JP2005528879A - 抗脈管形成剤および抗腫瘍剤としてのヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(hprg) - Google Patents

抗脈管形成剤および抗腫瘍剤としてのヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(hprg) Download PDF

Info

Publication number
JP2005528879A
JP2005528879A JP2002564950A JP2002564950A JP2005528879A JP 2005528879 A JP2005528879 A JP 2005528879A JP 2002564950 A JP2002564950 A JP 2002564950A JP 2002564950 A JP2002564950 A JP 2002564950A JP 2005528879 A JP2005528879 A JP 2005528879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hprg
peptide
cell
angiogenesis
pro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002564950A
Other languages
English (en)
Inventor
フェルナンド ドネイト,
スコット ハリス,
マリアン エル. プランケット,
アンドリュー ピー. マザー,
Original Assignee
アテニュオン, エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アテニュオン, エルエルシー filed Critical アテニュオン, エルエルシー
Publication of JP2005528879A publication Critical patent/JP2005528879A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/04Linear peptides containing only normal peptide links
    • C07K7/06Linear peptides containing only normal peptide links having 5 to 11 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K49/00Preparations for testing in vivo
    • A61K49/0002General or multifunctional contrast agents, e.g. chelated agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

ヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(HPRG)ポリペプチド、またはそのフラグメント(ペンタペプチドフラグメントおよびその多量体を含む)、およびHPRGの他の生物学的に活性な誘導体は、抗脈管形成である。これらの化合物を使用し得、脈管形成を阻害し得るか、または脈管形成が病原である疾患もしくは状態を処置し得る。従って、これらの化合物は、抗腫瘍活性を有し、そして、原発腫瘍の増殖または転移を阻害する方法において使用される。HPRGのHis−Proドメインのエピトープに特異的な抗体は、脈管形成の刺激因子であり、そして、関連する疾患状態における新生血管管形成を促進するのに有用である。

