JP4246662B2 - 飛行時間型質量分析装置および分析方法 - Google Patents

飛行時間型質量分析装置および分析方法 Download PDF

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Description

本発明は飛行時間型質量分析計に関する。
飛行時間型質量分析計では、真空中で試料イオンを一斉に電場加速し、イオンが検出器に到達するまでの飛行時間を計測する。このときイオンの飛行速度(v)は次式(1)で表される。
Figure 0004246662
ここでeは電気素量、Vaは加速電圧、m/zはイオンの質量対電荷比である。
式(1)からわかるように、加速電圧一定の条件では、イオンの飛行速度(従って飛行時間)はイオンのm/zのみに依存する。従ってイオンの飛行時間を測定すればイオンのm/zがわかる。
飛行時間型質量分析計では、1ms以内という極く短時間に、m/z=0から数万程度の広い質量範囲の質量を一度に分析できるものもあり、タンパクなどの微量の生体高分子の分析に特に利用されている。一般的な飛行時間型質量分析計の質量分解能は、数千−数万程度であり、種々の質量分析計の中では中程度である。そのため質量分解能の向上が望まれている。
飛行時間型質量分析計の質量分解能(R)は次式(2)で表される。
Figure 0004246662
ここで、Tはイオンの飛行時間、ΔTはイオンの飛行時間のばらつき(半値幅)である。
式(2)から明らかなように、T一定の条件では、ΔTを小さくするほど分解能が向上する。ΔTは次式(3)で表される。
Figure 0004246662
ここで、
ΔT:イオンの初期分布(空間分布およびエネルギー分布)に起因する飛行時間のばらつき(半値幅、以下同様)、
ΔT:装置の機械加工・組立精度に起因する飛行時間のばらつき、
ΔT:電圧の変動に起因する飛行時間のばらつき、
ΔT:検出系の時間分解能に起因する飛行時間のばらつき、
ΔTetc:その他の要因に起因する飛行時間のばらつき、
である。
飛行時間型質量分析計のひとつとして四重極−飛行時間型質量分析計(Q−TOFMS)が知られている。Q−TOFMSでは、四重極内部で試料イオンを細ビーム化し、これを飛行時間型質量分析部に導入し、ビームの軸方向に対して直交する方向に電場加速して検出器に到達するまでの飛行時間を測定する。飛行時間測定部には通常リフレクトロンが用いられる。
リフレクトロンはイオンの初期空間分布に起因するイオンの飛行時間のばらつきΔTを低減する作用、すなわちΔTを小さくする作用がある。検出器は2枚重ねのマイクロチャンネルプレート(MCP)とアノードで構成され、MCPの両面間およびMCP背面とアノード間にバイアス電圧が印加される。MCP表面にイオンが入射すると二次電子が発生し、MCP内部で電子増幅されてアノードに流れ込む。イオンビームを電場加速する時点を起点としてアノード電流の時間依存性を測定し、時間軸をm/zに変換することにより、質量スペクトルが得られる。
Q−TOFMSでは加速部および検出器の幅が長いほど感度が向上する。しかし加速部および検出器の幅が大きくなるほど電極の平行度や検出器の平坦度の分解能への影響、すなわちΔTmが大きくなり質量分解能が低下する。
アノード電流の記録にはTDC(時間−ディジタル変換器:Time-to-Digital Converter)またはADC(アナログ−ディジタル変換器:Analog-to-Digital Converter)が用いられる。
TDCは、入力信号が予め設定した閾値を超えた場合にデジタル信号1を出力する、パルス計数方式である。しかし、単一のイオンの入射と複数のイオンが同時に入射した場合の区別ができず、いずれの場合もTDCの出力は1となり、1個のイオンと計数してしまう。このため検出器が飽和しやすい。検出器が飽和するとピークがつぶれて質量分解能が低下する。TDCのもう一つの問題点は不感時間が存在することである。すなわち、入力信号が閾値を超えた後に入射するイオンが計測できるまでに、一定の不感時間があることである。不感時間内に入射したイオンは計測できないから、TDCの出力のピーク位置が本来の位置よりも原点側にずれる。すなわち、イオンの到来時間が短いのと同じ状況になり、質量精度が低下する。
一方、ADCでは、アノード電流値を一定の時間間隔で測定しデジタル信号として記録する。ADCの分解能は通常8ビットであり、理想的な条件では同時に256個のイオンを検出可能である。しかし、入射するイオンごとにMCPの電子増倍率がばらつくため、イオン量が少ない場合には、計数方式であるTDCのほうが正確にイオン量を測定できる。またADCの場合には、1個のイオンがMCPに入射したときに発生するパルス電流の波形が質量スペクトルに直接反映され、検出系の時間分解能に起因する飛行時間のばらつきΔTdをパルス電流の時間幅以上に小さくすることはできない。すなわちADCによる質量スペクトルの質量分解能は、飽和が無い理想的条件でのTDCによる質量スペクトルよりも劣る。
質量分解能を向上させるために種々の工夫が施されている。いくつか例示すれば、下記のようである。
特許文献1(特表2001−523378号公報---米国特許第5,654,544号明細書)には、検出器の傾きを調整する機構を備えた飛行時間型質量分析計が開示されている。これによれば、装置の機械加工・組立精度に起因する飛行時間のばらつきΔTを低減して質量分解能を向上できる。
特許文献2(特表2001−504265号公報---米国特許第5,777,326号明細書)には、複数に分割されたアノードにそれぞれ同時にパルス電流が発生した場合に、複数の計数値を与えることのできるTDCの構成が開示されている。これによりTDCの飽和を低減してダイナミックレンジを向上することができる。また検出系の飽和が生じにくくなるために、検出系の時間分解能に起因する飛行時間のばらつきΔTによる分解能および質量精度の低下も起こりにくくなる。
さらに、特許文献3(米国特許出願公開第2002/0175292号明細書)には検出器またはアノードを複数に分割し、それぞれに独立した信号記録部を接続した構成が開示されている。少なくとも一つの検出器またはアノードにTDCを接続し、少なくとも一つの検出器またはアノードにADCを接続することにより、強度の大きいピークについてはADCによる質量スペクトルを、強度の小さいピークについてはTDCによる質量スペクトルを用いて合成スペクトルを求めることによりダイナミックレンジが向上する。またADCの質量スペクトルは一般にTDCの質量スペクトルよりも質量精度が劣るため、TDCの質量スペクトルでADCの質量スペクトルの時間軸を補正することにより、合成スペクトルの質量精度が向上する。また低強度のピークについては、TDCの質量スペクトルを用いるため、ADCのみを用いる場合よりも高分解能である。
