JP2006009949A - 低温液化ガス貯蔵タンク - Google Patents

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祥二 神谷
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Abstract

【課題】 真空層にリークが発生した場合にも適切な断熱性能を発揮できる低温液化ガス貯蔵タンクであって、真空排気特性が低下しないなど通常状態での機能についても好ましいものを提供する。
【解決手段】 低温液化ガス貯蔵タンク1は、内槽2と外槽3との間に真空層4を有している。真空層4のうち内槽2の外面上に積層真空断熱材11(輻射シールド板とスペーサとが高真空状態にて交互に積層されてなる断熱材)を設け、その外側に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材12(グラスウールなど)を設けた。
【選択図】 図1

Description

請求項に係る発明は、液体水素や液体ヘリウム、液化天然ガス(LNG)、液体酸素、液体窒素など、低温液化ガスを貯蔵するタンクに関するものである。
液体水素(沸点は20K)や液化天然ガス(沸点は111K)のような低温の液化ガスを低温に保ちながら貯蔵するタンクとしては、一般に真空断熱構造のものが使用される。真空層にはきわめて高い断熱効果があるため、内槽と外槽との二重殻によってタンクを形成したうえ、その二重殻の間を高真空(10-4Torrレベル以下)にして断熱層(真空断熱層)とするのである。二重殻間に粉末パーライト等の断熱材を充填する場合に比べると、断熱層に必要な厚さが少なくて足りるので、貯蔵タンクを小型・軽量にする点でも都合がよい。
しかし、そのような真空断熱構造のタンクでは、経年劣化等により外槽でリークが発生して上記二重殻間の真空度が低下した場合に、タンクの断熱機能が維持できなくなることが多い。その場合、真空層による断熱性能は急激に低下し、液化ガスの温度が上昇して蒸発が激しくなる。
下記の特許文献1には、そのような点を考慮して構成した低温液化ガス用のタンクが記載されている。内槽と外槽との間に真空断熱層を形成するだけでなく、外槽の内面に、リーク対策用の断熱材としてポリウレタンフォームなどの発泡性断熱材を設けるというものである。通常は真空断熱層が高い断熱効果を発揮するが、外槽の一部に亀裂が生じて真空層の真空度が破壊された場合には、発泡性断熱材からなるリーク対策用断熱層による固体断熱効果で液化ガスの温度上昇を防ぐ、とされている。
特開平10−141595号公報
上記の特許文献1に記載されたタンクは概念的には申し分ないが、内槽・外槽間に発泡性断熱材を配置するため、その部分を真空層にすることがきわめて困難である。つまり、ポリウレタンフォームなどの発泡性断熱材は、直径0.5mm程度の無数の気泡の中にフロン等のガスを含み、真空ポンプ等で長時間排気をしても気泡からそのガスが放出されるために、内槽・外槽間を必要な高真空状態にすることが難しい。そうすると、リーク対策用として設けた断熱層が、リークが発生していない通常状態でのタンクの断熱作用を実質上妨げることにもなりかねない。
請求項に係る発明の目的は、リークが発生した場合にも適切な断熱性能を発揮できる低温液化ガス貯蔵タンクであって、真空排気特性が低下しないなど通常状態での機能についても好ましいものを提供することである。
請求項1に記載した低温液化ガス貯蔵タンクは、内槽と外槽との間に真空層を有する低温液化ガス貯蔵タンク(たとえば111K以下の液化ガスを貯蔵するもの)であって、
a) 上記の真空層のうち内槽の外面上に積層真空断熱材(すなわち、アルミニウム等の金属膜を有する輻射シールド板と、輻射シールド板同士を隔離する熱的絶縁体であるスペーサとが高真空状態にて交互に積層されてなる断熱材)を設け、
b) その外側(積層真空断熱材の外側つまり高温側をさす)に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材(すなわちガラス繊維または高分子樹脂繊維等を綿状に集めてなる断熱材。グラスウールなど)を設けたこと
を特徴とする。図1に示すタンク1はこの請求項の貯蔵タンクの一例である。
