JP2005526009A - 新規グルコース依存性インスリン - Google Patents
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Abstract
本発明は、周囲組織におけるグルコース濃度に相関して、本発明のインスリン誘導体の注入された蓄積部からインスリンをデリバーすることが可能である、ビルトインの(built-in)グルコースセンサーおよびポリオール部分を有するインスリン誘導体に関する。
Description
本発明は、周囲組織におけるグルコース濃度に相関して、注入された蓄積部(depot)からインスリンをデリバーすることが可能である、ビルトインの(built-in)グルコースセンサーおよびポリオール部分を有するインスリン誘導体に関する。かかるインスリン誘導体は、糖尿病の治療に有効である。
本発明の一つの態様において、ビルトインのグルコースセンサーおよびポリオール部分を有するインスリン誘導体は、遅延作用性、水溶性の、当該誘導体のヘキサマーの集合体に統合され、当該集合体は、周囲媒体(たとえば組織)におけるグルコース濃度が増大するにつれ、集合する傾向が低下し、これによりインスリンの吸収速度が増大する。
本発明の別の態様において、ビルトインのグルコースセンサーおよびポリオール部分を有するインスリン誘導体の結晶性組成物が提供される。周囲媒体(たとえば組織)におけるグルコース濃度が増大すると、当該インスリン結晶の溶解(dissolution)速度は高まり、これにより吸収速度が増大する。
本発明は、ビルトインのグルコースセンサーおよびポリオール部分を有するインスリン誘導体、グルコース濃度に相関してインスリンを放出することが可能である当該インスリン誘導体を含む薬学的組成物、並びに糖尿病の治療における当該組成物の使用に関する。
糖尿病は、未治療の糖尿病患者の血中グルコースレベルの上昇によりとりわけ発現するグルコース代謝の欠陥で特徴づけられる疾患である。基本的な欠陥により、糖尿病は二つの主要グループ:1型糖尿病および2型糖尿病に分類される。1型糖尿病、すなわちインスリン要求性糖尿病(IDDM)における患者は、膵腺においてインスリン産生β細胞を欠損する。2型糖尿病、すなわちインスリン非要求性糖尿病(NIDDM)は、β細胞の機能の欠陥に加えて一連の他の異常を有する患者において起こる。2型糖尿病は、最終的に1型糖尿病を発症するかもしれない。インスリン治療は、1型糖尿病に罹患している患者において不可欠であるが、幾つかのケースでは、2型糖尿病の治療にも有益であり得る。
1920年代にインスリンが発見されて以来、連続的な進歩により、糖尿病の治療は改善されてきた。極度に高い血糖値を避けるため、糖尿病患者は、インスリンを食事ごとに投与する複数回の注入治療をしばしば実施する。多くの糖尿病患者は、基本要求量をカバーするための遅延性インスリン組成物の1日1回または2回の注入を含み、かつ食事関連の要求量をカバーするための即効作用性インスリンのボーラス注入により補足される療法(regimen)で、毎日複数回のインスリン注入により治療される。
遅延性プロファイルの作用を有するインスリン組成物は、当該技術分野において周知である。従って、かかるインスリン組成物の主要タイプの一つは、インスリン結晶または無晶性インスリンの注入可能な水性懸濁液を含む。典型的には、これら組成物中のインスリンは、プロタミンインスリン、亜鉛インスリンまたはプロタミン亜鉛インスリンの形態で提供される。
ヒトまたは動物のインスリンは、たとえばZn2+イオンの存在下で高度に連合した形態を形成すると、その結果、結晶または無晶性生成物の形態で沈殿する;たとえば、Jens Brange (editor), Galenics of Insulin, Springer Verlag (1987) の20〜27ページを参照されたい。従って、ブタのインスリンの溶液に、インスリンヘキサマーあたり6Zn2+イオンをpH 7で添加すると、インスリンはほぼ完全に沈殿する。
別のタイプの遅延性インスリン組成物は、生理的pH未満であるが生理的pHでないpH値で水溶性であるインスリン類似体を用いて得ることができる。かかるインスリン類似体の溶液が注入されると、インスリン類似体は、生理的pHにpH値が上昇するため沈殿し、皮下に固形物質の蓄積部を形成する。この原理は、インスリン類似体にグルコースセンサーを組込むことにより本発明と組合せることができる。グルコースセンサーに加えて、これら類似体は、注入溶液において実際に有効な程度に低いpH値で安定であるアミノ酸残基をA21の位置に有する。A21の位置の適切なアミノ酸残基は、たとえばグリシン、セリンおよびアラニンである。また、インスリンは、当該分子の最終電荷を約2ユニットだけ増大させるように変異を有し、たとえば、B27の位置のThrをArgに置換し、B30の位置のThr-OHをThr-NH2に置換することができ、あるいは塩基性残基(たとえばB31-B32 Arg-Arg)を付加することができる。
B26からB30の何れかの位置でリジン残基のε−アミノ基に連結された親油性置換基を有する可溶性インスリン誘導体が、本文献で記載されている。かかる誘導体は、可溶性ヒトインスリンと比較して、皮下注入後に遅延性プロファイルの作用を有し、この遅延性作用は、皮下組織、血液および末梢組織におけるアルブミンへの可逆的結合により説明されている。
親油性置換基を特徴とする幾つかの可溶性インスリン誘導体の、作用を持続する追加のメカニズムが開示され、すなわち、規定のゲル濾過システムで分析したときにアルドラーゼ(Mw=158 kDa)より大きい分子量を有する、高分子量の集合体を形成することが可能である誘導体が開示されている(WO 99/21888, Novo Nordisk)。
健康なヒトにおいて、血中グルコース濃度は、約5 mMであり、食事後に約7 mMに上昇する。今日、血中グルコースの頻繁なモニタリングに基いて、食事関連の注入のための即効作用性インスリンおよび基本インスリンのための可溶性蓄積インスリンを用いて最も高度なインスリン治療を適用したときでも、糖尿病患者は、コントロールの範囲外のグルコース濃度をしばしば経験する。過剰のインスリンを投与した結果、グルコース濃度が約3 mM未満になると、低血糖症の症状が起こり得る。少なすぎるインスリンしか投与されず、グルコース濃度が約20 mMに上昇すると、アセトンが血液中に現れ、糖尿病ケトアシドーシスが起こり、最終的に糖尿病性昏睡が起こる。これら合併症を避けるため、また、糖尿病性後期合併症の発症を最小限にするため、糖尿病患者の血中グルコース濃度をできるだけ5 mMに近づけるようにコントロールすることが望ましい。USAでの1993年以降のDCCT(糖尿病合併症臨床試験:Diabetes Complication Clinical Trial)研究により、9年間にわたって1型糖尿病患者における糖尿病合併症の発症を調査した(N Engl J Med 1993, 329, 977-986)。UKPDS(英国将来的糖尿病研究:United Kingdom Prospective Diabetes Study)は、15年間にわたって2型糖尿病患者における合併症の発症を研究した(Lancet 1998, 352, 854-865)。合併症のパターンは、これら2つのタイプの糖尿病患者の間で異なっていたとしても、血中グルコースの厳重なコントロールが、合併症を顕著に減少させる結果になることが、両調査から結論づけられる。従って、糖尿病患者におけるグルコースを正常値の5 mMに近づけるようにコントロールする手段が未解決のまま求められている。
理論的には、厳重なグルコースコントロールを達成する一つの方法は、患者の組織に配置されたグルコースセンサーを、インスリンポンプを制御するコンピュータにつなぐことである。ポンプは、皮膚の下に挿入された針に連結されたカテーテルを経由している。しかし、かかるフィードバックコントロールシステムは、おそらくグルコースセンサーの安定性および信頼性がないために、いまだ実施されていないように思われる。組織に挿入されたグルコースセンサーは、非常に短い時間内にフィブリンが一面にはびこるらしく、たとえば赤外光学に基く適切な非侵襲性のセンサーは、いまだ発明も開発もされていない。
蓄積部からグルコース依存的にインスリンを放出するシステムを開発する試みは、これまでにも記載されている。中空繊維等の固形マトリクスに固定したコンカナバリンA等の炭水化物結合性レクチンは、マルトトリオース、マルトースまたはデキストラン等の炭水化物部分で置換されたインスリン誘導体を結合する。マトリクスは、溶解したグルコースおよびインスリン誘導体の拡散を許容する。全身のグルコース濃度が上昇するにつれ、グルコースは、ますます多量のインスリン誘導体をマトリクスから退去させ、より多くのインスリンを循環系に利用可能にし、必要な場合にはインスリンレセプターに利用可能にする。おそらく体内にインスリン含有マトリクスを移植する不便性、並びに体内で大きなインスリン蓄積部を所有する危険性のために、このようなレクチンベースのシステムは何れも臨床的に実施されていないように思われる。
提案されるその他のグルコース制御インスリン放出システムは、グルコースオキシダーゼにより触媒されるグルコースのグルコン酸への変換に基くものである。グルコースオキシダーゼは、たとえばエチレン/ビニルアセテート共重合体のマトリクスに固定化され、インスリンまたはインスリン誘導体は、固体状態でマトリクスに捕捉される。グルコン酸の産生により局所的にpHが低下するにつれ、インスリンの溶解度は増大する。したがって、固体状態から可溶性インスリンを放出する速度は、グルコース濃度を反映する。同様に、おそらく同じ理由のために、このようなグルコースオキシダーゼベースのシステムは何れも臨床的に実施されていないように思われる。
更に、グルコース感知分子構造がマトリクス(すなわち可溶性または固形ポリマー)の一部である、蓄積部からのグルコース制御されたインスリン放出を提供する試みが為されている。
本発明は、注入または吸入された蓄積部からのインスリンの放出がグルコース依存的である新規インスリン誘導体を提供する。インスリン誘導体は、インスリン誘導体のヘキサマーの集合体の形態で、糖尿病患者の体内における蓄積部に投与される。蓄積部において、グルコースセンサーおよびポリオール部分で修飾されたインスリン誘導体は、結晶の状態または高度に集合した可溶性状態の何れかである。何れの状態も、蓄積部から遅延性の吸収を引き起こす。結晶の溶解度、および可溶性集合体におけるインスリンヘキサマーの集合の状態は、周辺組織におけるグルコース濃度によって影響を受ける。グルコース濃度の増大は、結晶の溶解を促進し、インスリンヘキサマーの可溶性集合体の脱集合を促進する。
皮下または筋内に注入される蓄積部の用量および体積は、通常の基本インスリン組成物(たとえばNPHインスリン)の用量および体積と同様になるように調整することができ、1日に1回または2回の注入により基本インスリン供給をカバーすることが意図される。本発明のインスリン誘導体を含む吸入用組成物の用量は、1日の間に数回、典型的には食事の前または間に摂取され得る。
親油性置換基を有するインスリン誘導体のヘキサマーの可溶性集合体は、WO 99/21888(Novo Nordisk)に開示され、その内容は参照によりその全体を本明細書の開示内容の一部とする。かかる集合体からのインスリン誘導体の放出は、拡散により制御された可溶性集合体の崩壊に依存するように思われる。
本発明のインスリン誘導体により形成される高分子量インスリンヘキサマー集合体は、それを含有する緩衝溶液にグルコースを添加すると、脱集合して小さい集合体を形成する。
集合の状態および集合を低減するグルコースの能力は、種々の濃度のグルコースを含有する緩衝液中にある集合インスリン誘導体を、その溶出液でゲル濾過することにより実証することができる。
皮下蓄積部からインスリン誘導体の放出が増大することは、種々の血液グルコースレベル(たとえば5 mMおよび10 mM)で固定されたブタ、ラットまたはマウスの血漿中に、同じ用量のインスリン誘導体を注入した後に見られる種々のレベルのインスリン誘導体により実証することができる。
グルコース依存性インスリン放出のこの新規概念は、インスリン治療の注入療法(regimen)の技術水準の簡便性に従ったものであり、手術の必要もないし、体内に移植された大きな蓄積部の保存と関連した危険性を伴うこともない。
本明細書で使用される「インスリン誘導体」の表現(および関連の表現)は、少なくとも一のアミノ酸残基に有機置換基が結合した、ヒトインスリンまたはその類似体をいう。
本明細書で使用される「ヒトインスリンの類似体」(および関連の表現)は、一または複数のアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基により置換されているか、または欠失しているか、あるいは、N末端またはC末端において一または複数のアミノ酸残基が付加することによりA鎖および/またはB鎖が伸長している、ヒトインスリンを意味する。「ヒトインスリンの類似体」は、ヒトインスリンの上記改変の任意の組み合わせにより提供されてもよい。置換および付加は、好ましくは、遺伝暗号によりコードすることができるアミノ酸残基でなされ、非コードアミノ酸残基も選択可能である。本発明の一つの態様において、インスリン類似体は、1つの位置でのみ改変される。他の態様において、インスリン類似体は、2、3または4つの位置で改変され、その改変は、置換、欠失および付加の任意の組み合わせの形態であり得る。ヒトインスリンのアミノ酸配列は、とりわけ、Merck & Co., Inc.により1989年に出版されたMerck Index, 11th Edition, 4888ページに記載される。
インスリンの「蓄積部(depot)」は、結晶性組成物(たとえばNPHインスリンまたはLenteインスリン)の形態、または溶液(たとえばアルブミン結合性または可溶性集合性または酸性溶液の中性析出性インスリン類似体またはインスリン誘導体)の形態の何れかの、皮下または筋内に注入されたインスリン、または吸入されたインスリンの局在化した量を意味する。
「吸収」は、蓄積部のインスリンが循環に移行する過程を意味する。
