JP2005512088A - 冶金製品の非破壊制御のための超音波センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 超音波センサが各々選択された時間に励起されることが可能なトランスデューサ・エレメントを備える、金属管の非破壊制御のための装置を提供する。
【解決手段】 検出される信号を処理するための下流の回路(2,4,5)は、超音波励起における管の全応答(7)を解析する。トランスデューサ・エレメント(Ci)が単一の放射を生成するためにのみ励起され、かつ下流の回路は各々トランスデューサ・エレメント(Ci)を介して検出される信号のサンプル(Sij)を回復して(4)これを個々にオフセットされた連続する時間(tj)に関連づけ、前記連続する時間間のシフトを変更することにより単一放射における管の幾つかの全応答を計算する。

Description

本発明は、特に冶金における非破壊制御に関し、より特定的には、管の非破壊制御に関する。
管の製造は、可能な限り完全自動で行われる。製造が完了すると、管は、管上の一または複数の欠陥を選択的に検出する目的で下記の試験を用いる非破壊制御を受ける。即ち、内側及び/または外側に実質的に縦及び/または横への方向性を有する表面の欠陥と、厚さ及び/または厚さ内の欠陥と、内径及び外径とが同じく制御される。
管の全容量を制御するため、管には超音波センサに対する螺旋状の相対移動が課せられ、超音波が「繰返し」周波数と呼ばれるファイアリング周波数によりバーストで高速放射される。
センサと管との間接的結合は、概して水である液体中で達成される。実際には、上述の様々な欠陥を検出するために、様々な入射角により管内に「音響効果を組み入れる」縦方向の超音波を有するセンサが供給される。入射角は、管の大きさ、その超音波透過特性、探求される欠陥のタイプ他、を含む多数のパラメータの関数として調整される。
バーストの繰返し周波数は、結合液内及び管の金属内の超音波の往復行程時間によって制限される。従って行程時間が長ければ、繰返し周波数、延ては非破壊制御の生産性を低減させることが必要になる。
幾つかの周知の実施形態によれば、センサは位置を固定され、管には螺旋状の動作が与えられる。
他の周知の実施形態によれば、超音波検出器またはセンサは、毎秒約1メートルの直線速度で移動する管を中心に毎分数千回転の速度で回転駆動される。
さらに他の実施形態では、管を取り巻く複数の超音波トランスデューサ・エレメントによって構成されるセンサが使用される。幾つものトランスデューサ・エレメント群による連続励起は、管上の入射角が関連づけられる可能性のある超音波ビームの「形成」の続行を可能にする。前記励起はまた、励起されるエレメント群の切換により管を中心にしてビームを回転させ、かつその結果として、センサの上述の機械的回転を電子走査に置換することを可能にする(FR−A−2 796 153)。
特殊なケースの制御として溶接なしの管の制御があり、これは、円筒管のバーを「穿孔」することによって達成される。この製造プロセスは、管の軸に対して幾分かの傾斜度を呈する「オブリーク」と呼ばれる欠陥、または螺旋形の欠陥を生じさせる。傾斜度は、螺旋の方向に依存して正または負である可能性がある。
欠陥の傾斜度は、使用される製造レンジに依存し、かつ場合によっては欠陥の形成段階に依存する。従って、同じ制御装置で、その欠陥が−20゜乃至+20゜またはこれを超えて変化する可能性のある欠陥を制御しなければならない場合がある。
ビームの入射が厳密な縦方向の欠陥を検出すべく最適化されていれば、最小の傾斜度であっても、欠陥により反射されるエコーの大きな減衰を引き起こす。
米国特許第3,924,453号は、超音波ビームを管の軸を通過する平面において機械的に発散させる(所謂「円環的な発散」プロセス)従来型のセンサを記述している。但し、検出可能な傾斜度の範囲は限定される。
さらに、その偏向が所与の欠陥傾斜度の検出に適している超音波ビームの形成を許容する多エレメント・センサの使用は、理論上、その問題点が解決されることを可能にする。従って、所与の傾斜度にとって最適な入射角が各バーストに対応するような方法で各バーストを調整することが得策である。
各バーストは、往路の水中伝搬時間、管内の(1回またはそれ以上の往復行路)伝搬時間及び再度復路の水中伝搬時間を含む。バーストを所望の入射数の関数として乗算することは可能であろうが、事実上こうした技術は、特にバーストの乗算により法外なものになる累積的伝搬時間に起因して、産業的にはほとんど適用不可である。これらの累積的伝搬時間は、経時的に短縮し得ない物理的特性である。
本発明は、制御装置の生産性を高め、他方で同時に、特には管の軸に対して傾斜している欠陥である欠陥の高レベルな検出可能性を持続することにより、この状況を改善する。
この目的に沿って、本発明は、
選択的にアクセス可能な超音波トランスデューサ・エレメント(Ci)セットを備える超音波センサ・デバイスと、
前記トランスデューサ・エレメントを選択された瞬間に選択的に励起する能力のある上流の回路と、
前記トランスデューサ・エレメントにより復路で検出される信号を収集する能力のある下流の回路と、
検出される信号を超音波励起に対する冶金製品の全応答として解析する能力のある(前記下流の回路に組み込まれることが可能な)処理コンポーネントと、
を備える、特に間接的結合による冶金製品の非破壊制御のための装置を提案する。
本装置のある特徴によれば、
前記上流の回路は、トランスデューサ・エレメントの励起の同じ時間則に関連づけられるバーストによって動作するように配置され、
前記下流の回路はメモリを備え、かつ各バーストに対応して各トランスデューサ・エレメントによって検出される信号(Sij)のサンプルを選択された時間的深度に格納するように配置され、
前記処理コンポーネントは、
各バーストが、その各々が偏向αT(マルチ処理)に対応する複数の再構成された応答(ST,αT)を各バーストについて計算することを可能にする各反復固有の選択された時間処理法則により、異なるトランスデューサ・エレメント(Ci)かつまたエレメント毎にずらされた瞬間(tj)に対応するサンプル(Sij)群を繰返し読み取って合計するために、かつ、
これらの再構成された応答によって構成される全応答を全体として解析するために、前記メモリとの共動に適している。
従って、各々が事後に選択される「シュミレートされた」入射に対応する複数の超音波応答は、単一のバーストから導出されることが可能である。
