JP2006013614A - 薄膜圧電共振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 パッケージ化してもサイズの小さな薄膜圧電共振装置を得ることを可能にする。
【解決手段】 第1基板2上に形成され下部電極6、圧電体膜8、および上部電極12を有する薄膜圧電共振素子FR1〜FR9と、薄膜圧電共振素子直下の第1基板に第1基板を貫通するように設けられ薄膜圧電共振素子の下部空洞22となる第1貫通孔と、薄膜圧電共振素子を覆い、薄膜圧電共振素子に対向する面と薄膜圧電共振素子の上面とによって薄膜圧電共振素子の上部空洞35が形成されるように設けられた凸状の金属膜30と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1基板2上に形成され下部電極6、圧電体膜8、および上部電極12を有する薄膜圧電共振素子FR1〜FR9と、薄膜圧電共振素子直下の第1基板に第1基板を貫通するように設けられ薄膜圧電共振素子の下部空洞22となる第1貫通孔と、薄膜圧電共振素子を覆い、薄膜圧電共振素子に対向する面と薄膜圧電共振素子の上面とによって薄膜圧電共振素子の上部空洞35が形成されるように設けられた凸状の金属膜30と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、薄膜圧電共振装置に関するものであって、特に高周波帯フィルタや発振器などの受動部品に用いられる。
近年無線通信技術はめざましい発展を遂げ、さらに情報の高速伝送を目的とした開発が続けられている。これら無線通信技術で用いられる周波数域は、PHSシステムや第3世代携帯通信、無線LANなどの導入により2GHz前後での周波数帯も市場において広く使われだし、加入者の数、端末数なども飛躍的に増大している。情報伝送量の高速化を目的に搬送波の周波数そのものはさらに高周波化をたどり、無線LANシステムにおいては5GHz帯までの商用化も開始された。
これら高周波通信機器に関して小型、軽量化の要求は強い。特にパーソナルコンピュータ(PC)用の高周波通信機器はPCカードに搭載できるように、薄く製作することが非常に重要である。PCカード等に搭載される無線機器は一般に高周波(RF)の信号を処理するRFフロントエンド部と、ディジタル信号処理を行うベースバンド部に大別される。このうちベースバンド部は信号の変・復調をディジタル信号処理で行う部分であり、基本的にはシリコン基板をベースとしたLSIチップによって構成することができる。このため、ベースバンド部の高さは容易に1mm以下程度にまで低くすることができる。一方、RFフロントエンド部は高周波の信号をアナログ信号として増幅や周波数変換などを行う部分である。このため、発振器やフィルタなど多くの受動部品を含む複雑な構成が必要となり、RFフロントエンド部をLSIチップだけで構成するのは難しい。受動部品のうち、フィルタとしては従来、誘電体フィルタやLCフィルタが用いられていた。これらのフィルタは高周波信号を空洞共振器やLC回路の通過帯域特性を用いてフィルタリングするため、本質的に小型化が難しく、高さを数mm以下にするのが極めて困難であった。このためこれらの高周波機器の小型化、薄型化に限界があった。
このような課題を解決するために、薄膜圧電共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Wave Resonator)が注目されている。薄膜圧電共振器は窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)からなる薄膜圧電体を2枚の電極で挟み込み、基板に形成された空洞を跨ぐように形成された薄膜圧電共振素子である(例えば、特許文献1の図2参照)。薄膜圧電共振素子は、空気層に接した下部電極及び上部電極と圧電体膜を合わせた厚み方向に周波数の共振を得るものである。この薄膜圧電共振素子を成膜して形成するのに作りやすい範囲となる0.5μm〜数μmの厚みが、数GHzの共振周波数に相当し、GHz帯の高周波領域の共振に有利である。
この薄膜圧電共振素子を、直列乃至並列に複数個並べて梯子型フィルタを形成することにより、移動体通信機のRFフィルタとして利用することができる。また、薄膜圧電共振素子、バリアブルキャッパシタ、および増幅器を組合せることで、移動体通信機の電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)として利用することができる。
薄膜圧電共振素子は半導体基板上に薄膜で形成するため、非常に小型化が容易であり、特に高さに関しては既存フィルタでは困難な1mm以下の寸法を容易に実現できる。またトランジスタやIC、LSIと一緒に半導体基板上に実装することも容易である。
しかしながら、良好な特性の薄膜圧電共振素子を作製し、その小さいサイズを生かしてトランジスタやIC、LSIなどの増幅素子またはコンデンサや抵抗器、インダクタなどと一緒に高周波モジュールに実装するのには、励振した共振エネルギーを閉じ込めるために薄膜圧電共振素子の上部および下部が空気層に接していることが必要である。これは、薄膜圧電共振素子を構成する圧電体や電極の音響インピーダンスと空気の音響インピーダンスが数桁も異なるので、弾性振動が界面で効率的に反射されて、弾性波のエネルギーが共振部分に閉じ込められるためである。したがって、薄膜圧電共振素子の形成プロセスでは、どのように上下の空気層、特に下部の空気層を形成するかという点と、上下に空気層を残しながらいかに全体を気密封止するかがポイントとなる。
特許文献1の図2に示すような裏面空洞型構造の薄膜圧電共振素子においては、基板の上方はもとより下方にも空洞が形成されており、そのまま樹脂モールド法を用いて樹脂封止することは空洞が埋まってしまうために困難である。
また、薄膜圧電共振素子を覆うように封止する技術も提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この技術は裏面空洞型構造には適用が難しいという問題があった。
