JP2006014683A - 酒類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 色香味に特色があり、アミノ酸含量が抑制され老香や雑味のない熟成感のある新しいタイプの酒類を極めて簡便に得ることができる麹の味わいの深い酒類の製造方法、及びかかる酒類の製造方法から得られる麹の味わいの深い酒類を提供すること。
【解決手段】 米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹や米麹を加熱して得られる加熱麹から得られる重ね麹を用いる麹の味わいの深い酒類の製造方法及びかかる製造方法により得られる麹の味わいの深い酒類である。

Description

本発明は、酒類の製造方法及びかかる製造方法により得られる酒類に関するものであり、詳しくは、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹や、米麹を加熱して得られる加熱麹から得られる重ね麹を用いる麹の味わいの深い酒類の製造方法及びかかる製造方法により得られる麹の味わいの深い酒類に関する。
現在、米麹を用いる醸造酒として最も一般的な清酒については、酒質の多様化のために、様々な着色の試みがなされており、例えば、あかい酒(非特許文献1参照。)や、桃色濁り酒(非特許文献2参照。)や、糖化又はカラメル化した麹を用いた酒(特許文献1参照。)が知られている。また、通常の清酒を長期間貯蔵することにより、メイラード反応によって着色することが知られている。
特許3041416号公報 日本醸造協会雑誌73巻,332頁(1978) 日本醸造協会雑誌80巻,17頁(1985)
前記桃色にごり酒は、通常の清酒酵母と異なる酵母を使用するため、特別な微生物管理が必要であり、また、桃色は菌体内に存在しているため、清澄な清酒にはできなかった。また、前記あかい酒は、紅麹を用いるため、製麹に長期間かかることや、赤色が退色しやすいという問題があった。さらに、前記糖化又はカラメル化した麹を用いた酒においては、麹のカラメル化には一旦麹を所定条件下で糖化した後に再び所定条件下でカラメル化を行う必要があり、操作が極めて複雑であって特別な装置が必要となり、また、このような糖化又はカラメル化した麹を用いた酒類とは異なる種の酒類の開発も望まれている。また、清酒を長期間貯蔵すると老香や雑味が出るという問題点があり、清酒にとって酸化とは、品質劣化の原因の一つであるため、酒類の製造において積極的に酸化を利用することはあまりないことであった。
本発明の課題は、色香味に特色があり、アミノ酸含量が抑制され老香や雑味のない熟成感のある新しいタイプの酒類を極めて簡便に得ることができる麹の味わいの深い酒類の製造方法、及びかかる酒類の製造方法から得られる麹の味わいの深い酒類を提供することにある。
外池らの研究(醸協:51巻,916頁(1956))によれば、麹歩合を小さくした場合には、ボーメ、アミノ酸が減少し、淡麗で軽快な酒質になることが知られている。したがって、麹歩合を大きくすれば、ボーメとアミノ酸が増加し、濃醇タイプの酒質とすることが可能である。しかしながら、麹歩合を大きくすると味がくどくなるなどの問題が生じ、濃醇タイプ清酒の開発の障害となっている。
本発明者は、従来の清酒の製造とは全く別の発想で、従来の清酒とは異なる色香味をもつ新しいタイプの酒類を開発すべく鋭意研究した結果、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹を用いることにより、濃い山吹色を呈し、麹由来の風味を豊富に持ちながらスッキリ感があり、上槽直後から熟成感のある新しいタイプの酒類を、複雑な工程を経ることなく極めて簡便に得ることができることを見い出し本発明を完成するに至った。また、米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹を添加して得られる重ね麹を用いることによっても、同様の新しいタイプの酒類を、複雑な工程を経ることなく極めて簡便に得ることができることを見い出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤とを仕込み原料として用い、米を仕込み原料として用いないことを特徴とする酒類の製造方法(請求項1)や、蒸し麹と米麹とを仕込み原料として用いる場合に、蒸し麹を米麹に比して多く用いることを特徴とする請求項1に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項2)や、蒸し麹を、米麹100重量部に対して、150〜1500重量部用いることを特徴とする請求項2に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項3)に関する。
