JP2005519587A - 増殖阻害作用を有するペプチド - Google Patents
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Abstract
異常な細胞の増殖を阻害するペプチドおよびペプチド組成物を同定する。一実施形態では、当該ペプチドは、PDGF受容体のオートクライン活性化に依存する細胞の増殖を阻害するのに有用である。このようなペプチドは、癌、線維性疾患、骨髄増殖性疾患および血管増殖性(血管形成)疾患を含む、不適切なPDGF受容体の活性によって特徴付けられる、細胞増殖性疾患の治療において使用されることができる。本発明によるペプチドまたはペプチド組成物と結合している生体医用装具をさらに開示する。
Description
本発明は、生化学、細胞生物学および医学の分野における、PDGF受容体(PDGF−R)のオートクライン活性化によって増殖する細胞のような異常な細胞の増殖を阻害する、ペプチドおよびペプチド組成物を指向する。このようなペプチドは、癌、線維性疾患、骨髄増殖性疾患および血管増殖性(血管形成)疾患を含む、細胞増殖性疾患の治療において使用される。本発明は、このような阻害ペプチドと結合している生体医用装具を含む。
血小板由来増殖因子(PDGF)は、線維芽細胞、平滑筋細胞および神経こう細胞を含む、間葉性由来細胞のための主要なタンパク質の分裂促進物質である。このタンパク質は通常、ジスルフィド結合によって連鎖したαおよびβ鎖から構成される32kDaのヘテロ二量体である。PDGFのαβのヘテロ二量体に加えて、ααおよびββと呼ばれるPDGFの2つのホモ二量体の形態は、2つのα鎖または2つのβ鎖から構成されることが確認されている。PDGF、その構造、活性、受容体などの概要に関しては、例えば非特許文献1を参照のこと。
PDGF仲介の分裂促進において起こる第1の事象は、PDGFとその細胞表面受容体(PDGF−R)の結合である(非特許文献2、3、4参照)。この結合によって、受容体チロシンキナーゼの活性化、高いホスファチジルイノシトール代謝回転、ホスホリパ―ゼA2の活性化、特定の遺伝子群の高い発現、細胞の形状変化、細胞内カルシウム濃度の増大、細胞内pHの変化、並びに受容体結合PDGFの内在化および分解を含む、様々な細胞応答が誘発される。これらの変化の後に、PDGF−Rを示す細胞の増殖率の増大が生じる。
PDGFは、動脈硬化症、骨髄増殖性疾患、並びにc−mycおよびc−fosを含む細胞の腫瘍形成転換と関連する遺伝子を刺激することに関与している。したがって、PDGFのアンタゴニストは、癌および腫瘍細胞の増殖の誘導を調節するのに有用である可能性があると思われる。
PDGFと細胞の相互作用は、特異的受容体、PDGF−Rによって部分的に仲介されるという事実のため、PDGF−RもPDGFによる分裂促進刺激における重要な成分である。この理由のために、PDGF−Rのアンタゴニストは、腫瘍の誘導または増殖を抑制すると予想される。
以下にさらに詳細に記載するように、PDGFまたはPDGF−Rのアンタゴニスト、あるいは他のタンパク質との受容体相互作用のアンタゴニストを開発するために、いくつかの手法が近年行われている。
PDGFに対する抗体は、サル肉腫ウイルス(SSV)形質転換細胞におけるオートクライン刺激(非特許文献5)、およびラットの頚動脈の脱内皮化後に起こる動脈硬化症プロセス(非特許文献6)の両方を阻害するのに有用であることが分かっている。さらに、可溶化形態のPDGF−Rは、PDGFと結合し不活性化させることが示されており((非特許文献7)非特許文献8)、したがって、可溶化形態のPDGF−Rを、in vivoでのPDGF作用を阻害するために使用することができるであろう。
さらに、PDGF−Rに結合するPDGFの競合アンタゴニストである低分子量化合物、例えばスラミンが記載されていて、これはnMからμMの範囲の濃度で、PDGF−Rに結合するPDGFを阻害する(μMの範囲で100%阻害)。しかしながら、スラミンは、PDGFアンタゴニストとして臨床的に有用であるほど充分には特異的ではない。さらに、他の低分子量化合物、ネオマイシンは、高濃度において、PDGF−ββとα型PDGF−Rの結合を阻害したが、PDGFβ受容体との結合を阻害することはできなかった。しかしながら、α受容体型のアンタゴニストであるこの化合物は効能が低く、in vivoで使用するのに不適切である。
他の手法によって、PDGF−R活性および他のタンパク質との受容体相互作用に影響を与えるペプチドが同定されてきている。この目的のために、L.T.Williams等の特許文献1は、このようなPDGF−R活性および相互作用に影響を与えることにより、医学的診断および薬剤療法において有用であるとして記載されるアミノ酸残基20個以下の合成ヒトPDGF−Rペプチドを記載している。このような長鎖のペプチドを使用することの欠点は、高温での分解および血清プロテアーゼまたは細胞プロテアーゼのタンパク分解作用に対して、ペプチドが非常に敏感であることである。したがって、前述の特許中に開示されたポリペプチドは、長期間(または永久的に)埋め込まれる生体医用インプラントと共に使用するのには適していないと思われる。
したがって、PDGFとPDGF−Rの間の相互作用に影響を与える、および/または他のタンパク質とのPDGF−R相互作用に影響を与える新しいペプチドを同定する必要性が当分野において存在する。具体的には、不適切または望ましくないPDGF−R活性によって特徴付けられる癌を含む細胞増殖性疾患の治療剤として、PDGF−Rのオートクライン活性化を阻害する比較的短いペプチドを同定して使用することが望ましいと思われる。さらに、これらの疾患の治療においてin vivoの選択部位にこのようなペプチドを送達するための手段を提供することが有益であると思われる。
PDGF−Rがオートクライン形式で活性化される細胞と接触すると細胞の増殖を阻害する、約50個以下のアミノ酸残基の単離ペプチドまたはポリペプチドを提供すること。
ペプチドまたはポリペプチドが、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、FFHPV(配列番号5)、または(i)これらの組合せ、(ii)異なる配列の同じアミノ酸組成を有するこれらの生物活性な変異体、(iii)あるいは生物活性な置換もしくは付加変異体、からなる群から選択される1個または複数個のアミノ酸配列を含む。前述のペプチドまたはポリペプチドは、約20個以下のアミノ酸、好ましくは約10個以下のアミノ酸を有することが好ましい。好ましいペプチドは、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、およびFFHPV(配列番号5)からなるペプチドの群から選択されるペプチドである。
好ましいポリペプチドまたはペプチドは、アミノ酸残基が約50個以下を超えない。他の実施形態では、ポリペプチドまたはペプチドは、約45〜50残基、40〜45残基、35〜40残基、30〜35残基、25〜30残基、20〜25残基、15〜20残基、10〜15残基または5〜10残基を有する。
本明細書には、ペプチド配列番号2〜配列番号5の少なくとも2つの物理化学的パラメータによって規定されるパラメータ空間(parameter space)内に入るペンタペプチドであって、以下の諸性質:オートクライン形式での増殖のために活性化されるPDGF−Rを発現する細胞の増殖を阻害する;−4と+2の間の全電荷を有する;および約−8.5と−2の間のMlogP値を有する、ペンタペプチドも含まれる。ペンタペプチドは、−4と−2の間の全電荷、および約−7と−3.5の間のMlogP値を有することがより好ましい。
前述のペプチド1を含む化学的に合成されるペプチドマルチマーも提供し、このマルチマーを以下の詳細な説明の項で開示する。
他の実施形態は、前述のペプチドまたはその変異体を含む組み換えによって生成されたペプチドマルチマーであって、このマルチマーは式(P1−Glyz)n−P2を有するマルチマーであり、このマルチマーを以下の詳細な説明の項で開示する。
本発明は、(a)前に記載したポリペプチドもしくはペプチド、または配列番号2〜配列番号5の任意の変更配列、あるいは(b)ペプチドマルチマーをコードする単離された核酸分子を提供する。核酸分子は、配列番号6〜配列番号341までの1個または複数個を含むことができる。
前述の核酸分子を含む発現ベクターであって、プロモーター、および任意選択的に、真核細胞中の核酸の発現を調節する他の調節配列と動作可能に連鎖し、宿主細胞中でペプチドを発現することができる発現ベクターも含まれる。好ましい発現ベクターは、プラスミドおよびウイルスベクターである。
本発明のペプチドおよび核酸は、PDGF以外のタンパク質との受容体相互作用を含むPDGF−R活性を阻害することが望ましい。これらのペプチドは、PDGF−Rとの結合によって少なくとも部分的に仲介されるPDGFによる細胞のオートクライン刺激を阻害するのに有用である。好ましくは、これらのペプチドはまた、PDGF−RおよびPDGF−R関連キナーゼFlt、およびKDRのようなPDGF−Rスーパーファミリーの他のメンバーの活性を阻害する(例えば非特許文献9を参照のこと)。前述のペプチドをコードし、かつ、宿主細胞中で発現することができる、発現ベクターも提供する。
本発明はまた、固体表面と接触し、好ましくは固体表面に化学的に連鎖される前述のポリペプチドもしくはペプチド、またはマルチマーを含む固相物品を指向する。固体表面は、合成ポリマー、天然ポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。
この物品は、ポリペプチドまたはペプチドと物品の表面との間に、CAR物質の追加層をさらに含むことができる。CAR物質は、好ましくは、(a)ポリエチレングリコール、(b)グリム、(c)グリム誘導体、(d)ポリHEMA、(e)ポリイソプロピルアクリルアミド、(f)ヒアルロン酸、(g)アルギン酸、または(h)(a)〜(g)の任意の組合せである。
物品の固体表面は、好ましくは、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ素化エチレン、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびこれらの組合せからなる群から選択される合成ポリマーを含む。固体表面が天然ポリマーを含むとき、それは好ましくは、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、またはこれらの組合せである。
前述の物品中では、ペプチドをリンカー分子によって表面に化学的に連鎖することができる。
本発明は、異常または望ましくない細胞接着、細胞増殖、または接着と増殖の両方を阻害するための生体医用装具であって、表面と化学的および/または物理的に結合する生体適合性表面、増殖阻害量の前述のペプチド、ポリペプチドもしくは組合せ、前述のペプチドマルチマー、またはペプチドもしくはポリペプチドもしくはマルチマーをコードする核酸分子を含む、生体医用装具を含む。
前述の装具は、ポリペプチドまたはペプチドと物品の表面との間に、CAR物質の追加層をさらに含むことができる。ペプチドまたはポリペプチドを、表面に含浸またはコーティングすることができる。ペプチドまたはポリペプチドは、徐放性組成物として存在することができる。
さらに他の実施形態では、PDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞の望ましくない増殖を阻害する治療用組成物であって、前述の増殖阻害ペプチド、ポリペプチドの組合せ、ペプチドマルチマーまたは核酸(発現ベクター)、および治療用として許容可能な担体または賦形剤を含む、治療用組成物を表す。異常な活性化は、PDGF−Rのオートクライン活性化を含むことがある。
望ましくない細胞増殖は、癌細胞、癌細胞周辺のストローマ細胞、内皮細胞および平滑筋細胞を含む、いくつかの細胞型における不適切なPDGF−R活性から生じることがある。本発明の方法および組成物は、PDGF−Rの活性および/または他のタンパク質とのその相互作用を変えることによって、任意の細胞型の望ましくない細胞増殖を阻害するように設計されている。
細胞増殖を阻害する方法であって、望ましくない増殖を経る細胞と、前に記載した有効量のペプチド、ポリペプチド、組合せ、マルチマーまたは発現ベクターを接触させることを含む方法も提供する。阻害される細胞は、癌腫細胞、骨癌細胞、肉腫細胞、骨肉腫細胞、グリオーム細胞、メラノーマ細胞、粘液腫細胞、腺腫細胞、神経芽腫細胞、または横紋筋腫由来細胞のような腫瘍または癌細胞であってよい。阻害される細胞は、肺細胞、胸細胞、結腸細胞、前立腺細胞、腎臓細胞、卵巣細胞、精巣細胞、皮膚細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、副腎細胞、下垂体細胞、脳細胞、筋肉細胞または骨細胞であってよい。
前述の治療法では、接触は被験者のin vivoであることが好ましいが、in vitroであってもよい。
前述の治療法は、シスプラチン、シクロホスファミド、VP−16、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、およびチミジンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される1個もしくは複数個の薬剤または薬の治療上有効量を被験者に投与することをさらに含むことができる。
細胞増殖性疾患に苦しむ被験者を治療する方法であって、この方法は、不適切なPDGF受容体活性によって特徴付けられる被験者の細胞を、有効量の前述のペプチド、ポリペプチド、組合せ、もしくはマルチマーと接触させること、または核酸が細胞中で発現可能である、ペプチド、ポリペプチド、もしくはマルチマーをコードする核酸分子と接触させることを含む。
前述の方法では、ペプチド、ポリペプチド、またはマルチマーは、生体医用インプラントと接触した状態であるか、結合されるか、あるいは化学的に連鎖されてもよい。生体医用インプラントは、少なくとも1つの天然ポリマーまたは合成ポリマーを含む。
その細胞が不適切なPDGF受容体活性によって特徴付けられる固形腫瘍を有する被験者を治療する方法も含み、この方法は、被験者の腫瘍細胞および/または腫瘍細胞周辺の細胞を、有効量のペプチド、ポリペプチドもしくは組合せと接触させること、ペプチドマルチマーと接触させること、あるいは核酸が腫瘍または周辺細胞中で発現可能であるペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子と接触させることを含む。この方法は、この接触ステップの前に、固形腫瘍を外科手術により除去または切除するステップ、および外科手術部位の近くに治療用物質を含む生体医用装具を埋め込むステップをさらに含むことができる。