「ポリオール部分」は、該分子の残りの部分の位置からポリオール(任意に、OH基が更にアミノ基またはカルボン酸基を有するポリオール)への共有結合を介して形成された、本発明のインスリン誘導体の置換基を意味する。ポリオールの例は、D型もしくはL型のグルカミン、N-メチル-グルカミン、グルコン酸、ソルビトール、キナ酸、シキミ酸、イノシトール、ピニトール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ペンタエリトリトールおよびそれらの誘導体、またはグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースもしくは他の炭水化物などのペントースおよびヘキソースの誘導体、たとえばアミノ基またはカルボン酸基を有する誘導体である。
「グルコースセンサー」(以下においてボロネート部分とも称される)は、グルコースと結合または反応することが可能な化学基を意味する。グルコースセンサーは、該インスリン分子の一部である。可逆的結合のために、センサー/グルコース複合体の解離定数Kdは、通常0.01μM〜100 mMの範囲であり、たとえば1μM〜20 mM、または1 mM〜20 mM、または1 mM〜100 mMである。可逆的グルコースセンサーの例は、有機ボレート(borate)、好ましくはアリールボロネートまたは他のボレートであり、ここでインスリン誘導体への付着は、炭素−炭素結合によるものである。アルキルボロネートは、酸化されやすく、しばしば不安定である(Snyder, Kuck and Johnson, J. Am. Chem. Soc 1938, 60, 105)。本発明で使用するためには、生理的条件下でグルコースを結合するボロネートセンサーが好ましい。単純なアリールボロネート、たとえばフェニルボロネートは、比較的高いpH値(pH>9)でのみグルコースを結合する(Shinkai and Takeuchi, Trends Anal. Chem. 1996, 15, 188)。本発明で使用するためには、生理的pH値(すなわちpH 7.4付近)でグルコース結合する酸性ボロネートが好ましい。このようなボロネートグルコースセンサーの例は、アミノメチル-アリール-2-ボロネート(Bielecki, Eggert and Norrild, J. Chem. Soc., Perkin Trans 2 1999, 449)、近接してアミノ基を有する他のボロネート(Shiino et al., J. Controlled Release 1995, 37, 269)、または電子吸引性基で置換されたアリールボロネート(Eggert et al., J. Org. Chem. 1999, 64, 3846)、たとえばスルホ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、フルオロ−フェニルボロネート、ピリジンボロネート、ピリジニウムボロネートまたはそれらの組み合わせである。たとえばフルクトースおよびラクテートを超えるグルコース選択性を提供するためにジボロネートを使用してもよい。グルコースセンサーとして有効なアリールボロネート基の例は、以下の式A〜ZおよびAA〜AEに示される。これらの式において、当該基の各々における置換基Rは、ポリオール置換基およびアリールボロネート基とインスリン部分との間の任意のリンカーを含む、インスリン誘導体のインスリン部分を示す。式Gにおいて、R'は、以下の選択肢:水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびベンジルのなかから選択される置換基を示す。式Iにおいて、R''は、以下の選択肢:D−グルカミン、L−グルカミン、N−メチル−グルカミン、ガラクタミン、N−メチル−ガラクタミン、マンナミン、N−メチル−マンナミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのなかから選択される置換基を示す。
本発明の一つの態様において、インスリン誘導体は、下記式Aで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の別の態様において、インスリン誘導体は、下記式Bで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の別の態様において、インスリン誘導体は、下記式Bで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Cで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Dで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Dで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Eで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Fで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Fで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'は水素を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はメチル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はメチル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はエチル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はプロピル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はプロピル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はイソプロピル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はベンジル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式G(ここでR'はベンジル基を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Hで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はD−グルカミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はD−グルカミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はL−グルカミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルグルカミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルグルカミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はガラクトアミン(galactamine)を表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルガラクトアミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルガラクトアミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はマンナミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルマンナミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はN−メチルマンナミンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式I(ここでR''はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを表す)で示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Jで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Jで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Kで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Lで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Lで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Mで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Nで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Nで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Oで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Pで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Pで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Qで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Rで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Rで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Sで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Tで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Tで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Uで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Vで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Vで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Yで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Xで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Xで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式Zで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式AAで示されるグルコースセンサーを有する。
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本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式ABで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式ACで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式ACで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式ADで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式AEで示されるグルコースセンサーを有する。
本発明の更なる態様において、インスリン誘導体は、下記式AEで示されるグルコースセンサーを有する。
このような酸性ボロネートは、水性溶媒中で生理的pHにおいて四面体形態をとり、これによりグルコースの結合を可能にする。また、可逆的グルコースセンサーは、ペプチドまたは偽ペプチドであってもよく、任意にボロネートを含有してもよい。更なる態様において、ピリジンまたはチオフェン等のヘテロ環をベースとするヘテロアリールボロネートを、グルコースセンサーとして使用することができる。
本発明の一つの態様において、可溶性であり、集合したヘキサマーのインスリン誘導体であって、集合の状態がグルコースの存在量に依存するインスリン誘導体が提供される。集合したインスリン誘導体は、生理的pH値(すなわち約pH 7.4)において水溶性であり、広いpH範囲、たとえば6.8〜8.5の範囲でも有効である。可溶性であり、集合したヘキサマーのインスリン誘導体は、皮下注入後ゆっくりと脱集合し(deaggregate)、当該インスリン誘導体を、長時間作用性インスリン組成物での使用に適したものにし、この利点は、かかる組成物が沈殿物を含有しないことである。グルコースの濃度が、注入部位の周囲の組織で高いほど、注入された集合したインスリン誘導体の脱集合速度は高く、その後のインスリン誘導体の吸収速度は高い。懸濁液というよりむしろ溶液であるインスリン組成物を有する利点は、より正確な投与量を与えることができ、投与量を与える前にバイアルまたはペンを振盪する必要がなく、より細い注入針を使用することができるため、注入により起こる痛みは小さく、バイアルまたはカートリッジに充填するのが容易であり、懸濁された沈殿物がないのでカートリッジ内にボールが必要でない。
分配係数により推定されるインスリンヘキサマーの集合体のみかけの溶出体積、KAVは、グルコース濃度が0から20 mMまたは100 mMに増大すると、Bio-Gel P300 (BIO-RAD)を用いてゲル濾過で測定されるように、より高い値に変化する。この実験において集合の状態に対するグルコースの最適な効果を達成するためには、塩化ナトリウムの濃度を低下させて、アルドラーゼのサイズ(すなわち0.10のKAV値)あたりの集合体を得るべきである。
