JP2005536629A - 粗銅生成方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、粗銅生成方法に関するものである。本方法によれば、銅精鉱(5)と、フラックス(6)と、酸素濃縮空気(7)とをフラッシュ製錬炉などの懸濁製錬炉(1)内へ供給して、ホワイトメタル相(11)およびスラグ相(10)などの少なくとも2つの溶融相を生成し、そのホワイトメタルを上記懸濁製錬炉の後に少なくとも1つの酸化反応炉(12)内で酸化させる。
Description
本発明は、請求項1に記載する粗銅生成方法に関するものである。
銅のフラッシュ製錬においては、乾燥銅精鉱を酸素濃縮空気およびケイ砂と共に溶解炉に投入する。この製錬工程に必要なエネルギーは硫黄および鉄を酸化させることによって得ている。この工程の熱収支はその処理用気体の酸素濃縮度により調節しているが、時には追加のエネルギー源として油もしくは天然ガスによるバーナも用いられる。硫黄は酸化させて二酸化硫黄にし、鉄は酸化させ、スラグ化してケイ酸鉄にする。これらの溶融相は、スラグおよびマットが炉底に沈殿するため、沈殿槽において気体から分離し、最下層にマット層が配される。フラッシュ製錬においては、他の銅製錬工程と同様に、スラグの主たる機能は、製錬工程において生成される脈石の二酸化鉄、ケイ酸および酸化成分を、すべて出銑させることが可能な液状で回収することにある。一般的に、スラグを冷却し、粉砕し、浮遊させることによって銅が回収され、あるいは還元式電気炉工程で処理される。マット相においては、一般的に、更に化成処理が行われ、50〜70パーセントの銅が得られる。最も一般的に適用されているピアース−スミス化成処理においては、酸素を溶解物に吹き込むと、マット相が含有する鉄は酸化され、添加したケイ砂と共に鉄かんらん石を生成し、これは化成工程の初期段階において、反応炉内の銅を豊富に含有するホワイトメタルの表面に浮遊する。このホワイトメタルは銅を70〜80パーセント含有する。このホワイトメタルへ更に酸素を吹き込むと、粗銅が生成され、これの銅成分は99パーセント程度になる。スラグは依然として銅を5〜10パーセント含有していて、この銅は、浮遊処理を行い更に銅の豊富なスラグ精鉱をこのフラッシュ製錬炉へ戻し投入することによって回収するか、あるいは、例えば電気炉でスラグを還元条件下で処理することによって回収する。
原則として、粗銅を直接生成するのは、すなわち懸濁反応炉における1つの工程で硫化精鉱から粗銅を直接生成するのは、いくつかの制限はあるものの、経済的には得策である。これに関する最大の問題は、上記工程において大量のスラグが発生し、このスラグからも大量の銅が回収されることである。一方、スラグに含有される銅を回収するためにスラグを処理することによって、上記工程に余分な費用が発生する。精鉱の銅成分が十分に多く、典型的には少なくとも37重量パーセントである場合には、粗銅を1つの工程で生成することは経済的に有益である。精鉱が、鉄その他のスラグを形成する成分をわずかな量しか含有していず、形成されるスラグの量もさほど多くない場合も、銅成分が低い精鉱を処理することは有益である。粗銅を生成する場合、回収される銅について十分に高い歩留を得るためには、一般的に、生成されるスラグに対して2段階のスラグ酸洗が必要とされる。
従来技術によれば、所定の酸素ポテンシャルを有する領域内で作業を行なう場合、銅製錬処理においていわゆるホワイトメタルが発生する。その場合、それぞれのスラグ相の銅成分は、粗銅がスラグ相に均衡している場合より、実施的に低くなる。図1に(INSKO261608 VIII、第9頁)温度が1300℃の場合のCu-Fe-S-O-SiO2系の硫黄−酸素ポテンシャル図を示す。同図には、様々な条件下における、銅製錬工程において発生する様々な相の含有量が見られる。同図から、ホワイトメタルが存在する場合、それぞれのスラグの銅成分は、粗銅と均衡しているスラグの場合より低いことがわかる。
国際公開公報PCT 00/09772からは、酸素存在下での銅精鉱の製錬を、精鉱もしくはマットを1300度以下の温度で連続酸化して行う工程が知られている。この工程によれば、硫化銅精鉱が製錬され、大部分の鉄成分がスラグとして除去され、硫黄の大部分が二酸化硫黄に変化する。得られる製品はホワイトメタル、マット、もしくは粗銅である。
本発明は、従来技術の欠点のいくつかを解消することを目的とする。本発明は、粗銅の生成において銅成分の高いスラグの発生を防止することを更なる目的とする。
本発明は、請求項1の前段の記載事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、その他の請求項の記載事項を特徴とする。