Description

(発明の背景)
(発明の分野)
生化学および医薬の分野における本発明は、「ヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質」と呼ばれる糖タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントおよび他の誘導体を用いて、脈管形成を阻害し、ならびに腫瘍および癌を処置するための新規方法に関する。
(背景技術の記載)
予め存在する毛細血管からの新たな毛細血管の形成である脈管形成(Folkman、J.、N.Engl.J.Med.、1971、285:1182−1186;Hanahan D.ら、Cell、1996、86:353−364)は、胎児発生、創傷治癒および女性の生殖機能の正常部分である。しかし、脈管形成はまた、特定の疾患の確立および進行において病因的役割を演じている。癌、慢性関節リウマチおよび糖尿病性網膜症は、このような疾患の例である(Carmeliet P.ら、Nature、2000、407:249−257)。抗脈管形成治療は、これらの疾患の進行を阻害することで有望である。
脈管形成は、いくつかの血管新生促進サイトカインにより引き起こされ得る。癌の設定条件では、低酸素条件下の腫瘍細胞は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)および/または線維芽細胞増殖因子(bFGF)を分泌する。これらのタンパク質は拡散し、そして局所血管系中の内皮細胞(EC)上の特異的レセプターに結合し、脈管形成に有利になるように血管新生促進力および抗脈管形成力のバランスを混乱させる。これらタンパク質の結合の結果、ECは活性化されて(a)会合した組織マトリックスのリモデリングを誘導する酵素を分泌し、そして(b)インテグリンのような接着分子の発現のパターンおよびレベルを変化させる。マトリックス分解の後、ECは増殖し、そして低酸素腫瘍に向けて移動し、新たな血管の生成および成熟をもたらす。
興味深いことに、多くの抗血管形成因子は、マトリックスタンパク質の分解から生じる−すなわち、血管新生促進酵素の作用の結果である。例として、エンドスタチン、コラーゲンXIIIのフラグメント(O’Reilly、M.S.ら、Cell 1997、88:277−285);プラスミノゲンのクリングル5(O’Reilly、M.S.ら、Cell 994、79:315−328)およびPEX、MMP−2のC末端非触媒的サブユニット(Brooks P.C.ら、Cell、1998、92:391−400)が挙げられる。
血管新生促進因子の豊富さに起因して、これらの抗脈管形成分子は、原発性腫瘍中の血管新生促進バランスを克服することができないという考えが出現した。しかし、それらは循環中に分泌されるので、これら抗脈管形成分子は、腫瘍細胞が侵入し始め得る他の位置で脈管形成を阻害し得る。その結果、これらの新たな位置におけるこれら腫瘍細胞を含む微小転移は、休眠したままである。この仮説は、何年も前に外科医によってなされた訳のわからない観察:明らかな転移疾患をもたない患者中の原発性腫瘍の外科的除去の後の種々の時点で、患者が進行した転移疾患に戻る、を説明する。
従って、1つ以上の抗脈管形成因子を用いる治療による臨床的介入は、脈管形成プロセスを阻害し得、そして腫瘍成長および転移を止める。この概念を支持する顕著な証拠が(上記引用された)文献中にある。
(ヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(HPRG=Histidine Rich Glycoprotein、HRG))
HPRGは肝臓中で合成される(Morgan W.T.、「Histidine−Rich Glycoprotein」:Encyclopedia of Molecular Medicine、2001)。この糖タンパク質は、通常ないような高い割合のProおよびHis残基をもち(ヒトHPRGは525残基をもち、66がHisそして65がProである)、それが名前に反映されている。HPRGは、N末端に2つのシスタチン様ドメインを、そしてC末端の2つのProリッチドメイン間に、本明細書では「H/Pドメイン」とも呼ばれるHis−Proリッチドメイン−(ヒトHPRGにおける148残基のうち、42がHisそして31がPro)を含む。このC末端ドメインは、(キニノーゲンにおけるように)N末端ドメインにつながれ、そして3つのすべてのN連結オリゴ糖を含む;その配列は、シスタチンのプロテアーゼインヒビター活性のすべてを失うに十分シスタチンから分岐している。HPRGは、血漿中に極めて豊富である(1.5μM、125μg/ml)。これにもかかわらず、HPRGの生理学的役割についてはほとんど知られていない。
HPRGは、以下の3つの主要な群に分割され得るリガンドの大アレイを結合する:
(1)ヘパリン、プラスミノゲン、フィブリノゲン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンディンのような凝固/フィブリン溶解系に属するリガンド;
(2)ヘムおよび遷移金属イオン(亜鉛、銅およびニッケル)のような小リガンド、および
(3)T細胞(Lamb−Wharton R.J.ら、Cellular.Immunol.1993、152:544−555;Olsen、HMら、Immunology 1996、88:198−206)、マクロファージおよび血小板のような細胞。
先行する記載に基づき、凝固およびフィブリン分解の調整、金属輸送および免疫系の調節における、HPRGの可能な役割について、いくつかの仮説が提案されている。しかし、このマルチドメインタンパク質の結合の見かけの「乱交」を説明かつ統合し得る仮説はまだない。
HPRGのいくつかの生物学的性質は、pHまたは金属の結合に依存する。例えば、ヘパリンへの、またはECの表面上のグリコサミノグリカン(GAG)へのHPRG結合は、低pHまたは多量のZn+2またはCu+2に依存する(Borza D−B.ら、J.Biol.Chem.、1998、273:5493−5499)。His−Pro−リッチドメインへのZn+2またはCu+2の結合は、GAGへの次の結合を可能にする。低酸素症または虚血の間に生じ得るような、(正常血漿のpH7.4から)0.25〜0.50単位のpHにおける穏やかな変化は、H/PドメインのHis残基のプロトン化を誘導する。従って、pHおよび金属結合は、HPRG活性の精緻なレギュレーターである。
HPRGは、溶液中のとき、またはEC表面上のGAGに結合するとき、プラスミノゲンを結合する。この細胞表面結合は、組織プラスミノゲンアクチベーター(tPA)によるプラスミノゲンのプラスミンへの活性化を促進し(Borza D−B.ら、J.Biol.Chem.、1997、272:5718−5726)、これは血管新生促進性である。保存されたC末端Lysは、N末端ドメインでそうであるように、プラスミノゲンとの相互作用に必須である。HPRGはまた、フィブリノゲンのγ鎖に結合する。pH7.4ではそうではないが、pH6.8で、HPRGは、トロンビンによるフィブリンの重合を増大する。
ニワトリHPRG(cHPRG)のヘパリンサルフェートプロテオグリカン類への結合は、これら部位からbFGFおよびαFGFを置換することが示されている(Brown K.J.ら、Biochemistry、1994、33:13918)。
脈管形成に対するHPRGの影響は調査されていないけれども、上記の影響は、bFGF活性を促進または阻害し得ると推測される。この性質に関連して、80μg/ml(約1μM)以上の濃度のcHPRGは、線維芽細胞におけるFGF刺激内因性DNA合成およびベースライン内因性DNA合成を有意に阻害した(Brownら、前述)。ベースライン増殖もまた阻害されたので、この影響は、FGF刺激DNA合成に特異的でないかも知れない。むしろ、HPRGは、刺激剤の性質にかかわらず、DNA合成を調節し得る。しかし、Brownらは、ECおよび脈管形成プロセスに対するHPRGの可能な影響を調査しなかった。
ウサギおよびヒトのHPRGは、組成および機能が非常に類似している。この2つのタンパク質の最適アラインメントは、63.5%配列同一性および68.6%相同性を示した(Borza D−B.ら、Biochemistry、1996、35:1925−1934)。最も高い相同性は、N末端およびC末端にある。しかし、His−Proリッチドメインにおける見かけのより低い相同性は、ウサギ分子中のHisのProによる置換に起因する。ヒトタンパク質は、配列HHPHGの15の繰り返しを含み、その一方、ウサギタンパク質は、この配列の2つの繰り返し、HPPHGの6つの繰り返しおよびPPPHGの7つの繰り返しを含む。従って、これら繰り返し単位のコンセンサス配列は、[H/P][H/P]PHGと称される。
Simantov、R.ら、J.Clin.Invest.107:45−52(2001)は、HPRGがトロンボスポンディン(TSP−1)の抗脈管形成活性を阻害したことを開示し、そしてHPRGの領域は、TSP−1レセプターであるCD36に相同であると結論した。これらの領域は、HPRGのN末端にあり、これは、本発明者らの、抗脈管形成活性のH/Pドメインへの局在化とは対照的である。
(発明の要旨)
本発明者らは、HPRGポリペプチド、またはドメインおよびペンタペプチドを含むそのフラグメント、改変されたコンホメーションのHPRG、他の生物学的に活性なHPRG誘導体が、抗脈管形成活性および抗腫瘍活性を示し、その一方、HPRGに特異的な抗体が、インビボでHPRGの作用をブロックすることにより脈管形成を刺激するこを発見した。この抗脈管形成作用は、一部、酸化ストレスの阻害を通じて生じ得、これは、最近、脈管形成の病態生理学に寄与することがインビトロで示された(Brownら、(2000)Cancer Res.60:6298)。脈管形成に至る酸化ストレスは、亜鉛または銅のような遷移金属を必要とし得−−低分子銅キレーターが、インビボの腫瘍増殖を阻害することが示された(Brewer、GJ、国際特許公開WO/013712(2000))。
本発明は、タンパク質性金属キレーター(HPRG)が、恐らくはその結合性遷移金属に起因して、脈管形成を阻害することの最初の実証を含む。本発明は、HPRG、ドメインおよびペプチドフラグメント、改変されたコンホメーションならびにその他の生物学的に活性な誘導体を用いて、脈管形成、腫瘍増殖、EC増殖、EC移動またはECチューブ形成を阻害または低減する新規な方法を提供する。
遷移金属および酸化ストレスの誘導は、非癌疾患、特に、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮側索硬化(ALS)のような神経変性疾患の病因学に関係している。従って、本発明はまた、その病理生物学が、遷移金属の存在が酸化ストレスを誘導し得る状態を含む、遷移金属の異常な存在または所望されない作用に関与する、任意の疾患の処置のための組成物および方法を提供する。
本発明は、以下の配列を有する、単離された抗血管形成ポリペプチドまたはペプチドを提供する。(a)ヒトヒスチジン−プロリンリッチ糖タンパク質(HPRG)のヒスチジン−プロリン−リッチ(H/P)ドメイン(配列番号5)(b)ヒトウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6)(c)インビトロまたはインビボバイオアッセイにおける、脈管形成、内皮細胞増殖または内皮チューブ形成を阻害する、実質的に同じ生物学的活性を有する、配列番号5または配列番号6の配列改変体;(d)配列(His、Pro)−(His、Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有するH/Pドメイン由来のペンタペプチド、または、このペンタペプチドのN末端またはC末端で付加された、His、ProまたはGlyからなる群から選択されるさらなる1〜4のアミノ酸を有するその付加改変体。
好ましくは、この上記の単離されたペプチドは、His−His−Pro−His−Gly(配列番号8)、His−Pro−Pro−His−Gly(配列番号9)、またはPro−Pro−Pro−His−Gly(配列番号10)からなる群から選択される配列を有する。
また、上記のペプチドまたは付加改変体を含む、化学的に合成されたペプチド多量体が提供され、この多量体は、以下からなる群から選択され:
(a)式P を有する多量体であって、ここで、(i)Pは、請求項2のペプチドまたは付加改変体であり、そして(ii)n=2〜8であり、(b)式(P−Xを有する多量体であって、ここで、(i)PおよびPは、請求項によるペンタペプチドまたは付加改変体であり、(ii)PおよびPは、同一または異なるペプチドであり、(iii)Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、4つまでの酸素原子を含むC〜Cポリエーテルであり、(iv)m=0または1であり、そして(v)n=1〜7であり、そして、ここで、このペプチドマチルマーは、インビトロまたはインビボバイオアッセイにおいて、脈管形成、内皮細胞増殖または内皮チューブ形成を阻害する生物学的活性を有する。
別の実施形態は、上記のペプチドまたは付加改変体を含む組換えにより産生されたペプチド多量体であり、この多量体は、式(P−Glyを有し、ここで:(i)PおよひPは、請求項2に記載のペンタペプチドまたは付加改変体であり、(ii)PおよびPは、同一または異なり;(iii)z=0〜6であり;そして(iv)n=1〜100である。
本発明はまた、診断的または治療的に標識された抗脈管形成ポリペプチド、ペプチドまたはペプチドマチルマーに関し、これらは:(a)診断的または治療的に標識されている、上記のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体;(b)診断的または治療的に標識されたヒトHPRGタンパク質(配列番号1);(c)診断的または治療的に標識されたウサギHPRGタンパク質(配列番号3);または(d)上記(b)もしくは(c)のホモログである、診断的または治療的に標識されたポリペプチドを含む。
好ましくは、この診断的または治療的に標識されたポリペプチドまたはペプチドは:(a)ヒトHPRGのH/Pドメイン(配列番号5);(b)ウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6);および(c)配列番号7の配列を有するペプチドまたはその付加改変体からなる群から選択される。
診断的に有用なHPRG関連組成物は、上記の診断的に標識されたタンパク質、ペプチドまたはペプチド多量体、および診断的に受容可能なキャリアを含む。
上記の診断組成物において、好ましくは、検出可能な標識は、放射性核種、PET造影剤、MRI造影剤、蛍光剤、蛍光発色剤、発色団、色原体、燐光剤、化学発光剤または生物発光剤である。
好適な放射性核種は、H、14C、35S、67Ga、68Ga、72As、89Zr、97Ru、99Tc、111In、123I、125I、131I、169Ybおよび201Tlを含む。
好適な、蛍光剤または蛍光発色剤は、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレスカミン、フルオレセイン誘導体、オレゴングリーン、ローダミングリーン、ロドールグリーンおよびテキサスレッドを含む。
抗脈管形成薬学的組成物は、請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質ペプチドまたはペプチド多量体の有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
1つの実施形態では、治療的抗脈管形成薬学的組成物は、治療的に活性な部分が直接または間接的に結合した上記に記載のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体の有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む。好ましくは、この薬学的組成物は、注射に適切な形態である。
治療的に活性な部分は、放射性核種であり得、好ましくは、47Sc、67Cu、90Y、109Pd、125I、131I、186Re、188Re、109Au、211At、212Pbまたは217Biである。
本発明はまた、ヒトHPRGのH/Pドメイン(配列番号5)またはウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6)中に存在しているHPRGのエピトープに特異的であって、かつ、HPRGまたは任意のそのドメインに、それがHPRGまたはこのドメインの抗脈管形成活性を阻害する様式で結合する抗体、(またはこの抗体の抗原結合性フラグメント)に関する。このエピトープは、抗体またはフラグメントにより認識され、好ましくは、配列His−His−Pro−His−Gly(配列番号8)、His−Pro−Pro−His−Gly(配列番号9)、またはPro−Pro−Pro−His−Gly(配列番号10)を有するH/Pドメイン由来のペンタペプチドを含む。この抗体は、モノクローナル抗体であり得、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体を含む。
HPRGを検出するために有用な抗体の実施形態は、検出可能に標識されている上記の抗体またはフラグメントを含む。
HPRGまたはそのエピトープを標的にする治療的に有用な抗体は、治療的に活性な部分が直接または間接的に結合している上記の抗体またはフラグメントを含む。
本発明は、インビトロまたはインビボで脈管形成を刺激する薬学的組成物を提供し、この組成物は:(a)上記の抗体またはフラグメント;および(b)薬学的に受容可能なキャリアを含む。
本発明は、細胞移動、細胞侵入、細胞増殖または脈管形成を阻害するため、またはアポトーシスを誘導するための方法を提供し、この方法は、所望されない細胞移動、侵入、増殖または脈管形成に関連する細胞を、有効量の上記に記載の治療薬学的組成物と接触させる工程を包含する。
また含まれるのは、所望されない細胞移動、侵入、増殖または脈管形成に関連する疾患または状態を有する被験体を処置する方法であり、この方法は、この被験体に、上記ポリペプチド、ペプチドまたは多量体を含む有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。この処置に好適な疾患または状態は、腫瘍または癌である。
脈管形成を刺激する別の方法は、脈管形成に関与する細胞に、上記の抗体またはフラグメントの有効量を提供する工程を包含する。増大した脈管形成が必要な被験体中の脈管形成を刺激する方法は、この被験体に、有効量の上記抗体ベースの薬学的組成物を投与する工程を包含する。
生物学的サンプルにおいてHPRG、またはその切断生成物もしくはペプチドの存在を検出するための方法もまた提供され、この方法は、以下の工程:
(a)請求項20に記載の抗体またはフラグメントをサンプルと接触する工程;および
(b)このサンプルと会合する標識の存在を検出する工程。
サンプルは、好ましくは、血漿、血清、細胞、組織、器官、または細胞、組織、もしくは器官の抽出物である。接触および検出は、インビトロであり得るか;あるいは、接触はインビボで、そして検出はインビトロ(またはこの反対)である。別の実施形態では、接触および検出は、インビボである。
本発明はまた、上記のポリペプチドまたはペプチドまたはペプチド多量体をコードする単離された核酸に関する。本発明の発現ベクターは、プロモーター、および、必要に応じて、真核生物細胞において核酸の発現を調節するさらなる調節配列に作動可能に連結した請求項に記載の上記核酸を含む。好ましい発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターである。
また、上記の核酸分子または発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞も含まれる。細胞は、好ましくは、哺乳動物細胞、最も好ましくは、ヒト細胞である。
本発明は、細胞、組織または器官に、脈管形成を阻害する量のHPRG、HPRGのH/Pドメイン、または配列(His,Pro)−(His,Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有するH/Pドメインのペンタペプチド、またはこのペンタペプチドを含むペプチド多量体を提供するための方法を含み、この方法は、以下の工程を包含する:細胞、組織または器官に、上記の発現ベクターを投与する工程であって、その結果、核酸が取り込まれ、そしてこれらの細胞、組織または器官で発現される、工程。投与は、好ましくは、インビボである。
以下の工程を包含する、細胞、組織または器官に、脈管形成を阻害する量のHPRG、HPRGのH/Pドメイン、または配列(His,Pro)−(His,Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有するH/Pドメインのペンタペプチド、またはこのペンタペプチドを含むペプチド多量体を提供するための方法もまた含まれる:細胞、組織または器官を、上記の形質転換した細胞またはトランスフェクトした細胞と接触させる工程であって、ここで、投与される細胞は、ポリペプチド、ペプチド、またはペプチド多量体を発現する、工程。好ましくは、接触は、インビボである。
本発明はまた、脈管形成を阻害する必要のある患者において、脈管形成を阻害する方法に関し、この方法は、上記のように、被験体に有効量の発現ベクターを投与する工程であって、その結果、核酸が発現され、脈管形成を阻害する量のポリペプチド、ペプチド、またはペプチドマルチーの存在を生じ、それにより、脈管形成を阻害する、工程。
脈管形成を阻害する必要のある被験体において脈管形成を阻害するための方法は、上記のように、被験体に有効量の形質転換したまたはトランスフェクトした細胞を投与する工程を包含し、ここで、細胞は、被験体において、脈管形成を阻害する量のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体を産生または提供し、それにより、脈管形成を阻害する。
上記の方法において、被験体は腫瘍を有し、そして脈管形成阻害は、腫瘍のサイズもしくは増殖速度の低下、または腫瘍の破壊を生じる。好ましくは、被験体はヒトである。
上記方法が有効である疾患または状態のより広い例としては、固形腫瘍、白血病、またはリンパ腫の第1次増殖;腫瘍転移物の腫瘍侵襲、転移または増殖;良性の過形成;動脈硬化症;心筋の脈管形成;バルーン血管形成後の血管再狭窄;血管損傷後の新脈管内膜形成(neointima formation);脈管移植片再狭窄(vascular graft restenosis);環状側副血管形成(coronary collateral formation);深静脈血栓症;虚血肢脈管形成;毛細血管拡張症;化膿性肉芽腫;角膜疾患;ルベオーシス;脈管形成緑内障;糖尿病性網膜症および他の網膜症;水晶体後線維増殖症;糖尿病性新生血管形成;黄斑変性;子宮内膜症;関節炎;慢性炎症状態に関係する繊維症、虚血、瘢痕または線維症を含む外傷性脊髄損傷;肺繊維症、化学療法誘発性繊維症;瘢痕および繊維症を伴う創傷治癒;消化性潰瘍;骨折;ケロイド;あるいは、病原性細胞侵襲もしくは脈管形成と関連する、脈管形成、造血、排卵、月経、妊娠、または胎盤形成が挙げられる。
上記の方法により処置される好ましい疾患または状態は、腫瘍増殖、腫瘍侵襲、または腫瘍転移である。これには、脳腫瘍も含まれる。このような脳腫瘍の例は、神経膠星状細胞腫、未分化星状細胞腫、神経膠芽細胞腫、多形神経膠芽細胞腫、毛様星状細胞腫(pilocytic astrocytoma)、汎形態性黄色星状膠細胞腫、上衣下巨細胞星状細胞腫、線維性星状細胞腫、大円形細胞性星状細胞腫、原形質性星状細胞腫、乏突起膠腫、退形成型乏突起膠腫、脳室上衣腫、未分化脳室上衣腫、粘液乳頭型脳室上衣腫、上衣下腫、混合型乏星状細胞腫、および悪性乏星状細胞腫である。
本方法はまた、子宮内膜症のような子宮疾患、ならびに増殖性糖尿病性網膜症、脈管形成加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、鎌状赤血球網膜症、または網膜静脈閉塞に関連するか、または起因するような、病原性眼新生血管形成を処置するために用いられる。
HPRG−リガンド、結合部位、またはこのリガンドもしくは結合部位を発現する細胞に結合するか、またはこれらを単離するために有用な「HPRG親和性(アフィニティー)リガンド」もまた、本明細書中で提供される。これは、固体支持体もしくはキャリアに固定された、上記のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体を含む。
このアフィニティーリガンドは、複合0.混合物からHPRGタンパク質またはペプチドを単離するための方法に用いられ、この方法は、以下を包含する:
(a) 混合物を上記の親和性リガンドと接触させる工程;
(b) 混合物中の任意の物質を、リガンドに結合させる工程;
(c) リガンドから結合していない物質を取り除く工程;および
(d) 結合したHPRGタンパク質またはペプチドを溶離する工程。
細胞混合物からHPRG結合部位/レセプターを発現する細胞を単離または濃縮するための方法もまた提供され、この方法は、以下:
(a) 細胞混合物を上記のHPRG親和性リガンドと接触させる工程;
(b) 結合部位を発現する任意の細胞を化合物に結合させる工程;
(c) 化合物に結合した細胞を、結合していない細胞から分離する工程;および
(d) 結合した細胞を取り出す工程、
を包含し、それにより、HPRG結合部位を発現する細胞を単離または濃縮する。
(好ましい実施形態の説明)
脈管形成のインヒビターとしてのHPRGの役割は、本発明がなされる前には示唆されていなかった。本発明者らは、ネイティブのHPRGおよび生物学的に活性なHPRGポリペプチド、ホモログ、改変体、およびHPRGのペプチドフラグメントおよび立体配座異性体を含む他の機能的誘導体、ならびにHPRGに特異的な抗体は、抗脈管形成活性、従って、抗腫瘍活性を示すと考えた。これらの化合物を含む薬学的組成物は、癌、および異常なまたは望ましくない脈管形成と関連する他の疾患の処置に有用である。
ヒトHPRGは、配列番号(SEQ ID NO:)1のアミノ酸を有する。
Figure 2005528879
イタリック体:シグナル配列
2重下線:Proリッチドメイン
下線:His−Pro(H/P)リッチドメイン
従って、ヒトHPRGは、525アミノ酸残基からなり、分子量:59,578Da、および7.09の理論pIを有する。
ヒトHPRGは、以下の配列(配列番号2)のDNAによりコードされる。
Figure 2005528879
ウサギHPRGは、以下の配列番号3のアミノ酸配列を有する:
Figure 2005528879
Figure 2005528879
イタリック体:シグナル配列
2重下線:Proリッチドメイン
下線:His−Pro(H/P)リッチドメイン
ウサギタンパク質は、配列番号4の配列を有するDNA分子によりコードされる。
Figure 2005528879
好ましいポリペプチドは、ヒトHPRGのH/Pドメイン、
Figure 2005528879
およびウサギHPRGのH/Pドメイン、
Figure 2005528879
である。
さらに、HPRGタンパク質のホモログ、またはHPRGと配列類似性を共有する、そのドメイン(例えば、Borzaら、1996、前出)もしくはそのペプチドのホモログはまた、抗脈管形成および抗腫瘍活性を示す。
このようなホモログの例は、Plasmodium falciparum赤血球膜タンパク質−1、Plasmodium falciparumヒスチジンリッチタンパク質2(PfHRP2)およびヒスタチンファミリーのタンパク質である。
機能的ホモログは、本明細書中に記載されるインビトロ方法またはインビボ方法を用いて試験され得る、生化学的活性および生物学的活性、好ましくは、抗脈管形成活性および抗腫瘍活性を保有していなければならない。この機能的特徴を考慮して、他の種由来の相同HPRGタンパク質(まだ発見されていないタンパク質を含む)の使用は、これらのタンパク質が配列類似性、および列挙した生化学的活性および生物学的活性を有する場合、本発明の範囲内にある。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の%同一性を決定するために、配列を最適な比較を目的として整列する(例えば、ギャップが、最適な整列のために第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方に導入され得、そして非相同配列が、比較目的のために無視され得る)。整列の好ましい方法では、Cys残基を整列させる。
好ましい実施形態において、比較される配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%、そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%である。例えば、好ましいアラインメントは、ヒトHPRGタンパク質H/Pドメイン(配列番号5)またはウサギHPRGタンパク質H/Pドメイン(配列番号6)とのアラインメントであり、アミノ酸残基の、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%または90%が整列される。次いで、対応するアミノ酸(またはヌクレオチド)位置のアミノ酸残基(またはコード配列由来のヌクレオチド)が比較される。第1の配列内の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基(またはヌクレオチド)で占められる場合、その分子は、その位置において同一である(本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。これら2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数、および各ギャップの長さ(これらは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある)を考慮して、これらの配列により共有される同一の位置の数の関数である。
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970)アルゴリズムを使用して決定される。このアルゴリズムは、GCGソフトウエアパッケージ(http://www.gcg.comにおいて入手可能)のGAPプログラムに組み込まれており、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さ重みを使用する。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにおいて入手可能)におけるGAPプログラムを使用して決定される。このプログラムは、NWSgapdna.CMPマトリックス、ならびに40、50、60、70または80のギャップ重み、および1、2、3、4、5または6の長さ重みを使用する。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、E.MeyersおよびW.Miller(CABIOS,4:11−17(1989))のアルゴリズムを使用して決定され、このアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれており、PAM120重み残余(weight residue)表、ギャップ長さペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用する。
本発明の核酸配列およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するために、公共のデータベースに対する検索を実施するための「問い合わせ配列」としてさらに使用され得る。このような検索は、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行され得る。BLASTヌクレオチド検索は、ヒトまたはマウスのHPRG核酸分子に相同性のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム(スコア=100、ワード長さ=12)を用いて実行され得る。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長さ=3)用いて、本発明のHPRGタンパク質分子に対して相同性のアミノ酸配列を得るために実行され得る。比較の目的でギャップのある(gapped)アラインメントを得るために、GappedBLASTを、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389〜3402に記載されるとおりに利用し得る。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメーターが使用され得る。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.kを参照のこと。
従って、上記のHPRGのホモログは、(a)ネイティブHPRGの機能的活性、および(b)上で決定された場合のネイティブHPRGに対する配列類似性(少なくとも約30%(アミノ酸レベルで)、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約90%)を有するとして特徴付けられる。
HPRGの開示された配列に基づいてDNAプローブを使用してこのようなタンパク質を得て発現させることは、当該分野の技術範囲内である。次いで、そのタンパク質の生化学的活性および生物学的活性は、当該分野で認識された方法(例えば、本明細書中に記載される方法)を使用して容易に試験され得る。内皮細胞増殖の生物学的アッセイは、そのホモログが「機能的」ホモログとみなすために必須の活性を有するか否かを示す。
(ペプチド組成物)
好ましい組成物は、HPRGの結合活性および/または生物学的活性を有することを特徴とする、HPRGの生物学的に活性なペプチドであるか、またはこのペプチドを含む。このような結合は、好ましくは以下のリガンドのクラスのメンバーであるリガンドに対する結合である:
(1)凝固/フィブリン溶解系に属するリガンド(例えば、ヘパリン、プラスミノーゲン、フィブリノーゲン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジン)。HPRGは、これらのリガンドと相互作用する他の分子に対して同様に結合し得る。従って、本発明は、好ましくは、上述のリガンドに結合する新規な任意の分子を含む。
(2)小リガンド(例えば、ヘムまたは遷移金属イオン(亜鉛、銅およびニッケル))、または
(3)細胞(例えば、T細胞、マクロファージおよび血小板)。
さらに、生物学的に活性なペプチドは、本明細書中で特徴付けされるような、結合活性または生物学的活性の、インビトロまたはインビボでのアッセイにおいて、HPRG活性を有する。好ましくはこのペプチドは、全長HPRGの活性の少なくとも約20%のレベルで、内皮細胞増殖もしくは遊走、EC管形成、脈管形成または腫瘍成長を阻害する。
好ましいペプチドは、最小のコンセンサス配列[H/P][H/P]PHG(配列番号7)を含み、これは、異なる種間でHPRGの1つ以上のドメインのアミノ酸配列を比較することにより誘導される。このようなコンセンサス配列ペプチドの付加改変体は、H、PおよびGから任意の組合せで選択される1〜4個のさらなるアミノ酸を有する。本発明のより長いペプチド多量体は、以下に記載される。
このペプチドは、そのN末端およびC末端において、アシル(「Ac」と略す)基およびアミド(「Am」と略す)基でそれぞれキャップされ得る(例えば、N末端におけるアセチル(CHCO−)およびC末端におけるアミド(−NH))。
好ましくは末端アミノ基に対して連結した、広範なN−末端キャップ官能基としては、例えば以下が企図される:
ホルミル;
1〜10個の炭素原子を有するアルカノイル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル);
1〜10個の炭素原子を有するアルケノイル(例えば、ヘキサ−3−エノイル);
1〜10個の炭素原子を有するアルキノイル(例えば、ヘキサ−5−イノイル);
アロイル(例えば、ベンゾイルまたは1−ナフトイル);
ヘテロアロイル(例えば、3−ピロイルまたは4−キノロイル);
アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル);
アリールスルホニル(例えば、ベンゼンスルホニルまたはスルファニリル);
ヘテロアリールスルホニル(例えば、ピリジン−4−スルホニル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルカノイル(例えば、4−アミノブチリル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルケノイル(例えば、6−ヒドロキシ−ヘキサ−3−エノイル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルキノイル(例えば、3−ヒドロキシ−ヘキサ−5−イノイル);
置換アロイル(例えば、4−クロロベンゾイルまたは8−ヒドロキシ−ナフト−2−オイル);
置換ヘテロアロイル(例えば、2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−メチル−キナゾリン−6−オイル);
置換アルキルスルホニル(例えば、2−アミノエタンスルホニル);
置換アリールスルホニル(例えば、5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルホニル);
置換ヘテロアリールスルホニル(例えば、1−メトキシ−6−イソキノリンスルホニル);
カルバモイルまたはチオカルバモイル;
置換カルバモイル(R’−NH−CO)または置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(ここでR’は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである);
置換カルバモイル(R’−NH−CO)および置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(ここでR’は、アルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アロイル、ヘテロアロイル、置換アルカノイル、置換アルケノイル、置換アルキノイル、置換アロイル、または置換ヘテロアロイル)(全て上記で定義したとおり)。
C末端キャップ官能基は、末端カルボキシルとのアミド結合またはエステル結合のいずれかであり得る。アミド結合を提供するキャップ官能基は、NRとして示され、ここでRおよびRは、以下の群から独立して選び出され得る:
水素;
好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル);
好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルケニル(例えば、プロパ−2−エニル);
好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキニル(例えば、プロパ−2−イニル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルキル(例えば、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、ハロゲノアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルカノイルアルキル、カルボキシアルキル、カルバモイルアルキル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルケニル(例えば、ヒドロキシアルケニル、アルコキシアルケニル、メルカプトアルケニル、アルキルチオアルケニル、ハロゲノアルケニル、シアノアルケニル、アミノアルケニル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、アルカノイルアルケニル、カルボキシアルケニル、カルバモイルアルケニル);
1〜10個の炭素原子を有する置換アルキニル(例えば、ヒドロキシアルキニル、アルコキシアルキニル、メルカプトアルキニル、アルキルチオアルキニル、ハロゲノアルキニル、シアノアルキニル、アミノアルキニル、アルキルアミノアルキニル、ジアルキルアミノアルキニル、アルカノイルアルキニル、カルボキシアルキニル、カルバモイルアルキニル);
10個までの炭素原子を有するアロイルアルキル(例えば、フェナシルまたは2−ベンゾイルエチル);
アリール(例えば、フェニルまたは1−ナフチル);
ヘテロアリール(例えば、4−キノリル);
1〜10個の炭素原子を有するアルカノイル(例えば、アセチルまたはブチリル);
アロイル(例えば、ベンゾイル);
ヘテロアロイル(例えば、3−キノロイル);
OR’またはNR’R’’(ここでR’およびR’’は、独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アロイル、スルホニル、スルフィニル、またはSO−R’’’もしくはSO−R’’’であり、ここでR’’’は、置換アルキルもしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、もしくはアルキニルである)。
エステル結合を提供するキャッピング官能基を、ORと称し、ここでRは:アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;アラルキルオキシ;ヘテロアラルキルオキシ;置換アルコキシ;置換アリールオキシ;置換ヘテロアリールオキシ;置換アラルキルオキシ;または置換ヘテロアラルキルオキシであり得る。
N末端キャッピング官能基またはC末端キャッピング官能基のいずれか、あるいはその両方は、キャッピングされた分子が、活性な薬物を放出するために体内で自発的な変換または酵素的な変換を受け、そして親薬物分子よりも改善された送達特性を有するプロドラッグ(親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体)として機能する構造であり得る(Bundgaard H,Ed:Design of Prodrugs,Elsevier,Amsterdam,1985)。
キャッピング基の思慮深い選択は、ペプチドに対する他の活性の追加を可能にする。例えば、N末端キャップまたはC末端キャップに連結したスルフヒドリル基の存在は、誘導体化されたペプチドの他の分子との結合を可能にする。
(ペプチドおよび誘導体の産生)
(一般的な化学合成手順)
本発明のペプチドは、組換えDNA技術を用いて調製し得る。しかし、その長さによって、ペプチドは、好ましくは、固相合成(例えば、Merrifield,J.Amer.Chem.Soc.,85:2149−54(1963)に一般的に記載されるように)を用いて調製されるが、当該分野において公知の他の同等な化学合成もまた有用である。固相ペプチド合成は、ペプチドのC末端から、保護されたαアミノ酸を適切な樹脂にカップリングさせることによって、開始され得る。そのような開始物質は、αアミノ保護されたアミノ酸を、エステル結合によって、クロロメチル化樹脂またはヒドロキシメチル樹脂に付着させることによってか、またはBHA樹脂またはMBHA樹脂へのアミド結合によって、調製され得る。
当該分野において周知のそような方法は、例えば、米国特許第5,994,309号(1999年11月30日発行)(これはその全体が参考として援用される)に開示される。
(アミノ酸置換改変体およびアミノ酸付加改変体)
本発明はまた、少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは1つのみのアミノ酸残基が除去され、天然の配列と比較して異なる残基がその場所に挿入されたペプチドを含む。タンパク質化学およびタンパク質構造の詳細な記載については、Schulz, G.E. et al.,Principles of Protein Structure,Springer−Verlag,New York,1979、およびCreighton, T.E.,Proteins:Structure and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,1984(これらは、本明細書において参考として援用される)を参照のこと。本発明のペプチド分子中になされ得る置換のタイプは、保存的置換であり、保存的置換とは、本明細書において以下の群の1つ内の交換であるとして定義される。
1.小さな、脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:例えば、Ala,Ser,Thr,Gly;
2.極性、負に荷電した残基およびそのアミド:例えば、Asp,Asn,Glu,GIn;
3.極性の正に荷電した残基:例えば、His,Arg,Lys;
Pro,その独特の幾何学のために、鎖を密接に束縛する。機能的特性における実質的な変更は、さほど保存的でない置換、例えば、上記の群内よりもむしろ、上記の群の間(または上記に示されていない2つの他のアミノ酸群)の置換を選択することによってなされ、この置換は、(a)置換の領域におけるペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の荷電または疎水性、あるいは(c)側鎖の体積の維持に対する効果において、より顕著に異なる。本発明に従うほとんどの置換は、ペプチド分子の特徴において、極端な変化を生じない置換である。置換を行う前に、その正確な効果を予測することが困難な場合であっても、当業者は、その効果を、慣用的なスクリーニングアッセイ(好ましくは、以下に記載する生物学的アッセイ)によって評価し得ることを理解する。酸化還元または熱安定性、疎水性、タンパク質分解性分解に対する感受性、あるいはキャリアと凝集する傾向または、多量体に凝集する傾向を含むペプチド特性の改変は、当業者にとって周知の方法によってアッセイされる。
本発明は、脈管形成、腫瘍成長、EC増殖、EC移動、またはEC管形成を阻害または減少する方法を提供する。
本発明はまた、HPRGのフラグメント、ペプチド、コンフォーマー(conformer)、抗体、生物学的等価物または誘導体を含む薬学的組成物を提供する。
本発明において使用されるHPRGは、天然においてHPRGを産生する任意の生物(例えば、ウサギ、または好ましくはヒト)由来であり得る。ヒトHPRGのヌクレオチド配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号1)は、GenBankから入手可能である(GenBankアクセッション番号M1349,およびSwiss Prot番号:PO4196)。
HPRGは、血液および尿のような体液から単離されるが、他の供給源(例えば、組織抽出物、あるいは「ネイティブ」のHPRGを産生する培養物中で増殖している細胞株の産物、またはネイティブHPRGまたはその機能的な誘導体をコードするDNAによって遺伝子改変され、HPRGタンパク質またはその機能的な誘導体(例えば、ドメインまたはより短いフラグメント)を発現する培養物中で増殖している細胞株の産物)からもまた、得ることができる。
HPRG、フラグメントまたは誘導体は、化学的に合成されるか、または組換え方法によって産生される。当該分野において公知である組換え技術は、限定されることはないが、cDNAライブラリーのPCR(例えば、細胞抽出物中のmRNAの逆転写およびその後のPCRによる)を用いるDNA増幅が挙げられる。
分子生物学の一般的方法を開示する基本的なテキストとしては以下が挙げられる(これらの全てが本明細書において参考として援用される):Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1989;Ausubel,F.M.et al.Current Protocols in Molecular Biology,Vol.2,Wiley−Interscience,New York,(現在の版);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual (1990);Glover,D.M.,ed,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II,IRL Press,1985;Albers,B.et al.,Molecular Biology of the Cell,2nd Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,NY (1989);Watson,J.D.et al.,Recombinant DNA,2nd Ed.,Scientific American Books,New York,1992;およびOld,RW et al.,Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering,2nd Ed.,University of California Press,Berkeley,CA (1981)。
HPRGのフラグメントは、制御されたプロテアーゼ反応によって得られる(Borza D−B.et al.,Biochemistry,1996,35;1925−1934)。その例は、脈管形成、EC増殖、移動もしくは管形成および/または腫瘍成長を阻害するHPRGフラグメントを生成する、HPRGの限定されたプラスミン消化、およびそれに続くジチオスレイトールを用いる部分的な還元である。
(HPRGの化学的誘導体)
HPRGの「化学的誘導体」は、通常はタンパク質の一部ではない追加的な化学的部分を含む。ポリペプチドの共有結合による改変は、本発明の範囲に含まれる。そのような誘導体部分は、溶解度、吸収、生物学的半減期などを改善し得る。そのような効果を媒介し得る部分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1980)に開示される。
そのような改変は、ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、選択された側鎖または末端の残基と反応し得る有機誘導化薬剤と反応させることによって、分子中に導入され得る。別の改変は、タンパク質の環化である。
システイニル残基は、αハロアセテート(および対応するアミン)と最も一般的に反応し、カルボキシメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロルメルクリ安息香酸、2−クロルメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
ヒスチジル残基は、比較的ヒスチジル側鎖に特異的であるジエチルプロカーボネート(diethylprocarbonate)(pH5.5〜7.0)と反応させることによって、誘導体化する。p−ブロモフェナシルブロミドもまた、有用である;反応は、好ましくは、0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で、pH6.0で行われる。
リジニル残基およびアミノ末端残基は、無水コハク酸または他の無水カルボン酸を用いて誘導体化される。環状無水カルボン酸を用いる誘導体化は、リジニル残基の電荷を逆転させる効果を有する。アミノを含む残基の誘導体化のための他の適切な試薬としては、イミドエステル(例えば、メチルピコリンイミデート);ピリドキサルリン酸;ピリドキサール;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソウレア;2,4ペンタンジオン;およびトランスアミナーゼによって触媒されるグリオキシル酸との反応が挙げられる。
アルギニル残基は、1つまたは数個の従来の試薬(フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンを含む)との反応によって改変される。そのような誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKのために、反応がアルカリ条件で行われることが必要である。さらに、これらの試薬は、リジンの基、およびアルギニンのεアミノ基とも反応し得る。
チロシル残基の改変は、スペクトル標識をペプチドに導入することを可能とする。この導入は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって達成される。最も一般的には、N−アセチルイミジゾルおよびテトラニトロメタンを用いて、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を生成する。
カルボキシ側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)(例えば、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリニル−(4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド(1−ethyl−3−(4−azonia−4,4−dimethylpentyl)carbodiimide))と反応することによって、選択的に修飾され得る。さらに、アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニアとの反応によって、アスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換され得る。
アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンでの反応によってアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。逆に、グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基に脱アミドされ得る。脱アミドは、穏やかな酸性条件下で行われ得る。これらの残基のいずれかの形態は、本発明の範囲内に入る。
二官能性薬剤での誘導体化は、水不溶性支持体マトリクスまたは他の高分子キャリアにペプチドを架橋させるために有用である。一般に使用される架橋剤としては、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル(ジスクシンイミドエステル(例えば、3,3’−ジチオビス(スクシニミジルプロピオネート))および二官能性マレイミド(例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン)を含む)が挙げられる。
誘導体化剤(例えば、メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデート)は、光の存在下で架橋を形成し得る光活性化可能な中間体を産生する。あるいは、反応性水不溶性マトリクス(例えば、臭化シアン活性化炭水化物)および米国特許第3,969,287号;同3,691,016号;同4,195,128号;同4,247,642号;同4,229,537号;および同4,330,440号に記載される反応性基質が、タンパク質固定化に使用される。
他の改変としては、プロリンおよびリジンの水酸化、セリン残基またはトレオニン残基の水酸基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecule Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、N末端アミンのアセチル化、ならびにいくつかの場合において、C末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
また、1つ以上のD−アミノ酸が1つ以上のL−アミノ酸に対して置換されるペプチドが含まれる。
(多量体ペプチド)
本発明はまた、抗脈管形成活性を有する、HPRGタンパク質のH/Pドメイン由来の1つ以上の配列単位の反復から形成されるより長いペプチドを含む。このような多量体の好ましいペプチド単位は、ペンタペプチドであり、好ましくはHis−His−Pro−His−Gly(配列番号8)、His−Pro−Pro−His−Gly(配列番号9)またはPro−Pro−Pro−His−Gly(配列番号10)である。
これらのペプチド単位のさらなる改変体は、好ましくはHis、ProおよびGlyより選択される1〜4アミノ酸を含む。
このような多量体は、本明細書中に記載されるペプチドまたはこれらの改変体のいずれかより形成され得る。さらに、ペプチド多量体は、ペプチドモノマー(ヒトHPRGまたはウサギHPRGのネイティブな配列またはそのさらなる改変体のいずれか)の異なる組み合わせを含み得る。このようなオリゴマーペプチドまたは多量体ペプチドは、化学合成、または本明細書中に考察されるような組換えDNA技術によって作製され得る。化学合成によって産生される場合、オリゴマーは、好ましくはコアペプチド配列の2〜12回の反復を有し、より好ましくは、2〜8回の反復を有し、そして多量体中のアミノ酸(または、リンカーまたはスペーサーを含む場合、これらの等価物)の総数は、約110残基を超えるべきではない。
好ましい合成化学ペプチド多量体は、式

