JPWO2014013940A1 - 超音波計測方法および超音波計測装置 - Google Patents

超音波計測方法および超音波計測装置 Download PDF

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Abstract

計測点設定部51は、鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な仮想反射面を想定し、アレイ制御計算部52は、計測点に対し、接触媒質を介して、所定の式を満たして集束する横波モードの超音波を、仮想反射面に対して所定の入射角で送信し、エコー高さ抽出部53は、前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出し、制御部5は、反射波に基づいて溶接部の形状を評価する。

Description

本発明は、超音波を用いて鋼材の溶接部の品質を非破壊で評価する超音波計測方法および超音波計測装置に関する。
鋼材の溶接部における溶接金属(溶接部)の境界の断面形状(以下、溶接境界断面形状)は、鋼材の強度などに影響があることが知られている。例えば、特許文献1には、鋼管の溶接部における溶接境界断面形状が溶接部の靭性に影響を及ぼすことが記載されている。そこで、鋼材の品質管理や品質保証の観点から、溶接境界断面形状を画像化して非破壊で評価する技術が提案されている。例えば、特許文献2には、母材部と溶接部との境界からの反射波を受信して画像化する技術が記載されている。具体的には、この技術は、プローブを動かしながら、あるいはアレイ探触子の振動子(素子)を切り替えながら、母材部と溶接部との境界へ向けて斜めに送信した超音波の反射波を受信し、受信した反射波から反射点を特定して画像化する。また、特許文献3には、超音波の受信素子を送信素子と別にして超音波を検出するタンデム計測技術が記載されている。
ところで、一般に、溶接部では結晶組織の向きが揃うため、溶接部は音響異方性を有する。特許文献1によれば、オーステナイト系ステンレスなどの溶接部の音響異方性が大きい鋼材について、母材部の音響インピーダンス(=媒質密度×音速)Zと溶接部の音響インピーダンスZとの差が比較的大きな値となる。例えば、母材部の音速Vが3200m/s、溶接部の音速Vが2500m/sである場合、媒質密度はほぼ一定の値をとるため、母材部の音響インピーダンスZと溶接部の音響インピーダンスZとの比は1対0.78となる。
ここで、異なる媒質間の境界面での単位面積当たりの反射率は、両者の音響インピーダンスに依存することが知られている。非特許文献1によれば、超音波が音響インピーダンスZの媒質から音響インピーダンスZの媒質へ垂直に入射したときの境界面での単位面積当たりの反射率(音圧)rabは、次式(1)のように表せる。
Figure 2014013940
したがって、上記例の溶接部の音響異方性が大きい鋼材について、超音波が音響インピーダンスZの母材部から音響インピーダンスZの溶接部へ垂直に入射したときの境界面での単位面積当たりの反射率r12は、上記式(1)によれば−0.12となる。ここで、負の反射率は超音波の位相が反転することを表すため、単位面積当たりの反射率は12%となる。
特開2009−233679号公報 特開2009−069077号公報 特開2007−163470号公報
(社)日本非破壊検査協会、超音波探傷試験III(2001)
一般に、炭素鋼の溶接部の音響異方性は、オーステナイト系ステンレスの溶接部の音響異方性より小さい。図25は、従来のサブマージアーク溶接による炭素鋼の溶接部において測定された横波音速と、測定された横波音速に基づいて算出された反射率と示す図である。図25に示すように、炭素鋼の溶接部では、溶接線方向に平行な変位方向Aと垂直な変位方向Bとで横波音速の違いがほとんどない。
この炭素鋼について、母材部から溶接部へ垂直に入射した超音波の境界面での単位面積当たりの反射率を上記式(1)より算出した。単位面積当たりの反射率を算出する際、母材部と溶接部との媒質密度は同一と仮定した。母材部の横波音速は、溶接部の溶接線方向に平行な変位方向Aの横波音速と垂直な変位方向Bの横波音速との平均値とし、溶接部の横波音速は、溶接部の溶接線方向に垂直な変位方向Bの横波音速とした。
算出された単位面積当たりの反射率は、図25に示すように、0.0%〜0.2%となり、前述したオーステナイト系ステンレスの母材部と溶接部との境界面での単位面積当たりの反射率(12%)の60分の1という小さな値となる。これより、溶接部の音響異方性が小さい炭素鋼では、母材部から溶接部へ垂直に入射した超音波の境界で反射波を検出することは困難であることがわかる。
次に、母材部から溶接部へ入射角αで入射した超音波の反射波について考察する。非特許文献1によれば、単位面積当たりの反射率が100%の幅2aの帯状反射体に、入射角αで超音波が入射する場合、反射角βの方向への総合反射率(=全反射音圧/全入射音圧)r’(α,β)は、波数kを用いて次式(2)のように表せる。
Figure 2014013940
なお、波数kは、波長λを用いて次式(3)のように表せる。また、波長λ、周波数fおよび音速Vとの間には、次式(4)の関係が成立する。
Figure 2014013940
Figure 2014013940
