JP2003021632A - ウロキナーゼレセプターに対する抗体とその用途 - Google Patents

ウロキナーゼレセプターに対する抗体とその用途

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JP2003021632A
JP2003021632A JP2002108441A JP2002108441A JP2003021632A JP 2003021632 A JP2003021632 A JP 2003021632A JP 2002108441 A JP2002108441 A JP 2002108441A JP 2002108441 A JP2002108441 A JP 2002108441A JP 2003021632 A JP2003021632 A JP 2003021632A
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ケル・ダネー
Ebbe Roenne
エベ・レネ
Niels Behrendt
ニルス・ベーレント
Vincent Ellis
ヴィンセント・エリス
Gunilla Hoeyer-Hansen
グニラ・ヘイア−ハンセン
Charles Pyke
チャールズ・パイク
Nils Brunner
ニルス・ブリュンナー
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Cancerforskningsfondet af 1989
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 u−PARの検定試薬の提供。 【解決手段】 u−PAR分子のC末端部を含んでお
り、そして、完全u−PAR分子の第88位アミノ酸残
基で始まるu−PAR分子の部分に結合する、モノ特異
性モノクローナル抗体を必須成分として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】発明の分野 本発明は、国際特許出願第PCT/DK90/0090
およびアメリカ特許出願第334613号および第37
4,854号に開示された発明の或る面における更なる
展開、特に特定のタイプの抗体、就中モノクローナル抗
体、ならびにそのような特定のタイプの抗体の用途、就中
u−PARを検出、定量したり、治療のために使用した
り、医療のスクリーニングに使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的背景 文献によると、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化
因子(u−PA)は、これまでに調査されたあらゆる種類
のほ乳類から見出されている。幾つかの発見は、u−P
Aが、他の蛋白質分解酵素をプラスミンと一緒に用いた
場合に誘発される、恐らくは細胞外マトリックスの分解
による組織分解および/または細胞移動に関係あること
を示している。この関係は、乳腺や前立腺の泌乳後退縮
および子宮における受精卵着床後の栄養芽層侵入の初期
においてほぼ充分に研究されてきた。組織分解および細
胞移動におけるu−PAの役割に関する仮説は、退縮し
ている乳腺の上皮細胞、乾せんでの組織分解を伴う領
域、精子形成中の精母細胞の放出との関連、および創傷
治癒中の上皮生長のケラチン生成細胞におけるu−PA
の免疫細胞化学的発見により可能となったより正確な位
置測定によりさらに支持されている(ダノ等(1988、
1990)、グロンダル-ハンセン等(1988)、アンド
レーセン等(1990)参照)。
【0003】また、u−PAが炎症の退化相においてあ
る役割を演じていることが考えられ、また、u−PAが
様々な細胞に対するリンパ球介在細胞毒性を妨害すると
いう報告も存在し、天然キラー細胞の細胞毒性作用にお
けるu−PAの直接的役割が提案されている。u−PAの
役割は、血管形成および上皮細胞移動、すなわち腫よう
増大における重要なプロセスにおいて提案されている。
【0004】u−PAは、新生物由来の多くの培養細胞
型により産生される。腫よう組織の外植体は、対応する
正常組織よりも多くのu−PAを放出することが見出さ
れた。u−PAは、ヒト肺、結腸、子宮内膜、胸部、前
立腺および腎臓癌腫、ヒト・メラノーマ、ネズミ乳癌、
ネズミ・ルイス肺腫ようからの抽出物およびヒト腹膜癌
腫症からの腹水において同定された。マウスにおいて侵
襲的に増大および転移しているルイス腹癌腫に関する免
疫組織化学試験は、u−PAの存在を一貫して示した
が、また、個々の腫ようの異なる部分におけるu−PA
の含有量の顕著な不均一性をも示した。高いu−PA含
有量は周囲の正常組織の侵襲的増大および分解を伴う領
域で見出されたが、他の領域は検出可能なu−PAを欠
いていた。u−PAは、腫よう細胞の細胞質および正常
細胞の周囲に細胞外的に局在していた。
【0005】周囲正常組織の分解は、悪性腫ようの侵襲
性の中心的特徴である。悪性腫ようにおけるu−PAの
定常的発見およびu−PAが正常な生理学的事象におけ
る組織分解である役割を演じていることを示す発見によ
り、u−PAは癌発生においても似た役割を演じている
ことが仮定される。u−PAが組織破壊においてある役
割を演じているという仮説は、プラスミンが他の蛋白質
分解酵素と一緒になって細胞外マトリックスを分解する
という仮定を含む。この状況では、細胞外マトリックス
の大部分の成分がプラスミンにより分解され得ることに
注目すべきである。これらには、ラミニン、フィブロネ
クチン、プロテオグリカン、および全部ではないが、恐
らくは幾つかのタイプのコラーゲンが含まれる。さら
に、バエスおよび共同研究者により最初に報告された通
り、プラスミンは、一方で他のタイプのコラーゲンを分
解し得る潜在コラゲナーゼを活性化し得る(ダノ等、(1
988、1990)参照)。
【0006】処置失敗群における癌患者の大多数は、転
移の直接作用または転移の処置に伴う合併症で死亡す
る。従って、多くの研究は、診断的または治療的ストラ
テジーに関する基礎であり得る特異的な生化学的因子の
同定に集中してきた。細胞外マトリックスは、糖蛋白
質、例えばフィブロネクチンおよびラミニン、コラーゲ
ンおよびプロテオグリカンにより構成される。細胞外マ
トリックスは、組織治癒および改造、炎症および新生組
織形成中のみ細胞の動きに対して集中的に透過性にな
る。リオッタ(1986)は三段階仮説を提案した。第一
段階は、細胞表面レセプターによる腫よう細胞の結合で
ある。次に、固定された腫よう細胞は、マトリックスを
局所的に分解し得る(結合成分の分解を含む)加水分解酵
素を分泌する(または宿主細胞を誘導して酵素を分泌さ
せる)。マトリックス溶解は、ほぼ確実に腫よう細胞表
面に近い高局在領域で行なわれると思われる。第三段階
は、蛋白質分解により修飾されたマトリックス領域への
腫よう細胞の移動である。すなわち、マトリックスの侵
襲性は、受動的生長圧に起因するだけでなく、能動的生
化学機構を必要とする。
【0007】多くの研究グループは、侵襲性腫よう細胞
がマトリックス分解性プロテイナーゼを分泌することを
提案した。セリンプロテアーゼおよびチオールプロテア
ーゼを含むプロテアーゼのカスケードは全て、腫よう侵
襲の容易化の一因となっている。重大なカスケードの一
つは、プラスミノーゲン活性化システムである。蛋白質
分解の調節は、腫よう細胞−宿主細胞相互作用および宿
主または腫よう細胞そのものにより産生されるプロテア
ーゼ阻害物質を含め、多くのレベルで行なわれ得る。マ
トリックス分解酵素の発現は、腫よう細胞特異的ではな
い。活動的侵襲性腫よう細胞は、単にそれらの非侵襲性
対照細胞と比べて異なる調節シグナルに応答し得る(リ
オッタ、1986)。
【0008】プラスミノーゲン活性化システムが、細胞
外マトリックス蛋白質の分解を通して、悪性腫ようの増
大中に正常組織の侵襲および破壊においてある役割を演
じているという仮定は、様々な発見により支持されてい
る。これらの発見には、発癌性ウイルスによる細胞の形
質転換およびu−PAの合成間の密接な関係、u−PAが
多くの非悪性状態における組織破壊に関与するという発
見、および腫ようの侵襲領域におけるu−PAの免疫組
織化学的位置測定が含まれる(概説としてダノ等(198
5)、サクセラ(1985)参照)。
【0009】この仮説を支持する別の発見は、侵襲およ
び転移のモデルシステムにおけるu−PAに対する抗触
媒的抗体による試験から生まれている。上記抗体は、チ
キン胚芽のしょう尿膜へ移植されたヒトu−PA産生腫
よう、HEp−3から肺への転移(オッソブスキーおよび
ライヒ、1983、オッソブスキー、1988)、B1
6メラノーマ細胞による羊膜の浸透(ミグナッティ等、
1986)、新生物に由来する幾つかのヒトおよびネズ
ミセルラインによる基底膜侵襲(ライヒ等、1988)お
よびマウスにおけるB16メラノーマ細胞の静脈内注射
後の肺転移の形成(ヒアリング等、1988)を減少させ
ることが見出された。これらの試験の中には(ミグナッ
ティ等、1986、ライヒ等、1988)、プロコラゲ
ナーゼのプラスミン触媒による活性化(トリグベーソン
等(1987)参照)は、プラスミノーゲン活性化作用の
重大な部分であると思われるものがあった。
【0010】細胞外プロセスにおける蛋白質分解カスケ
ード・システムの調節に関する必要条件は、その開始お
よび進行の正確な位置測定である。例えば、補体および
凝結システムでは、様々な成分に対する細胞レセプター
が公知であり、それらは反応連鎖を促進または終結させ
る反応の位置測定に役立っている(ミューラー-エーベル
ハルト、1988、マン等、1988)。プラスミノー
ゲン活性化システムでは、組織型プラスミノーゲン活性
化因子(t−PA)により触媒されたプラスミノーゲン活
性化の位置決定におけるフィブリンの役割がよく知られ
ている(トールセン等、1972、ホイラーツ等、19
82)。
【0011】免疫細胞化学試験は、腫ようの侵襲性領域
では、u−PAが腫よう細胞の膜に位置することを示唆
しており(スクリバー等、1984)、最近の発見は、細
胞表面において、u−PAが一般的に特異的レセプター
に結合していること、およびこの局在性は、時間および
空間の点でu−PA触媒プラスミノーゲン活性化の調節
に重大であり得ることを示している(ブラシ等(198
7)、ダノー等(1990)参照)。予備報告は、t−PA
もまた、細胞表面レセプターに結合し、その酵素活性を
保持し得ることを示唆している(ベーベ、1987、バ
ルナーサン等、1988、ハジャーおよびナハマン、1
988、クィパー等、1988)。しかしながら、この
現象は、結合部位の性質に関するさらに明確な説明を要
する。
【0012】u−PAに対する表面レセプター u−PAに対する細胞レセプター(u−PAR)は、最初、
血液単核白血球および単核白血球様U937セルライン
において同定され(バッサーリ等、1985)、その存在
は、幾つかの型の悪性細胞(ストッペーリ等、198
5、バッサーリ等、1985、プロー等、1986、ボ
イド等、1988a、ニールセン等、1988)、ヒト線
維芽細胞(バジパイおよびベーカー、1985)を含む様
々な培養細胞およびヒト胸部癌腫組織(ニードハム等、
1987)において立証されている。レセプターは、活
性54kD u−PA、その一ポリペプチド鎖プロ酵素、
プロ−u−PA(下記参照)および活性部位試薬DFPに
より阻害された54kD u−PAに結合するが、活性u−
PAの低分子量(33kD)形態の結合性は全く示さない
(バッサーリ等、1985、クベリス等、1986)。す
なわち、レセプターへの結合はu−PAの触媒部位を必
要とせず、これらの発見に従って、u−PAの結合決定
基は、一次構造が触媒部位とは大きく異なる領域である
酵素のアミノ末端部分において同定された。レセプター
結合ドメインは、u−PA分子の15kDアミノ末端フラ
グメント(ATF、残基1−135)、より正確には、表
皮成長因子(EGF)レセプターへの結合に関与するEG
Fの部分と相同性を示す領域であるため成長因子領域と
呼ばれるシステイン濃厚域内に位置する。結合に非常に
重要であると思われるアミノ酸残基は、配列12−32
内に位置する(アッペラ等、1987)。非常に低濃度
(100ナノモル)の結合を阻害する合成ペプチドが構築
された。ネズミおよびヒトペプチド間の交差反応性の欠
如は、u−PAおよびu−PAR間の結合が強度に種特異
的であることを示す。
【0013】u−PARへのu−PAの結合は、t−PA
およびプラスミノーゲンを含むu−PAに構造上関連し
た幾つかの蛋白質について試験されたにせよ(ストッペ
ーリ等、1985、バッサーリ等、1985、ニールセ
ン等、1988)、レセプターへの結合についてきっ抗
する他の蛋白質がまだ全く見出されていないという意味
では特異的である。レセプター結合ドメインのみを含む
u−PAのフラグメント、例えばATFは、u−PAと結
合し得る他の分子(プロテアーゼ・ネキシンおよびプラ
スミノーゲン活性化因子阻害物質PAI−1およびPA
I−2)が触媒活性領域を認識するため、レセプターへ
の結合特異性を確実にする(ストッペーリ等、198
5、ニールセン等、1988)。PAI−1は、u−PA
とは共有結合複合体を形成し得るが、プロ−u−PAと
は形成し得ない(アンドレアーゼン等、1986)。
【0014】報告されたレセプターの数は、正常単核白
血球では1細胞当たり数千個の分子(マイルズおよびプ
ロー、1987)からある種の結腸癌腫セルラインでは
3×10(ボイド等、1988a)といった範囲で、試
験された細胞型間で強度に変動し、また、結合親和力に
ついては0.1−10ナノモルの範囲で見かけ上ある程
度の変動が生じる(概説については、ブラシ(198
8)、ダノー等(1990)参照)。さらに、ある種のセル
ラインでは、レセプター数は、様々な薬剤、例えばU9
37細胞ではホルボール・ミリステート・アセテート
(PMA)(ストッペーリ等、1985、ニールセン等、
1988)、A431細胞(ブラシ等、1986)および
ヒーラ細胞(エストレイヒェル等、1989)では表皮成
長因子並びに結腸癌腫細胞ではジメチルホルムアミド
(ボイド等、1988b)を加えることにより調節され得
る。第一に述べたケースでは、リガンドに対する親和力
が大きく減少すると同時にレセプター数が増加する(ニ
ールセン等、1988、ピコン等、1989)。
【0015】ヒトu−PAレセプターは最近、精製、特
性化され(ベーレント等、1990)、その全長cDNA
はクローン化された(ロダン等、1990)。u−PAR
は55〜60KDのグリコプロテインであり、その分子
量はジスルフィド結合の開裂後も変化が認められないの
で、一本鎖ポリペプチドから成るものと推定される。同
定された異なった電気泳動的運動性をもった若干の変種
は、グリコシル化の変種と思われる。全長ヒトu−PA
RcDNAは、1363bpの長さを持ち、そのヌクレ
オチド配列を313残基長のu−PAR分子の推定アミ
ノ酸配列と共に以下に示す。シグナルペプチドにはアン
ダーラインを、精製タンパクについて決定された配列で
ある最初の30アミノ酸にはオーバーラインを付してあ
る。スター印は潜在的N−結合グリコシル化部位を示
す。
【0016】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0017】u−PARに対するポリクローナル抗体の
製法は、国際特許出願第PCT/DK90/00090
号に記載されているが、レセプターに対する特別のモノ
クローナル抗体は、ここに記載する。
【0018】u−PAに対するプロ酵素(プロ−u−PA) 幾つかの試験結果は、u−PAが、プラスミノーゲン活
性化能力をほとんどまたは全くもたない1本鎖プロ酵素
として多くの型の培養細胞から放出されることを示して
いる(ニールセン等、1982、スクリバー等、198
2、イートン、1984、カサイ等、1985、パネル
およびギュアウィッチ、1987)。触媒量のプラスミ
ンによる制限された蛋白質分解により、このプロ酵素
は、その活性2本鎖対応物質に変換され得る。また、1
本鎖u−PAのプロ酵素の性質は、それが本質的に合成
基質によるアミド分解活性をもたず(ウン等、198
2、イートン等、1984、リジネン等、1986、ス
タンプ等、1986a、1986b、ネレス等、198
7、パネルおよびギュアウィッチ、1987)、それが
巨大分子阻害物質(イートン等、1984、バッサーリ
等、1985、アンドレアセン等、1986、ステフェ
ンズ等、1987)および合成阻害物質(ニールセン等、
1982、スクリバー等、1982、ウン等、198
2、ギュアウィッチ等、1984、カサイ等、198
5)との反応性をほとんどまたは全くもたないという発
見において反映されている。
【0019】本質的不活性プロ酵素としての1本鎖u−
PAのこの概念は、数名の他の研究者(コレン等、19
86、リジネン等、1986、スタンプ等、1986
a、1986b)が到達した解釈とは対立する。彼等は、
幾つかの供給源から得られた1本鎖u−PAがかなりの
プラスミノーゲン活性化能力を有し、組換え1本鎖u−
PAが2本鎖u−PAの場合よりも一層高い活性を有す
るという結論に達した。これらの試験を行うため、生成
されたプラスミンの活性を色素原基質により測定する結
合プラスミノーゲン活性化検定を使用した。プロ−u−
PAに関する上記検定は、自己活性的であり、少量の汚
染性または生成された2本鎖u−PAまたはプラスミン
により強く影響される。従って、他の場所で詳細に検討
されている通り(ペーターセン等、1988)、これらの
試験で見出される1本鎖u−PAの高い活性は見かけ上
のものであり、1本鎖u−PAの固有の活性によるもの
ではなかったといえる。部位突然変異によりプラスミン
開裂に対する部分的耐性が加えられた組換え1本鎖u−
PAの変異体に関する報告は、この解釈と一致する。1
本鎖u−PAのこの変異体は、結合検定において2本鎖u
−PAの場合よりも200倍低い活性を有していた(ネ
レス等、1987)。
【0020】プロ−u−PAに関する検定において自己
活性化を阻止する方法を含む最近の動力学試験は、プロ
−u−PAの低い固有活性を確認した(エリス等、198
7、ペーターセン等、1988、ウラノ等、198
8)。HT−1080線維肉腫細胞から得られたプロ−u
−PAの高度精製製品による一試験では、プロ−u−P
Aが、2本鎖u−PAの250倍低濃度の場合より低い
プラスミノーゲン活性化能力を有することが示された。
この低い活性が固有のものであるのか、汚染によるもの
であるのかを決定することは出来なかった(ペーターセ
ン等、1988)。
【0021】インタクトな生物では、プロ−u−PA
は、細胞内貯蔵におけるu−PAの主形態であり、ま
た、それは、細胞外流体中でu−PAのかなり大きなフ
ラクションを構成する(スクリバー等、1984、キー
ルベルグ等、1985)。従って、プロ−u−PAの細胞
外活性化は、プラスミノーゲン活性化のu−PA経路の
生理学的調節における非常に重要な段階であり得る。プ
ロ−u−PAのプラスミン触媒による活性化によって、
少量のプロ−u−PAの活性化作用を加速および増幅す
る積極的なフィードバック機構が提供される。しかしな
がら、生理学的条件下におけるプラスミノーゲン活性化
のu−PA経路の開始は、この明細書に記載されている
通りプロ−u−PAを活性化するトリガー因子を必要と
する。リジン158が別のアミノ酸(例、GluまたはGl
y)へ改変されたヒト1本鎖プロ−u−PAの突然変異体
は、全くまたは低い程度にしか活性2本鎖u−PAに変
換されない(ネレス等、1987)。
【0022】焦点接触部位におけるu−PA HT−1080線維肉腫細胞およびヒト線維芽細胞の表
面において、u−PAは、不均一に分布し、明らかに細
胞-細胞接触部位および細胞および培養基盤間の最も近
接した部位である焦点接触部位に位置していることが見
出された(ポーラーネン等、1987、1988、ヘブ
ールおよびベーカー、1988)。u−PAは、他の2タ
イプの細胞-培養基盤接触部位、すなわち近接接触部位
およびフィブロネクサスからは検出されなかったことか
ら、焦点接触部位における固有成分といえる(ポーラー
ネン等、1988)。焦点接触部位のu−PAはレセプタ
ー結合している(ヘブールおよびベーカー、1988)。
焦点接触部位は、いわゆるストレス線維またはアクチン
・ケーブルである、アクチン含有マイクロフィラメント
管束の末端に位置する(ブリッジ、1986)。これらの
部位は、幾つかの構造成分(アクチン、タリン)および調
節因子(チロシンキナーゼ原始腫よう遺伝子生成物P6
src、P120gag−abl、P90
gag−yes、P80 gag−yes)を含み、それ
らは全て細胞質側に位置する(ブリッジ(1986)参
照)。
【0023】細胞表面上のプラスミノーゲン結合部位 プラスミノーゲンおよびプラスミンは、血小板、内皮細
胞および新生物に由来する幾つかの細胞型を含め、多く
の型の培養細胞に結合する(マイルズおよびプロー、1
985、ハジャー等、1986、プロー等、1986、
マイルズおよびプロー1987、バーチンおよびフォン
ダネチェ、1988)。結合は、プラスミノーゲンに対
するかなり低い親和力(K1μM)で飽和可能である。
少なくとも細胞タイプによっては、プラスミンの結合は
プラスミノーゲンと同じ部位を利用すると思われるが、
プラスミンに関する結合パラメーターは、プラスミノー
ゲンおよびプラスミンに関する複数タイプの結合部位が
存在し得ることを示している。すなわち、プラスミンお
よびプラスミノーゲンがほぼ等しい親和力で結合する細
胞タイプもあれば(プロー等、1986)、明らかにプラ
スミンがプラスミノーゲンよりも高い親和力(K50
ナノモル)で結合する細胞タイプもある(バーチンおよび
フォンダネチェ、1988)。この結合は、低量のリジ
ンおよびリジン類縁体により阻止され、プラスミノーゲ
ンおよびプラスミンの重鎖のクリングル構造を含むと思
われる(マイルズ等、1988)。
【0024】結合能力は細胞タイプ間で変動し、多くの
細胞タイプでは非常に高い(1細胞当たり10−10
結合部位)。結合部位の化学的性質は知られていな
い。膜蛋白質GPIIb/IIIaは、血小板へのプラスミノ
ーゲンの結合に関与すると思われ(マイルズ等、198
6)、特にトロンビン刺激血小板では、フィブリンもプ
ラスミノーゲン結合に関与し得る(マイルズ等、198
6)。その精製形態において、血小板蛋白質トロンボス
ポンディンは、プラスミノーゲンと複合体を形成する
(K35ナノモル)(シルバースタイン等、1984)。
また、固定化ラミニン(サロネン等、1984)およびフ
ィブロネクチン(サロネン等、1985)もプラスミノー
ゲンと結合する(それぞれK3ナノモルおよび90ナ
ノモル)。
【0025】表面プラスミノーゲン活性化 u−PAおよびプラスミノーゲンの両方に結合する細胞
タイプもある(プロー等、1986、マイルズおよびプ
ロー、1987、バーチンおよびフォンダネチェ、19
88、エリス等、1988)。レセプター結合プロ−u−
PAは、プラスミンにより活性化され得(クベリス等、
1986)、少なくとも部分的に、レセプター結合2本
鎖u−PAはプラスミノーゲン活性化能力を保持してい
る(バッサーリ等、1985)。
【0026】両分子に対する結合部位をもつ細胞へu−
PAおよびプラスミノーゲンを加えると、細胞結合プラ
スミンが発生する(プロー等、1986、バーチンおよ
びフォンダネチェ、1988)。これらの試験によっ
て、溶液中で行なわれる活性化プロセス間または表面結
合反応体間の厳密な区別はできなかった。
【0027】u−PAおよびプラスミノーゲンの結合部
位間の相互作用は、2つのセルラインにおけるu−PA
結合がプラスミノーゲンに対する高い結合能力を誘導す
るという発見により示唆されている。これらの試験にお
けるプラスミノーゲンの結合は、u−PAに関する結合
能力に全く影響を与えなかった(プロー等、1986)。
また、2つの試験で立証されたプラスミノーゲン結合部
位は見たところ同一ではないが(上記参照)、プラスミノ
ーゲンにより誘発されるu−PA結合性の向上が、新生
物由来のセルラインにおいてバーチンおよびフォンダネ
チェ(1988)により見出された。
【0028】最近、オッソブスキー(1988)は、表面
u−PAレセプターを有するが、u−PAを産生しないヒ
ト腫よう細胞の(インビボ検定における修飾ひな胚しょ
う尿膜への)侵入能力が、外因性u−PAでそれらのレセ
プターを飽和させることにより増強され得るという発見
を発表した。しかしながら、この発見は(著者の意見で
は)暗示的なものにすぎず、それはレセプター自体への
結合が必要であることを立証してはいない。
【0029】エリス等(1989)は、プラスミノーゲン
活性化を誘導する反応が、u−PAおよびプラスミノー
ゲンをU937細胞へ加えた場合に行なわれ得ること、
および、それらの反応が、プラスミノーゲンおよびプロ
−u−PAの両方を表面に結合させた場合にさらに有効
に行なわれることを示す証拠を発表した。この実験は、
血清の非存在下、すなわちエリス等が使用した製品によ
るプラスミノーゲン活性化が同じく溶液中で行なわれる
(エリス等、1987)条件下で行なわれた。これらの試
験は、u−PAがレセプター結合していない場合に、関
与するプロセス(例、2本鎖u−PAにより触媒されるプ
ラスミノーゲン活性化)の一つまたはそれ以上が実際に
行なわれる可能性を排除するものではない。ステフアン
等(1989)は血清の存在下で培養されたHT108
0線維肉腫細胞の表面におけるプラスミン形成が、当該
細胞によって生産されるu−PAが表面のu−PARに結
合する場合のみに起こることを証明した。特に興味を惹
くのは、外的に加えられたDFP−不活性u−PAが内
因性レセプター結合u−PAと置換することが出来、そ
れによってプラスミノーゲン活性化を阻止する事実の発
見であり、これは本研究の治療的応用のための前提要件
である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】発明の要約 本発明は、u−PAレセプターに対するモノクローナル
抗体とポリクローナル抗体に関する、インタクトな生物
において細胞外的に存在する場合と類似した条件下(す
なわち、プラスミン阻害物質およびプラスミノーゲン活
性化因子を含む血清の存在下)、内在性u−PAにより開
始されるプラスミノーゲン活性化は事実上u−PAがレ
セプター結合している場合にのみ行なわれる。この発見
に基づいて、新規で、潜在的に非常に貴重な治療および
診断方法および生成物が、これらの抗体により提供され
る。
【0031】
【課題を解決するための手段】u−PAがそのレセプタ
ーへ結合すると、プロ−u−PAとu−PAは細胞表面に
位置するだけでなく、少なくともある種の細胞タイプに
おいてはそれらを細胞-細胞および細胞-基質接触部位で
ある表面の異なった部分へ集中させる。焦点接触部位に
おけるプロ−u−PAとu−PAの存在は、u−PA触媒
プラスミノーゲン活性化が、例えば細胞移動中における
接触部位の分解に含まれていることを示す。これらの部
位におけるプロ−u−PAの選択的活性化は、指向性細
胞周囲蛋白質分解を達成する手段を提供する。プロ−u
−PA活性化は、細胞内で開始され、u−PAレセプタ
ーを通って経膜的シグナルにより伝達され得る。
【0032】ヒト腫よう細胞は、ごく一般的にウロキナ
ーゼ型のプラスミノーゲン活性化因子(u−PA)を分泌
することが見出されている。この意味によると、それら
は、血清および他の体液中高濃度のプラスミノーゲンに
おいて利用可能な蛋白質分解能を増強させることができ
る。腫よう細胞の侵襲特性は、少なくとも部分的にはプ
ラスミンの広スペクトルの活性により伝達され、他の潜
在プロテアーゼ、例えばコラゲナーゼの活性化における
間接的作用を含むそれらの蛋白質分解能に左右され得
る。腫よう細胞によりプロテアーゼ活性が発現される
と、基底膜、毛管壁および間質結合組織への貫通が容易
になることにより、他の部位へ拡散し、転移が確立され
る。
【0033】細胞移動に連動した細胞周囲蛋白質分解の
段階的経路は予見され得る。細胞表面へのu−PAおよ
びプラスミノーゲンの結合により、細胞外蛋白質分解お
よび細胞-細胞および細胞-培養基盤結合の局所切断が誘
導される。従って、細胞のこの領域は自由に移動し、こ
れはPAI-1が存在する領域へu−PAを転移させる。
PAI−1はu−PAを不活化し、局所蛋白質分解活性
の非存在下、細胞はマトリックスと新たな結合を形成す
る。これは、さらに移動するのに要求されるプロセスで
ある。
【0034】u−PAおよびu−PARの相互作用につい
てさらに特性確認するため、u−PARの精製が必要で
あった。単核白血球様細胞U937により産生されるu
−PARの数は、ホルボールエステル、例えばPMAに
より数倍に増加し得る。この事実を用いて、充分な量の
精製用レセプターを製造した。実施例1では、細胞から
のデタージェント抽出物の温度誘導相分離および固定D
FP不活化u−PAによるアフィニティー・クロマトグ
ラフィーを含め、u−PAレセプターの完全な精製方法
が記載されている。この結果、負荷がレセプター約1μ
gである、SDS−PAGEおよび銀染色後に約55−
60kDで一つのバンドを示す製品が得られた。
【0035】精製蛋白質は化学的にu−PAと交差結合
し得る。そのアミノ酸組成およびN−末端配列が決定さ
れた(30残基、それらのうちある程度不確かなものも
ある)。それは重度にN−グリコシル化されていること
が見出され、脱グリコシル化の結果、約30−35kD
の見かけ上の分子量を有する蛋白質が生じた。異なるセ
ルラインおよびPMA−刺激および非刺激U937細胞
由来のu−PARの見かけ上の分子量は幾分変化した。
この不均一性は脱グリコシル化後に消失したため、様々
な供給源から得られたu−PARのグリコシル化におけ
る差異によるものであった。
【0036】
【発明の実施の形態】同じレセプターの幾つかの変異体
の存在は、ほ乳類細胞ではむしろ一般的であると思われ
る。実施例1で立証されたu−PAR分子の変調は、細
胞移動および侵襲性の中心にあるプロセスである、細胞
外蛋白質分解の調節、すなわち細胞外マトリックスおよ
び基底膜成分の分解における重要な特徴を表し得る。相
異なる細胞タイプが、u−PARの蛋白質部分が異なる
方法でグリコシル化されている相異なる種類のレセプタ
ーを有する場合、局在した蛋白質分解活性の阻害に必要
とされる細胞タイプを区別することが可能であり、それ
は、癌細胞が、正常細胞のu−PARのグリコシル化と
はかなり異なる方法でグリコシル化されたu−PARを
産生するときに特に貴重であり、例えばu−PAR抗体
により区別され得る。
【0037】実施例2では、u−PARのリガンド結合
ドメインの単離が同定および特性検定された。これは、
リガンド結合を阻止し得るペプチドに関する潜在的に治
療上貴重な情報を提供する。
【0038】推定アミノ酸配列は、u−PARが、28
2残基長親水性N末端部分(恐らくは細胞外)、次いで2
1個のかなり疎水性のアミノ酸(恐らくは経膜的ドメイ
ン)を伴う313残基長蛋白質として生成されることを
示した。潜在的細胞外部分は、特にシステインのパター
ンに関して著しい相同性を有する3反復単位で組織され
る。これは、異なるリガンドに結合し得る別個のドメイ
ンの存在を示し得る。
【0039】精製u−PARについての研究により、u−
PARが少なくとも場合によっては、末端プロセッシン
グされ、糖脂質アンカーにより細胞表面に固定されるこ
と、および表面位置は、ホスホリピダーゼAおよびD
によってではなく、ホスホリピダーゼPI−PLCによ
り調節され得ることが認識され得た(実施例3)。さら
に、処置されなかった細胞からの採取流体もまたある程
度遊離u−PARを含むことが見出され、このことは、
内在性ホスホリピダーゼにより仲介され得る細胞からの
放出を示した。これは生理学的機構であり得、例えば血
清中における遊離レセプターの測定結果が何等かの病的
プロセスの診断上貴重な指標であり得る可能性がある。
【0040】実施例4には、u−PARに対するポリク
ローナルマウスとウサギ抗体の産生およびレセプターに
対する4つのモノクローナルマウス抗体の産生が記載さ
れている。
【0041】ポリクローナル抗体は、125I−標識精
製u−PARを、1:7,500に希釈した抗血清により達成
される有意沈殿により、用量依存的に沈殿させた。逆相
ラジオイムノアッセイにおいて、抗血清は放射標識u−
PARを免疫補足することが見いだされ、ELISAに
おいて固定化u−PARは1ngの量において1:8,000に
希釈された免疫血清で検出された。ウエスターンブロッ
ティングにより、抗体は精製u−PARと、PMA処理
U937細胞の抽出物の粗洗剤相中のu−PARを検出
した。後者の場合において、u−PARとは異なる電気
泳動移動性を持った蛋白質との反応は検出されず、抗体
の特異性が高いことを示した。u−PARに対するポリ
クローナル抗体は特異的にリガンド結合を妨げるのに使
用することができる。さらに、ポリクローナルu−PA
R抗体はu−PA触媒細胞表面プラスミノーゲン活性化
を阻止することが認められる。
【0042】モノクローナル抗体は、固定化精製u−P
ARによるスクリーニングELISA、ホスホリパーゼ
可溶化u−PARによるウエスターンブロッティング試
験、元の細胞に対する125I−ATF(u−PAのア
ミノ末端断片)の結合の阻止およびu−PARmRNA
に対して陽性の組織部分における細胞を染色する能力を
含む各種の方法によって選択された。安定してELIS
A陽性を示すハイブリドーマ培養株24株のうち4株を
クローニングのために選択した。4株の各々から誘導し
た1つのクローン化ハイブリドーマ培養株を選択し、以
後の研究に使用した。
【0043】これら4つのハイブリドーマからの精製モ
ノクローナル抗体を、元の精製u−PARおよびキモト
リプシンにより分解したu−PARを免疫沈殿させてM
r16kDu−PA結合ドメインおよびMr35−45
kDnon-u−PA結合断片を産生する能力によって特徴
づけた。また、細胞抽出物中におけるu−PARとその
グリコシル化変種を染色する能力はウエスターンブロッ
ティング試験によって評価された。
【0044】これらの研究により、前記4つの抗体はu
−PAR中の4つの異なったエピトープを認識するもの
と結論された。1つ(3Rと称する)はu−PARのu−
PA結合ドメイン中のエピトープに対するものであり、
他の3つ(1R、2R、4Rと称する)はu−PARのn
on-結合部に対するものである。
【0045】抗体は二重抗体サンドイッチ型ELISA
S、たとえばモノクローナル抗体のうちの1種(4R)
を捕捉抗体として使用し、ビオチン化されている他の1
種の抗体(2R)を検出抗体として使用するELISA
におけるu−PARを定量するのに使用できることが証
明された。他の例においては、u−PARに対するポリ
クローナルウサギ抗体が捕捉抗体として用いられ、ビオ
チン化モノクローナル抗体(2R)が検出抗体として用
いられた。
【0046】さらに、抗体はu−PA/u−PAR相互反
応、細胞表面プラスミン発生およびヌードマウスのサブ
ストレイン中へ接触されたヒト癌細胞の侵襲と移転を阻
止する物質を同定するための医薬スクリーニング計画に
おいて使用できることが証明された。
【0047】本発明の抗体は商業的に入手し得る試薬と
共に以下の選択的定量の手段を提供するものである: 1)u−PAR(それがu−PAとコンプレックス化して
いると否とを問わず) 2)u−PARとu−PAのコンプレックス 3)u−PAとコンプレックス化していないu−PAR
(遊離u−PAR) 4)u−PARのグリコシル化変種
【0048】それぞれu−PAR中のu−PA結合ドメイ
ンとu−PARのnon-u−PA結合部に対して特異的なモ
ノクローナル抗体の製造法を以下に記載する;このよう
な抗体はその異なった状態においてu−PARを定量す
るのに有用である。
【0049】実施例7においてはモノクローナル抗体の
1つ(3R)が細胞表面プラスミノーゲン活性化を強く
阻止するが、この活性化は他の3つの抗体によっては影
響を受けないかまたは影響を受けても僅かである。モノ
クローナル抗体3RはまたU937細胞表面における放
射標識DFP処理u−PAの結合を効果的に阻止する一
方、2Rや4Rによっては阻止が認められず、1Rでは
僅かな阻止が認められるに止まった。さらに、マウスI
gGに対するFITC標識抗体を使用するフローサイト
メトリーによる抗体3R、4Rはヒト単球に効果的に結
合することが見いだされた。4R抗体の結合は単球のu
−PAによる前処理によって影響されないが、3R抗体
の結合はu−PAによる前処理によって完全に阻止され
る。
【0050】実施例8においては、免疫組織化学的研究
においてモノクローナル抗体の2つ(2Rと4R)は細
胞の同じサブポピュレーションを染色するものであっ
て、このサブポピュレーションはハイブリダイゼーショ
ンによって証明されるように、u−PARに対するmR
NAを含むことによって特性化される。
【0051】先の発見に基づいて、u−PAのレセプタ
ー結合の阻止は、局在した蛋白質分解活性の治療的阻止
に関したその生理学的機能の幾つか、例えば癌細胞の侵
襲性および転移、炎症性腸疾患、前癌状態の結腸腺腫、
敗血性関節炎、骨関節炎、リューマチ様関節炎(過剰u−
PA生産の直接関与が立証されている)、オステオポロ
ーシス、コレステリン腫よう並びに過剰のプラスミノー
ゲン活性化が病因であることが示された若干の皮膚およ
び角膜疾患、例えば角膜潰よう、角膜炎、表皮水ほう
症、乾せんおよび天ぼうそうを阻害する手段であると結
論された。u−PAレセプターは幾つかの血液細胞(好
中性顆粒球および単球)や内皮細胞に存在するため、そ
れらの調節はまた、生理学的、病理学的および薬理学的
状態における血管内線維溶解活性に重要な影響を与え得
る。上述の疾患は、細胞表面プラスミノーゲン活性化を
遮断または低減化する物質の投与に基づく治療にとって
第一の明確な標的となる。受精卵の着床におけるu−P
Aの役割故に、レセプター結合を阻害する手段から避妊
効果が期待される。治療および予防は、例えば下記で説
明されている、レセプター結合プラスミノーゲン活性化
因子活性を遮断または低減化する薬剤による全身的また
は局所的処置を含む。
【0052】ほ乳類、特にヒトにおける局在した蛋白質
分解活性の阻止または打ち消し方法であって、ほ乳類に
おいてu−PAレセプター(u−PAR)へのu−PAの結
合を妨害し、それによってu−PAによるプラスミノー
ゲンからプラスミンへの変化を阻止することによるプラ
スミノーゲンからプラスミンへの活性化を阻止する方
法。
【0053】請求の範囲を含む本明細書において、「局
在した蛋白質分解活性」という語は、実質的に体内のあ
らゆる場所で作用する全体的蛋白質分解活性とは反対
に、人体の一つまたは幾つかの別個の領域または別個の
細胞に位置する蛋白質分解活性を指すものとする。局在
した蛋白質分解活性は、ほ乳類、特にヒトでは広範に、
または局所的に阻害され得る。「阻止または打ち消す」と
いう語は、u−PARへのu−PAの結合が完全に阻止さ
れている状況、または結合が充分に阻害されていること
によりプラスミノーゲン活性化因子の望ましくない作用
が阻止される状況を指すものとする。
【0054】「u−PAR」という語の使用は、ある種類
におけるu−PARのポリペプチド部分が全u−PARに
ついて同じであり得ても、例えばu−PARの炭水化物
部分または表面結合機構が異なり得るため、複数のu−
PARが存在することを示す。非病的細胞のu−PAR
sへのu−PAの結合に影響を及ぼすことなく癌細胞に
存在するu−PARへのu−PAの結合を遮断する(例え
ば癌細胞上のレセプター変種に対して特異的モノクロー
ナル抗体を使用することによる)か、またはu−PAR
を発現する癌細胞を特異的に殺す(例えば癌細胞上のレ
セプター変種に特異的なモノクローナル抗体に結合した
毒性物質の投与による)ことは可能であり得るため、あ
る種の細胞、例えば癌細胞が、重要な治療的意義を有し
得る実質的に異なるu−PARを有することさえ同様に
あり得る。
【0055】酵素ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性
化因子(u−PA)は、唯一の充分に規定された巨大分子
基質、すなわちプラスミノーゲンを有する。Arg560
での開裂により、プラスミノーゲンは、広スペクトルの
プロテアーゼ・プラスミンに活性化される。従って、「u
−PAがプラスミノーゲンからプラスミンへの変換する
のを阻止する」という語は、u−PAによるこの活性化が
実質的に阻害されること、または活性化が充分に阻害さ
れることによりプラスミンの望ましくない作用を阻止ま
たは低減化し得る状況を意味する。
【0056】u−PARへのu−PAのレセプター結合形
態の結合の阻止は、例えば、好適には本発明の3R抗体
のようにu−PARへ結合するモノクローナル抗体をほ
乳類へ投与することにより、u−PAのレセプター結合
形態が通常結合するレセプターの部位を占領することに
よってu−PARを遮断することにより行なわれ、上記
モノクローナル抗体は、レセプターに対するu−PAの
レセプター結合形態の結合を低減化するのに有効な量で
投与される。「u−PARへの結合によりu−PAのレセ
プター結合形態が通常結合するレセプターの部位を占領
する」という語は、抗体がu−PARへ結合する結果、u
−PAのレセプター結合形態がu−PARへ結合され得
ないことを意味するものとする。
【0057】上記したように、u−PARへのu−PAの
レセプター結合形態の結合を阻止することによって細胞
表面プラスミノーゲン活性化を阻止する非常に興味深い
方法は、u−PARに対する抗体の使用である。抗体はu
−PARの非炭水化物部分と反応するモノクローナル抗
体であり得るか、またはそれはu−PARの炭水化物部
分と反応するモノクローナル抗体であり得、後者は、u
−PARの独特の変異体を発現する細胞が望ましくない
蛋白質分解に関与する細胞である標的細胞間の貴重な区
別を可能にし得る。抗体は、下記の様々な方法で投与さ
れ得る。
【0058】疾患の中には、u−PARの量減少または
機能障害に関連したものもあると思われる。これらは、
創傷治癒障害の症例および同じく血栓塞栓疾患の症例を
含み得る。ある条件下での血栓溶解におけるu−PA(従
