JP2006032207A - 飛行時間分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン発生器とイオン信号記録器のタイミングを一致させて、測定回数の少ない場合においてもピーク中心位置を高い精度で決定できる飛行時間分析装置を提供する。
【解決手段】イオン発生器と、クロックに同期して動作するイオン信号記録器とを備えた飛行時間分析装置において、イオン信号記録器でクロックに同期したトリガ信号を生成し、このトリガ信号でもってイオン発生器でイオンを発生させる。
イオンが加速されるタイミングと、イオン検出器で検出されたイオンの信号をイオン信号記録器でデジタル変換して記録するタイミングとの同期が取れるので、従来技術で問題となっていたタイミング誤差の発生を抑えることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、イオンを発生させて、その飛行時間を測定する飛行時間分析装置に関する。本発明に係る飛行時間分析装置は、例えば、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析装置や、イオントラップをイオン源として利用する飛行時間型質量分析装置などに使用される。
飛行時間型質量分析装置は、イオン発生器においてイオンを発生させてから、すなわち、イオンを一定の速度に加速して飛行空間に排出してから、一定距離の飛行空間を飛行させた後に、イオン検出器に到達したイオンの信号を検出するまでの時間を、イオン信号記録器で測定して記録し、その情報からイオンの質量を計測する分析装置である。
例えば、非特許文献1には、レーザー照射により発生させたイオンを加速して、イオン検出器に到達するまでの飛行時間を測定することで質量分析を行う「マトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOFMS)」が開示されている。また、非特許文献2には、イオントラップに蓄積されたイオンを加速して、イオン検出器に到達するまでの飛行時間を測定することで質量分析を行う「イオントラップ飛行時間型質量分析装置(IT-TOFMS)」が開示されている。この他にも、イオン照射により二次イオンを発生させ、これをイオン発生器として利用する飛行時間型質量分析装置など、様々な飛行時間型質量分析装置が存在する。
従来、飛行時間分析器のイオン信号記録器には、時間/デジタル変換器(TDC; Time to Digital Converter)が使用されることが多かった。TDCでは、一定のクロックでカウンタを動作させ、スタート信号を受け取った時点でのカウンタ値とストップ信号を受け取った時点でのカウント値との差から、スタート信号とストップ信号の時間差を測定する。
図1に示されるTDCを使用する飛行時間型質量分析装置においては、制御回路からイオン発生器にトリガ信号を送信してイオンの飛行を開始すると同時に、このトリガ信号をスタート信号としてTDCに入力する。一方、イオンがイオン検出器に到達した時点で、イオン検出器からパルス出力が生成され、このパルス信号をストップ信号としてTDCに入力する。TDCは、スタート信号とストップ信号の入力時のカウンタ値の差を記録し、データ処理装置へと出力する。あるいは、カウンタ値は常時0にリセットされていて、スタート信号の入力によりリセットが解除されてカウントを開始し、ストップ信号の入力によりカウントを停止して、そのときのカウント値を記録することもある。
TDCのクロック周波数は既知であるので、カウンタ値にクロックの一周期分の時間を掛けることにより、容易に飛行時間が計算される。この飛行時間と、イオンのエネルギーや飛行距離などの情報から、イオンの質量が計算される。しかし、飛行時間の分析精度を向上するためには、イオンのエネルギーのばらつきを補正するために、リフレクターなどが設置されており、その内部をイオンが飛行する際には、イオンの減速や再加速を行っているため、計算は容易ではない。
そこで、イオンの質量を計算する簡便な方法は、イオンのエネルギーや距離が、イオンの質量によらず一定であれば、飛行時間がイオンの質量の平方根に比例することを利用する。まず、質量が既知のイオンの飛行時間をあらかじめ測定しておく。次に、質量が未知のイオンの飛行時間を測定する。その測定値を質量が既知のイオンの飛行時間で割り、その値を自乗し、さらにその値を既知のイオンの質量に掛けることにより、未知のイオンの質量が計算される。