ここで、母材部と溶接部との境界での反射について考察する。反射体としての母材部と溶接部との境界面は、鋼材の板厚方向の全体に広がっているものとする。また、上記式(2)におけるa(=反射体の幅/2)を10mmとする。また、一般に、鋼材の横波斜角探傷には、f=5MHz、V=3200m/s、すなわちλ=0.64mmの超音波を適用する。このとき、入射角45°で入射した超音波が反射角−45°で反射する(入射した方向に反射する)場合の総合反射率r’(45°,−45°)は、0.0003となる。なお、この値は、単位面積当たりの反射率が100%の反射体について算出される値である。すなわち、とくに炭素鋼のように溶接部の音響異方性が小さい場合には、上記総合反射率はきわめて小さな値となるため、特許文献2に記載されているように、入射した方向に反射する反射波を受信して母材部と溶接部との境界を特定することは困難であることがわかる。
そこで、溶接部の音響異方性が小さい炭素鋼の母材部から溶接部へ入射角αで入射した超音波の反射波をタンデム計測により検出することについて考察する。特許文献3に記載されたタンデム計測によれば、入射角αと反射角βとが等しくなるように、送信素子と受信素子とを適切に選択すればよい。その場合、総合反射率r’(α,α)は、k、aによらず1となり、強い反射波が得られる。
タンデム計測では、仮想反射面を想定し、その仮想反射面に対して入射角αと反射角βとが同じ値αになるように、超音波の送信素子と受信素子とを選定する。その際に仮想反射面の向きと実反射面の向きとがずれると、仮想反射面に対する入射角αおよび反射角αが、実反射面に対する入射角および反射角とずれる。このずれ角度をθとすると、実反射面での総合反射率r’(α+θ,α−θ)は、上記式(2)より求めることができる。
図26は、上記式(2)において、a=10mm、f=5MHz、V=3200m/s、α=45°とした際の反射率を示す図である。図26に示すように、実反射面での総合反射率r’(45°+θ,45°−θ)が50%以上となるのは、ずれ角度θが−0.8°〜0.8°の範囲である。したがって、タンデム計測においても、実反射面と仮想反射面とのずれ角度θが1°以上になると、反射波の検出が困難となる。
以上のように、従来技術によれば、溶接部の音響異方性が小さい炭素鋼については、母材部と溶接部との境界で反射する超音波の反射波は、タンデム計測によっても検出が困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鋼材の母材部と溶接部との境界で反射する超音波を容易に検出可能な超音波計測方法および超音波計測装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる超音波計測方法は、鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な仮想反射面を想定する計測点設定ステップと、前記計測点に対し、接触媒質を介して、次式(5)を満たして集束する横波モードの超音波を、前記仮想反射面に対して所定の入射角で送信する集束ビーム設定ステップと、前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出ステップと、前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価ステップと、を含むことを特徴とする。
Figure 2014013940
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記計測点設定ステップで設定された前記計測点ごとに角度の異なる複数の仮想反射面を想定することを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記仮想反射面が実反射面と一致した場合の送受信効率を1として、複数の前記仮想反射面のうちの少なくとも1つにおける送受信効率が0.5以上となるように、法線方向領域が連続する複数の前記仮想反射面を想定することを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記ずれ角度上限値θHlimが2°であることを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記鋼材の母材部は、音速が最大となるモードでの音速Vmaxおよび音速が最小となるモードでの音速Vminについて、次式(6)を満たすことを特徴とする。
Figure 2014013940
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記入射角は、前記計測点における超音波の送信方向と前記仮想反射面の法線方向とがなす角とし、0°以上10°以下または35°以上55°以下であることを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測方法は、上記の発明において、前記超音波の送受信にアレイ探触子を用い、該アレイ探触子の電子的なビーム制御を切り替えることにより、前記計測点を変更しながら超音波の送受信を行なうことを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測装置は、鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な仮想反射面を想定する計測点設定手段と、前記計測点に対し、接触媒質を介して、次式(7)を満たして集束する横波モードの超音波を、前記仮想反射面に対して所定の入射角で送信する集束ビーム設定手段と、前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出手段と、前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