特表2001−523378号公報---米国特許第5,654,544号明細書
特表2001−504265号公報---米国特許第5,777,326号明細書 米国特許出願公開第2002/0175292号明細書
飛行時間型質量分析計、特に直交加速式の飛行時間型質量分析計では、各部の電極の平行度や検出器表面の平坦度により質量分解能が制限される。しかし電極の加工・組立精度や検出器の平坦度を向上することは技術的およびコスト的に限界がある。
特許文献1に開示された飛行時間型質量分析計では、検出器の傾きを機械的に調整することにより分解能を最大化する技術が開示されている。この方法による分解能向上効果は、イオンの等飛行時間面の形状と検出器の表面形状とに依存する。例えば、等飛行時間面と検出器表面とがいずれも完全に平坦であるならば、機械的調整機構の調整精度の範囲内において両者を限りなく平行化し、その結果、装置の機械加工・組立精度に起因する飛行時間のばらつきΔTをゼロに近づけることが可能である。しかしこのような状況はまれであり、等飛行時間面と検出器表面が互いに逆方向に反っている場合には、分解能向上効果は乏しい。
特許文献2に開示された飛行時間型質量分析計では、複数のアノードからの信号を同一のメモリに重ね書きすることにより、TDCを用いた検出方式の短所である検出器の飽和を低減し、ダイナミックレンジを向上することができる。しかし、個々のアノードに対向するMCPの領域における飛行時間の位置依存性は、アノード分割しない場合に比べて小さい。しかし全アノードの出力を一つのメモリに重ね書きしているので、装置の機械加工・組立精度に起因する飛行時間のばらつきΔTの影響は低減されない。
特許文献3に開示された飛行時間型質量分析計では、検出器またはアノードを複数に分割してそれぞれに独立に信号記録系を接続する。信号記録系の少なくとも一つにはTDCを、少なくとも一つにはADCを用いることにより、強度の大きいピークについてはダイナミックレンジの広いADCによる質量スペクトルを、強度の小さいピークについてはイオン量をより正確に計測できるTDCによる質量スペクトルを採用することによってダイナミックレンジが向上する。ADCの質量スペクトルは一般にTDCの質量スペクトルよりも質量精度が劣るため、TDCの質量スペクトルでADCの質量スペクトルの時間軸を補正することにより、合成されたスペクトルの質量精度が向上する。また低強度のピークについては、TDCの質量スペクトルを用いるため、ADCのみを用いる場合よりも分解能が高い。検出器またはアノードを分割しているので、個々の検出器またはアノードのサイズは検出器またはアノードを分割しない場合に比べて小さい。従って個々の検出器またはアノードに関するΔTは、検出器またはアノードを分割しない場合に比べて小さい。しかし、ピーク強度に応じてそれぞれの検出系の一方を利用するのであるから、検出感度が犠牲となる。
本発明の課題は、飛行時間型質量分析計において、検出感度を犠牲にすることなく、装置の機械加工・組立精度に起因する飛行時間のばらつきΔTを低減して質量分解能を向上させることである。
本発明では、飛行時間型質量分析計の検出器またはアノードを複数に分割し、各検出器またはアノードにそれぞれ独立の信号記録系を接続する。各信号記録系に記録されたスペクトルデータの時間軸または質量軸をそれぞれの検出器またはアノードごとに予め決定された校正式を用いて校正した後に、校正された各スペクトルデータを加算して1つのスペクトルとするための信号処理を行うための信号処理系を設ける。
本発明では飛行時間型質量分析装置の検出器を複数に分割し、検出器ごとに信号記録部を接続してそれぞれ独立に質量スペクトルを取得し、信号記録部ごとに得られるスペクトルの質量軸をそれぞれ個別に補正した後に、補正された各スペクトルを加算して一つのスペクトルとする。これにより、検出器を分割しない場合に比べて、検出されるイオン量を低下させることなく分解能を向上することができる。
(システム構成)
図1は、本発明の実施例である四重極−飛行時間型質量分析計による質量分析のシステムの全体構成を示すブロック図である。
分析対象の試料は、例えば、液クロマトグラフィ11で時系列的に変化する試料に変換されてイオン源13でイオン化される。イオン化された試料は、内部に四重極イオンガイド17が配置された真空装置内部に導入され、四重極イオンガイド17に入射する。四重極イオンガイド17の内部にはイオンをクーリングする目的でヘリウムあるいは窒素などの中性のバッファーガスがガス導入口15から導入されている。イオンは四重極イオンガイド17を通過する間に室温程度までクーリングされる。四重極イオンガイド17を通過したイオンは、高い真空度に維持されている質量分析部100に備えられる加速部23に入射する。
加速部23は、入射するイオンと平行に配置された2枚以上のイオン引出し電極21および押し出し電極19を備える。押し出し電極19に適当なパルス電圧を印加してイオンをその進行方向と直交する方向に押し出すとともに、イオン引出し電極21により適当な電界を加えて、加速する。加速されたイオンは、ドリフト空間を飛行して平行に配置された2枚以上の反射電極25を備えるリフレクトロン30内部で反転し、再びドリフト空間を飛行してMCPに入射する。アノード電極はA,AおよびAに3分割されてMCPに対向して配置される。3分割されたアノード電極A,AおよびAには、それぞれに、TDC,TDCおよびTDCが接続される。各TDC,TDCおよびTDCの出力は、それぞれに、積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMが接続され、独立に出力が記録される。積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMは信号処理部31に接続され、後述する種々のデータ処理方法を用いて、各積算メモリに記録されたスペクトルデータから一つの質量スペクトルを合成し、保存メモリP−MEMに記録する。なお、信号処理部31はいわゆる計算機を構成するものであり、データ処理法に応じたプログラムを保持するメモリの他入力装置35、表示装置33が接続される。分析結果は表示装置33に表示される。さらに、データ処理法に必要な係数を格納するメモリC−MEMも接続される。
四重極−飛行時間型質量分析計では、四重極イオンガイド17の4本のロッドに印加する直流電圧と加速部の押し出し電極19のパルス電圧の接地電位との電位差により、加速部23に入射するイオンの運動エネルギーが決まる。しかしながらバッファーガスとの衝突等により、加速部23を通過するイオンの運動エネルギーにはある程度のばらつきが生じる。押し出し電極19のパルス電圧は、例えば、100μSの周期で5μSのパルス電圧となるようになされる。この5μSのパルス電圧を受けて、イオンはその進行方向と直交する方向に押し出されるのである。
