JP2005536728A - 結果主導型ストラテジーを利用して生体分子を特徴付けるための方法 - Google Patents

結果主導型ストラテジーを利用して生体分子を特徴付けるための方法 Download PDF

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Abstract

様々な実施形態で、結果依存的取得ストラテジーを利用して、試料を分析するための方法を提供する。様々な実施形態で、試料を分析する方法を提供し、初めに、該試料をMALDIおよびMSによって分析し、第1の結果を提示し、その後、該第1の結果を用いて、第2の分析を決定し、該第2の分析を用いて、MALDIおよびMS/MSまたはMSによって該試料を再度分析して、第2の結果を提示する。様々な態様で、生体分子を含有する試料を分析するための方法を提供する。様々な実施形態で、該方法は、生体分子を含んでいる試料中の生体分子の同定を容易にする。様々な実施形態で、該方法は、結果主導型取得ストラテジーを利用して、生体試料中の生体分子を同定および/または特徴付けすることを容易にする。

Description

質量分析法(MS)は、試料中の分子の存在を測定するための分析技術である。質量分析計中の試料は気化され、イオン源でイオン化され、結果として生じるイオンの質量電荷比が測定される。飛行時間質量分析計(TOF MS)は、試料中の所定のイオンが電界に補助されてイオン源から検出器まで飛行するのにかかる時間の量を測定することによって、イオンの質量電荷比を決定する。イオンが検出器に到達するために要する時間は、その質量の一次関数およびその電荷の逆関数である。試料は、単一の構成要素分子またはほぼ無限数の分子を含有することが可能である。試料中の分子の存在は、該試料の質量スペクトルに含まれる情報を該分子に対して公知または理論上の質量スペクトルと相関させることによって、あるいは新規の分子の構造を測定することによって測定されうる。
質量分析法は、疾患または遺伝子発現機構等の生物学的過程を特徴付けるための生体試料中のタンパク質発現の測定を含むプロテオーム分析の分野では極めて重要である。タンパク質発現を理解することは、生物系を完全に理解するために重要である。遺伝子発現および代謝研究とともに用いられて、タンパク質発現研究は、生物系を理解して、新しい診断法と治療法を展開する上で鍵となるツールである。
ディスポーサブルなメッセンジャーとして作用するだけのmRNAとは異なって、タンパク質は、ほぼ全ての制御された生体機能を実行し、結果として、正常細胞活性、疾患経過、および薬剤応答等の機能に不可欠である。しかし、タンパク質発現は、確実に予測可能でない。第1に、mRNA転写物レベルがタンパク質レベルと強く相関していないので、タンパク質発現はmRNA発現マップから予測可能ではない。第2に、タンパク質は、遺伝情報から予測可能でない方法で、環境要因によって生物系で動的に修飾される。したがって、薬剤等の刺激または疾患等の状態への生物系の応答についての知識には、通常、多くの「正常(normal)」試料と対応する「異常(abnormal)」試料との比較が必要となる。このように、プロテオーム分析は、種々の試料に存在するタンパク質の測定を必要とする。
現在、大部分のMSプロセスは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)から生じるイオン化試料をMS装置中に導入するための手段として、エレクトロスプレー・イオン化(ESI)イオン源を利用する。ESIのいくつかの望ましい特徴のうちの1つは、クロマトグラフィー・カラムから得た画分がHPLCからESIイオン源に直接移ることができるということである。しかし、HPLCからの流出液の流れを止めて、クロマトグラフィー分離度をモニターすることが難しいため、ESIのこの望ましい特徴は、試料の所定の部分(例えば、カラムから得た特定の画分)を再サンプリングすることが一般的に可能でないことを意味する。したがって、オペレータは、通常、イオン化スプレーとしてESIノズルを出ている最中の組成物のその部分だけをMS分析にかけることに限定される。このように、オペレータは、試料の情報取得を止めることができず、分析サイクルの間または後に得られる試料特徴付けについての知識にもとづいて、該試料の予め避けた部分に関する付加的な情報取得を求めることができない。そのような場合、オペレータは、一部が残ると想定して、組成物をHPLCに再注入しなければならないだろう。しかし、HPLCへの組成物の各注入は、HPLC再現性の問題(例えば、同じ保持速度を維持することの困難等の)のため、異なる試料とみなされうる。
(要旨)
生命科学への対象となる多くの試料では、質量分析法の1次元によって発生する質量スペクトルは、あまりに多くのピークを有するので、該スペクトルから有用な情報を引き出すことが難しい。したがって、例えば、タンデム質量分析法(MS/MS)、または、より一般的には、多次元質量分析法(MS)等の質量分析法の多次元を利用するアプローチが、しばしば用いられる。MS/MSモードでの分析は、通常、第1の質量分析計(しばしば、質量分析法の第1の次元と言及される)を用いて分子イオン(しばしば、「親イオン(parent ion)」または「前駆イオン(precursor ion)」と言及される)を選択して、イオン・フラグメンター(例えば、親イオンが不活性ガスと衝突する衝突セル)に親イオンを導くことによって達成される。該親イオンは、フラグメンター中で一連のフラグメント・イオン(しばしば、「娘イオン(daughter ion)」と言及される)にフラグメント化される。その後、該娘イオンは、通常、第2の質量分析計(しばしば、質量分析法の第2の次元と言及される)中に導かれて、親イオンのフラグメンテーション・パターン(しばしば、フラグメンテーション・スペクトルと言及される)を分解する。
様々な態様で、生体分子を含有する試料を分析するための方法を提供する。様々な実施形態で、該方法は、生体分子を含んでいる試料中の生体分子の同定を容易にする。様々な実施形態で、該方法は、結果主導型取得ストラテジーを利用して、生体試料中の生体分子を同定および/または特徴付けすることを容易にする。様々な実施形態で、MS/MSまたはMSによる更なる分析のために試料の質量を選択するための取得ストラテジーを、該試料の1つ以上の部分の初期質量スペクトルの1つ以上の発現にもとづく分析、質量分析データ分析、検索結果にもとづく分析、またはそれらの組合せの結果によって駆動する。例えば、1つ以上の初期質量スペクトルは、1つ以上のMALDI試料プレート上の1つ以上の試料スポットで得られる質量スペクトルでありうる。
様々な実施形態で、結果主導型取得ストラテジーを、例えば、種々のワークフローおよびワークフローの組合せで実行することができる。発現依存的結果の分析にもとづくワークフローを用いることができる。質量分析データ依存的結果主導型ストラテジーにもとづくワークフローを用いることができる。様々な実施形態で、検索結果依存的結果を用いることができる。発現依存的、質量分析データ依存的、および検索結果依存的結果の2種類以上を用いることができる。
様々な実施形態で、該方法は、MS操作のため、かつMS/MS同定のために使用されるプロセス・パラメータの1つ以上を含むリレーショナル・データベースまたはオブジェクト指向データベース中の複数の取得からの結果を保存および統合する結果依存的ワークフローを利用する。該方法は、MS定量化、MS/MS同定、およびリレーショナル・データベースとのμLCのオフライン結合を利用して、同定および定量化のために用いられるプロセス・パラメータを含む複数の取得からの結果を保存および統合することができる。
別の態様では、本発明の方法の機能がコンピュータ可読媒体に組み込まれた製造物を提供し、該コンピュータ可読媒体としては、例えば、限定はされないが、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク、光学ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、CD−ROM、DVD−ROM、あるいはコンピュータまたはプロセッサ・メモリ中の常駐物がある。該方法の機能を、例えば、FORTRAN、PASCAL、C、C++、BASIC、およびアセンブリ言語等の任意数のコンピュータ可読命令または言語で、コンピュータ可読媒体に組み込むことができる。さらに、該コンピュータ可読命令を、例えば、スクリプト、マクロに書き込むことができ、あるいは市販のソフトウェア(例えば、EXCELまたはVISUAL BASIC)に機能的に組み込むことができる。
本発明の前述および他の態様、実施形態、ならびに特徴は、添付の図面とともに、以下の説明からより完全に理解されうる。図面中では、同様の参照符号は、一般に、様々な図の全体を通じて同様の特徴および構造要素を指す。図面は、必ずしも一定の倍率であるというわけではなく、代わりに、本発明の原則を説明する上で強調されている。
(発明の詳細な説明)
様々な態様で、本教示は、生体試料中の生体分子の同定および/または分析を容易にする。予備分離技術を含む予備処理に生体試料をかけることができる。例えば、細胞または組織を抽出して、異なる細胞下画分(例えば、細胞の異なる部分で見出されるタンパク質または薬剤)中の生体分子の別々の分析のために細胞下分画にかけることができる。免疫沈降を実行して、タンパク質等の抗原性に関連する生体分子を同定することができる。
本明細書で用いられるように、用語「生体分子(biomolecule)」とは、生体試料中に存在する任意の有機分子を指し、限定はされないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、オリゴ糖、脂質、ステロイド、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、および核酸(DNAおよびRNAを含む)が挙げられる。したがって、様々な実施形態で、該方法は、結果主導型取得ストラテジーを用いて、生体試料中のタンパク質を同定および/または特徴づけすることを容易にする。本明細書で用いられるように、用語「タンパク質(protein)」としては、限定はされないが、非修飾タンパク質および修飾タンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質および非グリコシル化タンパク質)両方が挙げられる。
本明細書で用いられるように、用語「生体試料(biological sample)」とは、任意の生物から得られるか、排出されるか、または分泌される任意の固体または液体試料を指し、該生物としては、限定はされないが、単細胞微生物(例えば、細菌および酵母)および多細胞生物(例えば、植物、および健康または外見上健康なヒト被験体あるいは診断または検査すべき症状または疾患に冒されたヒト患者を含む動物)が挙げられる。例えば、生体試料は、例えば、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、房水、ガラス体液、または任意の体分泌物、濾出液、浸出液(例えば、膿瘍あるいは感染または炎症の任意の他の部位から得られる液体)、または関節から得られる液体(例えば、正常関節、あるいは関節リウマチ、変形性関節症、痛風、または化膿性関節炎等の疾患に冒された関節)から得られる生体液でありうる。生体試料は、任意の器官または組織(生検または剖検検体を含む)から得られる試料でもありうるか、あるいは細胞(1次細胞または培養細胞)または任意の細胞、組織、もしくは器官によって条件づけられる培地を含むことができる。
適当な試料調製手順としては、限定はされないが、MALDI法によって処理されることが可能な試料アレイを生成する手順が挙げられる。例えば、液体クロマトグラフィー、1D電気泳動、2D電気泳動、タンパク質分離、組織レーザー顕微解剖、およびプロテオリシスの1種類以上を用いて、生体試料をその構成要素成分に分離して、MALDI MS分析をおこなうことができるようにMALDIプレート上の連続試料としてまたは別々の試料部分として堆積のための試料を生成することができる。例えば、実質的に全体のタンパク質、ペプチド(例えば、生体試料中のタンパク質のプロテオリシスによって産生される)、またはそれらの組合せに関してMALDI MS分析をおこなうことができる。
例えば、連続的またはオンラインMALDI MS系で用いるための試料を形成する1つの適当なアプローチについては、米国特許第6,175,112号(2001年1月16日発行)に開示されており、その開示全体を本明細書に援用する。キャピラリー液体クロマトグラフィー装置等の注入装置から基板上に液体試料を連続的に析出して、試料を提供する狭い幅の固体トレースを形成し、ここで、例えば、その一部分を、その後、パルス・レーザー光等で脱離させ、MSによって分析されうるイオン化気体試料を形成することができる。
様々な実施形態で、該方法は、生体分子を含有する試料をMALDIによるイオン化に適した複数の試料部分として提供する。該複数の試料部分は、別々の部分(例えば、一連のスポット)、実質的に隣接する部分(例えば、試料の連続バンド)、または両方の組合せでありうる。該試料部分は、MALDI質量分析計とともに用いるのに適した基板上で提供される。該方法は、1つ以上の試料部分の1つ以上の質量スペクトルを取得して、質量信号(質量ピークとも言及される)のリストを含む第1のデータ・セットを生成する。各質量信号は、関連する強度(イオンの存在量に関連する)および関連する質量(イオンの質量電荷(m/z)比に関連する)を有する。発現にもとづく分析、質量分析データ分析、および検索結果にもとづく分析の1種類以上を用いて第1のデータ・セットを分析して、前駆体選択基準の第1のセットを生成する。その後、前駆体選択基準の第1のセットにもとづいて、MS/MSまたはMSによる更なる分析のために1つ以上のm/z範囲を選択する。該方法は、前駆体選択基準の第1セットにもとづいて更なる分析のために選択された1つ以上のm/z範囲に対する1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルを取得する。様々な実施形態で、フラグメンテーション・スペクトルの1つ以上を分析して、試料中の1つ以上の生体分子を同定する。様々な実施形態で、該方法は、発現依存的データ中の試料バイアスを補正することを含む。
本明細書で用いられるように、「発現にもとづく分析(expression based analysis)」とは、例えば、検査中の試料中か、検査中の試料と対照試料との間か、または両方の生体分子の差次的発現にもとづく分析を指す。
発現にもとづく分析を用いる様々な実施形態で、更なるMS/MSまたはMS分析質量信号に対する質量信号の選択は、発現比にもとづく。発現にもとづく分析を用いるペプチドおよびタンパク質の分析の様々な実施形態では、該方法は、同位体コード・アフィニティー・タグ(ICAT)を含む定量化方法論を用いて、定量情報(すなわち、差次的標識対の相対的存在量)を提供する。様々な実施形態で、同位体質量信号間の発現の相対的相違にもとづいて、MS/MSまたはMSによる付加的なMS処理のために質量信号を選択する。例えば、様々な実施形態で、相対的発現比で3倍より大きい相違を有する同位体質量信号を選択して、MS/MSまたはMSによる付加的なMS処理にかける。様々な実施形態で、質量信号は、該質量信号が上方制御されるか、または下方制御されるかにもとづいて選択される。
実験試料および対照試料を用いる様々な実施形態では、該実験試料(検査中の試料)と対照試料との間で変化しない、生体試料中の大部分のタンパク質を表す中央発現比を算出することができる。様々な実施形態で、中央または平均発現比を用いて、例えば、不同量の出発材料または試料取り扱い上の間違いが原因である、研究での発現レベルに影響する系統的バイアスを補正することができる。例えば、発現にもとづく分析を用いる様々な実施形態で、中央発現比からの2より大きい標準偏差の発現比を持つ各重軽(HL)対由来の最も強度のピークを選択して、付加的なMS/MSまたはMS処理にかける。
本明細書で用いられるように、「質量分析データにもとづく分析(mass spectrometric data based analysis)」とは、例えば、質量信号の信号強度にもとづく分析を指す。本明細書で、用語「信号強度(signal intensity)」とは、強度が絶対的信号強度であるか、補正された信号強度であるか、相対的信号強度であるか、または信号対雑音(S/N)パラメータであるかに関わらず、質量信号に関連する強度を指すことを意味する。様々な実施形態で、質量分析データにもとづく分析は、(1)絶対的質量信号強度、(2)相対的質量信号強度、(3)S/N閾値を基準とした質量シグナル強度、および(4)質量信号ピーク面積の1種類以上にもとづいて、更なるMS/MSまたはMS分析のために質量電荷比範囲を選択する。
様々な実施形態で、質量分析データにもとづく分析は、より低い強度を用いて検出される更なるMS/MSまたはMS分析のための質量ピークを選択することを含む。例えば、より低い強度を用いて検出される各試料部分中の少量成分の同定は、初めに、試料の多くが消費される前に、該少量成分の同定を容易にする。更なる試料の消費に応じて、より低い強度を用いて生体分子を検出することがより難しくなるので、より低い強度を用いて検出される質量強度の以降のMS/MSまたはMS分析を優先させることが望ましい。様々な実施形態で、MS/MSまたはMS分析のために、一質量スペクトル当たりn個の最も強度のピークを選択する。nに対する数値の例としては、限定はされないが、約1から約6の範囲のnの数値が挙げられる。nに対する数値を、例えば、コンピュータ・リソースにもとづいて選択することができる。例えば、質量スペクトルが1個の96ウェルMALDI試料プレート上の各試料スポットに考えられる場合、n=4を用いると、384個のピークが選択されることになりうる。質量スペクトルが10個の96ウェルMALDIプレート上の各試料スポットに考えられる場合、3000個を上回るピークが選択されうる。様々な実施形態で、1つの質量スペクトルからすでに選択されたピークは、他の質量スペクトルでn個の最も強度のピークのうちの1つとして、考慮から除かれる。様々な実施形態で、MS/MSまたはMS分析のための選択されたm/z比範囲のリストを校正して、重複するm/z比範囲を除外する。
例えば、対応する第1の質量電荷比範囲を有する第1の質量信号は、2つ以上の質量スペクトルでn個の最も強度の基準を満たす。様々な実施形態で、(1)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も弱いものである場合、(2)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も強いものである場合、(3)第1の質量信号が最高の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合、または(4)第1の質量信号が最低の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合に、該第1の質量信号を、質量スペクトル中「のみ(only)」でn個の最も強度のピークのうちの1つとみなす。
様々な実施形態で、一質量スペクトル当たりn個の最も強度のピークを最初に選択し、対応する質量電荷比範囲上で、最初に選択されたピークの最も弱いものから最も強いものへ、あるいは最初に選択されたピークの最も強いものから弱いものへとMS/MSまたはMS分析を開始する。様々な実施形態で、MS/MSまたはMS分析の結果を用いて、1つ以上の質量信号に生体分子アイデンティティを割り当て、どの質量電荷比範囲をMS/MSまたはMS分析にかけるかを校正する。