を有し、ここで、Pは、哺乳動物HPRGタンパク質のH/Pドメイン由来の5つ連続するアミノ酸に対応するペンタペプチド、またはこれらのペンタペプチドの置換改変体もしくは付加改変体であり、ここで、n=2〜8であり、ここで、このペンタペプチドは、単独または多量体形態で、細胞浸潤、内皮管形成または脈管形成を阻害する生物学的活性を、このような活性のインビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおいて有する。
別の実施形態において、好ましい合成化学ペプチド多量体は、式
(P−X−P
を有し、PおよびPは、哺乳動物HPRGタンパク質のH/Pドメイン由来の5つ連続するアミノ酸に対応するペンタペプチド、またはこれらのペンタペプチドの付加改変体であり、ここで、(a)PおよびPは、同一であっても異なってもよく;さらに、多量体中のPの各発生は、異なるペンタペプチド(または改変体)であり得;(b)Xは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、4つまでの酸素原子を含むC−Cポリエーテルであり、ここで、m=0または1であり、n=1〜7であり;Xはまた、Glyであり得、ここで、z=1〜6であり、そして、ここで、このペンタペプチドは、単独または多量体形態で、細胞浸潤、内皮管形成または脈管形成を阻害する生物学的活性を、このような活性のインビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおいて有する。
組換え的に産生される場合、スペーサーは、上記のようにGlyであり、ここで、z=1〜6であり、そしてこの多量体は、この発現系が可能とする程度のコアペプチド配列の反復数(例えば、2〜約100回の反復)を有し得る。好ましい組換え産生されたペプチド多量体は、式
(P−Gly−P
を有し、ここで、
(a)PおよびPは、哺乳動物HPRGタンパク質のH/Pドメイン由来の5つ連続するアミノ酸に対応するペンタペプチド、またはこれらのペンタペプチドの付加改変体であり、ここで、PおよびPは、同一であっても異なってもよく;さらに、多量体中のPの各発生は、異なるペンタペプチド(または改変体)であり得;
ここで、n=1〜100であり、z=0〜6であり;
ここで、このペンタペプチドは、単独または多量体形態で、細胞浸潤、内皮管形成または脈管形成を阻害する生物学的活性を、このような活性のインビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおいて有する。
前述のペプチド多量体において、PおよびPは、好ましくは配列番号8,9または10である。
多量体は、必要に応じてN末端およびC末端でキャップされる。
このような多量体が本明細書中に記載されるペプチドまたは改変体のいずれかより形成され得ることは、理解される。多量体の付加改変体モノマー単位が上記の生物学的活性を有することは、好ましいが、このことは、そのモノマー単位が寄与する多量体が活性を有する限り必要ではない。
(診断組成物および予後組成物)
本発明のペプチドは、検出可能に標識され得、そして、例えば、ペプチド結合タンパク質リガンド、または細胞の表面上または細胞内部に関わらない細胞結合部位/レセプター(例えば、上記のようなT細胞、マクロファージまたは血小板上の結合部位)を検出するために使用され得る。結合中および結合後のペプチドの運命は、標識を検出するための適切な方法を使用することによってインビトロまたはインビボで追跡され得る。標識されたペプチドは、インビボで診断および予後のため(例えば、潜伏した転移病巣を画像化するため、または他の型のインサイチュでの評価のため)に利用され得る。
用語「診断的に標識された」は、ポリペプチドまたはペプチドが診断的に検出可能な標識を付着されていることを意味する。以下に記載される当業者に公知の多くの種々の標識および標識方法が存在する。本発明において使用され得る一般的な標識のクラスとしては、放射性同位元素、パラ磁気同位元素、および陽電子放出断層撮影(PET)により画像化され得る化合物、蛍光化合物または着色化合物などが挙げられる。適切な検出可能な標識としては、放射性標識、蛍光(fluorescent)標識、蛍光(fluorogenic)標識、色素発生性標識または他の化学標識が挙げられる。γカウンター、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーによって単純に検出される有用な放射標識(放射性核種)としては、H、125I、131I、35Sおよび14Cが挙げられる。131Iはまた、有用な治療用同位元素である(以下を参照のこと)。
多数の米国特許(本明細書中で参考として援用される)は、金属を、より大きな分子と複合化するための方法および組成物(有用なキレート剤の記載を含む)を開示する。それらの金属は、好ましくは、検出可能な金属原子(放射性核種を含む)であり、そしてタンパク質および他の分子と複合体化される。これらの書類としては、米国特許第5,627,286号(Heteroatom−bearing ligands and metal complexes thereof);米国特許第5,618,513号(Method for preparing radiolabeled peptides);米国特許第5,567,408号;米国特許第5,443,816号(Peptide−metal ion pharmaceutical preparation and method);米国特許第5,561,220号(Tc−99m labeled peptides for imaging inflammation)が挙げられる。
一般的蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒドおよびフルオレサミンが挙げられる。発蛍光団(例えば、ダンシル基)は、特定の波長の光によって、蛍光を発すように励起されなければならない。例えば、Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,Molecular Probes,Eugene,OR,1996を参照のこと。フルオレセイン、フルオレセイン誘導体およびフルオレセイン様分子(例えば、Oregon GreenTMおよびその誘導体、Rhodamine GreenTMならびにRhodol GreenTM)は、イソチオシアネート、スクシンイミジルエステルまたはジクロロトリアジニル反応性基を使用して、アミン基と結合される。同様に、発蛍光団はまた、マレイミド、ヨードアセトアミド、およびアジリジン反応性基を使用して、チオール基と結合され得る。長波長ローダミン(これらは、窒素上に置換基を有する基本的にはRhodamine GreenTM誘導体である)は、公知の最も光安定性の蛍光標識試薬のうちにある。それらのスペクトルは、pH4とpH10との間での変化により影響されない。このことは、多くの生物学的適用のためにフルオレセインを上回る重要な利点である。このグループは、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、およびTexas RedTM誘導体を包含する。本発明に従うペプチドを誘導体化するための他の好ましい発蛍光団は、紫外光により励起される発蛍光団である。例としては、カスケードブルー、クマリン誘導体、ナフタレン類(塩化ダンシルがメンバーである)、ピレン類、およびピリジルオキサゾール誘導体が挙げられる。また、標識として含まれるのは、最近記載された2つの関連無機物質(半導体ナノクリスタル(例えば、硫酸カドミウムを含む)(Bruchez,M.ら、Science 281:2013−2016(1998))およびクォンタムドット(例えば、硫酸亜鉛キャップCdセレン化合物)(Chan,W.C.W.ら、Science 281:2016−2018(1998))である。
なお別のアプローチにおいて、そのペプチドのアミノ基は、蛍光産物(例えば、フルオレサミン、ジアルデヒド(例えば、o−フタルジアルデヒド、ナフタレン−2,3−ジカルボキシレート、およびアントラセン−2,3−ジカルボキシレート))を生じる試薬と反応可能にされる。7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)誘導体(塩化物およびフッ化物の両方)が、蛍光産物を生じるようにアミンを改変するために有用である。
本発明のペプチドはまた、蛍光発光金属(例えば、152Eu、またはランタニド系列の他の金属)を使用して、検出用に標識され得る。これらの金属は、金属キレート基(例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA(下記実施例Xを参照のこと))またはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA))を使用して、そのペプチドに結合され得る。例えば、DTPAは、無水物として入手可能であり、これは、本発明のNH含有ペプチドを容易に改変し得る。
インビボ診断またはインビボ治療のために、放射性核種が、キレート剤(例えば、DTPAおよびEDTA)を使用して、直接的または間接的のいずれかで、そのペプチドに結合され得る。このような放射性核種の例としては、99Tc、123I、125I、131I、111In、97Ru、67Cu、67Ga、68Ga、72As、89Zr、90Yおよび201Tlが、挙げられる。一般的に、診断用途における検出可能性に必要な標識ペプチドの量は、考慮要件(例えば、年齢、性別、および患者における疾患の程度、禁忌(存在する場合)および他の変数)に依存して変化し、そして個々の医師または診断者により調整されるべきである。投与量は、0.01mg/kgから100mg/kgまで変化し得る。
このペプチドはまた、リン光化合物または化学発光化合物に結合することによって、検出可能にされ得る。その後、この化学発光タグ化ペプチドの存在は、化学反応の経過の間に生じる発光の存在を検出することによって、決定され得る。特に有用な化学発光物質の例は、ルミノール、イソルミノール、サーモマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸塩である。同様に、生物発光化合物が、このペプチドを標識するために使用され得る。生物発光は、化学発光の型であり、触媒タンパク質がその化学発光反応の効率を増加する生物学的系において見出される。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって、決定される。標識のために重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンである。
なお別の実施形態において、高い励起係数を有する発色団を有するかまたは生じる、色素原性化合物に基づく、比色検出が使用される。
標識されたペプチドのインサイチュ検出は、被検体から組織学的検体を取り出すこと、およびその検体を、その標識を検出するに適切な条件下で顕微鏡により検査することによって、達成され得る。広範な種類の組織学的方法(例えば、染色手順)のいずれかが、このようなインサイチュ検出を達成するために改変され得ることを、当業者は容易に認識する。
診断的インビボ放射線画像化のために、利用可能な検出装置の型は、放射性核種を選択する際の主要な要因である。選択される放射性核種は、特定の装置により検出可能な型の減衰を有さなければならない。一般的に、診断的画像化を可視化するための従来の任意の方法が、本発明に従って使用され得る。インビボ診断のために放射性核種を選択する際の別の要因は、その放射性核種の半減期が、その標識が標的組織による最大取込み時になお検出可能であるに十分に長いが、宿主の有害な照射を最小にするに十分に短い。1つの好ましい実施形態において、インビボ画像化のために使用される放射性核種は、粒子を発しないが、140〜200keVの範囲にある多数の光子を生じ、この光子が、従来のガンマ線カメラにより容易に検出され得る。
インビボ画像化は、他の方法によっては観察可能ではない原発巣転移を検出するために使用され得る。画像化は、腫瘍を非侵襲的に病期決定するため、またはHPRG結合部位またはリガンドの増加したレベルの存在と関連する他の疾患を検出するために、使用され得る。
(ペプチド模倣物)
本明細書中に記載されるペプチドの化学的誘導体の好ましい型は、HPRGの生物学的効果またはHPRGの生物学的に活性なペプチドの生物学的効果を模倣する、ペプチド模倣化合物である。ペプチド模倣因子は、HPRGの結合エレメントの空間間隔特性を再現して、HPRGの結合活性または生物学的活性を有するようにする、非天然ペプチドまたは非ペプチド因子であり得る。生物学的に活性なHPRGペプチドと同様に、ペプチド模倣物は、結合面(これは、HPRGが結合する任意のリガンドと相互作用する)および非結合面を有する。また、HPRGまたはそのペプチドと同様に、ペプチド模倣物の非結合面は、そのペプチド模倣物の結合面を改変することなく種々の治療部分および診断部分によって改変され得る、官能基を含む。ペプチド模倣物の好ましい実施形態は、この分子の非結合面上にアニリンを含む。アニリンのNH基は、pKa約4.5を有し、従って、そのペプチド模倣物の結合面上のいかなるNH官能基も改変することなく、任意のNH選択試薬により改変され得る。他のペプチド模倣物は、その結合面上にいかなるNH官能基も有さないかもしれず、従って、任意のNHが、pKaに関わらず、結合のための部位として非結合面上に提示され得る。さらに、他の改変可能な官能基(例えば、−SHおよび−COOH)が、結合の部位としてペプチド模倣物の非結合面に組み込まれ得る。治療部分または診断部分はまた、ペプチド模倣物の合成の間に直接組込まれ得、この部分は、その分子の非結合面上に優先的に提示される。
本発明はまた、部分的ペプチド特性を保持する化合物を包含する。例えば、本発明のペプチド内のタンパク質分解的に不安定な任意の結合が、その分子の残りがそのペプチドの特性を保持しつつ、非ペプチドエレメント(例えば、アイソスター(N−メチル化;D−アミノ酸)または減少したペプチド結合により、選択的に置換され得る。
ペプチド模倣化合物(アゴニスト、基質、またはインヒビターのいずれか)は、多数の生物活性ペプチド(例えば、オピオイドペプチド、VIP,トロンビン、HIVプロテアーゼなど)について記載されている。ペプチド模倣化合物を設計および調製するための方法は、当該分野で公知である(Hruby,V.J.,Biopolymers 33:1073−1082(1993);Wiley,R.A.ら、Med.Res.Rev.13:327−384(1993);Mooreら、Adv.in Pharmacol 33:91−141(1995);Giannisら、Adv.in Drug Res.29:1−78(1997)(これらの参考文献は、その全体が参考として援用される))。これらの方法は、HPRGペプチドの少なくとも結合能力およびと結合特異性を保有し、かつ好ましくはその生物学的活性も保有する、ペプチド模倣物を作製するために使用される。当業者が利用可能なペプチド化学の知識および一般的有機化学は、本開示を考慮して、そのような化合物を設計および合成するために十分である。
例えば、そのようなペプチド模倣物は、遊離しているかまたはリガンド(例えば、(a)ヘパリン、プラスミノゲン、フィブリノゲン、ビトロネクチン、およびトロンボスポンジン、または(b)小さいリガンド(例えば、ヘムおよび遷移金属イオン(亜鉛、銅、およびニッケル))と複合体化されているかのいずれかである、本発明のペプチドの結晶学的に誘導した3次元構造の検査によって、同定され得る。あるいは、そのリガンドに結合している本発明のペプチドの構造は、核磁気共鳴分光法技術によって、得られ得る。このペプチドとそのリガンドまたはレセプターとの相互作用の立体化学に関するより良好な知識は、そのようなペプチド模倣因子の合理的設計を可能にする。リガンドの非存在下での本発明のペプチドまたはタンパク質の構造もまた、模倣分子の設計のために足場を提供し得る。
(HPRGのエピトープに特異的な抗体)
本発明は、HPRGのエピトープ(好ましくは、H/Pドメインのエピトープ)と反応性である抗体(ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方)を提供する。本明細書中で「抗H/P抗体」と呼ばれる抗体は、異種であっても、同種異系であっても、同系であっても、またはそれらの改変形態(例えば、ヒト化抗体またはキメラ抗体)であってもよい。抗HPRG抗体のイディオタイプに特異的な抗イディオタイプ抗体もまた、包含される。
以下の説明において、免疫学の当業者に公知の種々の方法論に対して、言及がなされる。言及がなされるそのような公知の方法論を示す刊行物および他の物質は、その全体が本明細書中に参考として、あたかも完全に示されたかのように援用される。免疫学の一般的原理を示す標準的参考業績としては、A.K.Abbasら、Cellular and Molecular Immunology(第4版)、W.B.Saunders Co.,Philadelphia,2000;C.A.Janewayら、Immunobiology.The Immune System in Health and Disease,第4版、Garland Publishing Co.,New York,1999;Roitt,I.ら、Immunology(現行版)C.V.Mosby Co.,St.Louis,MO(1999);Klein,J.,Immunology,Blackwell Scientific Publications,Inc.,Cambridge,MA(1990)が、挙げられる。
モノクローナル抗体(mAb)ならびにその産生および使用のための方法が、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495−497(1975);米国特許第4,376,110号;Hartlow,E.ら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988);Monoclonal Antibodies and Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,New York,NY(1980);H.Zolaら、Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications、CRC Press(1982)に記載されている。
抗イディオタイプ抗体は、例えば、Idiotypy in Biology and Medicine,Academic Press,New York,1984;Immunological Reviews,第79巻,1984;Immunological Reviews,第90巻、1986;Curr.Top.Microbiol.Immunol.第119巻、1985;Bona,C.ら、CRC Crit.Rev.Immunol.pp.33−81(1981);Jerne,NK,Ann.Immunol.125C:373−389(1974);Jerne,NK,Idiotypes−Antigens on the Inside,Westen−Schnurr,I.編、Editiones Roche,Basel,1982,Urbain,Jら、Ann.Immunol.133D:179−(1982);Rajewsky,K.ら、Ann.Rev.Immunol.1:569−607(1983)に記載されている。
用語「抗体」はまた、抗原結合部位を含みかつHPRGエピトープに結合可能である、インタクトな分子とそのフラグメントとの両方を包含することが意味される。これらは、FabフラグメントおよびF(ab’)フラグメントを包含し、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠く、循環からより迅速に除去され、そしてインタクトな抗体よりも非特異的でない組織結合を有し得る(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。また、Fvフラグメント(Hochman,J.ら(1973)Biochemistry 12:1130−1135;Sharon,J.ら(1976)Biochemistry 15:1591−1594)もまた、包含される。これらの種々のフラグメントは、従来の技術(例えば、プロテアーゼ切断または化学的切断(例えば、Rousseauxら、Meth.Enzymol.121:663−69(1986)を参照のこと)を使用して生成される。
ポリクローナル抗体は、免疫した動物(例えば、ウサギ、ヤギ、齧歯類など)由来の血清として得られ、そしてさらなる処理なしで直接使用され得るか、または従来の濃縮方法もしくは精製方法(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィー(Zola(前出)を参照のこと)に供され得る。
本発明の抗H/P抗体を生成するために使用される免疫原は、完全HPRGタンパク質またはそのフラグメントもしくは誘導体を含み得る。好ましい免疫原は、HPRGのH/P中心ドメインのすべてまたは一部を含む。このドメインを含む免疫原は、当該分野で公知の種々の方法(例えば、従来の組換え方法を使用するクローン化遺伝子の発現、起源細胞からの単離、高レベルのHPRGを発現する細胞集団など)において生成される。
そのmAbは、従来のハイブリドーマ技術(例えば、KohlerおよびMilstein(前出)により紹介された手順およびその改変形(上記参考文献を参照のこと))を使用して、生成され得る。動物(好ましくは、マウス)が、上記のような免疫原で免疫することによって初回刺激され、その初回刺激された動物において所望の抗体応答が惹起される。
初回刺激された動物のリンパ節、脾臓、または末梢血に由来するBリンパ球が、一般的には融合促進剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))の存在下で、骨髄腫細胞と融合される。以下の多数のマウス骨髄腫細胞株のいずれかが、そのような用途のために利用可能である:P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653、Sp2/0−Ag14、またはHL1−653骨髄腫株(ATCC,Rockvill,MDから入手可能)。その後の工程は、未融合親骨髄腫細胞およびドナーリンパ球細胞が最終的には死滅すると同時にそのハイブリドーマ細胞のみが生存するように、選択培地中で増殖させることを包含する。これらは、クローン化され増殖され、そしてその上清が、所望の特異性の抗体の存在について、例えば、HPRGタンパク質を使用する免疫アッセイ技術によって、スクリーニングされる。ポジティブクローンが、例えば、限界希釈により、サブクローン化され、そのmAbが単離される。
これらの方法に従って生成されるハイブリドーマは、当該分野で公知の技術(一般的には、Finkら、Prog.Clin.Pathol.9:121−33(1984)9を使用して、インビトロまたはインビボで(腹水中で)増殖され得る。一般的には、個々の細胞株が、培養中で増殖され、そして高濃度の単一mAbを含む培養培地が、デキャンテーション、ろ過、または遠心分離によって採集され得る。
その抗体は、通常の多価構造の代わりに単鎖抗体すなわちscFvとして、生成され得る。単鎖抗体は、目的のIg由来の超可変領域を含み、そしてネイティブIgの抗原結合部位を再現すると同時にインタクトなIgの大きさの一部である(Skerra,A.ら(1988)Science 240:1038−1041;Pluckthun,A.ら(1989)Methods Enzymol.178:497−515;Winter,G.(1991)Nature 349:293−299);Birdら(1988)Science 242:423;Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879;Jost CRら、J Biol Chem.1994 269:26267−26273;米国特許第4,704,692号、同第4,853,871号、同第4,946,778号;同第5,260,203号;同第5,455,030号)。そのH鎖のV領域およびL鎖のV領域をコードするDNA配列は、少なくとも約4アミノ酸(代表的には、小型の中性アミノ酸)をコードするリンカーに連結される。この融合物によりコードされるタンパク質は、もとの抗体の特異性および親和性を保持する、機能性可変領域の集合を可能にする。
インビボ用途のため(特に、ヒトへの注入)のために、当該分野で公知の方法を使用して抗体をヒト化することによって、そのmAbの免疫原性を減少させることが望ましい。そのヒト化抗体は、トランスジェニックヒトIg定常領域遺伝子(例えば、WO 90/10077およびWO 90/04036)を有する動物の産物であり得る。あるいは、目的の抗体は、CHドメイン、CHドメイン、CHドメイン、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを、対応するヒト配列で置換するように遺伝子操作され得る(WO 92/02190を参照のこと)。
抗体は、特定の望ましい特性について選択され得る。治療のために使用される抗体の場合、抗体スクリーニング手順は、脈管形成、細胞浸潤などを測定する、インビトロまたはインビボでのバイオアッセイのいずれかを包含し得る。さらに、それらの抗体は、それらが脈管形成(または生じる腫瘍の増殖もしくは転移)を促進または阻害するか否かを観察するために、本明細書中に記載される種々の腫瘍モデルにおいてスクリーニングされ得る。このようにして、HPRG模倣物またはHPRGアンタゴニストである抗体が、選択され得る。従って、本発明は、HPRGまたはそのH/Pドメインに結合しその作用を阻害することによって脈管形成を促進する、治療抗体(以下により詳細に考察される)を包含する。
(HPRGの遊離H/Pドメインを検出するための抗体の使用)
H/Pドメインのエピトープに特異的な抗体は、体液またはサンプル(好ましくは、血清または血漿)中で、これらのエピトープを含む分子を検出するイムノアッセイにおいて有用である。このような抗体は、HPRG、HPRGの切断されたH/Pドメインまたはこのドメインのエピトープ含有フラグメントを検出する。従って、腫瘍環境におけるタンパク質分解が生じる場合、血漿(腫瘍環境におけるタンパク質分解が遊離H/Pを放出する場合のみ)または組織におけるH/Pドメインの放出を生じる。
HPRGから放出されたH/Pドメインのレベルを測定することにより、本発明の抗体およびイムノアッセイは、疾患の進行をモニターするために診断的に使用される。ここで、H/Pドメインレベルは、存在する腫瘍組織の量を反映し得る。
当該分野で公知の任意の従来の方法が、この目的のために使用され得るが、ELISAのような酵素イムノアッセイが好ましい。イムノアッセイ法はまた、Coligan,J.E.ら、編,Current Protocols in Immunology,Wiley−Interscience,New York 1991(すなわち最新版);Butt,W.R.(編)Practical Immunoassay:The State of the Art,Dekker,New York,1984;Bizollon,Ch.A.,編,Monoclonal Antibodies and New Trends in Immunoassays,Elsevier,New York,1984;Butler,J.E.,ELISA(第29章),van Oss,C.J.ら,(編),IMMUNOCHEMISTRY,Marcel Dekker,Inc.,New York,1994,pp.759−803;Butler,J.E.(編),Immunochemistry of Solid−Phase Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,1991;Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,March,1986;Work,T.S.ら,Laboratory Techniques and Biochemistry in Molecular Biology,North Holland Publishing Company,NY,(1978)(Chapter by Chard,T.,「An Introduction to Radioimmune Assay and Related Techniques」)に記載される。
(組成物のインビトロ試験)
(A.内皮細胞移動についてのアッセイ)
EC移動については、1トランスウェルあたり、200μLのI型コラーゲン(50μg/mL)溶液を添加し、37℃にて一晩インキュベートすることにより、トランスウェルを、I型コラーゲン(50μg/mL)を用いてコーティングする。トランスウェルを、24ウェルプレート中でアセンブリし、走化性因子(例えば、FGF−2)を、総容量0.8mLの培地中にて底部チャンバに添加する。例えば、ヒト臍静脈上皮細胞(HUVEC)のようなEC(これは、トリプシンを使用して単層培養物から剥離される)を、無血清培地を使用して、約10細胞/mLの最終濃度に希釈し、この細胞懸濁物うちの0.2mLを各トランスウェルの上部チャンバーに添加する。試験されるインヒビターを、上部チャンバおよび底部チャンバの両方に添加し、移動を、37℃の加湿雰囲気下で5時間続行する。トランスウェルをプレートからはずし、DiffQuik(登録商標)を使用して染色する。移動しなかった細胞を、綿棒で掻き取ることにより上部チャンバから取り出し、膜を外し、スライドに固定し、高出力視野(400×)下で計数して、移動した細胞の数を決定する。
(B.抗侵襲性活性の生物学的アッセイ)
本発明の組成物は、それらの抗侵襲性能力について試験される。Matrigel侵襲アッセイ系(Kleinmanら,Biochemistry 25:312−318,1986およびParishら,Int.J.Cancer 52:378−383,1992により詳細に記載される)として公知のアッセイにおけるECまたは腫瘍細胞(例えば、PC−3ヒト前立腺癌腫細胞)のような細胞が再構築された基底膜(例えば、Matrigel(登録商標))を通過して侵襲する能力。Matrigel(登録商標)は、IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(例えば、ペルルカン(perlecan)(これは、bFGFに結合し、bFGFを局在化させる))、ビトロネクチン、ならびにトランスホーミング増殖因子β(TGFβ)、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA)、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、およびプラスミノゲン活性化因子インヒビター1型(PAI−1)として公知のセルピンを含む、再構成された基底膜である(Chambersら,Canc.Res.55:1578−1585,1995)。細胞外レセプターまたは細胞外酵素を標的とする化合物についてのこのアッセイで得られた結果により、インビボでのこれらの化合物の効力が予測されることは、当該分野で受け入れられている(Rabbaniら,Int.J.Cancer 63:840−845,1995)。
このようなアッセイは、トランスウェル組織培養挿入物を使用する。侵襲性細胞は、Matrigel(登録商標)およびポリカーボネート膜の上側を通過して横断し、この膜の底部に接着し得る細胞と規定される。ポリカーボネート膜(8.0μm孔サイズ)を含むトランスウェル(Costar)は、滅菌PBSにて終濃度75μg/mlに希釈したMatrigel(登録商標)(Collaborative Research)(挿入物あたり60μLの希釈したMatrigel)を使用してコーティングされ、24ウェルプレートのウェルに配置される。この膜を生物学的安全キャビネット中で一晩乾燥させ、次いで、抗生物質を含む100μLのDMEMを添加して、振盪機テーブルで1時間振盪することにより再水和する。このDMEMを、吸引によって各挿入物から取り除き、0.8mLのDMEM/10% FBS/抗生物質を、24ウェルプレートの各ウェルに添加し、これがトランスウェルの外側(「底部チャンバ」)を囲むようにする。新たなDMEM/抗生物質(l00μL)、ヒトGlu−プラスミノゲン(5μg/mL)、および試験される任意のインヒビターをトランスウェルの内側にある上部(「上部チャンバ」)に添加する。試験される細胞を、トリプシン処理し、DMEM/抗生物質中に再懸濁し、次いで、この細胞を、終濃度800,000細胞/mLにてトランスウェルの上部チャンバに添加する。上部チャンバの最終容積を、200μLに調節する。次いで、アセンブリしたプレートを、加湿5%CO雰囲気にて72時間インキュベートする。インキュベーションの後、細胞を固定し、DiffQuik(登録商標)(ギムザ染色)を使用して染色し、次いで、上部チャンバを、綿棒を使用して掻き取って、Matrigel(登録商標)および膜を通過して侵襲しなかった全ての細胞を除去する。この膜を、X−acto(登録商標)ブレードを使用してトランスウェルから剥がし、Permount(登録商標)およびカバーガラスを使用してスライドガラスに固定し、高出力(400×)視野で計数する。侵襲された細胞の平均を、計数される5〜10視野から決定し、インヒビター濃度の関数としてプロットする。
(C.抗脈管形成活性の管形成アッセイ)
本発明の化合物を、それらの抗脈管形成活性について、インビトロでの2つの異なるアッセイ系のうちの1つで試験する。