従って、本発明によって与えられる前記優位点の1つによれば、冶金製品解析の速度はこれで必要な処理時間にのみ限定される。
ある効果的な実施形態では、下流の回路は検出される信号のためのデジタル化ユニットを備え、メモリは、各トランスデューサ・エレメントによって検出される信号の振幅を、一方では連続する瞬間の関数として、他方ではアクティブなトランスデューサ・エレメントの関数として格納する目的でデジタル化ユニットと共動するように配置される。
ある実施形態では、下流の回路は、選択されたビーム偏向による放射に対応する全応答を取得するために、検出された信号に個々に付加される遅延の分散を定義する能力のある計算手段を備える。
効果的には、計算手段はまた、付加される遅延の分散の定義における、各エレメントによって放射されるビームの収束等のトランスデューサ・エレメントの放射特性を考慮するように配置される。
本発明は、組み合わされることが可能な、特に下記のような異なる変形が可能である。
各放射バーストで、時間的励起法則はトランスデューサ・エレメント間の位相シフトを含まない場合もあり、またこのような位相シフトを含む場合もあり、また双方が供給される可能性もある。言い替えれば、各バーストのマルチ処理が持続される限り、1つのバーストを位相シフトなしで、かつ1つまたは幾つかのバーストを位相シフトを含んで供給することも可能である。
位相シフトを含む(一または幾つかの)バーストは、超音波の減衰が考慮されなければならないビームの大きな偏向の事後(マルチ処理後)の定義を容易にするために使用されることが可能である。
管またはセンサもしくは双方を変位させることにより、管と超音波センサ・デバイスとの間の螺旋状の相対動作が準備される。
センサは、管の変位軸と実質的に平行に配置されるトランスデューサ・エレメントの一次元的な、つまり直線的なバーであることが可能であり、もしくは、少なくとも部分的に弧状(例えば、先を切り取られた円筒または円筒の先を切り取られた部分)でありかつ管を包囲するバーであることが可能である。
処理コンポーネントは、戻り信号をバーの別個のエレメント群によって処理するように配置されることが可能である。各ケースにおいてこれは、センサのトランスデューサ・エレメントのサブセットの補助により「仮想センサ」を構成する。従って、センサの全てのエレメントは同時にファイアリングされ、同時に各バーストにおいて、様々な仮想センサによって受信された信号が或る(または個々の)所望の位相シフト法則に従って事後に解析される。
超音波センサ・デバイスは、トランスデューサ・エレメントの二次元ネットワーク(必ずしも平坦ではない)を備えることが可能である。その内部では、列と行は区別化されることが可能である。列及び/または行は、上述の一次元センサとして使用されることが可能である。上述のようなセンサの二次元ネットワークは、「モザイク」ネットワークと呼ばれる。
モザイク・センサは、ビームの「電子回転」を許容することから、物理的な螺旋状の相対変位の要件なしに傾斜する欠陥の検出に使用されることが可能である。「電子」回転は、製品の周囲を走査する能力のある(少なくとも部分的には、回転の余弧は必要であれば物理的変位によって実行される)様々な仮想センサの処理を意味する。従って下流の回路は、同じ行のエレメント間及び同じ列のエレメント間の双方の遅延分散を計算するように配置される。
本発明の他の特徴及び優位点は、以下の詳細な説明及び添付の図面の精査により明らかとなるであろう。
以下の図面及び説明は、基本的に確定的性質のエレメントを含む。従ってこれらは、本発明をより理解可能なものにするために使用され得るだけでなく、適切な場合にはその定義に寄与し得るものでもある。
まず図1を参照すると、生産ラインを出つつある管Tは管の縦軸に対する傾斜度βで斜め方向の欠陥Dを有する。特に、円筒間の金属バー上でホット・ドリリングが実行される、溶接のない管製造プロセスでは、管Tは、管Tの軸に対して幾分かの傾斜度βを有する螺旋形状のこのような欠陥を有することがある。
図2Aを参照すると、管Tの非破壊制御用デバイスは、1つまたは複数の超音波トランスデューサ・エレメントによって構成されかつ例えば約4KHzの繰返し周波数と呼ばれるファイアリング・レートで超音波放射により管Tに「音響効果を組み込む」センサ・デバイスCを備えている。原則的には、超音波センサと金属管Tとの結合は間接的である。センサCと管との間には、特には水である液体の柱が生成され、よってセンサによって放射される超音波はまず最初に水中を、次いで管内を伝搬される。
センサCによって放射される超音波ビームの入射角は、2つの入射角によって空間内で画定されることが可能である。図2Aを参照すると、入射線R1は、管の法線Nと共に、管の軸を含む管Tの縦断平面に角度αT(軸方向または縦方向の偏向)を形成する。ビームの入射角が画定されることを可能にする第2の角度は、図2Bの角度αLである。センサCによって放射される放射線R1は、管Tの法線Nに対して角度αLを形成する。角度αL(横方向の偏向)は、管Tの軸に垂直である横断平面において画定される。
欠陥Dは、原則的には管Tの外面または内面上、もしくはこれらの面の付近に位置づけられる。欠陥は縦方向成分及び横方向成分をも含み、これらの比率は欠陥の角度βの関数である。この傾斜度βは、管の軸と平行である円筒管Tの母線に対して画定され、正である場合も負である場合もある。
管自体は、実質的に管表面全体を制御するために、概してセンサCに対して相対的な螺旋動作を有する。管の軸に沿って、相対螺旋動作の成分は、実質的に一定でありかつ毎秒約1メートルである可能性のある速度で直進する。相対螺旋動作の回転成分は、管の軸を中心とするセンサの回転によって、またはセンサは所定位置に固定された状態で管のその軸を中心とする回転によって、もしくはその他、これら2種の回転の組合せによって生成されることが可能である。双方のケースにおいて、センサは、縦方向の欠陥を検出するために約17゜の横方向偏向αLによって、または横方向の欠陥を検出するために約17゜の軸方向偏向αTによって管へ発射するように配向される。これらの偏向αL及びαTは、水以外の伝搬媒体及び鋼以外の材料製の管では異なる値を有する。配向は固定される場合(調整不可)もあれば、ある程度機械的に調整可能である場合もあるが、調整は多大な時間を要しかつ精巧である。