例えば、1つ以上の試料部分から第1の質量電荷比範囲に対して1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルを得ることができ、該1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルにもとづいて、生体分子アイデンティティを対応する質量信号と、該第1の質量電荷比範囲に対応する該質量信号に割り当てた生体分子源(例えば、ペプチド生体分子同定のための親タンパク質)とに割り当てる。生体分子源割り当てにもとづいて、1つ以上の他の初めに選択されたピークのアイデンティティも、これらの他のピークの質量電荷比範囲のMS/MSまたはMS分析なしで割り当てる。様々な実施形態で、これらの他のピークの1つ以上に対応する質量電荷比範囲は、更なるMS/MSまたはMS分析にかけない。
様々な実施形態で、最も強度の質量ピークの約80%未満の強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、最も強度の質量ピークの約70%未満の強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、中央質量ピーク強度の約80%未満の強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、中央質量ピーク強度の約70%未満の強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、平均質量ピーク強度の約80%未満の強度を持つ質量ピークを選択する。様々な実施形態で、平均質量ピーク強度の約70%未満の強度を持つ質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より低い強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。
様々な実施形態で、質量分析データにもとづく分析は、より高い強度を用いて検出される更なるMS/MSまたはMS分析のための質量ピークを選択することを含む。例えば、様々な検査では、試料中に存在する最も多数を占める生体分子を同定することが望ましい。様々な実施形態で、最も強度の質量ピークの約90%より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、最も強度の質量ピークの約80%より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、中央質量ピーク強度の約90%より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、中央質量ピーク強度の約80%より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、平均質量ピーク強度の約90%より大きい強度を持つ質量ピークを選択する。様々な実施形態で、平均質量ピーク強度の約80%より大きい強度を持つ質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より大きい標準偏差で、平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ1つ以上の質量ピークを選択する。
本明細書で用いられるように、「検索結果にもとづく分析(search result based analysis)」とは、例えば、既知または予測の質量スペクトルとMS分析によって生成される1つ以上の質量スペクトルの1つ以上の少なくとも一部分との比較にもとづく試料中の1つ以上の生体分子の推定上の同定にもとづく分析を指す。様々な実施形態で、既知または予測の質量スペクトルの基準データと測定された質量を比較する。例えば、ペプチド・マス・フィンガープリント法(PMF)技術を用いて、推定上の同定を提供することができる。様々な実施形態で、データベース中の質量スペクトルへのマッチ(特定の信頼区間内の)に関連する1つ以上の質量シグナルを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。例えば、マッチしたピークを選択し、MS/MSまたはMSによってさらに分析して、データベースによって決定された推定上の同定を確認することができる。様々な実施形態で、初期検索結果が決定的でない場合、例えば、決定的でないマッチに対応するより高い強度質量信号、決定的でないマッチに対応するより低い強度質量信号、または両方の組合せをMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択する。様々な実施形態で、データベース中の質量スペクトルへのマッチ(特定の信頼区間内の)に関連する1つ以上の質量信号は、更なるMS/MSまたはMS分析に対する考慮から除かれる。例えば、マッチしたピークを考慮から除くことができ、m/z比範囲に関連する残りのマッチしていないピークの1つ以上をMS/MSまたはMS分析のために選択することができる。
様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応するn個の最も強度の質量ピークをMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択する。nに対する数値の例としては、限定はされないが、約1から約6の範囲のnの数値が挙げられる。nに対する数値を、例えば、コンピュータ・リソースにもとづいて選択することができる。様々な実施形態で、1つの質量スペクトルからすでに選択されたピークは、他の質量スペクトルでn個の最も強度のピークのうちの1つとして、考慮から除かれる。
例えば、対応する第1の質量電荷比範囲を有する第1の質量信号は、2つ以上の質量スペクトルでn個の最も強度の基準を満たすとみなす。様々な実施形態で、(1)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も弱いものである場合、(2)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も強いものである場合、(3)第1の質量信号が最高の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合、または(4)第1の質量信号が最低の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合に、該第1の質量信号を、質量スペクトル中「のみ(only)」でn個の最も強度のピークのうちの1つとみなす。
様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する最も強度の質量ピークの約90%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する最も強度の質量ピークの約80%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度の約90%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度の約80%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度の約90%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度の約80%より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より大きい強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。
様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチに対応するn個の最も強度でない質量ピークをMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択する。nに対する数値の例としては、限定はされないが、約1から約6の範囲のnの数値が挙げられる。nに対する数値を、例えば、コンピュータ・リソースにもとづいて選択することができる。様々な実施形態で、1つの質量スペクトルからすでに選択されたピークは、他の質量スペクトルでn個の最も強度のピークのうちの1つとして、考慮から除かれる。例えば、対応する第1の質量電荷比範囲を有する第1の質量信号は、2つ以上の質量スペクトルでn個の最も強度の基準を満たすとみなす。様々な実施形態で、(1)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も弱いものである場合、(2)第1の質量信号が質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうち最も強いものである場合、(3)第1の質量信号が最高の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合、または(4)第1の質量信号が最低の絶対的信号強度を有し、かつ質量スペクトル中でn個の最も強度のピークのうちの1つである場合に、該第1の質量信号を、質量スペクトル中「のみ(only)」でn個の最も強度のピークのうちの1つとみなす。
様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する最も強度の質量ピークの約80%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する最も強度の質量ピークの約70%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度の約80%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度の約70%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度の約80%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する質量ピークを選択する。様々な実施形態で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度の約70%未満の強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する中央質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約1より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約2より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約3より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。様々な実施形態で、約4より多い標準偏差で、決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する平均質量ピーク強度より低い強度を持つ決定的でないマッチまたはマッチ無しに対応する1つ以上の質量ピークを選択する。
様々な実施形態で、液体クロマトグラフィー(LC)カラムから溶出する生体試料の画分を、MALDI手順によるMS装置中への導入用の基板上で、異なる試料としてまたは連続試料として、処理および析出する。該試料を飛行時間質量分析計(TOF−MS)によって分析して、複数の生体分子のアイデンティティおよび相対的存在量を表す質量ピークの1つ以上のスペクトルを生成することができる。MSプロセスによって生成される1つ以上のスペクトルにもとづいて、どの生成ピークが以降のMS/MSプロセスによる更なる分析の根拠となるかの決定をおこなうことができる。検索結果にもとづく分析の様々な実施形態では、質量スペクトルのピーク・リストをコンピュータに保存することができ、既知または理論上の質量スペクトルと試料質量スペクトルに含まれる情報を相関させることによって、1つ以上のピークに対応する生体分子を同定することができる。同定結果にもとづいて、1つ以上のピークに関連する生体分子を更なるMS/MS分析および同定のために選択することができる。発現にもとづく分析の様々な実施形態および質量分析にもとづく分析の様々な実施形態では、MSプロセスを利用して、更なるMS/MS分析および同定のために選択されうる生体分子の相対的存在量を表す質量ピークの1つ以上のスペクトルを生成することができる。試料の複数の部分を基板上で析出する(例えば、異なる試料として、または増量された試料として)ので、試料の初期の部分を分析したのと同じ方法で、試料の別の部分をMALDI MS/MSプロセスによって再分析することができる。例えば、単一のスポットまたはMALDI試料プレートは、複数の再分析のための十分な材料を含有することができる。初期分析で得られる知識にもとづいて、例えば、取得またはピーク検出のためのレーザー・ショットの数を調整すること、あるいは再処理または以降の分析のための設定を脱同位体化する(deisotoping)こと等の調整を以降の分析中でおこなうことができる。したがって、初期分析から得られる結果にもとづいて、所定の試料の分析を繰り返すことができる。
本発明の方法を実行するための適当な器具としては、限定はされないが、MALDI MS/MS器具およびMALDI MS器具が挙げられる。適当な器具は、MS関連データを管理および保存するためのリレーショナル・データベースまたはオブジェクト指向データベース含むことができる。適当な器具は、LC装置を含むことができ、該LC装置では、別々のスポットまたは別々のスポットのセットが従来からのクロマトグラフィー画分に対応するように、MALDIプレート上に、LC装置から生じた液体画分を1次元または多次元マイクロキャピラリー液体クロマトグラフィー(μLC)等の注入装置から直接析出して適当なマトリックスと混合することができる。様々な実施形態で、該従来からのクロマトグラフィー画分は、生体分子の異なる試料に対応する。
試料を装着した後、質量分析計中のイオン源室にMALDIプレートを置くことができ、パルス・レーザー光等で該試料の一部分を脱離して、MSによって分析されうるイオン化気体試料を形成して、質量スペクトルを生じることができる。該MALDIプレート上および他のMALDIプレート上の他の試料部分に対して、プロセスを繰り返して、更なる質量スペクトルを生じることができる。これらの質量スペクトルの1つ以上にもとづいて、その後、1つ以上のm/z範囲をMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択する。試料中の1つ以上の生体分子の同定に対する確実な結果を導き出すことができるまで、修正されたプロセス・パラメータを持つ試料の他の部分を用いて、MSおよびMS/MS走行、定量化、ならびに同定のプロセスを繰り返すことができる。
様々な実施形態で、試料調製は、試料の構成要素を標準の構成要素と比較することによってどのように該試料が標準と差異を生じるかの決定を提供するように、試料に対して、検出可能な標識(例えば、同位体標識等の)で差次的に標識される標準を用いる。標準は、内部標準(例えば、試料と混合されるか、または試料とともにマトリックス中で共析出される)、外部標準(例えば、試料として実質的に同条件下で調製されるか、あるいは試料部分とは別の1つ以上の部分で、MALDIプレート上で析出される)、または両方の組合せでありうる。
様々な実施形態で、検査中の試料がどのように標準試料または対照試料と差異を生じるかの決定は、例えば、(1)試料が、例えば、病状を示すかどうか、(2)試料が薬剤、環境的変化等の刺激に対してどのように反応するか、(3)質量スペクトルの質量尺度の較正についての情報、(4)質量スペクトルの強度尺度の較正についての情報、および(5)1つ以上の質量スペクトルまたはフラグメンテーション・スペクトルにもとづいた生体分子同定に対する信頼度を評価するため、または信頼度閾値を設定するための情報の1種類以上に関する情報を提供することができる。
様々な態様で、本教示は、生体分子を含有する試料を分析するための方法を提供し、該方法は、様々な実施形態で、生体分子を含有する試料中の生体分子の同定を容易にする。図1を参照すると、生体分子を含有する試料を分析するための方法の様々な実施形態を説明する流れ図100が示される。様々な実施形態で、該方法は、生体分子を含有する試料の複数の試料部分を提供することによって開始(102)する。様々な実施形態で、1つ以上の試料に対する1つ以上の試料部分の質量スペクトルを取得(104)し、様々な実施形態で、質量信号のリスト106を含むデータ・セットを生じる。
該データ・セットをデータベースに(例えば、質量分析器具のコンピューター・システム中に、またはコンピュータ可読媒体上で)保存することができる。該データベースを用いて、例えば、スペクトルを得た試料部分の位置情報および質量スペクトルを得る際用いられる実験パラメータ等のプロセス情報を保存することもできる。例えば、質量スペクトルは、通常、試料プレート上の同じ試料位置に向けられる多数のレーザー・ショットの平均である。様々な実施形態で、バーコード等によって、各試料プレートをコード化することができ、xおよびy座標によって、プレートの各試料をアドレス指定して、データベースに保存されたピーク・リストに相関されうるプレートの端から端までの試料に対する固有位置を定義することができる。例えば、位置情報を保存することは、固有のアドレス指定可能な位置によって、特定の試料の以降のMS/MSまたはMS分析、あるいはMS再分析を容易にする。
図1を再び参照すると、発現にもとづく分析110、質量分析データにもとづく分析112、および検索結果にもとづく分析114の1種類以上を用いて、1つ以上の質量スペクトルを分析(108)して、MS/MSまたはMSによる分析のための1つ以上の質量電荷比(m/z)範囲を選択(116)する。様々な実施形態で、1つ以上の質量スペクトルの分析108は、該1つ以上の質量スペクトルの分析108で生成されるデータにもとづいて、前駆イオンのm/z範囲を選択するための選択基準の第1のセットを生成する。発現にもとづく分析110、質量分析データにもとづく分析112、および検索結果にもとづく分析114の2種類以上による質量スペクトルの分析108を、実質的に平行してか、連続してか、あるいはそれらの組合せでおこなうことができる。例えば、質量スペクトルの電子コピーおよび/または質量信号の対応するデータ・セットを分析のために実質的に平行して送信することができる。1つの分析の結果は、別の分析を開始または改良するための基礎でありうる。例えば、質量分析データにもとづく分析112の結果を用いて、検索結果にもとづく分析114を開始または改良(118)することができる(例えば、異なるパラメータを用いた再分析によって)。例えば、検索結果にもとづく分析114の結果を用いて、質量分析データにもとづく分析112および/または発現にもとづく分析110を開始または改良することができる(例えば、MS/MSまたはMS分析に対する考慮から特定のピークを除くことによって)。様々な実施形態で、1つ以上の質量スペクトルの分析108の結果は、付加的な質量スペクトルの取得120を開始するための基礎でありうる。例えば、付加的な質量スペクトル取得して、初期の質量スペクトルに付加して、信号対雑音(S/N)を向上することができる。