また本発明は、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤と、米とを仕込み原料として用いる酒類の製造方法であって、前記蒸し麹を米に比して多く用いることを特徴とする麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項4)や、蒸し麹と米麹と米とを仕込み原料として用いる場合に、蒸し麹と米との合計が米麹に比して多くなるように用いることを特徴とする請求項4に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項5)や、蒸し麹を総米の50重量%以上用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項6)や、蒸きょうを10分〜10時間行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酒類の製造方法(請求項7)や、米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹を添加して得られる重ね麹を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の酒類の製造方法(請求項8)や、加熱麹が蒸し麹であることを特徴とする請求項8に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項9)に関する。
さらに本発明は、米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹を添加して得られる重ね麹を仕込み原料として用いることを特徴とする麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項10)や、米を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項10に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項11)や、米麹及び/又は酵素剤を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項10又は11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項12)や、米麹を仕込み原料として用いる場合、重ね麹を米麹に比して多く用いることを特徴とする請求項11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項13)米麹及び/又は酵素剤を用いないことを特徴とする請求項10又は11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項14)や、重ね麹を総米の70重量%以上用いることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項15)や、加熱麹が、米麹をそのまま又は水を添加して70〜200℃で10分〜40時間加熱処理して得られる麹であることを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項16)や、加熱麹が、米麹を蒸きょうして得られる蒸し麹であることを特徴とする請求項16に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法(請求項17)や、請求項1〜17のいずれかに記載の酒類の製造方法から得られることを特徴とする麹の味わいの深い酒類(請求項18)に関する。
本発明の酒類の製造方法によれば、色香味に特色があり、アミノ酸含量が抑制され老香や雑味のない熟成感のある新しいタイプの酒類を、特別の装置や複雑な操作を必要とせず、簡便な方法で製造することができる。
第1の発明に係る麹の味わいの深い酒類の製造方法としては、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤とを仕込み原料として用い、米を仕込み原料として用いない酒類の製造方法であれば特に制限されるものではなく、一段仕込み、二段仕込み、三段仕込み等その仕込み方法も限定されず、また、蒸し麹、米麹、酵素剤の他に、糖類、色素、アルコール等を添加してもよい。ここで、本発明における米とは、玄米及び/又は白米そのものや、玄米及び/又は白米に処理(発酵を除く)を施した米、例えば、蒸し米、炊き米、液化酵素で処理して得られる米、熱風処理した焙炒米等をいう。
本発明の仕込み原料となる蒸し麹としては、米麹を蒸きょうして得られ、酵素活性を有さず、メイラード反応が進行したものであれば特に制限されるものではなく、酵素活性を有しないとは、糖化力及び酸性カルボキシペプチダーゼ活性が実質的に0(U/ml)であることをいい、これらの活性はキッコーマン社製の糖化力測定キット及び酸性カルボキシペプチダーゼ測定キットを用いて測定することができる。蒸し麹の原料となる米麹としては、通常の製麹を行ったものや市販の米麹を用いることができ、例えば40〜90%程度、好ましくは40〜75%程度の精米歩合の麹米に種麹(種もやし)を添加して得られるものを使用することができる。この蒸し麹は、酵素活性を失っているので、通常の清酒製造における蒸し米と同様に扱い、仕込みを行うことができる。米の代わりに蒸し麹を用いることにより、アミノ酸含量が少なく、着色された麹の味わいの深い酒類を得ることができる。
