JP2005533979A - 円筒ローラ軸受用のユニット化された保持器 - Google Patents

Abstract

軸受構成の内側軌道が回転または固定シャフト部品であり、軸受構成の外側軌道が回転または固定ハウジング部品である、円筒ローラ軸受用のユニット化された保持器（Ａ）。したがって、内側および外側軌道を有する別々の内輪および外輪を必要とせずに、軸受構成が形成される。ユニット化された保持器（Ａ）は、端面軸方向突起部（３）を有する保持器ネスト（１）と、端面軸方向突起部（３）に係合して保持器ネスト（１）を保持器フィンガリング（２）上の定位置に固定する、フィンガ（１１）を有する保持器フィンガリング（２）とを含む。保持器ネスト（１）と保持器フィンガリング（２）を組み付けて円筒ローラ軸受を形成する前に、複数の円筒ローラ（７）を保持器ネスト（１）の保持器ポケット（６）内部に配置することができる。

Description

本発明は一般にローラ軸受の保持器に関し、より詳細には円筒ローラ軸受のユニット化された保持器に関する。

本出願は、優先権が主張されている２００２年７月１９日出願の米国出願第１０／１９９，２６４号に関連する。

軸受のシャフトとハウジングがローラ軸受の仕様に合わせて硬化され固定された適用例では、内輪および外輪を用いずに円筒ローラを使用することにより、動力伝達部品の断面高さおよび重量要件を減らすことができる。そのような適用例では、通常は内輪および外輪内にある軸受軌道が、この場合は軸受のシャフトまたはハウジングの表面上にあるので、内輪および外輪を使用する必要がない。

この配置を利用する１つの典型的な適用例には、遊星ピンおよびギア穴が軸受軌道として働くように硬化され固定された、重工業用の遊星歯車機構がある。この形状では、円筒ローラは保持器があってもなくても使用できる。保持器なしで使用する場合、円筒ローラ本体同士の間での擦れによる損傷を防ぐために、通常は回転速度をより低くする。また、ローラの傾斜も厳密に制御できないので、高速では不具合が起きることがある。本発明のユニット化された保持器は、円筒ローラ同士の間隔をあけることにより、ローラ本体同士の間での擦れを防ぎ、傾斜を防ぐことができる。これらはいずれも、防げなければ軸受性能の低下を招く恐れがある。最後に、円筒ローラが保持器と一体化されていないと、保持器が円筒ローラと一体化されている場合に比べて、最終的歯車機構の組付けに著しく多くの時間と費用とを要する。

円筒ローラ保持器アセンブリを一体化するために、いくつかの構成が使用されてきた。最も一般的なものでは、ローラ同士の間に機械加工された鋼材のセパレータを配置し、次いでリベットまたはピンで２個の端部リングにそれを固定し、それによって、アセンブリを互いに保持する。セパレータは金属の固体片から機械加工されるので、製造の費用がかさむ。また、リベットの頭部を成形し、またはピンを溶接するために、組付けにはいくつかの工程が必要となる。米国特許第３，６４７，２７３号および第４，４３５，０２４号は、これらの型式の保持器の代表的なものである。

本発明は、いくつかの態様において米国特許第４，４３５，０２４号に類似しているが、軌道輪なしで使用されるように設計されている。軌道輪を使用しないので、保持器の設計は、ローラの傾斜を防ぎ、厳しい運転条件下でもローラを分離させ、初期組付けおよび定期的保守の組付けと分解の際もローラを保持できるように、より強固でなければならない。

米国特許第４，４３５，０２４号では、保持器は、内輪および外輪を用いる軸受で使用される標準的なプレス鋼材の保持器の製造および組付けを簡略化するように設計されている。同特許に含まれる１つの軌道輪は、ローラを軸方向に配置し、ローラの傾斜を防ぐための２個のリブを含む。しかし、本発明と異なり、先の特許は軌道輪なしでローラを一体化するのに十分に強固ではない。

以前の他の構成では、機械加工されたセパレータを用いずに２個のピンを使用しているが、これはピンの溶接作業を伴うので依然として製造費用がかさむ。以前のさらに他の構成では、金属板の複雑な成形が必要になるが、過酷な運転の際はその形状を維持できるだけの強度にならないこともあり、複雑な形状のために製造費用もかさむ。

本発明は、円筒ローラの整列を維持する、円筒ローラ軸受用のより低コストのユニット化された保持器を提供することにより、これらおよびその他の課題を克服するものである。

本発明は、保持器ネストおよび保持器フィンガリングを組み込んだユニット化された保持器にある。保持器ネストは、保持器フィンガリングをその上に取り付け、保持器ネストによって定位置に固定することを可能にする、多数の突起部を含む。さらに、保持器ネストおよび保持器フィンガリングは、鋼板または高強度ポリマーから製造することができ、この２種の部片は所与のアセンブリで必ずしも同じ材料から製造しなくてもよい。例えば、金属製の保持器ネストと、ポリマー製の保持器フィンガリングなどが考えられる。

