JP5044310B2 - 低温液化ガス貯蔵タンク - Google Patents

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Description

請求項に係る発明は、低温液化ガスを貯蔵するために内・外槽の二重殻を有し、それらの間に真空層が形成された低温液化ガス貯蔵タンクに関するものである。
内・外槽の二重殻で構成されるとともにそれらの間に真空層が形成された低温液化ガス貯蔵タンクは、たとえば下記の特許文献1に記載されている。当該文献1(の段落0014等)にも記載されているように、そのようなタンクの殻は金属で形成されるのが通常である。
一方、下記の特許文献2には、液化天然ガスのタンクに使用する断熱パネルとして、液密かつ気密の障壁材とガラス繊維強化硬質ポリウレタンフォームとを一体化した複合体を使用することが記載されている。
特開2003−185093号公報 特開2006−214458号公報
低温液化ガス貯蔵タンクにおける内・外槽を特許文献1のように金属により構成する場合、つぎのような課題がともなう。すなわち、
i) タンクがかなり重いものになりがちである。内部に貯蔵する低温液化ガスは一般に比重が小さい(たとえば液体水素の比重は0.07)ので、液化ガスが内部にフルに貯蔵された状態でも全重量の半分以上がタンク自体の重さとなるなど、重量効率としてみる場合にはとくに好ましくない。ここに重量効率とは、タンク重量に対する内容物重量の割合である。
ii) タンクの形状は円筒形にすることが多いが、金属で殻を形成する場合にはそれ以外の任意の形に形成するのが容易でない。特定の型を用いて成形することが、プラスチック材料等に比べて難しいからである。
iii) 内槽等の熱容量が大きいので、常温のタンク内に新たに低温液化ガスを注入したとき、かなりの液化ガスが蒸発する。
iv) 注入が終わった後にも、タンク内において液化ガスの蒸発が続きやすい。内槽のうち液面より高い位置にある上部の温度は、液と接触している下部の温度よりも高いが、金属は熱伝導率が高いために上部の熱量を下部に伝えやすいため、タンクの下部まで温度上昇して液化ガスの蒸発をうながすのである。
特許文献2に記載の断熱パネルは、金属からなる殻と併せて用いることによりタンクにおける断熱材とするものである。つまり当該パネルは、金属に代えて使用することにより上記の課題を解決するという性格のものではない。
請求項に係る発明は、低温液化ガス貯蔵タンクにおける内・外槽の殻のいずれか(または双方)を金属に代わる他の材料で形成し、もって上記の課題を解決しようとするものである。
請求項に係る発明の低温液化ガス貯蔵タンクは、内槽および外槽を備えるとともに、それらの間に真空層を有するもので、内槽もしくは外槽またはそれらの双方を、ガス透過を防ぐバリア材を有する繊維強化プラスチック材(FRP)にて形成したことを特徴とする。
繊維強化プラスチック材は、適切な繊維を使用することにより相当な強度をもたせることができるため、それをタンクの殻の材料として金属と置き換えることは容易であるとも考えられる。しかし、繊維強化プラスチック材は、材料の内部にミクロボイドやミクロクラックを含むのが通常であるため、液体水素等の気化ガスの透過を十分には防ぐことができない。そうした透過ガスが真空層内に入ると、当然ながら真空度が低下し、真空層の断熱性能が低下して低温液化ガスの蒸発量が多くなり、適切に貯蔵することができなくなる。
発明者らはその点を考慮して、繊維強化プラスチック材に、ガスの透過を防ぐバリア材を併せて使用することとしたのである。バリア材としては、後述するアルミ箔やステンレス箔等を採用することができる。このような皮膜とともに繊維強化プラスチック材を使用することにより、十分な機械的強度とガスの透過防止性能とを備えた内槽または外槽を形成することができ、もって、低温液化ガス貯蔵タンクに十分な強度と真空層保持機能をもたせることができる。
