JP2005521030A - 質量分析計の較正方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、質量分析計を較正する方法、質量分析計、およびコンピューター読み取り可能媒体(質量分析計を較正するコンピューターコードを含む)に関する。本発明の1つの実施形態は、飛行時間型質量分析計を較正する方法に関し、a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々で、較正物質についての飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を決定する工程;b)基板上のアドレス可能位置の1つを、基準アドレス可能位置として同定する工程;およびc)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて、基板上の各々のアドレス可能位置について複数の補正因子を算出する工程、を包含する。

Description

(関連出願の引用)
本願は、2001年7月12日に出願した、米国仮特許出願第60/305,119号の出願日の利益を主張する。この出願は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
(発明の背景)
飛行時間型質量分析計は、化合物の質量電荷比(m/z値)に従い、対応する分子イオンを分離することにより化合物の分子量を測定する分析デバイスである。飛行時間型質量分析法(tofms)において、イオンが、代表的にプロトン、電子または金属のような化学種を付加または除去することにより電荷の発生を誘導することによって形成される。これらのイオンが形成された後、それらは、それらのイオンが検出器に到達するまでにかかる時間により分離される。これらの検出時間は、それらのm/z値の平方根に反比例する。一旦この荷電した化学種の性質が解明されると、次いで、分子量が、m/z値を用いて決定される。
図1は、レーザー脱着/イオン化飛行時間型質量分析計の簡略化した概略図を示す。例示を簡略化するために、いくつかの構成要素(例えば、アナログ−デジタルコンバーター)を、図1には示していない。質量分析計は、レーザー20(または他のイオン化源)、サンプル基板26、および検出器36(分析機としても知られている)を備える。多数の分析物は、サンプル基板26上の種々のアドレス可能位置26(a)、26(b)にある。検出器36は、サンプル基板26に面し、その結果、検出器36は、サンプル基板26からの分析物のイオンを受け取る。抽出機28および1つ以上のイオンレンズ32は、検出器36とサンプル基板26との間にある。イオンレンズ32と検出器36との間の領域は、真空管の中に封入されており、そして代表的には、1μトル未満の圧力に維持されている。
操作において、レーザー20は、レンズ22により集束されるレーザービーム21を出力する。次いで、ミラー24は、集束されたレーザービームを反射し、そしてその集束されたレーザービームをサンプル基板26に向ける。レーザービーム21は、サンプル基板26上の予め決定されたアドレス可能位置26(a)で分析物のイオン化工程を開始する。結果として、アドレス可能位置26(a)の分析物は、分析物イオン34を形成する。次いで、この分析物イオン34は、サンプル基板26から脱着する。
サンプル基板26および抽出機28は、高圧電源30に接続されており、両方とも高圧である。イオンレンズ32の最後の部分は、接地されている。これらの要素の各々に印加された電位は、集合的にイオン集束および加速フィールド(ion focusing and accelerationg field)を作製し、このフィールドは、形成されたイオンを集め、そして分析機を通してそれらを加速し、最終的に検出器に衝突させるために用いられる。次いで、検出器36は、イオン34を受け取り、そして検出する。
イオン34がサンプル基板26から検出器36まで通過するために必要な時間は、イオン34の質量に比例する。これは、イオン34の「飛行時間」である。以下に詳細に説明するように、飛行時間値が、分析物イオン34についてのm/z値、そして結果的にイオン化された分析物の分子量を決定するために使用される。
アドレス可能位置26(a)で分析物が分析された後、サンプル基板26は、隣接するアドレス可能位置26(b)上の分析物がレーザービーム21を受け得るように、上方に再配置される。このプロセスは、基板26上の全てのアドレス可能位置の全ての分析物が、イオン化され、そして分析物イオンについてのm/z値が決定されるまで繰り返される。
上記の質量分析計は、分析物イオンのm/z値を正確に決定し得るが、システムエラーがm/z値において存在する。システムエラーを引き起こし得る1つの要因は、イオン34を加速する電場強度の変化である。高圧である、サンプル基板26の位置の変化は、イオン抽出電場強度を変化させる。変化する電場強度は、イオンの加速を変更し、その結果、そのイオンの飛行時間値を変える。分析物イオンについての飛行時間値のエラーは、得られるm/z値のエラーへと変換される。
使用者は、これらのエラーを補正する為に質量分析器計を較正し得る。以下の2つの較正手法が、代表的に用いられる:外部標準較正および内部標準較正。
外部標準較正プロセスにおいて、較正物質は、サンプル基板上でイオン化される。この較正物質は、分析される分析物の近縁であり、そして既知の質量および既知のm/z値のイオンを有する。較正物質について得られた飛行時間値は、分析物について得られた飛行時間値を補正する為に用いられ得る。より正確なm/z値は、補正された飛行時間値から算出され得る。
外部較正プロセスは、いくつかの用途において有効であるが、多数の改善がなされ得る。例えば、較正物質は、基板表面上の空間を占める(較正物質がなければ、この空間は、分析物のために使用され得る)。このことは、分析され得るサンプル物質あたりの分析物の数を減少させ、そして結果的に、分析プロセスのスループットを減少させる。飛行時間測定が、多数の較正物質についてなされるので、このスループットがまた減少する。そうでなければ分析物をプロセスするために用いられ得る時間が、較正物質をプロセスするために使われる。さらに、各々のサンプル基板上の較正物質の別個の沈着の形成は、時間および供給源を消費する。さらに、この従来のプロセスにおいて、較正物質および分析物は、互いに空間的に分離される。この物質は、分析物のイオン化と較正物質のイオン化との間になお再配置される。エラーは減少するが、較正物質と近縁の分析物とのイオン化の間でのこの物質の再配置が、加速させる電場強度の変化を誘導し得るので、少量のエラーが存在する。
別の較正プロセスは、内部標準較正プロセスである。内部標準較正プロセスにおいて、分析物を有するサンプルが、少なくとも1つの較正物質でスパイクされる。この較正物質は、既知のm/z値を有し、そしてサンプル基板上で分析物と同じアドレス可能位置に存在する。較正物質および分析物の両方が、同時にイオン化しそして脱着する。イオン化した較正物質についての飛行時間値は、イオン化した分析物の飛行時間値を補正する為に用いられ得る。内部較正のアプローチは、代表的に、外部標準のアプローチと比較して、質量の精度の約10〜100倍の改善を提供する。
しかし、多数の問題が、内部較正物質の使用に関る。例えば、較正物質が、未知の分析物の質量に近い質量を有する場合、その較正物質からのシグナルは、未知の分析物のイオンについてのシグナルを「マスク」し得る。結果として、未知の分析物のシグナルが観察されないかもしれない。また、較正物質のイオン化ポテンシャルが分析物のイオン化ポテンシャルを越えている場合、分析物イオンの形成は、抑制され得る。内部標準較正のアプローチを適用することの困難さに起因して、外部標準測定が、最も慣用的に使用されている。
本発明の実施形態は、これらおよび他の問題に対する。
(発明の要旨)
本発明の実施形態は、質量分析計を較正する方法、質量分析計、およびコンピューター読み取り可能媒体(質量分析計を較正するコンピューターコードを含む)に関する。
本発明の1つの実施形態は、飛行時間型質量分析計を較正する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々で、較正物質についての飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を決定する工程;b)基板上のアドレス可能位置の1つを、基準アドレス可能位置として同定する工程;およびc)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて、基板上の各々のアドレス可能位置について複数の補正因子を算出する工程であって、ここで、各々の補正因子は、基準アドレス可能位置に対して、複数のアドレス可能位置の内の1つのアドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する、工程。
本発明の別の実施形態は、飛行時間型質量分析プロセスにおいて、補正因子を使用する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:a)第2のサンプル基板上のアドレス可能位置の各々で、分析物物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を決定する工程;b)メモリから補正因子を検索する工程であって、ここで、補正因子は、以下i)第1のサンプル基板上の複数の第1のアドレス可能位置の各々で、較正物質についての飛行時間値を決定すること、ii)基準アドレス可能位置として第1のサンプル基板上の第1の複数のアドレス可能位置のうち1つを同定すること、およびiii)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて第1のサンプル基板上の各々のアドレス可能位置について複数の補正因子を算出すること、により形成される工程であって、ここで、各々の補正因子は、基準アドレス可能位置に対して、第1の複数のアドレス可能位置内の1つのアドレス可能位置上の較正基板について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する、工程;ならびにc)第2のサンプル基板上の第2の複数のアドレス可能位置で分析物質について飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値に、補正因子を適用する工程。
