一方、ミニチュアベアリングボール用途などでは、上述したように、原料中のTi量を抑制することによって鋼中のTi量及びチタン系介在物を抑制して、音響特性を高めることが行われている。しかし鋼中のTi量を少なくし、前記顕微鏡試験法ではチタン系介在物が検出されないにも拘わらず、チタン系介在物に帰因する音響特性の低下が生じていた。すなわちTi量が少なくなってくると、顕微鏡試験法ではチタン系介在物を十分に評価することができなくなっていた。
顕微鏡試験方法では高清浄軸受鋼の介在物品質を評価しきれなくなっているという事情は、チタン系介在物だけでなく、酸化物系介在物においても同様である。酸化物系介在物に関しても、軸受鋼の清浄度が悪く、鋼中に酸化物系介在物が多量に存在している場合には、顕微鏡試験法によっても十分に品質を評価できていた。しかしながら軸受鋼の高清浄化が進み、酸化物系介在物が少なくなってくると、顕微鏡試験法の代表性が低下し、音響特性や転動疲労寿命を圧下させる酸化物系介在物品質を十分に評価することが難しくなっている。
このため、高清浄軸受鋼の酸化物系介在物評価には、温硝酸を用いて鋼材を溶解し、溶け残った介在物を抽出濾過することにより、介在物試験の代表性を向上する酸溶解法も用いられている(土井ら,「長寿命軸受鋼の開発」,R&D神戸製鋼技報,株式会社神戸製鋼所,2000年4月,第50巻,第1号,p.49)。酸溶解法は、鋼材を僅か1g溶解するだけでも、顕微鏡で約12,800mm2の領域を観察した場合に相当する介在物を検出できるため(密度7.8g/cm3、観察面厚み10μmであると仮定した場合の理論値)、200mm2の領域を顕微鏡観察するJIS G 0555法に比べ、介在物試験の代表性が大幅に向上する。しかしながら、温硝酸を用いる酸溶解法では、チタンの窒化物も鉄と一緒に溶解してしまうので、チタン系介在物の抽出には使用できないという問題があった。
チタン系介在物を抽出できる方法としては臭素エステル法や10%アセチルアセトンのエタノール溶液を用いる定電流電解法(AA法)も知られているが、臭素エステル法には臭素特有の臭いがするなど作業性に問題があり、また電解法は試験片表層部から電解して最後まで溶解させることができないので、鋼材軸芯部に存在する確率が高いチタン系介在物の抽出には向かないという問題があった。また軸受鋼の介在物を溶解抽出する場合には、調査対象である介在物以外にも炭化物などの多量の残渣が濾過フィルター上に残り、残渣の中から目的の介在物を選別することが難しいという問題もあった。
<チタン系介在物評価法の解決課題>
従ってチタン系介在物評価法については、高清浄軸受鋼を評価する場合であっても十分な代表性を確保することが求められている。また、チタン系介在物(炭化物、窒化物、炭窒化物など)を優先的に抽出できること、試験作業性に優れていること、鋼材軸芯部の介在物調査が容易であること、残渣中のチタン系介在物の特定が容易であることなども求められる。
<改善されたチタン系介在物評価法>
改善されたチタン系介在物の評価法では、鋼線材からサンプルを削り出し、このサンプルを下記に示す特定の酸(酸溶解簡便法で使用する酸)に溶解した後、フィルターで濾過し、フィルター上の残渣を洗浄した後、この残渣(介在物)をEPMAで分析することによってチタン系介在物を特定し、このチタン系介在物の個数をカウントする。酸溶解簡便法(析出物抽出法)は、温硝酸や温硫酸を用いる酸溶解法(酸化物抽出法)に比べると溶解量を確保しにくいが、チタン窒化物を抽出でき、音響特性に厳格な用途(ボールベアリングボールなど)向けの軸受鋼線材のチタン系介在物の品質評価法として優れている。
図5は、サンプルの採取箇所を説明するための概略斜視図である。サンプルの採取箇所としては、鋼線材(1)の軸芯部(2)とすることが推奨される。チタン系介在物は、最終凝固部に相当する中心部に晶出しやすく、外周には殆ど存在しないためである。軸芯部(2)からサンプルを採取することにより、サンプル(2)の単位質量あたりの介在物検出頻度が増加し、試験の代表性を向上させることができる。具体的には、例えば、軸芯(3)から半径rがD/2(Dは鋼線材の直径)以内となる領域であって軸芯(3)を含む適切な箇所(図示例では、半径rがD/2以内となる領域全体)をサンプル(2)とすることが望ましい。なおサンプル(2)の半径は、評価対象となる線材が異なっても、同一にしておく必要がある。軸芯(3)からの距離に応じて介在物頻度が異なってくるためである。