繊維強化プラスチック材は金属に比べて比重が小さい(またバリア材は薄いもので足りる)ため、こうした低温液化ガス貯蔵タンクは軽量に構成することができる。容易に製作される型を用いた成形法によって、タンクを円筒形以外の任意の形に形成することも難しくない。そのほか、タンクの熱容量が小さくなるので、常温のタンク内に新たに低温液化ガスを注入したときも液化ガスの蒸発が少ない。また、金属に比べて繊維強化プラスチック材は熱伝導率が小さいので、上部の熱量を下部に伝えにくく、そのことによっても液化ガスの蒸発が生じにくい。
なお、以上の点から、バリア材を有する繊維強化プラスチック材によって内槽・外槽の双方を形成するのが最も好ましいが、一方のみをそのような材料で形成し他方は従来と同様に金属にて形成する場合にも、相当のメリットがもたらされる。
上記の低温液化ガス貯蔵タンクについては、内槽を形成する繊維強化プラスチック材の外側面にバリア材を設け、及び/又は、外槽を形成する繊維強化プラスチック材の内側面にバリア材を設けるのが好ましい。
繊維強化プラスチック材は自身の内部に有機系ガスを内在させており、時間の経過とともにそれが外部に放出されてしまう。そのような放出ガスも、真空層内に入るとその真空度を低下させ、断熱性能を損なわせてしまう。しかし、繊維強化プラスチック材にて内槽を形成した場合にその内槽の外側面にバリア材を設け、または、繊維強化プラスチック材にて外槽を形成してその外槽の内側面にバリア材を設けるなら、当該バリア材の作用により、上記のように放出ガスが真空層に進入することをも防止できる。
また、プラスチック材は輻射率が高くて輻射による熱の移動を生じやすいが、輻射率の低い金属類でバリア材を形成し上記のような箇所(内槽の外側面または外槽の内側面)に同バリア材を設けるなら、それがいわば輻射シールド板として機能し、低温液化ガス貯蔵タンクにおける断熱効果を高めることになる。
上記のバリア材をアルミ箔とし、繊維強化プラスチック材を、エポキシ樹脂をベースとするガラス繊維強化プラスチック(GFRP)または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とするのがとくに好ましい。また、前記繊維強化プラスチック材を、エポキシ樹脂をベースとするアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)としてもよく、これはガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックと比べてじん性が高いからである。
アルミ箔は、比較的容易に入手できて、透過ガスや放出ガスが真空層内に入るのを効果的に防止する。また、輻射率が低いので輻射シールド板としての機能にすぐれるほか、導電性があるのでタンクが静電気に帯電することを防止する作用をももたらす。一方、エポキシ樹脂をベースとするガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチックは、極低温における性能に優れていて機械的強度も高いほか、成形容易であって任意の形に成形しやすい点で有利である。
アルミ箔の厚さは、15〜50μmとするのがよい。なお、とくに好ましいのは25〜35μmの範囲である。表3によると、30μm付近では、ピンホールの発生が少ないという事実があるためである。よって、好ましくは30μm近傍もしくは25〜30μmとしてもよい。
上述のようにアルミ箔はガスの透過を防ぐ機能を有するが、ピンホールの発生がゼロではないため、厚さが15μm以下だとガスの透過を十分には防止できない。発明者らの調査では、使用温度にもよるが、厚さを25〜35μmの範囲またはそれ以上にするとガスの透過をほぼ完全に防止できる。したがって、もし厚さを50μm以上にすると、ガスの透過防止という機能が飽和しているにもかかわらずアルミ箔の使用量が増加し、コスト上の無駄が大きくなる。
アルミ箔の端部間の接合部を、たとえばエポキシ樹脂接着剤をはさんで端部同士を重ね合わせることにより形成し、またはさらに、その接合部を、当該タンクのうちとくに低温域(使用中、同じタンクの他の領域よりも低温となる部分)に設けるのが有利である。つまり、たとえば図1(c)のようにアルミ箔12の端部を重ねて接合部13を形成し、図1(b)のようにその接合部13をタンクの低温部(図示のような下部は、液化ガスに接触しているため上部に比べると温度が低い)に設けるのである。