調製され得るかまたは市販され得る内皮細胞(例えば、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)またはヒト微小血管内皮細胞(HMVEC))を、2×10細胞/mLの濃度にて、フィブリノーゲン(リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中、5mg/mL)と、1:1(v/v)の比で混合する。トロンビンを添加し(終濃度5単位/mL)、この混合物を、直ぐに24ウェルプレートに移す(0.5mL/ウェル)。フィブリンゲルを形成させ、次いで、試験化合物とともに、VEGFおよびbFGFをウェルに添加する(各々、終濃度5ng/mL)。細胞を、37℃にて、5%CO中、4日間インキュベートし、その時点で、各ウェル中の細胞を、計数し、丸形、枝なし細長形、1つの枝あり細長形、または2以上の枝あり細長形に分類する。結果を、各濃度の化合物について、5つのウェルの平均として表す。代表的には、脈管形成インヒビターの存在下で、細胞は、丸形のままであるか、または未分化の管を形成するかのいずれか(例えば、0個または1つの枝)である。
このアッセイは、インビボでの脈管形成効力(または抗脈管形成効力)が推定されることが当該分野で認識されている(Min,HYら,Cancer Res.56:2428−2433,1996)。
別のアッセイにおいて、内皮細胞管形成は、内皮細胞がMatrigel(登録商標)上で培養された場合に観察されている(Schnaperら,J.Cell.Physiol.165:107−118 1995)。内皮細胞(1×10細胞/ウェル)をMatrigel(登録商標)コーティング24ウェルプレートに移し、管形成を、48時間後に定量する。インヒビターを内皮細胞と同時または内皮細胞を添加した後の種々の時点のいずれかで添加することにより、インヒビターを試験する。管形成をまた、(a)脈管形成増殖因子(例えば、bFGFまたはVEGF)、(b)分化刺激薬剤(例えば、PMA)または(c)これらの組み合わせを添加することにより、刺激し得る。
このアッセイは、内皮細胞に特定の型の基底膜(すなわち、移動し分化している内皮細胞が、最初に遭遇すると予測され得るマトリクスの層)に提示することにより、脈管形成を模倣する。結合された増殖因子に加えて、Matrigel(登録商標)中に見いだされるマトリクス成分(およびインサイチュで基底膜において見出されるマトリクス成分)またはそのタンパク質分解性産物はまた、内皮細胞管形成について刺激性であり得、このことにより、このモデルは、以前に記載された(BloodおよびZetter,Biochim.Biophys.Acta 1032:89−118,1990;OdedraおよびWeiss,Pharmac.Ther.49:111−124,1991)フィブリンゲル脈管形成モデルを補足する。本発明の化合物は、両方のアッセイにおいて内皮細胞管形成を阻害する。このことは、この化合物がまた、抗脈管形成活性を有することを示唆する。
(D.増殖の阻害についてのアッセイ)
本発明の化合物がECの増殖を阻害する能力は、96ウェル形式にて決定され得る。I型コラーゲン(ゼラチン)を使用して、プレートのウェルをコーティングする(PBS中、0.1〜1mg/mL、室温にて30分間0.1mL/ウェル)。プレートを洗浄(3×w/PBS)した後、1ウェルあたり3〜6,000個の細胞をプレートし、0.1〜2%FBSを含有する、内皮細胞増殖培地(EGM;Clonetics)またはM199培地中で4時間接着させる(37℃/5%CO)。この培地および接着していない全ての細胞を4時間目に除去し、新たな培地(bFGF(1〜10ng/mL)またはVEGF(1〜10ng/mL)を含む)を各ウェルに添加する。試験される化合物を最後に添加し、このプレートを、24〜48時間インキュベートする(37℃/5%CO)。MTS(Promega)を、各ウェルに添加し、1〜4時間インキュベートする。次いで、490nmの吸光度(細胞数に比例する)を測定して、コントロールウェルと、試験化合物を含むウェルとの間の増殖差を決定する。
類似のアッセイ系を、培養した接着腫瘍細胞を使用して設定し得る。しかし、コラーゲンは、この形式においては省略され得る。腫瘍細胞(例えば、3,000〜10,000/ウェル)を、プレートし、一晩接着させる。次いで、無血清培地を、ウェルに添加し、細胞を、24時間にわたり同期化させる。次いで、10%FBSを含有する培地を、各ウェルに添加して、増殖を刺激する。試験される化合物を、ウェルのいくつかに含める。24時間後、MTSをプレートに添加し、上記のようにアッセイを行い、読み取る。
(E.細胞傷害性のアッセイ)
組成物の抗増殖効果および細胞傷害性効果を、種々の細胞型(腫瘍細胞、EC、線維芽細胞およびマクロファージが挙げられる)について決定し得る。これは、治療部分(例えば、放射療法薬または毒素)に結合体化された本発明の化合物を試験する際に特に有用である。例えば、組成物の1つとBolton−Hunter試薬との結合体(131Iでヨウ素化されている)は、HPRG結合部位/レセプターを発現する細胞の増殖を阻害すると予測される(最もありそうなのは、アポトーシスの誘導によるものである)。抗増殖効果は、腫瘍細胞および刺激された内皮細胞に対して予測されるが、いくつかの環境下では、休止内皮細胞または正常ヒト皮膚線維芽細胞に対して予測されない。正常細胞において認められた任意の抗増殖効果または細胞傷害性効果は、結合体の非特異的活性を示す。
代表的アッセイは、96ウェルプレート中、5〜10,000細胞/ウェルの密度にて細胞をプレートすることを含む。試験される化合物を、結合アッセイにて測定されたIC50(これは、結合体に依存して変化する)の10倍の濃度で添加し、細胞とともに30分間インキュベートする。細胞を培地で3回洗浄し、次いで、[H]チミジン(1μCi/mL)を含有する新たな培地を、細胞に添加し、これら細胞を、5%CO中、37℃にて24時間および48時間インキュベートする。細胞を、1M NaOHを使用して、種々の時点で溶解し、1ウェルあたりの数を、β−カウンターを使用して決定する。増殖を、MTS試薬またはCyQuant(登録商標)を使用して放射活性によらずに測定して、総細胞数を測定し得る。細胞傷害性アッセイ(細胞溶解を測定する)については、Promega 96ウェル細胞傷害性キットを使用する。抗増殖活性が明らかな場合、アポトーシスの誘導を、TumorTACS(Genzyme)を使用して測定し得る。
(カスパーゼ3アッセイ)
本発明の化合物がECのアポトーシスを促進する能力を、カスパーゼ3の活性化を測定することにより決定し得る。I型コラーゲン(ゼラチン)を使用して、P100プレートをコーティングし、5×10個のECを、10% FBSを含有するEGM中に播種する。(5%CO中、37℃で)24時間後、この培地を、2% FBS、10ng/ml bFGFおよび所望の試験化合物を含有するEGMと交換する。この細胞を6時間後に採取し、1% Tritonにて細胞溶解物を調製し、EnzChek(登録商標)カスパーゼ3アッセイキット#1(Molecular Probes)を、製造業者の指示に従って使用してアッセイする。
(HPRGペプチドのインビボ研究)
(A.角膜脈管形成モデル)
使用するプロトコルは、Volpertら(J.Clin.Invest.98:671−679(1996))により記載されるプロトコルと本質的に同一である。簡潔には、雌性Fischerラット(120〜140g)を麻酔し、Hydron(登録商標)、bFGF(150nM)、および試験される化合物から構成されるペレット(5μl)を、角膜縁から1.0〜1.5mmの角膜中に作製した小さな切開部分に移植する。新生血管形成を、移植の5日後および7日後に評価する。7日目に、動物を麻酔し、炭素コロイドのような色素を注入して、脈管を染色する。次いで、動物を安楽死させ、角膜をホルマリンで固定し、この角膜を平らにし、写真を撮って、新生脈管形成の程度を評価する。新脈管を総脈管面積または長さを画像化するか、または単に脈管を計数することにより、定量し得る。
(B.Matrigel(登録商標)プラグアッセイ)
このアッセイを、本質的に、Passanitiら(Lab Invest.67:519−528(1992)により記載されるように行う。氷冷Matrigel(登録商標)(例えば、500μL)(Collaborative Biomedical Products,Inc.,Bedford,MA)を、ヘパリン(例えば、50μg/ml)、FGF−2(例えば、400ng/ml)および試験される化合物と混合する。いくつかのアッセイにおいては、bFGFを、脈管形成刺激因子としての腫瘍細胞で置き換え得る。このMatrigel(登録商標)混合物を、4〜8週齡の無胸腺ヌードマウスの腹部正中線付近の部位に皮下注射する(好ましくは、1匹のマウスあたり、3回の注射)。注射したMatrigel(登録商標)は、触診可能な固体ゲルを形成する。各動物が、陽性コントロールプラグ(例えば、FGF−2+ヘパリン)、陰性コントロールプラグ(例えば、緩衝液+ヘパリン)および脈管形成に対する効果について試験される化合物を含むプラグ(例えば、FGF−2+ヘパリン+化合物)を受け入れるように、注射部位を選択する。好ましくは、全ての処置を三連で行う。注射して約7日後または脈管形成を観察するに最適でありうる別のときに、動物を頚椎脱臼により屠殺する。マウスの皮膚を腹部正中線に沿って剥離し、Matrigel(登録商標)プラグを回収し、直ぐに高解像度でスキャンする。次いで、プラグを水中に分散させ、37℃にて一晩インキュベートする。ヘモグロビン(Hb)レベルを、Drabkin溶液(例えば、Sigmaから入手される)を製造業者の指示に従って使用して、決定する。プラグ中のHb量は、サンプル中の血液量を反映するので、脈管形成の間接的指標である。さらに、または代替的に、屠殺する前に、動物に、発蛍光団を結合体化した高分子量デキストランを含有する緩衝液(好ましくは、PBS)0.1mlを注射し得る。分散したプラグ中の蛍光の量(蛍光測定により決定される)もまた、プラグ中の脈管形成の基準として役立ち得る。mAb抗CD31(CD31は、「血小板−内皮細胞接着分子すなわちPECAM」である)を使用した染色もまた使用して、プラグ中の脈管形成および微小管密度を確認し得る。
(C.ニワトリ漿尿膜(CAM)脈管形成アッセイ)
このアッセイを、本質的には、Nguyenら(Microvascular Res.47:31−40(1994))により記載されるように行う。脈管形成因子(bFGF)または腫瘍細胞+インヒビターのいずれかを含むメッシュを、8日齢のニワトリ胚のCAMに配置し、サンプルの移植後、3〜9日間、CAMを観察する。血管を含むメッシュの区画の割合を決定することにより、脈管形成を定量する。
(D.腫瘍細胞とMatrigel(登録商標)プラグアッセイを使用する脈管形成阻害および抗腫瘍効果のインビボ評価)
このアッセイにおいて、腫瘍細胞(例えば、1〜5×10細胞の3LL Lewis肺癌腫またはラット前立腺細胞株MatLyLu)を、Matrigel(登録商標)と混合し、次いで、上記B節に記載されるプロトコルに従って、マウスの側腹部に注射する。腫瘍細胞塊および強い脈管形成応答を、約5日後〜約7日後に観察し得る。実際の腫瘍環境における化合物の抗腫瘍作用および抗脈管形成作用を、プラグ中にこの化合物を含めることによって評価し得る。次いで、腫瘍重量、Hbレベル、または(屠殺する前に注射したデキストラン−発蛍光団の結合体の)蛍光レベルの測定を行う。Hbまたは蛍光を測定するために、このプラグを、まず組織ホモジナイザーによりホモジナイズする。
(E.皮下(s.c.)腫瘍増殖の異種移植片モデル)
ヌードマウスの右側腹部に、MDA−MB−231細胞(ヒト乳癌)およびMatrigel(登録商標)(0.2mL中に1×10細胞)をs.c.接種する。腫瘍を、200mmの段階にし(stage)し、次いで、試験組成物での処置を開始する(毎日、100μg/動物/日をIPで与える)。腫瘍容積を、一日おきに得て、動物を処置の2週間後に屠殺する。腫瘍を切り出し、秤量し、パラフィンに包埋する。腫瘍の組織学的切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン、抗CD31、Ki−67、TUNEL、およびCD68染色により分析する。
(F.転移の異種移植片モデル)
本発明の化合物はまた、実験的転移モデルを用いて後期転移の阻害について試験される(Crowley,C.W.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 5021−5025(1993))。後期転移は、腫瘍細胞の付着および管外遊出、局所浸潤、播種、増殖および脈管形成の工程を包含する。レポーター遺伝子(好ましくは、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子であるが、代替として酵素クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、またはLacZをコードする遺伝子)でトランスフェクトされたヒト前立腺癌腫細胞(PC−3)がヌードマウスに接種される。このアプローチは、これらの細胞の最終結果を追跡するためにこれらのマーカーのいずれかの利用を可能にする(GFPの蛍光検出または酵素活性の組織化学比色検出)。細胞は、注入(好ましくは静脈内)され、そして転移は、約14日後に、特に肺においてであるるが、また局所リンパ節、大腿、および脳においても検出される。このことは、ヒト前立腺癌において天然に存在する転移の器官に対する親和性(tropism)を模倣する。例えば、GFP発現PC−3細胞(マウス1匹につき1×10細胞)が、ヌード(nu/nu)マウスの尾静脈に静脈内注射される。動物は、毎日腹腔内(q.d.IP.)に与えた1日当たり動物1匹につき100μgの試験組成物で処理される。単一の転移細胞および病巣は、蛍光顕微鏡組織化学もしくは光学顕微鏡組織化学により、または組織の粉砕および検出標識の定量比色アッセイにより可視化され、そして定量される。
(G.HPRGおよび機能的誘導体によるインビボでの自発性転移の阻害)
ラット同系乳癌システム(Xing ら、Int.J Cancer 67:423−429(1996)は、Mat BIII ラット乳癌細胞を用いる。腫瘍細胞(例えば、0.1mL PBS中に懸濁された約10)が、雌Fisherラットの乳脂肪パッドに接種される。接種時に、14日Alza浸透圧ミニポンプ(14−day Alza osmotic mini−pump)が、試験化合物を分配するために腹腔内に移植される。この化合物はPBS中に溶解され(例えば、200mMストック)、滅菌濾過され、そしてミニポンプ中に配置されて、約4mg/kg/日の放出速度を達成する。コントロール動物は、ミニポンプ中にビヒクル(PBS)単独またはビヒクルコントロールペプチドを受容する。動物は約14日目に屠殺される。
(治療結果)
本発明の活性化合物で処理したラットにおいて、原発性腫瘍のサイズならびに脾臓、肺、肝臓、腎臓、およびリンパ節における転移の数(個別の病巣として数えられる)における有意な減少が観察される。組織化学および免疫組織化学分析は、処置動物において、腫瘍における壊死およびアポトーシス兆候の増大を明らかにする。大きな壊死領域は、新生血管形成を欠く腫瘍領域において見られる。131I が結合体化されたヒトまたはウサギHPRGおよびそれらの誘導体(ペプチド1分子につき1または2のI原子)は、有効な放射線治療薬であり、非結合体化ポリペプチドよりも少なくとも2倍強力であることが見出される。対照的に、コントロールペプチドでの処置は、腫瘍の大きさまたは転移において有意な変化を引き起こすことができない。
(H.3LLルイス(Lewis)肺癌腫:原発性腫瘍成長)
この腫瘍株は、1951年において、C57BL/6マウスの肺の癌腫として自発的に生じた(Cancer Res 15:39,1955.Malave,I.ら、J:Nat’l.Canc.Inst.62:83−88(1979)もまた参照のこと)。それは、皮下(sc)接種によるC57BL/6マウスにおける継代により繁殖され、そして半同種異系(semiallogeneic)C57BL/6×DBA/2Fマウスにおいて、または同種異系C3Hマウスにおいて試験される。代表的には、皮下(sc)移植のために1群当たり6匹の動物、または筋内(im)移植のために10匹が使用される。腫瘍は、2〜4mm断片として皮下移植され得るか、または約0.5〜2×10細胞の懸濁細胞の接種物として筋内または皮下移植され得る。処置は、移植24時間後に始めるか、または特定の大きさ(通常、約400mg)の腫瘍が触診され得るまで遅らされる。試験化合物は、11日間、毎日腹腔内投与される。
動物には、計量、触診、および腫瘍の大きさの測定,が行われる。筋内接種12日後の未処理コントロールレシピエントにおける代表的な腫瘍の重量は、500〜2500mgである。代表的なメジアン(median)生存時間は、18〜28日である。1〜11日目において1日当たり20mg/kg/注射のポジティブコントロール化合物(例えば、シクロホスファミド)が使用される。コンピューター結果は、平均動物重量、腫瘍大きさ、腫瘍重量、生存時間を含む。確認された治療活性については、試験化合物は、2つの多用量アッセイにおいて試験されるべきである。
(I.3LLルイス肺癌腫:原発性成長および転移モデル)
このモデルは、多数の研究者によって利用されてきている。例えば、Gorelik,E.ら、J.Nat’l.Canc.Inst.65:1257−1264(1980);Gorelik,E.ら、Rec.Results Canc.Res.75:20−28(1980);Isakov,N.ら、Invasion Metas.2:12−32(1982);Talmadge J.E.ら、J:Nat’l.Canc.Inst.69:975−980(1982);Hilgard,P.ら、Br.J.Cancer 35:78−86(1977)を参照のこと)。試験マウスは、雄C57BL/6マウス(2〜3ヶ月齢)である。皮下、筋内、または足蹠内部への移植後に、この腫瘍は、転移(肺において優先的に)を生じる。腫瘍のいくつかの株を用いると、原発性腫瘍は、抗転移効果を奏するので、転移相の研究の前に第一に取り除かねばならない(米国特許第5,639,725号もまた参照のこと)。
0.3%トリプシン溶液を用いて細片した腫瘍組織を処理することにより、単一細胞懸濁液が固形腫瘍から調製される。細胞は、PBS(pH7.4)で3回洗浄され、そしてPBS中で懸濁される。このようにして調製された3LL細胞の生存度は、一般に約95〜99%である(トリパンブルー染料排除による)。0.05ml PBS中に懸濁された生存腫瘍細胞(3×10〜5×10)が、C57BL/6マウスの背部領域で、または一方の後足蹠でのいずれかで皮下注射される。腫瘍が目に見えるのは、10細胞の背部皮下注射後3〜4日である。腫瘍出現の日および樹立された腫瘍の直径は、2日ごとにカリパスにより測定される。
処置は、1週当たりペプチドまたは誘導体の1または2用量として与えられる。別の実施形態では、ペプチドは、浸透圧ミニポンプにより送達される。
背部腫瘍の腫瘍切除を包含する実験において、腫瘍が約1500mmの大きさに達する場合、マウスは、2つの群に無作為化される:(1)原発性腫瘍が完全に切除される;または(2)偽手術が実施され、腫瘍がそのまま残っている。500〜3000mmの腫瘍が転移の成長を阻害するが、1500mmが高い生存で、かつ局所的な再成長がなく安全に切除され得る原発性腫瘍の最も大きなサイズである。21日後、全てのマウスが屠殺され、解剖される。
肺が摘出され、計量される。肺は、Bouin溶液中に固定され、そして可視転移の数が記録される。転移の直径もまた、8×倍率下でマイクロメーター含有接眼レンズを備えた双眼ステレオスコープを用いて測定される。記録された直径に基づいて、各転移の体積を計算することができる。肺当たりの転移の総体積を決定するために、可視転移の平均数を、転移の平均体積で積算する。転移成長をさらに決定するために、肺細胞への125IdUrdの取り込みを測定することができる(Thakur,M.L.ら、J.Lab.Clin.Med.89:217−228(1977)。腫瘍切断の10日後、25μgのフルオロデオキシウリジンが腫瘍保有マウス(および、用いられる場合、腫瘍切除マウス)の腹膜に接種される。30分後、マウスに、1μCiの125IdUrd(ヨードデオキシウリジン)を与える。1日後、肺および脾臓が摘出され、そして計量されて、125IdUrd取り込みの程度がガンマカウンタを用いて測定される。
足蹠腫瘍を有するマウスにおいて、腫瘍が約8〜10mmの直径に達したとき、マウスは、2つの群に無作為化される:(1)腫瘍を有する脚が、膝関節の上方の連結後に切断される;または(2)マウスは、切断していない腫瘍保有コントロールとしてそのまま残される。(腫瘍保有マウスにおける無腫瘍脚の切断は、続く転移に対して既知の影響を有さず、麻酔、ストレス、または手術の考えられる影響を除外する)。マウスは、切断の10〜14日後に殺される。転移は、上記のように評価される。
統計学:腫瘍保有マウスの肺における転移の発生数およびそれらの成長を表す値は、正規分布されない。従って、Mann−Whitney U検定のような非パラメーター統計学が分析のために使用され得る。
Gorelikら(1980,前出)によるこのモデルの研究は、腫瘍細胞接種物の大きさが転移成長の程度を決定することを示した。手術されたマウスの肺における転移の割合は、原発性腫瘍保有マウスとは異なる。従って、より多い用量の3LL細胞(1〜5×10)の接種(その後外科的に除去される)により原発性腫瘍が誘導されたマウスの肺において、転移の数は、手術していない腫瘍保有マウスにおけるよりも少なかったが、転移の体積は、手術していないコントロールにおけるよりも高かった。肺転移の尺度として125IdUrd取り込みを用いて、腫瘍切除マウスの肺と腫瘍保有マウスの肺(もともと10の3LL細胞を接種された)との間で有意な差異は見出されなかった。10の腫瘍細胞の摂取後生成された腫瘍の切断は、転移成長を劇的に促進した。これらの結果は、局所腫瘍の切除後のマウスの生存と一致した。局所腫瘍の切除後の転移成長の促進の現象は、繰り返し観察されている(例えば、米国特許第5,639,725号を参照のこと)。これらの所見は、癌手術を受けた患者の予後についての関連を有する。
本発明に従って有用である化合物については、それは、上記の(インビトロまたはインビボ)アッセイ系の少なくとも1つにおいて活性を示すべきである。
(薬学的および治療用組成物およびそれらの投与)
本発明の薬学的組成物において使用され得る化合物としては、上記のポリペプチド化合物およびペプチド化合物の全て、ならびにこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩が挙げられる。塩基性基を含有する本発明の化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩は、適切には、当該分野に公知の方法により、強いまたは適度に強い、無毒の有機または無機の酸を用いて形成される。本発明に含まれる酸付加塩の例は、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、 臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩である。
酸性基を含有する本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩基付加塩は、有機塩基および無機塩基から公知の方法により調製され、そして例えば、無毒のアルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウム);および無毒の有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ブチルアミン、ピペラジン、およびトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン)が挙げられる。
上述したように、本発明の化合物は、内皮細胞の増殖、移動度、または浸潤性および脈管形成を阻害する能力、癌(特に転移癌)の処置において利用される特性を有する。本発明の組成物は、それ自体活性であり得るか、または活性形態にインビボで変換される「プロドラッグ」として作用し得る。
(治療的に標識された組成物)
好ましい実施形態では、本明細書中に記載のポリペプチドおよびペプチドは、「治療的に結合体化」または「治療的に標識」(これらの用語は交換可能であることが意図される)され、そして化合物がホーミングし、結合する部位に治療剤を送達するために使用される。このような部位としては、腫瘍転移の部位、または感染/炎症、再狭窄、または線維症の病巣が挙げられる。用語「治療的に結合体化された」は、改変されたペプチドは、腫瘍浸潤、脈管形成、炎症、もしくは他の病理の根底にある原因に、または「成分」にのいずれかに指向される別の治療剤に結合体化されることを意味する。治療的に標識されたタンパク質またはペプチドは、本明細書中で「治療的部分」とも呼ばれる適切な治療上の「標識」を有する。治療的部分は、標的疾患または状態(主に、望ましくない脈管形成と関連した)を処置するにあたりペプチドを活性にする、そのペプチドに付加される原子、分子、化合物または任意の化学成分である。上記のように、本発明のペプチドは、従来の手段(化学合成、HPRGのタンパク質分解、または組換えの手段)によって調製される。治療的部分は、直接または間接的に、ペプチドに結合され得る。治療的に標識されたタンパク質またはペプチドは、薬学的組成物として投与され、これは、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含み、そして、好ましくは、注入に適切な形態である。
有用な治療的放射性同位体の例(原子番号の順で)としては、47Sc、67Cu、90Y、109Pd、125I、131I、186Re、188Re、199Au、211At、212Pbおよび217Biが挙げられる。これらの原子は、直接、キレートの一部として間接的に、またはヨウ素の場合、ヨード化Bolton−Hunter基の一部として間接的に、ペプチドに結合体化され得る。放射性ヨウ素は、この基がペプチド化合物にカップリングされる前または後のいずれかに導入され得る。
放射性核種結合体の好ましい用量は、腫瘍型、腫瘍位置および脈管形成、ペプチドキャリアの動態および生体分布、核種による放射線放出のエネルギーなどで変化する標的部位に送達される比放射能の関数である。放射線療法の分野の当業者は、過度の実験を行うことなく、所望の治療利点を発揮するために特定の核種の用量と共にペプチドの用量を容易に調整し得る。
本明細書中に含まれる別の治療アプローチは、ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy)の使用であり、ここでは、ホウ素化された(boronated)ペプチドが、所望の標的部位(例えば、腫瘍)に送達される。最も好ましくは、頭蓋内腫瘍(Barth,RF.,Cancer Invest.14:534−550(1996);Mishima,Y.(編),Cancer Neutron Capture Therapy,New York:Plenum Publishing Corp.,1996;Soloway,A.H.,ら、(編),J Neuro−Oncol 33:1−188(1997))である。安定な同位体10Bは、低エネルギー(<0.025eV)熱中性子で照射され、そして得られる核捕捉はα−粒子およびLi核(これは、高い線形エネルギー転移およびそれぞれ約9μmおよび約5μmの路程(path length)を有する)を生じる。この方法は、腫瘍中の10B蓄積、ならびに血液、内皮細胞および正常組織(例えば、脳)中でのより低いレベルに基づかされる。このような送達は、上皮増殖因子を用いて達成されている(Yang.W.ら、Cancer Res 57:4333−4339(1997)。
本発明の方法に従ってペプチド化合物にカップリングされ得る他の治療剤は、薬物、プロドラッグ、プロドラッグを活性化するための酵素、光増感剤、核酸治療薬、アンチセンスベクター、ウイルスベクター、レクチン、および他の毒素である。
レクチンは、糖質に結合するタンパク質(通常、植物に由来する)である。他の活性物質の間で、いくつかのレクチンは毒性である。公知のほとんどの細胞傷害性物質のいくつかは、細菌起源および植物起源のタンパク質毒素である(Frankel,A.E.ら、Ann.Rev.Med.37:125−142(1986))。これらの分子は、細胞表面に結合し、そして細胞タンパク質合成を阻害する。最も通常に用いられる植物毒素は、リシンおよびアブリンである;最も通常に用いられる細菌毒素は、ジフテリア毒素およびPseudomonas外毒素Aである。リシンおよびアブリンにおいては、結合機能および毒性機能は、2つの別個のタンパク質サブユニットA鎖およびB鎖中に含まれる。リシンB鎖は、細胞表面糖質に結合し、そして細胞へのA鎖の取り込みを促進する。いったん細胞内に入ると、リシンA鎖は、真核生物リボソームの60Sサブユニットを不活性化することによりタンパク質合成を阻害する(Endo,Y.ら、J.Biol.Chem.262:5908−5912(1987))。他の植物由来毒素(これは、単鎖リボソーム阻害タンパク質である)としては、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、コムギ胚芽タンパク質、ゲロニン(gelonin)、ジアンチン(dianthins)、モモルチャリン(momorcharins)、トリコサンチン(trichosanthin)、および多くの他のものが挙げられる(Strip,F.ら、FEBS Lett.195:1−8(1986))。ジフテリア毒素およびPseudomonas外毒素Aはまた、単鎖タンパク質であり、そしてそれらの結合機能および毒性機能は、同じタンパク質の別個のドメインに存在する。Pseudomonas外毒素Aは、ジフテリア毒素と同じ触媒活性を有する。リシンは、その毒性α鎖を、標的化分子(例えば、抗体)に結合し、毒性効果の部位特異的送達を可能にすることにより、治療的に用いられている。細菌性毒素はまた、抗腫瘍結合体として使用されている。本明細書中で意図されるように、毒性ペプチド鎖またはドメインは、本発明の化合物に結合体化され、そして毒性活性が所望される標的部位(例えば、転移病巣)に部位特異的様式で送達される。タンパク質(例えば、抗体または他のリガンド)への毒素の結合体化は当該分野で公知である(Olsnes,S.ら、Immunol.Today 10:291−295(1989);Vitetta,E.S.ら、Ann.Rev.Immunol.3:197−212(1985))。
重要な細胞プロセス(DNA、RNA、およびタンパク質合成を包含する)を妨害する細胞傷害性薬物は、抗体に結合体化されて、続いてインビボ治療において用いられている。このような薬物(ダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、およびマイトマイシンCが挙げられるがこれらに限定されない)もまた、本発明の化合物にカップリングされ、そしてこの形態で治療的に使用される。
本発明の化合物、ならびにそれらの薬学的に受容可能な塩は、便利な投薬形態(例えば、カプセル、含浸オブラート、錠剤または注射可能調製物)に取り込まれ得る。固体または液体の薬学的に受容可能なキャリアが用いられ得る。
固体キャリアとしては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、スクロース、滑石、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体キャリアとしては、シラップ、ラッカセイ油、オリーブ油、生理食塩水、水、デキストロース、グリセロールなどが挙げられる。同様に、キャリアまたは希釈剤は、持続放出物質(例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレート)を、単独または蝋と共に含み得る。液体キャリアが使用される場合、調製物は、シラップ、エリキシル、エマルジョン、軟性ゼラチンカプセル、滅菌注射液(例えば、溶液)(例えば、アンプル)、または水性もしくは非水性液体懸濁液の形態であり得る。このような薬学的組成物の概要は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton Pennsylvania(Gennaro 18th 編.1990)に見られ得る。
この薬学的製剤は、以下のような工程を含む薬化学の従来技術に従って作製される:錠剤形態に必要な場合、混合し、顆粒化し、そして圧縮する工程、あるいは経口投与、非経口投与、局所投与、経皮投与、膣内投与、陰茎内投与、鼻腔内投与、気管支内投与、頭蓋内投与、眼内投与、耳内投与および直腸投与のための所望の製品を与えるために、適切に成分を混合し、充填し、そして溶解する工程のような工程。この薬学的組成物はまた、少量の、湿潤剤または乳化剤のような非毒性補助物質、pH緩衝剤などを含んでもよい。
本発明は、多くの動物属および動物種のいずれかの診断または処置において使用され得、そしてヒト医学または獣医学の実施において等しく適用可能である。従って、この薬学的組成物は、家畜動物および市販の動物(鳥を含む)、より好ましくは哺乳動物、ならびにヒトを処置するために使用され得る。