最近の、より開発が進んだ技術では、その法線が管に垂直である複数のトランスデューサ・エレメントCiが使用される(図3)。トランスデューサ・エレメントには個々に放射遅延τiが付加され、個々の放射波Ri間の行程差へと移行する放射される個々の基本波Oi間に位相シフトが生成される。従って、全ての放射波から結果的に生じるビームは偏向αにより最大エネルギーを有し、偏向αは、エレメントCiが放射する瞬間を制御することによって電子的に制御される。かくして、付加される遅延τiの総計はセンサCiのネットワーク上の位相則または時間則と呼ばれる遅延分散を画定し、かつ結果的に、様々な放射波Riからもたらされる放射ビームの偏向αを画定する。
トランスデューサ・エレメントは、バー上に配置される。各エレメントCi間のピッチpeは周知であることから、様々なエレメント上の放射に付加される遅延の分散を、下記の式(1):
sinα=V.dt/pe
から所与の偏向αを求めるように構築すること(位相則)が可能である。ここで、dtは連続する2つのエレメント間に付加される遅延であり、vは水中の超音波の縦方向速度に一致する(V=1490m.s-1)。こうして形成されかつαで偏向されたビームは入射角αによって管上に到達する。言い替えれば、製品上の入射角は、実際にはビームの偏向角である。
信号を最適な方法で、つまりは放射の入射方向で聞くために、欠陥によって反射されかつ復路で様々なエレメントCiによって受信される信号に同じ位相則が適用される。
また、連続するエレメントCi群を励起して、例えばエレメントCiが円弧またはこれに類似する形状であれば管の周囲で電子走査を実行することも可能である。
特に、長い欠陥を制御するために最適化された超音波ビームの入射角は斜め方向の欠陥に対しては、かつ僅かに斜め方向の欠陥に対してさえも大幅に減衰された応答を生じさせることから、斜め方向の欠陥を縦方向の欠陥と同時に検出することは概して困難である。例えば、欠陥傾斜度が5゜であれば、減衰は概して係数2を超える。この時点で、縦方向の欠陥と斜め方向の欠陥とを(可能であれば、少なくとも+35゜乃至−35゜の傾斜度で、感度の壊滅的損失なしに)同時に検出する試みが行われつつある。
従って、斜め方向の欠陥の検出は、欠陥の傾斜度に伴って変化する角度αL及びαTの適合を必要とする。図4を参照すると、縦方向の欠陥(β=0)を検出するための最適値は、角度αLが17゜であり、角度αTはゼロであることが分かる。欠陥傾斜度が90゜の場合(横方向の欠陥)には、無論これらのαL及びαT値は逆転される。例えば、45゜の傾斜度に対して角度αL及びαTは、各々横平面及び縦平面(図2A及び図2B)で約12゜の偏向に対応する。
実際、30゜未満の傾斜度の場合、角度αLの変動は比較的小さく、無視され得る(αL低下開始時で傾斜度βの関数として最大3゜の角度変動)。これに対して角度αTの導入は、絶対値30゜未満の傾斜度を有する斜め方向の欠陥の検出を許容する。
従って、斜め方向の欠陥の検出が試行される場合、傾斜度ゼロ(縦方向の欠陥)を含む様々な可能傾斜度を検出するために、αLの値は17゜に固定され、αTは管Tの縦断平面上で、例えば−10゜乃至+10゜の許容範囲内で変更される。
斜め方向の欠陥を検出するために、米国特許第3,924,453号は、管の縦平面においてレンズによりビームを発散させることと、他方でそのビームを垂直平面(図2Bの平面)に集束させることより成る光学プロセス(円環的な発散プロセスと呼ばれる)を提案している。従って、到来される検出フィールドは、目標とされる傾斜度の周囲約10゜(−10゜<αT<+10゜)という比較的限定されたものになる。さらにこのプロセスは、感度が傾斜度によって可変であるという不利益を有する。従って、許容可能な不完全性を検出し、かつ許容不可能な欠陥を看過させる可能性がある。
本発明による別のプロセスは、複数のトランスデューサ・エレメントを備えるバーの形式のセンサによって角度αTで偏向されるビームを形成することより成り、一方で角度αLはセルの形状によって固定される(好適には約17゜)。
図7を参照すると、センサCは超音波のビームF1を放射し、その最縁はセンサCの法線と共に発散角(または開散角)と呼ばれる角度δを形成する。発散角δは、次式(2):
sinδ=1.22λ/L
によって与えられる。但し、λは水中でのビームの波長であり、Lはセンサ(図7)のトランスデューサ・エレメントの幅である。何れの場合も、発散角は常時、β=30゜の傾斜度を検出するための最大角度αT(11゜)より大きい。この発散は、所望のαTを達成するために効果的に使用される。
例えば、線形バーの幅1.4mmのエレメントCiにより水中へ5MHzで放射される超音波の場合、δは約15゜である。
式(1)及び図3によるエレメントCiの放射にふさわしい位相則を使用すれば、αT値が式(2)で与えられる発散角δより小さい限り、角度αTで偏向されたビームを形成することが可能である。よって、位相則を修正することによりαTを、センサをその方向へ配向する必要なしに「電子的に」調整することが可能である。次には、同じ位相則が復路で受信される信号に適用され、復路で受信される信号はこうして位相シフトを受けて合計され、最大化された全体応答が取得される。
出願人によって構想されたこのプロセスは、適正かつ周知の感度による所与の傾斜度に着眼し、管の欠陥の様々な可能傾斜度に対して均一な応答を有することを可能にする。付属文書A1の表は、斜め方向の欠陥の検出を目的としたビームの偏向αTに関する先行試験の結果を示す(マルチバースト法)。
より正確に言えば、前記結果は、様々な欠陥傾斜度及びビームの様々な偏向値αTに関して復路で取得されたエコーの振幅に関連し、かつ信号の増幅利得値に関連している。太字で表示された値は、所与の傾斜度の検出に使用される偏向値に対応する。増幅利得に関連して得られた結果が満足のいくものである(25゜のノッチで23.5dB)ことは認識されるであろう。
また、使用される偏向の関数としての検出感度の変動を補償し、よってそれらの傾斜度に関わらず、均一な欠陥検出感度を供給することも可能である。
これに対して、目標とされる各傾斜度に関しては、センサのトランスデューサ・エレメントのグループ化されたファイアリングを実行することが必要である。従って、幾つかの欠陥傾斜度が探求される場合、放射及び受信固有の遅延則は目標とされる各傾斜度に対して供給されなければならないことから、同数の超音波バーストが供給されなければならない。
図5を参照すると、超音波バーストR1は、水を介する行程Te及びこれに続く管を介する行程Tm(有効行程)で構成され、これらの行程は、通過される材料の厚さに比例する持続時間を有する。音響上の理由で、センサCと管Tとの間のインタフェースをカバーする水柱CEは、水中の行程時間が管金属中の行程時間より長くなる類のものである。
