JP2005511561A - 過活動膀胱の治療のための方法 - Google Patents

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Abstract

構造式(I)
【化1】
Figure 2005511561

(式中、A、R1、R3およびR4は明細書中に定義される)に記載のNK2R結合化合物を使用する、哺乳動物、特にヒトにおけるOABまたはUIの治療または防止が開示される。該化合物の薬学的に有利な塩、単独または他の薬理学的薬剤と組み合わせるいずれかの該化合物の使用の方法、本発明の方法を実施する際に有用な医薬組成物もまた開示される。

Description

本発明は、過活動膀胱または尿失禁の治療および/または防止のための方法ならびに該方法における使用のための化合物および組成物に関する。
過活動膀胱(「OAB」)は、切迫尿失禁、緊急性(urgency)および頻発性(frequency)を含む症候群に対する名称である。尿失禁(「UI」)は、衝動(切迫失禁)または物理的もしくは精神的緊張(緊張性失禁)の結果として尿を貯留する膀胱の不能から生じる尿の非自発的漏出である。
通常の膀胱は、腎臓の機能によって命令された生理的速度で満ちる。膀胱は、神経抑制系だけでなく膀胱の物理的特性に起因して多量の尿を留めておくことができる。その抑制機構は、排尿筋の弛緩を生じて尿の貯留を生じさせるために副交感神経活動の抑制または交感神経緊張の増大が関係していると考えられている。満たされる際、膀胱および尿道の排出口頸部(outlet neck)は収縮し、漏出を防止する。排泄すなわち排尿は、排出口頸部および尿道の弛緩とそれに引き続く排尿筋の収縮によって特徴づけられる。膀胱が空の場合、排尿筋は弛緩し、排出口頸部および尿道は収縮して膀胱を密閉しそしてコンチネンスを維持する。
いつでも全人口の4〜8%が、UIを患っていると推定されているが、大部分の国ではかかる患者の約15%しか診断されていない。それら診断された患者のうち約70%しか治療を受けていない。切迫尿失禁が年輩者においてより一般的であり、そしてその80%のケースが女性である。パッドおよび他の物理的な手段が、治療を受けていない失禁患者の大多数によって通常使用されている。失禁パッドの米国市場は、1997年で15億ドルと推定された。
ムスカリン拮抗薬、オキシブチンが、西側諸国でOAB治療に処方されており、第2世代、ムスカリン様M3受容体拮抗薬、トルテロジンもまたOABのために市場に出されている。プロピベリンおよびフラボキサートは日本において処方される。エストロゲンおよびプロゲステロン療法が研究されており、そして一部の女性には不完全ではあるが失禁を軽減すると考えられている。他の研究は、α−アドレナリンアゴニスト、β−アドレナリン受容体遮断薬、コリン受容体遮断化合物およびコリン受容体刺激薬が有益である可能性を示唆する。
しかし、既存の治療は便秘、視覚の調節異常、ドライアイ(xerothalmia)および「口内乾燥症」副作用を含む副作用とつながっていて、それは一部のユーザには耐え難く、したがって既存の治療の有効性にもかかわらず、UIおよびOABのための有効かつ満足できる治療に対する大きな必要性は未だ満たされておらず増大しつつある。
ニューロキニン2受容体(「NK2R」)に結合する特定の化合物が過活動膀胱(「OAB」)および尿または尿道失禁(「UI」)の治療および防止のために有用であることが現在発見された。特に、NK2R受容体に結合しOABおよびUIの治療および防止に有用な化合物が、構造式I:
Figure 2005511561
(式中、
AはOまたはSであり;
1はHまたはC1-4アルキルから選択され;
2部分はHまたはC1-4アルキルから独立して選択され;
3はC1-4アルキルから選択され;
4はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシまたはシアノから選択され、但しR1、R2およびR4が全てHである場合R3はメチルでない)
に記載の構造を有する特定の化合物またはその薬学的に許容される塩であることが発見された。
より詳細には、Aが全てOであり、R1およびR2が全てHであり、R3がC1-4アルキルであり、そしてR4がHまたはハロから選択され(但しR4がHである場合R3はメチルでない)た構造式Iに記載の化合物がOABおよびUIの治療および防止に有用であることが発見された。
さらにより詳しくは、AがOであり、R1、R2およびR4が全てHであり、そしてR3がC2-4アルキルである構造式Iに記載の化合物がOABおよびUIの治療および防止に有用であることが発見された。
OABおよびUIの治療および防止に有用である最も特有の化合物が、本願明細書において例証される化合物である。
本発明の化合物はNK2R結合特性を有し、そして特定のかかる化合物は膀胱組織の収縮を選択的に阻害する。驚くべきことに、特定の密接に関連した化合物はBANKによって誘導される膀胱組織の収縮を活性化することが見出された。かかる一化合物は、構造式Iへの言及により、AがSであり、R1、R2およびR4がHでありそしてR3がメチルである化合物である。
一態様において、本発明は、構造式Iに記載の化合物を用いて対象者、特にヒトにおけるOABまたはUIを治療または防止することからなる方法、より詳細には構造式Iに記載の構造を有する治療的有効量の化合物を用いて治療することからなる方法を提供する。
第2の態様において、本発明は哺乳動物特にヒトにおけるOABまたはUIの治療および防止のための本発明の化合物を提供する。
第3の態様において、本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される塩および該化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を提供する。
特定の態様において、本発明は膀胱収縮を阻害する構造式Iに記載の構造を有する治療的有効量の化合物を用いて、対象者、特にヒトにおけるOABまたはUIを治療または防止することからなる方法を提供する。
別の態様において、本発明は、哺乳動物および特にヒトにおけるOABまたはUIを治療および防止する方法を提供し、該方法は治療的有効量のNK2R結合化合物を他の治療剤と組み合わせて用いてその必要のある対象者を治療することからなる。
さらにもう一つの態様において、本発明は、哺乳動物および特にヒトにおけるOABまたはUIを治療および防止する方法を提供し、該方法はエストロゲン様薬剤および/またはプロゲステロン様物質と組み合わせて、ならびにα−アドレナリンアゴニスト、β−アドレナリン受容体遮断薬、コリン受容体遮断化合物またはコリン受容体刺激薬の補充を伴うか伴わないで、治療的有効量のNK2R拮抗薬を用いてその必要のある対象者を治療することからなる。
更なる態様において、本発明は構造式Iに記載の化合物および薬学的に許容される添加剤または希釈剤を含有する本発明の方法の実施に有用な医薬組成物を提供する。
本発明の全ての局面において、本発明の範囲内にあると意図される薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、トシラート、メシレート、ナプシレート(napsylate)、ベシレート(besylate)、リン酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩(fumerate)、酢酸塩またはマレイン酸塩のような塩である。
上記の構造式Iに記載の構造を有する化合物の使用からなる、OABまたはUIの治療方法を提供することは本発明の目的である。
OABまたはUIの防止のための本発明の化合物の使用からなる方法を提供することが本発明の別の目的である。
本発明の方法は一般に哺乳動物に適用できるが、それらは特にヒトに適用できる。
従って、OABまたはUIを患いかつその治療の必要なヒト患者を治療的有効量の本発明化合物を用いて治療することからなる方法を提供することが本発明の目的である。
本発明の他の目的は、OABまたはUIの治療または防止に有用である構造式Iに記載の化合物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、OABまたはUIの治療または防止に有用な上記化合物の、薬学的に許容される塩、組成物、混合物等を提供することにある。