こうした貯蔵タンクでは、真空層である内槽・外槽間が高真空(10-4Torrレベル以下)に保たれている場合、主として積層真空断熱材が断熱性能を発揮し、液化ガスを適切に貯蔵できる。すなわち積層真空断熱材においては、高真空であるためにガスによる熱伝導がないうえ、熱輻射に関しては輻射シールド板が輻射を遮断するので、外部からの入熱を効果的に低減する。また、上記の繊維質断熱材は、熱輻射に加え、繊維を介しての熱伝導があるために、積層真空断熱材ほどの断熱効果は発揮されないが、発泡性断熱材とは異なり、内部の空気を抜いて真空にできるため、優れた断熱性能を発揮しうる。
一方、何らかの理由により外槽で大気のリークが発生して真空層が低真空(10-3Torr以上)ないし大気圧になった場合には、主として繊維質断熱材が断熱性能を発揮する。積層真空断熱材は、輻射シールド板の固体熱伝導等が急激に大きくなるのに対し、繊維質断熱材は、空気が流入しても、空気の熱伝導が加わることによる繊維質断熱材としての伝熱量はそれほど増加しないからである。そのため、この低温液化ガス貯蔵タンクによれば、何らかの理由によって真空層の真空度が低下した(または大気圧になった)場合にも、断熱性能が極端には低下することがない。
この貯蔵タンクでは、積層真空断熱材と繊維質断熱材とを含む複合断熱材を真空層内に設けたことになるが、いずれの断熱材も真空排気特性の点で良好である。つまり、積層真空断熱材も繊維質断熱材も、発泡性断熱材等とは違ってガスを含む気泡等を有してはおらず、したがって放出ガスが少ない高真空環境に適する断熱材である。そのため、真空ポンプ等によって比較的短時間で高真空状態を実現することが可能である。
また、繊維質断熱材は変形容易であるうえに軽量であるため、積層真空断熱材の外側に接触させて取り付けてもその積層真空断熱材を圧迫するおそれが少ない。積層真空断熱材を圧迫することがなければ、輻射シールド板同士を直接接触させて断熱性能を低下させることがなく、好ましい。なお、とくにガラス繊維からなる繊維質断熱材は、不燃性が高い点でも有利である。
請求項2に記載した低温液化ガス貯蔵タンクは、上記の繊維質断熱材として、繊維の直径が1μm以下であるもの(いわゆるマイクログラスウールなど)を採用したこを特徴とする。
こうした貯蔵タンクでは、積層真空断熱材の外側への繊維質断熱材の取り付けを適切かつ容易に行うことができるとともに、断熱性能に関してすぐれている。繊維質断熱材の取り付けを行いやすいのは、繊維径が1μm以下と細いことに基づき、当該断熱材が軽量であるうえ柔軟性に富むからである。軽量であって柔軟性に富むために、積層真空断熱材を過剰に圧迫したり変形させたりすることなく、入り組んだ部分への取り付けを含めて積層真空断熱材の外側に簡単に施工できるからである。また、断熱性能にすぐれるのは、繊維質断熱材について、
i) 同密度であれば繊維径が細いほど、繊維同士の熱接触抵抗が増加するために熱伝導率が小さくなること、
ii) やはり繊維径が細いほど輻射の透過が少なくなるので、高真空での断熱効果が大きいこと、さらには、
iii) 空気の間隙が小さくなって空気分子の平均自由行程長に近くなるため、ガス伝導入熱が小さくなるため、断熱材の大気圧ないし低真空下における熱伝導が小さくなること(つまり、繊維径が細くなるとその間の空気の間隙も同程度に小さくなる。間隙が繊維径とともに1μm程度以下になると、大気圧またはそれに近い低真空での空気分子の平均自由行程長(10Torrでは5μm、100Torrでは0.5μm、760Torrでは0.06μm)と大差のないレベルになる。各繊維の表面間での温度差は微小なので、これによりガス伝導入熱が小さくなり、低真空ないし大気圧での繊維質断熱材の熱伝導率が抑えられるのである)---- による。
特にiii)は、外槽で大気のリークが発生して真空層が低真空ないし大気圧になった場合に大きな効果を発揮する。
請求項3に記載の低温液化ガス貯蔵タンクはさらに、上記の繊維質断熱材の外側を赤外線反射シート(アルミシートなど)で覆ったことを特徴とする。