Figure 2014013940
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる超音波計測方法は、鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な角度の異なる複数の反射面を想定する計測点設定ステップと、前記計測点に対し、接触媒質を介して、横波モードの超音波を前記各反射面に対して所定の入射角で送信する超音波ビーム設定ステップと、前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出ステップと、前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる超音波計測装置は、鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な角度の異なる複数の反射面を想定する計測点設定手段と、前記計測点に対し、接触媒質を介して、横波モードの超音波を前記各反射面に対して所定の入射角で送信する超音波ビーム設定手段と、前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出手段と、前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、鋼材の母材部と溶接部との境界で反射する超音波を容易に検出できる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる超音波計測装置の構成を模式的に示したブロック図である。 図2は、超音波計測装置による超音波計測処理手順を示すフローチャートである。 図3は、超音波アレイプローブがターゲットとする複数の計測点を示す模式図である。 図4は、超音波アレイプローブがターゲットとする複数の計測点を示す模式図である。 図5は、超音波アレイプローブがターゲットとする鋼材の計測点を示す模式図である。 図6は、検出ゲートの設定方法を説明するための図である。 図7は、計測結果の表示部への出力を説明するための図である。 図8は、円盤形の欠陥での反射波を説明するための模式図である。 図9は、円盤形の欠陥での反射波と同等の総合反射率を検出する場合の単位面積当たりの反射率を説明するための模式図である。 図10は、円盤形の欠陥と、この欠陥による反射波と同等の総合反射率の反射波の単位面積当たりを反射率との関係を示す図である。 図11は、超音波ビームによる見かけの実反射面を説明するための概念図である。 図12は、周波数およびビーム直径と、総合反射率のずれ角度半値半幅との関係を示す図である。 図13は、集束ビームの設定について説明するための概念図である。 図14は、ずれ角度半値半幅とF/Dとの関係を示す図である。 図15は、母材部と溶接部との境界での反射、母材部内面での反射における横波から縦波へのモード変換による損失を説明するための図である。 図16は、本実施例1の設定条件を示す図である。 図17は、本実施例1により取得された計測信号の波形を示す図である。 図18は、従来技術により取得された計測信号の波形を示す図である。 図19は、超音波アレイプローブがターゲットとする鋼材の計測点を示す模式図である。 図20は、計測結果の表示部への出力を説明するための図である。 図21は、3つの仮想反射面での総合反射率とずれ角度との関係を示す図である。 図22は、本実施例2の設定条件を示す図である。 図23は、従来技術により取得された計測信号の波形を示す図である。 図24は、本実施例2により取得された計測信号の波形を示す図である。 図25は、従来のサブマージアーク溶接による炭素鋼の溶接部において測定された横波音速と、測定された音速に基づいて算出された反射率と示す図である。 図26は、仮想反射面と実反射面とのずれ角度と反射率との関係を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、この実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
[第1の実施形態]
[鋼材の母材部の音響異方性]
まず、本実施の形態での被検体としての炭素鋼について説明する。従来、炭素鋼の溶接部の音響異方性は小さく、母材部と溶接部との境界での反射波を検出することは困難であった。しかしながら、炭素鋼であっても母材部に音響異方性がある場合には、母材部と溶接部との境界での反射波を検出可能である。そこで、本実施の形態では、母材部に音響異方性がある炭素鋼を被検体として、母材部と溶接部との境界面での超音波の反射波を計測する。なお、本実施の形態に必要な母材部の音響異方性の程度については後述する。
[装置の構成]
次に、本発明の一実施形態である超音波計測装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態の超音波計測装置の構成を模式的に示したブロック図である。図1に示すように、この超音波計測装置10は、被検体に対して超音波を送信し、この送信した超音波に起因する超音波信号(計測信号)を受信する計測信号取得部1と、各種情報を入力する入力部2と、被検体の計測データ等を記憶する記憶部3と、被検体の計測結果等を表示する表示部4と、超音波計測装置10の各構成部を制御する制御部5とを有する。