そこで、従来はセラミックパッケージにより薄膜圧電共振素子を封止する形態がとられてきた。セラミックパッケージを使用すると、パッケージ化された薄膜圧電共振素子の全体の厚みが大きくなり、高周波機器の小型化、薄型化が困難になる。
特開2001−211053号公報
特開2002−274367号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、パッケージ化してもサイズの小さな薄膜圧電共振装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様による薄膜圧電共振装置は、第1基板上に形成され下部電極、圧電体膜、および上部電極を有する薄膜圧電共振素子と、前記薄膜圧電共振素子直下の前記第1基板に前記第1基板を貫通するように設けられ前記薄膜圧電共振素子の下部空洞となる第1貫通孔と、前記薄膜圧電共振素子を覆い、前記薄膜圧電共振素子に対向する面と前記薄膜圧電共振素子の上面とによって前記薄膜圧電共振素子の上部空洞が形成されるように設けられた凸状の金属膜と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、パッケージ化してもサイズの小さな薄膜圧電共振装置を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による薄膜圧電共振装置を、図1(a)、(b)を参照して説明する。この実施形態の薄膜圧電共振装置は、薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、その平面図を図1(a)に、図1(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図を図1(b)に示す。
本発明の第1実施形態による薄膜圧電共振装置を、図1(a)、(b)を参照して説明する。この実施形態の薄膜圧電共振装置は、薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、その平面図を図1(a)に、図1(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図を図1(b)に示す。
この実施形態の薄膜圧電共振装置は、後述するように直列乃至並列に接続された9個の薄膜圧電共振素子を有している。シリコン基板2上に例えばシリコン酸化物からなる絶縁膜4が設けられ、絶縁膜4上に薄膜圧電共振素子の下部電極6が設けられている。なお、後述するように、下部電極6は3個設けられ、各下部電極6は3個の薄膜圧電共振素子に対して共通の下部電極となるように構成されている。各薄膜圧電共振素子が設けられる位置の下部電極6の直下には絶縁膜4およびシリコン基板2を貫通する下部空洞22が設けられている。シリコン基板2の裏面、すなわち絶縁膜4が設けられた側とは反対側の面は、樹脂層24を介してシリコン基板26が接着されている。したがって、下部空洞22は、上面が下部電極6によって、底面がシリコン基板26によって塞がれた構成となっている。
一方、絶縁膜4が設けられたシリコン基板2の表側の面には、3個の下部電極3を覆うように圧電体膜8が設けられている。圧電体膜8上には、9個の薄膜圧電共振素子を直列乃至並列に接続するための配線を兼ねた、9個の薄膜圧電共振素子の上部電極12が設けられている。この実施形態においては、後述するように上部電極12は7個設けられている。また、圧電体膜8上には、これらの上部電極12を覆うように、例えば窒化珪素からなる絶縁膜18が設けられている。圧電体膜8の側部には、9個の薄膜圧電共振素子が直列乃至並列に接続されたRFフィルタの端子となる上部電極12と電気的に接続する配線電極16が設けられ、この配線電極16は絶縁膜4上に延在した構成となっている。なお、絶縁膜4上には、配線電極16とは電気的に分離したボンディングパッド14が設けられている。
また、絶縁膜18で覆われた9個の薄膜圧電共振素子を覆い、かつ9個の薄膜圧電共振素子との間に上部空洞35が形成されるように凸形状の金属膜30が設けられている。この金属膜30はボンディングパッド14上でボールバンプ36によって封止されるとともに、配線電極16とは配線電極16の側面および一部の上面に設けられた絶縁膜20によって電気的に絶縁される。
次に、本実施形態による薄膜圧電共振装置の製造方法を、図2乃至図9を参照して説明する。
まず、熱酸化膜4が形成されたシリコン基板2上に、電極材料膜を形成し、リソグラフィー技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより図2(a)に示すように下部電極6を形成する。この実施形態においては、図2(a)に示すように下部電極6は3本形成される。続いて、図2(b)に示すように、下部電極6を覆うように圧電体材料の膜を形成し、リソグラフィー技術を用いて上記圧電体材料の膜をパターニングすることにより圧電体膜8を形成する。
次に、直列に接続される薄膜圧電共振素子と並列に接続される薄膜圧電共振素子とで共振周波数を異ならせる目的で、図3(a)に示すように3本の下部電極の一端上に負荷電極10を形成する。その後、基板2の全面に電極材料膜を形成し、リソグラフィー技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、図3(b)に示すように上部電極12およびボンディングパッド14を形成する。これにより、下部電極3と上部電極12との間に圧電体膜8が挟まれた9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が形成される(図3(b)参照。上部電極12は7個形成され、7個の内の一つの上部電極は薄膜圧電共振素子FR2と薄膜圧電共振素子FR3とを接続する配線を兼ねており、他の一つの上部電極12は薄膜圧電共振素子FR4と薄膜圧電共振素子FR5と接続する配線を兼ねている。また、ボンディングパッド14は、絶縁膜4上に5個形成される。