本発明は、不適切なPDGF−R活性によって特徴付けられる細胞増殖性疾患を治療するための方法および組成物を提供する。いかなる理論に縛られることなく、望ましくない細胞増殖の阻害は、PDGF−Rの活性を変えること、例えば受容体のリン酸化を阻害すること、受容体に結合する基質またはアダプタータンパク質を阻害すること、または下流へのシグナル事象(downstream signaling events)を阻害すること、によってもたらすことができ、これらによってPDGF−R活性が阻害される。
PDGFとPDGF−Rの結合によって、細胞内Tyrキナーゼドメインを活性化させる受容体の二量体化およびアロステリック変化が誘導され、Tyr残基上の受容体のトランスリン酸化および/または自己リン酸化がもたらされる。このようなリン酸化によって、活性化受容体と標的分子の物理的会合が刺激され、次いでそのいくつかがリン酸化され、細胞質にシグナルを伝達することができる。他の標的分子は、リン酸化されないが、二次シグナル変換器(transducer)タンパク質のドッキングまたはアダプター分子として働くことによって、シグナルの形質導入(transduction)に寄与する。活性化受容体によって生じる二次シグナル変換器分子は、細胞分裂を含む細胞機能を調節するシグナルのカスケードをもたらす(非特許文献10)。
「細胞増殖性疾患」または「細胞増殖疾患」とは、多細胞生物における1つまたは複数の型の細胞の望ましくない細胞増殖が起こり、生物に対する害(例えば、不快感または疾患または寿命の低下)をもたらす疾患を指す。細胞増殖性疾患は、ヒトを含む動物において起こる。これらの疾患は、任意の形態の癌、血管増殖性(血管形成)疾患、および線維性疾患を含むことができる。これらの疾患は、必ずしも互いに無関係であるわけではない。例えば線維性疾患は、血管の疾患に関係があるか、あるいはそれと重複する可能性がある。
「不適切なPDGF−R活性」は、以下の1つまたは複数を指す:(1)通常では受容体を発現しない細胞において受容体が発現される、異常なPDGF−R発現;(2)通常ではPDGFを発現しない細胞による、異常なPDGF発現;(3)望ましくない細胞増殖をもたらす、増加したPDGF−R発現;(4)望ましくない細胞増殖をもたらす、増加したPDGF発現;または(5)異常な受容体発現を招く、遺伝子もしくはPDGF−Rをコードする遺伝子の構成的活性化をもたらす突然変異。不適切もしくは異常なPDGFおよびPDGF−R発現、レベルまたは活性の決定は、当分野で周知の方法によって決定される。
望ましくない細胞増殖は、癌細胞、癌細胞周辺の細胞(ストローマ細胞)、内皮細胞および平滑筋細胞を含む様々な型の細胞における、不適切なPDGF−R活性から生じることがある。例えば、癌細胞周辺の内皮細胞における高いPDGF−R活性によって、腫瘍の著しい新生血管形成がもたらされ、これによって腫瘍の増殖、最終的には転移が助長される可能性がある。したがって、不適切なPDGF−R活性は、固形腫瘍中の血管の異常な細胞増殖および著しい形成および拡大を引き起こす他の増殖因子(例えば線維芽細胞増殖因子、インターロイキン−1αまたは血管内皮増殖因子)の生成を増大させることを含む様々な形で、細胞増殖性疾患に寄与する可能性があり、これによって腫瘍の増殖および転移が可能となる。
本発明によって、腫瘍細胞のような異常な細胞の増殖を阻害する、1組の阻害ペプチドが同定された。有用なペプチドは、以下のアミノ酸配列:KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、FFHPV(配列番号5)、およびこれらの組合せを含むペプチドである。ペプチドの阻害作用は、増殖阻害作用を有する生体医用装具のような製品形成のための機械的ベース(mechanistic basis)を提供する。このような装具は、このようなペプチドを、天然もしくは合成ポリマーまたはこれらの組合せからなる2次元または3次元のビヒクルに固定することによって、形成することができる。
他の態様では、本発明は、本明細書に記載する1つまたは複数の増殖阻害ポリペプチド、ペプチド、マルチマーまたは核酸を含む、治療用または医薬組成物のような新規な組成物を特徴とする。
望ましい増殖阻害活性を有するような5個のペプチドの同定に基づいて、これらのペプチドの1個または数個の性質を共有する他のペプチドを規定するパラメータ空間のスクリーニングおよび決定を、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、Campbell等の特許文献2、およびHaaland等の特許文献3に記載された方法およびソフトウェアを使用して行う。これによって、望ましい阻害特性を有する他のペプチドがその範疇に入るパラメータ空間を規定する、選択的な物理化学パラメータの範囲を規定することができる。この手法は、以下の項でさらに詳細に記載する。
前述の文献に記載されるように、1つの関係(例えば数学的なもの)を、望ましい性質、ここでは細胞増殖の阻害の測定された指標を有することが示された5個のペプチド(配列番号1〜配列番号5)の、少なくとも1つのパラメータまたは記述語(例えば物理的、化学的、生物学的および/または位相的なもの)の間で決定する。この関係を、予想される他のペプチドを同定するための予測変数として使用して、それらのパラメータに基づいて、試験要件を満たす測定された性質の指標を与えることができる。好ましいパラメータには、ペプチド全体または個々のアミノ酸の分子量、電荷、等電点、全体の双極子モーメント、等方性の表面積、電子電荷指数、および疎水性がある。非特許文献11、12、および13によって記載されたパラメータのような、当分野で知られている適切な位相パラメータを使用することができる。本明細書で使用する用語「パラメータ」は、非特許文献14の主要成分(例えばz1、z2、z3)も含む。
増殖阻害はここでは選択的試験要件であるので、この性質の測定された指標を、例えば他のペプチドと比較して、ペプチドライブラリーから選択する。好ましくは、前に記載した5個のペプチドの特定の範囲に入る増殖阻害の指標が好まれる。
5個のペプチドのパラメータと増殖阻害性の指標の間で決定される関係は、化学化合物の活性と構造の間の相互作用を記載する方法、例えば定量的構造活性相関(QSAR)、最近隣分析(nearest neighbor analysis)、自己組織化マップ、または他の機械学習および統計的技法によって決定することができる。
一実施形態では、この関係を
(式中、xijはパラメータを示し、iは1からnの範囲であり、nは試験する第1のペプチドの数を表し、jは1からdの範囲であり、dは測定したパラメータの数を表し、かつ
は測定した第一の特性指標の推定値を表す。)
の形態で表すことができ、
の形態で表すことができ、
によって表される関係は、パラメータまたは非パラメータの式であってよい。
試験化合物のパラメータと測定された性質の指標の間の関係は、本明細書の第1の試験化合物と、選択された5個のペプチド配列番号1〜配列番号5のパラメータと、非試験ペプチド、好ましくはペンタペプチドのパラメータとの間の距離関数に基づく。距離関数は、第1の試験化合物のパラメータx1の第1の値と、第2の非試験化合物の同様のパラメータx2の第2の値の間で、d(x1,x2)として表すことができる。この関係は、d(x1,x2)=dカットオフ1(dカットオフ1が第1の試験化合物のカットオフ距離である)の場合、第1の試験ライブラリーから第1の試験化合物に対して決定される実際に測定される指標に対応する性質の評価指標を、第2の非試験ペプチドに割りあてる。言い換えると、ひとたびペプチド配列番号1〜配列番号5のいずれかのようなリードペプチド(lead peptides)が第1の試験ライブラリーから同定されると、他のリードペプチドを、パラメータ空間中の近くのペプチドは同等またはより良い阻害活性を示すという仮定に基づいて決定することができる。x1とx2は、単一のパラメータまたは1組のパラメータ、すなわちx1=x11、x12、x13、x14...x1kかつx2=x21、x22、x23、x24...x2k(k≧1)であってもよい。
パラメータ空間の距離に基づいて関係を決定する方法の1つの具体例は、「最近隣」分析である。他の非制限的かつ例示的な方法は、クラスター分析、自己組織化マップ、および機械学習的手法である。一般的には非特許文献15を参照のこと。
これらの方法は、反復方式で実施することができ、これによって、第2の試験ライブラリーにおいて同定されるリードペプチドの性質を使用して、所望の特性を与える化合物を同定するまで、第3の試験ライブラリーなどの中で他のリード化合物を決定する。さらに、それぞれの反復法で決定される関係を固定する必要はない。1組の第2の試験ペプチドを同定するものとして、1つの型の関係を選択することができるが、引き続く反復において異なる関係を選択することができる。
例えば、第1の試験ペプチドライブラリーからの、複数の試験ペプチドの活性の指標を測定する。次いで、試験ペプチドの、少なくとも1つのパラメータと測定した活性の指標との間の関係を決定する。当業者は、この関係が「全分子の」パラメータ(以下で定義する)、または配列で変わる配列特異的パラメータを含むことができることを理解するであろう。このようにして同定した関係を使用して、増殖阻害活性の指標を与えると予測される複数の試験ペプチドを含む第2の試験ライブラリーを決定する。
空間充填計画(space-filling design)を使用して、第1の試験化合物(ペプチド配列番号1〜配列番号5であったようなもの)を、化合物の第1の試験ライブラリーから選択することができる。第1の試験化合物は、第1の試験ライブラリーの代表的なものであることが望ましい。本明細書で使用する「空間充填計画」は、広く解釈される、当業者に知られているあらゆるこのような技法を含むことを意図する。代表的な空間充填計画には、全因子計画(full-factorial designs)、一部実施計画(fractional factorial designs)、最大多様性ライブラリー(maximum diversity libraries)、遺伝的アルゴリズム(genetic algorithms)、カバー計画(coverage designs)、分布計画(spread designs)、クラスターベース計画(cluster based designs)、ラテン超方格法(Latin Hypercube Sampling)、他の最適化計画(例えば、D−Optimal)などがある。空間充填計画は、実験の計画地点を選択することを助ける。空間充填計画によって、1組の計画地点においてデータを得るための計画が与えられ、したがって、そのようにして得られたデータは、あらゆる候補化合物(「候補空間」)を効果的に表す。
化合物を特徴付けるために適用することができる、当分野で知られているパラメータ(すなわち記述語)を使用して、本発明を実施することができる。物理的、化学的(生物学を含む)、生物学的および/または位相的パラメータを使用して、関係を決定することができる。本明細書で使用する用語「パラメータ」は、Hellberg等の上記の主要成分を含むことも意図される。試験化合物を記載するために使用される1種または複数種のパラメータは、選択プロセス中に数および型の両方において変えることができる。さらに、1種もしくは複数種のパラメータは、全分子の1種もしくは複数種のパラメータ、1種もしくは複数種の配列特異的パラメータ、または両方の組合せであってよい。
少なくとも1つの全分子のパラメータを使用して、化合物を特徴付けることが好ましい。「全分子のパラメータ」とは、分子の構成原子の配置に関わりなく、分子を特徴付ける値である。例えば、ペプチドの全分子のパラメータは、アミノ酸の順序または配列に依存しないパラメータである。少なくとも1つの全分子のパラメータを使用して分子を記載することは、化合物空間の大きさを縮小(すなわち崩壊)させることによって、スクリーニング法を容易にし、それにより巨大な化合物空間をスクリーニングする時間、コンピュータ操作の難点、およびコストを減少させる。逆に、「配列特異的」パラメータは、構成原子またはサブユニットの特定の順序または配列に依存するパラメータである。
例示的なパラメータを、前に記載した。本明細書で最も好ましいのは、分子量、電荷、全体の双極子モーメント、疎水性(「Moriguchi logP」(mlogPまたはMlogP)として表される)である。パラメータの計算は、当分野で知られている任意の方法によって、例えばコンピュータ化されたシステム、例えばSilicon GraphicsコンピュータまたはPCを使用して行うことができる。全電荷、分子量、および全体の双極子モーメントを、プログラムSybyl 6.5(Tripos)を使用して計算することができる。MlogPを、Sybyl Programming Language Script(等電点を計算することができる)を使用して計算することができる。
選択されるパラメータまたは本明細書で開示する増殖阻害ペプチドのパラメータと、それぞれの試験化合物に対する増殖阻害性の測定される指標との間の関係を使用して、第2の複数の有用なペプチドを同定する。第2群のペプチドのそれぞれは、第2の試験ライブラリーからもたらされてもよい。第2の試験ライブラリーは、試験要件を満たすと予想される全てのペプチドを含むことができると思われる。あるいはまた、好ましくは、第2の試験ライブラリーは、そのサブセットを含むように選択される。第2の組の試験化合物は、第2の試験ライブラリー中の全ての試験化合物、あるいはそのサブセットを含むことができる。例えば、第2の試験ライブラリーは、細胞を増殖させる培養基に加えた場合、特定の値(すなわち試験要件)を超える特定のPDGF−R発現細胞系の増殖の、いくらかの阻害をもたらすことが予想される5つのアミノ酸を有する全てのペプチドを含むことができる。第2の試験化合物は、例えば前に記載した空間充填計画を使用することによって、第2の試験ライブラリーから選択され、その代表的なものであることが好ましい。
例えばプログラムS−Plus(Version 3.4 for 5 Solaris、Mathsoft、Seattle、Washington)を用いる、回帰分析を使用して誘導すると、以下の等式は、3つの好ましいパラメータ(疎水性、分子量、および電荷)と、第1の組の試験化合物(4つのペンタペプチド配列番号2〜配列番号5など)によって仲介される性質(すなわち増殖阻害)の(仮定的)指標との間の関係を示す:
上式で、
は性質の評価指標であり、MlogPは疎水性の測定値であり、かつMWは分子量である。R2は元の応答変数
の変異性の量の統計測定値であり、これは統計モデルによって説明される。0.999のR2値は、
の元の変異性の99.9%が統計モデルによって説明されたことを明示する。
満足のいく(すなわち、試験要件を満たす)ペプチドが、1組の試験ペプチド中において同定されない場合、スクリーニング法を続ける。次いで、第2の組の非試験ペプチドを、当分野で知られている任意の手段によって選択することができ、第2の組のペプチドに関するパラメータを計算することができる。等式1を使用して、第2の組のペプチドの予想活性を、ここに含まれるペプチドのパラメータに基づいて計算することができる。このことは、いくらか異なる生物活性を有するペプチドの検索において例示される(上記のCampbell他、およびHaaland他)。非試験ペプチドに対して誘導される予想活性は、前述の5つのペプチドの増殖阻害作用を上回り、この新しいペプチドを合成および試験用の優れた候補とすることができる。
