JP2005508599A - 核酸の増幅方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、感染性病原性作用物質および正常な並びに異常な遺伝子を、迅速に、自動的に検出するためのアッセイ、および該アッセイを実施するためのキットに関する。本発明は、更にここに記載される増幅法を利用した、ゲノムDNAおよび全mRNAを一般的に増幅する方法および判別mRNA発現を分析する方法にも関連する。
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、感染性の病原的作用物質および正常な並びに異常な遺伝子を、迅速に、自動的に検出するための、アッセイおよび該アッセイを実施するためのキットに関する。本発明は、更にゲノムDNAおよび全mRNAの一般的な増幅方法およびここに記載される増幅方法を利用して、判別(differential) mRNA発現を分析する方法にも関する。
【0002】
【背景技術】
最近、ウイルス、バクテリアおよび真菌等の感染性作用物質の迅速かつ正確な検出、および正常な並びに異常な遺伝子の検出に対する要求を満たすべく、多くの技術が開発されている。一般に、テストサンプル中の少量のターゲット核酸(DNAまたはRNA)を増幅し、かつ検出する工程を含むこのような技術は、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR) (Saiki等, Science, 1985, 230: 1350; Saiki等, Science, 1988, 239: 487; PCR Technology, Henry A. Erlich編, Stockton Press, 1989; Patterson等, Science, 1993, 260: 976)、リガーゼ連鎖反応(LCR) (Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88: 189)、ストランド置換増幅(strand displacement amplification; SDA) (Walker等, Nucl. Acids Res. 1992, 20: 1691)、Qβレプリカーゼ増幅(QβRA) (Wu等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1992, 89: 11769; Lomeli等, Clin. Chem. 1989, 35: 1826)および自立式複製(self-sustained replication) (3SR) (Guatelli等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1990, 87: 1874-1878)を包含する。これら技術の全てが、サンプル中の少量のターゲット核酸を検出し、かつ同定するための強力な手段であるが、これらは全て様々な問題点を含み、臨床的な研究室における、日常的な診断技術で使用するための、一般的なその利用を妨げている。
【0003】
その最も困難な問題点の一つは、増幅および検出を行う前における、該ターゲット核酸の調製である。この調製法は、時間および労力を要し、従って一般的には、迅速かつ正確な結果が要求される、臨床的なセッティングにおいては不適当である。特にPCRおよびSDAに係るもう一つの問題は、後の検出および随意の定量のために、該ターゲット核酸を増幅するための諸条件が、テスト毎に変動すること、即ちテストの標準化を助ける一定の条件が存在しないことにある。この後者の問題は、競合的PCRによりターゲット核酸を定量し、また多数のターゲット核酸を同時に検出するために重大である。
上記問題点の解消は、上記した様々な技術を利用する、迅速な標準化されたアッセイの開発を可能とし、このようなアッセイは、疫学的な検討を行う上で、並びに患者サンプル中の病原的な微生物およびウイルスを検出するための、臨床的研究室のセッティングにおいて特に有用であろう。このような微生物は、ヒトの健康に多大な脅威を与える感染性の疾患を引き起こす。感染性疾患の作用物質に特異的なターゲット核酸の迅速かつ高感度の同定に基く、標準的かつ自動的な分析技術およびそのためのキットの開発は、バクテリアおよびウイルスの免疫学的なまたは培養検出を含む技術を越える、利点をもたらすであろう。
【0004】
試薬は、特定の生物またはある範囲に渡る関連する生物に対して特異的となるように設計できる。これら試薬は、様々な抗体に対する耐性を与える微生物遺伝子および疾患をもたらす有毒なファクタを直接アッセイするのに利用できる。迅速な標準化された分析技術の開発は、適当な治療の選択において役立つであろう。
幾つかの場合において、中程度の感度を持つ(しかし、高い特異性を持つ)アッセイは、例えば初期のスクリーニングテストにおいては十分なものであり得る。他の場合においては、(特異性と同程度に)高い感度が必要とされ、例えば感染血液中のHIVゲノムの検出では、10〜100,000例のヒトゲノム等価物当たり一つのサンプル中における、該ウイルス核酸配列を見出す必要がある(Harper等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1986, 83: 772)。
【0005】
特に、HIV、HTLV-I、B型肝炎およびC型肝炎を含む血液汚染物質は、輸血を受ける患者にとっては大変な脅威であり、またこのような作用物質を迅速かつ高感度で検出するための、これら作用物質の核酸を含む日常的な診断テストの開発は、臨床的な診断が許された研究室にとって極めて大きな利点となろう。例えば、HIVゲノムは、自由なウイルス粒子を表すRNA分子として、あるいは統合されたプロウイルスを表すDNA分子として、PCR技術を利用して、血液サンプル中に検出できる(Ou等, Science, 1988, 239: 295; Murakawa等, DNA, 1988, 7: 287)。
更に、古典的な培養技術を利用した疫学的な検討は、散在性細胞内マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium-intracellulaire; MAI)感染が、子供および成人における後期-段階の後天性免疫不全症候群(AIDS)の合併症の一つであることが示された。しかし、この問題の正確な大きさは明確でない。というのは、マイコバクテリアを検出するための従来の培養による方法は、厄介で、緩慢かつ感度に問題のあるものであったからである。従って、迅速で、高感度かつ特異的なMAI検出技術を工夫することは、HIV-感染患者および他の免疫抑制を被った患者における、関連事象の明確な病像を与えるために望ましく、またきわめて有利なことである。このような研究は、ターゲット核酸の検出に基く、分子生物学的な方法を含むはずであり、これらは標準的な培養法よりも高い感度を示すことが一般的に示されている(Boddinghaus等, J. Clin. Med. 1990, 28: 1751)。
【0006】
このような技術の他の用途は、個人および集団における単一遺伝子による遺伝的疾患の検出および特徴付けを包含する(例えば、Landergren等, Science, 1988, 241: 1077を参照のこと:この技術は点突然変異を含む、単一遺伝子欠陥を検出するための結合技術を開示している)。このような技術は、疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)並びに欠失または複製(重複)遺伝配列(例えば、タラセミア)をもたらす可能性のある、単一ヌクレオチド差(点突然変異)を、明確に識別できるものであるべきである。
【0007】
上記の方法は、手順が比較的複雑であり、知られている通り、臨床的研究室で、感染性諸疾患および遺伝的な異常性の日常的な診断および疫学的な研究の目的で使用することを困難にしている、諸欠点を有している。記載した方法全ては、検出すべき該ターゲット核酸の増幅を含む。ターゲット核酸の調製に必要とされる多大な時間および労力、並びに増幅鋳型(例えば、当該検出が測定すべき特異的なターゲット核酸)における変動および条件は、臨床的な研究室のセッティングにおいて必要とされる標準化および自動化にとって、このような手順を不適当なものとしている。
本発明は、病原性生物の検出および追跡並びに個人における異常な遺伝子の検出のとって有用な、迅速かつ高感度なアッセイの開発を目的とする。更に、本発明の方法は、臨床研究室セッティングにおいて使用する目的で、容易に標準化並びに自動化することができる。
【0008】
【発明の開示】
感染性疾患に罹患した患者由来のサンプルの、病原性微生物由来の核酸を、迅速な、高感度かつ標準化された検出並びに定量を可能とする改善された方法が、今や開発された。この改良法は、また遺伝的疾患または腫瘍形成状態にある患者由来のサンプル内の、核酸における遺伝的な変動の、迅速で高感度な検出および定量をも可能とする。
この方法は、従来技術の方法を越える幾つかの利点を持つ。この方法は、該ターゲット核酸の単離手順を簡略化し、該単離は、必要ならば、マイクロチューブ、マイクロチップまたはマイクロウエルプレート内で行うことができる。この方法は、同一のサンプル容器、例えばチューブまたはマイクロウエルプレート内での、対象とする該ターゲット核酸に相当する核酸配列の単離、増幅並びに検出の実施を可能とする。
本発明のもう一つの局面では、ここに記載される技術は、ゲルマトリックスまたはスライドフォーマット(slide format)を使用した、単一細胞レベルでの、特異的遺伝子またはマーカーの検出のために利用することができる。単一細胞内の核酸配列の、その場での増幅並びに検出は、半-固体ゲルマトリックス中に埋設した細胞を利用して行うことができる。このような方法は、単一細胞、例えば腫瘍細胞内の突然変異を検出するために、または単一細胞、例えば胚細胞内の、染色体異常を検出するために利用できる。
【0009】
本発明の方法は、条件の標準化をも可能とする。というのは、本発明の方法では、様々なターゲット核酸を検出するために、僅かに一対の遺伝子増幅プローブを使用するに過ぎず、従って効率的に多数の増幅を可能とする。この方法は、更にDNAの鋳型を作る必要なしに、プローブの増幅による、RNAの直接的な検出をも可能とする。この方法では、末端間を共有結合的に結合できる、該増幅プローブは、連続的に結合された増幅配列を形成する。結合により、該増幅可能なDNAのアセンブリーは、特異性を増し、またターゲットにおける単一の突然変異の検出を可能とする。該ターゲット核酸というよりも、寧ろこの結合された増幅配列が、直接検出もしくは増幅され、様々な異なる感染性の作用物質について、実質的に同一の増幅条件を使用することを可能とし、かくしてより制御されたまた矛盾のない結果を得ることを可能とする。更に、単一サンプル中の、多数の感染性作用物質を、ここに記載する多重増幅法を利用して検出できる。