様々な実施形態で、初期の1つ以上の質量スペクトルは、単一のレーザー・パルスによって生成されるスペクトルでありえ、結果として生じる質量スペクトルに対する特定の質計量に達するまで、付加的な質量スペクトルを1つ以上の初期の質量スペクトルに付加することができる。例えば、所定の信号対雑音比を超えるピーク数または所定の全イオン計数を超えるスペクトルの画分等の基準にもとづいて、各質量スペクトルに対して、質計量を生じることができる。
図1を再び参照すると、様々な実施形態で、発現にもとづく分析110は、差次的標識試料の発現比を決定すること122を含み、試料バイアスを補正すること124を含むことができる。試料バイアスは、系統的誤差から生じえ、該系統的誤差としては、限定はされないが、不同量の出発材料または試料取り扱い上の間違いが挙げられる。中央発現比または平均発現比を用いて発現比を調整することによって、バイアスに対して、発現比を補正することができる。様々な実施形態で、発現にもとづく分析110は、1つ以上の質量スペクトルに対する定量情報(すなわち、差次的標識対126の相対的存在量)126のデータ・セットを生成する。
様々な実施形態で、発現にもとづく分析は、前駆体選択基準、すなわち、更なるMS/MSまたはMS分析のための質量電荷比範囲を選択するための基準を生成し、該前駆体選択基準は、質量電荷比範囲に関連する質量信号(MS質量スペクトルの質量信号)によって満たされる以下の基準、すなわち、(1)質量信号がその差次的標識パートナーを基準にして、発現レベルで2倍より大きい変化を示すこと、(2)質量信号およびそのパートナーの発現レベル比が平均発現レベル比分布から2より多い標準偏差離れていること、(3)質量信号発現レベル(例えば、信号強度)が特定の信号対雑音(S/N)閾値より大きいこと、(4)質量信号がその差次的標識対の最も強度のピークであること、(5)質量信号が上方制御されること、および(6)質量信号が下方制御されることの1種類以上を必要とする。
様々な実施形態で、質量分析データにもとづく分析は、質量電荷比範囲に関連する質量信号(1つ以上のMS質量スペクトルの質量信号)に対する以下の基準、すなわち、(1)絶対的質量信号強度、(2)相対的質量信号強度、(3)S/N閾値を基準にした質量信号強度、および(4)質量信号ピーク面積の1つ以上にもとづく前駆体選択基準を生成する。
様々な実施形態で、質量分析にもとづく分析は、質量除外リストを含み、例えば、対象ではない質量範囲、質量カットオフを下回るまたは上回る質量、既知の夾雑物に関連する質量、付加物、および検索結果にもとづく分析によって同定(特定の信頼区間内で)された質量信号を除外することができる。様々な実施形態で、質量分析にもとづく分析は、成功的に析出されたMALDIスポット中の特定の質量許容差ウィンドウ内のピーク質量から生じうる対応するピークのLC溶出プロファイルによって測定された一連の質量スペクトルにわたるピーク・クラスタ面積の強度にもとづいて、MS/MSまたはMSによる更なる分析のための質量信号を選択する。
図1を再び参照すると、検索結果にもとづく分析114は、既知または予測の質量スペクトルと1つ以上の質量スペクトルの少なくとも一部分とを比較して、1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号に潜在的アイデンティティを割り当てること(128)を含む。一質量信号当たり1つより多い潜在的アイデンティティを割り当てることができる。例えば、ペプチド・マス・フィンガープリント法(PMF)技術を用いて、1つ以上の質量スペクトル中の質量信号に潜在的アイデンティティを割り当てることができる。様々な実施形態で、アイデンティティ割り当てをランク付けするか、信頼水準に割り当てるか、また両方をおこなう。様々な実施形態で、検索結果にもとづく分析114は、質量信号のリストおよびそれらのアイデンティティ割り当て130を含むデータ・セットを生成する。質量信号のリストおよびそれらのアイデンティティ割り当て130を含むデータ・セットは、割り当てのランクおよび/または信頼水準に関する情報をさらに含む。
様々な実施形態で、検索結果にもとづく分析は、前駆体選択基準を生成し、該前駆体選択基準は、質量電荷比範囲に関連する質量信号(1つ以上のMS質量スペクトルの質量信号)によって満たされる以下の基準、すなわち、(1)約95%より大きい信頼水準で同定されること、(2)約90%より大きい信頼水準で同定されること、(3)約90%未満の信頼水準で同定されること、(4)約80%未満の信頼水準で同定されること、(5)約80%より大きく約90%未満の信頼水準で同定されること、(6)2つ以上の生体分子で同定されること、(7)対象である1つ以上の生体分子で同定されること、および(8)生体分子で同定またはマッチされないことの1種類以上を必要とする。
図1を再び参照すると、発現にもとづく分析、質量分析データにもとづく分析、および検索結果にもとづく分析の1種類以上によって生成される1つ以上の基準を用いて、前駆イオン(m/z範囲)をMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択することができる。例えば、検索結果にもとづく分析で95%の信頼閾値を上回るPMF検索結果スコアを有し、かつ10を超える信号対雑音および1000を超えるクラスタ面積を有する質量信号のm/z範囲を前駆イオンとして選択した。
図1を再び参照すると、選択された前駆イオンm/z範囲の1つ以上にある試料部分のうちの少なくとも1つのフラグメンテーション・スペクトルを取得(140)する。MS/MS取得および処理をMALDIタンデムTOF上で実行することができる。MS/MSおよび/またはMSを実行するための様々な他の適当な質量分析系についても後述する。
様々な実施形態で、フラグメント(娘)イオンの質量ピーク・リストを表すフラグメンテーション・スペクトルを親イオンのスペクトルと関連付け、データベース142に保存する。所定の信号対雑音比を超えるピーク数、所定の全イオン計数を超えるスペクトルの画分、所定の質量値にあるイミニウム・イオンの存在、あるいはリシンまたはアルギニンがペプチド・カルボキシ末端にあることを示すy1イオンの存在、あるいはICAT試薬由来質量の存在等の基準にもとづいて、各フラグメンテーション・スペクトルに対して質計量を生じることができる。
1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルの少なくとも一部分を既知または予測の質量スペクトルと比較して、試料中の1つ以上の生体分子に潜在的アイデンティティを割り当てる(144)。様々な実施形態で、フラグメンテーション・スペクトル・ピーク・リストを1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルから生成し、MS/MSイオンおよび配列データベースと比較して、1つ以上の質量信号に潜在的生体分子アイデンティティを割り当てる。1つ以上の質量信号の割り当てられた生体分子同定のリストをで生成(146)することができ、該リストは、例えば、定量情報を含むことができる。
割り当てられた生体分子同定にもとづいて、様々な決定(150)をおこなうことができる。様々な実施形態で、割り当てられた生体分子同定を用いて、生体分子が試料に存在するかを決定(150)することができる。様々な実施形態で、同定での十分な信頼が得られる(152)場合、生体分子を含有する試料の分析を完了することができる。例えば、データベース検索144またはMALDI再分析を修正されたパラメータを用いて開始することができ、これは、直ちに、または後で実行されうる。例えば、アミノ酸組成、質量タグ、または配列タグを考慮し、配列決定アルゴリズムを用いて、結果を確認(154)することができる。依然として確信をもって同定されないか、または同定されていないスペクトルを、例えば新規配列決定アルゴリズム154に送信した後、MS−BLAST検索をし、類似のタンパク質配列を同定することができる。
様々な実施形態で、反復MS取得155、MS/MSまたはMS取得156、および/あるいはMS/MSまたはMS同定も可能である。第1のパスで高信頼度で同定されたタンパク質を選択した後、検索パラメータの新規セットを用いて、すでに同定されたタンパク質のサブセットに対する検索144をおこなうことによって、反復データベース検索を実行することができる。様々な実施形態で、検索パラメータ反復をおこない、データ・セット中のより多くのピークを説明することを容易にし、かつ/または結果に対する信頼度を得る。例えば、見逃した、または非特異的な酵素切断、あるいは予想外の化学的および翻訳後修飾が原因で、複数のスペクトルが第1のパスで同定されない。タンパク質(同定済み)の相対的小セットに対して、第2のパス・データベース検索を実行することができるが、より多くの化学的および翻訳後修飾またはアミノ酸置換でさえを考慮して実行する。データベース配列と観察された配列との相違は、DNAシーケンシング誤り、突然変異または多型、選択的スプライシング形態、あるいはより広範な進化的変化が原因であり、データベース・エントリーは、真性のタンパク質ではないが異なる種由来の関連する配列でありうる。
様々な実施形態で、割り当てられた生体分子同定と定量情報を比較して、検索結果に矛盾があるかを評価することができる。定量情報と潜在的生体分子を割り当てる検索結果との間に矛盾があるとき、定量情報を補正(160)することができる。
様々な実施形態で、MS/MSまたはMS取得および分析の第1のラウンドで高信頼度で同定された生体分子(例えば、ペプチド)の理論上の質量を用いて、MSデータを再較正(160)することができる。様々な実施形態で、μLCペプチド溶出プロファイルに沿った成功的に析出されたスポット中の特定の許容差ウィンドウ内で、ピーク質量を同定することによって、MALDIプレート・ウェルの端から端までの再較正に対する基準質量の数を各理論上の質量に対して増加させることができる。再較正された前駆体に対してより厳格な検索許容差を設定することによって、かつ再較正されていないものに対して元の検索許容差を保つことによって、フラグメント・スペクトル検索144を繰り返して、付加的な、またはより高い信頼度ヒットを得るが、より少ない偽陽性同定を得ることも容易にすることができる。データベース検索スペースを増加させて、タンパク質にコンピューター(in silico)で由来するペプチドのばらつきを含むことによって、再較正されたMS質量をさらに検査して、さまざまな実施形態で、その後、以降のMS/MSまたなMS分析によって、推定的に同定されたペプチドおよび修飾を検証することができる。
様々な実施形態で、例えば、ICATTM試薬法等の同位体コード・アフィニティー試薬での生体分子の標識を用いて、質量スペクトルの発現にもとづく分析のための発現依存的データを提供することができる。様々な実施形態で、同位体標識タンパク質反応試薬(例えば、同位体コード・アフィニティー・タグ等の)を用いて発現にもとづく分析のための発現依存的データを提供することによって、MALDI質量分析法(例えば、MS、MS/MS、MS)を用いて、発現試料中の1つ以上のタンパク質の同定および定量化のための質量スペクトルを提供することができる。様々な実施形態で、発現にもとづく分析は、プロテオームの定量分析を容易にする。
様々な実施形態で、試料調製は、公開PCT特許出願WO 00/112084(その全内容を本明細書に援用する)に記載されるように、複合混合物から、ペプチド・フラグメントまたは所定のタンパク質との反応産物(例えば、酵素反応産物)の選択的単離を可能にする差次的同位体標識タンパク質反応試薬を利用する。様々な実施形態で、単離されたペプチド・フラグメントまたは反応産物は、それらの混合物中で、それぞれ、タンパク質の存在またはタンパク質機能、例えば、酵素活性の存在の特徴でありうる。質量分析技術によって、単離されたペプチド、反応産物、または両方を特徴付けて、細胞および組織で、タンパク質発現プロファイルの定量分析を可能にする。タンデム質量分析(MS/MS)技術または多次元的(MS)技術を用いて、単離されたペプチドの配列を決定することができる。例えば、種々の前駆イオンに対するフラグメンテーション・スペクトルを含むデータベース(例えば、MS/MSイオンおよび配列データベース)を検索することによって、シーケンシングされたペプチドが由来するタンパク質を同定する。様々な実施形態で、差次的同位体標識タンパク質反応試薬は、単離されたペプチドまたは反応産物の差次的同位体標識を可能にし、該差次的同位体標識は、質量分析法による異なる試料中のタンパク質の相対量の定量的測定を容易にする。様々な実施形態で、差次的同位体標識試薬は、試料中に存在する1つ以上のタンパク質または反応産物の絶対量の定量的測定を容易にする内部標準として機能することができる。
様々な実施形態で、同位体コード・アフィニティー標識タンパク質反応試薬は、3つの部分、すなわち、同位体標識リンカーを含む切断可能なリンカー基(L)を介してタンパク質反応基(PRG)に共有結合的に連結されるアフィニティー標識(A)を有する。該リンカーをタンパク質反応基(PRG)に直接結合することができる。アフィニティー標識タンパク質反応試薬は、式
A−L−PRG
を有することができる。例えば、リンカー中の1つ以上の原子をその安定同位体で置換することによって、該リンカーを差次的に同位体標識することができる。例えば、水素を重水素(H)で置換することができ、かつ/または12Cを13Cで置換することができる。13Cの利用は、逆相クロマトグラフィー中の重同位体および軽同位体の共溶出を促進する。
アフィニティー標識(A)は、多次元液体クロマトグラフィー(MDLC)等によって、試料中の反応タンパク質を未反応タンパク質から分離するための手段として機能する。様々な実施形態で、アフィニティー標識はビオチンを含む。タンパク質と試薬のPRG部分との反応後、MDLCを用いて、PRG部に結合された反応タンパク質から、試料の未標識成分を分離することができる。その後、切断可能なリンカー(L)の切断を、例えば、化学的、酵素的、熱的、または光化学的等におこなって、MS分析のための単離された材料を放出することができる。様々な実施形態で、リンカーは酸により切断可能でありうる。MS分析の前に、結合タンパク質を消化して、MSによって分析されうる結合ペプチドを含むペプチドを形成することができる。タンパク質消化工程は、切断可能なリンカーの切断の前または後におこなうことができる。
様々な実施形態で、酸性の切断可能なリンカーの挿入は、より小さく、かつより安定な標識を生じることができる。より小さく、かつより安定なリンカーは、より確実なタンパク質同定およびより広範なプロテオーム適用範囲を生じる強化MS/MSフラグメンテーションをもたらすことができる。
様々な実施形態で、ビオチン標識システイン含有ペプチドは選択的に単離されるので、ビオチン・アフィニティー標識を用いることは、ペプチド混合物の複雑性を有意に減少させることができる。例えば、NCBInrデータベース(v02.13.2003)は、9821個のS.セレビシエ(S.Cerevisiae))配列を含むが、トリプシンペプチド含有する30,095個の固有のシステインだけを含む。この数は、全S.セレビシエ(S.Cerevisiae)酵母プロテオーム(6,113個のタンパク質)の理論上のトリプシン分解物によって産生される、システイン残基を含有する予測の30,619個のペプチド(344,855個のペプチドから)と整合している。
PRG基の例としては、限定はされないが、(a)タンパク質官能基と選択的に反応して特定の部位でタンパク質をタグする共有または非共有結合を形成する基と、(b)タンパク質の作用によって変換されるもの、例えば、酵素に対する基質であるものとが挙げられる。様々な実施形態で、PRGは、特定のタンパク質基に対する特異的な反応性(例えば、スルフヒドリル基に対する特異性)を有する基でありうる。そのようなPRGは、例えば、一般的に、複合混合物中のタンパク質を選択的にタグするために有用でありうる。例えば、スルフヒドリル特異的試薬は、システインを含有するタンパク質をタグする。同位体コード・アフィニティー標識タンパク質反応試薬の付加的な実施形態については、前述のPCT特許出願に記載されており、更なる詳細を望む場合、該PCT特許出願を参照することができる。
様々な実施形態で、ペプチド中で通常見出される特定の基(例えば、スルフヒドリル、アミノ、カルボキシ、ホモセリン、ラクトン基)と選択的に反応するPRG基を、タンパク質を含有する混合物に導入することができる。様々な実施形態で、PRGとの反応後に、複合混合物中のタンパク質を、例えば、酵素的に、多数のペプチドへ切断する。様々な実施形態で、結果として生じるペプチドをMDLCによって単離し、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MALDI)等によって分析する。様々な実施形態で、その後、1つ以上のタグされたペプチドの配列をMS/MSまたはMS技術によって測定して、MS/MSまたはMSデータのデータベースを検索することによって、混合物に存在する1つ以上のタンパク質を同定することができる。いくつかの実施形態で、例えば、タンパク質が相対的に小さい場合、消化工程(例えば、酵素切断)は必要ではないかもしれない。
様々な実施形態で、タンパク質混合物を含有する1つ以上の異なる試料(例えば、生体液、細胞または組織溶解物等)中の定量的相対量のタンパク質を、同位体標識リンカー基を持つタンパク質反応基と切断可能に連結されるアフィニティー標識を含む化学的に同一かつ差次的同位体標識試薬で標識する。異なる試料から生じる標識ペプチドを差次的に同位体標識する。異なる試料とは、例えば、対照試料対異なる時間点由来の実験試料(例えば、組織学的配列を形成するための)、疾患試料対正常試料、実験試料対疾患試料等でありうる。様々な実施形態で、その後、処理試料を組合せ、組み合わせた試料中のタンパク質を、必要に応じて、酵素的に消化して、ペプチドを生成する。様々な実施形態で、異なる試料を実質的に等しい量で組み合わせる。様々な実施形態で、アフィニティー・クロマトグラフィーを用いるMDLCによって、標識ペプチドを単離し、リンカーから切断して、LC/MALDI MSによって分析する。MS/MSまたはMS技術を用いて、ペプチドのタンパク質起源に特有のペプチドをシーケンシングして、試料中に含有されるタンパク質のペプチドを同定することができる。様々な実施形態で、発現にもとづく分析は、各試料中の所定のタンパク質の相対量を、そのタンパク質に由来する差次的標識ペプチドから生じるイオンの相対存在量を比較することによって測定する。様々な実施形態で、発現にもとづく分析は、タンパク質発現レベルを示すことができる異なる試料中の既知のタンパク質の相対量を評価する。
様々な実施形態で、ペプチドのサブクラス(例えば、リン酸化)および/または多重化に焦点を当てる同位体コード・アフィニティー標識タンパク質反応試薬を用いることができるので、1回の実験走行内で、例えば、複数の突然変異菌株を野生型と比較することができるか、あるいは時間経過シナリオで、複数の投与量レベルを基線に対して評価することができるか、あるいは癌組織の異なる単離物を正常組織に対して評価することができる。
