JP2005520804A - フォトクロミックなオキサジン化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芳香族置換基、複素環式芳香族置換基または脂肪族置換基をオキサジン部分の2の位置に有するオキサジン化合物が得られる。さらに、これらの化合物を製造するための優れた収率のワンポット法が提供される。
Description
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アリル、直鎖状のもしくは枝分かれした(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルアセチレニル、フェニルアセチレニル、(C1〜C20)アルケニル、フェニルビニル、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲン原子で置換したハロ(C1〜C20)アルキルもしくはハロ(C3〜C20)シクロアルキルもしくはハロ(C1〜C20)アルコキシ(ここでハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)、非置換のアリール、(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシもしくはアリールオキシで置換したアリール(好ましくはフェニルもしくはナフチル)、非置換のヘテロアリールもしくは(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したヘテロアリール、(好ましくは、フリル、チエニル、ピリル、インドリルもしくはピリジル)、アリールアルキルもしくは非置換のヘテロアリールアルキルもしくは(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したヘテロアリールアルキル、置換または非置換の窒素含有複素環、−N(R1)R2もしくは−CON(R1)R2(ここでR1とR2は、それぞれ独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、非置換フェニルもしくは(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したフェニルである。)、または−OCORもしくは−COORもしくは−COR基(ここでRは、水素、(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールである。)であり、
nは0〜4の整数であり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、
(a)直鎖状のもしくは枝分れした(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、アリール(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ(C1〜C6)アルキル、(C1〜C12)アルコキシ、ハロ(C1〜C12)アルキル、(C1〜C12)ハロアルコキシまたは(C1〜C12)アルキルチオ(ここで、アリールのそれぞれは、好ましくはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、それぞれ、フリル、チエニル、ピリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピリジル、ジベンゾフリル、ジベンゾチエニルまたはカルバゾリルであり得る。);
(b)フェニルおよびナフチル等の、非置換または一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(c)フリル、チエニル、ピリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピリジル、ジベンゾフリル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル等の、非置換または一置換または二置換複素環式芳香族基;
(d)下記式のいずれか一方の基
{ここで、(b),(c)および(d)中の前記アリールおよび複素環式芳香族の置換基のそれぞれは、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、エポキシ、ビニル、アリル、ヒドロキシエトキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、(C1〜C12)アルキル、(C1〜C12)アルコキシ、(C1〜C12)アルキルアリール、アリール、アリールオキシ、アリール(C1〜C12)アルキル、アリール(C1〜C12)アルコキシ、(C1〜C12)アルコキシアリール、ハロ(C1〜C12)アルキル、ハロアリール、シクロ(C3〜C12)アルキル、シクロ(C1〜C12)アルコキシ、アリールオキシアリール、アリールオキシ(C1〜C12)アルキル、アリールオキシ(C1〜C12)アルコキシ、アクリロキシ、メタクリロキシまたは、N−(C1〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペリジノ、アジリジノ、インドリノ、ピロリジノ、ピロリノ、ピペリジノ、(C1〜C4)アルキルピペリジノ、ジ(C1〜C4)アルキルピペリジノ、4−ピペリジノピペリジノ、モルホリノ、2,6−ジ(C1〜C4)アルキルモルホリノ、チオモルホリノ、チオアゾリジノ、テトラヒドロキノリノ、ピリルを含むがこれらに限られるわけではない窒素含有複素環置換基または−N(R1)R2もしくは−CON(R1)R2(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に、水素、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、フェニル、一置換または二置換のフェニルである。)または、−CORもしくは−OCORもしくは−COOR基(ここでRは、水素、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、非置換もしくは一置換もしくは二置換のフェニル、または非置換もしくは一置換もしくは二置換のナフチル、非置換もしくは一置換もしくは二置換のフリルまたはチエニルである。)である。};
(e)非置換または一置換のピラゾリル、ピリジル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニルまたはアクリジニル(ここで置換基は、それぞれ独立に、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、フルオロ、クロロまたはフェニルである。);または