アルミ箔は、平面的な膜状のものをタンクの三次元の面に設けるため、その端部間を接合する必要が生じる。そうした接合部は、端部同士を単に突き合わせるよりも上記のように端部同士を重ね合わせる方がガスの透過を防止しやすく、また、重ね合わせる端部間にエポキシ樹脂接着剤をはさむ方が接合が確実になる。そうして接合するとしても、接着剤層をガスが透過し得るため、ガスが多少でも真空層内に進入することが避けられないが、上記のように接合部をタンクの低温部に設けるなら、そのガスの進入量は最小限に抑えられる。図4は、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックのガス透過に関する温度特性を示すもので、低温部ではガス透過度が低いことが分かる。つまり、低温部では、前記接合部における接着剤の分子振動が活発でないため、同じようにミクロボイド等が存在するとしてもガスの透過量は少なくなる。
上記のような低温液化ガス貯蔵タンクにおいて、内槽および外槽の断面(長さ方向と直角な断面)を略多角形状(好ましくは四辺形、または四隅が丸いなど四辺形に近いもの)にするのも好ましい。
タンクの寸法は、通常の箱形のコンテナと同様に、高さ・幅・長さの各寸法が所定の値を超えないように規定されていることが多い。したがって、断面が円形であると、規定の寸法を満たす最大サイズのものであっても容積が小さく、いわゆる容積効率の点で不利になりがちである(図8(a)参照)。ここでいう容積効率とは、一定コンテナ容積内にタンクを収めた場合の一定コンテナ容積に対するタンク内液容積の割合である。しかし、繊維強化プラスチック材の成型容易性に基づいて内槽および外槽の横断面形状を略四辺形状(四辺形、または四隅が丸いなど四辺形に近いもの)にすると、図8(b)のとおり容積効率を向上させ、占有スペースをとくに拡大することなく実質の内容積を拡大することができる。
真空層内には積層真空断熱材(アルミニウム等の金属膜を有する輻射シールド板と、輻射シールド板同士を隔離する熱的絶縁体であるスペーサとが高真空状態にて交互に積層されてなる断熱材)を配置するのがさらに好ましい。
バリア材を有する繊維強化プラスチック材の作用で高真空に保たれる真空層内にこのような積層真空断熱材を配置すると、外部からの入熱がさらに効果的に遮断され、一層好ましい断熱性が発揮される。真空層において、高真空に保たれてガスによる熱伝導がないことによる断熱に加えて、積層真空断熱材における輻射シールド板が輻射を遮断することによる断熱が同時にもたらされるからである。
請求項に係る発明の低温液化ガス貯蔵タンクによれば、十分な機械的強度とガスの透過防止性能とを備えた内槽及び/又は外槽を形成することができる。そしてそれにより、タンクを軽量に構成することができ、円筒形以外の任意の形に形成することも容易になる。また熱容量や熱伝導率の関係で、タンク内の液化ガスの蒸発を抑制できる。
とくに、内槽の外側面及び/又は外槽の内側面バリア材を設けるなら、繊維強化プラスチック材からの放出ガスが真空層に進入することをも防止でき、また、輻射による熱の移動をも防止できる点で、低温液化ガス貯蔵タンクにおける断熱効果を一層に高めることが可能である。
バリア材をアルミ箔とし、繊維強化プラスチック材をエポキシ樹脂ベースのガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチックとするなら、ガスの透過防止、輻射断熱、タンクの帯電防止、機械的強度、成形容易性およびコストといった点で有利である。アルミ箔の厚さは15〜50μmとするのがとくに好ましい。
アルミ箔の端部間の接合部は、エポキシ樹脂接着剤をはさんで端部同士を重ね合わせることにより形成することとしてタンクの低温域に設けるなら、接合部からのガスの進入量を最小限に抑えることができる。
内槽および外槽の断面を略多角形状にすると、容積効率の点で有利である。