様々な実施形態で、同位体コード・アフィニティー標識タンパク質反応試薬を用いる発現にもとづく分析を用いて、例えば、MS/MSまたはMSによる更なる分析のためにPTM、定存在量のタンパク質、または両方を選択することを容易にする前駆体選択基準を決定することによって、例えば、翻訳後修飾(PTM)を明らかにすることと、付加的な(相対的に)低存在量のタンパク質を同定することとができる。様々な実施形態で、発現にもとづく分析を用いる前駆体選択基準の決定は、分析器具リソースおよび時間を対象のタンパク質を研究することに集中させる。様々な実施形態で、そのような選択アプローチ対ショットガン・アプローチ(例えば、全ての質量ピーク上でMS/MSを実行する)は、試料スループットを増加させることができる。
様々な実施形態で、発現依存的分析を適用して、細胞、組織、または生体液中で差次的発現を示すタンパク質をスクリーニングおよび同定することができる。様々な実施形態で、発現依存的分析は、差次的発現データにもとづいて、前駆体選択基準を決定する。様々な実施形態で、MS分析によって取得された質量スペクトル中の対応する質量ピークのセットに対する強度の相違は、試料中の大部分のタンパク質の予測の一定生物学的発現プロファイルからの相違を明らかにすることができる。
例えば、図2Aは、名目上等しい量のノックアウトおよび野生型試料材料を比較する場合の、ナンセンス媒介mRNA減衰(nonsense mediated mRNA decay (NMD))2ノックアウト菌株を基準にした、野生型のサッカロマイス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)中のタンパク質差次的発現レベルの分布200を表にする。図2Aは、様々な相対的発現レベル比206(野生型:NMD2)を有するタンパク質の数204を表にする。野生型および突然変異試料由来の発現レベルは厳密に等しくはないことと、分布の平均208は、1.2付近であり、標準偏差が0.293であることとに注記する。バイアスは、例えば、不同量の出発材料または試料取り扱い上の誤りが原因でありうる。様々な実施形態で、中央発現比または平均発現比を用いて発現比を調整することによって、発現比をバイアスに対して補正することができる。
様々な実施形態で、発現依存的データにもとづいて、基準(前駆体選択基準)のセットを用いて選択されたピーク上で、MS、MS/MS、またはMSを用いる更なる分析を実行することができる。様々な実施形態で、発現にもとづく分析で選択されるピークは、2倍閾値(例えば、0.5を下回るか、または2.0を上回る発現レベル比)を上回る発現変化を立証するピーク、発現比が平均値からの一定の標準偏差(σ)であることを立証するピーク、またはこれら両方のピークのみである。例えば、図2Bは、図2Aの分布210の中心付近の様々な標準偏差帯域内にあるタンパク質の数を表にする。図2aは、1の標準偏差214内、1ないし2の標準偏差(σ)216、2ないし3のσ218、3ないし4のσ220、4ないし5のσ222、および5ないし6のσ224にあるタンパク質212の数を表にする。図2Aおよび2Bでは、4の標準偏差は、発現レベルの2倍変化にほぼ対応する。
様々な実施形態で、以下の基準、すなわち、(1)質量信号が、その同位体パートナーを基準にして、発現レベルで2倍より大きい変化を示すこと、(2)質量信号およびその同位体パートナーの発現レベル比が平均発現レベル比分布から2より多い標準偏差離れていること、(3)質量信号発現レベル(例えば、信号強度)が特定の信号対雑音(S/N)閾値より大きいこと、(4)質量信号がその同位体対の最も強度のピークであること、(5)質量信号が上方制御されること、および(6)質量信号が下方制御されることの1種類以上が質量電荷比範囲に関連する質量信号(1つ以上のMS質量スペクトルの質量信号)によって満たされる場合、発現にもとづく分析は、更なるMS/MSまたはMS分析のために質量電荷比範囲を選択する。
図3を参照すると、発現依存的分析の発現依存的データを用いるMS/MSまたはMSによる更なる検査のためのピークの選択に対する様々な実施形態を説明することができる。図3は、一連の仮説的軽/重同位体対(a〜g)を示す。例示されるように、質量対b301および質量対f303は、平均比から2より多い標準偏差離れる同位体比を有し、質量対b301は、発現レベルの2倍より大きい変化を示す唯一の対である。直前の段落中の(1)の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、対b301の質量信号に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。直前の段落中の(2)の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、対b301および対f303の質量信号に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。直前の段落中の(3)の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、S/N閾値304より上の質量信号に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する(ここでは、質量対aおよびcないしgと、対bの軽同位体質量305と)。直前の段落中の(1)および(4)301の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、質量対b301の最も強度の質量信号(軽同位体)305に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。直前の段落中の(2)および(4)の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、質量対b301の最も強度の質量信号(軽同位体)305および質量対f303の最も強度の信号(重同位体)307に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。直前の段落中の(1)、(2)、および(4)の前駆体選択基準を用いる様々な実施形態では、質量対b301の最も強度の質量信号(軽同位体)305に関連する質量電荷比範囲のみを更なるMS/MSまたはMS分析のために選択する。
図4を参照すると、様々な実施形態で、発現データ依存的ワークフローのための方法が流れ図400中で示され、該流れ図400では、左欄402は、一連の工程を説明し、右欄404は、工程を達成するためのツールの比限定的な例を説明する。図4中の発現データ依存的ワークフローは、データ処理工程の様々な実施形態を提示するものであり、例えば、上流試料調製、試料標識、試料プーリング、試料消化(例えば、トリプシンを用いて)、強カチオン交換(SCX)による分画、またはアフィニティー単離および切断を説明するものではない。図4については、タンパク質を含有する試料の前後関係で論じられる。種々のソフトウェア・ツールについて、図4の前後関係で論じられる。Peak PickerTM(Applied Biosystems)、Peak ExtractionTM、ParserTM、およびQuantFixerTMは、Mascot配列検索プログラムによって同定されるペプチドおよびタンパク質を定量およびオーガナイズし、リレーショナル・データベースにMS、MS/MS、定量化、および同定に関連する情報をリンクおよび保存するために用いられうるソフトウェア・ツールである。
図4を参照すると、様々な実施形態で、発現データ依存的ワークフローは、ICAT試薬法を用いる試料調製を含む。アフィニティー単離および切断後に保持されるペプチド混合物をμLCによってさらに分離(406)して、画分収集器407によってMALDIプレート上に収集する。その後、MS分析408をMALDIタンデムTOF409上で実行し、MSモードで操作して、1つ以上の質量スペクトルを取得する。定量化のための再現性相対ピーク存在量を生成するために、レーザー・ショット数および検索パターン位置を最適化することができる。更なるMS/MS分析のための前駆体を選択するためのMSデータの定量化および発現にもとづく分析410をPeak Pickerソフトウェア・ツール411を用いて実行することができる。
Figure 2005536728
i:=2ないしN、N=閾値(例えば、>95%、p<0.05)より大きいMS/MSイオン検索信頼度に関連するペプチドの数
j:=2ないしM、M=ペプチド溶出プロファイルに沿った対の数、ここでI(j)+I(j)>0
Peptide(j)=(I重(j)/I軽(j))/η
ν=I軽(j) 重(j)/(I軽(j)+I重(j))、または定数=1に設定することができる。
ω=最大(所定の信頼度閾値より大きい軽/重ペプチド対のMS/MSイオン検索スコア)
軽(j)=軽ペプチド対jの統合同位体クラスタ面積
重(j)=重ペプチド対jの統合同位体クラスタ面積
η=標準化因子(例えば、全てのI重(j)/I軽(j)推定ペプチド比の中央値)
標準化比XPeptide(j)への質量の寄与を、該質量が他のペプチドの特定の質量ウィンドウ内にある場合、計算から除外することができる。これによって、最終的な平均結果から、オーバーラップするペプチド・ピーク由来の潜在的干渉を除くことができる。
様々な実施形態で、Peak Pickerソフトウェア・ツールを次のように用いることができる。隣接するスポットからHL比の強度加重平均を得ることによって、ICAT試薬発現値を計算することができ、この際、例えば、Iが重同位体質量の強度を表し、かつIがHL対の軽同位体質量の強度である表1の方程式2および2.1を用いてHL対が識別できる。様々な実施形態で、プログラムは、HL対の全ての組合せに対してピーク・リストを、すなわち、1つのシステイン(cys)を含有するペプチドに対して9amuHLHL対を、2つのcysを含有するペプチドに対して18個amu対をというように検索する。不同量の出発材料または試料取り扱い上の誤りが原因となりうる、研究での発現レベルに影響する系統的バイアスを中央発現比ηを用いた標準化によって補正することができる。例えば、表1の方程式2.1を用いて比の対数を得ることによって、標準化された対の対称的に中央に置かれた発現分布を生成することができる。発現にもとづく分析の様々な実施形態では、発現閾値(例えば、2倍以上の変化、平均値または中央値からの2より大きいσの発現比)をパスする質量信号のみを前駆体とみなす。さらに、基準をフィルタリングする1つ以上の信号対雑音比、最小限のピーク面積、質量範囲、除外、および付加物を満たす非差次的発現対または/および単集合ピークを更なるMS/MSまたはMS分析のために包含することができる。例えば、ICAT試薬HL対の最も強度のもののみ、すなわち、常に、軽いものか、重いものかを更なるMS/MSまたはMS分析のための前駆体として選択することができる。
様々な実施形態で、Peak Pickerソフトウェア・ツールは、フラグメンテーションのために送信すべき前駆体質量のリストを生成し、MALDIプレート・ウェル・スポットを決定し、そこから、各前駆体質量に対するフラグメンテーション・スペクトルを得る(例えば、MS/MSまたはMS分析によって)。様々な実施形態で、各質量に対してこれを達成するために、該Peak Pickerソフトウェア・ツールは、初めに、成功的に析出されたMALDIスポット中の特定の許容差ウィンドウ内でピーク質量を探索することによって、μLC溶出プロファイルを動的に生成する。例えば、ペプチドに対する測定された溶出プロファイルが1分であり、画分収集器が20秒毎にスポットする場合、考えられる保持時間窓中の質量スペクトルの数は3である。問題の質量を欠如させられている連続スポットの最小数を特定するギャップを定義することもできる。その後、例えば、各溶出プロフィル内の最大クラスタ強度によって、前駆体を選択し、優先することができる。一スポット当たりの前駆体の数が、例えば、4に制限される場合、該方法は、アルゴリズムを用いて、次に最も強度のピークを帰納的に決定することができ、所定の制約下、最大の強度でプレートの端から端まで全ての前駆体が均一に分布されるまで、予め選択された前駆体全てを同時に考慮する。様々な実施形態で、MS/MS分析のための別々の最適化取得および処理方法を分析の目標に応じて、例えば、目標が全てのペプチド、非差次的発現ペプチドのみ、または単集合を同定することであるかに応じて、生成することができる。
図4を再び参照すると、タンデムMSモード413でMALDIタンデムTOFを用いるMS/MS分析によって、選択された前駆体質量電荷比範囲の1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルを取得(412)する。定量情報(すなわち、HL標識ペプチド対の相対存在量)を、MALDIタンデムTOFに送信されるMS/MSジョブに協調してパスさせ、ここで、MS/MSデータを取得および処理することができる。差次的および非差次的発現成分のために、かつアフィニティー選択工程によって非特異的に保持されるペプチドを表すことができる単集合のために、取得パラメータの特定の組合せを用いることができる。様々な実施形態で、MS/MSピーク・リストを抽出して、ICAT試薬特異的質量を取り出し、フィルタリングしたピーク・リストをMascot汎用ファイルに置き、タンパク質をMS/MSイオンおよび配列データベースと比較して、潜在的タンパク質およびペプチド・アイデンティティ414を、それぞれ、Peak ExtractionプログラムおよびMascot検索エンジン415を用いて割り当てる。この時点で、定量情報をコメント・ラインに保存することができる。
様々な実施形態で、例えば、Parserソフトウェア・ツール417を用いてOracleデータベース中にMascot結果をパースすること等によって、生体分子を含有する試料の分析から得られる情報の少なくとも一部分を、リレーショナル・データベース中の情報に関連させる(416)。様々な実施形態で、Parserソフトウェア・ツールは、Mascot検索結果ファイルのコメント・ラインから、定質(ペプチドおよびタンパク質アイデンティティ)および定量結果を抽出し、それらをリレーショナル・データベースに置く。
様々な実施形態で、定量情報(すなわち、HL標識ペプチド対の相対存在量)を潜在的タンパク質およびペプチド・アイデンティティと比較(418)して、例えば、QuantFixerソフトウェア・ツール419を用いて、検索結果に矛盾があるかを評価することができる。様々な実施形態で、定量情報とタンパク質およびペプチド・アイデンティティ414を割り当てる検索結果との間に不一致があるとき、QuantFixerソフトウェア・ツール419を用いて、定量情報を補正することができる。
様々な実施形態で、例えば、Peak Pickerソフトウェア・ツール用いて、定量化をMSレベルで実行することができる。例えば、同位体パートナー・ピークに対する1つより多い選択は、複合スペクトルで可能である。例えば、低強度、付加イオン、および/または複数のオーバーラップするペプチド信号が原因で、HL対を構成する質量が不正確に同定されたという可能性がありうる。様々な実施形態で、MS分析段階で収集される定量情報は、天然では推定的でありうる。様々な実施形態で、QuantFixerソフトウェア・ツールを用いて、各ペプチド上の仮のICAT修飾の数と、MS/MS分析のために選択されたピークが重または軽であると考えられるかとを記録する。ペプチドを潜在的アイデンティティに割り当てた後、例えば、QuantFixerソフトウェア・ツールを用いて、両方の結論を再評価する。様々な実施形態で、推定HL対割り当てがペプチド同定によって提供される情報と一致しないとき、QuantFixerソフトウェア・ツールを用いて、正確なピーク面積情報を抽出し、発現レベル比を補正する。補正された発現レベル比にデータベースでコメントをつけることができ、例えば、同定されないままである考えられる第2のオーバーラップするICAT対による真の比に関する不確定性を示す。
様々な実施形態で、QuantFixerソフトウェア・ツールを使用して、例えば、タンパク質およびペプチド・レベルでの平均比、標準偏差、および信頼区間の計算および標準化のために用いられうる表1の方程式を用いて各関連ペプチドの検索結果スコア加重平均を得ることによって、各タンパク質に対して発現値を計算する。
様々な実施形態で、既知または予測の質量スペクトルとの、MS分析によって生成された1つ以上の質量スペクトルの1つ以上の少なくとも一部分の比較を用いて、質量スペクトルの検索結果にもとづく分析のための検索結果依存的データを提供することができる。例えば、ペプチド・マス・フィンガープリント法(PMF)技術を用いて、試料中の生体分子の推定上の同定を提供することができる。
図5を参照すると、検索結果データ依存的ワークフローを用いて生体分子を含有する試料を分析するための方法の様々な実施形態の流れ図500が示されている。図4の前後関係で論じられる種々のソフトウェア・ツールの様々な実施形態を用いることもできる。Peak Picker、Peak Extraction、Parser、およびQuantFixerは、Mascot配列検索プログラムによって同定されるペプチドおよびタンパク質を定量およびオーガナイズし、リレーショナル・データベースまたはオブジェクト指向データベースにMS、MS/MS、定量化、および同定に関連する情報をリンクおよび保存するために用いられうるソフトウェア・ツールである。
MSによる分析のための試料部分を任意の数の方法で提供することができる。様々な実施形態で、当該技術分野で公知の任意の方法(例えば、LCにもとづくワークフロー、2Dゲルにもとづくワークフロー)で、別々の試料を、例えば、96穴プレート等のマルチウェル・プレート中に析出(502)する。様々な実施形態で、Symbiot(商標)ロボット・ワークステーション(Applied Biosystems, Foster City, CA)等のロボット試料移動装置を利用して、質量分析系内に配置されうるMALDIプレートに試料を移動(504)およびスポット(506)することができる。様々な実施形態で、Probot(商標)等の画分収集器をHPLC系に接続して、MALDIプレート上(506)へHPLC画分を直接スポット(507)することができる。
その後、例えば、Applied Biosystems 4700 Proteomics Analyzerを用いて、1つ以上の質量スペクトルを1つ以上の試料の1つ以上の試料部分から取得(508)する。1つ以上の生成質量スペクトル(ペプチド質量ピークのスペクトルを表すことができる)を既知または理論上の質量スペクトルと比較(510)して、試料部分中の1つ以上の生体分子に対する推定上の同定を提供する。
様々な実施形態で、例えば、ペプチド・マス・フィンガープリント法(PMF)技術等の技術を用いるデータベース検索によって、比較をおこなうことができる。複数の検索可能なデータベースが当該技術分野で公知であり、例えば、Protein ProspectorTM(U. California San Francisco)、Mascot(登録商標)(Matrix Sciences Ltd.)がある。様々な適当なPMF技術について、本出願に共通に指定される同時系属米国特許出願番号第09/745920号(その開示を本明細書に援用する)に記載されている。
図5を再び参照すると、比較510にもとづいて、推定上の同定を持つ質量信号の予備リストを生成(512)する。検索結果にもとづいて、1つ以上の質量ピーク(前駆体)に対応する質量電荷比範囲をMS/MSまたはMSによる更なる分析のために選択(514)する。様々な実施形態で、以下の基準、すなわち、(1)高信頼水準で同定されること、(2)低信頼水準で同定されること、(3)類似の信頼水準を持つ2つ以上の生体分子で同定されること、(4)対象の1つ以上の生体分子で同定されること、および(5)生体分子で同定またはマッチされないことの1種類以上を満たす質量信号に対応するm/z範囲を選択する。