本発明は多くの利点を提供する。保持器ネストの形状は、ローラの傾斜を制御し、ローラを軸方向に配置するのに十分に軸方向に強固である。保持器ネストと保持器フィンガリングの一体機構は、厳しい運転条件下でも持ち堪えるのに十分に強固であり、それによって構成部品の分解および定期的保守の実行が可能になっている。保持器ネストおよび保持器フィンガリングはまた、製造を経済的にするために、高強度ポリマーからの保持器構成部品の成形、または金属板からの打抜きおよび成形が簡単にできるように、単純な形状をしている。サブアセンブリはまた、エンドユーザの機械組付けを簡略化するために「グリース封入済」で出荷することもできる。この配置のためには、グリースを保持器内部（転動要素の周囲）に充填し、次いで、輸送中にグリースを保持するためにサブアセンブリをプラスチック製の袋に真空密封する。

本発明はまた、上記の発明の様々な実施形態にある。

対応する参照番号は、いくつかの図を通して対応する部品を示す。

ここで図１を参照すると、ユニット化された保持器Ａが示されている。ユニット化された保持器Ａは、複数の円筒ローラ７を収容し整列させるために使用される、保持器ネスト１および保持器フィンガリング２を含む。図２の保持器ネスト１は、軸Ｘを有する管状リング型に形成され、その断面は一般に帽子型である。帽子型は、長さＬ、厚さＴの２個の端面軸方向突起部３と、２個の端面４と、１個の上部５とによって形成される。２個の端面４は、軸Ｘから径方向に延び、一般に２個の端面軸方向突起部３に垂直である。代替実施形態では、２個の端面は、一般に２個の端面軸方向突起部３に垂直ではない。２個の端面４は、上部５によって互いに連結されている。

上部５は、複数の円筒ローラ７を挿入できるような大きさおよび位置に形成された複数の保持器ポケット６を有する。複数の保持器ポケット６の形状および大きさは、円筒ローラ７が自由に回転できるが、個々の円筒ローラ７がそれぞれ関連する保持器ポケット６内で過度のずれを起こさないようなものとする。保持器ポケット６の長手方向寸法は、円筒ローラ７の軸方向長さよりもやや大きく、保持器ポケット６の幅は、円筒ローラ７の直径よりも小さく、それによって、これらの構成部品を組み付けるとき、ローラが保持器ネスト１と保持器フィンガリング２の間で保持されるようになる。保持器ポケット６の向きは、複数の円筒ローラ７のそれぞれの軸方向長さが、保持器ネスト１の軸と平行になるようなものとする。

好ましい実施形態の保持器ネスト１は帽子型であるが、例えば台形など、他の断面形状も可能である。実際、保持器ネストは、選択された形状が長さＬ、厚さＴの端面軸方向突起部を有し、上記のような複数の保持器ポケット６を含むのであれば、どのような断面形状であってもよい。

図４の保持器フィンガリング２は、一般に、保持器ネスト１の軸Ｘと一致する軸を有する環状リングの形状である。保持器フィンガリング２は、上面１４、縁部１５、複数の保持器フィンガブリッジ１３を有するリング１２を含む。保持器フィンガリング２はまた、１組の保持器フィンガ１０と１組の保持器ブリッジフィンガ１１も含む。

１組の保持器フィンガ１０は、保持器フィンガリング２の上面１４から外側に突出している。１組の保持器フィンガ１０は、一般にＬ字型であり、Ｌ字型の垂直脚部が上面１４と連結している。Ｌ字型の水平脚部は上面１４と平行である。１組の保持器フィンガ１０は、保持器フィンガリング２の上面１４の周りに、保持器ネスト１の保持器ポケット６の間隔とほぼ同じ距離だけ離間して配置されている。保持器ネスト１の場合と同様、保持器フィンガ１０の長手方向寸法は、円筒ローラ７の軸方向長さよりも大きく、保持器フィンガ１０同士の間の間隔幅は、円筒ローラ７の直径よりも小さく、それによって、これらの構成部品を組み付けるとき、ローラが保持器ネスト１と保持器フィンガリング２の間で保持されるようになる。

１組の保持器フィンガ１０および１組の保持器ブリッジフィンガ１１の場合、どちらもＬ字型の水平脚部の縁部が端面軸方向突起部３の長さＬと一致する大きさに形成され、端面軸方向突起部がフィンガのＬ字型内部に係合するようになっている。さらに、保持器フィンガ１０および１組の保持器ブリッジフィンガ１１の垂直脚部が端面軸方向突起部３の厚さＴと一致する大きさに形成され、１組の保持器フィンガ１０および１組の保持器ブリッジフィンガ１１が端面軸方向突起部３とロック係合できるようになっている。