粗銅を生成する本発明による方法はいくつかの利点を有する。本方法によれば、精鉱と、フラックスと、酸素濃縮空気とを一緒に、フラッシュ製錬炉などの懸濁製錬炉へ投入し、少なくとも2つの溶融相、すなわちホワイトメタル相とスラグ相とを生成し、このホワイトメタルを懸濁製錬炉の後に少なくとも1つの酸化用反応炉で酸化させる。本発明によれば、この懸濁製錬炉における作業はホワイトメタル生成用の条件下、すなわち炉内の酸素ポテンシャルが10-7〜10-6の範囲内にあり二酸化硫黄の分圧が0.2〜1の範囲内にある条件下で、有利に行われる。ホワイトメタルは実質的に銅(70〜80%)および硫黄から成る。この製錬において生成されるホワイトメタルは、スラグ化する成分を実質的には何ら含有していない。上述の条件下で作業する場合、銅を回収する直接処理に適した銅成分の低いスラグが有利に生成され、例えば電気炉において、別途、スラグを一次還元することは全く必要とされない。
このホワイトメタルは連続処理あるいはバッチ処理のいずれかによって、炉から出銑され、これによって酸化反応炉において酸化され、ここでこのホワイトメタルに含有されている硫黄は酸素濃縮空気によって酸化され、二酸化硫黄および粗銅が生成されるが、スラグは殆ど生成されない。本発明の好ましい実施例によれば、酸化反応炉は懸濁製錬炉に対して固定方式で配設されている。本発明の他の実施例によれば、酸化反応炉は、溶解物の移送を行なう密閉された溶解物用樋によって、懸濁製錬炉へ連結されている。この酸化反応炉が密閉反応炉であれば、この工程で発生する気体の収集および回収は、より有利に調整可能である。本発明の好ましい実施例によれば、酸化反応炉は、望ましくは表面吹付け式反応炉である。他の実施例によれば、この酸化反応炉は噴射反応炉であり、これによっても、固形状のホワイトメタルを酸化用気体と共に溶解物の中へ噴射させることによって、有利に溶解することができる。使用する酸化反応炉は有利には例えばオースメルト(Ausmelt)社、イサスメルト(Isasmelt)社もしくは三菱のものである。
スラグは懸濁製錬炉から別個に出銑し、本発明の好ましい実施例によれば、電気炉において処理し、これによって、含有されている銅を回収する。他の好ましい実施例によれば、スラグは、懸濁製錬炉の後に、浮遊選鉱で処理し、これによって、含有されている銅を回収する。本発明による方法を適用した場合、有利には、銅成分が高いスラグは一切生成されず、銅の不必要な再循環が回避され、その結果銅の損失が防止される。
次に添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図2aは本発明による方法を示す。ここでは、精鉱5と、フラックス6と、酸素濃縮空気7とが一緒にフラッシュ製錬炉1へ投入され、製錬炉1の下部4において2つの溶融相、すなわちホワイトメタルト相11およびスラグ相10が生成される。ホワイトメタル11はフラッシュ製錬炉の後に1つの酸化反応炉12において酸化され、粗銅が生成される。ホワイトメタルおよびスラグの他に、このフラッシュ製錬炉においては少量の粗銅が生成され、これも酸化反応炉12内へ導入される。フラッシュ製錬炉1において生成されるプロセスガスは炉の煙路シャフト2を介して廃熱ボイラ8へ案内され、ここで生成されたダスト9が再循環されてフラッシュ製錬炉へ送り込まれ、ガス17は次の処理へ案内される。ホワイトメタル11は炉1から連続処理あるいはバッチ処理のいずれかによって出銑されて酸化反応炉12へ投入され、ここでホワイトメタルに含有されている硫黄が酸素濃縮空気16によって酸化されて、二酸化硫黄および粗銅15が生成されるが、スラグは生じない。図2aに示す本発明の好ましい実施例によれば、酸化反応炉12はフラッシュ製錬炉に対して固定方式で設置する。図2bに示す本発明の他の実施例によれば、酸化反応炉12は溶解物用樋13によってフラッシュ製錬炉に対して直接連結されている。フラッシュ製錬炉1内で生成されるスラグ10はスラグ処理14へ導入され、電気炉もしくは浮遊選鉱のいずれかへ二者択一的に案内され、これによって、スラグに含有される銅成分が回収される。本発明の好ましい実施例によれば、酸化反応炉は望ましくは表面吹付け式反応炉、もしくは噴射反応炉であり、これらによれば、固形ホワイトメタルも、酸化用ガスと共に溶解物中へ噴射することによって、有利に溶解することができる。この酸化反応炉は望ましくは、例えばオースメルト(Ausmelt)社、イサメルト(Isasmelt)社もしくは三菱のものである。
次に、以下の実施例によって本発明を説明する。
