本明細書中で説明するこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの実施形態については、好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサと、その構造の構成要素とに関して説明している。このマイクロエレクトロメカニカル圧力センサを製造するためのここで説明している構造およびプロセスは、他のマイクロエレクトロメカニカル・デバイスにも、同様に適用可能である。
図1は、第1の処理段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス100の下部構造の断面の一実施形態を示す概念図である。図1および他の後続の図は、ある処理段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの下位構造を示しているが、これらの段階は、例証の目的のためにすぎず、本実施形態の範囲を限定し、後続の処理ステップを提供し、あるいは柔軟性のない製造手法を提供することを、必ずしも意図するわけではない。
図1を参照すると、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス100は、基板102、基板シリコン層102a、埋込み酸化膜層104、および、この基板シリコン層102aの上に堆積された上部エピタキシャル層106を含んでいる。
この基板102は、サファイアやセラミックなどの非半導体の基板材料を含むことができ、かつ/または、N形シリコン・ウェーハやP形シリコン・ウェーハなどの半導体基板材料を含むこともできる。この基板102は、バルク・シリコン基板であることが好ましい。シリコンは、マスク、イオン注入、エッチング、ドーピングなどの多数の一般のシリコン半導体処理技法の使用を可能にする。この好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサにおいては、基板102デバイスは、高濃度ドープしたP形シリコン・ウェーハから製造することができる。
この基板102は、その最終的なマイクロエレクトロメカニカル・デバイス中に存在していてもよく、あるいは、処理中に取り除かれてもよい。例えば、この好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサを製造する際に、この基板102の「裏面」をエッチングして取り除いて、圧力を感知するためのシリコン・ダイアフラム(silicon diaphragm)を形成することができる。したがって、この基板102は、このダイアフラムを形成しそれにアクセスできるようにする1つまたは複数の開口部を、含むことができる。他の実施形態においては、この基板102は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの移動可能エレメントを浮遊させるための開口部を含むこともできる。これらの開口部を作製するために、化学エッチング・プロセスを使用して、この基板102の一部分をエッチングすることができる。
この埋込み酸化膜層104は、この基板102中にイオン注入される。この埋込み酸化膜層104は、SIMOX(Separation by IMplantation of OXygen、サイモックス)プロセスを使用して、この基板102中に作製されることが好ましい。あるいは、この埋込み酸化膜層104は、BSOI(Bonded Silicon On Insulator、接着型シリコン・オン・インシュレータ)、BESOI(Bonded and Etchback Silicon On Insulator、接着エッチバック型シリコン・オン・インシュレータ)、または他の同様なプロセスを使用して、形成することができる。この埋込み酸化膜層104を作製するための他のプロセスも、同様に可能である。このSIMOXプロセス中に、酸素イオンがイオン注入プロセスを使用して、バルク・シリコン基板の1つまたは複数の表面にイオン注入される。酸素イオンは、基板表面103などの一表面を介してのみ、イオン注入されることが好ましい。このイオン注入プロセスを制御することにより、その基板表面103を介してこの基板102中にイオン注入される酸素原子が、この基板のその表面下の所定の深さにおいて、この埋込み酸化膜層104を作製する。
この基板表面103の下に埋込み酸化膜層104を作製することにより、埋込み酸化膜層104上に残る基板シリコン層102aがもたらされる。この基板シリコン層102aは、この埋込み酸化膜層104によって残りのバルク基板から分離されるバルク基板層を備えている。好ましい実施形態においては、この基板シリコン層102aとこの基板102は、この埋込み酸化膜層104を「サンドイッチ」している。この基板シリコン層102aは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス・エレメントの他の層がその上に形成され得る基部を提供する。
このSIMOXプロセスにはまた、埋込み酸化膜層104の作製中および作製後に、高温のアニール・プロセスを含めて、このイオン注入プロセスの制御の促進をスムーズに進め、この基板表面中の欠陥を最少にすることもできる。この高温のアニールの後に、この基板のユニット・セルは、単結晶シリコン構造に構成されることが好ましい。この単結晶構造では、その上に単結晶エピタキシャル・シリコン層を堆積することができる表面が提供される。
標準のエピタキシャル技法およびエピタキシャル・プロセスを使用して、この上部エピタキシャル層106をこの基板102上に堆積することができる。例示の構成においては、上部エピタキシャル層106は、基板シリコン層102a上に堆積される。このエピタキシャル層106を堆積させるための標準のエピタキシャル技法およびエピタキシャル・プロセスは、CVD(chemical vapor deposition、化学気相成長)、APCVD(atmospheric pressure chemical vapor deposition、常圧化学気相成長)、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition、低圧化学気相成長)、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition、プラズマ化学気相成長)、および他の堆積技法を含んでいる。
さらに、ドーパント材料をこの堆積プロセス中に導入することができ、それによって、この上部エピタキシャル層106を導電性になるようにすることができる。あるいは、この上部エピタキシャル層106を、堆積の後にドーピングすることもできる。