リング１２の縁部１５には１組の保持器フィンガブリッジ１３が取り付けられている。保持器フィンガブリッジ１３は、リング１２の縁部１５から軸方向に延び、１組の保持器ブリッジフィンガ１１内で終端する。１組の保持器ブリッジフィンガ１１もまた、Ｌ字型であり、Ｌ字型の垂直脚部が保持器フィンガブリッジ１３の頂上面１６と連結し、Ｌ字型の水平脚部は上面１６と平行である。保持器ブリッジフィンガ１１のＬ字型の外側の角部は、それぞれ面取り部１７を有する。１組の保持器フィンガ１０が１組の保持器ブリッジフィンガ１１と位置合わせされ、それによって、１組の保持器フィンガ１０のＬ字型の水平脚部の中心線が、１組の保持器ブリッジフィンガ１１のＬ字型の水平脚部の中心線と合うようになることは明らかであろう。保持器フィンガブリッジ１３の間隔は、保持器ネスト１の保持器ポケット６の位置と一致するように形成され、それによって、保持器ネスト１と保持器フィンガリング２が組み付けられたとき、円筒ローラ７が保持器ポケット６内部で保持器フィンガブリッジ１３同士の間の隙間に閉じ込められる。

図４を参照すると、保持器ネスト１の直径Ｂは円筒ローラのピッチ直径Ｐより大きく、保持器フィンガリング２の直径Ｃは円筒ローラ７のピッチ直径Ｐより小さいことが分かる。

保持器ネスト１および保持器フィンガリング２は、金属板または高強度ポリマーから製造することができる。さらに、この２種の部片は、所与のアセンブリで必ずしも同じ材料から製造する必要はない。例えば、保持器ネスト１は金属製とし、保持器フィンガリング２は高強度ポリマー製とすることができる。

ユニット化された保持器の構成部品は、保持器ネスト１の端面軸方向突起部３が保持器フィンガリング２の１組の保持器フィンガ１０および１組の保持器ブリッジフィンガ１１の内部に配置されそれによって捕捉された後に円筒ローラ７が保持器ポケット６内部に位置決めされ保持される、どのような方式で組み付けることもできる。ただし、ユニット化された保持器Ａの好ましい実施形態および好ましい組み付け方法では、保持器ネスト１は、保持器ネストの端面４が上方を向くような特殊な工具内部に配置される。工具は、中心部に円形の切込みを備え、保持器フィンガブリッジ１３および端面軸方向突起部３がその内部に突き出ることができるようになっている。次いで、円筒ローラ７が保持器ネストの保持器ポケット６内部に位置決めされる。保持器フィンガリング２は、保持器フィンガブリッジ１３が円筒ローラ７同士の間で間隔をあけて配置されるように位置決めされる。１組の保持器ブリッジフィンガ１１の外側の角部の面取り部１７は、保持器フィンガブリッジ１３を対応する保持器ネスト１の端面軸方向突起部３に係合させる。保持器フィンガリング２は、保持器フィンガリングのリング１２を保持器ネスト１の端面４から一方の端面軸方向突起部３に押しつけることによって、定位置でスナップ嵌めされる。この操作を行う間、１組の保持器ブリッジフィンガ１１は、保持器ネスト１の他方の端面軸方向突起部３の周りに掛かっており、それによって、保持器ネストが保持器フィンガリング２上の定位置で固定される。図４は、組付け後のユニット化された保持器Ａの構成部品の位置を示している。

上記の説明では、本発明の様々な実施形態について説明したが、ユニット化された保持器を利用できるどのような構成にも合うように、本発明は別のやり方でも容易に適合させることができることは明らかである。

本発明の範囲から逸脱せずに、上記の構造には様々な変更が可能であるので、上記の説明に含まれる、または添付の図面に示されるすべてのことがらは、限定的な意味ではなく例示的な意味で解釈すべきものとする。

内輪および外輪を用いない円筒ローラ軸受で使用される、本発明を示す斜視図である。 本発明の保持器ネストの斜視図である。 本発明の保持器フィンガリングの斜視図である。 本発明の断面図である。

Claims (20)