特に、超音波バーストの合計時間Ttは、関係式:
t=Te+Tm,但し、Te>Tm
によって与えられる。
斜め方向の欠陥のマルチバースト検出への応用として、nが目標とされる合計傾斜度数であれば、合計時間Ttは、
t=n.(Te+Tm
になる。
従来の産業的ファイアリング・レート(縦方向の欠陥の単純制御を実行するためのほぼ4KHz)の場合、比較的厚い管(厚さ約36mm)であれば、超音波ビームの伝搬時間を考慮すると、マルチバースト技術により縦方向の欠陥に加えてほぼ1つか2つの傾斜度しか検出することができない。
本発明による斜め方向の欠陥の検出は、さらに別の原理を基礎としている。
本発明によれば、管の軸と平行に配置された直線バーのトランスデューサ・エレメントCiは、放射時に、全てのエレメントが同時に(実質上位相シフトなしに)起動されるように制御される。言い替えれば、「放射時の物理的偏向」はゼロである。これに対して、ビームの「仮想」偏向は、各エレメントCiで、受信される信号が合計される瞬間をずらすことにより戻り信号上に構築される。
図6を参照すると、説明する本例では、センサのトランスデューサ・エレメントCiがバー3に沿って配置されている。バーは、制御装置内の所定位置に固定され、その基本方向は制御される管Tの軸に平行である。バーは、管Tの横断平面(図2Bの平面)において管の法線に対して約17゜の角度αLだけ傾斜され、管Tにはその軸に沿って螺旋動作が与えられる。17゜の角度αLは、小さい傾斜度(約30゜未満のβ)を有する欠陥を検出するための最適角度αLに一致する。
エレメントCiは制御回路1によって励起され、各々約5MHzの超音波周波数を有する超音波パルス波Riを放射する。好適には、エレメントCiはそれらが同時に放射するように、つまり、実質上位相シフトなしに制御される。欠陥によって反射され、復路で各エレメントCiによって検出される超音波は、電気信号Si(t)に変換される。これらのアナログ信号Si(t)は個々に、例えば超音波周波数の10倍、つまり50MHzで動作するA/D変換器2によって変換される。
A/D変換器2は、(例えば振幅に関して)信号サンプルSijを構成しかつ個々に瞬間tjに関連づけられるデジタル・データを数十マイクロ秒の時間深度まで記憶するためのメモリ4へ接続される。表記法Sijにおいて、指数iはバー3におけるエレメントCiの識別子に相当し、指数jは瞬間tjの識別子に相当する。
装置内の計算モジュールは、メモリ4から一方でエレメントCiの指数iの関数として、かつ他方で連続する瞬間tjの関数としてずらされた複数の信号サンプル(Sij)を選択し、ずらされた信号サンプルを合計する。加算は、例えば瞬間的な振幅において、または他の適切な方法で実行されることが可能である。
図6の参照番号5が表すフレームは、計算が実行される方法を例示的に説明し、かつまたメモリ4の構造を説明している。本部材5は、処理回路または処理コンポーネントと(または処理モジュールと)見なすことができる(モジュールという語がなければ、任意の個別化が含意される)。
メモリ4は好適には、列指数i(エレメントCiに相当)及び行指数j(連続する瞬間tjに相当)に関連づけられるアドレスに配列される。
処理モジュール5は、偏向αTにより、式(1)に従って、連続する列i間に付加される遅延dt:
dt=pe.sinαT/V
を計算する。
遅延値dtは、およそ数十ナノ秒である。
次に処理モジュールは、時間的にずらされるエレメントCiの列セットからSij値をほぼナノ秒の精度で選択する。次にこれは、下記のように、各瞬間tjにおけるこれらのサンプルを合計して偏向αTの再構成された応答信号を画定する。
tj(αT)=S1,j+S2,j+2dt+S3,j+4dt+,...,+Sn,j+2(n-1)dt
このような加算は、トランスデューサ・エレメントにおいて、同じ瞬間に放射されかつ2つのエレメント間で往路のdt及び復路のdtが相違する行程時間による行程を経験した信号を同位相に戻すことを可能にする。
式(1)によるdt値の計算の後、実行された前記加算を使用して、偏向αTの方向のビーム・エネルギーが最大化される。
付属文書A2の表は、本発明の方法による斜め方向の欠陥を検出するためのビームの偏向αTの試験結果を示す。これは、往路及び復路での(2dt)の位相シフトに対応するダブル偏向値(2αT)が決定されることを有効化する。異なる傾斜度の場合、使用される値(2αT)は、表内の太字で表される振幅値に一致する。本表はまた、様々なαT値の利得値を提示している。これらの値は、αTが大きな値である場合にも受容可能である。
前記記述においては、定数dtを有する直線遅延則NF(図8)に対応する連続する瞬間tj間の一定の時間差dtが考慮されている。しかしながら、この法則は管上の超音波ビームに適用される可能性のある集束を考慮していない。遅延則においてこの集束を考慮するために、位相シフトdtは最低値まで下がり、次いで初期値まで増大する。図8を参照すると、選択された強度Sijは、時間tjに渡り、列Ci及び行tjの行列5において曲線FOCを形成する。
本処理手段は、様々な偏向角度αTの再構成された応答が計算されることを有効化する。
装置のモジュール6は、再構成された応答St(αT)の信号を回復し、ディスプレイ・デバイス7(ディスプレイ・スクリーンまたはこれに類似するもの)によって直接使用されることが可能な信号を成形する。デバイス7は次に、超音波エコーのパルスを含む「A−SCAN」と呼ばれる信号を表示し、このパルスは時間の関数としてかつ1つまたは複数の選択された偏向αTについて再構成される。
本発明がもたらす優位点の1つによれば、先に使用した表記法を有するn個の傾斜度を目標とするための合計所要時間Ttは、
t=Te+Tm+n.Tcalc
によって与えられる。TcalcはTmの関数として表示されることが可能な計算時間であり、よって、
t=Te+n.G.Tm
である。但しGは、A/D変換器、メモリ4、記憶された強度セットからの強度の選択、他を含むチェーンの処理速度を表す係数である。従って、Gが低値であるほど、処理速度は速くなる。
従って、本発明がもたらす優位点の1つによれば、(n−1)個の傾斜度に関する水中の行程時間は抑制される。
現在の電子計算手段では、Gは常に1未満であり、超高速電子システムでは0.5未満である可能性がある。従って本発明の場合、限定要素は上述の処理作業に必要な計算時間となることから、制約事項はもはや音響的なものではなく、電子的なものとなる。従って制約はもはや物理的なものではなく、電子回路の高速性の向上に伴って進化する。
