以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態による薄膜圧電共振装置を説明する。まず、複数種の薄膜圧電共振素子について説明する。第1の薄膜圧電共振素子FRの平面図を図1、その図1における切断線A−A′で切断したときの断面図を図2に示してある。第2の薄膜圧電共振素子FRの平面図を図3、その図3における切断線A−A′で切断したときの断面図を図4に示してある。また第3の薄膜圧電共振素子FRの平面図を図5、その図5における切断線A−A′で切断したときの断面図を図6に示してある。
図1〜図6において、011は基板、012は熱酸化膜、013は下部電極膜、014は圧電体膜、015は上部電極を示し、また016は空洞、017は犠牲層エッチング穴、018は低音響インピーダンス膜と高音響インピーダンス膜とのλ/4音響多層膜を用いた反射器を示している。
図1と図2、また図3と図4は下部電極013の直下に空洞016を有する薄膜圧電共振素子である。図1、図2に示した第1の薄膜圧電共振素子FRでは、基板011の裏面まで貫通する空洞016が開口されており、この空洞016をまたいで下部電極膜013、圧電体膜014、上部電極015が基板011上の熱酸化膜012上に形成されている。図3、図4に示した第2の薄膜圧電共振素子FRでは、基板011中に掘られた空洞016が形成されており、この空洞016をまたいで下部電極膜013、圧電体膜014、上部電極015が基板011上の熱酸化膜012上に形成されている。図5、図6に示した第3の薄膜圧電共振素子FRは、図1、図2や図3、図4に示した薄膜圧電共振素子FRの直下の空洞016の代りに、音響インピーダンスが高い層と低い層を前述の薄膜圧電共振素子の共振周波数のλ/4の厚さで交互に積層したλ/4音響多層膜を反射器018として構成し、この上に下部電極膜013、圧電体膜014、上部電極015が基板011上の熱酸化膜012上をはさんで形成されている。
第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置は、図1、図2の構成の第1の薄膜圧電共振素子を備えたRFフィルタであって、図7、図8に示し、後述するように直列または並列に接続された9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を有している。このRFフィルタは、図1、図2の薄膜圧電共振素子FRの代わりに、図3、図4に示す第2の薄膜圧電共振素子、または図5、図6に示す第3の薄膜圧電共振素子を使用しても同等の性能を発揮する。
図7、図8において、シリコン基板1上に例えばシリコン酸化物からなる熱酸化膜2が設けられ、熱酸化膜2上に薄膜圧電共振素子の下部電極3が設けられている。なお、後述するように、下部電極3は3個設けられ、各下部電極3は3個の薄膜圧電共振素子に対して共通の下部電極となるように構成されている。各薄膜圧電共振素子が設けられる位置の下部電極3の直下には熱酸化膜2およびシリコン基板1を貫通する下部空洞4が設けられている。シリコン基板1の裏面、すなわち熱酸化膜2が設けられた側とは反対側の面は、樹脂層5を介してシリコン基板6が接着されている。したがって、下部空洞4は、上面が下部電極3によって、底面がシリコン基板6によって塞がれた構成となっている。
一方、熱酸化膜2が設けられたシリコン基板1の表側の面には、3個の下部電極3を覆うように圧電体膜7が設けられている。圧電体膜7上には、9個の薄膜圧電共振素子を直列または並列に接続するための配線を兼ねた、9個の薄膜圧電共振素子の上部電極8が設けられている。この実施の形態においては、後述するように上部電極8は7個設けられている。また、圧電体膜7上には、これらの上部電極8を覆うように、例えば窒化珪素からなる絶縁膜9が設けられている。圧電体膜7の側部には、9個の薄膜圧電共振素子が直列または並列に接続されたRFフィルタの端子となる上部電極8と電気的に接続する配線電極10が設けられ、この配線電極10は熱酸化膜2上に延在した構成となっている。
また、絶縁膜9で覆われた9個の薄膜圧電共振素子を覆い、かつ9個の薄膜圧電共振素子との間に上部空洞11が形成されるように凸形状の金属膜12が設けられている。この金属膜12は封止樹脂により連絡空洞13を塞ぎ封止するとともに、配線電極10とは配線電極10の側面および一部の上面に設けられた絶縁膜14によって電気的に絶縁されている。
次に、この実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造方法を、図9〜図27を参照して説明する。図9に示すように、まず、熱酸化膜2が膜厚1μm形成されたシリコン基板1上に、Al電極材料膜を膜厚200nmとなるようRFスパッタにより形成し、ポジレジストを用いたリソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニング後、塩素ガスおよび三塩化ホウ素ガスを用いたドライエッチングによって下部電極3を形成する。ポジレジストとしては通常の市販品でよく、東京応化製OFPR−800をレジスト厚さ1μmにて使用した。ドライエッチャーとしては通常のマグネトロン方式のRIE(Reactive ion etching)装置を使用すればよい。この実施の形態においては、下部電極3は3本形成される。続いて、図10に示すように、下部電極3を覆うように圧電体材料として窒化アルミニウム(AlN)の膜を膜厚1μmとなるように形成し、前記したポジレジストを使用したリソグラフィ技術を用いて上記圧電体材料の膜を前記したRIE装置にて塩素ガスおよび三塩化ホウ素ガスおよびアルゴンガスによりパターニングすることにより圧電体膜7を形成する。レジストの膜厚は2μmを使用した。次に、図11に示すように、直列に接続される薄膜圧電共振素子と並列に接続される薄膜圧電共振素子とで共振周波数を異ならせる目的で、3本の下部電極3の一端上に負荷電極15を膜厚100nmのMo膜をスパッタにより形成し、前記したリソグラフィ法により膜厚1μmのレジストパターンを形成し、過酸化水素水により一分間のウエットエッチングを行い加工する。その後、基板1の全面に電極材料膜としてAlを膜厚250nmとなるようスパッタにより形成し、前記したリソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、図12に示すように7個の上部電極8を形成する。
これにより、下部電極3と上部電極8との間に圧電体膜7が挟まれた9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が同時に形成される。上部電極8は7個形成され、7個の内の一つの上部電極は薄膜圧電共振素子FR2と薄膜圧電共振素子FR3とを接続する配線を兼ねており、他の一つの上部電極8は薄膜圧電共振素子FR4と薄膜圧電共振素子FR5と接続する配線を兼ねている。