実際の装置では、質量の異なるイオンに対して、イオン発生器におけるイオンの初期位置やエネルギーにばらつきが生じたり、加速の程度が異なることがあるために、厳密に比例関係を得るのが難しい。そこで、質量が既知である複数のイオンの飛行時間をあらかじめ測定しておき、これらのデータをもとに、質量に依存する飛行時間の誤差を補正するなどの手続きが取られている。
初期のTDCにおいては、スタート信号の入力に対して、最初のストップ信号が入力されるまでの時間差だけが測定される。この場合、一回の測定につき、最初にイオン検出器に到達した一つのイオンパルスしか測定することができなかった。そこで、実際の装置では、複数個のストップパルスに対して、それぞれの飛行時間に対応する個別のカウント値を出力できるマルチストップ型のTDCが使用されている。
TDCをイオン信号記録器に使用する利点は、測定回路が単純で、測定周期を短くして高速な測定ができることが挙げられる。その反面、マルチストップ型のTDCを使用した場合でも、一回の測定で測定できるイオンパルスの数には限度がある。このため、信号強度を抑えて、イオンパルスの数を減らして測定を行う必要がある。したがって、計数値の変動によるS/Nを向上するためには、多数回の測定を行うことが必要となる。また、複数のイオンが近接した時刻にイオン検出器に到達する場合、後から到着するイオンを測定するためにカウンタを切り替える時間が不十分となり、このイオンを測定することができず、不感時間を生じることになる。
このようなTDCの欠点を回避するために、最近ではアナログ/デジタル変換器(ADC; Analog to Digital Converter)を使用する飛行時間型質量分析装置が増えている。デジタルデータ処理技術の向上により、ADCでもTDCと同等の時間精度が得られるようになってきている。
図2に、ADCを使用する飛行時間型質量分析装置を示す。ADCを使用する方式は、基本的にはデジタルストレージオシロスコープ(DSO; Digital Storage Oscilloscope)と同様の原理である。スタート信号でADCにトリガをかけて、イオン検出器に到達したイオン数に比例した振幅のアナログ信号をイオン検出器から入力し、これをデジタル信号に変換して時系列で記録し、データ処理装置で表示する。DSOでは横軸が時間で表示されるのに対して、飛行時間型質量分析装置においては、横軸を質量に変換して表示する点が異なる。
TDCが、イオンの到着時刻のヒストグラムを生成するのに多くの測定回数を必要とするのに対して、ADCを使用した場合、イオンの到着個数に比例した信号強度が得られるので、少ない測定回数で、S/Nの良い質量スペクトルを収集することが可能になる。
多くの質量分析装置では、質量範囲や装置の大きさにも依存するが、数μsから数10μsの飛行時間を測定する。質量分解能として10000が要求されるとすると、飛行時間の測定精度は、飛行時間の20000分の1である必要がある。したがって、およそ1ns程度の精度で飛行時間を算出する必要がある。このため、イオン信号記録器でADCを動作させているクロック周波数は1GHzか、それ以上の周波数である必要がある。
このように高い周波数でADCを動作させることは、最近のDSOの技術を持ってすればさほど困難ではない。しかし、例えばクロック周波数を1GHzから2GHzに増加させると、同じ飛行時間範囲を測定する場合において、2倍のデータが発生することになる。仮に、飛行時間の測定範囲を100μsとすると、一回の測定で発生するデータ量は、100000から200000に倍増する。4GHzにすればさらにその倍に膨れ上がる。これらのデータは、データ処理装置において単に記録されるだけではなく、積算処理を行ったり、時間から質量に変換してリアルタイムで表示したりするなどの処理が行われる。したがって、無制限にクロック周波数を増加させることはできず、データの処理速度に応じたデータ量に抑えるべくクロック周波数を決定する必要がある。このような理由から、通常のADCを使用した飛行時間質量分析装置では、イオン信号記録器に使用するADCを動作させるクロック周波数として1GHz程度の周波数が選ばれている。
一方で、質量精度に対する要求も日ごとに高まっている。DNAやペプチド(たんぱく質の構成要素)などの高分子試料の質量測定においては、質量の測定精度が、分子構造解析の成否を左右する重要な要因となる。仮に、質量の測定精度を10ppmとすると、飛行時間の測定精度には5ppmが必要となる。例えば、40μsの飛行時間を有するイオンに対して許される飛行時間の測定精度は200psとなる。