図9は、所与の管の厚さに関して斜め方向の欠陥を検出するための合計時間Ttを、制御される傾斜度の数nの関数で表している。グラフは、先行技術による技法を使用してバーストの非増加(長短破線による曲線に相当する、放射時の各偏向αTに対するエレメントCi間の位相シフト)により作成されている。また、本発明による技術も標準的な電子システムに関連して1の係数G(実線による曲線)で、かつ超高速電子システムに関連して0.5の係数G(点線による曲線)で使用されている。
従って、係数Gが小値であるほど幾つかの傾斜度を目標とするために必要な時間は短くなり、これにより、特に機械加工された後の管制御チェーンにおいて管制御速度の増加が有効化されることは認識されるであろう。
センサ・デバイスは、装置の制御ピッチに適合化された長さ、つまり本例では約100mmの長さを有する。検出される欠陥は、明らかにより小さいと思われる長さ、例えば20mmを有する。長さ100mm、即ちバー(3)に一致する長さの欠陥は、バーの各エレメント上に信号を生成し、よって加算により再構成された強力な信号を生成する。これに対して20mmの欠陥は、バーのエレメントの20%に信号を生成し、よって100mmの欠陥の場合の5分の1の強度の再構成された信号を生成する。
従って、不適合でない不完全な長さ100mmが検出され、20mmの欠陥は僅かに検出されるかまったく検出されないという可能性がある。
この不利益を補償するため、バーの全エレメントによる同一のファイアリングに関して、バーの少数エレメント上でのみ処理を実行するというソリューションが使用される。例えば本処理は、64個のエレメントより成るバーの8エレメントの配列上で実行されることが可能であり、かつ本処理はバーの他の8エレメントによる配列上で再開されることが可能である。8個のエレメント群は、「仮想センサ」と呼ばれる。
各配列は、8個のエレメント上の信号Sijを合計した後、偏向αTの再構成された基本応答の信号を正確にもたらす。様々な配列の再構成された信号間に、最大ピーク振幅を有する再構成された基本信号を再構成された全体応答として保持することが可能である「仮想センサ」エレメントの各配列は、インブリケーションピッチと呼ばれるピッチpiによる平行移動により先行配列から導出される。
Tをバー内のエレメントの合計数、NVを仮想センサ内のトランスデューサ・エレメントの数であるものとする。インブリケーションピッチが、常時厳密にNVより小さいままで1乃至NVであるとき、仮想センサには重なり合う、またはインブリケーションの配列が存在する。インブリケーションピッチpiがNVに等しいとき、センサの配列は並行して置かれる。インブリケーションピッチがNVより多くNTより少なければ、様々な配列はセンサのエレメントを完全にはカバーしない。
仮想センサのNV個のエレメント上の信号処理は、最大回数実行される。可能配列の数は、式(3):
N=切り捨て{(NT−NV)/pi}+1
によって与えられる。
例えば、
− NT=64,NV=8及びpi=1であれば、N=57である。この場合、連続する2つの配列が7つのエレメントを共通に保有する。
− NT=64,NV=8及びpi=8であれば、N=57である。この場合、連続する2つの配列は共通のエレメントを保有しない。
− NT=64,NV=8及びpi=4であれば、N=57である。この場合、連続する2つの配列は、前記連続する配列の50%のカバーに相当する4つのエレメントを共有する。
探られる偏向αTに関して最大ピーク振幅を有するものをN個の配列の再構成された全体応答として保持した後は、同様にして偏向αTの他の値について計算を実行することが可能である。
変形例として、まず様々な角度αT及び仮想センサ配列に関する再構成された基本応答の様々な信号を決定し、次いで他の配列について同じ計算を実行することも可能である。
何れにしても、その偏向の最大ピーク振幅を供給する基本応答を保持しながら、所与の偏向の再構成された全体応答が決定される。
バーの両端に位置づけられる仮想センサの配列が処理されるとき、応答信号は仮想センサの各側のエレメントの欠如によって乱される。これは、様々な仮想センサ配列からバーの各端における(NV/2)個のエレメントを除去することが好適である理由である。
従って、配列の最大数は、
N’=切り捨て{(NT−2NV)/pi}+1
まで減少される。
付属文書A2の表に示すように、再構成された全体信号は、制御オペレーションが様々なαT値に関して一様に精密であるように、αTの各値について異なる方法で増幅される。
変形例として、増幅利得は均一であることが可能であり、一方で欠陥をトリガーするしきい値は各αT値に適合化される。
出願人は、直径96mm、厚さ12mmの鋼管上で斜め方向の欠陥を制御するための「静止」試験を実行した。斜め方向の欠陥をシミュレートするために、管の厚さの約5%のノッチが形成された。ノッチの傾斜度は0゜乃至25゜であり、その縦方向の長さは約12mmである。
使用されるセンサは、Imasonic社によりImasonic(登録商標)の名称で市販されている。エレメント間のピッチpeは、1.5mm(一方のエレメントの幅Lは1.4mm)である。本デバイスは合計32個のエレメントを備え、水中での機械的集束は50mmである。使用されるセルの一例では、偏向αLは17゜で機械的に固定されることが可能である。使用された電子システムは、32個のエレメントを並行して管理する能力のあるフォーカス32/128型のRDTech製電子システムである。
トランスデューサ・エレメントの形状寸法に留意すると、その発散量δは約15゜であり、−25゜乃至+25゜の傾斜度の斜め方向の欠陥を検出するために使用される偏向値に完全に適合している。
静的試験は、戻り信号を解析するために、8個のエレメントの仮想センサを使用して実行された。欠陥は、仮想センサに直角に配置されている。このような仮想センサは、調査されている欠陥の長さ(12mm)に極めて適する約9mmのリスニング長さを有する。
図10を参照すると、ノッチのその傾斜度(0゜、5゜または10゜)の関数としての応答の減衰は、幅約10mmの単一エレメントを有する従来型のセンサで得られるものより少ない。典型的には、従来型のセンサの場合、減衰は5゜のノッチで少なくとも5dBであるが、本発明に使用されるセンサでの減衰は同じノッチの傾斜度で1dB未満である。