次に、図13、図14に示すように、基板1の全面に電極材料膜として膜厚500nmのAl膜をスパッタにより形成し、前記したリソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、薄膜圧電共振素子FR1、FR6、FR7、FR8、FR9の上部電極8にそれぞれ接続する5個の配線電極10を圧電体膜7の側部に形成する。これらの配線電極10は圧電体膜7の側部だけでなく熱酸化膜2上にも延在している。その後、シリコン基板1の裏面を研磨し、シリコン基板1の厚さが50μm〜200μmとする。なお、図13はこの実施の形態による薄膜圧電共振装置の一製造工程における平面図であり、図14は、図13に示す切断線A−A′で切断したときの断面図である。
次に、図15および16に示すように圧電体膜7上に上部電極8を覆うように、窒化珪素(SiNx)からなる膜を100nm程度P−CVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)を用いて成膜し、前記したリソグラフィ技術を用いて上記窒化珪素膜をパターニングすることによりパッシベーション膜9を形成する。なお、このパッシベーション膜9は配線電極10上には形成されない。上記窒化珪素膜の加工は四フッ化メタンガスを使用したRIEにて実施した。その後、例えばTEOS(tetraethoxy silane)からなる膜厚3μm程度の絶縁膜14を、前記したリソグラフィ技術を用いて配線電極10の側部に形成する。この絶縁膜14の加工はオクタフルオロシクロブタンガスを用いた前記したRIEにて実施した。この絶縁膜14は、配線電極10と後の工程で形成される金属膜12とを電気的に絶縁するためのものである。配線電極10の熱酸化膜2上に延在している大部分は絶縁膜14に覆われず、露出している。
次に、図16に示すように、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma − Reactive Ion Etching)を用いてシリコン基板1の裏面からエッチングすることにより、各薄膜圧電共振素子FRiの直下のシリコンと熱熱酸化膜2を除去する。これにより各薄膜圧電共振素子FRiの直下に下部空洞4が形成される。その後、シリコン基板2の裏面に厚さ100μm〜200μmのシリコン基板6を厚さ50μmのポリイミド樹脂5を用いて接着する。ポリイミド樹脂の代わりに耐湿性のあるエポキシ樹脂などでも良い。これにより、下部空洞4の上面は下部電極3によって、底面はシリコン基板6によって塞がれた構成となる。
次に、図17、図18に示すように、各薄膜圧電共振素子FRiを覆ように、厚さ5μm以上のフォトレジストからなるレジストパターン11を形成する。レジストパターン11には連絡空洞13が含まれている。この連絡空洞13の形状構造は、当該装置の製造工程においてこれに連通する内部空洞に充填されている犠牲層用樹脂に対するエッチング溶剤の侵入は可能で、かつ未硬化の封止用有機樹脂の侵入は不可能な口径及び総延長を有するものにする。そのために、本実施の形態では、連絡空洞13は内部に凸部を形成したパターンにしてあり、後述するレジストの犠牲層エッチングの際に使用する粘度の低いエッチング液は十分流入させるが、実装最終段階にて樹脂封止を行う際に使用する高粘度のエポキシレジンやポリイミドレジンは流入に時間を要し、連絡空洞13内で樹脂の浸透を止め、薄膜圧電共振素子と凸状金属膜との間の空洞への樹脂の流入を阻止するのに十分な特性を持っている。
一般に、細管内の流体移動量は次のハーゲン・ポアズイユの法則に従い、(1)式で表される。
ここで、Q:細管内を移動する液体の流量、a:細管流路の半径、ΔP:細管内を移動する液体にかかる圧力差、η:細管内を移動する液体の粘度、L:細管の長さである。
この式から、封止樹脂の連絡空洞13中への移動量を減らすためには、粘度を高く、細管流路の半径を小さく、圧力差を少なく、細管の長さを増加させるとよいことが分かる。そこで、樹脂の粘度、圧力差を一定とすると、細管を細く、長くすることにより樹脂の流入量を大幅に減少させ、樹脂封止中の空洞内への樹脂侵入を阻止可能となる。
図19〜図21は連絡空洞13の詳細を平面図と断面図から示す。図19および図20は凸部もしくは凹部が形成された連絡空洞を示す。図19は内径2aの連絡空洞13にフォトレジストなどで凸部131または凹部132が水平方向に形成されたパターンを形成し得られている。図17、図18のレジスタストパターン11を形成する際に塗布したフォトレジストをこの形状となるマスクを使用して形成する。図20は内径2aの連絡空洞13にフォトレジストなどで凹部132が垂直方向に形成されたパターンを形成し得られている。図17、図18のレジスタストパターン11を形成する際に2層レジスト法などを使用してまず非感光性レジストを用いて図20のb1部を形成する。次に感光性レジストを用いて図20のb2部を形成する。ポジ型の感光性レジストを使用した場合、露光パターン部が現像後に凹部となり形成される。図21は内径2a、総延長Lの連絡空洞13を折り返しパターンとなるよう形成し、得られている。
上記目的を達成するためには、連絡空洞13の最大内部半径をa、連絡空洞13の総延長をLとすると、最大内部半径aと連絡空洞13の総延長Lの比L/aが3以上200以下となるようなパターンを形成すればよく、折り返しパターンの方向も連絡空洞13の方向に平行もしくは垂直もしくは両者の混合パターンであってもよい。比L/aが3未満であると後述する封止工程において封止樹脂のキュア中に封止樹脂が連絡空洞13を通り上部空洞まで到達し、前述の薄膜圧電共振素子FRと接触し、薄膜圧電共振素子FRおよびこれらから構成されるフィルタの高周波特性を著しく劣化させてしまう。また、L/aが200を超えると(1)式に示した細管内の流量が著しく減少する結果、薄膜圧電共振素子FRを実装する空洞を形成する際の犠牲層エッチングが極めて困難となり、それに要する時間も極端に増加し工業的製造条件としての摘要が困難となり、犠牲層エッチングがほとんど進行しなくなる。このため、より好ましい条件範囲はL/aが5以上150以下である。
この第1の実施の形態に基づく実施例1では、連絡空洞13に図19の構造を使用し、L/aは16、凸部の断面積に占める割合は75%にした。図19の構造の詳細な製造方法は通常のポジ型フォトレジストをウエハ上に膜厚5μmとなるように塗布し、前記したリソグラフィ法により水平方向に凹凸のある蛇行パターン13を形成する。