次に、基板2の全面に電極材料膜を形成し、リソグラフィー技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、薄膜圧電共振素子FR1、FR6、FR7、FR8、FR9の上部電極12にそれぞれ接続する5個の配線電極16を圧電体膜8の側部に形成する(図4(a)、(b)参照)。これらの配線電極16は圧電体膜8の側部だけでなく絶縁膜4上にも延在している。なお、配線電極16はボンディングパッド14とは電気的に接続されないように、平面上で重ならない位置に形成される。なお、図4(a)は本実施形態による薄膜圧電共振装置の一製造工程における平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。その後、シリコン基板2の裏面を研磨し、シリコン基板2の厚さが100μm〜200μmとする。
次に、図5に示すように圧電体膜8上に上部電極を覆うように、例えば窒化珪素(SiNx)からなる膜を100nm程度CVD(Chemical vapor deposition)を用いて成膜し、リソグラフィー技術を用いて上記窒化珪素膜をパターニングすることによりパッシベーション膜18を形成する。なお、このパッシベーション膜18はボンディングパッド14と配線電極16上には形成されない。その後、例えばTEOS(tetraethoxy silane)からなる膜厚3μm程度の絶縁膜20を、リソグラフィー技術を用いて配線電極16の側部に形成する(図5参照)。この絶縁膜20は、配線電極16と後の工程で形成される金属膜30とを電気的に絶縁するためのものである。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は絶縁膜20に覆われず、露出している(図5参照)。なお、図5乃至図9は、図1(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図を示している。
次に、図6に示すように、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma - Reactive ion etching)を用いてシリコン基板2の裏面から、エッチングすることにより、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4を除去する。これにより薄膜圧電共振素子直下に下部空洞22が形成される。その後、シリコン基板2の裏面に厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26をポリイミド等の樹脂24を用いて接着する(図6参照)。これにより、下部空洞22の上面は下部電極6によって、底面はシリコン基板26によって塞がれた構成となる。
次に、図7に示すように、薄膜圧電共振素子を覆ように、厚さ5μm以上のフォトレジストからなるレジストパターン28を形成する。このレジストパターン28は、ボンディングパッド14を覆うが、配線電極16の絶縁膜20によって覆われていない部分はレジストパターン28によって覆われない(図7参照)。
次に、図8に示すように、レジストパターン28を覆うようにTi、Auをメッキにより順次積層し、Ti/Auからなる凸状の金属膜30を形成する。Tiは10nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上ではTEOSからなる絶縁膜20を介してTi/Auからなる金属膜30を形成する。また、予め設けたボンディングパッド14上部のフォトレジストの側部には、Ti/Auからなる金属膜30を形成せず、フォトレジストが露出する形となり、この露出した部分が開口部32となる(図8参照)。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)に基板2をおよそ1時間浸漬し、Ti/Auからなる金属膜30の中のレジストパターン28を上記開口部32から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、乾燥させる。レジストパターンが除去された部分が上部空洞35となる(図9参照)。
次に、図1(a)、(b)に示すように、ボンディングパッド14上の開口部32をボールバンプ36により塞ぐ。ボールバンプ36の形成条件は温度170℃、超音波パワー0.78W〜1.5W、荷重33N、時間1秒とした。
次に、モールド樹脂(図示せず)を凸状の金属膜30上に塗布する。配線電極16上はフォトリソグラフィー技術によりモールド樹脂を除去した後に、樹脂を硬化させることにより凸状の金属膜30で覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
本実施形態によるRFフィルタの回路図を図10に示す。図10において、インダクタは配線電極16と外部端子とをワイヤボンディイングで接続したときのワイヤを示している。
以上説明したように、本実施形態によれば、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による薄膜圧電共振装置を、図11(a)乃至図18を参照して説明する。図11(a)乃至図18は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。図11(a)は配線電極16を形成した直後の平面図を示し、図11(b)は図11(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。図11(a)から分かるように、絶縁膜4上にはボンディングパッドは形成されていない。
次に、本発明の第2実施形態による薄膜圧電共振装置を、図11(a)乃至図18を参照して説明する。図11(a)乃至図18は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。図11(a)は配線電極16を形成した直後の平面図を示し、図11(b)は図11(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。図11(a)から分かるように、絶縁膜4上にはボンディングパッドは形成されていない。
以下の工程で参照する図12乃至図18は、図11(a)で示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。