計測信号取得部1は、送信部11から送信された電気信号の超音波信号を、超音波アレイプローブ12から、外部に超音波として送信し、この超音波アレイプローブ12で受信した超音波を電気信号の超音波信号である計測信号として受信部13に出力するタンデム計測を行なう。超音波アレイプローブ12は、圧電振動子等を用いて実現され、送信部11からのパルス信号の印加によって超音波を外部に送信し、外部からの超音波を受波して電気信号に変換する。送信部11は、超音波アレイプローブ12の共振周波数またはその近傍の周波数のパルス信号を超音波アレイプローブ12に印加することによって超音波アレイプローブ12から超音波を外部に出力する。
入力部2は、電源スイッチおよび入力キー等の入力デバイスを用いて実現される。また、入力部2は、操作者による入力操作に対応して、制御部5に対して各種指示情報を入力する。例えば、入力部2は、被検体の計測開始または計測終了等の指示情報、被検体の計測データの表示または記憶を指示する指示情報等を制御部5に入力する。
記憶部3は、ハードディスク等の記憶メディアを用いて実現され、制御部5によって指示された被検体の計測データ等の各種情報を記憶する。
表示部4は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを用いて実現され、制御部5によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部4は、超音波計測による被検体の計測データを表示する。
制御部5は、計測点設定部51と、アレイ制御計算部52と、エコー高さ抽出部53とを有するとともに、上述した超音波計測装置10の各構成部を制御する。具体的には、制御部5は、処理プログラム等を記憶したメモリおよび処理プログラムを実行するCPU等を用いて実現される。制御部5は、入力部2により入力された指示情報に基づいて、上述した計測信号取得部1、記憶部3、および表示部4の各動作タイミング等を制御する。
[超音波計測処理]
ここで、図2に示したフローチャートを参照して、超音波計測装置10による超音波計測処理手順について説明する。図2のフローチャートは、例えば、操作者により被検体に対する超音波計測指示入力があったタイミングで開始となり、超音波計測処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、計測点設定部51が、計測点のスキャン手順を決定する。これにより、ステップS1の処理は完了し、超音波計測処理は、ステップS2の処理に進む。
ここで、図3および図4を参照して、計測点設定部51による計測点のスキャン手順について説明する。図3および図4は、管状の被検体において、超音波アレイプローブ12がターゲットとする複数の計測点を示す模式図である。図中の○印のそれぞれが計測点aを示す。図5は、本実施の形態の鋼材において、超音波アレイプローブ12がターゲットとする計測点を示す模式図である。
超音波アレイプローブ12は、図3に示すように、管状の被検体6の板厚(肉厚)方向yに分布した複数の計測点aをターゲットとして超音波(横波モード)を送信し、板厚方向yにスキャンしながら反射波を計測する。その後、円周方向xへの機械的走査と組み合わせることにより、計測結果を示す板厚方向yおよび円周方向xの2次元画像を得ることができる。なお、超音波アレイプローブ12の円周方向xへの機械的走査の際、超音波アレイプローブ12が被検体6に対して一定の姿勢を保つようにする。
あるいは、超音波アレイプローブ12は、図4に示すように、管状の被検体6の板厚(肉厚)方向yおよび円周方向xの2次元に分布した複数の計測点aをターゲットとして、板厚方向yおよび円周方向xにスキャンしながら反射波を計測する。この場合には、超音波アレイプローブ12は機械的走査をすることなく、計測結果を示す2次元画像を得ることができる。
なお、図5は、本実施の形態において超音波アレイプローブ12がターゲットとする鋼材の計測点を示す模式図である。図5に示すように、本実施の形態では、被検体6の母材部6Aの内部の溶接部6B付近の計測点aをターゲットとする。
ステップS2の処理では、アレイ制御計算部52が、超音波アレイプローブ12による超音波ビームの設定を行なう。アレイ制御計算部52は、まず超音波アレイプローブ12の送信素子群および受信素子群を選択する。すなわち、アレイ制御計算部52は、仮想反射面(入射角と反射角とが同じ値αになるように想定した仮想反射面)に対する入射方向および反射方向を算出し、その入射方向および反射方向を満たすように、送信素子群の中心と受信素子群の中心とを選択する。その際、アレイ制御計算部52は、送信素子群が、後述する集束ビームの設定で算出された送信部幅Dを満たすように選択する。
次に、アレイ制御計算部52は、選択した各素子による伝搬経路を算出し、算出した伝搬経路に基づいて各素子の伝搬時間を算出する。そして、アレイ制御計算部52は、各計測点に超音波ビームが集束するように、算出した伝搬時間に基づいて各素子の送信時(または受信時)の遅延時間を設定する。これにより、ステップS2の処理は完了し、超音波計測処理は、ステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、エコー高さ抽出部53が、検出ゲートの設定を行なって、受信した反射波の強度を検出する。すなわち、エコー高さ抽出部53は、アレイ制御計算部52により算出された伝搬時間に基づいて検出ゲートを設定し、その間に受信した反射波のエコー高さを抽出する。