本発明の別の実施形態は、TOF質量分析計であって、以下:a)イオン化粒子を作製するイオン化源;b)イオン化粒子を検出し、そしてイオン化粒子の検出に対するシグナルを産生する検出表面を有するイオン検出器;c)イオン検出器からのシグナルをデジタルシグナルに変換するように適合されたデジタルコンバーター;d)デジタルコンバーターに作動可能に接続されたトリガデバイスであって、ここで、このトリガデバイスは、イオン検出器へのイオン化粒子の飛行に関する時間を測定するための時間間隔を開始する、トリガデバイス;e)デジタルコンバーターに接続されたデジタルコンピュータであって、ここで、デジタルコンピュータは、デジタルコンバーターからのデジタルシグナルを加工するように適合された、デジタルコンピュータ;ならびにf)デジタルコンピュータに接続されたメモリであって、このメモリが補正因子を記録する、メモリ、を備える、TOF質量分析計に関する。
本発明の別の実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体であって、以下:a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々で較正物質についての飛行時間値を決定する為のコード;b)基準アドレス可能位置として、サンプル基板上のアドレス可能位置の1つを同定するためのコード;およびc)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて、基板上の各々のアドレス可能位置について、複数の補正因子を算出するためのコードであって、ここで、各々の補正因子は、基準アドレス可能位置に対して、複数のアドレス可能位置の内の1つのアドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する、コードを含む、コンピュータ読み取り可能媒体に関する。
本発明の別の実施形態は、飛行時間型質量分析計を較正するための方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々で、較正物質についての飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を決定する工程;b)基板上のアドレス可能位置の1つを、基準アドレス可能位置として同定する工程;c)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて、基板上の各々のアドレス可能位置について第1の複数の補正因子を算出する工程であって、ここで、第1の複数の補正因子の各々の補正因子は、基準アドレス可能位置に対して、複数のアドレス可能位置の内の1つのアドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する、工程;d)第1の複数の補正因子を用いて関数を作成する工程;およびe)この関数を用いて、第2の複数の補正因子を推定する工程。
本発明の別の実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体であって、以下:a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々で較正物質についての飛行時間値を決定する為のコード;b)基準アドレス可能位置として、サンプル基板上のアドレス可能位置の1つを同定するためのコード;c)基準アドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて、基板上の各々のアドレス可能位置について、第1の複数の補正因子を算出するためのコードであって、ここで、第1の複数の補正因子の各々の補正因子は、基準アドレス可能位置に対して、複数のアドレス可能位置の内の1つのアドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する、コード;d)第1の複数の補正因子を用いて関数を作成するためのコード;およびe)この関数を用いて第2の複数の補正因子を推定するためのコード、を含む、コンピュータ読み取り可能媒体に関する。
本発明のこれらおよび他の実施形態を、以下にさらに詳述する。
(詳細な説明)
飛行時間質量分析計(TOFMS)は、所定のイオンが、一定の最終速度に加速された後に固定された距離を移動するためにかかる時間を測定することにより、イオンの質量電荷比(m/z)を決定するための分析プロセスである。以下の2つの基本的な型の飛行時間質量分析計がある:イオンを一定の最終運動量まで加速させる飛行時間質量分析計、およびイオンを一定の最終エネルギーまで加速させる飛行時間質量分析計。種々の基本的性能のパラメーターに起因して、定常エネルギーTOFシステムが好ましい。
定常運動エネルギーTOF質量分析計の概略図を、図2に示す。この例において、イオンは、代表的に、イオン源と呼ばれる領域において作製される。質量MおよびMを有する2つのイオンが、図2に示されるように作製されている。リペラーレンズ10とグランドアパーチャー11との間の電位差により作製された均一な静電界は、距離s(抽出器に対する基板の距離)を通じてイオンMおよびMを加速する。加速後、イオンは、グランドアパーチャー11を通過し、そしてイオンドリフト領域に入り、ここで、これらのイオンは、定常最終速度で距離xを移動して、イオン検出器12に衝突する。タイムアレイレコーディングデバイス(time array−recording device)17およびソフトウェアプロセシング18は、イオン検出器12に接続されている。
イオンの飛行時間は、それらの質量電荷比を算出するために測定され得る。図2を参照して、イオン光学アセンブリ(ion optic assembly)内で、加速電場(E)は、加速距離sにわたり適用された場合の、2つのレンズエレメント(10および11)間の電位差(V)とみなされる(E=V/s)。式(1)は、電荷zを有するイオンMについての最終速度(v)を規定する。イオンMの最終速度は、同様の様式で決定される。
v=(2sEz/M1/2 (1)
式(1)を変形し、そして距離sについて積分することによって、式(2)となり、これは、加速領域においてイオンMにより使用される時間(t)を記載する。
=(M/2Esz)1/2(2s) (2)
次いで、イオンMの総飛行時間(t)が、距離x(イオンドリフト領域)に沿って飛行する間にかかる時間に対してtを足し合わせることによって導かれる。時間tは、式(3)に示されるように、自由飛行距離の長さxと1/vとの積に等しい。
=(M/2Esz)1/2(2s+x) (3)
/zで式(3)を再び変形することにより、式(4)とする
/z=2kt Es/(2s+x) (4)
全てのTOFMSシステムについて、E、s、およびxは、解析の間、意図的に定数として保持され、従って、式(4)は、式(5)に簡略化される。
/z=kt (5)
式(5)において、kは、加速場強度(E)、抽出器に対する基板の距離s、および質量Mおよび電荷zを有するイオンの自由飛行距離xに依存する定数である。式(5)において、加速場強度Eの(すなわち、定数kに含まれる)値が一定であることが通常仮定される。しかし、上記のように、例えば、サンプル基板が動かされた場合、わずかなEの変化が存在する。従って、実際、kの値は、わずかに変化し、定常でなく、従って、算出されるm/z値のエラーへと変換する。本発明の実施形態は、kに対する変化を補償し得、従って、得られたm/z値をより正確にする。
本発明は、質量分析器において検出されるイオンを加速する電場の変化により引き起こされる飛行時間値(または飛行時間値から導かれる値)のエラーについての適切な補正が、イオンの質量に依存しないことを決定した。このことは、エラーの補正がイオンの質量に依存し得ると予想され得るような直感的のものでは必ずしもない。以下にさらに詳述するように、本発明の実施形態において、補正因子が、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正する為に用いられ得る。いくつかの実施形態において、各々の補正因子が、特定のアドレス可能位置での較正物質についての飛行時間値 対 基準アドレス可能位置での較正物質の飛行時間値の比を得ることにより作成され得る。実施者が、異なる(例えば、それぞれ、異なる加速場強度EおよびEでのtおよびtのような)飛行時間値の比に注目する場合、作成される有効な比(t/t)は、質量に依存しない(分子および分母の質量の項は、キャンセルされる)。従って、所定の質量を有する較正物質イオンを用いて作成される単一の補正因子が、異なる質量を有するイオンについてのエラーを補正するために適用され得る。
これらの補正因子は、質量分析計の飛行時間およびm/z値のシステムエラーを補正し得る。そのようなシステムエラーは、プロセスの間のサンプル基板の再配置により引き起こされ得る。上記のように、サンプル基板は、質量分析計中で再配置され、その結果、サンプル基板上の異なるアドレス可能位置での異なる分析物が、プロセスされ得る。高圧である、サンプル基板を再配置することは、イオンを加速する加速場の変化を引き起こす。加速場の変化は、質量分析計により決定される、飛行時間値、および飛行時間値から導かれる値(例えば、m/z)に影響する。本発明の実施形態において、分析物イオンについての飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値は、補正因子を用いて補正され、その結果、より正確な分析物イオンの飛行時間値および/またはより正確な分析物イオンのm/z値が得られる。