配線電極16を形成した後、図12に示すように、圧電体膜8上に上部電極12を覆うように窒化珪素(SiNx)からなるパッシベーション膜18をCVDで100nm程度成膜する。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分はパッシベーション膜18で覆わない。覆われている場合は、ドライエッチングにより除去する。
次に、図13に示すように、薄膜圧電共振素子を覆ように、フォトレジストからなるレジストパターン38を形成する。なお、このレジストパターン38によって、配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は覆われず、露出した状態となっている(図13参照)。レジストパターン38の形成後に180℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥させ、レジストパターン38を硬化する。フォトレジストの厚さは5μm以上とする。
次に、図14に示すように、レジストパターン38を覆うようにTi層、Ni−B層、Au層を順次メッキにより形成し、Ti/Ni−B/Auからなる積層膜(金属膜)30aを形成する。Tiは10nm以上、Ni−Bは100nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上にはTi/Ni−B/Auからなる積層膜30aを接触させず、レジストパターン38の側面を露出させ、Ti/Ni−B/Auからなる積層膜30aが配線電極16を跨ぐように構成する。
次に、図15に示すように、積層膜30aおよびレジストパターン38aを覆うようにモールド樹脂40を塗布する。配線電極16上にモールド樹脂が形成された場合はフォトリソグラフィーによりモールド樹脂を除去する。その後、モールド樹脂を窒素中で150℃、30分間乾燥させて、仮キュアする。
次に、シリコン基板2の裏面に、開口を有する膜厚30nmのAl膜42を接着し、このAl膜42をマスクとして、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4をICP−RIEで除去し、下部空洞22を形成する。このとき、薄膜圧電共振素子や配線電極16が形成されておらず、かつTi/Ni−B/Auからなる積層膜30aの内側のシリコン基板2の領域にもシリコンと熱酸化膜4が除去されたレジストパターン38に達する貫通孔44を形成する(図16参照)。
次に、シリコン基板2の裏面から開けた貫通孔44より、レジストパターン38をアッシング処理により除去する。アッシング処理は酸素プラズマアッシャーで行う。条件は温度150℃、圧力75Pa、パワー500W、処理時間は1時間30分である。その後、窒素雰囲気中230℃で30分間乾燥し、モールド樹脂(115)をキュアする。レジストパターン38が存在していた部分は薄膜圧電共振素子の上部空洞39となる(図17参照)。
次に、図18に示すように、シリコン基板2の裏面に、Ti/Pd/Auからなる積層膜45を成膜された厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26を接着する。積層膜45の厚さはTiが50nm、Pdが200nm、Auが1000nmである。接着は窒素雰囲気中200℃、10分間圧着させることにより行う。これにより、凸状の金属膜30aで覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
なお、本実施形態においては、上部空洞39はボールバンプにより封止されず、モールド樹脂40およびシリコン基板26によって封止される構成となる。
以上説明したように、本実施形態も第1実施形態と同様に、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による薄膜圧電共振装置を、図19乃至図25を参照して説明する。図19乃至図25は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
次に、本発明の第3実施形態による薄膜圧電共振装置を、図19乃至図25を参照して説明する。図19乃至図25は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
配線電極16を形成した後、図19に示すように、圧電体膜8上に上部電極12を覆うように窒化珪素(SiNx)からなるパッシベーション膜18をCVDで100nm程度成膜する。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分(配線電極16の側部の近傍を除く)はパッシベーション膜18で覆わない。覆われている場合は、ドライエッチングにより除去する。
次に、図20に示すように、薄膜圧電共振素子を覆ように、フォトレジストからなるレジストパターン38を形成する。なお、このレジストパターン38によって、配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は覆われず、露出した状態となっている(図20参照)。レジストパターン38の形成後に180℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥させ、レジストパターン38をキュアする。フォトレジストの厚さは5μm以上とする。
次に、図21に示すように、レジストパターン38を覆うようにTi層、Au層を順次メッキにより形成し、Ti/Auからなる積層膜(金属膜)30を形成する。Tiは10nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上にはTi/Auからなる積層膜30を接触させず、レジストパターン38の側面38aを露出させ、Ti/Auからなる積層膜30が配線電極16を跨ぐように構成する(図21参照)。
