JP2023153035A - 飛行時間質量スペクトルの分析 - Google Patents

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Abstract

【課題】飛行時間質量分析のための装置及び方法を改善する。【解決手段】イオン分析器によって生成されたデータを分析する方法は、(i)イオン分析器によって生成されたデータセグメントを受け取ることであって、データセグメントは第1の到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ること、(ii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、フィルタをデータセグメントに適用することを含む。フィルタに関連付けられた幅は、第1の到着時間範囲内の到着時間に関するイオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている。本方法は(iii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで(iv)識別された1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することを更に含む。【選択図】図2

Description

本発明は、イオンを分析する方法に関し、特に、飛行時間型質量分析型(Time-of-Flight Mass Spectrometry、ToF-MS)分析器及び飛行時間型(Time-of-Flight、ToF)分析器に関する。
飛行時間型(ToF)質量分析器は、静電界におけるイオンの移動時間がイオンの質量電荷比(m/z)の平方根に比例するという特性を利用する。イオンは、イオン源から放出され、所望のエネルギーまで加速され、特定の距離を移動した後にイオン検出器に衝突する。検出器によって生成される信号は記録され、典型的には、同じ質量電荷比(m/z)を有するイオンによって生成される時間分解ピークをもたらす。すべてのイオンに対して実質的に同じ移動距離で、イオンの到着時間は、イオンの質量電荷比(m/z)を決定するために使用され、質量電荷比(m/z)は、後で識別のために使用することができる。
ToF質量分析器は、典型的には、約100Hz~10kHzのレートでスペクトルを記録し、各スペクトルは、潜在的に、数百又は数千の異なるイオンピークを含有する。これらのスペクトルをリアルタイムで分析して、例えば、分析の結果に基づいて後続のスキャンのパラメータを設定できるようにすることが望ましいことがある。
飛行時間質量分析のための装置及び方法に対する改善の余地が残っていると考えられる。
第1の態様は、イオン分析器によって生成されたデータを分析する方法であって、方法は、
(i)イオン分析器によって生成されたデータセグメントを受け取ることであって、データセグメントは、第1の到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ることと、
(ii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、データセグメントにフィルタを適用することであって、フィルタに関連付けられた幅は、第1の到着時間範囲内の到着時間に関するイオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている、適用することと、
(iii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで、
(iv)識別された1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することと、を含む。
実施形態は、飛行時間型質量分析器などのイオン分析器によって生成されたデータを分析する方法を提供する。イオン分析器は、イオン経路の端部に配置されたイオン検出器を備え得る。イオンパケットは、イオン経路に注入され得、イオンは、検出のためにイオン経路に沿って検出器まで移動し得る。検出器は、検出器で受け取られたイオン強度を示す信号を(到着)時間の関数として作り出すように構成され得る。この信号は、デジタルサンプルの集合を作り出すためにデジタル化され得、各サンプルは、強度値を含み、それぞれの到着時間に関連付けられる。信号及び/又はサンプルの集合(並びに信号及び/又はサンプルの集合に関連付けられた到着時間)は、信号を作り出したイオンの特定のパケットの到着時間範囲の大部分又は全部にわたり得る。
本方法では、各信号及び/又はサンプルの集合(イオンのそれぞれのパケットに起因して生成される)は、信号及び/又は集合が分割される1つ以上のセグメントの各セグメントを(別々に)処理することによって処理される。例えば、各セグメントは、1つのイオンパケットに関して生成されたサンプルの(全体の)集合のうちのサンプルのサブセットを含み得る。各セグメントは、(連続した)一組のサンプルを含み得、ここで、セグメントのサンプルの到着時間はすべて、そのセグメントのそれぞれの到着時間範囲内にある。1つ以上のセグメントの各々の各到着時間範囲は、信号を作り出したイオンの特定のパケットの(全体の)到着時間範囲のうちのサブ範囲であり得る。
本方法では、各データセグメントは、フィルタをセグメントに適用することによって(別々に)処理される。フィルタに関連付けられた幅(平滑化カーネルの幅又はウェーブレットの幅など)は、例えば、信号及び/又はサンプルの集合が分割される異なるセグメントごとに幅が異なるように、各セグメントに関して選択される。特に、幅は、そのセグメントに関連付けられた到着時間範囲内の到着時間を有するイオンの予想されるイオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている。予想到着時間分布の幅は、典型的には、到着時間それ自体に依存し、したがって、各セグメントに対するフィルタに関連付けられた幅は、そのセグメントに関連付けられた到着時間範囲に依存し得(例えば、比例し得)、特に、そのセグメントに関連付けられた平均到着時間に依存し得る(例えば、比例し得る)。
セグメントがこの方式でフィルタリングされた後、セグメントのフィルタリングされたバージョンは、そのセグメントにおける1つ以上のイオンピークを識別するために使用され、次いで、識別されたイオンピークの各々の1つ以上の特質(例えば、その重心、強度、及び/又は面積など)が、例えば、好適なイオンピークモデルを元のフィルタリングされていないセグメント(及び/又はセグメントのフィルタリングされたバージョン)に当てはめることによって、決定される。
以下でより詳細に記載するように、セグメントの予想イオン到着時間分布の幅に依存する幅を有するフィルタを使用して各セグメントをフィルタリングすることは、イオン検出器によって記録される個々のイオンピークの幅が特定のイオン種の予想イオン到着時間分布の幅未満であり得る状況において、特に有利である。検出器におけるイオン束が比較的低いこれらの状況では、イオン検出器は、同じ種の個々のイオンがその種の予想到着時間分布内にあるわずかに異なる到着時間で検出器に到着することに起因して、単一のイオン種に関して多峰形信号を作り出すことがある。信号におけるそのような多峰形ピークの存在は、信号における複数の別個のイオンピークの識別につながることがあり、次いで、複数の別個のイオン種に属するものとして誤って識別されることがある。
実施形態では、フィルタは、異なる種のイオンから作り出された任意の多峰形信号を保持しながら、同じ種のイオンによって作り出された多峰形信号を単峰形信号に平滑化する効果を有する。次いで、これは、データセグメントのフィルタリングされたバージョンが(通常)各イオン種に関して1つのイオンピークのみを含むことを確実にする。これは、特定のイオンパケット内に存在するイオン種の識別及び特徴付けを改善することを可能にする。
更に、以下でより詳細に記載するように、本方法の様々な工程はすべて、計算上比較的安価であり、効率的な方式で実装することができる。これにより、飛行時間型質量分析器の場合に典型的であるように、スペクトルが比較的高速(>100Hz)で作り出されている場合であっても、イオンピークの識別及び特徴付けをリアルタイムで行うことが可能になる。
そのため、実施形態は、イオン分析器によって生成されたデータを分析する改善された方法を提供し、この方法は、イオンピークを正確に識別し特徴付けることにおいて特に堅牢であり、リアルタイムで、すなわち、高速(>100Hz)でのデータの収集と並行して実行することができる。
イオン分析器は、イオンの質量電荷比(m/z)をイオンの到着時間から決定するように構成された飛行時間(ToF)質量分析器、又はイオンのイオン移動度をイオンの到着時間から決定するように構成されたイオン移動度分析器などの任意の好適なイオン分析器とすることができる。
特定の実施形態では、イオン分析器は、多重反射飛行時間型(MR-ToF)分析器であり、例えば、米国特許第9,136,101号に記載されているタイプの傾斜ミラー型多重反射飛行時間型質量分析器、又は、例えば、英国特許第2、580,089号に記載されているタイプの単一集束型多重反射飛行時間型質量分析器などである。