これにより、真空状態における輻射伝熱を低減することができる、繊維質断熱材は、輻射が透過しやすいからである。しかし、この請求項の貯蔵タンクのように繊維質断熱材の外側を赤外線反射シートによって覆うなら、そのシートが輻射を遮断して外部入熱を制限するので、真空層が高真空状態にあるときを中心に、断熱性能を向上させることが可能になる。
請求項4に記載の低温液化ガス貯蔵タンクはとくに、上記の繊維質断熱材の繊維中に赤外線吸収材(たとえばカーボンブラック)または赤外線散乱材(たとえば金属酸化物やシリカ(SiO2))を含めたことを特徴とする。
このようにすれば、繊維質断熱材の各繊維を介しての輻射が制限され、真空層が高真空状態にあるとき等の断熱性能を向上させることができる。
上記各請求項の低温液化ガス貯蔵タンクについては、とくに、外槽の内面と接する部分に真空域(断熱材などの物がない領域)を設けるのもよい。
そのようにした場合は、内槽の外側に上記の積層真空断熱材と繊維質断熱材とを取り付けたうえ、それらの外側に外槽をかぶせるという組立作業を行いやすい。
もし仮に、外槽の内面に断熱材など何らかの物を設けるとすれば、例えばその物を取り付けるための部品(スタッドボルト等)を外槽の内側に固定しなければならない。また、内槽と外槽との間(真空層)に上記のような真空域を一切設けないとすれば、断熱材など内槽・外槽間に設ける物を正確な厚さに施工したうえ、それらの外側にうまく外槽をかぶせないと、外槽と繊維質断熱材とが接触するほか、外槽により積層真空断熱材を圧迫してその断熱性能を低下させてしまう恐れがある。
その点、上記したように外槽の内面と接する部分に真空域を設けるなら、
i) 断熱材等は内槽の外側に容易に取り付けることができる。内槽の外側に取り付ける場合には、断熱材を適切に巻き付けるなどしてスタッドボルト等の使用を省略することが可能なので、外槽の内面に取り付ける場合よりも施工が容易なのである。
ii) 内槽および断熱材等の外側に外槽をかぶせる作業(組立作業)を行いやすい。外槽の内面に真空域としてのスペースをとっているために、断熱材と外槽との接触が避けられやすいからである。外槽が繊維質断熱材と接触すると、繊維質断熱材の接触による入熱の増大があるほか、繊維質断熱材を介して積層真空断熱材が圧迫され、輻射シールド板同士を直接接触させて断熱性能を低下させる恐れがあるが、そうした事態が回避されやすいわけである。
請求項5に記載の低温液化ガス貯蔵タンクはとくに、上記の繊維質断熱材の外側に、伸縮性のあるネット(ポリエステルネットなど)をかぶせたことを特徴とする。
このようにすれば、積層真空断熱材と繊維質断熱材とを内槽の外側に簡単かつ安定的に取り付けることができる。上記のネットにより、両断熱材を全周において包み、しかもその伸縮性に基づく適切な緊縮力で断熱材を内槽の外側表面に保持させることができるからである。とくに、タンクが円筒形または球形である場合には、ネットの緊縮力が断熱材に対して全周的に均等に作用するので好ましい。
請求項6に記載の低温液化ガス貯蔵タンクは、とくに、内槽内に低温液化ガスを貯蔵していて内槽・外槽間が低真空ないし大気圧になった(つまり真空層に大気が流入した)状態で上記の繊維質断熱材の外側温度が80K以上になるように、上記した積層真空断熱材および繊維質断熱材を設けた(つまり各断熱材の材質や厚さ等を定めた)ことを特徴とする。
この請求項の貯蔵タンクによれば、外槽で大気のリークが発生して真空層に大気が流入した場合にも、真空層内に液体空気(液体酸素を含む)が発生する恐れがない。液体空気の沸点は約80Kであるが、このタンクでは、流入する空気(大気)の最も内側にあたる部分においても沸点以上の温度になり、空気の凝縮が起きないからである。液体水素などの可燃ガスをタンク内に貯蔵する場合、酸素を含む空気が内槽・外槽間に液体となって多量に蓄積することを外槽でのリークの発生時にも回避できることは、安全上、きわめて大きな意義がある。
請求項1に係る低温液化ガス貯蔵タンクによれば、真空層が高真空に保たれている場合にすぐれた断熱性能を発揮するほか、外槽にリークが発生して真空層が低真空ないし大気圧になった場合にも、断熱性能の急激な低下が発生しない。また、真空層内に設けるいずれの断熱材も、互いに他の断熱材の機能を損なう恐れが少ないうえ、真空排気特性の点でも良好である。
請求項2の低温液化ガス貯蔵タンクでは、積層真空断熱材の外側への繊維質断熱材の取り付けを適切かつ容易に行うことができるとともに、断熱性能に関して有利である。