1. 複数の保持器ポケットと、互いに反対向きの端面軸方向突起部とを有する保持器ネストと、
   前記保持器ネストの前記端面軸方向突起部とロック係合するための１組のフィンガを有する保持器フィンガリングと
   を含む、円筒ローラを配列するためのユニット化された保持器。
2. 前記保持器ネストが帽子型の形状を有している、請求項１に記載のユニット化された保持器。
3. 帽子型の前記保持器ネストが、前記端面軸方向突起部と、上部と、前記上部によって連結された２つの端面とを含む、請求項２に記載のユニット化された保持器。
4. 前記保持器フィンガリングが、複数の保持器フィンガブリッジをさらに含む、請求項３に記載のユニット化された保持器。
5. 前記１組のフィンガが、１組の保持器フィンガおよび１組の保持器ブリッジフィンガを含む、請求項４に記載のユニット化された保持器。
6. 前記保持器フィンガリングが、上面と、縁部とを有し、前記１組の保持器フィンガが第１Ｌ字型を有しており、前記１組の保持器フィンガが前記上面から外側に突出して、前記第１Ｌ字型の垂直脚部が前記上面に連結され、前記第１Ｌ字型の水平脚部が前記上面と平行になる、請求項５に記載のユニット化された保持器。
7. 複数の保持器フィンガ突起部をさらに含む、請求項６に記載のユニット化された保持器。
8. 前記保持器フィンガ突起部の各々が、フィンガブリッジと、保持器ブリッジフィンガとを含み、前記フィンガブリッジが第１端部と、第２端部と、頂面とを有し、前記第１端部が前記保持器フィンガリングの縁部に連結されて、前記フィンガブリッジが縁部から軸方向に突出している、請求項７に記載のユニット化された保持器。
9. 前記保持器ブリッジフィンガが、前記フィンガブリッジの前記第２端部に連結され、前記保持器ブリッジフィンガが、第２Ｌ字型を有しており、前記第２Ｌ字型の垂直脚部が前記フィンガブリッジの前記頂面に連結され、前記第２Ｌ字型の水平脚部が前記フィンガブリッジの前記頂面と平行である、請求項８に記載のユニット化された保持器。
10. 前記１組の保持器フィンガが、前記１組の保持器ブリッジフィンガと位置合わせされて、前記第１Ｌ字型の水平脚部の軸方向中心線が、前記第２Ｌ字型の水平脚部の軸方向中心線と実質的に整合している、請求項９に記載のユニット化された保持器。
11. 請求項１０に記載のユニット化された保持器と、複数の円筒ローラの組合せ。
12. 前記保持器フィンガ突起部の間隔を前記保持器ネストの前記複数の保持器ポケットの位置と一致するように構成して、前記保持器ネストと前記保持器フィンガリングとを組み付けたときに、各円筒ローラのそれぞれの前記保持器ポケット内での軸方向の位置合わせを維持しながら、前記複数の円筒ローラを自由に回転させることができるように、前記複数の円筒ローラが前記保持器ネストと前記保持器フィンガリングとの間に保持される、請求項１１に記載の組合せ。
13. 前記保持器ネストが、金属または高強度ポリマーの何れか一方から製造される、請求項１０に記載のユニット化された保持器。
14. 前記保持器フィンガリングが、金属または高強度ポリマーの何れか一方から製造される、請求項１０に記載のユニット化された保持器。
15. 前記第２Ｌ字型の外側の角部が、面取り部を有する、請求項１０に記載のユニット化された保持器。
16. 複数の保持器ポケットを有する保持器ネストと、
    保持器フィンガリングと、
    複数の円筒ローラが前記保持器ネストと前記保持器フィンガリングとによって保持され、そして、軸方向の整合が保たれるように、前記保持器ネストを前記保持器フィンガリングにロック係合する手段であって、前記複数の円筒ローラの各々を前記複数の保持器ポケットの１つの内部で自由に回転させるところの手段と
    を含む、円筒ローラを配列するためのユニット化された保持器。
17. 前記保持器ネストが帽子型の形状を有している、請求項１６に記載のユニット化された保持器。
18. 前記保持器ネストが、金属または高強度ポリマーの何れか一方から製造される、請求項１７に記載のユニット化された保持器。
19. 前記保持器フィンガリングが、金属または高強度ポリマーの何れか一方から製造される、請求項１７に記載のユニット化された保持器。
20. 複数の円筒ローラを保持できる複数の保持器ネストポケットを備え、そして、保持器フィンガリングと係合する手段を備える保持器ネストを製造するステップと、
    前記保持器ネストとロック係合する手段を備える前記保持器フィンガリングを製造するステップと、
    前記保持器ネスト、前記保持器フィンガリング、及び、前記複数の円筒ローラを組み付けて、前記保持器ネストを前記保持器フィンガリングにロック係合し、もって、前記保持器ネストポケット内部で、前記円筒ローラの軸方向の整合を維持しながら、前記複数の円筒ローラの各々を前記複数の保持器ネストポケットの１つの内部で自由に回転させるように、前記保持器ネストおよび前記保持器フィンガリングの内部に前記複数の円筒ローラを保持するステップと
    を含む、円筒ローラを配列する方法。

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