1GHzのクロック周波数でADCを動作させた場合、デジタル変換の周期は1nsである。このクロック周波数で測定されたイオン信号ピークの形状は、図3に示すように1ns間隔の折れ線グラフのようになり、これらの個々のデータ点を計算処理することにより、ピーク中心の位置を計算する。例えば、個々のデータ点を信号強度で重み付けすることにより、重心を求める方法などが行われる。このような計算処理により、ADCのサンプリング間隔よりも高い精度で、飛行時間を測定することが可能である。
一般に、イオンの量、初期位置、エネルギー等にはばらつきがあって、測定ごとにピークの形状が異なる。このため、複数回の測定を行い、そこで得られたデータを積算して平均化されたスペクトルを求めると、再現性良く真のピーク形状が得られる。ところが、分析する試料が常には供給されていない場合には、測定に許される回数が充分に得られず、このため、ピーク中心位置測定の精度が低くなってしまうという問題が生じる。例えば、高速液体クロマトグラフ質量分析計においては、高速液体クロマトグラフで分離された試料をイオン発生器に導入して質量分析を実行するため、試料中の成分が時間と共に変化する。特定の成分がイオン発生器に導入されている間に分子構造解析に必要な質量分析を完了するためには、少ない測定回数で確度の高いピーク中心位置の決定を行うことが求められる。
従来の飛行時間型質量分析装置においては、制御装置からイオン発生器にイオンの加速を指示するトリガ信号を発すると同時に、イオン信号記録器にスタート信号を送信してTDCカウンタをスタートしたり、ADCでのデータ収集を開始したりする。この時、スタート信号もしくはトリガ信号は、TDCやADCのクロックとは同期が取れていないため、実際にTDCカウンタがスタートしたり、ADCのデータ収集が開始したりするのは、スタート信号もしくはトリガ信号が変化したことを、イオン信号記録器のクロックのエッジで検出するタイミングである。したがって、仮にイオン信号記録器に1GHzのクロックを使用している場合、イオン発生器のイオン加速のタイミングと、イオン信号記録器によるデータ収集のタイミングに、最大で1nsの誤差が生じてしまうことになる。
もちろん、クロック周波数を増加するにつれて誤差は減少する。しかし、上述したとおり、クロック周波数を増加するにしたがって処理すべきデータ量が増大するため、必要以上にクロック周波数を増加するわけにはいかない。また、スタート信号の検出だけを高速のクロックで行って、クロックが非同期であるために発生する上記誤差を減少させると同時に、この高速のクロックを必要なだけ分周してTDCやADCの動作クロックを合成することも可能である。しかし、クロックが非同期であるために発生する誤差を完全にゼロにすることはできない上に、クロック周波数の増大に伴うノイズの発生や、余分な分周回路を付加するために、コストの上昇や発熱量の増加などの悪影響が発生することになる。
田中耕一,「マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法」,ぶんせき,4,pp.253-261(1996) Benjamin M. Chien, Steven M. Michael and David M. Lubman,「The design and performance of an ion trap storage-reflectron time-of-flight mass spectrometer」,International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes,131,pp.149-179(1994)
上述のように、従来の飛行時間型質量分析装置においては、イオン発生器でのイオンの加速の開始のタイミングと、イオン信号記録器のクロックとが同期していないために、最大で、クロックの一周期分に相当する時間だけ、データの収集のタイミングにずれが生る。特に、測定回数が少ない場合においては、ピークの中心位置測定の精度が劣化する支配的な要因となる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、イオン発生器とイオン信号記録器のタイミングを一致させて、測定回数の少ない場合においてもピーク中心位置を高い精度で決定できる飛行時間分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の飛行時間分析装置では、イオン発生器と、クロックに同期して動作するイオン信号記録器とを備えた飛行時間分析装置であって、前記イオン信号記録器で前記クロックに同期したトリガ信号を生成し、前記トリガ信号でもって前記イオン発生器でイオンを発生させる、ことを特徴とする。