次に、図22、図23に示すように、レジストパターン11および13を覆うようにTi、Auをスパッタおよびメッキにより順次積層し、Ti/Auからなる凸状の金属膜12を形成する。Tiは10nm以上、Auは500nm以上とする。めっき方法は電気めっきでも、無電解めっきでも膜厚仕様および付き回り性、密着強度を満足するものであれば良い。配線電極10上ではTEOSからなる絶縁膜14を介してTi/Auからなる金属膜12を形成する。レジストパターン11および13以外からなる部分では基板上のSiO2上を介してTi/Auからなる金属膜12を形成する。また、連絡空洞13の出口には、Ti/Auからなる金属膜12を形成せず、フォトレジスト11が露出する形となるように前記したリソグラフィ法によりパターンを形成する。Ti/Auはそれぞれフッ化アンモン水溶液およびヨウ素+ヨウ化カリウム水溶液にてエッチング除去した。この露出した部分が開口部19となる。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)に基板1をおよそ1時間浸漬し、Ti/Auからなる金属膜12の中のレジストパターン11および13を上記開口部19から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換洗浄を3回繰り返した後、110℃の窒素中にて乾燥させる。これにより、図24、図25に示すようにレジストパターン11が除去された部分が上部空洞11′となる。
次に、図26に示すように封止用有機樹脂としての感光性エポキシ系モールド樹脂20を凸状の金属膜12上に塗布する。配線電極10上は前記したフォトリソグラフィー技術によりモールド樹脂を除去した後に、樹脂をキュア(硬化)させることにより凸状の金属膜12で覆われた薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を使用したRFフィルタが完成する。キュア条件は150℃、1時間、窒素雰囲気中である。
この実施の形態によるRFフィルタの回路図を図27に示す。図27において、インダクタは配線電極10と外部端子とをワイヤボンディイングで接続したときのワイヤを示している。RFフィルタは、複数個の薄膜圧電共振素子FRが直並列接続されるように配列した構成である。
以上説明したように、第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置によれば、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が凸状の金属膜12で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が実装されている上部空洞への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜12と薄膜圧電共振素子FR1〜FR9との間には上部空洞11′が形成され、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図28〜図31を参照して説明する。図28〜図31は、第2の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を備えたRFフィルタであって、金属膜12の代わりにエポキシレジン112により空洞111′を形成するものであり、レジストパターン111を形成する工程までは、第1の実施の形態と同じような工程を用いて行う。図28はレジストパターン111を形成した直後の平面図を示し、図29は図28におけるA−A′線の断面図を示している。
構造を簡単に説明すると、第1の実施の形態とほぼ同様であり、シリコン基板101上に熱酸化膜102が設けられ、熱酸化膜102上に薄膜圧電共振素子の下部電極103が設けられている。各薄膜圧電共振素子が設けられる位置の下部電極103の直下には熱酸化膜102およびシリコン基板101を貫通する下部空洞104が設けられている。シリコン基板101の裏面には、樹脂層105を介してシリコン基板106が接着されている。熱酸化膜102が設けられたシリコン基板101の表側の面には、3個の下部電極103を覆うように圧電体膜107が設けられている。圧電体膜107上には、9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を直列または並列に接続するための配線を兼ねた、9個の薄膜圧電共振素子の上部電極108が設けられている。また、圧電体膜107上には、これらの上部電極108を覆うように絶縁膜109が設けられている。圧電体膜107の側部には、9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が直列または並列に接続されたRFフィルタの端子となる上部電極108と電気的に接続する配線電極110が設けられている。ここまでと次の絶縁膜109の形成までの工程は実施例1と同様である。また、絶縁膜109で覆われた9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を覆うように凸形状のレジストパターン111および113が設けられている。
この第2の実施の形態に基づく実施例2では、連絡空洞113に図21の構造を使用し、L/aは85にした。本実施例で使用した連絡空洞113の製造方法を詳述する。実施例1と同様なポジ型レジストを膜厚10μmとなるよう塗布した後、水平方向に凹凸のあるパターンを前記したリソグラフィ法により形成する。外部および空洞部への接続断面が図19に示すパターンより小さく、大きなL/aが得やすい特徴を持っている。
レジストパターン111を形成した後の工程は、次の通りである。図28、図29に示すように、レジストパターン111を覆うように感光性エポキシレジンを塗布し、エポキシレジン膜112を形成する。エポキシレジン膜112は1μm以上とする。また、連絡空洞13の出口には、エポキシレジン膜112を形成せず、フォトレジストが露出する形となり、この露出した部分が開口部119となる。キュア条件は180℃、30分、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。
次に、90℃に熱したレジスト剥離溶剤NMP(n−メチルピロドリン)に基板をおよそ1時間浸漬し、エポキシレジン膜112の中のレジストパターン111および113を上記開口部119から溶解させる。その後、イソプロピルアルコールに浸漬置換を3回繰り返し、前記したように乾燥させることにより、図30、図31に示すように、レジストパターン111が除去された部分が上部空洞111′となる。