多くの天然のインスリンについてヘキサマーユニットが存在することが知られている条件下で、インスリン誘導体について集合した形態を観察することができる。よって、好ましい態様において、集合した形態は、ヘキサマーサブユニットから構成され、好ましくは少なくとも4個、より好ましくは5〜500個のヘキサマーサブユニットから構成される。本発明の化合物の集合した形態のヘキサマーサブユニットは、公知のR6、R3T3、またはT6構造の何れかとすることができ、T6が好ましい形態である(Kaarsholm, Biochemistry 28, 4427-4435, 1989)。
ヘキサマーユニットを安定化することが公知のZn2+等の物質は、幾つかのインスリン誘導体の集合した形態も安定化することが見られる。集合体を形成する構成単位(building blocks)は、X線結晶学で決定されたインスリンの構造から分かるヘキサマーユニットであり得る(Blundell, Diabetes 21 (Suppl.2), 492-505, 1972)。2または4 Zn2+/ヘキサマー複合体としてヘキサマーユニットを安定化することが公知である(Blundell, Diabetes 21 (Suppl.2), 492-505, 1972)Zn2+等のイオンは、ほとんどのインスリン類似体および誘導体が集合体を形成するのに必須である。したがって、本発明のグルコース依存性集合性インスリン誘導体の組成物は、モノマーインスリン誘導体6分子あたり、好ましくは少なくとも2つの亜鉛イオン、より好ましくは2〜5の亜鉛イオン、たとえば3または4の亜鉛イオン、更に好ましくは2.5〜3.5の亜鉛イオンを含む。更に、本組成物は、都合よくは、インスリン誘導体6分子あたり、少なくとも3分子のフェノール系化合物、たとえばフェノールまたはクレゾール、とりわけm−クレゾールを含む。2 Zn2+/ヘキサマー構造の中心の穴において、GluB13の6残基が、3つまでのCa2+イオンに対する結合部位を提供する(Sudmeier et al., Science 212, 560-562, 1981)。したがって、Ca2+イオンの添加は、ヘキサマーを安定化し、インスリン誘導体が溶解して残る場合、薬学的組成物に添加されてもよい。
約5 mMの正常な血液グルコース濃度を有する健康なヒト被検体に本発明のインスリン集合体を皮下注入した後の消失半減期は、ヒトインスリンNPH組成物の消失半減期と同じかそれより長い。
本発明の特定の一つの態様において、この集合体は、LysB29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインスリンより低度にアルブミンに結合するインスリン誘導体から構成される。
本発明の集合体のインスリン誘導体のリジン残基における置換基は、ボロネート部分およびポリオール部分を組込む基である。その後、ボロネート部分およびポリオール部分は、これらがインスリンモノマーにおいて内部で結合することを妨害するスキャホールドによって離されて維持される。しかし、ボロネート部分およびポリオール部分は、インスリン部分のそれぞれ自身のアミノ酸残基に連結してもよい。
一つの態様において、本発明のインスリン誘導体は、A鎖もしくはB鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介して、またはB3、B28、B29もしくはB30の位置にあるLys残基のε−アミノ基、またはB30の位置にあるOrn残基、Dap残基、Dab残基、Asp残基もしくはGlu残基を介して、インスリン部分に付着したアリールボロネート基(グルコースセンサー)を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、A鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B3の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B28の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B28の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B29の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるOrn残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDap残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDap残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDab残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるAsp残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるAsp残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるGlu残基を介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
別の態様において、本発明のインスリン誘導体は、リンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基(グルコースセンサー)を有する。この目的に適したリンカーの例は、γ−グルタミル、α−グルタミル、β−アスパルチル、α−アスパルチル、β−アラニン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、イミノ二酢酸、ピペラジンおよびアニリンである。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、γ−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、β−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、β−アラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、4−カルボキシフェニルアラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、4−カルボキシフェニルアラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、イミノ二酢酸であるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、ピペラジンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、ピペラジンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、アニリンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したアリールボロネート基を有する。
本発明の更なる態様において、グルコース感知アリールボロネート基は、インスリン部分のB26の位置にあるアミノ酸残基の一部である。
本発明の更なる態様において、グルコース感知アリールボロネート基は、インスリン部分のB26の位置にあるアミノ酸残基の一部である。
本発明の更なる態様において、グルコース感知基は、高分子量の集合体の形成を実現することが可能な置換基に組み立てられる。
本発明の更なる態様において、グルコース感知基は、近隣の分子におけるポリオール部分に結合することにより集合を引き起こす、アリールボロネートである。
本発明の更なる態様において、グルコース感知基は、近隣の分子におけるポリオール部分に結合することにより集合を引き起こす、アリールボロネートである。
本発明の更なる態様において、本発明のインスリン誘導体は、A鎖もしくはB鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介して、またはB3、B28、B29もしくはB30の位置にあるLys残基のε−アミノ基、またはB30の位置にあるOrn残基、Dap残基、Dab残基、Asp残基もしくはGlu残基を介して、インスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、A鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B鎖のN−末端アミノ酸残基のα−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B3の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B28の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B28の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B29の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるLys残基のε−アミノ基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるOrn残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDap残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDap残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるDab残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるAsp残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるAsp残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の別の特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、B30の位置にあるGlu残基を介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
更なる態様において、本発明のインスリン誘導体は、リンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。この目的に適したリンカーの例は、γ−グルタミル、α−グルタミル、β−アスパルチル、α−アスパルチル、β−アラニン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、イミノ二酢酸、ピペラジンおよびアニリンである。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、γ−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−グルタミルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、β−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、α−アスパルチルであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、β−アラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、4−カルボキシフェニルアラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、4−カルボキシフェニルアラニンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、イミノ二酢酸であるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、ピペラジンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、ピペラジンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
この態様の一つの特定の形態において、本発明のインスリン誘導体は、アニリンであるリンカーを介してインスリン部分に付着したポリオール部分を有する。
アリールボロネート部分およびポリオール部分の両方が、リンカーを介してインスリン部分に付着するとき、これらは同じリンカーに付着することができる。
グルコース感知ボロネート部分およびポリオール部分の両方が付着できる有効なスキャホールドまたはリンカーの例は、本実施例1〜4で使用されるγ−Gluリンカーである。
グルコース感知ボロネート部分およびポリオール部分の両方が付着できる有効なスキャホールドまたはリンカーの例は、本実施例1〜4で使用されるγ−Gluリンカーである。
更に本発明は、集合状態がグルコース濃度と逆の関係にある、集合体を形成することが可能な新規インスリン誘導体を提供する。これらインスリン誘導体は、薬学的組成物中に集合体の形態で提供されてもよいし、あるいは薬学的組成物中に、当該組成物を皮下注入した後に集合体が形成される非集合体の形態で提供されてもよい。
よって、更に本発明は、集合の程度がグルコース濃度と逆の関係にある、インスリン誘導体の集合体または皮下注入後に集合体を形成する非集合体のインスリン誘導体を含む薬学的組成物に関する。グルコース分子の作用による可溶性インスリンポリマー(すなわちインスリンヘキサマーの集合体)の可溶性インスリンヘキサマーへの解離は、以下の反応式により記載することができる:
ここで、nは、ポリマーインスリンネットワークを破壊して、ネットワークからインスリンヘキサマーを放出するのに必要なグルコース分子の数である。1より大きいnの利点は、図2から明らかであり、図2は、nが1から6に増加すると、ポリマーである結合したインスリンヘキサマーに対する遊離のインスリンヘキサマーの割合に関する曲線の勾配が増大することを示す。したがって、単一の結合だけが関与するメカニズムよりも、インスリンヘキサマーの間の複合的相互作用により、高いグルコース濃度でのインスリンの迅速な放出、および低いグルコース濃度での遅い放出が可能である。