本発明の特定の目的は、OABまたはUI治療に有効な量の構造式Iに記載の構造を有する化合物を患者に投与することからなる、OABまたはUIを有するヒト患者を治療する方法を提供することにある。
本発明の他の特定の目的は、構造式Iに記載の構造を有する化合物が薬学的に許容される塩の形態である方法を提供することにある。
本発明の方法において、治療は生理的に許容される任意の方法で、例えば局所適用、経
口摂取、吸入、通気または注射によって投与されることが意図される。
本発明の方法において、本発明の化合物は、カプセル、錠剤、水溶液、水性の懸濁液、非水溶性懸濁液、坐薬、エアゾールまたは粉剤のような形態であることが意図される。
過活動膀胱(「OAB」)(泌尿器の、切迫尿失禁、緊急性かつ頻発性を含む症候群に対して一般に使用されかつ本明細書中で使用される名称である)または尿失禁(「UI」)(衝動(切迫失禁)または物理的もしくは精神的緊張(緊張性失禁)の結果として、尿を貯留する膀胱の不能から生じる尿の非自発的漏出)、の治療が本発明の目的である。
したがって、OABまたはUIを患うヒト患者を治療する方法を提供することが本発明の目的である。
本明細書に意図されるように、OABまたはUIを治療する方法の特定の目的は、治療的有効量の構造式Iに記載の化合物の投与である。
本発明の別の目的は、OABまたはUIの治療または防止に有用な構造式Iに記載の化合物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、OABまたはUIの治療または防止に有用な本発明の化合物の、薬学的に許容される塩、組成物、混合物等を提供することにある。
本発明の特定の目的は、OABまたはUIの治療に有効な量の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−エチルベンズアミドを、OABまたはUIを有するヒト患者に投与することからなる、該患者の治療方法を提供することにある。
本発明の他の特定の目的は、(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−エチルベンズアミドがその薬学的に許容される塩の形態である方法を提供することにある。
本発明の方法において、治療は、任意の生理的に許容される経路により、例えば真皮、舌下、または直腸の局所適用によって;腹膜内、非経口、皮内、または皮下の注射によって;カプセル、錠剤または溶液もしくは懸濁液の経口摂取によって;あるいはエアゾールまたは粉剤の吸入または通気によって投与されることが意図される。
一般に、本発明の医薬組成物は生理的に許容される経路による投与を可能にするよう処方されることが意図される。本発明の方法において、化合物は例えばカプセル、錠剤、水溶液、水性懸濁液、非水溶性懸濁液、坐薬、エアゾールまたは粉剤のような形態で投与されることが意図される。
本発明の特定の方法において、化合物は一つまたはそれ以上の他の治療剤と組み合わせて投与されることが意図される。かかる薬剤は、エストロゲン様薬剤、プロゲステロン様物質、α−アドレナリンアゴニスト、β−アドレナリン受容体遮断薬、コリン受容体遮断薬またはコリン受容体刺激薬であることが意図される。しかし、本発明の化合物が、医学的に適合性の任意の治療剤もしくは予防剤および/または医薬あるいはそれらの組み合わせと同時に投与され得ることは当業者に明らかである。
本発明は、少なくとも一つの薬学的に許容される添加剤または希釈剤と共に本発明の化合物を含有する医薬組成物を含むことが意図される。
本発明はまた、薬剤、例えばエストロゲン様薬剤、プロゲステロン様物質、αアドレナリンアゴニスト、β−アドレナリン受容体遮断薬、コリン受容体遮断薬またはコリン受容体刺激薬を含有する医薬組成物を包含する。
本発明の範囲内に入る医薬組成物は、カプセル、錠剤、水溶液、水性懸濁液、非水溶性懸濁液、坐薬、エアゾールおよび粉剤のような形態を有する組成物を含む。
本発明の更なる態様、目的および効果は、明細書および添付の請求の範囲の内容から当業者に明らかである。
しかし、OAB、UIまたは関連した疾患の治療に使用される場合、本発明の化合物は適当な医薬組成物として投与されるものであり、当該組成物は、本発明の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩、例えば塩化物、硫酸塩、トシラート、メシレート、ナプシレート(napsylate)、ベシラート(besylate)、リン酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩等を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含有する。かかる塩は、当業者に公知の方法によって製造される。医薬組成物の形態は、選択される特定の投与経路に適応させる。かかる型は、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル、溶液もしくは懸濁液;局所投与のための溶液もしくは懸濁液;直腸投与のための坐薬;静脈もしくは筋肉内注入もしくは注射による投与のための滅菌溶液もしくは懸濁液;吸入による投与のためのエアゾールもしくはネブライザー溶液もしくは懸濁液;または吸入による投与のためのラクトースのような薬学的に許容される固体希釈剤を伴なった粉剤を含む。
経口投与のために、治療的有効量0.1mg〜250mgまで(および典型的には5〜100mg)の本発明の化合物を含有する錠剤またはカプセルが都合よく使用され得る。吸入による投与のために、本発明の化合物は、1日の投与量範囲例えば5〜100mgにおいて、一回量でまたは一日量を2〜4回に分けて、ヒトに投与される。同様に、静脈または筋肉内の注射または注入のために、10%w/wまで(および典型的には0.05〜5%w/w)の本発明の化合物を含有する滅菌溶液または懸濁液を都合よく使用することができる。
投与されるべき本発明化合物の用量はもちろん、投与経路ならびに治療下の患者の状態の重さおよび体格および年齢を考慮して、当該分野で周知の原理に従って変更される。一般に、本発明の化合物は約0.01〜約25mg/kgの範囲内の用量として、およびより詳細には約0.1〜5mg/kgの範囲内の用量として投与される。一般的に、本発明の化合物のN−オキシドまたは薬学的に許容される塩または4級アンモニウム塩の相当する量が使用され得る。
本明細書中に使用される場合、別途述べない限り:
(i)温度は、摂氏温度(「℃」)で与えられ;操作は室温または周囲温度、すなわち18〜25℃の範囲の温度で実施され;
(ii)有機溶液は無水MgSO4上で乾燥させ;溶媒の蒸発は、減圧下(600〜4000パスカル;4.5〜30mmHg)、60℃までの浴槽温度により回転蒸発器を使用して実施され;
(iii)クロマトグラフィはフラッシュクロマトグラフィを意味し;逆相クロマトグラフィは32−74μの粒子直径を有するオクタデシルシラン(「ODS」)でコートされた支持体上でのフラッシュクロマトグラフィを意味し、これは「PREP−40−ODS」(Bodman Chemicals, Aston, PA, USAからのArt 731740-100)として公知であり;薄層クロマトグラフィ(「TLC」)は、シリカゲルプレートにおいて実施され;
(iv)一般に、反応のコースの後にはTLCが続き、そして反応時間は例証のためにのみに与えられ;
(v)融点は補正されておらず、そして「dec」は分解を示し;与えられた融点は記載の通りに製造された物質に関して得られたもので;多形はいくつかの製造において異なる融点を有する物質が単離され得るものであり;
(vi)最終生成物は、納得できる陽子核磁気共鳴(「NMR」)スペクトルを有し;
(vii)収率は例証のためにのみ記載されており、そして必ずしも入念なプロセス開発により得られ得るものではなく;より多くの物質が必要な場合、製造が繰り返され;
(viii)NMRデータが与えられる場合、NMRデータは主要な特徴的陽子に関するδ値の形で、内部標準としてのテトラメチルシラン(「TMS」)と比較した百万分率(「ppm」)で与えられ、溶剤として過重水素化(perdeuterio)ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を使用して300MHzで測定され;シグナル形状の従来の省略形が使用され;結合定数(J)はHzで与えられ;Arは、かかる指示がなされる場合、芳香族の陽子を示し;