酸としては、35質量%塩酸と水とを1:1(容量比)で混合した液、98質量%硫酸と水とを1:5(容量比)で混合した液、またはリン酸(H3PO4)と水とを2:1(質量比)で混合した液などが挙げられる。酸の使用量は、サンプル1g当たり、50mlである。
サンプルを酸に溶解させる場合には、Feの溶け残りを防ぐことが求められる。従って、室温で溶け残りが生じるような場合には、浴漕などの適切な装置を用いて高温(例えば、90℃)に加熱することが推奨される。
フィルタの孔径は10μmとすることが推奨される。残渣を極力低減してEPMA分析の負担を軽減しながらも、音響特性とチタン系介在物との関係を適切に評価できるためである。
洗浄液は、介在物以外のものを適切に洗い流すことができる限り特に限定されないが、例えばアルカリ水(NaOH水溶液など)や温水などが挙げられる。好ましくはアルカリ水で洗浄した後、温水で再洗浄する。
なお十分に熱処理がなされていない軸受鋼線材から介在物を溶解抽出しようとすると、残渣中にクロム含有炭化物が多量に残留し、介在物のEPMA分析に支障が生じる場合がある。このような場合には、事前に1100℃×30分程度の溶体化処理を行い、炭化物を拡散除去することが望ましい。
本発明の高炭素クロム軸受鋼線材は、巨大チタン系介在物が著しく抑制されており、上述の新規な評価法で評価した場合であっても巨大チタン系介在物の検出量が極めて少なくなっている。そのため、本発明の高炭素クロム軸受鋼線材は、音響特性に極めて優れている。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実験例1
転炉から出鋼した溶鋼に、取鍋精錬及び真空脱ガスを施した後、連続鋳造することによって、JIS G 4805に該当する高炭素クロム軸受鋼材を鋳造した。なお転炉における酸化精錬(脱リン)を適宜調製することによって、連続鋳造直前(タンディッシュ内)の溶鋼中のP量を適宜調節した。
得られた鋼材(鋳片)の表面温度が約600℃にまで冷却された後、この鋼材(鋳片)をソーキング炉[バッチ式の炉(均熱炉)又は連続式の炉(加熱炉)]に入れて種々の条件でソーキングし、ソーキング後の鋼材の諸特性を調べた。結果を下記表2に示す。なお表2中の諸項目は、以下のようにして決定したものである。
[鋳造直前の溶鋼中のP濃度]
連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼に、該溶鋼を吸引して急冷凝固させるサンプラーを挿入して溶鋼を採取した。得られたサンプルを削り、削り粉を混酸[発煙硝酸:35質量%塩酸:水=1:1:1(容量比)]に溶解させ、この溶液をICP発光分析装置によって測定することによりP濃度を決定した。
[ソーキング時間]
ソーキング時間とは、鋳片の中心温度が所定のソーキング温度に到達してから、鋳片をソーキング炉外に抽出するまでの時間を意味する。実質的に鋳片中心温度を所定のソーキング温度域に保持する時間に相当し、該ソーキング時間は下記式によって求まる値を採用した。
ソーキング時間=在炉時間−加熱時間
(式中、在炉時間とは、鋳片をソーキング炉に挿入してから、ソーキング炉外に抽出するまでの時間を意味し、実質的に鋳片がソーキング炉内に置かれている時間に相当する。なお本実験例では、一つのソーキング炉を使用してソーキングを行ったが、鋳片を次々と複数の炉に入れ替えてソーキングする場合には、前記在炉時間は複数の炉における在炉時間の合計を意味する。また加熱時間とは、鋳片をソーキング炉に挿入してから、鋳片の中心温度が所定のソーキング温度域に到達するまでの時間を意味する。なお鋳片を次々と複数の炉に入れ替えてソーキングする場合には、複数の炉の加熱時間の合計を意味する)