って、恐らく同じくu−PAR)の役割は、急性炎症中お
よび癌においてu−PAが内皮細胞に存在するという本
発明発明者による発見により示唆されている。正常条件
下では、内皮細胞は、u−PAではなくt−PAを含む。
さらに興味深いのは、激発性夜間ヘモグロビン尿症とい
う疾患がグリセリン-ホスホイノシトール・アンカーの
形成能力の障害とu−PARのアンカリングの低減に関
連していることである。なお、この疾患は血栓塞栓疾患
を伴うことが多い(セルバラージ等、1988およびそ
こに引用された参考文献参照)。
【0059】u−PARの細胞外部分がかなりの相互相
同性を伴う3反復単位により構成されるという発見(実
施例2)から、それが相異なるリガンドに結合し得る、
すなわち、立証されたu−PAの結合に加えて、それが
他のリガンドとも結合し得ることが予想される。強い増
強効果が細胞表面に対するpro−u−PAおよびプラ
スミノーゲンの同時結合により得られるため、当然、こ
れらの中にはまだ未知のプラスミノーゲン・レセプター
またはプラスミノーゲン結合部位を含み得るものもある
ことが仮定される。u−PARの細胞−細胞および細胞
−基質結合部位への焦点集中およびu−PARの幾らか
の移動細胞の導入端への極在化もまた、u−PARとu−
PA以外の分子の間の相互反応を示す。u−PARに関
する他の潜在的代替的リガンドは、また種々のインテグ
リンのような細胞-細胞および焦点細胞-培養基質接触部
位に位置する蛋白質であってもよい。上記リガンドの結
合を阻害するu−PARに対する抗体は、細胞表面プラ
スミノーゲン活性化の阻害において貴重であり得、上記
代替リガンドへのu−PARの結合の阻止は、広範囲の
疾患において機能的に重要かつ治療上貴重であり得る。
【0060】u−PARは、様々な形態、例えば実施例
1記載のグリコシル化変異体、実施例3記載の発見によ
り示唆されているリパーゼPI−PLCに対して異なる
感受性を示す変異体で存在する。u−PAR機能の増加
を伴う幾つかの疾患において、これらの或る種の形態は
優先的に変化する。或る種の明確な形態に選択的に向け
られたモノクローナル抗体は、それ故上記疾患において
特に治療上貴重であり得る。
【0061】ほ乳類、好ましくはヒトに対する種々の抗
体の投与は、抗体の投与に適した投与方法により遂行さ
れ得る。局所投与は、抗体またはその誘導体を膏薬、軟
膏、ローション、クリーム等に製剤化することにより行
なわれ得る。
【0062】本発明の医薬組成物は、例えばヒトモノク
ローナル抗体またはその誘導体を含んでよい。
【0063】上述の状態および疾患の処置に関する別の
ストラテジーは、薬剤により表面上にu−PARを含む
細胞を標的とすることであり、ポリクローナルまたはモ
ノクローナル抗体のようなu−PARに対する抗体へ結
合させた薬剤の投与を含む。上記抗体の例として、特に
癌細胞タイプに存在するu−PARの変異体を特に指向
した抗体が挙げられる。
【0064】薬剤は、典型的には抗癌剤、例えばアルキ
ル化剤、例えばメルファラン、クロラムブシル、ブスル
ファン、シスプラチン、チオテーパ、代謝きっ抗物質、
例えばメトトレキセート、フルラシル、アザチオプリ
ン、細胞分裂阻止物質、代表的にはビンクリスチン、ビ
ンブラスチン、または抗生物質、例えばドクソルビシ
ン、ダウノルビシンまたはブレオマイシンであり得る。
薬剤はまた細菌性または他の毒素を含み得る。
【0065】特に興味を惹く抗体は、u−PARの種々
の形を区別する抗体である。抗体に基づく診断キット、
材料および方法の詳細な記載は以下に述べるとおりであ
る。
【0066】本発明の一態様は、純粋なu−PARの製
造方法であって、u−PAR含有材料をu−PARに対す
る固定化された本発明のモノクローナル抗体によるアフ
ィニティー・クロマトグラフィーに付し、例えば酸性条
件下でu−PARを溶離することを含む方法に関するも
のである。
【0067】この明細書で使用されている「類縁体」とい
う語は、類縁体の免疫原性に対して副作用を示さないさ
さいな変形が行なわれ得る、u−PARから誘導された
特有のアミノ酸配列と類似したアミノ酸組成または配列
を有する蛋白質またはポリペプチドを示す。類似ポリペ
プチドまたは蛋白質は、ほ乳類から誘導され得るか、ま
たは部分的または完全に合成され得る。
【0068】本発明のモノクローナル抗体は、また高収
率と純度でu−PAR含有フラクションを得るために使
用することができる。その方法は、特異モノクローナル
抗体をマトリックスに固定化させ、当該マトリックスを
遊離u−PAR化合物を含む製品と接触させ、洗浄し、
最後にマトリックスに固定化された抗原抗体錯体を処理
して、u−PAR化合物を精製形で遊離させるものであ
る。好ましい方法は、カラムマトリックスに固定化させ
た抗体を使用するカラムアフィニティークロマトグラフ
ィーによりu−PARを単離させるものである。
【0069】本明細書に関連して、「抗体」という語は、
本発明ポリペプチドへの暴露に対する応答として脊椎動
物またはより正確には脊椎動物起源の免疫系に属する細
胞により産生される物質を指す。
【0070】抗体の変異ドメインは可変および定常配列
により構成される。ドメインの変異部分は抗体のイディ
オタイプと呼ばれる。抗体のこの部分は抗原との相互作
用、抗原結合に関与する。
【0071】イディオタイプ構造は抗原性であるため、
イディオタイプ構造を指向した特異抗体に対して生じ得
る。これはマウスで行なわれた。イディオタイプに対し
て生じた抗体、抗イディオタイプ抗体は、もとの抗原の
構造を模倣し得るため、もとの抗原として機能すること
により、もとの抗原と反応する抗体を生じ得る。この方
法は、問題の蛋白質の重要な免疫原性部分の特性検定お
よび合成と関連した問題をめぐるものであるため、有利
であり得る。これは立体配座エピトープの場合に最も重
要であり、他の方法であれば同定が困難であり得る。そ
れは、防御免疫性がこの方法で誘導され得る若干の生物
について示された(例、トリパノソーマ・デュルゼイ、
トリパノソーマ・ブルセイ、B型肝炎ウイルスおよびプ
ラスモディウム・ノウレシ)。
【0072】本発明の抗体は、免疫原形態で本発明ポリ
ペプチドの少なくとも天然または合成部分を投与するこ
とにより、前記ポリペプチドと反応する抗体産生細胞を
得、生物または細胞から抗体含有物質を単離することを
含む方法により製造され得る。本発明抗体の製造方法に
ついては後で詳述する。
【0073】上記抗体は、好ましくは単一特異的抗体で
ある。単一特異的抗体は、適当な動物へ本発明ポリペプ
チドの実質的に純粋な製品を注射し、初回採血前の4ま
たは5か月まで適当な間隔(例、1または2週間ないし
1箇月)で1回またはそれ以上のブースター注射をする
ことにより生成され得る。確立された免疫化スケジュー
ルを続行し、各ブースター免疫化の約1週間後動物から
採血し、抗体を適当な方法で血清から単離する(例、ハ
ーボーおよびインギルド、Scand.J.Immun.2(補
遺1)、1973、161−164頁参照)。
【0074】高い検定特異性を要求しないのであれば、
抗体はポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル
抗体は、例えばハーボーおよびインギルドの記載(上記
参照)に従い得られる。さらに具体的には、ポリクロー
ナル抗体を得る予定の場合、好ましくは適当なアジュバ
ント、例えばフロインド不完全または完全アジュバント
を加えた後、u−PAR化合物製品を動物に注射する。
免疫原がヒトu−PAR化合物である場合、動物はウサ
ギであり得る。動物を定期的、例えば1週間間隔で採血
し、得られた血液を抗体含有血清フラクションに分離
し、所望ならば前記フラクションをさらに別の慣用的抗
体精製方法、および/または精製u−PAR化合物の使
用を含む方法に付す。
【0075】別の好ましい態様では、モノクローナル抗
体が得られる。モノクローナル抗体は、u−PAR化合
物の必須成分、すなわちエピトープに対してまたは実質
的にそれを指向して産生され得る。モノクローナル抗体
は、慣用的技術(例、ケーラーおよびミルスタインによ
る「ネイチャー」、256、1975、495頁記載)に
より、例えばハイブリドーマ・セルラインの使用によ
り、またはクローンもしくはそのサブクローンまたは前
記モノクローナル抗体コードするハイブリドーマ・セル
ラインからの遺伝情報をもつ細胞により製造され得る。
モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体を産生する
細胞を適当なセルラインの細胞と融合し、生成した前記
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選
抜およびクローニングすることにより製造され得る。別
法として、モノクローナル抗体は、前記モノクローナル
抗体を産生する非融合細胞を不死化し、続いて細胞を適
当な培地で生長させて前記抗体を産生させ、生長培地か
らモノクローナル抗体を採取することにより製造され得
る。
【0076】本発明の抗体の製造に使用される免疫化動
物は、好ましくはウサギ、サル、ヒツジ、ヤギ、マウ
ス、ラット、ブタ、ウマおよびモルモットから成る群か
ら選択される。本発明の抗体を産生する細胞は、ひ臓細
胞またはリンパ細胞、例えば末梢リンパ球であり得る。
【0077】本発明の抗体の製造においてハイブリドー
マ細胞を使用する場合、これらはインビトロまたは動物
の体腔で生育され得る。抗体産生細胞を動物、例えばマ
ウスに注射すると、動物の腹水中で高濃度の抗体を放出
する腹水腫ようが形成される。動物は同じく正常抗体を
産生するが、これらは、標準的精製方法、例えば遠心分
離、ろ過、沈澱、クロマトグラフィーまたはそれらの組
み合わせにより腹水から精製され得るモノクローナル抗
体の僅かなパーセンテージに達するにすぎない。
【0078】モノクローナル抗体が製造され得る適当な
方法の一例は、結果として常套技術(例、R.ダルチャ
ウ、J.キルクレイ、J.W.ファーブルによる「モノク
ローナル・アンティボディー・トゥ・ア・ヒューマン・
ロイコサイト-スペシフィック・メンブラン・グリコプ
ロテイン・プロバブリイ・ホモロガス・トゥ・ザ・ロイ
コサイト-コモン(L−C)アンティゲン・オブ・ザ・ラ
ット」、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イミュノロ
ジー」、10、1980、737−744頁に記載)を用
いた免疫化マウス(例、Balb/cマウス)からのひ臓細胞
とミエローマ細胞を融合する方法である。得られた融合
体を慣用的技術、例えば上記方法で単離されたu−PA
R化合物を用いる結合検定によりスクリーニングする。
【0079】別の態様において、本発明は、試料中のu
−PARまたはその誘導体を検出および/または定量し
得る、本発明の抗体を含む診断剤に関するものである。
【0080】上記検討によると、本発明の抗体は、癌お
よび組織侵入および組織改造を伴う他の疾患のプロセス
におけるu−PARの関与を考慮すると、これらの診断
に貴重であり得る。u−PAR mRNAタンパクが結腸
癌、管状乳癌、鱗状皮膚癌を含む種々の異なった癌種に
おいて、侵入正面に位置する細胞中に一貫して見出され
るという発見は、この考えを強く支持している。この考
えをさらに支持するものは、これらのすべての場合にお
いて、u−PA mRNAおよび/またはタンパクがu−P
AR含有細胞またはu−PAR含有細胞に隣接する細胞
によって生産されるという発見である。これに関連し
て、胸部癌患者からの血清が正常個体と比べて高濃度の
u−PAを有すること(グレンダール-ハンセン等、19
88)、および胸部癌組織におけるu−PA含有量は、例
えば本出願の優先権年度に公開されたようにこの疾患に
おける貴重な予後マーカーであることが示されたこと
(ヤーニッケ等、1989、1990)も興味深い。u−
PARの存在がu−PA機能にとって前提条件であると
いう事実により、癌組織におけるu−PAE含有量はい
っそう優れた診断的および予後マーカーであると考えら
れる。u−PAR測定結果の潜在的な診断および予後用
途の新しい態様は、外来的に加えられるホスホリパーゼ
の非存在下でさえ生ずる培養細胞からのu−PARの放
出である(実施例3に記載)。この発見により、u−PA
Rもまた何等かの生理学的および異常生理学的条件下お
よび特に癌において体液中へ放出されるという可能性が
生じる。従って、体液、例えば血清、尿および腹水中に
おけるu−PARまたはその分解生成物の濃度の測定
は、診断的および/または予後的に貴重であることが証
明され得る。
【0081】大部分の検定用途の場合、抗体に結合抗体
検出用の標識を付すのが好ましく、または別法では(例
えば二重抗体検定において)、標識および非標識抗体の
組み合わせが使用され得る。標識として使用される物質
は、それ自体検出可能であるかまたは別の物質と反応し
て検出可能な生成物を生じ得るあらゆる物質から選択さ
れ得る。すなわち、標識は、放射性同位元素、酵素、発
色団、蛍光性または化学発光性物質および複合体形成剤
から選択され得る。
【0082】標識として有用な酵素の例は、β−ガラク
トシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、炭
酸脱水酵素、ペルオキシダーゼ(例、西洋わさびペルオ
キシダーゼ)、ホスファターゼ(例、アルカリ性または酸
性ホスファターゼ)、グルコース−6−燐酸デヒドロゲ
ナーゼおよびリボヌクレアーゼである。
【0083】酵素はそれ自体では検出不可能であるが、
検出可能な最終生成物が得られる反応を触媒するために
は基質と組み合わせなければならない。すなわち、基質
を反応混合物に加えることにより、着色した蛍光性また
は化学発光性生成物または色の変化または色、蛍光また
は化学発光の強度の変化が得られる。上述の酵素に対す
る基質として本方法で有用な基質の例は、H、p
−ニトロフェニルホスフェート、乳糖、尿素、β−D−
グルコース、CO、RNA、澱粉またはマレエートで
ある。基質は、例えば供与体または受容体である発色団
と組み合わされ得る。
【0084】本発明方法により使用される成分検出用標
識として使用され得る蛍光性物質は、4−メチルアンベ
リフェリル−ホスフェート、4−メチルアンベリフェリ
ル−D−ガラクトピラノシドおよび3−(p−ヒドロキシ
フェニル)プロピオン酸であり得る。これらの物質は、
蛍光分光光度計により検出され得る。化学発光性物質
は、ペルオキシダーゼ/エオシン/EDTA、イソルミ
ノール/EDTA/Hおよびそれらの基質であり
得る。
【0085】発光団は、o−フェニレンジアミンまたは
類似化合物であり得る。これらの物質は分光光度計によ
り検出され得る。放射性同位元素は、検出可能かつ研究
室で許容され得る同位元素、例えば125I、
131I、H、35P、35Sまたは14Cであり得
る。放射能は、γ−計数管もしくはシンチレーション計
数管またはラジオオートグラフィー、次いでデンシトメ
ーター手段により測定され得る。
【0086】複合体形成剤は、プロテインA、プロテイ
ンG(免疫グロブリンと複合体を形成する)、ビオチン
(アビジンおよびストレプトアビジンと複合体を形成す
る)およびレクチン(炭水化物決定基、例えばレセプター
と複合体を形成する)であり得る。この場合、複合体は
それ自体直接には検出され得ず、複合体形成剤が複合体
を形成する物質の標識を必要とする。標識付けは、上記
標識性物質のいずれかにより行なわれ得る。
【0087】本発明の実施態様において、本発明の抗体
は、固体支持体に結合させた架橋性化合物と結合され得
る。固体支持体および抗体を結合させるべく設計された
架橋性化合物は、ヒドラジド、プロテインA、グルタル
アルデヒド、カルボジイミドまたはリジンであり得る。
【0088】使用される固体支持体は例えばポリマーで
あり、それはポリマー被覆されたマトリックスであり得
る。マトリックスは、適当な固体材料、例えばガラス、
紙またはプラスチック製であり得る。ポリマーは、可塑
性セルロース、例えば特殊処理紙、ニトロセルロース紙
または臭化シアン-活性化紙であり得る。適当なプラス
チック製品の例は、ラテックス、ポリスチレン、ポリビ
ニルクロリド、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアセテートおよびそれらの適当なコポリマーで
ある。シリコーンポリマーの例にはシロキサンがある。
【0089】固体支持体は、トレイ、プレート、例えば
マイクロタイタープレート、例えば薄層または、好まし
くはストリップ、フィルム、糸、固体粒子、例えばビー
ズ、例えばプロテインA被覆細菌または紙の形態であり
得る。
【0090】本発明の抗体は、試料中に存在するポリペ
プチドの少なくとも一形態および/または一部分の同定
および/または定量を目的とする検定で使用され得る。
本発明用途により遂行される同定および/または定量
は、u−PAR化合物またはu−PAR化合物の一形態を
伴う同定および/または定量であり得る。すなわち、u
−PAR化合物の定性的および定量的測定は、両方とも
本発明の使用により達成され得る。同定および/または
定量は、ともに科学的、臨床的および産業的目的で実施
され得る。下記でさらに詳述されている通り、u−PA
R化合物の同定または定量は、臨床的常法において特に
重要である。
【0091】試料は、生きている生物体、例えばヒトま
たは動物から得られた標本であり得る。標本は、血液、
例えば赤血球濃厚分画、または例えば肝細胞を含む組織
試料であり得る。本発明の非常に興味深い実施態様で
は、標本は尿である。
【0092】本発明の好ましい一実施態様では、本発明
方法で使用される抗体は、一般に検定のより高い精度お
よび正確さが達成されると同時に恐らくは実施時間も少
なくてすむと考えられることから、モノクローナル抗体
であるのが好ましい。さらに、試験の検出限界および感
度を高め得ることから、2種またはそれ以上のモノクロ
ーナル抗体から成る混合物が使用され得る。モノクロー
ナル抗体は下記方法により得られる。高い総合活性を有
する抗体は、捕獲技術に関して選択され得る。
【0093】本方法で使用される抗体は、本発明の検定
の精度および/または正確さを改良するために、好まし
くは実質的に純粋な形態(適当な技術または本発明方法
により精製、下記参照)である。
【0094】本発明の一面は、ここに説明するように、
u−PARと反応し、それによってpro−u−PAと
活性u−PAの結合及び細胞表面プラスミノーゲン活性
化を阻止するモノクローナル抗体に関する。
【0095】これらの性質を持ったモノクローナル抗体
は、以下に説明するように、数多くの診断的及び治療的
用途において有用である。
【0096】u−PARと反応し、それによってpro
−u−PAと活性u−PAとの結合並びに細胞表面プラ
スミノーゲン活性化を阻止する、モノクロナール抗体3
Rを生産するハイブリドーマクローンは、ブダペスト条
約の条件に従って、ヨーロピアン・コレクション・オブ
・アニマル・セル・カルチュアズに仮寄託番号90101009
号として寄託されている。
【0097】このクローンとそれによって生産されたモ
ノクロナール抗体は本発明のこの面における実施態様を
構成するものであるが、この面は明らかに当該モノクロ
ナール抗体に対する機能的均等物、すなわちu−PAR
と反応し、それによってpro−u−PAと活性u−P
Aとの結合並びに細胞表面プラスミノーゲン活性化を阻
止するいかなるモノクロナール抗体にも及ぶものであ
る。すなわち、本発明のこの面によるモノクロナール抗
体は、クローン90101009号によって生産されたモノクロ
ナール抗体3Rの機能的均等物であるモノクロナール抗
体としても特性化され得る。これは、それが抗体3Rと
同様、u−PARと反応し、それによってu−PARと
pro−u−PAまたは活性u−PAとの結合並びにプ
ラスミノーゲンのプラスミンへの細胞表面活性化を阻止
するからである。
【0098】上に説明したように、u−PARのu−P
A結合ドメインはu−PARのN末端87残基を含む領
域に位置するものである。すなわち、本発明のこの面に
よるモノクロナール抗体を他に定義するとすれば、ここ
で第8図にu−PAR1として示された配列のポリペプ
チドまたはu−PAに結合してu−PARとu−PAの
間の結合を阻止することができるいずれかの配列または
その類似体と反応するモノクロナール抗体である。
【0099】本発明のこの面によるモノクロナール抗体
のu−PARとの反応はpro−u−PAと活性u−P
Aのu−PARに対する結合並びに細胞表面プラスミノ
ーゲン活性化の阻止を結果するものであるが、これはu
−PARにおけるu−PA結合ドメインとの反応であっ
てもよく、また特別の可能性として、u−PA結合ドメ
インよりもu−PARの他の部分に対する結合であっ
て、アロステリック効果により結合ドメインにおける変
化を惹起するものであってもよい。モノクロナール抗体
とu−PARとの反応がu−PARのu−PA結合ドメ
インとの反応(モノクロナール抗体3Rに対する場合に
認められたように)であるときは、当該反応はu−PA
Rの結合部位を直接含む結合であってもよく(これは約
30またはそれ以下(またはそれ以上)、たとえば15
〜30またはときにそれ以下、しかし恐らく30〜50
またはそれ以上のアミノ酸配列を含むものと考えられ
る。)、適当な結合部位を含まないが、それにも拘わらず
u−PA結合を阻止するような結合、たとえばアロステ
リック効果を有し、u−PA結合を阻止するような抗体
結合であってもよい。上記いずれの場合においてもu−
PARのu−PA結合ドメインに結合してpro−u−
PAまたはu−PAのu−PARへの結合並びに細胞表
面プラスミノーゲン活性化を阻止するモノクロナール抗
体は、治療目的のために同じ全体的な機能性と利用性を
有しており、本発明のこの面における同じ実施態様を構
成するものである。
【0100】本発明のこの面によるモノクロナール抗体
は、免疫され得る動物をu−PARまたはそのサブセク
ションまたは免疫原的変異種、たとえばu−PARのu
−PA結合ドメインによって免疫し、免疫された動物か
らの細胞をミエローマセルラインと融合させ、u−PA
Rと反応してpro−u−PAと活性u−PAのu−P
ARへの結合並びに細胞表面プラスミノーゲン活性化を
阻止することができる抗体を生産するクローンをスクリ
ーニングすることによって製造することができる。
【0101】以下の説明および実施例から明らかなよう
に、モノクロナール抗体の生産の初期段階において、特
別の選択プランが用いられ、これによってu−PARと
反応してその結果としての阻止効果を有し、同時にEL
ISAのようなイムノアッセイにおける有用性を有する
抗体を生産するハイブリドーマクローンが得られた。
【0102】このようなモノクロナール抗体が確立され
たことが一旦見いだされると、当業者にとってここに開
示された特定の種とはその微小な特異的作用形式、蛋白
化学組成などにおいて異なっているが、同じ本質的機能
性、すなわちu−PARのu−PA結合ドメインに対し
結合し、それによってpro−u−PAまたは活性u−
PAのu−PARに対する結合並びに細胞表面プラスミ
ノーゲン活性化を阻止することができる性能を示す他の
モノクロナール抗体を生産することが可能となろう。
【0103】上記説明により、モノクロナール抗体のこ
の面のサブクラスはu−PARのu−PAR結合ドメイ
ンと反応し、それによってpro−u−PAと活性u−
PAの結合並びに細胞表面プラスミノーゲン活性化を阻
止するモノクロナール抗体である。
【0104】抗体が上記定義に一致することを評価する
方法は、抗体とu−PARとの間の反応によって引き起
こされた表面プラスミノーゲン活性化の阻止を測定する
か、抗体とu−PARとの間の反応によって引き起こさ
れたu−PAまたはpro−u−PAのu−PARへの
結合の阻止を測定することからなる。
【0105】本発明のこの面における、特別な狭い実施
態様は、競合実験において、ブダペスト条約の条件下に
ヨーロピアン・コレクション・オブ・アニマル・セル・
カルチュアズに仮寄託番号90101009号として寄託された
ハイブリドーマ・セルラインによって生産されたモノク
ローナル抗体3Rと競合することができるモノクローナ
ル抗体である。
【0106】この点において、「抗体」なる用語は完全
な抗体分子のみならず、Fabフラグメントのようにそ
の結合断片をも意味することが意図されている。実施例
の抗体はマウスハイブリドーマによって生産されている
が、治療目的のための抗体は適切にはヒトハイブリドー
マによって生産される。ヒトハイブリドーマの確立と使
用は当業界においてよく知られているところであり、た
とえばM.C.Glassy,H.H.Handley,H.Hagiwara
およびI.Royston:ヒト/ヒトハイブリドーマを分泌
する抗体を発生させるのに有用なヒトリンホブラストイ
ドB−セルライン、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,80:6327-6331,1983やF.F.Irie,L.L.Szeおよ
びR.E.Saxton:エプシュタイン−バールウイルス形
質転換ヒトBリンパ球セルラインによるインビトロで生
産された腫瘍抗原OFA−1に対するヒト抗体、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA79:5666-5670,1982を参
照されたい。
【0107】本発明の抗体の最も重要な有用性の一つ
は、診断目的に対するものであり、特にサンプル中にお
けるu−PARの存在を検出したり定量するための方法
における使用である。以下に、このような方法、特にE
LISA(酵素結合免疫吸着試験法)による方法および
本発明によるモノクローナル抗体についてより詳細に述
べることとする。
【0108】また、ある種の特異的ポリクローナル抗体
についても述べる。このような特異的ポリクローナル抗
体を生産する方法は実施例4に記載されており、かかる
抗体はインタクトu−PARのキモトリプシンによる分
解によって得られたu−PARの16kDu−PA結合
フラグメントによる免疫によって展開されるものであ
る。他の興味ある特異的抗体はu−PARの35〜45
kDnon−u−PA結合フラグメントによる免疫によっ
て得ることができる。
【0109】本発明によるかかる用途の一面はサンプル
中におけるu−PARの検出または定量方法であり、検
出または定量は本質的にu−PARがu−PAを結合し
たか否かとは無関係であり、捕捉または/および検出抗
体としてu−PARがu−PAに結合していると否とを
問わずu−PARに結合することができる抗体を使用す
ることを含む。
【0110】本発明において使用された各抗体は、u−
PARと反応するが、そのu−PA結合ドメインとは反
応しない本発明によるモノクローナル抗体または遊離u
−PARともu−PAとu−PARの複合体とも反応す
る本発明のモノクローナル抗体であってよい。
【0111】また、本発明で有用なものは、u−PAR
と反応するがそのu−PA結合ドメインとは反応しない
ポリクローナル抗体および遊離u−PARともu−PA
とu−PARの複合体とも反応するポリクローナル抗体
である。
【0112】この方法の一つの有用な具体例は、u−P
ARと反応するが、そのu−PA結合ドメインとは反応
しない一つのモノクローナル抗体または遊離u−PAR
ともu−PAとu−PARの複合体とも反応する一つの
モノクローナル抗体を捕捉抗体として使用し、u−PA
Rと反応するが、そのu−PA結合ドメインとは反応し
ない他の一つのモノクローナル抗体または遊離u−PA
Rともu−PAとu−PARの複合体とも反応する他の
一つのモノクローナル抗体であって、このような他のモ
ノクローナル抗体が異なったエピトープに対して向けら
れたものであるようなものを検出抗体として使用する方
法である。
【0113】このような方法の他の一つの具体例は、u
−PARと反応するが、そのu−PA結合ドメインとは
反応しないポリクローナル抗体または遊離u−PARと
もu−PAとu−PARの複合体とも反応するポリクロ
ーナル抗体を捕捉抗体として使用し、u−PARと反応
するが、そのu−PA結合ドメインとは反応しない一つ
のモノクローナル抗体または遊離u−PARともu−P
Aとu−PARの複合体とも反応する一つのモノクロー
ナル抗体を検出抗体として使用する方法である。
【0114】他の一つの具体例は、u−PARと反応す
るが、そのu−PA結合ドメインとは反応しないモノク
ローナル抗体または遊離u−PARともu−PAとu−
PARの複合体とも反応する一つのモノクローナル抗体
を捕捉抗体として使用し、u−PARと反応するが、そ
のu−PA結合ドメインとは反応しないポリクローナル
抗体または遊離u−PARともu−PAとu−PARの
複合体とも反応するポリクローナル抗体を検出抗体とし
て使用する方法である。
【0115】さらに他の具体例は、u−PARと反応す
るが、そのu−PA結合ドメインとは反応しないポリク
ローナル抗体または遊離u−PARともu−PAとu−
PARの複合体とも反応するポリクローナル抗体を捕捉
抗体として使用し、u−PARと反応するが、そのu−
PA結合ドメインとは反応しないポリクローナル抗体ま
たは遊離u−PARともu−PAとu−PARの複合体
とも反応するポリクローナル抗体を検出抗体として使用
する方法である。
【0116】本発明による他の方法は、サンプル中のu
−PARとu−PAの複合体を検出するかまたは定量す
る方法であって、u−PAまたはpro−u−PAと結
合したu−PARに結合することができる抗体を捕捉ま
たは検出抗体として使用し、結合したu−PAまたはp
ro−u−PAを検出する抗体を検出または捕捉抗体と
して使用するものである。
【0117】この方法の具体例は、u−PARと反応す
るが、そのu−PA結合ドメインとは反応しないモノク
ローナル抗体または遊離u−PARともu−PAとu−
PARの複合体とも反応するモノクローナル抗体を捕捉
または検出抗体として使用する方法である。
【0118】他の具体例は、u−PARと反応するが、
そのu−PA結合ドメインとは反応しないポリクローナ
ル抗体または遊離u−PARともu−PAとu−PAR
の複合体とも反応するポリクローナル抗体を捕捉または
検出抗体として使用する方法である。
【0119】本発明による他の重要な方法は、サンプル
中のu−PAとは結合していないu−PARを検出また
は定量する方法であって、遊離u−PARと結合する
が、u−PAとu−PARとの複合体とは結合すること
ができない抗体を捕捉または検出抗体として使用するも
のである。
【0120】この方法で使用する抗体は、u−PARの
u−PA結合ドメインと反応するモノクローナル抗体ま
たは遊離u−PARと反応するが、u−PAとu−PA
Rの複合体とは反応しないモノクローナル抗体、もしく
はu−PARのu−PA結合ドメインと反応するが、u
−PAとu−PARの複合体とは反応しないポリクロー
ナル抗体あるいは遊離u−PARと反応するが、u−P
Aとu−PARの複合体とは反応しないポリクローナル
抗体であってよい。
【0121】この方法の一つの具体例は、u−PARの
u−PA結合ドメインと反応するモノクローナル抗体ま
たは遊離u−PARと反応し、u−PAとu−PARの
複合体とは反応しないモノクローナル抗体を捕捉抗体と
して使用し、u−PARのu−PA結合ドメインと反応
する他のモノクローナル抗体または遊離u−PARと反
応し、u−PAとu−PARの複合体とは反応しない他
のモノクローナル抗体であって、このような他のモノク
ローナル抗体が異なったエピトープに対して向けられて
いるようなものを検出抗体として使用する方法である。
【0122】この方法の他の一つの具体例は、u−PA
Rのu−PA結合ドメインと反応するが、u−PAとu
−PARの複合体とは反応しないポリクローナル抗体ま
たは遊離u−PARと反応し、u−PAとu−PARの
複合体とは反応しないポリクローナル抗体を捕捉抗体と
して使用し、u−PARのu−PA結合ドメインと反応
するモノクローナル抗体または遊離u−PARと反応
し、u−PAとu−PARの複合体とは反応しないモノ
クローナル抗体を検出抗体として使用する方法である。
【0123】この方法のさらに他の具体例は、u−PA
Rのu−PA結合ドメインと反応するモノクローナル抗
体または遊離u−PARと反応し、u−PAとu−PA
Rの複合体とは反応しないモノクローナル抗体を捕捉抗
体として使用し、u−PARのu−PA結合ドメインと
反応し、u−PAとu−PARの複合体とは反応しない
ポリクローナル抗体または遊離u−PARと反応し、u
−PAとu−PARの複合体とは反応しないポリクロー
ナル抗体を検出抗体として使用する方法である。
【0124】この方法のさらに他の具体例は、u−PA
Rのu−PA結合ドメインと反応し、u−PAとu−P
ARの複合体とは反応しないポリクローナル抗体または
遊離u−PARと反応し、u−PAとu−PARの複合
体とは反応しないポリクローナル抗体を捕捉抗体として
使用し、u−PARと反応し、そのu−PA結合ドメイ
ンとは反応しないポリクローナル抗体または遊離u−P
ARともu−PAとu−PARの複合体とも反応するポ
リクローナル抗体を検出抗体として使用する方法であ
る。
【0125】本発明の他の方法は、サンプル中のu−P
Aと結合していないu−PARを検出または定量する方
法であって、遊離u−PARと結合するが、u−PA結
合を阻止することができない抗体を捕捉または検出抗体
として使用し、u−PAまたはそのu−PAR結合変異
種を検出または捕捉試剤として使用するものである。
【0126】本発明の他の方法は、組織断片におけるu
−PARの免疫組織学的検出方法であって、当該方法で
は検出抗体としてu−PARと反応するモノクローナル
抗体またはu−PARと反応するポリクローナル抗体、
たとえばu−PARのu−PA結合ドメインと反応する
モノクローナル抗体、遊離u−PARと反応するが、u
−PAとu−PARの複合体とは反応しないモノクロー
ナル抗体、u−PARとは反応するが、そのu−PA結
合ドメインとは反応しないモノクローナル抗体、遊離u
−PARともu−PAとu−PARの複合体とも反応す
るモノクローナル抗体、u−PARのu−PA結合ドメ
インと反応し、u−PAとu−PARの複合体とは反応
しないポリクローナル抗体、u−PARと反応するが、
そのu−PA結合ドメインとは反応しないポリクローナ
ル抗体、遊離u−PARと反応するが、u−PAとu−
PARの複合体とは反応しないポリクローナル抗体、ま
たは遊離u−PARともu−PAとu−PARの複合体
とも反応するポリクローナル抗体を使用する。
【0127】特に、抗体は上記したモノクローナル抗体
の1種である。この方法の一つの具体例、すなわちu−
PARをそれがu−PAと結合しているか否かに関係な
く検出する方法はu−PARと反応するが、そのu−P
A結合ドメインとは反応しないモノクローナル抗体、遊
離u−PARともu−PAとu−PARの複合体とも反
応するモノクローナル抗体、u−PARと反応するが、
そのu−PA結合ドメインとは反応しないポリクローナ
ル抗体または遊離u−PARともu−PAとu−PAR
の複合体とも反応するポリクローナル抗体を使用するも
のである。
【0128】この方法の他の具体例は、遊離のu−PA
Rを検出するものであって、検出抗体として遊離u−P
ARを検出するが、u−PAとu−PARの複合体を検
出することができない抗体を使用する。
【0129】この具体例において、検出抗体としては、
u−PARのu−PA結合ドメインと反応するモノクロ
ーナル抗体、遊離u−PARと反応するが、u−PAと
u−PARの複合体とは反応しないモノクローナル抗
体、u−PARのu−PA結合ドメインと反応するが、
u−PAとu−PARの複合体とは反応しないポリクロ
ーナル抗体または遊離u−PARと反応するが、u−P
Aとu−PARの複合体とは反応しないポリクローナル
抗体が使用されてよい。
【0130】u−PAと結合していると否とを問わずu
−PARを検出する本発明によるモノクローナル抗体の
一例は、4Rとして参照され、仮寄託番号90101010号と
して寄託されたハイブリドーマセルラインによって生産
される抗体である。この点で有用であると考えられる本
発明の他のモノクローナル抗体としては、1Rと2Rが
ある。
【0131】遊離u−PARと反応するが、u−PAと
u−PARの複合体とは反応しない、本発明によるモノ
クローナル抗体の例としては、上に述べた抗体3Rが挙
げられる。
【0132】抗体3Rに関して上記したところと同様、
ここに述べられたモノクローナル抗体の各機能タイプ
は、寄託された具体的なクローンの具体的な生産物に限
定されるものではなく、むしろ実施例および特許請求の
範囲を含め本明細書中に記載した有用性に関して同じ機
能性を示すモノクローナル抗体の集団として理解される
べきである。
【0133】本発明の一面は、サンプル中のu−PAR
のグリコシル化変異種を検出または定量する方法に関
し、当該方法は検出抗体として単独にまたは優先的に該
変異種に結合するモノクローナル抗体を使用するもので
ある。
【0134】u−PARのグリコシル化変異種は、典型
的には癌細胞の特別のタイプに特徴的な変異種である。
【0135】上記した全ての場合において、サンプルと
は典型的には癌患者または癌の疑いがある患者からの血
清、血漿または尿を言うが、勿論特定のケースに適切な
他のサンプルたとえば糞便サンプルであってもよい。サ
ンプルはまた癌組織または癌の疑いがある組織から抽出
されてもよい。
【0136】上記した全ての場合において、サンプルは
また組織破壊、たとえばリュウマチ性関節炎、潰瘍性大
腸炎または乾癬症を含む非腫瘍性疾病に罹っている患者
または罹っている疑いのある患者からの血清、血漿また
は尿であってもよい。
【0137】上に詳述したように、検出抗体は検出標識
を伴っており、そのような標識の例はここに述べるとお
りである。
【0138】本発明によるモノクローナル抗体は、ま
た、診断剤を表面にu−PARを含む細胞に命中させる
ための方法においても使用することができ、当該方法は
哺乳類特にヒト、特に癌に罹患したまたは罹患した疑い
のある哺乳類に対してu−PARに対する本発明のモノ
クローナル抗体に結合した診断剤を投与することを含む
ものである。診断剤はテクネチウムのような放射性物質
であってもよい。
【0139】この目的のために用いられる本発明の抗体
は、上記した本発明のモノクローナル抗体のいずれであ
ってもよく、u−PARの特別なグリコシル化変異種に
単独でまたは優先的に結合するモノクローナル抗体であ
ってもよい。
【0140】上記の記述を要約し、かつ図に関する説明
および実施例に記載したモノクローナル抗体の性質を参
照して、本発明によるモノクローナル抗体は、u−PA
Rに対するモノクローナル抗体としての以下に述べる特
性の一つまたはそれ以上によって特徴付けることができ
る: 1)サンドイッチELISAにおいて捕捉抗体として固
定化されたとき、u−PARを捕捉することができる、
または 2)サンドイッチELISAにおいてビオチン標識検出
抗体として使用されたとき、u−PARを検出すること
ができる、または 3)ELISAにおいて使用されたとき、固定化された
u−PARに結合することができる、または 4)ELISAにおいて捕捉抗体として固定化されたと
き、u−PARがそのu−PA結合容を保持するように
u−PARを結合することができる、または 5)放射免疫沈殿試験において、精製u−PARがイン
タクトの形で沈殿させる、または 6)放射免疫沈殿試験において、キモトリプシン消化に
よって得られるu−PARのu−PA結合Mr16,000フ
ラグメントを沈殿させる、または 7)放射免疫沈殿試験において、キモトリプシン消化に
よって得られ、u−PAを結合しないu−PARのu−
PA結合Mr16,000フラグメントを沈殿させる、または 8)u−PAR含有抽出物の界面活性剤相が6〜16%
グラジエントゲル上非還元条件下SDS−PAGE分離
に付した場合、ウエスタンブロッティングにおいてu−
PARと反応する、または 9)ウエスタンブロッティングにおいて、U937細胞
によって生産された50〜65kD範囲のu−PARグ
リコシル化変異種と反応せず、U937a細胞によって
生産された約40〜45kDのu−PARグリコシル化
変異種と反応しない、または 10)ウエスタンブロッティングにおいて、U937細
胞によって生産された50〜65kD範囲のu−PAR
グリコシル化変異種と反応し、U937a細胞によって
生産された約40〜45kDのu−PARグリコシル化
変異種と反応する、または 11)ウエスタンブロッティングにおいて、U937細
胞によって生産された50〜65kD範囲のu−PAR
グリコシル化変異種と弱く反応し、U937a細胞によ
って生産された約40〜45kDのu−PARグリコシ
ル化変異種と強く反応する、または 12)ホルマリン固定、パラフィン包埋結腸癌組織塊の
断面において、癌細胞を侵襲前面において免疫染色し、
免疫染色された細胞の所在はイン・シチュ・ハイブリダ
イゼーションによって検出されたu−PARmRNAの
分布と実質的に同じである、または 13)pro−u−PAと活性u−PAの結合および細
胞表面プラスミノーゲン活性化を阻止する、または 14)u−PARのu−PA結合ドメインと反応し、そ
のによってpro−u−PAと活性u−PAの結合およ
び細胞表面プラスミノーゲン活性化を阻止する、または 15)図8においてu−PAR1として示された配列ま
たはu−PARに結合してu−PARとu−PAの結合
を阻止することができる配列もしくはその類似体と反応
するモノクローナル抗体、または 16)パラフィン包埋組織切片のような組織断片におけ
るu−PARに結合し、それによってu−PARの免疫
組織学的検出に有用である、または 17)u−PARの特定のグリコシル化変異種に選択的
に結合することができる、または 18)C末端部を含み、インタクトu−PAR分子中の
アミノ酸残基88で出発するu−PAR分子のnon-u−
PA結合部と反応する、または 19)マウスIgGに対するフルオルエッセインイソチ
オシアネート−標識抗体によるフローサイトメトリーを
使用した場合、ヒト単核細胞に結合し、この結合は外因
的に加えられたu−PAとのプレインキュベーションに
よって影響されない、または 20)マウスIgGに対するフルオルエッセインイソチ