(ix)化学記号はそれらの通常の意味を有し;SI単位およびシンボルが使用され;
(x)減圧はパスカル(「Pa」)の絶対圧として与えられ;高圧はバールのゲージ圧として与えられ;
(xi)溶媒比率は体積:体積(「v/v」)関係で与えられ;
(xii)質量スペクトル(「MS」)は直接照射プローブを使用して電子衝撃(「EI」)モードにおいて70電子ボルトの電子エネルギーにより測定され;ここで示されるイオン化は化学的イオン化(「CI」)または高速原子衝撃(「FAB」)により引き起こされ;m/zの値が与えられ;一般的に親マスを示すイオンのみ報告され;そして
(xiii)LC/MSはダイオード線検出器によって検出された。この分析は、Zorbax 50mm X 2.1mm stable bond C8分析カラムによって実施された。溶媒Aは、水における0.05%のトリフルオロ酢酸であった。溶媒Bは、90%のアセトニトリル、9.95%の水および0.05%のトリフルオロ酢酸であった。流速は1.4mL/分であり、3分で5%B〜90%Bまで傾斜していた。保持時間は分で与えられる。イオン化方法はAPCI、すなわち気圧化学イオン化であった。通常、親イオンを示すイオンだけが報告される。
化合物実施例:
実施例1:(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソ−5,5−ジメチル−ペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド
メタノール(8.0ml)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソプロピル]−N−メチルベンズアミド(0.622g)を、メタノール(8.0ml)中の4−(2−オキソ−5,5−ジメチルペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジン(0.400g)および酢酸(0.11ml)の溶液に添加した。5分後、メタノール(8.0mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(0.119g)を一度に添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、30分間撹拌し、そしてジクロロメタンにより抽出した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(95:5)を用いてクロマトグラフィにより精製した。生じた油状物は放置すると結晶し始め、これをエーテル中に懸濁させ、そしてこれをろ過して白色固体(0.720g)として表題化合物を得た。MS:m/z=545(M+1); C29H38Cl2N4O2のための分析:計算値:C(63.84); H(7.02); N(10.26);実験値:C(63.95); H(6.95); N(10.15)。
中間体、4−(2−オキソ−5,5−ジメチルペルヒドロピリミジン−1−イル)−ピペリジンを次のように合成した:
1a.1−ベンジルオキシカルボニル−4−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピルアミノ)−ピペリジン
メタノール(72mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−ピペリジン(12.0g)を、メタノール(72mL)中の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(5.2mL)および酢酸(8.8mL)の撹拌された溶液に添加した。15分後、メタノール(72mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(9.7g)を一度に添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を蒸発させ;そして残留物を1N塩酸(100mL)中に溶解した。濃塩酸は滴下により添加し、そしてガスの発生が止むまで攪拌を続けた。酸性の水性混合物をジクロロメタンで洗浄し、10N水酸化ナトリウムでpH10まで塩基性化し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。ジクロロメタン抽出物を乾燥させ蒸発させて、粘性油状物として表題化合物を得た。NMR (CD3OD): 7.34 (m,5), 5.10 (s,2), 4.08 (m,2), 2.93 (m,2), 2.57 (m,1), 2.46 (s,2), 2.44 (s,2), 1.89 (m,2), 1.27 (m,2), 0.89 (s,6)。
1b.1−ベンジルオキシカルボニル−4−(2−オキソ−5,5−ジメチルペルヒドロピリミジン−1−イル)−ピペリジン
クロロホルム(40mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピルアミノ)−ピペリジン(3.02g)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.19g)の溶液を3時間還流した。
反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして1N塩酸および重炭酸ナトリウム水溶液によって順番に洗浄した。分離後の有機相を乾燥させ、蒸発させて、エーテルにおいて摩砕し、ろ過して白色固体として当該尿素(1.72g)を得た。MS: m/z=346(M+1); NMR (CD3OD): 7.34 (m,5), 5.10 (s,2), 4.35 (m,1), 4.23 (m,2), 2.87 (m,6), 1.58 (m,4), 1.00 (s,6)。
1c.4−(2−オキソ−5,5−ジメチルペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジン
エタノール(30mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−(2−オキソ−5,5−ジメチルペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジン(1.85g)およびカーボン上の20%水酸化パラジウム(0.340g)の溶液を水素1バール下で一晩攪拌した。反応混合物を珪藻土を通してろ過し、そしてろ液を蒸発させて白色固体として表題化合物(0.950g)を得た。MS: m/z=212(M+1); NMR (CD3OD): 4.28 (m,1), 3.10 (m,2), 2.92 (m,2), 2.89 (m,2), 2.66 (m,2), 1.59 (m,4), 1.03 (s,6)。
実施例2:クエン酸(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド
メタノール(10.0mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチルベンズアミド(0.883g)を、メタノール(10.0mL)中の4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジン(0.498g)および酢酸(0.145mL)の溶液に添加した。5分後、メタノール(10.0mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(0.159g)を一度に添加した。3.5時間撹拌した後、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、30分間撹拌し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてのジクロロメタン:メタノール(95:5)を用いてクロマトグラフィにより精製した。生じた油状物(0.970g)およびクエン酸(0.352g)をメタノール中に溶解し、そして蒸発させて白色固体として表題化合物を与えた。MS:m/z=545(M+1); C29H38Cl2N4O2・1.00C6H8O7のための分析:計算値:C(56.98); H(6.28); N(7.59);実験値:C(56.66); H(6.31); N(7.57)。