また、蒸きょうは、麹が酵素活性を失い、かつメイラード反応が進行するように行えば特に制限されず、麹をそのまま又は水を添加して、常圧下又は加圧下で行うことができ、例えば甑にて10分〜10時間、好ましくは1時間以上行う。通常の加熱処理(例えば、熱風による乾燥加熱)ではなく蒸きょうを行うことにより、乾燥加熱に比して伝熱が大きいので、麹全体をムラなく加熱でき、アミノ酸含量を減少させると共に酸化を促進して麹独自の風味をより保持することができる。また、焦げることなく麹が鮮やかな褐色を呈するので、大量に用いても酒類がにごることなく、鮮やかな山吹色を呈する酒類を製造することが可能となる。
本発明の仕込み原料となる米麹としては、一般に黄麹が使用されるが、黒麹や紅麹や白麹を使用してもよく、また、前記蒸し麹の原料となる米麹と同一のもの又は異なるものを用いることができるが、同一のものを用いることが好ましい。複数の麹菌を同一の麹室あるいは製麹機で使用するには、微生物管理を厳重に行わなければならないので、一種の米麹のみを製造する方が、製造工程が簡便となる。
本発明の仕込み原料となる酵素剤としては、一般の清酒の製造において使用される酵素剤(糖化酵素)を使用することができ、具体的には、グルクS、コクラーゼM等が挙げられ、上記米麹と共に又は米麹に代えて使用することができる。
蒸し麹と米麹とを仕込み原料として用いる場合、蒸し麹と米麹の配合割合(それぞれの調製に用いた精米後の原料米の配合割合)としては、蒸し麹を米麹に比して多く用いることが好ましく、具体的には、蒸し麹を、米麹100重量部に対して、150〜1500重量部用いることが好ましく、150〜400重量部用いることがより好ましく、250〜400重量部用いることがさらに好ましい。これにより、麹独自の風味を十分に保持しつつ、アミノ酸の生成を抑制して味のくどさが抑制されると共に、鮮やかに山吹色に着色された麹の味わいの深い酒類を得ることができる。
第2の発明に係る麹の味わいの深い酒類の製造方法としては、米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤と、米とを仕込み原料として用いる方法であって、蒸し麹を米に比して多く用いる酒類の製造方法であれば特に制限されるものではなく、一段仕込み、二段仕込み、三段仕込み等その仕込み方法も限定されず、また、蒸し麹、米麹、酵素剤、米の他に、糖類、色素、アルコール等を添加してもよい。蒸し麹、米麹、酵素剤は第1の発明に係るそれと同義である。
本発明の仕込み原料となる米としては、第1の発明と同様に、玄米及び/又は白米そのものや、玄米及び/又は白米に処理(発酵を除く)を施した米、例えば、蒸し米、炊き米、液化酵素で処理して得られる米、熱風処理した焙炒米等が挙げられ、味の点から、40〜90%程度の精米歩合の白米の処理物が好ましく、40〜75%程度の精米歩合の白米の処理物がより好ましいが、本発明においては、アミノ酸の生成が抑制されるので、精米歩合が高いものを用いても、よりよい製品を製造することができる。
仕込み原料の配合割合(それぞれの調製に用いた精米後の原料米の割合)としては、蒸し麹を米に比して多く用いれば特に制限されるものではないが、蒸し麹と米麹と米とを仕込み原料として用いる場合、蒸し麹と米との合計が米麹に比して多くなるように用いることが好ましい。かかる蒸し麹は、総米の50重量%以上用いることが好ましく、50〜90重量%用いることがより好ましく、60〜80重量%用いることがさらに好ましい。なお、総米とは、蒸し麹と、米と、米麹との合計(それぞれの調製に用いた精米後の原料米の合計)をいうが、後述する加熱麹、重ね麹が含まれている場合には加熱麹と重ね麹も加えた合計をいう。これにより、麹独自の風味を十分に保持しつつ、アミノ酸の生成を抑制して味のくどさが抑制されると共に、鮮やかに山吹色に着色された麹の味わいの深い酒類を得ることができる。
第3の発明に係る麹の味わいの深い酒類の製造方法としては、米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹(種もやし)を添加して製麹して得られる重ね麹を原料として用いる酒類の製造方法であれば特に制限されるものではなく、一段仕込み、二段仕込み、三段仕込み等その仕込み方法も限定されず、重ね麹の他に米や、米麹、酵素剤を仕込み原料として用いることができる。糖類、色素、アルコール等を添加してもよい。本発明の製造方法としては、具体的に、例えば、重ね麹のみを用いた製法や、上記第1及び第2の発明に係る酒類の製造における米麹、酵素剤に加えて又は米麹、酵素剤に代えて重ね麹を用いた製法を例示することができる。
仕込み原料となる重ね麹は、例えば、得られた加熱麹を30℃程度まで放冷し、種麹を散布し、通常通りの製麹を行うことにより製造することができ、通常の麹と同様に仕込みを行うことができる。かかる重ね麹は、通常の米麹に比して酵素活性が低いため、総米の70重量%以上用いることが好ましく、80重量%以上用いることがより好ましく、90重量%以上用いることがさらに好ましい。ここで、総米とは、上述の通りである。