オシアネート−標識抗体によるフローサイトメトリーを
使用した場合、ヒト単核細胞に結合し、この結合は外因
的に加えられたu−PAとのプレインキュベーションに
よって完全に阻止される。
【0141】本明細書の記載から、これらの性質は、単
独でまたは結合して、本発明のモノクローナル抗体をu
−PARおよびu−PA/u−PAR相互反応の検出、
定量、特性化および機能的分析のために、そしてまたu
−PA/u−PAR相互反応を含む癌およびその他の疾
病における診断的予後的および治療的用途のために極め
て有用なものとすることは明らかである。
【0142】本発明によるモノクローナル抗体の一つの
重要な用途は、u−PA/u−PAR相互反応の潜在的
阻止、そしてu−PA/u−PAR相互反応が含まれる
癌や他の疾病における潜在的な抗侵襲および抗転移効果
のための物質をスクリーニングする手段を確立すること
である。かかる用途の一つは、スクリーニング方法であ
って、当該方法においては、物質によるu−PA/u−
PAR相互反応の可能な阻止が当該物質を固定化u−P
ARと可溶化u−PAを含む系に加えることによって決
定され、u−PARに結合したu−PAは標識すること
によってまたは標識抗u−PA抗体を使用することによ
って検出される。上記の阻止は、また、物質を固定化u
−PAと可溶化u−PARを含む系に添加することによ
って決定され、u−PAに結合したu−PARは標識す
ることによってまたは標識抗u−PAR抗体を使用する
ことによって検出される。
【0143】かかる試験法の例としては、u−PARを
捕捉するためにu−PARに対する固定化モノクローナ
ル抗体を使用し、それに続いてu−PARに結合するu
−PAを測定する非常に実際的なスクリーニングELI
SAを挙げることができる。その際の候補物質の可能な
干渉、レセプター結合u−PAは標識がたとえばビオチ
ンである、標識抗u−PA抗体によって検出される。
【0144】上記の簡便かつ迅速なスクリーニングにお
いて、物質が陽性であることが見いだされた場合には、
該物質によるu−PA/u−PAR相互反応の可能な阻
止を、当該物質をu−PARと放射標識u−PAまたは
その誘導体を含む系に加え、u−PAに結合したu−P
ARを交差結合させ、交差結合生成物をSDS−PAG
Eとオートラジオグラフィによって検出することにより
測定する、より労力を要する試験法で適切にテストする
ことができる。この試験法における陽性の結果は、当該
物質が事実u−PA/u−PAR結合を阻止することを
確認する。
【0145】通常、次の工程は、上記試験法においてu
−PA/u−PAR結合阻止陽性と認められた物質を、
培養細胞の表面におけるu−PAのu−PARに対する
結合の可能な阻止を判断する試験法で調べることであ
る。この試験法は、放射標識u−PAまたはその誘導体
とu−PAを有する細胞を含む系に当該物質を加え、u
−PARに結合するu−PAまたは誘導体を細胞のガン
マー計数によって検出することからなる。この試験法に
おける陽性の結果は、先の試験法で認められたu−PA
/u−PAR結合の阻止が可溶化されたu−PARの使
用に関連した人為的なものではなく、臨床的状況にある
場合のようにu−PARが細胞表面に結合した場合に実
際に達成されるものであることを証明する。
【0146】u−PA/u−PAR相互反応を阻止する
目的は、生物学的設定におけるu−PAの酵素活性を阻
止することである。これは、細胞表面プラスミノーゲン
活性化のレセプター結合外因性pro−u−PAによる
阻止が、u−PARを有する細胞に当該物質を添加し、
そこへpro−u−PAを添加し、細胞表面上のプラス
ミン発生を測定することによって決定される検定法で直
接試験することができる。外因的にu−PAを加えたこ
の状態はあるタイプの癌、たとえば結腸腺癌における状
況に類似しており、その場合癌細胞はu−PARを生産
し、かつ含有しているのに対し、u−PAは腫瘍支質中
において隣接した非腫瘍細胞によって生産される。
【0147】しかしながら、あるタイプの癌、たとえば
鱗片状皮膚癌の場合には、癌細胞それ自身がu−PAR
とu−PAを生産する。この場合においてはu−PA/
u−PAR相互反応の阻止は、2つの成分が異なった細
胞によって生産される場合よりも困難となる。問題の物
質がこれらの状況のもとにu−PA/u−PAR相互反
応を阻止することができるか否かを試験するためには、
レセプター結合外因性pro−u−PAによる細胞表面
プラスミノーゲン活性化の可能な阻止がu−PAR担持
細胞をインキュベートし、pro−u−PAを当該物質
で生産させ、セル表面におけるプラスミン発生の測定に
よって決定される方法を使用する。
【0148】動物実験において侵襲と転移についてのu
−PA/u−PAR相互反応を阻止する物質の効果を研
究する際に固有の問題点は、u−PA/u−PAR相互
反応における種特異性である。それ故、ヒトの系におい
てu−PA/u−PAR相互反応を阻止する物質が必ず
しもマウスのような実験動物系においてu−PA/u−
PAR相互反応を阻止するとは限らない。この問題はモ
ノクローナル抗体がu−PA/u−PAR相互反応を阻
止する物質として使用される場合に一層深刻なものとな
る。何故なら、ヒトu−PARに対するマウスモノクロ
ーナル抗体はマウスu−PARと反応しないからであ
る。それ故、本発明によりヌードマウスに接種されたヒ
ト癌細胞の侵襲および転移を容易に測定できるシステム
が開発された。常套のヌードマウスに接種されたヒトの
癌細胞は規則どおりには侵襲、転移しない。本発明によ
れば、nu/nuMETA/bomと称するヌードマウ
スのサブストレインは、実質上すべての場合において若
干の癌セルラインが侵襲し、転移することが確認され
た。さらに本発明によれば、マウスに接種されたヒトの
癌細胞は、接種に先立って酵素β−D−ガラクトシダー
ゼをコードするlacZ遺伝子によって形質転換され
た。この酵素は基質X−ガルに適用されたとき、青色染
色を示す。すなわちこの系はヒト癌細胞とマウス自身の
細胞との間で顕著な着色差を得ることを可能にし、これ
によって侵襲細胞と転移の検出および定量を著しく容易
化する。実施例9に記載した実験において、このマウス
モデルにおける侵襲、転移癌細胞はu−PAとu−PA
Rの両者を生産することが見いだされた。さらにその侵
襲と転移は、u−PAに対するモノクローナル抗体であ
って、細胞表面プラスミン発生を阻止するものの投与に
よって殆ど完全に阻止できることが見いだされた。pr
o−u−PAのレセプター結合の阻止がプラスミン発生
を阻止すると言う上記の発見と相俟って、これはu−P
Aとu−PARを生産する、細胞上のu−PA/u−P
AR相互反応を効果的に阻止する物質はヌードマウスモ
デルにおける侵襲と転移を阻止することを示すものであ
る。
【0149】マウスがu−PAとu−PARを生産する
ヒト癌細胞により接種されるモデルに加え、他の多数の
モデルもまた興味あるものである。そのような他のモデ
ルとしては、一方がu−PAを生産し、他方がu−PA
Rを生産する二つのタイプの癌細胞を接種するものであ
って、従って二つの異なったタイプの細胞で生産される
あるタイプの癌で生ずる臨床的条件が刺激されることに
なる。第3の興味ある場合として、u−PARを生産す
るヒト癌細胞をu−PAを生産するヒト腫瘍−潜入繊維
芽細胞と共に接種する場合である。
【0150】これらのヌードマウスモデルにおいて侵襲
と転移を阻止することが見いだされたu−PA/u−P
AR相互反応阻止物質は、u−PA/u−PAR相互反
応が侵襲と転移に決定的であると信じられているヒト癌
タイプ、たとえば結腸腺癌、乳腺癌、鱗片状皮膚癌にお
いて抗侵襲的かつ抗転移的であると考えられる。従って
このような化合物は有効な抗侵襲、抗転移薬として強力
な候補と考えられるから、動物において適切な毒性試験
を行った後、第1相および第2相の臨床試験でさらに研
究を行うべきである。
【0151】すなわち、本発明の一面は、上記の方法に
よって選択された場合に、哺乳類においてu−PAのレ
セプター結合系のu−PARへの結合を阻止することに
よってプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化を妨げ
ることによる、哺乳類、特にヒトにおける局所的蛋白分
解活性を阻止し、妨害する物質に関するものである。
【0152】他の面において、本発明は、上記した1つ
またはそれ以上の試験法で試験される種々の基準におい
て、特に当該物質がクレーム75にクレームした試験法
1)〜4)に示された基準に合致する場合において、局
在する蛋白分解活性を阻止し、妨害する物質に関する。
これは当該物質が、u−PAとu−PARが異なった細
胞タイプによって生産される臨床的状況において活性が
あると考えられるからである。
【0153】さらに当該物質がクレーム76の5)の基
準にも合致する場合には、u−PAとu−PARが同じ
細胞で生産される臨床的状況において活性があるものと
考えられる。
【0154】もし物質がマウスモデルにおいても陽性で
あるならば、それは人体においてヒト癌細胞の侵襲と転
移を抑制するであろうことを強く示すものである。
【0155】本発明の方法を使用してu−PA/u−P
AR結合を阻害することが見いだされた化学物質の一つ
はスラミンである。スラミン自身は一般に抗癌剤として
使用するには毒性が強過ぎるように思われるが、本発明
はスラミンの類似体もしくは誘導体であって毒性が低
く、しかもなおu−PA/u−PAR相互反応を阻害す
るものは適切な抗癌剤となることを示している。
【0156】図についての説明図1、アフィニテイ精製
u−PARのSDS−PAGE及び特異的リガンドへの
化学架橋
【0157】A) PMA処理u−PAR937a細胞か
らの膜蛋白含有トリトンX−114フラクションは固定
化DFP処理u−PAを用いるアフィニテイクロマトグ
ラフィに付した。中性化カラム溶出液を0.1%酢酸に
対して透析し、凍結乾燥により濃縮した。精製前2×1
細胞を表現する蛋白を還元条件下6−16公配SD
S−PAGEを続けた(レーン1)。ゲルを銀染色した。
マーカー蛋白の分子量(レーン2)を示す。
【0158】B) アフィニテイカラム溶出液を希釈し
て検定の間、1nMのu−PARのほぼ等濃度を得た。試
料をプレインキュベートのみ(レーン2)又は以下の非標
識化試薬の存在下、100nMの濃度でインキュベート
した。ウシ血清アルブミン(レーン3)、t−PA(レーン
4)、プラスミノーゲン(レーン5)、マウス表皮性生成
因子(レーン6)、ATF(レーン7)、活性54KDu−
PA(レーン8)、DFP−不活化54KDu−PA(レー
ン9)。室温で15分間インキュベーション後、I−標
識化ATF(約1nM)を加え、次いで4℃で1時間イン
キュベーションした。インキュベーション後、化学架橋
をDSSでなしとげ、その後試料を非還元条件下、6−
16%公配ゲル上SDS−PAGE及びオートラジオグ
ラフィにより分析した。レーン1は、125I−ATF
を伴う架橋コントロール及びu−PAR又は競合物の不
添加を示す。分子量標準蛋白の電気泳動可動性を示す
(kD)。
【0159】C) 中性化アフィニテイカラム溶出液を
(A)におけるように濃縮して、約15μg/mlのu−PA
R濃縮物を得、50μg/mlDFP−処理u−PAR−P
Aの存在下、DSSと(レーン3)、又はそれのみ(レー
ン4)と架橋した。コントロールとも:精製u−PARの
み、化学架橋なし(レーン5);DFP処理u−PAのみ、
化学架橋なし(レーン1);DFP−処理u−PA、架橋の
み(レーン2)。試料は非還元条件下、Phast−SDS−
PAGEを続けた。ゲルを銀染色した。化学架橋はDF
P−処理u−PAのみの移動速度で少しの増加となり、
多分、内側架橋によるものであるが、u−PARのみの
ものではない。分子量標準蛋白の電気泳動可動性(レー
ン6)を示す(kD)。
【0160】図2、精製u−PARの酵素脱グリコシ
ル。アフィニテイ精製125I−標識化u−PARを緩
和な還元条件下(実験方法参照)変性による脱グリコシル
のための前処理し、ペプチド:N−グリコシダーゼFで
処理し(レーン2)又は直接分析した(レーン1)。分析は
6−16%公配ゲル上、還元条件下、SDS−PAGE
により行ない、次いでコダックXARフイルム上オート
ラジオグラフィを行なった。標準蛋白の電気泳動可動性
を示す(kD)。
【0161】図3、架橋125I−ATFの脱グリコシ
ル:PMA−処理及び非処理u937細胞からのu−PA
Rコンプレックス。PMA−処理(レーン1及び3)及び
非処理(レーン2及び4)細胞を酸処理し、0.5%CH
APSで溶解した。溶解質を 125I−ATFとインキ
ュベートし、ジサクシニミジルスベリン酸塩で架橋し、
緩和な還元条件下変性し、次いでペプチド:N−グリコ
シダーゼFの存在下(レーン3及び4)又は不存在下(レ
ーン1及び2)、さらにインキュベートし、還元条件下
SDS−ポリアクリルアミド(6−16%)ゲル電気泳動
により分析し、次いでオートラジオグラフィに付した。
標準蛋白の電気泳動可動性を示す(kD)。
【0162】図4、化学的交差結合によるリガンド結合
u−PAR断片の検出 精製u−PAR(30μg/ml)をキモトリプシン(40ng
/ml)により37℃で7時間処理するか(レーン3)、又
は分解することなく直接分析する(レーン2)。コントロ
ール(レーン1)はバッファーを含み、同じ条件下にキモ
トリプシンと共に培養した。分析は、67倍希釈サンプ
ルを125I−標識ATF(1nM)と共に培養し、DS
Sで交差結合し、還元条件(A)又は非還元条件(B)で6
〜16%Tグラジエントゲル上のSDS−PAGEに付
し、ゲルのオートラジオグラフィーによって行う。分子
状マスマーカータンパクの電気泳動移動性が示されてい
る。
【0163】図5、u−PAR断片の電気泳動分解 (A)非分解、精製u−PAR(0.4μg)(レーン3)、図
4の説明に記載したようにキモトリプシン処理した精製
u−PAR(0.4μg)(レーン4)又は同じ条件でキモト
リプシン処理したバッフアー(レーン2)を還元条件下に
トリシンSDS−PAGE(10%T、3%C)で分析し
た。ゲルを銀染色した。マーカータンパクの分子状マス
(レーン1と5)が示されている。
【0164】(B)精製u−PARを図4の説明に記載さ
れているようにキモトリプシンで分解した。分解混合物
のサンプルをリガンドの不存在下(レーン2)又はAT
Fの存在下(レーン3)DSSによる化学的交差結合に
付した。レーン4は化学的交差結合後のATF製品のみ
を示す。交差結合は、12μl容で行われ、各サンプル
は0.27μgのu−PAR物質及び/又は0.05μg
ATFを含んでいた。DSS−処理サンプルと交差結合
に付されなかったu−PAR分解混合物のサンプル0.
27μg(レーン1)を還元条件下トリシンSDS−PA
GE(10%T、3%C)で分析し、銀染色を行った。分
子状マスマーカータンパクの電気泳動移動性が示されて
いる。
【0165】図6、u−PARとそのリガンド結合断片
の界面活性剤相分離 精製u−PARを図4の説明に記載したようにキモトリ
プシンで分解した。サンプルを100倍に希釈し、1%
トライトンX−114の存在下、温度誘導相分離に付し
た。得られた水相(レーン3)、界面活性剤相(レーン
2)、相分離を行わなかった分離混合物のサンプル(レー
ン1)及びブラインドサンプル(すなわち相分離を行わな
かったキモトリプシン処理バッファー)(レーン4)を
125I−ATF(1nM)と共に培養し、DSSによる
化学的交差結合に付した。すぺてのサンプルは、検定の
間にCHAPS含有バッファーを加えて最終的に同じ希
釈度(138倍)に調節した。交差結合サンプルを還元条
件下にSDS−PAGEに付し、ゲルのオートラジオグ
ラフィーを行った。分子状マスマーカータンパクの電気
泳動移動性が示されている。
【0166】図7、リガンド結合断片のデグリコシレー
ション インタクト、精製u−PAR(レーンA1とB1)又はキ
モトリプシン処理u−PAR(レーンA2とB2)のサン
プルを、キモトリプシン濃度を200ng/mlとする以外
は図4の説明に記載した方法で調製した。サンプルを6
7倍に希釈し、 25I−標識ATF(1nM)と共に培
養し、DSSによる化学的交差結合に付した。交差結合
サンプルを緩和な変性条件下デグリコシレーションのた
めの前処理に付し(実施例参照)、ペプチド:N−グリコ
シダーゼFの不存在(A)又は存在(B)の下に37℃、1
8時間インキュベートした。生成物を6〜16%Tグラ
ジエントゲル上、還元条件下、SDS−PAGEにより
分析し、オートラジオグラフィーに付した。分子状マー
カータンパクの電気泳動移動性が示されている。
【0167】図8、u−PARの内部アミノ酸配列の繰
返しとこれら繰返しのT細胞活性化 タンパク/Ly−6抗原およびイカタンパクSgp−2の
細胞外ドメインとの相同性
【0168】システイン基にはアンダーラインが付され
ている。略号は次の意義を有する:u−PAR1,2及
び3、u−PARの第1,第2及び第3繰返し(cDNA
配列(18)から導かれたアミノ酸配列の残基1〜92、
93〜191および192〜282);CO、u−PAR
の3つの繰返しに対する一致した配列;Ly−6a、Ly
−6c、Ly−6抗原/T細胞活性化タンパク(残基1〜
79と1〜76)(28〜31);Sgp−2、イカグリコ
プロテインSgp−2(残基1〜92)(32);CO、Ly
−6a、Ly−6cおよびSgp−2に対する一致した配
列。「アンカー」とはグリコホスホリピド尾部に対する
付着部位を示す。疑問符は付着部位がSgp−2配列との
配列によって提案されたものであることを示す。(3
2)。u−PARについて、付着部位は、仮にSer282
(すなわち示された最後の残基)又は残基Gly283もし
くはAla284のいずれかに対して与えられた(プラウ
グら、提出済)。
【0169】示された一致配列において、すべての配列
に存在した基は一致基と定義され、変化し得る位置はx
のマークを付し、メンバー配列のいずれかにおいてギャ
ップを含む位置はgのマークを付した。矢印は、制限化
キモトリプシン消化の間に開裂した結合を示す。u−P
AR繰返しに対する一致配列とLy−6及びSgp−2配
列に対するそれとの類似性(システインのパターンやギ
ャップ部分の存在)について注目されたい。
【0170】図9は、酸加水分解後u−PAR−PAR
から放れたアミノ酸の陽イオン変換クロマトグラフィか
らの溶出プロフィルを示す。蛋白は、トリトンX−11
4デタージエンド相分離及びアフィニテイクロマトグラ
フィ(DFP−u−PAR−PAセファロース)により、
PMA刺激u−PAR937細胞(6×10細胞)から
始めに精製した。純度を改良し、アミノ酸分析上、低分
子量化合物から干渉を排除するために、このレセプター
調製物は0.1%酢酸に対して徹底的に透析し、凍結乾
燥し、次いでトリシン−SDS−PAGEに付し、続い
て0.45μmPVDF膜(8cm×8cm)上電気伝導に付し
た。挿入物はクーマシーブリリアントブルーR−250
による染色後、固定化u−PAR−PARを示す。u−P
ARの可動性の少しの低下がこの実験で見られ、凍結乾
燥調製物中のツイッターイオンデタージエントCHAP
Sの大過剰による。u−PARを表わすPVDF膜の染
色域を切除し、3,3'−ジチオジプロピオン酸(DTD
PA)の存在下、110°で20時間、真空で加水分解
した。Cys−Xは加水分解の間システインとDTDPA
の間で形成される生成物であり、GlcNはグルコサミン
であり、EtNはエタノールアミンである。
【0171】図10は、バシルス・セレウスからのホス
ファチジルイノシトール−特異性ホスホリラーゼC(P
I−PLC)による付着PMA−刺激u937細胞からの
12 I−標識化DFP処理u−PAの遊離を示す。始
めに内因的に生成したu−PAを酸処理によりPMA刺
激u937細胞(2×10細胞/皿)から溶出する。外
因的に加えた125I標識化DFP処理u−PA(1nM
及び4.5×10cpm)の結合を、25mMHEPES、
pH7.4を含む5ml血清を含まないRPMI1640培
地中4℃で2時間実施した。細胞をこの緩衝液で3回洗
浄後、1つの皿を5%SDSで抽出し、100%細胞結
合放射活性を明らかにし、一方、他をもう一度酸処理し
て、酸抽出化活性を測定した(このレベルは縦座標で矢
で示す)。2つの皿は各々0.6μgPI−PLC/mlを
受け(△)、一つは8μg/mlホスホリパーゼAを受け
(○)、一方、最後の皿は緩衝液コントロールを構成した
(●)。培地の2つのアリコット(100μl)を各皿か
ら、37℃で撹拌テーブル上でのインキュベーションの
間にとり、放出放射活性を遠心(20,000Xg5分間)
後、上清中で測定した。試料は図11に示すようにSD
S−PAGEにより後で分析した。
【0172】図11は、コンプレックス形成及び125
I−標識化DFP処理u−PAのSDS−PAGEによ
る分子分析及びPI−PLCによる培地に放出されたu
−PARを示す。図10に記載される実験からの上清の
アリコットは、非還元条件下、直接(A)又は続く1mM
ジサクシニミジルスベリン酸塩(DSS)と架橋し、サン
プリン後直ちに実施して(B)、SDS−PAGE(10
%T、2.5%C)により分析した。別の実験(C)で、2
皿のPMA刺激u937細胞を、図10の説明に記載さ
れるように培養し、酸処理する。中和後、一皿を5mlの
血清のない培地(25mMHEPESを含むRPMI16
40.pH7.4)中0.6μgPI−PLCとインキュベー
トし、一方、他を5mlの培地のみでインキュベートし
た。リパーゼの添加及び直ちに遠心(20,000Xg、
5分間)後、アリコットを0分、30分及び60分に抜
き取った。上清を125I標識化DFP不活化u−PA
(1nM)と4℃で1時間プレインキュベートし、次いで
1mMDSSと架橋した。最も右のレーン(DFP−u−
PA)はu−PARの不存在で架橋した125I標識化リ
ガンドを表わす。試料は上のようにSDS−PAGEに
より分析した。
【0173】図12は、PI−PLCで処理による精製
u−PARの疎水性性質の変化を示す。PMA刺激u93
7細胞から精製したu−PARは処理することなく(NO
NE)又は全くホスホリパーゼがない(MOCK)か又は
20μl/ml/PI−PLCの存在下(PI−PLC)、
50mMトリエチルアミン/HCl(pH7.5)、5mME
DTA及び0.1%トリトンX−100中、37℃で3
0分間インキュベートした。一つの試料を50mM酢酸
塩(pH6.0)、10mMCaCl中キャベツから精製し
た200μg/mlホスホリパーゼDと共に(PLD)、そ
して他は50mMHEPES(pH8.0)、10mMCaCl
中ハチ毒から精製した100μg/mlホスホリパーゼ
で(PLA)インキュベートした。これらのu−P
AR調製品は次いで1%トリトンX−114中、温度誘
発デタージエント相分離に付した。この相分離を、それ
ぞれ余分のトリトンX−114及び0.1Mトリス(pH
8.1)の添加により水及びデタージエント相を得るのに
一度繰り返した。最後に、1nM125I標識化ATF
との架橋分析を水(A)及びデタージエント(D)相の同時
のアリコット上で実施し、次いで非還元条件下、SDS
−PAGE(10%T及び2.5%C)により行なった。
125I−ATF/u−PARコンプレックス(Mr70,
000)に相当する領域をポリアミドゲルから切除し、
放射活性を測定した(各レーンの底にA+Dで全放射活
性の%として示す)。
【0174】図13は、GPI−膜沈降の間プロセシン
グ部位が既知である蛋白からのCOOH末端アミノ酸配
列のu−PARに関し予言されたものに対する(アミノ酸
分析を基礎として、表5)比較を示す。グリコリピドへ
の付着に含まれるアミノ酸が目だつ。VSG及びPAR
Pは変異体表面グリコプロテイン及びトリパノゾマ・ブ
ルケイからのプロサイクリック酸性反復蛋白を表わす。
CEAは癌胎児性抗体である。PLAPは胎盤アルクリ
ホスファターゼであり、Thy−1はラット胸腺細胞から
分離した表面グリコプロテインを表わす。
【0175】図14、125I標識化精製u−PARの
放射免疫沈降。縦座標:%125I−u−PAR沈澱。横
座標:免疫/非免疫血清希釈1:75、1:750、1:7
500及び1:75000。
【0176】バー1−11は、1)各試料に加えた
125I−u−PARの総量、44000cpm:2)試験管
への放射活性の結合のコントロール:3)プロテインAセ
ファロースへの125I−u−PARの結合のコントロ
ール:4−7)非免疫血清への12 I−u−PARの結
合:8−11)免疫血清への125I−u−PARの結合
を表わす。
【0177】図15、方法のところで記載したと同じ逆
固相ラジオイムノアッセイ。免疫/非免疫血清による
125I−u−PARのキャッチング。縦座標:cpm結
合、横座標:抗体の2倍系列の希釈、1:500−1:3
200、X−X免疫:○−○非免疫。各試料に添加した
125I−u−PARの総量:33000cpm。
【0178】図16、ELISA。精製u−PARを1n
g/ウェルの濃度で覆った。免疫/非免疫血清(一次抗
体)を1:500から1:256000の範囲で2倍系列
希釈に添加した。1:500希釈したペルオキシダーゼ
接合二次抗体を用いた。基質はOPDであった。酵素基
質反応からの色彩発達を490nmで読んだ。反応は10
分後停止した。y軸:OD490nm。x軸:免疫/非免疫血
清の希釈。×−×免疫;○−○非免疫。
【0179】図17、精製u−PARに対して作った抗
体による細胞性ATF結合の阻害。5×10u937a
細胞を精製u−PARに対して作ったマウス抗血清と共
に(●−●)又は、ブタムチンに対して作ったコントロー
ルマウス抗血清と共に(○−○)4℃で1時間プレインキ
ュベートし、続いて2.2nM125I−ATFを加え
て、同一温度でさらに1時間インキュベートした。次い
で細胞を3回洗浄し、細胞結合放射活性をガンマカウン
ターで測定した。横座標は、1:153,600から1:
300の範囲の最終希釈の、抗血清の2倍希釈系列を表
わす。縦軸は抗血清が存在しないで得た値のパーセンテ
ージとして細胞結合放射活性を表わす。700nM非標
識化u−PAによる抗血清の置換は、結合の90%阻害
となった。
【0180】挿入:ウエスタンブロットは用いた抗血清
の反応性を示す。500ngの精製u−PAR(レーン2及
び4)又は2.5×10PMA刺激u937細胞から得
たトリトンX−114デタージエント相(レーン1及び
3)を、6−16%公配ゲル上還元条件下SDS−PA
GEにより分析した。そしてウエスタンブロッティング
は、1:250に希釈した一次抗血清マウス抗−u−PA
R血清(レーン1及び2)又は同一希釈で上記コントロー
ル血清(レーン3及び4)として用いた。
【0181】図18は、u−PARに対するポリクロー
ナルウサギ抗体の反応性を証明するウエスタンブロット
を示す。PMA刺激u937細胞の溶解質からのトリト
ンX−114デタージエント相の75μl試料はそれだ
けで(レーン1)、DFP処理u−PAと混合後(実施例
1:最終濃度10μg/ml)(レーン4)又は同一量のDF
P処理u−PAと混合後、化学架橋し(レーン3)、分析
した。コントロールとして同一量のDFP処理u−PA
のみを、架橋実施後(レーン5)又は直接(レーン6)、分
析した。レーン2の試料は、75μlの細胞溶解質デタ
ージエント相を含んでおり、DFP処理u−PAを添加
することなく化学架橋に付した。試料は非還元条件下6
−16%公配SDS−PAGE上で移動し、次いでニト
ロセルロース上エレクトロブロッティングした。シート
は、ウサギ抗−u−PAR血清からの精製及び吸収IgG
(A)と、又は、同一ウサギからの免疫前血清からの精製
及び吸収IgG(B)とインキュベートした。インキュベ
ーションの間のIgG濃度は、両場合とも12μg/mlで
あった。シートをウサギIgGに対するアルカリホスフ
ァターゼ結合抗体と共に発達させ、次いでアルカリホス
ファターゼ活性の検出を行なった。
【0182】図19、4つのモノクローナル抗体による
125I−標識u−PAR(I)及びu−PAR(D)の免疫
沈澱。
【0183】精製u−PAR(30μg/ml)はキモトリプ
シン(40ng/ml)により37℃において7時間処理し
た。非分解インタクトu−PARと分解u−PARを
125I−ヨードによって放射標識した。3.5×10
cpm/mlに相当する125I−u−PAR(I)及び
125I−u−PAR(D)の量を材料(Materials)と方法
(Methods)に記載されたように免疫沈澱に付した。すべ
ての抗体溶液は同一濃度(20μg/ml)であった。
【0184】A.125I−u−PARの免疫沈澱。レ
ーン1〜10は次のサンプルを表す:出発物質、Prot.
A seph.溶液50μl(コントロール)、アフィニティ精
製ウサギ抗u−PAR血清、アフィニティ精製ウサギ前
免疫血清、2R,3R,1R,4R,モノクローナル抗
体のプール、抗TNPモノクローナル抗体(neg コント
ロール)。 B.125I−u−PAR(D)。レーン1〜10は上記
と同じ抗体を表す。
【0185】図20、u−PARに対して高められた4
つのモノクローナル抗体の反応性を示すウエスターンブ
ロット。
【0186】3×10PMA−刺激u937とu937
a細胞から得られたトライトンX−114ディタージェ
ントを1つの大きなスロットで適用し、6〜16%グラ
ジエントゲル上で非還元条件下SDS−PAGEにより
分析した。分離したタンパクをニトロセルロースに移
し、4つのモノクローナル抗体及びコントロール血清
(マウス抗u−PAR血清とマウス非免疫血清)を使用す
るウエスターンブロッティングに付した。
【0187】A.u937細胞からのサンプル。ニトロ
セルロースシート片を、モノクローナル抗体1R、2
R、3R、4Rを分泌するハイブリドーマからの消費メ
ディアの1:1希釈物(レーン1〜4)、1:500希釈マウ
ス抗u−PAR血清(レーン5)及び1:500希釈マウス非
免疫血清(レーン6)と反応させた。分子量マーカーが示
されている。 B.u937a細胞からのサンプル。ニトロセルロースシ
ート片を上記のようにインキュベートした。
【0188】図21、精製u−PARの定量化を示す2
つの抗体サンドウィッチELISA。ELISAは実施
例6に記載したように実施した。捕捉抗体として次のも
のを使用した:モノクローナル抗体4R、トリニトロフ
ェノール(TNP)に対するモノクローナル抗体、実施例
4に記載されたように調製されたu−PARに対するア
フィニティ精製ポリクローナルウサギ抗体及び実施例4
に記載されたように調製された前免疫血清、濃度20μ
g/ml。精製u−PARは、1:500〜1:32000の範囲で
2倍づつ連続的に加えた。検出抗体は濃度500ng/ml
のビオチン化モノクローナル抗体2Rであり、パーオキ
シダーゼ結合アジビンは1:5000に希釈した。7分後酵
素基質反応により発色させ、490nmと540nmで測定
した。
【0189】X軸:精製u−PARの2倍づつの連続希
釈 Y軸:OD490nm/540nm。 A:4R(黒丸)とTNPに対するモノクローナル抗体
(白丸) B:ポリクローナルウサギ抗u−PAR抗体(黒三角)と
ウサギ前免疫血清(白三角) 注意:u−PARの希釈度1:500において、OD値は測
定するには高過ぎた。
【0190】図22は、u937細胞上のuに結合した
pによるプラスミノーゲン活性化の動力学を示す。DF
P−pと抗u抗体との競合によりuに特異的に結合して
いることが証明された、pと共に前培養された937細
胞を、Glu−プラスミノーゲン(0.09〜2.26μ
M)と共に培養した。プラスミンの生成速度をプラスミ
ノーゲン濃度に対して二重相反法でプロットした。Km
は0.67μMとして決定され、Vmaxは0.043nM
min−1として決定されたが、これは実験的に決定され
た細胞結合p濃度7.7pMにおいて、Kcat 5.6min
−1に相当する。
【0191】図23、酸洗937細胞を種々の濃度のモ
ノクローナル抗体3Rと培養し、細胞にpを結合させた
ときの残留p触媒細胞表面プラスミノーゲン活性化。残
留p活性(すなわちプラスミン産生速度)は、抗体と培養
されなかった細胞に比較した%で示される。示されたデ
ータは3回の独立した実験による平均±標準偏差であ
る。
【0192】図24、酸洗937a細胞をモノクローナ
ル抗体1(パネルA)、2R(パネルB)、3R(パネルC)
および4R(パネルD)の各々2μg/mlの存在又は不存
在下30分間前培養し、pro−p、プラスミノーゲン
2及び蛍光性プラスミン基質H−D−Val−Leu−Lys
−7−アミド−4−メチルクマリンと培養した。
【0193】(△)細胞不存在下におけるプラスミン産
生、(□)抗体と前培養された937aの存在下における
プラスミン産生、(▽)抗体なしの937aの存在下にお
けるプラスミン産生。
【0194】図25は、cDNAサブクローンpHUR
06から生じたアンチセンスRNAを用いるヒト結腸腺
癌のパラフィン部分へのハイブリダイゼーションを示
す。侵襲ホーカス(a及びb)における分裂腫瘍腺は、
腫瘍細胞のストランドの前縁における細胞へのハイブリ
ッド形成を示す(bにおける矢印;bはaにおける正方
形領域の拡大である)。密着細胞から成る腫瘍腺におい
て、ハイブリダイゼーション信号は悪性上皮のアルブミ
ン表面における細胞上に位置する(c;矢印)か、腺の
周りの間質組織に存在する細胞上に位置する(d;矢
印)。新血管新生の領域において、間充組織由来と思わ
れる細胞はハイブリッド形成を示す(e)。倍率:21
6×(a)、540×(b−d)、870×(e)。
【0195】図26、結腸腺癌の一例のモノクローナル
抗u−PAR抗体クローンR2による免疫染色(A)。
腫瘍−間質界面(点線)に位置する多数の腫瘍細胞(直
線矢印)はu−PARに対し強陽性である。断面におけ
る僅かな陽性組織球(曲線矢印)についても注目された
い。陰性コントロール(抗TNP)抗体(b)について
は染色が認められない。
【0196】図27、u−PAとu−PARの間の結合
阻止についての化合物スラミンの効果は、2種の抗体サ
ンドイッチELISAとして構成され、実施例9に説明
されているように実施された物質スクリーニングELI
SAで試験された。R4は20μg/mlの濃度におい
て捕捉抗体として用いられた。精製u−PARは20n
g/mlの濃度で加えられた。DFP−u−PAは最終
濃度5ng/mlとなるようにブロッキングバッファー
と共に又は3倍連続希釈濃度のスマリンとの混合物の状
態で加えられた。検出抗体は、濃度2μg/mlのビオ
チン化抗u−PA抗体クローン5であり、パーオキシダ
ーゼ結合アビジンは1:5000に希釈された。3分後
酵素−基質反応により発色させ、490nmおよび54
0nmで測定された。コントロールとして、検定の種々
の工程において反応試剤を省略したものを使用した。
【0197】X軸:スマリンの3倍連続希釈 Y軸:490nm/540nmにおける吸光度 DFP−u−PA単独(△)、DFP−u−PAとスラ
ミン(□)、ブロッキングバッファー(▽)。
【0198】図28は、125I標識ATFとu−PA
Rの間の交差結合の化合物スラミンによる阻止をスラミ
ンの存在または不存在下、HEp−2細胞分解物中の
125I標識ATFのu−PARへの化学交差結合の測
定により決定したものを示す。次のスラミン濃度(mg
/ml)を使用した:0(レーン2)、0.1(レーン
3)、0.25(レーン4)、1.0(レーン5)、2.
5(レーン6)、10.0(レーン7)。レーン1は、
細胞分解物の代わりにバッファーを加え、スマリンを加
えない陰性コントロールを示す。右の方への数はマーカ
ープロテインの分子性マスを示す。スマリンは、図から
明らかなように、u−PARとリガンド12 I標識A
TFの間の結合反応を用量依存的に阻止することが見い
だされた。スマリン1mg/mlの濃度においては結合
活性は検出されず、0.1mg/mlのスマリン濃度で
は結合活性50%以上の阻止率が得られた。結合活性
は、放射標識共有結合の形成として定義された。
【0199】図29は内因的に産生されたpro−u−
PAのPARに対する結合について、モノクローナル抗
体3Rの存在下における培養MDA−MB−231細胞
の効果を示すものであって、これはエリスら(1989
年)に記載されたメカニズムによってプラスミノーゲン
活性化を伝達する結合pro−u−PAの活性によって
決定された。抗体3Rは、プラスミノーゲン発生速度
を、抗体の不存在下に培養されたコントロール細胞の2
0%まで低下させたが、これは3Rが内因的に分泌され
たpro−u−PAのPARへの結合を阻止するのに有
効であり、またその機能的活性を証明するものである。
【0200】図30、イン・ビトロおよびイン・ビボで
成長した腫瘍細胞のX−ガル染色。細胞と腫瘍は固定
し、X−ガル染色の処理を行った(実施例9参照)。
A:MDA−MB−435BAG細胞;B:通路20に
おけるMDA−MB−435BAG細胞;C:皮下MD
A−MB−231キセノグラフト;D:ヌードマウスに
おける皮下MDA−MB−231BAGキセノグラフト
通路2。
【0201】図31A:一次元MDA−MB−435B
AG腫瘍の冷凍断片。腫瘍組織は冷凍切断処理に付し、
X−ガル染色を行った(実施例9参照)。腫瘍細胞のみ
がX−ガルにより陽性に染色された。 TT:腫瘍組織。MT:マウス組織。 3B−D:二次元MDA−MB−435BAG腫瘍の巨
視的外観。X−ガルによる全臓器染色。B:肝臓;C:
脾臓と膵臓;D:腸管。 3E−G:MDA−MB−435BAG腫瘍細胞のマウ
ス肺への転移性拡がり。E:肺転移の巨視的外観;F:
単一肺転移(矢印);G:3Fに見られる肺転移の組織
学的断片、H.E.染色、40X。 3H:MDA−MB−435BAG腫瘍細胞で皮下的に
接種されたマウスからの腹水のX−ガル染色。
【0202】
【実施例】実施例1 u−PARの精製および特性決定 物質および方法 SDS−PAGE:特に説明しない場合、SDS−PA
GEは、U.K.ラエムリの方法[「クリーベイジ・オブ
・ストラクチュラル・プロテインズ・デュアリング・ジ
・アセンブリー・オブ・ザ・ヘッド・オブ・バクテリオ
ファージT4」、ネーチャー、227巻、680〜68
2頁(1970年)]により、6−16%勾配の平板ゲ
ルを使用して実施した。試料の前処理は、非還元条件下
では煮沸せずに実施した。還元条件を使用した場合は、
試料を20mM DTTの存在で5分間煮沸した。
【0203】ファスト・ゲルSDS−PAGEはファス
ト・ゲル装置(ファーマシア)で既製の10−15%勾
配ゲルを使用して実施した。電気泳動は製造業者の指示
にしたがい実施した。銀染色はホイケスホーフェンおよ
びデルニックの方法(1988年)により実施した。
【0204】アミノ酸分析またはNH末端アミノ酸配
列決定のため、電気ブロットする試料のトリシン−SD
S−PAGEは、シェーガーおよびフォン・ヤゴフ(1
987年)にしたがい、ミニ・プロテアンII装置(バイ
オ・ラド)で、0.75mmの均質な7.7%T、3%Cゲ
ルで実施した。スカベンジャーとして12mM 3−メル
カプトプロパン酸を添加したゲル緩衝液中で、ゲルを1
5mAで3時間予備電気泳動した。40mMジチオトレイト
ールを還元剤として含有する試料緩衝液50μlへ、凍
結乾燥した試料を直接溶解し、2分間煮沸した。予備電
気泳動に使用したゲル緩衝液を電気泳動用緩衝液と取り
換えたのち、60Vで電気泳動を4時間実施した。
【0205】アミノ酸分析またはNH末端アミノ酸配
列決定のための試料の電気ブロッティング:電気泳動の
のち、半乾燥電気ブロッティング装置(JKA・インス
トルメンツ、デンマーク)を使用し、トリシン−SDS
−ポリアクリルアミドゲルを二フッ化ポリビニリデン
(PVDF)膜(ミリポア)上へ電気ブロットした。電
気ブロットは、0.4mMジチオエリトリトールおよび1
0%メタノールを含有する10mM CAPS[3−(シ
クロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸]中
で、pH11.0で起こり、0.8mA/cmで2時間実施
した。タンパク質をクーマシーR250で2分間染色
し、短時間脱染色し、ついで水洗することにより位置を
突き止めた(マツダイラ、1987年)。
【0206】電気ブロットしたタンパク質のアルキル化
およびアミノ酸配列決定:クーマシー染色したタンパク
質バンドをPVDF膜から切り出し、暗所、室温で、5
0mMホウ酸ナトリウム(pH8.0)中、25mMヨード
酢酸アミドで1時間処理した。反応後、水で十分に洗浄
し、アルゴン大気下で乾燥した。乾燥フィルター上のタ
ンパク質をアプライド・バイオシステムズ477A型タ
ンパク質配列解析器で配列決定した。PTHアミノ酸誘
導体のためのオン・ラインHPLC同定システムはカル
ボキシメチルシステインの誘導体を含有していた(変換
中にアミドメチル誘導体の脱アミド化によって生成)。
この誘導体の正確な同定は、これと平行して行ったニワ
トリ・リゾチーム(6番目の残基にシステインを有す
る)の調製用電気泳動、電気ブロッティング、およびア
ルキル化したのち、試験的配列決定によって確認した。
【0207】アミノ酸組成およびアミノ糖の測定:電気
ブロットしたu−PARの加水分解のため、クーマシー
染色し、その位置でアルキル化したタンパク質を含有す
るPVDF膜の領域を、真空下に0.05%フェノール
含有6M塩酸で110℃で20時間処理した。ポストカ
ラム−O−フタルジアルデヒド同定システムを装備した
ウオーターズ・アミノ酸分析装置でアミノ酸分析を実施
した(バークホルトおよびジェンセン、1989年)。
【0208】分析研究のための細胞培養:下記のヒト細
胞系を括弧内に示した供給源から得た。組織球性リンパ
腫細胞系U937(U937aと命名)(E.K.O.ク
リュイトフ、ユニバーシティー・ホスピタル・センタ
ー、ローザンヌ、スイス)、この細胞系の変異株(U9
37bと命名)(A.ファトロッシ、リサーチ・ラボ・
オブ・アエロナウティカ・ミリターレ、ローマ、イタリ
ア)、前骨髄性白血病細胞系HL−60(アメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC))、膀
胱癌細胞系5637(ATCC)、喉頭表皮癌細胞系H
Ep−2(ATCC)、表皮癌細胞系A−431(E.
