JP2006002854A - 軸受の密封装置 - Google Patents

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浩 関本
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Abstract

【課題】 材料の歩留りが良く、また、ゴムシール等に比べて軸方向の余裕がなくても密封装置として組込み可能で工数も少なくすることの出来る軸受の密封装置を提供する。
【解決手段】 内輪と外輪との間に形成される環状空間の軸方向端部に装着される軸受の密封装置であって、金属製環状板からなるシールド1と、該シールド1が嵌合される外輪2の周溝2aとを備え、該周溝の底径はシールド1の外径より小さくする。また、このシールドは、複数巻きとしても良い。シールド1の外径は外輪2の周溝2aの底部に接触し、シールド1は、更に元に戻ろうとするが弾性変形した状態でその外周面1cが周溝2aに接触した状態で安定する。外輪2の周溝2aの内壁側及び外壁側(鍔部の内側)にも弾性変形する力が作用して密封性能が一層良くなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、軸受の密封装置であって、特に医療用X線CTスキャナ等の旋回座軸受のような大径の軸受に設けられる軸受の密封装置に関する。
医療用のX線CTスキャナ、特に人体全体をガントリー内部へ収容し、撮像装置を回転体に設置して回転駆動させながら撮像検査するX線検査装置では旋回座軸受が使用される。このような旋回座軸受は、大径薄肉タイプの転がり軸受が使用され潤滑はグリース潤滑とされるものが多い。従来はこのような旋回座軸受では密封装置を設ける場合、接触タイプとして芯金付ゴムシール(芯金にゴムを焼付けたもの)が用いられる例が多かった。例えば、図7及び図8に示すように、弾性材料で形成したシール本体21aと、該シール本体21aに埋設若しくは一部を露出させて一体とした補強用芯金21bとでシール21を形成し、該シール21を回転部材22と固定部材23との間に配置して前記回転部材と固定部材間を密封してなる密封装置において、補強用芯金21bを、環状に且つ複数重ねのコイル状の板材リングから形成してなる密封装置が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、上記するような弾性体と芯金とを一体としたシールは、幅方向の寸法が大きくなり、且つ組込み工数が多くなるという問題があり、このような問題を解決するため図9及び図10に示すような非接触タイプのシールド31が開発された。この軸受密封装置は、旋回座用ラジアル軸受の外・内輪32、33の軸方向端部に装着される金属製の環状板を有し、その外周において等間隔の6カ所に環状板自身の径方向たわみを許容させるための凹状の切欠部34が設けられている(凹状の切欠部34と切欠部34との間は凸部35となる)。また、凹状の切欠部34の角度範囲θ1 は凸部35の角度範囲θ2 より少し大きくしてある。これにより、環状板が径方向にたわみやすくなるので、旋回座用ラジアル軸受の外輪32の周溝32aに対して何の道具も用いることなく装着しやすくなる。しかも、環状板(シールド31)が周溝32aに装着されると、元の状態に復帰するので、環状板(シールド31)の初期の寸法設計に基づいて、内輪32の段部33aとの間に適正なラビリンス間隔34が形成される(特許文献2)。
特開平01−077135号 特開平07−279979号
しかしながら、大径薄肉の軸受で使用される密封装置用のシールドは、畳のような幅広で大きな鋼板からリング状のシールドを切り出すため、材料の歩留りが悪くコスト面で不利である。更に、材料用の鋼板も軸受サイズが大きくなると、外径も大きくなるため材料の入手が困難となり、しかも無駄な部分が発生するという問題があった。そして、加工用としても特殊な加工機を必要とするが、サイズによっては加工機の適用範囲を超えると加工ができなくなる、等の問題があった。
この発明は上記する課題に対処するためになされたものであり、材料の歩留りが良く、また、ゴムシール等に比べて軸方向の余裕がなくても密封装置として組込み可能で工数も少なくすることの出来る軸受の密封装置を提供することを目的としている。