次に、図22に示すように、ICP−RIEを用いてシリコン基板2の裏面から、エッチングすることにより、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4を除去する。これにより、薄膜圧電共振素子直下に下部空洞22が形成される。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)にシリコン基板2をおよそ1時間浸漬し、Ti/Auからなる金属膜30の中のレジストパターン28を、配線電極16のレジストパターン38の露出している側面(開口部)38aから溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、乾燥させる。レジストパターンが除去された部分が上部空洞35となる(図23参照)。
次に図24に示すように、シリコン基板2の裏面に、厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26をポリイミド等の樹脂24を用いて接着する。
次に、図25に示すようにモールド樹脂40を全面に塗布する。配線電極16上はフォトリソグラフィー技術を用いてモールド樹脂40を除去する。その後、モールド樹脂40を硬化させることにより、配線電極16上を跨いだTi/Auからなる積層膜30の開口部を塞ぐ。これにより、凸状の金属膜30で覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
なお、本実施形態においては、第2実施形態と同様に、上部空洞39はモールド樹脂40およびシリコン基板2によって封止される構成となる。
以上説明したように、本実施形態も第2実施形態と同様に、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による薄膜圧電共振装置を、図26乃至図32を参照して説明する。図26乃至図32は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
次に、本発明の第4実施形態による薄膜圧電共振装置を、図26乃至図32を参照して説明する。図26乃至図32は、第2実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
配線電極16を形成した後、図26に示すように、圧電体膜8上に上部電極12を覆うように窒化珪素(SiNx)からなるパッシベーション膜18をCVDで100nm程度成膜する。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分はパッシベーション膜18で覆わない。覆われている場合は、ドライエッチングにより除去する。その後、例えばTEOSからなる膜厚3μm程度の絶縁膜20を、リソグラフィー技術を用いて配線電極16の側部に形成する(図5参照)。この絶縁膜20は、配線電極16と後の工程で形成される金属膜30とを電気的に絶縁するためのものである。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は絶縁膜20に覆われず、露出している(図26参照)。
次に、図27に示すように、薄膜圧電共振素子を覆ように、フォトレジストからなるレジストパターン38を形成する。なお、配線電極16の絶縁膜20によって覆われていない部分はレジストパターン38によって覆われない(図27参照)。フォトレジストの厚さは5μm以上とする。
次に、図28に示すように、レジストパターン38を覆うようにTi層、Au層を順次メッキにより形成し、Ti/Auからなる積層膜(金属膜)30を形成する。Tiは10nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上にはTi/Auからなる積層膜30を接触させないように形成する。
次に、図29に示すように、シリコン基板2の裏面に、開口を有する膜厚30nmのAl膜42を接着し、このAl膜42をマスクとして、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4をICP−RIEで除去し、下部空洞22を形成する。このとき、薄膜圧電共振素子や配線電極16が形成されておらず、かつTi/Auからなる積層膜30の内側のシリコン基板2の領域にもシリコンと熱酸化膜4が除去されたレジストパターン38に達する貫通孔44を形成する(図29参照)。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)にシリコン基板2をおよそ1時間浸漬し、レジストパターン38を貫通孔44から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、乾燥させる。レジストパターン38が除去された部分が上部空洞39となる(図30参照)。
次に、図31に示すように、シリコン基板2の裏面に、Ti/Pd/Auからなる積層膜45を成膜された厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26を接着する。積層膜45の厚さはTiが50nm、Pdが200nm、Auが1000nmである。接着は窒素雰囲気中200℃、10分間圧着させることにより行う。
次に、図32に示すように、積層膜30を覆うようにモールド樹脂40を塗布する。配線電極16上にモールド樹脂が塗布された場合はフォトリソグラフィーによりモールド樹脂を除去する。その後、モールド樹脂を硬化する。
これにより、凸状の金属膜30で覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
なお、本実施形態においては、上部空洞39はボールバンプにより封止されず、凸状の金属膜30およびシリコン基板26によって封止される構成となる。
以上説明したように、本実施形態も第1実施形態と同様に、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による薄膜圧電共振装置を、図33乃至図35を参照して説明する。図33および図34(a)は、第5実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程途中の平面図であり、図34(b)および図35は図34に示す切断線A−Aで切断したときの製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