本発明では、飛行時間型質量分析計の質量分析部100のMCPに対向して配置されるアノード電極はA,AおよびAに3分割されるのみならず、それぞれにTDC,TDCおよびTDCが接続され、これらの出力は、それぞれに、積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに独立に出力が記録される。TDC,TDCおよびTDCのそれぞれは同一のトリガ信号および同一のクロック信号により動作するものとされる。以下、本発明の飛行時間型質量分析計の質量分析部100の動作を説明するが、この説明では、アノードA,AおよびAから積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMまでの直列部分を検出系列と呼ぶことにする。また以下の数式では、検出系列の番号をアノードの番号に対応させ、添字k(k=1−3)で表すことにする。
図2は飛行時間型質量分析計による質量分析の信号処理方法の一般的な例を示す概念図である。
図2の上段は質量分析部100のアノード電極A,AおよびAの各検出系列について横軸に時間、縦軸にTDC出力を取って、TDC出力の時間変化を示す図である。図は二つの質量の試料のデータが得られている例であるが、T,Tがこの試料の質量での標準飛行時間である。四重極イオンガイド17から導入された試料のイオンが押し出し電極19のパルス電圧によって図1の破線で示すように飛行し、リフレクトロン30により反射されて、MCPに入射する結果TDCに出力が得られる。このとき、アノード電極A、Aではイオンの到達時刻が異なる。例えば、中央にあるA検出系列の出力を標準と取ると、A検出系列の出力は標準飛行時間T,TにTDC出力のピークが表われるのに対して、加速部23に近いA検出系列の出力は標準飛行時間T,Tより早い時間にピークが表われ、加速部23から遠いA検出系列の出力は標準飛行時間T,Tより早い時間にピークが表われる。
なお、TDCの出力は、当然ディジタル出力であり、先にも述べたように、TDCは同一のトリガ信号および同一のクロック信号により動作するデータのサンプリングを行った出力を出すものであるが、ここでは、簡便にするため、連続出力として表示した。検出系列ごとにTDC出力は積算メモリA−MEMに保存される。
図2の中段は積算メモリA−MEMに保存されたTDC出力(飛行時間スペクトル)の時間軸を検出系列ごとに時間−質量変換を行って質量軸に変換した状態を示す図である。この変換は信号処理部31で行われる。ここでも、A検出系列を標準と考えて、イオンの質量対電荷比m/zを横軸にとって、標準飛行時間T,Tに対応する共通の質量サンプル点m,mのTDC出力に対応した信号強度を縦軸にとる。A検出系列およびA検出系列についても同様に行う。詳細は後述するが、A検出系列およびA検出系列のそれぞれについて、飛行時間の差を補正して、共通の質量サンプル点m,mの信号強度を縦軸にとる。
図2の下段は、各検出系列の共通の質量サンプル点m,mのTDC出力に対応した信号強度を加算して計測結果を得た状態を示す図である。この段階では、検出系列ごとに共通の質量サンプル点m,mのデータとされているので、単純に加算すれば良い。その結果、飛行時間T,Tに対応する共通の質量サンプル点m,mにピークが表われる計測結果が得られる。
(第1の信号処理)
図3は本発明による第1の信号処理について説明する図である。
図3の最上段は、各検出系列の積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに記録された飛行時間スペクトクルを示す図である。横軸は時間であり、縦軸は信号強度である。各検出系列のデータのサンプリングのタイミングは同じであり、ここではt,t,---,tで示した。
図3の上から2段目は、各検出系列の飛行時間スペクトクルの時間軸を、検出系列ごとに予め設定された時間−質量変換式に従い、質量軸(質量対電荷比m/z軸)に変換した質量スペクトルを示す図である。
時間−質量変換式は次のようにして予め設定され係数格納メモリC−MEMの時間−質量変換テーブルに記憶される。すなわち、質量が既知である2種類の標準試料イオン(質量対電荷比m/zがm1およびm2)の飛行時間測定を行い、それぞれのピーク位置(TOF[1]およびTOF[2])を決定する。TOF[1]およびTOF[2]は、図2で言えば、A検出系列では時間T,Tに対応する。A検出系列およびA検出系列では、ピーク位置は時間T,Tからずれたものとなるから、実際のピーク位置を決定する。このときピーク形状をガウス分布等で近似することにより、ピーク位置をより正確に決定することができる。
一般に、飛行時間と質量は式(4)で関係付けられる。式(4)にTOF[1]とm1およびTOF[2]とm2をそれぞれ代入して得られる連立方程式を解くことにより、式(4)の係数aおよびb(k=1−3:各検出系列の番号)を算出する。
Figure 0004246662
ここでjは標準試料ピークの番号である。
図3において、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm,m,---,mでの信号強度の質量スペクトルに対応するとして、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm',m',---,m'での信号強度の質量スペクトルに対応し、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm'',m'',---,m''での信号強度の質量スペクトルに対応する。
図3の上から3段目は、各検出系列の質量軸(質量対電荷比m/z軸)に変換された質量スペクトルから、検出系列ごとに予め設定された全検出系列に共通の質量サンプル点に信号強度を補間する状況を示す図である。
共通の質量サンプル点へのデータ変換係数は次のようにして予め設定される。全検出系列に共通の質量サンプル点をM[n](n=0−N、Nは整数)とする。共通の質量サンプル点は、例えば0.1amuごとの等間隔とする。時間−質量変換後のスペクトルデータ点のうち、共通の質量サンプル点M[n]を挟む2つのサンプル点の質量をm[n']およびm[n'+1]、それぞれの質量における信号強度をそれぞれy[n']およびy[n'+1]として、M[n]における信号強度Y[n]を次式(5)により算出する。
Figure 0004246662
ここで、rは次式(6)である。
Figure 0004246662
検出系列ごとに全てのnについてr[n]およびn'を決定して補間係数テーブルに記憶する。
