JP2006009949A - 低温液化ガス貯蔵タンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 低温液化ガス貯蔵タンク1は、内槽2と外槽3との間に真空層4を有している。真空層4のうち内槽2の外面上に積層真空断熱材11(輻射シールド板とスペーサとが高真空状態にて交互に積層されてなる断熱材)を設け、その外側に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材12(グラスウールなど)を設けた。
【選択図】 図1
Description
a) 上記の真空層のうち内槽の外面上に積層真空断熱材(すなわち、アルミニウム等の金属膜を有する輻射シールド板と、輻射シールド板同士を隔離する熱的絶縁体であるスペーサとが高真空状態にて交互に積層されてなる断熱材)を設け、
b) その外側(積層真空断熱材の外側つまり高温側をさす)に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材(すなわちガラス繊維または高分子樹脂繊維等を綿状に集めてなる断熱材。グラスウールなど)を設けたこと
を特徴とする。図1に示すタンク1はこの請求項の貯蔵タンクの一例である。
i) 同密度であれば繊維径が細いほど、繊維同士の熱接触抵抗が増加するために熱伝導率が小さくなること、
ii) やはり繊維径が細いほど輻射の透過が少なくなるので、高真空での断熱効果が大きいこと、さらには、
iii) 空気の間隙が小さくなって空気分子の平均自由行程長に近くなるため、ガス伝導入熱が小さくなるため、断熱材の大気圧ないし低真空下における熱伝導が小さくなること(つまり、繊維径が細くなるとその間の空気の間隙も同程度に小さくなる。間隙が繊維径とともに1μm程度以下になると、大気圧またはそれに近い低真空での空気分子の平均自由行程長(10Torrでは5μm、100Torrでは0.5μm、760Torrでは0.06μm)と大差のないレベルになる。各繊維の表面間での温度差は微小なので、これによりガス伝導入熱が小さくなり、低真空ないし大気圧での繊維質断熱材の熱伝導率が抑えられるのである)---- による。
特にiii)は、外槽で大気のリークが発生して真空層が低真空ないし大気圧になった場合に大きな効果を発揮する。
これにより、真空状態における輻射伝熱を低減することができる、繊維質断熱材は、輻射が透過しやすいからである。しかし、この請求項の貯蔵タンクのように繊維質断熱材の外側を赤外線反射シートによって覆うなら、そのシートが輻射を遮断して外部入熱を制限するので、真空層が高真空状態にあるときを中心に、断熱性能を向上させることが可能になる。
このようにすれば、繊維質断熱材の各繊維を介しての輻射が制限され、真空層が高真空状態にあるとき等の断熱性能を向上させることができる。
もし仮に、外槽の内面に断熱材など何らかの物を設けるとすれば、例えばその物を取り付けるための部品(スタッドボルト等)を外槽の内側に固定しなければならない。また、内槽と外槽との間(真空層)に上記のような真空域を一切設けないとすれば、断熱材など内槽・外槽間に設ける物を正確な厚さに施工したうえ、それらの外側にうまく外槽をかぶせないと、外槽と繊維質断熱材とが接触するほか、外槽により積層真空断熱材を圧迫してその断熱性能を低下させてしまう恐れがある。
その点、上記したように外槽の内面と接する部分に真空域を設けるなら、
i) 断熱材等は内槽の外側に容易に取り付けることができる。内槽の外側に取り付ける場合には、断熱材を適切に巻き付けるなどしてスタッドボルト等の使用を省略することが可能なので、外槽の内面に取り付ける場合よりも施工が容易なのである。
ii) 内槽および断熱材等の外側に外槽をかぶせる作業(組立作業)を行いやすい。外槽の内面に真空域としてのスペースをとっているために、断熱材と外槽との接触が避けられやすいからである。外槽が繊維質断熱材と接触すると、繊維質断熱材の接触による入熱の増大があるほか、繊維質断熱材を介して積層真空断熱材が圧迫され、輻射シールド板同士を直接接触させて断熱性能を低下させる恐れがあるが、そうした事態が回避されやすいわけである。