請求項3および4に係る低温液化ガス貯蔵タンクによれば、断熱性能をさらに向上させることができる。
上記の各貯蔵タンクにおいて、外槽の内面と接する部分に真空域を設けるとすれば、内槽の外側に上記の積層真空断熱材と繊維質断熱材とを取り付けたうえ、それらの外側に外槽をかぶせるという組立作業を行いやすい。
請求項5の貯蔵タンクなら、積層真空断熱材と繊維質断熱材とを内槽の外側に簡単に、かつ安定的に取り付けることができる。
請求項6の貯蔵タンクでは、真空層内に大気が流入した場合にも真空層内に液体空気の発生する恐れがないので、安全上好ましい。
発明の実施の形態について図1〜図6を示す。図1は、低温液化ガス貯蔵タンク1の構成を示す図で、図1(a)はタンク1の縦断面図、同(b)は内槽2に断熱材11・12等を取り付けるための施工要領図、同(c)は同(b)におけるc−c断面図である。図2および図3はタンク1に使用する断熱材の断熱性能を示す図であって、図2は、積層真空断熱材11(層数は100)の温度分布を示し、図3は、積層真空断熱材11と繊維質断熱材(マイクログラスウール)12について真空度(横軸)による相当平均熱伝導率(縦軸)の変化を示す。図4〜図6はタンク1における真空層4内の温度分布(計算値)を示す図で、図4は高真空状態でのもの、図5は大気圧状態でのもの、また図6は、仮に積層真空断熱材11のみを施工して繊維質断熱材12を施工しなかった場合の高真空・大気圧状態での各温度分布を示すものである。
図1に示す低温液化ガス貯蔵タンク1は、内槽2と外槽3との二重殻によって容器を形成し、その二重殻の間を真空層4とするいわゆる真空断熱構造のもので、液体水素x等を約15m3貯蔵できるように構成している。図示の例は水平方向に軸心をもつ円筒形状のもので、長手方向に沿った複数個所に、外槽3から内槽2を支えるサドル5が取り付けられている。真空層4の厚さ(内槽2の外面から外槽3の内面まで)は約100mmである。図示は省略したが、真空層4には内槽2への液充填用配管と、真空層4の排気をなすための配管系が設けられ、排気配管系の先に真空ポンプ等が接続されている。
このタンク1では、真空層4による断熱性能を高める目的で、真空層4のうち内槽2の外面に接する部分に積層真空断熱材11を取り付けている。積層真空断熱材11は、図1(a)の引出し図に示すように、アルミニウム皮膜を含む輻射シールド板11aと、熱的絶縁体であるスペーサ11bとを交互に積層したものである。輻射シールド板11aは、合成樹脂シートの表面にアルミニウム(金または銀であってもよい)の皮膜を蒸着したものであり、スペーサ11bは、熱伝導率の小さいポリエステルのネット(ポリエステル等の不織布や紙、ガラス繊維等であってもよい)でできたシートである。このタンク1においては、これらを内槽2の外面上に積層させて巻き付けている。
使用した積層真空断熱材11は、真空中にて100層を積層したうえ低温端温度を20K、高温端温度を290Kにするとき、理想的には図2のような温度分布を示す。図示の温度分布は、輻射シールド板11aのうちi番目のものの温度Tiについての、
Ti={Tc4+(Th4−Tc4)i/(n+1)}0.25
という一般式から導かれる。なお、Tc=20K、Th=290K、i:輻射シールド板のi番目、n=輻射シールド板の総層数100 である。
図2では、輻射断熱の特徴として、低温側の断熱効果が強く、高温側に比べて低温側の温度勾配がかなり大きいことが分かる。
図1のタンク1では、積層真空断熱材11の外側(高温側)に繊維質断熱材12を取り付けている。繊維質断熱材12は、マイクログラスウール(微細ガラス繊維断熱材)と呼ばれる、繊維の直径が1μmを下回るガラス繊維からなる断熱材で、ガラスを高温で融解し繊維化したうえで綿状に集合させたものである。細かい繊維により空気を静止させて熱移動を防止する作用がある。繊維径が4〜7μm程度の通常のグラスウール(繊維ガラス断熱材)を使用してもよいが、一般に密度が同じであれば繊維径が小さいほど熱伝導率が小さくて有利であるほか、マイクログラスウールの方が低密度(たとえば16kg/m3程度)で柔軟性が高いため施工上の差異があることも考慮すべきである。