図6は、検出ゲートの設定方法を説明するための図である。図6に示すように、送信素子から送信され計測点で反射した反射波が受信素子に届く時間、すなわち、送信側伝搬時間(送信素子から計測点までの伝搬時間)t+受信側伝搬時間(計測点から受信素子までの伝搬時間)tの前後の所定の時間帯にのみ、検出ゲートΔtを開けて反射波(エコー)Eを受信し、この反射波Eのエコー高さeを抽出する。これにより、妨害エコーNの影響を排除して計測点での反射波Eのみを検出できる。これにより、ステップS3の処理は完了し、超音波計測処理は、ステップS4の処理に進む。
なお、仮想反射面がない場合には検出ゲートの設定は不要である。また、計測点により、送信側(送信素子から計測点までの)伝搬時間および受信側(計測点から受信素子までの)伝搬時間は異なるため、計測点により適宜検出ゲートを変更する。
ステップS4の処理では、制御部5が計測結果を表示部4に出力させることにより、溶接境界断面形状を評価する。図7は、計測結果の表示部4への出力を説明するための図である。すなわち、制御部5は、図7に示すように、評価対象領域Cの各計測点aにつき、別途検出される超音波アレイプローブ12の位置と計測点設定部51により決定された計測点aの位置とで特定される画素位置に、計測結果のエコー高さに対応する輝度を設定して画像を表示させる。これにより溶接境界断面形状を示す画像が表示部4に表示される。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の超音波計測処理は終了する。
[鋼材の母材部の音響異方性の要件]
本実施の形態の被検体としての炭素鋼において、超音波の反射波をタンデム計測により計測する際に必要な母材部の音響異方性の程度について説明する。一般に、ビーム直径0.7mm程度のタンデム計測により検出可能な欠陥のサイズは、数十μm〜100μmであることが知られている(特許文献3参照)。
ここで、図8および図9を参照して、欠陥での反射波と同等の総合反射率で反射波を検出可能な実反射面について説明する。図8は、直径hの円盤形の欠陥での反射波を説明するための模式図であり、図9は直径hの円盤形の欠陥での反射波と同等の総合反射率の反射波を検出する場合における、単位面積当たりの実反射面での反射率を説明するための模式図である。図8に示すように、直径hの円盤形の欠陥に入射角αで超音波ビームが入射した際、欠陥での単位面積当たりの反射率を1(=100%)と仮定すると、超音波ビームが欠陥に入射する割合は、(h・cosα)/dであるから、総合反射率は(h・cosα)/dとなる。したがって、図9に示すように、この欠陥による反射波と同等の総合反射率(h・cosα)/dの反射波を検出する場合、超音波ビームが実反射面に入射する割合は1(=100%)であるから、単位面積当たりの実反射面での反射率は、(h・cosα)/dとなる。
上記の式で表される単位面積当たりの反射率は、α=45°、d=0.7mmとした場合、hの関数となる。図10は、直径hの円盤形の欠陥と、この欠陥による反射波と同等の総合反射率を検出する実反射面での単位面積当たりを反射率との関係を示す図であり、縦軸はh、横軸は単位面積当たりの反射率を示す。欠陥はh≧0.05mmで検出可能であることから、図10に示すように、単位面積当たりの反射率は0.25%以上であることが望ましい。また、欠陥の検出にはh≧0.1mmであればより望ましいことから、図10に示すように、単位面積当たりの反射率は1.0%以上であることがより望ましい。
次に、上記の単位面積当たりの反射率を実現するための母材部の音響異方性の程度について説明する。炭素鋼の母材部において、音速が最大となるモード(伝搬方向と変位方向とで決定される)での音速をVmax、音速が最小となるモードでの音速をVminとする。また、溶接部での音速は等方的で伝搬方向に関わらず、(Vmax+Vmin)/2とする。また、母材部と溶接部との密度は同一とする。その場合に、母材部での音速が最小となる伝搬方向で溶接部との境界に入射した際の単位面積当たりの反射率Rは、次式(8)で表すことができる(非特許文献1、式(1)参照)。
Figure 2014013940
したがって、母材部は、次式(9)が成立する音響異方性を有することが望ましい。
Figure 2014013940
また、母材部は、次式(10)が成立する音響異方性を有することがより望ましい。
Figure 2014013940
[集束ビームの設定]
本実施の形態において、ステップS2の超音波ビームの設定において、以下のように超音波ビームを集束させて集束ビームとすることにより、タンデム計測であっても、仮想反射面と実反射面とのずれ角度θの許容範囲を拡げること、すなわち反射指向性を弱めることが可能となる。
図11は、超音波ビームによる見かけの実反射面を説明するための概念図である。図11に示すように、実反射面に超音波ビームを入射すると、実反射面のうち反射に寄与する箇所(見かけの実反射面)は限定される。したがって、見かけの実反射面を幅2aの帯状反射体とみなすことができる。このとき、入射角α、反射角βとすると、a=d/2cosαであることから、総合反射率r’(α,β)は、波数kを用いて以下の式(11)で表すことができる(非特許文献1、式(2)参照)。