また、真空層内に積層真空断熱材を配置すると、外部からの入熱がさらに効果的に遮断されるため好ましい。
発明の実施態様を図面に基づいて説明する。図1は、液体水素コンテナとして使用される低温液化ガス貯蔵タンク1を示すもので、図1(a)は縦断面図、同(b)は同(a)におけるb−b断面図、同(c)は同(b)におけるc部詳細図である。そして図2は、図1のタンク1における内槽10または外槽20の詳細断面図である。
図1に示すタンク1は、寸法的にはISOに規定される40フィートコンテナであり、全長が12m、高さが2.6mである。内部に液体水素等の低温液化ガスLを貯蔵するために内槽10と外槽20との二重殻を有し、それらの間に真空層30が形成される形式のものである。内容積(90%充填)は約43mで、液重量は液体水素の場合、最大2.7トンである。
タンク1の内槽10および外槽20は、一般的には鉄鋼材料にて形成されるが、この例ではいずれも、ガラス繊維強化プラスチック材とアルミ箔とを重ね合わせた複合構造として形成する。すなわち図1(b)に示すように、内槽10については、ガラス繊維強化プラスチック材11の外側にアルミ箔12を貼り、外槽20では、ガラス繊維強化プラスチック材21の内側にアルミ箔2を貼り付ける。ガラス繊維強化プラスチック材11・21は、マトリクスとするエポキシ樹脂中にガラス繊維を50〜60%含浸させたもので、その厚さはタンクの容量や圧力によって数mm〜数十mmとする。また、ガラス繊維強化プラスチック材に代えて炭素繊維強化プラスチック材(ガラス繊維でなく炭素繊維をエポキシ樹脂中に50〜60%含有させた繊維強化プラスチック材)を使用するのもよい。一方、アルミ箔12・22は、ガラス繊維強化プラスチック材による水素ガス等の透過や放出を防止するためのガスバリア材とするもので、厚さは30μmとする。内槽10の外側に設けたアルミ箔12の外周部には、積層真空断熱材(図2の符号31を参照)を設けて真空層30内に配置するのがよい。なお積層真空断熱材とは、アルミ等の金属膜を有する輻射シールド板と、輻射シールド板同士を隔離する熱的絶縁体であるスペーサとを高真空状態にて交互に積層してなる断熱材である。
円筒状に成形したガラス繊維強化プラスチック材11・21の外側または内側にシート状のアルミ箔12・22を貼り付ける場合、アルミ箔の端部同士は、図1(c)のように重ねることによって接合部13を形成させる。重ねしろの寸法aは約10mmとし、重なったアルミ箔間はエポキシ樹脂接着剤13aをはさんで接着する。そしてこのような接合部13は、タンク1のうち他の部分よりも低温となる下部に配置する。なお、接合部13に関する上記のような処理は、内槽10におけるアルミ箔12の接合部についても、外槽20におけるアルミ箔22の接合部についても同様とする。
表1には、内槽10・外槽20に使用する繊維強化プラスチック材(ガラス繊維強化プラスチック材および炭素繊維強化プラスチック材)の代表物性を、従来一般的に使用されているステンレス鋼・アルミ合金と比較して示す。繊維強化プラスチック材は、引張強度やヤング率において金属材料に劣らないうえ、密度や熱伝導率が小さいために軽量で熱の移動が小さく、タンク用材料として好ましいことが分かる。
Figure 0005044310
内槽10および外槽20の双方を従来の金属材料から上記のような複合材料に変更した場合、発明者らの試算では、表1に示す物性等に基づいてつぎのようなメリットがある。すなわち、a)タンク1の全体重量が半分以下になり、したがって重量効率が2倍以上になる、b)内槽10の熱容量が小さくなるため、常温のタンク内に新たに低温液化ガスを注入したときの液化ガスの蒸発量が半分以下に低減される、c)内槽10等の熱伝導率が小さくなるので、低温液化ガスが低位であるときの上部からの内壁入熱が減り、液化ガスの蒸発量が1割程度減少する。
しかし、繊維強化プラスチック材は水素ガス等を透過させるという課題を有することから、図1のタンク1においては、そうしたガスの透過を防ぐべく、上記のとおりガラス繊維強化プラスチック材11・21にアルミ箔12・22を重ねて使用する。