用語「全身投与」とは、被験体の循環系への組成物の導入を生じるか、さもなくば静脈内(i.v.)注射または注入のような身体を通したその拡散を可能にする様式での、本明細書中に記載されるポリペプチド、ペプチドまたは核酸のような組成物または因子の投与をいう。「局所」投与とは、腹腔内、髄腔内、硬膜下のような特異的で幾分かより制限された解剖学的空間内への投与、または特定の器官への投与をいう。例として、膣内、陰茎内、鼻内、気管支内(または肺点滴注入)、頭蓋内、耳内または眼内が挙げられる。用語「局所投与」とは、腫瘍塊への腫瘍内注射、皮下(s.c.)注射、筋肉内(i.m.)注射のような、制限されたまたは囲まれた解剖学的空間への組成物または薬物の投与をいう。当業者は、局所投与(local administration or regional administration)はまた、しばしば、循環系への組成物の流入を生じ、すなわち、その結果、s.c.またはi.m.はまた、全身投与のための経路でもあることを当業者は理解する。注射または注入可能な製剤は、溶液または懸濁液として、注射または注入前の液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態として、あるいはエマルジョンとして、従来の形態で調製され得る。投与の好ましい経路は全身性(例えば、i.v.)であるが、薬学的組成物は、例えば、軟膏、クリームまたはゲルとして、局所的にまたは経皮的に;経口的に;例えば、坐剤として直腸に;投与され得る。
局所適用の場合、本化合物は、軟膏(salve or ointment)のような局所的に適用されたビヒクルに組み込まれ得る。活性成分のためのキャリアは、噴霧可能な形態であってもよいし、噴霧不可能な形態であってもよい。噴霧不可能な形態は、局所適用に固有のキャリアを含み、好ましくは、水の粘度より大きな動的粘度を有する半固体形態または固体形態であり得る。適切な処方物として、溶液、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏(ointment)、散剤、擦剤、軟膏(salve)などが挙げられるが、これらに限定されない。所望される場合、これらは、滅菌されてもよいし、補助剤(例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、緩衝剤、または浸透圧に影響を及ぼすための塩など)と混合されてもよい。噴霧不可能な局所製剤のための好ましいビヒクルとして、軟膏基剤(例えば、ポリエチレングリコール−1000(PEG−1000));HEBクリームのような従来のクリーム;ゲル;およびワセリン(petroleum jelly)などが挙げられる。
局所適用および肺点滴注入にはまた、噴霧可能なエアロゾル製剤が適しており、ここで、好ましくは、固体または液体の不活性キャリア材料と組み合わせた化合物は、スクイズボトル内に、または加圧された揮発性で通常はガス状の噴霧剤との混合物内に、封入される。このエアロゾル製剤は、本発明の化合物に加えて、溶媒、緩衝剤、界面活性剤、香油、および/または酸化防止剤を含み得る。
特にヒトのための、好ましい局所投与の場合、有効量の化合物を、患部(例えば、皮膚表面、粘膜、眼など)に投与することが好ましい。この量は、一般に、処置される領域、症状の重篤度、および使用される局所ビヒクルの性質に依存して、一回の適用あたり約0.001mg〜約1gの範囲である。
本発明のポリペプチドまたは核酸組成物のための他の薬学的に受容可能なキャリアは、リポソームであり、活性タンパク質が含まれる薬学的組成物は、脂質層に付着した水性同心層からなるカプセル内に分散されるか、多様に存在する。この活性ポリペプチドもしくはペプチド、または核酸は、好ましくは、水性層および脂質層に、内側または外側に存在するか、あるいは、いずれの場合においても、一般にリポソーム様懸濁液として公知の不均一系に存在する。この疎水性層、または脂質層は、一般に、排他的ではないが、レシチンおよびスフィンゴミエリンのようなリン脂質、コレステロールのようなステロイド、ジセチルホスフェート、ステアリルアミンまたはホスファチジン酸のような多かれ少なかれイオン性表面活性物質、および/または疎水性の性質の他の材料を含む。当業者は、本リポソーム処方物の他の適切な実施形態を理解する。
腫瘍および癌を処置するための治療学的組成物は、ペプチドに加えて、1つ以上の追加の、有糸分裂インヒビター(例えば、ビンブラスチン)のような抗腫瘍剤;アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド);葉酸インヒビター(例えば、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)またはトリメトレキサート);代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシルおよびシトシンアラビノシド);インターカレート抗生物質(例えば、アドリアマイシンおよびブレオマイシン);酵素または酵素インヒビター(例えば、アスパラギナーゼ、エトポキシドのようなトポイソメラーゼインヒビター);あるいは生物学的応答改変剤(例えば、インターフェロンまたはインターロイキン)を含んでもよい。実際に、本明細書中に開示されるペプチドと組み合わせて任意の公知の癌治療剤を含む薬学的組成物は、本発明の範囲内にある。この薬学的組成物はまた、標的患者を危険な状態にさせる追加の症状を処置するために、1つ以上の他の医薬(例えば、抗感染剤(抗細菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、および抗コクシジウム剤が挙げられる))を含んでもよい。
投与される治療学的投薬量は、当業者に公知であるか、または容易に確認され得るような、治療学的に有効な量である。この用量はまた、レシピエントの年齢、健康、および体重、同時処置の種類(存在する場合)、処置の頻度、ならびに所望される効果の性質(例えば、抗炎症性効果または抗細菌効果)に依存する。
上で議論されるように、H/Pドメインのエピトープに対して特異的な抗体は、H/Pドメインを介してHPRGの抗血管形成効果を阻害することによって、新生血管形成の導入に有用であり、脈管形成の増加が所望される疾患または状態を処置するために使用され得る。このような状態として、冠状動脈疾患および末梢性動脈疾患が挙げられ、ここで、治療学的脈管形成は、有用であることが公知である(Freedman SBおよびIsner J M,Ann Intern Med,2002,136:54−71 and JMol Cell Cardiol,2001 33:379−393;Durairaj,A.ら,Cardiol Rev,2000,8:279−287;Emanueli Cら,Br J Pharmacol,2001,133:951−958;Isner,JMら,Hum Gene Ther,1996,7:959−88)。一般に、血管閉塞、血管疾患または血管手術から生じる組織虚血の任意の形態は、この様式で処置され得る(Isnerら,前出;Webster KA.,Crit Rev Eukaryot Gene Expr,2000,10:113−125)。組織虚血には、例えば、末梢肢虚血または肝臓移植における肝動脈閉塞(Yedlicka,JWら,J Vasc Interv Radiol,1991,2:235−240)があり、存在する抗体は、虚血性組織の血管再生を促進する。
これらの抗体は、創傷治癒(外科創傷からの回復を含む)の促進において有用であり、この促進は、抗脈管形成過程に依存することが公知であり(Liekens Sら,Biochem Pharmacol,2001,61:253−270;Lingen,MW,Arch Pathol Lab Med,2001,125:67−71;Raza SLら,J Investig Dermatol Symp Proc,2000,5:47−54;Tonnesen MGら,J Investig Dermatol Symp Proc,2000,5:40−46;Hunt TK,Adv Skin Wound Care,2000,13(2 補足):6−11;Grant DSら,Adv Exp Med Biol,2000,476:139−154;Drixler TAら,Eur J Surg,2000,166:435−446;Singer AJら,N Engl J Med,1999,341:738−746;Martin,P,Science,1997,276:75−81)、そしてこれらの抗体は、骨折修復の加速または向上に有用である(Glowacki,J,Clin Orthop,1998,355 補足:S82−89)。
血管内皮が膵臓器官形成および膵臓β細胞によるインシュリン産生を刺激または誘導するために作用するため、抗−HIP抗体は、糖尿病の処置において細胞治療およびランゲルハンス島の移植と組み合わせて使用され得る(Lammert Eら,Science,2001,294:564−567;530−531頁もまた参照のこと)。肝臓器官形成はまた、血管性内皮細胞および新生血管によって促進される(Matsumoto,K.ら,Science,2001,294:559−563)。DeFrancesco,L.,The Scientist 15:17(2001)も参照のこと。
所望の血管新生促進活性をもつ抗−H/P抗体を検出するための抗体またはハイブリドーマ培養物の上清のスクリーニングは、上記のインビトロおよびインビボ生物学的アッセイ(例えば、Matrigel(登録商標)プラグアッセイ)を使用して実施される。
(治療方法)
本発明の方法は、内皮細胞増殖および移動を阻害することによって、被験体における腫瘍増殖および侵入を阻害するか、または腫瘍により誘導される脈管形成を抑制するために使用され得る。腫瘍または脈管形成の増殖または侵入を阻害することによって、この方法は、腫瘍転移の阻害を生じる。脊椎被験体、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトは、腫瘍増殖、侵入または脈管形成を阻害するのに有効な量の化合物を投与される。本化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、好ましくは、上記のように、薬学的組成物の形態で投与される。
タンパク質(抗体を含む)、ペプチド、ペプチド多量体などの用量として、好ましくは、有効量のペプチドを含む薬学的投薬量単位が挙げられる。投薬量単位形態は、哺乳動物被験体に対して単回投薬量として適した物理的に別個の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと組み合わせて、所望の治療効果を得るように計算された所定量の活性物質(例えば、HPRG−由来ドメインもしくはペプチド、またはこのポリペプチドをコードする核酸)を含む。本発明の投薬量単位形態についての詳細は、(a)活性材料の固有の性質および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個々の被験体の処置および感受性に対する、このような活性化合物を配合する当該分野における固有の制限、によって、およびそれらに直接依存して、指示される。
有効量とは、疾患の任意の関連するパラメータ(初期腫瘍または転移性腫瘍の増殖、炎症応答性の任意の受容された指数、または疾患の無い期間もしくは生存の測定可能な延長を含み得る)の測定可能な減少を生じる、インビボでの定常状態濃度を達成するのに十分な量を意味する。例えば、20%の患者における腫瘍増殖の減少は、効果的であると考えられる(FreiIII,E.,The Cancer Journal 3:127−136(1997))。しかし、この大きさの効果は、本発明に従って有効である用量についての最小限の要件であるとは考えられない。
1実施形態において、有効用量は、本明細書に記載されるように、インビボアッセイにおける化合物の50%有効用量(ED50)に比べて、好ましくは10倍高く、より好ましくは100倍高い。
投与される活性化合物の量は、選択されるまさにペプチドまたは誘導体、疾患または状態、投与の経路、レシピエントの健康および体重、他の同時処置の存在(もし存在する場合)、処置の頻度、所望される効果の性質(例えば、腫瘍転移の阻害)、および熟練した医師の判断に依存する。
腫瘍を有する、被験体、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを処置するために好ましい用量は、体重1kgあたり約100mgまでの量の活性タンパク質またはペプチドベース化合物である。ペプチドまたはペプチド模倣物の代表的な単一投薬量は、体重1kgあたり約1ngと約100mgとの間である。局所投与の場合、約0.01〜20重量%、好ましくは1〜5重量%の濃度の範囲内の投薬量が示唆される。約0.1mg〜約7gの範囲内の1日の総投薬量は、静脈内投与の場合、好ましい。しかし、上記範囲は、個々の処置レジメンにおける変数の数が大きいため、示唆的であり、そしてこれらの好ましい値からの考えられ得る偏位が予想される。
インビトロにおける内皮細胞増殖または移動を阻害するための有効量または用量のペプチドは、1細胞あたり約1ピコグラム〜約5ナノグラムの範囲内である。有効な用量および最適な用量の範囲は、本明細書中に記載の方法を使用して、インビトロで決定され得る。
本発明の化合物は、腫瘍細胞もしくは内皮細胞の増殖、移動、侵入、または脈管形成、腫瘍転移、または炎症性応答に及ぼす阻害効果を生じるとして、特徴付けられ得る。本化合物は、腫瘍を宿す哺乳動物宿主、好ましくはヒトにおける抗腫瘍効果を生じることで、特に有効である。
脈管形成インヒビターは、外傷性脊髄傷害後の炎症性脈管形成および神経膠症を阻害する役割を担い、それによって神経連結性の回復を促進し得る(Wamil,A.W.ら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 95:13188−13193(1998))。それ故に、本発明の組成物は、神経連結性の回復を立体的に防止する脈管形成および神経膠症を阻害するために、外傷性脊髄傷害後できるだけ早く、そして7日〜約2週間、投与される。この処置は、脊髄傷害の部位における損傷の領域を減少させ、そして神経機能の再生を容易にし、それによって麻痺を予防する。本発明の化合物はまた、ウォーラー変性、逆アミノブチレート媒介脱分極(外傷を受けた神経を生じる)から軸索を保護し、そして単離された中枢神経系細胞および培養物中の組織の神経伝導度の回復を改善することが予想される。
(一般的な組換えDNA法)
分子生物学の一般的方法を開示する基本テキストの全てが、参考として援用され、以下が挙げられる:Sambrook,Jら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(またはそれ以降の版),Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor,NY,1989;Ausubel,FMら、Current Protocols in Molecular Biology,Vol.2,Wiley−Interscience,New York,(最新版);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);Glover,DM,編,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I&II,IRL Press,1985;Albers,B.ら,Molecular Biology of the Cell,第2版(またはそれ以降の版),Garland Publishing,Inc.,New York,NY(1989);Watson,JDら,Recombinant DNA,第2版(またはそれ以降の版)Ed.,Scientific American Books,New York,1992;およびOld,RWら,Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering,第2版(またはそれ以降の版),University of California Press,Berkeley,CA(1981)。
他に指示されない限り、特定の核酸配列は、その保存置換改変体(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列を包含することが意図される。用語「核酸」は、「ポリヌクレオチド」と同義語であり、遺伝子、cDNA分子、mRNA分子、ならびにオリゴヌクレオチドのようなこれらのいずれかのフラグメント、そしてさらにそれらの等価物を含むことが意図される(以下により詳細に説明される)。核酸のサイズは、キロベース(kb)または塩基対(bp)のいづれかで記載される。これらは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)から誘導された見積りであるか、使用者によって決定されるか、または公表された核酸配列に由来する。タンパク質のサイズは、キロダルトン(kDa)の分子量としてか、または長さ(アミノ酸残基の数)として記載される。タンパク質のサイズは、PAGEから、配列決定から、コード核酸配列に基づく推定アミノ酸配列から、または、公表されたアミノ酸配列から、見積もられる。
詳細には、本発明のHPRGポリペプチド、ドメインもしくはペプチドフラグメント、またはそれらの活性改変体に対応するアミノ酸配列をコードするcDNA分子は、本明細書中に開示されるタンパク質の配列に由来するプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって合成され得る(例えば、米国特許第4,683,202号を参照のこと)。次いで、これらのcDNA配列は、真核生物発現ベクターまたは原核生物発現ベクターに組み立てられ得、この得られるベクターは、適切な宿主細胞(例えば、COS細胞またはCHO細胞)によって融合ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは誘導体の合成を指向するために使用され得る。
本発明は、新規なHPRGポリペプチド、ドメイン、ペプチドフラグメント、ペプチド多量体、またはそれらの等価物をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸、ならびにそれらのポリペプチド産物を発現するためにインビトロまたはインビボで細胞をトランスフェクトする際のそれらの使用を含む。本明細書で用いるとき、用語「核酸」は、このようなフラグメントまたは等価物を含むことが意図される。本発明の核酸配列は、DNAまたはRNAであり得る。
cDNAヌクレオチド配列HPRGポリペプチドは、適切な細胞株から全mRNAを単離することによって得られ得る。二本鎖cDNAは、全mRNAから調製される。cDNAは、多くの公知の技術のうちのいずれか1つを使用して、適切なプラスミド、バクテリオファージまたはウイルスベクターに挿入され得る。
ヌクレオチド配列に参照して、用語「等価物」とは、これらのタンパク質の、天然に存在するイソ形態または関連した免疫学的に交差反応性のファミリーメンバーのような、構造的に相同および/または機能的に等価なタンパク質をコードする配列を含むことが意図される。このようなイソ形態またはファミリーメンバーは、例えば、配列番号1、3、5または6と同様の機能およびアミノ酸配列を共有するタンパク質として定義される。
(核酸のフラグメント)
核酸配列のフラグメントは、全長HPRGタンパク質またはH/Pドメインをコードするヌクレオチド配列より短いヌクレオチドを有するヌクレオチド配列として規定される。本発明は、(1)脈管形成、内皮管(endothelial tube)形成、細胞浸潤、または腫瘍の増殖もしくは転移を阻害する、HPRGポリペプチドの能力、を保持するポリペプチドをコードするような核酸フラグメントを含む。
一般に、HPRGのフラグメントをコードする核酸配列は、成熟タンパク質(またはその活性なH/Pドメイン)をコードする配列由来のヌクレオチドを含む。
核酸配列、特に本発明のペプチド多量体をコードする核酸配列はまた、(好ましくは、Gly1〜6をコードする)リンカー配列またはスペーサー配列を含み得る。核酸はさらに、天然または改変された制限エンドヌクレアーゼ部位、およびコードされたポリペプチドまたはペプチドのクローニング、発現または精製に関する操作に有用である他の配列を含み得る。核酸配列のこれらおよび他の改変は、本明細書中に記載されるかまたは当該分野において周知である。
DNAコード配列をアセンブリおよび発現するための技術としては、オリゴヌクレオチドの合成、PCR、細胞の形質転換、ベクターの構築、発現系などが挙げられる。これらは、当該分野において十分確立されており、その結果、当業者は、標準的な資源材料、特定の条件および手順に精通している。
(発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明は、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたHPRGのポリペプチド、ドメイン、ペプチドまたはペプチド多量体をコードする核酸配列を含む発現ベクターを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「発現ベクター」または「発現カセット」は、宿主中でタンパク質コード配列の発現をもたらし得るヌクレオチドをいい、この宿主は、このような配列に適合性である。発現カセットは、ポリペプチドコード配列、および必要に応じて他の配列(例えば、転写終止シグナル)と作動可能に連結されたプロモーターを含む。発現をもたらすに必要であるかまたは有用であるさらなる因子(例えば、エンハンサー)がまた、少なくとも含まれ得る。
「作動可能に連結された」は、コード配列がそのコード配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味する。公知の調節配列は、適切な宿主細胞中で所望のタンパク質の発現を指向するように選択される。従って、用語「調節配列」としては、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントが挙げられる。このような調節配列は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology. Methods in Enzymology,vol.185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990))に記載される。
従って、発現カセットとしては、プラスミド、組み換えウイルス、任意の型の組換え「裸のDNA」ベクターなどが挙げられる。「ベクター」は、細胞を感染、トランスフェクト、一過性または永続的に形質導入し得る核酸を含む。ベクターが、裸の核酸、またはタンパク質もしくは脂質と複合体化された核酸であり得ることが認識される。ベクターは、必要に応じてウイルス性核酸もしくは細菌性核酸、および/またはタンパク質、および/あるいは膜(例えば、細胞膜、ウイルス脂質エンべロープなど)を含む。ベクターとしては、DNAフラグメントが結合し得、複製し得るようになるレプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)が挙げられるが、これらに限定されない。よって、ベクターとしては、自立性自己複製性環状DNAもしくはRNA、または線状DNAもしくはRNA(例えば、プラスミド、ウイルスなど(米国特許第5,217,879号))が挙げられるがこれらに限定されず、そして発現プラスミドおよび非発現プラスミドの両方を含む。組換え微生物または細胞培養物が「発現ベクター」についての宿主である場合、ベクターは、宿主染色体中に組み込まれている染色体外環状DNAおよびRNAならびに線状DNAおよびRNAの両方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持されている場合、ベクターは、細胞分裂中に、自立性構造として細胞によって安定に複製され得るか、または宿主のゲノム内に組み込まれるかのいずれかである。
当業者は、本発明の発現ベクターの特定の設計がトランスフェクトされるべき宿主細胞および発現されるべきポリペプチドの特徴(例えば、サイズ)のような考慮に依存することを認識する。
本発明の発現ベクターは、HPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントおよびそのペプチド多量体、改変体などを含む種々の実施形態をコードする核酸分子の全範囲を含む。
このような発現ベクターを使用して、DNAの発現およびコードされたタンパク質(融合タンパク質または融合ペプチドを含む)の産生のために、宿主細胞を(インビトロ、エキソビボまたはインビボで)トランスフェクトする。HPRGのポリペプチド、ドメイン、ペプチドフラグメントまたは多量体を発現する遺伝子改変された細胞が、その示された目的に有用である細胞に十分な時間にわたって外因性DNAを一過性に発現し得ることは、理解される。
宿主細胞はまた、HPRGポリペプチドまたはH/Pドメインの少なくとも一部をコードするDNA、および第2のHPRG由来配列(または改変体)の少なくとも一部をコードするDNAを単独でかまたは組合わせて含む、1つ以上の発現ベクターでトランスフェクトされ得、その結果、その宿主細胞は、なおさらなるHPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメント(両方の部分を含む)を産生する。
HPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントを産生する方法は、当該分野において全て慣用的である。培養物は、典型的には、宿主細胞、適切な増殖媒体および他の副産物を含む。適切な培養媒体は、当該分野において周知である。HPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントは、タンパク質およびペプチドを精製するために慣用的な技術(硫酸アンモニウム沈殿、分画カラムクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなど)および/または電気泳動(一般に、Meth Enzymol,22:233−577(1971)を参照のこと)を含む)を使用して、媒体または細胞溶解物から単離され得る。一旦、部分的または均一に精製されると、本発明の組換えポリペプチドは、本明細書中により詳細に記載されるような薬学的組成物に利用され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、分子または組成物に対していわれる場合、その分子または組成物が、少なくとも1つの他の化合物(タンパク質、他の核酸など)または本来結合しているかもしくは処理の間に結合した他の夾雑物から分離されていることを意味する。単離された組成物はまた、実質的に純粋であり得る。単離された組成物は、均一な状態であり得、そして乾燥されているかまたは水溶液中であり得る。純度および均一性が、例えば、分析化学的技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC))を使用して決定され得る。タンパク質がゲルパターン中に均一なバンドまたは優性なバンドとして現れるように単離されている場合でさえ、通常、そのタンパク質と同時精製される微量夾雑物が存在することは、理解される。
HPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントを発現するように形質転換またはトランスフェクトされている原核生物宿主細胞または真核生物細胞は、本発明の範囲内である。例えば、HPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントは、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはヒト細胞(これらは、このトランスフェクトされた細胞のヒト治療用途に好ましい))中で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、Goeddel(1990)(上述)に見出され得るか、またはさもなくば当業者に公知であり得る。
真核生物細胞中での発現は、部分的もしくは完全なグリコシル化、および/または組換えポリペプチドの関連の鎖内ジスルフィド結合もしくは鎖間ジスルフィド結合の形成を導く。
酵母S.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari et al.,(1987)EMBO J 6:229−234),pMFa(Kurjan et al.(1982)Cell 30:933−943),pJRY88(Schultz et al.,(1987)Gene 54:113−123),およびpYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)が挙げられる。培養された昆虫細胞(SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith et al.,(1983)Mol.Cell Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(Lucklow,V.A.,およびSummers,M.D.,(1989)Virology 170:31−39)が挙げられる。一般に、COS細胞(Gluzman,Y.,(1981)Cell 23:175−182)は、哺乳動物細胞における一過性の増幅/発現のために、pCDM 8(Aruffo A.およびSeed,B.,(上述)のようなベクターと組合わせて使用されるが、CHO細胞(dhfr−ネガティブなCHO細胞)は、哺乳動物細胞における安定な増幅/発現のために、pMT2PC(Kaufman et al.(1987),EMBO J.6:187−195)のようなベクターとともに使用される。NS0骨髄腫細胞株(グルタミン合成酵素発現系)は、Celltech Ltdより入手可能である。
しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位が、レポーター基と標的タンパク質との連結部に導入されて、融合タンパク質の精製の後のレポーター基からの標的タンパク質の分離を可能にする。このような切断のためのタンパク質分解酵素およびその認識配列としては、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。
典型的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Amrad Corp.,Melbourne,Australia),pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)が挙げられる。これらは、それぞれグルタチオン−S−トランスフェラーゼ、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAをその標的組換えポリペプチドに融合する。
誘導可能な非融合発現ベクターとしては、pTrc(Amann et al.,(1988)Gene 69:301−315)およびpET11d(Studier et al.,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif(1990)60−89)が挙げられる。標的遺伝子発現は、pTrc中のハイブリッドtrp−lac融合プロモーター由来の宿主RNAポリメラーゼ転写に依存するが、pET11dへ挿入された標的遺伝子の発現は、ウイルスRNAポリメラーゼ(T7gn1)を同時発現することによって媒介されるT7gn10−lacO融合プロモーターからの転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、T7gn1を保有するレジデントλプロファージ由来の宿主系統BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって、lacUV5プロモーターの転写制御下で供給される。
(ベクター構築)
所望のコード配列および制御配列を含む適切なベクターの構築は、当該分野において十分理解されている標準的なライゲーション技術および制限技術を使用する。単離されたプラスミド、DNA配列または合成オリゴヌクレオチドは、所望される形態で切断され、調整され、そして再連結される。ベクターを形成するDNA配列は、多くの供給源より入手可能である。バックボーンベクターおよびコントロール系は、構築における大部分の配列のために使用される利用可能な「宿主」ベクターに一般に見出される。適切なコード配列について、最初の構築は、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーからの適切な配列の回復の問題であり得、通常はそうである。しかし、一旦配列が開示されると、個々のヌクレオチド誘導体から始めて、インビトロで遺伝子配列全体を合成することが可能である。相当な長さ(例えば、500〜1000bp)の遺伝子についての遺伝子配列全体は、個々に重複する相補的なオリゴヌクレオチドを合成して、デオキシリボヌクレオチド三リン酸の存在下でDNAポリメラーゼを使用して一本鎖非重複部分を埋めることによって調製され得る。このアプローチは、公知の配列のいくつかの遺伝子の構築において首尾よく使用されている。例えば、Edge,M.D.,Nature(1981)292:756;Nambair,K.P.,et al.,Science(1984)223:1299;およびJay,E.,J Biol Chem(1984)259:6311を参照のこと。