前記加熱麹としては、米麹を加熱して得られる酵素活性を有さず、メイラード反応が進行した麹であれば特に制限されるものではなく、酵素活性を有しないとは、上述の通りである。また、加熱麹は、米麹をそのまま又は水を添加して70℃〜200℃で10分〜40時間加熱処理して得ることができ、加熱処理としては、熱風による乾燥加熱処理、蒸きょう等が挙げられるが、重ね麹とした際にもそのもととなる麹(加熱麹)の特性が反映されることから、上述の蒸し麹であることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(蒸し麹の製造)
精米歩合70%又は60%の日本晴で製造された徳島精工社製の800gの白米から得られた乾燥麹(米麹)に水160gを散布し、1時間程度放置した後、甑で所定時間(15分間・60分間)蒸きょうし、褐色の蒸し麹を得た。
(重ね麹の製造)
上記蒸し麹(精米歩合60%)の品温を32℃に調整した後、800mgの種もやし(100mg/100g)(糀屋三左衛門社製:黒判もやし)を散布し、種付けを行った。22時間32℃に保った後36℃に昇温し6時間保ち、さらに40℃に昇温して6日後に重ね麹を得た。
(酵素活性の分析)
上記のようにして得た蒸し麹及び重ね麹の糖化力及び酸性カルボキシペプチダーゼ活性をキッコーマン社製の糖化力測定キット及び酸性カルボキシペプチダーゼ測定キットを用いて調査した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、15分の蒸きょうで酵素活性は失われており、重ね麹の酵素活性は、乾燥麹に比して低いものとなっていた。
上記と同様に、精米歩合70%の日本晴で製造された徳島精工社製の乾燥麹を60分間蒸きょうして製造した蒸し麹を用いて実施例1に係る酒類の製造を行った。一日当りの炭酸ガス減量が1g以下となるまで発酵させて上槽し、さらに約1週間後にオリ引き、火入れを行った。仕込配合は、下記表2に示す通りであり、蒸きょうしない麹のみの仕込を対照(比較例1)とした。なお、酵母には、清酒用乾燥酵母901号(財団法人日本醸造協会製)を用い、品温を10℃一定として発酵を行った。
発酵経過を図1に示す。実施例1に係る酒類の製造においては、醪前半は比較例1に比して発酵が遅かったものの、最終的には実施例1の方が炭酸ガス減量は大きくなり、発酵がより進むことが判明した。また、蒸し麹については、サバケが悪いといったことはなく作業性に問題はなかった。
また、上記製造した実施例1及び比較例1に係る酒類について、総酸、アミノ酸度及び着色度を国税庁所定分析法に従って測定した。また、アルコール分をアルコメイト(理研計器社製)を用いて、比重を密度比重計(京都電子工業社製DA-300)を用いて分析した。さらに、東京国税局鑑定官室員4名により官能評価を5点法(1:とてもよい,2:よい,3:普通,4:あまりよくない,5:よくない)で行い、その平均値を示した。
その結果を下記表3に示す。
表3から明らかなように、アルコール分、着色度について、実施例1に係る酒類の方が比較例1に係る酒類に比して大きくなった。アミノ酸度については、比較例1に係る酒類が4.1であるのに対して、実施例1に係る酒類では1.8となり、半分以下の値であった。
官能評価については、実施例1に係る酒類の方が比較例1に係る酒類に比してよいという結果が得られ、実施例1に係る酒類はシェリー様の香味を持ち、濃醇でスッキリした熟成感のある酒質であった。
上記と同様に、所定精米歩合の日本晴で製造された徳島精工社製の乾燥麹を所定時間蒸きょうして製造した蒸し麹及び重ね麹を用いると共に、一部白米(蒸し米)(精米歩合70%の日本晴)を用いて実施例2〜4に係る酒類製造を行った。一日当りの炭酸ガス減量が0.8g以下となるまで発酵させて上槽し、さらに約1週間後にオリ引き、火入れを行った。対照(比較例2及び比較例3)として、蒸し麹及び/又は重ね麹を用いずに酒類の製造を行った。具体的に、仕込配合は、下記表4及び表5に示す通りである。
発酵経過を図2に示す。図2に示すように、蒸きょうしない麹を多く用いた比較例3に係る酒類は、他のものに比べて短期間で発酵が終了し、炭酸ガス減量も少なかった。蒸きょう時間や精米歩合が異なる蒸し麹を用いた実施例2〜4に係る酒類は、ほぼ同じような発酵経過を示した。重ね麹を用いた実施例5に係る酒類は、醪の14日目辺りから一日当たりの炭酸ガス減量が少なくなり、醪日数が若干長くなるものの十分に発酵が進行した。
また、上記製造した実施例2〜5及び比較例2及び3に係る酒類について、総酸、アミノ酸度及び着色度を国税庁所定分析法に従って測定した。また、アルコール分をアルコメイト(理研計器社製)を用いて、比重を密度比重計(京都電子工業社製DA-300)を用いて分析した。さらに、香気成分を吉沢の方法(日本醸造協会雑誌:68巻,59頁(1973))に準じて行った。また、東京国税局鑑定官室員4名により官能評価を5点法(1:とてもよい,2:よい,3:普通,4:あまりよくない,5:よくない)で行い、その平均値を示した。
その結果を下記表6及び表7に示す。