即ち、上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、内輪と外輪との間に形成される環状空間の軸方向端部に装着される軸受の密封装置であって、金属製環状板を巻回してなるシールドと、該シールドが嵌合される外輪の周溝とを備え、該周溝の底径はシールド外径より小であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記シールドは複数巻きであることを特徴ととしている。
本発明は、上記手段において、シールドは帯鋼板から取り出して製作する。このシールドは、図4に示すように、大径薄肉の軸受の外輪の端部に設けた周溝に嵌め入れ、内輪外周面との間にラビリンス隙間を形成する。そして、外輪の周溝に嵌め入れる前のシールドの外径は、外輪の周溝の内径よりも少し大きく形成し、外輪の周溝に嵌め入れる際には該シールドの外径側を内径方向に押すと、該シールドの外径は、弾性変形して小さくなる。こうして、周溝に位置したところで外力を開放すると、シールドの外径は外輪の周溝の底部に接触し、更に元に戻ろうとするが弾性変形した状態で周溝に接触した状態で安定する。従って、シールドは密封装置として機能して外部からの塵埃等が周溝の底部を伝って侵入するのを防止し、また、グリース漏れも防止することになる。
請求項1の発明によれば、シールドを材料の帯鋼(ばね鋼)から取り出すことができるので材料の歩留りの心配をする必要がなくなる。また、金属製の板材を環状に巻回してシールドを加工する際特殊な加工機を使用する必要がないので既存の設備や治具を製作して容易に加工することができる。また、請求項2の発明によれば、外輪端部の溝底と金属製環状板のシールド外周面との間の密着性がより確実となるので、シール性能が一層良くなる。
以下、本発明の最良の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の軸受の密封装置のシールドの斜視図であり、図2は一方から見た側面図である。このシールド1は、環状に巻回して形成してあるが、製作に際しては、図3に示すように、実際に使用するシールドの断面高さにほぼ等しい幅を有する帯鋼板をロール状に巻いたドラム8から板材1’を取り出し所定の長さに切断し、治具等を使用して塑性加工し、巻回して環状板に形成する。この場合、シールド1(環状板)の一方の端部1aと他方の端部1bとは少し重なる(ラップする)程度に形成する。
前記シールド1は、図4(A)に示すように、大径薄肉の軸受の外輪2と内輪3との間の環状空間6の該外輪2の軸方向端部に設けた周溝2aに嵌め入れ、内輪3外周面3aとの間にラビリンス隙間4を形成する。この場合、外輪2の軸方向端部の周溝2aに嵌め入れる前のシールド1の外径D1 は、外輪2の周溝2aの内径d1 よりも少し大きく形成してある。そして該シールド1を外輪2の周溝2aに嵌め入れる際には、図2に示すように、該シールド1の外径側を内径方向に押すと、該シールド1の外径は、弾性変形して小さくなる。前記外輪2の端部には周溝2aの外側には鍔部2bが形成されているが、弾性変形させたシールド1の外径をこの鍔部2bの内径より少し小さくなる程度に縮小させ、周溝2aに位置したところで外力を開放すると、シールド1の外径は外輪2の周溝2aの底部に当接する。該シールド1は、更に元に戻ろうとするが弾性変形した状態でその外周面1cが周溝2aに当接して安定する。従って、本発明の軸受の密封装置によれば、シールド1は密封装置として機能して外部からの塵埃等が軸方向端部の周溝2aの底部を伝って侵入するのを防止し、また、グリース漏れも防止することができる。
尚、図1に示すように、シールド1を一重巻きとした場合、該シールド1の一方の端部1aと他方の端部1bとは少し重なる(ラップする)ので、周溝2aに嵌め入れたとき、図4(A)に示すように、一部は二重となり、図4(B)に示すように、他の部分は一重となる。従って、外輪2の端部に形成する周溝2aの幅L1 はこの一部の重なりを考慮して形成する必要がある。
次に、図5は、本発明の第2の実施の形態の軸受の密封装置のシールドの斜視図である(一方から見た側面図は図2と同様であるので省略する)。このシールド11も、環状に巻回して形成してあるが、第1の実施の形態と同様に、実際に使用するシールドの断面高さにほぼ等しい幅を有する帯鋼板をロール状に巻いたドラム8から板材1’を取り出し所定の長さに切断し、治具を使用して塑性加工し、巻回して環状板に形成する。この場合、シールド11(環状板)は少なくとも環状板が二重となるように形成する。そして、該シールド11の一方の端部11aと他方の端部11bとは少し重なる(ラップする)程度に形成する。