合成オリゴヌクレオチドは、上記で引用される参考文献によって記載されるようなホスホトリエステル法、またはBeaucage,S.L.,およびCaruthers,M.H.,Tetrahed Lett(1981)22:1859;ならびにMatteucci,M.D.,およびCaruthers,M.H.,J Am Chem Soc(1981)103:3185によって記載されるようなホスホラミダイト法のいずれかによって調製され、そして、市販の自動化オリゴヌクレオチド合成機を使用して調製され得る。アニーリング前の、または標識のための一本鎖のキナーゼ処理は、周知の方法を使用して達成される。
従って、一旦、所望のベクターの成分が利用可能となれば、これらは、標準的な制限手順およびライゲーション手順を使用して切り出され得、そして連結され得る。部位特異的DNA切断は、当該分野において一般に理解されている条件下で、適切な制限酵素での処理によって行われ、特定の条件は、これらの市販の制限酵素の製造者によって特定されている。例えば、New England Biolabs,Product Catalogを参照のこと。所望ならば、切断されたフラグメントのサイズ分離は、標準的技術を使用するポリアクリルアミドゲル電気泳動またはアガロースゲル電気泳動によって行われ得る。サイズ分離の一般的な記載は、Meth Enzymol(1980)65:499−560に見出される。
多くの方法のいずれかを使用して、コード配列へ変異を導入し、本発明の改変体(これらが組換え的に産生される場合)を生成する。これらの変異としては、単純な欠失または挿入、塩基クラスターの合成的な欠失、挿入または置換、あるいは単一塩基の置換が挙げられる。DNA配列の改変は、そのプロトコルおよび試薬が市販されている周知技術である部位特異的変異誘発によって作製される(Zoller,MJ et al.,Nucleic Acids Res(1982)10:6487−6500およびAdelman,JP et al.,DNA(1983)2:183−193))。単離されたDNAは、制限によって分析されるか、および/あるいはMessing,et al.,Nucleic Acids Res(1981)9:309によってさらに記載されるSangerのジデオキシヌクレオチド法(Proc Natl Acad Sci USA(1977)74:5463)、またはMaxam et al.,Meth.Enzymol.,(上述)の方法により配列決定される。
ベクターDNAは、慣用的技術(例えば、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウムの同時沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーション)を介して哺乳動物細胞に導入され得る。宿主細胞を形質転換するための適切な方法は、Sambrook et al.(上述)および他の標準的な教科書に見出され得る。融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位が、レポーター基と標的タンパク質との連結部に導入されて、融合タンパク質の精製の後のレポーター基からの標的タンパク質の分離を可能にする。このような切断のためのタンパク質分解酵素およびその認識配列としては、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。
(プロモーターおよびエンハンサー)
DNA分子またはRNA分子のプロモーター領域は、RNAポリメラーゼを結合し、そして「作動可能に連結された」核酸配列の転写を促進する。本明細書中で使用される場合、「プロモーター配列」は、RNAポリメラーゼによって転写されるDNAまたはRNAの鎖上に見出されるプロモーターのヌクレオチド配列である。本発明の好ましいプロモーター配列は、哺乳動物細胞において作動可能でなければならず、そして真核生物プロモーターまたはウイルスプロモーターのいずれかであり得る。好ましいプロモーターは、実施例に記載されるが、他の有用なプロモーターおよび調節エレメントは、以下に考察される。適切なプロモーターは、誘導性、抑制性または構成的であり得る。「構成的」プロモーターは、細胞の環境および発達を通じて遭遇するほとんどの条件下で活性なプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境調節または発達調節下でのプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、生物の特定の組織型において活性である。構成的プロモーターの例は、ウイルスプロモーターMSV−LTRである。これは、種々の細胞型において効率的かつ活性であり、そして、他のプロモーターのほとんどとが対照的に、停止された細胞および増殖する細胞において同様に増強された活性を有する。他の好ましいウイルスプロモーターとしては、CMV−LTR(サイトメガロウイルス由来)(Bashart,M.et al.,Cell 41:521(1985))またはRSV−LTR(ラウス肉腫ウイルス由来)(Gorman,C.M.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777(1982)中に存在するプロモーターが挙げられる。また、以下のプロモーターが有用である:マウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター(Hamer,D.,et al.,J.Mol.Appl.Gen.1:273−288(1982));ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight,S.,Cell 31:355−365(1982));SV40初期プロモーター(Benoist,C.,et al.,Nature 290:304−310(1981));および酵母gal4遺伝子プロモーター(Johnston,S.A.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:6971−6975(1982));Silver,P.A.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:5951−5955(1984))。プロモーター領域ならびに別々の活性化および転写因子のDNA結合に関連する転写因子の他の例示的記述としては、Keegan et al.,Nature(1986)231:699;Fields et al.,Nature(1989)340:245;Jones,Cell(1990)61:9;Lewin,Cell(1990)61:1161;Ptashne et al.,Nature(1990)346:329;Adams et al.,Cell(1993)72:306が挙げられる。これらの上記で列挙された参考文献の全ての関連する開示は、本明細書中に参考として援用される。
プロモーター領域はさらに、特定の組織中に見出される特定のタンパク質と相互作用することによって組織特異的エンハンサーとしてもまた機能し得るオクタマー領域を含み得る。本発明のDNA構築物のエンハンサードメインは、トランスフェクトされる標的細胞に特異的であるものであるか、またはこのような標的細胞の細胞性因子によって高度に活性化されている。ベクター(プラスミドまたはレトロウイルス)の例は、Roy−Burman et al.,米国特許第5,112,767号中に開示されている。エンハンサーおよびその転写における作用の一般的考察について、Lewin,B.M.,Genes IV,Oxford University Press,Oxford,(1990),pp.552−576を参照のこと。レトロウイルスエンハンサー(例えば、ウイルスLTR)が、特に有用である。エンハンサーは、好ましくは、遺伝子発現を刺激するために相互作用するプロモーターの上流に置かれる。レトロウイルスベクターを用いる使用について、内因性ウイルスLTRは、エンハンサーなしになされ得、そして組織特異性または他の所望される特性(例えば、転写効率)を与える他の所望のエンハンサー配列と置換され得る。
本発明の核酸配列はまた、標準的な技術を使用して化学的に合成され得る。ポリデオキシヌクレオチド化学的に合成する種々の方法が、公知であり、ペプチド合成に類似して市販のDNA合成機を用いて完全に自動化されている固相合成法が挙げられる(例えば、参考として本明細書中に援用されるItakura,米国特許第4,598,049号;Caruthersら、米国特許第4,458,066号;およびItakuraら、米国特許第4,401,796号および同第4,373,071号を参照のこと。)。
(細胞および動物への核酸の送達)
DNA送達は、「外来」DNAの移入を包含し、この移入は(1)エキソビボ、最終的には、生きている動物の中にこの細胞を投与することにより移入するか、または(2)直接的に動物に移入するかのいずれかである。「遺伝子治療」を含む目的のための「遺伝子送達」のためのいくつかの一般的なストラテジー(すなわち、任意の核酸ベクターの送達)は、研究され、そして広範に概説されている(Yang,N−S.,Crit.Rev.Biotechnol.12:335−356(1992);Anderson,W.F.,Science 256:808−813(1992);Miller,A.S.,Nature 357:455−460(1992);Crystal,R.G.,Amer.J.Med.92(補遺6A):44S−52S(1992);Zwiebel,J.A.ら、Ann.N.Y.Acad.Sci.618:394−404(1991);McLachlin,J.R.ら、Prog.Nucl.Acid Res.Molec.Biol.38:91−135(1990);Kohn,D.B.ら、Cancer Invest.7:179−192(1989)(これらの参考文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される))。
1つのアプローチは、培養物中の初代細胞への核酸移入、それに続くエキソビボで形質転換された細胞の、宿主中(全身的または特定の器官もしくは組織のいずれか)への自家移植を包含する。
送達のために好ましいDNA分子は、以下に記載されるように、HPRG(例えば、配列番号1または3)、そのH/Pドメイン(配列番号5または6)あるいは配列番号7、8、9または10に基づくペプチドまたはペプチド多量体をコードする。
本発明の目的を達成するために、核酸治療は、機能的に活性なDNAをインビボで哺乳動物の体細胞組織または体細胞器官に直接移入することによって達成される。DNA移入は、以下に記載される多数のアプローチを使用して達成され得る。これらの系は、選択マーカー(例えば、G418抵抗性)の使用により、インビトロでの首尾よい発現について試験され得、DNAを発現する形質転換されたクローンを選択し、その後、(誘導性の系の場合、誘導物質を用いる処理の後で)適切な免疫学的アッセイにおいて抗原含有発現産物に対する抗体を使用して、その産物の存在を検出する。DNAの取り込み、プラスミドの組み込みおよび組み込まれたプラスミドの安定性を含む、この手順の有効性は、公知の方法を使用する、プラスミドDNAの直線化、および高分子量の哺乳動物DNAを「キャリア」として使用する同時トランスフェクションによって改善され得る。
当該分野で報告される首尾よい「遺伝子移入」の例としては、以下が挙げられる:(a)不定の期間にわたるマーカー遺伝子の発現を導く、マウス筋組織へのプラスミドDNAの直接的な注入(Wolff,J.A.ら、Science 247:1465(1990);Acsadi,G.ら、The New Biologist 3:71(1991));(b)レトロウイルスベクターは、血管組織のインビボ感染およびインサイチュ感染に効果的である;(c)レトロウイルス調製物の肝臓への門脈注入および直接的な注入は、インビボでの遺伝子送達および遺伝子発現をもたらした(Horzaglou,M.ら、J Biol.Chem.265:17285(1990);Koleko,M.ら、Human Gene Therapy 2:27(1991);Ferry,N.ら、Proc.Natl.Acad,Sci.USA 88:8387(1991));(d)組換えアデノウイルスの肺組織への気管内注入は、肺気道上皮における外来遺伝子のインビボでの移入および長期の発現に効果的であった(Rosenfeld,M.A.ら、Science 252:431(1991));(e)単純ヘルペスウイルスベクターは、インビボでの脳組織への遺伝子移入を達成した(Ahmad,F.ら、編、Miami Short Reports−Advances in Gene Technology:The Molecular Biology of Human Genetic Disease, Vol 1,Boehringer Manneheim 1 Biochemicals,USA,1991)。多数の方法の中のいずれかを使用するプラスミドによるトランスフェクションおよびレトロウイルスベクターによるトランスフェクションを使用する嚢胞性線維症の遺伝子治療は、Collinsら、米国特許第5,240,846号によって記載されている。
レトロウイルス媒介型ヒト治療は、両栄養性(amphotrophic)の、複製欠損性レトロウイルス系を利用する(Temin,H.M.,Human Gene Therapy 1:111(1990);Teminら、米国特許第4,980,289号;Teminら、米国特許第4,650,764号;Teminら、米国特許第5,124,263号;Wills,J.W.米国特許第5,175,099号;Miller,A.D.,米国特許第4,861,719号)。このようなベクターは、機能的DNAをヒト細胞または組織に移入するために使用され、この機能的DNAとしては、例えば、リンパ球へのアデノシンデアミナーゼ遺伝子、NPT−II遺伝子、および腫瘍浸潤性リンパ球への腫瘍壊死因子についての遺伝子が挙げられる。レトロウイルス媒介型遺伝子送達は、概して、遺伝子移入のために標的細胞の増殖を必要とする(Miller,D.G.ら、Mol.Cell.Biol.10:4239(1990))。この条件は、このDNA分子がその中に移入される、特定の好ましい標的細胞(すなわち、活性に増殖する腫瘍細胞)によってもたらされ得る。本発明のHPRGのポリペプチド、ドメインまたはペプチドフラグメントをコードするDNA分子は、当該分野で周知であるような、複製欠損レトロウイルスを生成するパッケージング細胞株を使用して、レトロウイスルベクターの中にパッケージングされ得る(例えば、Cone,R.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349−6353(1984);Mann,R.F.ら、Cell 33:153−159(1983);Miller,A.D.ら、Molec.Cell.Biol.5:431−437(1985);Sorge,J.,ら、Molec.Cell.Biol.4:1730−1737(1984);Hock,R.A.ら、Nature 320:257(1986);Miller,A.D.ら、Molec.Cell.Biol.6:2895−2902(1986)を参照のこと)。遺伝子移入のための効率的かつ安全な、より新しいパッケージング細胞株がまた、記載される(Bankら、米国特許第5,278,056号)。
このアプローチは、レトロウイルスベクターを選択された組織または器官に送達するための部位特異的な様式で利用され得る。従って、例えば、カテーテル送達系が、使用され得る(Nabel,EGら、Science 244:1342(1989))。レトロウイルスベクターまたはリポソームベクターのいずれかを使用するこのような方法は、腫瘍の血管壁または血液循環中において発現されるべき核酸を送達するために特に有用である。
他のウイルスベクターもまた、使用され得、これは、組換えアデノウイルス(Horowitz,M.S.,Virology,Fields,BNら編、Raven Press,New York,1990,1679頁;Berkner,K.L.,Biotechniques 6:616 919 1988),Strauss,S.E.,The Adenoviruses,Ginsberg,HS編、Plenum Press,New York,1984,11章)、ニューロン特異的送達および持続のための単純ヘルペスウイルス(HSV)が挙げられる。ヒト遺伝子送達のためのアデノウイルスベクターの利点としては、組換えがめったに起こらず、このようなウイルスに関連するヒト悪性腫瘍が知られてなく、アデノウイルスゲノムは、2本鎖DNAであり、7.5kbまでの大きさの外来遺伝子を許容するように操作され得、そして生きたアデノウイルスは、安全なヒトワクチン生物であることが挙げられる。アデノ随伴ウイルスはまた、本発明において、ヒトの治療(Samulski,R.J.ら、EMBO J.10:3941(1991))のために有用である。
別の有用なベクター(特にヒトにおいて)は、ワクシニアウイルスであり、このウイルスは、非複製型となされ得る(米国特許第5,225,336号;同第5,204,243号;同第5,155,020号;同第4,769,330号;Sutter,Gら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10847−10851;Fuerst,T.R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:2549−2553;Falkner F.G.ら;Nucl.Acids Res(1987)15:7192;Chakrabarti,Sら、Molec.Cell.Biol.(1985)5:3403−3409)。異種DNAを含有する組換えワクシニアウイルスおよび他のウイルス、ならびに免疫およびDNA治療におけるそれの使用についての記載は、以下に概説される:Moss,B.,Curr.Opin.Genet.Dev.(1993)3:86−90;Moss,B.Biotechnology(1992)20:345−362;Moss,B.,Curr Top Microbiol Immunol(1992)158:25−38;Moss,B.,Science(1991)252:1662−1667;Piccini,Aら、Adv.Virus Res.(1988)34:43−64;Moss,B.ら、Gene Amplif Anal(1983)3:201−213。
裸のDNAまたはRNA、あるいはウイルスベクターに加えて、設計された細菌は、ベクターとして使用され得る。Salmonella、BCGおよびListeria monocytogenes(LM)を含む多数の細胞株が、挙げられる(Hoiseth&Stocker,Nature 291,238−239(1981);Poirier,TPら、J Exp.Med.168,25−32(1988);(Sadoff,J.C.,ら、Science 240,336−338(1988);Stover,C.K.,ら、Nature 351,456−460(1991);Aldovini,A.ら、Nature 351,479−482(1991);Schafer,R.,ら、J. Immunol.149,53−59(1992);Ikonomidis,G.ら、J.Exp.Med.180,2209−2218(1994))。これらの生物は、腸管経路の感染を可能とし、経口による核酸送達の可能性を提供する。
インビボでのウイルス媒介型遺伝子移入に加えて、当該分野で周知の物理的手段が、DNAの直接的な移入のために使用され得、プラスミドDNAの投与(Wolffらら、1990,上述)および微粒子ボンバードメント媒介型遺伝子移入(Yang,N.−S.,ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9568(1990);Williams,R.S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2726(1991);Zelenin,A.V.ら、FEBS Lett.280:94(1991);Zelenin,A.V.ら、FEBS Lett.244:65(1989);Johnston,S.A.ら、In Vitro Cell.Dev.Biol.27:11(1991))。
さらに、インビトロで細胞内に遺伝子を移入するための周知の手段であるエレクトロポレーションは、本発明のDNA分子をインビボにおいて組織に移入するために使用され得る(Titomirov,A.V.ら、Biochim.Biophys.Acta 1088:131(1991))。
「キャリア媒介型遺伝ボンバードメント移入」がまた、記載されている(Wu,C.H.ら、J.Biol.Chem.264:16985(1989);Wu,G.Y.ら、J.Biol.Chem.263:14621(1988);Soriano,P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:7128(1983);Wang,C−Y.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851(1982);Wilson,J.M.ら、J.Biol.Chem.267:963(1992))。好ましいキャリアは、標的化されたリポソーム(Nicolau,C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1068(1983);Sorianoら、上述)、例えば免疫リポソーム(immunoliposome)であり、これは、脂質2重膜の中にアシル化されたmAbをとり込み得る(Wangら、上述)。アシアロ糖タンパク質/ポリリジンのようなポリカチオン(Wuら、1989,上述)が、使用され得、ここで、この結合体は、標的組織を認識する分子(例えば、アシアロオロソムコイド)、および形質転換されたDNAに結合するためのDNA結合化合物を含有する。ポリリジンは、DNA結合分子の例であり、DNAに損傷を与えることなくDNAに結合する。次いで、この結合体は、移入のために本発明のプラスミドDNAと複合化される。
トランスフェクションまたはマイクロインジェクションのために使用されるプラスミドDNAは、当該分野で周知の方法を使用して(例えば、Quiagen 手順(Quiagen)を使用して)調製され得、その後に、本明細書中で例示される方法のような、公知の方法を使用してDNAが精製される。
ここまでに本発明は概ね記載され、同一の事項は、以下の実施例に対する参照を通して、より容易に理解される。これらの実施例は、例示の目的で提供され、特定されない限り、本発明が限定されることは意図されない。
(実施例1)
ウサギHPRGを、プラスミンによって切断し、His−Pro−リッチドメイン(H/P)およびその残りのN/Cドメインを放出する。このドメイン構造を、図1に図示する。図1中のはさみは、プラスミン切断部位を示す。
次いで、これらのドメインを精製し、抗脈管形成活性についてインビトロおよびインビボで試験し得、抗脈管形成効果を媒介するHPRGの領域を同定し得る。
(実施例II)
(HPRGによる内皮細胞増殖の阻害)
bFGFを使用して、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)増殖を刺激する。細胞を、bFGF単独の存在下か、または増殖インヒビターの添加と共に、96ウェルプレート中で48時間インキュベートする。次いで、増殖を、比色定量試薬であるMTSを用いて測定する。図2Aおよび図2Bの結果は、bFGF単独と共にインキュベートしたウェル中で観察された増殖(100% 増殖)のパーセンテージとして示す。
ウサギHPRG(rHPRG)は、用量依存様式でHUVECのbFGF刺激増殖を阻害し、この阻害は、図2Aに示されるように、100nMにおいてほぼ完全であった。
図2Bは、プラスミンによるHPRGの制限タンパク質分解によって調製したH/Pドメインが、インタクトなHPRGの抗増殖活性を保持し、一方、タンパク質分解産物(N/Cドメイン、これは、HPRGのH/Pドメイン以外の全てのドメインを含んだ)は、活性を有さなかったことを示す。HKaを、ポジティブコントロールとして含む。
1μM HPRGで処理したHUVECの生存性は、コントロールの生存性にまさるとも劣らず、このことは、このポリペプチドがHUVECに対して細胞傷害性ではないことを示す。
(実施例III)
(HPRGおよびH/Pドメインは、カスパーゼ−3活性の誘導を介して内皮細胞アポトーシスを誘導する)
HPRGの観察された抗増殖活性がアポトーシスの誘導に起因したか否かを評価するために、カスパーゼ−3(いくつかの(プロ)アポトーシス経路に対して中心である酵素)の活性を測定した。HUVECをbFGFまたはbFGF+HPRGの存在下で100mmのペトリ皿中で増殖させた。細胞を抽出して、カスパーゼ−3活性を、蛍光基質を用いて測定した。
HKa(これは、HUVEC中でカスパーゼ−3活性を誘導することが以前に示された(Zhangら、FASEB J(2000)14:2589−2600))を、ポジティブコントロールとして使用した。
この結果を図3に示す。10nMおよび100nMのrHPRGは、HKaと同程度でカスパーゼ−3活性を誘導した。結果は、HKa活性(これを、本アッセイにおいて100%であるとする)のパーセントとして表す。HPRGのH/Pドメインもまた、本アッセイ中で類似した濃度のH/Pにおいて同程度までアポトーシスを誘導した。このことは、増殖アッセイにおいて観察された細胞数の明らかな低下が、HPRGおよびそのH/Pドメインによる内皮細胞中での細胞死の直接的な誘導に関連し得ることを示す。
(実施例IV)
(ウサギHPRGは、Matrigel(登録商標)上でHUVECの内皮細胞管形成を阻害する)
HUVECをMatrigel(登録商標)でコーティングした96ウェルプレートに播種した。結果を示す顕微鏡写真は、図4Aおよび図4Bである。
Matrigel(登録商標)上での内皮細胞管形成を、FGF−2(20ng/ml)を用いて24時間、VEGF(20ng/ml)およびPMA(40ng/ml)を用いて24時間(図4A)インキュベートすることによって刺激した。HPRG(500nM)の添加は、これらの条件下で管形成をほぼ完全に破壊した(図4B)。
(実施例V)
(HPRG(ATN−234)およびH/P(ATN−236)ドメインは、CAMモデル中で脈管形成を阻害する)
本アッセイは、本質的に、Nguyenら(Microvascular Res.47:31−40(1994))によって記載されるように実行した。脈管形成因子(bFGF、30μg/ml)またはbFGF(同じ濃度)およびインヒビター(20μg/ml)のいずれかを含むフィルターを、8日齢のヒヨコ胚のCAM上に配置し、そしてそのCAMを3〜9日間観察した。そのフィルターと接触した微細血管の数を計数することによって、脈管形成を定量した。本実験において、微細血管を、フィルターの移植の4日後に計数した。
図5に示されるように、HPRG(ATN−234)、HKa(ATN−235)およびATN−236(H/Pドメイン)は全て、本モデルにおいて脈管形成を阻害し得た。
(実施例VI)
(HPRGおよびH/Pドメインは、Matrigel(登録商標)プラグモデルにおいてFGF−2によって刺激された脈管形成をインビボにて阻害する)
本研究において、氷冷Matrigel(登録商標)(500μL)を、ヘパリン(50μg/ml)、FGF−2(400ng/ml)および試験される化合物と混合した。Matrigel(登録商標)混合物を、4〜8週齢の雌性Ncr無胸腺ヌードマウスへと腹部中線付近の部位に3プラグ/マウスで皮下注射した。注射したMatrigel(登録商標)は、触診可能な固形ゲルを形成する。動物を、注射後7日目に、頸部脱臼によって屠殺した。マウスの皮膚を腹部中線に沿って剥がし、そしてMatrigel(登録商標)プラグを収集し、そして高解像度で直ちにスキャンした。次いで、プラグを水中に分散させ、そして37℃で一晩インキュベートした。ヘモグロビンレベルを、ドラブキン溶液(Sigma製)を用いて製造業者の指示書に従って決定した。
結果を図6に示す。HPRG(0.25μM、A)およびH/Pドメイン(0.6μM、C)は、脈管形成を完全に阻害した。対照的に、HPRGのN/Cフラグメント(0.25μM、B)は、脈管形成に対して実質的に何の効果も有さなかった。ポジティブコントロールに対して比較したHbレベルは、124±42%(3つのプラグの平均±SD)であった。
(実施例VII)
(HPRGおよびH/Pドメインは、Matrigel(登録商標)プラグモデルにおいて腫瘍細胞(3LL)媒介脈管形成をインビボにて阻害する)
本研究において使用した方法は、3LL腫瘍細胞をbFGFの代わりに脈管形成を刺激するために使用した以外は、実施例VIに記載される方法と本質的に同じであった。Lewis肺腺癌3LL細胞(10細胞/プラグ)を、注射前に冷Matrigelと混合した。7日後、動物を、頸部脱臼によって屠殺し、そしてMatrigel(登録商標)プラグを回収し、そして上記のように処理した。
結果を図7に示す(ここでは、Hbの量が示される)。3LL細胞単独のコントロール群(A)は、最大レベルの脈管形成を示し、一方、腫瘍細胞の非存在下において(B)、ベースラインでのHbの存在が観察され、このことは、コントロールレベルの脈管形成を反映する。「ポジティブ」コントロールの抗脈管形成分子であるHKa(0.75μM)(C)は、約50%脈管形成を阻害する。HPRGのH/Pドメイン(1.8μM)(D)は、同程度の阻害を示す。
(実施例VIII)
(HPRGおよびH/Pドメインは、Matrigel(登録商標)プラグモデルにおいて腫瘍細胞(MatLyLu)媒介脈管形成をインビボにて阻害する)
ラット前立腺腫瘍細胞株(MatLyLu)を使用して、実施例VIIおよびVIIIに記載されるようなMatrigel(登録商標)プラグモデルにおいて脈管形成を刺激した。本研究において、腫瘍増殖を評価した。
結果を、図8Aおよび8Bに示す。コントロール群において、プラグをMatLyLu腫瘍細胞単独に接種する。腫瘍細胞と一緒でのH/Pドメイン(1.8μM)の導入は、腫瘍重量(図8A)および脈管形成(図8B)の有意な減少を生じた。類似の効果が、同じ濃度のエンドスタチンを用いて観察された。
(実施例IX)
(H/Pコンセンサス配列の同定)
H/Pドメインを、反復配列の存在について分析した。これらを以下に記載し、そして以下の表1にて定量する。各コンセンサス配列を、ウサギ配列およびヒト配列の両方について比較した。
Figure 2005528879
3つの異なるコンセンサス反復を示すために、上記の配列に注釈をつける。
Figure 2005528879
これを、以下に配列番号6の異なるバージョンとして示す。
Figure 2005528879
(実施例XI)
(HPRG H/Pドメイン由来のコンセンサス配列は、脈管形成を阻害する)
インビトロでのMatrigel(登録商標)管形成アッセイを上記のように実行した。
結果を以下の表2に要約する。HPRGのH/Pドメイン由来の2つのコンセンサス配列(HHPHG(配列番号8)およびHPPHG(配列番号9))は、Matrigel(登録商標)プラグアッセイにおいて活性であった。後者のN末端をAlaで置換した改変体であるAPPHG(配列番号11)は、Matrigel(登録商標)アッセイにおける管形成によって測定した場合、新生血管形成に対して何の効果も有さなかった。
Figure 2005528879
上記で引用される参考文献は全て、特別に援用されるか否かにかかわらず、本明細書中に参考として援用される。
図1は、種々のドメインを示す、HPRGの構造の概略図である。はさみは、プラスミン切断部位の位置を示す。 図2Aおよび2Bは、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)のbFGF−刺激増殖の阻害を示す。ウサギHPRG(図2A)およびそのHis−Proリッチ(「H/P」)ドメインは、HUVECの増殖を阻害する。 図3は、HPRGおよびHKa(二鎖ヒトキニノーゲンタンパク質)による、bFGF−刺激HUVECにおけるカスパーゼ−3の誘導を示す。 図4Aおよび4Bは、コントロール(図4A)と比較した、HPRG(図4B)による、EC管形成の阻害を示す、Matrigel(登録商標)−コーティングした96ウェルプレートにプレートしたHUVECの顕微鏡写真である。 図5は、ニワトリ胚を用いる絨毛尿膜(CAM)における脈管形成の阻害を示す。HPRG(ANT−234)およびH/Pドメイン(ATN−236)は、脈管形成を阻害する(血管数として表される)ことを示す。 図6は、HPRGおよびH/Pドメインが、インビボでのMatrigel(登録商標)プラグモデルにおいて、FGF−2により刺激された脈管形成を阻害することを示す。 図7は、HPRGおよびH/Pドメインが、インビボでのMatrigel(登録商標)プラグモデルにおいて、3LL腫瘍媒介性脈管形成を阻害することを示す。 図8Aおよび8Bは、HPRGのH/Pドメインが、インビボでのMatrigel(登録商標)プラグモデルにおいて、MatLyLu腫瘍細胞の増殖(図8A)、およびMatLyLu腫瘍細胞による脈管形成(図8B)を阻害することを示す。H/Pドメインは、(陽性コントロールのエンドスタチンタンパク質のように)1.8μMで試験された。