しかしながら、+20゜より大きい、または−20゜より小さい傾斜度βに関しては(図11)、出願人は、同じタイプのバーと、個々のケースで「適合化された放射−受信行程」をもたらす好適な被探求傾斜度によるバーストとを有するマルチバースト装置が使用される場合に比べて、再構成された応答の信号(本発明による装置)では感度が僅かに劣ることに気づいた。
実際に、本発明による装置では、マルチバースト装置において実行される可能性のあるような、好適な角度αによって先験的(放射時)に偏向されたビームが欠陥上へ届くことはなく、本発明は単に、受信される信号がトランスデューサ・エレメント上に到着するとその位相回復によって処理を続行する。受信されるこれらの信号は反射された(厳密には「後方散乱された」)成分を含み、所与の偏向αTに関して再構成されるのは、基本応答かつさらに全体応答を有効化するこの位相回復である。
しかしながら、受信時のこの位相回復は、放射時に相応して位相状態にされていなかった信号に関連する。これは、「適合化された放射−受信行程」に正確には曝されていない受信信号に関連することになる。原則として、出願人によって実行された試験は、正常な作動条件下でその行程差の結果として生じる(1つのセンサ・エレメントから他のセンサ・エレメントへの)相対的減衰はあまりに小さく、少なくとも特定範囲の傾斜度においては常時とるに足らないものであったことを示している。
但し、本発明による装置において使用される利得は不適合なものではなく、かつさらに、幾つかの傾斜度に関する制御生産性の利得は、より少ない感度の不利益を十分に相殺する。
図10A及び10Bは各々、マルチバースト装置上と、本発明による所謂「捕捉後」の処理装置上での傾斜度20゜を有する同じ欠陥のA−SCAN記録を示す。図10A及び10Bは、2つのタイプの装置が、20゜の斜め方向の欠陥が同様に検出されることを有効化することを示している。両図において、信号EIは水−鋼インタフェース・エコーを示し、信号EDは欠陥エコーを示す。振幅30%を有する直線セグメントは、欠陥基準(時間ゲート及び強度)に対応している。
また出願人は、動的試験を実行して、特に仮想センサの有効検出領域を決定している。動的試験は上述のものと同じ管について実行されたが、検出穴を決定するために、ノッチは傾斜度β=0゜を有する20mm長さであった。従って、欠陥の傾斜度は測定値に全く影響しない。試験は、静的試験の場合と同じ機器及び角度αLを調整するタイプの機械装置セルを使用して実行された。角度αLは、外側の縦方向の欠陥(β=0゜)から発生する信号に基づいて最適化されている。また出願人は、4〜12MHzの周波数帯を有するSofranel 5052GPDゲートを使用した。
図14及び15は、8個のエレメントで構成される仮想センサの2連の配列に関する20mmノッチの応答を、ノッチの相対位置及び48mmの合計長さを有する32個のエレメントより成るバーの相対位置の関数として示したものである。
インブリケーションピッチpi=8の場合、直に連続する配列同士は、直径15mmを有する検出器を有する従来型の構成におけるように、互いにカバーせず、かつ互いに重複し合わない。
図14は、−2dBにおける31mm、つまりバーの65%に当たる有効センサ領域を示す。検出穴は1.5dBを下回り、長さ25mmのノッチの検出を損なわない程度に短い長さを有する。
インブリケーションピッチpi=4の場合、直に連続する配列同士は50%の程度まで互いにカバーしかつ互いに重複し合う。検出穴はもはや発見されず、配列の数及び計算回数も2倍になる。
実行された静的試験及び動的試験は、本発明による捕捉後処理を有する装置が−20゜から20゜までの傾斜度の欠陥の検出を有効化することを示している。
20゜を上回る傾斜度値を達成するためには、センサ・デバイスの全てのエレメントの単一ファイアリング上で位相シフトを実行することによる捕捉後処理を有する装置及び方法論を使用して、例えば5゜である非ゼロの「放射時物理的偏向」を有するビームを形成することが可能である。
復路で検出される信号の処理は、上述の処理に類似するものであり、Sijサンプルの記憶と、遅延則によってずらされたSij値の選択と、これらのずらされた値を加算して偏向αT下での再構成された応答を各々計算することを含む。次に、偏向によって戻される信号は大きい偏向αTでは減衰が少なくなり、バーのエレメントCiの発散角δのキャパシティを最良の方法で利用することが可能である。
しかしながらこの方法は、偏向αLの最適化が直線の欠陥(β=0゜)にはもはや実行されず、20゜の傾斜度を有する欠陥において果たされることから、幾つかの不利益を有する。さらに本方法は主要な正及び負の傾斜度の検出を有効化せず、かつ仮想センサ配列の変位は、放射時の位相シフトを有するバーストの使用によりさらに複雑にされる可能性がある。
図12は、管上の縦方向の欠陥を制御することが意図された本発明による装置の別の実施形態を示す。本図によれば、センサ・デバイスは円弧の形状である直線バー13によって構成され、センサの様々なエレメントは円弧に沿って配置される。制御される管Tはその軸に沿って移動され、バーの平面は管の軸に垂直である。ファイアリングは、センサのNT個全てのエレメント上で、エレメント間の位相シフトを伴って、またはなしで実行される。先に述べたものと同じ捕捉後処理が実行され、所与の偏向αLに関して再構成された応答が決定され、かつバー内の様々な仮想センサに関しては、先に指摘したように例えば管を中心とするビームの電子回転が達成される。
図13は、本発明によるさらに別の実施形態を表す。本図では、センサ・デバイスは円筒表面上に配置され、モザイクによって、または図に示すように例えば13−1,...,13−i,...,13−nである互いに平行な行にして配置されたエレメントのネットワークによって構成される。本例では、各行はセンサの円筒表面の母線である。制御される管は、その軸に沿って、センサの円筒表面と同軸的に変位される。
図12及び13では、制御回路(または放射用の上流回路)を10で示し、受信アッセンブリ(または下流回路)を13で示す。
上流回路10は、全てのトランスデューサ・エレメントの同じファイアリングを、隣接するエレメント間の位相シフトを伴って、またはなしで生成するように配置される。例えば図13の場合、連続する行間では位相シフトを実行して管の断面平面に最適な方法で傾斜されたビーム(約17゜の偏向αL)を形成し、同じ行内のエレメント間では位相シフトなしに異なる仮想センサを使用して管を中心にビームの電子回転を達成することが可能である。