図5を再び参照すると、選択された前駆体m/z範囲の1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルを取得(516)する。様々な実施形態で、MS/MSピーク・リストを1つ以上のフラグメンテーション・スペクトルから生成し、MS/MSイオンおよび配列データベースと比較(518)して、1つ以上の質量信号に生体分子アイデンティティを割り当てる(520)。この情報を利用して、試料中の対象の生体分子を同定または特徴付けする上で対象となるタンパク質またはペプチドの改良されたリストを生成することができる。様々な実施形態で、1つ以上の質量信号に対する生体分子同定の割り当てが提供されないか、不確定であるか、またはより高い信頼水準を所望されるかもしれない。例えば、不確定であるか、提供されないか、またはより高い信頼水準が所望される同定は、質量信号自体の同定または源生体分子の同定でありうる。例えば、質量信号がペプチドである場合、不確定であるか、提供されないか、またはより高い信頼水準が所望される同定は、ペプチドの親タンパク質のペプチド自体の同定でありうる。
様々な実施形態で、1つ以上の質量信号の同定が不確定である(例えば、1つより多い生体分子とマッチする)か、提供されないか、またはより高い信頼水準が所望される場合(決定522に対して「否定(NO)」)、1つ以上のフラグメンテーション・スペクトル由来の1つ以上の質量信号を配列決定物524、526(例えば、類似のペプチドおよび/またはタンパク質配列を同定するための新規の配列決定アルゴリズム後のMS−BLAST検索)に送信することができる。この配列決定物アプローチ526は、適当な基準タンパク質配列データベースが利用可能でない不完全に特徴付けられたゲノムの研究で重要であるだろう。様々な実施形態で、1つ以上の質量信号の同定が不確定であるか、提供されないか、またはより高い信頼水準が所望される場合(決定522に対して「否定(NO)」)、1つ以上の前駆体m/z範囲をMS/MSまたはMSによる分析のために選択(528)する。付加的な検索および/またはMS/MS分析のプロセスを繰り返すことができる。様々な実施形態で、質量信号が十分に確定的である場合(決定522に対して「肯定(YES)」、同定された質量信号を最終リストに保存(532)することができる。
様々な実施形態で、発現にもとづく分析、質量分析にもとづく分析、および検索結果にもとづく分析の1種類以上を用いる生体分子を含有する試料の分析から得られる情報を用いて、リレーショナル・データベースまたはオブジェクト指向データベースにこの情報の少なくとも一部分を関連させることによって、試料中の1つ以上の生体分子または生体分子の組合せを特徴付けることができる。例えば、リレーショナル・データベースまたはオブジェクト指向データベース中の情報との関連にもとづいて、1つ以上の生体分子または生体分子の組合せを、例えば、危険因子、診断、および/または予後をスクリーニングするための、例えば、薬剤標的、毒性応答、および/または生物マーカーとして特徴づけることができる。
図6を参照すると、様々な実施形態で、基礎をなすMS、MS/MS、タンパク質、およびmRNAに関連する実験結果をリレーショナル・データベース600中に置くことができる。ペプチド結果602をタンパク質結果604と関連付けることができる。タンパク質結果604を、基準リスト606を介して、対応する遺伝子およびオープン・リーディング・フレーム(ORF)に関連付けることができ、コドン・バイアス608、遺伝子オントロジー情報610(生物学的過程、分子機能、および細胞下位置等の)(MIPS:http://mips.gsf.de/またはSGD:http://genome−www.stanford.edu/Saccharomyces/で入手可能)、およびmRNAデータ612に関連させることができる。mRNAおよびタンパク質比は、再スケーリング、例えば、それぞれの比の中央値で割ることによって比較可能にされうる。図7は、例えば、図6で用いられうる様々な関係700を示す。
多種多様な質量分析計および質量分析計系を用いて、本明細書に記載される方法および製造物をとともに用いるのに適当な質量スペクトルおよびフラグメンテーション・スペクトルを取得することができる。MS/MSまたはMSに適した質量分析計系としては、イオン・フラグメンターおよび2つ以上の質量分析計が挙げられる。MS、MS/MS、またはMSのための適した質量分析計としては、限定はされないが、飛行時間(TOF)質量分析計、四重極質量分析計(QMS)、およびイオン移動度分光計(ion mobility spectrometer(IMS))が挙げられる。適当なイオン・フラグメンターの例としては、限定はされないが、衝突セル(その中で、イオンを中性気体分子と衝突させることによって、イオンをフラグメント化する)、光解離セル(その中で、イオンに光子の光線を照射することによって、イオンをフラグメント化する)、および表面解離フラグメンター(その中で、イオンを固体または液体表面と衝突させることによって、イオンをフラグメント化する)が挙げられる。適当な質量分析計系は、イオン・リフレクターも含むことができる。
適当な飛行時間質量分析計系の例と、質量スペクトルおよびフラグメンテーション・スペクトルを得るための方法とについては、例えば、米国特許第6,348,688号(1999年1月19日申請、2002年2月19日発行)、米国出願番号第10/023203号(2001年12月17日申請)、米国出願番号第10/198,371号(2002年7月18日申請)、および米国出願番号第10/327,971号(2002年12月20日申請)に記載されており、それら全ての全内容を本明細書に援用する。様々な実施形態で、例えば、米国特許第5,625,184号(1995年5月19日申請、1997年4月29日発行)、第5,627,369号(1995年6月7日申請、1997年5月6日発行)、第6,002,127号(1998年4月10日申請、1999年12月14日発行)、第6,541,765号(1998年5月29日申請、2003年4月1日発行)、第6,057,543号(1999年7月13日申請、2000年5月2日発行)、および第6,281,493号(2000年3月16日申請、2001年8月28日発行)、ならびに米国出願番号第10/308,889号(2002年12月3日申請)(それら全ての全内容を本明細書に援用する)に記載されるように、遅延摘出を実行して、タイムラグ集束を提供して、MALDIによって生成されたイオンの初期試料イオン速度分布に対して補正をおこなう。
様々な実施形態で、質量分析計系は、1次イオンを選択するため、かつ/またはそのフラグメント・イオンを検出および分析するための三連四重極質量分析計を含む。様々な実施形態で、第1の四重極は、1次イオンを選択する。イオンのいくつかをフラグメントにする複数の低エネルギー衝突が生じるように、第2の四重極を十分に高い圧力および電圧に維持する。第3の四重極を走査して、フラグメント・イオン・スペクトルを分析する。
様々な実施形態で、質量分析計系は、1次イオンを選択するため、かつ/またはそのフラグメント・イオンを検出および分析するための2つの四重極質量フィルターおよびTOF質量分析計を含む。様々な実施形態で、第1の四重極は、一次イオンを選択する。イオンのいくつかをフラグメントにする複数の低エネルギー衝突が生じるように、第2の四重極を十分に高い圧力および電圧に維持し、TOF質量分析計は、フラグメント・イオン・スペクトル検出および分析する。
様々な実施形態で、質量分析計系は、2つのTOF質量分析部およびイオン・フラグメンター(例えば、CIDまたはSID等の)を含む。様々な実施形態で、第1のTOFは、イオン・フラグメンター中の導入のための一次イオンを選択し、第2のTOF質量分析計は、フラグメント・イオン・スペクトルを検出および分析する。TOF分析部は、線形または反射型分析部でありうる。
様々な実施形態で、質量分析計系は、飛行時間質量分析計およびイオン・リフレクターを含む。イオン・リフレクターをTOFのフィールド・フリー・ドリフト領域の末端に配置し、該イオン・リフレクターを用いて、イオンの飛行経路を修正することによって初期の運動エネルギー分布の効果を補正する。様々な実施形態で、イオン・リフレクターは、加速電圧よりわずかに大きいレベルまで増加する電位でバイアスをかけられた一連のリングからなる。動作では、イオンがリフレクターに進入するにつれて、フィールドの方向のそれらの速度がゼロになるまで該イオンを減速する。0速度点で、イオンは、方向を逆転させて、リフレクターを介して元へと加速される。入射エネルギーと同一のエネルギーを持つが、反対方向の速度を持つイオンは、リフレクターを出る。より大きなエネルギーを持つイオンは、より深部までリフクレクターに進入して、結果的に、より長い時間リフレクター中に残る。リフクレクターで用いられる電位を選択して、同様の質量および電荷のイオンが実質的に同時に検出器に到達するようにイオンの飛行経路を修正する。
様々な実施形態で、質量分析計系は、対象の1次試料イオンを選択するための時限イオン・セレクター、試料イオン・フラグメントを生成するためのフラグメンテーション室(またはイオン・フラグメンター)、フラグメント・イオンを分析するための質量分析部を有する第1のフィールド・フリー・ドリフト領域を含むタンデムMS−MS器具を含む。様々な実施形態で、時限イオン・セレクターは、パルス・イオン・デフレクターを含む。様々な実施形態で、第2のイオン・デフレクターをこのタンデムMS/MS器具のバージョンでのパルス・イオン・デフレクターとして用いることができる。動作の様々な実施形態では、該パルス・イオン・デフレクターは、選択された質量電荷比範囲内のイオンのみをイオン・フラグメンテーション室に送ることを可能にする。様々な実施形態で、質量分析部は、飛行時間質量分析計である。質量分析部は、イオン・リフレクターを含むことができる。様々な実施形態で、フラグメンテーション室は、イオンのフラグメンテーションを引き起こして、抽出を遅延させるように設計された衝突セルである。様々な実施形態で、フラグメンテーション室は、飛行時間質量分析法によるフラグメント・イオンの分析のための遅延抽出イオン源として機能することもできる。
様々な実施形態で、質量分析計系は、パルス・イオン源によって生成される複数のイオンの経路に沿って配置される第1、第2、および第3のTOF質量セパレーターを有するタンデムTOF−MSを含む。第1の質量セパレーターは、パルス・イオン源によって生成される複数のイオンを受けるために配置される。第1の質量セパレーターは、パルス・イオン源によって生成される複数のイオンを加速させ、該複数のイオンをそれらの質量電荷比にしたがって分離して、該複数のイオンから、イオンの第1の群をそれらの質量電荷比にもとづいて選択する。第1の質量セパレーターは、該イオンの第1の群の少なくとも一部分のフラグメント化もする。第2の質量セパレーターは、第1の質量セパレーターによって生成されたイオンの第1の群およびそれらのフラグメントを受けるために配置される。第2の質量セパレーターは、イオンの第1の群およびそのフラグメントを加速させ、該イオンの第1の群およびそのフラグメントをそれらの質量電荷比にしたがって分離して、該イオンの第1の群およびそのフラグメントから、イオンの第2の群をそれらの質量電荷比にもとづいて選択する。第2の質量セパレーターは、イオンの第2の群の少なくとも一部分をフラグメント化もする。第1および/または第2の質量セパレーターは、イオン・ガイド、イオン集束素子、および/またはイオン・ステアリング素子を含むことも可能である。様々な実施形態で、第2のTOF質量セパレーターは、イオンの第1の群およびそのフラグメントを減速させる。様々な実施形態で、第2のTOF質量セパレーターは、フィールド・フリー領域と、実質的に第2の所定範囲内にある質量電荷比を有するイオンを選択するイオン・セレクターとを含む。様々な実施形態で、第1および第2のTOF質量セパレーターのうちの少なくとも1つは、フラグメント化イオンを選択する時限イオン・セレクターを含む。様々な実施形態で、第1および第2の質量セパレーターのうちの少なくとも1つは、イオン・フラグメンターを含む。第3の質量セパレーターは、第2の質量セパレーターによって生成されたイオンの第2の群およびそのフラグメントを受けるために配置される。第3の質量セパレーターは、イオンの第2の群およびそのフラグメントを加速させ、該イオンの第2の群およびそのフラグメントをそれらの質量電荷比にしたがって分離する。様々な実施形態で、第3の質量セパレーターは、パルス加速を用いて、該イオンの第2の群およびそのフラグメントを加速させる。様々な実施形態で、イオン検出器は、イオンの第2の群およびそのフラグメントを受けるために配置される。様々な実施形態で、イオン・リフレクターをフィールド・フリー領域中に配置させ、イオンの第1および第2の群ならびにそれらのフラグメントがイオン検出器に到達するまえに、該イオンの第1および第2の群ならびにそれらのフラグメントのうちの少なくとも1つのエネルギーを補正する。
様々な実施形態で、質量分析計系は、複数の飛行経路、時間的に同時に実行されうる複数の動作モード、または両方を有するTOF質量分析部を含む。このTOF質量分析部は、第1のイオン経路、第2のイオン経路、または第3のイオン経路に沿って質量分析部に入る試料イオンの束から選択されたイオンを導く経路選択イオン・デフレクターを含む。いくつかの実施形態では、さらにより多くのイオン経路を用いることが可能である。様々な実施形態で、第2のイオン・デフレクターを経路選択イオン・デフレクターとして用いることができる。時間依存的電圧を経路選択イオン・デフレクターに適用して、利用可能なイオン経路間で選択をおこない、所定の質量電荷比範囲内の質量電荷比を有するイオンを、選択されたイオン経路に沿って広めることが可能である。
例えば、複数の飛行経路を有するTOF質量分析部の動作の様々な実施形態では、第1の所定質量電荷比範囲に対応する第1の所定時間間隔の間、第1の所定電圧を経路選択イオン・デフレクターに適用することによって、第1の質量電荷比範囲内のイオンを第1のイオン経路に沿って広める。様々な実施形態で、この第1の所定電圧はゼロであり、該イオンが初期の経路に沿って広がり続けることを可能にする。第2の所定質量電荷比範囲に対応する第2の所定時間間隔の間、第2の所定電圧を経路選択イオン・デフレクターに適用することによって、第2の質量電荷比範囲内のイオンを第2のイオン経路に沿って広める。第3、第4等を含む付加的な時間範囲および電圧を用いて、特定の測定のために必要とされる数だけイオン経路を収容することができる。第1の所定電圧の振幅および極性を選択して、第1のイオン経路中にイオンを偏向させ、第2の所定電圧の振幅および極性を選択して、第2のイオン経路中にイオンを偏向させる。第1の時間間隔を選択して、第1の所定質量電荷比範囲内のイオンが経路選択イオン・デフレクターを介して広がっている間の時間に対応させ、第2の時間間隔を選択して、第2の所定質量電荷比範囲内のイオンが経路選択イオン・デフレクターを介して広がっている間の時間に対応させる。第1のTOF質量セパレーターは、第1のイオン経路に沿って広がっている第1の質量電荷比範囲内のイオンの束を受けるために配置される。第1のTOF質量セパレーターは、第1の質量電荷比範囲内のイオンをそれらの質量にしたがって分離する。第1の検出器は、第1のイオン経路に沿って広がっているイオンの第1の群を受けるために配置される。第2のTOF質量セパレーターは、第2のイオン経路に沿って広がっているイオンの束の部分を受けるために配置される。第2のTOF質量セパレーターは、第2の質量電荷比範囲内のイオンをそれらの質量にしたがって分離する。第2の検出器は、第2のイオン経路に沿って広がっているイオンの第2の群を受けるために配置される。いくつかの実施形態では、第3、第4等を含む付加的な質量セパレーターおよび検出器は、対応する経路に沿って導かれるイオンを受けるために配置されうる。一実施形態では、第3の所定質量範囲内のイオンを破棄する第3のイオン経路を用いる。第1および第2の質量セパレーターは、任意の種類の質量セパレーターでありうる。例えば、第1および第2の質量セパレーターのうちの少なくとも1つは、フィールド・フリー・ドリフト領域、イオン加速器、イオン・フラグメンター、または時限イオン・セレクターを含むことができる。第1および第2質量セパレーターは、複数の質量分離装置も含むことができる。様々な実施形態で、イオン・リフレクターは、イオンの第1の群を受けるために包含および配置され、それによって、該イオン・リフレクターは、該イオンの第1の群に対するTOF質量分析部の分解能を向上する。様々な実施形態で、イオン・リフレクターは、イオンの第2の群を受けるために包含および配置され、それによって、該イオン・リフレクターは、該イオンの第2の群に対するTOF質量分析部の分解能を向上する。
図8を参照すると、様々な実施形態で、遅発抽出を用いるタンデム飛行時間質量分析計系10は、パルス・イオン発生器12を含む。パルス・イオン発生器12は、レーザー27および源抽出グリッド36を含む。時限イオン・セレクター14は、イオン発生器12と連絡することができる。イオン・セレクター14は、フィールド・フリー・ドリフト管16およびパルス・イオン・デフレクター52を含む。フィールド・フリー・ドリフト管16は、イオン・ガイドを含むことができる。
イオン・フラグメンテーション室18は、イオン・セレクター14と連絡することができる、図4に示されるイオン・フラグメンテーション室は、衝突セル44を含む。しかし、フラグメンテーション室18は、光解離室または表面誘起解離室等の当該技術分野で公知の任意の種類のフラグメンテーション室でありうる。パルス・イオン・デフレクター52への入口にある小開口54は、フラグメンテーション室18へのイオン・ビームの自由通過を可能にするが、中性ガスの流れを制限する。フラグメンテーション室18は、イオン・ビームの自由通過を可能にするが、中性ガスの流れを制限する。
一実施形態では、グリッド・プレート53を衝突セル44に隣接させて配置し、バイアスをかけて、フィールド・フリー領域57を形成することができる。フィールド・フリー領域57は、イオン・ガイド57’を含むことができる。フラグメンター抽出グリッド56を、分析部24への入口58に、グリッド・プレート53に隣接して配置することができる。別の実施形態では、フラグメンター抽出グリッド56を出口開口に直接隣接させて配置することができ、グリッド・プレート53を省く。この実施形態を測定に用いることができ、衝突セル44中でフラグメンテーションを実質的に完了することができる。分析部24は、イオン・ミラー64と連絡する第2のフィールド・フリー・ドリフト管16’を含む。第2のフィールド・フリー・ドリフト管16’は、イオン・ガイドを含むことができる。検出器68は、反射されたイオンを受けるために配置されうる。
パルス・イオン発生器12およびドリフト管16を真空ハウジング20に封入し、それをガス出口22を介して真空ポンプ(図示せず)に接続できる。または、フラグメンテーション室18およびパルス・イオン・デフレクター52を真空ハウジング19に封入し、それをガス出口48を介して真空ポンプ(図示せず)に接続することができる。同様に、分析部24をガス出口28を介して真空ポンプ(図示せず)に封入することができる。同様に、分析部24を真空ハウジング26に封入することができ、それをガス出口28を介して真空ポンプ(図示せず)に接続することができる。真空ポンプは、真空ハウジング20、19、および26中の中性ガスのバックグラウンド圧力を十分に低く維持し、該真空ハウジング20、19、および26中の中性ガスとイオンの衝突が生じることは起こりそうにない。