Claims (51)

  1. 単離された抗脈管形成ポリペプチドまたはペプチドであって、以下の配列:
    (a)ヒトヒスチジン−プロリンリッチ糖タンパク質(HPRG)のヒスチジン−プロリン−リッチ(H/P)ドメイン(配列番号5)
    (b)ヒトウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6)
    (c)インビトロまたはインビボのバイオアッセイにおいて、脈管形成、内皮細胞増殖、または内皮管形成を阻害するための実質的に同一の生物学的活性を有する、配列番号5または配列番号6の配列改変体;
    (d)配列(His,Pro)−(His,Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有する該H/Pドメイン由来のペンタペプチド、または、該ペンタペプチドのN末端またはC末端に付加されたHis、ProまたはGlyからなる群から選択されるさらなる1〜4個のアミノ酸を有する、その付加改変体、
    を有する、脈管形成ポリペプチドまたはペプチド。
  2. His−His−Pro−His−Gly(配列番号8)、His−Pro−Pro−His−Gly(配列番号9)もしくはPro−Pro−Pro−His−Gly(配列番号10)、またはその付加改変体からなる群から選択される配列を有する、請求項1に記載の単離されたペプチド。
  3. 請求項2に記載のペプチドまたは付加改変体を含む、化学合成されたペプチド多量体であって、該ペプチド多量体は、以下:
    (a)式P を有する多量体であって、ここで、
    (i)Pは、請求項2に記載のペプチドまたは付加改変体であり、そして
    (ii)n=2〜8、
    である多量体、
    (b)式(P−X−Pを有する多量体であって、ここで、
    (i)PおよびPは請求項2に記載のペンタペプチドまたは付加改変体であり、
    (ii)PおよびPは、同一のペプチドであるかまたは異なるペプチドであり;
    (iii)Xは、4個までの酸素原子を含む、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cポリエーテルであり;
    (iv)m=0または1;そして
    (v)n=1〜7
    である多量体、
    からなる群から選択され、そして、ここで、該ペプチド多量体が、インビトロまたはインビボのバイオアッセイにおいて、脈管形成、内皮細胞増殖または内皮管形成を阻害するための生物学的活性を有する、ペプチド多量体。
  4. 請求項2に記載のペプチドまたは付加改変体を含む、組換え的に産生されたペプチド多量体であって、該多量体は、式(P−Gly−Pを有し、ここで:
    (i)PおよびPは、請求項2に記載のペンタペプチドまたは付加改変体であり、
    (ii)PおよびPは、同一であるか、または異なり;
    (iii)z=0〜6;そして
    (iv)n=1〜100
    である、ペプチド多量体。
  5. 診断的または治療的に標識された抗脈管形成ポリペプチド、ペプチド、またはペプチド多量体であって、以下:
    (a)診断的または治療的に標識された、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体;
    (b)診断的もしくは治療的ヒトHPRGタンパク質(配列番号1);
    (c)診断的もしくは治療的ウサギHPRGタンパク質(配列番号3);または
    (d)(b)もしくは(c)のホモログである、診断的もしくは治療的に標識されたポリペプチド、
    を含む、抗脈管形成ポリペプチド、ペプチド、またはペプチド多量体。
  6. 請求項5に記載の診断的または治療的に標識されたポリペプチドまたはペプチドであって、該ポリペプチドは、以下:
    (a)ヒトHPRGのH/Pドメイン(配列番号5);
    (b)ウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6);および
    (c)配列番号7の配列を有する前記ペプチド、またはその前記付加改変体、
    からなる群から選択される、ポリペプチド。
  7. 治療的に有用なHPRG関連組成物であって、該組成物が、以下:
    (a)請求項5または請求項6に記載の治療的に標識されたポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体、
    (b)治療的に受容可能なキャリア
    を含む、組成物。
  8. 請求項7に記載の組成物であって、ここで、検出可能な標識が、放射性核種、PET造影剤、MRI造影剤、蛍光剤、蛍光発色剤、発色団、色原体、燐光剤、化学発光剤または生物発光剤である、組成物。
  9. 請求項8に記載の組成物であって、ここで、前記検出可能な標識が、H、14C、35S、67Ga、68Ga、72As、89Zr、97Ru、99Tc、111In、123I、125I、131I、169Ybおよび201Tlからなる群から選択される、放射性核種である、組成物。
  10. 請求項8に記載の組成物であって、ここで、前記検出可能な標識が、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレサミン、フルオレセイン誘導体、オレゴングリーン、ローダミングリーン、ロドールグリーンおよびテキサスレッドからなる群から選択される、蛍光剤または蛍光発色剤である、組成物。
  11. 抗脈管形成薬学的組成物であって、該組成物は、以下:
    (a)有効量の請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体;および
    (b)薬学的に受容可能なキャリア、
    を含む、組成物。
  12. 治療的な抗脈管形成薬学的組成物であって、該組成物が、以下:
    (a)治療的活性部分に直接的または間接的に結合される、有効量の請求項5または請求項6に記載のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体;および
    (b)薬学的に受容可能なキャリア、
    を含む、組成物。
  13. 注入に適切な形態の、請求項11または請求項12に記載の治療的な薬学的組成物。
  14. 前記治療的活性部分が放射性核種である、請求項12に記載の治療的な薬学的組成物。
  15. 請求項14に記載の治療的な薬学的組成物であって、ここで、前記放射性核種が、47Sc、67Cu、90Y、109Pd、125I、131I、186Re、188Re、199Au、211At、212Pbおよび217Biからなる群から選択される、組成物。
  16. ヒトHPRGのH/Pドメイン(配列番号5)またはウサギHPRGのH/Pドメイン(配列番号6)中に存在する、HPRGのエピトープに特異的であり、そして、HPRGまたは該ドメインの抗脈管形成活性を阻害する方法で、HPRGまたは該ドメインのいずれかに結合する抗体、または、該抗体の抗原結合フラグメント。
  17. 請求項16に記載の抗体または該抗体の抗原結合フラグメントであって、ここで、前記エピトープが、配列His−His−Pro−His−Gly(配列番号8)、His−Pro−Pro−His−Gly(配列番号9)、またはPro−Pro−Pro−His−Gly(配列番号10)を有する前記H/Pドメイン由来のペンタペプチドを含み、該ペンタペプチドの抗脈管形成活性を阻害する、抗体またはフラグメント。
  18. モノクローナル抗体である、請求項16または請求項17に記載の抗体。
  19. ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、請求項18に記載の抗体。
  20. 該抗体が検出可能に標識されている、請求項16〜請求項19のいずれか1項に記載の抗体またはフラグメントを含む、HPRGを検出するのに有用な抗体。
  21. HPRGまたはそのエピトープを標的化する治療的に有用な抗体であって、請求項16〜請求項19のいずれか1項に記載の抗体またはフラグメントを含み、治療的に活性な部分に直接的または間接的に結合される、抗体。
  22. インビボまたはインビトロで脈管形成を刺激する薬学的組成物であって、該組成物が以下:
    (a)請求項16〜請求項19のいずれか1項に記載の抗体またはフラグメント;および
    (b)薬学的に受容可能なキャリア
    を含む、組成物。
  23. 細胞移動、細胞侵襲、細胞増殖または脈管形成を阻害するため、またはアポトーシスを誘導するための方法であって、該方法は、所望されない細胞移動、侵襲、増殖または脈管形成に関連する細胞と、有効量の請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の治療的な薬学的組成物とを接触させる工程を包含する、方法。
  24. 所望されない細胞移動、侵襲、増殖または脈管形成に関連する疾患または状態を有する被験体を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の薬学的組成物を被験体に投与する工程を包含する、方法。
  25. 脈管形成を刺激する方法であって、該方法は、脈管形成に関与する細胞に、有効量の請求項16〜請求項19のいずれか1項に記載の抗体またはフラグメントを提供する工程を包含する、方法。
  26. 脈管形成を増大させる必要のある被験体において、脈管形成を刺激する方法であって、該方法が、有効量の請求項22に記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  27. 生物学的サンプル中のHPRG、またはその分解産物もしくはペプチドの存在を検出する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)該サンプルと、請求項20に記載の抗体またはフラグメントとを接触させる工程;および
    (b)該サンプルに結合された標識の存在を検出する工程、
    を包含する、方法。
  28. 前記サンプルが、血漿、血清、細胞、組織、器官、または該細胞、組織、もしくは器官の抽出物である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記接触させる工程および前記検出する工程が、インビトロである、請求項27に記載の方法。
  30. 前記接触させる工程がインビボで、そして、前記検出する工程がインビトロである、請求項27に記載の方法。
  31. 前記接触させる工程がインビボで、前記検出する工程がインビトロである、請求項27に記載の方法。
  32. 前記接触させる工程および前記検出する工程が、インビボである、請求項32に記載の方法。
  33. 請求項1または請求項2に記載のポリペプチドまたはペプチドをコードするか、または請求項4に記載のペプチド多量体をコードする、単離された核酸。
  34. 請求項33に記載の核酸配列を含む発現ベクターであって、該核酸配列が、以下:
    (a)プロモーター、および
    (b)必要に応じて、真核生物細胞中で該核酸の発現を調節する、さらなる調節配列、
    に作動可能に連結される、発現ベクター。
  35. 請求項34に記載の発現ベクターが、プラスミドである、発現ベクター。
  36. 請求項34に記載の発現ベクターが、ウイルスベクターである、発現ベクター。
  37. 請求項33に記載の核酸分子で形質転換、またはトランスフェクトされた、細胞。
  38. 請求項13〜請求項16のいずれか1項の発現ベクターで形質転換されたか、またはトランスフェクトされた、細胞。
  39. 請求項37または請求項38のいずれか1項に記載の細胞が、哺乳動物細胞である、細胞。
  40. 請求項39に記載の細胞がヒト細胞である、細胞。
  41. 脈管形成阻害量のHPRG、HPRGのH/Pドメイン、もしくは配列(His,Pro)−(His,Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有する該H/Pドメインのペンタペプチド、または該ペンタペプチドを含むペプチド多量体を、細胞、組織、または器官に提供する方法であって、該方法は、
    請求項34〜請求項36のいずれか1項に記載の発現ベクターを、該細胞、組織または器官に投与し、その結果、該細胞、組織または器官中に核酸が取り込まれ、そして、発現される工程、
    を包含する、方法。
  42. 前記投与する工程がインビボである、請求項41に記載の方法。
  43. 脈管形成阻害量のHPRG、HPRGのH/Pドメイン、配列(His,Pro)−(His,Pro)−Pro−His−Gly(配列番号7)を有する該H/Pドメインのペンタペプチド、または該ペンタペプチドを含むペプチド多量体を、細胞、組織、または器官に提供する方法であって、該方法は、
    該細胞、組織または器官と、請求項37〜請求項40のいずれか1項に記載の形質転換された細胞またはトランスフェクトされた細胞とを接触させる工程を包含し、ここで、前記投与された細胞が、該ポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体を発現する方法。
  44. 前記接触させる工程がインビボである、請求項43に記載の方法。
  45. 脈管形成阻害が必要な被験体中で、脈管形成を阻害する方法であって、該方法が、以下:
    該被験体に、有効量の請求項34〜請求項36のいずれか1項に記載の発現ベクターを投与し、その結果、核酸が発現され、脈管形成阻害量の前記ポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体の存在を生じる、工程を包含し、
    これによって、該脈管形成を阻害する方法。
  46. 脈管形成阻害が必要な被験体中で、脈管形成を阻害する方法であって、該方法は、以下:
    有効量の請求項37〜請求項40のいずれか1項に記載の形質転換された細胞またはトランスフェクトされた細胞を、該被験体に投与し、該細胞が、被験体中で脈管形成阻害量のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体を産生および提供する、工程を包含し、
    これによって、該脈管形成を阻害する、方法。
  47. 請求項45または請求項46に記載の方法であって、前記被験体が腫瘍を有し、そして、前記脈管形成阻害が、該腫瘍の大きさもしくは増殖速度の減少、または該腫瘍の破壊を生じる、方法。
  48. 前記被験体がヒトである、請求項45〜請求項47に記載の方法。
  49. HPRG結合分子、または該結合分子を発現する細胞に結合するか、またはこれらを単離するのに有用な親和性リガンドであって、該リガンドが、固体支持体またはキャリアに固定された、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリペプチド、ペプチドまたはペプチド多量体を含む、リガンド。
  50. 複合混合物から、HPRG結合分子を単離する方法であって、該方法が、以下:
    (a)該混合物と、請求項49に記載の親和性リガンドを接触させる工程;
    (b)該混合物中の任意の物質を、該リガンドに結合させる工程;
    (c)該リガンドから、非結合物質を除去する工程;および
    (d)結合したHPRG結合分子を溶出する工程、
    を包含する、方法。
  51. 細胞混合物から、HPRG結合部位またはレセプターを発現する細胞を単離するか、または濃縮する方法であって、該方法が、以下:
    (a)該細胞混合物と、請求項49に記載の親和性リガンドとを接触させる工程;
    (b)該結合部位またはレセプターを発現する任意の細胞を、該リガンドに結合させる工程;
    (c)非結合細胞から、化合物に結合した細胞を分離する工程;および
    (d)結合細胞を除去する工程を包含し、
    これによって、該HPRG結合部位を発現する細胞を単離または濃縮する、方法。
JP2002564950A 2001-02-14 2002-02-14 抗脈管形成剤および抗腫瘍剤としてのヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(hprg) Pending JP2005528879A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US26837001P 2001-02-14 2001-02-14
PCT/US2002/004336 WO2002064621A2 (en) 2001-02-14 2002-02-14 Histidine proline rich glycoprotein (hprg) as an anti-angiogenic and anti-tumor agent