エラーの補正が質量に依存しないので、単一セットの補正因子が、既知のm/z値を有する較正物質を用いて、基板上の複数のアドレス可能位置について作成され得る。この補正因子のセットが、異なるm/z値を有する他の分析物イオンについての飛行時間値、および飛行時間値から導かれる値を補正するために用いられ得る。例えば、第1のサンプル基板上の第1の複数のアドレス可能位置についての補正因子のセットが、100ダルトンの質量を有する較正物質を用いて作成され得る。これらの補正因子が、第2のサンプル基板上の第2の複数のアドレス可能位置上での分析物についての補正されていない飛行時間値に適用され得る。補正されていない飛行時間値のエラーは、補正因子を用いて補正され得る。例えば、第2の複数のアドレス可能位置上の分析物は、100ダルトンより大きい質量を有しても、100ダルトンより小さい質量を有してもよい(例えば、500ダルトンまたは1000ダルトン)。補正因子のセットはまた、続いてプロセスされる、類似の幾何学を有しそして同様に配置されるアドレス可能位置を有する、第3、第4などのサンプル基板上の分析物に関連する飛行時間値のエラーを補正するために用いられ得る。
本発明の実施形態において、「較正物質」は、補正因子を形成するために用いられる物質を含む。補正因子は、エラー(例えば、質量分析プロセスにおける飛行時間値のエラー)を補正するために用いられる。補正物質は、既知の質量を有し、そして一般的に、既知のm/z値を有する。「分析物」とは、所望されて保持され、そして分析されるサンプルの1つ以上の成分をいう。分析物および較正物質の例としては、化合物および生物学的化合物が挙げられる。生物的化合物の例としては、生物学的高分子(例えば、ペプチド、タンパク質、核酸など)が挙げられる。しばしば、較正物質および分析物は同じ型の物質(例えば、両方ペプチド)である。
飛行時間値を用いて補正因子を形成する工程、および補正されていない飛行時間値に、これらの補正因子を適用する工程を包含する方法が、詳細に検討される。しかし、補正因子はまた、より高いオーダーの値を用いて作成され得ることが理解される。より高いオーダーの値は、飛行時間値から導かれる。従って、本発明の実施形態において、「飛行時間値から導かれる値」は、より高いオーダーの値(例えば、質量電荷比の値)を含む飛行時間値から得られた任意の適切な値を含む。そのようなより高いオーダーの値に基づく補正因子が、類似の補正されていないより高いオーダーの値に適用されて、補正されたより高いオーダーの値を形成し得る。このような高いオーダーの値としては、質量電荷比の値が挙げられる。以下に説明するように、補正因子が、質量電荷比の値を用いて作成され得る。次いで、これらの補正因子は、補正されていない質量電荷比の値に適用されて、補正された質量電荷比の値を形成し得る。
本発明の実施形態において、補正因子は、各々のアドレス可能位置上の1つ以上の較正物質を用いて、サンプル基板上の各々のアドレス可能位置について作成され得る。サンプル基板上の各々の「アドレス可能位置」とは、サンプル基板上の他の領域から位置的に区別可能な位置を指し得る。サンプル基板は、複数のアドレス可能位置を含み、そしてこれらのアドレス可能位置のうち1つは、サンプル基板についての基準アドレス可能位置として示され得る。
各々のアドレス可能位置についての補正因子は、基準アドレス可能位置での較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を用いて算出される。各々の補正因子は、単位を有し得ず、かつ基準アドレス可能位置に対して、特定のアドレス可能位置上の較正物質について、飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値(例えば、m/z値)を補正する。補正因子は、実験データを用いて導かれ得る。一旦作成されると、各々の補正因子が用いられて、アドレス可能位置に対して、1つのアドレス可能位置上の1つ以上の分析物についての飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正し得る。飛行時間値、または飛行時間値から導かれる値を補正することは、加速電場強度に対する変化により引き起こされる値の分散を実質的に除去する。
好ましくは、同じセットの補正因子が、多くのサンプル基板について使用され得る。なぜなら、質量分析計は、メモリー内に補正因子を保存するからである。これらの補正因子は、飛行時間値のエラーまたは飛行時間値から導かれた値を補正するために所望されるだけ頻繁に、デジタルコンピューターによって引き出され得る。従来の方法と違って、質量分析計は、実質的に全てのプロセスされたサンプル基板について、較正物質で再構成される必要はない。もちろん、ユーザーは、時間にわたって、質量分析計の他の因子の任意のドリフトに対する補償に所望されるだけ頻繁に、質量分析計を較正し得る。
補正因子を使用する代表的なプロセスにおいて、補正因子がメモリー内に保存された後、ユーザーは、サンプル物質を、分析物と共に質量分析計に挿入し得る。サンプル物質上の各アドレス可能位置は、同一の分析物または異なる分析物を有し得る。分析物の性質および量は、分析物をプロセシングする前に使用者に未知であってもよい。各アドレス可能位置の各々の分析物は、イオン化され得、脱離され、そして検出され得る。分析物のイオンが検出された後、質量スペクトルシグナルが形成され、そしてこれらの分析物についての飛行時間値が決定され得る。この飛行時間値は、生またはプロセスされた飛行時間値であり得る。
メモリーから補正因子を取り出した後、補正因子は、補正されていない飛行時間値(または飛行時間値から得られた値)に適用され得、補正された飛行時間値を与える。補正因子を適用する際に、任意の適切な数学的操作が、質量スペクトルシグナルまたは質量スペクトルシグナルから得られる任意の情報に対して実施され、補正された飛行時間値を得る。
飛行時間値または飛行時間値から導かれる値に対して補正因子を適用する場合、補正因子が全質量スペクトルシグナルに適用され得、その結果、質量スペクトルシグナルをなす各データ点が、補正因子で補正される。これらの実施形態において、全質量スペクトルシグナルは、補正因子の大きさに比例する量によって移動され得る。あるいは、全質量スペクトルシグナルのピークのみが、補正因子で補正され得る。質量スペクトルシグナルにおいて分析物に対応するピークが、まず同定され、そして補正因子が、質量スペクトルシグナルにおけるこれらのピークのみに適用され得、ノイズには適用されない。次いで、補正された飛行時間値は、補正された質量スペクトルシグナルから得られ得る。さらに別の代替的実施形態において、補正されない飛行時間値は、従来のプロセスに従って、補正されない質量スペクトルシグナルから決定され得る。次いで、補正因子は、補正されない飛行時間値に適用され、補正された飛行時間値を与え得る。これらの後者の実施形態は、補正因子がノイズのようなシグナル成分に適用される必要がない場合、より少ないコンピューター資源(例えば、計算時間およびコンピューター能力)を必要とする。補正因子を飛行時間値に適用する種々の方法は、以下により詳細に記載される。
どのように補正因子を適用されるかに関わらず、正確な飛行時間値および/または正確なm/z値が得られる。望ましい場合、補正されたm/z値に対応するピークを有する連続的な質量スペクトルシグナルが、質量分析計によって生成され得る。当業者に公知であるように、質量スペクトルにおけるm/z値でのシグナル強度は、一般的に、イオン化された分析物の量に比例する。
本発明の実施形態は、多くの利点を有する。例えば、本発明の実施形態において、基板上の異なるアドレス可能位置に関連する誤差は、サンプル基板上の分析物を分析する前に決定される。基板上の各アドレス可能位置に関連する補正因子は、一旦決定され、次いで、メモリー内に保存され得る。次いで、補正因子は、他のサンプル基板上の位置づけ可能な位置からの分析物イオンについて、飛行時間値または飛行時間値から得られた値に適用され得る。飛行時間値(または飛行時間値から得られる値)に対する補正は、検出されたイオンの質量に依存しないので、補正因子は、較正物質の質量と異なる質量を有する分析物イオンについての飛行時間値誤差を補正し得る。また、補正因子は、メモリー内で保存されるので、較正物質は、分析物を含む基板の表面上の分析物と一緒に存在する必要はない。このことによって、較正物質が、分析物の各セットまたは全セット、および各サンプル基板についてイオン化される必要がない場合、処理量の改善が得られる。本発明の実施形態はまた、較正物質が各物質および全ての物質に対して配置される必要がないので、費用効果が高い。さらに、内部較正物質は、分析される分析物と一緒に使用される必要はない。従って、本発明の実施形態において、内部較正物質の使用に関連する問題は、排除される。
さらに、本発明の実施形態で使用される補正因子は、基板上の正確なアドレス可能位置に関係する。上記される従来の外部標準較正方法と違って、補正因子は、イオン化された分析物の正確なアドレス可能位置から空間的に離れる較正物質に基づかない。むしろ、補正因子は、サンプル基板上の分析物の正確なアドレス可能位置に基づく。結果として、イオン化された分析物の飛行時間値および対応するm/z値は、高度に正確(accurate)かつ正確(precise)である。
正確なm/z値は、望ましい。例えば、正確なm/z値を有することによって、異なる発現研究は、信頼性の増加を導き得る。異なる発現研究の代表的な例において、質量スペクトルは、正常な生物学的サンプル(例えば、非癌)および疾患状態の生物学的サンプル(例えば、癌)について得られる。それぞれのサンプルにおける分析物(例えば、タンパク質)の濃度の違いは、共通のm/z値でのシグナルの高さ(すなわち、「ピーク」)における違いを見ることによって、観察され得る。このような研究は、とりわけ、診断プロセス、およびその存在、非存在または濃度が疾患の存在、非存在または状態を示し得る、潜在的な生体マーカーを発見するプロセス、において使用され得る。
正確なm/z値はまた、望ましい。例えば、正確なm/z値は、タンパク質のフラグメント集団の質量スペクトル分析に基づいて、タンパク質(すなわち、タンパク質から化学的または酵素的のいずれかで生成されるペプチドのプール)を同定する場合、使用される。当業者によって公知である場合、これらの条件下で、これらのフラグメントに対する正確なm/zの割り当ては、目的のタンパク質を同定するためのデータベース検索を容易にすることにおいて非常に有用である。