次に、図26に示した第1の実施の形態の場合と同様に、感光性エポキシ系モールド樹脂を凸状のエポキシレジン膜112上に塗布する。配線電極110上はフォトリソグラフィー技術によりモールド樹脂を除去した後に、樹脂をキュア(硬化)させることにより凸状のエポキシレジン膜112で覆われた薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を使用したRFフィルタが完成する。キュア条件は150℃、1時間、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が凸状のエポキシレジン膜112で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状のエポキシレジン膜112と薄膜圧電共振素子FR1〜FR9との間には上部空洞111′が形成され、薄膜圧電共振素子FR1〜FR9およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図32〜図40を参照して説明する。図32〜図40は、第3の実施の形態の薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子FR201〜FR209を備えたRFフィルタであって、金属膜212により上部空洞211′を形成するが、図3、図4に示す下部電極013下に閉じた空洞016を形成する構造の薄膜圧電共振素子FRを使用する。配線電極210を形成する工程以降は、第1の実施の形態と同じような工程を用いて行う。
この実施の形態の薄膜圧電共振装置は図3、図4の薄膜圧電共振素子FRを備えたRFフィルタであって、図32、図33に示し、また後述するように直列または並列に接続された9個の薄膜圧電共振素子FR1〜FR9を有している。図32、図33のシリコン基板201上に例えばシリコン酸化物からなる熱酸化膜202が設けられ、熱酸化膜202上に薄膜圧電共振素子の下部電極203が設けられている。下部電極203の下には閉じた空洞204とこれを外部とつないでいるエッチング孔220が形成されている。下部電極203は3個設けられ、各下部電極203は3個の薄膜圧電共振素子に対して共通の下部電極となるように構成されている。
一方、熱酸化膜202が設けられたシリコン基板201の表側の面には、3個の下部電極203を覆うように圧電体膜207が設けられている。圧電体膜207上には、9個の薄膜圧電共振素子を直列または並列に接続するための配線を兼ねた、9個の薄膜圧電共振素子の上部電極208が設けられている。この実施の形態においては、後述するように上部電極208は7個設けられている。また、圧電体膜207上には、これらの上部電極208を覆うように、例えば窒化珪素からなる絶縁膜209が設けられている。圧電体膜207の側部には、9個の薄膜圧電共振素子FR201〜FR209が直列または並列に接続されたRFフィルタの端子となる上部電極208と電気的に接続する配線電極210が設けられ、この配線電極210は絶縁膜207上に延在した構成となっている。
また、絶縁膜210で覆われた9個の薄膜圧電共振素子FR201〜FR209を覆い、かつ9個の薄膜圧電共振素子FR201〜FR209との間に上部空洞211′が形成されるように凸形状の金属膜212が設けられている。この金属膜212は第1、第2の実施の形態と同様にして封止樹脂により連絡空洞213を塞ぎ封止されるとともに、配線電極210とは配線電極210の側面および一部の上面に設けられた絶縁膜214によって電気的に絶縁される。
次に、この実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造方法を、図34〜図40を参照して説明する。まず、シリコン基板201上に空洞204およびエッチング孔220となる、深さ500nmの溝を形成する。溝の形成は前記したリソグラフィ方により行い、加工は前記したRIEにてオクタフルオロシクロブタンガスを使用して行った。次にこれら表面に熱酸化膜202を1μm形成する。次に熱酸化膜202の全面に犠牲層材料としてMo膜をスパッタにより700nm形成し、バリアメタル用スラリを使用したCMPにて熱酸化膜表面まで研磨を行い、図34に示すようなMo犠牲層材料が空洞204およびエッチング孔220の溝中に充填された構造を形成する。図34に示すように9個の空洞204および19個のエッチング孔220の溝は互いに繋がっている。
次に、電極材料膜を形成し、リソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより図35に示すようにMo犠牲層材料が充填された空洞204を覆うように膜厚200nmのAl下部電極203を形成する。成膜方法は前記したスパッタ法を使用した。この実施の形態においては、図35に示すように下部電極203は3本形成される。続いて、図36に示すように、下部電極203を覆うように圧電体材料膜厚1μmとなるようAlNの膜を形成し、前記したリソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて上記圧電体材料の膜をパターニングすることにより圧電体膜207を形成する。
次に、直列に接続される薄膜圧電共振素子と並列に接続される薄膜圧電共振素子とで共振周波数を異ならせる目的で、図37に示すように3本の下部電極203の一端上に前記した膜厚80nmのMoを用いた負荷電極215を形成する。その後、基板201の全面に電極材料膜としてMoを膜厚250nmとなるように形成し、前記したリソグラフィ技術およびウエットエッチング技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、図38に示すように上部電極208を形成する。これにより、下部電極203と上部電極208との間に圧電体膜207が挟まれた9個の薄膜圧電共振素子FR201〜FR209が形成される。図において、薄膜圧電共振素子FR201〜FR209は四角で囲む領域に相当する。上部電極208は7個形成され、7個の内の一つの上部電極は薄膜圧電共振素子FR202と薄膜圧電共振素子FR203とを接続する配線を兼ねており、他の一つの上部電極208は薄膜圧電共振素子FR204と薄膜圧電共振素子FR205と接続する配線を兼ねている。
次に、図39、図40に示すように、基板201の全面に電極材料膜としてAlを膜厚500nmとなるよう形成し、前記したリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、薄膜圧電共振素子FR201、FR206、FR207、FR208、FR209の上部電極208にそれぞれ接続する5個の配線電極210を圧電体膜207の側部に形成する。これらの配線電極210は圧電体膜207の側部だけでなく熱酸化膜202上にも延在している。その後、シリコン基板201の裏面を研磨し、シリコン基板201の厚さが50μm〜200μmとする。なお、図39はこの実施の形態による薄膜圧電共振装置の一製造工程における平面図であり、図40は、図39に示す切断線A−A′で切断したときの断面図である。