前記シールド11は、図6(A)に示すように、大径薄肉の軸受の外輪2と内輪3との間の環状空間6の該外輪2の軸方向端部に設けた周溝2aに嵌め入れ、内輪3外周面3aとの間にラビリンス隙間4を形成する。この場合も外輪2の軸方向端部に設けた周溝2aに嵌め入れる前のシールド11の外径D1 は、外輪2の周溝2aの内径d1 よりも少し大きく形成してある。そして該シールド11を外輪2の周溝2aに嵌め入れる際には該シールド11の外径側を内径方向に押すと、該シールド11の外径は、弾性変形して小さくなる。そして前記外輪2の端部の周溝2aの外側に形成された鍔部2bの内径より少し小さくなる程度に縮小させ、周溝2aに位置したところで外力を開放する。こうして、シールド11の外径は外輪2の周溝2aの底部に当接する。該シールド11は、更に元に戻ろうとするが、弾性変形した状態でその外周面11cが周溝2aに当接して安定する。この場合、シールド11は、その外周面11cと周溝2aと当接するだけでなく、弾性変形時の力が軸方向に作用して外輪2の周溝2aの外壁2c側及び内壁2d(鍔部2bの内壁)側にも当接し、密封性能が一層良くなる。従って、シールド11は密封装置として機能して外部からの塵埃等が周溝2aの底部を伝って侵入するのを防止し、また、グリース漏れも防止することができる。
尚、シールド11を二重巻きとした場合、該シールド11の一方の端部11aと他方の端部11bとは少し重なる(ラップする)ので、周溝2aに嵌め入れたとき、図7(A)に示すように、一部は3重となり、図7(B)に示すように、他の部分は二重となる。従って、外輪2の端部に形成する周溝2aの幅L2 はこのことを考慮して形成する必要がある。
図1は、本発明の第1の実施の形態の軸受の密封装置のシールドの斜視図である。 本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態の軸受の密封装置のシールドを一方から見た側面図である。 本発明の第1の実施の形態の軸受の密封装置のシールドを製作する際材料として取り出す帯鋼板の概要斜視図である。 本発明の第1の実施の形態の軸受の密封装置を取り付けた旋回座用ラジアシル軸受の一部縦断面図であり、図4(A)は、シールドが二重になっている部分の断面図であり、図4(B)は、一重の部分の断面図である。 本発明の第2の実施の形態の軸受の密封装置のシールドの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態の軸受の密封装置を取り付けた旋回座用ラジアシル軸受の一部縦断面図であり、図7(A)は、シールドが三重になっている部分の断面図であり、図7(B)は、二重の部分の断面図である。 従来の旋回座用軸受の一部縦断面図である。 図8に示す従来の旋回座用軸受で使用されるシールの補強用芯金の縦断面図である。 従来の旋回座用軸受の一部縦断面図である。 図9に示す従来の旋回座用軸受で使用されるシール用環状板の側面図である。
符号の説明
1,11 シールド 2 外輪
2a 周溝
2b 鍔部
3 内輪
3a 内輪外周面
4 ラビリンス密封部
6 環状空間

Claims (2)

  1. 内輪と外輪との間に形成される環状空間の軸方向端部に装着される軸受の密封装置であって、金属製環状板を巻回してなるシールドと、該シールドが嵌合される外輪の周溝とを備え、該周溝の底径はシールド外径より小であることを特徴とする軸受の密封装置。
  2. 前記シールドは複数巻きであることを特徴とする請求項1に記載の軸受の密封装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012082940A (ja) * 2010-10-14 2012-04-26 Seiko Instruments Inc 転がり軸受、軸受装置、情報記録再生装置
CN103727235A (zh) * 2013-11-25 2014-04-16 南通威明精工机械有限公司 一种尘封

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