本発明の実施形態は、図3に関して記載され得、この図3は、本発明の実施形態に従うプロセスを示すフローチャートを示す。まず、較正物質(例えば、ヒトインシュリン)は、基板上の異なるアドレス可能位置に配置される(工程52)。いくつかの実施形態において、サンプル基板は、「サンプルプローブ」といわれ得る。サンプル基板は、任意の適切な材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムが挙げられる)から作られても、貴金属(例えば、金)でコートされてもよい。較正物質が、サンプル基板上のアドレス可能位置に配置した後、このサンプル基板は、質量分析計に挿入され、そして各異なるアドレス可能位置で較正物質が、脱離され、そしてイオン化される(工程54)。質量分析計は、基板上の各異なるアドレス可能位置で、イオン化された較正物質について飛行時間値を決定する(工程56)。これらの飛行時間値は、基板上の各アドレス可能位置について、補正因子を計算するために使用される(工程58)。補正因子の計算後、質量分析計は、これらの補正因子をメモリー中に保存する(工程60)。次いで、質量分析計は、他のサンプル基板上の同様のアドレス可能位置から脱離された分析物イオンの引き続く飛行時間値に、これらの補正因子を適用し、補正された飛行時間値を得る(工程62)。質量分光計はまた、補正されたm/z値を使用して質量スペクトルシグナルを生成し得る。この特定の実施形態におけるこれらの各ステップは、以下にさらに詳細に記載される。
1つ以上の較正物質は、基板上のいくつかの各アドレス可能位置に配置される(工程52)。各較正物質は、公知のm/z値を有する。例えば、較正物質は、サンプル基板上の10個の異なるアドレス可能位置に配置されるヒトインシュリンであり得る。ヒトインシュリンは、公知の平均分子質量値(約5807.6533ダルトン)を有する。
本発明のいくつかの実施形態において、サンプル基板上の各アドレス可能位置は、各アドレス可能位置に2つ以上の較正物質を含み得る。例えば、ヒトインシュリンおよびヒルジンBHVK(平均分子質量=約7033.6136Da)は、サンプル基材上の各アドレス可能位置に存在し得る。補正因子を与える場合、質量分光計は、これらの較正物質の両方に対する飛行時間値を決定する。両方の較正物質に対する飛行時間値は、アドレス可能位置に対する補正因子を計算する場合、考慮に入れられる。結果として、より正確な補正因子が、与えられる。以下にさらに詳細に説明されるように、基板上の所定のアドレス可能位置で、それぞれの各較正物質に対して計算される補正因子は、平均され(またはいくつかの他の統計的プロセスによって操作され)、アドレス可能位置に対する平均補正因子を与え得る。補正因子を平均することによって、最終的に決定された補正因子におけるランダムな誤差の効果を減少する。補正因子の獲得に関連するランダム誤差が、前もって決定された許容レベル(例えば、加速電場強度(E)の変化によって引き起こされる飛行時間誤差に関連する誤差)を超えるかどうかを決定するために、平均補正因子を与える補正因子の伝播もまた評価し得る。
サンプル基板上のアドレス可能位置は、任意の適切な様式において配列され得る。例えば、基板上のアドレス可能位置は、基板上の1次元アレイまたは2次元アレイであり得る。各アドレス可能位置は、代表的に離散した位置であり、これらは基板上の他のアドレス可能位置から空間的に離れている。例えば、図4は、1〜8まで標識された種々のアドレス可能位置201を有する、例示的基板200を示す。これらの任意のアドレス可能位置は、基準アドレス可能位置として同定され得る。8個のアドレス可能位置は、互いに空間的に離れており、そしてアドレス可能位置の1次元アレイを形成する。他の実施形態において、基板当たり20以上(または100以上さえ)のアドレス可能位置が、存在し得る。
任意の適切なプロセスは、基板上に較正物資を配置するために使用され得る。例えば、ピペットは、基板上の較正物質を配置するために使用され得る。代表的には、較正物質は、液体サンプル中に含まれ、この液体は、μlまたはnlのオーダーの体積を有し得る。本発明のいくつかの実施形態において、吸着剤は、サンプル基板上の異なるアドレス可能位置で存在し得る。従って、1つ以上の較正物質を含有する液体は、吸着物質の表面にわたって薄く塗られ得る。較正物質は、吸着剤を有する基板の領域において保持されるが、吸着剤を有さないサンプル基板の領域において保持されない。
基板上の各アドレス可能位置はまた、エネルギー吸収物質(EAM)を含み得る。これらは、質量分析計のエネルギー源におけるエネルギー供給源からのエネルギーを吸収する分子であり、これによって、基板表面からの分析物の脱離を可能にする。MALDI(マトリクス支援レーザー脱離イオン化法)プロセスにおいて使用されるエネルギー吸収分子は、しばしば「マトリクス」といわれる。エネルギー吸収分子の例としては、ケイ皮酸誘導体およびシナピン酸(SPA)が挙げられる。EAMは、基板上の異なるアドレス可能位置で形成され、異なるEAM領域を形成し得る。較正物質は、次に、これらのEAM領域上に配置され得るか、または、EAM含有溶液と前もって混合され、その後これらの最終的なアドレス可能位置に配置され得る。
較正物質を含むサンプル基板の調製後、質量分析計は、サンプル基板上の各異なるアドレス可能位置で1つ以上の較正物質をイオン化および脱離する(工程54)。例えば、図5を参照して、レーザー20は、ビームスプリッター45に到達するレーザービーム21を放射し、このビームスプリッターは、レーザービームを分割する。レーザービームの一部は、事象トリガーデバイス(例えば、トリガーフォトダイオード47)に到達し、この事象トリガーデバイスは、レーザー事象検出器として働く。レンズ22は、レーザービーム21のもう一方を集束させる。鏡24は、集束されたレーザービームを反射し、そしてこの集束されたレーザービームを、サンプル基板26に指向させる。集束されたレーザービームは、サンプル基板26上の第1のアドレス可能位置26(a)で、較正物質を照射する。結果として、照射された較正物質は、イオン化され、較正物質イオン34を形成する。このイオン34は、続いてサンプル基板26を脱離する。
レーザー脱離プロセスは、図5に関して記載されるが、任意の適切なイオン化技術は、較正物質を脱離およびイオン化するために使用され得る。例えば、イオン化技術は、電子衝突イオン化法、高速原子/イオンボンバードメント法、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化法(MALDI)、表面増強レーザー脱着/イオン化法(SELDI)、または電子スプレーイオン化法を使用し得る。これらのイオン化技術は、当該分野で周知である。
好ましい実施形態において、レーザー脱離飛行時間質量分析計が使用される。レーザー脱着分光学は、高分子量物質(例えば、タンパク質)を分析するために特に適切である。例えば、MALDIプロセスまたはSELDIプロセスに関する実際の質量範囲は、300,000ダルトン以上までであり得る。さらにレーザー脱離プロセスは、複合体混合物を分析するために使用され得、高い感度を有する。さらに、タンパク質フラグメント化の可能性が、多くの他の質量分光学プロセスにおいてよりも、レーザー脱離プロセス(MALDIまたは表面増強レーザー脱着/イオン化プロセス)において、より低い。従って、レーザー脱離プロセスは、高分子量物質(例えば、タンパク質)を正確に特徴付けそして定量するために使用され得る。
表面増強レーザー脱着/イオン化(すなわち、SELDI)は、特異性、選択性および感度に関して、MALDIより有意な進歩を示す。SELDIは、米国特許第5,719,060号(HutchensおよびYip)に記載される。SELDIは、分析物が、レーザーに提示されるが分析物捕捉および/または脱離を増強する表面上で行われる固相脱離法である。
イオン化および脱離の後、質量分析計は、質量スペクトルシグナルを与え、そして基板上の各異なるアドレス可能位置で、各較正物質についての飛行時間値を決定する(工程56)。図5に関して、脱離された後、較正物質イオン34は、サンプル物質26から離れ、そしてイオンレンズ32と検出器36との間の分析領域を通って「飛行」する。
例示の目的のために、全ての続くデータ操作は、ADCシステムに関して議論される。デジタルコンバーター(例えば、時間デジタル記録計)を使用する時間デジタル(TDC)システムは、同じ最終結果を達成する間、いくらかの異なる操作をする。ADCは、代替的に、デジタルオシロスコープ、波形記録計、またはパルス計数器であり得る。
しかし、図5に示される例において、検出器36は、次に、イオン34を検出し、そして高速アナログディジタル変換器(ADC)にシグナルを送る。イオン飛行時間測定は、ADC49によって実施される。トリガーフォトダイオード47からの開始トリガーを受容した後、ADC49は、一定の時間間隔で検出器出力電圧を積算する。
トリガーフォトダイオード47からのADC開始シグナルの到着は、イオン抽出の開始に調整される。しかし、操作スキームは、ここで、イオン抽出の様式に依存する。連続的イオン抽出(CIE)について、この連続事象(lasting event)は、イオン抽出と一致し、従って、フォトダイオードトリガーは、ADCタイミングカスケードを開始するために使用される。パルス化イオン抽出(PIE)について、イオンを生成するこの連続事象は、実際のイオン抽出事象から分離される。トリガーフォトダイオードからのADC開始シグナルの到着が、イオン抽出の開始に調整される場合、フォトダイオードトリガーは、遅延発生器を開始するために機能する。このフォトダイオードトリガーは、記録された場合イオン抽出事象をトリガーする。このイオン抽出トリガーは、ADCの時間カスケードを開始するために使用される。
開始シグナルを受容した後、ADC49は、積算された検出器電圧値を分類し、そして、ADC49、ディスプレイ42、およびメモリー40に作用するように接続された、デジタルコンピューター38に対するデジタル出力を生成する。このデジタルコンピューター38は、ADC49からのデジタル出力を使用して、イオンシグナルの可視化および高次元のプロセシングを提供し得る。決定された飛行時間値および飛行時間値の決定に使用されたデジタルシグナルは、メモリー40に保存され得る。メモリー40は、任意の適切なメモリーデバイスを