Figure 2014013940
仮想反射面(入射角α、反射角α)と実反射面とのずれ角度をθとすると、超音波ビームを入射した際の総合反射率r’(α+θ,α−θ)は、次式(12)で表せる。なお、式(12)を導出する際に、次式(13)で表される三角関数の加法定理を適応した。
Figure 2014013940
Figure 2014013940
図12は、周波数fおよびビーム直径dと、上記式(12)により算出された総合反射率r’(α+θ,α−θ)との関係を示す図である。図12には、V=3200m/sとして、横軸はビーム直径d、縦軸は総合反射率r’(α+θ,α−θ)が50%となる際の正のずれ角度θ(ずれ角度半値半幅)を示す。
ここで、sinc(1.9)≒1/2であることから、総合反射率r’(α+θ,α−θ)が50%となる際の正のずれ角度θについて、次式(14)が成立する。
Figure 2014013940
すなわち、θは次式(15)で表すことができる。
Figure 2014013940
さらに、波数kを反射波の音速Vと周波数fとで表すことにより、θは次式(16)で表せる。
Figure 2014013940
図13は、集束ビームの設定について説明するための概念図である。図13に示すように、集束ビームは、ビーム直径d、送信部幅D、焦点距離Fにより設定される。ここで、ビーム直径dは、送信部幅D、焦点距離(接触媒質換算)F、送信波(接触媒質)の音速V、周波数fを用いて、次式(17)のように表せる(非特許文献1参照)。
Figure 2014013940
上記式(16)に上記式(17)を代入することにより、θは次式(18)で表される。
Figure 2014013940
図14は、被検体の横波の音速V=3200m/s、接触媒質の音速V=1480m/s(接触媒質として水を使用した場合)とした場合のθとF/Dとの関係を示す図である。ここで、ずれ角度半値半幅θを少なくともθHlim以上とする場合、集束ビームに関して、次式(19)の成立が必要となる。
Figure 2014013940
望ましくは、θHlim=2°とする。その場合、集束ビームの設定要件として、次式(20)が成立する。
Figure 2014013940
より望ましくは、θHlim=5°とする。その場合、集束ビームの設定要件として、次式(21)が成立する。
Figure 2014013940
なお、図15は、母材部と溶接部との境界での反射、母材部内面での反射の際の横波から縦波へのモード変換による損失を説明するための図であり、横軸は溶接部との境界への入射角α、縦軸は2回目の反射(母材部内面での反射)の横波の総合反射率を示す(特許文献3参照)。母材部と溶接部との境界面が母材部の板厚方向にほぼ平行である場合に、母材部内面での反射、被検体と接触媒質との境界での屈折の際のモード変換による損失を抑制するためには、図15に示すように、入射角αは0°≦α≦10°以下または35°≦α≦55°とする必要がある。より望ましくは、入射角αは、40°≦α≦50°とする。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、鋼材の母材部と溶接部との境界に入射する超音波を集束させるので、実効的な実反射面の面積を狭めて反射指向性を弱め、鋼材の母材部と溶接部との境界で反射する超音波を容易に検出できる。
(実施例1)
次に、上述した第1の実施の形態に対応する実施例1について説明する。図16は本実施例の設定条件を示す図である。図16に示すように、本実施例において、簡単のため、被検体を2次元とした。また、溶接部と母材部とはインピーダンスを異なるものとして反射波を強調させた。超音波アレイプローブの周波数fは5MHzに設定した。仮想反射面は鉛直方向として、実反射面とのずれ角度θを5°とした。このとき、送信部幅Dは19.9mm(20ch)、上記式(19)〜(21)の左辺(V/V)・(F/D)は2.2として計測した。なお、従来技術による比較例として、送信部幅Dは5.9mm(6ch)、上記式(19)〜(21)の左辺(V/V)・(F/D)は∞(非集束ビーム)として計測した。
図17は、本実施例により取得された計測信号の波形を示し、図18は、従来技術により取得された計測信号の波形を示す。図17に示すように、仮想反射面が実反射面とのずれ角度が5°であるにも関わらず、反射波を高い信号レベルで検出できる。なお、図18に示すように、従来技術によれば、本実施例と比較して反射波の信号レベルが低く、誤検出を招く可能性が高い。
なお、本実施例においては溶接線方向について言及しないが、溶接線方向のビーム形状を考慮して超音波アレイプローブを選択し、被検体に応じて溶接線方向の振動子幅、集束ビームとするか否か、集束ビームの焦点距離を設定すればよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の超音波計測装置は、図1に示す第1の実施形態の超音波計測装置10と同様の構成をとる。また、本実施の形態の超音波計測処理は、上記第1の実施形態と同様の炭素鋼を被検体とする。したがって、鋼材の母材部の音響異方性の要件として、上記式(8)を満たす。また、母材部は、上記式(9)または(10)が成立する音響異方性を有することが望ましい。一方、本実施の形態の超音波計測処理は、上記第1の実施形態の超音波計測処理とは、図2に示すステップS2の処理において、被検体の母材部内部の溶接部付近の計測点をターゲットとして、超音波ビームを集束させて集束ビームとする代わりに、複数の仮想反射面Pを想定する点のみが異なる。