ヘルセス、ユニバーシティー・オブ・トロンハイム、ノ
ルウェー)、子宮頚癌細胞系ヒーラー(ATCC)、大
腸癌細胞系HCT116(ATCC)、結膜細胞系チャ
ング(ATCC)、絨毛膜癌細胞系JEG−3(A.バ
ヘリ、ユニバーシティー・オブ・ヘルシンキ、フィンラ
ンド)、羊膜細胞系AV3(ATCC)、線維肉腫細胞
系HT−1080(A.バヘリ)。U937およびU9
37aおよびHL−60細胞は懸濁で増殖したが、他の
すべての細胞は単層で増殖した。HT−1080および
A−431細胞は、加熱失活させた10%ウシ胎児血清
を含有するダルベッコの修飾したイーグルの培地で増殖
した。他のすべての細胞系は加熱失活させた5%ウシ胎
児血清および2mM L−グルタミンを含有するRPMI
1640培地で増殖した。すべての培地はペニシリン2
00単位/ml、ストレプトマイシン25μg/mlを添加
した。すべての細胞は5%COを加えた加湿大気下で
37℃で培養した。付着細胞はゴムかき取り器で回収し
た。U937細胞のPMA誘発は、(0.5〜1)×1
細胞/mlの密度で150nM PMAで実施した。細
胞がプラスチック表面へ付着する場合は、4日間処理を
行った。PMA誘発した付着性U937細胞はゴムかき
取り器で回収した。
【0209】U937細胞の大規模生産:1リットルの
スピンナーフラスコ中で、2mM L−グルタミン、5%
ウシ胎児血清(加熱失活)、ペニシリン200単位/m
l、ストレプトマイシン25μg/mlを補給した(または
抗生物質を加えない)RPMI 1640培地で、U9
37a細胞を(1.0〜1.5)×10細胞/mlの密度
に達するまで増殖した。各フラスコは細胞培養500ml
を含んでいた。
【0210】U937細胞のホルボール−12−ミリス
テート−13−アセテート(PMA)誘発および回収:
1スピンナーフラスコの500ml細胞浮遊液を、新たに
調製した無血清培地1リットルへ加えた。ジメチルスル
ホキシドで貯蔵したPMA貯蔵液(1ml当たりPMA1
mg)150μlを最終濃度150nM PMAに達するまで
添加した。培養を10層の重層細胞培養装置(ヌンク、
デンマーク)へ移し、この装置で3.5日間増殖させ
た。PMA溶液を添加すると、細胞は分裂を停止し、表
面へ付着した。
【0211】付着性の少ない多数の細胞をなお含んでい
る1.5リットルの上清を回収した。一層強く付着して
いる細胞は、装置を0.1%EDTAを含有するPBS
(Ca++およびMg++を含有せず)500mlで洗浄
し、激しく振とうすることによって回収した。2つの細
胞浮遊液をプールして合計2リットルの回収液を得た。
細胞を遠心によって採取した。
【0212】細胞溶解および界面活性剤層分離:PMA
刺激したU937細胞をニールセンらの報告(1988
年)のように洗浄し、酸処理した。細胞溶解緩衝液20
ml[0.1Mトリス/HCl(pH8.1)、1%トリト
ンX114、10mM EDTA、10μg/mlアプロチニ
ン]および100mMフェニルメチルスルホニルフルオリ
ドのジメチルスルホキシド溶液0.2mlを、酸処理細胞
10へ0℃で加えた。懸濁液を完全に混合し、氷上で
5分間放置し、再混合してさらに5分間0℃で放置した
のち、4℃、16000×gで、10分間遠心により液
を透明にした。
【0213】透明にした細胞溶解物を、37℃で10分
間インキュベーションして熱誘発による層分離処理(ボ
ージャー、1981年)をしたのち、20℃、1800
×gで10分間遠心によって、界面活性剤層を採取し
た。上層を棄てた。0.1Mトリス/HCl(pH8.
1)18mlを下層(約2ml)へ0℃で加えることによっ
て洗浄し、ついで完全混合によって透明な単一層の溶液
を回復させ、前記のように加熱・遠心によって層分離を
繰り返した。
【0214】新しい上層を除去後、0.1Mトリス/H
Cl(pH8.1)の添加により下層を20mlとした。
その後の操作および精製の間に、新たな層分離を避ける
ため、3−((3−コールアミドプロピル)ジメチルア
ンモニウム)−1−プロパンスルホン酸塩(CHAP
S)(10%w/v)500μlを添加して、透明単一
な層の界面活性剤画分を得た。微量の不溶性物質を、4
℃で3300×g、15分間の遠心によってこの溶液か
ら除去した。
【0215】これと同様な方法で、ただし一層少量の細
胞物質を使用して、他の細胞型(前掲)から細胞溶解物
および界面活性剤層を作成した。すべての試薬量を比例
的に減量した。1実験では1%トリトンX114の代わ
りに0.5%CHAPSを細胞溶解界面活性剤として使
用した。この実験では、層分離は起こらなかった。
【0216】アフィニティーマトリックスの作成:u−
Pa(セロノ)2.5×10IU(約25mg)を0.1
Mトリス/HCl(pH8.1)、0.1%ツイーン80
25mlに溶解した。新しい500mMジイソプロピルフ
ルオロホスフェート(DFP)のイソプロパノール保存
溶液250μlを添加し、37℃で4時間インキュベー
トし、最初の2時間後、さらに同量のDFPを追加する
ことによって、酵素を失活させた。
【0217】0.25M NaHCO、0.5M NaC
l、0.1%トリトンX−100(pH8.5)に対して
0℃で十分に透析することによって反応を停止させた。
【0218】容量合計50ml中の透析した物質を、0.
25M NaHCO、0.5M NaCl(pH8.5)
(カップリング緩衝液)で新たに平衡化したCNBr−
活性化セファロース(ファーマシア)12.5mlへ結合
した。反応を4℃で1夜進行させ、1Mエタノールアミ
ン/HCl(pH8.0)でマトリックスを平衡化し、
4℃で24時間インキュベートすることにより反応を停
止させた。マトリックス(DFP−u−PA−セファロ
ース)をカップリング緩衝液で洗浄し、使用前、好適な
溶出緩衝液(後出、参照)で予備溶出した。
【0219】アフィニティー精製:U937a細胞6×
10から得られた透明にした界面活性剤画分を洗浄緩
衝液−1[10mMリン酸ナトリウム、140mM塩化ナト
リウム、0.1%CHAPS(pH7.4)]1容量で希
釈し、上記と同じ緩衝液で平衡化したDFP−u−PA
−セファロース8mlを含有するカラムでクロマトグラフ
ィー精製を行った。試料を適用後、カラムを洗浄緩衝液
−1で洗浄し、ついで洗浄緩衝液−2[10mMリン酸ナ
トリウム、1M塩化ナトリウム、0.1%CHAPS
(pH7.4)]で洗浄した。カラムを溶出緩衝液[0.
1M酢酸、0.5M塩化ナトリウム、0.1%CHAPS
(pH2.5)]で下方から溶出した。溶出後、直ちに
0.1Mリン酸ナトリウム、1.0M炭酸ナトリウム(p
H9.0)の好適な容量を溶出画分へ添加することによ
りpH7.5に調節した。ウロキナーゼの125I−標
識アミノ末端(ATF)断片へ化学的に橋架けし、SD
S−PAGEおよびオートラジオグラフィーによって、
u−PAR含有画分を同定した。アミノ酸分析またはN
末端アミノ酸配列決定のため精製したu−PAR試
料を、0.1%酢酸に対して透析し、凍結乾燥した。
【0220】125Iによるタンパク質の標識:ATF
125I−標識を、先の報告と同様に(ニールセン
ら、1988年)、ただし0.1%トリトンX−100
を0.01%ツイーン80で置き換えて実施した。0.1
%酢酸に対して透析後、凍結乾燥によって濃縮した精製
u−PARタンパク質1.5μgを、容量25μl中、
25I 250μCiで処理して同様の方法によりヨウ素
化した。
【0221】化学的な橋架け検定:複合体混合物または
精製した画分中のu−PARの12 I−標識ATFへ
の橋架け反応を、可溶化した受容体に関して報告した方
法(ニールセンら、1988年)と同様に、架橋剤とし
て2mMジスクシンイミジルスベリン酸(DSS)を使用
して実施した。SDS−PAGEおよび銀染色による分
析のため、精製したu−PARのDFP処理したu−P
Aへの橋架け反応を、これと同じ方法で、ただし非標識
DFPで処理したu−PAをリガンドとして使用して、
実施した。
【0222】酵素的脱グリコシル化:細胞溶解物および
界面活性剤画分中のu−PARに対する脱グリコシル化
研究のため、分解前に、受容体を125I−標識したA
TFへの化学的橋架け反応により選択的に標識した。
【0223】凍結乾燥し、精製したu−PARは直接放
射性ヨウ素化された。N−結合した炭水化物を完全に除
去するため、SDSおよびジチオトレイトールを、それ
ぞれ最終濃度0.5%および1.6mMまで添加して3分間
煮沸する緩和な還元条件下で、試料を変性させた。変性
させた試料のアリコート(10μl)を、ペプチド:N
−グリコシダーゼF 1単位(N−グリカナーゼ、ゲン
ザイム)添加または酵素無添加で、容量合計30μlで、
200mMリン酸ナトリウム(pH8.6)、1.5%トリ
トンX−100、10mM 1,10−フェナントロリン
(メタノール貯蔵液から添加)を含有するように調節し
た。脱グリコシル化を37℃で20時間実施した。CH
APSで溶解後、得られた非分画の細胞溶解物の研究で
は、還元のため、ジチオトレイトールの代わりに100
mM β−メルカプトエタノールを使用し、脱グリコシル
化では、1,10−フェナントロリンの代わりに10mM
EDTAを含有させた。
【0224】脱シアル酸するため、125I−ATFへ
の橋架け反応によって標識した細胞溶解物70μlを0.
05M酢酸ナトリウム(pH5.0)で200μlへ増量
した。混合物の90μlアリコートを33ng/μlノイラ
ミニダーゼ(ベーリンガー−マンハイム)14μlまた
は無酵素で処理した。脱シアル酸は37℃で1夜実施し
た。
【0225】結果:精製:PMA刺激したU937細胞
を酸処理して、表面結合したu−PAがあれば除去し、
緩衝液を含有するトリトンX−114で細胞溶解した。
界面活性剤抽出物を温度誘発層分離で処理し、単離した
界面活性剤層をアフィニティークロマトグラフィーの原
料として使用した。酸溶出物を中和して、直接または
0.1%酢酸に対する透析により濃縮し凍結乾燥したの
ち、これを分析した。精製物質の電気泳動の挙動を第1
図に示す。
【0226】SDS−PAGEおよび銀染色のあと(第
1A図)、溶出したタンパク質は1本の幅広いバンドと
して約55〜60kDaの範囲を含んで移動した。この
範囲の外側では、タンパク質物質は検出されなかった。
SDS−PAGEを非還元条件下で実施すると、同一の
見掛けの分子質量を有する単一のバンドが認められた
(第1c図、レーン5)。
【0227】ATFに対するウロキナーゼの結合活性の
分析を、125I−標識したATFへの化学的橋架け反
応、ついでSDS−PAGEおよびオートラジオグラフ
ィーにより実施した。ATF結合活性が銀染色可能なタ
ンパク質と一緒に溶出した。ATFと精製タンパク質と
の間に生成した複合体は、電気泳動の間、70〜75k
Daの1成分として移動した(第1B図、レーン2)。
部分的に精製したu−PARで以前に示したように(ニ
ールセンら、1988年)、生成した複合体は、無傷の
PMA刺激したU937細胞でATFによって生成した
橋架け反応生産物(成績は示さない)、およびこれと同
じ細胞からの未精製の界面活性剤抽出物中の橋架け反応
生産物と判別ができなかった。125I−標識したAT
Fへの結合および橋架け反応は、特異的であり、かつ可
飽和であった。即ち、この結合は過剰の非標識ATF、
活性なu−PA、またはDFP処理したu−PAによっ
て競合できたが、例えばウシ胎児血清アルブミンのよう
な無関係なタンパク質、またはt−PA、プラスミノー
ゲン、または上皮細胞増殖因子のような関連タンパク質
では競合が得られなかった(第1B図)。
【0228】精製したタンパク質の機能的完全性および
純度を研究するため、橋架け実験を非標識成分で実施し
た(第1C図)。このリガンドが高分子量であるため、
精製したタンパク質自身からSDS−PAGEから明瞭
に分離し得る複合体を生じるはずであるので、この実験
ではATFの代わりに、DFP処理したu−PAをu−
PAR特異的なリガンドとして選んだ。精製した標品中
に存在しているすべてのタンパク質物質が、非標識リガ
ンドへ結合できることが認められ(レーン4および3を
比較)、したがってu−PARに対する本質性(ニール
センら、1988年)、および精製したタンパク質の純
粋性が確かめられた。実際、結合能は標品中で銀染色に
よって検出され得るタンパク質だけの特性であった。
【0229】アミノ酸分析による定量化の結果、6×1
細胞からの精製収率はポリペプチド6〜9μg(u
−PAR糖タンパク質約10〜15μgに対応する、後
記)であることが判明した。
【0230】アミノ酸組成およびNH末端アミノ酸配
列:調製用電気泳動、電気ブロッティング、およびヨー
ド酢酸アミドによるアルキル化後の精製タンパク質のア
ミノ酸組成を第1表に示す。この組成は、注目すべき高
含量のシステイン残基を含んでいる。さらにリシン残基
の存在が若干少ないことが注目される。使用した分析系
では、アミノ酸以外にもグルコサミンおよびガラクトサ
ミンの定量ができる。グルコサミンは加水分解中の損失
分を補正すると、タンパク質1モル当たりN−アセチル
グルコサミン約30モルに対応する量で検出された。こ
れに反して、ガラクトサミンは全く同定されなかった。
酸加水分解後、極めて多数のグルコサミン残基が検出
可能であること、およびペプチド:N−グリコシダーゼ
F処理(後記)によって見掛けの分子質量の著しい減少
が生じたことは、N−結合した炭水化物の大きい側鎖が
タンパク質に存在していることを示している。ガラクト
サミンが全く検出できなかったことは、この型のO−結
合炭水化物がu−PARに存在しないことを示してい
る。然し、アミノ酸分析による検出をまぬがれ得るその
他のO−結合オリゴ糖の存在を除外することはできな
い。
【0231】2種類のアミノ酸配列決定実験を実施し
た。第1の配列決定実験では、透析および凍結乾燥のの
ち、アフィニティー精製したu−PARの直接的なNH
末端配列決定を実施した。部分配列(第2A表)が得
られ、このことは1配列だけが精製した物質に存在して
いることを示している。
【0232】第2の配列決定実験では、透析し、凍結乾
燥し、精製したu−PARをトリシン−SDS−PAG
Eにかけ、PVDF膜上へ電気ブロットし、クーマシー
染色し、アルキル化して、上記のように切り出して、つ
いでNH末端配列決定を行った。この配列を第2B表
に示す。
【0233】第2表に示されるように、この2つの配列
を比較すると、同定したすべてのアミノ酸残基が同一で
あることが判る。また第2の実験だけで同定された3
位、6位、12位は、すべてシステインであることが判
った。即ち、最初の実験でこれら位置の同定が何れもで
きなかったのは、アルキル化が欠けていることに起因し
ていた。標品中で唯一検出可能なNH末端配列は、u
−PARの電気泳動の移動を伴っていた。したがって、
例えばポリペプチド主鎖に伴う低分子量のペプチド成分
の形で隠されている追加的な配列はなかった。
【0234】ジョージタウン・ユニバーシティー・タン
パク質データベースによる探索では、u−PAR NH
末端アミノ酸配列の本質は明らかにならず、また既知
のどのタンパク質との際立った相同性も明らかにならな
かった。
【0235】アミノ末端は、タンパク質全体のアミノ酸
組成と同様にシステイン残基に富んでいる。
【0236】プローブ組み立てのためのデータ(実施例
2)を第2A表に示した配列から誘導した。この組み立
てのため、アミノ酸配列の6位は試験的にAsnを割り
当てた(第2A表の脚注a参照)。
【0237】グリコシル化:精製した125I−標識し
たu−PA受容体をペプチド:N−グリコシダーゼFで
処理した。この酵素はあらゆる種類のN−結合炭水化物
を除去することができ、その切断部位はアスパラギン側
鎖と最も内部のN−アセチルグルコサミン残基との間で
ある(タレンチノら、1985年)。第2図に脱グリコ
シル化したタンパク質の電気泳動の挙動を示す。125
I−標識したタンパク質のオートラジオグラフィー後に
観察された電気泳動のバンドは、直接タンパク質染色後
に見られるより常に僅かに幅広いバンドを示した。然
し、反応が、不均一な55〜60kDa受容体(レーン
1)を遥かに尖鋭なバンドとして移動する35kDaだ
けの脱グリコシル化されたタンパク質(レーン2)へ変
えるので、したがって最初の不均一な物質は、すべて同
一のタンパク質の変異体を現していることがさらに確認
された。
【0238】細胞系間のグリコシル化の不均一性および
変異:別の実験系で、受容体を含有している細胞溶解物
からの未精製の界面活性剤画分、または未分画の溶解物
を、上記で使用したのと同一の酵素で処理した。これら
の実験では、ウロキナーゼの 125I−標識したアミノ
末端断片(ATF)への化学的橋架け反応により(ニー
ルセンら、1988年)、脱グリコシル化反応の前に、
u−PARの選択的な標識を実施した(ニールセンら、
1988年)。
【0239】第3図から、受容体を精製した細胞溶解物
は、70〜75kDaのu−PAR−AFT複合体を生
じ(レーン1)、これは脱グリコシル化されて約50k
Daの生産物を生じ得ることが判る(レーン3)。AF
TがN−結合炭水化物を含有していることは知られてい
ない。即ち、見掛けの分子質量で起こる変化は、前記の
精製したタンパク質で見られた変化と同一であるので、
この実験は、認められた大量のグリコシル化が、事実、
これらの細胞の界面活性剤溶解物中で、唯一有意なAF
T結合成分の特性であるということの独立した証拠を提
供した。
【0240】刺激されていないU937細胞抽出物で橋
架け反応を実施すると(第3図、レーン2)、生成した
複合体は、PMA刺激後に認められるより僅かに高い電
気泳動移動度で再現性をもって移動し、その場合の見掛
けの分子質量は70kDaであった。然し脱グリコシル
化すると、PMA処理した細胞および未処理の細胞から
の複合体は判別できなくなった(レーン3および4を比
較)。したがってPMA刺激したU937細胞から精製
した受容体は、無刺激細胞に存在している受容体のグリ
コシル化変異体であった。
【0241】他の細胞系から得られた界面活性剤による
細胞溶解物をAFTへの化学的橋架け反応によって分析
すると、ある場合には、放射能標識した生産物の電気泳
動移動度における変化が観察された。これらの分析で、
比較のため、種々の細胞型間のu−PAR含量の大きな
変化を補正するには希釈要素の個々の調節が必要であっ
た(ニールセンら、1988年)。ただし別々の実験で
は、希釈が個々の複合体の移動に対して影響を与えない
ことが確かめられた。
【0242】上記のパタンを含め、合計4種類の区別で
きる電気泳動パタンが判明した。以前報告したように
(ニールセンら、1988年)、細胞系の大多数は、例
えばPMAで処理しなかったU937細胞の場合のよう
に70kDaの単一の複合体バンドを生じた(第3図、
レーン2)。即ち、このパタンは、例えばA−431表
皮癌細胞、ヒーラー子宮頚癌細胞、5637膀胱癌細
胞、HCT116大腸癌細胞、AV3羊膜細胞、JEG
−3絨毛膜癌細胞、およびチャング結膜細胞で認められ
た。
【0243】線維肉腫細胞系HT−1080は第3のu
−PAR変異体を含んでおり、僅かに低分子量の単一な
複合バンドを生じた(約65kDa、データは示さ
ず)。
【0244】第4のパタンは、精製の原料として使用し
た株とは異なったU937細胞株の研究で見いだされ
た。PMAで処理しないと、この株(U937aと命名
する)は、上記のU937細胞が示したのと同一の複合
体バンドを示した。然しPMA処理に対する反応は、再
現性を伴って異なっていた。即ち、PMA処理したU9
37a細胞は2つの複合バンドを生じた。最高のバンド
はPMA処理したU937で認められたものと同一であ
るようであった。低い方のバンドは尖鋭に出現し、55
kDa成分として移動した(データは示さず)。このバ
ンドは可溶化した物質で橋架け反応後にだけ認められ
た。無傷の細胞で橋架け反応を実施すると(ニールセン
ら、1988年)、最高のバンドだけが存在し(データ
は示さず)、したがって低い方のバンドは細胞内前駆
体、または受容体の分解産物を現したものであり得るこ
とを示唆している。
【0245】然し上記の4種類のパタンを現す試料を
125I−ATFへ橋架け反応したのち、酵素的な脱グ
リコシル化で処理すると、分子量の変化は消失した。生
じた複合体バンドは、親細胞系の本質とは無関係に尖鋭
で、50kDa成分として移動した(データは示さ
ず)。
【0246】即ち、N−結合グリコシル化は、PMA刺
激したU937系の範囲内、およびPMA刺激したU9
37系で2つのバンドを生じる分子u−PARの不均一
性に起因しているだけでなく、無刺激のまたはPMA刺
激したU937細胞からのu−PAR間の電気泳動上の
差異、および異なった細胞系間の変異にも起因する(即
ち試験した他の細胞系とHT−1080線維肉腫細胞を
比較して)。
【0247】シアル酸の除去:上述した未精製の界面活
性剤画分中のu−PARのための橋架け標識方式を、酵
素的な脱シアル酸の研究に使用した(データは示さ
ず)。PMA刺激したU937細胞からの橋架け界面活
性剤画分のノイラミニダーゼ処理によって、ATF−u
−PAR複合体の見掛けの分子量で約5kDaの減少が
生じた。即ちグリコシル化は数個のシアル酸残基を含ん
でいた。PMA刺激していないU937細胞を脱シアル
酸実験に使用すると、分子量の変化は疑いもなく存在す
るが、若干小さく出現した。然しながら予備的な比較で
は、シアル酸化はで無刺激のu−PARとPMA刺激さ
れた細胞との間の全体的な差異を説明することはできな
いことが示唆された。
【0248】[第1表] トリシン−SDS−PAG
E、PVDF膜上への電気ブロッティング、およびアル
キル化ののちに測定した アフィニティー精
製したu−PARのアミノ酸配列 Asp/Asn 33.2 (第1表つづき) Thr 21.4 Ser 26.3 Glu/Gln 43.2 Pro 11.4 Gly 28.2 Ala 8.4 Cys(Cys(Cm)として) 28.4 Val 11.9 Met 7.7 Ile 6.7 Leu 26.5 Tyr 8.0 Phe 5.7 His 12.8 Lys 11.1 Arg 20.0 グルコサミン 30.8 加水分解中の5%損失を補正 加水分解中の10%損失を補正 アミノ酸標準混合物におけるピロ−グルタミン酸の生
成のため、わずかに過剰刺激の可能性 電気泳動およびブロッティング(35)の間に通常観
察される30%損失を補正 加水分解中の50%損失を補正
【0249】タンパク質70ピコモルの加水分解をPV
DF膜上で、20時間直接実施した。残基数を計算し、
合計310残基と推定した。同一条件下で分析した標準
的なタンパク質で見いだされる補正要素にしたがい、電
気泳動および電気ブロッティング(Met)および加水
分解中の損失(Thr、Ser、グルコサミン)に対す
る補正を実施した。
【0250】[第2表] u−PARのN−末端アミノ
酸配列。括弧内は試験的に分類した同定を示す。疑問詞
は同定しなかったことを表す。脚注がある場合は、最良
の推定を示す。 A. 0.1M酢酸に対して透析し、凍結乾燥後、アフィ
ニティー精製したu−PARの直接配列決定。最初の収
量は第1段階で70ピコモルのPTH−Leuであっ
た。直接配列決定でシステイン残基の同定ができなかっ
たことに注意。 研究番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 アミノ酸残基 Leu ? ? Met Gln ? Lys Thr Asn Gly 研究番号 11 12 13 14 15 16 アミノ酸残基 Asp ? Arg Val (Glu) Glu Asn? B. トリシン−SDS−PAGE、電気ブロッティング
およびアルキル化後に得られた配列。PVDF膜は、平
行して実施したアミノ酸分析実験から推定してu−PA
R35ピコモルを含有している(第1表)。最初の収量
は第1段階でPTH-Leu19.5ピコモルであった。
反復した収量はLeu1、Leu19、およびLeu2
3に基づき96%であった。Cysはアルキル化したタ
ンパク質におけるカルボキシメチルシステインのPTH
誘導体の同定を示す。 研究番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 アミノ酸残基 Leu ? Cys Met Gln Cys Lys Thr Asn Gly 研究番号 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 アミノ酸残基 Asp Cys (Arg) Val Glu Glu (His) Ala Leu Gly 研究番号 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 アミノ酸残基 Gln ? Leu ? (Arg) Thr (Thr) Ile Val ? Asp? Arg/Cys? Arg/Thr?
【0251】実施例2 u−PARのリガンド結合するドメインの単離および同
定 実験方法:精製u−PARは、上記と同様に、ホルボー
ル−12−ミリスタート−13−アセタート処理細胞か
ら得た。SDS−PAGE精製操作および銀染色で検出
可能なすべての蛋白質は上記と同様の化学的橋架試験に
おいて非標識DFP−処理u−PAまたはATFへの結
合が可能であった。
【0252】酵素分解 キモトリプシン(67u/mg)およびトシルフェニル
クロロメチルケトン−処理トリプシン(255u/m
g)はワーシントン・バイオケミカル・コーポレーショ
ン、フリーホールド、ニュージャージイからのものであ
る。エンドプロテイナーゼGlu−CおよびLys−C
(配列決定用)およびブロメレインはベーリンガー・マ
ンハイム、FRGからのものである。分解条件の検討は
精製u−PAR(3μg/ml、上記と同様にして得ら
れた中性アフィニティカラム溶出液の形態を直接使用し
た)と、所定のプロテナーゼを希釈列で添加したものを
一夜インキュベートした(8ng/ml〜1μg/m
l、またはLys−Cの場合、〜0.2μg/mlの範
囲の最終濃度)。キモトリプシンによる分解に関する系
統的な検討のために、精製u−PARを、上記と同様に
透析および凍結乾燥により濃縮し、0.05Mトリス/
HCl、0.05%CHAPS、pH8.1中に最終濃度
30μg/mlに再溶解し、ついで(40ng/ml、
または所定の)キモトリプシンを添加した。7時間37
℃にてインキュベートした後、分解をフェニルメチルス
ルホニルフルオリド(メルク、FRG)を添加して終了
させ、新鮮なジメチルスルホキシドの20mM保存溶液
に添加した。
【0253】u−PARおよびu−PARフラグメント
のリガンド−結合活性についての化学的架橋試験 ATF(ひとウロキナーゼのアミノ酸残基番号1〜13
5)はG.ガッサニ、ル・プチト、イタリーからの好意
により贈与された。N,N−ジスクシシニミジルスベラ
ート(DSS)を用いる、125I−標識ATFに対す
る、未変化または分解処理u−PARの化学的架橋は上
記と同様に行った。精製した架橋コンジュケートの視覚
化は、スラブゲル上レミリ(上掲)によるSDS−PA
GE、ついでオートラジオグラフィーにより行った。
【0254】幾つかの実験では、非−標識ATFをリガ
ンドとして用いた。これらの実験は、蛋白質濃度を所定
のものに、電気泳動分析をトリシン−SDS−PAGE
および銀染色で行う以外は同じ方法で行った(下記実施
例4参照)。
【0255】ATF結合成分の疎水性分析のためのトリ
トンX−114相分離 未変化またキモトリプシン処理u−PARを、0℃にて
0.1Mトリス/HCl、1%トリトンX−114、p
H8.1に希釈し、5分間37℃にてインキュベートし
た。得られたデタージェントおよび水相を遠心分離によ
りそれぞれ分離した。各相を0.1Mトリス/HCl、
pH8.1を添加して初期容量にし、その後、CHAP
S(0.25%最終濃度)を添加して、あらたな相分離
を避けた。各相におけるATF−結合成分の存在は、
125I−ATFへの化学的架橋により分析した。
【0256】脱グリコシル化分析 酵素的脱グリコシル化のために、125I−ATFに架
橋させた試料を1.5倍に希釈し、0.5%SDSおよび
1.7mMジチオスレイトール中で3分間煮沸し変性さ
せた。変性試料を脱グリコシル化緩衝液を添加してさら
に6倍の希釈し、最終濃度の0.12Mりん酸ナトリウ
ム、0.9%トリトンX−100、5mM1,10フェナ
ンスロリンおよび33U/mlペプチド:N−グリコシ
ダーゼF(N−グリカナーゼ;ゲンザイム、ボストン、
マサチューセッツ)をそれぞれ含み、pH8.6、1,1
0フェナンスロリンは、250mMのメタノール貯蔵溶
液で添加した。脱グリコシル化は試料を37℃で一夜イ
ンキュベートすることにより行った。
【0257】アミノ酸配列決定のための成分のフラグメ
ント分析および分離のための電気泳動技術 アミノ酸配列分析のための分解u−PARの試料は、電
気泳動の前に凍結乾燥により濃縮した。銀染色されるゲ
ルの試料は直接分析した。
【0258】シェッガーおよびフォン・ジャガウ(アナ
リティカル・バイオケミストリー、166、1987、
368−379)によるトリシン−SDS−PAGE
は、10%T、3%ゲルを用いた以外は上記と同様に行
った。銀染色はヒュークショーブンおよびダーニックの
試薬系(エレクトロフォレイシス、9、1988)を用
いて行った。
【0259】アミノ酸配列決定のためのポリビニリデン
ジフルオリド(PVDF)膜上の試料の電気ブロッティ
ングは、移動緩衝液のメタノールおよびジチオスレイト
ールの濃度をそれぞれ15%および0.5mMにし、ブ
ロッティングを90分間0.4mA/cmの電流密度
にした以外は、プラウグら(アナリティカル・バイオケ
ミストリー、181、1989、33−39)に記載と
同様に行った。アルキル化は行わなかった。
【0260】アミノ酸配列決定 NH−末端アミノ酸配列決定は、電気ブロッティング
された蛋白質バンド(上記)を含むPVDF膜の切り出
し切片上で直接行った。アプライド・バイオシステム・
プロテイン・シークエンサー、タイプ477Aを使用し
た。
【0261】配列および相同性分析 u−PAR中の内部反復、内部反復の多重配列および共
通配列の検討はL.パティ(ジャーナル・オブ・モルキ
ュラー・バイオロジー、198、1987、567−5
77)に記載の方法により行った。ナショナル・バイオ
メディカル・リサーチ・ファウンデーション/蛋白質同
定用データベースを隔たりのある相同性の検索のための
適当な方法を用いて相同性につき検索した(L.パテ
ィ、ジャーナル・オブ・モルキュラー・バイオロジー、
202、1988、689−696;L.パティ、セ
ル、61、1990、13−14)。この方法では、蛋
白質系統群に特徴的な共通配列の類似性を、被検蛋白質
が当該蛋白質群の典型的な特徴を有するかどうかを決定
するために用いた。
【0262】結果 u−PARの蛋白質加水分解によるリガンド−結合フラ
グメントの放出 リガンド−結合能力に重要なu−PARの構造的特徴の
検討のために、精製レセプターの試料を、非変性条件下
の種々のプロテアーゼの希釈列で処理し、ついで、化学
的架橋試験を用いて、125I標識ATFに対する結合
活性につき分析した(L.S.ニールセンら、ジャーナル
・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、263、19
88、2358−2363)。
【0263】5種の被検プロテアーゼのうち、トリプシ
ンおよびキモトリプシンは、レセプターのリガンド−結
合活性を排除し得るが、Lys−C、Glu−Cおよび
ブロメラインは有効でない。しかし、トリプシンによる
処理により、被検の全濃度にわたって、すべての架橋活
性は完全に消滅したが、低濃度のキモトリプシンは、約
Mr32000のATFとのコンジュゲートの形成によ
り証明されるように(第4図、レーン3)、異なるu−
PARのリガンド−結合フラグメントを生成した。この
成分は、上記のMr70−80000のコンジュゲート
のみを示す未処理のレセプターが試験された場合の試料
には存在しない(レーン2)。後者のコンジュゲートの
強度はキモトリプシン処理試料中で著しく減少し、活性
レセプターのむしろ効果的な開裂を示す(下記も参照;
より高濃度のキモトリプシンを用いた場合は、このバン
ドは完全に消滅した)。他のATF−結合生成物は検出
されなかった。
【0264】SDS−PAGEが未変化または変化試料
で行われたかにかかわらず、電気泳動パターンは一致し
た(第4A図と4B図を比較せよ);特に、ATFとu
−PARのキモトリプシン開裂生成物間で形成されたコ
ンジュゲートは同じ見かけMrで移動する。
【0265】SDS−PAGEおよび銀染色によるキモ
トリプシン処理試料の直接分析は非常に簡単な開裂パタ
ーンを示した(第5A図)。原料から生成された未変化
のu−PARは不均質性成分として移動し、Mr50−
65000にまたがり(レーン3)、この不均質性はN
−結合炭水化物中の変化形によるものである。キモトリ
プシン処理は、鋭いバンドとして移動するMr1600
0の1個の主要フラグメントおよびMr35−5000
0範囲の不均質性成分の出現をもたらし、これは分子中
の残部を示すものであると思われる(すなわち、Mr約
16000フラグメントの除去によって分解された出発
物質)(レーン4)。さらに、少量の未変化のu−PA
Rがこの試料中に見られ、上記で観察された残存してい
るリガンド−結合活性に結び付く。
【0266】このパターンは、リガンド−結合u−PA
R分解生成物がMr16000フラグメントに一致する
ことを示唆し、それゆえ、この分子量はATF(見かけ
Mr18000)との−コンジュゲートMr32000
の形成と一致する。しかし、別に、架橋活性は銀染色に
よって検出されない痕跡のフラグメントにより得られる
ものかも知れない。この可能性を検討するために、架橋
実験を非標識成分で行い、ついで、生成したコンジュゲ
ートのSDS−PAGEおよび銀染色を行った(第5B
図)。
【0267】キモトリプシン処理試料(レーン1)の電
気泳動像は、リガンドが添加されなかったとき、架橋工
程の実施により影響されなかった(レーン2)。一方、
ATFの存在下で架橋が行われたとき(レーン3)、独
特のMr32000生成物が形成されたが、Mr160
00バンドはほとんど消滅した。この試料中にMr20
000領域に数個の斑点が観察されたが、これは余剰に
添加されたATFによるものであり、これは使用した電
気泳動システム中の電気泳動移動度とともに移動した
(レーン4)。
【0268】すなわち、Mr32000コンジュゲート
は銀染色によりはっきりと検出され、この形成はMr1
6000フラグメントの消失を伴うものであるから、こ
の開裂生成物は直接リガンド−結合活性に対応するもの
である。
【0269】より高濃度のキモトリプシン(0.2−1
μg/ml)を用いるu−PARの分解は、還元条件下
でSDS−PAGE中Mr13000成分だけ移動する
追加の銀−染色フラグメントの出現をもたらす(データ
は示さず)。キモトリプシン希釈列の使用は、この生成
物がリガンド−結合フラグメントのさらなる分解から生
じるものであることを示している。この生成はMr16
000成分の消失を伴うものであるが、より大きなフラ
グメントは分解されない。125I−ATF架橋試験を
用いて平行分析を行うと、Mr13000フラグメント
を示すコンジュゲートは検出され得なかった。銀−染色
ゲル上のMr16000フラグメントの分解的消失は、
架橋試験における、Mr32000放射能標識コンジュ
ゲートの消失を伴う。一方、新規の放射能標識バンドは
出現しない。すなわち、リガンド−結合能力が失われた
ことを示している。Mr70−80000の架橋生成物
もまた次第に消失し、キモトリプシン1μg/mlu−
PARの処理後全く存在しない。従って、この実験はま
た、Mr70−80000架橋ATF−コンジュゲート
(第4図)が専ら、より少量のキモトリプシンによる処
理後に残っている、未変化のu−PARにより形成さ
れ、銀染色ゲル上でまた高濃度キモトリプシンで変化し
なかったMr35−50000によって生成したもので
ないことを確認するものである。
【0270】リガンド−結合フラグメントの同定 精製u−PAR約20μgを、上記で用いたMr160
00フラグメントの生成条件と同じ条件下でキモトリプ
シン(40ng/ml)で処理した。試料は凍結乾燥に
より濃縮し、第5図で採用したのと同じシステムを用い
て、トリシン−SDS−PAGEにかけた。ゲルは、P
VDF膜上に電気ブロットし、クーマシー染色後、下記
の染色領域を膜から切り出した(第5A図の平行電気泳
動パターンの矢印参照):I)Mr16000開裂生成
物;II)Mr35−45000領域に対応する染色領
域、すなわち、残存する未分解u−PARを除き、より
大きな開裂生成物を含む領域。
【0271】切り出したポリペプチドをNH−末端ア
ミノ酸配列決定にかけ、第3表に示す配列を得た。各場
合とも唯一の配列のみであった。Mr16000フラグ
メントは上記の未変化u−PARのNH−末端と同じ
NH−末端を有するが、より大きな開裂生成物は、未
変化の蛋白質の残基番号88にNH−末端を有し、u
−PARの完全なアミノ酸配列と比較することにより同
定され、cDNA配列決定から推定された(ロルダン
ら、1990)。
【0272】開裂後の親水性度および解離 温度誘発トリトンX−114相分離(C.ボーディエ、
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、2
56、1981、1604−1607)は、未変化のu
−PARをデタージェント相に導くことを示した。この
親水性度はCOOH−末端グリコシル−ホスファチジル
−イノシトールグリコリピド膜アンカーの存在によるも
のである(実施例3)。リガンド−結合u−PARフラ
グメントが共有結合力により、分子の残部に付着したま
まであるかどうか、または非−変性条件下で解離し得る
かどうかを分析するために、キモトリプシン−処理、精
製u−PARをデタージェント相分離にかけ、得られた
相を125I−ATF架橋試験で分析した(第6図)。
Mr70−80000の放射能標識コンジュゲート(す
なわち、125I−ATFと消化後の残存未変化u−P
ARの付加物)はほとんど専ら、デタージェント相中で
形成されたが、一方、Mr32000コンジュゲート
(リガンド−結合u−PARフラグメントの活性を示
す)は水相でのみ観察された(レーン2と3を比較せ
よ)。前者の知見は相分離の内部標準を提供するもので
あり、さらに、COOH−末端の、疎水性特質は、例え
ば、混濁しているホスフォリパーゼや検出されない蛋白
質分解が生じても失われないことを確証するものであ
る。従って、水相中のNH−末端の、リガンド−結合
フラグメントの独占的出現は、このフラグメントが、変
性剤不存在下でCOOH−末端の、グリコリピド含有部
から解離したものであることを示している。
【0273】グリコシル化 u−PARは、酵素ペプチド:N−グリコシダーゼFで
処理して除去し得る、多量のN−結合炭水化物を含む
(上記参照)。キモトリプシン−処理u−PARに架橋
した125I−ATFを含む試料をこの酵素で処理した
とき(第4図)、Mr32000コンジュゲートを脱グ
リコシル化され、Mr約25000のコンジュゲートを
生成させる(レーンA2とB2を比較せよ)。未変化の
u−PARで形成するコンジュケート(レーンA1)は
Mr50000生成物(レーンB1)に変換する。上記
参照。すなわち、リガンド−結合u−PARフラグメン
トが脱グリコシル化される。
【0274】すなわち、r16000のU−PARのキ
モトリプシン分解フラグメントが生成し、これは、少な
くとも、定性的に、リガンドに対する結合能力を維持し
ている。定量的結合性の検討は、入手した量では不可能
であったが、1nMで存在する放射能標識リガンドでイ
ンキュベート後、すなわち、未変化レセプターの結合活
性の証明に最適であることがすでに判明しているのと同
じ条件を用いて(上記参照)、化学的架橋により示され
た。
【0275】アミノ酸配列決定はリガンド−結合フラグ
メントが、非開裂u−PARと同じNH−末端を有
し、開裂は、未変化蛋白質のTyr87とSer88の
間で生じたことを示した。後者のアミノ酸残基は、観察
された唯一の別の分解生成物(すなわち、より大きい、
非−リガンド−結合成分)中の単一の検出可能なNH
−末端を構成しており、著しい開裂特異性を示す。この
より大きいフラグメント中の分子量の不均質性は親の蛋
白質の分子量不均質性を示しており(第5A図)、これ
は、すでにグリコシル化変形体によるものであることを
示した(上記参照)。
【0276】リガンド−結合フラグメントは多分全配列
1〜87にわたっているが、新規のCOOH−末端に近
い別の開裂は排除され得ない(直接確認されなかっ
た)。SDS−PAGEにより分析されたこのフラグメ
ントのみかけの分子量は、87個のアミノ酸残基フラグ
メントにつき予想されたものより幾分高いものであった
が、この矛盾はN−結合炭水化物の存在により説明され
得た。すなわち、脱グリコシル化後、125I−ATF
およびリガンド−結合フラグメントのコンジュケート
は、ATFと87個のアミノ酸残基成分間で形成される
付加物の予想される大きさに良く一致するMr2500
0コンジュケートとして移動する。
【0277】今回の検討で観察されたすべての特徴は、
NH−末端、Mr16000フラグメントが、u−P
AR内のあきらかな構造的および機能的ドメインを構成
することを示唆している。すなわち、それははっきりと
範囲の限定されたリガンド−結合フラグメントであり、
緩和なプロテアーゼ処理により分離される。このフラグ
メントと125I−ATFにより形成されたMr320
00架橋コンジュケートは、非減成試料処理後にSDS
−PAGE中で観察され得たものであるから(第4B図
参照)、蛋白質の残部にジスルフィド−結合したもので
はない。さらに、トリトンX−114相分離にかけたと
き(すなわち、非変成条件下)、それは蛋白質の残部か
ら解離し、デタージェント結合がないことは、それが水
可溶性であることを示唆する。その結合能力は同じ実験
におけるデタージェント相分離後に示され得たものであ
るから、最終的に、リガンドを結合する能力は、少なく
とも定性的には蛋白質の残部とは独立している。
【0278】Mr16000フラグメントがはっきりし
た構造的ドメインとしての性質を示すという実験的知見
はu−PARにおける内部の相同性の分析に一致する。
この分析は、レセプターのアミノ酸配列が、cDNA配
列決定から帰結され(ロルダンら、1990年)、シス
テイン残基の特徴的なパターンによって特徴付けられる
3個の繰返し(繰返し1、1−92残基;繰返し2、9
3−191残基;繰返し3、192−282残基)を含
むことを明らかにした(第8図)。この配列において、
第2および第3の繰返しの配列は22%の一致を示す;
第2の繰返しの10個のシステインすべてが第3の繰返
しのすべての10個のシステインと一致する。第1の繰
返しはより離れた関係にある(第3および第2の繰返し
と、それぞれ12および16%の一致);その8個のシ
ステインのうちの7個は他の2個の繰返しのものと一致
する。これらの知見は、u−PARが3個の構造ドメイ
ンで組織されていることを意味する;観察された機能的
活性フラグメントは実験的に第1の繰返しに対応し、繰
返し−間結合の開裂により遊離される(第8図)。この
提案されたドメインの構造はまた、u−PARのキモト
リプシン分解の著しい特異性を説明するものである(す
なわち、蛋白質分解に対する、このドメインを接続させ
るヒンジのような流動性ペプチドセグメントの一般的感
受性による)。
【0279】u−PAR内の3個の繰返しの存在は、レ
セプターが先祖のドメインの内部的3重複写の結果とし
て生じたものであるとを示唆している。実際、蛋白質配
列データベースの検索ではこのシステインリッチ単位の
単一の複写のみを処理する数個の相同性蛋白質を確認し
た。T−細胞活性化蛋白質の細胞内部分/Ly6抗体
(K.P.ルクレアら、EMBO ジャーナル、5、1
986、3227−3234;パルフリーら、イムノジ
ェネティクス、26、1987、389−391;パル
フリーら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、140、
1988、305−310;H.レイザーら、プロシー
ディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス U.S.A.85、2255−2259)およ
びLy−6関連いか蛋白質Sgp−2(A.F.ウイリ
アムら、イムノジェネティクス、27、1988、26
5−272)はu−PARの内部の繰返しに関連する
(第5図)。興味あることに、u−PAR同様に、これ
らの蛋白質はグリコシル−ホスファチジル−イノシトー
ルアンカーにより細胞膜に付着している(A.F.ウイ
リアムら、イムノジェネティクス、27、1988、2
65−272;J.W.ハンメルバーガーら、バイオケ
ミカル・アンド・バイオィジカル・リサーチ・コミュニ
ケーション、148、1987、1304−131
1)。u−PAR見られる繰返し型の単一の複写との相
同性グリコホスホリピド−アンカー蛋白質の存在はこれ
らのドメインの構造的独立性を強調するものである。さ
らに、この新規なドメイン群の各構成員の同数のシステ
インの存在はシステインがドメイン内のジスルフィド結
合と関連するとの推定に一致する。u−PAR分子内の
28個のシステインから8個のみが、推定されたu−P
ARのアミノ酸配列の番号1−87残基内に存在するの
であるから、ジスルフィドブリッジがu−PARの結合
ドメインと蛋白質の残部間に存在しないという事実は前
者のジスルフィド構造の検討を著しく容易にする。
【0280】Mrドメインのさらなるキモトリプシン分
解開裂はリガンド−結合活性を消失させる。Mr130
00生成物が還元条件下でSDS−PAGEにより示さ
れるのであるから、この第2の開裂はMr16000ポ
リペプチドの一方のより末端近くで生じた。入手し得た
量が非常に少なく、Mr13000生成物のNH−末
端アミノ酸配列決定が不可能であったので、関連する開
裂部位がMr16000フラグメントのNH−または
COOH末端内に存在したかどうかはわからない。この
第2の減成段階に含まれる領域はMr16000ドメイ
ンの結合活性にとって重要には違いないが、それが、直
線結合決定素を含むかどうか、配座効果が観察された活
性の消失に対応するかどうかの立証は残されている。
【0281】cDNA配列決定から帰結されたu−PA
Rアミノ酸配列(ロルダンら、1990年)はN−結合
グリコシル化のための潜在的な5個の部位を含む;しか
し、これらのうちのどれが実際に成熟蛋白質中でグリコ
シル化されるのかは決定されていない。これらの部位の
唯1個、すなわち、Asn52は残基番号1−87の領
域内に存在するから、ここで報告した脱グリコシル化実
験はこのグリコシル化残基としてこのアスパラギンを確
認するものである。しかし、前記の炭水化物に基づく差
異は、PMA刺激後のU937細胞の2種の異なる株を
比較したときに、u−PARの電気泳動パターンで観察
され、リガンド−結合ドメインとは関係しなかった。u
−PAR試剤は細胞の2種の株のいずれかから精製さ
れ、いずれの場合もキモトリプシン処理でSDS−PA
GEで鋭いバンドとして移動する、Mr16000リガ
ンド−結合フラグメントを生成する。親の蛋白質間電気
泳動的差異はより大きな(すなわち、非−リガンド−結
合)生成物(データは示さず)を生じ、各試剤内の不均
質性は上記で論じた。
【0282】プラスミン−仲介細胞表面蛋白質加水分解
(V.エリスら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー、264、1989、2185−218
8;R.W.スティーブンスら、ジャーナル・オブ・セ
ル・バイオロジー、108、1989、1987−19
95)において、u−PARに関係すると思われる機能
的重要性は、この相分離リガンド−結合ドメインを有効
な可溶性u−PAR拮抗剤としての価値ある試薬とな
す。すなわち、u−PAの結合に対してu−PARと競
合する可溶性分子は、細胞侵入における細胞表面プラス
ミノーゲン活性化の検討の重要な手段になり(L.オソ
ースキー、ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー、1
07、1988、2437−2455;V.J.ヒヤリ
ングら、キャンサー・リサーチ、48、1988、12
70−1278)、これらのプロセスの妨害のための治
療的可能性を有し得る。
【0283】第3表 キモトリプシン分解u−PARフラグメントのNH
末端アミノ酸配列および未変化のu−PARの部分的配
列 Mr16000フラグメント1)2) LR?MQ?(K)T
NGD?RVEE?A?G u−PAR残基1−204) LRCMQC K TN
GDCRVEECALG Mr35-50000フラグメント1)3) SRSRYLE
?(I)S? u−PAR残基88−985) SRSRYLEC
I SC 1) ( )は同定が不確かであることを示す。?は同定
が行われなかったことを示す。 2) 電気ブロッティングされたMr16000u−P
ARフラグメントの自動配列決定による決定(第5A図
のバンドI)。初回収率は段階1でLeu24pmolであ
った。Glyに基づく、反復収率(10およびは20段
階)は96%であった。他の配列は検出されなかった(配
列決定限界2pmol)。 3) 電気ブロッティングされたMr35−50000
u−PARフラグメントの自動配列決定による決定(第
5A図のバンドII)。初回収率は段階1でSer29pm
olであった。Serに基づく、反復収率(1、3および
は10段階)は90%であった。他の配列は検出されな
かった(配列決定限界2pmol、GluおよびGlyにつ
き3pmol)。 4) 未変化の蛋白質(17)およびcDNA配列決定
(18)のNH−末端アミノ酸配列決定から得られた
配列 5) cDNA配列決定(18)から帰結される配列。
先行する残基(すなわち、番号87)はチロシンであ
る。
【0284】実施例3 u−PARはグリコシル−ホスファチジルイノシトール
・アンカーを有し、C−末端でプロセスされる 物質および方法:
【0285】物質:PVDF膜(イモビロン−P)はミ
リポアから、N,N'−ジメチル−Argはシグマ
から、N−モノメチル−Argはカルビオケムから入
手し、N,N−ジメチル−ArgはT. オガワ博士
(徳島大学、日本)の好意により贈与された。エタノー
ルアミンはメルクから入手した。Na125I、[9,
10(n)−H]−ミリスチン酸(53Ci/ミリモ
ル)、ミオ−[2−H]イノシトール(18.3Ci
/ミリモル)、[1−H]エタノールアミン塩酸塩
(19Ci/ミリモル)はアマーシャムから入手した。
【0286】タンパク質:ヒトおよびウシ赤血球からの
アセチルコリンエステラーゼ、ミツバチ毒液からのホス
ホリパーゼA、ウシ脳からのミエリン塩基性タンパク
質はシグマから入手した。キャベツからのホスホリパー
ゼDおよびバシラス・セレウスからのホスファチジルイ
ノシトール特異的なホスホリパーゼC(PI−PLC)
はベーリンガー・マンハイムから入手した。u−PAR
は実施例1で示したようにPMA刺激したU937細胞
から精製した。活性なヒトu−PAはセロノから購入
し、報告したようにDFPで阻害したた(ニールセン
ら、1988年)。u−PAのアミノ末端(ATF)は
G. カサニ博士(レペチット、イタリア)から好意的に
贈与された。ATF、u−PARおよびDFP失活させ
たu−PAは、報告したように放射能標識した(ニール
センら、1988年)。ただしu−PARの場合は、
0.1%(v/v)トリトンX−100の代わりに0.1
%(w/v)CHAPSで、またATFおよびDFP−
u−PAの場合は、0.01%(v/v)ツイーン80
で置き換えた。ヒトu−PARに対するポリクローナル
家兎抗体の作成は実施例11で説明したようにして実施
した。
【0287】無傷なU937細胞のホスホリパーゼ処
理:付着性のPMA刺激したU937細胞(約2×10
/皿)を、まず25mMHEPESを含有する無血清R
PMU1640培地(pH7.4、緩衝液A)で洗浄し
た。ついで細胞を、50mMグリシン/HCl、0.1M
NaCl(pH3.0)で室温で3分間酸処理して、内
因的に生産されたu−PAをすべて解離し、その受容体
へ自己分泌のやり方で結合させた。0.5M HEPE
S、0.1MNaCl(pH7.5)の0.2容量で中和
後、直ちに上清を除き、細胞を緩衝液Aで2回洗浄し
た。幾つかの実験では、外来性に添加した125I−標
識したDFP−u−PA(1nM)を未標識のu−PAR
へ緩衝液A中で4℃で2時間インキュベーションにより
再結合させ、リガンド無添加のこれと同一の緩衝液で3
回洗浄した。これらの付着性U937細胞の種々のホス
ホリパーゼとのインキュベーションを、緩衝液A中、3
7℃で振とうテーブル上で実施した。
【0288】生体内標識:実施例1の報告と同様に細胞
培養を実施した。u−PARの発現を増大させるため、
ヒトU937細胞(5×10細胞/皿)の代謝的標識
に先立ってPMA(150nM)で5時間刺激した。[
H]エタノールアミンおよび[H]ミリスチン酸で標
識するため、細胞をRPMI 1640培地で培養し、
ミオ−[H]イノシトールによる標識はイーグルの最
少必須培地で実施した。どちらの培地とも、2mM L−
グルタミン、5mMピルビン酸ナトリウム、200単位/
mlペニシリン、25μg/mlストレプトマイシン、25m
M HEPES(pH7.4)、0.5mg/ml脱脂BSA、
4×規定濃度の非必須アミノ酸類を補給した。すべての
トレーサーは、25mg/ml脱脂BSA、0.1M HEP
ES(pH7.4)の貯蔵溶液から、最終濃度0.1mCi
/mlで培地10mlに添加し、代謝標識を37℃で15時
間進行させた。ついで付着細胞を酸処理し、1%前濃縮
したトリトンX−114、0.1Mトリス(pH8.