備え得、これは、例えば、メモリーチップまたは情報保存メディア(例えば、ディスクドライブ)を含む。メモリー40は、同じ装置または異なる装置上に存在し得る。
質量分析計が第1のアドレス可能位置26(a)から脱離された較正物質イオンについての飛行時間値を決定した後、サンプル物質26は、第2のアドレス可能位置26(b)から脱離された較正物質イオンに対する飛行時間値が決定され得るように、移動する。このプロセスは、イオン化された較正物質についての飛行時間値が、サンプル基板26上の各アドレス可能位置について収集されるまで繰り返される。
飛行時間値が、基板上の各アドレス可能位置について得られた後、デジタルコンピューター38は、アドレス可能位置について補正因子を計算する(工程58)。デジタルコンピューター38は、サンプル基板上の異なるアドレス可能位置について補正因子を計算するための、適切なコンピューターコードを有するコンピューター読み取り可能媒体を備え得る。
補正因子は、任意の適切な様式で計算され得る。いくつかの実施形態において、各補正因子は、基板上の各アドレス可能位置について、Tof/Tof(すなわち、TofをTofで割る)を計算することによって決定する。Tofは、較正物質に対する飛行時間であり、ここでXは変数である。Xは、基板上のアドレス可能位置に対応する。例えば、基板がa〜zまで標識された26の異なるアドレス可能位置を有する場合、Xは、a〜zまでのいずれかであり得る。Tofは、基板上の基準アドレス可能位置Rでのイオン化された較正物質についての飛行時間値である、基板上の任意の適切なアドレス可能位置は、基準アドレス可能位置Rとして指定され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、較正物質を有する複数のサンプル基板は、正確な補正因子を与えるために使用される。各サンプル基板上の各アドレス可能位置は、1つ以上の較正物質を有し得る。異なるサンプル基板上の、異なるが対応するアドレス可能位置上の較正物質についての飛行時間値が、決定される。異なるサンプル基板上のアドレス可能位置に対応する較正物質に関連する飛行時間値は、ランダム誤差の効果を除去するように平均され得る(かまたは他の統計的プロセスによって操作され得る)。例えば、2つの基板(基板1および基板2)は、質量分光計を較正するために使用され得る。各基板は、類似する大きさを有し得、そして類似するアドレス可能位置で較正物質を有し得る。例えば、基板1および基板2は両方、基板上の同じ一般的な位置で、アドレス可能位置A、B、およびCを有し得る。ペプチド1およびペプチド2は各々、基板1および基板2上で、アドレス可能位置A、B、およびCに存在し得る。基板1および基板2上のアドレス可能位置Aでペプチド1のイオンについて飛行時間値が決定され得、そしてこれらの飛行時間値は、アドレス可能位置Aでペプチド1についての平均飛行時間を与えるために平均され得る。平均飛行時間値はまた、ペプチド2のイオンについて基板1および基板2上のアドレス可能位置Aで、そしてペプチド1のイオンについて基板1および基板2上のアドレス可能位置Bで、決定され得る。各較正物質イオンについて各アドレス可能位置での平均飛行時間値は、各アドレス可能位置について正確な補正因子を与えるために使用され得る。例えば、アドレス可能位置Aが基準アドレス可能位置である場合、アドレス可能位置Bおよびペプチド1についての補正因子は、アドレス可能位置Bでのペプチド1のイオンについての平均飛行時間値を、アドレス可能位置Aでのペプチド1のイオンについての平均飛行時間値で割ることによって得られ得る(すなわち、Tof(ペプチド1についての平均)/Tof(ペプチド2についての平均))。
他の実施形態において、複数の異なる較正物質は、サンプル基板上の各アドレス可能位置に存在し得る。加速電場強度Eの変化によって引き起こされる誤差に対する補正は、質量に依存しないので、単一のサンプル基板上の各アドレス可能位置についての複数の補正因子は、各アドレス可能位置で異なる較正物質を使用して、実質的に同時に計算され得る。各アドレス可能位置で、補正因子は平均される。上記されるように、平均化は、ランダム誤差の効果を除去する。
また、平均補正因子が適切であるかどうかを決定するために、補正因子値の伝播におけるバリエーションをチェックし得る。多くの補正因子を一緒に平均化する場合、結果の全伝播は、測定プロセスにおける分散誤差および固有誤差のアプリオリな示度を提供する。従って、最小限容認される誤差値および分散値は、補正因子の値および量の確立について、経験的プロセスの妥当性を判断するために確立され得る。このクオリティーパラメーターの絶対値は、飛行時間型分析器の複雑性および幾何学に依存する。この場合におけるクオリティーメトリックは、一連の経験的試行についての平均補正因子に関して計算された部分標準偏差であり得る。単純な直線飛行時間型分析器について、平均に関する部分標準偏差は、代表的に500ppm(百万分率)を超えない。洗練された反射飛行時間型分析器(例えば、平行抽出反射デバイスまたは直交抽出反射デバイス)について、平均に関する部分標準偏差は、代表的に、5ppmを超えない。本発明の実施形態において、平均補正因子の標準偏差が前もって決定された許容レベルより大きい場合、平均補正因子は許容され得ず、補正因子決定プロセスは反復され得ない。平均補正因子に対する標準偏差が、前もって決定された許容レベル(例えば、使用される特定のシステムに依存して5ppmまたは500ppm)内にある場合、平均補正因子は、アドレス可能位置についての適切な補正因子として同定され得る。このプロセスは、所望される場合、自動化され得る。例えば、質量分析計は、平均補正因子についての標準偏差が前もって決定された許容レベル内でない場合、質量分析法プロセスおよび補正因子計算プロセスを自動的にもう一度開始し得る。
例証的に、平均補正因子は、アドレス可能位置で異なるペプチドのイオンに対する飛行時間値を使用する、特定のアドレス可能位置について計算され得る。例えば、ペプチドは、100ダルトン、500ダルトン、および1000ダルトンの分子量を有し得る。これら3つのペプチドを使用して、3つの補正因子は、アドレス可能位置について計算され得る。これらのペプチドに基づく計算された補正因子は平均され、そのアドレス可能位置について平均補正因子を与え得る。平均補正因子についての標準偏差が、前もって決定された許容レベル(例えば、5ppm)内である場合、平均された補正因子は、そのアドレス可能位置について適切であり得る。この標準偏差が、この許容レベルを満足しない場合、較正物質は、許容される補正因子が得られるまで、そのアドレス可能位置で同じ較正物質または異なる較正物質を用いて再プロセスされ得る。
各アドレス可能位置で複数の異なる較正物質を使用することは、他の利点を有する。例えば、時折、較正物質に関連するシグナル誤差の固有の源が存在し得る。理想的には、各較正物質は、マススペクトルシグナルにおいて「ピーク」として同定され、この較正物質についての飛行時間値またはm/z値は、頂点または所定のピークの一次モーメントである。しかし、いくつかの例において、完璧な頂点または許容されるピーク対称性が得られ得ない。例えば、ピークは、偽ノイズに起因する頂点の近傍において時々「分裂」し得る。これは、理論的頂点または適切なピークの一次モーメントが位置するかを決定することを困難にし、従って、ピークに関連する較正物質についてのm/z値の決定を困難にする。ただ1つの較正物質がサンプル物質上の各アドレス可能位置に存在する場合、そして較正物質に対する質量スペクトルにおける1つ以上のピークが分裂する場合、較正物質を使用して決定された補正因子の得られたセットは、いくらか不正確であり得る。しかし、本発明の実施形態において、各アドレス可能位置についての補正因子は、各アドレス可能位置で多くの較正物質を使用して同時に得られる。従って、少なくとも1つの較正物質についての少なくとも1つの受容可能なセットピークが得られない可能性は低く、その結果、少なくとも1つのセットの正確な補正因子が、決定される見込みがあり得る。
例証的に、異なる3つの各アドレス可能位置で4つの異なる較正物質についての3つの質量スペクトルは、それぞれ図6(a)〜6(c)に示される。これらの図の各々において、「I」(y軸上)は、シグナルの強度を示し、そして「m/z」(x軸上)は、質量対電荷比を示す。図6(a)において、ピーク101および103は分裂を有し、それによって、ピーク101および103に関連する較正物質を使用して最後に計算される、このアドレス可能位置についての補正因子が、所望のレベルの正確さを有し得ない。図6(b)において、ピーク102は分裂され、それによってこのアドレス可能位置について計算された補正因子が、所望のレベルの正確さを有し得ない。図6(c)において、全てのピークが許容される。種々の質量スペクトルにおける他のピークが、ユーザーに特に受容可能でないかもしれないが、各図6(a)、図6(b)、および図6(c)において、各ピーク100は許容され、そしてピーク100に関連する較正物質は、正確な較正因子のセットを与えるために使用され得る。各アドレス可能位置における多くの異なる較正物質を使用することによって、少なくとも1つのセットの較正物質が、少なくとも1つのセットの許容される飛行時間値を提供し得る。従って、複数の較正物質が、サンプル物質上の各アドレス可能位置において使用される場合、少なくとも1つのセットの正確な補正因子は、決定される可能性がある。従って、較正プロセスは、本発明の実施形態において迅速かつ有効にプロセスされ得る。
一旦、補正因子が計算されると、デジタルコンピューター38は、メモリー40(工程60)に補正因子を保存する。補正因子がメモリー中に保存された後、これらは、他のサンプル基板上の分析物のイオンについての次の飛行時間値に適用される(工程62)。上記されるように、任意の適切な数学的操作は、補正因子を飛行時間値に適用する場合、実施され得る。例えば、各アドレス可能位置についての補正因子は、そのアドレス可能位置で分析物について得られた飛行時間値を掛けられ得る。