この処理方法では、各検出系列のスペクトルデータの共通の質量サンプル点を一致させて加算するため、検出系列ごとに感度が異なる場合であってもSN比の劣化が生じない。また加算されたスペクトルのデータ点数は各検出系列の共通の質量サンプル点の数と同じであり、保存メモリに記録されるデータ量は増加しない。
図3の最下段は、全検出系列に共通の質量サンプル点に補間されたデータで構成される各検出系列の質量スペクトルデータを加算し、一つの質量スペクトルデータとした状態を示す図である。横軸は、例えば0.1amuごとの等間隔とされた共通の質量サンプル点であり、縦軸は全検出系列の信号強度を加算した信号強度である。
図4Aは、式(5)および(6)による直線近似によるデータ補間の概念図である。図4Aのデータ補間方法では、2点m[n']およびm[n'+1]の間を直線近似し、質量M[n]での信号強度Y[n]を求める方法を示す。しかしながら、実際のスペクトルデータは曲線であるので最適な補間になり得ない場合がある。
図4Bは、式(5)および(6)によるガウス分布等の曲線近似によるデータ補間の概念図である。図4Aと異なり、2点m[n']およびm[n'+1]の間をガウス分布等の曲線で近似し、M[n]における信号強度Y[n]を求める。この方法では、ピーク形状をより正確に再現することができ、その結果より高い分解能を実現できる。
図5は、本発明による第1の信号処理による第1の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。まず、標準試料測定ステップでは、ステップ511で標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算する。前述したように、例えば、押し出し電極19のパルス電圧は、100μSの周期で5μSのパルス電圧となるようになされるが、この100μSの周期をN回繰り返して測定し、結果を積算する。ステップ512では、検出系列ごとに積算スペクトルから式(5)に従って、時間−質量変換係数aおよびb(k=1−3)を算出し、ステップ513で時間−質量変換係数テーブルを書き換える。次に、ステップ514では、式(6)に従って、共通の質量サンプル点への変換係数r[n]および対応するn'の値を決定し、ステップ515で補間係数テーブルを書き換える。
時間−質量変換係数テーブルおよび補間係数テーブルを書き換えた後、実試料測定およびデータ処理ステップを実行する。ステップ521で、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する。これは、標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算したのと同様に行う。N'は、試料の性格に応じて決定する。ステップ522では、ステップ523で、検出系列ごとにステップ515で書き換えた補間係数テーブルから補間係数r[n]および対応するn'値を呼び出し、式(5)に従い補間データY[n]を算出する。次に、ステップ524では、各検出系列の補間データY[n]をnごとに加算し、ステップ525で保存メモリに記録する。また、ステップ526で、加算して得られた質量スペクトルをモニター画面上に表示しても良い。
実試料測定およびデータ処理ステップでは、以上の操作をN"回繰り返し、これにより得られるN"個の質量スペクトルデータを保存メモリの異なる領域に順次記録する。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。
図6は、本発明による第1の信号処理による第2の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。この測定方法は、図5で説明した実試料測定およびデータ処理ステップを実試料測定ステップとデータ処理ステップとに分離したものである。例えば、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の時間的な変化が急であるため、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する時間が短くされ、さらに、この計測をN"回繰り返し行うときの周期が短いため、実試料測定とデータ処理を時系列に実行するのが困難なとき等に有用である。
標準試料測定ステップでは、図5で説明した同じ処理で、時間−質量変換係数テーブルおよび補間係数テーブルを書き換える。
実試料測定ステップでは、ステップ521で、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する。次に、ステップ601で、検出系列ごとの積算データをそれぞれの保存メモリに記録する。これをN"回繰り返し行い、各回ごとに保存メモリの異なる領域に積算データを記録する。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。第2の方法では、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返し後に必要となる処理は積算データを保存メモリに記録することだけであるので、N"回の繰り返し周期を短いものとできる。
データ処理ステップでは、ステップ602で、保存メモリに記録された検出系列ごとの積算データ、すなわち、y[n']およびy[n'+1]を呼び出す。次に、図5で説明したと同様、ステップ522では、ステップ523で、補間係数テーブルからは補間係数r[n]および対応するn'値を呼び出し、先にステップ602で読み出した、対応するy[n']およびy[n'+1]から補間データY[n]を算出する。次に、ステップ524では、各検出系列の補間データY[n]をnごとに加算し、ステップ525で保存メモリに記録する。また、ステップ526で、加算して得られた質量スペクトルをモニター画面上に表示しても良い。
なお、上述の説明では、イオンの検出は、2枚重ねのマイクロチャンネルプレート(MCP)とこれに対向して配置された分割されたアノードで構成されるものとしたが、これに代えて、分割されたアノードに対応するイオン検出器が設けられる場合においても、同様に適用できる。以下の実施例においても同様である。
(第2の信号処理)
図7は本発明による第2の信号処理について説明する図である。この処理は、図3で説明した補間処理に代えて、予め設定された強度補正係数を用いて強度補正するものである。
図7の最上段は、図3の最上段と同じで、各検出系列の積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに記録された飛行時間スペクトクルを示す図である。横軸は時間であり、縦軸は信号強度である。各検出系列のデータのサンプリングのタイミングは同じであり、ここではt,t,---,tで示した。