ペプチドの様々なパラメータを示すための値、例えば疎水性(すなわちMlogP)、分子量、および全電荷を、それぞれのペプチドに対して計算することができる。それぞれのペプチドを培養基に加えることができ、選択した型の細胞または細胞系の増殖、あるいは増殖の阻害(生物活性)を、それぞれのペプチドと共に培養された細胞に対して測定することができる。特許文献4から得られた、代表的なペプチドの真の値を以下の表に示して、分析結果を例示する。
以下に示すパラメータを有する、第2の組の非試験(すなわち候補)ペプチドが存在すると仮定する:
最近隣の法則の概念は、「最良の」(この場合は最高の)観察される生物活性を有するペプチド、すなわち「リードペプチド」のパラメータと同等なパラメータを有する候補ペプチドを発見することである。何らかの計算を行う前に、それぞれのパラメータが、最近隣の計算に同程度貢献するように、全てのパラメータを典型的には標準化または正規化する。この例示的な例では、全てのパラメータを、それらが0と1の間の値を有するように標準化することができる。標準値は、以下の式で計算することができる:
標準値=(元の値−最小値)/(最大値−最小値)(2)
標準値=(元の値−最小値)/(最大値−最小値)(2)
前述の例に関しては、ペプチド1の分子量の標準値は、以下のように計算することができる:
(469.5−391.4)/(501.5−391.4)=0.7092(3)
(469.5−391.4)/(501.5−391.4)=0.7092(3)
8個のペプチドの標準パラメータ値を以下に示す。
ひとたび標準値を計算してしまえば、この3次元空間(この場合、3はパラメータの数を表す)におけるペプチド間のユークリッド距離を計算することによって、最近隣値を決定することができる。例えば、ペプチド1とペプチド7の間の距離は、以下のように計算される:
SQRT((0.26−1)2+(0.71−0.75)2+(1−1)2)=0.74
SQRT((0.26−1)2+(0.71−0.75)2+(1−1)2)=0.74
以下の表は、最初(「トレーニング」とも呼ばれる)の組の4つのペプチド間の、これらの計算された距離を示す。次いで候補の組のペプチドに、トレーニングの組中の最近ペプチド(closest peptides)に基づいて、予想される性質の指標を割り当てる。次いで、これら4つのペプチドに対して観察された生物活性を、この表に示すように測定することができる(この場合、仮定実験からの任意の値を示す)。
試験規則は、第1の試験ライブラリーからの最良メンバーと類似する候補ペプチドを試験することである。したがってこの例では、ペプチド7および8を合成用に選択し、試験することができる。ペプチドの片方または両方が試験要件を満たす場合、スクリーニング法をこの時点で止めることができる。あるいはまた、ペプチドが同定されていない場合、または他のペプチドが望まれる場合は、反復方式でスクリーニング法を続けることができる。さらに別の方法として、選択法およびスクリーニング法を、異なる関係、例えば前に記載したQSAR関係を使用して続けることができる。
実際の性質の指標を測定した後、それぞれのペプチド(x軸)の指標(y軸)を、昇順(あるいは逆に、降順)でプロットすることができる。試験要件を満たすこれらの化合物をリード化合物として選択し、これらのリード化合物のいくつかまたは全ての周辺のパラメータ空間を、さらに調べることができる。
個々のリードペプチドの最近隣分析では、例示的な目的で、2つのパラメータ(例えば、全体の双極子および疎水性)を使用することができる。2つのパラメータの標準値(前に記載した)を、x軸およびy軸にプロットする。同心円をパラメータ空間中に描いて、リードペプチドからのユークリッド距離の個々のカットオフを表すことができる。一実施形態では、空間充填計画が、パラメータ空間中の地点を見つけるために使用される。リードペプチド周辺の空間(同心円)を広げる理由は、類似の活性、特性、または問題となる1種もしくは複数種の性質の指標を示すために、パラメータ空間中に近隣ペプチドが、どのように存在しなければならないかということに関する情報を集めることである。
カットオフ距離は、それぞれのリード化合物に関して確立される。第1の試験ペプチド群に対して測定されたデータが密集している場合、データ地点がより分散している場合よりも、カットオフ距離はより短いであろう。ひとたびカットオフ距離を決定すれば、第2のライブラリーの、例えば、カットオフ空間に入る、5個の第2の試験化合物を同定することができる。第2の試験化合物は、最近隣のリード化合物と同等か、あるいはそれより良い活性を有すると予想される。第2の試験ライブラリー中の第2の試験化合物の、全てまたはサブセットを、活性に対して評価する。第2の試験ライブラリー全体のサブセットをスクリーニングするために、空間充填計画を使用して選択することができる。
第2のデータの組に基づいて、「最終的な」最も好ましい化合物を同定することができ、あるいは他の組のリード化合物を決定することができ、そしてこれらを最近隣分析(または何か他の手法)で使用して、スクリーニング用の第3の組のペプチドを同定することができる。スクリーニング法を、必要に応じて何度も繰り返して、適切な1種または複数種の性質の指標を示すペプチドを同定することができる。
以下の実施例は、異なる性質を有するペプチドを、PDGF−ββでトランスフェクトした培養NIH3T3細胞にそれらを加えることにより、生物活性に対してどのように試験したかを示す。これらの線維芽細胞型の細胞は、PDGF−ββホモ二量体を過剰発現し、これは細胞表面と固く結合したままの状態である。NIH3T3−PDGF−ββ細胞は、多くの型の癌細胞に関連する生物学事象を模倣するモデル系である。これらの細胞は、PDGFによるPDGF−Rのオートクライン活性化に起因する制御不能な増殖を示す。3mMを超える濃度で規定される培養基に加えられると、増殖阻害効果を発揮した本明細書に記載された新規なペプチドによって、この細胞増殖のオートクライン活性化は予想外に阻害された。
前に記載したように、PDGF−Rスーパーファミリーには、PDGF−Rに加えて、関連キナーゼFltおよびKDRがある。これらの分子は、血管形成および固形腫瘍の栄養状態と関係する。PDGF−R、および好ましくは1つまたは複数のこれらの関連チロシンキナーゼを阻害することによって、in vivoでの異常な細胞増殖、およびこのような増殖の栄養サポートが阻害される。PDGF−R依存性の癌に対して充分に受け入れられているモデルのヒトPDGF−ββを過剰発現するNIH3T3細胞の増殖を、ペプチドが阻害したという研究によって証明されているように、本発明のペプチドは、1つまたは複数のこれらの活性を阻害することにおいて成功している。
本明細書で示す結果によって、PDGF−R依存形式で増殖する(かつ、PDGF−R誘導型癌(PDGF-R driven cancers)の認められているモデル系である)細胞系に対する、本発明のペプチドの増殖阻害効果が実証されるが、PDGF−R誘導型ではない細胞増殖性疾患の治療において、これらのペプチドを使用することは、本発明の範囲内にある。
ペプチド組成物
好ましい組成物は、PDGF−Rと結合するか、あるいは別の方法でPDGF−RまたはPDGF活性を阻害することを特徴とする本明細書に記載した生物学的に活性な増殖阻害ペプチドであるか、あるいはこれを含む。
好ましい組成物は、PDGF−Rと結合するか、あるいは別の方法でPDGF−RまたはPDGF活性を阻害することを特徴とする本明細書に記載した生物学的に活性な増殖阻害ペプチドであるか、あるいはこれを含む。
さらに、生物学的に活性なペプチドは、例えば結合もしくは細胞増殖のin vitroまたはin vivoアッセイにおいて、PDGF−Rとの結合および/またはNIH3T3−PDGF−ββ細胞の増殖の阻害として特徴付けられる適切な増殖阻害活性を有する。好ましくは、ペプチドは、スラミンの活性の少なくとも約20%のレベルで、これらの細胞の増殖を阻害する。
好ましいペプチドは、以下の群:KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、およびFFHPV(配列番号5)、または1つもしくは複数のこれらのペプチドの組合せ、から選択される最小アミノ酸配列を含む。このようなペプチドの付加変異体(additional variant)は、1〜4個の追加のアミノ酸を有する。本発明のより長いペプチドマルチマーを、以下に記載する。
配列番号2〜配列番号5までの可能性がある全ての並べ換えを表す配列(「混合型配列(shuffled sequences)」とも呼ぶ)を有するペプチドを使用する組成物および方法も、本明細書に含まれる。例えば、「親」配列のサイドに沿って混合型配列を列挙する以下の表を参照のこと。
ペプチドを、そのNおよびC末端において、アシル(略称「Ac」)およびアミド(略称「Am」)基でそれぞれ、例えばN末端においてアセチル(CH3CO−)で、およびC末端においてアミド(−NH2)でキャップする(cap)ことができる。キャッピングすることによって、in vivoでの安定性を増大させる。
広範囲のN末端キャッピング官能基は、好ましくは末端アミノ基との連鎖において、例えば以下のもの:
ホルミル;
アセチル、プロピオニル、ブチリルのような1個から10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ヘキサ−3−エノイルのような1個から10個の炭素原子を有するアルケノイル;
ヘキサ−5−イノイルのような1個から10個の炭素原子を有するアルキノイル;
ベンゾイルまたは1−ナフトイルのようなアロイル;
3−ピロリル(3-pyrroyl)または4−キノロイル(4-quinoloyl)のようなヘテロアロイル;
メタンスルホニルのようなアルキルスルホニル;
ベンゼンスルホニルまたはスルファニリルのようなアリールスルホニル;
ピリジン−4−スルホニルのようなヘテロアリールスルホニル;
4−アミノブチリルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルカノイル;
6−ヒドロキシ−ヘキサ−3−エノイルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルケノイル;
3−ヒドロキシ−ヘキサ−5−イノイルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキノイル;
4−クロロベンゾイルまたは8−ヒドロキシ−ナフタ−2−オイルのような置換アロイル;
2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−メチル−キナゾリン−6−オイルのような置換ヘテロアロイル;
2−アミノエタンスルホニルのような置換アルキルスルホニル;
5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルホニルのような置換アリールスルホニル;
1−メトキシ−6−イソキノリンスルホニルのような置換ヘテロアリールスルホニル;
カルバモイルまたはチオカルバモイル;
置換カルバモイル(R’−NH−CO)または置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(式中、R’はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである);
置換カルバモイル(R’−NH−CO)および置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(式中、R’は、いずれも前に定義したような、アルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アロイル、ヘテロアロイル、置換アルカノイル、置換アルケノイル、置換アルキノイル、置換アロイル、または置換ヘテロアロイルである);
が企図される。
ホルミル;
アセチル、プロピオニル、ブチリルのような1個から10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ヘキサ−3−エノイルのような1個から10個の炭素原子を有するアルケノイル;
ヘキサ−5−イノイルのような1個から10個の炭素原子を有するアルキノイル;
ベンゾイルまたは1−ナフトイルのようなアロイル;
3−ピロリル(3-pyrroyl)または4−キノロイル(4-quinoloyl)のようなヘテロアロイル;
メタンスルホニルのようなアルキルスルホニル;
ベンゼンスルホニルまたはスルファニリルのようなアリールスルホニル;
ピリジン−4−スルホニルのようなヘテロアリールスルホニル;
4−アミノブチリルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルカノイル;
6−ヒドロキシ−ヘキサ−3−エノイルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルケノイル;
3−ヒドロキシ−ヘキサ−5−イノイルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキノイル;
4−クロロベンゾイルまたは8−ヒドロキシ−ナフタ−2−オイルのような置換アロイル;
2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−メチル−キナゾリン−6−オイルのような置換ヘテロアロイル;
2−アミノエタンスルホニルのような置換アルキルスルホニル;
5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルホニルのような置換アリールスルホニル;
1−メトキシ−6−イソキノリンスルホニルのような置換ヘテロアリールスルホニル;
カルバモイルまたはチオカルバモイル;
置換カルバモイル(R’−NH−CO)または置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(式中、R’はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである);
置換カルバモイル(R’−NH−CO)および置換チオカルバモイル(R’−NH−CS)(式中、R’は、いずれも前に定義したような、アルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アロイル、ヘテロアロイル、置換アルカノイル、置換アルケノイル、置換アルキノイル、置換アロイル、または置換ヘテロアロイルである);
が企図される。