(f)下記式のいずれか一方で表される基
nが0〜2の整数であり、
AおよびA’が、それぞれ独立に、
(a)直鎖状のもしくは枝分れした(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、アリール(C1〜C4)アルキル、ヘテロアリール(C1〜C4)アルキルまたは(C1〜C6)アルコキシ(C1〜C6)アルキル;
(b)好ましくはメタとパラのいずれかまたはその両方の位置で置換されている、フェニルまたはナフチル等の非置換または一置換または二置換のアリール;または
(c)非置換または一置換の複素環式芳香族基、たとえば、フリル、チエニル、ピリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピリジル、ジベンゾフリル、ジベンゾチエニルまたはカルバゾリル
{ここで、(b)および(c)のアリールおよび複素環式芳香族の置換基のそれぞれは、独立して、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、エポキシ、ヒドロキシエトキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、ビニル、アリル、トリフルオロメチル、フェニル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ(C1〜C6)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、フェニルアセチレニル、フェニルビニルまたは、N(C1〜C6)アルキルピペラジノ、N−アリールピペリジノ、アジリジノ、インドリノ、ピロリジノ、ピロリノ、ピペリジノ、(C1〜C4)アルキルピペリジノ、ジ(C1〜C4)アルキルピペリジノ、4−ピペリジノピペリジノ、モルホリノ、2,6−ジ(C1〜C4)アルキルモルホリノ、チオモルホリノ、チオアゾリジノ、テトラヒドロキノリノ、ピリルを含むがこれらに限られるわけではない窒素含有複素環置換基または−N(R1)R2もしくは−CON(R1)R2(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキルまたはフェニルである。)または、−CORもしくは−OCORもしくは−COOR(ここでRは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキルまたはフェニルである。)である}である。
nが0〜2の整数であり、
AおよびA’が、それぞれ独立に、直鎖状のもしくは枝分れした(C1〜C4)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、非置換もしくは一置換もしくは二置換のフェニル基、好ましくは、メタおよびパラのいずれかまたはその両方の位置において、ニトロ、アミノ、アシル、シアノ、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ビニル、アリル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(C1〜C4)アルキル、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、ピペラジノ、ピペリジノ、アリールピペリジノ、モルホリノ、ピロリジノ、アジリジノ、アクリロキシ、メタクリロキシ、フェニルアセチレニルおよびフェニルビニルからなる群から選ばれた置換基で置換された、一置換もしくは二置換のフェニル基、または、非置換、もしくは(C1〜C4)アルキルおよびフェニルからなる群から選ばれた置換基で置換されたフリル、チエニルおよびピリルのような一置換の複素環式芳香族基である。
(ステップ1)
アルゴン中、100mL三つ口フラスコに、固形のKOH(3.30g,0.05モル)と25mLのアセトニトリルを投入し、ついで、加熱還流した。20mLのアセトニトリル中にベンゾフェノン(9.1g,0.05モル)を加えた混合物を、撹拌しつつ、流し入れた。8時間の還流後、熱反応液を100gの砕いた氷上に注ぎ、ついで、ジクロロメタン(3×15mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲル(溶離液として、エーテル−ヘキサン1:5)上で、フラッシュクロマトグラフィによって精製し、7.9gの無色の油分を得た。収率は77%であった。1HNMRの結果、生成物が、3,3−ジフェニル−アクリロニトリルと一致する構造を有することが示された。
ステップ1で製造された3,3−ジフェニル−アクリロニトリル(5.76g,2.81ミリモル)および水酸化ナトリウム(11.2g,280ミリモル)を、180mLのエチレングリコールと1mLの水との混合物中で三日間還流した。反応混合物を冷却し、100mLの水で希釈し、pHが1未満となるまで、5Mの塩酸で酸性化し、吸引ろ過し、完全に水洗した。固形ペーストを酢酸エチルに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで二回抽出した。酢酸エチル溶液を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。全容積が約40mLになるまで、溶媒を真空除去した。短いシリカゲルカラムで溶液をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒の真空除去後、残渣に少量のヘキサン−酢酸エチル(4:1)を滴下し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。無色の結晶(5.34g)が得られた。収率は84.8%であった。1HNMRの結果、生成物が、3,3−ジフェニルアクリル酸と一致する構造を有することが示された。
ステップ2のジフェニルアクリル酸(225mg,1ミリモル)の混合物、DPPA(95%,348mg,1.2ミリモル)、トリエチルアミン(506g,5ミリモル)、フェナントレン−9,10−ジオン(146mg,0.7ミリモル)およびトリフェニル砒素オキシド(16mg,0.05ミリモル)を乾燥トルエン(12mL)中で、3時間掛けて60℃に加熱した。クロマトグラフィ(シリカゲル,溶離液としてジクロロメタン−ヘキサン2:1)およびジクロロメタン−ヘキサンからの再結晶の後、308gの2,2−ジフェニルフェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンが、無色(わずかに淡黄色の)結晶として得られた。収率は100%であった。