このようにすれば、積層真空断熱材と繊維質断熱材とを内槽の外側に簡単かつ安定的に取り付けることができる。上記のネットにより、両断熱材を全周において包み、しかもその伸縮性に基づく適切な緊縮力で断熱材を内槽の外側表面に保持させることができるからである。とくに、タンクが円筒形または球形である場合には、ネットの緊縮力が断熱材に対して全周的に均等に作用するので好ましい。
この請求項の貯蔵タンクによれば、外槽で大気のリークが発生して真空層に大気が流入した場合にも、真空層内に液体空気(液体酸素を含む)が発生する恐れがない。液体空気の沸点は約80Kであるが、このタンクでは、流入する空気(大気)の最も内側にあたる部分においても沸点以上の温度になり、空気の凝縮が起きないからである。液体水素などの可燃ガスをタンク内に貯蔵する場合、酸素を含む空気が内槽・外槽間に液体となって多量に蓄積することを外槽でのリークの発生時にも回避できることは、安全上、きわめて大きな意義がある。
Ti={Tc4+(Th4−Tc4)i/(n+1)}0.25
という一般式から導かれる。なお、Tc=20K、Th=290K、i:輻射シールド板のi番目、n=輻射シールド板の総層数100 である。
図2では、輻射断熱の特徴として、低温側の断熱効果が強く、高温側に比べて低温側の温度勾配がかなり大きいことが分かる。
高真空の領域においては、繊維質断熱材12の相当熱伝導率は積層真空断熱材11に比較して相当に大きいことから、温度分布は図4のように、繊維質断熱材12において小さく積層真空断熱材11において大きくなる。
真空層4が大気圧になった状態では、積層真空断熱材11の熱伝導率が高くなるため、繊維質断熱材12において厚さ方向に温度分布が大きくなる。熱流束が増すので、タンク1内の液体水素xの蒸発がやや激しくなる。しかし、真空層4内に入る大気と接触する繊維質断熱材12の外側表面では、温度が約210Kであって空気の沸点(約80K)よりもはるかに高いため、真空層4内の空気が凝縮して液体空気として多量に溜まることがない。
積層真空断熱材11のみを施工したタンクについては、図6のとおり、真空層4が高真空である場合には十分な断熱性能が発揮されるものの、真空度が劣化して大気圧になった場合には、積層真空断熱材11に約25Kの温度差しかもたせることができない。大気圧時の壁面の熱流束は 1260W/m2と大きくなり、タンク内の液体水素の蒸発がかなり激しくなる。また、その場合、真空層4内に入る大気と接する積層真空断熱材11の外側表面の温度が図6のとおり約45Kとなるため、空気が凝縮し、液体空気として真空層4内に溜まるという、好ましくない状態にもなる。
2 内槽
3 外槽
4 真空層
11 積層真空断熱材
12 繊維質断熱材(マイクログラスウール)
13 ネット
14 真空域
x 液体水素
Claims (6)
- 内槽と外槽との間に真空層を有する低温液化ガス貯蔵タンクであって、
上記の真空層のうち内槽の外面上に積層真空断熱材を有し、その外側に、ガラスまたは高分子化合物による繊維質断熱材を有することを特徴とする低温液化ガス貯蔵タンク。 - 上記の繊維質断熱材における繊維の直径が1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
- 上記の繊維質断熱材の外側が赤外線反射シートで覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
- 上記の繊維質断熱材の繊維中に赤外線吸収材または赤外線散乱材が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
- 上記の繊維質断熱材の外側に、伸縮性のあるネットがかぶせられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
- 内槽内に低温液化ガスを貯蔵していて内槽・外槽間が低真空ないし大気圧になった状態で上記の繊維質断熱材の外側温度が80K以上になるように、上記した積層真空断熱材および繊維質断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
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