C末端キャッピング官能基は、末端カルボキシルとのアミド結合またはエステル結合の、いずれか中に存在することができる。アミド結合を与えるキャッピング官能基は、NR1R2として表され、式中、R1およびR2は以下の基;
水素;
メチル、エチル、イソプロピルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルキル;
プロプ−2−エニルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルケニル;
プロプ−2−イニルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルキニル;
ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、ハロゲノアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルカノイルアルキル、カルボキシアルキル、カルバモイルアルキルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキル;
ヒドロキシアルケニル、アルコキシアルケニル、メルカプトアルケニル、アルキルチオアルケニル、ハロゲノアルケニル、シアノアルケニル、アミノアルケニル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、アルカノイルアルケニル、カルボキシアルケニル、カルバモイルアルケニルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルケニル;
ヒドロキシアルキニル、アルコキシアルキニル、メルカプトアルキニル、アルキルチオアルキニル、ハロゲノアルキニル、シアノアルキニル、アミノアルキニル、アルキルアミノアルキニル、ジアルキルアミノアルキニル、アルカノイルアルキニル、カルボキシアルキニル、カルバモイルアルキニルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキニル;
フェナシルまたは2−ベンゾイルエチルのような10個までの炭素原子を有するアロイルアルキル;
フェニルまたは1−ナフチルのようなアリール;
4−キノリルのようなヘテロアリール;
アセチルまたはブチリルのような1個から10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ベンゾイルのようなアロイル;
3−キノリルのようなヘテロアロイル;
OR’またはNR’R”(式中、R’およびR”が独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アロイル、スルホニル、スルフィニルである)、あるいはSO2−R”’またはSO−R”’(式中、R”’が置換または非置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニルである);
から独立に誘導することができる。
水素;
メチル、エチル、イソプロピルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルキル;
プロプ−2−エニルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルケニル;
プロプ−2−イニルのような好ましくは1個から10個の炭素原子を有するアルキニル;
ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、ハロゲノアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルカノイルアルキル、カルボキシアルキル、カルバモイルアルキルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキル;
ヒドロキシアルケニル、アルコキシアルケニル、メルカプトアルケニル、アルキルチオアルケニル、ハロゲノアルケニル、シアノアルケニル、アミノアルケニル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、アルカノイルアルケニル、カルボキシアルケニル、カルバモイルアルケニルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルケニル;
ヒドロキシアルキニル、アルコキシアルキニル、メルカプトアルキニル、アルキルチオアルキニル、ハロゲノアルキニル、シアノアルキニル、アミノアルキニル、アルキルアミノアルキニル、ジアルキルアミノアルキニル、アルカノイルアルキニル、カルボキシアルキニル、カルバモイルアルキニルのような1個から10個の炭素原子を有する置換アルキニル;
フェナシルまたは2−ベンゾイルエチルのような10個までの炭素原子を有するアロイルアルキル;
フェニルまたは1−ナフチルのようなアリール;
4−キノリルのようなヘテロアリール;
アセチルまたはブチリルのような1個から10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ベンゾイルのようなアロイル;
3−キノリルのようなヘテロアロイル;
OR’またはNR’R”(式中、R’およびR”が独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アロイル、スルホニル、スルフィニルである)、あるいはSO2−R”’またはSO−R”’(式中、R”’が置換または非置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニルである);
から独立に誘導することができる。
エステル結合を与えるキャッピング官能基は、ORとして表され、前式でRは、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、置換アルコキシ、置換アリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、置換アラルキルオキシ、または置換ヘテロアラルキルオキシであってよい。
N末端またはC末端のキャッピング官能基の片方、または両方は、キャップされる分子がプロドラッグ(親薬剤分子の薬理学上不活性な誘導体)として機能するような構造であってよく、当該プロドラッグは、活性薬剤を放出するために、体内で自発的なまたは酵素による変換を経て、親薬剤分子より改善された送達性を有する(非特許文献16参照)。
キャッピング官能基の賢明な選択によって、ペプチドに他の活性を加えることができる。例えば、NまたはC末端キャップと連鎖したスルフヒドリル基の存在は、誘導体化ペプチドと他の分子との結合を可能にするであろう。
ペプチドおよび誘導体の生成
一般的な化学合成手順
本発明のペプチドは、組み換えDNA技術を使用して調製することができる。しかしながら、その長さを考慮すると、ペプチドは、例えば非特許文献17によって概略的に記載された、固相合成を使用して調製することが好ましいが、当分野で知られている他の同等な化学合成、例えば1989年AthertonおよびSheppardのFMOC化学法(非特許文献18中のもの)も有用である。t−Boc化学法、および様々な異なる固相支持体上での合成、「ティーバッグ」合成(非特許文献19を参照のこと)、および分離分割併用法(split and divide combinatorial methods)も使用することができる。固相ペプチド合成は、適切な樹脂に保護α−アミノ酸を結合させることによって、ペプチドのC末端から始めることができる。このような出発物質は、クロロメチル化樹脂またはヒドロキシメチル樹脂へのエステル結合により、あるいはBHA樹脂またはMBHA樹脂へのアミド結合によりα−アミノ保護型アミノ酸を結びつけることによって調製することができる。当分野でよく知られている、このような方法は、例えば特許文献5に開示されており、それはその全てを参照により組み込まれている。ペプチド合成に対し液相法も、使用することができる。
一般的な化学合成手順
本発明のペプチドは、組み換えDNA技術を使用して調製することができる。しかしながら、その長さを考慮すると、ペプチドは、例えば非特許文献17によって概略的に記載された、固相合成を使用して調製することが好ましいが、当分野で知られている他の同等な化学合成、例えば1989年AthertonおよびSheppardのFMOC化学法(非特許文献18中のもの)も有用である。t−Boc化学法、および様々な異なる固相支持体上での合成、「ティーバッグ」合成(非特許文献19を参照のこと)、および分離分割併用法(split and divide combinatorial methods)も使用することができる。固相ペプチド合成は、適切な樹脂に保護α−アミノ酸を結合させることによって、ペプチドのC末端から始めることができる。このような出発物質は、クロロメチル化樹脂またはヒドロキシメチル樹脂へのエステル結合により、あるいはBHA樹脂またはMBHA樹脂へのアミド結合によりα−アミノ保護型アミノ酸を結びつけることによって調製することができる。当分野でよく知られている、このような方法は、例えば特許文献5に開示されており、それはその全てを参照により組み込まれている。ペプチド合成に対し液相法も、使用することができる。
化学合成または酵素合成の代替法として、組み換え法を使用して、本発明のペプチドを生成することができる。組み換え生成用に、所望のペプチド配列をコードする核酸配列を決定する。これは、引き続き翻訳されてペプチドを生成するRNA配列、またはペプチドを生成するためにDNA配列の転写を可能にし、mRNAを翻訳することができるプロモーターの調節下で発現ベクターにクローン化されるDNA配列であってよい。
例えば、短い一本鎖DNAフラグメントは、フォスフォアミダイト法によって調製することができる(非特許文献20)。次いで、二本鎖DNAフラグメントを、相補鎖を合成し、そして適切な条件下で鎖を一緒にアニーリングすること、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖に加えることのいずれかによって、得ることができる。ペプチドをコードするDNAフラグメントは、培養中の細胞に導入することおよび培養中の細胞中で発現することができるDNA構成体(constructs)に取り込まれるであろう。
本発明の好ましい核酸分子は、阻害ペプチドをコードする分子、好ましくは配列番号1〜配列番号5までの1つまたは複数のいずれかである。以下の核酸配列(配列番号7〜配列番号341を含む)、およびこれらの以下の配列の1つまたは複数を含むDNAまたはRNA分子は、本発明の範囲内にある。これらを、組み換えポリペプチドの生成において、あるいはin vitroまたはin vivoでの細胞中のポリペプチドを発現させるための手段として、使用することができる。
(1)Lys Lys Lys Lysをコードするヌクレオチド配列(配列番号1):
(2)ASP ASP GLU GLU LYSをコードするヌクレオチド配列(配列番号2):
(3)LYS LEU MET SER TYRをコードするヌクレオチド配列(配列番号3):
(4)PHE PHE PHE LYS LYSをコードするヌクレオチド配列(配列番号4):
(5)PHE PHE HIS PRO VALをコードするヌクレオチド配列(配列番号5):
同様に、配列番号1〜配列番号5の全ての混合型配列を有するペプチドをコードする(すなわちペプチド配列番号342〜配列番号557までをコードする)DNA配列は、個別には書き出さないが、本発明に含まれる。
本発明のペプチドをコードするDNA構成体、および配列番号6〜配列番号341までの1つまたは複数を含むDNA構成体は、細菌または酵母菌のような原核または真核単細胞の宿主生物の複製に適した形態であることが好ましいが、哺乳動物細胞を含む真核細胞(または細胞系)のゲノムに導入するために設計されてもよい。細菌または酵母菌に導入するために調製されるDNA構成体は、宿主によって認識される複製系、所望のペプチドをコードするDNA配列、DNAコード配列の5’端に結び付く転写および翻訳開始調節配列、およびコード配列の3’端に結び付く転写および翻訳停止調節配列を含む。DNA配列をコードするための挿入部位と一緒に、複製系並びに転写および翻訳調節配列を含む転写調節配列を使用することができる。
所望のペプチドまたはタンパク質配列を組み換え生成するための、多くのこのような方法は当業者にはよく知られており、発明の技能の訓練無しに本発明のペプチドの生成に適用することができる。例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献21、22、23、24、25、26、および27を含む、分子生物学の一般的方法を開示する基本的教本を参照のこと。
必要な場合、当分野でよく知られている物理的、化学的または親和性により分離するための標準的な方法を使用して、ペプチドを精製することができる。
前述のように(キャッピングに関して)、かつ以下に記載するように、本発明のペプチドは、非慣用的なアミノ酸(例えばノルロイシン)を含むことができる。さらに修飾は、担体またはリンカー分子との共有結合するための手段を与えることができる。
アミノ酸置換および付加変異体
本発明には、本来の配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは、1つだけが除去されて、異なる残基がその場所に挿入されているペプチドも含まれる。タンパク質の化学的性質および構造の詳細な記載に関しては、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献28、および29を参照のこと。本発明のペプチド分子で行われうる置換の型は、保存的置換であり、以下の群の1つ内の交換として本明細書で定義される:
1.小さな脂肪族の非極性または僅かに極性の残基:例えば、Ala、Ser、Thr、Gly;
2.極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド:例えば、Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性の正に帯電した残基:例えば、His、Arg、Lys;
本発明には、本来の配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは、1つだけが除去されて、異なる残基がその場所に挿入されているペプチドも含まれる。タンパク質の化学的性質および構造の詳細な記載に関しては、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献28、および29を参照のこと。本発明のペプチド分子で行われうる置換の型は、保存的置換であり、以下の群の1つ内の交換として本明細書で定義される:
1.小さな脂肪族の非極性または僅かに極性の残基:例えば、Ala、Ser、Thr、Gly;