【0010】
本発明の付随的な利点は、記載される方法のプロトコールを自動化できる能力を含み、これは、特に臨床研究室において日常的にアッセイを行う上で重要であり、また様々な核酸増幅システム、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ストランド置換増幅(SDA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)および自立式配列複製(3SR)法を利用できる能力を含む。
本発明の方法は、根源的な疾患の原因となる作用物質の検出を容易にするために、リガンド結合部分で被覆された常磁性粒子またはビーズを用いた、磁気分離技術を組み合わせている。ここで、該リガンド結合部分は、オリゴヌクレオチド捕獲プローブ上のリガンドを認識して、これと結合し、可能性のある病原性微生物または遺伝子異常等を含む臨床検体のサンプルから、ターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離する。
【0011】
本発明の一局面においては、ターゲット核酸を、ストレプタビジン等のリガンド結合部分で被覆した、常磁性ビーズの存在下で、一対の重複のないオリゴヌクレオチド増幅プローブとハイブリッド化して、複合体を形成する。これらプローブは、夫々捕獲/増幅プローブおよび増幅プローブと呼ばれる。該捕獲/増幅プローブは、該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分によって認識され、かつこれと結合するビオチン等のリガンドを含む。これらプローブは、各々が包括的配列(即ち、ターゲット核酸特異性ではない)および該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列に対して相補的な、特異的配列を含むように設計される。これらプローブの特異的配列は、該ターゲット核酸の隣接領域に対して相補的であり、従って相互に重複することはない。引き続き、これら2つのプローブを、結合剤を使用して一緒に接合して、連続的に結合された増幅配列を形成する。この結合剤はDNAリガーゼ等の酵素または化学試薬であり得る。次いで洗浄し、該サンプル中の未結合反応物および他の物質を除去し、元のサンプル中の該ターゲット核酸の検出を、該結合された増幅配列の検出によって行う。この結合された増幅配列は、ターゲット核酸が元のサンプル中に十分な量(例えば、106-107個の分子)で存在する場合には、直接検出することができる。ターゲット核酸が該サンプル中に不十分な量(例えば、<106個の分子)で存在する場合には、該結合された増幅配列(該ターゲット核酸ではない)は、検出のために、PCR等の適当な増幅技術を用いて、増幅することができる。あるいは、捕獲(捕獲)および増幅機能を、別々の独立したプローブによって行うこともできる。例えば、2つの増幅プローブを結合して、増幅すべき連続配列を作ることができる。結合されていないプローブ並びに該ターゲット核酸は、この技術では増幅されない。更に別のものは、該ターゲットとハイブリッド化して、その3'および5'末端を並列状態とするような、単一の増幅プローブである。次いで、これら末端を、DNAリガーゼで結合して、増幅により同定できる、共有結合的に結合された環状プローブを形成する。
【0012】
本発明は、更に細胞内で発現される、全ゲノムDNAまたはmRNAの一般的な増幅方法をも提供する。このような方法の利用は、少数の細胞から多量のDNAおよび/またはmRNAを発生させる手段をもたらす。このような増幅されたDNAおよび/またはmRNAを、次に感染性作用物質を検出し、および正常なまたは異常な遺伝子を検出するために開発された技術において利用できる。
更に、本発明は、様々な型の細胞内で判別的に発現されたmRNAを同定するための、新規なディファレンシャルディスプレイ結合依存性RAM法(differential display ligation dependent RAM method)を提供する。
更に、本発明は、該捕獲/増幅プローブが、抗体と結合するように設計できる、方法を提供する。例えば、一つの抗体を一つの捕獲/増幅プローブに結合し、かつ他方の抗体をターゲット配列と結合することができる。この例では、両方の抗体が同一の抗原に結合する場合にのみ、結合が起こるであろう。この技術は、液相RAM反応またはその場での固相RAM反応における、ELISAのために利用できる。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、テストサンプル中の病原性微生物を検出し、かつ追跡するための、並びに個人における異常な遺伝子を検出するための臨床的アッセイにおいて使用する、単純化されたサンプル調製および一般的な増幅システムの提供を意図する。一般的な増幅システムは、臨床的利用のために記載され、そこでは磁気分離技術と、サンプル中の核酸を検出し、かつ測定するための結合/増幅技術とを組み合わせる。該分離技術は、特にPCR、LCRおよびSDA増幅技術を含む、殆どの増幅システムと組み合わせることができる。本発明は、更に本発明の方法において有用な、分岐-拡張増幅法(ramification-extension amplification method; RAM)およびハイブリッド化シグナル増幅(hybridization signal amplification; HSAM)と呼ばれる別の増幅システムを提供する。本発明の利点は、(1) 臨床的研究室のセッティングに対する適合性、(2) 制御された、かつ一貫性のある(標準化可能な)結果を与える能力、(3) 特定のサンプル中の核酸を定量する能力、(4) テストサンプル中の多数のターゲット核酸を検出し、かつ定量する能力、(5) 血清サンプル中のおよびその場での、高感度かつ効率的な核酸の検出能力、および(6) ターゲット中の単一の突然変異を検出する能力を含む。更に、ここに記載する方法の完全なプロトコールを、容易に自動化することができ、この自動化は、このプロトコールを、臨床的研究室のセッティングにおける日常的な診断テストにとって有用なものとする。RAMおよびHSAMの利用によって、等温的な増幅を行うことが可能となる。
【0014】
本発明は、リガンド結合部分で被覆されている、常磁性粒子、ビーズまたは球を利用する、磁気分離と組み合わされるが、ここで該リガンド結合部分は、以下に記載するオリゴヌクレオチド捕獲プローブ上に存在するリガンドを認識し、これと結合して、臨床的なサンプルからターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離し、その検出を簡単にする。
磁気分離は、リガンド結合部分で被覆した、常磁性粒子またはビーズを使用して、サンプルからターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離するシステムである(Lomeli等, Clin. Chem., 1989, 35: 1826)。この方法を強調する原理は、リガンドを含む捕獲プローブとターゲット核酸との間に、該プローブとターゲットとの間における特異的相補配列を介する、一種のハイブリッド形成である。ハイブリッド化は、該プローブと該ターゲット核酸中の相補配列との特異的な結合を容易にする、適当なカオトロピック作用物質、例えばグアニジンチオシアネート(GnSCN)の存在下で行われる。このようにして形成されたハイブリッドは、次に該捕獲プローブ上のリガンドと該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分との特異的な結合を通して、該ビーズ上に捕獲される。
【0015】
ここで使用する用語「リガンド」とは、ここにおいて「リガンド結合部分(ligand binding moiety)」と呼んでいるもう一つの成分に対して、アフィニティーを示す任意の成分を意味する。該リガンドの該リガンド結合部分との結合は、これら2つの成分間にアフィニティー対を形成する。例えば、このようなアフィニティー対は、特にビオチンとアビジン/ストレプタビジン、抗原またはハプテンと抗体、重金属誘導体とチオ基、様々なポリヌクレオチド、例えばホモポリヌクレオチド等、ポリdG (poly dG)とポリdC、ポリdAとポリdT、およびポリdAとポリU等を含む。相互に強いアフィニティーを持つ任意の成分の対は、このアフィニティー対、即ちリガンド-リガンド結合部分として使用できる。適当なアフィニティー対は、また免疫学的方法で使用されるリガンドと複合体にも見出される。本発明において使用するのに好ましいリガンド-リガンド結合部分は、ビオチン/ストレプタビジンアフィニティー対である。
【0016】
一局面において、本発明は、図1に示すようなターゲット核酸の捕獲並びに検出法を提供し、ここで図1は、ターゲット核酸の捕獲並びに検出法の模式的な描写を与える。リガンド結合部分(b)によって被覆された常磁性ビーズまたは粒子(a)の存在下において、該ターゲット核酸は、一対のオリゴヌクレオチド増幅プローブ、即ち図1において夫々捕獲/Amp-プローブ-1(dおよびe)およびAmp-プローブ-2 (fおよびg)と称呼される第一ヌクレオチドプローブ(捕獲/増幅プローブとも呼ばれる)および第二ヌクレオチドプローブ(増幅プローブとも呼ばれる)と同時にハイブリッド化される。これらプローブは、後の増幅法に依存して、選択された分子の型により、オリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドであり得る。ここで言う「プローブ」とは、一般にあるプローブの多数のコピーを意味する。
【0017】
該捕獲/増幅プローブは、一般的な3'ヌクレオチド配列(d)を持つように設計され、即ちこのプローブは、分析すべき特定のターゲット核酸に対して特異的ではなく、従って様々なターゲット核酸と共に使用できる。換言すれば、該第一プローブの該3'配列は、該ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して相補的でも、ハイブリッド化可能でもない。該捕獲/増幅プローブの5'部分(e)は、該特定のターゲット核酸のヌクレオチド配列の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な、ヌクレオチド配列を含んでいる。好ましくは、病原性微生物およびウイルスと共に使用するために、該捕獲/増幅プローブを、その3'一般配列(d)が、全システムについて同一であり、該5'特異的配列(e)は、生物の個々の種または亜種もしくは異常な遺伝子、例えば嚢胞性線維症または鎌状赤血球貧血の原因となる遺伝子のターゲット核酸に対して、特異的に相補性である。幾つかの例において、該捕獲/増幅プローブの該5'特異的部分は、生物の特定の株に係る、ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して、特異的に相補的であることが望ましい可能性がある。捕獲/Amp-プローブ-1は、更に該プローブ(d)の3'末端にリガンド(c)を含み、これは該常磁性ビーズ(a)上に被覆された該リガンド結合部分(b)によって認識され、かつこれと結合する。