中間体4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)−ピペリジンを次のように製造した:
2a.1−ベンジルオキシカルボニル−4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)−ピペリジン
カリウムtert−ブトキシド(19.3mL、テトラヒドロフラン中の1M)を、テトラヒドロフラン(88mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジン(3.06g)の溶液に添加した。次いでヨードエタン(2.4mL)を添加し、そして反応混合物を30分間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、90:10)を用いてクロマトグラフィにより精製した。生成物をエーテルにより摩砕し、ろ過して白色固体としてN−メチル化合物を与えた。MS: m/z=346(M+1); NMR (CDCl3): 7.34 (m,5), 5.12 (s,2), 4.54 (m,1), 4.26 (m,2), 3.38 (q,2, J=7.1), 3.22 (m,2), 3.11 (m,2), 2.86 (m,2), 1.90 (m,2), 1.60 (m,4), 1.10 (t,3, J=7.1)。
2b.4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジン
エタノール(30mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−(3−エチル−2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジン(1.85g)およびカーボン上の20%の水酸化パラジウム(0.340g)の溶液を水素1バール下で一晩攪拌した。反応混合物を珪藻土を通してろ過し、ろ液を蒸発させて粘性油状物として表題化合物(0.950g)を得た。MS: m/z=212(M+1); NMR (CDCl3): 4.45 (m,1), 3.38 (q,2, J=7.1), 3.17 (m,6), 2.72 (m,2), 2.15 (m,1), 1.91 (m,2), 1.62 (m,4), 1.10 (t,2, J=7.1)。
実施例3:(S)−N−{2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(2−オキソ−テトラヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチル}−N−エチル−ベンズアミド遊離塩基
メタノール(10.0mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド(0.883g)を、メタノール(10.0mL)中の1−ピペリジン−4−イル−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン(0.498g)および酢酸(0.145mL)の溶液に添加した。5分後、メタノール(10.0mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(0.159g)を一度に添加した。反応混合物を3.5時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、30分間撹拌し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして表題化合物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(95:5)を用いてクロマトグラフィにより精製した。
中間体、(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブチル]−N−エチル−ベンズアミドを次のように製造した。
3a.(S)−安息香酸4−ベンゾイルアミノ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチルエステル
ジクロロメタン(200mL)中のベンゾイルクロリド(168.3g)を、ジクロロメタン(1400mL)中の(S)−4−アミノ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブタン−1−オール(140.0g)およびトリエチルアミン(121.4g)、0℃の溶液に滴下により添加した。
溶液を一晩周囲温度で攪拌した。生じた白色沈殿物を翌朝ろ過し、ジクロロメタンで洗浄し、そして生じた白色固体を捨てた。母液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、そして分離後の有機相を乾燥させ、そして蒸発させた。琥珀色の油状物を溶離剤としてジク
ロロメタン:メタノール(勾配100、90:10)を用いてフラッシュクロマトグラフィによって精製した。表題化合物を2つの画分に分離した。一方の画分(131.2g)のLC/MSは、2.98 rt, m/z=442(M+1)で1つのピークを示した; NMR (CD3OD): 8.44 (m,1), 7.82 (d,1,J=8.1), 7.67 (d,1,J=7.5), 7.46 (m, 10), 7.21 (dd,1,J=1.7,8.3), 4.27 (m,2), 3.57 (m,2), 3.24 (m,1), 2.16 (m,2)。他方の画分(127.7g)をクロマトグラフィによって更に精製した。
3b.(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ブチル]−ベンズアミド
テトラヒドロフラン(800mL)および水酸化ナトリウム水溶液(2.5規定の水酸化ナトリウム800mL)中の(S)−安息香酸4−ベンゾイルアミノ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチルエステル(127.7g)の溶液を、一晩還流加熱した。
その翌日、反応物を真空内で濃縮し、ジクロロメタン中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、95:5)を用いてクロマトグラフィにより精製し、黄色油状物として表題化合物(85.4g)を生成した。LC/MS:1つのピーク2.18 rt, m/z=338(M+1); NMR (CD3OD): 7.66 (m,2), 7.43 (m,5), 7.20 (m,1), 3.59 (m,2), 3.30 (m,2), 3.18 (m,1), 2.00 (m,1), 1.86 (m,1)。
3c.(S)−N−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−ベンズアミド
4−ジメチルアミノピリジン(13.0g)およびトリエチルアミン(30.15g)を(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ブチル]−ベンズアミド(71.6g)およびジクロロメタン(900mL)の溶液中に溶解した。この混合物に一部ずつtert−ブチルジメチルクロロシランを添加した。次いでこの反応物をジクロロメタン(200mL)で希釈した。3時間撹拌した後、混合物を更にジクロロメタンで希釈し、そして希塩酸水溶液、水および重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。分離後の有機層を乾燥させ、そして蒸発させて琥珀色の油状物(105.3g)を得た。LC/MS:1つのピーク、3.43 rt, m/z=452(M+1)。
3d.(S)−N−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド
水素化ナトリウムのスラリー(11.16g)をジメチルホルムアミド(1000mL)中に調製し、そしてそのスラリーを氷浴で冷却した。攪拌しているこのスラリーに、ジメチルホルムアミド(500mL)中の溶液として(S)−N−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−ベンズアミドを添加した。氷浴を除き、溶液を攪拌してそして1時間、周囲温度に温まるようにした。反応混合物を氷浴で冷却し、ニートなヨウ化エチル(43.59g)を添加した。反応混合物を氷浴で30分間撹拌し、氷浴を除いて、そして溶液をさらに2時間攪拌して、そして周囲温度に温まるようにした。水(200mL)およびジメチルホルムアミド(200mL)の溶液を添加し、反応混合物全体を真空内で濃縮した。濃縮物質を水で希釈し、そして酢酸エチルで連続して洗浄した。酢酸エチル層を合わせ、そして水および重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させて、そして蒸発させて琥珀の油状物(120.5g)を得た。この物質を更に分析することなく、次のステップに利用した。LC/MS:2つのピーク、2.41 rt 20%, m/z=366(クロマトグラフィによって合成の後に取り除かれる副産物のM+1)、および3.61 rt 80%, m/z=480(M+1)。
3e.(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド
テトラヒドロフラン(1000mL)中の(S)−N−[4−(tert−ブチル−ジ
メチル−シラニルオキシ)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド(120.5g、(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ブチル]−ベンズアミドから、理論的には212ミリモル)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウムの溶液(テトラヒドロフラン中に1.0モル、254mL)を添加した。一晩撹拌した後、溶液を真空内で濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、そして重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。分離後の有機層を乾燥させ、溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、90:10)を用いてクロマトグラフィにより精製し、油状物として当該アルコールを与えた(3工程にわたり96%)。LC/MS:1つのピーク、2.33 rt、m/z=366(M+1)。
3f.(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド
ジクロロメタン(700mL)中のジメチルスルホキシド(82.3mL)中の溶液、−78℃で、ジクロロメタン(400mL)中の塩化オキサリル(50.6mL)を添加した。添加が完了した後、溶液を−78℃でさらに30分間攪拌した。次いでジクロロメタン(400mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ブチル]−N−エチル−ベンズアミド(106.4g)およびジメチルスルホキシド(10mL)の溶液を滴下により添加し、内部温度を−60℃以下に維持した。この溶液を1時間、−78℃で攪拌した。温度を−50℃まで上昇させ、そしてその温度を30分間維持した。この反応混合物を−78℃まで冷却し、そしてさらに1時間撹拌した。トリエチルアミン(202mL)をこの溶液に滴下により添加し、その後氷浴を除いてそして溶液を一晩攪拌し、周囲温度に温まるようにした。この混合物をジクロロメタンで希釈し、希塩酸水溶液、水および重炭酸ナトリウム水溶液で連続して洗浄した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:酢酸エチル(85:15)を用いてクロマトグラフィにより精製し、油状物として表題化合物(101.9g)を与えた。LC/MS:幅が広いピーク、2.42 rt 364(M+1)、1つの小さいピーク<5% 394(M+)。
実施例4:クエン酸(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−4−フルオロ−N−メチルベンズアミド
4−フルオロベンゾイルクロリド(0.115mL)を、ジクロロメタン(10mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]−ブチル]−N−メチルアミン(0.400g)およびピリジン(0.16mL)、−30℃の溶液に添加した。反応混合物を周囲温度に温め、そして1時間撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、洗浄し(重炭酸ナトリウム水溶液、飽和硫酸銅(II)水溶液)、乾燥させて、そして蒸発させた。この生成物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、80:10)を用いてクロマトグラフィにより精製した。精製された生成物(0.350g)およびクエン酸(0.126g)をメタノール中に溶解し、そして蒸発させてガラスとして表題化合物を得て、これを白色固体として取り出した(0.450g)。MS:m/z=535(M+1); C27H33Cl2FN4O2・1.10C6H8O7・0.10(C2H5)2O・0.70 H2Oに関する分析:計算値: C, 53.25; H, 5.80; N, 7.30; 実験値: C, 53.22; H, 5.70; N, 7.30。
中間体(S)N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルアミンを次のように調製した:
4a.tert−ブチル(S)N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−ヒドロキシブチル]−N−メチルカルバメート
ジクロロメタン(125mL)中のジ−tert−ブチルジカルボネート(21.6g
)を、30分間にわたりジクロロメタン(125mL)中の(S)−N−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−ヒドロキシブチルアミン(25.0g)の溶液に滴下により添加した。3時間撹拌した後、反応混合物を洗浄し(0.1N塩酸、重炭酸ナトリウム水溶液)、乾燥させ、そして蒸発させた。生成物を、溶離剤としてジクロロメタン:エーテル(2:1)を用いてクロマトグラフィにより精製し、油状物として当該tert−ブチルエステルを与え(33.0g)、これは放置すると結晶化した。
4b.tert−ブチル(S)N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチルカルバメート
ジクロロメタン(30mL)中の塩化オキサリル(1.3mL)、−78℃の溶液に、ジクロロメタン(10mL)中のジメチルスルホキシド(2.1mL)、続いてジクロロメタン(15mL)中のtert−ブチル(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−ヒドロキシブチル]−N−メチル−カルバメート(3.2g)を5分以内に添加した。15分後、トリエチルアミン(8.2mL)を添加し、そして反応混合物を周囲温度に温めた。この混合物をジクロロメタンで希釈し、そして希塩酸水溶液、水および重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして更なる精製なしに次の反応(下記)に使用した。
4c.tert−ブチル(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルカルバメート
メタノール(10.0mL)中のtert−ブチル(S)N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチルカルバメート(0.883g)を、メタノール(10.0mL)中の4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)−ピペリジン(0.498g)および酢酸(0.145mL)の溶液に添加した。5分後、メタノール(10.0mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(0.159g)を一度に添加した。3.5時間撹拌した後、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、30分間撹拌し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。分離後の有機層を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(95:5)を用いてクロマトグラフィにかけた。生じた油状物(0.970g)およびクエン酸(0.352g)をメタノール中に溶解し、そして蒸発させてガムとして表題化合物を与えた。
