JP2006009699A - ブレード及び送風機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 運転騒音が小さくなる送風機を提供することを課題とする。
【解決手段】 ヘ字形に屈曲する断面形状を有するブレード4の回転方向の前後両端縁6、7が連続波形に形成されている。この連続波形は、回転方向の前端6と後端7とで大きさが非対称であってもよい。このブレード4を備えた送風機は、ブレード4の回転方向後方に形成される乱流のエネルギが減衰されて、例えば、従来71dBであった回転時の騒音が69dB以下に減少する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ヘ字形に屈曲する断面形状を有するブレード4の回転方向の前後両端縁6、7が連続波形に形成されている。この連続波形は、回転方向の前端6と後端7とで大きさが非対称であってもよい。このブレード4を備えた送風機は、ブレード4の回転方向後方に形成される乱流のエネルギが減衰されて、例えば、従来71dBであった回転時の騒音が69dB以下に減少する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、工場などに多数設置される送風機に用いる送風用ブレード及び当該ブレードを備える送風機に関する。
素麺製造工場では、素麺を乾燥させる乾燥室の天井に乾燥を促進するために例えば数十基の送風機(天井扇風機)が設けられる。このように多数設置する送風機では、コスト上の問題から、家庭用の扇風機等に使用される捻りが加えられた形状のブレードは用いられず、へ字形に屈曲させた断面形状を有する例えば厚さ1.5mmの金属板からなる安価なブレードが用いられる。
この金属板からなるブレードを用いる場合には、一般に捻りが加えられた形状のブレードに比べて大きな騒音が発生するという問題がある。
特許文献1には、扇風機や送風機のブレードが発生する騒音を低下させるために、ブレードの表面に毛羽立った物体や表面の平らでない布や紙を貼り付ける技術が開示されている。
特開平11−257289号公報
しかし、前記特許文献1に記載された従来技術によれば、毛羽立った物体や表面の平らでない布や紙を貼り付ける表面処理が必要になるので、高価になるという問題がある。
しかも、前記特許文献1に記載されているブレードは捻りが加えられた形状を有する高価なものであり、工場などに多数設置する場合にはコストが合わず、へ字形に屈曲させた断面形状を有する金属板からなるブレードが用いられる。
これらの問題を解決するために、出願人は、試行錯誤を繰り返した結果、へ字形に屈曲する断面形状を有する金属板からなるブレードの回転方向の前後両端縁を波形に形成すると聴覚する騒音が明らかに減少することを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて、従来技術の課題を解決し、運転騒音が小さくなる安価な送風用ブレードとこの送風用ブレードを用いる送風機を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明に係るブレードは、へ字形に屈曲する断面形状を有する金属板からなるブレードにおいて、該ブレードの回転方向の両端縁が波形に形成されていることを特徴とする技術的手段を採用する。
本発明に係るブレードによれば、例えば従来技術では71dBレベルの騒音が発生していたのに対して、発生騒音を例えば69dB以下に低下させることができる。
その原因は、ブレードを上述の形状に形成することにより、ブレードの回転方向の後方に形成される乱流(渦)のエネルギが減衰されたからであると思われる。
又、本発明に係るブレードによれば、ブレードの表面処理が不要であるので、安価にできる。
次に、本発明に係る送風機は、前記の目的を達成するため、本発明のブレードを用いることを特徴とする技術的手段を採用する。
その結果、本発明の送風機によれば、ブレードの回転により発生する騒音が減少するので、運転騒音を減少させることができる上、ブレードの表面処理が不要になるので、安価にできる。
本発明のブレードによれば、運転騒音を減少させることができる効果と、安価にできる効果を得ることができる。特に、多数の送風機が設置される作業場においては、各送風機の騒音減少効果が相乗して作業環境の静粛性がすこぶる高められる。