(ステップ1)
撹拌下の水素化ナトリウム(95%,0.507g,20ミリモル)のTHF(15mL)懸濁液に、トリエチルホスホノアセテート(4.48g,20ミリモル)のTHF(20mL)溶液を2〜3mL加えた。エタノールの一小滴を加えて反応を開始させ、氷水で冷却しつつ、40分掛けて、残りのトリエチルホスホノアセテート溶液を滴下して加えた。15分間の撹拌後、反応混合物を滴下ロートに移し、4−メトキシベンゾフェノン(4.38g,20ミリモル)のTHF(20mL)沸騰溶液に滴下により加えた。24時間の還流後、大部分の溶媒を除去した。冷却した残渣を塩化ナトリウムの飽和水溶液(20mL)に加え、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンを除去して得られた淡黄色の油分(5.42g)は、1HNMRによる分析では、主として、(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−フェニルアクリル酸エチルエステルであった。この油分はさらに精製せずに、直接次のステップで使用した。
ステップ1で得られた油分を、KOHの溶液(5.07g,30mLメタノール)中、還流し、1時間掛けて加水分解した。冷却した反応混合物を、氷水中に投入し、pHが1未満となるまで、希塩酸で酸性化し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。この有機溶液を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。白色の固形物が得られた。母液をクロマトグラフィと再結晶処理にかけた。合計3.826gの所望の生成物が、白色の固形物として得られ、0.677gの未反応のケトンが回収された。収率は75.3%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−フェニル−アクリル酸の混合物であることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−メトキシフェニル−3−フェニルアクリル酸(254.5mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、290.7mgの2−(p−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを淡黄色の結晶として得た。収率は100%であった。
(ステップ1)
撹拌下、アニソール(11.9g,0.11モル)とp−フルオロベンゾイルクロリド(97%,16.34g,0.1モル)とをジクロロメタン(50mL)に加えた混合物に、氷水で冷却しつつ、塩化アルミニウム(14.67g,0.11モル)を少量ずつ加えた。添加の後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、砕いた氷(400g)と塩酸(20mL)の混合物中に投入し、オレンジ色を発するまで撹拌した。ついで、混合物をジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、短いシリカゲルカラムに通し、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し、21.96gの無色結晶を得た。収率は95.4%であった。1HNMRの結果、生成物がp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトンと一致する構造を有していることが示された。
p−メトキシベンゾフェノンの代わりにp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトン(4.60g,20ミリモル)を使用した以外は実施例2のステップ2の手順を繰り返した。反応時間は48時間であった。得られた油分は、主に、(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−3−p−メトキシフェニル・アクリル酸エチルエステルであった。この油分をさらに精製することなく次のステップに使用した。
ステップ2で得られた油分を、KOH(5.2g)とメタノール(30mL)の混合物中で80分掛けて加水分解した。ついで、反応混合物を冷却し、溶媒を真空除去し、水(30mL)を加えた。混合物を吸引ろ過し、水洗し、ろ液をエーテル(15mL)で抽出した。水層を分離し、pHが1未満になるまで4Mの塩酸で酸性化した。固形物をろ過によって集め、ジクロロメタン/ヘキサンから再結晶させ、4.8gの白色結晶を得た。収率は88.1%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が、(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルアクリル酸の混合物と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルアクリル酸(272.3mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、目的のオキサジンである、2−(p−フルオロフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡黄色の結晶として形成した。収率は99.6%であった。
(ステップ1)
窒素雰囲気中、撹拌下氷水浴で冷却しつつ、水素化ナトリウム(0.48g,20ミリモル)の乾燥THF(20mL)懸濁液に、トリエチルホスホノアセテート(4.48g,20ミリモル)の乾燥THF(25mL)溶液を、滴下により加えた。40分後、溶液を滴下ロートに移し、還流している、ビス−(p−メトキシフェニル)ケトンの乾燥THF(20mL)溶液に、20分掛けて滴下により加えた。反応混合物を48時間還流し、ついで、飽和塩化ナトリウム溶液(40mL)で加水分解した。水相をエーテル(3×70mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて乾燥し、ろ過し、濃縮して残渣を得、メチレンクロリド/ヘキサン(1:2)を溶出液としてクロマトグラフィで精製した。無色の油分(4.23g)が得られた。収率は67.8%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が、3,3−ビス(p−メトキシフェニル)−アクリル酸エチルエステルと一致する構造を有していることが示された。