イオン分析器は、分析機器の一部を形成し得る。分析機器は、質量分析計、イオン移動度分光計、又はその2つの組み合わせ(例えば、イオン移動度分離器を含む質量分析計)であってもよい。機器は、イオン源を備え得る。イオンは、イオン源内のサンプルから生成され得る。イオンは、イオン源と分析器との間に配置された1つ以上のイオン光学デバイスを介して、イオン源から分析器へと通過され得る。
1つ以上のイオン光学デバイスは、1つ以上のイオンガイド、1つ以上のレンズ、1つ以上のゲートなどの任意の好適な配列を備え得る。1つ以上のイオン光学デバイスは、イオンを移送するための1つ以上の移送イオンガイド、及び/又はイオンを質量選択するための1つ以上の質量セレクタ又はフィルタ、及び/又はイオンを冷却するための1つ以上のイオン冷却イオンガイド、及び/又はイオンを断片化若しくは反応させるための1つ以上の衝突セル又は反応セルなどを含み得る。1つ以上の又は各イオンガイドは、多重極イオンガイド(例えば、四重極イオンガイド、六重極イオンガイドなど)、セグメント化多重極イオンガイド、積層リング型イオンガイドなどのRFイオンガイドを備え得る。
イオン分析器は、イオン経路の始端に配置されたイオン注入器と、イオン経路の終端に配置されたイオン検出器とを備え得る。イオン分析器は、検出器におけるイオンの到着時間(すなわち、イオンが注入器から移動し、イオン経路を介して検出器に到着するのにかかる時間)を決定することによってイオンを分析するように構成され得る。
イオン注入器は、例えば、イオントラップ、又は1つ以上の(例えば、直交)加速電極などの任意の好適な形態であり得る。イオン注入器は、イオンを(イオン源から1つ以上のイオン光学デバイスを介して)受け取るように構成され得、任意選択的に、イオンパケットを蓄積するように(例えば、蓄積期間中にイオンを蓄積することによって)構成され得る。イオン注入器は、(受け取られた及び/又は蓄積された)パケットイオンをイオン経路内に(例えば、イオン経路に沿ってイオンパケットを加速することによって)注入するように構成され得、その後、パケットの内のイオンは、イオン経路に沿って検出器まで移動し得る。
検出器は、1つ以上の変換ダイノードなどの任意の好適なイオン検出器とすることができ、任意選択的に、1つ以上の電子増倍管、1つ以上のシンチレータ、及び/又は1つ以上の光子増倍管などが後続する。検出器は、検出器で受け取られたイオンを検出するように構成され得、検出器で受け取られたイオンの強度を示す信号を(到着)時間の関数として作り出すように構成され得る。
各信号は、(単一の)イオンパケットから作り出される。複数のそのようなイオンパケットは、イオン経路に連続的に注入され、検出器によって検出され得る。そのため、本方法は、(i)イオンパケットをイオン経路内に注入することと、(ii)イオンパケットを検出器において検出することと、(iii)イオンパケットに対するそれぞれの信号を作り出すことと、を繰り返し含み得る。イオンパケットは、約100Hzを上回り、約10kHzを下回る、例えば約200Hzなど、任意の所望のレートでイオン経路に注入され得る(及び信号が作り出され得る)。各信号は、イオンパケットに関連付けられたそれぞれのイオン到着時間範囲を有することになる。
検出器は、時間デジタル変換器(Time-to-Digital Converter、TDC)又はアナログデジタル変換器(Analogue-to-Digital Converter、ADC)などのデジタイザを含むことができ、デジタイザは、デジタルサンプルの集合を作り出すように、各信号をデジタル化するように構成され得る。デジタイザは、単一のチャネル、又は複数のチャネルを有し得、例えば、検出器からの信号は、第1の高利得チャネルと第2の低利得チャネルとの間で(ダイナミックレンジを増加させるために)分裂される。
デジタルサンプルの各集合は、単一のイオンパケットに関する信号から作り出され得る。そのため、本方法は、(i)イオンパケットをイオン経路に注入することと、(ii)イオンパケットを検出することと、(iii)イオンパケットに対するそれぞれの信号を作り出すことと、(iv)信号をデジタル化して、イオンパケットに対するデジタルサンプルのそれぞれの集合を作り出すことと、を繰り返し含み得る。代替的に、デジタルサンプルの各集合は、複数のイオンパケット(すなわち、複数のイオン注入)に関する信号から作り出され得、それによって、複数の信号及び/又はサンプルは、組み合わせられる(例えば、平均化される)。そのため、本方法は、工程(i)~工程(iv)を複数回繰り返すことと、デジタルサンプルを組み合わせて(例えば、平均化して)、更なる分析のためのデジタルサンプルの集合を作り出すことと、を含み得る。
各集合内の各デジタルサンプルは、それぞれの到着時間に関連付けられており、特定の到着時間に検出器によって測定されたイオン強度を示す強度値を含むことになる。異なる到着時間は、質量電荷比(m/z)又はイオン移動度などの関連付けられた物理化学的特性の異なる値を示す。デジタルサンプルは、強度値及び到着時間値を含む形式で記憶及び処理することができるが、デジタルサンプルは、強度値及び関連付けられた物理化学的特性(例えば、m/z)の値を含む形式で記憶及び処理されることも可能であろう。サンプルの各集合に関連付けられた到着時間は、関連する信号の到着時間範囲の大部分又はすべてにわたり得る。
実施形態では、各信号及び/又はサンプルの集合は、1つ以上のセグメント、例えば複数のセグメントに分割される。各セグメントは、イオンパケットに関して生成された信号のサブセット、例えば、イオンパケットに関して生成されたデジタルサンプルの(全体の)集合のうちのデジタルサンプルのサブセット(又は複数のイオンパケットからの信号を組み合わせる(例えば、平均化する)ことによって作り出された集合のうちのデジタルサンプルのサブセット)を備え得る。特に、各セグメントは、信号の(重なり合わない)連続した部分(例えば、(連続した)一組のデジタルサンプル)を含み得、セグメント(のサンプル)の到着時間はすべて、そのセグメントのそれぞれの到着時間範囲内にある。
そのため、各データセグメントは、それぞれの一組のデジタルサンプルを含み得、一組のデジタルサンプルのうちの各サンプルは、それぞれの到着時間に関連付けられ、一組のデジタルサンプルに関連付けられた到着時間は、それぞれの到着時間範囲内にある。例えば、信号は、第1の組のデジタルサンプルを含む第1のセグメントであって、第1の組のデジタルサンプルに関連付けられた到着時間が第1の到着時間範囲内にある、第1のセグメントと、第2の組のデジタルサンプルを含む第2のセグメントであって、第2の組のデジタルサンプルに関連付けられた到着時間が第2の異なる到着時間範囲内にある、第2のセグメントと、に分割され得る。信号はまた、任意選択的に、1つ以上の更なるセグメントに分割され得、各セグメントは、それぞれの更なる一組のデジタルサンプルを含み、各それぞれの更なる一組のデジタルサンプルに関連付けられた到着時間は、それぞれの更なる異なる到着時間範囲内にある。
信号及び/又はサンプルの集合が分割されるセグメントの各々の各到着時間範囲は、信号の(全体的な)到着時間範囲のうちのサブ範囲であり得る。信号/集合が分割される複数のセグメントの到着時間範囲は、一組の重複しない到着時間範囲であり得る、すなわち、セグメントの各々の各到着時間範囲は、到着時間範囲全体のうちの重複しないサブ範囲であり得る。
信号は、任意の好適な方式で複数のセグメントに分割することができる。信号は、デジタル化前又はデジタル化後に複数のセグメントに分割することができる。特定の実施形態では、信号は、デジタル化プロセスの一部として複数のセグメントに分割され、例えば、デジタルサンプルは、セグメント(すなわち、複数組のデジタルサンプル)の形態でデジタイザから出力される。
いくつかの実施形態では、信号及び/又はデジタルサンプルの集合は、等しいサイズの、重複しない、隣接するセグメントに(すなわち、データ非依存方式で)分割することができる。
しかしながら、特定の実施形態では、信号及び/又はデジタルサンプルの集合は、データ依存方式で複数のセグメントに分割される。特に、セグメントは、イオン強度が閾値を超えるときに生成され得る。例えば、セグメントは、サンプルの強度が第1の閾値を超えるときに開始し得、サンプルの強度が第2の閾値を下回るときに終了し得る。第1の閾値及び第2の閾値は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。強度が短時間だけ第2の閾値を下回る場合、セグメントは継続され得る。これは、例えば、閾値がある特定の数のサンプルに対して第2の閾値を下回ったままである場合にのみセグメントが終了されるようにデジタイザを構成することによって達成され得る。セグメントは、サンプルの強度が第1の閾値を超える前にある特定の数のサンプルを開始すること、及び/又は信号が第2の閾値を下回った後にある特定の数のサンプルを終了すること、も可能であろう。
信号及び/又はデジタルサンプルの集合を様々な実施形態の方式で複数のセグメントに分割することによって、セグメント内のいくつか又は大部分のサンプルが閾値を超える強度値を有することになることが理解されるであろう。信号の他の領域は廃棄され得る。このようにして、各セグメントが1つ以上のイオンピークに関するデータを含むこと(及びイオンピークがない信号の領域が破棄されること)を確実することができる。