図19は、本実施の形態において超音波アレイプローブ12がターゲットとする鋼材の計測点を示す模式図である。図19に示すように、本実施の形態では、ステップS2の処理において、アレイ制御計算部52が、被検体6の母材部6A内部の溶接部6B付近の計測点aをターゲットとして、仮想反射面Pを複数想定し、各仮想反射面(P1,P2)に対して送信素子群の中心と受信素子群の中心とを選択し、伝搬経路を算出して超音波ビームの設定を行なう。なお、その際、アレイ制御計算部52は、ビーム直径や指向性などを考慮して各送信素子群の送信部幅Dを選択する。
この場合、ステップS3の処理において、エコー高さ抽出部53は、各仮想反射面(P1,P2)について、図6に示すように、アレイ制御計算部52により算出された各伝播時間に基づいて検出ゲートを設定し、その間に受信した反射波のエコー高さを抽出する。また、ステップS4の処理では、図20に示すように、評価対象領域Cの各計測点aにつき、別途検出される超音波アレイプローブ12の位置と計測点設定部51により決定された計測点aの位置とで特定される画素位置に、各仮想反射面(P1,P2)から得られた計測結果のエコー高さの代表値に対応する輝度を設定して画像を表示させる。
なお、各仮想反射面から得られたエコー高さの代表値は、各エコー高さの平均値や最大値などとすればよい。あるいは、代表値の選定方法は、計測点により変えてもよい。例えば、計測点が管状の被検体6の内周面寄りの場合には最も外周面向きの仮想反射面から得られたエコー高さを採用し、計測点が管状の被検体6の外周面寄りの場合には最も内周面向きの仮想反射面から得られたエコー高さを採用するようにしてもよい。
[複数の仮想反射面の設定]
本実施の形態において、上記したように、ステップS2の処理において、以下のように複数の仮想反射面の設定を行なうことにより、タンデム計測であっても、仮想反射面と実反射面とのずれ角度θの許容範囲を拡げること、すなわち反射指向性を弱めることが可能となる。
上記したように、角度の異なる複数の仮想反射面を想定して超音波ビームを入射すると、仮想反射面付近では、図11に示すように、実反射面のうち反射に寄与する箇所(見かけの実反射面)は限定される。したがって、見かけの実反射面を幅2aの帯状反射体とみなすことができる。このとき、入射角α、反射角βとすると、a=d/2cosαであることから、総合反射率r’(α,β)は、上記式(11)と同様に、波数kを用いて以下の式(22)で表すことができる(非特許文献1、式(2)参照)。
Figure 2014013940
仮想反射面(入射角α、反射角α)と実反射面とのずれ角度をθとすると、超音波ビームを入射した際の総合反射率r’(α+θ,α−θ)は、次式(23)で表せる。なお、式(23)を導出する際に、次式(24)で表される三角関数の加法定理を適応した。
Figure 2014013940
Figure 2014013940
上記式(23)より、各仮想反射面での総合反射率は、実反射面とのずれ角度θの関数として表されることがわかる。図21は、上記式(23)に基づく各仮想反射面での総合反射率と、各仮想反射面と実反射面とのずれ角度θとの関係を示す図である。ここで、仮想反射面として、5°刻みで3つの仮想反射面を想定した(ずれ角度θの仮想反射面P0、ずれ角度θ-5°の仮想反射面P1、ずれ角度θ+5°の仮想反射面P2)。また、α=45°、ビーム直径d=2mm、周波数f=10MHz、V=3200m/sとした。
図21に示すように、ずれ角度θの仮想反射面P0での総合反射率が50%となる際の正のずれ角度(ずれ角度半値半幅)は2.8°である。すなわち、ずれ角度θが2.8°以内であれば、総合反射率が50%以上となり反射波を検出可能である。一方、本実施の形態では、上記仮想反射面P0の他、ずれ角度がθ−5°の仮想反射面P1、ずれ角度がθ+5°の仮想反射面P2での総合反射率も検出するため、仮想反射面P1による(θ−5°)とのずれ角度半値半幅2.8°と、仮想反射面P2による(θ+5°)とのずれ角度半値半幅2.8°とにより、総合反射率が50%以上のずれ角度θの範囲が7.8°まで拡大する。すなわち、仮想反射面を5°刻みで3つにすることにより、反射波を検出可能なずれ角度θの許容範囲を拡大できることがわかる。
上記議論をより一般的に記述すると、上記式(23)の右辺を0.5とした次式(25)を満たす正値θ1/2(複数あれば最小値を採用する)に対し、仮想反射面ごとの角度差が2θ1/2以下になるように複数の仮想反射面を設定すればよい。
Figure 2014013940
なお、上記したように、母材部と溶接部との境界面が母材部の板厚方向にほぼ平行である場合に、母材部内面での反射、被検体と接触媒質との境界での屈折の際のモード変換による損失を抑制するためには、図15に示すように、入射角αは0°≦α≦10°または35°≦α≦55°とする必要がある。より望ましくは、入射角αは、40°≦α≦50°とする。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、鋼材の母材部と溶接部との境界に入射する超音波の仮想反射面を複数設定して反射波を計測するので、反射波の反射指向性を弱め、鋼材の母材部と溶接部との境界で反射する超音波を容易に検出できる。