この上部エピタキシャル層106と基板シリコン層102aの組み合わされた厚みにより、マイクロエレクトロメカニカル・デバイスの1つまたは複数のエレメントを作製するための使用可能なシリコンを提供することができる。この基板シリコン層102aに追加された上部エピタキシャル層106の厚みは、回路またはマイクロエレクトロメカニカル・デバイスのタイプに応じて変化することもある。例えば、この上部エピタキシャル層106と基板シリコン層102aの組み合わされた厚みは、CMOS回路の全体の厚みが約500Åから2000Åに一般に分布するCMOS回路から、バイポーラ回路の全体の厚みが0.3μmから10μmに分布することもあるバイポーラ回路へ変化している。他のデバイスの全体の厚みが変化するので、この上部エピタキシャル層106と基板シリコン層102aの組み合わされた厚みも、同様に変化することもある。
図2は、第2の処理段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造の断面の一実施形態を示す概念図である。図2に示すように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200は、基板202、基板シリコン層202a、埋込み酸化膜層204、上部エピタキシャル層206、およびこの上部エピタキシャル層206の適用可能区域上に形成され、または「成長」された熱酸化膜層210を含んでいる。
好ましい実施形態においては、この基板202は、高濃度ドープされたP形シリコン基板を含み、この埋込み酸化膜層204は、埋込み二酸化ケイ素(SiO2)層を含む。この上部エピタキシャル層206は、N形上部エピタキシャル層とすることができる。この熱酸化膜層210は、このN形上部エピタキシャル層上に「成長」されたSiO2層として形成されることが好ましい。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200はまた、この熱酸化膜層210からパターン化されエッチングされた開口部230aおよび230bを含むこともある。開口部230aおよび230bは、この開口部230aおよび230bによって露出された上部エピタキシャル層204や基板シリコン層202aなどその下に存在する層を、選択的にドーピングするために作製される。これらの下に存在する層は、イオン注入および/または拡散を使用してドーピングすることができる。図2は、この熱酸化膜層210中に2つの開口部、すなわち開口部230aおよび230bしか示していないが、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造は、この熱酸化膜層210中に追加の開口部を含むこともできる。あるいは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造は、この熱酸化膜層210中に1つの開口部しか含まないこともある。
さらに第1のドーピングされた領域234aおよび234bとして示されるいくつかの第1のドーピング領域が、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造中に含まれている。第1のドーピング領域234aおよび234bは、それぞれ開口部230aおよび230bによって露出されたこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの層中に適切なドーパント材料を拡散またはイオン注入することによって作製することができる。好ましい実施形態においては、この第1のドーピング領域234aおよび234bは、SiO2熱酸化膜層中の開口部を介してN形の上部エピタキシャル層中にP形ドーパントを拡散またはイオン注入することによって作製することができる。このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200はまた、この開口部230aおよび230bによって露出された区域上に成長されたイオン注入酸化膜層を含むこともできる。このイオン注入酸化膜は、このドーピング・プロセス中に開口部230aおよび230bによって露出された区域を保護するために使用される。
図2は、2つの第1のドーピング領域、すなわち第1のドーピング領域234aおよび234bしか示していないが、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造は、2つ以上の第1のドーピング領域を含むこともできる。あるいは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200の下部構造は、1つの第1のドーピング領域しか含まないこともある。このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスはまた、集積回路プロセスにおいて一般に使用される他の有益層および犠牲層を含むこともできる。
図3は、第3の処理段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300の下部構造の断面の一実施形態を示す概念図である。図3は、本明細書中で記載する点を除いてほとんどの点でマイクロエレクトロメカニカル・デバイス200と同様なマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300の一例を示すものである。図3に示すように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300は、基板302、基板シリコン層302a、埋込み酸化膜層304、上部エピタキシャル層306、熱酸化膜層310、少なくとも1つの第2の開口部312、第1のドーピング領域334aおよび334b、少なくとも1つの第2のドーピング領域338、ボンディング・パッド位置350aおよび350b、ならびに感知エレメント360を含んでいる。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300の熱酸化膜層310は、パターン化され、エッチングされ、あるいは別の方法で取り除かれて、少なくとも1つの第2の開口部312が作製される。ランナ、接続経路、および/またはボンディング・パッド位置350aや350bなどのボンディング・パッド位置のために留保された位置を除いて、この第2の開口部312は、この上部エピタキシャル層306のすべての区域を露出させる。この熱酸化膜層310が、一般に処理中に下に存在する層が変更されないように保護するバリアを提供することを想定すれば、この第2の開口部312を作製することにより、この数層の下に存在する層のうちのどれかを、追加の処理を用いて変更することができる。