本方法では、各データセグメントは、フィルタをセグメントに適用することによって(別々に)処理される。実施形態では、フィルタは、デジタル化後に各セグメントに適用される、すなわち、フィルタは、各一組のデジタルサンプルに適用される。
フィルタに関連付けられた(平滑化カーネル又はウェーブレットの幅(例えば、Full Width at Half Maximum、FWHM)などの)幅δt(例えば、半値全幅(FWHM))は、各セグメントに関して選択され、例えば、それにより、幅δtは、信号が分割される異なるセグメントごとに異なる。特に、幅δtは、そのセグメントに関連付けられた到着時間範囲内の到着時間を有するイオンの予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている。イオン分析器の予想イオン到着時間分布は、例えば、イオン分析器の好適な較正を行うことによって決定され得る。
予想到着時間分布の幅は、到着時間自体に依存し得、したがって、各セグメントのフィルタに関連付けられた幅δtは、そのセグメントに関連付けられた到着時間範囲に依存し得、特に、そのセグメントに関連付けられた平均到着時間Tに依存し得る。依存関係は、例えば、線形(比例)依存関係(すなわち、δt∝T)又は非線形依存関係などの任意の好適な形態をとり得る。
実施形態では、フィルタは、異なる種のイオンによって作り出された任意の多峰形イオンピークを保持しながら、同じ種のイオンによって作り出された任意の多峰形イオンピークを単峰形イオンピークに平滑化する効果を有する。これは、データセグメントのフィルタリングされたバージョンが(通常)各イオン種に関して1つのイオンピークのみを含むことを確実にする。
実施形態では、フィルタは平滑化カーネルを利用する。平滑化カーネルは、任意の好適な形態をとり得る。実施形態では、平滑化カーネルはガウシアンの形態を有する。代替的に、平滑化カーネルは、機器の予想到着時間分布(例えば、較正から決定され得る)に対してより厳密にモデル化され得る。例えば、平滑化カーネルは、例えば、その中心の左右に異なる幅を有する非対称ガウシアンの形態をとり得る。
代替的な実施形態では、フィルタは、連続ウェーブレット変換(Continuous Wavelet Transformation、CWT)であり、すなわち、ウェーブレットのスケールは、再び、セグメントに関連付けられた到着時間範囲、例えば、セグメントに関連付けられた平均到着時間Tに依存し得る(例えば、比例し得る)。例えば、Marrウェーブレットなどの任意の好適なウェーブレットが使用され得る。
セグメントがフィルタリングされた後、セグメントのフィルタリングされたバージョンは、そのセグメントにおける1つ以上のイオンピークを識別するために使用される。これは、任意の好適な方式で行われ得る。
フィルタが平滑化関数である場合、本方法は、フィルタリングされた信号における1つ以上の極小値を識別することと、次いで、識別された極小値の各々の場所においてセグメントを1つ以上の区間に分割すること(例えば、極小値が指定された閾値を下回る場合)と、を含み得る。フィルタが連続ウェーブレット変換(CWT)である場合、本方法は、フィルタリングされた信号における1つ以上の極大値を識別することと、次いで、識別された極大値の各々の場所においてセグメントを1つ以上の区間に分割すること(例えば、極大値が指定された閾値を上回る場合)と、を含み得る。一般に、フィルタの性質に応じて、本方法は、フィルタリングされた信号における1つ以上の極小値、ゼロ交差点、及び/又は極大値を識別することと、次いで、識別された極小値、ゼロ交差点、及び/又は極大値の各々の場所においてセグメントを1つ以上の区間に分割することと、を含み得る。極小値又は極大値において分裂することは、極小値又は極大値が閾値を超える(又は下回る)場合にのみ行われ得る。
本方法は、各区間におけるサンプルの最大強度に基づいて、その区間を保持又は破棄することを含み得る。例えば、本方法は、区間のサンプルの最大強度が閾値を上回る区間を保持することと、区間のサンプルの最大強度が閾値を下回る区間を破棄することと、を含み得る。そのため、本方法は、閾値を上回る最大サンプル強度を伴うそれらの区間のみを保持すること(及びあらゆる他の区間を破棄すること)を含み得る。
これらの工程は、この段階において、1つのイオンピークのみがセグメントに存在する場合、単一の区間のみがそのセグメントに残ることになることを確実にすることが理解されるであろう。この場合、本方法は、この区間におけるフィルタリングされていないデータ及び/又はフィルタリングされたデータを分析することによって、イオンピークの1つ以上の特質(例えば、重心、強度、及び/又は面積など)を決定することによって進行し得る。これは、好適な(単一の)ピークモデルを区間のサンプルに当てはめることによって行われ得る。例えば、ガウス又は非対称ガウスなどの任意の好適なピークモデルが使用され得る。
セグメントに関して複数の区間が残った場合、本方法は、各区間を1つずつ処理することによって継続し得る。実施形態では、各区間のサンプルの強度の総計が計算され、次いで、区間は、各区間の計算された総計に従って、例えば極大から極小へと、ソートされる。
本方法は、(第1の)単一のピークモデルを、最も高い総計を有する(第1の)区間のサンプルに当てはめることを含み得る。次に、次に高い総計を有する(第2の)区間に対して、その区間のサンプルは、第1のピークモデルを使用して(少なくとも、第1のピークモデルが第2の区間に重なり合う程度まで)修正され得る。例えば、第1のピークモデルから決定された強度値は、例えば、第2の区間の一組の修正されたサンプルを作り出すように、第2の区間のサンプルのうちの1つ以上又は各々の対応する強度値からそれぞれ減算され得る。本方法は、(第2の)単一のピークモデルを第2の区間の修正されたサンプルに当てはめることによって継続し得る。
このプロセスは、最も高い総計を有する区間から最も低い総計を有する区間への順序で、セグメントの任意の残りの区間に対して継続し得、それによって、各区間のサンプルは、最初に、(a)そのセグメントの他の区間に対してすでに決定されている各(及びすべての)ピークモデルを使用して(少なくとも、問題のピークモデルが問題の区間に重なり合う程度まで)修正される。これは、例えば、現在の区間に対して一組の修正されたサンプルを作り出すように、既存のピークモデルから決定された強度値を、現在の区間のサンプルのうちの1つ以上の又は各々の対応する強度値から減算することを含み得る。次いで、本方法は、(b)(単一の)ピークモデルを現在の区間の修正されたサンプルに当てはめることを含み得る。このようにして、セグメントにおける複数のイオンピークのそれぞれの1つ以上の特質(例えば、重心、強度、及び/又は面積など)が決定され得る。ここでも、例えば、ガウス又は非対称ガウスなどの任意の好適な(単一の)ピークモデルが、各区間に対して使用され得る。
更なる実施形態では、上述のプロセスがセグメントの(保持された)区間のすべてについて完了したとき、ピークモデル当てはめプロセスは、任意選択的に繰り返され得る。これは、セグメント内の他の区間に対して作り出された各(及びすべての)ピークモデルを使用して、第1の区間のサンプルを修正することによって行われ得る。これは、例えば、第1の区間の一組の修正されたサンプルを作り出すように、それらのピークモデルから決定された強度値を、第1の区間のサンプルのうちの1つ以上又は各々の対応する強度値から減算することを含み得る。本方法は、修正された第1のピークモデルを第1の区間の修正されたサンプルに当てはめることを含み得る。次いで、本方法は、上述のように継続し得るが、修正された第1のピークモデルが第1のピークモデルの代わりに使用され、各工程において、各区間のサンプルは、セグメント内の他の区間に関して作り出された(最新の)ピークモデルのすべてを使用して修正される。
そのため、本方法は、ピークモデルを複数の残りの区間の各々に当てはめることによって一組のピークモデルが作り出されたとき、(c)第1のピークモデル以外の一組のピークモデルのうちのピークモデルを使用して、最も高い総計を有する区間のサンプルを修正することと、(d)第1の修正されたピークモデルを、最も高い総計を有する区間の修正されたサンプルに当てはめることと、第1のピークモデルを、一組のピークモデル内の第1の修正されたピークモデルと置き換えることと、(e)第2のピークモデル以外の一組のピークモデルのうちのピークモデルを使用して、2番目に高い総計を有する区間のサンプルを修正することと、(f)第2の修正されたピークモデルを、2番目に高い総計を有する区間の修正されたサンプルに当てはめることと、第2のピークモデルを、一組のピークモデル内の第2の修正されたピークモデルと置き換えることと、を含み得る。本方法は、任意選択的に、(g)最も高い総計を有する区間及び2番目に高い総計を有する区間以外のセグメントの任意の残りの区間の各(及びすべての)区間に対して、工程(h)及び(i):(h)現在の区間のピークモデル以外の一組のピークモデルのうちのピークモデルを使用して、次に高い総計を有する区間のサンプルを修正する工程と、(i)現在の区間の修正されたサンプルにピークモデルを当てはめる工程、及び現在の区間のピークモデルを、一組のピークモデル内の現在の区間の修正されたピークモデルと置き換える工程と、を実行すること、更に含み得る。