4d.(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルアミン
トリフルオロ酢酸(7.5mL)を、ジクロロメタン(200mL)中のtert−ブチル(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]−ブチル]−N−メチルカルバメート(5.1g)の溶液に添加した。30分後、さらにトリフルオロ酢酸(7.5mL)を添加し、そして反応混合物を4時間撹拌した。混合物を1N水酸化ナトリウム(250mL)で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させてガムとして表題化合物(3.8g)を得た。MS:m/z=413(M+1)。
実施例5:(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−チオキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミドジヒドロクロリド
クロロホルム(6mL)中の(S)−N−[4−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ピペリジノ]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミド(0.356g)および1,1’−チオカルボニルジイミダゾールの撹拌された溶液を、一晩室温で撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、洗浄し(重炭酸ナトリウム水溶液)、乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、90:10)を用いてクロマトグラフィにより精製した。生じた物質をジクロロメタン中に溶解し、エーテルを含む塩化水素により塩酸塩として沈殿させ、蒸発させて、そして一晩高真空下に放置して白色固体として表題化合物を与えた。MS:m/z=533(M+1); C27H34Cl2N4OS・2.30 HCl・0.10 (C2H5)2Oのための分析:計算値: C, 52.67; H, 6.01; N, 8.96;実験値: C, 52.57; H, 6.11; N, 8.84。
中間体、(S)−N−[4−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ピペリジノ]−2−(3,4−ジクロロフェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミドを次のように製造した:
5a.1−ベンジルオキシカルボニル−4−(3−アミノプロピルアミノ)ピペリジン
メタノール(72mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−ピペリジン(12.0g)を、メタノール(72mL)中の1,3−ジアミノプロパン(5.2mL)および酢酸(8.8mL)の攪拌された溶液に添加した。15分後、メタノール(72mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(9.7g)を一度に添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を蒸発させ;そして残留物を1N塩酸(100mL)中に溶解した。濃塩酸を滴下により添加し、そしてガスの発生が止むまで撹拌を続けた。酸性の水性混合物をジクロロメタンで洗浄し、10N水酸化ナトリウムを用いてpH10に塩基性化し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。ジクロロメタン抽出物を乾燥させ、蒸発させて粘性油状物として表題化合物を与えた。MS:m/z=292(M+1); NMR(CD3OD):7.34(m,5),5.10(s,2),4.13(m,2),2.86(m,2),2.65(m,5),1.90(m,2),1.65(m,2),1.23(m,2)。
5b.1−ベンジルオキシカルボニル−4−[2,2,2−トリフルオロアセチル)−[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)プロピル]アミノ]ピペリジン
トリフルオロ酢酸無水物(10.5mL)をクロロホルム(90mL)中の1−ベンジルオキシ−カルボニル−4−(3−アミノプロピルアミノ)ピペリジン(7.5g)およびトリエチルアミン(8.3mL)の溶液に0℃において添加した。一晩撹拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、洗浄し(1N塩酸、重炭酸ナトリウム水溶液)、乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(98:2)を用いてクロマトグラフィにより精製し、粘性油状物としてトリフルオロアセチル化ピペリジンを与えた。NMR:7.36(m,5),5.14(s,2),4.35(m,2),3.93(m,1),3.35(m,4),2.83(m,2),1.87-1.74(m,6); MS:m/z=484(M+1)。
5c.4−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)プロピル]アミノ]ピペリジン
エタノール(30mL)中の1−ベンジルオキシカルボニル−4−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)−[3−(2,2,2−トリフルオロアセチル−アミノ)プロピル]アミノ]ピペリジン(1.85g)および炭素上の20%水酸化パラジウム(0.340g)の溶液を、水素1バール下で一晩攪拌した。反応混合物を珪藻土に通してろ過し、そしてろ液を蒸発させて粘性油状物として表題化合物(0.950g)を得た。NMR(CD3OD):4.39(m,1),3.98(m,1),3.30(m,3),2.95(m,1),2.82(m,1),2.65(m,2),2.01(m,2),1.75(m,2),1.32(m,2); MS:m/z=350(M+1)。
5d.(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)−[2−(2,2,2−トリフルオロアセチル−アミノ)エチル]アミノ]ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド
メタノール(4mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブチル]−N−メチルベンズアミド(0.823g)を、メタノール(8mL)中の4−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)−[3−(2,2,2−トリフルオロアセ
チル−アミノ)プロピル]アミノ]ピペリジン(0.600g)および酢酸(0.20mL)の溶液に添加した。5分後、メタノール(4mL)中のナトリウムシアノボロヒドリド(0.220g)を一度に添加した。3時間撹拌した後に、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、30分間撹拌し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。有機抽出物を乾燥させ、蒸発させて、そして溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(勾配98:2、90:10)を用いてクロマトグラフィにより精製した。生じた物質をジクロロメタン中に溶解し、エーテルを含む塩化水素により塩酸塩として沈殿させ、蒸発させ、そして一晩高真空下に放置して白色固体として表題化合物を与えた。MS:m/z=683(M+1).