さらに、請求項2に記載の飛行時間分析装置においては、前記イオン信号記録器が、アナログ/デジタル変換器(ADC)を使用する、ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の飛行時間分析装置においては、前記イオン信号記録器が、時間/デジタル変換器(TDC)を使用する、ことを特徴とする。
本発明の原理を、図4に示すADCを使用する飛行時間型質量分析装置を例に説明する。
測定を開始するにあたって、まず、制御回路からイオン信号記録器(ADC)にスタート信号を送信して、イオン検出器より出力されるアナログ信号のデジタル変換と記録を開始させる。これと同時に、スタート信号を受信してデータの収集を開始したことを知らせるトリガ出力信号を生成し、イオン発生器に送信する。トリガ信号を受け取ったイオン発生器は、イオンを加速して、イオンの飛行を開始する。イオンがイオン検出器に到達した時点で、到達したイオン数に比例した振幅のアナログ信号がイオン検出器からイオン信号記録器(ADC)に送られ、イオンピークとして記録される。得られたデータは、データ処理装置に送られ、横軸を質量に変換して表示したり、ピーク位置の計算や、その他の様々な処理が行われる。
イオン信号記録器の内部では、クロックに同期した処理が行われているため、入力されたスタート信号と、デジタル変換のタイミングは同期が取れていないが、デジタル変換のタイミングと、イオン発生器に送られるトリガ信号とは、イオン信号記録器の内部クロックで同期が取れている。したがって、このトリガ信号を用いてイオン発生器でイオンが加速されるタイミングと、イオン検出器で検出されたイオンの信号をデジタル変換して記録するタイミングとの同期が取れるので、従来技術で問題となっていたタイミング誤差の発生を抑えることができる。
上述したように、本発明に係る飛行時間分析装置によれば、イオン信号記録器でデータの収集を開始するタイミングを知らせるトリガ信号を、イオン信号記録器内部のクロックで同期して生成し、このトリガ信号でもってイオン発生器でのイオンの加速を開始することにより、イオン信号記録器のクロックがイオンの発生と非同期で動作することにより発生するタイミング誤差を抑えることができる。また、これにより、測定回数が少ない場合においても、イオンピークの中心位置が安定しているため、検出されたイオンの質量を確度良く決定することが可能になる。このため、高速液体クロマトグラフ質量分析計などのように、試料中の成分が時間と共に変化しているような場合でも、特定の成分がイオン発生器に導入されている短い時間内に、その特定の成分の分子構造解析に必要な質量分析を完了することができる。
以下、本発明に係る飛行時間分析装置の一例として、高速液体クロマトグラフイオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC-IT-TOFMS)について説明する。図5はこの質量分析装置の要部の構成図である。
高速液体クロマトグラフ(LC)1は、液体状の試料を注入して、その成分の特性によって異なる時間に放出する分析計である。本発明に係る装置においては、質量分析を行うための前処理装置として使用している。LCから時系列的に放出される液体試料は、イオン導入光学系2によってイオン化され、真空中に導入される。イオン導入光学系は、イオン化プローブ、イオンガイドからなる。イオン化にはエレクトロスプレーイオン化や大気圧化学イオン化(共に図示せず)などのイオン化プローブが使用され、試料を液滴化し、溶媒を蒸発させ、電荷を付与することによりイオンを生成する。これらのイオンは差動排気を行いながら、真空中のイオンガイドへと送られ、多重極電場により濃縮保持される。蓄積されたイオンは、適当なタイミングで飛行時間分析器3の構成要素であるイオントラップへと送られる。
飛行時間分析器3は、イオン発生器と、飛行空間14とイオンリフレクタ15とイオン検出器16から構成されている。
イオン発生器には、イオントラップが使用され、一つのリング電極11と二つの互いに対向するエンドキャップ電極12、13により構成されている。リング電極11には高周波高電圧が印加されて、一対のエンドキャップ電極12、13との間に形成される四重極電場によってイオン捕捉空間21を形成し、そこにイオンを捕捉する。イオントラップ内では、イオンの選別や解離を行って、飛行時間質量分析を行う前の予備分析が行われる。イオントラップの各電極11、12、13は、イオントラップ電源4に接続されており、分析ステップに応じて適当な電圧が印加される。また、イオントラップ電源4は、トリガ信号の入力により、イオン捕捉空間21に捕捉されているイオンを加速して、飛行空間14へと放出し、イオントラップを飛行時間分析器3のイオン発生器として機能させる。