実施形態では、この繰り返しプロセス(すなわち、工程(c)~工程(i))は、必要に応じて、1回又は複数回繰り返すことができる。繰り返しは、例えば、モデルパラメータが所望の精度に達したとき、又は定義された最大繰り返し数に達したときに終了され得る。
任意選択の最終工程として、本方法は、例えば、複数ピークモデルを使用して、フルセグメントの(非線形)当てはめを行うことを含み得る。この当てはめの初期値は、前の工程で決定された単一のイオンピークモデルから導出され得る。この工程は、追加の処理時間を犠牲にして、様々な決定された特質の精度を高め得る。いくつかの実施形態では、この工程なしで十分な精度が得られることが分かっているため、この工程は行われない。
セグメントに対して1つ以上の最終モデルが決定されると、1つ以上のピークモデルの各々を使用して、その重心、強度、及び/又は面積など、セグメントにおける各イオンピークの1つ以上の特質を決定し得る。次いで、各イオンピークの1つ以上の特質は、必要に応じて使用することができる。例えば、イオンの質量電荷比及び/又はイオン移動度などのセグメント内の各イオンの物理化学的特性が、決定され得る。
更なる態様は、プロセッサ上で実行されたとき、上述の方法を行うコンピュータソフトウェアコードを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
更なる態様は、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計などの分析機器のための制御システムを提供し、制御システムは、分析機器に上述の方法を行わせるように構成されている。
更なる態様は、イオン分析器と上述の制御システムとを備える分析機器を提供する。
更なる態様は、分析機器を提供し、分析機器は、
イオン分析器と、
制御システムであって、
(i)イオン分析器によって生成されたデータセグメントを受け取ることであって、データセグメントは、第1の到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ることと、
(ii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、データセグメントにフィルタを適用することであって、フィルタに関連付けられた幅は、第1の到着時間範囲内の到着時間に関するイオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている、適用することと、
(iii)データセグメントのフィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで、
(iv)識別された1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することと、を行うように構成された制御システムと、を備える。
これらの態様及び実施形態は、本明細書に記載の任意選択の特徴のいずれか1つ以上又は各々を含むことができ、実施形態ではもちろん含む。
そのため、例えば、分析機器は、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計であり得る。イオン分析器は、多重反射飛行時間型(MR-ToF)分析器などの飛行時間型(ToF)質量分析器であり得る。
次に、添付の図面を参照して、様々な実施形態をより詳細に記載する。
実施形態による分析機器を概略的に示す。 実施形態による多重反射飛行時間型質量分析器を概略的に示す。 実施形態による、イオン分析器においてイオンを検出するプロセスを概略的に示す。 図4Aは、2つの異なるイオン種に対応するイオンピークを含むデジタル化された信号を示す。図4Bは、信号イオン種に対応するイオンピークを含むデジタル化された信号を示す。 実施形態による方法を概略的に示す。 2つの異なるイオン種に対応するイオンピークを含む信号のための図5の方法を例示する。 単一のイオン種に対応するイオンピークを含む信号のための図5の方法を例示する。 実施形態による方法を概略的に示す。 図6の例示的なデータを使用した、実施形態による方法の繰り返し中の推定される重心及びピーク面積の収束を例示する。 実施形態による方法に関する、2つのピーク間の距離の関数としての分裂成功率を示す。 実施形態による方法に関する、2つのピーク間の距離の関数としての偽陽性の数を示す。 実施形態による方法に関する、2つのピーク間の距離の関数としての分裂成功率を示す。 実施形態による方法に関する、2つのピーク間の距離の関数としての偽陽性の数を示す。 実施形態による方法に関する、2つのピーク間の距離の関数としての精度を示す。
図1は、実施形態に従って動作され得る分析機器を概略的に例示している。分析機器は、質量分析計(任意選択的にイオン移動度分離器を含むことができる)又はイオン移動度分光計であってもよい。図1に示すように、分析機器は、イオン源10、1つ以上のイオン移動ステージ20、及び分析器30を含む。
イオン源10は、サンプルからイオンを生成するように構成されている。イオン源10は、エレクトロスプレーイオン化(Electrospray Ionisation、ESI)イオン源、MALDIイオン源、大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionisation、API)イオン源、プラズマイオン源、電子イオン化イオン源、化学イオン化イオン源など、任意の好適な連続又はパルスイオン源とすることができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のイオン源が提供され、使用され得る。イオンは、分析される任意の好適なタイプのイオン、例えば、小型及び大型の有機分子、生体分子、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、それらの断片などであってもよい。
イオン源10は、液体クロマトグラフィ分離デバイス又はキャピラリ電気泳動分離デバイス(図示せず)などの分離デバイスに任意選択的に結合され得、それにより、イオン源10においてイオン化されるサンプルは、分離デバイスからもたらされる。
イオン移送ステージ20は、イオン源10の下流に配置され、大気圧インターフェースと、イオン源10によって生成されたイオンの一部又は大部分をイオン源10から分析器30に移送することができるように構成された1つ以上のイオンガイド、レンズ及び/又は他のイオン光学デバイスとを含み得る。イオン移送ステージ20は、任意の好適な数及び構成のイオン光学デバイスを含み得、例えば、任意選択的に、1つ以上のRF及び/又は多重極イオンガイド、イオンを冷却するための1つ以上のイオンガイド、1つ以上の質量選択イオンガイドなどのうちの任意の1つ以上を含む。
分析器30は、イオン移送ステージ20の下流に配置され、イオン移送ステージ20からイオンを受け取るように構成されている。分析器は、イオンの質量電荷比、質量、イオン移動度及び/又は衝突断面積(Collision Cross Section、CCS)などのイオンの物理化学的特性を決定するためにイオンを分析するように構成されている。これを行うために、分析器30は、分析器30内のイオン経路に沿ってイオンを通過させ、イオンがイオン経路に沿って通過するのにかかる時間(ドリフト時間)を測定するように構成されている。そのため、分析器30は、イオン経路の端部に配置されたイオン検出器を備えることができ、分析器は、検出器におけるイオンの到着時間を記録するように構成されている。機器は、測定された到着時間からイオンの物理化学的特性を決定するように構成され得る。機器は、質量スペクトル又はイオン移動度スペクトルなどの分析されたイオンのスペクトルを作り出すように構成され得る。
特定の実施形態では、分析器30は、飛行時間型(ToF)質量分析器であり、例えば、イオンを分析器のドリフト領域内のイオン経路に沿って通過させることによってイオンの質量電荷比(m/z)を決定するように構成され、ドリフト領域は高真空(例えば、<1×10-5mbar)に維持される。イオンは、電界によってドリフト領域内に加速され得、イオン経路の終端に配置されたイオン検出器によって検出され得る。加速は、比較的低い質量電荷比を有するイオンに、比較的高い速度を達成させ、比較的高い質量電荷比を有するイオンよりも前にイオン検出器に到着させ得る。そのため、イオンは、それらの速度及びイオン経路の長さによって決定される時間の後にイオン検出器に到着し、それにより、イオンの質量電荷比が決定されることが可能になる。検出器に到着する各イオン又はイオン群は、検出器によってサンプリングされ得、検出器からの信号は、デジタル化され得る。次いで、プロセッサは、イオン又はイオン群の飛行時間及び/又は質量電荷比(「m/z」)を示す値を決定し得る。飛行時間(「ToF」)スペクトル及び/又は質量スペクトルを生成するために、複数のイオンのデータが収集され、組み合わされ得る。