ステップ1で得られた3,3−ビス(p−メトキシフェニル)−アクリル酸エチルエステル(4.23g,13.5ミリモル)を、KOH(3.7g,66ミリモル)の存在下、22mLのメタノール中で、還流下、1時間掛けて加水分解した。冷却した反応混合物を氷水(50mL)中に投入し、pHが1未満になるまで希塩酸で酸性化した。得られた固形物をろ別し、水洗し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。白色の固形物(3.6g)が得られた。収率は93.78%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が、3,3−ビス(p−メトキシフェニル)−アクリル酸と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに、3,3−ビス(p−メトキシフェニル)−アクリル酸(284.3mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、2,2−ビス(p−メトキシフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡黄色の結晶として生成した。収率は93.2%であった。
(ステップ1)
撹拌下、水素化ナトリウム(95%,0.253g,10ミリモル)のジオキサン(20mL)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(2.31g,10ミリモル)のジオキサン(5mL)溶液を、滴下により加えた。20分の撹拌後、p−メトキシフェニル−p−モルホリノフェニルケトン(2.28g,8ミリモル)を加え、45時間還流し、大部分の溶媒を除去した。冷却した残渣に水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去して、淡黄色の油分を得、これ以上の精製を行うことなく、直接、次のステップに使用した。
ステップ1で得られた油分を、KOH(2.0g)のメタノール(15mL)溶液中、1.5時間還流して加水分解した。溶媒の除去後、反応混合物を氷水に加え、吸引ろ過し、水洗した。0.4gの未反応ケトンを回収した。ろ液をエーテルで抽出し、水層を分離し、希塩酸で酸性化し、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。有機溶液を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン/ヘキサンから再結晶して、1.72gの黄色の結晶を得た。1HNMRの結果、得られた生成物が、(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−p−モルホリノフェニルアクリル酸の混合物と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−メトキシフェニル−3−p−モルホリノフェニル−アクリル酸(339.4mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、358mgの2−(p−メトキシフェニル)−2−(p−モルホリノフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡褐色の固形物として得た。収率は100%であった。
(ステップ1)
撹拌下、水素化ナトリウム(95%,0.253g,10ミリモル)のTHF(15mL)懸濁液に、トリエチルホスホノアセテート(2.31g,10ミリモル)のTHF(5mL)溶液を、滴下により加えた。20分の撹拌後、p−メトキシフェニル−p−ピペリジノフェニルケトン(2.95g,10ミリモル)を加え、5日間還流し、大部分の溶媒を除去した。冷却した残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去して淡黄色の油分を得、さらに精製することなく、直接次のステップに使用した。
ステップ1で得られた油分を、KOH(2.8g)のメタノール(15mL)溶液で、1時間掛けて、還流下加水分解した。溶媒の除去後、反応混合物を氷水に加え、吸引ろ過し、水洗した。1.35gの未反応ケトンを回収した。ろ液をエーテルで抽出し、水層を分離し、希塩酸で酸性化し、吸引ろ過して、1.18gの黄色の固形物を得た。1HNMRの結果、得られた生成物が、(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−p−ピペリジノフェニル−アクリル酸の混合物と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−メトキシフェニル−3−p−ピペリジノフェニル−アクリル酸(337.4mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、336.8mgの、所望のフォトクロミックなオキサジンである、2−(p−メトキシフェニル)−2−(p−ピペリジノフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡黄色の固形物として得た。収率は96.5%であった。
(ステップ1)
p−メトキシベンゾフェノンの代わりにアセトフェノン(2.43g,20ミリモル)を使用した以外は実施例2のステップ2の手順を繰り返した。反応時間は4日間であった。得られた油分(3.78g)は、さらに精製することなく、次のステップに使用した。
ステップ1で得られた油分を、水酸化カリウム(5.07g)とメタノール(30mL)の混合物中で、1時間掛けて加水分解した。ついで、混合物を冷却し、溶媒を真空除去した。残渣に水(30mL)を加え、エーテルで2回(各15mL)抽出した。水層を分離し、pHが1未満になるまで4Mの塩酸で酸性化した。ろ過によって固形物を集め、2.4gの白色固形物を得た。収率は74%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が、(E)−および(Z)−3−メチル−3−フェニルアクリル酸の混合物と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−メチル−3−フェニルアクリル酸(272.3mg,1ミリモル)を使用し、フェナントレン−9,10−ジオンを191.2mg,0.9ミリモル使用し、反応温度を80℃にした以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、122mgの2−メチル−2−フェニルフェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡黄色の結晶として得た。収率は41.9%であった。
(ステップ1)