したがって、この露出された上部エピタキシャル層306をブランケット・ドーピングすることによって、少なくとも1つの第2のドーピング領域338を作製することができる。例えば、この上部エピタキシャル層306がN形である場合には、その第2のドーピング領域338は、P形であることが好ましい。P形ドーパントを使用してN形の上部エピタキシャル層をブランケット・ドーピングすることによって、このP形領域を作製することができる。ブランケット・ドーピングはまた、この上部エピタキシャル層306の以前にドーピングされた区域におけるドーパント原子の濃度を増大させる。したがって、十分な量のP形ドーパントを用いたN形の上部エピタキシャル層のブランケット・ドーピングは、このN形上部エピタキシャル層の以前にドーピングされていない、またはカウンタ・ドープされた区域を、P形ドーピング領域になるようにする。また、第1のドーピング領域334aや334bなど以前にP形にドーピングされた領域を十分な量のP形ドーパントを用いてブランケット・ドーピングすることによって、ドーパント濃度の増大が引き起こされる。このブランケット・ドーピング・プロセス中に、この下に存在する上部エピタキシャル層を損傷から保護するために、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300は、上部エピタキシャル層306のこの露出された区域上に成長されたイオン注入酸化膜をオプションとして含むことができる。
以上で指摘したように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300はまた、感知エレメント360も含んでいる。この感知エレメント360は、第1のドーピング領域334aおよび334bと第2のドーピング領域338とによって構成されることが好ましい。この感知エレメント360は、この好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサ、ならびに、加速度計、磁気抵抗センサ、ジャイロスコープなど他のマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの感知構成要素を提供することができる。これらのデバイスにおいて、この感知エレメントは、導電性エレメント、容量性エレメント、または他の感知構成要素を含むことができる。この感知エレメント360はまた、ダイオードおよびトランジスタを含むこともある。他の構成も、同様に可能である。
様々な処理段階のうちの1つの間に、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300のある種のフィーチャ(feature)または構成要素を、後続の製造段階で使用するために製造することができる。製造されているマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの構成およびタイプに応じて、このデバイスの製造中に、1つまたは複数の層から材料を取り除いて、下に存在する層へのアクセスを実現することができる。ある処理段階における下に存在する層へのアクセスは、後の段階における後続の処理のために利用可能にすることができる。したがって、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300は、この基板302へのアクセスを提供する少なくとも1つのバイア348を含んでいる。
このバイア348は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス300の各層から材料の所定のボリュームをパターン化およびエッチングすることによって、またはそれ以外の方法で取り除くことによって、作製される。これらの層から取り除かれる材料には、この上部エピタキシャル層306、埋込み酸化膜層304、基板シリコン層302a、および/またはこの熱酸化膜層310の下の他の任意の有益層または犠牲層の一部分が含まれる。
バイア348と同様に、マイクロエレクトロメカニカル・デバイス300の処理中に、回路コンタクト領域354など他のフィーチャまたは構成要素を後で処理を行うために、一段階において製造することができる。回路コンタクト領域354は、バイア348によって露出された基板302の区域上に製造することが好ましい。回路コンタクト領域354は、この基板302のその露出された区域をドーピングすることによって製造することができる。あるいは、この回路コンタクト領域354は、この基板302のその露出された区域をドーピングし、次いでこのドーピングした区域を白金と反応させることによって製造することができる。基板302など高濃度にP形ドーピングしたシリコン基板においては、この回路コンタクト領域354は、N+形回路コンタクト領域を含むことが好ましい。
図4は、第4段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400の下部構造の断面の一実施形態を示す概念図である。図4に示すように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400は、基板402、基板シリコン層402a、埋込み酸化膜層404、上部エピタキシャル層406、熱酸化膜層410、少なくとも1つの第2の開口部412、第1のドーピング領域434aおよび434b、少なくとも1つの第2のドーピング領域438、ボンディング・パッド位置450aおよび450b、ならびに感知エレメント460を含んでいる。さらに、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400は、この基板402上に形成された絶縁層414および導電シールド層416を含むこともできる。
例示の実施形態において、絶縁層414は、その感知エレメント460上に直接に堆積される。この絶縁層414は、以上で指摘した様々なタイプのCVD堆積のうちの1つを使用して、二酸化ケイ素(SiO2)から製造することができることが好ましい。しかし、この絶縁層414は、他の酸化膜または絶縁物を使用した他のプロセスを使用して、製造することもできる。化学的なバリアを提供するのに加えて、この絶縁層414は、この感知エレメント460を他の構成要素から分離する電気的絶縁体として機能することもできる。さらに、この絶縁層414は、この感知エレメント460を処理中における機械的損傷から保護する機械的バリアを提供することもできる。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスは、この感知エレメント460上に形成された導電シールド層416を含んでいる。多レベルの層をなす実施形態においては、この導電シールド層416は、堆積されるときに感知エレメント460を含む下に存在する諸層の形状に従うことができる。この導電シールド層416は、ドーピングされたポリシリコン層から形成されることが好ましい。以下でさらに詳細に説明するように、この導電シールド層416は、その代わりに金属または金属材料の層から構成されることもある。