【0018】
該第二または増幅プローブ、即ち図1におけるAmp-プローブ-2は3'配列(f)を含み、これは捕獲/Amp-プローブ-1の5'末端とハイブリッド化した、該ターゲットの配列と極近接した(しかし、重複はしていない)ターゲット核酸のヌクレオチド配列の一部に対して相補的であり、しかもこれとハイブリッド化する。Amp-プローブ-2は、また5'一般配列(g)を含み、これは該ターゲット核酸に対して相補的でもハイブリッド化可能でもなく、これは場合によりその5'末端において、ラベルまたはシグナル発生部分(***)と結合していても良い。このようなシグナル発生部分は、特に放射性同位元素、例えば32Pまたは3H、蛍光性分子、例えばフルオレセインおよび色素産生分子または酵素、例えばパーオキシダーゼを包含する。このようなラベルは、該ターゲット核酸の直接的な検出のために利用され、またこの検出段階中に、該ターゲット核酸と結合したAmp-プローブ-2の存在を検出する。32Pは、電気泳動ゲルの放射性同位元素の計数またはオートラジオグラフィーによる、検出、分析にとって好ましい。色素産生試薬は、例えば酵素結合発色アッセイによる、検出、分析にとって好ましい。
【0019】
該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分の、該捕獲/増幅プローブ上のリガンドに対するアフィニティーの結果として、該プローブの特異的な5'部分とハイブリッド化したターゲット核酸は、該常磁性ビーズによって捕獲される。更に、同様に該ターゲット核酸とハイブリッド化したAmp-プローブ-2も、該常磁性ビーズによって捕獲される。
該常磁性ビーズ上の該2種のハイブリッド化プローブおよび該ターゲット核酸の捕獲後に、これらプローブを、結合剤を使用して一緒に結合し(図1に垂直方向の矢印で描いたサイトにおいて)、連続した一本鎖オリゴヌクレオチド分子を形成した。これをここでは結合(された)増幅配列という。この結合剤は、DNAまたはRNAリガーゼ等の酵素、あるいはシアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学結合剤であり得る(Sokolova等, FEBS Lett., 1988, 232: 153-155)。この結合増幅配列は、該ターゲット核酸に対して相補性の、該結合増幅配列の領域(例えば、図1における(e)および(f))において、該ターゲット核酸(DNAまたはRNA)とハイブリッド化する。
【0020】
十分な量(例えば、106-107分子)のターゲット核酸が、サンプル中に存在する場合、該ターゲット核酸の検出は、更に該結合増幅配列の如何なる増幅も行うことなしに、例えばAmp-プローブ-2の5'末端における随意のシグナル発生部分の存在を検出することによって行うことができる。
該サンプル中のターゲット核酸が、直接的な検出のためには不十分(例えば、<106分子)である場合には、上記のように、捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2の結合によって上記のように形成される、該結合増幅配列は、以下に記載するようにして、検出のために増幅できる。
【0021】
あるいはまた、好ましくは70-90ヌクレオチドなる範囲の長さを持つ捕獲/増幅プローブは、2つのリガンド部分、即ち5'末端に位置する一つと、該5'末端から約50ヌクレオチド下流側に位置するリガンド部分を含むように設計される。AMP-プローブ-2と称呼される第二の環状プローブをも合成する。このAMP-プローブ-2のリンカー領域は、ヌクレオチド1-50の範囲で、該捕獲/プライマーと相補的である。このアッセイ系において、該捕獲/増幅プローブは、支持マトリックスに結合されたリガンド結合部分と、リガンド/リガンド結合相互作用を介して結合することができる。ここで、リガンドは、ビオチン、抗原、抗体、重金属誘導体およびポリヌクレオチドを含む。リガンド結合部分は、ストレプタビジン、アビジン、抗体、抗原、チオ基およびポリヌクレオチドを含む。支持マトリックスは、例えば磁気ビーズを含むが、他の型の支持体を使用することも可能であり、その例はスライドまたはマイクロタイタープレートを含むが、これらに制限されない。該AMP-プローブ-2は、該相補領域を介して、該捕獲/増幅プローブと結合するであろう。この捕獲/増幅プローブの3'末端は、環状となって、該AMP-プローブ-2のリンカー領域の5'末端と結合するように設計され、また拡張用のプライマーとして機能する。最後に、該ターゲットは、相補領域を介して、該AMP-プローブ-2と結合して、例えば図24に記載するように、磁性ビーズ等のマトリックス上にこれを捕獲することを可能とする。結合は、該AMP-プローブ-2の3'および5'末端同士を結合して、共有結合により結合した環状プローブを生成する。結合プローブを、強くかつ厳密に洗浄して、非-特異的な捕獲に起因するバックグラウンドを下げる。該C-プローブに沿った、該捕獲/増幅プローブからの拡張は、多重ユニットのssDNAを生成し、これは次いでプライマー拡張または上記のようにRAMプライマーの添加によるRAMによって増幅できる。アッセイの特異性を更に一層高めるために、二重結合を行うことができ、そこでは各々該AMP-プローブ-2の半分からなる2つのプローブを使用する。
【0022】
更に、該捕獲/増幅プローブは、抗体と結合するように設計できる。上記のように、このAMP-プローブ-2は、該捕獲/増幅プローブの捕獲領域を標的とするであろう(図25)。結合後、プライマー拡張またはRAM反応を上記のように実施する。あるいはまた、一種の抗体を捕獲/増幅プローブに結合し、かつ他方の抗体をターゲット配列に結合することができる。この例では、これら2つの抗体が同一の抗原に結合する場合にのみ、結合が生じるであろう。この技術は、液相RAM反応またはその場での固相RAM反応において、ELISAのために利用できる。検出の目的にとって、FITC-標識したdUTPまたはdig-標識されたdUTPを使用して、該RAM生成物を検出することができる。
【0023】
あるいは、該結合増幅配列は、ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)の利用により、該結合配列の核酸増幅なしに、検出できる。HSAMは図10に示されている。HSAMのために、該ターゲット特異的核酸プローブ(例えば、Amp-プローブ-2)を、リガンドで内部標識する。このリガンドは、該核酸プローブと結合できる分子であり、また少なくとも二価のリガンド結合分子に対する、結合パートナーを与えることができる。好ましい態様において、該リガンドはビオチンまたは抗原、例えばジゴキシゲニンである。該核酸プローブは、当分野において公知の方法により、該リガンドで標識できる。好ましい態様において、該プローブは、約3〜約10分子のリガンド、好ましくはビオチンまたはジゴキシゲニンで標識する。該捕獲プローブおよびリガンド-標識したターゲット特異的プローブを該サンプルに添加し、かつ得られる複合体を上記のように洗浄した後に、該結合剤を添加して、上記のように該プローブを結合する。該捕獲プローブと該ターゲット特異的プローブとを結合した結果、該ターゲット特異的プローブは、該ビーズ上に維持される。同時にまたは引き続き、過剰のリガンド結合部分を、該反応に添加する。このリガンド結合部分は、該リガンドと結合し、かつこれとアフィニティー対を形成する部分(成分)である。該リガンド結合部分は、該リガンドに対して少なくとも二価である。好ましい態様において、このリガンドはビオチンであり、また該リガンド結合部分は、ストレプタビジンである。他の好ましい態様において、該リガンドは抗原であり、また該リガンド結合分子は、該抗原に対する抗体である。結合剤およびリガンド結合分子の添加は、該捕獲プローブと共有結合により結合した、該ターゲット特異的プローブを含む複合体を与え、該リガンド-標識されたターゲット特異的プローブは、該リガンドと結合したリガンド結合分子を持つ。
【0024】
次に、シグナルプローブを該反応混合物に添加する。このシグナルプローブは、該リガンド結合分子と結合するリガンドで内部標識された、一般的な核酸である。好ましい一態様において、該リガンドは、該ターゲット特異的増幅プローブを標識するのに使用したものと同一のリガンドである。該シグナルプローブは、該ターゲット核酸およびその他のプローブに対して相補的ではなく、あるいはハイブリッド化可能ではない一般的な配列を持つ。好ましい一態様において、該シグナルプローブは、約30〜約100個のヌクレオチドを含み、また約3〜約10分子のリガンドを含む。
過剰のリガンド結合分子の存在下における、該複合体に対する該シグナルプローブの添加は、大きくかつ容易に検出できる複合体の生成を結果する。この複合体のサイズは、該リガンド結合分子の多重原子価による。例えば、該ターゲット特異的増幅プローブ内のリガンドがビオチンである場合、ストレプタビジン1分子が、該プローブ内のビオチン1分子につき結合する。該結合したストレプタビジンは、ビオチンの追加の3分子と結合できる。該シグナルプローブを添加した場合、該シグナルプローブ上のビオチン分子は、該増幅プローブと結合したストレプタビジンの利用可能な結合サイトと結合する。図10において模式的に描写したように、ウエブ-状の複合体が生成される。
【0025】
上記のように洗浄して、未結合のシグナルプローブおよびリガンド結合分子を除去した後、該複合体を検出する。この複合体の検出が、該ターゲット核酸存在の指標となる。かくして、このHSAM法は、核酸の増幅を行わずに、該ターゲット核酸の検出を可能とする。
該複合体は、当分野において公知の、選択されたリガンドおよびリガンド結合部分に適した方法により検出できる。例えば、該リガンド結合部分がストレプタビジンである場合、これはストレプタビジン抗体を用いた免疫アッセイにより検出できる。あるいはまた、該リガンド結合分子は、本発明の方法において、容易に検出できる結合体として利用できる。例えば、該リガンドは、蛍光色素とまたは酵素-結合色素産生アッセイにより検出可能な酵素、例えばアルカリホスファターゼまたはホースラディシュパーオキシダーゼと結合することができる。例えば、該リガンド結合分子は、アルカリホスファターゼ-結合ストレプタビジンであり得、これは色素産生アルカリホスファターゼ基質、例えばニトロブルーテトラゾリウムクロリドの添加により検出できる。