代替的な実施形態では、分析器30は、イオン移動度分析器であり、例えば、分析器のドリフト領域内のイオン経路に沿ってイオンを通過させることによってイオンのイオン移動度を決定するように構成され、ドリフト領域にバッファガスが提供される。イオンは、電界によってバッファガスを通して付勢され得(又は、イオンは、電界がガス流に対向するように配置されたガス流によってドリフト領域を通して付勢され得)、イオン経路の終端に配置されたイオン検出器によって検出され得る。比較的高い移動度を有するイオンは、比較的低い移動度を有するイオンよりも前にイオン検出器に到着することになる。そのため、イオンは、それらのイオン移動度に従って分離し得、それらのイオン移動度によって決定される到着時間でイオン検出器に到着し得る。検出器に到着する各イオン又はイオン群は、検出器によってサンプリングされ得、検出器からの信号は、デジタル化され得る。次いで、プロセッサは、イオン又はイオン群の到着時間及び/又はイオン移動度を示す値を決定し得る。複数のイオンのデータが、到着時間スペクトル及び/又はイオン移動度スペクトルを生成するために収集され、組み合わされ得る。
図1は単なる概略的なものであり、分析機器は任意の数の1つ以上の追加の構成要素を含むことができ、実施形態ではもちろん含むことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、分析機器は、イオンをフラグメント化又は反応させるための衝突セル又は反応セルを含み、分析器30によって分析されるイオンは、イオン源10によって生成された親イオンをフラグメント化又は反応させることによって作り出されたフラグメントイオン又は生成物イオンであり得る。
図1にも示すように、機器は、分析器30を含む機器の様々な構成要素の動作を制御する、適切にプログラムされたコンピュータなどの制御ユニット40の制御下にある。制御ユニット40はまた、本明細書に記載の実施形態による検出器を含む様々な構成要素からデータを受け取り、処理し得る。
図2は、分析器30の1つの例示的な実施形態の詳細を概略的に例示している。この実施形態では、分析器30は、多重反射飛行時間型(MR-ToF)質量分析器である。
図2に示すように、多重反射飛行時間型分析器30は、第1の方向Xに互いに離間して対向する一対のイオンミラー31、32を含む。イオンミラー31、32は、第1の端部と第2の端部との間で直交ドリフト方向Yに沿って細長い。
イオントラップの形態であり得るイオン源(注入器)33は、分析器の一端(第1の端部)に配置される。イオン源33は、イオン移送ステージ20からイオンを受け取るように配置され、構成され得る。イオンは、イオンミラー31、32の間の空間内に注入される前に、イオン源33に蓄積され得る。図2に示すように、イオンは、比較的小さい注入角度又はドリフト方向速度でイオン源33から注入されて、ジグザグイオン軌道を生み出し得、それによって、ミラー31、32間の異なる振動は、空間において分離される。
1つ以上のレンズ及び/又は偏向器が、イオン源33とイオンが最初に遭遇するイオンミラー32との間で、イオン経路に沿って配置され得る。例えば、図2に示すように、第1の面外レンズ34、注入偏向器35、及び第2の面外レンズ36は、イオン源33とイオンが最初に遭遇するイオンミラー32との間で、イオン経路に沿って配置され得る。他の構成も可能であろう。一般に、1つ以上のレンズ及び/又は偏向器は、イオンビームを好適に調整し、集束させ、かつ/又は偏向させるように、すなわち、イオンビームが分析器を通る所望の軌道をとるように、構成され得る。
分析器はまた、イオンミラー31、32の間で、イオン経路に沿って配置された別の偏向器37を含む。図2に示すように、偏向器37は、その第1のイオンミラー反射(イオンミラー32における)の後、かつその第2のイオンミラー反射(他方のイオンミラー31における))の前に、イオン経路に沿って、イオンミラー31、32の間でおよそ等距離に配置され得る。
分析器はまた、検出器38を含む。検出器38は、イオンを検出し、例えば、検出器へのイオンの到着に関連付けられた強度及び到着時間を記録するように構成された任意の好適なイオン検出器とすることができる。好適な検出器としては、例えば、1つ以上の変換ダイノードが挙げられ、任意選択的に、1つ以上の電子増倍管などが後に続く。
イオンを分析するために、イオンが、(a)イオンミラー31、32の反対側の(第2の)端部に向かってドリフト方向Yに沿ってドリフトし、(b)ドリフト方向速度をイオンミラー31、32の第2の端部の近傍で反転させ、次いで(c)偏向器37に向かってドリフト方向Yに沿って戻るようにドリフトする間に、イオンは、イオンミラー31、32の間でX方向に複数回反射するジグザグイオン経路をとるように、イオン源33からイオンミラー31、32の間の空間内に注入され得る。次いで、イオンを、検出のために偏向器37から検出器38に移動させ得る。
図2の分析器では、イオンミラー31、32は両方とも、X方向及び/又はドリフトY方向に対して傾斜している。代わりに、イオンミラー31、32のうちの一方のみを傾斜させ、例えば、イオンミラー31、32のうちの他方をドリフトY方向に平行に配置することも可能であろう。一般に、イオンミラーは、ドリフト方向Yの長さに沿ってX方向に互いに一定でない距離にある。イオンミラーの第2の端部に向かうイオンのドリフト方向速度は、2つのミラーの互いからの一定でない距離からもたらされる電界によって対抗され、この電界は、イオンに、ドリフト方向速度をイオンミラーの第2の端部の近傍で反転させ、偏向器37に向かってドリフト方向に沿って戻るようにドリフトさせる。
図2に示す分析器は、一対の補正ストライプ電極39を更に備える。ドリフト長に下って移動するイオンは、各々がミラー31、32を通過するたびにわずかに偏向され、追加のストライプ電極39は、ミラー間の距離の変化によって生じる飛行時間誤差を補正するために使用される。例えば、ストライプ電極39は、ミラー間のイオン振動の周期がドリフト長の全体に沿って実質的に一定であるように(2つのミラー間の距離が一定でないにもかかわらず)、電気的に付勢され得る。イオンは、最終的に、ドリフト空間を下って戻るように反射され、検出器38に集束される。
図2の傾斜ミラー型多重反射飛行時間型質量分析器の更なる詳細は、米国特許第9,136,101号に記載されている。
一般に、分析器30は、任意の好適なタイプの飛行時間型(ToF)質量分析器(又は実際にはイオン移動度分析器)であり得ることに留意されたい。例えば、分析器は、例えば、英国特許第2,580,089号に記載されているような、単一レンズタイプの多重反射飛行時間型質量分析器であってもよい。
一般に、イオン衝撃検出器を有する飛行時間型(ToF)質量分析器は、静電界におけるイオンの移動時間がイオンの質量電荷比(m/z)の平方根に比例するという特性を利用する。イオンは、イオン源(例えば、直交加速器又は高周波イオントラップ)から同時に放出され、所望のエネルギーまで加速され、特定の距離を移動した後にイオン検出器に衝突する。
図3は、イオンパケット50が検出器によって検出されるプロセスを概略的に例示している。図3に示すように、検出器は、変換ダイノード51と、それに続く1つ以上の電子増倍管ステージ53とを備える。検出器はまた、又は代わりに、1つ以上のシンチレータ及び/又は1つ以上の光子増倍管などを含み得る。図3に示す実施形態では、イオン50は、変換ダイノード51に衝突させられ、その後、二次電子52が作り出される。次いで、二次電子52は、時間関数として変換ダイノード51で受け取られたイオン50の強度を示す信号を作り出すように、1つ以上の電子増倍管ステージ53によって増幅される。
生成された信号は、例えば、時間デジタル変換器(TDC)又はアナログデジタル変換器(ADC)のいずれかであるデジタイザなどのデータ取得電子機器54によって記録される。図3に示すように、これは、同じ質量電荷比のイオンによって生成される時間分解ピーク55をもたらす。移動距離がすべてのイオン50に対して実質的に同じであるため、イオン到着時間は、イオンの質量対電荷比(m/z)を決定するために使用され、次いで、イオン識別のために使用され得る。
ToF質量分析器は、典型的には、約100Hz~10kHzのレートで信号を記録し、各信号は、潜在的に、数百の異なるイオンピークを含有する。各信号は、注入器33によって分析器内に放出されたそれぞれのイオンパケット50に対応する。これらの信号をリアルタイムで分析し、例えば、分析の結果に基づいて後続のスキャンのパラメータを設定できるようにすることが望ましいことがある。
しかしながら、データ取得電子機器54によって記録されるピークは、複雑な形状を有することがあり、異なるイオン種から生じるピークが重なり合うことがある。したがって、実施形態は、記録された信号から異なる質量電荷比に対応するピークを識別し、次いで、到着時間、強度、及び/又は1つ以上の他の特性をこれらのピークの各々に割り当てる方法を提供する。
ピーク当てはめ法が対処すべき2つの極端なケースが識別されえ得る。これらは図4に例示されている。
図4Aに示すように、第1の極端なケースでは、2つの重なり合うピークが、類似の質量電荷比を有する2つの異なるイオン種によって生成されている。重なり合うピークは、2つの種の各々の到着時間及び/又は他のパラメータを個々に推定するために、もつれが解かれるべきである。
図4Bに示すように、第2の極端なケースでは、単一のイオン種が多峰形ピークを生成し、このピークは、(第1のケースのように)異なるイオン種から生じる信号として解釈されるべきではなく、単一の種のみに由来する信号として扱われるべきである。複数の信号が平均化された場合、又はより多くのイオンが信号内に存在した場合、このピークの多峰形構造は消失することに留意されたい。