次以降の工程は、金属膜212を形成し、上部空洞211′を形成するまでは第1の実施の形態と同じような工程を用いて行う。つぎに空洞204およびエッチング孔220中の犠牲層Moを前記したウエットエッチングにより除去する。犠牲層のウエットエッチングは負荷電極と同様の過酸化水素水を使用した。なお、この実施の形態においても、図26に示した第1の実施の形態の場合と同様に、金属膜212の外側はモールド樹脂によって封止される。
この第3の実施の形態に基づく実施例3では、連絡空洞213に前記した図21の構造を使用し、L/aは10であった。
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR201〜FR209が凸状の金属膜212で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜212と薄膜圧電共振素子FR201〜FR209との間には、上部空洞211′が形成され、薄膜圧電共振素子FR201〜FR209およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第4の実施の形態)次に、本発明の第4の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図41〜図49を参照して説明する。図41〜図49は、第4の実施の形態の薄膜圧電共振装置の製造工程断面図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に9個の薄膜圧電共振素子FR301〜FR309を備えたRFフィルタであって、金属膜312により上部空洞311′を形成するが、図5、図6に示した下部電極013の下に反射器018を形成した第3の構造の薄膜圧電共振素子FRを使用する。配線電極310を形成する工程以降は、第1の実施の形態と同じような工程を用いて行う。
この実施の形態の薄膜圧電共振装置は、図41、図42に示すように、シリコン基板301上にシリコン酸化物からなる熱酸化膜302が設けられ、熱酸化膜302上に薄膜圧電共振素子の下部電極303が設けられている。下部電極303の下には9個の反射器304とこれを構成する低音響インピーダンス膜321と高音響インピーダンス膜322からなる多層膜が設けられている。下部電極303は3個設けられ、各下部電極303は3個の薄膜圧電共振素子に対して共通の下部電極となるように構成されている。
一方、熱酸化膜302が設けられたシリコン基板301の表側の面には、3個の下部電極303を覆うように圧電体膜307が設けられている。圧電体膜307上には、9個の薄膜圧電共振素子を直列または並列に接続するための配線を兼ねた、9個の薄膜圧電共振素子の上部電極308が設けられている。この実施の形態においては、後述するように上部電極308は7個設けられている。また、圧電体膜307上には、これらの上部電極308を覆うように、例えば窒化珪素からなる絶縁膜309が設けられている。圧電体膜307の側部には、9個の薄膜圧電共振素子FR301〜FR309が直列または並列に接続されたRFフィルタの端子となる上部電極308と電気的に接続する配線電極310が設けられ、この配線電極310は熱酸化膜302上に延在した構成となっている。
また、絶縁膜309で覆われた9個の薄膜圧電共振素子FR301〜FR309を覆い、かつ9個の薄膜圧電共振素子FR301〜FR309との間に上部空洞311′が形成されるように凸形状の金属膜312が設けられている。この金属膜312の外側は図26に示した第1の実施の形態の場合と同様に封止樹脂により連絡空洞313を塞ぎ封止されるとともに、配線電極310とは配線電極310の側面および一部の上面に設けられた絶縁膜314によって電気的に絶縁されている。
次に、この第4の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造方法を、図43〜図49を参照して説明する。まず、シリコン基板301上に反射器304となる深さ3μmの溝を形成し、次にこれら表面に熱酸化膜302を形成する。溝の形成方法は第3の実施の形態と同様に行った。次に熱酸化膜302の全面に低音響インピーダンス膜として膜厚725nmのSiO2321を高音響インピーダンス膜として膜厚647nmW322と低音響インピーダンス膜321を順次、共振周波数のλ/4の厚さで交互に積層した反射器304を積層形成し、前記したCMPにて熱酸化膜表面の高さまで研磨を行い、図43に示すような低音響インピーダンス膜321と高音響インピーダンス膜322と低音響インピーダンス膜321の多層膜が反射器304の溝中に充填された構造を形成する。
次に、膜厚200nmとなるようAl電極材料膜を形成し、前記したリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより図44に示すように反射器304を覆うように下部電極303を形成する。この実施の形態においては、図44に示すように下部電極303は3本形成される。続いて、図45に示すように、下部電極303を覆うように圧電体材料として膜厚1475nmのAlN膜を形成し、前記したリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて上記圧電体材料の膜をパターニングすることにより圧電体膜307を形成する。
次に、直列に接続される薄膜圧電共振素子と並列に接続される薄膜圧電共振素子とで共振周波数を異ならせる目的で、図46に示すように3本の下部電極303の一端上に前記したMo負荷電極315を形成する。その後、基板301の全面に前記したAl電極材料膜を形成し、リソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、図47に示すように上部電極308を形成する。これにより、下部電極303と上部電極308との間に圧電体膜307が挟まれた9個の薄膜圧電共振素子FR301〜FR309が形成される。図47において、薄膜圧電共振素子FR301〜FR309は四角で囲む領域に対応する部分である。上部電極308は7個形成され、7個の内の一つの上部電極は薄膜圧電共振素子FR302と薄膜圧電共振素子FR303とを接続する配線を兼ねており、他の一つの上部電極308は薄膜圧電共振素子FR304と薄膜圧電共振素子FR305と接続する配線を兼ねている。