図7の上から2段目は、図3の上から2段目と同じで、各検出系列の飛行時間スペクトクルの時間軸を、検出系列ごとに予め設定された時間−質量変換式に従い、質量軸(質量対電荷比m/z軸)に変換した質量スペクトルを示す図である。
時間−質量変換式は図3に関連して説明したと同じで、次のようにして予め設定され係数格納メモリC−MEMの時間−質量変換テーブルに記憶される。すなわち、質量が既知である2種類の標準試料イオン(質量対電荷比m/zがm1およびm2)の飛行時間測定を行い、それぞれのピーク位置(TOF[1]およびTOF[2])を決定する。TOF[1]およびTOF[2]は、図2で言えば、A検出系列では時間T,Tに対応する。A検出系列およびA検出系列では、ピーク位置は時間T,Tからずれたものとなるから、実際のピーク位置を決定する。このときピーク形状をガウス分布等で近似することにより、ピーク位置をより正確に決定することができる。
一般に、飛行時間と質量は式(4)で関係付けられる。式(4)にTOF[1]とm1およびTOF[2]とm2をそれぞれ代入して得られる連立方程式を解くことにより、式(4)の係数aおよびb(k=1−3:各検出系列の番号)を算出する。
図7においても、図3と同様、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm,m,---,mでの信号強度の質量スペクトルに対応するとして、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm',m',---,m'での信号強度の質量スペクトルに対応し、A検出系列での時間軸上でt,t,---,tでの信号強度が質量軸上のm'',m'',---,m''での信号強度の質量スペクトルに対応する。
次に、各質量スペクトルの強度を検出系列ごとに予め設定された強度補正係数を用いて強度補正する。検出系列ごとの補正されたスペクトルデータを加算して一つのスペクトルデータとする。
強度補正係数は次のようにして予め設定され、係数格納メモリ中の強度補正係数テーブルに記憶される。濃度既知の標準試料を測定し、検出系列ごとのピーク強度Ik(k=1−3)を求める。式(7)により、各検出系列のピーク強度をいずれか一つの検出系列のピーク強度で規格化する。この規格化値を強度補正係数qk(k=1−3)とする。
Figure 0004246662
なお、式(7)を用いる場合にA検出系列を標準とする場合は、A検出系列の強度補正係数q2は1である。従って、A検出系列については強度補正する必要はない。
図7の上から3段目は、A検出系列を標準として、A検出系列およびA検出系列の強度補正をする状況を示す図であり、実質的に、A検出系列およびA検出系列のピーク値をA検出系列のピーク値に合せる操作が行われることを示すものとなっている。
図8は本発明による第2の信号処理による第1の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。まず、標準試料測定ステップでは、図5で説明したと同様に、ステップ511で標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算する。ステップ512では、検出系列ごとに積算スペクトルから式(5)に従って、時間−質量変換係数aおよびb(k=1−3)を算出し、ステップ513で時間−質量変換係数テーブルを書き換える。次に、ステップ801で強度補正係数qkを算出し、ステップ803で強度補正係数テーブルを書き換える。
時間−質量変換係数テーブルおよび強度補正係数テーブルを書き換えた後、実試料測定およびデータ処理ステップを実行する。ステップ521で、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する。これは、標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算したのと同様に行う。N'は、試料の性格に応じて決定する。次に、ステップ805で、ステップ807で検出系列ごとに強度補正係数テーブルから呼び出した強度補正係数qkを使用して、強度補正データY[n']を次式(8)により算出する。
Figure 0004246662
次に、ステップ525で、各検出系列の強度補正データY[n']を保存メモリに記録する。ステップ809で、ステップ513で書き換えた時間−質量変換係数テーブルを読み出して、ステップ525でメモリに保存したデータを共通の質量サンプル点へ変換する。その後、ステップ811で加算し、ステップ526で、共通の質量サンプル点へプロットした質量スペクトルをモニター画面上に表示する。以上の操作をN"回繰り返して、得られるN"個の質量スペクトルデータは、ステップ525の動作により保存メモリの異なる領域に順次記録される。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。
このデータ処理方法では補間を行う場合に比べて計算量が少ないため、より高速な処理が可能である。そのため、より高スループットな測定が可能である。
図9は本発明による第2の信号処理による第2の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。この測定方法は、図6と同様に、図8で説明した実試料測定およびデータ処理ステップを実試料測定ステップとデータ処理ステップとに分離したものである。したがって、図6と同様に、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の時間的な変化が急であるため、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する時間が短くされ、さらに、この計測をN"回繰り返し行うときの周期が短いため、実試料測定とデータ処理を時系列に実行するのが困難なとき等に有用である。
標準試料測定ステップでは、図8で説明した同じ処理で、時間−質量変換係数テーブルおよび強度補正係数テーブルを書き換える。
実試料測定ステップでは、ステップ521で、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する。次に、ステップ601で、検出系列ごとの積算データをそれぞれの保存メモリに記録する。これをN"回繰り返し行い、各回ごとに保存メモリの異なる領域に積算データを記録する。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。第2の方法では、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返し後に必要となる処理は積算データを保存メモリに記録することだけであるので、N"回の繰り返し周期を短いものとできる。