動作では、イオンのパルスを生成するパルス・イオン発生器12によって、分析すべき試料32をイオン化することができる。一実施形態では、パルス・イオン発生器12はMALDIを利用する。この実施形態では、レーザー光27’は、入射レーザー光28の波長を選択的に吸収することが可能なマトリックスと混合した試料32を有する試料プレートに衝突する。
イオン化後の所定の時間に、試料32と源抽出グリッド36との間および源抽出グリッド36とドリフト管16との間で放出電位を用いることによって、イオンを加速させる。一実施形態では、ドリフト管が大地電位にあることができる。この加速の後、イオンは、それらの質量電荷比の平方根にほぼ比例する速度で、ドリフト管を通って飛行する。すなわち、より重いイオンほどより遅く飛行する。したがって、ドリフト管16内では、イオンは、より高い質量のイオンがより低い質量のものより遅く飛行することで、それらの質量電荷比にしたがって分離する。
パルス・イオン・デフレクター52は、イオン化後の所定の時間に、時間窓を開く。これによって、パルス・イオン・デフレクター52が衝突セル44へのアクセスを可能にする間の所定の時間窓内でパルス・イオン・デフレクター52に到達する選択された質量電荷比をもつイオンのみが送られることを可能にする。したがって、所定のイオン(選択された質量電荷比を有するもの)のみが、パルス・イオン・デフレクター52によって衝突セル44に入ることが可能になる。より高いまたはより低い質量の他のイオンは却下される。
衝突セル44に入る選択されたイオンは、入口40を介して入る中性ガスと衝突する。衝突は、イオンのフラグメント化を引き起こす。衝突のエネルギーは、試料32および衝突セル44に適用されたものの間の電位差に比例する。一実施形態では、衝突セル44中の中性ガスの圧力を約3ないし4トールに維持し、衝突セル44を囲む空間の圧力は約5ないし10トールである。ガス出口48に接続される真空ポンプ(図示せず)によって、イオン入口開口46およびイオン出口開口50を介して衝突セル44から拡散するガスを促進することができる。別の実施形態では、高速パルス値(図示せず)を、イオンがフラグメンテーション室18に到達する時間中に中性ガスの高圧パルスを生成するように、ガス入口40に配置することができ、その時間の残りの間、フラグメンテーション室18を真空に維持する。中性ガスは、ヘリウム、窒素、アルゴン、クリプトン、またはキセノン等の任意の中性ガスでありうる。
一実施形態では、フラグメント・イオンがグリッド・プレート53中の開口50’を通過し、グリッド・プレート53と抽出グリッド56との間のほぼフィールド・フリーの領域59に入るまで、グリッド・プレート53およびフラグメンター抽出グリッド56に、衝突セル44と実質的に同じ電位でバイアスをかける。イオンがグリッド・プレート53を通過した後の所定の時間に、グリッド・プレート53の電位を高電圧に迅速に切り換えることによって、イオンを加速させる。加速されたイオンは、分析部24への入口58を通過して、第2のフィールド・フリー・ドリフト管16’中に入り、次にイオン・ミラー64中に入り、さらに反射されたイオンを受けるために配置される検出器68に入る。
グリッド・プレート53の電位を切り換える時間から始まり、検出器68によるイオン検出で終わるイオン・フラグメントの飛行時間を測定する。測定時間からイオン・フラグメントの質量電荷比を決定する。フラグメンテーション室18がイオン・フラグメントの遅延抽出源として機能するように動作パラメータを適切に選択することによって、質量電荷比を非常に高い分解度で決定することができる。動作パラメータとしては、(1)グリッド・プレート53中の開口50’を介したフラグメント・イオンの通過とグリッド・プレート53への加速電位の適用との間の遅延、および(2)グリッド・プレート53とフラグメンター抽出グリッド56との間の抽出フィールドの振幅が挙げられる。
別の実施形態では、グリッド53を用いないか、またはグリッド53が存在しない。フラグメンテーションが衝突セル44で実質的に完了される測定のために、この実施形態を用いることができる。使われることができる。この実施形態では、フラグメンター抽出グリッド56に、衝突セル44と実質的に同じ電位でバイアスをかける。イオンが衝突セル44を出た後の所定の時間に、衝突セル44への高電圧接続を、第2の高電圧供給(図示せず)に迅速に切りかえることによって、イオンを加速させる。加速されたイオンは、分析部24への入口58を通過して、第2のフィールド・フリー・ドリフト管16’中に入り、次にイオン・ミラー64中に入り、さらに反射されたイオンを受けるために配置される検出器68に入る。
衝突セル44の電位を切り換える時間から始まり、検出器68によるイオン検出で終わるイオン・フラグメントの飛行時間を測定する。測定時間からイオン・フラグメントの質量電荷比を決定する。フラグメンテーション室18がイオン・フラグメントの遅延抽出源として機能するように動作パラメータを適切に選択することによって、質量電荷比を非常に高い分解度で決定することができる。動作パラメータとしては、(1)イオンが衝突セル44を出た後から、高電圧を第2の高電圧に迅速に切り換える前までの所定の時間、および(2)衝突セル44とフラグメンター抽出グリッド56との間の抽出フィールドの振幅が挙げられる。
以下の実施例は説明のためのものであり、本発明を制限することを意図するものではない。実施例1ないし実施例4では、実質的に次のように、分析のために生体試料を調製した。酵母(サッカロマイス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae))の2つの菌株を実施例1ないし実施例4で用いた。我々が本明細書で「野生型(wild−type)」と記載する菌株は、HFY1200と命名された(He and Jacobson, 2001)。該HFY1200は、該酵母を制限培地で増殖させるときに作用し始めるade2、his3、leu2、trp1、およびcan1の突然変異株を有する。UPF1ノックアウト菌株は、HFY871と命名された(He and Jacobson, 2001)。該UPF1ノックアウト菌株は、HFY1200と同じ遺伝的背景を持つが、Upf1遺伝子の代わりにHis3遺伝子が挿入されている。発酵槽中30℃で、YPD培地2リットル中で、酵母試料(野生型およびUpf1突然変異菌株両方)を対数期中期(例えば、OD600=0.7)まで増殖させ、600nm(OD600)の光学濃度が0.5ないし0.7になったとき回収した。以降の手順を4℃で実行した。酵母細胞を5分間4000gの遠心によって回収し、水200mLで洗浄し、その後、50mMTris−Cl、pH7.5(緩衝液A)200mLで洗浄した。液体窒素(LN2)粉砕法を用いて、酵母抽出物を調製した。細胞ペレットを1/10量の緩衝液Aで再懸濁し、その後、LN2に慎重に混合して、ビーズを形成した。予備冷凍した乳鉢および乳棒を用いて、LN2中でビーズをすりつぶし微粉末に粉砕した。微粉末を−70℃で保存した。微粉末を氷上で15分間解凍し、その後、マイクロ遠心機を用いた5分間14,000rpmでの遠心分離で上清を回収することによって、酵母抽出物の可溶性画分を調製した。ブラッドフォード・アッセイを用いて、可溶性画分のタンパク質濃度を測定した。各2リットルの培養物は、約4gの細胞ペレットを産生し、各可溶性画分に対する推定収率は、約400mgである。
試料の調製された可溶性部分を酸で切断可能なICAT(商標)試薬で標識し、この際、野生型を軽同位体で標識し、突然変異体を重同位体で標識した。該試薬は、HPLCでのペプチド対の共遊走を容易にするための13C重同位体を特徴とした。6Mグアニジン−HCl、1%TritonX−100、50mM Tris HCl、pH8.5(緩衝液B)中で、各菌株由来の2つの500μgアリコートを再懸濁した。その後、50mMトリカルボキシエチルホスフィン10μlの添加によってタンパク質を還元し、10分間100℃で沸騰させた。5分間室温まで冷却した後、アセトニトリルで溶解したICAT軽試薬1mgを野生型に添加して、一方で、ICAT重試薬1mgをUpf1ノックアウト試料に添加した。37℃2時間のインキュベーション後、2つのアリコートを組み合わせて、アセトン(6:1のアセトン量:試料量)で沈殿させた。沈殿させたタンパク質を13,000gで10分間遠心分離し、アセトンをデカントして、ペレットをアセトニトリル100μlで再懸濁した。その後、50mM Tris、pH 8.5、10mM CaCl2、20%アセトニトリルの900μlで試料を希釈した。ブタ・トリプシン(Promega)12μgを添加して、試料を37℃で2時間インキュベートして、その後、さらにブタ・トリプシン12μgを添加した後、一晩消化した。
実施例3および実施例4では、野生型1ミリグラム(mg)およびUpf1突然変異体1mgを用いた。実施例1および実施例2では、野生型および突然変異体両方を100マイクログラム用いた。標識野生型および突然変異体試料を組み合わせて、トリプシンで消化した。実施例3および実施例4では、その後、強カチオン交換を用いて消化混合物を20個の画分に分画し、VisionTMBiochromatography Workstation(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)上で、該画分を回収した。実施例1および実施例2では、その後、強カチオン交換を用いて消化混合物を35個の画分に分画した。
実施例1ないし実施例4では、実質的に次のように、イオン交換クロマトグラフィーを実行した。10mM K3PO4、25%ACN、pH約2.5(緩衝液C)で試料(1mL)を10mlに希釈した。2つのバッチでは、4.6×100mmポリスルホエチルAカチオン交換カラムに、試料を流速1ml/分で注入した。高塩濃度緩衝液は、350mM KCl、10mM K3PO4、25%ACN、pH約2.5を含有していた(緩衝液D)。ペプチドをできるだけ能率よく分離するために、Applied Biosystems Vision Workstationを用いて、4つの線形勾配セグメントにわたってペプチドを分離した。すなわち、10%緩衝液Dに2分、20%緩衝液Dに15分、45%緩衝液Dに3分、および100%緩衝液Dに10分であった。通常最初の4分で、1.5mLからなる画分を勾配中に回収した。アフィニティー・クロマトグラフィーの前に、100mM Na3PO4、1500mM NACl、pH10の250μlを各画分に添加して、pHを約7.2にした。
アフィニティー選択クロマトグラフィーを実行して、システイン含有ペプチドを選択した。システイン含有ペプチドを、スルフヒドリル特異的含有基で誘導体化されたビオチン親和性基で標識した。その後、標識されたシステイン含有ペプチドを精製用アビジン・カラム上で単離した。ICAT試薬キット(Applied Biosystems)に供給される単量体アビジン・ビーズを用いて、イオン交換画分を別々に精製し、かつ指示にしたがって精製した。その後、実質的にICAT試薬キットの指示にしたがって、該ペプチドを切断した。減圧を用いて、各溶出物を完全に乾燥させた。ICAT試薬キットから得たICAT切断試薬の200μlアリコートを添加した後、37℃で2時間インキュベーションした。逆相分離の時間まで、もう一度、減圧下で試料を乾燥させた。その時、2%アセトニトリル、0.1%TFAの100μl中で各試料を再懸濁した。
その後、アビジン・カラム上に保持されたペプチド混合物をマイクロボアHPLCによってさらに分離し、Probot(商標)画分収集器(Dionex Corporation(商標), Sunnyvale, CA)によってAB 4700 Proteomics Analyzer質量分析計系の試料プレート上に回収した。キャピラリーRP−HPLCからの流出物をマトリックスと混合し、MALDIターゲット・プレート上にスポットした。実施例1、3および4では、画分を20秒毎に回収し、実施例2では、画分を5秒毎に回収した。実施例3および実施例4では、Ultimate(商標)System(Dionex Corporation(商標), Sunnyvale, CA)上の0.1x150mm5ミクロン200オングストロームMagic C18カラム(Michrom Bioresources, Auburn, CA)を用いて、画分4ないし19個を逆相クロマトグラフィー(RPC)にかけた。
GPS Explorerバージョン1.0を備えた4700 Proteomics Analyzer(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いるMALDIと、QStar(商標)Pulsar I System(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いるESIとによって、MSおよびMS/MSを実行した。Pro ICAT (Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)ソフトウェアを利用して、初めに、ESI実験のためのペプチド信号を同定および定量し、使用したデータベースは、SwissProtリリース36. The Mascot(商標)配列検索プログラム(Matrix Science Ltd, London, UK)であり、MALDI対して、かつデータ統合のための基礎を提供するために、ESIペプチドおよびタンパク質同定に対しても使用したデータベースは、9722個のサッカロマイス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)配列を含有する2003年6月1日リリースのMSDBであった。
S.セレビシエ(S.Cerevisiae)酵母ゲノムに対応するS98アレイ(Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いたmRNAアレイ分析によって、転写物発現レベルの分析も実行した。
(実施例1 質量分析データにもとづく前駆体選択)
図9は、種々の溶出物画分を示すマイクロボアHPLCクロマトグラフ901を示し、複数の生体分子が単一の画分中に存在することができ、所定の生体分子が複数の画分に存在することができることが理解される。様々な実施形態で、画分が溶出するにつれて、該画分をMALDI試料プレート905上にスポット(903)できる。溶出の長さおよびサンプリング率に応じて、単一の画分をMALDI試料プレート上の複数のスポット904としてスポット(903)することができ、例えば、MALDIおよびTOF質量分析法を用いて、質量スペクトルを取得(906)することができる。様々な保持時間(ここでは、複数のスポット)から得た複数の溶出物の質量スペクトルから、生体試料中で、タンパク質を同定(907)することができるか、または単一の保持時間で十分にタンパク質を同定(909)することができる。
結果として生じる質量スペクトルの例を、それぞれ、図10Aないし図10F中のスポット数72ないし77に対して示す。この例では、対応するピークの溶出プロファイルによって測定された一連の質量スペクトルにわたったピーク・クラスタ面積の強度にもとづいて、更なる分析のためにピークを選択した。例えば、スポット数72ないし77(図10Aないし図10F)に対する該一連の質量スペクトルは、HPLCカラムからの溶出物の配列に、すなわち、ここでは、スポット73の試料の前に溶出するスポット72の試料に、スポット74の試料の前に溶出するスポット73の試料にというように対応する。この例では、ペプチドの溶出プロファイルに関連する質量スペクトルの数を、特定の許容差内にある各ピーク質量に対して動的に測定した。その後、各溶出プロファイル内の最大クラスタ強度にもとづいて、前駆体を選択した。例えば、ペプチドに対して測定された溶出プロファイルが1分であり、画分収集器が20秒毎にスポットした場合、考えられる時間窓中の質量スペクトルの数は3であった。同様に、ペプチドでありうる(例えば、溶出率、サンプリング率等が原因で)質量スペクトルの数が10であった場合、更なる分析走行を選択するために用いられるクラスタ強度の数は、10であった。
図11ないし図11Fは、ピークが、更なるMS分析のために1101、1108、1110、1112、1114を選択(例えば、前駆体を選択する)したことを示し、この際、選択基準は、特定の保持時間および質量許容差ウィンドウ内で異なるとみなされうる10を上回る信号対雑音および1000を上回るクラスタ面積を持つ最も強度のピークのみを選択した(クラスタ強度にもとづいて)。例えば、対象でない質量範囲、カットオフ質量、既知の夾雑物に関連する質量等にもとづいて、更なる考慮に対して特異的に除外された質量1103、1105、1107、1109、1111、1113も示される。その後、選択された質量を更なるMS分析にかけて、質量ピークに関連するペプチドを同定する。その後、複数のペプチド同定を用いて、生体試料に存在するタンパク質を同定した。
(実施例2 発現にもとづく分析前駆体選択)
図12は、ICAT定量化を用いる発現依存にもとづく選択の別の例を示す。結果は、HS刺激線維芽細胞細胞核に対するものである。平均中央軽:重比は約2.5であった。この例では、平均軽:重比を持つペプチドを実質的に制御(1203)し、一方で、高軽:重比を持つペプチドを上方制御(1206)し、低軽:重比を持つペプチドを下方制御(1209)する。その後、観察された制御にもとづいて、ピークを更なる分析のために選択する。例えば、上方制御された質量、下方制御された質量、制御されていない質量、またはそれらの組合せ関してのみに、更なるMS分析をおこなうことができる。さらに、制御の定質的性質に関してだけではなく、定量的基礎に関しても、更なる分析のためのピークを選択することができる。
図13を参照すると、ICAT比の分布1300を用いて、更なる分析のためのピークを決定することができる。例えば、非差次的発現1301または差次的発現1303の証拠にもとづいて、ピークを選択することができる。さらに、例えば、ピークが分布1300の平均値または中央値からの特定数の標準偏差であるかにもとづいて、ピークを選択することができる。図13では、平均発現レベル比は、0.63であった。
さらに、図14Aないし図14Fおよび図15を参照すると、同位体比情報を持続時間にもとづく情報と組み合わせることができる。図14に例示されるように、約1695の低質量ピーク・クラスタおよび約1704の高質量クラスタを持つ非差次的発現対の共溶出を示す一連の質量スペクトル1410、1420、1430、1440、1450、1460(ここでは、図10Aないし図10Fおよび図11Aないし図11Fのスポット数に対応しないスポット数73ないし78)がある。対の低または/および高質量ピークが更なる分析のために選択される場合、示される溶出プロファイル内で、スポット数75中の最も高いクラスタ強度を有する質量を更なる分析のために選択する。図14では、平均発現レベル比は、0.02の標準偏差で0.63であった。図15は、重1502および軽1504標識を持つペプチドの溶出プロフィルの類似性を説明する。これら6つの5秒HPLC画分にわたるピーク比のばらつきは、この例では3%未満である。これらの条件下では、タンパク質の定量化は、MSスペクトル中の相対イオン存在量の測定に還元する。同位体信号の変化は、菱形で表される軽クラスタ信号1504および四角形で表される重クラスタ信号1502に対して、スポット数1506の関数(すなわち、保持時間)として図15に示される、