次に、基板301の全面に電極材料膜を形成し、リソグラフィ技術を用いて上記電極材料膜をパターニングすることにより、図48、図49に示すように薄膜圧電共振素子FR301、FR306、FR307、FR308、FR309の上部電極308にそれぞれ接続する5個の配線電極310を圧電体膜307の側部に形成する。これらの配線電極310は圧電体膜307の側部だけでなく熱酸化膜302上にも延在している。なお、図48はこの実施の形態による薄膜圧電共振装置の一製造工程における平面図であり、図49は、図48に示す切断線A−A′で切断したときの断面図である。その後、シリコン基板301の裏面を研磨し、シリコン基板301の厚さを50μm〜200μmにする。
次以降の工程は金属膜312を形成し、上部空洞311′を形成するまでは第3の実施の形態と同じような工程を用いて行う。
この第4の実施の形態に基づく実施例4では、連絡空洞313に前記した図21の構造を使用し、L/aは55とした。
なお、この第4の実施の形態においては、金属膜312の外側は図26に示した第1の実施の形態の場合と同様にモールド樹脂によって封止される構成となる。この場合、ポリイミド系モールド樹脂を使用し、配線電極310上は前記したリソグラフィによって表面が配線電極金属となるよう加工する。モールド樹脂のキュア条件は300℃、1時間、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。
以上説明したように、この第4の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR301〜FR309が凸状の金属膜312で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR301〜FR309が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜312と薄膜圧電共振素子FR301〜FR309との間には上部空洞311′が形成され、薄膜圧電共振素子FR301〜FR309およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第5の実施の形態)次に、本発明の第5の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図50、図51を参照して説明する。図50、図51は、第5の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第1の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞413の構造以外は第1の実施の形態と同じような工程を用いて行う。連絡空洞413には、図20の構造を採用している。なお、この実施の形態においては、第3の実施の形態と同様に、上部空洞411′はモールド樹脂によって封止される構成となる。またこの実施の形態では、第1の実施の形態と対応する構成要素に400台の符号を付して区別している。ここでは連絡空洞413の製造方法について詳述する。基板表面にレジストを膜厚5μmとなるよう塗布し、図19にてb1構造のレジスト膜を前記したリソグラフィ法により形成する。次にこの基板を140℃、3分間、ホットプレート上にてベーキングする。次に、基板表面にレジストを膜厚5μmとなるよう塗布し、図19にてb2構造のレジスト膜を前記したリソグラフィ法により形成する。
この実施の形態に基づく実施例5では、L/aは13、凹部の断面積に占める割合は95%にした。
以上説明したように、この第5の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR401〜FR409が凸状の金属膜412で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR401〜FR409が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜412と薄膜圧電共振素子FR401〜FR409との間には、上部空洞411′が形成され、薄膜圧電共振素子FR401〜FR409およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第6の実施の形態)次に、本発明の第6の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図52、図53を参照して説明する。図52、図53は、第6の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第3の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞513の構造以外は第3の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図52、図53において、第3の実施の形態と区別すべく構成要素には500番台の符号を付して示している。そして第3の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR501〜FR509が形成されている。連絡空洞513は、図21に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第5の実施の形態と同様に、上部空洞511′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第6の実施の形態に基づく実施例6では図21に示した構造を使用し、L/aは5であった。
以上説明したように、この第6の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜512で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR501〜FR509が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜512と薄膜圧電共振素子FR501〜FR509との間には、上部空洞511′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第7の実施の形態)次に、本発明の第7の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図54、図55を参照して説明する。図54、図55は、第7の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第3の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞613の構造以外は第3の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図54、図55において、第3の実施の形態と区別すべく構成要素には600番台の符号を付して示している。そして第3の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR601〜FR609が形成されている。連絡空洞613は、図19に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第5の実施の形態と同様に、上部空洞611′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第7の実施の形態に基づく実施例7では、連絡空洞613には図19に示した構造を使用し、L/aは8、凸部の断面積に占める割合は30%であった。