繊維強化プラスチック材におけるガスの透過等に関するメカニズムを図2に示す。ガラス繊維強化プラスチック材11・21の内部には図のようにミクロボイドやミクロクラックが存在するため、水素ガス分子等を透過させてしまう。そうしたガスの透過を防ぐために、ガスバリア材としてアルミ箔12・22を使用するのである。
繊維強化プラスチック材や各種ガスバリア材のガス透過についての試験は、図3(a)・(b)に示す試験装置にて実施した。図3(a)は常温での試験をガスクロマトグラフ法で行うための装置で、ガス源41からの水素ガス等を試験体42に至る加圧ラインに供給することとし、試験体42の反対側は、真空ポンプ43を含む減圧ラインに接続している。試験体42から減圧ライン側へ出たガスの量や成分を、ガスクロマトグラフ法の分析器44にて分析する。
一方、図3(b)は低温での試験を質量分析法で行う装置である。ガス源46が加圧ラインから供給する水素ガス等を、低温室47内に置いた試験体48に接触させ、試験体48の反対側を、ターボ排気装置49を含む減圧ラインに接続している。
試験体としては、上述したガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックを直径50mm・厚さ1〜5mmにしたもの、またはそれらにアルミ箔等を貼り付けたもの等を採用した。試験ガスとしては水素のほかヘリウムおよび空気を使用し、試験差圧は約0.6MPa、試験温度は常温および液体窒素の温度(78K)とした。
図3の装置による試験で明らかになった、各種材料の常温水素ガスでのガス透過性能は表2のとおりである。ガラス繊維強化プラスチックや高密度PEフィルム、液晶ポリマーフィルム、アルミ蒸着マイラフィルムにおいては相当程度のガスの透過が認められるが、ガラス繊維強化プラスチックに厚さ25μmのアルミ箔を貼った試験体においては、ガスの透過は検出感度以下である。なお、表中の「10mmラップ」とは、図1(c)のようにアルミ箔の重ねしろ寸法aを10mmとしたことを示す。また「ガス透過度」、「ガス透過率」とは、それぞれ下記の式で算出される値である。
ガス透過度=透過量(mol)/(透過面積(m2)・時間(s)・圧力差(Pa))
ガス透過率=透過量(mol)・厚さ(m)/(透過面積(m2)・時間(s)・圧力差(Pa))
Figure 0005044310
また、図3の試験では、ガラス繊維強化プラスチックおよび炭素繊維強化プラスチックのガス透過に関する温度依存性も明らかになった。すなわち、図4に示すとおり、ガラス繊維強化プラスチックおよび炭素繊維強化プラスチックにおける水素ガスおよびヘリウムガスの透過度は、温度が低下すると著しく低下し、液体窒素の温度である約78Kでは検出感度以下(<0.2×10-6 mol/m2・s・Pa )となる。
発明者らは、図1のタンク1とは別に、図5に示す小型容器(小型の低温液化ガス貯蔵タンク)50を用いて熱特性と真空層のガス分析とを実施した。小型容器50は内槽51と外槽52とを備え、両者間に、真空ポンプ付き排気口55につながる真空層53を有している(真空層53内に熱シールド板54をも有する)。ただし、図1の例とは違って、内槽51はガスバリア材を有しないガラス繊維強化プラスチック材で形成し、外槽52はアルミ合金にて形成している。内部(内槽51の中)に、液体水素(20K)を約20リットル、大気開放の状態で貯蔵し、各部(図5に示す各部)の温度と真空層53内の真空度の変化を測定した。
図5の小型容器50における上記測定の結果を図6に示す。真空層53内の真空度は10-2〜10-4Pa(7.5x10-5〜7.5x10-7Torr)の範囲で変動し、真空度が5.5x10-3Paおよび2.5x10-4Paのときの真空層53内の各ガスの分圧は図示のようになった。真空層53内においては水素分圧が高いことが分かる。なお、低温液化ガスの蒸発量は、約0.5NL/min(0.33W)であった。