好ましくは、本発明による薬学的組成物は、インスリンヘキサマーの集合体を含み、当該集合体の実質的なフラクションは、溶出液として当該組成物の媒質を用いてゲル濾過により測定すると、アルドラーゼの分子量より大きい分子量を有する。
本発明に従った一つの態様において、組成物中に含有されるグルコース感知性インスリンの少なくとも50重量%がヘキサマーの集合体の形態で存在するインスリンの薬学的組成物が提供される。
本発明の別の態様において、本発明の集合性インスリン誘導体(すなわち遅延性プロファイルの作用を有するインスリン誘導体)および即効作用性インスリン類似体の両方を含む薬学的組成物が提供され、後者は、好ましくは、ヒトインスリンであるか、またはインスリン類似体AspB28ヒトインスリン、LysB28 ProB29ヒトインスリン、LysB3 GluB29ヒトインスリン、GlyA21 LysB3 GluB29ヒトインスリン、AspA21 LysB3 GluB29ヒトインスリン、GlyA21 LysB3 IleB28ヒトインスリン、AspA21 LysB3 IleB28ヒトインスリンまたはdes(B30)ヒトインスリンの一つである。かかる組成物は、迅速な作用の開始および長期プロファイルの作用の両方を提供し、後者は、糖尿病患者の血中グルコース濃度によって影響を受ける。2つのインスリンの混合物が混合型ヘキサマーを形成する場合、両インスリンは血中グルコース濃度の影響下にある。この態様において、薬学的組成物は、好ましくは、集合性インスリンおよび即効作用性インスリンを90:10〜10:90のモル比で含む。
集合性インスリン誘導体の遅い解離は、薬学的組成物の粘度を増大させる生理学的に許容される薬剤の添加によりインビボで更に遅くなる。したがって、本発明の薬学的組成物は、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、その共重合体、デキストランおよび/またはポリラクチドを含む群から選択される、粘度を増大させる薬剤を更に含んでいてもよい。
本発明の更に別の態様において、グルコース感知基およびポリオール部分を有するインスリン誘導体は、結晶を形成するためのプロタミンを用いて結晶性NPH組成物として調製されるか、または結晶中でZn2+イオンを用いて結晶性レンテ(Lente)組成物として調製される。これらの場合において、結晶の溶解速度は、グルコースとグルコース感知基との間の相互作用により高められる。
更に別の態様において、遅延性インスリン組成物は、溶液を注入した際に生理的pHへとpH値が上昇したためにインスリン類似体が沈殿するような生理的pH未満のpH値を有する溶液である。かかる類似体は、EP 0 254 516 B1(Novo Nordisk)およびEP 0 368 187 B1(Hoechst)に記載される。これら類似体は、注入される溶液中において、実際に有効な程度に低いpH値で安定であるアミノ酸残基をA21の位置に有する。A21の位置における適切なアミノ酸残基の例は、グリシン、セリンまたはアラニンである。また、インスリンは、分子のネット電荷をたとえば約2だけ増大させる突然変異を有する。B27の位置におけるThrは、Argと置換することができ、B30の位置におけるThr-OHは、Thr-NH2と置換するか、または追加の塩基性残基、たとえばB31-B32 Arg-Argを有することができる。この原理を、これらインスリン類似体にグルコースセンサーおよびポリオール部分を組込むことにより本発明と組み合わせると、グルコースとグルコース感知基との間の相互作用により結晶の溶解度が高まり、吸収が促進される。
グルコースセンサーおよびポリオール部分の付着を可能にする部位は、グリシンA1およびフェニルアラニンB1のN−末端アミノ基およびリジンB29のε−アミノ基である。ヒトインスリンの類似体において、一以上の追加または代わりのリジン残基は、この目的のために、たとえばB3またはB28の位置に組込まれてもよい。更に、グルコースセンサーは、ペプチド鎖の一部として、好ましくはB鎖のC末端部分に組込まれてもよい。
薬学的組成物
本発明のインスリン誘導体を含有する薬学的組成物は、バッファー物質、たとえばリン酸ナトリウム等のリン酸塩、グリシンまたはグリシルグリシンバッファー、等浸透圧性薬剤、たとえば塩化ナトリウム、ジメチルスルホンまたはグリセロール、並びに保存剤としてのフェノールおよび/またはm−クレゾールを更に含んでいてもよい。任意に、マンニトールおよびソルビトールを添加することができ、その結果生じるグルコースセンサーとの相互作用は、安定性および組成物の放出プロファイルを調整するために利用することができる。本発明の薬学的組成物の補助的物質のうち、等張薬剤として使用される塩化ナトリウム、ヘキサマーの形成を促進し安定化させる亜鉛イオンおよび必要に応じてカルシウムイオンは、組成物中でインスリン誘導体の集合を容易にし、これにより注入部位からの消失時間を効果的に延長するため、特に重要である。本発明の薬学的組成物は、好ましくは塩化物イオンを5〜150 mMの濃度で含む。
本発明のインスリン誘導体を含有する薬学的組成物は、バッファー物質、たとえばリン酸ナトリウム等のリン酸塩、グリシンまたはグリシルグリシンバッファー、等浸透圧性薬剤、たとえば塩化ナトリウム、ジメチルスルホンまたはグリセロール、並びに保存剤としてのフェノールおよび/またはm−クレゾールを更に含んでいてもよい。任意に、マンニトールおよびソルビトールを添加することができ、その結果生じるグルコースセンサーとの相互作用は、安定性および組成物の放出プロファイルを調整するために利用することができる。本発明の薬学的組成物の補助的物質のうち、等張薬剤として使用される塩化ナトリウム、ヘキサマーの形成を促進し安定化させる亜鉛イオンおよび必要に応じてカルシウムイオンは、組成物中でインスリン誘導体の集合を容易にし、これにより注入部位からの消失時間を効果的に延長するため、特に重要である。本発明の薬学的組成物は、好ましくは塩化物イオンを5〜150 mMの濃度で含む。
薬学的組成物において、本発明のグルコース感知性インスリンの濃度は、一般に0.1〜15 mMの範囲であり、たとえば0.1〜2 mMである。組成物中に含有される亜鉛の濃度は、インスリン誘導体に対して0.3〜0.9%である。フェノールまたはm−クレゾール等のフェノール性化合物またはその混合物は、5〜50 mMの全濃度で、塩化物イオンは、10 mM〜120 mMの濃度で適切に適用される。
更に本発明は、かかる治療を必要とするヒトに対して、本発明のインスリン誘導体の水溶性集合体の効果的な量、または皮下注入によりグルコース濃度に依存した集合体サイズの水溶性集合体を形成することができる本発明のインスリン誘導体の効果的な量を投与することを含む、真性糖尿病を治療する方法に関する。
任意の患者に対する最適な用量レベルは、使用する特定のヒトインスリン誘導体の薬効、年齢、体重、身体的活性、および患者の食事などの種々の因子、他の薬剤との可能な組み合わせ、並びに糖尿病の症例の重症度に依存する。本発明のヒトインスリン誘導体の一日の投与量は、公知のインスリン組成物に関するのと同様の方法で、当業者により個々の患者ごとに決定されることが推奨される。
グルコース感知性インスリンを調製する際に使用されるグルコースセンサーおよびポリオールの構成単位(building blocks)は、ここに含まれる実施例に記載されるとおり調製することができる。本発明のインスリン誘導体は、WO 95/07931(Novo Nordisk A/S)、WO 96/00107(Novo Nordisk A/S)、WO 97/31022(Novo Nordisk A/S)、WO 98/02460(Novo Nordisk A/S)、EP 511 600(Kuraray Co. Ltd.)およびEP 712 862(Eli Lilly)に開示される一般的な方法により調製することができる。
インスリンレセプター結合の決定
本発明のインスリン誘導体のインスリン活性は、インスリンレセプター調製物への結合により実証することができる。シンチプレート(Scintiplates (Wallac))を、ヤギ抗マウスIgGでコートし、インスリンレセプター抗体を添加し、次いで可溶性ヒトインスリンレセプターを添加する。本発明のインスリンのインスリンレセプターへの結合は、125I−TyrA14ヒトインスリンとの競合およびシンチレーションカウンティングにより測定する。本発明の例についての結果を表1に示す。
本発明のインスリン誘導体のインスリン活性は、インスリンレセプター調製物への結合により実証することができる。シンチプレート(Scintiplates (Wallac))を、ヤギ抗マウスIgGでコートし、インスリンレセプター抗体を添加し、次いで可溶性ヒトインスリンレセプターを添加する。本発明のインスリンのインスリンレセプターへの結合は、125I−TyrA14ヒトインスリンとの競合およびシンチレーションカウンティングにより測定する。本発明の例についての結果を表1に示す。
集合体形成の決定
本発明のインスリンの集合形態は、アルドラーゼと同等かそれ以上の排除限界のゲルを用いたゲル濾過により実証される。このゲル濾過では、中性pHにおける水性バッファーシステムが使用され、インスリン誘導体は、600 nmolインスリン/mLの濃度で薬学的組成物の形態でカラムに適用される。集合した状態のインスリン誘導体は、158 kDaの分子量を有するアルドラーゼと一緒か、またはそれより前に溶出する。
本発明のインスリンの集合形態は、アルドラーゼと同等かそれ以上の排除限界のゲルを用いたゲル濾過により実証される。このゲル濾過では、中性pHにおける水性バッファーシステムが使用され、インスリン誘導体は、600 nmolインスリン/mLの濃度で薬学的組成物の形態でカラムに適用される。集合した状態のインスリン誘導体は、158 kDaの分子量を有するアルドラーゼと一緒か、またはそれより前に溶出する。
ゲル濾過の溶出体積は、以下の式で定義される分配係数、KAVにより記載することができる:
KAV=(VR−V0)/(Vt−V0)
ここでVRは保持体積、V0は空隙体積、Vtはベッドの総体積である。V0はブルーデキストラン溶出体積として得られ、Vtはカラムの大きさを測定し体積を計算することにより得られる。
KAV=(VR−V0)/(Vt−V0)
ここでVRは保持体積、V0は空隙体積、Vtはベッドの総体積である。V0はブルーデキストラン溶出体積として得られ、Vtはカラムの大きさを測定し体積を計算することにより得られる。
このセクションで記述される条件を使用したゲル濾過実験は、直接的な物理化学的方法であり、これは、本発明のインスリン誘導体の集合体形成特性を実証するために使用することができる。インスリン誘導体が皮下注入後に注入部位から消失する速度は、ポリマー形成、グルコース濃度、インスリン誘導体のアルブミン結合特性、加えて種々の生物学的因子の組み合わせの影響を反映する。消失速度の便利な尺度は、消失半減期、T50%であり、これはたとえばブタで測定することができる。T50%は、外部γカウンターを用いて測定される、A14 Tyr(125I)類似体の50%が、注入部位から消失する時間である(Ribel, U et al., The Pig as a Model for Subcutaneous Absorption in Man. In: M. Serrano-Rios and P.J. Lefebre (Eds): Diabetes 1985; Proceedings of the 12th Congress of the International Diabetes Federation, Madrid, Spain, 1985 (Excerpta Medica, Amsterdam, (1986) 891-96))。
グルコース依存性、高分子量、可溶性集合体の形成は、ポリアクリルアミドゲルのカラムBio-Gel P300 (BIO-RAD) を用いた、20〜140 mM塩化ナトリウム、pH 7.4以上の5 mMリン酸ナトリウム、0から20 mM以上まで(たとえば0から100 mMまで)濃度を変化させたグルコースを含む中性の水性溶出剤でのゲル濾過により実証されてもよい。カラム体積の後に一部を溶出するインスリン誘導体のために、ゲル濾過は、低い塩化ナトリウム濃度で行ってもよい。記載されるバッファーシステムは、インビボでの哺乳類組織における状況をまねるように選択され、その結果、皮下注入後の状況に類似した状況下において誘導体が集合の状態を変化させるのを検出することができる。他のバッファーシステムにおいて、塩化ナトリウムの濃度を減少させるか、またはアルドラーゼの分子量に近い分子量を有する集合体を得るように正確にpH値を増大させると、グルコースの影響を観察する可能性が高くなる。
集合のためのゲル濾過アッセイ:10×1 cmカラムで使用可能で、低いデッド体積の空のカラムHR 10/10(Amersham Pharmacia Biotech code 19-7402-01)を、指示マニュアル(BIO-RAD)に従ってBio-Gel P-300(BIO-RAD)で充填し、4.5 cm/h(0.06 mL/分)の線流れで37℃で溶出した。約10 cmの実際のカラム長さは、全ベッド体積を計算するために測定した。広い分子量範囲の分離のために使用可能な7.9 mLゲル濾過カラム、Bio-Gel 300 (BIORAD) は、塩化ナトリウム100 mM、リン酸ナトリウム5 mMにより37℃で溶出し、アジ化ナトリウム0.01%で保存し、塩酸をpH 7.4まで添加した。ラン時間は240分であり、注入体積は100μLであった。カラム体積の後に一部を溶出するインスリン誘導体のために、低い塩化ナトリウム濃度でゲル濾過を繰り返した。集合の状態に対するグルコースの解離効果は、20 mM以上のグルコースを含有させ、必要によりpHを8.0に増大させることにより試験した。
集合の状態を研究するための代わりの方法は、光散乱、浸透圧測定および超遠心である。
化学基および商業的に入手可能な化学薬品に関して使用される頭字語:
Boc tert-ブトキシカルボニル
Bzl ベンジル
Dab ジアミノ酪酸
Dap ジアミノプロピオン酸