以上説明したように、この第7の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR601〜FR609が凸状の金属膜612で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR601〜FR609が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜612と薄膜圧電共振素子FR601〜FR609との間には上部空洞611′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第8の実施の形態)次に、本発明の第8の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図56、図57を参照して説明する。図56、図57は、第8の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第5の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞713の構造以外は第5の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図56、図57において、第5の実施の形態と区別すべく構成要素には700番台の符号を付して示している。そして第5の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR701〜FR709が形成されている。連絡空洞713は、図21に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、上部空洞711′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第8の実施の形態に基づく実施例8では、連絡空洞713に図21に示した構造を使用し、L/aは150であった。
以上説明したように、この第8の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子が凸状の金属膜712で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR701〜FR709が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜712と薄膜圧電共振素子FR701〜FR709との間には上部空洞711′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第9の実施の形態)次に、本発明の第9の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図58、図59を参照して説明する。図58、図59は、第9の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第4の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞813の構造以外は第4の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図58、図59において、第4の実施の形態と区別すべく構成要素には800番台の符号を付して示している。そして第4の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR801〜FR809が形成されている。連絡空洞813は、図19に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、上部空洞811′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第9の実施の形態に基づく実施例9では、連絡空洞813に図19の構造を使用し、L/aは100、凸部の断面積に占める割合は45%であった。
以上説明したように、この第9の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR801〜FR809が凸状の金属膜812で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR801〜FR809が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜812と薄膜圧電共振素子FR801〜FR809との間には上部空洞811′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第10の実施の形態)次に、本発明の第10の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図60、図61を参照して説明する。図60、図61は、第10の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第4の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞913の構造以外は第4の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図60、図61において、第4の実施の形態と区別すべく構成要素には900番台の符号を付して示している。そして第4の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR901〜FR909が形成されている。連絡空洞913は、図20に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、上部空洞911′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第10の実施の形態に基づく実施例10では、連絡空洞913に図20構造を使用し、L/aは125、凹部の断面積に占める割合は60%であった。