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005528879A true JP2005528879A (ja) 2005-09-29

Family

ID=23022691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002564950A Pending JP2005528879A (ja) 2001-02-14 2002-02-14 抗脈管形成剤および抗腫瘍剤としてのヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(hprg)

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20030082740A1 (ja)
EP (1) EP1365804A4 (ja)
JP (1) JP2005528879A (ja)
CA (1) CA2438658A1 (ja)
WO (1) WO2002064621A2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004527242A (ja) 2001-02-05 2004-09-09 イノベンタス プロジェクト アクチボラゲット ヒスチジンリッチ糖タンパク質
SE0301988D0 (sv) 2003-07-07 2003-07-07 Innoventus Project Ab Active subfragment of an endogenous peptide
CN103189748A (zh) * 2010-04-01 2013-07-03 卡罗林斯卡学院创新有限公司 授精预测和促进

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5133866A (en) * 1988-03-24 1992-07-28 Terrapin Technologies, Inc. Method to identify analyte-bending ligands
DK0700521T3 (da) * 1993-05-28 2003-09-29 Baylor College Medicine Fremgangsmåde og massespektrometer til desorption og ionisering af analysander
US20010041670A1 (en) * 1999-12-06 2001-11-15 Ronit Simantov Thrombospondin-binding region of histidine-rich glycoprotein and method of use
AU2001227679A1 (en) * 2000-02-25 2001-09-03 General Atomics Mutant nucleic binding enzymes and use thereof in diagnostic, detection and purification methods
JP2004527242A (ja) * 2001-02-05 2004-09-09 イノベンタス プロジェクト アクチボラゲット ヒスチジンリッチ糖タンパク質

Also Published As

Publication number Publication date
EP1365804A2 (en) 2003-12-03
EP1365804A4 (en) 2004-09-08
WO2002064621A3 (en) 2003-05-30
CA2438658A1 (en) 2002-08-22
US20030082740A1 (en) 2003-05-01
WO2002064621A2 (en) 2002-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100336452B1 (ko) 앤지오스타틴및맥관형성억제를위한이의사용방법
JP3880593B2 (ja) アンジオスタチンおよび血管形成の抑制におけるその使用
JP3787157B2 (ja) アンジオスタチンフラグメント、アンジオスタチン凝集体および使用方法
JP2001506506A (ja) アンジオスタチンフラグメントおよび使用方法
JP2008535475A (ja) Q3sparc欠失変異体及びその使用
JP2685742B2 (ja) 組織型及びウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子インヒビター及びそれを使用する固相分析方法
JP2000106882A (ja) 癌転移増殖抑制作用を有する血漿蛋白断片産生酵素および当該酵素により断片化された血漿蛋白断片
US20020077289A1 (en) Angiostatin and endostatin binding proteins and methods of use
KR20140142733A (ko) Egfl7 표적화 및/또는 결합 폴리펩타이드, 그리고 신생혈관생성을 저해하는 방법
US20050124794A1 (en) Cell surface tropomyosin as a target of angiogenesis inhibition
WO2002014369A2 (en) Human kininogen d5 domain polypeptides and their use
JP2005528879A (ja) 抗脈管形成剤および抗腫瘍剤としてのヒスチジンプロリンリッチ糖タンパク質(hprg)
US20140342990A1 (en) Maspin-based treatment and prevention of cancer
ES2637244T3 (es) Método y composición para aumentar los efectos terapéuticos inducidos por radiación en tumores
US7119069B2 (en) Human kininogen D3 domain polypeptide as an anti-angiogenic and anti-tumor agent
KR20010052371A (ko) 세린 프로테아제를 이용한 내피 세포 증식 억제 및안기오게네시스 조절을 위한 조성물 및 방법
JP2002535372A (ja) プラスミノーゲンクリングル4領域フラグメントおよび利用法
AU2002247129A1 (en) Histidine proline rich glycoprotein (HPRG) as an anti-angiogenic and anti-tumor agent
BR112021003812A2 (pt) terapias peptídicas para o tratamento de câncer e usos das mesmas
KR19990008029A (ko) 안기오스타틴 단편과 안기오스타틴 응집체 및 이의 이용방법
JP2005287418A (ja) 細胞殺傷性と細胞死防御性とを併せもつペプチド
BR102013025838A2 (pt) Proteínas de fusão endo-bax e endo-bax-endo e suas sequências de aminoácidos
JP2003021632A (ja) ウロキナーゼレセプターに対する抗体とその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071204

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080424