この第2のケースは、多重反射飛行時間型(MR-ToF)分析器に特に関連する。上述したように、これらの機器では、長い移動距離、したがって、長い飛行時間Tを達成するために、イオンミラー31、32間の多重反射を使用してイオン軌道が折り畳まれる。この場合、幅ΔTのイオン到着時間のかなり広い確率分布は、依然として、レートΔT/Tに比例する非常に高い分解能をもたらすことができる。
一方、最先端のイオン検出器は、入射イオンを1ns未満の半値全幅(FWHM)を有する電圧パルスに変換し、これは、MR-ToF機器のΔTよりもかなり小さくなり得る。この場合、ある種の数個のイオンのみが検出される場合、図4Bに示す信号などの多峰形信号が記録される可能性が非常に高い。多くのそのような信号が平均化された場合にのみ、到着時間分布に類似した形状を有する単峰性ピークが出現する。しかしながら、平均化は時間がかかり、所与のサンプルの高速分析を達成するために可能であるときにはいつでも省略され得る。同様に、より多数のイオン及びより良好な信号対雑音比は、多峰形ピークに遭遇する機会を低減するが、これは常に達成されるとは限らない。
到着時間分布の幅は、典型的には、到着時間自体に依存する。これは、大きな質量対電荷範囲が分析される場合、非常に異なる幅のピークをもたらす。特に大きな質量電荷比のイオンの場合、イオン到着時間の広い確率分布が予想され得、多峰形信号が単一のイオン種のみによって生成されることになる。
これらの多峰形ピークは、不十分なイオン統計及びノイズに起因して、単一の種のイオンから生じ得、そのようなピークのモードは、複数の重なり合うピークとして容易に誤解され得る。これを回避するために、平滑化スプライン関数(例えば、Chudinov,A.V.,et al.「Interpolational and smoothing cubic spline for mass spectrometry data analysis.」International Journal of Mass Spectrometry396(2016):42-47.)、連続ウェーブレット変換(例えば、Du,Pan,Warren A.Kibbe,and Simon M.Lin.”Improved peak detection in mass spectrum by incorporating continuous wavelet transform-based pattern matching.”Bioinformatics22.17(2006):2059-2065、及び Lange,Eva,et al.「High-accuracy peak picking of proteomics data using wavelet techniques.」Biocomputing2006.2006.243-254)、並びに離散ウェーブレット変換(例えば、Coombes,Kevin R.,et al.「Improved peak detection and quantification of mass spectrometry data acquired from surface-enhanced laser desorption and ionization by denoising spectra with the undecimated discrete wavelet transform.」Proteomics5.16(2005):4107-4117)が、信号及びノイズを分離し、異なるスケールでイオンピークを検索するために、従来技術において使用されている。しかしながら、本発明者らは、異なるスケールでフィルタリングを行い、すべてのスケールでピークを検索することは非常に時間がかかることがあり、したがって100Hz~10kHzのレートで記録されたスペクトルのリアルタイム分析には適していないことを見出した。
米国特許出願第2009/0072134号は、全質量範囲にわたる各ピークがビンの数に関して同様のFWHMを有するように、入ってくるデータの質量依存ビニングを使用する。しかしながら、これは、ビニングプロセス中に情報が失われる結果をもたらす。
そのため、従来技術の方法は、計算コストが高い多くの異なるスケールで分析を行うか、又は精度の損失をもたらすビニングを使用するかのいずれかである。
図5は、様々な実施形態による方法を示している。この手法は、異なるスケールでの平滑化技術を必要とせず、多峰形ピークを異なるイオン種の重なり合ったピークであると誤って解釈する確率を低減する。図5は、様々な実施形態によるアルゴリズムの主な工程を例示するフローチャートである。
図5に示すように、第1の工程60において、スペクトルは、閾値を使用して異なるセグメントに切断される。いくつかの隣接サンプルとともに閾値を超えるサンプルのみが保持される。この工程は、ADC 54のファームウェアで容易に実施することができる。
第2の工程61において、ガウスフィルタが各セグメントの生データに適用される。平滑化カーネルの幅が、このセグメントにおける到着時間分布の幅程度である場合には、フィルタは、典型的には、多峰形ピークを単峰性ピークに変えることになる。これは、複数のピークの誤った識別を回避する。
所与の到着時間のイオンの到着時間分布の正確な幅を見つけるために、ToF分析器に対して較正が行われる。この事前知識は、アルゴリズムが、従来技術のようにすべてのスケール上でピークを探すのではなく、特定のスケール上でピークを探すことを可能にし、それによって分析を大幅に高速化する。
いくつかの実施形態では、線形依存関係を仮定するのに十分であることが分かっている。そのため、平滑化カーネルの幅δtは、現在のセグメントにおける平均到着時間Tに比例し得る。これらの2つの間の係数は、「時間スケール係数」と呼ばれ場合がある。実施形態では、この係数は、1e-6の単位であり得る。
わずかにより洗練されたモデル、例えば、以下の形態のモデルが使用され得る。
ここで、δtminは、イオンの初期エネルギー及び位置広がりのような効果によって制限される、短い飛行時間で得ることができるピーク幅である。
は、高い質量電荷比における分解能を指し、これは、主に、機器内の収差によるイオン経路長の差によって制限される。イオンの数のような他のパラメータも、分布の幅及び形状に影響を及ぼすが、それほど重要でないことが分かっている。
セグメントがフィルタリングされると、フィルタリングされた信号における極小値が見出され、セグメントは、これらの極小値の場所で複数の区間に更に分割される。これを図6Aに例示する。
本質的に、ガウスフィルタは、ピークの位置で極大値を与え、その間で極小値を与えるパターンマッチングであることが理解されるであろう。これを更に改善するために、到着時間分布のモデルを平滑化カーネルとして使用することが有益である。実施形態では、到着時間分布は、その中心の左右に異なるシグマ値を有する非対称ガウス関数によって良好にモデル化することができ、このモデルは平滑化カーネルとして使用され得る。
第2の工程61におけるガウスフィルタの代替として、連続ウェーブレット変換(CWT)を適用することができ、この場合も、ウェーブレットのスケールは、現在のセグメントにおける平均到着時間に比例する。Marrウェーブレット(メキシカンハットウェーブレットとしても知られる)を使用して、信号のフィルタリングされた二次導関数が得られる。変換された信号の極大値は、それらが閾値を超える場合、ピーク位置の第1の推定値であると仮定される。次いで、これらの推定されたピーク位置の間で分裂させることが行われる。CWTを使用して、2つのピーク間に極小値が存在しない状況において、2つのピークを識別することができる。
第3の工程62及び第4の工程63において、最大強度値が所与の閾値を超える区間のみが保持され、残りの区間が1つずつ処理される。
セグメント内の信号が単一のイオン種のみに由来する場合、この時点で単一の区間のみが残されるべきであり、したがって、単一のピークのみのパラメータが推定されるべきである。この状況を図7に例示する。
複数の区間が残った場合、それらは、最高から最低まで合計された信号に従ってソートされ、次いで、アルゴリズムは、以下のように、これらの区間の各々におけるピークのパラメータを1つずつ推定する。
飛行時間tiで記録された高さyiの未処理のフィルタリングされていないサンプルを有する区間kにおけるピークパラメータが推定されると仮定する。第3の工程62において、モデル値fl(ti)は、まず、これらの飛行時間において、既に推定された他のピークから減算され、
が得られる。そのような補正された信号の実施例を図6Cに示す。
第4の工程63において、ピークのパラメータは、残りの信号
を使用して推定される。所与の区間においてピーク中心Tを見つけるために、多くの方法が使用され得る。これらの方法のうちの2つは以下の通りである。
1.重心の計算
2.累積総計
が全信号の半分に達する中間点の計算。
ここで、ti及びyiは、サンプルの時間及び電圧である。ピークの極大値ymaxは、セグメントのこの区間において観察される極大値信号に等しいと仮定される。
代替的に、推定されたピーク中心における信号が使用され得る。非対称ピークの左側部分σl及び右側部分σrの幅は、推定ピーク中心の左側及び右側のモデル及び観測データの積分面積が同じになるように調整される。これらのパラメータは、ピークの以下のモデルをもたらす。
である。
同様な方式で、他のモデルのパラメータが推定され得る。