1)、10μg/mlトラジロール、1mM PMSF、およ
び0.2mM ZnClの氷冷溶液5mlで洗浄し、細胞溶
解した。最後に界面活性剤層分離を実施例1で報告した
ように実施した。
【0289】生合成的に標識したu−PARの免疫沈
降:透明な界面活性剤層の2mlアリコートへ免疫前家兎
IgG12μgを添加し、混合物を4℃で2時間インキ
ュベートした。0.1Mトリス(pH8.1)、0.1%
CHAPS、および0.1%脱脂BSAへ、プロテイン
Aセファロース(ファーマシア)を50%(v/v)で
懸濁した液100μlを添加したあと、同時混合しなが
ら4℃でインキュベーションを2時間続けた。遠心(5
000×g、5分間)によって上清を回収し、ポリクロ
ーナル抗u−PAR家兎IgG 12μgを添加してイン
キュベーションを4℃で1夜進行させ、最後にプロテイ
ンAセファロースの新しいアリコートで、さらに3時間
インキュベートした。ついで不動化した免疫複合体を、
0.1%(w/v)脱脂BSA(1回)、0.1%脱脂B
SA/1M NaCl(1回)を含有し、または無添加
(2回)の何れかの0.1Mトリス(pH8.1)/0.
1%CHAPSで十分に洗浄した。このように洗浄した
プロテインAセファロースを遠心によって採取し、最後
に2%(w/v)SDSを含有する0.1Mトリス(p
H6.8)50μlに懸濁し、5分間煮沸したのち、SD
S−PAGEにより分析した。
【0290】トリシン−SDS−PAGEおよびアミノ
酸分析:シェーガーおよびフォン・ヤコフの方法(19
87年)に従い、トリシン−SDS−ポリアクリルアミ
ドゲルをバイオ・ラド・ミニプロテアンII装置(8cm×
7cm×0.75cm)で調製した。均質なゲル(7.5%T
および3%C)を1日前に流し込み、0.5Mトリス、
0.1%(w/v)SDS、および12mM 3−メルカプ
トプロピオン酸(スカベンジャーとして添加)(pH
8.45)で15mA/ゲルで4時間予備電気泳動を行っ
た。精製し、凍結乾燥したu−PARを、4%(w/
v)SDS、12%(w/v)グリセリン、50mMトリ
ス、および40mMジチオトレイトール(pH6.8)で
2分間煮煮沸により還元した。予備電気泳動に使用した
ゲル緩衝液を本来の電気泳動緩衝液(シェーガーおよび
フォン・ヤコフ、1987年)と取り換え、ただし1mM
3−メルカプトプロピオン酸をカソード緩衝液へ含有
させた。電気泳動を60Vで4時間実施した。以前報告
されたように(プラグら、1989年)、半乾燥方法に
より0.45μm PVDF膜上で、10mM 3−(シクロ
ヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、10%
(v/v)メタノール、および0.4mMジチオトレイト
ール中(pH11)で、電気移動を0.8mA/cmで2
時間実施した。
【0291】アミノ酸分析のために、0.05%(w/
v)フェノールを含有する再蒸留した6M HCl 10
0μlおよび1%(w/v)DTDPAの2M NaOH
溶液5μl中で、先に報告されたように(プラグら、1
989年)、切り出したPVDF膜上で110℃で、ク
ーマシー染色したu−PARを作成した。主として報告
された(バークホルトおよびジェンセン、1989
年)、O−フタルジアルデヒド誘導体化を備えたウォー
ターズ・アミノ酸分析器でアミノ酸分析を実施した。た
だしクロマトグラフィー系は、塩基性アミノ酸の分離能
を増大するため若干修飾した。溶出はハロゲン化物を含
まない2種の緩衝液AおよびB(組成については、バー
クホルトおよびジェンセン、1989年参照)の混合液
から得られたpH勾配により実施したが、勾配は下記の
直線状セグメントからなっていた。最初の溶離液100
%A、15分で88%Aおよび12%B、24分で60
%Aおよび40%B、26分で55%Aおよび45%
B、36分で50%Aおよび50%B、40分で30%
Aおよび70%B、64分で25%Aおよび75%B、
65分で100%A、65〜70分で100%Aであっ
た。
【0292】種々の分析:実施例1で報告したように、
SDS−PAGE、ジスクシンイミジルスベリン酸(D
SS)による化学的橋架け反応、および分析的界面活性
剤層分離をトリトンX−114で実施した。
【0293】直接オートラジオグラフィー(125I)
および蛍光光度法(H)を増感紙(クロネックス)を
使用して−80℃でX線フィルム(コダックX−オーマ
ット)で実施した。蛍光光度法の場合は、X線フィルム
を予備露光し(0.2〜0.3A)、製造業者の指示によ
り、ポリアクリルアミドゲルを増感剤で含浸させた。
【0294】結果: 精製したu−PARのアミノ酸分析:精製したu−PA
Rのアミノ酸分析では(実施例1)、酸加水分解物の中
にO−フタルジアルデヒトと反応し、カチオン交換クロ
マトグラフィーで、アンモニアのすぐ後に溶出する未確
認の化合物の存在が明らかになった(第9図)。刺激し
ないU937細胞(2×1010細胞)からu−PAR
を精製すると、類似のピークが観察されたが、その他の
方法で処理すると同一であった(データは示さず)。こ
の未知の化合物は、これを2%SDSで煮沸し、ついで
トリシン−SDS−PAGE、および0.45μmポリビ
ニリデンジフルオリド(PVDF)膜上で10%(v/
v)MeOHの存在で電気ブロッティングしても、精製
されたタンパク質内に残存しているので、u−PARの
共有結合的な構成成分として挙動した。さらにこの化合
物は、タンパク質が染色された領域のすぐ上下でPVD
F膜の好適な切片を切り出し、アミノ酸分析のために同
一の方法で調製すると存在しなくなるので、クーマシー
染色したu−PARの特殊な構成成分であった(第9
図、挿入)。そのうえ以前にこの手法で、分析した数種
の染色されたタンパク質およびペプチドでは、この特殊
な成分の存在が顕在化されなかった(プラグら、198
9年)。
【0295】この研究でアミノ酸分析のため、一般的な
ものばかりでなく、さまざまな滅多にない塩基性アミノ
酸を、その保持時間の再現性を損なうことなく、分離を
増大させることができる特殊な勾配をカチオン交換クロ
マトグラフィーのために設計した(物質および方法の
項、参照)。この方法によって、u−PAR中の同定で
きなかった化合物を、アンモニア(53.5分)および
アルギニン(60.8分)の間で55.3分後に再現性を
もって溶出した。種々の物理的に生じるアルギニン誘導
体が、ほぼ類似の保持時間を有することが予想されるの
で、N,N−ジメチルアルギニン(53.8分)、
,N'−ジメチルアルギニン(54.4分)、N
−モノメチルアルギニン(58.6分)等を含む数種の
メチル化アルギニン誘導体を試験した。これらの保持時
間は、何れもu−PAR中の同定できなかった化合物の
値と一致しなかった。然し基準的なエタノールアミンを
試験すると、同定できなかったu−PAR中の化合物と
まさに同一の保持時間を示した。そのうえヒトおよびウ
シの双方の赤血球のアセチルコリンエステラーゼを加水
分解すると、この保持時間を有する化合物が同様に観察
され、一方、例えばミエリン塩基性タンパク質からの加
水分解物ではこの化合物は存在しなかった。赤血球から
単離されたアセチルコリンエステラーゼは糖脂質膜アン
カーに共有結合成分としてエタノールアミンを含有して
いるが、ミエリン塩基性タンパク質は部分的にメチル化
されたアルギニン残基を有している。したがってu−P
ARは、酸に不安定な結合(例えばエステルまたはアミ
ド結合)によってタンパク質と共有結合的に結合してい
るエタノールアミンを含有していると結論した。第12
図の定量分析データは、各u−PAR分子が2〜3個の
エタノールアミン残基を含んでいることを示している
(第4表参照)。
【0296】PI−PLC処理による細胞表面からのu
−PARの放出:精製したu−PARにエタノールアミ
ンが存在することは、この細胞受容体がグリコシルホス
ファチジルイノシトール(GPI)によって形質膜へ繋
ぎ止められていることことを示唆している。そのような
GPI−アンカー型タンパク質の大多数は、細菌性ホス
ファチジルイノシトール特異的なホスホリパーゼC(P
I−PLC)感受性であり、糖脂質のジアセチルグリセ
ロール部分を除去することによって、タンパク質を培地
へ放出する(ロー、1989年)。したがって発明者ら
は、最初、PMA刺激されたU937細胞の細胞表面へ
結合した、125I−標識DFP処理したu−PAをP
I−PLCが放出できるかどうかを研究した。第10図
に示したように、細胞に伴っている放射能の約50%
が、PI−PLCによって最初の15分以内に放出され
た。さらにPI−PLC濃度が僅か50ng/mlまで低下
したときでも、放出速度はごく僅か低下するだけであっ
た(データは示さず)。これとは対照的に、ホスホリパ
ーゼA(第10図)およびホスホリパーゼD(データ
は示さず)は、これらのホスホリパーゼが比較的高濃度
で存在していても(>5μg/ml、第10図)、空試料
と比べて、細胞表面からの 125I−標識DFP−u−
PA遊離の促進を何ら誘発できなかった。これに反し
て、トリプシンはすべての細胞表面に付随している放射
能を効率的に放出し(データは示さず)、即ち、受容体
へ結合しているu−PAの物理的な接近を証明した。
【0297】第11A図に示したように、PI−PLC
によって培地へ放出されたu−PAは本質的に分解され
ず、少量のそのアミノ末端断片(ATF、Mr1700
0)と一緒に、主として無傷な2本鎖u−PA(Mr5
0000)からなっていた。u−PAの受容体結合ドメ
インはこれらの両成分にともに備わっている(アペラ
ら、1987年)。したがってこれら2つの分子種は
125I−標識DFP−u−PAと前インキュベーショ
ンの間に細胞表面へ結合した。対照的に受容体結合ドメ
インを欠いているu−PAの低分子量形(Mr3300
0)は、洗浄操作によって消失した。これらの成績か
ら、u−PAおよびATFは、PI−PLCによって細
胞表面から放出されるが、これらは特異的にu−PAR
を伴っていることが判る。
【0298】この実験で、サンプリングと同時に、回収
した上清へ1mMジスクシンイミジルスベリン酸(DS
S)を添加することによる橋架け分析を実施すると、複
合体を含有している可溶性u−PAはPI−PLC処理
した細胞からの培地でだけ検出された(第11B図)。
SDS−PAGEで、この複合体の電気泳動による移動
度(Mr110000)は、u−PA/u−PAR複合
体の移動度と同じであった(ニールセンら、1988
年)。模擬的に処理した試料では培地中に遊離のu−P
Aだけが認められ、このことはu−PARからの緩徐な
一過性のu−PAの解離を反映していた。この実験は、
PI−PLCによって放出されたu−PAが、u−PA
Rとの複合体を作るという解釈をさらに支持するもので
ある。
【0299】最後にPI−PLCによるu−PARタン
パク質の特異的な放出そのものが、観察した125I−
標識リガンドの放出の真の原因であることを直接的に証
明した。この実験では、PMA刺激したU937細胞
を、まず酸処理して内因性のu−PAを除き、ついでP
I−PLCとインキュベートした。ついで培地へ放出さ
れた何らかのu−PA結合成分の存在を、125I−標
識DFP−u−PAへの橋架け反応によって検定した。
この実験で、PI−PLCは、遊離形u−PARが、膜
結合形から、125I−標識DFP−u−PA(第11
C図)および12 I−標識ATF(データは示さず)
に対する高い親和性をなお発現し得る可溶性タンパク質
(Mr60000)へ急速に変換するのを誘導すること
が判った。さらにPMA刺激したU937細胞のPI−
PLC処理後、無血清培地で、精製したヒトu−PAR
に対して生じさせたポリクローナル・マウス抗血清を使
用してSDS−PAGEおよび免疫ブロッティングによ
り、類似のMrを有するタンパク質を検出した(データ
は示さず)。したがってこの可溶性タンパク質は機能性
(結合特異性)および構造関係(Mrおよび抗原性)の
双方の点から細胞結合型u−PARに似ている。懸濁液
中の非刺激U937細胞の分析によって、類似したPI
−PLC依存性のu−PARの放出が明らかになった
(データは示さず)。
【0300】然しPI−PLCで処理しない無血清培地
で長期間インキュベーションしたのちに、u−PARの
緩徐な内因性の放出が検出された(第11C図)。この
知見は、細胞が可溶性u−PARを産生したのか、ある
いは分泌したのかの何れかであることを示し得るが、一
層可能性があるのは細胞がGPI特異的なホスホリパー
ゼを産生したことである。
【0301】精製したu−PARのPI−PLC処理後
に変化した疎水性:精製したu−PARをトリトンX−
114による界面活性剤層分離にかけると、125I−
標識ATFへの橋架け反応による試験で、ほとんど定量
的に界面活性剤層へ分配され(第12A図)、即ち、受
容体の極めて疎水性な特性が証明された。PI−PLC
とインキュベーションすると、ATF結合活性の50%
以上は水層で回復され、実質的にタンパク質を結合する
u−PAの疎水性を変化させた(第12B図)。PI−
PLCの濃度増加によって、精製したu−PAR標品で
この変換の水準をさらに高めることは不可能であること
が判った。これらの成績は、以前の実験で無傷のPMA
刺激したU937細胞のPI−PLC処理によって、放
出されたu−PAを伴う細胞の分画と一致している(第
10図)。この知見は、細菌性PI−PLCに対する部
分的抵抗性(約50%)が生体内u−PAR集団の真の
特徴であることを示し得る。他のホスホリパーゼ(PL
DおよびPLA)は精製したu−PARの疎水性に何
ら有意な変化を誘発しなかった(第12C図)。
【0302】125I−標識したu−PARの試料を種
々のホスホリパーゼで酵素的に処理したあと、電荷シフ
ト電気泳動によって分析すると、類似の挙動が認められ
た。PI−PLCだけが、ポリアクリルアミドゲルで界
面活性剤組成と独立して移動する標識u−PAR(約5
0%)の意味のある部分を疎水性形へ変えることができ
た(データは示さず)。この実験は、PI−PLCが誘
発したATF結合活性の層分配の変化が、全体的にu−
PARタンパク質そのものの疎水性の同一の変化に起因
することを示している。
【0303】生体内標識:PMA刺激したU937細胞
の[H]−エタノールアミン、ミオ−[H]−イノ
シトール、または[H]−ミリスチン酸の何れかとの
インキュベーションのあと、DFP−u−PARへ結合
可能な成分(Mr50〜60000)の生合成的な標識
が得られた(データは示さず)。u−PARに特異的な
ポリクローナル抗体との免疫沈降によって、このタンパ
ク質をU937細胞の界面活性剤溶解物から単離し、S
DS−PAGEおよび蛍光光度法によって分析した(物
質および方法の項参照)。
【0304】カルボキシル末端の翻訳後プロセッシン
グ:約2モルのエタノールアミン/1モルのu−PAR
の存在を証明することとは別に(第9図および第4
表)、アミノ酸分析によって、この膜受容体の翻訳後プ
ロセッシングの可能性に関する追加的な情報が明らかに
なった。精製したu−PARに対して計算したアミノ酸
組成をcDNA配列からの発生期タンパク質に対する予
測値と比較すると、幾つかの再現性のある有意な矛盾が
生じた(ロルダンら、1990年)。特にAlaおよび
Leuの実測値はあまりに低く、TyrおよびPheの
値はあまりに高かった(第4表)。然し、興味深いこと
に、何か翻訳後の出来事の間に29〜31COOH末端
残基が除去されたと仮定すると、計算した値と予測した
アミノ酸組成とは完全に一致することが可能であった
(第4表)。即ち、測定したアミノ酸組成、および通常
この装置で得られる正確さ/精度に基づけば、u−PA
RにCOOHプロセッシング部位が存在することが推定
される。このモデルにしたがい、プロセッシングは、第
13図に示したように、Ser282、Gly283
またはAla284残基の1カ所で起こることが予測さ
れる。
【0305】[第4表] 精製u−PARのアミノ酸組
成と提案されたCOOH末端プロセッシング前後のその
cDNAから推定されたアミノ酸組成との比較
【表6】 (B) プロセッシング後に推測したu−PARの配列 (Leu〜Ala284) アミノ酸 cDNAからの 酸加水分解後の SD 予測値 測定値 Asp+Asn 29 29.8 0.4 Thr 20 20.0 0.5 Ser 24 23.6 0.4 Glu+Gln 36 38.1 1.2 Pro 9 10.2 0.3 Gly 26 26.8 1.0 Ala 8 7.6 0.1 Cys 28 26.3 0.9 Val 12 11.0 0.2 Met 6 5.5 0.5 Ile 7 6.1 0.1 Leu 24 24.5 0.6 Tyr 7 7.1 0.1 Phe 5 5.2 0.1 His 12 11.6 0.1 Lys 10 9.9 0.2 Arg 19 18.6 0.2 Trp 2 測定せず 測定せず エタノールアミン − 2.4 0.4 第4表の注 a. 精製したu−PARは第9図の解説で説明したアミ
ノ酸分析のために作成した。示した値は3つの独立した
測定の平均値を表す。データはトリプトファンを除いて
すべてのアミノ酸に関して正常化した。発生期u−PA
Rでは合計数309残基であり、完全にプロセスされた
タンパク質では282と推定した(4および2トリプト
ファン残基をそれぞれ除いた)。アミノ酸数はシグナル
配列を除いてu−PARのためのcDNA配列に基づい
ている(ロルダンら、1990年)。 b. これらのヒド
ロキシアミノ酸の値は加水分解中の分解を補正した[S
er(5%)およびThr(10%)]。 c. アミノ酸標準混合物にピログルタミン酸の生成のた
め、僅かな過剰評価が予想される。 d. 1試料では、システインを加水分解前にヨード酢酸
アミドを使用してそのままアルキル化して誘導体化し、
その後、酸加水分解してS−カルボキシシステインとし
て定量化した。一般にこのアルキル化の収量は95%で
ある(プラグ、1989年)。別法として、加水分解の
間、3,3'−ジチオジプロピオン酸(DTD PA)
の存在でシステインを誘導体化し、システインとDTD
PAの間に生成した混合ジスルフィド化合物(Cys−
x)として定量化した。 e. nd=測定しなかった。 f. SD=標準偏差(残基の絶対数)
【0306】この実施例の結果から、u−PARはグリ
コシル化したホスファチジルイノシトールアンカーを有
し、C末端をプロセスされていることが明白に証明され
た。
【0307】実施例4 u−PARに対するマウスおよびウサギポリクローナル
およびモノクローナル抗体の製造 精製ひとu−PA受容体(実施例1)を、6−16%勾
配ゲルで非還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動の対象とした。蛍光分子量マーカーを隣の列
で泳動せることにより、抗原に対応する電気泳動部位を
切り出した。ゲル片はミクロ−ヂスメンブレーターII装
置で凍結乾燥し、続いて解凍した(ビー・ブラウン・エ
ージー、ドイツ連邦共和国)。ポリアクリルアミドゲル
粉はトリス緩衝化食塩水中で再構成させ、フロインド不
完全アジュバンドと混合し、ニュージーランド白色ウサ
ギへの注射に使用した。10週間によわたり動物は5回
の注射を受け、それぞれ約3μgの抗原を含み、その
後、単一の8μgの注射をさらに7週間後行った。血清
を最後の注射の1週間後取り出し、IgGをプロテイン
A−セファロースクロマトグラフィーで調製した。注射
抗原内の痕跡の不純物を除去するために、抗体を、固定
化ひとu−PAおよびPMA−刺激 U937細胞(実
施例1参照)由来トリトンX−114デタージェント蛋
白質混合物をそれぞれ含むカラムを逐次通過させること
により吸着させた。得られた抗体調製物は溶液中でu−
PAのアミド加水分解またはプラスミノーゲン活性化活
性を阻害しなかった。
【0308】未変化u−PARに対する上記と同様の方
法がu−PARの16kD u−PA結合ドメインおよ
び実施例2に記載同様のキモトリプシン分解で得たu−
PARのMr35−45kD非−u−PA結合フラグメ
ントに特異的なポリクローナル抗体の製造に利用でき
る。免疫化のためには、これらの2つの断片を上記と同
様にSDS−PHAGEゲルから切断して別々に得られ
得る。
【0309】ウエスタンブロットティングにより評価し
たu−PARポリクローナル抗体の特異性 電気泳動法 SDS−PAGEをラエミリ(上掲)によ
り6〜16%ポリアクリルアミド直線濃度勾配でスラブ
ゲル中行った。試料を還元条件下移動させた。試料を2
ーメルカプトエタノールを100℃3分間ジチオトレイ
トールを置き換えること以外ラエミリ緩衝液中電気泳動
する直前に還元した。下記の分子量マーカーを使用し
た:ホスホリラーゼb(分子量約94000)、ウシ血
清アルブミン(分子量67000)、卵白アルブミン
(分子量約43000)、炭酸脱水酵素(分子量約30
000)、大豆トリプシン阻害剤(分子量約2010
0)およびα−ラクトアルブミン(分子量約1440
0)。
【0310】ウエスタンブロッティング − アフィニ
ティー精製u−PARまたはPMA−刺激U937細胞
のトリトンX−114抽出物からのデタージェント相を
6〜16%勾配ゲル上還元条件下SDS−PAGEに適
用する。ゲルをニトロセルロースシート上へ電気ブロッ
トした。シートを濯ぎ、トリス緩衝化食塩水、pH7.
4中30%ウシ胎仔で不活化した。シートをマウス−抗
−u−PARまたは対照血清でインキュベートし(即
ち、豚ムチンに対するマウス抗血清)、トリス−緩衝化
食塩水中胎仔ウシ血清中希釈した。シートを濯ぎ、第2
の抗体(アルカリホスファターゼ−接合ウサギ抗−マウ
スIg(ダコパッツ、コペンハーゲン)でインキュベー
トし、ニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドリルホスフェート/レバミソールで
染色した。
【0311】ウサギu−PAR抗体のウエスタンブロッ
ティング分析を、以下の変更以外同様の方法で行った:
SDS−PAGEを非還元条件下行った。新生子ウシ血
清を胎仔ウシ血清の代わりに使用した。最初の抗体イン
キュベーション工程中には10%血清だけを含んだ。1
00倍希釈のアルカリホスファターゼ接合ブタ抗−ウサ
ギIg(ダッコパ社製商品番号306)を第2の抗体と
して使用した。
【0312】細胞ATF結合の阻害に関する分析 −
U937細胞を、ニールセン等(1988年)に記載と
同様に洗浄し、酸処理した。細胞をPBS100μl、
0.1%ウシ血清アルブミン中再懸濁し、前以て希釈し
た抗−u−PAR100μlを加えた。対照試料に前以
て希釈した対照血清100μlを加えた(即ち、豚ムチ
ンに対して生じたマウス抗血清)。試料を静かに撹拌し
つつ4℃1時間インキュベートした。インキュベート
後、125I−ATF100μlを加え、インキュベー
ションをもう1時間続けた。300μl反応容積中、
125I−ATFの最終濃度は、2.2nMであり、抗
−u−PAR血清/対照血清の最終希釈は1:300〜
1:153600の範囲であった。ついで、細胞をPB
S−ウシ血清アルブミンの1mlで3回洗浄し、結合放
射能をガンマ計数器で測定した。これらの条件下、放射
能の12%は、抗血清を加えないとき、細胞−結合とな
った。結合放射能の90%は、細胞が非標識化u−PA
700nMで前以てインキュベートしたとき置換され
た。
【0313】結果 第14図が示すように、免疫化マウスから血清は125
I標識化精製u−PARを沈降させた。1:75、1:
750、1:7500、1:75000に希釈した抗−
u−PAR血清は、それぞれ25%、18%、5%およ
び1%沈降させた。同じ希釈で免疫化血清および他方の
対照は0.5〜1%血清の範囲内で沈降し得る。
【0314】逆固相放射能免疫測定を使用して、抗血清
125I標識化精製u−PAR(第15図)を免疫捕
獲に使用した。抗−u−PAR血清1:500〜1:3
2000の2倍系列希釈は同量の125I−u−PAR
(総量の約2%)を1:4000までの血清希釈で捕獲
し、1:32000で半量に低下した。非免疫血清の同
じ系列希釈物および他方の対照は、総量の約0.5%
125I−u−PARの捕獲となった。
【0315】ELISAにおける免疫に対する非免疫血
清の反応を第16図に示す。ウェルに対するコート化精
製u−PARの1ngは1:8000に希釈した免疫血
清で検出されるのに十分であった。すべての希釈非免疫
血清および他の試料について、バックグランド濃度で反
応値が得られる。
【0316】ひとu−PARに対するマウス抗血清を、
U937細胞を、抗血清と前以てインキュベートし、つ
いで125I−ATFを加えた競合実験において使用し
た。第17図が示すように、抗−u−PAR血清は細胞
に対する125I−ATFの特異的結合を完全に阻害し
得た。50%阻害は1:2400希釈で得た。同じ条件
下、対照血清は僅かに阻害、即ち、使用した最も高い濃
度で約20%(1:300希釈)を示した。ウエスタン
ブロッティングにおいて、PMA−処理U937細胞か
らのデタージェント相内に含まれるu−PARおよび精
製u−PARは、抗−u−PAR血清により検出された
(第17図、差し込み図、レーン1およびレーン2)。
対照免疫血清は、同じ調製物とは反応しなかった(レー
ン3およびレーン4)。
【0317】ウサギポリクローナル抗体をウサギをSD
S−PAGEを連続して分取したアフィニティー精製u
−PARを含むポリアクリルアミドゲル物質でウサギを
免疫化することにより製造した。IgG画分を得られた
抗血清から分離し、固定相ヒトu−PAおよびPMA−
刺激U937細胞由来の固定化膜−タンパク質混合物の
それぞれカラムを通して吸収させた。抗体は、PMA刺
激U937細胞(図18)(A)からトリトンX−11
4デタージェント相中u−PARを認識した。すなわ
ち、化学的架橋の実施(方法につき実施例1参照)(レ
ーン3)後DFP処理u−PAとの100〜110kD
コンジュゲートを形成する能力によりu−PARである
ことを決定し得る50〜65kDの範囲内のタンパク質
が認められた(レーン1および2)。DFP処理u−P
Aだけ(レーン5および6)では発色せず、DPF処理
u−PAを加えなかったとき、架橋操作は、u−PAR
の電気泳動像を変化させなかった(レーン2)。同じ方
法で調製され、同じウサギからの前免疫IgGで染色さ
れたバンドは試料のいずれにもなかった。
【0318】u−PARの配位結合能に対するウサギ抗
体の効果を、u−PARの精製試料(実施例;約20n
g/ml)を、ウサギ抗−PAR血清からの精製および
吸収IgGと前以てインキュベートした別の実験におい
て検討した(プレインキュベーション中最終IgG濃度
90μg/ml)。この処理は、125I−ATFとの
架橋コンジュゲートの形成を完全に妨害した。前免疫血
清からのIgGは、同じ濃度で架橋分析に影響を与えな
かった。
【0319】u−PARに対するモノクローナルマウス
抗体の産生 マウスの免疫化 BALB/c系マウスを、ジイソプロピルフルオライド
・ウロキナーゼ型プラスミ¨ノーゲン活性化物(DFP
−u−PA)リガンド親和性カラム上でu937a細胞か
ら精製したu−PARで免疫した(実施例1参照)。マ
ウスは3週間間隔でu−PAR 5μgを3回腹腔内注射
した。最後の注射後8−10日で、血清を、u−PAR
に対する反応性についてELISAおよびウェスタンブ
ロッティングの両方で試験した。陽性の反応が検出され
たとき、u−PAR 10−15μgを腹腔内に最終的に
ブースター注射した。
【0320】ハイブリドーマの融合及びクローニング 融合のための標準的な実験計画に従ったが、簡単な概要
は以下のとおりである: a) 免疫BALB/cマウスから単離した脾臓及び末梢
リンパ節を機械的に粉砕し、均一な細胞懸濁液を血清不
含溶媒中調製した。 b) 指数増殖期の骨髄腫細胞およびX63−Ag8.65
3細胞(ケルニー、ジャーナル・オブ・イムノロジー、
123巻、1548−1550頁、1979年)を単離
し、BALB/c脾臓リンパ球との融合に供した。骨髄
腫細胞は血清不含溶媒に再懸濁した。 c) 脾臓およびリンパ節リンパ球並びに骨髄腫細胞それ
ぞれ1:1.25及び1:2の比率で混合した。 d) 細胞は37℃で50%(重量/容量)ポリエチレング
リコール4000(PEG)を(脾臓及びリンパ節リンパ
球に対し、それぞれ5mlないしn×10及び1mlない
し4.5×10)滴加することにより融合した e) 血清不含溶媒を穏やかに添加して融合を停止させ
た。 f) 遠心後、上清を除去し、細胞を血清含有溶媒で1回
洗浄した。次いで、細胞をヒポキサンチン・アミノプテ
リン・チミジン(HAT)含有溶媒中注意深く再懸濁し
た。 g) 融合した細胞を約7×10セル/ウェル(脾臓融
合)及び5×10セル/ウェル(リンパ節融合)の濃
度で、150μlの選択溶媒中2.5×10マクロファ
ージを含有する平底マイクロタイタープレートのウェル
に50μlずつ分配した。 h) 細胞を加湿恒温培養器中5%CO 雰囲気下37
℃で恒温培養した。 i) 選択溶媒は1週間後かまたは必要な時に新しくし
た。 j) ハイブリドーマの成長を見るために、ウェルを検査
した。膨大に成長し色が黄色に変化したのが観察された
時、上清を採りELISA法によりu−PARと反応す
る抗体のふるい分けに供した(以下参照)。 k) 融合後10−14日に、HAT培地をHT培地に置
き換え、その後、例えば10日後に普通の培地に置き換
えた。 l) ELISA陽性のウェルを24−ウェルプレートの
カップに移し、次に小さい(25cm)培養フラスコに移
した。 m) ELISA陽性のハイブリッド細胞を、液体窒素中
できるだけ早く凍結した。 n) 4つのELISA陽性ウェルからのハイブリドーマ
を制限希釈によりクローン化した。平均0.5セル/ウ
ェルで36ウェル、平均1セル/ウェルで36ウェル及
び平均3セル/ウェルで36ウェルを各培地から調製し
た。唯一の型のモノクローナル抗体を分泌するハイブリ
ドーマが確立されるまで再びクローン化し再試験した。
【0321】融合細胞を含むウェルからの培地をELI
SAで試験し、元のハイブリドーマ培養体の各々から平
均0.5セル/ウェルで接種したウェルからのクローン
の強いELISA反応を安定に示す一つを次の増殖用に
用いた。
【0322】スクリーニング用に用いた固相酵素免疫測
定法(ELISA) 材料 1) 96ウェルプレート(平底高度な結合能力、ヌン
ク)。 2) u937細胞から精製したu−PAR(10μg/m
l)。 3) 西洋ワサビペルオキシダーゼ・複合ウサギ抗マウ
スIg(HRP−RaMIg)。 4) PBS緩衝液、pH7.4(PBS)。 5) PBS+0.1%トゥイーン20、pH7.4(PB
S/トゥイーン20) 6) 妨害用緩衝液: PBS中1%脂肪粉乳(SM
P)。 7) クエン酸塩緩衝液: 0.1Mクエン酸塩、pH5.