データ処理ステップでは、ステップ602で、保存メモリに記録された検出系列ごとの積算データ、すなわち、y[n']およびy[n'+1]を呼び出す。次に、図8で説明したと同様、ステップ805で、ステップ807で検出系列ごとに強度補正係数テーブルから呼び出した強度補正係数qkを使用して、強度補正データY[n']を上述の式(8)により算出する。
次に、ステップ525で、各検出系列の強度補正データY[n']を保存メモリに記録する。ステップ809で、ステップ513で書き換えた時間−質量変換係数テーブルを読み出して、ステップ525でメモリに保存したデータを共通の質量サンプル点へ変換する。その後、ステップ811で加算し、ステップ526で、共通の質量サンプル点へプロットした質量スペクトルをモニター画面上に表示する。以上の操作をN"回繰り返して、得られるN"個の質量スペクトルデータは、ステップ525の動作により保存メモリの異なる領域に順次記録される。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。
(第3の信号処理)
図1の説明からも推測できるように、MCPに到達するイオンの量は、アノードの全域で均等なわけではない。図10は、MCPにイオンが到達する時点でのイオン量の空間分布とアノードとの位置関係の例を示す図である。MCPの中心付近ではイオン量はほぼ均一であるが、端部付近では中心付近よりもイオン量が低下する。したがって、中間部のアノードAはイオン量の空間分布がほぼ均一な領域に配置されるのに対して、両端のアノードAおよびAはイオン量が低下する領域を含む位置に配置される。
そこで、両端のアノードAおよびAの幅dおよびdを、それぞれの検出強度が中間部のアノードAの検出強度と同一となるような幅に設定する。従って、アノードAおよびAの幅dおよびdはアノードAの幅dよりも大きいものとなる。アノード幅を決定するためには、予め予備実験等によりイオン量の空間分布を求める必要があるが、イオン量の空間分布は質量分析部100のイオン飛行部の構成によって決まる。従って、イオン飛行部の構成は一旦装置を製作し、空間分布が計測されれば変化するものではなく、一旦アノード幅を決定してしまえばアノード幅を変更する必要はないから、装置製作上の負担になることではない。
図11は、MCPにイオンが到達する時点でのイオン量の空間分布とアノードとの位置関係の他の例を示す図である。なお、この例では、イオン量がほぼ均一な領域にのみアノードAからアノードAを配置した例である。この場合には、各アノードにはほぼ均一なイオン量が到達するから、アノードの幅は全て同じで良い。質量分析部100の加速部23やリフレクトロン30内部の電場は均一であることが望ましいが、実際には中心部から離れるほど電場が不均一となり、その結果ΔTvが大きくなるために分解能が劣化する。図11の構成では、図10の構成と比較して、到達するイオンの全てを利用しないことになるので、検出感度の面では不利であるが、より高い分解能が得られる。
図12は、図10または図11のようにMCPとアノードとの関係を工夫した構成におけるデータ処理方法の概念図を示す。
図12の上段は、図7の最上段と同じで、各検出系列の積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに記録された飛行時間スペクトクルを示す図である。横軸は時間であり、縦軸は信号強度である。各検出系列のデータのサンプリングのタイミングは同じであり、ここではt,t,---,tで示した。
図12の中段は、図7の上から2段目と同じで、各検出系列の飛行時間スペクトクルの時間軸を、検出系列ごとに予め設定された時間−質量変換式に従い、質量軸(質量対電荷比m/z軸)に変換した質量スペクトルを示す図である。この場合も、図7と同様に処理されるが、説明は省略する。
図10、図11の説明から明らかなように、第3の信号処理では、全ての検出系列で、ほぼ同一感度で計測が行われるから、図7の上から3段目の図を参照して説明した強度補正の処理は不要であり、時間−質量変換後のデータから加算処理を行えば良い。
図13は本発明の第3の信号処理による質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。この測定方法は、図8と同様に、標準試料測定ステップで標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算する。検出系列ごとに積算スペクトルから時間−質量変換式の係数aおよびb(k=1−3)を算出し、時間−質量変換係数テーブルを書き換える。
実試料測定およびデータ処理ステップでは、ステップ521で、実試料の飛行時間測定をN'回繰り返して積算する。これは、標準試料の飛行時間測定をN回繰り返して積算したのと同様に行う。N'は、試料の性格に応じて決定する。次に、ステップ525で、各検出系列の強度データy[n']を保存メモリに記録する。ステップ809で、ステップ513で書き換えた時間−質量変換係数テーブルを読み出して、ステップ525でメモリに保存したデータを共通の質量サンプル点へ変換する。その後、ステップ811で加算し、ステップ526で、共通の質量サンプル点へプロットした質量スペクトルをモニター画面上に表示する。以上の操作をN"回繰り返して、得られるN"個の質量スペクトルデータは、ステップ525の動作により保存メモリの異なる領域に順次記録される。ここで、N"回の繰り返しは、図1の液クロマトグラフ11から導入される試料の計測を打ち切るまでの時間、継続される。このステップでも、各検出系列の検出感度が予めほぼ同じものとされているので、強度補正処理は不要である。
第3の信号処理では、実試料の測定中においては積算メモリから保存メモリへのデータ転送を行うだけである。そのため強度補正を行う場合に比べて計算量が少なく、従ってより高速な処理が可能である。そのため、より高スループットな測定が可能である。もちろん、第3の信号処理でも、図9で説明したように、実試料の測定と、データ処理を分離することで、よりスループットを上げることができる。
なお、分割されたアノードに対応するイオン検出器が設けられる場合においては、各検出系列のイオン検出器に導入されるイオンの量が、ほぼ同じになるように、導入面の有効面積を調整すれば、同様に適用できる。
(システム構成の変形例1)
上述のシステム構成では、TDC,TDCおよびTDCのそれぞれは同一のトリガ信号および同一のクロック信号により動作するものとしたから、そのためのタイミングの制御については言及しなかった。このシステム構成の変形例1では、トリガ信号およびクロック信号を最適値に制御するハードを備える構成とした。