次に、本発明の第5実施形態による薄膜圧電共振装置を、図33乃至図35を参照して説明する。図33および図34(a)は、第5実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程途中の平面図であり、図34(b)および図35は図34に示す切断線A−Aで切断したときの製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
配線電極16を形成した後、第2実施形態の場合と同様に、圧電体膜8上に上部電極12を覆うように窒化珪素(SiNx)からなるパッシベーション膜18をCVDで100nm程度成膜する。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分はパッシベーション膜18で覆わない。覆われている場合は、ドライエッチングにより除去する。
次に、図33に示すように、パッシベーション膜18を覆ように、フォトレジストからなるレジストパターン38Aを形成する。なお、薄膜共振素子の間で、下部電極6及び上部電極12の配線の形成されていない部分にはフォトレジストレジストが形成されない領域50があるようにリソグラフィー技術を用いてレジストパターン38Aを形成する。レジストパターン38A形成後に180℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥させ、レジストパターン38Aを硬化する。フォトレジスト厚さは5μm以上とする。このレジストパターン38Aによって、配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は覆われず、露出した状態となっている(図34(b)参照)。
次に、図34(a)に示すように、レジストパターン38Aを覆うようにTi層、Pb層、Au層を順次メッキにより形成し、Ti/Pb/Auからなる積層膜(金属膜)30bを形成する。Tiは10nm以上、Pbは100nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上にはTi/Pb/Auからなる積層膜30bを接触させず、レジストパターン38Aの側面を露出させ、Ti/Pb/Auからなる積層膜30bが配線電極16を跨ぐように構成する(図34(b)参照)。なお、フォトレジストレジストが形成されない領域50は、金属膜30bによって埋め込まれ、レジストパターン38Aが除去された後、この埋め込まれた部分31が金属膜30bを支持する強度部材となる(図35参照)。
次に、図35に示すように、ICP−RIEを用いてシリコン基板2の裏面から、エッチングすることにより、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4を除去する。これにより薄膜圧電共振素子直下に下部空洞22が形成される。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)にシリコン基板2をおよそ1時間浸漬し、Ti/Pb/Auからなる金属膜30bの中のレジストパターン38Aを、配線電極16のレジストパターン38Aの露出している側面(開口部)から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、乾燥させる。さらに、プラズマアッシング装置を用いて、圧力75PaのO2雰囲気で500Wの条件で30分間アッシングを行うことによりTi/Pb/Auからなる金属膜30bの中のフォトレジストを完全に除去する。レジストパターンが除去された部分が上部空洞52となる(図35参照)。続いて図35に示すように、シリコン基板2の裏面に、厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26をポリイミド等の樹脂24を用いて接着する。その後、図35に示すようにモールド樹脂40を全面に塗布する。配線電極16上はフォトリソグラフィー技術を用いてモールド樹脂40を除去する。その後、モールド樹脂40を硬化させることにより、配線電極16上を跨いだTi/Pb/Auからなる積層膜30bの開口部を塞ぐ。これにより、凸状の金属膜30bで覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
なお、本実施形態においては、第2実施形態と同様に、上部空洞52はモールド樹脂40およびシリコン基板2によって封止される構成となる。
以上説明したように、本実施形態も第1実施形態と同様に、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
なお、本実施形態においては、凸状の金属膜30aは支持部31によって支持された構成となっているので、第1乃至第4実施形態に比べて強度が高い。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による薄膜圧電共振装置を、図36乃至図39を参照して説明する。図36および図37(a)は、第6実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程途中の平面図であり、図37(b)は図37に示す切断線B−Bで切断したときの製造工程断面図、図37(c)は図37に示す切断線C−Cで切断したときの製造工程断面図、図38は本実施形態の薄膜圧電共振装置が完成したときの、図37に示す切断線B−Bで切断した場合の製造工程断面図、図39は本実施形態の薄膜圧電共振装置が完成したときの、図37に示す切断線C−Cで切断した場合の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