例示的には、アドレス可能位置1、アドレス可能位置2、アドレス可能位置3、アドレス可能位置4、アドレス可能位置5(すなわち、X=1、2、3、4、および5)と名付けられた、基板上の5つの異なるアドレス可能位置が存在し得る。基準アドレス可能位置Rは、アドレス可能位置1であり得る。アドレス可能位置1〜5の各々におけるイオン化された較正物質についての補正されていない飛行時間値は、それぞれ、100.100マイクロ秒、100.200マイクロ秒、100.300マイクロ秒、100.400マイクロ秒、および100.500マイクロ秒であり得る。補正因子(Tof/Tof)は、これらの5つのアドレス可能位置(X=1、2、3、4、および5)について、それぞれ1.00000、1.000999、1.001998、1.002997、および1.003996である。これらの5つの補正因子は、質量分析器のメモリーに保存され得、次いで、他のサンプル基板から放出されるイオンについて得られる、引き続く飛行時間値に対して適用され得る。例えば、異なるサンプル基板由来の一連の分析イオンは、アドレス可能位置1〜5において、それぞれ、150マイクロ秒、200マイクロ秒、250マイクロ秒、300マイクロ秒、および350マイクロ秒の補正されていない飛行時間値を有し得る。これらの補正されていない飛行時間値の各々は、アドレス可能位置1〜5についての補正された飛行時間値を作成するために、メモリー中に保存された補正因子を掛けられ得る。例えば、この例において、アドレス可能位置1〜5からの分析イオンについての補正された飛行時間値は、それぞれ、150マイクロ秒、200.1998マイクロ秒、250.4995マイクロ秒、300.8991マイクロ秒、および351.3986マイクロ秒であり得る。その分析イオンは、補正因子を作成するために使用される較正物質の質量とは異なる質量を有するにもかかわらず、分析イオンについての飛行時間値に対する補正は妥当である。
補正因子は、全質量スペクトル信号または質量スペクトル信号から得られる飛行時間値(またはm/z値)のみに対して適用され得る。例えば、補正因子は、サンプル基板上の特定のアドレス可能位置についての補正因子とそのアドレス可能位置における分析物についての全質量スペクトル信号を掛け算し得る。この場合、全質量スペクトルは、分析イオンに対応するピーク強度およびその質量スペクトル中の任意のノイズを含み、そのアドレス可能位置についての補正因子の値に対して比例する量だけ移動する。
他の実施形態において、補正因子は、サンプル基板上の特定のアドレス可能位置についての補正因子と、分析イオンについての飛行時間値(またはその飛行時間値から誘導された値)のみを掛け算し得る。ノイズは、補正因子とは掛け算される必要はない。これらの実施形態は、飛行時間値のみかまたはこれらの補正因子によって調節される質量スペクトル中のm/z値として、より小さい計算リソースを占有し得る。
1つの例示的なプロセスにおいて、ピークは、質量スペクトル信号中で始めに同定され得る。飛行時間値が割り当てられ得る程度まで、飛行時間値は、その質量スペクトル信号中のピークに対して割り当てられる。いくつかのピークは、その中にスプリットを有するかまたは、広幅化されている(そうでなければ、どの真の飛行時間値がこれらのピークに関連するかを決定することを困難にする)場合、これらのピークついての飛行時間値は近くあり得る。ピークは、同位体種または同重種のほとんど分解されていない集団を作成するサンプルの異質性を含む種々の理由、脱離プロセスに伴う内在性問題、タイミングリッターに対する機器的な問題、加速電位に対する機器的な問題、などのために時々広幅化され得る。このような状況下で、測定される信号の頂点は、真の飛行時間値または検出されるイオン信号のm/z値分布を必ずしも示さないかもしれない。飛行時間値を近似するための1つの方法は、広幅化されたピークまたはスプリットピークに対して、ガウス曲線またはLorenzian曲線のような曲線をフィット(例えば、重ね合わせる)させることである。次いで、このカーブフィットは、所定のイオン集団および観察されたイオン信号についての平均飛行時間値またはm/z値についてのより正確な掲示を近似し得る。一旦、そのカーブがピークにフィットすると、このような場合における飛行時間値は、その曲線の第1のモーメントまたは重心を使用して決定され得、ピークに関連する飛行時間値を同定し得る。
質量スペクトルにおける全てのピークについての飛行時間値が決定された後、前出の決定された補正因子は、例えば、化学ノイズに補正因子を適用することなく、飛行時間値に適用され得る。これを行なう1つの本発明の方法は、分析イオンに対応するピークのみが適用される補正因子に比例的な量で移行する、補正された質量スペクトル信号を作成することである。このピークを形成するデータ値のみを、補正因子と掛け合わせる。ノイズは、補正因子と掛け合わせられる必要はない。次いで、補正された飛行時間値(または飛行時間値から誘導された値)は、補正された質量スペクトル信号から得られ得る。この実施形態において、飛行時間値(または飛行時間値から誘導された値)は、その飛行時間情報を含む質量スペクトル信号の第1の補正によって補正される。補正された飛行時間値は、補正された質量スペクトル信号を使用して得られる。これを行なう別の方法は、補正されていない質量スペクトル信号から補正されていない飛行時間値(または飛行時間値から誘導される値)を得ることである。上記のように、不完全、スプリットなどである質量スペクトル信号中のピークについての飛行時間値は、近似され得る。一連の補正されていない飛行時間値が得られた後、補正因子は、補正されていない飛行時間値に適用され得、補正された飛行時間値を作成する。
補正因子が飛行時間値または飛行時間値から誘導された値にどのように適用されるかにかかわらず、分析イオンについての補正されたm/z値は、実際的に決定され得る。次いで、コンピュータ38に接続されるディスプレイ42は、分析イオンについての補正されたm/z値における「ピーク」を有する信号を示す質量スペクトル50を表示する。
他の実施形態において、補正因子を作成するために飛行時間値を使用する代わりに、飛行時間値から誘導された値を使用して補正因子を作成することが可能である。変数(例えば、質量 対 変化の比)は、飛行時間値に比例しており、従って、同じように補正因子を作成するために使用され得る。例えば、サンプル基板上の複数のアドレス可能位置上の較正物質についての飛行時間値は、これらに対して補正因子を適用することなく、従来のプロセスに従って最初に得られ得る。補正されていない飛行時間値が得られた後、較正物質についてのm/z値が従来の計算に従って決定され得る。アドレス可能位置の1つは、基準アドレス可能位置として同定され得、そしてこのアドレス可能位置の各々に関連するm/z値に基づく補正因子が計算され得る。例えば、特定のアドレス可能位置についての補正因子は、アドレス可能位置からの較正物質イオンについてのm/z値を、基準アドレス可能位置からの較正物質イオンについてのm/z値で割ることによって決定され得る。サンプル基板上の他のアドレス可能位置についての補正因子は、同様の手段で決定され得る。次いで、これらの補正因子は、他のサンプル物質上のアドレス可能位置上の分析物についての補正されていないm/z値に対して適用され得る。例えば、補正因子および補正されていないm/z値は、掛け合わせられて、補正されたm/z値を作成する。
本発明のいくつかの実施形態において、第1の複数の補正因子からの関数(例えば、多項式関数)を推定および作成することが可能である。これは、補正因子が、これらの他のアドレス可能位置についてははっきりとは計算されていなくても基板上の他のアドレス可能位置についての補正因子(すなわち、第2の複数の補正因子)を確立するために行われ得る。任意の適切な関数は、任意の適切な様式で作成され得る。例えば、図4は、基板200上の8つのアドレス可能位置201を示す。これらの8つのアドレス可能位置は、上から下まで、1〜8と番号付けされる。例示的な外挿方法において、補正因子は、8つのアドレス可能位置201のうちの4つについて計算され得る。例えば、補正因子は、1、3、5、および7で示されるアドレス可能位置について計算され得た。一旦補正因子が決定されると、展開された数学的関数(例えば、曲線)は、その補正因子に対してアドレス可能位置1、3、5、および7を相関する。例えば、作成され得た数学的関数は、アドレス可能位置1、3、5、および7についての対応する補正因子に対して、基板200上のアドレス可能位置1、3、5、および7のy位置(例えば、上から1mm、上から2mmなど)を相関する。この例において、2次元グラフは、基板200上のy位置に対応するグラフのy軸および補正因子に対応するグラフのx軸を用いて作成され得た。決定された数学的関数から、これらについての計算された補正因子を実際に有することなく、アドレス可能位置2、4、6、および8についての補正因子を確立し得る。従って、本発明の実施形態において、実際にその基板上のいくつかのアドレス可能位置についての補正因子を決定しつつ、基板上の多くのアドレス可能位置についての補正因子を確立することが可能である。
飛行時間値の決定、補正因子の計算および保存、および補正因子の検索および引き続く適用のような工程、他の補正因子を確率するための数学的関数の作成、ならびに他の工程は、任意の適切な計算装置によって実行され得る任意の適切なコンピュータコードによって具現化され得る。この計算装置は、質量分析器内に組みこまれ得るかまたは質量分析器と分離され作動可能に接続され得る。任意の適切なコンピュータ読み取り可能媒体としては、磁性、電気性、もしくは光学性のディスクもしくはテープなどが挙げられ、これらはコンピュータコードを保存するために使用され得る。このコードはまた、任意の適切なコンピュータプログラム言語で記録され得、これらのコンピュータ言語としては、Fortran、Pascal、C、C++、などが挙げられる。従って、本発明の実施形態は、ユーザー側において有意な介在をすることなく、自動的に実施され得る。しかし、他の実施形態において、これらの工程のうちの少なくともいくつかは、ユーザーによって手動で代替的に行なわれ得る。例えば、補正因子の計算は、ユーザーによって手動で計算され得、次いで、ユーザーによってコンピュータに入力される。