p−メトキシベンゾフェノンの代わりにシクロプロピル・フェニルケトン(2.98g,20ミリモル)を使用した以外は実施例7のステップ1の手順を繰り返した。反応時間は4日間であった。得られた油分(4.42g)は、さらに精製することなく、次のステップに使用した。
ステップ1の油分(4.42g)を使用した以外は実施例7のステップ2の手順を繰り返し、3.31gの白色固形物を得た。収率は88%であった。1HNMRの結果、得られた生成物が、(E)−および(Z)−3−シクロプロピル−3−フェニルアクリル酸の混合物と一致する構造を有していることが示された。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−シクロプロピル−3−p−ピペリジノフェニルアクリル酸(188mg,1ミリモル)を使用した以外は実施例1のステップ3の手順を繰り返し、195.5mgの2−シクロプロピル−2−(p−ピペリジノフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンを、淡黄色の固形物として得た。収率は80%であった。
Claims (10)
- 下記式で表される構造を有する化合物。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アリル、直鎖状のもしくは枝分かれした(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルアセチレニル、フェニルアセチレニル、(C1〜C20)アルケニル、フェニルビニル、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲン原子で置換したハロ(C1〜C20)アルキルもしくはハロ(C3〜C20)シクロアルキルもしくはハロ(C1〜C20)アルコキシ(ここでハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)、非置換のアリール、(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシもしくはアリールオキシで置換したアリール、非置換のヘテロアリール、(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したヘテロアリール、アリールアルキルもしくは置換ヘテロアリールアルキル、(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換の窒素含有複素環、−N(R1)R2もしくは−CON(R1)R2(ここでR1とR2は、それぞれ独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、置換フェニル、または、(C1〜C6)アルキルもしくは(C1〜C6)アルコキシで置換したフェニルである。)または、−OCORもしくは−COORもしくは−COR基(ここでRは、水素、(C1〜C20)アルキル、(C3〜C20)シクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールである。)であり、
nは0〜4の整数であり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、
(a)直鎖状のもしくは分岐した(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、アリール(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ(C1〜C6)アルキル、(C1〜C12)アルコキシ、ハロ(C1〜C12)アルキル、(C1〜C12)ハロアルコキシまたは(C1〜C12)アルキルチオ;
(b)非置換または一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(c)非置換または一置換または二置換複素環式芳香族基;
(d)下記式のいずれか一方の基
(e)非置換または一置換のピラゾリル、ピリジル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニルもしくはアクリジニル(ここで置換基は、それぞれ独立に、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、フルオロ、クロロまたはフェニルである。);または
(f)下記式のいずれか一方で表される基
- (b),(c)および(d)のアリールおよび複素環式芳香族の置換基のそれぞれが、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、エポキシ、ビニル、アリル、ヒドロキシエトキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、(C1〜C12)アルキル、(C1〜C12)アルコキシ、(C1〜C12)アルキルアリール、アリール、アリールオキシ、アリール(C1〜C12)アルキル、アリール(C1〜C12)アルコキシ、(C1〜C12)アルコキシアリール、ハロ(C1〜C12)アルキル、ハロアリール、シクロ(C3〜C12)アルキル、シクロ(C1〜C12)アルコキシ、アリールオキシアリール、アリールオキシ(C1〜C12)アルキル、アリールオキシ(C1〜C12)アルコキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシまたは窒素含有複素環置換基である、請求項1に記載の化合物。
- Xが炭素または窒素であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、アリル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、フェニル、ベンジル、直鎖状のもしくは枝分れした(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシまたは、−OCORもしくは−COOR基(ここでRは、水素、(C1〜C6)アルキルまたは(C3〜C6)シクロアルキルである。)であり、
nは0〜2の整数であり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、
(a)直鎖状のもしくは枝分れした(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、アリール(C1〜C4)アルキル、ヘテロアリール(C1〜C4)アルキルまたは(C1〜C6)アルコキシ(C1〜C6)アルキル;
(b)フェニルまたはナフチル等の非置換または一置換または二置換のアリール基;または、
(c)非置換または一置換の複素環式芳香族基