表6及び表7から明らかなように、麹(蒸し麹、重ね麹)を多く用いた実施例2〜5に係る酒類は、米麹を多く用いた比較例3に係る酒類に比して、大幅にアミノ酸が減少し、着色度及びアルコール分が増加した。一般的には、栄養分が豊富な比較例3に係る酒類の方が、アルコール分が大きくなると予想されるが意外な結果であった。また、比較例2における白米の一部として蒸し麹を用いた実施例3に係る酒類は、白米の使用量が多い比較例2に係る酒類に比して、アミノ酸が減少し、着色度及びアルコール分が増加した。また、蒸きょう時間のみが異なる比較例3に係る酒類、実施例2及び3に係る酒類を比較すると、蒸きょう時間が長くなるほどアミノ酸が少なく、着色度が大きくなることが判明した。また、重ね麹を用いた実施例5に係る酒類のアミノ酸度は、蒸し麹を用いた実施例3及び4と同程度であった。官能評価については、精米歩合が60%の麹を蒸きょうした実施例4に係る酒類が最もよく、米麹を蒸きょうせずに多く用いた比較例3に係る酒類が最も悪かった。また、蒸し麹を用いた実施例2〜5に係る酒類についての評価をまとめると、比較例2及び3に係る酒類より優れており、苦味があるものの、シェリー様の香味を持ち、濃醇でスッキリした熟成感のある酒となった。
本発明の実施例1及び比較例1に係る発酵経過を示す図である。 本発明の実施例2〜5、並びに比較例2及び3に係る発酵経過を示す図である。

Claims (18)

  1. 米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤とを仕込み原料として用い、米を仕込み原料として用いないことを特徴とする酒類の製造方法。
  2. 蒸し麹と米麹とを仕込み原料として用いる場合に、蒸し麹を米麹に比して多く用いることを特徴とする請求項1に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  3. 蒸し麹を、米麹100重量部に対して、150〜1500重量部用いることを特徴とする請求項2に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  4. 米麹を蒸きょうして得られる酵素活性を有しない蒸し麹と、米麹及び/又は酵素剤と、米とを仕込み原料として用いる酒類の製造方法であって、
    前記蒸し麹を米に比して多く用いることを特徴とする麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  5. 蒸し麹と米麹と米とを仕込み原料として用いる場合に、蒸し麹と米との合計が米麹に比して多くなるように用いることを特徴とする請求項4に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  6. 蒸し麹を総米の50重量%以上用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  7. 蒸きょうを10分〜10時間行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酒類の製造方法。
  8. 米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹を添加して得られる重ね麹を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の酒類の製造方法。
  9. 加熱麹が蒸し麹であることを特徴とする請求項8に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  10. 米麹を加熱して得られる酵素活性を有しない加熱麹に種麹を添加して得られる重ね麹を仕込み原料として用いることを特徴とする麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  11. 米を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項10に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  12. 米麹及び/又は酵素剤を仕込み原料として用いることを特徴とする請求項10又は11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  13. 米麹を仕込み原料として用いる場合、重ね麹を米麹に比して多く用いることを特徴とする請求項11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  14. 米麹及び/又は酵素剤を用いないことを特徴とする請求項10又は11に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  15. 重ね麹を総米の70重量%以上用いることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  16. 加熱麹が、米麹をそのまま又は水を添加して70〜200℃で10分〜40時間加熱処理して得られる麹であることを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  17. 加熱麹が、米麹を蒸きょうして得られる蒸し麹であることを特徴とする請求項16に記載の麹の味わいの深い酒類の製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の酒類の製造方法から得られることを特徴とする麹の味わいの深い酒類。
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