ドーピングされたポリシリコンから形成されたこの導電シールド層416は、以上で指摘した様々なCVDプロセスのうちの1つまたは複数のプロセスを使用して、この基板402の一部または全部の上に堆積することができる。さらに、このドーピング・ポリシリコン層のドーピングは、複数の工程でオキシ塩化リン(POCl3)の堆積とドライブ(drive)を使用して行うことができる。あるいは、このドーピングを、この堆積と同時に行うこともできる。あるいは、イオン注入プロセスを使用して、そのポリシリコンの堆積後にこのドーピングを行うこともできる。
ポリシリコン層のドーピングに際して、この導電シールド層416の弾性率(ヤング率(Young's Modulus))をほぼ同じヤング率に保持することにより、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400の出力におけるいくつかの望ましくない効果を防止することができる。これらの望ましくない効果の中にはとりわけ、機械的履歴現象および熱的履歴現象が含まれる。したがって、この導電シールド層416の機械的弾性は、感知エレメント460を含めて導電シールド層416の下に存在する諸層の弾性率(ヤング率)を示すことが好ましい。かかる機械的弾性を提供するために、この導電シールド層416は、1E+15原子/cm2のホウ素のドーズ量を用いてドーピングしたポリシリコン層から形成されることが好ましい。この導電シールド層416は、同様に他のドーパントとドーズ量を使用してドーピングされるポリシリコンから形成することもできる。
以上で指摘したように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400は、タングステン(W)、クロム(Cr)、ベリリウム(Be)などの金属または金属材料から構成された導電シールド層416を含むことができる。かかる場合には、この導電シールド層416を構成するこの金属または金属材料は、金属または金属材料がこの導電シールド層416の下に存在する諸層の弾性率(ヤング率)とほぼ同じヤング率を示すように選択することができる。さらに、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス400の出力における履歴現象は、この導電シールド層416を構成する金属または金属材料がその弾性変形領域内に保持される場合には防止することができる。
図5は、第5の処理段階におけるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の下部構造の断面の一実施形態を示す概念図である。図5は、集積された導電シールドを有するマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の一例を示しており、これは、本明細書中で説明する点を除いてほとんどの点で、マイクロエレクトロメカニカル・デバイス400と同様である。
図5を参照すると、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500は、基板502、基板シリコン層502a、埋込み酸化膜層504、上部エピタキシャル層506、熱酸化膜層510、少なくとも1つの第2の開口部512、絶縁層514、導電シールド層516、第1のドーピング領域534aおよび534b、少なくとも1つの第2のドーピング領域538、ボンディング・パッド位置550aおよび550b、ならびに感知エレメント560を含んでいる。さらに、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500は、バイア548、552aおよび552b、ならびに回路コンタクト領域554、556aおよび556bを含んでいる。このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500はまた、パッシベーション層518、およびこのパッシベーション層518の少なくとも一部分上に堆積される第1の金属層562を含むことができる。このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500は、バリア層や上部メタライゼーション層など他のいくつかの金属層(図示せず)を含むことができる。
このパッシベーション層518は、この基板502上に堆積された諸層の少なくとも一部分上に堆積され、または成長されたSiO2から製造することができる。このパッシベーション層518は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500を作製するための材料層を含む基板502のこの面上に堆積されることが好ましい。このパッシベーション層518は、基板502の全面にわたって堆積させることもできるが、これらの層の所定の区域を後続の処理のためにマスクして除外できることが好ましい。
このパッシベーション層518は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500上に加えられる外部環境に対する電気機械的バリアを提供することができる。例示の一実施形態においては、このパッシベーション層518は、窒化ケイ素層(Si3N4)を含むことができる。外部環境に対する電気機械的なバリアを提供することに加えて、このSi3N4層は、スクラッチ(scratch)保護および湿気保護を提供することもできる。ドーピングなしのSi3N4から製造されたこのパッシベーション層518は、この層によって保護されたこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスのエレメントにとってのナトリウム・バリア、強度のある誘電体、および酸化バリアを提供することができる。このパッシベーション層518は、同様に他の材料を使用して製造することもできる。
バイア548、550aおよび550bは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の下に存在する諸層に対するアクセスを提供する。バイア552aおよび552bは、その熱酸化膜層510に対するアクセスを提供することが好ましい。バイア552aおよび552bはまた、ボンディング・パッドやランナ経路など他のエレメントを製造するための下に存在する諸層のうちのいくつかに対するアクセスを提供することもできる。したがって、バイア552aおよび552bは、それぞれボンディング・パッド位置550aおよび550bに対応することもできる。このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の下に存在する諸層にアクセスするための3つのバイア、すなわちバイア548、550aおよび550bだけしか、図5には示されていないが、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500は、3個のバイアより多い、または少ないバイアを含むこともできる。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500には、回路コンタクト領域554、556a、556bなど複数の基板回路コンタクト領域が含まれる。これらの回路コンタクト領域554、556aおよび556bは、それぞれバイア548、550aおよび550bによって露出された区域に対応する基板502の区域上に形成された白金サリサイド(PtSi)コンタクトを含むことができる。これらの基板回路コンタクト領域は、同様に他の金属または導電材料から形成されるコンタクトを含むこともできる。