DCC N, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIEA N, N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N, N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Glu グルタミン酸
HATU 7-アザベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロホスフェート
HOSu N-ヒドロキシスクシンイミド
TBTU ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-テトラメチルウロニウム
テトラフルオロボレート
TEA トリエタノールアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
Boc tert-ブトキシカルボニル
Bzl ベンジル
Dab ジアミノ酪酸
Dap ジアミノプロピオン酸
DCC N, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIEA N, N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N, N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Glu グルタミン酸
HATU 7-アザベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロホスフェート
HOSu N-ヒドロキシスクシンイミド
TBTU ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-テトラメチルウロニウム
テトラフルオロボレート
TEA トリエタノールアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
略語:
ESMS: エレクトロスプレー質量分析法
HPLC: 高性能液体クロマトグラフィー
LCMS: 液体クロマトグラフィー質量分析法
MALDI-MS: マトリクス・アシステッド・レーザー・デソルプション・イオナイゼーション質量分析法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionisation Mass Spectrometry)
Mw: 分子量
ESMS: エレクトロスプレー質量分析法
HPLC: 高性能液体クロマトグラフィー
LCMS: 液体クロマトグラフィー質量分析法
MALDI-MS: マトリクス・アシステッド・レーザー・デソルプション・イオナイゼーション質量分析法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionisation Mass Spectrometry)
Mw: 分子量
例1
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-D-グルカミド, N α -(4-ボロノ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン, 9
例1の標題化合物は、以下の一連の反応により調製した:
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-D-グルカミド, N α -(4-ボロノ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン, 9
例1の標題化合物は、以下の一連の反応により調製した:
スクシンイミジル 4-ピナコールボロノ-ベンゾエート 1 (ステップ6→7で使用)
酢酸エチル (75 ml) 中の4-ピナコールボロノ-安息香酸 (4.96 g, 20.0 mmol, Sigma-Aldrich) を氷浴中で冷却し、DCC (4.33 g, 21.0 mmol) およびHOSu (2.3 g, 20.0 mmol) で処理し、一晩室温に置いた。生成したジシクロヘキシルウレアを濾過により除去し、溶媒を真空中で除去した。活性なエステルをアセトン−ヘキサンから再結晶化し、1を得た (5.7 g, 83 %)。
酢酸エチル (75 ml) 中の4-ピナコールボロノ-安息香酸 (4.96 g, 20.0 mmol, Sigma-Aldrich) を氷浴中で冷却し、DCC (4.33 g, 21.0 mmol) およびHOSu (2.3 g, 20.0 mmol) で処理し、一晩室温に置いた。生成したジシクロヘキシルウレアを濾過により除去し、溶媒を真空中で除去した。活性なエステルをアセトン−ヘキサンから再結晶化し、1を得た (5.7 g, 83 %)。
1H-NMR (CDCl3): 8.11 (d, 2H, ArH), 7.93 (d, 2H, ArH), 2.92 (s, 4H, CH2CO), 1.38 (s, 12H, ピナコレート)。
N-Boc-D-グルカミン 2
MeOH-水 (160 ml, 1:1) 中のD-グルカミン (6.67 g, 35.0 mmol, Fluka) を、Boc無水物 (10.8 g, 48.0 mmol) で処理し、得られた懸濁液を3時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、最小限必要な量のMeOH中に溶解した。過剰のイソプロパノール添加し、その溶液を一晩冷蔵庫に置いた。濾過により結晶を採集し、50℃の真空中で乾燥させ、9.26 g (94 %) のN-Boc-D-グルカミン 2を得た、mp 81-83℃ (litt. 72-73℃, Kilonda et al. Tetrahedron 2000, 56, 1005)。
MeOH-水 (160 ml, 1:1) 中のD-グルカミン (6.67 g, 35.0 mmol, Fluka) を、Boc無水物 (10.8 g, 48.0 mmol) で処理し、得られた懸濁液を3時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、最小限必要な量のMeOH中に溶解した。過剰のイソプロパノール添加し、その溶液を一晩冷蔵庫に置いた。濾過により結晶を採集し、50℃の真空中で乾燥させ、9.26 g (94 %) のN-Boc-D-グルカミン 2を得た、mp 81-83℃ (litt. 72-73℃, Kilonda et al. Tetrahedron 2000, 56, 1005)。
1H-NMR (DMSO-d6): 6.45 (bt, 1H, NH), 4.63 (d, 1H, OH), 4.24 (d, 1H, OH), 4.33 (t, 1H, OH), 4.30 (t, 1H, OH), 4.18 (d, 1H, OH), 3.55 (m, 3H, CHO), 3.45 (m, 1H, CHO), 3.38 (m, 2H, CHO), 3.10 (m, 1H, CHN), 2.91 (m, 1H, CHN), 1.36 (s, 9H, CH3)。
O-ペンタアセチル, N-Boc-D-グルカミン 3
N-Boc-D-グルカミン2 (5.0 g, 17.5 mmol) を、無水酢酸およびピリジン (100 ml) の混合物 (1: 1) により、一晩室温で処理した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、3 M HClで3回、5% NaHCO3、水および食塩水で2回洗浄した。その溶液を乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、O-ペンタアセチル, N-Boc-D-グルカミンを得、これを冷蔵庫で保存してゆっくり結晶化させた (定量的)。
N-Boc-D-グルカミン2 (5.0 g, 17.5 mmol) を、無水酢酸およびピリジン (100 ml) の混合物 (1: 1) により、一晩室温で処理した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、3 M HClで3回、5% NaHCO3、水および食塩水で2回洗浄した。その溶液を乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、O-ペンタアセチル, N-Boc-D-グルカミンを得、これを冷蔵庫で保存してゆっくり結晶化させた (定量的)。
1H-NMR (CDCl3): 5.55 (m, 1H, NH), 5.36 (m, 1H, CHO), 5.06 (m, 2H, CHO), 4.77 (m, 1H, CHO), 4.26 (dd, 1H, C(6)HO), 4.13 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.49 (dd, 1H, C(1)HN), 3.25 (dd, 1H, C(1)HN), 2.13 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 6H, 2xCH3CO), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO), 1.44 (s, 9H, tBu)。
O-ペンタアセチル-D-グルカミン, トリフルオロアセテート 4
Boc-誘導体 3 (6.1 g, 12.4 mmol) を、TFAで1時間処理し、冷却エーテルの添加により生成物4を沈殿させた、4.87 g (78 %)。
Boc-誘導体 3 (6.1 g, 12.4 mmol) を、TFAで1時間処理し、冷却エーテルの添加により生成物4を沈殿させた、4.87 g (78 %)。
1H-NMR (DMSO-d6): 5.39 (m, 1H, CHO), 5.33 (m, 1H, CHO), 5.30 (m, 1H, CHO), 5.08 (m, 1H, CHO), 4.28 (dd, 1H, C(6)HO), 4.12 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.33 (dd, 1H, C(1)HN), 3.12 (dd, 1H, C(1)HN), 2.12 (s, 6H, 2xCH3CO), 2.10 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.05 (s, 3H, CH3CO)。
Boc-Glu( t Bu)-D-グルカミド(O-ペンタアセチル) 5
DCM (30 ml) 中のBoc-Glu(tBu)-OH (1.21 g, 4.0 mmol, Bachem) を、HATU (1.52 g, 4.0 mmol) およびDIEA (1.4 ml, 8.0 mmol) で処理した。グルカミン−誘導体 4 (2.02 g, 4.0 mmol) をDCM (20 ml) 中に溶解し、上記混合物に15分間にわたって滴下した。追加のDIEAをpH 8 (1.0 ml) まで添加した。溶媒を真空中で除去し、酢酸エチルで置換し、これを0.5 M HClで2回、5% NaHCO3、水および食塩水で2回洗浄した。溶媒を乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、Boc-Glu(tBu)-D-グルカミド(O-ペンタアセチル) 5を2.53 g (93 %) 得た。
DCM (30 ml) 中のBoc-Glu(tBu)-OH (1.21 g, 4.0 mmol, Bachem) を、HATU (1.52 g, 4.0 mmol) およびDIEA (1.4 ml, 8.0 mmol) で処理した。グルカミン−誘導体 4 (2.02 g, 4.0 mmol) をDCM (20 ml) 中に溶解し、上記混合物に15分間にわたって滴下した。追加のDIEAをpH 8 (1.0 ml) まで添加した。溶媒を真空中で除去し、酢酸エチルで置換し、これを0.5 M HClで2回、5% NaHCO3、水および食塩水で2回洗浄した。溶媒を乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、Boc-Glu(tBu)-D-グルカミド(O-ペンタアセチル) 5を2.53 g (93 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): 6.64 (bd, 1H, NH), 5.48 (m, 1H, CHO), 5.30 (m, 1H, CHO), 5.13 (m, 1H, CHO), 5.05 (m, 1H, CHO), 4.26 (dd, 1H, C(6)HO), 4.11 (m, 2H, C(6)'HO + α-CH), 3.48 (m, 2H, CH2N), 2.39 (m, 1H, β-CH), 2.26 (m, 1H, b-CH'), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 9H, 3xCH3CO), 2.05 (s, 3H, CH3CO), 1.85 (m, 1H, γ-CH), 1.70 (m, 1H, γ-CH'), 1.45 (s, 9H, tBu), 1.44 (s, 9H, tBu)。
Glu-D-グルカミド (ペンタアセチル), トリフルオロアセテート 6
グルカミド−誘導体 5 (2.47 g, 3.6 mmol) を、TFA (15 ml) により室温で2.5時間処理した。TFAを蒸発させ、DCM中に溶解し、冷却エーテルに滴下して、吸湿性の6を1.87 g (82 %) 得た。
グルカミド−誘導体 5 (2.47 g, 3.6 mmol) を、TFA (15 ml) により室温で2.5時間処理した。TFAを蒸発させ、DCM中に溶解し、冷却エーテルに滴下して、吸湿性の6を1.87 g (82 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): 8.24 (bt, 1H, NH), 5.44 (t, 1H, CHO), 5.33 (t, 1H, CHO), 5.18 (dd, 1H, CHO), 5.06 (m, 1H, CHO), 4.33 (dd, 1H, C(6)HO), 4.24 (t, 1H, α-CH), 4.07 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.58 (m, 2H, CH2N), 2.58 (m, 2H, β-CH), 2.13-2.04 (m, 2H, γ-CH2), 2.13 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 9H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO)。