2.極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド:例えば、Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性の正に帯電した残基:例えば、His、Arg、Lys;
プロリン(Pro)は、その異常な形状のために鎖を強く束縛する。機能特性の実質的な変更は、例えば前述の基(または前に示していない2つの他のアミノ酸基)の中でというよりはむしろ間で、より低い保存性の置換基を選択することによって行われ、これは(a)置換領域のペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の大部分、を維持することに対する置換基の影響でさらに著しく異なるであろう。本発明による大部分の置換基は、ペプチド分子の特性のラジカル変化(radical change)を生み出さない置換基である。このようなことを行う前に置換の正確な影響を予想することが難しいときでも、当業者であれば、通常のスクリーニングアッセイ、好ましくは以下に記載する生物アッセイによって、影響を評価することができることを認識されよう。酸化還元もしくは熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、または担体と凝集するかあるいはマルチマーに凝集する傾向を含むペプチドの性質の修飾は、当業者によく知られている方法によりアッセイされる。
増殖阻害ペプチドの化学的誘導体
本発明のペプチドの「化学的誘導体」は、通常はペプチドまたはポリペプチドの一部分ではない追加の化学成分を含む。ペプチドの共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。このような誘導体化された部分は、溶解性、吸収性、生物学的半減期などを向上させることができる。このような効果を仲介することができる部分は、例えば非特許文献30に開示されている。
本発明のペプチドの「化学的誘導体」は、通常はペプチドまたはポリペプチドの一部分ではない追加の化学成分を含む。ペプチドの共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。このような誘導体化された部分は、溶解性、吸収性、生物学的半減期などを向上させることができる。このような効果を仲介することができる部分は、例えば非特許文献30に開示されている。
このような修飾は、選択した側鎖または末端残基と反応することができる有機性誘導剤(organic derivatizing agent)と標的アミノ酸残基を反応させることによって、分子に導入することができる。他の修飾は、ペプチドまたはポリペプチドの環化である。
最も一般的には、システイニル残基を、α−ハロアセテート(および対応するアミン)と反応させて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミド−オゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ安息香酸水銀、2−塩化水銀−4−ニトロ−フェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によっても誘導体化される。
ヒスチジル残基は、ジエチルプロカルボネートとの反応(pH5.5〜7.0)によって誘導体化され、この剤はヒスチジル側鎖に比較的特異的である。p−ブロモフェナシル臭化物も有用であり;この反応は、好ましくはpH6.0において0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で行われる。
リシニルおよびアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物を用いて誘導体化される。環状カルボン酸無水物を用いた誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆にする効果がある。アミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬には、メチルピコリンイミデートのようなイミドエステル;ピリドキサルリン酸;ピリドキサール;クロロホウ化水素;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソウレア;2,4ペンタンジオン;およびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応物がある。
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンを含む、1個または数個の慣用の試薬との反応によって修飾される。このような誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKaのために、反応をアルカリ条件で行うことが必要である。さらに、これらの試薬は、リシンの基、およびアルギニンε−アミノ基と反応させることができる。
チロシル残基の修飾は、ペプチドにスペクトル標識(spectral labels)の導入を可能にする。これは、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって行われる。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンを使用して、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体をそれぞれ作り出す。
カルボキシル側基、アスパルチルまたはグルタミルは、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−(4−エチル))カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドのようなカルボジイミド類(R−N=C=N−R’)、との反応によって、選択的に修飾することができる。さらに、アスパルチルおよびグルタミル残基を、アンモニアとの反応によって、アスパラギニルおよびグルタミニル残基に転換することができる。
アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニルおよびグルタミニル残基に転換される。逆に、グルタミニルおよびアスパラギニル残基を、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化することができる。脱アミド化を、やや酸性の条件下で行うことができる。これらの残基のいずれかの形態が、本発明の範囲内に入る。
二官能剤(bifunctinal agents)を用いた誘導体化は、ペプチドを非水溶性支持体マトリックスまたは他の高分子の担体に架橋させるのに有用である。一般的に使用される架橋剤には、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル、4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミドがある。
メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような誘導剤によって、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化中間体が生成される。あるいはまた、特許文献6、7、8、9、10、および11に記載された、臭化シアン活性化炭水化物のような反応性がある非水溶性マトリックス、および反応性基質が、ポリペプチドまたはペプチド固定用に使用される。
他の修飾には、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(非特許文献31参照)、N末端アミンのアセチル化、およびいくつかの場合はC末端カルボキシル基のアミド化がある。
1個または複数個のD−アミノ酸が1個または複数個のL−アミノ酸に置換されるペプチドも含まれる。
マルチマーペプチド
本発明は、配列KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、またはFFHPV(配列番号5)を有する1個または複数個のペプチドの繰り返し単位から形成される、さらに長いペプチドも含む。
本発明は、配列KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、またはFFHPV(配列番号5)を有する1個または複数個のペプチドの繰り返し単位から形成される、さらに長いペプチドも含む。
このようなマルチマー(「コンカテマー」とも呼ばれる)は、本明細書に記載する任意のペプチドまたはその変異体から形成されていてよい。さらに、ペプチドマルチマーは、ペプチドモノマーまたはその付加変異体の異なる組合せを含むことができる。このようなオリゴマーまたはマルチマーペプチドは、本明細書で論じるように化学合成によって、あるいは組み換えDNA技法によって作製することができる。化学合成によって生成されるとき、オリゴマーは、好ましくは2〜12の繰り返し単位、より好ましくは2〜8の繰り返し単位の核となるペプチド配列を有し、マルチマー中のアミノ酸の合計数は、約110個の残基を超えないことが好ましい(あるいはリンカーまたはスペーサーを含むとき、その等量)。リンカーは、当分野で知られている、酵素により開裂可能なリンカーを含むことができる。マルチマーをコードする組み換え核酸構成体に、これらを設計することができる。
好ましい合成化学ペプチドマルチマーは以下の式、
P1 n
(式中、P1はKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、これらの混合型配列変異体(任意および全ての変更配列の同じアミノ酸組成を有する)、またはこれらのペプチドの生物活性な置換もしくは付加変異体のいずれか1つであり、かつnは2〜8であり、かつペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドは、細胞増殖、より詳細には、細胞成長すなわち増殖の標準的なin vitroまたはin vivoバイオアッセイにおいて測定される、NIH3T3−PDGF−ββ細胞に存在するオートクライン活性化のようなPDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
P1 n
(式中、P1はKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、これらの混合型配列変異体(任意および全ての変更配列の同じアミノ酸組成を有する)、またはこれらのペプチドの生物活性な置換もしくは付加変異体のいずれか1つであり、かつnは2〜8であり、かつペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドは、細胞増殖、より詳細には、細胞成長すなわち増殖の標準的なin vitroまたはin vivoバイオアッセイにおいて測定される、NIH3T3−PDGF−ββ細胞に存在するオートクライン活性化のようなPDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
他の実施形態では、好ましい合成化学ペプチドマルチマーは以下の式、
(P1−Xm)n−P2
(式中、P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、またはこれらのペンタペプチドの付加変異体であり、かつ(a)P1およびP2は同じでも異なってもよく;さらに、マルチマーにおけるP1のそれぞれの存在が前述の5つのペプチド(または変異体)の異なるものであってもよく;(b)XはC1〜C5アルキル、C1〜C5アルケニル、C1〜C5アルキニル、4個までの酸素原子を含むC1〜C5ポリエーテルであり、かつm=0または1であり、n=1〜7であり;Xはz=1〜6であるGlyzであってもよく、
かつ、ペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドで、前に記載した細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
(P1−Xm)n−P2
(式中、P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、またはこれらのペンタペプチドの付加変異体であり、かつ(a)P1およびP2は同じでも異なってもよく;さらに、マルチマーにおけるP1のそれぞれの存在が前述の5つのペプチド(または変異体)の異なるものであってもよく;(b)XはC1〜C5アルキル、C1〜C5アルケニル、C1〜C5アルキニル、4個までの酸素原子を含むC1〜C5ポリエーテルであり、かつm=0または1であり、n=1〜7であり;Xはz=1〜6であるGlyzであってもよく、
かつ、ペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドで、前に記載した細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
組み換えによって生成されるとき、スペーサーは、好ましくは前に記載したz=1〜6であるGlyzであり、マルチマーは、発現系が許容するほど多くの核となるペプチド配列の繰り返し単位、例えば2個から約100個の繰り返し単位を有することができる。好ましい組み換えによって生成されるペプチドマルチマーは以下の式:
(P1−Glyz)n−P2
(式中、
(a)P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、またはこれらのペプチドの付加変異体であり、かつP1およびP2は同じでも異なってもよく;さらに、マルチマーにおけるP1のそれぞれの存在は異なるペプチド(または変異体)であってよく;
式中、n=1〜100であり、かつz=0〜6であり;
かつ、ペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドは、前に記載した細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
(P1−Glyz)n−P2
(式中、
(a)P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、またはこれらのペプチドの付加変異体であり、かつP1およびP2は同じでも異なってもよく;さらに、マルチマーにおけるP1のそれぞれの存在は異なるペプチド(または変異体)であってよく;
式中、n=1〜100であり、かつz=0〜6であり;
かつ、ペプチド単独またはマルチマー形態のペプチドは、前に記載した細胞増殖を阻害する生物活性を有する)を有する。
マルチマーは、そのNおよびC末端で任意選択的にキャップされる。
このようなマルチマーは、本明細書に記載されるペプチドまたは変異体から形成されてもよいことが理解される。マルチマーの付加変異体モノマー単位は、前に記載した生物活性を有することが好ましいが、それらが寄与するマルチマーが活性を有する限り、このことは必要ではない。