図14は本発明の飛行時間型質量分析計にかかわるシステム構成の変形例1の検出部の構成例を示すブロック図である。MCPに対向する三つのアノードA,AおよびAのそれぞれにTDC,TDCおよびTDCが接続され、さらに積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMが接続されて、信号処理部31に接続され、三つの検出系列を構成する点では差異はない。図14では、タイミング制御部101が設けられる。タイミング制御部101はイオンの飛行時間の計測にかかわるタイミング信号を生成して出力する。103はトリガ発生器であり、タイミング制御部101からの100μSの周期のタイミング信号を受けて、前述した押し出し電極19のパルス電圧に対応する5μSのパルス電圧の生成のトリガ信号を発生する。トリガ発生器103に与えられるタイミング信号と同じタイミング信号は信号処理部31にも与えられて、信号処理部31に計測開始の連絡をする機能を果たす。105−105は遅延発生器であり、前記トリガ発生器103の発生するトリガ信号を受ける。各遅延発生器105−105は、タイミング制御部101が与える遅延設定信号を受けて、この遅延設定信号に応じた時間の経過後にトリガ信号を通過させる。107−107はクロック発生器であり、前記遅延発生器105−105を通過したトリガ信号を受けてクロック信号を発生する。各クロック発生器107−107は、タイミング制御部101が与えるクロック周期設定信号を受けて、この周期設定信号に応じた周期のクロックを生成してTDC−TDCに与える。
ここで、上述した遅延設定信号およびクロック周期設定信号について説明する。図2の上段の図を参照して明らかなように、イオンの飛行経路の差異がMCPへのイオンの到達時間の差異となり、且つ、ゲインの差異となる。これらのことが、上述した各信号処理を必要とする原因となっている。
上述した遅延設定信号について見ると、A検出系列へのイオンの到達が最も早いのであるから、例えば、遅延発生器105の設定する遅延時間を0とし、遅延発生器105、遅延発生器105の設定する遅延時間を、それぞれ、図2の上段の図にあるような値とすれば良い。これは、例えば、標準試料を事前に計測して、ピーク時間の差を評価することにより、決定できる。
上述したクロック周期設定信号について見ると次のようである。各検出系列へ到達イオンの到達時間が異なるため、例えば、上述した100μSの周期で計測されるイオンに対し、各検出系列のMCPに対して作用する時間が異なる。すなわち、A検出系列で最も短い時間幅となり、A検出系列、A検出系列と順次、時間幅が広くなっていることは明らかである。従って、A検出系列のクロック周期を最も短くし、A検出系列、A検出系列と順次、クロック周期を大きくすれば良い。これは、例えば、標準試料を事前に計測して、各検出系列のピーク幅がほぼ等しくなるようにすることにより、決定できる。
図15は、図14の構成で設定された遅延時間およびクロック周期の下での信号処理方法の概念を示す図である。上から順にA検出系列、A検出系列およびA検出系列のアノードA、AおよびAに得られる信号の大きさとサンプリングクロックとを模式的に示し、各サンプリングクロックに応じて得られる積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMの信号を示す。Td1は遅延発生器105に設定された遅延時間、Td2は遅延発生器105に設定された遅延時間である。遅延発生器105の遅延時間は0である。各サンプリングクロックはf<f<fである。
このようにすることにより、各積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに得られる信号は、一つのイオンに対応するものとなっている。従って、各積算メモリA−MEM,A−MEMおよびA−MEMに得られる信号を式(9)に従って、単純に加算したデータY[n']を算出し、保存メモリに順に記録すれば良いことになる。
Figure 0004246662
ここでn'はそれぞれのサンプリングクロックの順番である。
システム構成の変形例1による方法では、ハードウェアにより検出系列間の時間軸の補正を行うため、ソフトウェアによる補間や強度補正を行う必要が無い。またアノードごとの検出感度を揃える必要もない。
一方、よく知られているように、一般に飛行時間と質量との関係は式(4)に完全には従わない。飛行時間と質量との関係が式(4)から大きく外れるような場合には、システム構成の変形例1による方法では、正確な測定ができないことになってしまう。このような場合には、システム構成の変形例1による構成とした場合でも、ソフトウェアによる処理を併用して、飛行時間と質量との、より正確な関係式を用いることとするのが良い。
図16は、システム構成の変形例1にソフトウェアによる処理を併用した場合の質量スペクトル測定のフローチャートを示す図である。図13と対応して明らかなように、この場合、上述した第3の信号処理による質量スペクトル測定と同じで良い。
(システム構成の変形例2)
システム構成の変形例1と同様な効果は、図17の構成によっても実現可能である。図17は、図14の検出部の構成に対応するシステム構成の変形例2のブロック図である。図17と図14とを対比して明らかなように、システム構成の変形例2の構成では、遅延発生器105−105がアノードA−AとTDC−TDCとの間に、それぞれ、接続されるように変更されただけで、それぞれの遅延時間およびクロック発生器の周波数は、システム構成の変形例1と同様に、タイミング制御部101により設定される。
図14および図17の構成において遅延発生器を用いなくてもある程度の分解能向上効果は得られる。また図14および図17の構成において各クロック発生器のクロック周波数が同一であってもある程度の分解能向上効果は得られる。従って、試料に対応した適当なクロック周波数を設定すれば、一つのクロック発生器の出力を分岐して三つのTDCに入力しても良い。
なお、上述の説明では、時間−質量変換係数、共通の質量サンプル点へのデータ補間係数および強度補正係数を得るために、標準試料のみを先行して計測するものとしたが、標準試料の質量は既知であるので、標準試料を実試料と混ぜておき、実試料および標準試料を同時に測定し、標準試料のピークから時間−質量変換係数および補間係数あるいは強度補正係数を求めても良い。よく知られているように、標準試料と実試料を別々に測定する場合に比べてより高い質量精度を実現できる。なお、この方法によるときは、各信号処理で説明した標準試料測定ステップが無くなり、実試料測定ステップが、実試料および標準試料測定ステップとなる。データ処理ステップでは、既知の標準試料の測定に付いて得られた結果を利用して、必要な係数の導出処理を行い、この結果を利用して実試料の計測結果を得れば良い。