記憶されている戻り信号に対しては、本発明により捕捉後処理が実行され、最適化された角度αL(約17゜)及び−5゜乃至+5゜の角度αTの応答信号が再構成される。モザイク・センサを有する類の装置は、螺旋状の進行を使用して斜め方向の欠陥を検出する先に述べた装置とは異なり、装置内の管の直線進行により幾つかの欠陥傾斜度の高速制御(−20゜乃至20゜)を有効化する。
また、その装置内に、戻りビームを管の断面に従って、または管の縦方向の平面に従って可変的方法で、しかも選択された方法で変更し、角度αT及びαLを最適化する(例えばαT=17゜とαT=0゜、αT=13゜とαT=11゜)法則を選択することも可能である。
その装置内に、二次元仮想センサを使用することが可能である。その場合、センサは、軸方向成分と円周方向成分とを有するインブリケーションピッチpiによって変位される。
説明した装置は、共通して、戻り信号の単一の捕捉後処理を達成することにより制御速度を増加させるケイパビリティを有する。説明した例、かつ同様に説明した例の特徴の組合せを、特に、共同で、または別個に実行することが望まれる制御タイプの関数として単純化することは可能である。
付属文書
Figure 2005512088
Figure 2005512088
傾斜度のある欠陥Dを有する管Tを示す図である。 選択された入射角を有する超音波制御デバイスを示し、前記面がその軸を通る管Tの縦断面である。 選択された入射角を有する超音波制御デバイスを示す管Tの横断面図である。 センサCiと、超音波の放射線R1の事後偏差αを生成するために付加される遅延τiとを示す図である。 管内に存在する欠陥の傾斜度βに対して付加される超音波ビームの入射角を示すグラフ図である。 センサCと管Tとの間のインタフェースを具現する水CEの柱を有する超音波バーストを示し、超音波バーストは、まず最初に水を通過し、次に管Tの金属を通過することを示す図である。 本発明による欠陥検出のための装置を示す図である。 所与の幅Lの超音波センサCによって放射されるビームF1の発散δを示す図である。 超音波ビームに付加される集束を考慮しない場合(垂直のハッチング)と、この集束を考慮する場合(水平のハッチング)との受信される信号における選択された強度を示す図である。 超音波の全伝搬時間及び計算時間(縦座標、単位:マイクロ秒)を検出され得る欠陥傾斜度数(横座標)の関数として表すグラフであり、先行技術によるもの(長短破線)、本発明によるもの(連続線)及び本発明に従って最適化されたプロセスによるもの(破線)を示すグラフ図である。 図6によるセンサ及び従来技術で使用される標準型のセンサ(点線による曲線)を使用して検出された欠陥の幾つかの傾斜度βの(非偏向初期ビームから)受信された信号の振幅を示す図である。 本発明の技術及び先行技術による非増加バースト技術により斜め方向の欠陥上で取得されるA−SCAN信号曲線を示す。 本発明の技術及び先行技術による非増加バースト技術により斜め方向の欠陥上で取得されるA−SCAN信号曲線を示す。 非増加バースト技術(実線による曲線)及び本発明による単バースト技術(点線による曲線)を使用し、目的とされる大きな傾斜度に関する(音響減衰に起因する)感度の損失を示す図である。 弧状センサを使用する実施の形態における超音波制御デバイスを示す図である。 「モザイク」センサを使用する実施形態における超音波制御デバイスを示す図である。 8個のエレメントで組成される並列された仮想センサの場合のノッチの応答をノッチとバーの相対位置の関数として示す図である。 8個のエレメントで組成される50%がかわら合せにされた仮想センサの場合のノッチの応答をノッチとバーの相対位置の関数として示す図である。

Claims (23)

  1. 特に間接的結合による冶金製品の非破壊制御のための装置であって、
    選択的にアクセス可能な超音波トランスデューサ・エレメント(Ci)セットを備える超音波センサ・デバイス(3)と、
    前記トランスデューサ・エレメントを選択された瞬間に選択的に励起する上流の回路(1)と、
    前記トランスデューサ・エレメントにより復路で検出される信号を収集する下流の回路(2,4)と、
    検出される信号を超音波励起に対する冶金製品の全応答(7)として解析する処理コンポーネント(5)とを備え、
    前記上流の回路(1)は、前記トランスデューサ・エレメントの励起の同じ時間則に関連づけられるバーストによって動作するように配置され、
    前記下流の回路(2,4)はメモリ(4)を備え、かつ各バーストに対応して各トランスデューサ・エレメントによって検出される信号(Sij)のサンプルを選択された時間的深度に格納するように配置され、
    前記処理コンポーネントは、
    各バーストが、その各々が放射時の偏向αTに対応する複数の再構成された応答(ST,αT)を各バーストについて計算することを可能にする各反復固有の選択された時間処理法則により、異なるトランスデューサ・エレメント(Ci)かつまたエレメント毎にずらされた瞬間(tj)に対応するサンプル(Sij)群を繰返し読み取って合計する(5)ために、かつ、
    これらの再構成された応答によって構成される全応答を全体として解析するために、前記メモリとの共動に適していることを特徴とする装置。
  2. 前記超音波トランスデューサ・エレメント(Ci)は、再構成された様々な応答に関して、少なくとも最大偏向角度に等しい発散角(δ)を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記下流の回路は、センサ・デバイス(3)のエレメント(Ci)の各々によって検出される信号のためのデジタル化ユニット(2)を備えることを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 前記メモリ(4)は、各トランスデューサ・エレメントによって検出される信号(Sij)のサンプルを、一方では連続する瞬間の関数として、他方ではアクティブなトランスデューサ・エレメントの関数として格納する目的で前記デジタル化ユニット(2)と共動するように配置されることを特徴とする請求項3記載の装置。
  5. 前記処理コンポーネントは、各分散について、選択されたビーム偏向(αT)によるバーストに対応する再構成された応答を取得するために、検出された信号に個々に付加される遅延の分散を定義する計算手段(5)を備えることを特徴とする請求項4記載の装置。
  6. 前記処理コンポーネントは、各トランスデューサ・エレメントに関して、前記処理コンポーネントが前記サンプルに関連づけられる時間の関数として前記メモリへのアクセスを取得できるようにする選択手段を備えることを特徴とする請求項4または5記載の装置。