【0026】
該HSAM法は、また以下に記載する環状化可能な増幅プローブと共に使用できる。該環状化可能な増幅プローブは、該ターゲット核酸中の隣接するが不連続の配列と相補的かつハイブリッド化可能な、3'および5'領域および該ターゲット核酸に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域を含む。該環状化可能なプローブを該ターゲット核酸に結合する際に、該3'および5'領域は並置される。これら3'および5'領域の、結合剤の添加による結合は、該ターゲット核酸と結合した、閉じた環状分子の生成をもたらす。次に、このターゲット/プローブ複合体を十分に洗浄して、未結合のプローブを除去する。
HSAMのために、例えばプローブを合成する際に、リガンド分子を、該環状化可能なプローブの該リンカー領域に組み込む。次いで、このHSAMアッセイを上記のように、かつ図15に記載のように、リガンド結合分子およびシグナルプローブを添加して、大きな複合体を形成し、洗浄し、次に該複合体を検出することによって実施する。核酸の検出法は、当分野には公知であり、例えばEssers等, J. Clin. Microbiol., 1980, 12: 641に記載されているような、ラテックス凝集法を包含する。HSAMと組合せた環状化可能なプローブの使用は、その場でのハイブリッド化にとって特に有用である。
【0027】
HSAMは、また抗体または抗原の検出にとっても有用である。リガンド-含有抗原または抗体は、夫々対応する抗体または抗原と結合するのに使用する。洗浄後、過剰のリガンド結合分子を、リガンド-標識した一般の核酸プローブと共に添加する。大きな複合体を生成し、上記のように検出することができる。好ましい一態様において、該リガンドはビオチンであり、かつ該リガンド結合分子はストレプタビジンである。ビオチン処理した抗体およびビオチン処理したシグナルプローブを利用して、抗原を検出するためのHSAMの利用を、図11に示す。
本発明の方法は、臨床診断研究室により、検査の目的で得た日常的な臨床サンプルについて利用できる。この方法で使用可能なサンプルは、特に全血、分離白血球、痰、尿、組織の生検、喉の拭い液等、即ち通常分析のために臨床研究室に送られてくる、あらゆる患者サンプルを含む。
【0028】
本発明の結合-依存性増幅法は、特にホルマリン固定された、パラフィンに埋設された(FFPE)検体におけるターゲット配列を検出するのに有用であり、またFFPE検体におけるターゲットRNA配列を検出するための、公知の方法、即ち逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法の欠点を解消する。RT-PCRは、変動する検出感度を持つが、これはホルマリン固定中の、RNA-RNAおよびRNA-タンパク架橋の生成が、逆転写酵素の該プライマーの拡張を阻害しているためであると考えられる。本発明の方法において、該プローブは、架橋の変わりに該ターゲットとハイブリッド化することができ、逆転写は、必要とされず、該ターゲット配列ではなく、寧ろ該プローブが増幅される。従って、本発明の方法の感度は、架橋の存在によって低下されることはない。RT-PCRと関連する本発明の方法の利点を、模式的に図12に記載する。
サンプル中のターゲット核酸の磁気分離およびターゲット-依存性検出を、一般的模式的に与えている、図2を参照すると、本発明の方法のこの局面は、以下の諸段階を含む:
【0029】
(a) 第一の段階は、血清等の分析すべきサンプル中に存在する、ターゲット核酸の捕獲または単離である。マイクロウエルプレート内で実施するのに適した分析用の、適当なサンプルのサイズは、約100μlである。本発明の方法による、サンプルの分析のための、マイクロウエルプレートの使用は、この方法の自動化を簡略化する。病原性の微生物またはウイルスもしくは異常な遺伝子を含むものと思われるサンプルを、カオトロピック試薬(即ち、化合物中の水素結合を破壊する薬物)、安定剤および該サンプル中に存在するあらゆる核酸およびタンパク質を放出させる洗浄剤を含む、等体積の溶解バッファーと共にインキュベートする。例えば、本発明の方法で使用するのに適した溶解バッファーは、2.5-5 Mのグアニジンチオシアネート(GnSCN)、10%デキストランサルフェート、100 mMのEDTA、200 mMのTris-HCl (pH8.0)および0.5% NP-40 (MO、セントルイスのシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)から入手できるノニデット(Nonidet) P-40、即ちノニオン性洗浄剤N-ラウロイルザルコシン)を含む。該バッファー中の、カオトロピック試薬としてのGnSCNの濃度は、該微生物またはウイルスの病原性に関与するタンパク質および他の分子を変性する作用をも併せ持つ。このことは、病原体を含むサンプルの、後の取り扱い中に起こる可能性のある、あらゆる偶発的な感染の可能性を回避するのに役立つ。
【0030】
該溶解バッファーによる処理と同時に、または該処理に先立って、該リガンド結合部分で被覆された常磁性粒子またはビーズを、該サンプルに添加する。本発明の方法で使用する、該常磁性粒子またはビーズは、水素化珪素で被覆された著しく複雑な表面を持つ、酸化第二鉄粒子(一般に、<1μmなる径を持つ)を含む。該リガンド結合部分は、該水素化珪素と共有結合により結合している。該常磁性粒子またはビーズは、それ自体磁性をもたず、一緒に凝集することはない。しかし、磁場内に置かれた場合には、これらは該磁気源に付着する。従って、該常磁性粒子またはビーズは、これらと結合する何らかの物質と共に、磁気分離デバイスによって与えられた強力な磁場の存在下に、該反応容器を置くことによって、混合物の他の成分から分離することができる。このようなデバイスは、例えばプロメガ社(Promega Corporation)またはストラタジーヌ社(Stratagene, Inc.)から市販品として入手できる。
【0031】
本発明の方法で使用するのに適した常磁性ビーズは、ビオチンと結合する、ストレプタビジンで被覆されたものである。このようなビーズは、幾つかの供給元から得られ、例えばプロメガ社から入手できるストレプタビジンマグネスフェア(Streptavidin MagneSphereTM)常磁性粒子およびCA、ラミラダのアメリカンカレックス(American Qualex)から入手できるストレプタビジン-マグネチックビーズ(Streptavidin-Magnetic Beads) (カタログ#MB002)等がある。
引き続き、上記のように一対のオリゴヌクレオチド増幅プローブを、該溶解サンプルおよび常磁性ビーズに添加する。一変法では、これらプローブおよび常磁性ビーズは、同時に添加することができる。上記のように、これら2つのオリゴヌクレオチドプローブは、第一プローブ、即ちその3'末端にリガンドを含む、(図1において捕獲/Amp-プローブ-1と称呼する)捕獲/増幅プローブおよび第二プローブ、即ち増幅プローブ(図1にAmp-プローブ-2と称呼する)である。ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと共に使用するためには、該第一プローブは、3'-ビオチン化捕獲/増幅プローブであることが好ましい。
【0032】
これらプローブは、核酸合成装置を使用する、標準的なホスホロアミダイト技術を通して、公知の自動化されたオリゴヌクレオチド合成技術により、ヌクレオシドトリホスフェートから合成できる。このような合成装置は、Applied Biosystems, Inc. (CA、フォスターシティー)から入手できる。
該オリゴヌクレオチドプローブ各々は、長さ約40-200ヌクレオチド、好ましくは長さ約50-100ヌクレオチドであり、これは該プローブの結合後に、長さ約80-400、好ましくは100-200ヌクレオチドなる長さをもつ結合増幅配列を与え、これはPCR、QβレプリカーゼまたはSDA反応を介する増幅に対して適している。
該プローブのターゲット核酸特異的部分、即ち該第一捕獲/増幅プローブの5'末端および該ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して相補的な、該第二増幅プローブの3'末端は、各々約15-60ヌクレオチド、好ましくは約18-35ヌクレオチドなる長さをもち、これは該プローブと該ターゲット核酸との十分なハイブリッド化にとって十分な長さを与える。
【0033】
該プローブの包括的な部分、即ち該ターゲット核酸に対して相補的ではない、該捕獲/増幅プローブの3'末端および該増幅プローブの5'末端に関連して、特に以下の考察が、当てはまる:
(1) オリゴヌクレオチド捕獲/増幅プローブの包括的なヌクレオチド配列は、長さ約6ヌクレオチドの、少なくとも一つの、好ましくは2〜4個の制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含み、これは、必要ならば以下に論じるような特異的制限エンドヌクレアーゼにより、該常磁性ビーズから該結合増幅配列を開裂するのに使用できる。好ましい制限サイトは、特にEcoRI(GAATTC)、SmaI(CCCGGG)およびHindIII(AAGCTT)を包含する。
【0034】
(2) 該包括的なヌクレオチド配列は、G-Cに富む領域を含む。該領域は、プライマーとハイブリッド化した際に、以下に記載するように、より安定な二重螺旋分子、例えば変性のために高温度を要する分子を与える。該捕獲/増幅および増幅プローブのG-Cに富む包括的部分を含む結合された増幅配列は、二段階温度PCR反応を利用して増幅でき、この技術では、プライマーハイブリッド化および拡張両者を、約60-65℃(PCR増幅のために通常使用される37℃なるハイブリッド化温度に対して)なる温度で実施され、また以下に論じるように、約92℃における変性を含む。このような2種の反応温度の利用は、各PCR反応サイクルの長さを短縮し、かつより短縮されたアッセイ時間をもたらす。
該プローブ、磁性ビーズおよびターゲット核酸の、約37℃なる温度での、溶解バッファー中での約30-60分間のインキュベートの後、該ターゲット核酸およびハイブリッド化されたプローブを含む3成分複合体が生成され、これは該リガンド(例えば、ビオチン)の結合を介して、該捕獲/増幅プローブ上の常磁性ビーズおよび該常磁性ビーズ上のリガンド結合部分(例えば、ストレプタビジン)と結合する。この方法は、以下のようにして行われる:
【0035】