(実施例3 推定発現値の補正)
図16は、ピーク定量化がペプチド同定と整合しない場合の推定発現値の補正の様々な実施形態を説明する。図16は、MSスペクトル1600の表であり、この際、質量は、m/z1601を単位にしており、質量信号強度は、%強度1603およびS/N比1605両方で与えられる。この質量スペクトルは、5より大きいS/N比の初期ピーク検出閾値1610より上の2つのピーク1606、1608を含む。
MSスペクトルは、ICAT対および単集合ピークを示す。初めに、質量1254.579のピーク1608は、2つのcysを必要とする1236.519のピーク1606の重形態と間違って割り当てられ、1263.609のピーク1612は、ピーク検出に対する閾値より下であった。最初のパスでは、このICAT対は、上方制御を意味する2.68の比を有しており、中央比が0.5(重/軽)であったと考えられる。データベース検索は、1つのcysのみを含有するペプチドYLATCADDRの12C軽形態として1254.579のピークを同定した。そして、それは1つのシステインだけを含む。1254amuのピーク1608を、2つの13Ccys残基の代わりに1つの12Cシステイン残基を含有するペプチドとマッチさせたとき、強度閾値は低下し、1263の新規ピーク1612の検出と、ICAT試薬比の再計算とを生じた。この新しい情報を用いて、QuantFixerプログラムは、1263.608のピークを同定して、下方制御を意味する0.292の重/軽比を算出する。補正された発現レベル比に、データベース中でコメントをつけて、同定されないままである考えられる第2のオーバーラップするICAT対(単集合によって立証されるような)による真の比についての不確定性を示す。
(実施例4 発現にもとづく分析および発現データ依存的ワークフロー)
発現データ依存的ワークフローを仮説主導型系生物学研究の一部として用いて、サッカロマイス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中のナンセンス媒介mRNA減衰に関与する潜在的転写および翻訳制御因子を同定した。NMDは、早期停止コドンを含有するmRNA、細胞質に入るスプライシングされていないプレmRNA、上流ORFを持つRNA、伸張された3’非翻訳領域を持つ転写物、および乏しい翻訳開始コンテクストを持つ転写物の急速なターンオーバーを担う重要な生物学的過程である。Upf1のノックアウトを含有するS.セレビシエ(S.cerevisiae)の新規菌株、すなわち、NMD過程の制御に関与することが知られる因子を、メッセージ(伝達暗号)レベルおよびタンパク質レベル両方で野生型菌株と比較した。
NMD等の細胞過程の複雑性をよりよく理解するために、補足的な技術は、相互作用の機構、シグナル伝達の経路、および制御のネットワークを明らかにするために必要な詳細を提供することができる。この例では、mRNAアレイ分析によって得られた転写物発現レベルを用いた比較を可能にするために、2つのMSイオン化技術ESIおよびMALDIを利用して、タンパク質適用範囲の深さを拡大した。
タンパク質およびmRNAレベルでの発現の相違を広範に検査するために、非差次的発現のもの、差次的発現のもの、および単集合をMALDI MS/MS分析のために選択した。
この例は、サッカロマイス・セレビシエ(Saccharonryces Cerevisiae)中のNMDを検査し、複数のレベルで、例えば、トランスクリプトーム・レベルおよびプロテオーム・レベル両方で、細胞の発現プロファイルを定量的に試験する。タンパク質発現は、通常、mRNA存在量に十分に相関せず、この理由は、恐らくmRNA分解、選択的スプライシング、共翻訳および翻訳後修飾、ならびに遺伝子発現の転写後発現制御がmRNAからタンパク質プロファイルおよび細胞機能までを推定することを困難にしているためである。したがって、差次的発現タンパク質をmRNAレベルで共誘導または共抑制することが可能ではない。
この例は、アルギニン生合成のGO生物学的プロセスに関与するCPA1(P07258)が、Upf1ノックアウト菌株中で伝達暗号およびタンパク質レベルで上方制御されることを明らかにする。
Peak Pickerソフトウェア・ツールは、中央発現レベル比から2より多いσで変化する観察されたICAT試薬標識質量信号の約8%を報告した。MS/MS分析ならびにMS/MSイオンおよび配列データベース検索によるペプチド同定と、Quantfixerソフトウェア・ツールを用いた推定発現値の補正工程との後に、ペプチドの約4%のみが2より多いσで差次的に発現していると確認された。
これらの代表的なパーセント値の相違は、試料の複雑性、分画のレベル、MSおよびMS/MSスペクトルの質、ピーク検出、ペプチド同定、および基準データベースの完全性等の多数の因子によって影響される。雑音フィルター閾値(より低い偽陰性率)に低信号を設定することによって、ICAT試薬修飾ペプチド見逃す可能性を低下させることができるが、同定可能でないHL対信号(例えば、新規に数えられたHL対は、雑音信号、すなわちMS/MS同定には弱すぎる信号へのランダム・マッチによって説明可能である)を増加させること、あるいは特に複合試料中または不十分な分画に関して複雑に入り組んだ状態からうまく脱することができないオーバーラップするピークを増加させることを代価にする。雑音信号およびオーバーラップするピークへのHL対割り当ては、Quantfixerソフトウェア・ツールによって確認されることができないか、または解釈可能ではないかもしれない極端なHL比を生じうる。第2のケースでは、定量値に確実ではないとしてフラグを立てなければならない。MS/MSスペクトルの数をかなり減少させること(5850のシグナル比からの466が2より多いσで変化する)によって、発現依存的ワークフローはより効率的になりうる。MS/MSイオン検索同定レベルで、偽陽性非ペプチド前駆信号をフィルタ・アウトすることができる。σにもとづく閾値は、比が広範囲にわたるときは適当ではないかもしれない。その後、比の倍変化は、より有効でありうる。
基礎をなすMS、MS/MS、タンパク質、およびmRNAに関連する実験結果をリレーショナル・データベースに置いた。mRNA比およびタンパク質比を、それぞれの比の中央値で割ることによって比較可能にした。基準リストを介して、タンパク質を対応する遺伝子およびオープン・リーディング・フレーム(ORF)に関連づけ、コドン・バイアスおよび遺伝子オントロジー情報(生物学的過程、分子機能、および細胞下位置等の)(MIPS:http://mips.gsf.de/またはSGD:http://genome−www.stanford.edu/Saccharomyces/で入手可能)に関連させた。
図6は、図19Aないし図21Bを生成することを容易にするために用いられた表を概説する。図7は、図6の表とともに用いられる様々な関係を概説する。包含されたSQL例は、タンパク質登録番号Nr、ORF,タンパク質およびmRNA発現値、ならびにアルギニン生合成に関与する生物学的機能を持つ全てのタンパク質に対するコドン・バイアスを抽出する。
図17は、酵母NMD系生物学研究で、一SCX画分1701当たりのICAT試薬対の数1703を示す図1700である。ヒストグラムは、SCX画分数1701および時間1705の関数としてMALDIによって観察されるICAT試薬対を説明する。合計で10,801個の対(3つの初期画分1706のそれぞれ中でほぼ1600個)を観測した。ヒストグラムの上部に重なっているのは、SCX走行に対するUVトレース1708である。UV信号(280nm)は、大部分のICAT試薬対の位置に一致するということがわかる。
Peak Pickerソフトウェア・プログラムの動的排除アルゴリズムは、観察された10,801個の推定ICAT試薬対を5,850個の対まで減少させた。10,801個のICAT試薬対は、1近く(0.972)の中央比および0.229のσを有する。このことは、最も多く観察されたICAT試薬対がUpfl変異体と野生菌株との間で変わらないことを強調する。この厳格な分布は、技術の高い精度も反映する。この例では、観察された信号の8%までは、2より多いσで変化する(40%までの上方または下方制御)。QuantFixerを用いた定量化補正工程の後、1121個の固有同定ペプチドから41個のみ(2より大きいσの発現を持つ4%まで)が確実であると考えられる。
図18は、酵母NMD系生物学研究の重/軽比のヒストグラムと、差次的発現の画分を示す円グラフとを示す(1800)。10,801個のICAT試薬対は、1近く(0.972)の中央比および0.229(約20%)のσを有する。このMALDI分析では、観察された信号の92%は、2未満のσで変化している(40%までの上方または下方制御)。合計で898個の固有タンパク質をMALDIおよびESIによって同定および定量した(図19Aおよび19Bを参照せよ)。両方のイオン化技術によって同定されたタンパク質間のオーバーラップは、51.7%であり、両方のイオン化技術が用いられるとき、より多くのタンパク質が同定および定量されうることが示された。
コドン・バイアスは、予測タンパク質存在量の尺度であり、コドン・バイアス値を考慮すると、167個のタンパク質が低存在量(<0.1)であると考えられる(図20Aないり20Bを参照せよ)。しかし、同定された898個のタンパク質は、恐らく、最も容易に同定可能であるタンパク質を表す。したがって、この例の技術は、有利なペプチド特性のため、複数の低存在量タンパク質を検出することができる。または、タンパク質存在量とコドン・バイアスとの良好な相関は、最も多量の200個のタンパク質またはそのようなものへとのみ及ぶことが可能である。
図19Aおよび図19Bは、それぞれ、酵母NMD系生物学研究で同定されたペプチドおよびタンパク質を説明する。MASCOT(p<0.05、すなわちイオン・スコア>20、Swiss−Protデータベース(v02.13.2003))によって、898個のMALDIおよびESIタンパク質と、2076個のペプチドとを定量および同定した。タンパク質が少なくとも1つの有意な同定ペプチドを含有した場合、タンパク質を考慮した。
図20Aおよび図20Cは、報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質のコドン・バイアス比較を示す。図20Aおよび20C中の各箱は、コドン・バイアス目盛に沿って0.1単位からなる。予測どおりに、同定されたタンパク質は、通常より高いコドン・バイアスを有する傾向がある。しかし、コドン・バイアス<0.1を持つ複数のタンパク質が同定された。
図20Bおよび図20Dは、報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質の細胞下位置を説明する。この例では、細胞下位置によって、MIPSおよびSGDでの報告された酵母タンパク質の全てを分類した。図20Bおよび図20Dは、全ての酵母タンパク質と比較した、この研究で同定されたタンパク質の分布を示す。これは、この例の発現データ依存的技術が、2Dゲルを用いた検出が困難な膜タンパク質を含む全てのクラスからタンパク質を検出することを説明する。
総括して言えば、UPF1遺伝子のノックアウト上で発現レベルが変化したタンパク質はほとんどなかった。Upf1タンパク質自体は、検出の境界線にあって、ノックアウト中では実際はより低かった。残念なことに、この例では、Upf1の発現の絶対的レベルはあまりに低かったので、Upf1タンパク質が、Upf1ペプチドの重形態の位置中のバックグラウンド信号のために少なくとも5倍に下方制御されたということしか測定できなかった。ノックアウトに関しては、それは完全に存在すべきではない。観察された他の有意な定量的変化の大部分は、タンパク質が、GO遺伝子オントロジー系を用いて、生物学的過程、分子機能または細胞区画によって分類されるかどうかに関係なく、互いに明確な機能的な関係がない考えられるタンパク質中であった。この理由は、全てのタンパク質(6,113個の遺伝子から予測)の1/6未満が測定されたためであるかもしれない。
図21Aは、アルギニン生合成酵素のICAT試薬およびmRNA比を説明する。CPA1、ARGI、CPA2、およびARG4は、伝達暗号レベルおよびタンパク質レベル両方で共上方制御を示す。図21Bは、アルギニン生合成酵素ペプチドのICAT試薬およびmRNA比を説明する。4つの異なるアルギニン生合成酵素由来の全てのペプチドは、>1.4のICAT比を持つ。1の比は、差次的発現が無いことを示す。
この一般化に対する例外は、アルギニン生合成のGO生物学的過程中であり、この際、列挙された5つのタンパク質のうち4つが観察された。4つ全ては、Upf1ノックアウト菌株中で発現を増加させた。これらの4つのタンパク質に対しては、1.4のICAT試薬比を下回る不整合の測定はなかった。これらのタンパク質のうちの1つは、すなわちカルバモイルリン酸シンテターゼの小サブユニットをコードするCPA1(P07258)は、我々のデータに整合して、Upf1遺伝子の突然変異株上で発現が増加する。我々のデータは、カルバモイルリン酸シンテターゼ(CPA2)の大サブユニットのタンパク質レベルでの発現もUPF1ノックアウト菌株で増加することも示す。カルバモイルリン酸シンテターゼの両方のサブユニットは、サッカロマイス属(Saccharomyces)中で共制御されることが示された。
表2は、MALDIおよびESIを用いて観察されたアルギニン生合成酵素のペプチドおよびタンパク質ICAT試薬発現比を列挙し、該比は、標準化されたmRNA比とともに列挙される。
Figure 2005536728
ここで、表2中の上付き文字は、以下のことを示す。すなわち、
a)H/Lタンパク質比および標準偏差は、式(1)にしたがって計算され、少なくとも1度、Mascot(p<0.05、すなわち、イオン・スコア>20の閾値、Swiss−Protデータベース(v02.13.2003))によって有意に同定されたペプチド中のみで考慮された。比の最大イオン・スコアおよびイオン・スコア加重平均を得て、MALDIおよびESIによって同定されたペプチドのイオン・スコアおよびH/L比を統合した。b)MALDI H/Lペプチド比は、ν=1を加重して表1の式(2)を適用して計算され、ESI H/Lペプチド比は、Pro ICATソフトウェアによって決定された。c)標準偏差は、MALDIまたはESIによって同定された複数のペプチド定量値にもとづく。d)のいくつかの例では、ペプチドは、同定されたが、比が低強度のために決定されなかった。
(実施例5 検索結果にもとづく分析、検索結果依存的ワークフロー、および再較正)
様々な実施形態で、MS/MSまたはMS取得および分析の第1のラウンドで高信頼度で同定される生体分子(例えば、ペプチド)の理論上の質量を用いて、MSデータを較正することができる。様々な実施形態で、μLCペプチド溶出プロファイルに沿った成功的に析出されたMALDIスポット中の特定の許容差ウィンドウ内で、ピーク質量を同定することによって、MALDIプレート・ウェルの端から端までの再較正に対する基準質量の数を各理論上の質量に対して増加させることができる。再較正された前駆体に対してより厳格な検索許容差を設定することによって、かつ再較正されていないものに対して元の検索許容差を保つことによって、フラグメント・スペクトル検索を繰り返して、付加的な、またはより高い信頼度ヒットを得るが、より少ない偽陽性同定も得ることを容易にすることができる。図22および23は、有意なタンパク質ヒットの数(p<0.05)を50%に増加させることができ、これを用いて、そのようなアプローチの考察および原則を説明する例である。
図22は、ペプチド配列TPTLTSIYCRを持つ推定転写因子PML(P29590)の検索結果依存的較正、定量化、および同定を説明する。MSスペクトル2200は、1つの強カチオン交換画分のC18 RP−LC勾配走行から回収された20秒画分を表し、複数のHL対を示す。m/z値は、軽変異体のみに対して表示される。1つのシステインを含有するHL対の成分間の質量差は、約9.03Daである。実験試料(重試薬で標識)から対照試料(軽試薬で標識)までの成分の中央比は、0.14の標準偏差で約0.5である(SCX画分中の1000個までの対全てから決定)。中央値への標準化の後、1381/1390の対2210は差次的に制御されるという点で際立っている。前駆体1381.7のMS/MSスペクトル2250は、挿入で示される。このスペクトル2250に関連する23のMascotスコアは、有意性(Mascotによって求められた25の閾値、p<0.05)を下回るが、MS/MSスペクトル中のいくつかの特徴、すなわち、複数のトレオニン残基、強y1、a2、およびb2フラグメントの存在を示唆する異常に大量のトレオニン・イミニウム・イオンは、付加的な確実性をこの情報に与える。*を持つフラグメントは、ICAT試薬標識システイン残基自体に由来する。前駆体の質量に関して、200ppm許容差を用いて、Mascotを用いたデータベース検索を初めに実行した。その後、MSスペクトル2200中の**の印が付いた高信頼度同定に対応する質量(重標識成分および軽標識成分両方が考慮される場合、4つの理論的に既知の質量)を再較正のために用いて、10ppm許容差の前駆体質量の減少させた質量許容差を用いた第2の検索を可能にする。図中の質量標識は、内部較正後の値に対応する。軽ICAT標識TPTLTSIYCR配列の理論上の質量は、1381.715Da(MH+として)である。実験的に測定された質量は、1381.718(2ppm誤差)である。Swiss−Protデータベース(v02.13.2003)は、1381.718Da付近の+/−5ppm質量ウィンドウ内で、ヒト・タンパク質由来の20個のトリプシンペプチドを含み、そのうち4つ固有配列のみが単一のシステイン残基を含有する。前駆体質量の高質量正確度制約は、+/−5ppm許容差ウィンドウ内のペプチドの検索スペースを減少させ、Mascotイオン・スコアの閾値を13に低下させ、有意のヒット(p<0.01)を生じた。
図23は、ペプチド配列YLATCADDRを持つトランスデューシン・ベータ様2タンパク質(Q9Y4P3)の検索結果依存的較正、定量化、および同定を説明する。MSスペクトル2300は、1つの強カチオン交換画分のC18RP−LC勾配走行から回収された別の20秒画分を表す。MSスペクトル2300のM/Z値は、軽標識ペプチドに対してのみに表示される。実験では、中央ICAT比は、約0.5(重/軽として定義)である。タンパク質「トランスデューシン・ベータ様2(transducin betalike 2)」は、m/z1254.579のペプチド2310によって同定され、平均値を有意に下回る0.292の重/軽比を有するため、このタンパク質の下方制御を表す。挿入は、MS/MSスペクトル2350を示す。前駆体質量上で200ppm許容差が用いられる場合、22のMascotスコアは、有意性閾値を下回る(イオン・スコア>24はp<0.05でのアイデンティティを示す)。高信頼度で同定される同じMSスペクトルの成分(**によって示されるような)は、正確質量測定による他の同定の有意性を向上するのに役立つ。内部基準としての4つの質量(2つの対)を用いて、m/z1254.6の成分に対する実験上および理論上の質量は、1ppm内の上記配列割り当てに整合する。MSトレース中の質量標識は、内部較正後の値を反映する。MS/MSスペクトルと適合する+/−5ppm許容差内のSwiss−Protデータベース(v02.13.2003)中のヒト・タンパク質由来の唯一のトリプシンペプチドは、システイン含有ペプチドに考慮を制限せず、かつ1つの見逃したトリプシン切断を考慮しないでも、YLATCADDRである。前駆体質量の高質量正確度制約は、+/−5ppm許容差ウィンドウ内のペプチドの検索スペースを減少させ、Mascotイオン・スコアの閾値を13に低下させ、有意なヒット(p<0.01)を生じた。