次に、本発明の第6実施形態による薄膜圧電共振装置を、図36乃至図39を参照して説明する。図36および図37(a)は、第6実施形態による薄膜圧電共振装置の製造工程途中の平面図であり、図37(b)は図37に示す切断線B−Bで切断したときの製造工程断面図、図37(c)は図37に示す切断線C−Cで切断したときの製造工程断面図、図38は本実施形態の薄膜圧電共振装置が完成したときの、図37に示す切断線B−Bで切断した場合の製造工程断面図、図39は本実施形態の薄膜圧電共振装置が完成したときの、図37に示す切断線C−Cで切断した場合の製造工程断面図である。本実施形態による薄膜圧電共振装置は、第1実施形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、ボンディングパッドを形成しないが、配線電極16を形成する工程までは、第1実施形態と同じような工程を用いて行う。
配線電極16を形成した後、第1実施形態の場合と同様に、圧電体膜8上に上部電極12を覆うように窒化珪素(SiNx)からなるパッシベーション膜18をCVDで100nm程度成膜する。なお、このパッシベーション膜18は配線電極16上には形成されない。その後、例えばTEOSからなる膜厚3μm程度の絶縁膜20を、リソグラフィー技術を用いて配線電極16の側部に形成する(図36参照)。この絶縁膜20は、配線電極16と後の工程で形成される金属膜30とを電気的に絶縁するためのものである。配線電極16の絶縁膜4上に延在している大部分は絶縁膜20に覆われず、露出している(図36参照)。続いて、図36に示すように、薄膜圧電共振素子を覆ように、フォトレジストからなるレジストパターン38Bを形成する。なお、薄膜共振素子の間で、下部電極6及び上部電極12の配線の形成されていない部分にはフォトレジストレジストが形成されない領域50があるようにリソグラフィー技術を用いてレジストパターン38Bを形成する。また、配線電極16の絶縁膜20によって覆われていない部分はレジストパターン38Bによって覆われない(図37(b)、(c)参照)。フォトレジストの厚さは5μm以上とする。レジストパターン38B形成後に180℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥させ、レジストパターン38Bを硬化する。続いて、図37(a)、(b)、(c)に示すように、レジストパターン38Bを覆うようにTi層、Au層を順次メッキにより形成し、Ti/Auからなる金属膜30を形成する。Tiは10nm以上、Auは1μm以上とする。配線電極16上にはTi/Auからなる金属膜30を接触させないように形成する。これにより、配線電極16と金属膜30は絶縁膜20によって絶縁される。なお、フォトレジストレジストが形成されない領域50は、金属膜30によって埋め込まれ、レジストパターン38Bが除去された後、この埋め込まれた部分31が金属膜30bを支持する強度部材となる(図37(b)参照)。
次に、図38および図39に示すように、シリコン基板2の裏面に、開口を有する膜厚30nmのAl膜42を接着し、このAl膜42をマスクとして、薄膜圧電共振素子直下のシリコンと熱酸化膜4をICP−RIEで除去し、下部空洞22を形成する。このとき、薄膜圧電共振素子や配線電極16が形成されておらず、かつTi/Auからなる金属膜30の内側のシリコン基板2の領域にもシリコンと熱酸化膜4が除去されたレジストパターン38Bに達する貫通孔44を形成する(図38、39参照)。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)にシリコン基板2をおよそ1時間浸漬し、レジストパターン38を貫通孔44から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、乾燥させる。さらに、プラズマアッシング装置を用いて、圧力75PaのO2雰囲気で500Wの条件で30分間アッシングを行うことによりTi/Auからなる金属膜30の中のフォトレジストを完全に除去する。レジストパターン38Bが除去された部分が上部空洞52となる(図38、39参照)。続いて、図38、39に示すように、シリコン基板2の裏面に、Ti/Pd/Auからなる積層膜45を成膜された厚さ100μm〜200μmのシリコン基板26を接着する。積層膜45の厚さはTiが50nm、Pdが200nm、Auが1000nmである。接着は窒素雰囲気中200℃、10分間圧着させることにより行う。その後、図38、39に示すように、金属膜30を覆うようにモールド樹脂40を塗布する。配線電極16上にモールド樹脂が塗布された場合はフォトリソグラフィーによりモールド樹脂を除去する。その後、モールド樹脂を硬化する。
これにより、凸状の金属膜30で覆われた薄膜圧電共振素子を使用したRFフィルタが完成する。
なお、本実施形態においては、上部空洞39はボールバンプにより封止されず、凸状の金属膜30およびシリコン基板26によって封止される構成となる。
以上説明したように、本実施形態も第1実施形態と同様に、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜で覆われた構成となるため、パッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。また、凸状の金属膜と薄膜圧電共振素子との間には、上部空洞が形成されているため、薄膜圧電共振素子の特性が低下するのを防止することができる。
なお、本実施形態においては、凸状の金属膜30は支持部31によって支持された構成となっているので、第1乃至第4実施形態に比べて強度が高い。
また、上記第1乃至第6実施形態においては、9個の薄膜圧電共振素子を有する3.5段のRFフィルタを例にとって説明したが、本発明による薄膜圧電共振装置はこれに限られるものではない。例えば、図40に示すように、薄膜圧電共振素子101、バリアブルキャパシタ102、帰還抵抗103および増幅器104を組み合わせることによって、移動体通信機の電圧制御発振器100として利用することができる。
また,上記第1、第4、第6実施形態においては,例えばTEOSからなる絶縁膜20は,フォトリソグラフィーにより形成されたポリイミド膜,またはエポキシ樹脂膜のいずれかであってもよい。