なお、上記第1の実施形態と第2の実施形態とを同時に実施して、鋼材の母材部と溶接部との境界に入射する超音波を集束させ、仮想反射面を複数設定して反射波を計測してもよい。
(実施例2)
次に、上述した第2の実施形態に対応する実施例2について説明する。図22は本実施例の設定条件を示す図である。図22に示すように、本実施例において、簡単のため、被検体を2次元とした。また、溶接部と母材部とはインピーダンスを異なるものとして反射波を強調させた。超音波アレイプローブの周波数fは5MHzに設定した。実反射面は鉛直方向から5°傾いているものとし、仮想反射面として鉛直方向からの傾き0°と5°の2つの仮想反射面を設定し、非集束ビームを入射して計測した。
図23は、仮想反射面の鉛直方向からの傾き0°の場合(実反射面とのずれ角度5°)に取得された計測信号の波形を示し、図24は、仮想反射面の鉛直方向からの傾き5°の場合(実反射面とのずれ角度0°)に取得された計測信号の波形を示す。従来技術によれば、図23に示すように、仮想反射面が実反射面とのずれ角度が5°の場合には、反射波の信号レベルが低く検出が困難である。一方、本実施例によれば、複数の仮想反射面を設定することにより、いずれかの仮想反射面で実反射面に対して常に最適な測定がなされ、図23に示す計測信号と図24に示す計測信号とが検出されるため、反射波を高い信号レベルで検出できる。
なお、本実施例においては溶接線方向について言及しないが、溶接線方向のビーム形状を考慮して超音波アレイプローブを選択し、被検体に応じて溶接線方向の振動子幅、集束ビームとするか否か、集束ビームの焦点距離を設定すればよい。
以上のように、本発明にかかる超音波計測方法および超音波計測装置は、超音波を用いて鋼材の溶接部の品質を非破壊で評価するのに適している。
1 計測信号取得部
11 送信部
12 超音波アレイプローブ
13 受信部
2 入力部
3 記憶部
4 表示部
5 制御部
10 超音波計測装置

Claims (8)

  1. 鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な仮想反射面を想定する計測点設定ステップと、
    前記計測点に対し、接触媒質を介して、次式(1)を満たして集束する横波モードの超音波を、前記仮想反射面に対して所定の入射角で送信する集束ビーム設定ステップと、
    前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出ステップと、
    前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波計測方法。
    Figure 2014013940
  2. 前記計測点設定ステップで設定された前記計測点ごとに角度の異なる複数の仮想反射面を想定することを特徴とする請求項1に記載の超音波計測方法。
  3. 前記仮想反射面が実反射面と一致した場合の送受信効率を1として、複数の前記仮想反射面のうちの少なくとも1つにおける送受信効率が0.5以上となるように、法線方向領域が連続する複数の前記仮想反射面を想定することを特徴とする請求項2に記載の超音波計測方法。
  4. 前記ずれ角度上限値θHlimが2°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波計測方法。
  5. 前記鋼材の母材部は、音速が最大となるモードでの音速Vmaxおよび音速が最小となるモードでの音速Vminについて、次式(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波計測方法。
    Figure 2014013940
  6. 前記入射角は、前記計測点における超音波の送信方向と前記仮想反射面の法線方向とがなす角とし、0°以上10°以下または35°以上55°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波計測方法。
  7. 前記超音波の送受信にアレイ探触子を用い、該アレイ探触子の電子的なビーム制御を切り替えることにより、前記計測点を変更しながら超音波の送受信を行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波計測方法。
  8. 鋼材内部における溶接部付近の任意の計測点を設定し、該計測点を含み溶接線方向に平行な仮想反射面を想定する計測点設定手段と、
    前記計測点に対し、接触媒質を介して、次式(3)を満たして集束する横波モードの超音波を、前記仮想反射面に対して所定の入射角で送信する集束ビーム設定手段と、
    前記送信された超音波の母材部と溶接部との境界での反射波を検出する検出手段と、
    前記反射波に基づいて溶接部の形状を評価する評価手段と、
    を備えることを特徴とする超音波計測装置。
    Figure 2014013940
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松井穣 他: "電縫管溶接品質の超音波非破壊評価技術の開発", 非破壊検査協会 平成24年度春季講演大会講演概要集, JPN7015001946, 22 May 2012 (2012-05-22), pages 9 - 12, ISSN: 0003191349 *

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