また、本発明に係る送風機は前記本発明のブレードを用いるので、本発明の送風機によれば、運転騒音を減少させる効果を得ることができると共に、安価にできる効果を得ることができる。
本発明にかかる送風機用ブレード及び本ブレードを備えた送風機の一実施の形態を図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1は、本発明の一実施例(以下、実施例1という。)に係る天井扇風機の底面図であり、図2はそのブレードの展開図であり、図3はそのブレードの断面図である。
図1に示すように、この天井扇風機は、天井から吊り下げられる縦軸の5分の1減速機付モータ1とこの減速機付モータ1の出力軸2にハブ3を介して連結される4枚のブレード4を備えている。
前記減速機付モータ1は、例えば、出力400W(200V・2A)のものを用いる。
図2には各ブレード4の展開図を実線で示し、ハブ3に取付けた状態での各ブレード4の平面図を2点鎖線で示している。
図2に実線で示すように、各ブレード4は、1点鎖線で示す軸線の方向への長さLが600mm、平面に展開された基端幅Wiが140mm、平面に展開された先端幅Wsが100mm、板厚t(図3に示す。)が1.5mmで、平面に展開された形状が軸線に関して線対称形のステンレス板(SUS−304)からなり、図3に示すように、このステンレス板をその軸線で例えば120度に折り曲げて、へ字形に屈曲する形状に形成される。
そして、その軸線から一方の半分を出力軸2に直交する回転面に対して20度傾けて、ファン外径が1400mmになるように連結軸5を介してハブ3に固定し、この回転面に対して20度傾けた側が回転方向の前側になるように前記減速機付モータ1で回転させる。
各ブレード4の回転方向の前後の端縁6、7は円滑な曲線の山部6a、7aと円滑な曲線の谷部6b、7bが例えば145mmのピッチで交互に連続する連続波形に形成されている。
この連続波形の振幅Eは最大20mmで、先端に向かって細幅になるブレード4の幅に対応してその振幅Eを減少させている。
又、このブレード4を平面に展開した時の面積は、図7に示す長さLが600mm、基端幅Wiが140mm、先端幅Wsが100mmの等脚台形に展開される従来のブレード34と同じになるようにしている。
4枚のこのブレード4をそなえる天井扇風機において、前記減速機付モータ1にインバータ制御により60Hzに制御された電流(200V・1.8A)を供給し、騒音と風速を測定した(回転数360rpm)。
この騒音測定においては、ハブ2から送風方向に1000mm離れた位置に騒音測定器のピックアップ(マイクロホン)を位置させた。
又、風速測定においては、ハブ2から送風方向に2000mm離れた位置に風速センサ(熱線風速計の熱線)を位置させた。
これら騒音及び風速の測定結果は、後掲する表1の実施例1の欄に示すように、騒音値が69dB、風速5.5m/秒である。
図4は本発明の他の実施例(以下、実施例2という。)に係る天井扇風機のブレード14の展開図である。
このブレード14の回転方向後側の端縁7の連続波形のピッチ及び振幅は前側の端縁6の連続波形のピッチ及び振幅の3分の2にしてある。
もっとも、この端縁7の連続波形はピッチと振幅のいずれか一方のみを他方の端縁6の連続波形のそれよりも小さくしたものであってもよい。
そして、その軸線からピッチが大きい方の連続波形に形成された端縁6側の半分を出力軸2に直交する回転面に対して20度傾けてハブ3に固定し、この回転面に対して20度傾けた側が回転方向の前側になるように前記減速機付モータ1で回転させる。
前例と同じ条件で騒音と風速を測定した結果、表1の実施例2の欄に示すように、騒音値は68dBであり、風速は5.5m/秒であった。
図6は比較例の天井扇風機に用いるブレード24の展開図及び平面図であり、実線が展開図、2点鎖線がハブ2に取付けられた状態での平面図である。
このブレード24は回転方向後側の端縁7を従来と同様の直線形にしたものであり、その軸線から連続波形に形成された端縁6側の半分を出力軸2に直交する回転面に対して20度傾けてハブ3に固定し、この回転面に対して20度傾けた側が回転方向の前側になるように前記減速機付モータ1で回転させる。