N α -(4-ピナコールボロノベンゾイル)-Glu-D-グルカミド(ペンタアセチル) 7
グルカミド−誘導体 6 (333 mg, 0.52 mmol) を、DCM (3 ml) 中で、活性なエステル 1 (163 mg, 0.47 mmol) およびDIEA (0.27 ml, 1.56 mmol) により氷冷下において処理し、室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、これを0.1 M HCl、水および食塩水で洗浄した。その溶液を乾燥させ (MgS04)、蒸発させて、7を278 mg (63 %) 得た。
グルカミド−誘導体 6 (333 mg, 0.52 mmol) を、DCM (3 ml) 中で、活性なエステル 1 (163 mg, 0.47 mmol) およびDIEA (0.27 ml, 1.56 mmol) により氷冷下において処理し、室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、これを0.1 M HCl、水および食塩水で洗浄した。その溶液を乾燥させ (MgS04)、蒸発させて、7を278 mg (63 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): 7.84 (d, 2H, ArH), 7.78 (d, 2H, ArH), 7.44 (d, 1H, NH), 7.41 (t, 1H, NH), 5.47 (dd, 1H, CHO), 5.33 (dd, 1H, CHO), 5.18 (dd, 1H, CHO), 5.05 (m, 1H, CHO), 4.77 (dd, 1H, C(6)HO), 4.29 (dd, 1H, C(6)'HO), 4.11 (m, 1H, α-CH), 3.55 (m, 1H, CHN), 3.45 (m, 1H, CH'N), 2.59 (m, 1H, β-CH), 2.48 (m, 1H, β-CH'), 2.22 (m, 1H, γ-CH), 2.13 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 9H, CH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.99 (s, 3H, CH3CO), 1.36 (s, 12H, ピナコレート)。
N α -(4-ピナコールボロノベンゾイル)-Glu(OSu)-D-グルカミド(ペンタアセチル) 8
DCM (3 ml) 中のカルボン酸7 (193 mg, 0.26 mmol) を氷浴で冷却し、DCC (54 mg, 0.26 mmol) およびHOSu (30 mg, 0.26 mmol) で処理し、一晩室温に置いた。濾過し、溶媒を蒸発させて、8を得た (217 mg, 98 %)。
DCM (3 ml) 中のカルボン酸7 (193 mg, 0.26 mmol) を氷浴で冷却し、DCC (54 mg, 0.26 mmol) およびHOSu (30 mg, 0.26 mmol) で処理し、一晩室温に置いた。濾過し、溶媒を蒸発させて、8を得た (217 mg, 98 %)。
1 H-NMR (CDCl3): 7.85 (d, 2H, ArH), 7.79 (d, 2H, ArH), 7.07 (d, 1H, NH), 6.92 (t, 1H, NH), 5.46 (dd, 1H, CHO), 5.29 (dd, 1H, CHO), 5.14 (m, 1H, CHO), 5.04 (m, 1H, CHO), 4.75 (dd, 1H, C(6)HO), 4.26 (dd, 1H, C(6)'HO), 4.10 (m, 1H, α-CH), 3.51 (m, 2H, CHN), 2.81 (s, 4H, CH2CO), 2.37 (m, 1H, β-CH), 2.22 (m, 1H, β-CH'), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 9H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO), 2.00 (s, 3H, CH3CO), 1.92 (m, 2H, γ-CH), 1.36 (s, 12H, ピナコレート)。
50 mM Na2CO3中のdes(B30) インスリン (224 mg, 39μmol)を、1 M NaOHの滴下によりpH 10.2に調整した。活性なエステル 8 (40 mg, 47μmol) をアセトニトリル (5 ml) 中に溶解した。その溶液を混合し、反応を逆相HPLCによりモニターした。1 Mおよび0.1 M HClを用いてpHを5.5に調整し、次いで冷却することにより、粗生成物を沈殿させた。中間生成物のインスリンO-ペンタアセテートを、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離し; 氷冷水 (0.2 ml)、次いで2 M NaOH (0.8 ml)での20分間の処理により鹸化した。1 M HClの滴下によりpH 5.5に調整し、次いで冷却することにより、脱保護されたインスリン−誘導体9を沈殿させた。遠心分離し、水で洗浄し、Pharmacia NAP-5カラムで脱塩することにより、最終生成物を単離した;
LCMS 6148 (MH+), 6130 (MH+-H20), 6112 (MH+-2H20), C271H401BN66O85S6 は、6147必要とする。
LCMS 6148 (MH+), 6130 (MH+-H20), 6112 (MH+-2H20), C271H401BN66O85S6 は、6147必要とする。
例2
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-D-グルカミド, N α -(3-ボロノ-5-ニトロ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン 10
3-ボロノ-5-ニトロ-安息香酸 (CombiBlocks, San Diego, USA) から出発して、9と同様に10を調製し、構成単位 10aを得た。
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-D-グルカミド, N α -(3-ボロノ-5-ニトロ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン 10
3-ボロノ-5-ニトロ-安息香酸 (CombiBlocks, San Diego, USA) から出発して、9と同様に10を調製し、構成単位 10aを得た。
1H NMR (CDCl3): δ8.75 (s, 1H, ArH), 8.74 (s, 1H, ArH), 8.51 (s, 1H, ArH), 6.90 (t, 1H, NH), 5.46 (m, 1H, CHO), 5.29 (m, 1H, CHO), 5.13 (, 1H, CHO), 5.05 (m, 1H, CHO), 4.79 (s, 1H, αH), 4.29 (dd, 1H, C(6)HO), 4.10 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.52 (m, 2H, CH2N), 2.90 (m, 1H, γH), 2.86 (s, 4H, CH2CH2), 2.77 (m, 1H, γH'), 2.39 (m, 1H, βH), 2.28 (m, 1H, βH'), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 6H, 2xCH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.37 (s, 12H, ピナコール)。
中間生成物のインスリンO-ペンタアセテートを、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離し、氷冷水 (0.2 ml)、次いで2 M NaOH (0.8 ml) での20分間の処理により鹸化した。1 M HClの滴下によりpH 5.5に調整し、次いで冷却することにより、脱保護したインスリン−誘導体10を沈殿させた。遠心分離し、水で洗浄し、Pharmacia NAP-5カラムで脱塩することにより、最終生成物を単離した;
LCMS 6193 (MH+), 6175 (MH+-H2O), 6157 (MH+-2H2O), C271H400BN67O87S6 は、6192必要とする。
LCMS 6193 (MH+), 6175 (MH+-H2O), 6157 (MH+-2H2O), C271H400BN67O87S6 は、6192必要とする。
例3
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミド), N α -(4-ボロノ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン 12
トリス(アセチルオキシメチル)アミノメタン塩酸塩 11から出発して、9と同様に12を調製した。
Lys B29 (N ε -(γ-L-グルタミル-α-(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミド), N α -(4-ボロノ-ベンゾイル)) des(B30) ヒトインスリン 12
トリス(アセチルオキシメチル)アミノメタン塩酸塩 11から出発して、9と同様に12を調製した。
トリス(アセチルオキシメチル)アミノメタン塩酸塩 11
無水酢酸 (222 ml, 2.35 mol) および酢酸 (305 ml, 5.3 mol) の混合液中においてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩 (100 g, 0.64 mol) を、100℃で一晩加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣をエーテルで3回洗浄した。その物質の一部を、エタノール−エーテルから再結晶化させて、11を41 g (23 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): 9.11 (bs, 3H, NH), 4.39 (s, 6H, CH20), 2.18 (s, 9H, CH3CO)。
無水酢酸 (222 ml, 2.35 mol) および酢酸 (305 ml, 5.3 mol) の混合液中においてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩 (100 g, 0.64 mol) を、100℃で一晩加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣をエーテルで3回洗浄した。その物質の一部を、エタノール−エーテルから再結晶化させて、11を41 g (23 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): 9.11 (bs, 3H, NH), 4.39 (s, 6H, CH20), 2.18 (s, 9H, CH3CO)。
インスリン誘導体12を、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離し、次いで上述のとおり鹸化し、脱塩した;
LCMS 6088 (MH+), 6070 (MH+-H20), 6052 (MH+-2H20), C269H397BN66O83S6 は、6087必要とする。
LCMS 6088 (MH+), 6070 (MH+-H20), 6052 (MH+-2H20), C269H397BN66O83S6 は、6087必要とする。
トリス−誘導体11から出発して、9と同様に13を調製した。
インスリン誘導体13を、調製用逆相 HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離し、次いで上述のとおり鹸化し、脱塩した;
LCMS 6133 (MH+), 6115 (MH+-H20), 6097 (MH+-2H2O), C269H396BN67O85S6 は、6132必要とする。
インスリン誘導体13を、調製用逆相 HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離し、次いで上述のとおり鹸化し、脱塩した;
LCMS 6133 (MH+), 6115 (MH+-H20), 6097 (MH+-2H2O), C269H396BN67O85S6 は、6132必要とする。
例5
Lys B29 (N ε -(アセチルイミノアセト-N-メチル-グルカミド), N-(4-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30) ヒトインスリン 14
リチウム 4-スルフィニル-フェニルボロン酸 N-メチル-ジエタノールアミンエステル 15
Lys B29 (N ε -(アセチルイミノアセト-N-メチル-グルカミド), N-(4-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30) ヒトインスリン 14
リチウム 4-スルフィニル-フェニルボロン酸 N-メチル-ジエタノールアミンエステル 15