積層真空断熱材11と繊維質断熱材12とからなる複合断熱材を使用するのは、タンク1の真空層4(内槽2と外槽3との間)がつねに十分な高真空に保たれるとは限らないことを考慮したものである。つまり図3のように、積層真空断熱材11は、10-4Torrレベルの高真空では相当平均熱伝導率が十分に小さくて、高い断熱性能を発揮するが、もし10-3Torr以上に真空度が低下して大気圧(760Torr)に近くなった場合には断熱性能が極端に低下する。そこで、真空度(圧力)の変化にともなう断熱性能の変化が小さい繊維質断熱材12(マイクログラスウール)を併用することとしたのである。マイクログラスウールであれば、同じ図3に併記したように、真空度が低下した場合にも断熱性能の低下する度合いが小さい。そのため、大気圧に近いレベルでは、繊維質断熱材12(マイクログラスウール)が真空層4におけるむしろ中心的な断熱作用をなすことになる。
かかる繊維質断熱材12を積層真空断熱材11の外側(高温側)に配置したのは、前記したように(図2参照)、積層真空断熱材11の断熱効果は低温側において強いからである。つまり、高温側では積層真空断熱材11の断熱効果が小さいため、繊維質断熱材12を高温側に重ねても積層真空断熱材11による断熱効果が阻害されないのである。
内槽2の外面上への上記の断熱材11・12の取り付けは、図1(b)・(c)の要領で行っている。すなわち、まず内槽2の外面に積層真空断熱材11を40層、厚さにして約10mmだけ積層させて巻き付ける。さらにその外側に、繊維質断熱材12を厚さ約20mmにわたって巻き付ける。内側の積層真空断熱材11は、厚さ方向に圧縮力を受けると輻射シールド板11a同士が接触して断熱性能が低下するため、繊維質断熱材12の巻き付けにあたっては、積層真空断熱材11を圧迫することがないよう注意を払う。
上記にしたがって断熱材11・12を巻き付けたのちは、伸縮性に富んだネット(ポリエステルネット等)13をかぶせて繊維質断熱材12の外側を覆う。ネット13によって断熱材11・12に均一かつ適度な(輻射シールド板11a同士を接触させない程度の)圧縮力を加え、加速度・衝撃等の外乱を受ける際にも断熱材11・12が脱落することを防止するのである。
こうして断熱材11・12およびネット13を巻き付けた内槽2の外側に、図1(a)のように外槽3をかぶせる(分割されたものを溶接等することによって一体の外槽3にする)こと等によって低温液化ガス貯蔵タンク1を完成する。前述のように真空層4の厚さが100mmであるのに対して断熱材11・12はそれぞれ約10mm・約20mmだけ施工するので、断熱材12と外槽3との間には約70mmの隙間(断熱材等が設けられないで真空域14となる部分)ができることになる。そのため、外槽3を組み立てるときには、外槽3と断熱材11・12との接触により断熱材の断熱性能を低下させてしまう心配が少ない。
図1のタンク1において、真空層4を高真空(10-4Torr程度)に保って内槽2内に液体水素xを貯蔵する場合の断熱材11・12の温度分布を図4に示す。ここでは、内槽2の温度が20K、外槽3の温度が300Kであるとし、積層真空断熱材11の相当熱伝導率(輻射による伝熱分も置換して熱伝導ベースで表すもの。他も同様)を3×10-5W/(m・K)、繊維質断熱材12の相当熱伝導率を2×10-3W/(m・K)、繊維質断熱材12の表面外での熱伝達率をゼロ(高真空のため)として計算している。なお、タンク1の壁面を貫く熱流束は、内槽2・外槽3間の温度差と熱通過率とから 0.84W/m2と導かれる。
高真空の領域においては、繊維質断熱材12の相当熱伝導率は積層真空断熱材11に比較して相当に大きいことから、温度分布は図4のように、繊維質断熱材12において小さく積層真空断熱材11において大きくなる。
液体水素xを貯蔵したまま真空層4の真空度が低下して大気圧になった場合の、断熱材11・12の温度分布を図5に示す。この場合、積層真空断熱材11の相当熱伝導率を5×10-1W/(m・K)、繊維質断熱材12の相当熱伝導率を5×10-2W/(m・K)、繊維質断熱材12の表面外での熱伝達率を5W/(m2・K)として計算した。タンク1の壁面の熱流束は450W/m2である。