4枚のこのブレード24を備える比較例に係る天井扇風機に前記実施例1及び実施例2と同様に60Hzにインバータ制御された電流(200V・1.8A)を供給したところブレード24に激しい振動が生じて実用に適さないことが分かった。又、50Hzにインバータ制御された電流(200V・1.5A)を供給すると、ブレード24が振動せずに回転し(回転数300rpm)、騒音値は64dBと低下するが風速が3.3m/秒と極端に低下し、必要な風量を得ることができない。
図7は従来のブレード34の展開図及び平面図であり、実線が展開図、2点鎖線がハブ2に取付けられた状態での平面図である。
このブレード34は、1点鎖線で示す軸線の方向への長さLが600mm、平面に展開された基端幅Wiが140mm、平面に展開された先端幅Woが100mm、板厚t(図3に示す。)が1.5mmで、平面に展開された形状が軸線に関して線対称形の等脚台形のステンレス板からなり、このステンレス板をその軸線で例えば120度に折り曲げてへ字形に屈曲する形状に形成される。
4枚のこのブレード34を備える従来例に係る天井扇風機に、60Hzにインバータ制御された電流(200V・1.8A)を供給して、実施例1及び実施例2と同様の条件で騒音と風速を測定した結果、表1の従来例の欄に示すように、騒音値は71dBであり、風速は5.5m/秒であった。
表1から明らかなように、実施例1、実施例2と従来例では風速が同じであり、同じ送風量を得ることができる。
しかも、実施例1によれば従来例よりも2dBも騒音値が小さくなり、はっきりと騒音が減っていることを聴覚で認識することができる。
従来例よりも騒音値が3dBも小さい実施例2によれば、一層顕著に騒音が減っていることを聴覚で認識することができる。
多数の天井扇風機が設置される素麺乾燥室では、各天井扇風機の騒音減少効果が相乗して、大幅に騒音が減少し、作業環境の静粛性がすこぶる高められる。その結果、作業者が他の作業者に話かける時に大声を出す必要がなくなり、又、難聴などの聴力障害を誘発するおそれもなくなる。
なお、前記実施例1及び実施例2ではブレード4、14の基端幅Wiよりも先端幅Wsを小さくすると共に、ブレード4、14をへ字形に屈曲させることによりブレード4、14が送風反力で軸線方向に湾曲することを防止している。
これにより、送風反力でブレード4、14がしなって振動することを防止できる上、飛行機のプロペラ、船舶のスクリュー、家庭用扇風機のようにひねりを加えたブレード、即ち、立体的に捻りを加えたブレードよりもすこぶる安価に製造することができる。
又、前記実施例1及び実施例2の連続波形は円滑に湾曲する山部6a、7aと円滑に湾曲する谷部6b、7bが交互に円滑に連続する波形であるが、本発明において連続波形とは、山部6a、7aと谷部6b、7bとが交互に繰り返し連続した波形であればよい。
即ち、ブレード4、14に代えて、例えば図5の(A)に示すような三角波形のブレード44や、同図の(B)に示すような矩形波形のブレード54や、同図の(C)に示す台形波形のブレード64や、同図の(D)に示すような山部6a、7aと谷部6b、7bとの間に平坦部6c、7cがある波形のブレード74などを用いても良い。
もちろん、連続波形の最良の形状、最良の大きさなどは、ファン外径、ブレード展開面積、ブレード屈曲角、ブレード取付角、供給電流、ファン回転数などをパラメータとして、上述した騒音測定及び風量測定を繰り返し試行することにより究明できる問題である。
本発明のブレードは、広く送風機のブレードに適用され、本発明の送風機は扇風機を含む送風機に適用される。
4 ブレード
6 端縁
7 端縁
6 端縁
7 端縁
Claims (5)
- ヘ字形に屈曲する断面形状を有する金属板からなる送風用ブレードにおいて、
回転方向の両端縁が波形に形成されていることを特徴とする送風用ブレード。 - 回転方向の両端縁の波形の大きさが同じである請求項1に記載の送風用ブレード。
- 回転方向の後側の端縁の波形が前側の端縁の波形よりも小さい請求項1に記載の送風用ブレード。
- ブレードの基端幅よりも先端幅が小さく形成され、前記波形の振幅が、該ブレードの基端よりも先端で小さく形成される請求項1又は2に記載の送風用ブレード。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の送風用ブレードを備える送風機。
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