THF (200 mL) 中の4-ブロモベンゼンボロン酸 N-メチルジエタノールアミンエステル (6.62 g, 23.4 mmol) の攪拌溶液に、ヘキサン中のn-BuLiの1.43 M溶液 (14.8 mL, 21.0 mmol) を−105℃で5分間にわたって滴下した。その混合物を−105℃で15分間攪拌した。気体の二酸化硫黄 (約7 g) を添加して、すぐに沈殿を引き起こし、内部温度を約40℃増大させた。その混合物を室温まで温め、1時間攪拌した。沈殿したリチウムスルフィナートを、N2 (g) 下で濾過により単離し、THF (100 mL) で洗浄し、真空中で乾燥させ、5.74 g (99 %) の標題化合物を固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ7.43 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 3.97-3.83 (m, 4H), 3.26-3.19 (m, 2H), 2.98-2.89 (m, 2H), 2.17 (s, 3H)。
THF (100 mL) 中の3-ブロモベンゼンボロン酸 N-メチルジエタノールアミンエステル (3.31 g, 11.7 mmol) の攪拌溶液に、ヘキサン中のn-BuLi (7.4 mL, 10.5 mmol) の1.43 M溶液を−78℃で3分間にわたって滴下した。その混合物を−78℃で15分間攪拌した。気体の二酸化硫黄 (約5 g) を添加して、すぐに沈殿を引き起こし、内部温度を約40℃増大させた。その混合物を室温まで温め、1時間攪拌した。沈殿したリチウムスルフィナートを、N2 (g) 下で濾過により単離し、THF (50 mL) で洗浄し、真空中で乾燥させ、2.81 g (97 %) の標題化合物を固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ7.66 (s, 1H), 7.39-7.32 (m, 2H), 7.17 (t, 1H), 3.97-3.84 (m, 4H), 3.27-3.21 (m, 2H), 2.97-2.89 (m, 2H), 2.18 (s, 3H)。
THF-水 (1:1, 100 ml) 中のイミノ二酢酸 (5.0 g, 37.6 mmol) を、15分間にわたって分割様式でNaHC03 (12.6 g, 150 mmol) により処理した。Boc無水物 (9.85, 45.1 mmol) を添加し、その混合物を室温で2日間攪拌した。THFを真空中で蒸発させることにより除去し、その水溶液をエーテル (2x) で洗浄し、氷浴で冷却しながら濃HClを用いてpH 1に酸性化し、AcOEt (3x) で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させ (Na2SO4)、真空中で蒸発させて、2.55 g (29 %) を得た。クルードなN-Boc-イミノ二酢酸 (2.0 g, 8.6 mmol) をAcOEt (100 ml) 中に溶解し、0℃に冷却し、トリエチルアミン (2.43 ml, 17.4 mmol) および粉末トリホスゲン (0.84 g, 2.83 mmol) で処理した。その懸濁液を冷却しながら15分間、室温で15分間攪拌した。その溶液を食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、17を1.53 g (83 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): δ4.42 (s, 4H, CH2N), 1.49 (s, 9H, But)。
1H-NMR (CDCl3): δ4.42 (s, 4H, CH2N), 1.49 (s, 9H, But)。
化合物 18を、O-ペンタアセチル-D-グルカミン、トリフルオロアセテート 4と同様に調製した。
1H-NMR (CDCl3): δ5.40 (m, 1H, CHO), 5.37 (m, 1H, CHO), 5.33 (m, 1H, CHO), 5.08 (m, 1H, CHO), 4.26 (dd, 1H, C(6)HO), 4.13 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.29 (dd, 1H, C(1)HN), 3.20 (dd, 1H, C(1)HN), 2.71 (s, 3H, NMe), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO)。
DCM (30 ml) 中の無水物 17 (1.53 g, 7.1 mmol) を、DIEA (1.22 ml, 14.2 mmol) により処理し、次いでDCM (40 ml) 中のアミン塩 18 (4.06 g, 7.8 mmol) を5分間にわたって滴下することにより処理した。その混合物を一晩攪拌し、溶媒を真空中で蒸発させた。残渣をAcOEt中に溶解し、0.5 M HClおよび水 (3x)、食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、3.59 g (81 %) を得た。粗生成物を氷で冷却し、TFA (20 ml) で2時間処理した。溶媒を蒸発させ、残渣をCHCl3中に溶解し、冷却エーテルに添加した。その沈殿を濾過により採集し、乾燥させて、19を2.94 g (82 %) 得た。
1H-NMR (CDCl3): δ7.86 (bs, 2H, NH), 5.39 (m, 1H, CHO), 5.33 (m, 1H, CHO), 5.30 (m, 1H, CHO), 5.02 (m, 1H, CHO), 4.33 (dd, 1H, C(6)HO), 4.09 (s, 2H, CH2N), 4.08 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.98 (s, 2H, CH2N), 3.72 (dd, 1H, C(1)HN), 3.40 (dd, 1H, C(1)HN), 2.97 (s, 3H, NMe), 2.12 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO)。
DCM (10 ml) 中のスルフィナート 15 (330 mg, 1.2 mmol) を、N-クロロ-スクシンイミド (160 mg, 1.2 mmol) で処理し、その混合物を1時間攪拌した。DIEA (544μl, 3.2 mmol) を添加し、次いでDCM (10 ml) 中のアミン塩 19 (840 mg, 1.32 mmol) を添加した。その混合物を一晩攪拌し、溶媒を蒸発させ、残渣をAcOEtで処理し、次いで0.1 M HClで処理しpH 2にした。その混合物を10分間攪拌し、水 (2x) で洗浄した。ピナコール (154 mg, 1.3 mmol) およびMgS04を添加した。30分後、その混合物を水 (2x) および食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、酸を551 mg (57 %) 得た。粗生成物をMeCN (5 ml) 中に溶解し、氷浴で冷却し、HOSu (79 mg, 0.68 mmol) およびDCC (141 mg, 0.68 mmol) で処理した。その混合物をRTで一晩攪拌し、濾過し、真空中で蒸発させて、20を500 mg (93 %) 得た。
1H NMR (CDCl3): δ7.91 (d, 2H, ArH), 7.83 (d, 1H, ArH), 5.40 (m, 1H, CHO), 5.28 (m, 2H, 2xCHO), 5.01 (m, 1H, CHO), 4.58 (s, 2H, CH2N), 4.28 (dd, 1H, C(6)HO), 4.22 (s, 2H, CH2N), 4.07 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.59 (dd, 1H, C(1)HN), 3.43 (dd, 1H, C(1)HN), 2.97 (s, 3H, NMe), 2.80 (s, 4H, CH2CH2), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.05 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.35 (s, 12H, ピナコール)。
Des(B30) ヒトインスリン (200 mg, 35μmol) を、100 mM Na2CO3 (2.5 ml)、pH 10.5中に溶解した。活性なエステル20 (37 mg, 42μmol) を、アセトニトリル (2.5 ml) 中に溶解した。これら溶液を混合し、反応を逆相HPLCによりモニターした。1 M HClの使用によりpH 5.5に調整し、次いで氷浴で冷却することにより、粗生成物を沈殿させた。中間の生成物のO-ペンタアセテートインスリンを、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離した;
LCMS 6380 (MH+), 6372 (MH+-H2O), 6354 (MH+-2H2O), C279H409BN66O91S7は、6379必要とする。氷冷水 (2 ml)、次いで0.2 M NaOH (8 ml) により氷浴上で20分間処理することにより、0-アセチル基を鹸化した。1 M HClの滴下によりpH 5.5に調整し、次いで冷却し、遠心分離し、水で3x洗浄することにより、粗生成物を沈殿させた。Pharmacia NAP-5カラムでの脱塩により、インスリン誘導体14を単離した;
LCMS 6184 (MH+), 6166 (MH+-H2O), 6148 (MH+-2H2O), C270H401BN66O86S7は、6183必要とする。
LCMS 6380 (MH+), 6372 (MH+-H2O), 6354 (MH+-2H2O), C279H409BN66O91S7は、6379必要とする。氷冷水 (2 ml)、次いで0.2 M NaOH (8 ml) により氷浴上で20分間処理することにより、0-アセチル基を鹸化した。1 M HClの滴下によりpH 5.5に調整し、次いで冷却し、遠心分離し、水で3x洗浄することにより、粗生成物を沈殿させた。Pharmacia NAP-5カラムでの脱塩により、インスリン誘導体14を単離した;
LCMS 6184 (MH+), 6166 (MH+-H2O), 6148 (MH+-2H2O), C270H401BN66O86S7は、6183必要とする。
例6
Lys B29 (N ε -(アセチルイミノアセト-N-メチル-グルカミド)、N-(3-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30) ヒトインスリン 21
スクシンイミジル N-(3-ピナコールボロノフェニルスルホニル)-イミノジアセテート、O-ペンタアセチル-N-メチル-D-グルカミド 22
Lys B29 (N ε -(アセチルイミノアセト-N-メチル-グルカミド)、N-(3-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30) ヒトインスリン 21
スクシンイミジル N-(3-ピナコールボロノフェニルスルホニル)-イミノジアセテート、O-ペンタアセチル-N-メチル-D-グルカミド 22
活性なエステル22は、スフィナート16から、20と同様に調製した。
1H-NMR (CDCl3) δ 8.25 (s, 1H, ArH), 7.97 (d, 1H, ArH), 7.92 (d, 1H, ArH), 7.50 (t, 1H, ArH), 5.39 (m, 1H, CHO), 5.29 (m, 2H, 2xCHO), 5.02 (m, 1H, CHO), 4.60 (s, 2H, CH2N), 4.29 (dd, 1H, C(6)HO), 4.24 (s, 2H, CH2N), 4.08 (dd, 1H, C(6)'HO), 3.59 (dd, 1H, C(1)HN), 3.43 (dd, 1H, C(1)HN), 3.00 (s, 3H, NMe), 2.80 (s, 4H, CH2CH2), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 6H, 2xCH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 2.00 (s, 3H, CH3CO), 1.36 (s, 12H, ピナコール)。
活性なエステル22から、14と同様に調製した;
LCMS 6184 (MH+), 6166 (MH+-H20), 6148 (MH+-2H20), C270H401BN66O86S7は、6183必要とする。
LCMS 6184 (MH+), 6166 (MH+-H20), 6148 (MH+-2H20), C270H401BN66O86S7は、6183必要とする。
例7
Lys B29 (N ε -(4-カルボキシフェニルアラニン-N-メチル-グルカミド)、N α -(4-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30)、ヒトインスリン 23
N-Boc-フェニルアラニン-4-(tert-ブチル-カルボキシレート)、O-ペンタアセチル-N-メチル-D-グルカミド 24
Lys B29 (N ε -(4-カルボキシフェニルアラニン-N-メチル-グルカミド)、N α -(4-ボロノ-フェニルスルホニル)) des(B30)、ヒトインスリン 23
N-Boc-フェニルアラニン-4-(tert-ブチル-カルボキシレート)、O-ペンタアセチル-N-メチル-D-グルカミド 24
DCM (15 ml) 中のN-Boc-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)アラニン ジシクロヘキシルアミン塩 (Bachem, Bubendorf, Switzerlandから入手)、(1.0 g, 1.83 mmol) を、TBTU (0.88 g, 2.74 mmol) およびDIEA (1.41 ml, 5.5 mmol) で処理した。DCM (15 ml) 中のグルカミン-誘導体 18 (1.56 g, 3.0 mmol) を添加し、その混合物を一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をAcOEt中に溶解し、0.1 M HCl (2x)、5% NaHCO3 (2x)、水および食塩水で洗浄し、その後乾燥させ (MgSO4)、蒸発させて24を1.43 g (100 %) を得た。