真空層4が大気圧になった状態では、積層真空断熱材11の熱伝導率が高くなるため、繊維質断熱材12において厚さ方向に温度分布が大きくなる。熱流束が増すので、タンク1内の液体水素xの蒸発がやや激しくなる。しかし、真空層4内に入る大気と接触する繊維質断熱材12の外側表面では、温度が約210Kであって空気の沸点(約80K)よりもはるかに高いため、真空層4内の空気が凝縮して液体空気として多量に溜まることがない。
つぎに、図1のタンク1とは別に、真空層4における内槽2の外側に40層(厚さ10mm)の積層真空断熱材11のみを巻き付け、繊維質断熱材12を施工していない低温液化ガス貯蔵タンクを想定し、その温度分布(真空層4が高真空の場合と大気圧になった場合との双方)を予測する。内槽2および外槽3の温度は、タンク1と同じくそれぞれ20K、300Kとする。積層真空断熱材11の相当熱伝導率は高真空時・大気圧時ともそれぞれ上記(タンク1)と同じとし、その表面外での熱伝達率は5W/(m2・K)とする。
積層真空断熱材11のみを施工したタンクについては、図6のとおり、真空層4が高真空である場合には十分な断熱性能が発揮されるものの、真空度が劣化して大気圧になった場合には、積層真空断熱材11に約25Kの温度差しかもたせることができない。大気圧時の壁面の熱流束は 1260W/m2と大きくなり、タンク内の液体水素の蒸発がかなり激しくなる。また、その場合、真空層4内に入る大気と接する積層真空断熱材11の外側表面の温度が図6のとおり約45Kとなるため、空気が凝縮し、液体空気として真空層4内に溜まるという、好ましくない状態にもなる。
発明の実施形態としての低温液化ガス貯蔵タンク1を示す図であって、図1(a)はタンク1の縦断面図、同(b)は内槽2に断熱材11・12等を取り付けるための施工要領図、同(c)は同(b)におけるc−c断面図である。 タンク1に使用する積層真空断熱材11について、100層を使用する場合の温度分布を示す線図である。 積層真空断熱材11と繊維質断熱材(マイクログラスウール)12について真空度(横軸)による相当平均熱伝導率(縦軸)の変化を示す線図である。 タンク1の真空層4が高真空に保たれる場合の、その真空層4内の温度分布を示す線図である。 タンク1の真空層4が大気圧になった場合の、その真空層4内の温度分布を示す線図である。 積層真空断熱材11のみを施工して繊維質断熱材12を施工しなかった仮想のタンクについて、真空層が高真空・大気圧状態での各温度分布を示す線図である。
符号の説明
1 低温液化ガス貯蔵タンク
2 内槽
3 外槽
4 真空層
11 積層真空断熱材
12 繊維質断熱材(マイクログラスウール)
13 ネット
14 真空域
x 液体水素

Claims (6)

  1. 内槽と外槽との間に真空層を有する低温液化ガス貯蔵タンクであって、
    上記の真空層のうち内槽の外面上に積層真空断熱材を有し、その外側に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材を有することを特徴とする低温液化ガス貯蔵タンク。
  2. 上記の繊維質断熱材における繊維の直径が1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
  3. 上記の繊維質断熱材の外側が赤外線反射シートで覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
  4. 上記の繊維質断熱材の繊維中に赤外線吸収材または赤外線散乱材が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
  5. 上記の繊維質断熱材の外側に、伸縮性のあるネットがかぶせられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
  6. 内槽内に低温液化ガスを貯蔵していて内槽・外槽間が低真空ないし大気圧になった状態で上記の繊維質断熱材の外側温度が80K以上になるように、上記した積層真空断熱材および繊維質断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
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