5e.(S)−N−[4−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ピペリジノ]−2−(3,4−ジクロロフェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミド
20%の水酸化カリウム水溶液(8.5mL)およびメタノール(11mL)中の(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)[3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)プロピル]アミノ]−ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド(2.5g)の溶液を1時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸でpH2に酸性化し、そしてジクロロメタンで3回洗浄した。次いで水相を10N水酸化ナトリウムによりpH10に塩基性化し、そしてジクロロメタンを用いて抽出した。抽出物を乾燥させ、そして蒸発させて粘性油状物として表題化合物を与えた。MS:m/z=491(M+1)。
実施例6:実施例3の化合物のクエン酸塩を次のように製造した。
(S)−N−{2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(2−オキソ−テトラヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチル}−N−エチル−ベンズアミド遊離塩基(0.970g)およびクエン酸(0.352g)をメタノール中に溶解し、そして蒸発させて白色固体として表題化合物を与えた。MS:m/z=531(M+1); C28H36Cl2N4O2・1.10 C6H8O7・0.30 H2Oに対する分析:計算値: C, 55.53; H, 6.11; N, 7.48; 実験値: C, 55.51; H, 6.19; N, 7.47。
実施例7:実施例3の化合物のマレアート塩を次のように製造した。
イソプロピルアルコール(750mL)中の(S)−N−{2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(2−オキソ−テトラヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチル}−N−エチル−ベンズアミド(106.0g)遊離塩基の溶液を、イソプロピルアルコール(750mL)中のマレイン酸(23.2g)の溶液に添加した。この混合物を還流直前まで加熱し、そしてそれから周囲温度で撹拌した。1時間以内で固体を容易に形成した。一晩周囲温度で撹拌した。スラリーを氷浴で冷却し、冷やしながらろ過し、そして冷却したイソプロピルアルコールで洗浄した。この固体を砕き、そして一晩真空中(65℃で250mm)で乾燥させ、表題化合物(ほぼ102g)を生じた。MS:m/z=532(M+1); C28H36Cl2N4O2 .1.0 C4H4O4についての分析:計算値: C, 59.35;
H, 6.23; N, 8.65;実験値: C, 59.63-59.60; H, 6.38-6.43, N, 8.59-8.54。
NK2受容体に結合する作用を介した、OABまたはUIの治療のための治療剤としての本発明化合物の作用は、適当なインビトロおよびインビボ試験を用いて示された。
インビトロ結合アッセイ
クローン化ヒトNK1またはNK2受容体によってトランスフェクトされたMEL細胞由来の膜の調製:
Hopkins他, Biochem. Biophys. Res. Commun. 180: 1110-1117(1991), およびGraham他, Biochem. Biophys. Res. Commun. 177: 8-16(1991)によって記載されているように、ヒト肺NK1およびNK2受容体のクローニングがなされた。ヒトタキキニン受容体によってトランスフェクトされたMEL細胞の異種発現およびスケールアップ増殖が、Aharony他, Mol. Pharmacol. 45: 9-19, 1994によりNK2受容体に関して記載されるように実施された。
NK1またはNK2受容体を発現する組換えMEL細胞由来の膜を、Hopkins他,(1991)により記載されるように調製した。一時的に、細胞を4℃で(Brinkman PT-20 Polytron,
設定3、氷上で1回15秒のバースト)、50mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM KCl、120mM NaCl、10mM EDTAからなり、かついくつかのプロテアーゼ阻害剤(1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド;0.1mg/ml大豆−トリプシン阻害剤、および1mMのヨードアセトアミド)を含む緩衝剤中で均質にした。このホモジェネートを、1200xgで45分間、4℃で遠心分離させ、細胞破片を除去した。この上澄みを、48,000xgで45分間、4℃で遠心分離した。このペレットを、氷冷の50mMトリス−HCl(pH7.4)緩衝剤30ボリューム中に、グラス−テフロンモーター付ホモジナイザによって再懸濁した。
受容体結合アッセイ:
クローン化NK2受容体を発現しているMEL細胞の[3H]NKA、またはクローン化NK1受容体を発現しているMEL細胞の[3H]SPを用いたリガンド結合アッセイが、Aharony他, Mol. Pharmacol. 45: 9-19, 1994, Aharony他, Neuropeptides 23: 121-130(1992)およびAharony他, J. Pharmacol. Exp. Ther. 259: 146-155(1991)により記載される方法で一般的に実施された。手短に言えば、インキュベーションは、膜、試験化合物および[3H]リガンド(1.0〜1.5nM)を含むアッセイ緩衝剤中で実施した。競合実験において、競合薬剤(アゴニスト、アンタゴニストまたはビヒクル)を種々の濃度で含む混合物(0.315mL)が、1μMの標識されていない同種リガンド(NKAまたはSP)と共にかまたはなしで、25℃で30分間インキュベートした。反応を膜(0.1〜0.15mgタンパク質/最終濃度)の添加により開始させ、そしてそれをもう一度行った。飽和実験および動態学的実験を3回行った。受容体結合リガンドおよび遊離リガンドの単離を、洗浄緩衝剤1mL(20mMのトリス−HCl、pH7.5)の希釈と、そのすぐ後に総容積10mLの洗浄緩衝剤(0.1%ポリエチレンイミンに予め浸したWhatman GF/Bフィルタと共にBrandel Cell Harvester MB-48Rを利用)を用いた真空ろ過により達成した。
3H]リガンドの結合を阻害する本明細書中に開示される化合物の能力が、表1に開示される結果により示される。
インビボアッセイ:
麻酔されたモルモットのBANK−誘導された膀胱収縮:
雌のモルモット(300〜450g)を、ケタミン/キシラジン混合物(それぞれ3/10mg/kg)の筋肉内投与によって麻酔した。頸静脈にカテーテルを入れ、そのカテーテルの末端に、適当な場合、化合物の投与のためのシリンジを接続した。続いて、膀胱を正中線の開腹によって露出させ、尿管を膀胱より約2cm上で4−0絹糸縫合によって結び、そしてその結紮より上を切って、腎臓からの排水を可能にした。カニューレを近位の尿道および膀胱括約筋を通じて膀胱内腔に通した。膀胱を手動で空にし、そこに0.3mLの生理食塩水を注いで、そして膀胱圧の変化を記録するためにGould p23 ID圧力トランスデューサにカテーテルを取り付けた。外科的準備の後、約15分の平衡期間により動物を安定化させた。チオルファン(10mg/kg iv)を、アゴニストに曝露する15分前に投与し、中性エンドペプチターゼ3.4.24.11.を阻害した。