一実施形態においては、回路コンタクト領域554は、導電シールド層516をその基板502に結合するための場所を提供することができる。この導電シールド層516は、この回路コンタクト領域554においてバイア548を介してこの基板502に結合し、または別の方法で接続することができる。この導電シールド層516をその基板502に結合することによって、この導電シールド層とこの基板をほぼ同電圧に設定することができる。この電圧は、一定の電圧であってもよいし、またその代わりに変化する電位であってもよい。さらに、この電圧は、感知エレメントのアース電位よりも低い電圧に設定することもでき、また高い電圧に設定することもでき、あるいはアース電位に設定することもできる。
あるいは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500が、この導電シールド層を結合し、または別の方法で接続するための外部ノードを有する独立したマイクロエレクトロメカニカル・デバイスである場合には、この導電シールド層516をこのノードと結合し、または別の方法で接続することができる。この外部ノードに結合し、または別の方法で接続した後に、この導電シールド層516は、この外部ノードの電圧に設定することができる。別の代替形態として、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500が、この導電シールド層を結合し、または別の方法で接続するためのノードを有する別のシステムの一部分である場合には、この導電シールド層516をかかるシステムのノードと同様に結合し、または別の方法で接続することができる。このノードに結合し、または別の方法で接続した後に、この導電シールド層516を、このシステムの電圧に設定することができる。
これらの回路コンタクト領域の1つにおいて、この導電シールド層516を基板502と結合する構成の一例は、P形基板中のN形回路コンタクト領域上にN形ドーピングされたポリシリコン導電シールド層を単に堆積させることによって提供することができる。別の例示の構成では、この基板回路コンタクト領域554におけるこの導電シールド層516の基板502との結合は、P形基板中のN形回路コンタクト領域上に形成されたPtSiコンタクト上に堆積されたN形ドーピングされたポリシリコン導電シールド層との間に作製されるコンタクトによって提供することができる。
代替構成においては、この導電シールド層516の基板502との結合は、このN形基板回路コンタクト領域上に直接に堆積されたポリシリコン膜または金属膜との間の物理コンタクトによって提供することができる。さらに別の構成においては、この導電シールド層516は、バイア548を介してこの基板502と結合することができる。この結合は、金属層または金属導電シールド層を堆積させ、この金属層または金属導電シールド層をN形基板回路コンタクト領域と反応させることから形成されるコンタクトによって提供することができる。他の結合の構築も同様に可能である。
さらに、この導電シールド層516がどれだけ多く感知エレメント560をカバーしているかに応じて、回路コンタクト領域554におけるこの導電シールド層516のこの基板502との結合は、この感知エレメント560の部分的なまたは完全なカプセル封じを提供することができる。この導電シールド層516がこの感知エレメント560の完全なカプセル封じを提供する場合には、この導電シールド層516は、望ましくないイオン干渉からのこの感知エレメント560の保護を提供することができる。この感知エレメント560の部分的なカプセル封じはまた、完全なカプセル封じよりも少ないにもかかわらず、望ましくないイオン干渉に対する保護を提供することができる。
1つまたは複数の形態のエネルギー、例えば熱エネルギーの存在下においては、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの構成物の内部で捕捉されたイオンは、この感知エレメント560に向かって移動することもある。さらに、エネルギーに富む環境からのイオンは、エネルギーに富む環境からこの感知エレメント560に向かって移動することもある。あるいは、エネルギーに富む環境からのイオンは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの原子中のエネルギーの交換を引き起こし、それによってこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの構成物内部でイオンを生成し、それがこの感知エレメント560に向かって移動することもある。
例えば、このパッシベーション層518の外部表面に加えられる、シリコン・オイルに由来するイオンなど、エネルギーに富む環境からのイオンは、パッシベーション層518を介して様々なレートで移動することもある。このパッシベーション層を通過した後に、これらのイオンは、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの構造中のボイドを介してさらに移動することもある。さらに、外部ソースからのイオンは、このパッシベーション層518の構造中の原子をイオン化し、これが次にこのパッシベーション層とその下の諸層の原子の間で電荷を交換することによって、この感知エレメント560へと移動する。
別の実施例として、自由イオンを含むシリコン・オイル浴に、Si3N4から製造されたパッシベーション層518を含むマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500を浸し、このデバイスが十分なエネルギー源を受けるようにすることにより、Si3N4パッシベーション層518のランダム原子が、イオン化されるようになることもある。十分なエネルギーをもつと、これらの帯電された原子は、この感知エレメント560に向かって移動し、これによって、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の出力が、変化する電子伝導または正孔伝導のためにドリフトするようになり得る。