また、上記第1乃至第6実施形態においては、凸状の金属膜は、Ti/Auからなる積層膜、Ti/Ni−B/Auからなる積層膜、またはTi/Pd/Auからなる積層膜のいずれかであったが、Ti/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ta/Auからなる積層膜、Ti/Mo/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ni/Snからなる積層膜、Cr/Cu/Auからなる積層膜、Al/Niからなる積層膜、Ti/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ta/Au/Taからなる積層膜、Ti/Pd/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Mo/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Al/Ni/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Niからなる積層膜、またはAl/Ni/Cu/Au/Tiからなる積層膜のいずれかであってもよい。これにより様々な雰囲気での使用に耐えることが可能となる。
2 シリコン基板
4 シリコン熱酸化膜
6 下部電極
8 圧電体膜
12 上部電極
14 ボンディングパッド(メタル)
16 配線電極
18 絶縁膜(SiNx膜)
20 絶縁膜(TEOS膜)
22 下部空洞
24 接着樹脂
26 シリコン基板
30 凸状金属膜
35 上部空洞
36 ボールバンプ
FR1〜FR9 薄膜圧電共振素子
4 シリコン熱酸化膜
6 下部電極
8 圧電体膜
12 上部電極
14 ボンディングパッド(メタル)
16 配線電極
18 絶縁膜(SiNx膜)
20 絶縁膜(TEOS膜)
22 下部空洞
24 接着樹脂
26 シリコン基板
30 凸状金属膜
35 上部空洞
36 ボールバンプ
FR1〜FR9 薄膜圧電共振素子
Claims (10)
- 第1基板上に形成され、下部電極、圧電体膜、および上部電極を有する薄膜圧電共振素子と、
前記薄膜圧電共振素子直下の前記第1基板に前記第1基板を貫通するように設けられ前記薄膜圧電共振素子の下部空洞となる第1貫通孔と、
前記薄膜圧電共振素子を覆い、前記薄膜圧電共振素子に対向する面と前記薄膜圧電共振素子の上面とによって前記薄膜圧電共振素子の上部空洞が形成されるように設けられた凸状の金属膜と、
を備えたことを特徴とする薄膜圧電共振装置。 - 前記薄膜圧電共振素子の上部電極と電気的に接続する配線電極が前記第1基板上に設けられ、前記凸状の金属膜は前記配線電極上に絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記薄膜圧電共振素子を覆うパッシベーション膜を更に備え、前記パッシベーション膜は前記配線電極上に延在して前記配線電極と前記凸状の金属膜とを電気的絶縁することを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記薄膜圧電共振素子の上部電極と電気的に接続する配線電極が前記第1基板上に設けられ、前記凸状の金属膜は前記配線電極上を中空に跨いで設けられていることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記薄膜圧電共振素子を覆うパッシベーション膜と、前記薄膜圧電共振素子の上部電極が形成されていない前記パッシベーション膜上の領域で前記凸状の金属膜を支持する支持部材を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記凸状の金属膜は前記薄膜圧電共振素子より外側の位置に引き出し部分を有し、前記凸状の金属膜は前記引き出し部でボールバンプにより封止されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記第1基板は、前記凸状の金属膜の内側で、前記薄膜圧電共振素子が形成されていない領域に前記第1基板の裏側に通じる第2貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記凸状の金属膜は、Ti/Auからなる積層膜、Ti/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ta/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Auからなる積層膜、Ti/Mo/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ni/Snからなる積層膜、Cr/Cu/Auからなる積層膜、Al/Niからなる積層膜、Ti/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ta/Au/Taからなる積層膜、Ti/Pd/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Mo/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Al/Ni/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Niからなる積層膜、またはAl/Ni/Cu/Au/Tiからなる積層膜のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記凸状の金属膜は樹脂により覆われていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
- 前記第1基板の裏面に前記貫通孔を塞ぐ第2基板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜圧電共振装置。
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JP2009225228A (ja) * | 2008-03-18 | 2009-10-01 | Sony Corp | バンドパスフィルタ装置、その製造方法、テレビジョンチューナおよびテレビジョン受信機 |
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