試験化合物の経口での効果を確かめるため、動物に、BANKの投与の1時間前に強制栄養によって試験化合物(52nmol/kg、5% PEG 400−生理食塩水ビヒクル)を投与した。試験化合物の有無で生じた膀胱収縮の変化を、Grass 7Dポリグラフにおいて膀
胱内の膀胱圧の増加として記録し、そして反応における変化を百分率として表した。作用の持続期間の研究を、BANK投与前の時間を異ならせて試験化合物(52nmol/kg、5% PEG 400−生理食塩水ビヒクル)を経口投与した後に実施した。反応を、偽処理された対照と比較して試験化合物の存在下におけるBANKへの反応間の違いを百分率として算出した。全ての研究に対し、各動物には一回量の試験化合物を投与した。実験結果を、基底レベルからの平均値±平均値の標準誤差(±S.E.M)百分率変化として表した。
BANKにより誘導される膀胱収縮を阻害する本明細書中で開示される化合物の能力は、表1において開示される結果により示される。
Figure 2005511561
本発明の化合物は、NK2受容体に特異的である。本明細書中に開示される化合物は一般的に、表1に示される結果で示されるように、ヒトNK1受容体と比較してヒトNK2受容体に対して100倍またはそれ以上のより優れた選択性を表す。
驚くべきことに、ヒトNK2受容体に対する類似の結合親和性を有する化合物は、BANKによって誘導される膀胱収縮を阻害する能力について試験した場合、異なる効果を有することが見出された。例えば、クローン化されて発現されたhNK2受容体に対するトリチウム化されたNKAの結合を阻害する能力について試験した場合、実施例3および5それぞれの化合物は8.85および8.86−対数モルのKiを有する。しかし、実施例3の化合物はBANK誘導された膀胱収縮を64%阻害することがわかったが、予想外に、実施例5の化合物はBANKにより誘導される膀胱収縮を促進させることがわかった。
本発明の化合物は、最小有効用量の数倍を与えても検査動物にどのような不都合な副作用の徴候を全く示さないことがわかった。

Claims (19)

  1. 構造式I:
    Figure 2005511561
    (式中、
    AはOまたはSであり;
    1はHまたはC1-4アルキルから選択され;
    2部分はHまたはC1-4アルキルから独立して選択され;
    3はC1-4アルキルから選択され;
    4はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシまたはシアノから選択され、但しR1、R2およびR4が全てHである場合R3はメチルでない)
    の治療的有効量の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象者に投与することからなる該対象者における過活動膀胱または尿失禁を治療または予防する方法。
  2. AがOであり、R1およびR2が全てHであり、R3がC1-4アルキルであり、そしてR4がHまたはハロから選択されるが、但しR4がHである場合R3はメチルでない、過活動膀胱および尿失禁の治療および予防に有用である化合物の投与からなる請求項1記載の方法。
  3. AがOであり、R1、R2およびR4が全てHであり、そしてR3がC2-4アルキルである化合物の投与からなる請求項1記載の方法。
  4. (S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソ−5,5−ジメチル−ペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド;
    (S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−エチル−2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)−ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミド;
    (S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジノ]−ブチル]−N−エチルベンズアミド、および
    (S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロ−ピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−4−フルオロ−N−メチルベンズアミド
    から選択される化合物の投与からなる請求項1記載の方法。
  5. 対象者がヒトである請求項1記載の方法。
  6. 薬学的に許容される塩が塩化物、硫酸塩、トシレート、メシレート、ナプシレート、ベ
    シレート、リン酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩およびマレイン酸塩からなる群より選択される請求項1記載の方法。
  7. 1種またはそれ以上の他の医学的に適合性の治療剤を同時に投与することをさらに含む請求項1記載の方法。
  8. 他の治療剤がエストロゲン様薬剤、プロゲステロン様物質、α−アドレナリンアゴニスト、β−アドレナリン受容体遮断薬、コリン受容体遮断化合物またはコリン受容体刺激薬から選択される請求項7記載の方法。
  9. 化合物またはその薬学的に許容される塩が、局所適用、経口摂取、吸入、通気または注射から選択される生理的に許容される方法で投与される請求項1記載の方法。
  10. 化合物またはその薬学的に許容される塩が局所的に投与される請求項9記載の方法。
  11. 約0.1〜約5mg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩を局所的に投与することからなる請求項10記載の方法。
  12. 約0.1mg〜約250mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する錠剤またはカプセルを局所的に投与することからなる請求項10記載の方法。
  13. 一日量の範囲5〜100mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を、一回量でまたは一日量を2、3もしくは4回に分けて吸入により投与することからなる請求項9記載の方法。
  14. 約0.01〜約25mg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することからなる請求項9記載の方法。
  15. 治療的有効量が約0.1mg〜約250mgの化合物またはその薬学的に許容される塩であり、1日に1〜4回投与する請求項1記載の方法。
  16. 治療的有効量が約5mg〜約100mgの化合物またはその薬学的に許容される塩である請求項15記載の方法。
  17. 化合物またはその薬学的に許容される塩がカプセル、錠剤、水溶液、水性の懸濁液、非水溶性懸濁液、坐薬、エアゾールまたは粉剤として投与される請求項1記載の方法。
  18. (S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩および少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤または希釈剤を含有する過活動膀胱または尿失禁を治療または予防するための医薬組成物。
  19. 過活動膀胱または尿失禁を治療または防止するための医薬の製造における(S)−N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(2−オキソペルヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノ]ブチル]−N−メチルベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
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