線維形成をもたらす線維芽細胞および平滑筋細胞の接着および増殖を回避することが望ましい場合、前に記載したような、強力な増殖阻害作用を有する本発明のペプチドまたはペプチドマルチマーは、慣用の切除プロトコルに従った腫瘍の局所療法用の工学的生体医用インプラント、または任意の型のインプラントのような物品の開発を可能にする。このような装具の好ましい一例は、ステントである。
一実施形態では、ペプチドまたはマルチマーは、合成ポリマー、天然ポリマー、またはこれらの組合せを含む固体(または担体)表面と結合、好ましくは共有または非共有結合によって化学的に結合している。インプラントまたは他の生体医用装具の表面に適した合成ポリマーには、以下のもの:ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ素化エチレン、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびこれらの組合せがあるが、これらだけには限られない。
生体医用装具を製造するのに適した天然ポリマーは、以下のもの:コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、およびこれらの組合せを含んでもよいが、これらだけには限られない。
本発明のペプチド、ポリペプチドまたはペプチドマルチマーは、共有結合によって、固相もしくはマトリックス、好ましくはポリマー表面に結合または連鎖されてもよい。あるいはまた、本発明のペプチド、ポリペプチドまたはペプチドマルチマーは、クローン力(静電気)またはファンデルワース力、またはこれらの組合せによって、非共有的に結合されてもよい。生体医用装具の表面のようなポリマー表面への結合は直接的、あるいはリンカーまたはスペーサー分子を介したものであってよい。あるいはまた、本発明のペプチド、ポリペプチドまたはペプチドマルチマーは、装具の表面に含浸またはコーティングされてもよい。コーティングは、例えば浸漬、スプレーまたは塗装によって行われてもよい。
含浸に関しては、増殖阻害ペプチドを、ポリマー合成または材料加工のプロセス中に、生体医用装具のポリマー材料に取り込ませることができる。例えば非特許文献32を参照のこと。一例では、生体医用装具の表面は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から形成され、あるいはまた、ePTFEのポリマー層を作製するために使用される押出し物に、押出し物を形成するために使用される溶媒に溶けない、塩または砂糖のような結晶性の粒子状物質を混合することができる。粒子状物質を含む押出し物の溶液を、フィルムまたはシートにキャストし、水のような第2の溶媒を適用して、粒子状物質を溶解および除去し、これによって多孔質シートの状態にしておく。次いで多孔質シートを、1つまたは複数の阻害ペプチドまたはマルチマーを含む溶液中に配置して、孔を充填することができる。好ましくは、フィルムまたはシートを真空引きして、適用されたペプチドを孔内に入れることを確実にする。
他の実施形態ではペプチドは、徐放性組成物中に存在することができる。一例では、ペプチドをポリマーでカプセル化することができる。本発明による1個または複数個の本発明のペプチドを含むポリマーマトリックスは、ミクロ粒子、ミクロファイバーまたはミクロフィブリルを含むことができるが、これらに制限されない。ミクロスフェアを、ePTFEのマトリックスのノード(node)に結び付くフィブリルのメッシュに含ませることができる。ペプチドを含むミクロ粒子を、それらをポリマー材料に接着して配置することにより、ポリマー表面内に取り込ませるか、あるいは結合させることができる。あるいはまた、ミクロ粒子を、流体またはゲルと混合することができ、ポリマーマトリックスの表面に流すことができる。ペプチドの送達用に、押出しによりペプチドを充填されているミクロファイバーまたはミクロフィブリルを、生体医用装具の表面に含まれるポリマー材料に、接着によって層状にするかあるいは編み込むことができる。
一実施形態では、ペプチドは担体に結合または連鎖される。本発明の目的のため、担体は、合成もしくは天然ポリマー、細胞外マトリックスのタンパク質成分、多糖、リポタンパク質、免疫グロブリン、または任意のこれらの組合せを含む、任意のいくつかの物質であってよい。ペプチドとこれらの高分子の1つの間の化学結合は一般に、担体基質、ペプチド、または任意選択のリンカー分子の反応基によって直接達成される。反応基は担体またはペプチドの元の一部分であってよく、あるいは、いずれかの分子の反応基を活性化させることにより導入されてもよい。一般的な反応基または官能基には、アミノ、イミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリルおよびカルボキシル基がある。
2つ以上の型のペプチドまたはペプチドマルチマーを、生体医用装具の合成ポリマー表面のような特定の担体に結合させることが有利である可能性がある。
本発明の生体医用装具の一実施形態では、装具を形成する天然および/または合成ポリマーは、生体安定性または生体吸収性である。装具が生体安定性であるとき、ペプチドは、ペプチドが取り込まれている生体安定性物質から外に拡散することができる。しかしながら、ポリマーが生体吸収性である場合、取り込まれるペプチドを、ポリマー自体の分解および吸収のプロセスによって部分的に、意図する部位に送達することができる。
フィブリン、コラーゲンおよびエラスチンのような生物学的ポリマーは、それ自体が高い生体適合性を有するが、それらの機械的性質はしばしば不十分であり、それらの製造コストは一般に、合成ポリマーよりはるかに高い。したがって、合成ポリマーと生物学的ポリマーを組み合わせて、合成成分の結果である優れた機械的性質、および生物学的成分の結果である生体適合性を有する、生体医用装具を製造することができる。混合の技法はよく知られている。例えば、非特許文献33を参照のこと。
細胞接着耐性(CAR)表面
「細胞接着耐性」または「細胞接着抵抗性」(「CAR」)物質または薬剤は、固体表面にコーティングされると、表面への細胞接着または結合を阻害または防止する。これらの物質の性質に基づき、いくつかの高分子はまた、CAR表面に結合する可能性が低い。本発明に従って、物品または装具の表面の形態に、増殖阻害ペプチドを与えることができ;細胞の増殖は、表面に与えられている性質により阻害されると思われる。適切なCAR物質には、ポリエチレングリコール、グリムおよびそれらの誘導体、ポリHEMA、ポリイソプロピルアクリルアミド、および好ましくはヒアルロン酸(HA)およびアルギン酸(AA)を含む任意のいくつかの多糖があるが、これらだけには限られない。より好ましい実施形態では、HAをCAR物質として使用する。一般に、高濃度のヒドロキシル基を含む高い親水性物質を、単独または組み合わせて、CAR物質として使用することができる。
「細胞接着耐性」または「細胞接着抵抗性」(「CAR」)物質または薬剤は、固体表面にコーティングされると、表面への細胞接着または結合を阻害または防止する。これらの物質の性質に基づき、いくつかの高分子はまた、CAR表面に結合する可能性が低い。本発明に従って、物品または装具の表面の形態に、増殖阻害ペプチドを与えることができ;細胞の増殖は、表面に与えられている性質により阻害されると思われる。適切なCAR物質には、ポリエチレングリコール、グリムおよびそれらの誘導体、ポリHEMA、ポリイソプロピルアクリルアミド、および好ましくはヒアルロン酸(HA)およびアルギン酸(AA)を含む任意のいくつかの多糖があるが、これらだけには限られない。より好ましい実施形態では、HAをCAR物質として使用する。一般に、高濃度のヒドロキシル基を含む高い親水性物質を、単独または組み合わせて、CAR物質として使用することができる。
CARの範囲は、CAR物質が配置、添加、点在、滴下などされている表面の領域である。2つの範囲が表面上で相互に隣接するか、あるいは第1の範囲中または第1の範囲上の細胞が、第2の並置範囲のシグナルに応答することができるほど充分に相互に近づいている場合、第1の範囲は第2の範囲に「並置」される。2つの並置範囲は、他の表面が介在しないように直接接していてよく、あるいは互いに距離を変えることで間隔をあけて配置されてもよい。(例えば、共通の譲渡人に譲渡された特許文献12、それと同じ日に出願され特許文献13に基づく、非特許文献34を参照のこと、これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれている。)
CAR層およびCAR表面を作り出すのに有用な、方法および組成物は、同時係属の共通の譲渡人に譲渡された特許文献14、それと同じ日に出願されその全容が参照により本明細書に組み込まれている非特許文献35、およびそれらの中で列挙された参照文献中に、より詳細に記載されている。
治療用組成物および使用
前述のように、本発明は、癌だけには限られないが癌を含む細胞増殖性疾患に苦しむ被験者を治療する方法を例示する。この方法は、疾患により侵された細胞が異常または不適切なPDGF−R活性を有する状態を治療するのに非常に適している。一実施形態では、細胞の増殖を阻害するための方法として、不適切なPDGF−R活性を有することによって特徴付けられる被験者の細胞を、本発明のペプチドまたはマルチマー、あるいは、このようなペプチドまたはマルチマーをコードする核酸分子と接触させ、それにより関連疾患または状態を治療する。
前述のように、本発明は、癌だけには限られないが癌を含む細胞増殖性疾患に苦しむ被験者を治療する方法を例示する。この方法は、疾患により侵された細胞が異常または不適切なPDGF−R活性を有する状態を治療するのに非常に適している。一実施形態では、細胞の増殖を阻害するための方法として、不適切なPDGF−R活性を有することによって特徴付けられる被験者の細胞を、本発明のペプチドまたはマルチマー、あるいは、このようなペプチドまたはマルチマーをコードする核酸分子と接触させ、それにより関連疾患または状態を治療する。
前述のように、本発明の治療法で使用されるペプチドまたはマルチマーは、前に記載した天然または合成ポリマー(または両方の組合せ)を含む生体医用インプラントと、化学結合、結合、または連鎖、あるいは別の方法で会合されてもよい。治療法は、被験者の疾患または障害を治療するのに有用であることが知られている慣用の薬剤を、治療上有効量、被験者に投与することをさらに含むことができる。したがって、癌の場合、この追加の薬剤は、知られている抗癌薬または生物学的薬剤であってよい。例えば、このような治療を必要とする被験者は、PDGF−R活性を阻害するための有効量の、本発明の増殖阻害ペプチドまたはペプチドマルチマーを含む治療用組成物または生体医用装具を投与されるか、あるいは、これらにかけられる。この組成物または装具は、細胞毒性薬剤、例えばVP−16またはシスプラチンと組み合わせて投与される。本発明のペプチドと組み合わせて使用するための他の適切な物質には:シクロホスファミド、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、チミジンキナーゼ阻害剤、またはこれらの組合せがある。
本発明の好ましい動物被験体は哺乳動物である。用語「哺乳動物」とは、哺乳動物網に属する個体を意味する。本発明は、ヒト被験者の治療において特に有用である。
用語「治療する」とは、疾患または障害の予防、改善、または治癒を含む目的のため、本発明の組成物を被験者に投与することを意図するものである。
本発明の治療用または医薬組成物は、ポリペプチド、ペプチド、組合せまたはマルチマー、および製薬上許容可能な担体から構成されてもよい。
投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹膜内、経皮的、または頬側経路によるものであってよい。別法として、または並行して、投与は経口経路によるものであってよい。投与される用量は、受容者の年齢、健康状態、および体重、存在する場合は同時治療の種類、治療の頻度、および所望の効果の性質に依存するであろう。
本発明の範囲内の組成物は、その意図する目的を達成するためにペプチド、ポリペプチドまたはマルチマーが有効量含まれた全ての組成物を含む。個人の必要性は変わるが、それぞれの成分の有効量の最適範囲の決定は、当分野の技術の範囲内である。典型的な用量は、体重1kg当たり1ngから体重1kg当たり100mgを含む。好ましい用量は、体重1kg当たり1μgから体重1kg当たり10mgを含む。
薬理学的に活性がある化合物に加えて、医薬組成物の調合剤は、薬学的に使用されうる調合剤に活性化合物を加工することを容易にする賦形剤および助剤を含む、適切な製薬上許容可能な担体を含むことができる。好ましくは、調合剤、特に経口的に投与することができ、錠剤、糖衣錠、およびカプセル、および注射または経口による投与用の適切な溶液のような好ましい投与型で使用することができる調合剤は、1種または複数種の活性化合物を約0.01から99パーセント、好ましくは約20から75パーセント、賦形剤と一緒に含む。
本発明の全身投与用の製薬上の配合物を、腸内、非経口または局所投与用に配合することができる。実際、3つ全ての型の配合物を同時に使用して、活性成分の全身投与を達成することができる。
経口投与に適した配合物には、硬質または軟質ゼラチンカプセル、糖衣錠、ピル、被覆錠剤を含む錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップまたは吸入薬、およびこれらの徐放形態がある。経口投与用に配合される形態以外の固体剤形には肛門座薬がある。本明細書で示すように、インプラントの形態で組成物を投与することもできる。
局所投与に適した配合物には、クリーム、ゲル、ゼリー、粘漿薬、ペーストおよび軟膏がある。全身投与を達成するように、経皮投与用、例えば経皮パッチの形態で化合物を配合することができる。
適切な注射可能溶液には、静脈内、皮下および筋肉内注射可能溶液がある。化合物を、輸液の形で、あるいは鼻部吸入薬またはスプレーとして投与することもできる。
適切な賦形剤は、当分野でよく知られている。例えば、非特許文献36、またはさらに最新版を参照のこと。
前に記載したように、望ましくない細胞増殖は、癌細胞、癌細胞周辺のストローマ細胞、内皮細胞、および平滑筋細胞のような、異なる型の細胞に発生する不適切なPDGF−R活性から生じる可能性がある。したがって、不適切なPDGF受容体活性によって特徴付けられる固形腫瘍(solid tumor)を有する被験者を治療するための本発明の方法は、癌細胞だけでなく細胞ストローマ細胞、および他の隣接細胞を、増殖阻害ペプチドまたはペプチドマルチマーと接触させることを含むことができる。
一実施形態では、治療法は、固形腫瘍の一部分または全てを外科手術により除去し、続いてペプチドを用いて治療すること、好ましくは、外科手術部位の近くに本発明の生体医用装具を埋め込むことにより行われることを含む。装具からのペプチドまたはマルチマーの放出、あるいは、装具と連鎖または結合する間のそれらの作用により、外科手術部位またはその近辺の細胞との相互作用に役立つ増殖阻害ペプチドまたはマルチマーと、この装具は結合している。