ところで前記加熱時間を決定するには、鋳片の中心温度を測定する必要があるが、中心温度を毎回、直接測定することは困難である。そこで本実験例では、モデルケースで鋳片の中心温度を測定することによって加熱時間を決定した。すなわちモデルケースでは、鋳造後、十分に冷却された鋳片の中心部及び表層部に熱電対を埋設し、この鋳片をソーキング炉に入れて約1200℃まで加熱し、この加熱鋳片を連続鋳造終了直後の鋳片とみなした。そしてこの加熱鋳片を連続鋳造後の鋳片と同じ条件で放冷しながら表面温度の変化を観察し、この表面温度が、ソーキング炉への挿入温度まで低下した段階で、該鋳片をソーキング炉に再挿入し、中心温度が所定のソーキング温度に到達するまでの時間TAを調べた。この時間TAは、均熱炉では約10時間、加熱炉では約3.5時間であっため、前記式中の加熱時間にはこれらの値を採用した。
[巨大炭化物]
ソーキング炉から抽出した鋳片を、初期断面サイズ:600mm×380mmから圧延後断面サイズ:350mm×350mmまで圧延した後、シャー切断し、放冷した。シャー切断片から鋳片中心部を切断採取し、断面を研磨した後、塩酸で腐蝕して中心偏析の発生状況を確認した。中心偏析が認められる部分を更に小さく切り出し、再研磨後、炭化物と地鉄とを識別できるようにピクラル腐蝕し、光学顕微鏡観察を行い、下記基準に従って評価した。
○:厚さ5μm以上の炭化物が検出されなかった
×:厚さ5μm以上の炭化物が検出された
[酸化物系介在物]
後述の鋼片(150mm×150mm)中のトータル酸素濃度(Ot)を不活性ガス融解法によって測定し、下記基準に従って酸化物系介在物の有害性を評価した。
○:トータル酸素濃度(Ot)が9ppm以下である
×:トータル酸素濃度(Ot)が10ppm以上である
[鋼片表面疵]
ソーキング炉から抽出した鋳片(断面サイズ:600mm×380mm)を断面サイズ:350mm×350mmまで分塊圧延し、表面の脱炭層を完全に除去できるまで熱間でスカーフィング(溶削)した後、断面サイズ:150mm×150mmまで引き続き分塊圧延した。得られた鋼片を室温まで冷却した後、磁粉探疵法によって鋼片手入の必要な表面疵の有無を検査し、下記式に従って表面疵発生率を求め、下記基準に従って評価した。
表面疵発生率(%)=鋼片手入長さ÷鋼片検査長さ×100
○:表面疵発生率が1%未満である
×:表面疵発生率が1%以上である
Figure 2006016683
表2から明らかなように、ソーキング時間が長いNo.1〜14の例では表面疵が増大した。またソーキング時間を短くしても、P濃度が低すぎるNo.15の例では酸化物系介在物の点で不満足な結果となり、P濃度が高すぎるNo.16〜18の例では炭化物を十分に抑制することができない。これらに対してNo.19〜21の例では、P濃度が適切であるため、短時間のソーキングであっても、炭化物及び酸化物の両方を抑制できている。
実験例2
評価項目に、下記「Ti濃度」、「N濃度」及び「巨大Ti系介在物」を加える以外は、前記実験例1と同様にした。
[Ti濃度]
連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼に、該溶鋼を吸引して急冷凝固させるサンプラーを挿入して溶鋼を採取した。得られたサンプルを削り、削り粉を混酸[発煙硝酸:35質量%塩酸:水=1:1:1(容量比)]に溶解させ、この溶液をICP発光分析装置によって測定することによりP濃度を決定した。
[N濃度]
連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼に、該溶鋼を吸引して急冷凝固させるサンプラーを挿入して溶鋼を採取した。得られたサンプルの内、特に急冷されている小径部位から削り出した削り粉を、燃焼−赤外吸収分析装置によって測定することによりN濃度を決定した。
[巨大Ti系介在物]