(a) ターゲット核酸-プローブ-ビーズを含むこの複合体を、次に該ビーズを引き付ける、磁気デバイスによって発生した磁場によって、該溶解バッファーから分離する。この磁場は、該複合体を該反応容器、例えばマイクロウエルプレートまたはマイクロチューブの壁に維持するために使用され、結果としてターゲット核酸およびハイブリッド化プローブのかなりの部分を失うことなしに、例えばデカンテーションによって、該溶解バッファーおよびあらゆる未結合の反応試薬の除去を可能とする。次いで、この複合体を、磁場の存在下で、カオトロピック試薬および該複合体を分解する恐れのない量の洗浄剤を含むバッファーで2-3回洗浄する。本発明の方法で使用するのに適した適当な洗浄バッファーは、約1.0-1.5 MのGnSCN、10 mMのEDTA、100 mMのトリス(Tris)-HCl (pH 8.0)および0.5%のNP-40 (MO、セントルイスのシグマ社から入手できるノニデットP-40ノニオン性洗浄剤)を含む。他のノニオン性洗浄剤、例えばトライトン(Triton) X-10を使用することも可能である。このバッファーによる洗浄は、後の段階を妨害する恐れのある、未結合のタンパク質、核酸およびプローブを除去する。次にこの洗浄した複合体を、KClの溶液で洗浄して、該GnSCNおよび洗浄剤を除去し、かつ該複合体を保存する。KClの適当な濃度は、約100〜500mMKClである。あるいは、このKCl洗浄段階は、リガーゼバッファーを用いた2回の洗浄により、省略することができる。
【0036】
(b) 該プローブを一緒に結合する場合、本発明の方法の次の段階は、段階(a)からの該複合体を該2つのプローブを結合するであろう結合剤で処理する。この結合剤は、DNAまたはRNAリガーゼ等の酵素、あるいはシアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学試薬であり得る。これは、該第一オリゴヌクレオチドプローブの5'末端と、第二オリゴヌクレオチドプローブの3'末端とを結合(夫々、捕獲/増幅プローブおよび増幅プローブ)して、ここで結合(された)増幅プローブと呼ぶ、連続の官能性一本鎖オリゴヌクレオチド分子を形成する。(Amp-プローブ-2の5'-末端におけるシグナル発生部分を介して)検出された該結合増幅配列の存在は、間接的に該サンプル中のターゲット核酸の存在を示す。この結合増幅配列は、PCRまたはSDA等の様々な増幅系の何れに対しても、その鋳型として機能する。処理後に未結合状態を維持する該第一および第二プローブの何れも、本発明による方法の後の段階において増幅されない。
【0037】
捕獲/増幅および増幅オリゴデオキシヌクレオチドプローブは、DNAまたはRNAリガーゼ等の適当な結合剤を用いて結合できる。あるいはまた、該結合剤は、シアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学試薬であっても良い(Sokolova等, FEBS Lett., 1988, 232: 153-155)。好ましいDNAリガーゼは、PCR技術を用いて増幅に付されるプローブに対しては、T4 DNAリガーゼおよび熱安定性Taq DNAリガーゼを含み、後者が最も好ましい。このTaq DNAリガーゼ使用の利点は、これが高温(65-72℃)において安定である点にある。このような高温度における該オリゴヌクレオチドプローブの結合は、非-特異的な結合を減じる。好ましくは、この結合段階は、高温度(約65-72℃)にて30-60分間行い、この時間の経過後、場合によって、あらゆる未結合の第二増幅プローブ(図1におけるAmp-プローブ-2)を、変性条件下で除去することができる。
【0038】
変性は、該結合段階後に、TEバッファー(10 mMのトリス-HCl (pH 7.5)、0.1 mMのEDTA)を該混合物に添加することにより行う。次いで、この混合物の温度を、約1-5分間約92-95℃まで高めて、該ハイブリッド化した核酸を変性する。この処理は、該ハイブリッド化され、結合された増幅配列から、該ターゲット核酸(および未結合のAmp-プローブ-2)を分離し、ここで該ターゲット核酸は該常磁性ビーズと結合状態に保たれる。上記のように、磁場の存在下で、該結合状態にある結合増幅配列を、高温にてTEバッファーで洗浄して、変性されたターゲット核酸およびあらゆる未結合のAmp-プローブ-2を除去し、更なる分析のためにTEバッファーに再懸濁する。
(c) この方法の第三段階は、該結合増幅配列の検出であり、その検出は、元のテストサンプルにおける該ターゲット核酸の存在を示す。該サンプル中に、あるいは該結合増幅配列の増幅後に、十分なターゲット核酸(約106-107分子)が存在する場合には、PCRまたはSDA等の種々の増幅技術を利用して、この検出を直接行うことができる。例えば、急性感染AIDS患者由来の血清サンプル中の、HIV-1 RNAを検出するのに、直接検出法を利用できる。このような血清サンプルは、該サンプル1ml当たり該ウイルスRNA約106コピー個の複製体なる濃度で含むものと考えられている。
【0039】
直接的な検出のために、上記のように該結合増幅配列の、該Amp-プローブ-2部分の5'末端に対して相補的であるように、自動合成により調製した、約10-15ヌクレオチドなる長さのオリゴヌクレオチド検出プローブは、該常磁性ビーズに結合した、該結合増幅配列に添加することができる。放射性同位元素、色素産生試薬または蛍光剤等のシグナル発生部分で標識された、該検出プローブが該結合増幅配列とハイブリッド化できるのに十分な時間並びに条件下で、該プローブを該複合体と共にインキュベートする。このインキュベーション時間は、約1-60分なる範囲であり得、また約4-60℃なる範囲の温度にて行うことができる。好ましくは、該ラベルが蛍光発生剤である場合、該インキュベーション温度は約4℃であり得、色素産生剤の場合には、約37℃であり、また放射性同位元素の場合には、約37-60℃である。好ましいシグナル発生部分は、特に32P (放射性同位元素)、パーオキシダーゼ(色素産生剤)およびフルオレセイン、アクリジンまたはエチジウム(蛍光剤)を包含する。
【0040】
あるいはまた、上記のような直接検出のためには、該Amp-プローブ-2を、場合によりその5'末端において、32P等のシグナル発生部分で標識することができる。次いで、このシグナル発生部分を、該捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2の結合に続き、該結合増幅配列内に組み込む。このように、該ターゲット核酸の存在を示すための、該結合増幅配列の直接検出は、結合並びに洗浄後即座に行うことができる。
該結合増幅プローブに直接結合したまたは該検出プライマーを介して、これとハイブリッド化された、該シグナル発生部分を検出するためのあらゆる適当な技術が、利用可能である。このような技術は、当分野において公知の、シンチレーション計数(32Pに対して)および色素産生または蛍光発光検出法を含む。例えば、適当な検出法は、特にSambrook等の「分子クローニング-アラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989);「Methods in Enzymology」, 1987, Vol. 152, アカデミックプレス刊;またはWu等, 組換えDNA法(Recombinant DNA Methodology), 1987,アカデミックプレス刊に見出すことができる。
該元のサンプル中に不十分な量(<106分子)のターゲット核酸が存在する場合、増幅系を利用して、検出のために、該結合増幅配列を増幅することができる。
【0041】
例えば、本発明の方法で使用する該プローブが、オリゴデオキシリボヌクレオチド分子である場合、PCR法を利用して、公知技術により、該結合増幅配列を増幅することができる(例えば、PCR Technology, H.A. Erlich編、ストックトンプレス(1989);Sambrook等の「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989)を参照のこと)。増幅のためにPCRを利用する場合、2種のプライマーを使用し、その第一のプライマーは、該結合増幅配列の捕獲/Amp-プローブ-1領域の包括的な3'末端に対して相補的であり、またその第二のプライマーは、その配列において、該結合増幅配列のAmp-プローブ-2の包括的な5'末端に対応する。これらプライマーが結合している該プローブの配列と同様に、これらプライマーは、包括的であるように設計され、また該ターゲット核酸の配列とは無関係に、あらゆるアッセイにおいて使用できる。該第一のプライマーは、該結合増幅配列の3'末端における包括的な配列にアニールするように設計され、また該第二プライマーが、その配列において、該結合増幅配列の5'末端における包括的な配列と対応するので、包括的なプライマーを利用して、あらゆる結合増幅配列を増幅することができる。
【0042】
あるいはまた、該結合増幅配列の該捕獲/AMP-プローブ-1領域の包括的3'末端および該結合増幅配列の該AMP-プローブ-2領域の包括的5'末端に対して相補的となるように設計された多数のプライマーを使用して、これら両末端間の配列と共に、結合増幅配列を増幅することができる。ここに記載する実施例において明らかにされるように、プライマー数の増大は、増幅効率を実質的に高め、結果的にDNA検出の感度を高めることが立証された。
本発明の方法で使用する、PCRオリゴヌクレオチドプライマーの包括的な対は、該オリゴヌクレオチドプローブの合成について上で論じたように、公知の自動化合成技術によって、ヌクレオチドトリホスフェートから合成できる。これらプライマーは、10-60ヌクレオチドなる長さをもつものであり得る。好ましくは、該オリゴヌクレオチドプライマーは、約18-35ヌクレオチドなる長さをもつものであり得、12-21ヌクレオチドなる長さをもつものが最も好ましい。該プライマー対は、夫々該第一捕獲/増幅プローブおよび第二増幅プローブの包括的部分と相補的となるように設計され、従って、高いG-C含有率を持つ。該プライマーを、これらが如何なる第二の構造をも持たないように、即ち各プライマーが自己アニール性に導く、それ自体の内部に相補領域を全く含まないことも好ましい。
【0043】
該包括的PCRプライマーおよび該結合増幅配列の包括的部分の、上記した高いG-C含有率は、通常の3温度法ではなく、寧ろ2温度でのPCR反応の実施を可能とする。一般に、3温度法においては、増幅の各サイクルは、以下のようにして行われる:
-該プライマーの該結合増幅配列へのアニールは、約37-50℃にて行い、ヌクレオシドTaqポリメラーゼによる該プライマー配列の拡張は、約70-75℃にて行い、また該拡張プライマーを遊離する変性段階は、約90-95℃にて行う。この2温度PCR技術において、該アニールおよび拡張段階は、両者共に約60-65℃にて行い、このようにして各増幅サイクルの長さを減じかつより短時間のアッセイ時間をもたらす。
例えば、適当な3温度PCR増幅(Saiki等, Science, 1988, 239: 487-491に与えられている)は、以下のようにして実施できる:
【0044】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、0.01〜1.0 ng の鋳型結合増幅配列、10〜100 pMの各包括的プライマー、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(プロメガ社)、0.2 mMのdATP、0.2 mMのdCTP、0.2 mMのdGTP、0.2 mMのdTTP、15 mMのMgCl2、10 mMのトリス-HCl (pH9.0)、50 mMのKCl、1μg/mlのゼラチン、10μg/mlのトライトンX-100を含む、約25-50μlのサンプル中で行う(Saiki, 1988)。反応は、94℃にて1分間、約37〜55℃にて2分間(該プライマーの同一性に依存して)、および約72℃にて3分間インキュベートし、30-40サイクル、好ましくは35サイクル繰り返す。各反応液の4μlのアリコートを、2%アガロースゲルによる電気泳動で分析し、該サンプル中のDNA製品を、エチジウム-ブロミドによる該ゲルの染色によって可視化する。
上で論じたように、2温度PCR技術は、2つの温度ではなく、単一の温度にて、例えば約60-65℃にて約5分間、該アニール/拡張段階を実施する点においてのみ異なっている。
【0045】
また、図2を参照すると、競合的PCRアッセイを利用して、該ターゲット核酸の定量的検出を行うことも可能である。このような定量的な検出のためには、一般に上記のように合成される、オリゴデオキシリボヌクレオチド放出プライマーが、該常磁性ビーズと結合した、結合増幅配列に添加される。該放出プライマーは、上で論じた第一PCRプライマーであっても、そうでなくても良いが、好ましくは該プライマーと同一である。この放出プライマーは、該結合増幅配列の、該捕獲/Amp-プローブ-1の包括的な3'末端とハイブリッド化するように設計されており、これは上記のように、少なくとも一つの、好ましくは2-4個の制限エンドヌクレアーゼによって識別され、少なくとも一つの、好ましくは2-4個の二本鎖制限酵素開裂サイト、例えばEcoRI、SmaIおよび/またはHindIIIサイトを形成するヌクレオチド配列を含む。
この点に関連して、定量的PCR増幅および検出系で使用するためには、該捕獲/Amp-プローブ-1を、該プローブの3'末端に位置する制限酵素により識別される、少なくとも一つの、好ましくは2-4個のヌクレオチド配列を用いて合成することが重要である。これにより該ヌクレオチド配列が与えられ、該放出プライマーが、この配列と結合して、二本鎖制限酵素開裂サイトを形成する。
【0046】
該第一および第二プローブを結合して、該結合増幅配列を生成した後、該放出プライマーを該結合増幅配列とハイブリッド化する。少なくとも一つの制限酵素、例えばEcoRI、SmaIおよび/またはHindIIIを、次にこのハイブリッド化したプライマーおよび結合増幅配列に添加する。該結合増幅配列は、該制限酵素サイト、例えばEcoRIサイトにおける開裂によって、該ビーズから遊離される。
該配列の該ビーズからの遊離に伴って、該結合増幅配列は順次希釈され、次いで上記のように適当なPCR増幅技術を用いた該DNA Taqポリメラーゼによって、定量的に増幅される。
該サンプル中の元のターゲット核酸の定量は、例えばSambrook等の「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989)に与えられているように、該結合増幅配列を定量的に増幅するための、競合的PCR法によって行うことができる。
【0047】
一般に、この方法は、2つの鋳型、即ち一連の増幅反応において既知量で添加される、該結合増幅配列およびコントロール(例えば、該結合増幅配列の該包括的部分または挿入された、該ターゲット核酸の配列とは無関係な、ヌクレオチド配列を持つ包括的な部分)の同時-増幅を含む。これらコントロールおよび結合増幅配列は、同一の包括的PCRプライマー対によって増幅されるが、該コントロール鋳型は、例えばサイズにおいて異なることから、該結合増幅配列から識別される。該コントロールおよび該結合増幅配列の鋳型は同一の増幅反応中に存在し、また同一のプライマーを使用しているので、この増幅反応の効率に影響するであろう変数の数の作用は、本質的に無効とされる。このような変数は、特に(1) 試薬の量および濃度(Taq DNAポリメラーゼ、プライマー、鋳型、dNTP)、(2) 変性、アニールおよびプライマー拡張のために使用する条件、(3) 反応温度の変更速度および(4) 該オリゴヌクレオチドプライマーのプライミング(priming)効率を含む。これら2つの増幅された生成物、即ち結合された増幅配列およびコントロール鋳型の相対的な量は、該出発時の鋳型の相対的な濃度を反映している。
【0048】
この定量的なPCR法は、一般に以下のようにして実施される:
1. コントロール鋳型、例えばナノ変異(nanovariant)RNAに対応するDNA配列、即ちQβレプリカーゼ(Schaffner等, J. Mol. Biol., 1977, 117: 877-907)の天然の鋳型は、自動化オリゴヌクレオチド合成法により合成されまたその濃度は、例えば分光光度法またはエチジウム-ブロミド媒介蛍光法によって測定される。
2. 10 ng/ml〜1 fg/mlの該コントロール鋳型を含む、一連の10倍希釈物(TEバッファー中)を製造し、使用するまで-70℃にて保存する。
3. 該遊離状態の結合増幅配列に係る一連のPCR増幅反応を生じさせる。通常のPCR成分に加えて、これら反応は、約10μl/反応なる該コントロール鋳型の10倍希釈物および約10μCi/反応なる[α-32P] dCTP (Sp.act. 3000 Ci/mM)を含む。
4. PCR増幅反応は、所定のサイクル数、例えば30-40回に渡り実施する。
【0049】
5. 次に、これら反応生成物を、アガロース電気泳動およびオートラジオグラフィーに掛けて、これら2つの(サイズの異なる)増幅生成物を分離する。該コントロールおよび結合増幅配列の増幅されたバンドを、適当な技術を利用して該ゲルから取り出し、また各バンドに見られる放射能を、シンチレーションカウンターにより計数することで測定する。これら2つの生成物の相対的な量を、各バンドにおける放射能の量に基いて算出する。これら2つのサンプル内の放射能の量は、該2種の生成物の分子量における違いに関して相関性である必要がある。
6. これら反応を、コントロール鋳型のより狭い濃度範囲を用いて反復し、結合増幅配列の濃度をより良好に評価することが可能である。
【0050】
本発明の他の局面においては、2つ以上のプローブ、即ち単一の捕獲/増幅プローブ、および単一の増幅プローブを使用できる。例えば、1以上の捕獲/増幅プローブおよび1以上の増幅プローブを、該ターゲット核酸の検出並びに捕獲において、また図4および5に模式的に示したような該ターゲット配列の随意の増幅において使用できる。本発明のこの局面によれば、該捕獲/増幅プローブは、該ターゲット核酸に対して相補的な3'配列および該ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できる、その5'末端におけるビオチン部分を持つことができる。また、該捕獲/増幅プローブは、該ターゲット核酸に対して相補的な5'配列およびその3'末端におけるビオチン部分を含むことができる。
【0051】
本発明のこの局面によれば、更に各プローブが、該ターゲット核酸と特異的に相補性かつハイブリッド化可能な配列を含むように、1種以上の増幅プローブを使用する。例えば、一つの増幅プローブ、例えば図4のAmp-プローブ-2(HCV A) の5'末端は、該ターゲット核酸の異なる部分に対して相補的な配列を含む。第二の増幅プローブ、例えば図4のAmp-プローブ-2A (HCV A) の3'末端は、該第一増幅プローブに対してハイブリッド化可能な、該ターゲット核酸の部分に直ぐ隣の該ターゲット核酸の領域に対して相補的な特異的配列を含む。該捕獲/増幅プローブおよび該増幅プローブ対は、上記のようにGnSCNの存在下で、該ターゲット核酸とハイブリッドを形成する。このように生成した複合体は、該捕獲/増幅プローブ上のビオチン部分によってストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと、また上記のような磁気分離によって、未反応成分から分離された該複合体と結合する。次に、この増幅プローブは、例えばリガーゼ酵素により結合することができる。これにより、PCRによる増幅反応中の、Taq DNA ポリメラーゼに対する鋳型として機能する、結合された増幅配列を製造する。
【0052】
本発明の一特別な局面では、2またはそれ以上の捕獲/増幅プローブおよび2対の増幅プローブを、該ターゲット核酸を検出するために使用する。
多数の捕獲/増幅プローブの使用は、より一層良好な捕獲効率をもたらし、包括的な(generic)捕獲プローブによる多数のターゲットの捕獲を可能とする。これは、特に単一の反応系中に多数のターゲットを検出できる、多重PCR反応にとって望ましい。
例えば、本発明の方法で使用する捕獲/増幅プローブは、細胞性mRNAのpoly-Aテール領域と結合し、このような全てのmRNAを、単一の捕獲-洗浄段階で単離できるように設計することが可能である。後のPCR増幅は、このようなmRNAプールから、特異的病原性または疾患遺伝子配列を検出し、かつ増幅するように設計することができる。このような遺伝子は、特に嚢胞性線維症貫膜調節タンパク質(CFTR)または遺伝性疾患に関与するヘモグロビンまたは他のタンパク質をコードする遺伝子を含むことができる。
【0053】
更に別の本発明の局面では、該多数の捕獲/増幅プローブは、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)等の特定の病原体のあらゆる株を標的としており、また増幅プローブは、該病原体(例えば、HCV)の個々のHCV遺伝子型を検出し、かつ更に同定するように設計することができる。
更なる態様では、例えば図4に示されたように、2つの捕獲/増幅プローブを使用する。これは、単一の捕獲/増幅プローブの2倍ほどの長いものであり得る、該ターゲット核酸に対して相補的かつハイブリッド形成可能な、該捕獲/増幅プローブの全特異的配列を与え、結果的により一層高い捕獲効率をもたらす。