ここまで本発明を概略的に記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。これらの実施例は例示によって与えられ、特定しない限りは、本発明を制限することを意図するものではない。
(実施例1)
細胞系
PDGF−ββでトランスフェクトしたNIH3T3細胞(安定した細胞系)を、Mount Sinai School of Medicineから得た。これらの細胞はPDGF−ββを過剰発現し、オートクライン形式でPDGF−Rを介して活性化される。10%の熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)、および100単位またはμg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、および750μg/mlのG418硫酸塩(Geneticin)選択物質を含む、ダルベッコ変法イーグル培地(高濃度グルコース)(DMEM)において、37℃で細胞を増殖させた。細胞を5%CO2の雰囲気において培養し、培養物には週に2回栄養を与えた。継代培養のため、細胞を集合状態にし、トリプシン/EDTA溶液を加えて細胞を取り除く前に、PBSまたはハンクス平衡塩溶液(Ca++およびMg++を含まない)で2回洗浄した。集合状態までの所望の時間に応じて、任意の場所において、細胞を滅菌T−75フラスコに1/4から1/12に分けた。
細胞系
PDGF−ββでトランスフェクトしたNIH3T3細胞(安定した細胞系)を、Mount Sinai School of Medicineから得た。これらの細胞はPDGF−ββを過剰発現し、オートクライン形式でPDGF−Rを介して活性化される。10%の熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)、および100単位またはμg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、および750μg/mlのG418硫酸塩(Geneticin)選択物質を含む、ダルベッコ変法イーグル培地(高濃度グルコース)(DMEM)において、37℃で細胞を増殖させた。細胞を5%CO2の雰囲気において培養し、培養物には週に2回栄養を与えた。継代培養のため、細胞を集合状態にし、トリプシン/EDTA溶液を加えて細胞を取り除く前に、PBSまたはハンクス平衡塩溶液(Ca++およびMg++を含まない)で2回洗浄した。集合状態までの所望の時間に応じて、任意の場所において、細胞を滅菌T−75フラスコに1/4から1/12に分けた。
(実施例2)
ペプチドのスクリーニング
培養物中の細胞の増殖を阻害するペプチドを同定するために、NIH3T3−PDGF−ββ細胞を用いた増殖アッセイで、候補ペプチドをスクリーニングした。前に記載したように、G418を含むDMEM中において細胞を増大させた。トリプシン処理の後、細胞を計数し、96ウェルプレートに所望の密度(10%のFCSを補ったDMEMの250μlの培地に概ね6×103細胞/ウエル(G418は、その後のアッセイを妨害する可能性があるので除去した))で平板培養した。細胞が約50〜75%の集合状態に達したときに、ペプチドを加えた。ペプチド(BachemまたはSigmaから購入した)を水で還元し、使用前に凍結乾燥させた。表1および2に示すような1〜12mMの範囲のペプチド濃度で、ペプチドをBITS培地中で調製した(0.5%のBSA、1×インシュリン/トランスフェリン/セレニウム(1×ITS)を補ったDMEM。これは、0.01g/Lインシュリン、0.007mg/L亜セレン酸ナトリウム、0.006g/Lトランスフェリン、および0.002g/Lエタノールアミンの最終濃度をもたらす。)増殖培地を除去し、ペプチド溶液を加えた(250μl/ウエル)。試験前に栄養を与えずに、細胞を5日間培養した。この時間の後、それぞれのペプチドで処理した細胞の増殖を、対照培地(ペプチドが加えられていない)における増殖と比較した。
ペプチドのスクリーニング
培養物中の細胞の増殖を阻害するペプチドを同定するために、NIH3T3−PDGF−ββ細胞を用いた増殖アッセイで、候補ペプチドをスクリーニングした。前に記載したように、G418を含むDMEM中において細胞を増大させた。トリプシン処理の後、細胞を計数し、96ウェルプレートに所望の密度(10%のFCSを補ったDMEMの250μlの培地に概ね6×103細胞/ウエル(G418は、その後のアッセイを妨害する可能性があるので除去した))で平板培養した。細胞が約50〜75%の集合状態に達したときに、ペプチドを加えた。ペプチド(BachemまたはSigmaから購入した)を水で還元し、使用前に凍結乾燥させた。表1および2に示すような1〜12mMの範囲のペプチド濃度で、ペプチドをBITS培地中で調製した(0.5%のBSA、1×インシュリン/トランスフェリン/セレニウム(1×ITS)を補ったDMEM。これは、0.01g/Lインシュリン、0.007mg/L亜セレン酸ナトリウム、0.006g/Lトランスフェリン、および0.002g/Lエタノールアミンの最終濃度をもたらす。)増殖培地を除去し、ペプチド溶液を加えた(250μl/ウエル)。試験前に栄養を与えずに、細胞を5日間培養した。この時間の後、それぞれのペプチドで処理した細胞の増殖を、対照培地(ペプチドが加えられていない)における増殖と比較した。
PicoGreen Assay Kit(Molecular Probes、Eugene、Oregon、USA、ロット番号#6405−1)を使用して、細胞全体の二本鎖DNAを測定することによって細胞数を評価した。PicoGreen分析用に、PicoGreen染料を希釈することによって調製される(当業者の使用説明書に従い1×TEに1:200)100μlの染料に、細胞溶解液(100μl)を加えた。5分後に蛍光計(485nmの励起波長で照射される)のプレートを読み取った。CytoFluor Series 4000(PerSeptive Biosystems、Framingham、MA)を使用して、530nmにおける蛍光発光を測定した。DNAレベルと細胞数を相関させるために、NIH3T3−PDGF−ββ細胞に対する標準曲線を確立した。分析用に、DNAの吸光/発光を、DNAの標準曲線によって示される吸光/発光と比較した。
この方法を使用して、ライブラリーの最初のスクリーニングにおいて、NIH3T3−PDGF−ββ細胞の増殖を阻害するものとして、いくつかのペプチドを同定した。これらのペプチドは、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、およびFFHPV(配列番号5)を含んでいた。これらの実験の結果を、以下の実施例3および4に記載する(表1および2を参照のこと)。
(実施例3)
KKKK(配列番号1)の活性
この実施例の結果によって、配列KKKKを有するペプチド(Bachem)が、NIH3T3−PDGF−ββ細胞の増殖の有効な阻害物質であったことが示される。DNAの分析用に、対照および実験ウエルの吸光/発光を、DNAの標準曲線によって示される吸光/発光と比較して、表中に示したような対照細胞の増殖の%に転換された細胞数を計算した。これらのデータは、12mMの濃度のKKKKによって、対照培地(BITS対照)と比較して、細胞の増殖が約61%まで阻害されたことを示す。6mMでのペプチドは36%の阻害を生じさせるのに対し、3mMのペプチドは21%の阻害を与えた。スク
KKKK(配列番号1)の活性
この実施例の結果によって、配列KKKKを有するペプチド(Bachem)が、NIH3T3−PDGF−ββ細胞の増殖の有効な阻害物質であったことが示される。DNAの分析用に、対照および実験ウエルの吸光/発光を、DNAの標準曲線によって示される吸光/発光と比較して、表中に示したような対照細胞の増殖の%に転換された細胞数を計算した。これらのデータは、12mMの濃度のKKKKによって、対照培地(BITS対照)と比較して、細胞の増殖が約61%まで阻害されたことを示す。6mMでのペプチドは36%の阻害を生じさせるのに対し、3mMのペプチドは21%の阻害を与えた。スク
リーニング用にペプチドを加えた基本培地(BITS)は、加水分解物を含まない培地であることに注意しなければならない。対照的に、10%の対照値は、細胞を増大させるために使用したDMEM培地を表す(これは10%のFCSを含む加水分解物を主とする培地である)。
(実施例4)
阻害ペンタペプチドの活性
表2に示す結果、対照細胞の増殖の%は、PicoGreenアッセイを使用して得られた。ペプチドKKKK(配列番号1)(Sigmaからのもの)は、実施例3で観察された程度よりも高い程度で、細胞の増殖を阻害した(同じペプチド配列、異なる源)。ここでは、6mMのペプチドによって、基本培地(BITS)と比較して、59%の阻害が与えられた。これは実施例3の36%の阻害と同程度である。さらに、12mMのペプチドによって、基本培地単独と比較して、82%の阻害が与えられるのに対し、同じペプチドで実施例3において61%の阻害が与えられた。
阻害ペンタペプチドの活性
表2に示す結果、対照細胞の増殖の%は、PicoGreenアッセイを使用して得られた。ペプチドKKKK(配列番号1)(Sigmaからのもの)は、実施例3で観察された程度よりも高い程度で、細胞の増殖を阻害した(同じペプチド配列、異なる源)。ここでは、6mMのペプチドによって、基本培地(BITS)と比較して、59%の阻害が与えられた。これは実施例3の36%の阻害と同程度である。さらに、12mMのペプチドによって、基本培地単独と比較して、82%の阻害が与えられるのに対し、同じペプチドで実施例3において61%の阻害が与えられた。
Bachemから得た第2のペプチド、FFHPV(配列番号5)は、6mMで基本培地と比較して14%の阻害、9.5mMで82%の阻害を生じさせた。
Bachemからの第3のペプチド、FFFKK(配列番号4)は、基本培地単独と比較して、6mMおよび12mMの濃度において、それぞれ29%の阻害および82%の阻害を示した。
BachemからのペプチドKLMSY(配列番号3)は、基本培地と比較して、6mMおよび12mMにおいて、それぞれ23%および91%の阻害を与えた。
最後に、BachemからのペプチドDDEEK(配列番号2)は、基本培地単独と比較して、6mMおよび12mMの濃度において、それぞれ91%および84%の阻害を示した。
(実施例4)
予想される阻害活性を有するペンタペプチドの範囲を含む、予想されるパラメータ空間
以下は、本明細書に記載される5つのペプチドに関するパラメータである。
予想される阻害活性を有するペンタペプチドの範囲を含む、予想されるパラメータ空間
以下は、本明細書に記載される5つのペプチドに関するパラメータである。
DDEEKと性質が最も似ているペンタペプチドが、好ましいと思われる。なぜなら、このペンタペプチドは、細胞増殖の阻害することにおいて最も効能があるように思われるからである。電荷の好ましい範囲は、+2から−3であると思われる。好ましい分子量範囲は、631〜717Daであると思われる。MlogPの好ましい範囲は、約−8.5と−2の間、より好ましくは約−7と−3.5の間である。好ましい双極子モーメントの範囲は、38〜129である。
さらに綿密な実験によって、阻害活性と性質空間の間の相関関係が示される。
6mMの濃度では、DDEEKが最も強力な阻害剤であった。興味深いことに、このペプチドは、親水性(親油性)と電荷によって定義される2次元空間において、異なる性質空間に存在する。したがって、−2と−4の間の電荷、および約−2と−8の間の親油性を有する、この空間中の全てのペプチドは、強力な阻害活性を有することが予想される群を構成し、本発明の範囲内にある。これらのペプチドのいくつかは、DDEEK(配列番号2)の混合型配列、すなわち前述の配列番号342〜配列番号370のアミノ酸配列を有するペプチドとして定義される群に適合する。これは図1においても示される。
前に列挙した参照文献は全て、明確に組み込まれているかどうかに関係なく、参照により本明細書に組み込まれている。
ここまで本発明を十分に記載してきたが、広範囲の同等のパラメータ、濃度、および条件内で、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、かつ、過度の実験なしに、本発明を実施することができることは、当業者によって理解されるであろう。
Claims (53)
- PDGF−Rがオートクライン形式で活性化される細胞と接触したときに、前記細胞の増殖を阻害する、約50個以下のアミノ酸残基の単離ペプチドまたはポリペプチドであって、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、FFHPV(配列番号5)、または(i)これらの組合せ、(ii)異なる配列中に同じアミノ酸組成を有するこれらの生物活性な変異体、(iii)あるいは生物活性な置換もしくは付加変異体からなる群から選択される1個または複数個のアミノ酸配列を含むことを特徴とする単離ペプチドまたはポリペプチド。
- 約20個以下のアミノ酸を有することを特徴とする請求項1に記載のペプチドまたはポリペプチド。
- 約10個以下のアミノ酸を有することを特徴とする請求項2に記載のペプチド。
- KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、およびFFHPV(配列番号5)からなるペプチドの群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
- 5個のアミノ酸および配列DDEEK(配列番号2)を有することを特徴とする請求項4に記載のペプチド。
- ペプチド配列番号2〜配列番号5の少なくとも2つの物理化学的パラメータによって規定されるパラメータ空間内に入るペンタペプチドであって、以下の性質:
(a)オートクライン形式で増殖に対して活性化されるPDGF−Rを発現する細胞の増殖を阻害すること、
(b)−4と+2の間の全電荷、および
(c)約−8.5と−2の間のMlogP値
を有することを特徴とするペンタペプチド。 - −4と−2の間の全電荷、および約−7と−3.5の間のMlogP値を有することを特徴とする請求項6に記載のペンタペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドまたは変異体を含む化学的に合成されるペプチドマルチマーであって、当該マルチマーは、
(a)式P1 n、(式中、
(i)P1はKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、任意の配列中に同じアミノ酸組成を有するこれらの混合型配列変異体、またはこれらの置換もしくは付加変異体、のいずれか1つであり、かつ、