具体的には、トリガ信号を入力すると同時に、例えば正イオンを測定する場合には、リング電極11の電圧を0Vにし、エンドキャップ電極12の電圧を+5370Vにし、エンドキャップ電極13の電圧を-10000Vにする。この操作により、正イオンは飛行空間14へ加速されて導入される。
飛行空間14は、例えば正イオンを測定する場合には、イオン加速時のエンドキャップ電極13の電圧と同じ電圧である−10000Vにする。したがって、この中を飛行するイオンには電界がかからず、一定の速度で飛行する。
飛行空間14の端部には、イオントラップから導入されたイオンを反射するためのイオンリフレクタ15が設置されており、イオントラップ内部でのイオンの初期位置やエネルギーのばらつきを補正するべく適当な電圧が印加されている。イオンリフレクタ15に入射したイオンは、イオンリフレクタ15の内部電界で減速された後、再びイオン検出器16へ向かって再加速される。
イオンリフレクタ15で反射されたイオンは、再び飛行空間14の内部を一定の速度で飛行し、イオン検出器16へ到達する。イオン検出器16にはMCPが使用されており、到達したイオンの数に比例した振幅のアナログ信号パルスを発生する。
また、飛行空間14、イオンリフレクタ15、イオン検出器16にも、図示しない電源が接続されており、イオンの極性などに応じて適当な電圧が印加されている。
イオン検出器(MCP)16から発生するアナログ信号は、イオン信号記録器(トランジェントレコーダ)5の信号入力端子に接続されている。イオン信号記録器5は2GHzの内部クロックで動作しており、スタート信号の入力により測定を開始する。測定の開始時には、2GHzの内部クロックを分周して1GHzのサンプリングクロックを生成し、1ns間隔でデータをアナログ変換して記録している。
イオン信号記録器5で収集されたデータは、適当なタイミングでデータ処理装置6へ送られ、横軸を質量に変換して表示したり、ピーク位置の計算や、その他の様々な処理が行われる。
制御回路7では、上記構成要素のそれぞれの電圧やタイミングを、分析の各フェーズに応じて制御している。
イオンをイオン発生器であるイオントラップから放出させて飛行時間分析を開始する際には、スタート信号をイオン信号記録器5に送信する。スタート信号を受信したイオン信号記録器5は、2GHzの内部クロックに同期してスタート信号を検知し、1GHzのサンプリングクロックを合成してデータの収集を開始すると同時に、トリガ出力信号を生成して、イオントラップ電源4へと送信する。このトリガ出力信号と、1GHzのサンプリングクロックとは、同一の2GHzの内部クロックから合成されているため、同期が取れている。
イオン信号記録器5からのトリガ信号を受信したイオントラップ電源4は、イオントラップの各電極に上述のごとく、イオン加速用の電圧を印加する。このトリガ信号からイオン加速電圧の印加に至る経路には、クロックで動作する処理は介在せず、全てアナログ回路で結線されているため、トリガ信号に同期したイオンの加速が行えるようにされている。
したがって、トリガ信号によるイオンの発生と、イオン検出器16からのアナログ信号をイオン信号記録器5でサンプリングするタイミングとは、完全に同期が取れており、制御回路7からイオン信号記録器5に送られるスタート信号と、イオン信号記録器5の内部クロックとのタイミングには全く依存しない。
図6に、上記実施例である高速液体クロマトグラフイオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC-IT-TOFMS)で測定した質量ピーク位置の測定結果のばらつきを示す。一回の測定で複数の質量ピークが観測されるので、そのそれぞれの質量ピークの中心位置を求める。この測定を40回繰り返し、各質量ピークの平均値を求め、各質量ピークの平均値からのずれをプロットしたものが図6である。各質量ピークによって多少ばらつきの幅は異なるが、これはイオンの信号強度が低い場合に、S/Nが劣化するためであり、概ね±5ppm程度のばらつきである。一般の分析では、数回の測定を平均したものから質量ピークの中心位置を求めるので、平均する測定の回数の平行根に反比例してばらつきは減少する。例えば、4回の測定の積算値から質量ピークの中心位置を求めると、概ね±2.5ppm程度のばらつきに減少することになる。