前記鋼片(150mm×150mm)を熱間圧延して直径5.5mmの線材を得た。この線材の軸芯部から削り出した直径2.75mmのサンプル10gを、温度約25℃の塩酸水溶液[35質量%塩酸:水=1:1(容量比)]500mlに溶解し、孔径10μmのフィルターによって吸引濾過した。フィルター上に残った残渣をEPMAで分析し、Ti含有量が10質量%以上の介在物の個数をカウントし、溶解量1gあたりの個数に換算した。
結果を表3に示す。
Figure 2006016683
表3から明らかなように、P濃度が低すぎるNo.4の例では、酸化物系介在物の点で不満足な結果となった。またP濃度が高すぎるNo.2及び3の例では、炭化物を十分に抑制することができない。これらに対して、No.1及び5〜7の例では、炭化物及び酸化物の両方を抑制できている。なおNo.1の例は、Ti系介在物の点では不満足な結果となっており、優れた音響特性が求められる用途に使用する場合には、該No.1よりもP濃度がさらに抑制されたNo.5〜7の鋼材が推奨される。
図1は鋳造段階での中心偏析粒サイズと鋼中のP濃度との関係を示すグラフである。 図2はソーキング中の溶融部サイズとソーキング時間との関係を示す模式図である。 図3は、溶鋼(溶融部)中の実際のTi濃度とN濃度との積と溶鋼(溶融部)温度との関係、並びに溶鋼(溶融部)中のTiNの溶解度積と溶鋼(溶融部)温度との関係を示す模式図であり、P濃度が高く溶鋼(溶融部)の最終凝固温度が低い場合に対応するものである。 図4は、溶鋼(溶融部)中の実際のTi濃度とN濃度との積と溶鋼(溶融部)温度との関係、並びに溶鋼(溶融部)中のTiNの溶解度積と溶鋼(溶融部)温度との関係を示す模式図であり、P濃度が低く溶鋼(溶融部)の最終凝固温度が高い場合に対応するものである。 図5は、サンプルの採取箇所を説明するための概略斜視図である。

Claims (7)

  1. 高炭素クロム軸受鋼用鋳片を、少なくともソーキング及び熱間圧延することにより、高炭素クロム軸受鋼材を製造する方法であり、かつ前記ソーキング温度として1150〜1260℃を採用する方法において、
    前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.009質量%であるものを使用し、前記ソーキング温度の保持時間を2時間未満にすることを特徴とする高炭素クロム軸受鋼材の製造方法。
  2. 高炭素クロム軸受鋼用鋳片を、少なくともソーキング及び熱間圧延することにより、高炭素クロム軸受鋼材を製造する方法であり、かつ前記ソーキング温度として1150〜1260℃を採用する方法において、
    前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片としてP濃度が0.002〜0.006質量%であるものを使用し、前記ソーキング温度の保持時間を2時間未満にすることを特徴とする音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼材の製造方法。
  3. 前記高炭素クロム軸受鋼用鋳片は、Ti濃度が0.001質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼材の製造方法。
  4. ミニチュアベアリング用高炭素クロム軸受鋼材を製造する請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって得られた高炭素クロム軸受鋼材を用いた鋼部品。
  6. 高炭素クロム軸受鋼線材であって、この線材の軸芯部から析出物抽出法によって抽出した大きさ10μm以上の介在物を採取したとき、チタン系介在物個数が溶解量1g当たり2個以下であることを特徴とする音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼線材。
  7. P濃度が0.002〜0.006質量%、Ti濃度が0.001質量%以下である請求項6に記載の音響特性に優れた高炭素クロム軸受鋼線材。
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