1H NMR (CDCl3): (δ7.89 (d, 2H, ArH), 7.24 (d, 2H, ArH), 5.47 (dd, 1H, CHO), 5.27 (m, 2H, 2xCHO), 5.04 (m, 1H, CHO), 4.79 (m, 1 H, αH), 4.29 (dd, 1H, C(6)HO), 4.10 (dd, 1H, C(6)HO), 3.56 (m, 2H, CH2N), 3.02 (m, 1H, βH), 2.97 (m, 1H, βH'), 2.85 (s, 3H, NMe), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 6H, CH3CO), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO), 2.02 (s, 3H, CH3CO), 1.58 (s, 9H, But), 1.38 (s, 9H, But)。
Boc-保護された24 (1.35 g, 1.80 mmol) をTFA (12 ml) 中に溶解し、2時間置いた。溶媒を蒸発させ、残渣をCHCl3中に溶解し、冷却ジエチルエーテルから沈殿させて、25を0.82 g (64 %) 得た。
1H NMR (CDCl3): δ7.78 (d, 2H, ArH), 7.34 (d, 2H, ArH), 5.42 (dd, 1H, CHO), 5.37 (m, 1H, CHO), 5.31 (m, 1H, CHO), 5.06 (m, 1H, CHO), 4.73 (m, 1H, αH), 4.29 (dd, 1H, C(6)HO), 4.06 (m, 3H, C(6)HO + CH2N), 3.25 (m, 1H, βH), 3.14 (m, 1H, βH'), 3.11 (s, 3H, NMe), 2.16 (s, 3H, CH3CO), 2.10 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO)。
THF (6 ml) 中のスルフィナート 15 (70 mg, 0.26 mmol) をN-クロロ-スクシンイミド (34 mg, 0.26 mmol) で処理し、その混合物を1時間攪拌した。DIEA (132μl, 0.78 mmol) を添加し、次いでDCM (2 ml) 中の化合物25 (200 mg, 0.28 mmol) を添加した。その混合物を一晩攪拌し、溶媒を蒸発させ、残渣をAcOEtで処理し、次いで0.1 M HClで処理しpH 2にした。その混合物を10分間攪拌し、水 (2x) で洗浄した。ピナコール (36 mg, 0.30 mmol) およびMgS04を添加した。30分後、その混合物を水 (2x) および食塩水で洗浄し、乾燥させ (MgS04)、真空中で蒸発させて、104 mg (47 %) を得た。クルードなカルボン酸をMeCN (2 ml) 中に溶解し、氷で冷却し、HOSu (14 mg, 0.12 mmol) およびDCC (24 mg, 0.12 mmol) で処理した。その混合物を一晩攪拌し、濾過し、真空中で蒸発させて、106 mg (92 %) 得た。
1H NMR (CDCl3): δ8.01 (d, 2H, ArH), 7.89 (d, 2H, ArH), 7.75 (d, 2H, ArH), 7.28 (d, 2H, ArH), 5.70 (d, 1H, NH), 5.37 (dd, 1H, CHO), 5.22 (m, 1H, CHO), 5.19 (m, 1H, CHO), 5.02 (m, 1H, CHO), 4.37 (m, 1H, αH), 4.28 (dd, 1H, C(6)HO), 4.08 (m, 1H, C(6)HO), 3.50 (m, 1H, CH2N), 3.00 (m, 2H, βH2), 2.89 (s, 4H, CH2CH2), 2.79 (s, 3H, NMe), 2.12 (s, 3H, CH3CO), 2.07 (s, 6H, 2xCH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 2.00 (s, 3H, CH3CO), 1.36 (s, 12H, ピナコール)。
Des(B30) ヒトインスリン (262 mg, 46μmol) を、100 mM Na2CO3 (2.9 ml)、pH 10.5中に溶解した。活性なエステル26 (53 mg, 55μmol) をアセトニトリル (2.9 ml) 中に溶解した。これら溶液を混合し、反応を逆相HPLCによりモニターした。1 M HClの使用によりpHを5.5に調整し、次いで冷却することにより、粗生成物を沈殿させた。中間生成物のO-ペンタアセテートインスリンを、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 % TFA) により単離した;
LCMS 6456 (MH+), 6438 (MH+-H20), 6420 (MH+-2H2O), C285H413BN66O91S7は、6455必要とする。
LCMS 6456 (MH+), 6438 (MH+-H20), 6420 (MH+-2H2O), C285H413BN66O91S7は、6455必要とする。
氷冷水 (2 ml)、次いで0.2 M NaOH (10 ml) により氷浴上で20分間処理することにより、0-アセチル基を鹸化した。1 M HClの滴下によりpH 5.5に調整し、次いで冷却し、遠心分離し、水 (3x) で洗浄することにより、粗生成物を沈殿させた。Pharmacia NAP-5での脱塩により、インスリン誘導体23を単離した;
LCMS 6260 (MH+), 6242 (MH+-H2O), 6224 (MH+-2H20), C276H405BN66O86S7は、6259必要とする。
LCMS 6260 (MH+), 6242 (MH+-H2O), 6224 (MH+-2H20), C276H405BN66O86S7は、6259必要とする。
スルフィナート16から、23と同様に調製した。
LCMS 6260 (MH+), 6242 (MH+-H2O),, 6224 (MH+-2H20), C276H405BN66O86S7は、6259必要とする。
LCMS 6260 (MH+), 6242 (MH+-H2O),, 6224 (MH+-2H20), C276H405BN66O86S7は、6259必要とする。
インスリン28は、B13Gln ヒトインスリンから、23と同様に調製した;
LCMS 6293 (MH+), 6275 (MH+-H2O), 6224 (MH+-2H2O), C275H408BN69O88S6は、6292必要とする。
LCMS 6293 (MH+), 6275 (MH+-H2O), 6224 (MH+-2H2O), C275H408BN69O88S6は、6292必要とする。
des(B30) ヒトインスリン (75 mg, 13μmol) を、1時間穏やかに振盪することによりDMSO (1.5 ml) に溶解した。TEA (18μl, 131μmol) を添加し、次いでリチウム スルフィナート15 (4 mg, 13μmol) を添加した。反応を逆相HPLCによりモニターした。水で希釈し、1 M HClの使用によりpH 5.5に調整し、次いで冷却することにより、粗生成物を沈殿させた。スルホニル化されたインスリンを、調製用逆相HPLC (C-4, 水/アセトニトリル/0.1 TFA) により単離した;
LCMS 5892 (MH+), 5874 (MH+-H2O), 5856 (MH+-2H2O), C259H381BN64O79S7は、5891必要とする。
LCMS 5892 (MH+), 5874 (MH+-H2O), 5856 (MH+-2H2O), C259H381BN64O79S7は、5891必要とする。
Claims (29)
- グルコース感知基およびポリオール部分を含むインスリン誘導体。
- 天然インスリンの誘導体である、請求項1に記載のインスリン誘導体。
- インスリン類似体の誘導体である、請求項1に記載のインスリン誘導体。
- 0.01μM〜10 mMの範囲のグルコースに対する親和性を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載のインスリン誘導体。
- 前記グルコース感知基が、アリールボロネート(aryl boronate)基である、請求項1〜4の何れか1項に記載のインスリン誘導体。
- 前記アリールボロネート基が、電子求引性置換基を有する、請求項5に記載のインスリン誘導体。
- 前記電子求引性置換基が、スルホン、カルボキシ、ニトロ、シアノおよびフルオロを含む群から選択される、請求項6に記載のインスリン誘導体。
- 2−アミノメチルアリールボロネートの形態で、ボロネート部分に近接してアミノ基を有する、請求項6に記載のインスリン誘導体。
- ホウ素原子から2.0オングストローム以内にアミノ基を有する、請求項6に記載のインスリン誘導体。
- 請求項5に記載のインスリン誘導体であって、前記アリールボロネート基が、A鎖もしくはB鎖のN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基を介して、またはB3、B28、B29もしくはB30の位置にあるLys残基のε−アミノ基、またはB30の位置にあるOrn残基、Dap残基、Dab残基、Asp残基もしくはGlu残基を介して、インスリン部分に付着している、インスリン誘導体。
- 前記アリールボロネート基が、リンカーを介してインスリン部分に付着している、請求項5に記載のインスリン誘導体。
- 前記リンカーが、γ−グルタミル、α−グルタミル、β−アスパルチル、α−アスパルチル、β−アラニン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、イミノ二酢酸、ピペラジンおよびアニリンからなる群より選択される、請求項12に記載のインスリン誘導体。
- 前記グルコース感知アリールボロネートが、インスリン部分のB26の位置においてアミノ酸残基の一部である、請求項5に記載のインスリン誘導体。
- 前記グルコース感知基が、高分子量の集合体の形成を行うことが可能な置換基に組み立てられる、請求項1〜14に記載のインスリン誘導体。
- 前記グルコース感知基が、アリールボロネートであり、ポリオール部分に結合することにより集合を引き起こす、請求項15に記載のインスリン誘導体。
- 前記ポリオール部分が、D型またはL型のグルカミンの誘導体、N−メチル−グルカミン、ガラクタミン、N−メチル−ガラクタミン、マンナミン、N−メチル−マンナミン、グルコン酸、ソルビトール、ガラクトール、マンニトール、キナ酸、シキミ酸、イノシトール、ピニトール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ペンタエリトリトールおよびそれらの誘導体、またはグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースもしくは他の炭水化物の誘導体である、請求項16に記載のインスリン誘導体。
- 前記ポリオール部分が、A鎖もしくはB鎖のN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基を介して、またはB3、B28、B29もしくはB30の位置にあるLys残基のε−アミノ基、またはB30の位置にあるOrn残基、Dap残基、Dab残基、Asp残基もしくはGlu残基を介して、インスリン部分に付着している、請求項17に記載のインスリン誘導体。
- 前記ポリオール部分が、リンカーを介してインスリン部分に付着している、請求項17に記載のインスリン誘導体。
- 前記リンカーが、γ−グルタミル、α−グルタミル、β−アスパルチル、α−アスパルチル、β−アラニン、4−カルボキシ−フェニルアラニン、イミノ二酢酸、ピペラジンおよびアニリンを含む群から選択される、請求項19に記載のインスリン誘導体。
- 分子量>150 kDaを有する、水溶性、高分子量の集合体を形成することができる、請求項1〜20に記載のインスリン誘導体または誘導体の混合物。
- 請求項1〜20に記載のインスリン誘導体またはインスリン誘導体の混合物を、請求項21に記載のインスリン誘導体とともに含む、水溶性、遅延性、グルコース依存性薬学的組成物。
- 請求項1〜22に記載のインスリン誘導体またはインスリン誘導体の混合物を含む、グルコース依存性放出プロファイルを備えた、可溶性、長期作用性インスリン調製物。
- ヒトインスリンまたは作用開始が迅速であるインスリン、例えばヒトインスリン、またはdes(B30)ヒトインスリン、またはAspB28ヒトインスリン、またはLysB28 ProB29ヒトインスリン、またはGlyA21、LysB3、IleB28ヒトインスリン、またはAspA21、LysB3、IleB28ヒトインスリン、またはLysB3 GluB29ヒトインスリン、またはAspA21、LysB3、IleB28ヒトインスリン、またはLysB3 GluB29ヒトインスリン、またはGlyA21 LysB3 GluB29ヒトインスリン、またはAspA21 LysB3 GluB29ヒトインスリンとともに、請求項1〜23に記載のインスリン誘導体を、10:1〜1:10の比率で混合して含む、可溶性、二相作用性(biphasic-acting)インスリン調製物。
- 組織におけるグルコース濃度が増大するにつれて、注入された蓄積部(depot)からの吸収速度が増大し、グルコース濃度が低下するにつれて、注入された蓄積部からの吸収速度が低下することにより特徴づけられる、可溶性インスリン組成物。
- 請求項1〜21の何れか1項に記載のインスリン誘導体を含む、固形インスリン組成物。
- 本発明のインスリン誘導体の医薬としての使用。
- 糖尿病の治療に使用するための組成物の製造における、本発明のインスリン誘導体の使用。
- 治療的に有効な量の本発明のインスリン誘導体を、薬学的に許容されるキャリアとともに患者に投与することを含む、かかる治療を必要とする患者において糖尿病を治療する方法。
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