導電シールド層516が感知エレメント560の少なくとも一部分をカバーし、導電シールド層516が電源に結合されるマイクロエレクトロメカニカル・デバイス500の実施形態の一例においては、外部ソースからこの感知エレメントに向かって移動する望ましくないイオンを、導電シールド層516に引き付けることができる。同様に、導電シールド層516は、望ましくない内部に由来するイオン、すなわち帯電した原子を引き付けることができる。イオンの引付けをスムーズに実施するためには、この導電シールド層516を基板502に結合することが好ましい。この場合に、この組合せを同じ電圧に設定し、アース電位に設定することが好ましい。この組合せを同じ電圧に設定することにより、帯電した原子をこの感知エレメント560に向かってではなく、この導電シールド層に向かって移動させることができる。
図6は、半導体マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法を実行するための機能を示す概念的な流れ図600である。図6を参照すると、この方法は、ブロック602に示すような基板上に感知エレメントを形成する工程と、ブロック604に示すようなこの感知エレメント上に導電シールド層を形成する工程と、ブロック606に示すようなこの導電シールド層をこの基板に結合する工程とを含んでいる。
図6に示すように、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法の実施形態の一例は、ブロック602に示すような基板上に感知エレメントを形成する工程を含んでいる。この感知エレメントは、例えば圧力センサ・デバイス、加速度計デバイス、力センサ・デバイス、湿度センサ・デバイス、レベル・センサ・デバイス、磁気センサ・デバイス、および赤外線センサ・デバイス中で使用されるセンサを含むことができる。これらのデバイス中のこのセンサは、トランジスタ、ダイオード、抵抗、またはキャパシタから構成することができる。ブロック602における基板上に感知エレメントを形成する工程は、シリコン基板中に酸素をイオン注入して埋込み酸化膜層を作製し、この埋込み酸化膜層によって、この埋込み酸化膜層上に残る基板シリコン層が作製される。あるいは、基板上に感知部を形成する工程は、BSOI、BESOI、または他の同様なプロセスを使用して埋込み酸化膜層を作製する工程を含んでいる。圧力センサ/トランスデューサなどのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスにおいては、この埋込み酸化膜層は、シリコン基板の一表面下の表面から約2000Åの所にイオン注入することができる。
ブロック602に示すような基板上に感知エレメントを形成する工程はまた、この基板シリコン層上に真性上部エピタキシャル層を堆積させ、または配置する工程を含むこともできる。約9000Åの厚さを有する上部エピタキシャル層が好ましい。さらに、ブロック602において、基板上に感知エレメントを形成する工程は、この上部エピタキシャル層でカバーされた基板の適用可能な区域上に熱酸化膜層を「成長させる工程」を含むことができる。この熱酸化膜層は、約13800Åの厚さにまで成長させることが好ましい。ブロック602における、半導体材料のいくつかの層を成長させ堆積させる工程、およびこれらいくつかの層をエッチングし、または別の方法で取り除く工程を含んでいる感知エレメントを形成するプロセスにおいては、マイクロエレクトロメカニカル・デバイスの多レベルの層をなす構成がもたらされ得る。
さらに、ブロック602に示すような基板上に感知エレメントを形成する工程は、リード線、接続経路、およびボンディング・パッドのための熱酸化膜層をパターン化しエッチングする工程などの他の集積回路製造プロセスを実施する工程を含むことができる。ブロック602に示すような基板上に感知エレメントを形成する工程は、適切なN形またはP形のドーパントを用いて堆積させイオン注入した層の選択された区域にイオン注入し、または拡散する工程をさらに含むことができる。これらの選択された区域は、約2.4E+14原子/cm2のホウ素ドーパントのドーズ量を用いて約80KeVでイオン注入されることが好ましい。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法はまた、ブロック604に示すように、感知エレメント上に導電シールドを形成する工程も含んでいる。多レベルの層をなすマイクロエレクトロメカニカル・デバイスにおいては、この導電シールドの形状は、下に存在する諸層の形状をたどることができる。この感知エレメント上に導電シールドを形成する工程は、LPCVD、超高真空CVD、MBE(Molecular Beam Epitaxy、分子線エピタキシー)などの化学気相成長により1層または複数層のポリシリコン層を堆積させることによって、実施することができる。好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサにおいては、1層または複数層のポリシリコン層を形成する工程は、第1および第2のポリシリコン層を堆積させることによって実現することができる。LPCVDを使用して、第1のポリシリコン層を堆積させて約1500Åの厚さを達成することができる。このポリシリコン層の堆積を実施するために、温度などのLPCVDプロセスの1つまたは複数のパラメータを制御することができる。堆積中のこの温度は、摂氏約610度に制御することが好ましい。ただし、LPCVDプロセスの他のパラメータと同様に、この温度は変化させることもできる。
さらに、機械的品質の、または低ストレスのポリシリコンを含むこともある第2のポリシリコン層を、LPCVDプロセスによって堆積させて約1500Åの厚さを達成することができる。堆積中に、その温度は、摂氏約598度に制御される。第1のポリシリコン層を堆積させるのと同様に、この第2のポリシリコン層を堆積させる際のLPCVDプロセスの温度は、変化させることができる。
堆積中に、この導電シールドでは、このポリシリコンをドーピングする必要もあるが、これについては、適切な濃度のN形またはP形原子を導入することによって原位置(in-situ)で提供することができる。あるいは、ブロック604に示されるその感知エレメント上に導電シールドを形成する工程は、イオン注入を手段とした堆積後のドーピングする工程を含むこともある。この好ましいマイクロエレクトロメカニカル圧力センサ・デバイスにおいては、堆積後のイオン注入は、約1E+15原子/cm2のリンのドーパントのドーズ量を約50KeVでその堆積されたポリシリコン中にイオン注入する工程を含んでいてもよい。別の例示の代替形態においては、複数の工程におけるPOCl3の堆積とドライブを使用して、このポリシリコンのドーピングを実施することもできる。
ブロック604に示すその感知エレメント上にこの導電シールドを形成する工程は、このドーピングされたポリシリコン層を含む層構造のこの基板をアニールする工程も含んでいる。圧力センサや加速度計などのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスにおいては、ブロック604に示すその感知エレメント上に導電シールドを形成する工程は、摂氏約950度における、窒素(N2)環境中で250分以上の期間にわたる堆積後のアニールを含めることができることが好ましい。またブロック604においてその感知エレメント上に導電シールドを形成する工程には、その感知エレメントの少なくとも一部分がカバーされるように、特定の構造にこのシールドを形成するための処理ステップも含まれる。