図7は、従来の装置と比較するために、上記実施例の装置において、イオン信号記録器5からイオントラップ電源4へのトリガ信号の接続を切り、代わりに、制御回路7からのスタート信号を、直接イオントラップ電源4のトリガ信号として入力し、図6と同様の測定を行ったものである。この場合、イオン信号記録器5の内部クロックの一周期に相当する500psのタイミングずれが発生しているので、およそ±10ppmのばらつきが発生している。
以上の結果から、上記実施例において、質量ピークの中心位置の決定精度がほぼ倍に向上することが確認された。これにより、同一精度の測定を行う際には、測定回数を4分の1に短縮できることになり、複雑な構造解析を行うために充分な時間を確保でき、質量分析装置の性能を向上させることになる。
なお、図6においても±5ppm程度のばらつきが残っているのは、トリガ信号からイオントラップの各電極にイオン加速用の高電圧を印加する際のジッタ−や電圧の揺らぎ、さらには、飛行空間14やイオンリフレクタ15やイオン検出器16に印加する電圧の揺らぎなどにも影響されるため、これらを安定化することによって、さらに性能を改善することが可能である。
一方、従来の方法によれば、イオン発生器と同期していないイオン信号記録器5の2GHzの内部クロックによる500psのタイミングずれが主要な原因であり、性能を改善する余地はない。
上記実施例は本発明の単なる一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正したものも本発明に包含されることは明らかである。
TDCを使用する飛行時間型質量分析装置。 ADCを使用する飛行時間型質量分析装置。 1GHzのクロック周波数のADCで測定されたイオンピーク近傍のデータの一例。 本発明に係るADCを使用する飛行時間型質量分析装置。 本発明の一実施例である高速液体クロマトグラフイオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC-IT-TOFMS)の要部の構成図。 本発明の一実施例である高速液体クロマトグラフイオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC-IT-TOFMS)で測定した質量ピーク位置の測定結果のばらつき。 従来の高速液体クロマトグラフイオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC-IT-TOFMS)で測定した質量ピーク位置の測定結果のばらつき。
符号の説明
1…高速液体クロマトグラフ(LC)
2…イオン導入光学系
3…飛行時間分析器
11…リング電極
12、13…エンドキャップ電極
21…イオン捕捉空間
14…飛行空間
15…イオンリフレクタ
16…イオン検出器(MCP)
4…イオントラップ電源
5…イオン信号記録器(トランジェントレコーダ)
6…データ処理装置
7…制御回路

Claims (6)

  1. イオン発生器と、クロックに同期して動作するイオン信号記録器を備えた飛行時間分析装置であって、前記イオン信号記録器で前記クロックに同期したトリガ信号を生成し、前記トリガ信号でもって前記イオン発生器でイオンを発生させる、ことを特徴とする飛行時間分析装置
  2. 請求項1に記載の飛行時間分析装置において、前記イオン信号記録器が、アナログ/デジタル変換器(ADC)を使用する、ことを特徴とする飛行時間分析装置
  3. 請求項1に記載の飛行時間分析装置において、前記イオン信号記録器が、時間/デジタル変換器(TDC)を使用する、ことを特徴とする飛行時間分析装置
  4. イオン発生器と、クロックに同期して動作するイオン信号記録器を備えた飛行時間分析装置の制御方法において、前記イオン信号記録器で前記クロックに同期したトリガ信号を生成し、前記トリガ信号でもって前記イオン発生器でイオンを発生させる、ことを特徴とする飛行時間分析装置の制御方法
  5. 請求項4に記載の飛行時間分析装置の制御方法において、前記イオン信号記録器が、アナログ/デジタル変換器(ADC)を使用する、ことを特徴とする飛行時間分析装置の制御方法
  6. 請求項4に記載の飛行時間分析装置の制御方法において、前記イオン信号記録器が、時間/デジタル変換器(TDC)を使用する、ことを特徴とする飛行時間分析装置の制御方法
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