(実施例6 図表による概要)
図24を参照すると、質量スペクトル、フラグメンテーション・スペクトル、および分析の様々な実施形態および説明のための例の概要が示される。この例で説明されるように、質量スペクトルのピーク2412に関連するm/z範囲を更なる分析のために選択する。この選択されたピークのフラグメンテーション・スペクトルを得て(2420)、そのうちの一部分を、そこで同定された様々なピーク2422で拡張した。この例では、ICAT比も決定(2433)して、その後、CysのICAT軽および重修飾2440を用いて、質量スペクトル2422に関連するペプチド2444を同定する。その後、複数の(2以上)のペプチド同定を用いて、関連タンパク質2442を決定する。
別の態様では、上述の方法の1つ以上の機能を汎用コンピュータ上のコンピュータ可読命令として実行することが可能である。コンピュータは、質量分析系とは異なるか、質量分析系から取り外し可能であるか、質量分析系に組み込まれうる。多数の高水準言語(例えば、FORTRAN、PASCAL、C、C++、またはBASIC等の)任意の1つにコンピュータ可読命令を書き込むことが可能である。さらに、コンピュータ可読命令をスクリプト、マクロ、あるいは市販のソフトウェア(EXCELまたはVISUAL BASIC等の)に組み込まれた機能に書き込むことが可能である。さらに、コンピュータ可読命令を、コンピュータに常駐のマイクロプロセッサに向けられるアセンブリ言語に実装することができる。例えば、コンピュータ可読命令を環境設定して、IBM PCまたはPCクローン上で起動する場合、コンピュータ可読命令をIntel80x86アセンブリ言語に実装することができる。一実施形態では、コンピュータ可読命令を製造物に組み込むことができ、該製造物としては、限定はされないが、例えば、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク、光学ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、またはCD−ROM等のコンピュータ可読プログラム媒体が挙げられる。
請求項は、その旨が記載されない限り、記載される順番または要素に限定されるように解釈されるべきではない。本発明を特定の説明的な実施形態を参照して特に図示および記載してきたが、形態および詳細の様々な変化が、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱せずになされうることが理解されるべきである。一例として、開示される特徴の任意のものを開示される他の特徴の任意のものと組み合わせて、生体分子を含有する試料を分析することが可能である。したがって、以下の請求項およびそれの等価物の範囲および精神内にある全ての実施形態が請求される。
図1は、生体分子を含有する試料を分析するための方法の様々な実施形態を説明する流れ図である。 図2Aおよび2Bは、発現依存的補正および選択の様々な実施形態を説明する図である。 図2Aおよび2Bは、発現依存的補正および選択の様々な実施形態を説明する図である。 図3は、同位体コード・アフィニティー反応試薬標識試料の仮説的質量スペクトルの概略説明図である。 図4は、発現データ依存的ワークフローを利用する様々な実施形態を説明する流れ図である。 図5は、検索結果依存的ワークフローを利用する様々な実施形態を説明する流れ図である。 図6は、リレーショナル・データベースの様々な実施形態のブロック線図である。 図7は、図6のリレーショナル・データベースの様々な実施形態で用いられる関係の様々な実施形態を説明する。 図8は、TOF質量分析装置の一実施形態の概略図である。 図9は、保持時間依存的前駆体選択の様々な実施形態の概略説明図である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図10Aないし図10Fは、実施例1で得られる質量スペクトルの例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図11Aないし図11Fは、実施例1での更なるMS分析のためのピーク選択の例である。 図12は、実施例2で得られる質量スペクトルの例である。 図13は、発現依存的前駆体選択の様々な実施形態の概略説明図である。 図14Aないし図14Fは、共溶出した非差次的発現対の質量スペクトルの例を説明する。 図15は、図11で示される質量スペクトルに対する高質量クラスタおよび低質量クラスタの信号のプロットである。 図16は、推定発現値の補正の様々な実施形態を説明する。 図17は、実施例4の酵母研究に対する一SCX画分当たりのICAT試薬対の数を示す図である。 図18は、実施例4の酵母研究に対するHL比のヒストグラムを示す。 図19Aおよび図19Bは、それぞれ、実施例4の酵母研究で同定されるペプチドおよびタンパク質を説明する。 図20Aおよび図20Cは、実施例4の報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質のコドン・バイアス比較を示す。 図20Bおよび図20Dは、実施例4の報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質の細胞下位置を説明する。 図20Aおよび図20Cは、実施例4の報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質のコドン・バイアス比較を示す。 図20Bおよび図20Dは、実施例4の報告された酵母タンパク質および実験的に観察された酵母タンパク質の細胞下位置を説明する。 図21Aは、アルギニン生合成酵素のICAT試薬およびmRNA比を説明する。図21Bは、アルギニン生合成酵素ペプチドのICAT試薬およびmRNA比を説明する。 図22は、ペプチド配列TPTLTSIYCRを持つ推定転写因子PML(P29590)の検索結果依存的較正、定量化、および同定を説明する。 図23は、ペプチド配列YLATCADDRを持つトランスデューシン・ベータ様2タンパク質(Q9Y4P3)の検索結果依存的較正、定量化、および同定を説明する。 図24は、定量化および同定の例の概略説明図である。

Claims (30)

  1. 生体分子を含有する試料を分析するための方法であって、
    生体分子を含有する試料の複数の試料部分を提供する工程と、
    該試料部分のうちの少なくとも1つの1つ以上の質量スペクトルを取得する工程と、
    発現依存にもとづく分析、質量分析データにもとづく分析、および検索結果にもとづく分析の少なくとも1種類を用いて、該1つ以上の質量スペクトルを分析する工程と、
    該1つ以上の質量スペクトルの該分析にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程と、
    該選択された1つ以上の質量電荷比範囲のうちの1つ以上にある該試料部分のうちの少なくとも1つのフラグメンテーション・スペクトルを取得する工程と、
    該選択された1つ以上の質量電荷比範囲のうちの少なくとも1つの該フラグメンテーション・スペクトルを、既知または予測のフラグメンテーション質量スペクトルのデータベースと比較する工程と、
    該比較にもとづいて、生体分子が該試料中に存在するかを決定する工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記生体分子がタンパク質およびペプチドの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記1つ以上の質量スペクトルを取得する工程が、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化を用いて、試料部分中の前記生体分子の少なくとも一部分をイオン化する工程と、
    質量分析計を用いて、1つ以上の質量スペクトルを取得する工程と、
    を含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記質量分析計が飛行時間質量分析計を含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記1つ以上の質量スペクトルを分析する工程が、前記試料部分中の1つ以上の差次的標識生体分子間の発現レベル比を決定することを含む、請求項1記載の方法。
  6. 前記1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程が、前記1つ以上の質量スペクトル中の質量信号の発現レベル比にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択することを含む、請求項5記載の方法。
  7. 1つ以上の発現レベル比中の試料バイアスを補正する工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
  8. 前記1つ以上の質量スペクトルを分析する工程が、1つ以上の質量スペクトル中の前記1つ以上の質量信号に対して、信号強度および信号対雑音比を測定することを含む、請求項1記載の方法。
  9. 前記1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程が、前記1つ以上の質量スペクトル中のうちの1つ以上の質量信号に対する前記信号強度および信号対雑音比にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択することを含む、請求項8記載の方法。
  10. 前記1つ以上の質量スペクトルを分析する工程が、前記1つ以上の質量スペクトルの1つ以上の少なくとも一部分を、1つ以上の既知または予測の質量スペクトルと比較して、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として1つ以上の生体分子を割り当てることを含む、請求項1記載の方法。
  11. 前記1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程が、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として割り当てられた前記1つ以上の生体分子に関連する信頼水準にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択することを含む、請求項10記載の方法。
  12. 前記1つ以上の質量スペクトルを分析する工程が、前記1つ以上の質量スペクトルのうちの1つ以上の少なくとも一部分を、1つ以上の既知または予測の質量スペクトルと比較して、ペプチド・マス・フィンガープリント法技術を用いて、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として、1つ以上の生体分子を割り当てることを含む、請求項10記載の方法。
  13. 前記フラグメンテーション・スペクトルを取得する工程が、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化を用いて、試料部分中の前記生体分子の少なくとも一部分をイオン化して、試料イオンを生成する工程と、
    第1の質量分析計を用いて、試料イオンを分離する工程と、
    前記選択された1つ以上の質量電荷比範囲中の前記試料イオンの少なくとも一部分をフラグメント化する工程と、
    第2の質量分析計を用いて、フラグメンテーション・スペクトルを取得する工程と、
    を含む、請求項1記載の方法。
  14. 前記第1の質量分析計および第2の質量分析計がタンデム飛行時間質量分析計系を含む、請求項13記載の方法。
  15. コンピュータ可読媒体を含む、製造物であって、請求項1記載の方法を実行するためのコンピュータ可読命令を該コンピュータ可読媒体に組み込む、製造物。
  16. タンパク質を含有する試料を分析するための方法であって、
    ペプチドおよびタンパク質の少なくとも1つを含有する第1の試料と、ペプチドおよびタンパク質の少なくとも1つを含有する第2の試料とをそれぞれが含む複数の試料部分を提供する工程であって、該第1の試料および該第2の試料中の該生体分子の少なくとも一部が同位体コード試薬で差次的に標識される工程と、
    該試料部分のうちの少なくとも1つの1つ以上の質量スペクトルを取得する工程と、
    該試料部分中の1つ以上の差次的標識生体分子間の発現レベル比を決定する工程と、
    該1つ以上の質量スペクトル中の質量信号の発現レベル比にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程と、
    該選択された1つ以上の質量電荷比範囲のうちの1つ以上にある該質量部分のうちの少なくとも1つのフラグメンテーション・スペクトルを取得する工程と、
    該選択された1つ以上の質量電荷比範囲のうちの少なくとも1つの該フラグメンテーション・スペクトルを、既知または予測のフラグメンテーション質量スペクトルのデータベースと比較する工程と、
    該比較にもとづいて、生体分子が該試料中に存在するか否かを決定する工程と、
    を含む、方法。
  17. 前記1つ以上の質量スペクトルを取得する工程が、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化を用いて、試料部分中の前記生体分子の少なくとも一部分をイオン化する工程と、
    質量分析計を用いて、1つ以上の質量スペクトルを取得する工程と、
    含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記質量分析計が飛行時間質量分析計を含む、請求項17記載の方法。
  19. 1つ以上の発現レベル比中の試料バイアスを補正する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
  20. 前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号に対して、信号強度および信号対雑音比を測定する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
  21. 前記1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程が、前記質量スペクトル中の1つ以上の質量信号に対する前記信号強度および信号対雑音比にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択することをさらに含む、請求項20記載の方法。
  22. 前記1つ以上の質量スペクトルのうちの1つ以上の少なくとも一部分を、1つ以上の既知または予測の質量スペクトルと比較して、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として1つ以上の生体分子を割り当てる工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
  23. 前記1つ以上の質量電荷比範囲を選択する工程が、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として割り当てられた前記1つ以上の生体分子に関連する信頼水準にもとづいて、1つ以上の質量電荷比範囲を選択することをさらに含む、請求項22記載の方法。
  24. 前記1つ以上の質量スペクトルを分析する工程が、前記1つ以上の質量スペクトルのうちの1つ以上の少なくとも一部分を、1つ以上の既知または予測の質量スペクトルと比較して、ペプチド・マス・フィンガープリント法技術を用いて、前記1つ以上の質量スペクトル中の1つ以上の質量信号の潜在的同定として、1つ以上の生体分子を割り当てることを含む、請求項22記載の方法。
  25. 前記フラグメンテーション・スペクトルを取得する工程が、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化を用いて、試料部分中の前記生体分子の少なくとも一部分をイオン化して、試料イオンを生成する工程と、
    第1の質量分析計を用いて、試料イオンを分離する工程と、
    前記選択された1つ以上の質量電荷比範囲中の前記試料イオンの少なくとも一部分をフラグメント化する工程と、
    第2の質量分析計を用いて、フラグメンテーション・スペクトルを取得する工程と、
    を含む、請求項16記載の方法。
  26. 前記第1の質量分析計および第2の質量分析計がタンデム飛行時間質量分析計系を含む、請求項25記載の方法。
  27. コンピュータ可読媒体を含む、製造物であって、請求項16記載の方法を実行するためのコンピュータ可読命令を前記コンピュータ可読媒体に組み込む、製造物。
  28. 少なくとも1つの生体分子に関して試料を分析するための方法であって、
    固体支持体上で少なくとも1つの試料部分を堆積させる工程と、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化によって、該試料部分の少なくとも一部分を気化して、第1の気化されたイオン化試料を形成する工程と、
    質量分析装置を用いて、該第1の気化されたイオン化試料の少なくとも一部分を処理して、該第1の気化されたイオン化試料のイオン質量電荷比の関数としてのイオン存在量のリストを含む第1のデータ・セットを決定する工程と、
    該第1のデータ・セットを、イオン質量電荷比の関数としてのイオン存在量によって生体分子を同定する第2のデータ・セットの少なくとも1つと比較する工程と、
    該比較にもとづいて、1つ以上のイオン質量電荷比範囲を更なる分析のために選択する工程と、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化によって、該生体試料の少なくとも別の部分を気化して、第2の気化されたイオン化試料を形成する工程と、
    該第1のデータ・セットにもとづいて調整された質量分析装置を用いて、該第2の気化されたイオン化試料の少なくとも一部分を処理することによって、該第2の気化されたイオン化試料のイオン質量電荷比の関数としてのイオン存在量のリストを含む第3のデータ・セットを決定する工程と、
    該第3のデータ・セットを、イオン質量電荷比の関数としてのイオン存在量によって生体分子を同定する第4のデータ・セットと比較する工程および該同定された生体分子データをおよび第1のデータ・セットを用いて該試料中の該1つ以上の生体分子に関する定量情報を得る工程の少なくとも1種類を実行する工程と、
    を含む、方法。
  29. 前記試料中で低濃度を持つ少なくとも1つの第1の気化された生体分子を、前記第1の気化された生体分子より前記試料中で高い濃度を持つ生体分子を処理する前に、第2の気化されたイオン化試料として処理する、請求項28のいずれか1つに記載の方法。
  30. コンピュータ可読媒体を含む、製造物であって、請求項28記載の方法を実行するためのコンピュータ可読命令を前記コンピュータ可読媒体に組み込む、製造物。
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