一代替実施形態においては、604に示すその感知エレメント上にこの導電シールドを形成する工程は、銅、アルミニウム、チタン−タングステン、金、他の金属または合金などの金属層を堆積させる工程を含むこともある。その感知エレメント上にこの導電シールドを堆積させるための金属堆積技法は、超高真空CVDなどのCVDプロセスを含むこともある。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法はまた、ブロック606に示すようなこの導電シールドをその基板に結合する工程も含んでいる。この導電シールドの形状とこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの層構造が、この導電シールドをその基板に結合する方法に影響を及ぼすこともある。したがって、ブロック606におけるこの導電シールドをその基板へ結合する工程は、変化し得るものである。例えば、この導電シールドを容量性結合、抵抗結合、または他の電気的結合を使用してその基板に結合することができる。
ブロック606に示すようなこの導電シールドをその基板に結合する工程は、その基板中に回路コンタクト領域を作製する工程と、この導電シールドをこの回路コンタクト領域に接続する工程とを含むこともある。好ましい実施形態においては、この回路コンタクト領域は、ドーパントをその基板中にイオン注入し拡散することによって製造することができる。あるいは、この導電シールドをその基板に結合する工程は、以下でより詳細に説明するようなメタライゼーション相互接続システムを使用して実現することができる。
図7は、集積化された導電シールドを有するマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法を実行するための代替的な機能を示す概念的な流れ図700である。図7は、本明細書中で説明する点以外はほとんどの点で流れ図600と同様である例示の流れ図700を示すものである。好ましい実施形態においては、半導体マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法は、(i)基板上に感知エレメントを形成する工程702と、(ii)ブロック710に示すような、その基板中に1つまたは複数の回路コンタクト領域を作製する工程と、(iii)ブロック704に示すような、導電シールドを形成する工程と、(iv)ブロック712に示すような、この導電シールドとこの感知エレメントの間の絶縁層を形成する工程と、(v)ブロック716に示すような、この導電シールドをパターン化しエッチングする工程と、(vi)ブロック718に示すような、この導電シールドと基板の間の諸層をパターン化しエッチングする工程と、(vii)ブロック722に示すような、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程と、(viii)ブロック706に示すような、この導電シールドを基板に結合する工程と、(ix)ブロック724に示すような、その基板上にパッシベーション層を形成する工程とを含むことができる。
ブロック710に示すような、その基板中に1つまたは複数の回路コンタクト領域を作製する工程は、その基板中の選択された区域中にドーパントをイオン注入し、または拡散することによって実施することができる。次いで、このドーピングした区域を白金(Pt)および/または銅などの1つまたは複数の金属と反応させることができる。
ブロック712において、この導電シールドとこの感知エレメントの間に絶縁層を形成する工程は、SiO2熱酸化膜層などの酸化膜層を成長させ、または別のタイプの絶縁体を堆積させることによって提供することができる。この絶縁層は、この感知エレメントをこのマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの他の層から分離する電気的絶縁体として機能することができる。さらに、この導電シールドと感知エレメントの間の絶縁層を形成することにより、この絶縁層は、この感知エレメントおよび他の諸層を機械的損傷から保護することができる。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法700はまた、ブロック704に示すような、この感知エレメント上に導電シールドを形成する工程も含んでいる。ブロック704に示すような、この感知エレメント上に導電シールドを形成する工程は、CVDプロセスを使用してこの感知エレメントの少なくとも一部分上、またはその基板の他の部分上に導電シールド層を堆積させ、または配置する工程を含むこともある。この導電シールド層を形成するに際して、この感知エレメントを含むその層構造の基板の一部分上にポリシリコン層を堆積させることができ、次いでこのポリシリコン層をドーピングしてこのポリシリコン層を導電性にすることができる。あるいは、ブロック704に示すような、この感知エレメント上にこの導電シールドを形成する工程は、この感知エレメントを含むその層構造の基板上に銅、アルミニウム、チタン−タングステン、金、他の金属または合金などの金属層を堆積させる工程を含むこともある。
マイクロエレクトロメカニカル・デバイスの製造の好ましい実施形態においては、この方法700は、ブロック716に示すような、この導電シールドの選択的な区域をパターン化しエッチングして、その基板および/または下に存在する他の諸層の区域を露出する工程を含むこともある。さらに、マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法700は、ブロック718に示すような、この導電シールドとその基板の間の選択された区域をパターン化しエッチングして、その基板および/または下に存在する他の諸層の区域を露出する工程を含むこともある。
また、マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法700には、ブロック722に示すような、メタライゼーション相互接続システムを形成するプロセスも含まれる。メタライゼーション相互接続システムを形成するプロセス中において、この導電シールドは、その基板に結合し、または接続することができる。ブロック722に示すような、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程は、スパッタリング・プロセスまたは他の金属堆積プロセスによって、約650Åの白金(Pt)層をその基板の選択された区域上に堆積させる工程を含むこともある。さらに、ブロック722に示すような、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程は、この白金層をその基板の露出された区域と反応させてその基板の露出された区域上に白金サリサイド(PtSi)コンタクト区域を作製する工程を含むこともある。さらに、ブロック722に示すような、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程は、PtSiコンタクトを作製した後にエッチング・プロセスによって残りのPtを取り除く工程を含むこともある。