0。 8) 基質溶液: クエン酸塩緩衝液中1,2−フェニレン
ジアミン−ジヒドロクロライド(OPD)錠、たとえばク
エン酸塩緩衝液15ml+H 5μl中OPD3錠
(30%)。 9) 停止用緩衝液: 1M HSO 方法 1) 0.1M NaCO、pH9.8で希釈して濃度
を20ng/mlにした精製u−PAR 100μlでウェル
を被覆する。 2) 4℃で一晩恒温培養する。 3) 翌日、ウェルをPBS/トゥイーン20で4回洗
浄する。 4) ウェル中に残存する活性部位を1%SMP/PB
S、200μl/ウェルで、室温で1/2時間妨害す
る。穏やかに振とうする。 5) 段階3のように洗浄する。 6) PBS/トゥイーン20+1%SMP中連続希釈
したハイブリドーマ分泌抗体/免疫/非免疫血清からの
使用溶媒100μl/ウェルを加え、適切な対照を含め
る。 7) 穏やかに振とうしながら37℃で1時間恒温培養
する。 8) 段階3のように洗浄する。 9) PBS/トゥイーン20+1%SMPで1:500
に希釈した2次抗体HRP−RaM Ig 100μl/
ウェルを添加する。 10) 段階7のように恒温培養する。 11) 段階3のように洗浄する。 12) 2回蒸留水で1回洗浄する。 13) 基質溶液100μl/ウェルを添加する。 14) 鮮やかな黄色が現れた時、1M HSO15
0μl/ウェルで15−30分間反応を停止させる。 15) 490nmフィルターの付いたELISA読み取り
機を読む。
【0323】モノクローナル抗体の精製 材料 1.ハイブリドーマ分泌モノクローナル抗体からの使用
溶媒。 2.a.プロテインGセファロース4ファスト・フロウ
使い捨て可能カラム3ml。 b.結合用緩衝液:2×100ml、0.2Mリン酸ナトリ
ウム(pH7.0)。予防剤として0.05%ナトリウム
アジドを含む10×濃縮物。 c.溶出溶液:1×100ml、1.0Mグリシン−HCl
(pH2.7)。10×濃縮物。2.7のpHは防腐剤を使
用することなくすぐれた安定性を与える。 d.中和緩衝液:1×100ml、1.0Mトリス−HCl
(pH9)。防腐剤として0.05%ナトリウムアジドを
含む。 を含むIgGの精製用MAbトラップG完全キット(ファ
ルマシア)。 3.フラクションコレクター及びuv−モニター 4.ミニソーブ管 方法 プロテインGセファロース4FFカラムをまず頂上キャ
ップを除くことにより開けた。これはゲル中に入る気泡
を防ぐ。20%エタノール保管溶液を注ぎ、プロテイン
Gセファロース4FFカラムを結合用緩衝液(〜30m
l)で頂上まで満たすことにより平衡化し、その後カラ
ムから引き出した。カラムはメニスカスが頂上フリット
に達すると流れを自動的に停止し、カラムを乾燥から防
ぐ。培養上清を150×g遠心し、濾過した(0.20μ
m)。50−150mlの調製した試料を用いゲルに吸収
させた。未結合の蛋白を結合用緩衝液(〜30ml)で頂
上までカラムを満たすことにより流去し、緩衝液をカラ
ムに通過させて未結合材料を溶出した。結合したIgG
は、溶出緩衝液(〜15ml)でカラムを満たすことによ
りカラム上に溶出させた。溶出した抗体の1mlフラクシ
ョンを40−80μl中性緩衝液を含むミニソーブ管に
集め、溶出フラクションの純度をファストゲルシステム
(ファルマシア)を適用し、次いで銀染色して8−25
%勾配ゲル上で調べた(実施例1参照)。
【0324】モノクローナル抗体のサブイソタイピング 材料 1.96ウェルプレート(平均高度な結合能力、ヌン
ク)。 2.精製したu−PAR(10μg/ml)。 3.マウス・タイパー・サブイソタイピング・キット
(バイオ−ラド)。 4.西洋ワサビペルオキシダーゼ・複合ブタ抗ウサギI
g(HRP−SaR Ig) 5.PBS緩衝液、pH7.4(PBS)。 6.PBS+0.1%トゥイーン20、pH7.4(PB
S/トゥイーン20)。 7.妨害用緩衝液:PBS中1%脱脂粉乳(SMP)。 8.クエン酸塩緩衝液:0.1Mクエン酸塩、pH5.
0。 9.基質溶液:クエン酸緩衝液中1,2−フェニレンジ
アミン−ジヒドロクロライド(OPD)錠、例えばクエ
ン酸液緩衝液15ml+H5μl中OPD3錠(3
0%)。 10.停止用緩衝液:1MHSO
【0325】方法 ウエルを0.1MNaCO、pH9.8中20ng/mlの
濃度まで希釈した精製u−PAR100μlで被覆し、1夜
4℃で恒温培養した。次いでウエルをPBS/トゥイー
ン20で4回洗い、ウエルに残っている活性部位を、1
%SMP/PBS、200μl/ウエルで1/2時間室
温でゆるやかに振とうしながら反応を停止させる。それ
らを再び上記のように洗い、ハイブリドーマ分泌モノク
ローナル抗体からの使用溶媒100μl/ウエルを加
え、次いで1時間37℃でゆるやかに振とうしながら恒
温培養した。上記のように洗浄したのち、サブイソタイ
ピング抗体の未希釈溶液100μl/ウエルを加えた。
1時間37℃で恒温培養したのち、ウエルを上記のよう
に洗浄した。1:500に希釈したHRP−SaRIg1
00μl/ウエルをPBS/トゥイーン20+1%SM
Pに加え、ウエルを恒温培養し、上記のように洗浄し、
次いで2回蒸留水で洗浄した。基質溶液100μl/ウ
エルを加え、5−10分後、鮮やかな黄色が現れたと
き、150μl/ウエルの1MHSOで反応を停止
させた。490nmフィルターの付いたERISA読み取
り機で吸光度を測定した。各実験で適当な対照を含ん
だ。
【0326】結果 融合脾臓細胞を有する1000ウエルは19、そして融
合リンパ節細胞を有する90ウエルは5つの安定なEL
ISA陽性ハイブリドーマを得た。一次クローニング用
に異なる特質でハイブリドーマを選択するため、安定な
ELISA陽性ハイブリドーマからの調整溶媒を、
(1)ウエスタンブロッティング(実施例4参照)でu
−PARを可溶化したPI−PLCを染色する能力(実
施例3参照)、(2)放射標識型でのu−PAのATF
部分のu937細胞への結合の妨害(実施例11参
照)。及び(3)結腸アデノアルシノナス(adenoarcin
onas)のパラフィン区分の染色、インサイチュウハイブ
リダイゼーションによりそれらはu−PARに対するmR
NAの発現を伴う細胞を含むことを示した(実施例8参
照)、について試験した。
【0327】これらの基準で、4ハイブリドーマをクロ
ーニング用に選択した(I 4E−8、I 5A−7、I
10A−4、II 1D−6)。最初の3つは脾臓細胞融
合から誘導され、最後のものはリンパ節細胞融合から誘
導された。これらの4つのハイブリドーマからの調整溶
媒の特質は以下の通りであった。
【0328】
【表7】 4つのハイブリドーマのクローニング後、平均0.5セ
ル/ウエルで植えたウエルのほぼ半分が生成を示し、そ
れぞれの元のハイブリドーマ用に、一貫して強いELI
SA反応を示すものの一つを繁殖用及び全ての続く研究
用に用いた。クローンを選択したものは1R(I4E−
8から)、2R(I 5A−7から)、3R(I 10A
−4から)及び4R(II 1D−6から)と名付けた。
1Rは他の3つのクローンよりも弱いELISA反応を
一貫して示した。これらのクローンから生成された抗体
のサブイソタイピングは上記したように実施した。1R
はIgG2b、カッパーであると測定され、他の3つはI
gG1カッパーイソタイプと測定された。抗体は上記の
ように精製し、ファストゲルシステムでの電気泳動後、
1つの銀染色バンドを示すこれらの精製標品は全ての続
く研究に用いた。
【0329】実施例5 免疫沈降及びウエスタンブロッティングによるモノクロ
ーナル抗体の特性表示モノクローナルこれらのによる免
疫沈降による精製u−PARの特異認識 放射免疫沈降検定法(RIPA)。この検定法は、無処
理のu−PAR(I)又はMr=16,000u−PA結合
ドメイン及びu−PAと結合しないMr35−45,00
0断片を含むu−PAR(D)のキモトリプシン崩壊型
を特異的に検出する目的で開発された。
【0330】材料 1.125I−ヨウ素化u−PAR(I)及びu−PAR
(D)。 2.反応用緩衝液:0.1Mトリス−HCl中0.1%ウ
シ血清アルブミン(BSA)+0.1%CHAPS+3
00mMNaCl、pH=8.1。 3.洗浄用緩衝液0:反応用緩衝液。 洗浄用緩衝液1:0.1%BSAのない反応用緩衝液。 4.反応用緩衝液中に膨張し、1:1に希釈したプロテ
インAセファロースCL4B(プロテインAセファロー
ス溶液)。 5.エッペンドルフプラスチック試験管。
【0331】方法 1.反応用緩衝液に希釈した放射性標識化u−PAR
(I)又はu−PAR(D)(約3.5×10cpm/m
l)100μlをエッペンドルフ試験管に加える。 2.反応用緩衝液に適当な濃度(即ち20μg/ml)に
希釈した精製モノクローナル抗体を添加し、適切な対照
も含める。 3.穏やかに振とうしながら4℃で1時間恒温培養す
る。 4.プロテインAセファロース溶液50μlを加える。 5.エンド・オーバー・エンド撹拌器上、4℃で1時間
恒温培養する。 6.最後の恒温培養の後、10,000rpmで20秒間試
料を遠心沈殿させる(ミニヒューグ)。 7.1mlウエスタン緩衝液0にペレットを再び懸濁し、
10,000rpmで20秒間セファロースを遠心沈殿させ
る。上清を除去する。 8.段階7を繰り返す。 9.1mlウエスタン緩衝液1にペレットを再び懸濁し、
10,000rpmで20秒間セファロースを遠心沈殿させ
る。上清を除去する。 10.段階9を繰り返す。 11.ゲル電気泳動用二回濃縮試料緩衝液50μlにペレ
ットを再び懸濁し、試料を5分間煮沸する。 12.10,000rpmで20秒間試料を遠心沈殿させる。 13.上清を試験管に移し、ガンマーカウンターで試料を
数える。 14.計数後、6−16%公配ゲル及び自動ラジオグラフ
ィーで非還元条件下、SDS−PAGEにより試料を分
析する。
【0332】結果 4つのモノクローナル抗体は、無処理形及び崩壊形で精
製u−PARへの結合について放射免疫沈降検定法で試
験した。キモトリプシン分解の結果、Mr16,000の
u−PA結合断片及びMr30−50,000範囲の不均
質成分の遊離となり、これは分子の静止を示す。無処理
のu−PARはMr50−65,000を有する不均質成
分である。u−PAR、u−PAR(I)及びu−PAR
(D)の両調製品は、実施例1に記載したように125
I−ヨウ素で放射標識化し、免疫沈降に付した。図19
Aは、モノクローナル抗体(それぞれレーン7,5,
6,8における1R、2R、3R、4R)が異なる効率
を有するMr50−65,000の範囲のu−PAR
(I)を沈降させることを示す。この違いは精製u−P
ARに対する異なる親和性を反映しうる。2R及び4R
はu−PAR(I)を沈殿させるのに等しく効果的であ
るが、3Rは効果がより少ない。1Rによって沈殿され
るu−PAR(I)の量は、非常に少ない。これは、こ
の抗体と精製u−PARとの比較的弱い反応を示すEL
ISA結果と一致する(上記参照)。4つのモノクロー
ナル抗体のプールは個々の抗体の混合効果を反映する。
u−PAR(D)を抗原として用いた場合、免疫沈降の
結果、3RによるMr16,000を有するuPARのu−
PA結合断片の特異認識となった。2R及び4Rはほぼ
同じ効率を有するMr35−50,000範囲の不均質成
分を認識した。プールしたモノクローナル抗体は、個々
の抗体の反応から予想されるように両成分を認識した
(図19B)。
【0333】ウエスタンブロッティングにより測定され
た通りのPMA処理u937細胞からのu−PARとモノ
クローナル抗体との反応性 方法 電気泳動。ラエムリに従って、平板ゲル中、直線6−1
6%ポリアクリルアミド濃度勾配でSDS−PAGEを
実施した(上掲)。試料は還元条件下とした。試料は、
2−メルカプトエタノールをジチオトレイトールに置き
換えた以外、3分間100℃でラエムリ緩衝液中での電
気泳動前直ちに還元した。ウエスタンブロッティング。
PMA活性u937細胞及びu937aのトリトンX−1
14抽出物からの清浄相の試料を、それぞれ非還元条件
下、6−16%公配ゲル上SDS−PAGEに付した。
分離した蛋白をニトロセルロースフィルターシート上に
エレクトロブロットした。シーツをトリス緩衝・食塩水
pH8.0中1%脱脂粉乳で妨害し、5mm片に切った。こ
れらを妨害用溶液に希釈したu−PAR又は対照血清
(即ちマウス抗u−PAR血清及びマウス非免疫血清)
に対する、実施例1に記載したように調製したマウスモ
ノクローナル抗体1R、2R、3R及び4Rと恒温培養
した。片を妨害用溶液(上記参照)中0.05%トゥイ
ーンに浸漬し、二次抗体[アルカリホスファターゼ複合
ウサギ抗マウスIg(ダコパッツ、コペンハーゲン)]
と恒温培養し、ニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドチルホスファターゼで展開
した。
【0334】結果 PMA処理u937及びu937a細胞からの清浄相内に
含まれるu−PARに対する4つのモノクローナル抗体
の反応性を、それぞれウエスタンブロッティングにより
分析した。u−937細胞は50−65KD範囲にu−P
AR蛋白を発現し、u937a細胞はさらにu−PAR変
異体系40−45KDを発現する。図20Aに示すよう
に、モノクローナル抗体1R(レーン1)はウエスタン
ブロッティングで何の反応も示さなかったが、2R、3
R及び4R(それぞれレーン2、3及び4)はu−PA
Rに対して予想された分子量を有する蛋白を認識した。
4Rは非常に弱い反応を与えた。図20Bは、u937a
細胞からのu−PARとの反応性のパターンを示す。1
R(レーン1)はu−PARとの反応を示さなかった。
2R及び3R(それぞれレーン2及び3)はu−PAR
の高及び低分子量形の両方を認識し、一方4R(レーン
4)はu−PARの低分子量変異体を優勢に強く認識し
た。
【0335】結論 これらの実験の結果から、4つのモノクローナル抗体1
R、2R、3R及び4Rは全てu−PARに向けられ、
これらはu−PAR分子上の異なるエピトープを認識す
ると結論される。 1R:抗体はu−PARの非u−PA結合部分に結合す
る。抗体はELISAで反応性なだけである。蛋白をS
DS−PAGE及びエレクトロブロッティングに付す
と、この抗体により認識されるエピトープは崩壊する。 2R:抗体はu−PARの非u−PA結合部分に結合す
る。それが向けられるエピトープはSDS−PAGE及
びエレクトロブロッティングにより破壊されない。ウエ
スタンブロッティングにおいて、PMA活性化u937a
細胞からのu−PARの高及び低分子量グリコシレーシ
ョン変異体の両方とそれが反応することで4Rと異な
る。 3R:抗体はu−PARのu−PA結合部分と結合する。
それが向けられるエピトープはSDS−PAGE及びエ
レクトロブロッティングにより破壊されない。 4R:抗体はu−PARの非u−PA結合部分に結合す
る。それが向けられるエピトープはSDS−PAGE及
びエレクトロブロッティングにより破壊されない。それ
は、DMA活性化u937a細胞からのu−PARの低分
子量グリコシレーション変異体とほとんど独占的に反応
するので2Rと異なる
【0336】実施例6 ELISAによるu−PARの定量 生物学的材料:実施例1で記載したように精製したu−
PAR親和性。 実施例4に記載したように精製したモノクローナル抗体
1R、2R、3R及び4R。 モノクローナル抗体のビオチン化(ゲストン、J−L
ら、ジャーナル・オブ・ヒストケミカル・シトケミスト
リイ、27、1979、1131−1139参照)
【0337】材料 1.1mg/mlの濃度で精製抗体。 2.反応用緩衝液:0.1MNaHCO、pH9.5。 3.希釈ジメチルホルムアミド中BXNHS(ビオチン
のN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル+スペーサー
基)の貯蔵溶液:0.1MBXNHS。 4.PBS緩衝液、pH7.4(PBS)。 5.透析管 6.87%グリセロール
【0338】方法 2ml(2mg)の精製抗体を500ml0.1MNaHC
、pH9.5で2時間、次いで500ml0.1MNaH
CO、pH9.5で一夜4℃で透析した。45.6μl
0.1MBXNHSを透析した抗体に加え、次いでこれ
を1時間室温で光から保護して、ゆるやかに磁気撹拌し
つつ恒温培養した。恒温培養後、反応溶液を24時間4
℃で、4回更新で、500mlPBS、pH7.4に対し透
析した。ビオチン化抗体を87%グリセロールで1:1
に希釈し、−20℃で保存した。
【0339】u−PARの測定 材料 1.96ウエル・プレート(平底高結合能力、ヌン
ク)。 2.未標識化精製モノクローナル抗体4R。 3.ビオチンで標識した精製モノクローナル抗体2R。 4.西洋ワサビペルオキシダーゼ複合(HRP)ストレ
プトアビジン(DAKO、コペンハーゲン)。 5.PBS緩衝液、pH7.4(PBS)。 6.PBS+0.1%トゥイーン20、pH7.4(PB
S/トゥイーン)。 7.妨害用緩衝液:PBS中1%脱脂粉乳(SMP)。 8.クエン酸塩緩衝液:0.1Mクエン酸塩、pH5.
0。 9.基質溶質:クエン酸塩緩衝液中1,2−フェニレン
ジアミン−塩酸塩(OPD)錠、例えばクエン酸塩緩衝
液15ml+H(30%)5μl中4OPD錠。1
0.停止用緩衝液:1MHSO
【0340】方法 1.0.1MNaCO(pH9.8)中に希釈した精製
モノクローナル抗体4R(20μg/ml)100μlでウ
エルを被覆する。 2.4℃で一夜恒温培養する。 3.PBS/トゥイーンで5回ウエルを洗浄する。 4.ウエル中に残っている活性部位を1%SMP/PB
S、250μl/ウエルで少なくとも1時間37℃で妨
害する。 5.段階3のように洗浄する。 6.未標識化標準抗原溶液の連続希釈100μlを添加
する。 7.ゆるやかに振とうしながら、最小1.5時間、室温
で恒温培養する。 8.段階3のように洗浄する。 9.ビオチン標識化モノクローナル抗体2R(濃度50
0ng/ml)100μlを添加する。 10.段階7のように恒温培養する。 11.段階3のように洗浄する。 12.SMP/PBS/トゥイーンに1:5000に希釈
したHRP−ストレプアビジン(DAKO、コペンハー
ゲン)100μlを添加する。 13.段階7のように恒温培養する。 14.段階3のように洗浄する。 15.二回蒸留水で1回洗浄する。 16.基質溶液100μl/ウエルを添加する。 17.鮮やかな黄色が現れたとき、1MHSO100
μl/ウエルで5−10分、反応を停止する。 18.490nmフィルターの付いたELISA読み取り機
で読む。
【0341】モノクローナル抗体4Rをu−PARに対
する親和性精製ポリクローナル抗体と置き換え、同様の
実験を実施した。u−PARに対するポリクローナル抗
体は上記実施例4に記載されるように得た。
【0342】結果 精製したu−PARを2種の抗体サンドウィッチELI
SAにより定量分析した。モノクローナル抗体4Rを捕
獲抗体として使用するとき、精製したu−PARは上記
の条件下1:500〜1:4000希釈範囲で測定し得
た。不適切なモノクローナル抗体はu−PAR(図2
1)を結合しない。u−PARに対してアフィニティー
精製ポリクローナルウサギ抗体を使用したとき、u−P
ARを1:1000〜1:4000希釈範囲で測定し得
た。ウサギ免疫前血清はu−PARA(図21)を結合
していないことを示した。定量的ELISAの感受性
は、曲線の傾斜に依存する。4Rを用いる実施例におい
て、最も急な傾斜を得る;従って、これは最も正確な定
量を与えるものと思われる。
【0343】これらの結果およびu−PAR(実施例
5)のキモトリプン消化の免疫沈降で得られた結果に基
づいて、抗体の下記の組合せは、u−PAと複合してい
ると否とに関係なくu−PARを測定するのに有用であ
ると思われる。
【0344】A.非標識捕捉抗体:1Rおよびアフィニ
ティー精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗体。 ビオチン−標識検出抗体:2Rまたは4R、アフィニテ
ィー精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗体。 B.非標識捕捉抗体:2R、アフィニティー精製ポリク
ローナル抗−u−PARウサギ抗体。 ビオチン−標識検出抗体:1R、4R、アフィニティー
精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗体。 C.非標識捕捉抗体:4Rおよびアフィニティー精製ポ
リクローナル抗−u−PARウサギ抗体。 ビオチン−標識検出抗体:1Rまたは2R、アフィニテ
ィー精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗体。
【0345】抗体の下記の組合せは、u−PARおよび
u−PAの複合体の測定に有効であると思われる: A.非標識捕捉抗体:1R,2Rおよび4R、アフィニ
ティー精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗体。 ビオチン−標識検出抗体:u−PAのB−鎖と反応する
モノクローナル抗体(例えば、クローン2および5、ニ
ールセン等、ジャーナル・オブ・イムノアッセイ、7
巻、1986年、209〜228頁)。 B.非標識捕捉抗体:u−PAのB−鎖と反応するモノ
クローナル抗体。 ビオチン−標識検出抗体:1R、2Rまたは3R、アフ
ィニティー精製ポリクローナル抗−u−PARウサギ抗
体。
【0346】下記の組合せの試薬は、u−PAR単一ま
たはu−PAとの複合体の測定に有効であると思われ
る: A.非標識捕捉抗体:モノクローナル抗体1R,2Rま
たは4R、アフィニティー精製ポリクローナル抗−u−
PARウサギ抗体。 検出試薬:ビオチン−標識検出抗体3R、ビオチニル化
DFP−u−PA。 B.非標識捕捉抗体:3R、DFP−u−PA。 ビオチン−標識検出抗体:モノクローナル抗体1R、2
Rまたは4R、アフィニティー精製ポリクローナル抗−
u−PARウサギ抗体。
【0347】u−PAR ELISAaの上記の種々の
型において、3Rモノクローナル抗体は、u−PARの
16kDのu−PA結合断片で免疫化により産生したポ
リクローン抗体により置換し得る。1R、2Rおよび4
Rモノクローンル抗体は、実施例4記載と同様にu−P
ARのMr35〜45kDの非−u−PA結合断片で免
疫化により産生したポリクローナル抗体により置換し得
る。
【0348】実施例10 u−PAR抗体による細胞表面プラスミノーゲン活性化
の阻害 材料および方法 U937細胞上のu−PAR結合u−PAによるプラスミ
ノーゲン活性化を、詳細に上述(エリス等、1990
年)されているとおりに決定した。簡単に述べると、種
々濃度のプラスミノーゲン(0.09μMおよび2.26
μM)をプラスミン特異性蛍光原性基質Val−Leu−Ly
s−AMC(バケム、スイス)の存在下、U937細胞(活
性u−PAと共に前もって恒温培養し続いて洗浄した)と
共に恒温培養した。プラスミン発生は基質の加水分解に
よる蛍光の増加の変化率から決定した。蛍光は励起およ
び発光波長を各々380nmおよび480nmで測定した。
これらのプラスミン発生率は次いで、二重逆数法でプラ
スミノーゲン濃度に対してプロットし、反応に対する個
々の反応速度定数、KmおよびVmaxを決定した。最高反
応速度Vmaxは、Vmaxをu−PARに結合したu−PAの
濃度で割ることにより、触媒反応速度定数Kcatに変換
した。
【0349】U937細胞上のu−PARに結合したu−
PAの濃度は、反応速度実験と平行して125I−u−
PA(エリス等(1990年)により記載のとおり調製)
を細胞と恒温培養し反応速度実験と同じ処理をして決定
した。u−PARに結合した 125I−u−PAは一般的
なガンマー・カウンティング技法を用いて定量した。
【0350】結果 U937細胞上でu−PARに結合したu−PAによるプ
ラスミノーゲン活性化の反応速度論 U937細胞上のu−PARに結合したu−PAは、u−
PARが存在しない場合に示すのとは異なる反応速度特
性を示して天然基質プラスミノーゲンを活性化すること
が認められた。u−PAR結合u−PAによるGlu−プラ
スミノーゲンの活性化は、明らかにミカエリス・メント
ン型反応速度機構に従った。これはKmが0.67μM、
kcatが5.6/分であることに特徴づけられた(図2
2)。これらの両者の定数は溶液中、すなわちU937
細胞が不在のときにu−PAで得られたものとは異なっ
ていた。この場合、Kmは25μM(細胞関与u−PAR
が不在の場合のプラスミノーゲン親和性が約40倍低い
ことと等価である)と非常に高く、kcatは44/分(細胞
関与u−PARが不在の場合の触媒速度が約8倍高いこ
とと等価である)と高かった。従って、U937細胞上
でu−PARに結合したu−PAはプラスミノーゲン活性
化を誘起し、溶液中でよりも低いプラスミノーゲン濃度
で飽和されるが、触媒反応速度の低下を伴う。しかしな
がら、全体的な効果をみると、U937細胞上のu−P
ARに結合している場合、u−PAの触媒効率(kcat/
Km)が5倍増加する(表5)。プラスミノーゲン(および
プラスミン)はU937細胞およびその他広範な種類の
細胞(エリスら、1989年; プロウら、1986年)に
結合することが知られているので、これらの定数はu−
PARを有する細胞の表面で起こるプラスミノーゲン活
性化、すなわち細胞表面プラスミノーゲン活性化の程度
を表す。
【0351】図5でも、PMA刺激U937細胞上でu
−PARに結合したu−PAによるプラスミノーゲン活
性化の類似の測定結果を示す。プラスミノーゲン活性化
のKmは今回は1.43μMであり、溶液中の反応の場合
に比べるとまだかなり低い。しかしながら、kcatもまた
5.6/分から1.23/分に低下するので、非刺激細胞
と比較した場合、全体的にはプラスミノーゲン活性化(k
cat/Km)は約10倍低下する結果となる。
【0352】 表5 u−PAR関与U937の存在下、Glu−プラスミノーゲン活性化の反応速度 定数 Km kcat kcat/Km 溶液中のu −PA 25μM 44/分 1.76/μM・分 U937細胞上の 0.67 5.6 8.36 u−PA−u−PAR PMA−U937上の 1.43 1.23 0.86 u−PA−u−PAR
【0353】u−PARのポリクローナル抗体による細
胞表面プラスミノーゲン活性化の阻害 精製したu−PARに対して上昇したポリクローナルウ
サギ抗体(実施例11参照)を用いて、前章で実証された
u−PAの細胞表面プラスミノーゲン活性化活性が、確
かにu−PARに結合したu−PAによるものであること
を証明し、またこの抗体が溶液中u−PARに対するu−
PAの結合を実際に妨害することをも証明した。
【0354】最初に、溶液中のu−PA活性に及ぼすこ
の抗体の効果を決定した。4回の実験で抗u−PAR(1
00μg/ml、30分)により残存u−PA活性は90.1
+9.3%になり、それに対して同じ動物から採った免
疫前IgGでは88.6+12.3%であった。従って、
抗u−PAR抗体はu−PA活性を特異的に阻害すること
はなかった。
【0355】25μg/mlの濃度で30分間U937細
胞と前もって恒温培養した場合、抗u−PAR抗体は結
果的におこるプラスミノーゲン活性化活性を76%(3
回の実験の平均、66%−82%の範囲)に減少させ
た。免疫前IgGが1%未満しか阻害しないのに対し
て、一方DFP−u−PAは90%阻害した(3回の実験
で74%−100%の範囲)。従って、抗u−PARポリ
クローナル抗体は細胞表面プラスミノーゲン活性化を効
果的に阻害する。
【0356】u−PARに対するモノクローナル抗体に
よる外来性u−PAにより開始された細胞表面プラスミ
ノーゲン活性の阻害 4種のモノクローナル抗体1R、2R、3Rおよび4R
のうち、3種は、上記の方法により試験した濃度(50
μg/mlまで)で細胞表面プラスミノーゲンの活性化
の阻害に効果がないことが判明した。これらは、1R、
2Rおよび4Rであった。しかしながら、モノクローナ
ル抗体3Rは、図23に示したようにプラスミノーゲン
活性化を強く阻害した。この阻害は約0.07μg/m
lの抗体濃度で最強の半分であった。
【0357】モノクローナル抗体3Rは、また、実施例
1に記載と同様に行った架橋実験により試験したとこ
ろ、U937細胞上u−PARに対して125I標識化
DFP−処理u−PAの結合を十分に阻害した。抗体1
R、2Rおよび4Rは、DFP−u−PA結合を阻害し
なかった。
【0358】マウスIgGに対して市販のFITC−
(フルオレセインイソチオシアネート)標識抗体を用い
て標準フローサイトメトリー法の使用により、2種の抗
体3Rおよび4Rは、新たに製造したヒト単球上でu−
PARに十分に結合したことが見出された。3Rの結合
は、外来性付加u−PAとのプレインキュベーションに
より完全に阻害され、4Rの結合はu−PAとのプレイ
ンキュベーションにより影響を受けなかった。
【0359】従って、3R抗体は、その特定細胞受容体
に対するu−PAの結合を阻害する。この相互反応は細
胞表面上プラスミン蛋白分解活性の発生に必須のもので
ある。
【0360】3Rを含むモノクローナル抗体はu−PA
が結合した細胞、即ち細胞をu−PAとインキュベート
し、ついでモノクローナル抗体とインキュベートした細
胞による細胞表面プラスミノーゲン活性に対して影響を
及ぼさない。
【0361】u−PARに対するモノクローナル抗体に
よる外来性プロ−u−PAにより開始した細胞表面プラ
スミノーゲン活性化の阻害 方法 U937a細胞の存在下プロ−u−PAおよびプラスミ
ノーゲンの混合物からプラスミノの生成を最初に開示し
た方法(エリス V等、1989年)の修飾法により測
定した。U937a細胞を洗浄し、酸処理(ベーレンド
等、1990年)して、細胞に結合した外来性u−PA
の微量を除去してから、30分間37℃で2mg/ml
脂肪酸無含有BSAを含むPBS中種々の濃度のモノク
ローナル抗体とインキュベートし、次いで同じ緩衝液で
1回洗浄した。次いで、細胞を、0.05Mトリス−H
Cl pH7.4、プロ−u−PA(1.2nM)を含
む0.1M NaCl、プラスミノーゲン2(0.14
μM)およびプラスミン特異性蛍光ペプチド基質である
0.2mM H−D−Val−Leu−Lys7−アミ
ド−4−メチルクマリン中2×10セル/mlの最終
濃度でインキュベートした。このインキュベーション
を、37℃に保温した10mmプラスチック製蛍光光度
計キュベット中行い、微小磁気撹拌機を備えたパーキン
−エルマーLS−5ルミネセンス分光光度計中静かに撹
拌した。プラスミン生成を蛍光強度における変化率から
測定した(エリス等、1990年)。対照実験におい
て、抗−u−PAR抗体は50μg/mlまでの抗体濃
度で細胞の不在下プラスミノーゲン活性化に対して影響
を及ぼさないことが判明した。
【0362】結果 pro−u−PA依存プラスミノーゲン活性化は、U9
37細胞の存在下非常に増強することが証明されたが、
この効果はpro−u−PAおよびプラスミノーゲン両
方の細胞結合を必要とする(エリスら、(1989
年))。図24は、pro−u−PAおよびプラスミノ
ーゲンを酸洗浄U937a細胞とインキュベートした系
におけるこの効果を証明するものであって、プラスミン
生成は細胞の存在下タンパク質の添加時間から直接測定
される。図は、u−PARに対して生成する4種の抗体
それぞれとの細胞のプレインキュベーションの効果も示
している。抗体3Rが、2μg/mlの濃度で、U93
7a細胞の存在下に観察されたプラスミン産生の増強を
完全に打ち消すことが理解される(図24C)。これに
対して抗体1Rと2Rは、同じ抗体濃度において、プラ
スミノーゲン活性化の細胞上昇について、いかなる効果
も示さなかった。これらの二つの抗体は、また、50μ
g/mlまでの濃度において、この系におけるプラスミ
ンの発生に有意な効果を示さなかった。抗体4Rは、プ
ラスミン発生の上昇に対する部分的阻止と共に、中間的
な効果を示し(図24D)、この阻止効果は、より高濃
度(50μg/mlまで、データ示さず)においても約
50%以上となることはなかった。しかしながら、前の
ように4Rとプレインキュベートした細胞を、プラスミ
ノーゲンの添加に先立ってpro−u−PAと共に更に
15分間インキュベートした場合には、プラスミン発生
の上昇に対する4Rの阻止効果は打ち消された。同じ条
件下で、抗体3Rの効果は不変であった。
【0363】実施例6 u−PARmRNA用時ハイブリッド形成およびu−PA
Rの免疫染色 用時ハイブリッド形成 材料および方法 材料 下記の材料は表記した供給源から得た:T7およ
びT3ポリメラーゼ、pブルースクリプト(Bluescript)
KS(+)プラスミドベクター(ストラタジン;CA、US
A);RNアシンおよびDNアーゼI(プロメガ、WI、
USA);[35]S−UTP(1300Ci/mmol)(NEN
デュポン、MA、USA);ジチオスレイトールおよび
制限エンドヌクレアーゼ(ベーリンガーマンハイム、マ
ンハイム、FRG);K5オートラジオグラフィクエマル
ジョン(イルフォード、チェシャー、英国);ホルムアミ
ド(フルカ、ブッチス、スイス);さけ精子DNA(タイプ
III、シグマ、MO、USA)、他のすべての材料は既述
と同様である(クリステンセンら、1984年;クリステ
ンセンら、1990年)か、十分入手可能な等級のもの
である。
【0364】組織調製 手術後、結腸の腺癌を有する1
3人の患者からの組織標本を切取し、4%または10%
(重量/容量)ホルマリン−0.9%NaCl溶液中に24
−48時間放置した後、パラフィンワックスに固定し
た。
【0365】RNAプローブの調製 完全なひとu−P
ARcDNA(実施例3参照)は標準的技術を用いてサブ
クローンし(マニアチスら、1982年)、2種のサブク
ローンを調製した:pブルースクリプト中pHUR04:P
stI(184)−PstI(451)フラグメントおよびpH
UR06:BamHI(497)−BamHI(1081)フラ
グメント、塩基対数は実施例3中に表記した配列に対応
している。精製プラスミド調製物はCsCl勾配中でバ
ンドとし(banding)プラスミドをSmaI制限エンドヌク
レアーゼ(pHUR04)またはSpeIおよびEcoRI
(pHUR06)を用いて転写のために直線状にした。直
線状プラスミド5μgをフェノールおよびクロロホルム
/イソアミルアルコール(25:1)を用いて抽出し、エ
タノールで沈澱させ、水に再溶解した。各転写反応は直
線状DNA鋳型(1μg)、RNアシン(40U)、40mM
トリス−Cl、pH7.6、6mM MgCl、10mM
NaCl、2mMスペルミジン、10mM DTT、1mM
GTP、1mM ATP、1mMCTP、4μM[35]
SUTPおよび関連(relevant)ポリメラーゼ(T3ま
たはT7、40U)を含む。pHUR04鋳型はT3ポリ
メラーゼを用いて転写し、EcoRIで直線化されたpH
UR06鋳型はT7ポリメラーゼで転写し、アンチセン
ス転写物を生成する。SpeIによる消化により直線化し
たpHUR06鋳型はT3ポリメラーゼで転写し、セン
ス転写物を生成する。
【0366】120分37℃にて転写後、鋳型DNA
を、RNアーゼ無含有DNアーゼ(1U)、酵母t−RN
A(20μg)、RNアシン(20U)の添加および37
℃、15分間のインキュベーションにより除去した。フ
ェノールおよびクロロホルム/イソアミルアルコール
(25:1)で抽出後、RNAをエタノールで沈澱させ、
酢酸アンモニウム(最終濃度2M)添加後、15000×
g、4℃、10分間遠心分離し、10mM DTTに再度
溶解した。RNAを10mM DTTを含む、pH10.
2の0.1M炭酸ナトリウム緩衝液中で、平均100bp
に加水分解した。加水分解時間は前記(コックスら、1
984年)と同様に計算した。加水分解後、10mM D
TTを含む、同量のpH6.2の0.2M酢酸ナトリウム
緩衝液を添加して中性とし、RNAを上記と同様にエタ
ノールで2度沈澱させた。RNAプローブを10mM
DTTに再溶解し、放射活性をシンチレーション計数管
を用いて測定した。プローブ調製物は常に4×10cp
m/μl以上を含み、TCA沈澱可能物の量は通常約90
%であった。pHUR06プラスミド鋳型の向い合って
いる鎖から転写された2種の対応RNAプローブを10
mM DTTの添加により、同じ放射活性濃度に調製
し、脱イオンしたホルムアミドを最終濃度50%になる
ように添加し、プローブを使用時まで−20℃にて保存
した。
【0367】用時(In situ)ハイブリッド形成 用時
ハイブリッド形成を多数の公知方法(コックスら、19
84:アングエール等、1987年)から採用した方法
を用いて行った。スライドを0.5%ゼラチン、0.5%
クロムミョウバン中に浸し、室温で乾燥、180℃にて
3時間焼成し、ほこりのない状態で室温にて保存した。
パラフィン断片を切断し、スライド上に置き、60℃に
て30分間加熱し、キシレン中で脱パラフィンし、等級
化アルコール(graded alcohol)を通して、PBS(0.