例えば図4に示されているような、捕獲/増幅プローブの対は、各々該ターゲット核酸に相補的な3'配列およびその5'末端における、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できるビオチン部分を有する。あるいはまた、該捕獲/増幅プローブの対は、各々該ターゲット核酸に相補的な5'配列およびその3'末端における、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できるビオチン部分を有する。
【0054】
更に、該結合ターゲットプローブがPCRによって増幅される、本発明の方法は、図13に示され、多重LD-PCRと呼称されている、単一の反応における多数のターゲットの検出を可能とする。ターゲット核酸の従来技術によるPCR増幅法では、単一の反応容器内での、多数のプライマー対による、多数のターゲットを検出する試みは、変動するプライマーの効率およびプライマー対間の競合のために、制限される。これに対して、本発明の方法では、各捕獲/増幅プローブは、ターゲット特異的領域と包括的領域とをもつ。本発明による多重LD-PCR法では、該PCRプライマーが結合している該包括的領域は、あらゆる捕獲/増幅プローブに共通のものであり得る。従って、多数のターゲットに対して特異性を持つ捕獲/増幅プローブの多数の対を使用できるが、包括的PCRプライマー一対のみが、該結合捕獲/増幅プローブの増幅のために必要である。これら捕獲/増幅プローブの該ターゲット特異的領域の長さを変えることによって、特定のターゲットに対応する増幅されたPCR生成物を、サイズに基いて同定することができる。
【0055】
このPCR生成物は、また酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により同定することもできる。このPCR生成物は、増幅中に、ジゴキシゲニン等の抗原で標識できる。次いで、この標識したPCR生成物を、該増幅プローブの該ターゲット特異的領域とハイブリッド形成する、核酸プローブを上部に持つ、マイクロタイタープレート上に捕獲する。該領域は、該増幅された生成物中に存在する。次いで、該標識された捕獲生成物を、該抗原ラベルに対する酵素結合抗体、例えばホースラディッシュパーオキシダーゼ抗-ジゴキシゲニン抗体および該マイクロタイタープレートの各ウエルに対するカラー指示薬を添加することによって、検出することができる。各ウエルの光学密度は、PCR生成物の量に関する尺度を与え、この量はまた元のサンプルにおける該ターゲット核酸の存在を示す。
【0056】
更に別の態様では、本発明は、単一の増幅性の「完全な長さのプローブ」および図6に示す1種以上の捕獲/増幅プローブを使用できる。更に、HCV RNA等の該ターゲット核酸を含む、該ハイブリッド化された核酸の二重螺旋、並びに該捕獲/増幅プローブおよび増幅配列とも呼ばれる完全長さの増幅プローブは、該ハイブリッド化された二重螺旋分子を、RNAアーゼHで処理することにより、該磁性ビーズから遊離できる。また、DNA等の該ターゲット核酸を含む該ハイブリッド化された二重螺旋並びに該捕獲/増幅プローブおよび完全長さの増幅プローブは、該ハイブリッド化された二重螺旋分子を、上記のような適当な制限酵素で処理することにより、該磁性ビーズから遊離することができる。
完全長さの増幅プローブを使用してターゲット核酸配列を検出する場合、上記のような結合段階を使用することなしに、PCR等の増幅反応において、このプローブを使用することができる。この後者の方法は、特に該アッセイを単純化し、また特に少なくとも104個のターゲット核酸分子が、該テストサンプル中で利用できる場合に有用であり、結果として結合独立検出反応における非-特異的結合の機会が減じられる。殆どの臨床的検出アッセイにおいて、該ターゲット核酸(例えば、病原体)は、サンプル1ml当たり>105個の分子なる密度で存在するので、この方法によって検出並びに増幅することを可能とする。
【0057】
本発明の更に別の態様は、図7に示すように、各々ビオチン部分を含む、1以上の捕獲/増幅プローブおよび増幅配列とも呼ばれ、該ターゲット核酸とハイブリッドを形成し、自由末端部の結合の際に環状化する、単一の増幅プローブを使用する。該増幅プローブは、該ターゲット核酸配列とハイブリッド形成可能な該プローブの相補領域(例えば、図7において太字で示された領域を参照)が、該プローブの各末端に位置するように設計できる(Nilsson等, Science, 1994, 265: 2085-2088に記載されている)。該プローブを該ターゲットとハイブリッド化した場合、その末端は相互に近接して配置され、リガーゼ酵素等の結合剤で結合した場合には、閉じた環状の分子を形成する。この環状分子は、次いで図7に示されたもの等のプライマーを使用して、PCR等の増幅段階中の、鋳型として使用することができる。この環状分子は、また以下に記載するように、RAMによって増幅し、あるいは以下に記載するように、改良HSAMアッセイにより検出できる。
【0058】
例えば、上記のプローブは、様々な遺伝子型の病原体、例えば血清検体由来のHCVの種々の遺伝子型を持つ病原体を検出するために利用できる。遺伝子型特異的プローブを、公開されたHCV配列(Stuyver等, J. Gen. Virol., 1993, 74: 1093-1102)に基いて、該ターゲット核酸内の突然変異を検出できるように設計することができる。というのは、このような突然変異は、(1) 該プローブと該ターゲット核酸との適当なハイブリッド形成、および(2) その後の、該プローブの環状分子への結合を妨害するであろうからである。以下で論じるように、該環状化プローブの性質のために、未結合のプローブは、厳格な洗浄条件下で除去することができる。
本発明の方法で使用する該単一の、完全な長さをもつ、結合-依存性の環状化可能なプローブは、該ターゲット核酸配列の検出並びに増幅の高い効率を与える。二本鎖核酸分子のへリックス形成特性のために、環状化プローブは、該ターゲット核酸ストランドの周りに巻き付けられる。該結合段階の結果として、該プローブは、連環化によって、該ターゲット分子と共有結合できる。これは、該プローブの該ターゲット分子への固定化をもたらし、厳格な洗浄条件に対して実質的に耐性のハイブリッド分子を形成する。これは、該アッセイ中の非-特異的シグナルの大幅な減少、より低いバックグラウンドノイズおよび該アッセイの特異性における増加をもたらす。
【0059】
本発明のもう一つの態様は、環状プローブを使用して、増幅方法における持込汚染物質およびバックグラウンドを減じる方法を提供する。従来の増幅法とは異なり、本発明の連結反応-依存性増幅方法は、該ターゲット核酸ではなく、寧ろ該結合されたプローブの増幅を含む。該結合プローブが、閉じた環状分子である場合、これはエキソヌクレアーゼ消化されやすい自由末端を含まない。プローブの結合、即ち環状化の後、該反応混合物のエキソヌクレアーゼによる処理は、「清浄化(clean-up)」段階を与え、かくして閉じた環状分子ではなく、未結合のプローブまたは洗浄DNAフラグメントを消化することにより、バックグラウンドおよび持ち込み汚染物を減じる。これら共有結合により結合した環状分子は、後の増幅および検出のために、完全な状態に保たれる。従来のPCRでは、一本鎖プライマーまたは持込DNAフラグメントを排除するための、エキソヌクレアーゼの使用は、該ターゲット核酸も分解される危険性をもたらす。本発明は、このような危険性を示さない。というのは、ターゲット核酸は、増幅されないからである。好ましい態様では、該エキソヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼVII、ヤエナリヌクレアーゼまたはヌクレアーゼBAL-31である。エキソヌクレアーゼは、連結反応後、かつ増幅前に該反応に添加され、また例えば37度にて30分間インキュベートされる。
【0060】
更に、本発明は、結合して、単一の共有結合により閉じられた環状プローブを形成し得る、多数のプローブを使用することも意図する。例えば、第一のプローブを、該ターゲットのある領域とハイブリッド形成するように選択する。第二のプローブは、その3'および5'末端を、該第一プローブの5'および3'末端と隣接するが、連続ではない該ターゲットの領域とハイブリッド化するように選択する。次いで、2つの連結反応が、共有結合により閉じられた環状プローブを得るために必要とされる。該プローブを共有結合により閉じるために、酵素並びに化学的リガーゼ等の2種のリガーゼを用いて、これら連結反応の順序を調節することができる。この態様は、単一ターゲット内の近接する2つの変異を同定するのに有用である。
この環状化プローブは、また大きなポリマーの生成により、増幅並びに検出することができる。該ポリマーは、該環状化プローブに沿ったプライマー1のローリングサークル拡張および下流側配列の置換を通して生成される。この段階は、多数の単位を含む一本鎖DNAを生成し、該DNAは図9および16に記載するような、後のPCRのための鋳型として機能する。ここに示したように、プライマー2は、該一本鎖DNAポリマーと結合することができ、同時に拡張して、上流側プライマーによる、下流側プライマーの置換を生じる。プライマー拡張/置換およびPCR両者を使用して、より検出性の高い生成物を、同一数のサイクルによって製造する。
【0061】
該環状化プローブは、また該HSAMアッセイを改良することによって、検出できる。図14に示されたこの方法において、該環状化可能な増幅プローブは、上で述べたように、該ターゲット核酸の隣接領域と相補的な3'および5'領域を含む。これら環状化可能なプローブは、また非-相補的な、または包括的なリンカー領域をも含む。このシグナル増幅法において、該環状化可能なプローブの該リンカー領域は、第一の包括的な、環状化可能なシグナルプローブ(CS-プローブ)の該3'および5'領域に対して相補的な、少なくとも一対の隣接領域を含む。該第一CS-プローブは、その3'および5'領域内に、該環状化可能な増幅プローブの該リンカー領域の、隣接領域と相補的な配列を含む。該環状化可能な増幅プローブの該ターゲット核酸との結合は、連結反応に引き続き、第一CS-プローブの該3'および5'末端との結合に利用できる該リンカー内に、ある領域を持つ、共有結合により結合した環状プローブを与える。該第一CS-プローブの添加は、その3'および5'領域の、該環状増幅プローブの該リンカーの相補領域との結合をもたらす。該第一CS-プローブの3'および5'領域は、該結合剤によって結合され、該閉じた環状の増幅プローブに結合した、閉じた環状のCS-プローブを形成する。該第一CS-プローブは、更に第二CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的であるように設計された、少なくとも一対の隣接する、連続な領域を含む、リンカー領域を含有する。