(ii)nが2〜8である)
を有するマルチマー、
(b)式(P1−Xm)n−P2、(式中、
(i)P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、これらの混合型配列変異体、またはこれらの置換もしくは付加変異体であり、
(ii)P1およびP2は、同じまたは異なるペプチドであり、
(iii)XはC1〜C5アルキル、C1〜C5アルケニル、C1〜C5アルキニル、4個までの酸素原子を含むC1〜C5ポリエーテルであり、
(iv)m=0または1であり、かつ、
(v)n=1〜7である)
を有するマルチマー、
からなる群から選択され、
ペプチドマルチマーが、細胞成長すなわち増殖の標準的なin vitroまたはin vivoバイオアッセイにおいて測定される、PDGF−Rのオートクライン活性化によって仲介される細胞増殖を阻害する生物活性を有する
ことを特徴とする化学的に合成されるマルチマー。 - 請求項2に記載のペプチドまたは変異体を含む組み換えによって生成されるペプチドマルチマーであって、
当該マルチマーが、式(P1−Glyz)n−P2、(式中、
(i)P1およびP2はペプチドKKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、もしくはFFHPV(配列番号5)、これらの混合型配列変異体、またはこれらの置換もしくは付加変異体であり、
(ii)P1およびP2は、同じであるか異なっており、
(iii)z=0〜6であり、かつ、
(iv)n=1〜100である)
を有し、
ペプチドマルチマーが、細胞成長すなわち増殖の標準的なin vitroまたはin vivoバイオアッセイにおいて測定される、PDGF−Rのオートクライン活性化によって仲介される細胞増殖を阻害する生物活性を有する、
ことを特徴とする組み換えによって生成されるペプチドマルチマー。 - (a)請求項1に記載のポリペプチドもしくはペプチド、または配列番号2〜配列番号5の任意の変更配列、あるいは(b)請求項9に記載のペプチドマルチマーをコードすることを特徴とする単離核酸分子。
- 配列番号6〜配列番号341までの1個または複数個を含むことを特徴とする請求項10に記載の核酸分子。
- (a)プロモーター、および
(b)任意選択的に、真核細胞中の前記核酸の発現を調節する他の調節配列
に動作可能に連鎖される、
請求項10に記載の核酸分子を含む発現ベクターであって、
宿主細胞中で前記ペプチドを発現することができることを特徴とする発現ベクター。 - (a)プロモーター、および
(b)任意選択的に、真核細胞中の前記核酸の発現を調節する他の調節配列
に動作可能に連鎖される、
請求項11に記載の核酸分子を含む発現ベクターであって、
宿主細胞中で前記ペプチドを発現することができることを特徴とする発現ベクター。 - プラスミドであることを特徴とする請求項12に記載の発現ベクター。
- ウイルスベクターであることを特徴とする請求項12に記載の発現ベクター。
- 固体表面と接触した状態の請求項1に記載のポリペプチドまたはペプチドを含むことを特徴とする固相物品。
- 固体表面と結合されるか、あるいは化学的に連鎖される請求項8または9に記載のマルチマーを含むことを特徴とする固相物品。
- 前記固体表面が合成ポリマー、天然ポリマー、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 前記ポリペプチドまたはペプチドと前記表面の間に、細胞接着耐性物質の追加層をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 前記細胞接着耐性物質が、(a)ポリエチレングリコール、(b)グリム、(c)グリム誘導体、(d)ポリHEMA、(e)ポリイソプロピルアクリルアミド、(f)ヒアルロン酸、(g)アルギン酸、および(h)(a)〜(g)の任意の組合せからなる群から選択される物質であることを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 前記固体表面が、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ素化エチレン、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびこれらの組合せからなる群から選択される合成ポリマーを含むことを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 前記固体表面が、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、およびこれらの組合せからなる群から選択される天然ポリマーを含むことを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 前記ペプチドがリンカー分子によって前記表面に化学的に連鎖されることを特徴とする請求項16に記載の物品。
- 異常または望ましくない細胞接着、細胞増殖、または接着と増殖の両方を阻害するための生体医用装具であって、増殖阻害量の請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せ、あるいは前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子が、化学的および/または物理的に結合している生体適合性表面を含むことを特徴とする生体医用装具。
- 異常または望ましくない細胞接着、細胞増殖、または接着と増殖の両方を阻害するための生体医用装具であって、増殖阻害量の請求項8または9に記載のマルチマー、あるいは前記マルチマーをコードする核酸分子が、化学的および/または物理的に結合している生体適合性表面を含むことを特徴とする生体医用装具。
- 前記ペプチドまたはポリペプチドと前記表面の間に、細胞接着耐性物質の追加の層をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の装具。
- 前記ペプチドまたはポリペプチドが、前記表面に含浸またはコーティングされていることを特徴とする請求項24に記載の装具。
- 前記ペプチドまたはポリペプチドが、徐放性組成物中に存在することを特徴とする請求項24に記載の装具。
- PDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞の望ましくない増殖を阻害する治療用組成物であって、
(a)請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せ、および
(b)治療用として許容可能な担体または賦形剤
を含むことを特徴とする治療用組成物。 - PDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞の望ましくない増殖を阻害する治療用組成物であって、
(a)請求項8または9に記載のマルチマー、および
(b)治療用として許容可能な担体または賦形剤
を含むことを特徴とする治療用組成物。 - 前記異常な活性化がPDGF−Rのオートクライン活性化を含むことを特徴とする請求項29に記載の治療用組成物。
- PDGF−Rの異常な活性化または活性によって仲介される細胞の望ましくない増殖を阻害する治療用組成物であって、
(a)請求項12に記載の発現ベクター、および
(b)治療用として許容可能な担体または賦形剤
を含み、
前記核酸分子の発現によって、前記ペプチドの生成および増殖阻害作用がもたらされることを特徴とする治療用組成物。 - 細胞増殖を阻害する方法であって、望ましくない増殖を受ける細胞を、有効量の請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せと接触させることを含むことを特徴とする方法。
- 阻害される細胞が腫瘍または癌細胞であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
- 腫瘍または癌細胞が癌腫細胞、骨癌細胞、肉腫細胞、骨肉腫細胞、グリオーム細胞、メラノーマ細胞、粘液腫細胞、腺腫細胞、神経芽腫細胞、または横紋筋腫由来細胞であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
- 阻害される細胞が肺細胞、胸細胞、結腸細胞、前立腺細胞、腎臓細胞、卵巣細胞、精巣細胞、皮膚細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、副腎細胞、下垂体細胞、脳細胞、筋細胞または骨細胞であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
- 前記接触が被験者のin vivoであることを特徴とする請求項33に記載の方法。
- 前記接触がin vitroであることを特徴とする請求項33に記載の方法。
- シスプラチン、シクロホスファミド、VP−16、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、およびチミジンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される治療上有効量の1個または複数個の薬剤または薬を、被験者に投与することをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
- 細胞増殖性疾患に苦しむ被験者を治療する方法であって、不適切なPDGF受容体活性によって特徴付けられる前記被験者の細胞を、有効量の請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せ、あるいは、前記ペプチドまたはポリペプチドをコードし、前記細胞中で発現可能な核酸分子と接触させることを含むことを特徴とする方法。
- 前記ペプチドまたはポリペプチドが生体医用インプラントと結合されるか、あるいは化学的に連鎖されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
- 前記生体医用インプラントが、少なくとも1つの天然ポリマーまたは合成ポリマーを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
- シスプラチン、シクロホスファミド、VP−16、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、チミジンキナーゼ阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される薬剤を含む治療上有効量の組成物を、患者に投与することをさらに含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
- 細胞が不適切なPDGF受容体活性によって特徴付けられる固形腫瘍を有する被験者を治療する方法であって、前記被験者の腫瘍細胞および/または腫瘍細胞周辺の細胞を、有効量の請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せ、あるいは、前記ペプチドまたはポリペプチドをコードし、前記腫瘍または周辺細胞中で発現可能な核酸分子と接触させることを含むことを特徴とする方法。
- 前記ペプチドまたはポリペプチドが生体医用インプラントと結合されるか、あるいは化学的に連鎖されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
- 前記生体医用インプラントが、少なくとも1種の天然ポリマーまたは合成ポリマーを含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
- シスプラチン、シクロホスファミド、VP−16、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、チミジンキナーゼ阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される薬剤を含む治療上有効量の組成物を、被験者に投与することをさらに含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
- 前記接触ステップの前に、
(i)前記固形腫瘍を外科手術により除去または切除するステップ、および
(ii)外科手術部位の近くに生体医用装具を埋め込むステップ
をさらに含み、
前記装具は外科手術部位と結合していて、前記部位周辺の細胞との相互作用に利用可能であり、約50個以下のアミノ酸残基の合成もしくは組み換えペプチドまたはポリペプチドは、PDGF−Rがオートクライン形式で活性化される細胞と接触すると、前記細胞の増殖を阻害し、かつ、前記ペプチドまたはポリペプチドは、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、FFHPV(配列番号5)、およびこれらの組合せ、または前記ペプチドもしくはポリペプチドをコードする核酸分子との組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。 - 前記装具と結合する前記ペプチドまたはポリペプチドが、約20個以下のアミノ酸を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
- 前記装具と結合する前記ペプチドまたはポリペプチドが、約10個以下のアミノ酸を有することを特徴とする請求項49に記載の方法。
- 前記装具と結合する前記ペプチドが、KKKK(配列番号1)、DDEEK(配列番号2)、KLMSY(配列番号3)、FFFKK(配列番号4)、およびFFHPV(配列番号5)からなる群から選択されるペンタペプチドであることを特徴とする請求項50に記載の方法。
- シスプラチン、シクロホスファミド、VP−16、エノキサプリン、アンギオペプチン、エンドスタチン、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、アンギオスタチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、チミジンキナーゼ阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される薬剤を含む治療上有効量の組成物を、被験者に投与することをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
- in vivoにおいて間葉性由来細胞の増殖を阻害する方法であって、増殖阻害有効量の請求項1に記載のペプチド、ポリペプチドまたは組合せ、あるいは前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子を、前記細胞が存在する被験者に投与することを含むことを特徴とする方法。
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