14M NaClを含む0.01Mりん酸ナトリウム緩衝液
pH7.4)に再水和した。ついでスライドをPBS中で
2回洗浄し、0.2M HCl中20分間酸処理し、PB
S中で5分間洗浄した。その後、50mMトリス−Cl、
pH8.0中プロテアーゼK5μg/mlプロテアーゼKお
よび5mMEDTA中で7.5分間インキュベーション
し、PBS(2分間)中で2回洗浄し、PBS中、4(重
量/容量)%パラホルムアルデヒド中20分間で固定し
た。固定化剤はPBS中で洗浄して除き、スライドをビ
ーカー中100mMトリエタノールアミンに、マグネチ
ックスターラー上で浸漬した。溶液を攪拌しながら、無
水酢酸を添加し(最終濃度0.2(容/容)%)、添加を5
分後くり返す。最後にスライドをPBS中で洗浄し(5
分)、等級化アルコール中で脱水し、室温にて風乾し
た。プローブを80℃にて3分間加熱し、放冷し、ハイ
ブリッド形成混合物に添加した。最終ハイブリッド形成
溶液はRNAプローブ(80pg/μl)、脱イオンホルム
アミド(50%)、硫酸デキストラン(10%)、t−RN
A(1μg/μl)、フィコル400(0.02(重量/容量)
%、ポリビニルピロリドン(0.02(重量/容量)%、B
SAフラクションV(0.02(重量/容量)%)、10mM
DTT、0.3M NaCl、0.5mM EDTA、1
0mMトリス−Clおよび10mM NaPO(pH6.8)
を含む。ハイブリッド形成溶液をスライドに適用し(セ
クション当り、約20μl)、アルコール洗浄、高圧滅菌
カバースリップ(cover slip)で覆った。セクションを、
プローブ、硫酸デキストラン、DTTおよびt−RNA
を除き、ハイブリッド形成溶液と同じ混合物(洗浄混合
物)10mlを用いて湿潤化した室内で、47℃にて一夜
(16−18時間)ハイブリッド形成させた。ハイブリッ
ド形成後、セクション上にところどころ形成された気泡
の位置をマークし、洗浄混合物中で1時間50℃にてイ
ンキュベーションしてカバースリップを除いた。洗浄混
合物をとり替え、1時間50℃にて洗浄を継続した。セ
クションを0.5M NaCl、1mM EDTA、10m
Mトリス−Cl(pH7.2、NTE)および10mM DT
T中で37℃にて15分間洗浄し、RNアーゼ(20μg
/ml)でNTE中37℃にて30分処理した。ついでN
TE中37℃にて(2×30分)洗浄し、15mM塩化ナ
トリウム、1.5mMくえん酸ナトリウム、pH7.0およ
び1mM DTTの2リットル中で室温にて攪拌しなが
ら洗浄した。ついで、セクションを、すべて300mM
酢酸アンモニウムを含む99%エタノールまでの等級化
アルコール溶液中で脱水し、風乾した。最後に、製造業
者の推せんに従って、オートラジオグラフエマルジョン
を適用し、セクションを乾燥剤入り暗密室箱中で1〜2
週間曝露後現像されるまで4℃にて保存する。
【0368】結果 組織を2種の非重複クローンpHUR04およびpHUR
06からのアンチセンス転写物およびpHUR06から
のセンス転写物を用いて分析した。
【0369】外観が正常な粘膜の領域はすべての場合に
ハイブリッド形成の徴候がなかった(示さず)。
【0370】腫瘍の浸潤性病巣には、pHUR06アン
チセンス転写物を用いた時はハイブリッド形成シグナル
が常に見られた。特に顕著なハイブリッド形成シグナル
が細胞上の、明瞭な炎症の徴候と周囲の間葉組織の崩壊
の領域内の破裂腫瘍腺の先端に観察された(図25a−
b)。腫瘍腺がより組織的な構造を示す浸潤腫瘍の他の領
域では、ハイブリッド形成シグナルが腫瘍細胞の付着糸
状体に密接に結合する細胞上(図25−d)か、または腫
瘍性乳首自体の漿膜表面に集中した細胞上に見られた
(図25−c)。セクションから問題となっている細胞型
(類)を確実に同定することも、ハイブリッド形成シグナ
ルを示した新生血管形成領域内の細胞の同定も確定的に
確認すること(図25−e)はできなかった。さらに腫
瘍の当該領域の拡大写真(400−1000X)による検
討の後、臭化銀結晶を過ヨウ素酸に5分間浸漬して除
き、スライドを再検査した。この方法によって、ハイブ
リッド形成を示す細胞をより詳細に検討することがで
き、現在、この方法で細胞型(類)の最終的評価を行って
いる。
【0371】pHUR06アンチセンス転写物で得られ
たハイブリッド形成シグナルは、pHUR04からのア
ンチセンス転写物を用いて、隣接セクション上に確認さ
れた(示さず)。放射活性プローブの非特異的結合はp
HUR06からのセンス転写物を用いて示し、分析した
すべての腫瘍中に、組織セクション上に不均一に分散し
たシグナルが生じており、非ハイブリッド形成領域(例
えば、正常に見える粘膜)でpHUR06アンチセンス転
写物で得られたものと比較すると顕著であった(示さ
ず)。
【0372】パラフィン包埋、ホルマリン定着ヒト腫瘍
におけるu−PARの免疫組織学的検出 抗体:u−PAR、クロン2Rおよび4E、精製IgG
に対するモノクローナル抗体
【0373】組織−セクション:結腸腺癌の3症例およ
び肺鱗状癌の1症例からの常用法のホルマリン定着およ
びパラフィン包埋組織ブロックを使用した。薄いセクシ
ョン(3〜5ミクロン)をミクロトーム上で切断した。
【0374】方法:セクションを2×5分間キシレン中
脱パラフィン化し、等級化アルコール浴を通してTBS
−トリトンに脱水し、室温で10分間0.1%CaCl
を含む50mMトリス/HCl中0.01%トリプシ
ン溶液で処理した(免疫化による)。ついで、セクショ
ンを脱イオン水を流して5分間洗浄し、ついで室温で1
5分間5%血清−TBS−BSA中不活し、最初の抗体
はm−抗−u−PARクローン2Rおよび4Rであり、
阻害対照として、m−抗−TNPであった。インキュベ
ーションをセクションの乾燥を防ぐために湿潤させた箱
中一夜4℃または1時間37℃で行った。TBS−トリ
トン中5×5分間セクションを洗浄後、第2のウサギ−
抗−マウス−抗体を室温で30分間適用し(ダコパッツ
Z259、5%ウサギ血清−TBS−BSA中1:5
に希釈した)、ついでTBS−トリトン中5×5分で洗
浄した。ついで、アルカリホスファターゼ複合体マウス
−抗−アリカリホスファターゼを室温で30分間セクシ
ョンに適用した(ダコパッツD651、5%ウサギ血清
−TBS−BSA中1:20に希釈した)。最後の洗浄
をTBS−トリトン中5×5分間、ついでAP−緩衝液
中2×5分間行った。色素産生基質NVT/BCIPで
の染色は既に記述のように室温で暗室中30分間行った
(クリステンセン問う、1990年、ヒストケミストリ
ー、93巻、559〜562頁)。セクションをユキッ
ト(Eukitt)でカバーガラスする前にケルネクトロット
(Kernechtrot)で対照染色した。
【0375】緩衝液:TBS:50mM トリス/HC
l、150mM NaCl pH7.4TBS−トリト
ン:1%トリトンX−100を含むTBS TBS−BSA:0.25%ウシ血清アルブミン 5%ウサギ血清−TBS−BSA:5%正常ウサギ血清
TBS−BSA AP−緩衝液:5mM MgCl、100mM NaC
lを含む100mMトリス/HCl、pH9.5
【0376】結果 同じ免疫グロブリン濃度で比較するとき、抗体2Rは4
Rより高い考慮すべき染色強度を示したけれども、抗体
2Rおよび4Rは4種すべてにおいて同じ組織成分と反
応した。免疫活性物質は、侵襲病巣の腫瘍−基質界面で
好中球中、組織球のサブセット中および細胞中一貫して
発見された。対照として使用したm−抗−TNP抗体と
インキュベートしたセクションには染色は見られなかっ
た。同じ種からの組織セクションを特異的u−PAR
mRNAの位置付けのために用時ハイブリダイゼーショ
ンによって前もって試験した(上述、参照)。これら腫
瘍中抗体2Rおよび4Rで見られるようにu−PARの
免疫組織学的位置付けは、間質細胞中で発見される、ま
たは肉芽組織中存在する侵襲病巣、組織球細胞および好
中球で陽性細胞に関してu−PAR mRNA(用時ハ
イブリダイゼーション)の分布と実質的に同じであっ
た。血管中に含まれる好中球が関連するかぎり、u−P
AR mRNAがこれら細胞中発見され得ることを除い
て、強いu−PAR免疫反応性が発見され得る。
【0377】実施例9 基質スクリーニング概要 様々な連続工程を含む下記の基質スクリーニング概要
は、u−PAとu−PARの間の界面を阻害するのに使
用し得、侵襲および転移工程を阻害する薬剤として使用
される基質を決定することを確実にした。最初の基質の
スクリーニングは下記の基質スクリーニングELISA
を使用して行い、および基質が阻害効果を示すなら、基
質の次のスクリーニングを概要の次ぎの工程を使用して
行った。
【0378】1. u−PA/u−PAR界面を阻害し
得る基質のスクリーニングにおける使用のための基質ス
クリーニングELISA 2種の抗体サンドウィッチELISAアッセイを、溶液
中u−PAとu−PAR間の界面を阻害するためにそれ
らの才能に対してスクリーニング基質 1)96−ウエルプレート(平底高結合容積、NUN
C) 2)非標識化精製R4 3)ビオチン標識化精製抗−u−PAクローン5(ニー
ルセン等、1986年) 4)西洋ワサビペルオキシダーゼ複合化(HRP)アビ
ジン 5)アフィニティー精製u−PAR 6)DFP−u−PA 7)スラミン(ゲルマニン(商標)、バイエル社製) 8)PBS緩衝液、pH7.4(PBS) 9)PBS + 0.1%トゥィーン20、pH7.4
(PBS/トゥィーン) 10)不活緩衝液:PBS中1%スキムミルクパウダー
(SMP) 11)クエン酸緩衝液:0.1Mクエン酸、pH5.0 12)基質溶液:クエン酸緩衝液中1,2−フェニレン
ジアミドジヒドロクロリド(OPD)錠、例えば、クエ
ン酸15ml中OPD3錠。 13)中止緩衝液:1M HSO
【0379】製造法 1)0.1M NaCO中希釈された100μlR
(20μg/ml)でウェルをコートする。 2)4℃で一夜インキュベートする。 3)PBS/トゥィーン中ウェル5Xを洗浄する。 4)RTで少なくとも1時間ウェル中残存活性部位を1
% SMP/PBS、200μl/ウェルで不活する。 5)工程3)と同様に洗浄する。 6)u−PAR(20ng/ml)の100μlを加え
る。 7)RTで1時間静かに撹拌しつつインキュベートす
る。 8)工程3)と同様に洗浄する。 9)DFP−u−PA(10ng/ml)100μlお
よび不活緩衝液の混合物またはDFP−u−PA(10
ng/ml)100μlおよびスラミンの連続希釈10
0μlの混合物を加える。 10)工程7)と同様にインキュベートする。 11)工程3)と同様に洗浄する。 12)バイオチオニル化抗−u−PAクローン5(2μ
g/ml)199μlを加える。 13)工程7)と同様にインキュベートする。 14)工程3)と同様に洗浄する。 15)SMP/PBS/トゥィーン中1:5000に希
釈されたHRP−アビジン100μlを加える。 16)工程7)と同様にインキュベートする。 17)工程3)と同様に洗浄する。 18)希釈水中1Xを洗浄する。 19)基質溶液100μl/ウェルを加える。 20)明黄色になるとき、1M HSO100μl
/ウェルとの反応を中止する。 21)490nmフィルター、バックグラウンド参照と
して540nmフィルターでELISAリーダーで読み
取る。
【0380】2.物質のu−PA/u−PAR相互反応
阻害能力を試験するための、さらなる架橋試験 上記スクリーニングELISAで行ったu−PAとu−
PARの間の阻害相互作用を阻害することが見出された
物質の更なる試験が、上記ELISAで示された阻害が
実際にu−PAとu−PARの間の結合阻害によるもの
であることを確証するために行われる。本実施例におい
て、上記u−PAのu−PARへの結合の化合物スラミ
ンによる上記阻止の性質がu−PAとu−PARの間の
結合の真の阻害であることが証明される。
【0381】材料 u−PAR含有HEp−2ラリンクス表皮癌セルライン
(ベーレントら、1990)はATCCから購入した。
HEp−2細胞の澄明化分解物は、1%CHAPSを1
%トリトンX−114の代わりに使用した以外、上記の
U937に対して記載されたと同様の方法で産生され
た。スラミンは種々の濃度で使用した。
【0382】方法 HEp−2細胞分解物は40倍に希釈し、125I−標
識ATFおよび種々の濃度のスラミン存在下インキュベ
ーションし、続いて化学的架橋およびSDS−ファージ
およびオートラジオグラフィーによる分析を行った。架
橋と分析は実施例1に記載したように行った。
【0383】結果 スラミンはu−PARおよび123I−標識ATFの結
合反応を、図28記載のように、用量依存的に阻害する
ことが見出された。1mg/mlの濃度のスラミン存在
下では結合活性は検出されず、0.1mg/mlスラミ
ン存在下では50%以上の結合阻害が観察された。結合
活性は放射能標識共有結合形成として定義された。した
がって、上記物質スクリーニングELISAはu−PA
とu−PARの間の結合を阻害することが出来る物質を
同定するために使用しうるものと結論出来る。
【0384】3.培養細胞の細胞表面上のu−PAのu
−PARに対する結合の阻害能についての物質スクリー
ニング
【0385】化合物または抗体のu−PAのu−PAR
への結合阻害能は、実施例4に記載の方法を含む工程と
して好適に試験される。この実施例では、ポリクローナ
ル抗体の結合阻害の効果を試験する。図17より、ポリ
クローナル抗体がu−PAのu−PARへの結合を阻害
することが示される。ポリクローナル抗体を種々の濃度
における試験下で化合物または抗体で、またはモノクロ
ーナル抗体で置き換えることにより、化合物または抗体
によるu−PAのu−PARへの結合阻害能を細胞表面
上で評価することが出来る。
【0386】4.種々の型の培養癌細胞におけるプラス
ミノーゲン活性化阻害能についての物質スクリーニン
グ。
【0387】種々の癌細胞がu−PARおよびu−PA
発現について差を有することが知られているので、化合
物または抗体のプラスミノーゲン活性化阻害効果は異な
った型の癌細胞で試験する。効果はu−PARを発現す
るがu−PAを発現しない、それゆえ内因性プロ−u−
PAを所有しない癌細胞およびu−PARおよびu−P
Aの両方を発現し、それゆえ内因性プロ−u−PAをも
つ細胞で試験する。スクリーニングの目的にしたがっ
て、異なった源からの癌細胞タイプを検定に使用する。
【0388】4a.u−PARを発現するがu−PAを発
現しない培養癌細胞における活性化阻害能に対する物質
スクリーニング
【0389】このスクリーニング検定は、本質的に実施
例7に記載したu−PARを発現するがu−PAを発現
しない癌細胞タイプMDA−MB−435(プライス・
ジェーら、1987)を使用して行う。
【0390】図23から、モノクローナル抗体R3(R
1、R2およびR4ではない)が活性化を阻害する能力
のあることがわかる。このモノクローナル抗体を種々の
濃度での試験下、物質で、または他のモノクローナル抗
体に置き換えることにより、活性化の阻止に関する化合
物又は抗体の能力を試験することが出来る。
【0391】4b.u−PARおよびpro−u−PAを
発現する癌細胞培養における活性化阻害能に対する物質
スクリーニング。
【0392】このスクリーニング検定は、u−PARと
u−PAの両方を発現し、それゆえu−PARおよびp
ro−u−PAをもっている癌細胞で行うべきであり、
以下にモノクローナル抗体R3の活性化阻害能を示した
実施例を記載する。
【0393】アメリカ合衆国メリーランド州在、ATC
Cから得たMDA−MD−231細胞を、24ウェルの
培養プレートに、5%ウシ胎児血清を添加したDMEM
(フロー・ラボラトリーズ、スコットランド)中濃度
0.25×10細胞/mlで、100μg/mlのモ
ノクローナル抗体R3の存在または非存在下に種付けし
た。細胞を5日間、すなわちコンフルエンスに達するま
で培地を変えずに培養した。この期間後の細胞の計数
は、細胞の増殖が抗体の存在によって影響されないこと
証明した。
【0394】u−PAR媒介プラスミン産生のそれぞれ
の測定のため、12ウェルを25mMヘペス、pH7.
4で緩衝化したDMEM中で3回、0.2%BSA添加
PBS中で1回洗浄した。続いて、ウェルを1ウェルあ
たり200μlの15μg/mlGlu−プラスミノー
ゲンおよびCa++およびMg++を含むPBS中の
0.2mMのプラスミン特異性蛍光物質H−D−Val
−Leu−Lys−AMCと共にインキュベーションし
た。3分毎に150μlの0.05Mトリス−HCl、
pH7.4、0.1MNaClをマイクロ蛍光測定キュ
ベットに入れた。産生プラスミン活性による基質の開裂
による蛍光は、パーキン−エルマーLS5蛍光光度測定
器で、励起および発光波長それぞれ380および480
nmにおいて測定された。産生プラスミンは3分毎の蛍
光の変化速度を測定し、これを活性部位測定プラスミン
を使用して作成した検量線と比較することにより定量し
た(エリスら、1989)。
【0395】図24は、モノクローナル抗体3R存在下
でMDA−MB−231細胞を培養した場合のプラスミ
ン産生についての効果を示す。抗体3Rはプラスミン産
生速度を抗体非存在下に培養された対照細胞のそれの2
0%に減少させる。したがって、3Rが内因的に分泌さ
れたpro−u−PAのPARへの結合、それによるプ
ラスミノーゲン活性化の阻害に効果的であることが証明
される。
【0396】下記の実施例のモノクローナル抗体を種々
の濃度でスクリーニングされるべき化合物または抗体に
より、または他のモノクローナルまたはポリクローナル
抗体により置き換えることにより、化合物または抗体の
活性化阻害効果を評価することが出来る。
【0397】5.ヌードマウスにおけるヒト癌細胞の侵
襲および転移過程の阻害能に対する物質スクリーニン
グ。
【0398】u−PAとu−PARの間の相互反応を阻
止するための物質スクリーニング計画の上記前工程に示
され、それによって侵襲および転移過程を阻止する医薬
として使用するに有力な物質をスクリーニングする最終
の段階は、イン・ビボで侵襲および転移過程を阻止する
物質の効果を評価するためのものである。ひと癌細胞の
侵襲的かつ転移的方が測定されるマウスモデルがこの効
果を評価するために開発された。
【0399】方法 ヌード雌マウス6−8週令ヌ/ヌ−META/Bom
(ボンホルトガード、デンマーク)を下記の形質導入ひ
と癌細胞で接種する。下記の型のひと癌細胞を使用し得
る:MDA−MB−231、MDA−MB−435、H
T1080(アンドレアセンら、1986)、U937
およびMIII(クラーク・アールら、1989)。
【0400】レトロウイスルトラスダクション 転移腫瘍を可視化するために、測定に使用されるヒト癌
細胞型をLacZ遺伝子の形質導入で標識し、Xガル染
色によって可視化するようにする。この形質転換は先に
リンら(1990)がLacZ遺伝子で形質転換したラ
ス−形質転換マウス3T3細胞を使用して行っている
が、本明細書の実施例ではヒト癌セルラインを使用して
いる。LacZ遺伝子はβ−ガラクトピラノシドをコー
ドし、その活性は暗青反応を与える発色性基質5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピ
ラノシド(X−gal)で染色して検出し得る。これに
よって又、顕微鏡的転移腫瘍を観察することが出来る。
【0401】選択されたヒト癌細胞の形質転換は、下記
のように行い得る。 物質の薬物動力学
【0402】スクリーニングされる化合物または抗体の
薬物動力学的特性がマウスにおける有効濃度で当該化合
物や抗体を投与し、かつ保持するために明確化されなけ
ればならない。
【0403】スクリーニングされる化合物または抗体の
投与はその化学的性質に依存し、腹腔内注射または皮下
注射、経口投与または局所投与によって行われてよい。
以下に、モノクローナル抗体の薬物動力学的特性を試験
した実施例を示す。 マウスおよび形質転換癌細胞の前処理
【0404】形質転換癌細胞を注射する前にマウスをス
クリーニングする化合物または抗体で前処理すること
は、化合物または抗体の充分な濃度を得るために有利で
ある。さらに、マウスに注射する形質転換癌細胞は細胞
と化合物または抗体の間の接触を増加させるために、当
該化合物または抗体を含む溶液内でプレインキュベーシ
ョンされてよい。通常、この前処理を変化させたり、ま
たは除外する若干の実験が化合物または抗体の全体の効
果を明確にし、または推測するために行われるべきであ
る。
【0405】癌細胞接種 形質転換癌細胞は皮下または腹腔内のいずれにも接種す
ることが出来る。 腫瘍増殖の測定
【0406】腫瘍増殖は試験する化合物または抗体が、
侵襲、転移工程に対する可能的効果に加えて、腫瘍増殖
に影響があるかどうかを明確にするために測定されるべ
きである。増殖は下記のように測定する。
【0407】スクリーニング測定の期間 測定の期間は化合物または抗体の性質および侵襲、転移
工程に対する効果についての影響に依存する。
【0408】侵襲および転移工程の測定 化合物または抗体の侵襲、転移工程および腫瘍の増殖に
対する効果は、ヒト細胞とマウス細胞の間の染色による
顕著な差を利用して、局所的および/または肺、リンパ
節および腹腔内で評価することが出来る。このような測
定の例は下記の6)に記載する。
【0409】侵襲および転移工程の試験物質の阻害の結
果は、u−PA/u−PAR相互反応がこれらの工程で
重要な役割を担っていると考えられる結腸腺癌、乳管癌
および鱗状皮膚癌のようなヒト癌における抗侵襲、抗転
移薬として良好な候補であることを示す。従って、適当
な毒性学的研究の後、これらは第1相および第2相臨床
試験で試験されるべきである。
【0410】6)u−PAに対するモノクローナル抗体
を使用する、マウスにおける侵襲および転移工程の阻
止。
【0411】癌細胞の侵襲および転移工程におけるu−
PAの酵素的活性の有意性は、下記のように試験した。
その結果とスクリーニング計画の前工程で得られた結果
とを併せて、この方法がu−PA/u−PAR相互反応
を阻害する物質の抗侵襲および抗転移効果を阻害するの
に価値があることを示す。
【0412】材料および方法 細胞系 ヒト乳癌セルラインMDA−MB−231およびMDA
−MB−435を10%ウシ胎児血清添加DMEM中で
常法により増殖させた(D10)。ヌードマウス実験用
細胞は酵素を使用する代わりに細胞回収機を用いて回収
した。セルラインを試験し、マイコプラズマ汚染のない
ことを確認した。
【0413】マウス ヌード雌マウス6−8週令ヌ/ヌ−META/Bom
(ボンホルトガード、デンマーク)を使用した。マウス
は層状流動クリーンベンチで飼育し、使用したすべての
設備はオートクレーブで処理した。
【0414】レトロウィルス形質転換 LacZ遺伝子を含むPA317細胞(ミラー・エー・
ディーら、1986)に包まれたBAGベクター(LT
R−LACZ−SV40 PROMOTER−NEO
(商標)LTR含有)(プライス・ジェーら、198
7)のウィルスストックを細胞の形質転換に使用した。
ネオマイシン耐性遺伝子を形質転換細胞の選択のために
使用した。ヒト癌細胞を感染の1日前に1:10分割率
でプレート上においた。細胞を感染させるために、培養
培地を4μg/mlのポリプロピレン含有5mlのウィ
ルス上清液で置き換え、5%COインキュベーター
中、2時間37℃インキュベーションした。5mlのD
10を添加し、このように形質転換したヒト癌細胞をイ
ンキュベーターに戻した。培地を次の日に新鮮なD10
で置換した。得られた形質転換セルラインはMDA−M
B−231およびMDA−MB−435 BAGと名付
けた。
【0415】選択方法 BGAベクター含有細胞を増殖させるため、感染細胞集
団を500μg/mlG418含有培地で増殖させた。
しかしながら、選択細胞は上記のようにX−gal染色
によって測定した場合、必ずしもすべてがβ−ガラクト
シダーゼを発現しなかった。したがって、細胞はフルオ
レッセイン−ジ−β−ガラクトピラノシド(FDG)−
FACS選択をノーランら(1988)が記載したよう
に実施した。この方法では、lacZ遺伝子産物である
β−ガラクトシダーゼを発現する細胞による非蛍光基質
からの蛍光の遊離はフローサイトメトリーにおける細胞
の分離を可能にする。コンフルエントな100mm皿を
トリプシン処理し、単一細胞懸濁液をD10中1−5×
10細胞/mlに調節した。100μlの細胞懸濁液
をファルコン2058試験管中で37℃でインキュベー
ションした。基質FDGの細胞による取り込みは、dH
O中の2mM FDG100μlを添加することによ
る低張刺激により行った。37℃での1分のインキュベ
ーションの後、基質を氷冷1.8mlD10を添加する
ことにより細胞内にトラップした。細胞を氷の上で1時
間インキュベーションし、488nm波長に合わせたベ
クトン・ディッキンソン2層レーザーFACStarプ
ラスフローサイトメーターで分類した。
【0416】細胞接種 総数2×10腫瘍細胞をそれぞれの横腹の皮下に接種
した。腫瘍細胞は常に胸壁の下に位置した。細胞接種の
1日前、500μgの抗体をマウスに注射し、21日後
に500μgを注射した。マウスは接種後6週間で屠殺
した。
【0417】抗体 u−PA抗体クローン5(ニールセンら、1986)を
酵素活性阻害に使用し、無関係な対照抗体として大麦蛋
白に対するIgG1マウスモノクローナル抗体を使用し
た。
【0418】形質転換ヒト乳癌細胞系の実験 形質転換細胞はノーザン・ブロッティングでu−PAお
よびu−PARをコードするmRNAの存在に対して実
験した。
【0419】全RNAはMDA−MB−231 BAG
キセノグラフトから前記のように抽出した(チーグウィ
ンら、1979)。25μgのRNAを2.2Mホルム
アルデヒド含有1.2%アガロースゲルを使用する電気
泳動によりサイズ分画した。RNAをニトロセルロース
フィルターにブロットし、32P−標識cDNAプロー
ブで58℃でにおいて8時間標準ハイブリダイゼーショ
ン緩衝液でハイブリダイズした(チョムチンスキーら、
1987)。u−PAのcDNAはpHUK8を含有し
(ランドら、1987)、u−PARのcDNAはp−
u−PAR−1を含有した(ローランドら、199
0)。ハイブリダイゼーションに続き、フィルターを、
全1時間、65℃で0.1×SSCを3回変えて洗浄し
た。オートラジオグラフィーはクロネックス・クアンタ
・III増強スクリーンで行った。
【0420】培養物中の細胞のX−gal染色 培養物中の細胞をガラススライドにおき、2日間増殖さ
せてからPBS中5分間の0.5%(容量/容量)グル
タールアルデヒド処理で固定し、PBSでの3回の洗浄
に続き、37℃でX−gal染色溶液(PBS中1mg
X−gal/ml;35mM フェリシアン化カリウ
ム;2mM MgCl)中で一晩インキュベートし
た。この断片はケネクトロットにより逆染色した。
【0421】腫瘍増殖 腫瘍増殖は2元的に1週間に3回測定し、腫瘍面積を測
定した。形質転換ゴンペルツ機能(リガード・ケーおよ
びスパン−トームセン・エム、1989)を使用し、個
々の腫瘍の増殖速度(形質転換コンペルツ増殖曲線の傾
き)を計算した。局所侵襲の測定
【0422】細胞接種後6週間、すべての動物を頸部脱
きゅうにより屠殺した。細胞接種部位の初期腹腔腫瘍を
皮膚に向かって腹腔方向から摘出し、これによって腫瘍
の片側に腹腔筋肉壁を、他の片側に皮膚を残した。それ
ぞれの腫瘍は、腫瘍の最も長い直径に対する垂直切開に
より2つの部位に分けた。他の切開は腫瘍の境界地核で
行った。組織学的切片は切開の部位により作られる。局
所侵襲は腹腔筋肉繊維の間に位置する腫瘍細胞として定
義される。皮膚への侵襲処理は行われなかった。腫瘍細
胞が筋肉繊維に接近して位置しているが、筋肉を分割で
していない場合、侵襲を除外するため、更に切片を作っ
た。
【0423】転移の測定 肝臓、横隔膜、脾臓、膵臓、腸および肺の剖見を、それ
ぞれの動物で行った。器官を1×PBSで処理し、4%
パラホルムアルデヒドおよび0.5%グルタールアルデ
ヒド中、3時間固定した。器官を次に1×PBSで3回
処理し、X−gal溶液(PBS中1mg X−gal
/ml;35mM フェリシアン化カリウム;2mM
MgCl)で4℃で一夜染色した。次の日、器官を1
×PBSで処理し、ナトリウムアジド中に保存し、ライ
ッツMPS52カメラをつけた回転ステレオマイクロス
コープで測定した。ヒト腫瘍細胞の転移の存在を確認す
るため、種々の組織の青い部分を4%ホルマリンで固定
し、常套の組織学的方法で処理した。器官に1個または
それ以上の青い部分が存在するとき、それを転移部位に
陽性であると記録した。
【0424】凍結セクション 器官を4℃、2時間0.1MPBS pH=4中2%パ
ラホルムアルデヒドに固定し、次に0.1MPBSで処
理し、0.1MPBS中、7%シュクロースで2時間、
15%シュクロースで更に2時間脱水し、寒冷断片作成
処理に付した。寒冷断片を次に細胞系に使用される方法
にしたがってX−gal染色した。
【0425】架橋測定 u−PARを発現し続けるこの形質転換を確立するため
に、u−PARの存在を上記2)に記載した方法にした
がって、交差結合試験を行った。u−PARに結合する
リガンドとして125I−ATFを使用した。
【0426】細胞表面プラスミノーゲン活性化の抗−u
−PA抗体による阻害 MDA−MB−435細胞のプラスミノーゲン活性化能
力は先に記載した懸濁液−増殖細胞用の方法(エリス
ら、1990)を修正した方法により、測定した。簡単
には、MDA−MB−231細胞を24ウェルコスター
トレイ中でコンフルエントに増殖させた。当該トレイは
血清を含まないDMEM(フロー・ラボラトリーズ、ス
コットランド)中、プラスミン阻害剤アプロチニン(1
0μg/ml)(バイヤー、ドイツ)存在下に維持され
た。測定の前に、細胞を3回iHEPES−緩衝化DM
EMで洗浄し、続いて15分間室温で10μg/mlの
u−PAに対するモノクローナル抗体の存在下および非
存在下インキュベーションした(クローン5)。2回の
洗浄後、細胞は0.2%BSA含有PBS(インキュベ
ーション毎に12ウェルそれぞれに200μl)中、プ
ラスミノーゲン(20ug/ml)と特異的蛍光性プラ
スミン特異性基質H−D−Val−Leu−Lys−A
MC(0.2mM)と共に、37℃でインキュベーショ
ンした。時間的間隔をおいて150μlの細胞懸濁上澄
液を除去し、150μl0.05MトリスpH7.4、
0.1MNaClで希釈し、蛍光強度をパーキン−エル
マーLS−5蛍光スペクトロメーター中、ミクロクキュ
ベットを使用し、励起および発光波長それぞれ380お
よび480nmで測定した。プラスミン濃度は各時間的
インターバルをおいて基質の加水分解を計算し(dF/
dt)、活性部位力価既知プラスミン(エリスら、19
90年)を使用した検量線と比較して決定した。
【0427】抗u−PA−抗体の薬物動力学 それぞれ5匹のヌードマウスからなる7つの群に単一用
量のμg抗−u−PA−抗体クローン5を腹腔内に投与
した。注射後0、1、2、4、8、16および32日
後、一群5匹のマウスを採血し、血清を保存した。さら
に、腫瘍担持動物を使用した実験において、血清はすべ
ての抗u−PA−抗体−処理動物から抗体投与後14日
に得た。ヌンク・イムノプレート(平底マキシソーブ、
ヌンク・エー/エス、デンマーク)を一晩4℃で0.1
M NaCO、pH9.8中の1μg/mlのu−
PA(UKIDAN Leo)で被覆した。過剰のu−
PAを洗浄して除き、付加的蛋白結合部位をPBS中の
1%脱脂粉とともに1時間インキュベートした。洗浄
後、プレートをマウス血清または試験すべきサンプル
中、抗u−PA抗体クローン5の標準希釈液と共に、3
7℃で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄
し、次にビオチン化ウサギ抗マウスIgG(DaKo)
と共に更に1時間インキュベートした。さらに洗浄後、
プレートをパーオキシダーゼ結合アビジン(DaKo)
と共に1時間インキュベートし、パーオキシダーゼ反応
をOPD−錠剤と過酸化水素を使用し、0.1Mクエン
酸−リン酸緩衝液、pH5.0中で進行させた。反応を
100μl 1MHSOの添加によって停止させ、
吸光度を490nmで読み取った。すべてのサンプルに
ついて2回行った。
【0428】結果 LacZ形質転換および細胞の選択 MDA−MB−231およびMDA−MB−435細胞
は、BAGベクターに感染し、LacZ遺伝子を図30
に示された細胞のようにもたない限り、X−galで染
色されない。低いウィスル価(−5×10cfu/m
l)のため、各セルラインの約1%のみがX−galで
陽性に染色されることが最初に見出された。G418選
択に続いて、約60−70%のG418−耐性細胞がX
−gal染色に基づいてLacZ遺伝子を発現した。L
acZ−発現細胞を増殖させるため、両方の乳癌セルラ
インをFDA−FACS選択に付した。LacZ形質転
換の安定性を測定するために、形質転換以後20継代目
の細胞をX−galで染色した。図30Bに示されるよ
うに、MDA−MB−435 BAG細胞はLacZ発
現細胞の相対数において、わずかな損失を示すのみであ
った。同様の結果がMDB−MB−231細胞でも得ら
れた(データは示していない)。
【0429】形質転換ヒト乳癌セルラインの実験の結果 MDA−MB−231BAG腫瘍は、多くのu−PAお
よびu−PARに対するmRNAを発現し、125
ATFは細胞分解物の界面活性剤相にu−PARの存在
を明らかに証明した。
【0430】非形質転換および形質転換腫瘍細胞の比較 ヒト腫瘍細胞をLacZ遺伝子で形質転換する目的は、
ヌードマウス中に拡散させた後、細胞を位置付けること
ができるからである。形質転換セルラインのいずれも初
期の皮下腫瘍は高度のX−gal染色特異性を表すが、
一方非形質転換細胞由来の腫瘍は青く染まらなかった。
これは図30のMDA−MB−231およびMDA−M
B−231BAG腫瘍に対して示される(それぞCおよ
びD)。同一の結果がMDA−MB−435およびMD
A−MB−435BAGの染色に続いて見られた。
【0431】イン・ビボにおけるヒト腫瘍細胞の検出 両方のBAGラインをヌードマウス中で連続的に継代
し、少なくとも3つ継代後、LacZ発現を保持した。
初期の腫瘍の寒冷断片においてX−gal染色は、BA
G形質転換ヒト癌細胞に制限された(図31)。
【0432】非形質転換および形質転換腫瘍の両方とも
動物の腹腔壁の浸透と共に局所的侵襲が行われた(示し
ていない)。いずれの腫瘍ラインでも形質転換皮下腫瘍
を担持したマウスからの肝臓、脾臓、膵臓、腸および肺
のX染色は、腹腔内に位置する器官内の二次的腫瘍形成
の青い染色を示した(図31(BおよびD))。二次腫
瘍は種々の腹腔内器官において局所的侵襲を示した(図
31(EおよびF))。
【0433】肺の青い染色部位の組織学的検討は微小転
移の存在を確認した(図31(G))。未感染腫瘍細胞を
接種したマウスまたは腫瘍転移のない器官におけるX−
gal染色は、陽性ではなかった。
【0434】抗u−PA抗体を使用するマウスにおける
侵襲および転移の阻止 抗u−PA抗体を注射しなかったマウス内のMDA−M
B−231BAG腫瘍は、マウスの腹腔筋肉層に侵襲し
て成長した。癌細胞は筋肉繊維の中に広がり、しばしば
腫瘍細胞は筋肉の腹腔側に位置し得る。非関連抗体は表
6から明らかなように、局所的腫瘍侵襲に効果を有しな
かった。対照的に、抗u−PA抗体は腫瘍細胞の局所的
広がりを阻害した。表6に示されるように、8匹のマウ
スのうち5匹は腹腔内器官に癌細胞の転移的広がりがあ
った。最も一般的には、腫瘍細胞は肝臓と膵臓の門管に
見いだされた。非関連抗体は腹腔内への転移的形成に効
果を有しなかった。抗u−PA抗体による注射は、表6
に示されるように腫瘍細胞の腹腔内器官への広がりを有
意に阻害した。抗u−PA抗体の注射により、肺に青斑
点のある動物の数もまた有意に減少した。青斑点の部分
に癌細胞が存在することを確認するために、幾つかの斑
点を切除し、組織学的慣用法により処理した。
【0435】 表6 局所的侵襲 腹腔内の広がり 肺転移 対照 12/16 5/8 8/8 大麦抗体 17/20 5/10 9/10 抗u−PA抗体 6/16 0/8 1/8
【0436】抗u−PA抗体の腫瘍細胞増殖への効果 抗u−PA抗体の腫瘍細胞増殖への効果の実験におい
て、抗u−PA抗体および非関連抗体のどちらも腫瘍増
殖の有意な変化の原因とはならないことが示された(示
していない)。
【0437】薬物動力学 100μgの抗u−PA抗体の単独腹腔内注射は抗体の
血清濃度を約25ng/mlにした。血清濃度は評価T
1/2約21日で僅かに低下するのみである。
【0438】文献 アンドレアセンPA、ニールセンLS、クリステンセン
P、グレンダール−ハンセンJ、スクリバーL、ダネK
(1986年)ヒト線維肉腫細胞からのプラスミノーゲ
ンアクチベーターインヒビターは、ウロキナーゼ型プラ
スミノーゲンアクチベーターを結合するが、そのプロ酵
素とき結合しない。ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー261:7644−7651 アンドレアセンPA等、エンドクリノロジー(1990
年)126:2567−2576 アンゲールLM、ストーラMH、アンゲールRC(19
87年)注釈き調理法。もとの場所のハイブリダイゼー
ション。神経生理学への応用。オックスフォード・ユニ
バーシティ・プレス、オックスフォー、pp.71−96 アペラE、ロビンソンEA、ウルリッチSJ、ストペリ
ーMP、コルティA、カッサーニG、ブラーシF(19
87年)ウロキナーゼのレセプター結合配列。プロテア
ーゼの成長因子モジュールのための生物学的作用。ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー262:
4437−4440 アペラE、ウェヴールIT、ブラーシF(1988年)
蛋白中の表皮性成長因子様部分の構造と作用。FEBS
レタース231:1−4 バイパイA、ベーカーJB(1985年)ヒト前皮膚線
維芽細胞上の陰性ウロキナーゼ結合部位。バイオケミカ
ル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケ
ーションズ133:475−482 バイパイA、バカールJB(1985a年)バイオケミ
カル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニ
ケーションズ133:994−1000 バカールJB、ロウDA、スィマールRL、キュニンガ
ムDD(1980年)セル21:37−45 バルクホルトV、ジェンセンAL(1989年)アミノ
酸分析:付加物としてのジスルフィド化合物との塩酸加
水分解後、蛋白中のシステインプラス半システインの検
定 アナリティカル・バイオケミストリー177:318−
322 バルナザンES、シネDB、バロネK、クオA、ラルセ
ンGR(1988年)ヒト肉皮細胞に対するリコンビナ
ント型及び変異t−PAの特異結合。フィブリノリスィ
ス2、補遺1:28 ビーベDP(1987年)ヒトへそ静脈付肉皮細胞への
組織プラスミノーゲン活性因子の結合。ソロンボスィス
・リサーチ46:241−254 ベルGI、フォンNM、ステンピアンMM、ウルムステ
ドMA、カプュD、クL、ウーダMS、ラルSB、サン
チェ−ペスカドールL(1986年)(ヒト表皮性成長
因子プレカーサー:CDNA配列、インヒドロ発現及び
遺伝子体制)ヌクレック・アシド・リサーチ14:84
27−8446 ブラーシF(1988年)フィブリノリスィス2:73
−84 ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター用表面レ
セプター ブラーシF、ストペリーMP、キュベリMV(1986
年)ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター用レ
セプター。ジャーナル・オブ・セル・バイオロジカル3
2:179−186 ブラーシF、ヴァサリーJ−DP、ダネK(1987
年)ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子:プロ
酵素、レセプター及びインヒビター。ジャーナル・オブ
・セル・バイオロジカル104:801−804 ボルディアC(1981年)トリトン×−114溶液中
完全膜蛋白の相分離。ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー256:1604−1607 ボイドD、フロレントG、キムP、ブラテインM(19
88a年)ウロキナーゼのレベルの検定及びヒト直腸癌
細胞系のそのレセプター。キャンサー・リサーチ48:
3112−3116 ボイドD、フロレントG、ムラノG、ブラテインM(1
988b年)N,N−ジメチルホルムアミドによるヒト
直腸細胞系中のウロキナーゼレセプターの変調。 バイオロジカル・アンド・バイオフィジカル・アクタ9
47:96−100 デ・ブラインPAF、クレイマ−ボウボウスG、ウェル
スパゲHW、ヴェルイエンJH、ドウイイエールG、エ
タルマンIT、ラマールCBHW(1988年)ソロン
ボスィス・アンド・ハエモスタスィス60:2;262
−266 ブリッジK(1986年)正常及び形質転換線維芽細
胞:病巣接触での細胞骨格膜及び外細胞マトリックス成
分の体制及び調節 キャンサー・リサーチ4:18−78 ブルティンP、フォンダネチェM−C(1988年)ヒ
ト癌細胞上プラスミンへのレセプター。ジャーナル・オ
ブ・ナショナル・キャンセル・インスティテュート8
0:762−765 カーペンターG、コエンS(1976年)ジャーナル・
オブ・セル・バイオロジカル71:159−171 チャーグインJM等(1979年)バイオケミストリー
24:5294−5299 コムゾンスキーP、サクチ、N(1987年)酸公配チ
オシアナート−フェノール−クロロホルム抽出によるR
NA分離の単一段階方法。アナリティカル・バイオケミ
ストリー162:156−159 クラークR等(1989年)PNAS86:3649−
3653 コレンD、ザマロンC、リヨネンHR、ホイルアルツM
(1986年)プロウロキナーゼによるプラスミノーゲ
ンの活性化。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー261:1259−1266 コルサロCM、ペアザンML(1981年)哺乳動物細
胞中DNA−仲介遺伝子転移の効率の増強。ソマティッ
ク・セル・アンド・モルキュラー・ジェネティックス
7:603−616 コクスKH、ディリオンDV、アンゲールRC(198
4年)不斉RNAプローブを用いるそれ自体のハイブリ
ダイゼーションによるシー・ウルチン・エンブイオス中
のmRNAsの検免。ディベロプメント・バイオロジカ
ル101:485−502 キュベリMV、ノリML、カサニG、ブラーシF(19
86年)ヒトのウロキナーゼレセプターへの単一プロウ
ロキナーゼの結合。ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー261:15819−15822 キュベリMV、アンドレアセンPA、ラグノP、メイエ
ルM、ダネK、ブラーシF(1989年)プロスィーデ
ング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
スィズUSA86:4828−4830 ダネK、アンドレアセンPA、グレンダール−ハンセン
J、クリステンセンP、ニールセンLS、スクリバーL
(1985年)プラスミノーゲン活性化因子、組織遅化
及び癌 アドバンスドゥ・キャンサー・リサーチ44:139−
266 ダネK、ニールセンLS、ピケCおよびキラルマンGM
(1988年)プラスミノーゲン活性化因子及び新形
成。フィジオロジカル・アンド・クリニカル・アスペク
トC、クルフト編、CRC出版、ボカ・レイトン198
8年pp.19−46ダネK等(1990年)モレキュラ
ー・バイオロジー・オブ・ザ・カーディオバスキュラー
・システム132巻173−186 デ・デューブC、デュ・バルスィT、ポーレB、トュル
ーエA、トュルケンズP、ヴァン・オーフF(1974
年)バイオロジカル・ファーマコロジー23:2495
−2531 イートンDL、スコットRW、ベーカーJB(1984
年)ヒト線維芽細胞ウロキナーゼプロ酵素の精製及びプ
ロテアーゼ及びプロテアーゼネキシンによるその調節。
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー25
9:6241−6247 イリスV、スカーリーMF、カキャールVV(1987
年)機能分離中単鎖ウロキナーゼによるプラスミノーゲ
ン活性化。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミス
トリー262:14998−15003 イリスV、スカーリーMF、カキャールVV(1988
年) 調節単鎖ウロキナーゼ初発プラスミノーゲン活性化にお
けるヒトU937単核球の役割。フィブリノリスィス
2:サプルメント1、112 イリスV、スカーリーMF、カキャールVV(1989
年)単鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子に
より開始したプラスミノーゲン活性化。ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー264:2185−
88 イリスV、ツェ−チェイン・ウン、ベーレントN、レネ
E、ダネK(1990年)プラスミノーゲン活性化因子
阻害剤によるレセプター結合ウロキナーゼの阻害ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー265、9
904−9908エストリシャールA、ウールエンド
A、ベリンD、スクリーニングW−D、ヴァサリJ−D
(1989年)ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化
因子に適した細胞結合の特徴づけ。ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー264:1180−11
89 ファグソンおよびウイリアムズ(1988年)グリコシ
ル−ホスファチジルイノシトル構造を経る蛋白の細胞表
面沈降。アニューアル・レヴュー・バイオケミカル5
7:285−320 ゲントンC、クリュイトフEKO、スクリーニングW−
D(1987年)ジャーナル・オブ・セル・バイオロジ
カル104:705−712 グレンダール−ハンセンJ、アゲーリンN、ムンクホル
ム−ラーセンP、バチF、ニールセンLS、ドンベルノ
スキーP、ダネK(1988年)ウロキナーゼ型プラス
ミノーゲン活性化因子に適した、感受性で特異的酵素結
合免疫吸着剤検定及び胸癌を伴う患者からの血奬への応
用。ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニ
カル・メディシン111:42−51 グレンダール−ハンセンJ、ランドLR、ラルフキア
E、オッテヴァンゲルV、ダネK、(1988年)イン
ビボで傷いた再上皮形成の間、ケラチノサイト中のウロ
キナーゼ及び組織型プラスミノーゲン活性化因子。ザ・
ジャーナル・オブ・インベスティガティブ・ダマトロジ
ー90:790−795 グアウィッチV、パネルR、ルイS、ケリーP、サディ
チRL、グリーンリーR(1984年) ウロキナーゼ(プロウロキナーゼ)のチモーゲンレセプ