以上説明したように、この第10の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR901〜FR909が凸状の金属膜912で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR901〜FR909が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜912と薄膜圧電共振素子FR901〜FR90との間には上部空洞911′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第11の実施の形態)次に、本発明の第11の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図62、図63を参照して説明する。図62、図63は、第11の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第5の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞1013の構造以外は第5の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図62、図63において、第5の実施の形態と区別すべく構成要素には1000番台の符号を付して示している。そして第5の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR1001〜FR1009が形成されている。連絡空洞1013は、図19に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第5の実施の形態と同様に、上部空洞1011′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第11の実施の形態に基づく実施例11では、連絡空洞1013に図19の構造を使用し、L/aは200であった。
以上説明したように、この第11の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR1001〜Fr1009が凸状の金属膜1012で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR1001〜FR1009が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜1012と薄膜圧電共振素子FR1001〜FR1009との間には、上部空洞1011′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
(第12の実施の形態)次に、本発明の第12の実施の形態による薄膜圧電共振装置を、図64、図65を参照して説明する。図64、図65は、第12の実施の形態による薄膜圧電共振装置の製造工程図である。この実施の形態による薄膜圧電共振装置は、第5の実施の形態の薄膜圧電共振装置と同様に形成しており、連絡空洞1113の構造以外は第5の実施の形態と同じような工程を用いて行う。ただし、図64、図65において、第5の実施の形態と区別すべく構成要素には1100番台の符号を付して示している。そして第5の実施の形態と同様の配置で薄膜圧電共振素子FR1101〜FR1109が形成されている。連絡空洞1113は、図21に示した構造をなしている。なお、この実施の形態においては、第5の実施の形態と同様に、上部空洞1111′はモールド樹脂によって封止される構成となる。
この第12の実施の形態に基づく実施例12では、連絡空洞1113に図21の構造を使用し、L/aは3であった。
以上説明したように、この第12の実施の形態によれば、薄膜圧電共振素子FR1101〜FR1109が凸状の金属膜1112で覆われた構成となるため、封止の際の樹脂モールドを行っても、薄膜圧電共振素子FR1101〜FR1109が実装されている空洞内部への未硬化の封止樹脂侵入を十分阻止することが可能であり、凸状の金属膜1112と薄膜圧電共振素子FR1101〜FR1109との間には上部空洞1111′が形成され、薄膜圧電共振素子およびこれらから構成されるフィルタモジュールなど高周波特性が低下するのを防止することができ、さらにパッケージ化しても従来のセラミックパッケージで覆う場合に比べて遙かにサイズ(高さ)を小さくすることができる。
また、上記第1〜第12の実施の形態においては、9個の薄膜圧電共振素子FRを有する3.5段のRFフィルタを例にとって説明したが、本発明による薄膜圧電共振装置はこれに限られるものではない。例えば、図66に示すように、薄膜圧電共振素子51、負荷容量52、バリキャップ53、帰還抵抗54、ダンピング抵抗55および増幅器56を組み合わせることによって、移動体通信機の電圧制御発振器50として利用することができる。
また、上記第1〜第12の実施の形態においては、凸状の金属膜x12は、Ti/Auからなる積層膜、Ti/Ni−B/Auからなる積層膜、またはTi/Pd/Auからなる積層膜のいずれかとすることができ、またTi/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ta/Auからなる積層膜、Ti/Mo/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Auからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Auからなる積層膜、Ti/Ni/Snからなる積層膜、Cr/Cu/Auからなる積層膜、Al/Niからなる積層膜、Ti/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Ta/Au/Taからなる積層膜、Ti/Pd/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Mo/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Au/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Cu/Ni/Au/Tiからなる積層膜、Al/Ni/Tiからなる積層膜、Ti/Pd/Niからなる積層膜、またはAl/Ni/Cu/AuTiからなる積層膜のいずれかであってもよい。これにより様々な雰囲気での使用に耐えることが可能となる。