図5・図6の測定に基づいて、発明者らは、図1のタンク1の製造に先立ち、図7に示す横型タンク60を試作した。このタンク60は、内容積が約100リットルで、内槽61はガラス繊維強化プラスチック材の外側にアルミ箔を貼って形成し、外槽62はガラス繊維強化プラスチック材の内側にアルミ箔を貼って形成している。内槽61と外槽62との間は真空層63とし、内槽61の外側に積層真空断熱材64を配置したほか、液体水素等を内槽61内に注入等するための配管類もその真空層63内に配置している。
なお、図7のタンクに使用したアルミ箔の厚さは、下記の表3(出典:「ガスバリア性付与技術」、東レリサーチセンター(2006年5月)作成)に基づいて約30μmとしている。
Figure 0005044310
ところで、以上に紹介したタンクはいずれも円筒形状のものであったが、内槽や外槽をガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチック等(およびガスバリア材)で形成する場合には、タンクを円筒形以外の任意の形に形成することも比較的容易である。そのため発明のタンクは、図8(a)のような円形断面のタンク1に限らず、同(b)のように横断面が略四辺形状のもの1’とすることもできる。図(b)のように略四辺形状にするとき、発明者らの計算では容積効率が約20%増加する。
発明の実施態様を示すもので、液体水素コンテナとして使用される低温液化ガス貯蔵タンク1を示す図である。図1(a)はそのタンク1の縦断面図、同(b)は同(a)におけるb−b断面図、同(c)は同(b)におけるc部詳細図である。 図1のタンク1における内槽10または外槽20の詳細断面図である。 繊維強化プラスチック材等のガス透過を測定するための試験装置の系統図である。図3(a)は、常温での試験をガスクロマトグラフ法で行うための装置を示し、図3(b)は低温での試験を質量分析法で行う装置を示している。 図3の装置を用いた試験により明らかになった、ガラス繊維強化プラスチックおよび炭素繊維強化プラスチックのガス透過に関する温度依存性を示す線図である。 熱特性の調査と真空層のガス分析等を行うための小型容器50を示す縦断面図である。 図5の小型容器50における測定結果を示す線図である。 試作した横型タンク60を示す縦断面図である。 低温液化ガス貯蔵タンクについて、(a)・(b)二通りの横断面を示す概念図である。
符号の説明
1・1’・50・60 低温液化ガス貯蔵タンク
10・51・61 内槽
20・52・62 外槽
30・53・63 真空層
11・21 ガラス繊維強化プラスチック材
12・22 アルミ箔
13 接合部

Claims (3)

  1. 内槽および外槽を備えるとともに、それらの間に真空層を有する低温液化ガス貯蔵タンクであって、
    内槽もしくは外槽またはそれらの双方が、ガスの透過を防ぐバリア材を有する繊維強化プラスチック材にて形成されていること
    内槽を形成する繊維強化プラスチック材の外側面にバリア材が設けられ、及び/又は、外槽を形成する繊維強化プラスチック材の内側面にバリア材が設けられていること、
    上記のバリア材がアルミ箔であり、繊維強化プラスチック材が、エポキシ樹脂をベースとするガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチックのいずれかであること、
    アルミ箔の厚さが15〜50μmであること、
    アルミ箔の端部間の接合部が、端部同士を重ね合わせることにより形成されること
    および、前記接合部が、ガスの透過を少なくするため当該タンクのうち低温域に設けられていること
    を特徴とする低温液化ガス貯蔵タンク。
  2. 内槽および外槽の断面を略多角形状にしたことを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
  3. 前記真空層内に積層真空断熱材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の低温液化ガス貯蔵タンク。
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