実験を行なって、飛行時間質量分析器から得られた測定された飛行時間値における位置依存の系統的シフトの存在を確認した。この実験において、5つの異なるチップ(すなわちサンプル基板)上の異なるアドレス可能位置における5つのペプチドのイオンについての飛行時間値を決定した。これらの実験において、アドレス可能位置は、「スポット位置」と呼ばれる。これらのチップを、Fremont、CaliforniaのCiphergen Biosystems、Inc.から入手し、Ciphergen PBS IITM(レーザー脱離/イオン化タイムラグ集束飛行時間型質量分析計)で分析した。得られた飛行時間値におけるシフトを示すために作成した飛行時間値 対 スポット位置のプロットは、ペプチドのアドレス可能位置に依存した。いくつかのチップ上で実施した場合、系統的シフトが再現可能であるか否かを決定することは可能であった。系統的シフトが、この所定の質量分析器についての質量割り当て誤差の主な原因であることを確認することが可能であった。
他の実験を実施して、系統的シフトがイオンの質量に依存することを確認した。この実施されたデータ分析は、各チップ上の各アドレス可能位置における各ペプチドについての補正因子を決定することを含んだ。この補正因子をペプチドのアドレス可能位置に対してプロットした。このプロットによって、サンプル基板上のアドレス可能位置についての単一の補正因子が、イオンの質量に拘らず、誤差を補正するために使用され得るという仮定を確認した。
使用された実験手順は、以下に概要される。
まず、複数のペプチド標準物質を5つのチップ上の8つの点のそれぞれの上に堆積した。このチップ上の8つの点は、同一の位置であった。各点は、エネルギー吸収分子(SPA(シナピン酸))を含んだ。全てのデータを、同じ条件下(すなわち、同一のレーザ力、同一のイオン集束タイムラグ条件、イオン加速エネルギーおよび同一の質量分析器)の下で収集した。各チップについて、チップ上の1つの点を基準アドレス可能位置として記録した。各点における各ペプチドと関連する飛行時間値を記録した。このペプチド標準物質は、以下であった:Arg−バソプレシン(1084.2474Da)、ソマトスタチン(1637.9030Da)、ウシインスリンβ鎖(3495.9409Da)、ヒトインスリン(5807.6533Da)、およびヒルジンBHVK(7033.6136Da)(これらの各々は、示されるような平均分子量を有する)。
2番目に、各チップ上の各点における5つのペプチド全てについてのイオンについての飛行時間値が得られた。得られた飛行時間値を表I〜Vに示す。以下の表において、「%RSD」は、相対標準偏差を表す((標準偏差/平均値)×100)。示される全ての時間は、マイクロ秒である。
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このデータを、5つのペプチドについての5つの点の合計について、各チップに重ね合わせた。5つのチップの各々上の各点上の各ペプチドに関連する平均飛行時間値が得られた。飛行時間値 対 点アドレス可能位置のプロットを、他のプロットと重ね合わせた。重ね合わせたプロットを図7〜11に示す。図7〜11に示される曲線の各々は、同一の一般的な形状を有するが、評価された5つのペプチドは、非常に異なる質量値を有した。さらに、図7〜11の各々は、飛行時間値が、較正物質の特定のアドレス可能位置に依存して変化することを示す。合わせると、図7〜11は、飛行時間値における誤差は、統計的であり、この統計的誤差は、完全に再現可能であることおよび誤差が外部の標準的な質量割り当て誤差の主要な原因であることを示している。
第3に、ペプチドイオンの各々について飛行時間値が得られた後、補正因子を、各アドレス可能位置における各ペプチドイオンについての飛行時間値であるToFと、基準アドレス可能位置におけるペプチドについての飛行時間値であるToFで割ることによって計算した。この例において、基準アドレス可能位置は、点1であった。計算した補正因子を表VI〜Xに示す。
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補正因子(Tof/Tof) 対 アドレス可能位置のプロットを5つのチップ全てについて作成した。各ペプチドに関連するデータを得、その結果5つのチップについての5つのプロットの合計を作成した。このプロットを重ね合わせることによって、飛行時間値誤差に対する補正がイオンの質量に依存すること、および単一の補正因子が、このような誤差を補正するために使用され得るという仮定が確認された。
重ね合わせられたプロットは、図12〜16に示す。図12〜16によって明らかであるように、補正因子の単一のセットが、サンプル基板上の異なるアドレス可能位置に関連する誤差を補正するために使用され得る。例えば、図12〜16中のグラフを見ると、補正因子(Tof/Tof)の各々は、一般的には、1から1.0012の間に収まる。これは、異なる質量を有する多くの異なるペプチドであるこの場合は、補正因子を作成するために使用された。従って、図12〜16に関連するデータは、質量誤差に対する補正がイオン質量に依存すること、および単一のセットの補正因子がいくつかの基板にわたる質量誤差を補正し得ることを示す。
本明細書中で使用される用語および値は、記述の用語として使用され、限定ではない。そして示され、記載される特徴の等価物を除くこのような用語および値の使用、またはその一部における意図は存在せず、種々の改変が特許請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。さらに、本発明の任意の実施形態の1つ以上の他の特徴のいずれかは、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の任意の他の実施形態の任意の1つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
本明細書中で引用される全ての公開物および特許文書は、各個々の公開物または特許文書がそれぞれ示されるのと同じ程度まで、全ての目的のためにその全体が参考として援用される。この出願文書における種々の参考文献の引用は、任意の特定の参考文献がこれらの発明に対する「先行技術」であるとは認めない。
図1は、イオンを作製および脱着するための、レーザーを用いる質量分析計の概略図である。 図2は、平行抽出飛行時間型質量分析計を示す。 図3は、本発明の実施形態に従う較正方法において用いられるいくつかの工程を例示するフローチャートを示す。 図4は、異なるアドレス可能位置を有する基板の平面図を示す。 図5は、飛行時間型質量分析計についての別の概略図を示す。 図6(a)〜図6(c)は、それぞれ、サンプル基板上の異なるアドレス可能位置上でのイオン化較正物質についての質量スペクトルを示す。 図7は、飛行時間 対 Arg−Vasopressinのスポットのプロットを示す。 図8は、飛行時間 対 ソマトスタチンのスポットのプロットを示す。 図9は、飛行時間 対 ウシインスリンβ鎖のスポットのプロットを示す。 図10は、飛行時間 対 ヒトインスリンのスポットのプロットを示す。 図11は、飛行時間 対 ヒルジン BHVKのスポットのプロットを示す。 図12は、Tof/Tof 対 チップ1のスポットのプロットを示す。 図13は、Tof/Tof 対 チップ2のスポットのプロットを示す。 図14は、Tof/Tof 対 チップ3のスポットのプロットを示す。 図15は、Tof/Tof 対 チップ4のスポットのプロットを示す。 図16は、Tof/Tof 対 チップ5のスポットのプロットを示す。

Claims (21)

  1. 飛行時間型質量分析計を較正するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)サンプル基板上の異なる複数のアドレス可能位置の各々における較正物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を決定する工程;
    b)基準アドレス可能位置として、該基板上の該アドレス可能位置のうちの1つを同定する工程;および
    c)該基準アドレス可能位置上の該較正物質についての、該飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を使用して、該基板上のそれぞれの該アドレス可能位置についての複数の補正因子を計算する工程、
    を包含し、ここで、各補正因子は、該基準アドレス可能位置に対して、該複数のアドレス可能位置内のアドレス可能位置上の該較正物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を較正する、
    方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、以下:
    d)メモリーに前記計算された補正因子を保存する工程、
    をさらに包含する、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記サンプル基板が第1サンプル基板であり、そしてここで、前記複数の異なるアドレス可能位置が第1の複数のアドレス可能位置であり、そしてここで、該方法は以下:
    d)第2のサンプル基板上の第2の複数のアドレス可能位置上の分析物についての、引き続く飛行時間値または該引き続く飛行時間値から誘導される値に対して前記補正因子を適用する工程であって、ここで、該第1の複数のアドレス可能位置および第2の複数のアドレス可能位置は、それぞれ、該第1のサンプル基板および該第2のサンプル基板上の対応する位置にある、工程、
    をさらに包含する、方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記a)の前に、以下:
    d)前記基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々の上に前記較正物質を堆積する工程;
    e)質量分析器内に該基板を挿入する工程;および
    f)該異なるアドレス可能位置の各々において該較正物質を脱着およびイオン化する工程、をさらに包含する、方法。