さらに、ブロック722において、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程は、1層または複数層の金属層を堆積させる工程を含むこともある。これらの金属層は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの様々な層に堆積させ、接続することができる。したがって、メタライゼーション相互接続システムを形成する工程は、その基盤または下に存在する他の諸層の露出された区域上にチタン−タングステン(Ti−W)など第1レベルの金属を堆積させる工程を含むこともある。この第1レベルの金属の堆積は、スパッタリング・プロセスまたは他の金属堆積技法を使用して実現することができる。この第1レベルの金属を堆積させる工程は、この導電シールドをその基板上のこのPtSiコンタクトと接続する電気的コンタクト、または導電性プラグを提供することができる。
メタライゼーション相互接続システムを形成する工程はまた、スパッタリング・プロセスまたは他の金属堆積技法を使用して金など第2の金属層を堆積させる工程を含むこともできる。この導電シールドとその基板の間の諸層の厚さに応じて、その結果この多レベル金属の厚さは変化する。同様に、任意の層または複数の層の位置とこの導電シールドの位置に応じて第2の金属層の堆積が、この導電シールドとその基板の間の結合を提供することもある。
また、マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法700の一実施形態には、ブロック706に示すような、この導電シールドをその基板に結合するプロセスも含まれる。ブロック706に示すような、この導電シールドをその基板に結合する工程は、その基板上に配置された回路コンタクト領域にこの導電シールド層を結合しかつ/または接続する工程によって実現することができる。この回路コンタクト領域にこの導電シールド層を結合しかつ/または接続する工程は、メタライゼーション相互接続システムを使用して実現することができる。代替的な実施形態においては、この導電シールドをその基板に結合するプロセスは、この導電シールド層とある外部ノードの間に金ワイヤなどのストラップを取り付ける工程を含むこともある。
マイクロエレクトロメカニカル・デバイスを提供する方法700によれば、この導電シールドをその基板に結合しまたは接続することによって、イオン汚染を防止する機能を果たすことができる。この感知エレメントのイオン汚染を防止するこのプロセスを実施するために、この導電シールドとその基板の組合せを特定の電圧または電位に設定することができる。一部の状態では、この組合せを、一定の電圧に設定することになる。あるいは、この導電シールドとその基板の組合せをこの感知エレメントの最大出力より高い電圧に設定することによって、この感知エレメントのイオン汚染を防止する機能を提供することができる。他の電圧オプションも、可能である。この導電シールドを特定の電圧または電位に設定するオプションは、事実上この導電シールドに望ましくないイオンを引き付けさせ、ファラデー・シールドとして機能させるものである。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスを製造する方法はまた、ブロック724に示すような、その基板上にパッシベーション層を形成する工程も含んでいる。ブロック724に示すようなその基板上にパッシベーション層を形成する工程は、その露出された基板上に窒化ケイ素Si3N4層を堆積させることによって達成される。あるいは、ポリシリコン導電シールド層の場合には、その基板上にパッシベーション層を形成する工程は、その基板上にSiO2層を成長させることによって達成することができる。金属導電シールドの場合には、その基板上にパッシベーション層を形成する工程は、金属導電シールド上にシリコン層を形成することによって実現することができる。
このマイクロエレクトロメカニカル・デバイス、およびこのデバイスを製造する方法は、非平面のマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの現行の構造が、このデバイスのエレメントと、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの出力を安定させるこのパッシベーションの露出された上部面と、の間に導電層をもたないという認識からもたらされたものである。しかし、この適切なデバイス・エレメント層の間に挿入されたパターン化された金属、または機械的品質のドーピングされたポリシリコンの層は、このマイクロエレクトロメカニカル・デバイスの出力がドリフトしないようにする導電層を提供することができる。この導電層は、このデバイスのエレメントのほとんど完全なカプセル封じを形成することができ、またこのデバイスのエレメントのある部分を選択的にカバーすることができる。さらに、この金属または機械的品質のドーピングされたポリシリコンをそのデバイスの基板コンタクトと同じ電源に結合することによって、この導電層に、その基板の電圧を加えることができる。
本発明の原理を適用することができる広い様々な実施形態を考慮して、この例証された実施形態は、例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことを理解されたい。例えば、この流れ図のステップは、これらの説明したもの以外の順序においても解釈することができ、またこれらのブロック図中においては、より多くのエレメントまたはより少ないエレメントを使用することもできる。これらの特許請求項は、その効果について述べられていなければ、この説明された順序またはエレメントに限定されるものとしては読むべきではない。さらに、どの請求項における用語「手段(means)」の使用も、35U.S.C.§112、パラグラフ6を行使することを意図しており、単語「手段」のないどの請求項もそのようには意図していない。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨に含まれるすべての実施形態及びその等価形態が、本発明として請求されている。
本発明の好ましい実施形態および代替実施形態について例示し説明してきた。しかし、添付の特許請求範囲によって定義されるように、本発明に対する変更形態および修正形態は、本発明の真の趣旨および範囲を逸脱することなく実施することができることが理解されよう。