ターによる有効かつフィブリン特異的血餅溶解。インビ
トロ及び2動物種での研究。ジャーナル・オブ・クリニ
カル・インベスティガティブ73:1731−1739 ヘイグラーHT、マックスフィールドFR、ウィリンガ
ムMC、パスタンI(1980年)ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー255:1239−12
41 アジャールKA、アーペルPC、ジャフェEA、ナチマ
ンRL(1986年)プラスミノーゲンの培養ヒト内皮
細胞への結合。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー261:11656−11662 アジャールKA、ナチマンRL(1988年)培養ヒト
内皮細胞上の線維溶解系の組み立て。フィブリノリスィ
ス2、補遺1:118 ハシモトF、ホリゴメT、カンバヤシM、ヨシダK、ス
ガノH(1983年)ナトリウムドデシルスルファート
ポリアクリルアミドゲル中の電気泳動による低分子量ポ
リペプチドの分離改良法。アナリティカル・バイオケミ
ストリー129:192−199 アーリンVJ、ロウLW、コルティA、アペラE、ブラ
ーシF(1988年)ネズミメラノーマ細胞の細胞表面
ウロキナーゼによる転移可能性の変調。キャンサー・リ
サーチ48:1270−1278 エベールCA、ベーカーJB(1988年)細胞外プラ
スミノーゲン活性化因子の線維芽細胞骨格への結合、ビ
ングリンによる細胞表面ウロキナーゼのコロカリゼーシ
ョン。ジャーナル・オブ・セル・バイオロジカル10
6:1241−1247 ユークショーベンJ、デルニックR(1988年)ファ
スト系発展単位における着色染色用改良銀染色方法。フ
ァスト・システム・ディベロプメント・ユナイテッド・
エレクトロフォレスィス9:28−32 ホップTP、ウッズKR(1981年)アミノ酸配列か
らの蛋白抗原決定基のプロディクション。プロスィーデ
ング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
スィズUSA78:3824−3828 ホイルアーツM、リーケンDC、リーネンHR、コレン
D(1982年)ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子
によるプラスミノーゲンの活性化の運動性。フィブリン
の役割。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー257:2912−2919 ジョニクF、スクミットM、アフテルA、オールリーダ
ーA、バビクR、ウルムK、ゲスナーW、グラフH(1
990年)ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子
(U−PA)抗原は胸癌の卑い再発の予言諸である。フ
ィブリノリスィス1−10 ジョニクF、スクミットM、ウルムK、ゲスナーW、グ
ラフH(1989年)ウロキナーゼ型プラスミノーゲン
活性化因子及び胸癌での早い再発:ザ・ランセット、1
049 カサイS、アリムラH、ニシムラM、スヤマT(198
5年)単一プロウロキナーゼの蛋白分解切断は、チモー
ゲン及びフィブリンに対するその高親和性の減少の活性
化が起こる形態的変化を含む。ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー260:12377−123
81 キールバーグV、アンドレアセンPA、グレンダール−
ハンセンJ、ニールセンLS、スクリバーL、ダネK
(1985年)マウス・インビボのウロキナーゼ型プラ
スミノーゲン活性化因子に対するプロ酵素。FEBSレ
タース182:441−445 クリステンセンP、ラーソンL−I、ニールセンLS、
グレンダール−ハンセンJ、アンドレアセンPA、ダネ
K(1984年)ヒト内皮細胞はプラスミノーゲン活性
化因子の一タイプを含む。FEBSレタース168:3
3−37 クリステンセンP、ピケC、ランドLR、アンドレアセ
ンPA、ダネL(1990年)ルイス肺癌におけるプラ
スミノーゲン活性化因子インヒビター型1。ルイス・ラ
ング・カルシノマ・ヒストケミストリー コザクM(1987年)669脊椎動物メッセンジャー
RNAからの5'−非コーディング配列の分析。RNA
s.ヌクリア・アクタ・リサーチ15:8125−81
32クーペルJ、オッタールM、リーケンDC、ヴァン
・バーケルTJC(1988年)ラット腎細胞との組織
型プラスミノーゲン活性化因子のインビボ相互反応。フ
ィブリノリスィス2、補遺1:28 キテJ、ドリッテルRF(1982年)蛋白の水治療法
特性を展示する簡単な方法。ジャーナル・オブ・モルキ
ュラー・バイオロジー157:105−132 ラミリUK(1970年)バクテリオファージTのヘ
ッドの組み立ての間、構造蛋白の切断。ネイチャー22
7:680−685 リーネンHR、ザマロンC、ブラベルM、ウィンクラー
ME、コレンD(1986)プロウロキナーゼI、メク
ニズムによるプラスミノーゲンの活性化。ジャーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー261:1253
−1258 リンW−C、プレトロ−IITP、カルプLA(199
0)腫瘍進行中の微小転移生成検出の高感度マーカーと
しての細菌LacZ遺伝子、カンサー・リサーチ50:
2808−2817 リオッタLA(1986年)腫瘍侵入及び転移−細胞外マ
トリックスの役割:ロード・メモリアル・アワード・レ
クチャー。キャンサー・リサーチ46:1−7 ロウMG(1989年)膜蛋白のグリコシル−ホスファ
チジルイノシトール沈降。バイオケミカル・バイオフィ
ジカル・アクタ988:427−454 ランドLR、リチオA、アンドレアセンPA、ニールセ
ンLS、クリステンセンP、レイホーM、サクセラO、
ブラーシF、ダネK(1987年)形質転換成長因子−
Bは、WI−38ヒト肺線維芽細胞中、タイプ−1プラ
スミノーゲン活性化因子インヒビターのレベルの強く固
い作用の陽性調整物である。WI−38ヒューマン・ラ
ング・フィブロブラストEMBO J6:1281−1
286 ランドLR、ジョージB、ニールセンLS、メイエル
M、ダネK、アンドレアセンP(1988年)モルキュ
ラー・セル・エンドクリノール60:43−53 マニアティス等(1982年)モルキュラー・クローニ
ング:ラボラトリー・マニュアル・コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー マンKG、ジェニーRG、クリシュナトウェミS(19
88年)組み立てにおけるコフアクター蛋白及び血液凝
固酵素コンプレックスの発現。アニューアル・レヴュー
・バイオケミカル57:915−956 マツダイラP(1987年)ポリビニリデンジフルオリ
ド膜上に電気泳動した蛋白のピコモル量からの配列。ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー26
2:10035−10038 マツオO、タナカS、キクチH(1988)骨関節炎へ
の尿トリプシンインヒビターの効果。トロンボスィス・
リサーチ52:237−245 メイエルM、ランドLR、リチオA、スクーヴJ、ニー
ルセンLS、スタッシーSN、ダネK、アンドレアセン
PA(1988年)プラスミノーゲン活性化因子インヒ
ビター型1蛋白、mRNA及び遺伝子転写は、ヒト横紋
筋肉腫細胞において、ホルボールエルテル類により増加
する。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー263:15688−15693 ミグナッティP、ロビンズE、リフキンDB(1986
年)ヒト羊水膜を経る腫瘍侵入:プロティナーゼカスケ
ードの要求。セル47:487−498 マイルズLA、ダウルバーグCM、プロウEF(198
8年)プラスミノーゲンの細胞結合ドメイン及び血漿中
のそれらの機能。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー263:11928−11934 マイルズLA、ギンズバーグMH、ホワイトJG、プロ
ウEF(1986年)2つの明白なメカニズムによるヒ
ト血小板とのプラスミノーゲン相互反応。ジャーナル・
オブ・クリニカル・インベスティガティブ77:200
1−2009 マイルズLA、プロウEF(1985年)血小板表面で
のプラスミノーゲンの結合及び活性化ジャーナル・オブ
・バイオロジカル・ケミストリー260:4303−4
311 マイルズLA、プロウEF(1986年)特異的抗体プ
ローブで定義されたのと同じ、プラスミノーゲンの高親
和リジン結合部位の地形図。バイオケミストリー25:
6926−6933 マイルズLA、プロウEF(1987年)末梢血液細胞
に対する線維素溶解成分、プラスミノーゲン及びウロキ
ナーゼのレセプター仲介結合。ソロンボ・ハエモスタ5
8:936−942 ミラーAD、バティモアC(1986年)ヘルパーウイ
ルス生成をもたらす組かえを回避するためのレトロウイ
ルスパッケージ細胞再デザイン、モレキュラー・アンド
・バイオロジー6巻2895−2902 モリスィJH、ファルライH、エドギントンTS(19
87年)組織因子、凝固プロティナーゼカスケードの開
始のための細胞レセプター用cDNAの分子クローニン
グ。セル50:129−135 ミューラー−エバーハードHJ(1988年)補体系の
分子体系及び機能。アニューアル・レヴュー・バイオケ
ミカル57:321−347 ニーダムGK、シャーベGV、ファーンドンJR、ハリ
スAL(1987年)ヒト胸癌膜上特異的レセプター部
位でのウロキナーゼの結合。ヨーロピアン・ジャーナル
・オブ・キャンセル55:13−16 ネルズL、リーネンHR、コレンD、ホルムズWE(1
987年)リジンの部位特異的変異誘発により生じた組
換型ヒト−本鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化
因子変異体の特徴づけ。ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー262:5682−5689 ニールセンLS、ハンセンJG、スクライバーL、ウィ
ルソンEL、カルトフトK、ズーサンJ、ダネK(19
82年)モノクローナル抗体によるアフニティクロマト
グラフィによるヒトグリア芽腫細胞からのプラスミノー
ゲン活性化因子に対するチモーゲンの精製。バイオケミ
ストリー24:6410−6415 ニールセンLS、ケレアマンGM、ベーレントN、ピコ
ーネR、ダネK、ブラーシF(1988年)ウロキナー
ゼ型プラスミノーゲン活性化因子に適した55,000-60,00
0Mrレセプター蛋白。ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー263:2358−2363 ニールセンLS、アンドレアセンPA、グレンダール−
ハンセンJ、ファンJ−Y、クリステンセンP、ダネK
(1986年)ソロンボ・ハエモスト55:206−2
12 ノランGP、フィーリングS、ニコラJ−F、ヘルツェ
ンベルクLA(1988年)エシエリキア・コリLac
Z導入後のB−D−ガラクトシダーゼ活性に基づく生存
ほ乳類細胞の蛍光賦活細胞分析および検索、プロシーデ
ィングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンシズ・ユーエスエイ85:2603−2607 ノリML、サルビE、コルティA、ロビアーティF、ソ
フィエンティーニA、ブラーシF、パレンティF、カッ
サーニG(1989年)マウス細胞からのヒト組換型−
本鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の製造
及び特徴づけ。フィブリノリスィス3:101−106 オカヤマH、バーグP(1983年)哺乳動物細胞中に
cDNA挿入の発現を詳すcDNAクローニングベクタ
ー。モルキュラー・アンド・セル・バイオロジー3:2
80−289 オッソウスキーL(1988年)ニワトリ胚中ヒト腫瘍
細胞の播種におけるプラスミノーゲン活性化因子依存通
路。セル52:321−328 オッソウスキーL、リーヒE(1983年)プラスミノ
ーゲン活性化因子阻害ヒト腫瘍転移に対する抗体。セル
35:611−619 パネルR、グレビヒV(1987年)1本鎖ウロキナー
ゼが低触媒活性(プロウロキナーゼ)を有する1本鎖ウ
ロキナーゼによる、又は2本鎖ウロキナーゼによるプラ
スミノーゲンの活性化。ブロッド69:22−26 ペテルセンLC、ルンLR、ニールセンLS、ダネK、
スクリーバーL(1988年)ヒト肉腫細胞からの1本
鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子は、少し
の又は全く内因性活性のないプロ酵素である。ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー263:11
189−11195 ピコーネR、カンタニアックEL、ニールセンLS、ベ
ーレントN、マストロニコラMR、クベリスMV、スト
ッペリMP、ペーダーセンS、ダネK、ブラーシF(1
989年)ホルボールエステルPMAによる単核球様U
937細胞中のウロキナーゼレセプターの調節。ジャー
ナル・オブ・セル・バイオロジー108:693−70
2 プローグM、ジェンセンAL、バークホルトV(198
9年)トリシン−ナトリウムドデシルサルフェート−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動からのPVDF膜上に電
気ブロットしたペプチドのアミノ酸成分及びNH未端
配列の決定。アニューアル・バイオケミカル181:3
3−39 プロウEF、フレアネDE、プレシアJ、マイルズLA
(1986年)プラスミノーゲン系及び細胞表面:同じ
細胞型上プラスミノーゲン及びウロキナーゼレセプター
に対する証拠。ジャーナル・オブ・バイオロジー10
3:2411−2420 ポラネンJ、ハズマンK、ニールセンLS、ダネK、ヴ
ァエリA(1988年)病巣接触での血漿膜結合ウロキ
ナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の超構造局在。ジ
ャーナル・オブ・バイオロジー106:87−95 ポラネンJ、サクセラE−M、アンドレアセンP、ニー
ルセンLS、ダネK、ヴァエリA(1987年)ウロキ
ナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の明白な局在と培
養ヒト線維芽細胞及び肉腫細胞下のそのタイプ−1イン
ヒビター。ジャーナル・オブ・バイオロジー104:1
085−1096 ポンテP、グニンP、ブラウH、ケデスL(1983
年)ヒトアクチン遺伝子は、α−心臓アクチンに対する
単一コピーであるが、β−及びα−細胞骨格遺伝子に対
するマルチコピーである:3'−非翻訳部分は同位元素
特異的であるが進化において変換する。モルキュラー・
アンド・セル・バイオロジー3:1783−1791 ポツァッティR、マセルR、ウイリアムズSJ、パドマ
ナバンR、ハワードB、リオッタL、コウリーG(19
86年)1又は2オンコジンにより形質転換した一次ラ
ット胎児は異なる転移潜在性を示す。 プライスJ、ターナーD、セプコC(1987年)レト
ロウイルス仲介遺伝子伝達による脊椎動物系における系
統分析、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシズ・ユーエスエイ84:
156−160 ライヒR、トンプソンE、イワモトY、マーティンG
R、ディーソンJR、フラーGC、ミスキンR(198
8年)プラスミノーゲン活性化因子、セリンプロテナー
ゼ及びコラゲナーゼルの阻害は、転移細胞による基部膜
の侵入を防ぐ。 ロルダンAL、クベリスMV、マスツィMT、ベーレン
ト、ルンドLR、ダネK、アペラE、ブラシF(199
0年)ヒトウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の
レセプター、細胞表面の中心分子のクローニングと発
現、プラスミン依存蛋白溶解、ジEMBOジャーナル
9;467−474 ラッセルDW、シュナイダーWJ、ヤマモトT、ラスキ
ーKL、ブラウンMS、ゴルト−シュタインJL(19
84年)LDLレセプターのドメインマップ:表皮性成
長因子プレカーサーによる配列類似点。セル37:57
7−585 サクセラO(1985年)細胞周囲蛋白分解のプラスミ
ノーゲン活性化と調節。バイオケミカル・アンド・バイ
オフィジカル・アクタ823:35−65 サロネンE−M、サクセラO、ヴァルティオT、ヴァエ
リA、ニールセンLS、ツォイテンJ(1985年)プ
ラスミノーゲン及び組織型プラスミノーゲン活性化因子
は固定化フィブロネクチンに結合する。ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー260:12302
−12307 サロネンE−M、ツィッティングA、ヴァエリA(19
84年)ラミニンはプラスミノーゲン及びその組織型活
性化因子と相互作用する。FEBSレタース172:2
9−32 シェガーH、フォン・ヤゴーG(1987年)1−10
0kDaの範囲の蛋白の分離のためのトリシン−ナトリ
ウムトデシルサルフェート−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動。アナリティカル・バイオケミストリー166:
368−379 セルヴァライP、ロッセW、シルバーR、スプリンガー
TA(1988年)血液中の主なFcレセプターはホス
ファチジルイノシトール沈降を有し、発作用夜間ヘモグ
ロビン尿症に欠損である。ネイチャー333:565−
567 シルバーシュテインRL、ロイングLLK、ハーペルP
C、ナハマンP(1984年)プラスミノーゲンとの血
小板トロンボスポンジンのコンプレックス形成。組織活
性化因子による活性化の変調。ジャーナル・オブ・クリ
ニカル・インベスティガティブ74:1625−163
3 スクリーバーL、ラーションL−I、キールベリV、ニ
ールセンLS、アンドレアセンPB、クリステンセン
P、ダネK(1984年)ルイス肺癌中のウロキナーゼ
型プラスミノーゲン活性化因子の免疫細胞化学局在。ジ
ャーナル・オブ・セル・バイオロジー99:753−7
58 スクリーバーL、ニールセンLS、ステフェンR、ダネ
K(1982年)肉腫ウイルスにより形質転換したネズ
ミ細胞から不活性プロ酵素として放出されたプラスミノ
ーゲン活性化因子。ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・
バイオケミストリー124:409−414 ステフェンズRW、アリタロR、タピオヴァーラH、ヴ
ァエリA(1988年)白血病細胞系による活性ウロキ
ナーゼの製造:固体腫瘍の細胞系からの新規識別。リュ
ケミア・リサーチ12:419−422 ステフェンズRW、フォルダムCJ、ドウWF(198
7年)ヒト直腸癌中のウロキナーゼ型プラスミノーゲン
活性化因子に対するプロ酵素:蛋白分解活性化後、単核
球ミナクチビンによるインビトロ阻害。ヨーロピアン・
ジャーナル・オブ・キャンセル・クリニカル・オンコロ
ジー23:213−222 ステフェンズRW、ロイングK−C、ポラネンJ、サロ
ネンE−M、ヴァエリA(1987年)プラスミノーゲ
ン活性化因子及びそれらの特異的インヒビターのミクロ
フレート免疫捕獲(immocapture)検定。ジャーナル・
オブ・イムノロジカル・メソッド105:245−25
1 ステファンス等(1989年)ジャーナル・オブ・セル
ラー・バイオロジー108:1987−1995 ストッペリMP、コルティA、ソフィエンティーニA、
カッサーニF、アソイアンRK(1985年)U937
単核球上特異的レセプターへのヒトウロキナーゼプラス
ミノーゲン活性化因子のアミノ末端断片の分別増強結
合。プロスィーディング・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンスィズUSA82:4939−49
43 ストッペリMP、タチェティC、クベリスMV、コルテ
ィA、ヘアリングVJ、カッサーニG、アッペラE、ブ
ラーシF(1986年)ヒトA431細胞上プロウロキ
ナーゼレセプターのオートクリン飽和。 セル45:675−684 スタンプDC、レイネンHR、コレンD(1986a
年)ヒト細胞培養からの単鎖ウロキナーゼ型プラスミノ
ーゲン活性化因子の精製及び特徴づけ。ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー261:1274−
1278 スタンプDC、ティアンポンM、コレンD(1986b
年)ヒト尿のウロキナーゼ関連蛋白。ジャーナル・オブ
・バイオロジカル・ケミストリー261:1267−1
273 タレンティーノAL、ゴメスCL、プラマーTH(19
85年)ペプチド−N−グリコシダーゼによるアスパラ
ギン結合グリカンの脱グリコシン化。F・バイオケミス
トリー24:4665−4671 トーセンS、グラス−グリーンヴァルトP、アストロッ
プT(1972年)ウロキナーゼ及びプラスミノーゲン
活性化因子のフィブリンへの結合における相違。ソロン
ボス・ディアス・ハエモロフ28:65−74 トリュグヴァソンK、ホイヒテャM、サロT(1987
年)腫瘍侵入における細胞外マトリックスの蛋白分解退
化。バイオロジカル・アンド・バイオフィジカル・アク
タ907:191−217 ウラノT、デ・セラノVS、ジャフニーPJ、カステリ
ーノFJ(1988年)ヒト単鎖ウロキナーゼによるヒ
ト(Glu')プラスミノーゲンの活性化。アーチブ・オ
ブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス
264:222−230 ヴァサリJ−D、ハミルトンJ、レイチE(1977
年)マクロファージプラスミノーゲン活性化因子:コン
カナバリンA及びホルボールミリステートアセテートに
よる誘導。セル11:695−705 ヴァサリJ−D、バッチーノD、ベリンD(1985
年)ヒトプラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼの
Mr55,000形にに対する細胞結合部位。ジャーナル・オ
ブ・セル・バイオロジー100:86−92 ヴァサリJ−D、ダイエールJ−M、ウールエンドA、
ベリンD(1984年)培養ヒト単核球マクロファージ
によるプロウロキナーゼの及びプラスミノーゲン活性化
因子の隨伴分泌。ジャーナル・オブ・イクスペリメンタ
ル・メディシン159:1652−1668 ウンT−C、オソウスキーL、レイチE(1982年)
ヒトウロキナーゼのプロ酵素形。ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・ケミストリー157:7262−726
8 ウンT−C、レイチE(1987年)ヒト胎盤からのプ
ラスミノーゲン活性化のインヒビター。ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー262:3646−
3653 ヤーデンY、ウルリッチA(1988年)成長因子によ
る単一トランスダクションの分子分析。バイオケミスト
リー27:3113−3119
【0439】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【図1】 アフィニテイ精製u−PARのSDS−PA
GE及び特異的リガンドへの化学架橋。
【図2】 精製u−PARの酵素脱グリコシル。
【図3】 架橋125I−ATFの脱グリコシル:PM
A−処理及び非処理u937細胞からのu−PARコンプ
レックス。
【図4】 化学的交差結合によるリガンド結合u−PA
R断片の検出
【図5】 u−PAR断片の電気泳動分解。
【図6】 u−PARとそのリガンド結合断片の界面活
性剤相分離。
【図7】 リガンド結合断片のデグリコシレーション。
【図8】 u−PARの内部アミノ酸配列の繰返しとこ
れら繰返しのT細胞活性化タンパク/Ly−6抗原およ
びイカタンパクSgp−2の細胞外ドメインとの相同性。
【図9】 酸加水分解後u−PAR−PARから放れた
アミノ酸の陽イオン変換クロマトグラフィからの溶出プ
ロフィルを示す。
【図10】 バシルス・セレウスからのホスファチジル
イノシトール−特異性ホスホリラーゼC(PI−PLC)
による付着PMA−刺激u937細胞からの 125I−
標識化DFP処理u−PAの遊離を示す。
【図11】 コンプレックス形成及び125I−標識化
DFP処理u−PAのSDS−PAGEによる分子分析
及びPI−PLCによる培地に放出されたu−PARを
示す。
【図12】 PI−PLCで処理による精製u−PAR
の疎水性性質の変化を示す。
【図13】 GPI−膜沈降の間プロセシング部位が既
知である蛋白からのCOOH末端アミノ酸配列のu−P
ARに関し予言されたものに対する(アミノ酸分析を基
礎として、表5)比較を示す。
【図14】 125I標識化精製u−PARの放射免疫
沈降。
【図15】 方法のところで記載したと同じ逆固相ラジ
オイムノアッセイ。
【図16】 ELISA。
【図17】 精製u−PARに対して作った抗体による
細胞性ATF結合の阻害。
【図18】 u−PARに対するポリクローナルウサギ
抗体の反応性を証明するウエスタンブロットを示す。
【図19】 4つのモノクローナル抗体による125
−標識u−PAR(I)及びu−PAR(D)の免疫沈澱。
【図20】 u−PARに対して高められた4つのモノ
クローナル抗体の反応性を示すウエスターンブロット。
【図21】 精製u−PARの定量化を示す2つの抗体
サンドウィッチELISA。
【図22】 u937細胞上のuに結合したpによるプ
ラスミノーゲン活性化の動力学を示す。
【図23】 酸洗937細胞を種々の濃度のモノクロー
ナル抗体3Rと培養し、細胞にpを結合させたときの残
留p触媒細胞表面プラスミノーゲン活性化。
【図24】 酸洗937a細胞をモノクローナル抗体1
(パネルA)、2R(パネルB)、3R(パネルC)および4
R(パネルD)の各々2μg/mlの存在又は不存在下30
分間前培養し、pro−p、プラスミノーゲン2及び蛍
光性プラスミン基質H−D−Val−Leu−Lys−7−ア
ミド−4−メチルクマリンと培養した。
【図25】 cDNAサブクローンpHUR06から生
じたアンチセンスRNAを用いるヒト結腸腺癌のパラフ
ィン部分へのハイブリダイゼーションを示す。
【図26】 結腸腺癌の一例のモノクローナル抗u−P
AR抗体クローンR2による免疫染色(A)。
【図27】 u−PAとu−PARの間の結合阻止につ
いての化合物スラミンの効果は、2種の抗体サンドイッ
チELISAとして構成され、実施例9に説明されてい
るように実施された物質スクリーニングELISAで試
験された。
【図28】 125I標識ATFとu−PARの間の交
差結合の化合物スラミンによる阻止をスラミンの存在ま
たは不存在下、HEp−2細胞分解物中の 25I標識
ATFのu−PARへの化学交差結合の測定により決定
したものを示す。
【図29】 内因的に産生されたpro−u−PAのP
ARに対する結合について、モノクローナル抗体3Rの
存在下における培養MDA−MB−231細胞の効果を
示すものであって、これはエリスら(1989年)に記
載されたメカニズムによってプラスミノーゲン活性化を
伝達する結合pro−u−PAの活性によって決定され
た。
【図30】 イン・ビトロおよびイン・ビボで成長した
腫瘍細胞のX−ガル染色。
【図31】 図31A:一次元MDA−MB−435B
AG腫瘍の冷凍断片。3B−D:二次元MDA−MB−
435BAG腫瘍の巨視的外観。3E−G:MDA−M
B−435BAG腫瘍細胞のマウス肺への転移性拡が
り。3H:MDA−MB−435BAG腫瘍細胞で皮下
的に接種されたマウスからの腹水のX−ガル染色。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/06 A61P 17/06 4H045 19/02 19/02 27/02 27/02 35/00 35/00 C07K 16/28 C07K 16/28 C12N 15/09 ZNA C12Q 1/16 C12Q 1/16 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/577 B 33/577 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12R 1:91 (C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) (71)出願人 595003015 Cancerforskningsfon den af 1989(Fonden ti l fremme af eksperi mentel cancerforskn ing) (72)発明者 ケル・ダネー デンマーク国デー・コー−2920 シャーロ ッテンルン、エル・イー・ブルーンス・ヴ ァイ 20番 (72)発明者 エベ・レネ デンマーク国デー・コー−2300 コペンハ ーゲン・エス、クアランズヴァイ 18番、 フェアスト・チル・ヴェンストレ (72)発明者 ニルス・ベーレント デンマーク国デー・コー−2880 バウスヴ ェアズ、ランゲモーセヴァイ 17番 (72)発明者 ヴィンセント・エリス デンマーク国デー・コー−1051 コペンハ ーゲン・コー、ニューハウン 18番 (72)発明者 グニラ・ヘイア−ハンセン デンマーク国デー・コー−2820 ゲントフ テ、トフテケアスヴァイ 67番 (72)発明者 チャールズ・パイク デンマーク国デー・コー−2860 セボー、 カール・メラース・アレー 18番、フェア スト・チル・ヘイア (72)発明者 ニルス・ブリュンナー デンマーク国デー・コー−2830 ヴィルー ム、ベンヴェズヴェンゲット 9番 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 CB01 FB03 FB07 FB08 4B024 AA01 AA11 BA61 CA02 DA03 EA02 GA11 HA13 4B063 QA01 QA05 QA18 QQ08 QQ20 QR16 QR48 QR51 QR67 QR77 QS28 QX01 QX02 QX07 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA13 4C085 AA14 BB11 CC23 DD63 EE01 GG10 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 DA76 DA86 EA20 EA50 FA74 GA26

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 u−PAR分子のC末端部を含んでお
    り、そして、完全u−PAR分子の第88位アミノ酸残
    基で始まるu−PAR分子の部分に結合する、モノ特異
    性モノクローナル抗体から成る、u−PARの検定試
    薬。
  2. 【請求項2】 次のいずれかの定量のための、請求項1
    記載の検定試薬: (1)u−PAと複合している、複合していないにかか
    わりなくu−PARを定量する; (2)u−PARとu−PAの複合体を定量する; (3)u−PAと複合していないu−PAR(遊離u−
    PAR)を定量する;および、 (4)u−PARのグリコシル化変種を定量する。
  3. 【請求項3】 検定を血液、血清、血漿、尿、組織片ま
    たは癌もしくはその疑いのある組織の抽出物から選択さ
    れた試料について行う、請求項1または2記載の検定試
    薬。
  4. 【請求項4】 予後評価または診断のために使用する、
    請求項1〜3のいずれか記載の検定試薬。
  5. 【請求項5】 試料中のu−PARの存在を検出または
    定量するためのELISA検定で使用する、請求項1〜
    4のいずれか記載の検定試薬。
  6. 【請求項6】 組織片中のu−PARに結合することが
    出来、従ってu−PARの免疫組織化学的検出に有用で
    ある、モノ特異性モノクローナル抗体であって、当該抗
    体はブダペスト条約に従ってユーロピアン・コレクショ
    ン・オブ・アニマル・セル・カルチャーに寄託された寄
    託番号90101008のハイブリドーマ・セルライン
    によって産生される抗体2Rまたは寄託番号90101
    010のハイブリドーマ・セルラインによって産生され
    る抗体4Rに機能的に均等であるもの。
  7. 【請求項7】 捕捉または検出抗体としてELISAで
    使用するに適した、u−PARに有効に結合することが
    出来るモノ特異性モノクローナル抗体であって、当該抗
    体はブダペスト条約に従ってユーロピアン・コレクショ
    ン・オブ・アニマル・セル・カルチャーに寄託された寄
    託番号90101008のハイブリドーマ・セルライン
    によって産生される抗体2Rまたは寄託番号90101
    010のハイブリドーマ・セルラインによって産生され
    る抗体4Rに機能的に均等であるもの。
  8. 【請求項8】 u−PARの特定のグリコシル化変種に
    選択的に結合することが出来るモノ特異性モノクローナ
    ル抗体であって、当該抗体はブダペスト条約に従ってユ
    ーロピアン・コレクション・オブ・アニマル・セル・カ
    ルチャーに寄託された寄託番号90101010のハイ
    ブリドーマ・セルラインによって産生される抗体4Rに
    機能的に均等であるもの。
  9. 【請求項9】 遊離のu−PARおよびu−PAとu−
    PARの間の複合体のいずれにも反応することが出来る
    モノ特異性モノクローナル抗体であって、当該抗体はブ
    ダペスト条約に従ってユーロピアン・コレクション・オ
    ブ・アニマル・セル・カルチャーに寄託された寄託番号
    90101010のハイブリドーマ・セルラインによっ
    て産生される抗体4Rに機能的に均等であるもの。
  10. 【請求項10】 u−PAR分子のC末端部を含んでお
    り、そして、完全u−PAR分子の第88位アミノ酸残
    基で始まるu−PAR分子の部分に結合する、モノ特異
    性モノクローナル抗体であって、当該抗体はブダペスト
    条約に従ってユーロピアン・コレクション・オブ・アニ
    マル・セル・カルチャーに寄託された寄託番号9010
    1007のハイブリドーマ・セルラインによって産生さ
    れる抗体1R、寄託番号90101008のハイブリド
    ーマ・セルラインによって産生される抗体2Rまたは寄
    託番号90101010のハイブリドーマ・セルライン
    によって産生される抗体4Rに機能的に均等であるも
    の。
  11. 【請求項11】 u−PARとの反応によるpro−u
    −PAまたは活性u−PAの結合の阻止と細胞表面プラ
    スミノーゲン活性化の阻止を行う、モノクローナル抗体
    を含むことを特徴とする、哺乳類におけるu−PAのレ
    セプタ結合形のu−PARに対する結合を阻止し、それ
    によってプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化を阻
    止することに基づく、哺乳類(ひとを含む)における蛋
    白分解作用を阻止または妨害するための医薬組成物。
  12. 【請求項12】 モノクローナル抗体がひとモノクロー
    ナル抗体である、請求項11記載の医薬組成物。
  13. 【請求項13】 抗体がFabフラグメントである、請
    求項11または12記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】 阻止または妨害された蛋白分解作用が
    癌に関連するものである、請求項11〜13のいずれか
    記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 慢性関節リュウマチ、潰瘍性大腸炎ま
    たは乾癬症のような組織破壊を伴う非悪性疾病の処置に
    使用する、請求項11〜13のいずれか記載の医薬組成
    物。
  16. 【請求項16】 モノクローナル抗体が癌細胞に存在す
    ることのあるu−PARのグリコシル化変種に結合する
    ものである、請求項15記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】 u−PARと反応するモノクローナル
    抗体を含む、患者の単球や顆粒球について減少したu−
    PAR濃度を検出することによる発作性夜間ヘモグロビ
    ン尿症の診断または予後評価剤。
  18. 【請求項18】 哺乳類(ひとを含む)におけるu−P
    Aのレセプタ結合形のu−PARに対する結合を妨害す
    ることによりプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
    を阻止することによって、哺乳類における局在化した蛋
    白分解作用を阻止または妨害するに適した物質を選択す
    る方法であって、次の少なくとも一つのアッセイを行う
    ことを特徴とする方法: (1)当該物質によるu−PA/u−PAR相互反応の
    阻止を、当該物質を固定化されたu−PARと可溶化さ
    れたu−PAを含む系に加え、u−PARに結合したu
    −PAを標識化するか、または標識化抗u−PA抗体を
    使用することにより検出するか、もしくは当該物質を固
    定化されたu−PAと可溶化されたu−PARを含む系
    に加え、u−PAに結合したu−PARを標識化する
    か、または標識化抗u−PAR抗体を使用することによ
    り検出する; (2)当該物質によるu−PA/u−PAR相互反応の
    阻止を、当該物質をu−PARと放射性標識化u−PA
    またはその誘導体を含む系に加え、u−PAに結合した
    u−PARを交差結合させ、交差結合生成物をSDSペ
    ージ及び放射線写真により検出する; (3)培養細胞表面におけるu−PAのu−PARに対
    する結合の阻止を、当該物質を放射性標識化u−PAま
    たはその誘導体とu−PARを有する細胞含む系に加
    え、u−PARに結合したu−PAまたはその誘導体を
    当該細胞のガンマ計数により検出する; (4)レセプタ結合外因性pro−u−PAによる細胞
    表面プラスミノーゲン活性化の阻止を、当該物質をu−
    PARを有する細胞に加え、さらにpro−u−PAを
    加えてから、細胞表面におけるプラスミン生成を測定す
    ることにより検出する; (5)レセプタ結合外因性pro−u−PAによる細胞
    表面プラスミノーゲン活性化の阻止を、u−PARを有
    する細胞を培養し、当該物質でpro−u−PAを産生
    させてから、細胞表面におけるプラスミン生成を測定す
    ることにより検出する;および (6)u−PA/u−PAR相互反応を阻止するように
    樹立させた物質を、u−PAとu−PARの存在下に侵
    襲および/または転移することが知られており、かつ、
    マウスにおいて侵襲および/または転移を起こすことが
    知られているところのひと癌細胞を接種させたヌードマ
    ウスに投与し、当該マウスにおけるひと癌細胞の侵襲お
    よび/または転移を阻止する物質を適切な物質として選
    択する。
  19. 【請求項19】 ひと癌細胞がu−PAを産生する細胞
    であり、u−PARがマウスに接種される他のひと細胞
    によって供給されるものであるか、 ひと癌細胞がu−PARを産生する細胞であり、u−P
    Aがマウスに接種される他のひと細胞によって供給され
    るものであるか、 ひと癌細胞がu−PAもu−PARも産生しない細胞で
    あり、u−PAとu−PARが他の細胞によって供給さ
    れるものであるか、またはひと癌細胞がu−PAもu−
    PARも産生する細胞である、請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 マウスがnu/nu−META/Bo
    m系マウスである、請求項18または19記載の方法。
  21. 【請求項21】 ひと癌細胞とマウス細胞の視覚的区別
    を両者の間に顕著な色の差異を設けることによって明ら
    かにする、請求項18〜20のいずれか記載の方法。
  22. 【請求項22】 顕著な色の差異が酵素と当該酵素に対
    する色素基質を用いて設けられる、請求項21記載の方
    法。
  23. 【請求項23】 酵素がβ−D−ガラクトシダーゼであ
    り、基質がX−galである、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 β−D−ガラクトシダーゼがひと癌細
    胞に導入されたlacZ遺伝子により産生されるもので
    ある、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 lacZ遺伝子がレトロウイルス性ベ
    クターを使用する形質導入によりひと癌細胞に導入され
    たものである、請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項18〜25のいずれか記載の方
    法によって選択された、哺乳類(ひとを含む)における
    u−PAのレセプタ結合形のu−PARに対する結合を
    妨害することによりプラスミノーゲンのプラスミンへの
    活性化を阻止することによって、哺乳類における局在化
    した蛋白分解作用を阻止または妨害するための物質。
  27. 【請求項27】 哺乳類(ひとを含む)におけるu−P
    Aのレセプタ結合形のu−PARに対する結合を妨害す
    ることによりプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
    を阻止することによって、哺乳類における局在化した蛋
    白分解作用を阻止または妨害するための組成物の調製に
    使用する物質であって、次の性質を有するもの: (1)u−PA/u−PAR相互反応を阻止する(ただ
    し、当該阻止は、当該物質を固定化されたu−PARと
    可溶化されたu−PAを含む系に加え、u−PARに結
    合したu−PAを標識化するか、または標識化抗u−P
    A抗体を使用することにより検出するか、もしくは当該
    物質を固定化されたu−PAと可溶化されたu−PAR
    を含む系に加え、u−PAに結合したu−PARを標識
    化するか、または標識化抗u−PAR抗体を使用するこ
    とにより検出する方法で確認される); (2)u−PA/u−PAR相互反応を阻止する(ただ
    し、当該阻止は、当該物質をu−PARと放射性標識化
    u−PAまたはその誘導体を含む系に加え、u−PAに
    結合したu−PARを交差結合させ、交差結合生成物を
    SDSページ及び放射線写真により検出する方法で確認
    される); (3)培養細胞表面におけるu−PAのu−PARに対
    する結合を阻止する(ただし、当該阻止は、当該物質を
    放射性標識化u−PAまたはその誘導体とu−PARを
    有する細胞含む系に加え、u−PARに結合したu−P
    Aまたはその誘導体を当該細胞のガンマ計数により検出
    する方法で確認される);および (4)レセプタ結合外因性pro−u−PAによる細胞
    表面プラスミノーゲン活性化を阻止する(ただし、当該
    阻止は、当該物質をu−PARを有する細胞に加え、さ
    らにpro−u−PAを加えてから、細胞表面における
    プラスミン生成を測定することにより検出する方法で確
    認される)。
  28. 【請求項28】 当該物質がさらに次の性質を有する、
    請求項27記載の物質: (5)レセプタ結合外因性pro−u−PAによる細胞
    表面プラスミノーゲン活性化を阻止する(ただし、当該
    阻止は、u−PARを有する細胞を培養し、当該物質で
    pro−u−PAを産生させてから、細胞表面における
    プラスミン生成を測定することにより検出する方法で確
    認される)。
  29. 【請求項29】 当該物質がさらに次の性質を有する、
    請求項27または28記載の物質: (6)u−PAとu−PARの存在下に侵襲および/ま
    たは転移することが知られており、かつ、マウスにおい
    て侵襲および/または転移を起こすことが知られている
    ところのひと癌細胞を接種させたヌードマウスに投与し
    たとき、当該マウスにおけるひと癌細胞の侵襲および/
    または転移を阻止することができる。
  30. 【請求項30】 マウスがnu/nu−META/Bo
    m系マウスである、請求項29記載の物質。
  31. 【請求項31】 ひと癌細胞とマウス細胞の視覚的区別
    を、酵素としてβ−D−ガラクトシダーゼを使用し、当
    該酵素に対する色素基質としてX−galを使用するこ
    とにより、両者の間に顕著な色の差異を設けることによ
    って明確化する、請求項29記載の物質。
  32. 【請求項32】 β−D−ガラクトシダーゼがひと癌細
    胞に導入されたlacZ遺伝子により産生されるもので
    ある、請求項31記載の物質。
  33. 【請求項33】 lacZ遺伝子がレトロウイルス性ベ
    クターを使用する形質導入によりひと癌細胞に導入され
    たものである、請求項32記載の物質。
  34. 【請求項34】 スラミンまたはその類似体もしくは誘
    導体である、請求項27〜33のいずれか記載の物質。
  35. 【請求項35】 請求項に記載の抗体を捕捉または検出
    抗体あるいはそれら両者として使用することを特徴とす
    る、u−PARがu−PAに結合しているか否かと本質
    的に関係のない、試料中のu−PARを検出または定量
    する方法。
  36. 【請求項36】 請求項に記載の抗体のように、u−P
    Aまたはpro−u−PAに結合したu−PARに結合
    することが出来る抗体を捕捉または検出抗体として使用
    し、結合したu−PAまたはpro−u−PAを検出す
    る抗体を検出または捕捉抗体として使用することを特徴
    とする、試料中のu−PARとu−PAの複合体を検出
    または定量する方法。
  37. 【請求項37】 請求項に記載の抗体のように、遊離u
    −PARと結合することが出来るが、u−PA結合を阻
    止することが出来ない抗体を捕捉または検出抗体として
    使用し、u−PAまたはそのu−PAR結合変種を検出
    または捕捉抗体として使用することを特徴とする、試料
    中のu−PAと結合していないu−PARを検出または
    定量する方法。
  38. 【請求項38】 請求項に記載の抗体のように、u−P
    Aに結合していると否とに関係なくu−PARを検出す
    る抗体を検出抗体として使用することを特徴とする、組
    織片中のu−PARの免疫組織化学的検出法。
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