実施形態では、セグメントのフィルタリングされたバージョンは、ピークを分裂させるためにのみ使用され、モデルを当てはめるためには使用されないことに留意されたい。代わりに、モデルは、元のフィルタリングされていないデータセグメントに当てはめられる。これは、分解能が保持されることを確実する。
すべてのピークについてモデルが得られた後、推定は、任意選択的に繰り返すことができる。これらの追加の繰り返しでは、区間のみの代わりに、フルセグメントが使用され得る。しかしながら、対応する区間からのデータを使用するだけで十分であることが分かった。繰り返しは、パラメータが所望の精度に達したとき、又は定義された最大繰り返し数に達したときに終了され得る。この繰り返しの結果を図6Dに示す。
図8は、複数の区間が残った状況における方法の第3の工程62及び第4の工程63の繰り返しプロセスの詳細を示す流れ図である。図8に示すように、各残りの区間の合計信号が計算され(工程70)、区間は、最高から最低の順序でそれらの合計信号に従ってソートされる(工程71)。アルゴリズムは、最初に、最も高い合計信号を有する区間を選択し(工程72)、ピークモデルをその区間に当てはめる(工程73)。
次に、現在の区間が最後の区間であるかどうかについての判定がなされる(工程74)。これが当てはまらない場合には、次に高い総計を有する区間が選択される(工程75)。次いで、アルゴリズムは、現在の区間に現れるセグメントの他の区間のピークから生じる信号の量を推定し(工程76)、その推定された信号を現在の区間の信号から減算する(工程77)。次いで、アルゴリズムは、工程77によって作り出された現在の区間の補正された信号にピークモデルを当てはめることによって、工程73にループバックする。
このプロセスは、最後の区間に達するまで、各区間を1つずつ進むことによってループされ、最後の区間に達した時点で、工程74は、現在の区間が最後の区間であると判定する。次に、繰り返しの最大回数に達したかどうかについての判定が行われる(工程78)。これが当てはまる場合、プロセスは終了し(工程79)、現在の一組のピークモデルが出力され、及び/又は更なる分析のために使用される。
一方、最大繰り返し回数に達していない場合には、全手順が繰り返され、最も高い合計信号を有する区間から再び開始される(工程80)。しかしながら、この場合、図8から分かるように、第1の区間は、ピークモデルが工程73において補正された信号に当てはめられる前に、工程76及び工程77にかけられる(すなわち、現在の区間の信号から、現在の区間に現れるセグメントの他の区間におけるピークから生じる信号の推定量を減算することによって)。
図8に示す実施形態では、繰り返しは最大繰り返し回数の後に終了されるが、代わりに、例えば、ピークモデルから決定されるパラメータ(例えば、重心、強度、及び/又は面積)の所望の精度に基づいて、より高度な終了基準を利用することが可能である。
図9は、いくつかの繰り返し後の図6からの実施例の推定されたToF重心及びピーク面積の収束を示している。図9から分かるように、典型的には、推定値が収束するのに数回の繰り返ししか必要とされず、初期推定値でさえも、多くの用途に対して既に十分に近い値である。
図5に戻ると、任意選択の最終工程64を実行することができ、それによって、フルセグメントの複数ピークモデルへの非線形当てはめが行われる。非線形当てはめの初期値は、前の工程63から得られる。この追加の工程64は時間がかかることがあり、前の工程63の後のモデルにおける未処理データ間の良好な一致が通常見出される。したがって、この最後の工程64は、時間が許す場合にのみ行われ得る。得られた最終モデルを図6Dに示す。
アルゴリズムの性能は、TMTサンプルの記録されたデータ、並びにピーク特性を恣意的に調整することを可能にするシミュレートされたピーク(最も重要なのは、2つのピーク間の距離)を使用して評価した。シミュレートされたデータを使用して、約300μsの飛行時間及び100,000の分解能(1.5nsのFWHMに対応する)において、4nsのToF差を伴う平均10個のイオンを含有する2つのピークが、依然として、適切なパラメータに対して高い信頼性で区別され得ることが見出された。これを図10に示す。分裂成功率は、2つのピークに正確に分裂されるセグメントの割合として定義される。CWTを使用すると、ピーク間の極小値が観察されない状況において、更に低い値を達成することができる。
時間スケール係数を減少させると真陽性率が増加するが、図11は、同じデータに対して、特にCWTを使用すると、スキャン当たりの偽陽性の平均数も増加することを示している。
図12及び図13において、偽陽性率は、ToFが約1000μsを有する2つのピークについてプロットされている。これは、ToFを増加させ、それによってピーク幅を増加させることが、より多くの偽陽性をもたらすことを明確に示している。イオンの数を減少させることは、更に同様の問題をもたらす。偽陽性と偽陰性との間の良好なバランスを見出すべきである。これらの目的を組み合わせるために、精度は、
として定義され、式中、TPは、少なくとも2つのピークにおける成功した分裂の数であり、FPは、過剰なピークの数である。
精度を図14に示す。より大きなピーク距離で最大精度を無難に達成するために、3e-6の時間スケール係数を選択した。
実施形態によるアルゴリズムの工程のすべては、非常に効率的な方法で実施することができ、計算コストが高くないことに留意されたい。2つのピークを含むセグメントの分析は、非線形当てはめの最後の任意選択の工程64が除外される場合、C++実装において平均4μsかかることを実証することが可能であった。4μsより速い実装が可能である。
極端な場合には、スペクトル内に約500、1000、又はそれ以上のピークが存在し得、典型的には、ダイナミックレンジを増加させるために、高い利得を伴う第1のチャネル及び低い利得を伴う第2のチャネルにおいて同時に記録される。そのため、約1000以上のセグメントが分析される必要があり得、これは、入ってくるデータのオンライン分析を可能にする。
実施形態は、信号を異なるイオン種から生じるピークに分裂させるために、飛行時間又はm/zに依存するスケールを有するCWT又はローパスフィルタのいずれかを使用することを理解されたい。不十分なイオン統計に起因する複数の種の偽陽性を回避するために、正確なスケールが選択される。
様々な実施形態を参照して本発明を記載してきたが、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。

Claims (25)

  1. イオン分析器によって生成されたデータを分析する方法であって、前記方法は、
    (I)イオン分析器によって生成された第1のデータセグメントを受け取ることであって、前記第1のデータセグメントは、第1の到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ることと、
    (ii)前記第1のデータセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、前記第1のデータセグメントにフィルタを適用することであって、前記フィルタに関連付けられた幅は、前記第1の到着時間範囲内の到着時間に関する前記イオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている、適用することと、
    (iii)前記第1のデータセグメントの前記フィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで、
    (iv)識別された前記1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することと、を含む、方法。
  2. (i)前記イオン分析器によって生成された第2のデータセグメントを受け取ることであって、前記第2のデータセグメントは、第2の異なる到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ることと、
    (ii)前記第2のデータセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、前記第2のデータセグメントに前記フィルタを適用することであって、前記フィルタに関連付けられた前記幅は、前記第2の異なる到着時間範囲内の到着時間に関する前記イオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている、適用することと、
    (iii)前記第2のデータセグメントの前記フィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで、
    (iv)識別された前記1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することと、
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のデータセグメント及び前記第2のデータセグメントは、イオンの単一パケットを検出することに応答して、前記イオン分析器によって作り出された信号から導出されるか、又は