実施例
本発明による方法を適用することによって、30% Cu、28% Fe、30% S、6% SiO2を含有する銅精鉱を、163tph(tph=毎時トン)の速さでケイ砂と共にフラッシュ製錬炉内へ投入して溶解する。ケイ砂はこの炉内へ21tphの速さで供給される。
実施例
本発明による方法を適用することによって、30% Cu、28% Fe、30% S、6% SiO2を含有する銅精鉱を、163tph(tph=毎時トン)の速さでケイ砂と共にフラッシュ製錬炉内へ投入して溶解する。ケイ砂はこの炉内へ21tphの速さで供給される。
この製錬工程中、フラッシュ製錬炉内へ空気を63,493Nm3/hの速さで吹き込み、酸素を21956Nm3/hの速さで吹き込み、これによって、投入総量1トンあたりで計算した時に、濃縮酸素を41%とし、酸素係数を171Nm3 O2とする。
酸化反応の結果、製錬炉では溶融ホワイトメタルは62,004kg/h(79% Cu、0.5% Fe)の速さで生成され、スラグは109,702kg/h(4% Cu、44% Fe)の速さで生成される。更に少量のダストが生成され、これは再循環されて、この製錬炉へ戻される。
スラグはスラグ濃縮プラントにおいて処理され、これによって生成されるスラグの量は8,844kg/h(46% Cu、25% Fe)であり、このスラグは精鉱と共にフラッシュ製錬炉内へ送り戻される。
生成されたホワイトメタルは酸化反応炉内で処理され、その中へは専用酸素が4,328Nm3/hの速さで供給され、空気が18,979Nm3/hの速さで供給される。ここで、粗銅が49,274kg/h(98% Cu、0.04% Fe)の速さで生成され、少量のスラグ(毎時1トン、50% Cu、27% Fe)が生成される。このスラグは造粒され、フラッシュ製錬炉内へ送り戻される。
上述の事例では、再循環されてフラッシュ製錬炉内へ戻される銅の総量は、スラグ精鉱に含まれるものと酸化反応炉からのスラグに含まれるものとを合わせて4,575kg Cuであり、これは精鉱に含有される銅の総量の約9%に相当する。精鉱が直接溶解されて粗銅にされる場合、そのスラグ量は毎時約130トンになると考えられ、これは、その精鉱の銅成分全体の優に50%以上を含有すると考えられる。
本発明の様々な実施例は上記の事例には限定されず、添付の特許請求の範囲内で改変可能であることは、当業者にとっては明らかである。
Claims (8)
- 銅精鉱(5)と、フラックス(6)と、酸素濃縮空気(7)とを共にフラッシュ製錬炉などの懸濁製錬炉(1)内へ供給し、これによってホワイトメタル(11)およびスラグ(10)などの少なくとも2つの溶融相を生成する粗銅生成方法において、ホワイトメタルを前記懸濁製錬炉の後に少なくとも1つの酸化反応炉内(12)で酸化することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法において、酸化反応炉(12)を前記懸濁製錬炉(1)に対して固定方式で設置することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法において、前記酸化反応炉(12)は、溶解物用樋(13)によって前記懸濁製錬炉(1)に対して連結することを特徴とする方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、前記酸化反応炉(12)は表面吹付け式反応炉であることを特徴とする方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、前記酸化反応炉(12)は噴射反応炉であることを特徴とする方法。
- 請求項5に記載の方法において、前記酸化反応炉(12)へは固形ホワイトメタルをも注入することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法において、前記スラグ(10)は、前記懸濁製錬炉(1)の後に電気炉で処理し、これによって、該スラグの銅成分を回収することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法において、前記スラグ(10)は、前記懸濁製錬炉(1)の後に浮遊選鉱で処理し、これによって、該スラグの銅成分を回収することを特徴とする方法。
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A762 | Written abandonment of application |
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