  5. 前記異なるアドレス可能位置の各々が、複数の異なる較正物質を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記較正物質がポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記b)工程が前記a)工程の前に起こる、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、c)補正因子を計算する工程が、以下:
    d)前記基板上の各アドレス可能位置についての各補正因子であるTof/Tofを決定する工程であって、ここで、Tofは該基板上のアドレス可能位置Xにおける前記較正物質についての飛行時間値であり、ここでXは変数であり、そしてここでTofは該基板上の基準アドレス可能位置Rにおける該較正物質についての該飛行時間値である、工程、
    を包含する、方法。
  9. 前記方法が以下:
    d)メモリー中に前記補正因子を保存する工程、
    をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、以下:
    e)メモリーから前記保存された補正因子を検索する工程;および
    f)他の基板上の分析物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値に対して、該補正因子を適用する工程、
    をさらに包含する、方法。
  11. 質量分析器であって、以下:
    a)イオン化粒子を生成するイオン化源;
    b)該イオン化粒子を検出しそして該イオン化粒子の検出に応答する信号を生じる、検出表面を有するイオン検出器;
    c)該イオン検出器からの該信号をデジタル信号に変換するように適合されるデジタル変換デバイス;
    d)該デジタル変換器に作動可能に連結されるトリガーデバイスであって、該トリガーデバイスは、該イオン検出器への該イオン化粒子の飛行に関係する時間を測定するための期間を開始する、デバイス;
    e)該デジタル変換器に接続されるデジタルコンピュータであって、該デジタルコンピュータは、該デジタル変換器からの該デジタル信号を処理するように適合される、コンピュータ;および
    f)該デジタルコンピュータに接続されるメモリーであって、該メモリーは、請求項1に記載される方法に従って計算される補正因子を保存する、メモリー、
    を備える、質量分析器。
  12. 飛行時間質量分析プロセス中で補正因子を使用する方法であって、該方法は、以下:
    a)第2のサンプル基板上のアドレス可能位置の各々における分析物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を決定する工程;
    b)メモリーから補正因子を検索する工程であって、該補正因子は、i)第1のサンプル基板上の第1の複数のアドレス可能位置の各々における較正物質についての飛行時間値を決定する工程、ii)基準アドレス可能位置として、該第1のサンプル基板上の該第1の複数のアドレス可能位置のうちの1つを同定する工程、およびiii)該基準アドレス可能位置上の該較正物質についての該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を使用して、該第1のサンプル基板上のそれぞれのアドレス可能位置についての複数の補正因子を計算する工程であって、ここで、各補正因子は、該基準アドレス可能位置に対して、第1の複数のアドレス可能位置内のアドレス可能位置上の該較正物質についての、該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を較正する、工程、によって作成される、工程;および
    c)該第2のサンプル基板上の該第2の複数のアドレス可能位置における該分析物質についての、該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値に対して該補正因子を適用する工程、
    を包含する、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、ここで、c)前記補正因子を適用する工程が、以下:
    前記分析物質についての前記飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値と、前記補正因子を掛けて、前記第2のサンプル基板上の該分析物質についての較正された飛行時間値を得る工程、
    を包含する、方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、該方法は、前記a)の前に前記工程i)、ii)、およびiii)を実施する工程をさらに包含する、方法。
  15. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々における前記較正物質についての飛行時間値を決定する工程が、以下:
    前記第1のサンプル基板上の前記第1の複数アドレス可能位置の各々における複数の異なる較正物質についての飛行時間値を決定する工程、を包含する、
    方法。
  16. コンピュータ読み取り可能媒体であって、該媒体は以下:
    a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々における較正物質についての飛行時間値を決定するためのコード;
    b)基準アドレス可能位置として、該サンプル基板上の該アドレス可能位置のうちの1つを同定するためのコード;および
    c)該基準アドレス可能位置上の該較正物質についての該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を使用して、該基板上の該それぞれのアドレス可能位置についての複数の補正因子を計算するためのコード、
    を備え、ここで、各補正因子は、該基準アドレス可能位置に対して、該複数のアドレス可能位置内のアドレス可能位置上の該較正物質についての該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を補正する、
    コンピュータ読み取り可能媒体。
  17. 請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能媒体であって、以下:
    d)メモリー中に前記補正因子を保存するためのコード、
    をさらに備える、コンピュータ読み取り可能媒体。
  18. 請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能媒体であって、ここで、前記サンプル基板が第1のサンプル基板であり、そして前記複数の異なるアドレス可能位置が第1の複数アドレス可能位置であり、そして該媒体が以下:
    d)第2のサンプル基板上の第2の複数のアドレス可能位置上の分析物についての引き続く飛行時間値または該引き続く飛行時間値から誘導される値に対して前記補正因子を適用するためのコードであって、ここで、該第1の複数アドレス可能位置および該第2の複数アドレス可能位置は、それぞれ、該第1のサンプル基板および該第2のサンプル基板上の対応する位置にある、コード、
    をさらに備える、コンピュータ読み取り可能媒体。
  19. 請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能媒体であって、以下:
    d)前記サンプル基板上の各アドレス可能位置についての各補正因子であるTof/Tofを決定するためのコードであって、ここで、Tofは該基板上のアドレス可能位置Xにおける前記較正物質についての飛行時間値であり、ここでXは変数であり、そしてここでTofは該サンプル基板上の基準アドレス可能位置Rにおける該較正物質についての該飛行時間値である、コード、
    をさらに備える、コンピュータ読み取り可能媒体。
  20. 飛行時間質量分析器を較正するための方法であって、該方法は、以下:
    a)サンプル基板上の異なる複数のアドレス可能位置の各々における較正物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を決定する工程;
    b)基準アドレス可能位置として、該基板上の該アドレス可能位置のうちの1つを同定する工程;
    c)該基準アドレス可能位置上の較正物質についての、飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を使用して、該基板上の該それぞれのアドレス可能位置についての複数の補正因子を計算する工程であって、ここで、第1の複数の補正因子中の各補正因子は、該基準アドレス可能位置に対して、複数の該アドレス可能位置内のアドレス可能位置上の該較正物質についての飛行時間値または該飛行時間値から誘導される値を補正する、工程;
    d)該複数の第1の補正因子を使用して関数を作成する工程;および
    e)該関数を使用して複数の第2の補正因子を推定する工程、
    を包含する、方法。
  21. コンピュータ読み取り可能媒体であって、以下:
    a)サンプル基板上の複数の異なるアドレス可能位置の各々における較正物質についての飛行時間値を決定するためのコード;
    b)基準アドレス可能位置として、該サンプル基板上の該アドレス可能位置のうちの1つを同定するためのコード;
    c)前記基準アドレス可能位置上の該較正物質についての該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を使用して、該基板上の該それぞれのアドレス可能位置についての第1の複数の補正因子を計算するためのコードであって、ここで、該第1の複数の補正因子中の各補正因子は、該基準アドレス可能位置に対する複数のアドレス可能位置内のアドレス可能位置上の該較正物質についての該飛行時間値または該飛行時間値から誘導された値を補正する、コード;
    d)該第1の複数の補正因子を使用して関数を作成するためのコード;および
    e)該関数を使用して第2の複数の補正因子を推定するためのコード、
    を備える、コンピュータ読み取り可能媒体。
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