  7. 前記上流の回路(1)には、前記トランスデューサ・エレメント(Ci)の励起に対応する、実質的にそれらの間の位相シフトを伴わない時間的励起法則が装備されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記上流の回路(1)には、前記トランスデューサ・エレメント(Ci)の励起に対応する、放射時に偏向されるビームを画定するそれらの間の位相シフトを伴う時間的励起法則が装備され、前記時間的励起法則に鑑みて、前記処理コンポーネント(5)は励起時のトランスデューサ・エレメント間の位相シフトを考慮して検出される信号に付加される遅延の分散を画定するように配置され、よって前記再構成された応答は各々、放射時のビームの物理的偏向角度の周囲に集中される偏向αTに一致することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
  9. 合計される各サンプル(Sij)群は、仮想センサと呼ばれる選択されたトランスデューサ・エレメントのサブセットに対応することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 前記処理コンポーネント(5)は、前記センサ・デバイスの異なるサブセットについて、同じ偏向αT下の同じバーストに対する製品の再構成された幾つかの基本応答を計算するように配置されることを特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 前記処理コンポーネント(5)は、再構成された応答を、前記同じ偏向αT及び前記センサ・デバイスの異なるサブセットに関する前記再構成された基本応答の関数の形式で計算するように配置されることを特徴とする請求項10記載の装置。
  12. 偏向αT下のバーストに対する前記製品の応答は、最大ピーク振幅を有する基本応答であることを特徴とする請求項11記載の装置。
  13. 前記処理コンポーネント(5)は、前記センサ・デバイスの異なるサブセットによる異なる偏向αTの再構成された応答を計算するように配置されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記センサ・デバイスの様々なサブセットは、偏向αT下のバーストに対する前記製品の再構成された応答を計算するために、実質的に同数(NV)のトランスデューサ・エレメントを備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 前記センサ・デバイスのサブセットは、各端で保護帯域を除去しながらセンサ・デバイスから選択され、そのトランスデューサ・エレメントの数は1つのサブセットのトランスデューサ・エレメントの数のほぼ半分(NV/2)であることを特徴とする請求項14記載の装置。
  16. 連続する2つのサブセットは、インブリケーションピッチと呼ばれるピッチpiによって平行移動されることにより互いから導出されることを特徴とする請求項14または請求項15記載の装置。
  17. 連続する2つのサブセットは共通のエレメントを備えることを特徴とする請求項16記載の装置。
  18. 偏向αT下の再構成された応答を計算するための前記センサ・デバイスの前記選択されるサブセット数は、実質的に、前記選択されたインブリケーションピッチpi及び(NT−NV)個のエレメントから選択されるエレメントの数NVに関して可能サブセットの最大数に一致することを特徴とする請求項9〜17のいずれか1項に記載の装置。
  19. 前記装置は管の軸を中心とする螺旋動作によって前記管を起動するための手段を備え、前記超音波センサ・デバイスは、前記管(T)の軸に実質上平行に置かれかつ放射時の超音波ビームが管(T)の断面平面に特に斜め方向の欠陥の検出を有効化する選択された偏向(αL)を有するように配置されるトランスデューサ・エレメントの直線バー(3)の形式で構築されることを特徴とする、鋼管タイプ(T)の冶金製品を制御すべく意図されたことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
  20. 前記装置は管の軸に沿った直線動作によって前記管(T)を起動するための手段を備えることと、前記超音波センサ・デバイスは、前記管(T)の軸に実質上平行に置かれかつ放射時の超音波ビームが管(T)の断面平面に選択された偏向(αL)を有するように配置されるトランスデューサ・エレメントの直線バー(3)の形式で構築され、前記バーは前記管を中心にして回転するように設定され、これにより特に斜め方向の欠陥の検出が有効化されることを特徴とする、鋼管タイプの冶金製品を制御すべく意図された請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
  21. 前記装置は管の軸に沿った直線動作によって前記管(T)を起動するための手段を備えることと、前記超音波センサ・デバイスは、管(T)の周りに配置された実質上円弧の形状であるトランスデューサ・エレメントのバー(3)の形式で構築され、これにより特に縦方向の欠陥の検出が有効化されることを特徴とする、鋼管タイプの冶金製品を制御すべく意図された請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
  22. 前記装置は管の軸に沿った直線動作によって前記管(T)を起動するための手段を備えることと、前記超音波センサ・デバイスは、実質上円筒表面に従って管(T)と同軸に幾つかのエレメント行に配置されるトランスデューサ・エレメント(13)のネットワークを備え、前記行は互いに、かつ前記管(T)の軸に対して平行であることと、前記下流の回路及びその処理コンポーネントは、復路でサブセットのエレメントまたはネットワーク全体のエレメントによって検出される信号上への遅延の分散を決定する能力があり、これにより特に斜め方向の欠陥の検出が有効化されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
  23. 前記処理コンポーネントは前記下流の回路に組み込まれることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置。


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