である、請求項1に記載の化合物。 - (b)および(c)のアリールおよび複素環式芳香族の置換基のそれぞれが、独立して、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、エポキシ、ヒドロキシエトキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、ビニル、アリル、トリフルオロメチル、フェニル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ(C1〜C6)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、フェニルアセチレニル、フェニルビニルまたは窒素含有複素環置換基である、請求項3に記載の化合物。
- 前記窒素含有複素環置換基が、N(C1〜C6)アルキルピペラジノ、N−アリールピペリジノ、アジリジノ、インドリノ、ピロリジノ、ピロリノ、ピペリジノ、(C1〜C4)アルキルピペリジノ、ジ(C1〜C4)アルキルピペリジノ、4−ピペリジノピペリジノ、モルホリノ、2,6−ジ(C1〜C4)アルキルモルホリノ、チオモルホリノ、チオアゾリジノ、テトラヒドロキノリノ、ピリルまたは、−N(R1)R2もしくは−CON(R1)R2(ここでR1およびR2は、それぞれ独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキルまたはフェニルである。)または、−CORもしくは−OCORもしくは−COOR(ここでRは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキルまたはフェニルである。)である、請求項4に記載の化合物。
- Xが炭素または窒素であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、フェニル、ベンジル、(C1〜C4)アルキルまたは(C1〜C4)アルコキシであり、
nが0から2の整数であり、
AおよびA’が、それぞれ独立に、直鎖状のもしくは枝分かれした(C1〜C4)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、非置換もしくは一置換もしくは二置換のフェニルまたは、非置換もしくは一置換の複素環式芳香族基である、
請求項1に記載の化合物。 - 前記一置換または二置換のフェニル基が、メタ、パラまたはその両方の位置において、ニトロ、アミノ、アシル、シアノ、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フルオロ、クロロ、ビニル、アリル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(C1〜C4)アルキル、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、ピペラジノ、ピペリジノ、アリールピペリジノ、モルホリノ、ピロリジノ、アジリジノ、アクリロキシ、メタクリロキシ、フェニルアセチレニルおよびフェニルビニルからなる群から選ばれた置換基で置換されており、前記複素環式芳香族基が、(C1〜C4)アルキルおよびフェニルからなる群から選ばれた置換基で置換された、フリル、チエニルおよびピリルからなる群から選ばれたものである、請求項6に記載の化合物。
- 2,2−ジフェニル−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−フルオロフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2,2−ビス(p−メトキシフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−メトキシフェニル)−2−(p−モルホリノフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−メトキシフェニル)−2−(p−ピペリジノフェニル)−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−メチル−2−フェニル−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−シクロプロピル−2−フェニル−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2,2−ジフェニル−6,11−ジニトロ−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−メトキシフェニル)−2−フェニル−6,11−ジニトロ−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2,2−ビス(p−メトキシフェニル)−6,11−ジニトロ−フェナントロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2,2−ジフェニル−フェナントロリノ−(5,6)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(p−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナントロリノ−(5,6)−2H−[1,4]−オキサジンおよび2,2−ビス(p−メトキシフェニル)−フェナントロリノ−(5,6)−2H−[1,4]−オキサジンからなる群から選ばれた化合物。
- 反応有効量の、置換基を有するアクリル酸、アジド供与源、穏やかな有機塩基、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデカ−7−エン、キノンおよび触媒量のトリアリール砒素オキシドを有機溶媒に混合する段階と、
オキサジン化合物形成反応を完成するのに充分な時間、この混合物を加熱する段階と
を含む、オキサジン化合物の製造方法。 - 前記アジド供与源が、ジフェニルホスホリルアジドまたはトリメチルシリルアジドであり、前記塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピル・エチルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンまたはN−アルキルモルホリンであり、前記キノンが、フェナントレン−(9,10)−ジオンまたはフェナントロリン−(5,6)−ジオンであり、前記トリアリール砒素オキシドがトリフェニル砒素オキシドである、請求項9に記載の方法。
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