    前記第1のデータセグメント及び前記第2のデータセグメントは、前記イオン分析器によって作り出された複数の信号を組み合わせることによって作り出された信号から導出される、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記方法は、前記信号の強度が閾値を超えるときにデータセグメントを生成することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1のデータセグメントは、第1の組のデジタルサンプルを含み、前記第1の組の各サンプルは、それぞれの到着時間に関連付けられ、前記第1の組に関連付けられた前記到着時間は、前記第1の到着時間範囲内にある、及び/又は
    前記第2のデータセグメントは、第2の組のデジタルサンプルを含み、前記第2の組の各サンプルは、それぞれの到着時間に関連付けられ、前記第2の組に関連付けられた前記到着時間は、前記第2の異なる到着時間範囲内にある、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記フィルタに関連付けられた前記幅は、前記セグメントに関連付けられた前記到着時間範囲に依存するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記フィルタに関連付けられた前記幅は、前記セグメントに関連付けられた平均到着時間に依存するように構成されている、請求項6に記載の方法。
  8. 前記イオン分析器の前記予想イオン到着時間分布は、前記イオン分析器の較正から決定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記フィルタは、ガウス平滑化関数、非対称ガウス平滑化関数、又は連続ウェーブレット変換(CWT)を利用する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記データセグメントの前記フィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することは、
    前記データセグメントの前記フィルタリングされたバージョンにおける1つ以上の極小値、ゼロ交差点、及び/又は極大値を識別すること、並びに前記セグメントを、識別された前記極小値、ゼロ交差点、及び/又は極大値のうちの1つ以上の場所において1つ以上の区間に分割することと、
    閾値を超える最大サンプル強度を有する区間のみを保持することと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記セグメントに関して単一の区間のみが残った場合、ピークモデルを前記区間の前記サンプルに当てはめることによって、前記区間内のイオンピークの1つ以上の特質を決定することであって、任意選択的に、前記1つ以上の特質は、前記イオンピークの重心、強度、及び/又は面積を含む、決定すること、
    を更に含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記セグメントに関して複数の区間が残った場合、
    各残りの区間について、前記残りの区間内の前記サンプルの前記強度を合計することと、
    第1のピークモデルを、前記最も高い総計を有する前記区間の前記サンプルに当てはめることと、
    前記最も高い総計を有する前記区間の前記第1のピークモデルを使用して、前記2番目に高い総計を有する前記区間の前記サンプルを修正することと、
    第2のピークモデルを、前記2番目に高い総計を有する前記区間の修正された前記サンプルに当てはめることと、を更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記最も高い総計を有する前記区間及び前記2番目に高い総計を有する前記区間以外の前記セグメントの任意の残りの区間の各区間について、工程(a)及び(b):
    (a)前記最も高い総計を有する前記区間の前記第1のピークモデル、前記2番目に高い総計を有する前記区間の前記第2のピークモデル、及び前記セグメントの他の区間について決定された任意の他のピークモデルを使用して、次に高い総計を有する前記区間の前記サンプルを修正する工程と、
    (b)ピークモデルを前記区間の修正された前記サンプルに当てはめる工程と、を行うこと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. ピークモデルを前記複数の残りの区間の各々に当てはめることによって一組のピークモデルが作り出されたとき、
    (c)前記第1のピークモデル以外の前記一組のピークモデルのうちの前記ピークモデルを使用して、前記最も高い総計を有する前記区間の前記サンプルを修正することと、
    (d)第1の修正されたピークモデルを、前記最も高い総計を有する前記区間の修正された前記サンプルに当てはめること、及び前記第1のピークモデルを、前記一組のピークモデル内の前記第1の修正されたピークモデルと置き換えることと、
    (e)前記第2のピークモデル以外の前記一組のピークモデルのうちの前記ピークモデルを使用して、前記2番目に高い総計を有する前記区間の前記サンプルを修正することと、
    (f)第2の修正されたピークモデルを、前記2番目に高い総計を有する前記区間の修正された前記サンプルに当てはめること、及び前記第2のピークモデルを、前記一組のピークモデル内の前記第2の修正されたピークモデルで置き換えることと、
    任意選択的に、(g)前記最も高い総計を有する前記区間及び前記2番目に高い総計を有する前記区間以外の前記セグメントの任意の残りの区間の各区間について、工程(h)及び(i):
    (h)現在の区間の前記ピークモデル以外の前記一組のピークモデルのうちの前記ピークモデルを使用して、前記次に高い総計を有する前記区間の前記サンプルを修正する工程と、
    (i)ピークモデルを前記現在の区間の修正された前記サンプルに当てはめる工程、及び前記現在の区間の前記ピークモデルを、前記一組のピークモデル内の前記現在の区間の前記修正されたピークモデルで置き換える工程と、を行うこと、を更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 工程(c)~(i)を1回以上繰り返すことを更に含む、請求項14に記載の方法。
  16. ピークモデルが前記複数の残りの区間の各々に当てはめられたとき、複数ピークモデルを前記セグメントの前記サンプルに当てはめることを更に含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記モデルを使用して、前記セグメント内の各識別されたイオンピークの1つ以上の特質を決定することを更に含み、任意選択的に、前記1つ以上の特質は、イオンピークの重心、強度、及び/又は面積を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 各イオンピークの決定された前記1つ以上の特質を使用して、前記イオンピークに関連付けられたイオンの質量電荷比などの物理化学的特性を決定することを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. イオン源及びイオン分析器を備える分析機器を動作させる方法であって、前記方法は、
    前記イオン源においてイオンを生成することと、
    データを生成するように前記イオン分析器で前記イオンを分析することと、
    請求項1~18のいずれか一項に記載の方法を使用して前記データを分析することと、を含む、方法。
  20. プロセッサ上で実行されるとき、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法を行うコンピュータソフトウェアコードを記憶する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
  21. 分析機器のための制御システムであって、前記制御システムは、前記分析機器に請求項1~19のいずれか一項に記載の方法を行わせるように構成されている、制御システム。
  22. イオン分析器と、請求項21に記載の制御システムと、を備える、分析機器。
  23. 分析機器であって、
    イオン分析器と、
    制御システムであって、
    (i)前記イオン分析器によって生成されたデータセグメントを受け取ることであって、前記データセグメントは、第1の到着時間範囲に関連付けられたデータを含む、受け取ることと、
    (ii)前記データセグメントのフィルタリングされたバージョンを作り出すように、前記データセグメントにフィルタを適用することであって、前記フィルタに関連付けられた幅は、前記第1の到着時間範囲内の到着時間に関する前記イオン分析器の予想イオン到着時間分布の幅に依存するように構成されている、適用することと、
    (iii)前記データセグメントの前記フィルタリングされたバージョンにおける1つ以上のイオンピークを識別することと、次いで、
    (iv)識別された前記1つ以上のイオンピークの各イオンピークの1つ以上の特質を決定することと、を行うように構成された、制御システムと、を備える、分析機器。
  24. 前記イオン分析器は、飛行時間型(ToF)質量分析器である、請求項22又は23に記載の分析機器。
  25. 前記分析器は、多重反射飛行時間型(MR-ToF)質量分析器である、請求項24に記載の分析機器。
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