なお、これまでに述べた例ではアノード分割数は3としたが、2以上であれば分解能向上効果が得られる。分解能向上効果は分割数が多いほど大きいと言えるが、構成が煩雑であるとともにΔT、ΔT、ΔTetcが相対的に大きくなるため、自ずと限界がある。また、アノードの分割に代えて、独立した複数のMCP検出器を用いても同様の効果が得られる。またTDCの代わりにADCを用いた場合においても同様の効果が得られる。
本発明の実施例である四重極−飛行時間型質量分析計による質量分析のシステムの全体構成を示すブロック図である。 飛行時間型質量分析計による質量分析の信号処理方法の一般的な例を示す概念図である。 本発明による第1の信号処理について説明する図である。 式(5)および(6)による直線近似によるデータ補間の概念図である。 式(5)および(6)によるガウス分布等の曲線近似によるデータ補間の概念図である。 本発明による第1の信号処理による第1の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。 本発明による第1の信号処理による第2の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。 本発明による第2の信号処理について説明する図である。 本発明による第2の信号処理による第1の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。 本発明による第2の信号処理による第2の質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。 MCPにイオンが到達する時点でのイオン量の空間分布とアノードとの位置関係の例を示す図である。 MCPにイオンが到達する時点でのイオン量の空間分布とアノードとの位置関係の他の例を示す図である。 図10または図11のようにMCPとアノードとの関係を工夫した構成におけるデータ処理方法の概念図を示す。 本発明の第3の信号処理による質量スペクトル測定方法のフローチャートを示す図である。 本発明の飛行時間型質量分析計にかかわるシステム構成の変形例1の検出部の構成例を示すブロック図である。 図14の構成で設定された遅延時間およびクロック周期の下での信号処理方法の概念を示す図である。 システム構成の変形例1にソフトウェアによる処理を併用した場合の質量スペクトル測定のフローチャートを示す図である。 図14の検出部の構成に対応するシステム構成の変形例2のブロック図である。
符号の説明
11…液クロマトグラフィ、13…イオン源、15…ガス導入口、17…四重極イオンガイド、19…押し出し電極、21…イオン引出し電極、23…加速部、25…反射電極、30…リフレクトロン、31…信号処理部、33…表示装置、35…入力装置、100…質量分析部、101…タイミング制御部、103…トリガ発生器、105,105,105…遅延発生器、107,107,107…クロック発生器、A,A,A3…アノード電極、TDC,TDC,TDC…時間−ディジタル変換器、A−MEM,A−MEM,A−MEM…積算メモリ、C−MEM…係数格納メモリ。

Claims (8)

  1. 複数の並列配置されたイオン検出器、又はマイクロチャンネルプレートとこれに対向して設けられた複数のアノードで構成されるイオン検出器と、
    前記複数のイオン検出器の出力信号又は複数のアノードの各アノードの出力信号を、それぞれ、独立して記憶させる複数の積算メモリと、
    前記各積算メモリに記憶された出力信号に対してそれぞれ時間−質量変換を行うための変換係数を記憶するメモリと、
    前記変換係数に応じて時間−質量変換された各出力信号を加算する信号処理部と、
    を有することを特徴とする飛行時間型質量分析計。
  2. 前記各積算メモリに記録された各出力信号に対して補間処理を行うための補間係数を記憶するメモリを備え、前記信号処理部は補間処理された各出力信号を加算する請求項1に記載する飛行時間型質量分析計。
  3. 前記各積算メモリに記録された出力信号の信号強度を補正するための補正係数を記憶するメモリを備え、前記信号処理部は強度補正された各出力信号を加算する請求項1または請求項2に記載する飛行時間型質量分析計。
  4. 前記複数の並列配置されたイオン検出器、又はマイクロチャンネルプレートとこれに対向して設けられた複数のアノードで構成されるイオン検出器は、それぞれに導入されるイオンの量がほぼ等しくなるようになされた請求項1または請求項2に記載する飛行時間型質量分析計。
  5. 請求項1または請求項2に記載する飛行時間型質量分析計であって、トリガ信号発生器と、該トリガ信号発生器の出力信号を遅延させるための遅延発生器を備え、該遅延発生器による遅延時間が可変であることを特徴とする飛行時間型質量分析計。
  6. 分析すべき試料をイオン化して導入し、導入されたイオンを所定の周期および所定のルートで飛行させ、飛行したイオンを検出する飛行時間型質量分析方法において、
    前記イオンの検出を複数の並列配置されたイオン検出系で行い、
    前記複数のイオン検出系の出力信号を、それぞれ、独立して積算メモリに記憶させ、
    前記各積算メモリに記憶された出力信号に対してそれぞれ変換係数を介在させて時間−質量変換を行わせ、
    前記変換係数に応じて時間−質量変換された各出力信号を加算するとともに、
    前記変換係数が、標準試料または標準試料と実試料とが混在された試料に対する計測結果の内、標準試料に対応する計測結果から導出されるものである飛行時間型質量分析方法。
  7. 請求項6記載の飛行時間型質量分析方法であって、
    前記各積算メモリに記憶された出力信号に対してそれぞれ補間係数を介在させて補間処理を行わせ、
    前記補間係数に応じて補間された各出力信号を加算するとともに、
    前記補間係数が、標準試料または標準試料と実試料とが混在された試料に対する計測結果の内、標準試料に対応する計測結果から導出されるものである飛行時間型質量分析方法。
  8. 請求項6記載の飛行時間型質量分析方法であって、
    前記各積算メモリに記憶された出力信号に対してそれぞれ強度補正係数を介在させて強度補正処理を行わせ、
    前記強度補正係数に応じて強度補正処理された各出力信号を加算するとともに、
    前記強度補正係数が、標準試料または標準試料と実試料とが混在された試料に対する計測結果の内、標準試料に対応する計測結果から導出されるものである飛行時間型質量分析方法。
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