【0062】
該第二CS-プローブは、その3'および5'領域に、該第一CS-プローブのリンカー領域の該隣接領域に対して相補的な配列を含む。この第二CS-プローブの添加は、その3'および5'領域の、該第一CS-プローブリンカーの該相補領域との結合をもたらす。該第二CS-プローブの3'および5'領域を、結合剤によって結合し、閉じた環状のCS-プローブを形成し、これは更に該閉じた環状増幅プローブと結合する。
多数の相補領域の対を持つ、多数のCS-プローブを用いて上記方法を実施することによって、連鎖分子の大きなクラスタを、該ターゲット核酸上に形成する。好ましい態様では、3つのCS-プローブを用いる。該3'および5'領域に加えて、該CS-プローブ各々は、第二CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的な一対の相補領域および第三CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的な更に一対の相補領域を含む。本発明の方法において、これら「三価」のCS-プローブを用いることによって、図14に示すような連鎖(鎖状)分子のクラスタを製造する。
【0063】
該ターゲットとは結合していない非-特異的な連鎖反応生成物を除去するための徹底的な洗浄に引き続き、該ターゲット核酸を、該鎖状分子のクラスタを検出することにより検出する。これら鎖状分子は、該複合体を制限エンドヌクレアーゼで消化することにより容易に検出でき、この制限エンドヌクレアーゼでは、認識配列が、固有の様式で、各CS-プローブのリンカー領域に組み込まれている。制限エンドヌクレアーゼによる消化は、ポリアクリルアミドゲル上で可視化できる線状化された分子を与える。該CS-プローブに、検出可能な分子、例えばジゴキシゲニン、ビオチンまたは蛍光性分子を組み込み、抗-ジゴキシゲニン、ストレプタビジンまたは蛍光検出に従って検出することによって、他の検出方法を実施することができる。例えば、Essers等, J. Clin. Microbiol., 1980, 12: 641に記載されているような、ラテックス凝集を利用することも可能である。
更に、特定の応用において、上記のような該増幅プローブおよび/または増幅配列は、その場でのLD-PCRにおいて使用することができる。その場でのPCRは、ターゲットウイルス核酸の直接的な局在化および可視化のために利用でき、また更にウイルス感染と組織病理学的な発見との関連付けのために有用である。
【0064】
ターゲットウイルスRNA配列をアッセイするための従来の方法は、この目的のために、RT PCR技術を利用していた(Nuovo等, Am. J. Surg. Pathol., 1993, 17(7): 683-690)。この方法において、その場での逆転写によってターゲットウイルスRNAから得たcDNAは、このPCR法により増幅される。後の、該増幅されたcDNAの細胞内局在化は、該増幅cDNAと標識プローブとの、その場でのハイブリッド化、または該増幅反応中における、標識ヌクレオチドの、該DNAへの組み込みによって達成し得る。
しかし、該RT PCR法は、本発明によって解消できる欠点を持つ。例えば、サンプル組織を処理するのに使用する種々の組織固定液は、タンパク-RNAおよびRNA-RNA複合体等の、細胞核酸とタンパク質との架橋を生じ、このRT-PCRにおけるキー段階である、逆転写を隠蔽してしまう。その上、ターゲットRNAにおける二次構造も、逆転写を妨害する恐れがある。更に、単一細胞内の多数のターゲット配列を検出するための、RT PCR法への、多数回のPCRの適用は、各プライマー対の異なる効率のために、重大な問題を提示する可能性がある。
【0065】
本発明の方法は、上記のように1以上の増幅プローブおよび/または増幅配列およびその場でのターゲット核酸の局在化および検出のための、該LD-PCR技術を使用しており、これは該RT-PCR法を越える幾つかの利点をもたらす。第一に、該プローブとターゲット核酸とのハイブリッド化および該プローブ配列の後の増幅は、該RT-PCR法の該逆転写段階を排除するので、該ターゲットRNAの二次構造は、このアッセイの結果に影響を与えない。その上、上記のように、組織固定液によるターゲット核酸と細胞タンパクとの架橋は、プローブ配列の増幅を妨害しない。というのは、該RT-PCR法におけるような、該ターゲットRNAのプライマー拡張がないからである。
特に、本発明による増幅プローブは、その内部に共通のプライマー結合配列を持ち、ターゲット病原体の種々の遺伝子型の変異体を検出するように設計することができる。このことは、該アッセイによる、単一サンプル中の、多数のターゲットの検出を可能とする。例えば、また何等限定的なものではないが、このアッセイは、本発明に従って2以上のHCV RNAおよびβ-アクチンRNAを検出し、これにより該β-アクチンプローブは、このアッセイに対する内部コントロールとして機能する。
【0066】
更に、このプローブ内のプライマー-結合配列は、(1) 非-特異的プライマーのオリゴマー化を最小化し、(2) 優れたプライマー結合性およびPCR製品の高い収率を達成し、かくして該アッセイの感度を高めるように設計することができる。
該増幅プローブは、ターゲット核酸と結合した後環状化して、環状分子となるので、マルチマー(multimeric)生成物を、重合中に製造でき、そのため増幅生成物は、上記のように、また図9および16に記載のように、容易に検出することができる。
本発明によって、組織学的検体中のターゲット核酸を検出するための、その場でのLD-PCRアッセイは、完全な長さの増幅プローブに依存する連結反応を利用し、また以下の段階を含む。
凍結し、あるいはフォルマリンで固定しかつパラフィン中に埋設することのできる、肝臓等の組織サンプルは、シラン-被覆スライド上で裁断され、かつその上に配置される。これら切片をキシレンおよびエタノールで洗浄して、該パラフィンを除去する。次いで、これら切片を、タンパク分解酵素、例えばトリプシンで処理して、膜透過性を高めることができる。該切片を、更にRNAアーゼを含まないDNAアーゼで処理して、細胞性のDNAを除去できる。
【0067】
増幅プローブを適当なバッファー中に懸濁し、該スライド上のサンプル切片に添加し、該ターゲット配列とハイブリッド形成させる。好ましくは、このプローブは、20%のホルムアミドを含む2xSSC中に溶解し、該スライドに添加し、得られた混合物を、ハイブリッド化する目的で、37℃にて2時間インキュベートすることができる。DNAリガーゼを該サンプルに適用する前に、このスライドを2xSSCで一回および1xリガーゼバッファーで2回洗浄できる。好ましくは、1 U/20μlの該リガーゼ酵素を各スライドに添加し、また得られるこの混合物を、37℃にて2時間インキュベートして、該プローブの感化を行うことができる。このスライドを0.2xSSC(高厳密性のバッファー)および1xPCRバッファーで洗浄して、次の段階のPCRによる増幅前に、未結合のプローブを除去することができる。該増幅プライマーおよび1種以上の標識ヌクレオチドを含む、このPCR反応混合物を、該ターゲット配列の増幅のために、該スライド上のサンプルに添加する。該ヌクレオチド上のラベルは、特に32Pまたは3H等の放射性同位元素、フルオレセイン等の蛍光性分子色素産生分子またはおよび前に記載したようなパーオキシダーゼ等の酵素を包含する任意のシグナル発生成分であり得る。色素産生試薬が、例えば酵素結合色素産生アッセイによって、検出分析するために好ましい。
【0068】
更に好ましい局面において、ジゴキシニン(digoxinin)-標識ヌクレオチドを使用する。このような場合には、ジゴキシニン-標識ヌクレオチドで標識された該PCR生成物は、抗-ジゴキシニン抗体-アルカリホスファターゼ複合体と共にインキュベートした場合に検出可能となる。このアルカリホスファターゼを主成分とする比色的検出法は、ニトロブルーテトラゾリウムを使用し、これは5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートの存在下で、該プローブの増幅サイトにおいて、パープル-ブルーの沈殿を生じる。
本発明の一局面において、該その場での(現場)LD-PCR検出法の該連結反応および該PCR増幅段階は、同時にかつ高温にて、熱安定性のリガーゼ酵素を用いて実施し、該増幅プローブを環状化することができる。
【0069】
本発明によれば、現場LD-PCRの更なる態様は、HCV等の病原体の様々な遺伝子型の変異型を検出するように設計された、増幅プローブを利用でき、該プローブは、これら変異型の既知のHCV配列に基くものである(Stuyver等, J. Gen. Vir., 1993, 74: 1093-1102)。例えば、種々の型-特異的プローブを、該サンプルに一緒に添加し、HCV配列の検出および該プローブ配列の増幅を、上記のように現場LD-PCRによって実施することができる。次に、該増幅されたプローブ配列を、型-特異的内部プローブとの現場でのハイブリッド化により、個々の変異型の遺伝子型の存在につきアッセイし、ここで該内部プローブは、検出を簡略化するために標識されている。
本発明の幾つかの局面において、該ターゲット核酸配列は、上記のような様々な増幅プローブおよび/または増幅配列を用いて、これら配列の増幅なしに、直接検出することができる。このような局面においては、該増幅プローブおよび/または増幅配列を標識して、これらを検出可能なものとすることができる。
【0070】
本発明の一態様において、ここに記載する該RAM増幅法は、蛍光性プライマーと組み合わせたゲルマトリックス形式またはスライド形式で利用して、単一細胞内の異数染色体形成(aneusomy)またはその場での遺伝子突然変異を検出できる。ゲルマトリックス内への単一細胞の埋設は、ゲノム物質の喪失なしに、該細胞の酵素的処理、即ちDNAを遊離させるためのプロテイナーゼ消化を可能とする。該ゲルマトリックスは、また剪断損傷からDNAを保護し、かつ該細胞の元の三次元構成の維持を可能とする。
該プローブのハイブリッド化、連結反応および増幅は、ポリアクリルアミドまたはアガロース等のゲルマトリックス内で行うことができる(例えば、Dubiley等, Nucleic Acids Research, 1999, 27: i-ivを参照のこと)。プライマー拡張増幅および/またはその後の分岐増幅により生成する、大きなマルチマーアンプリコンは、蛍光顕微鏡により可視化することができる。該ゲルマトリックスは拡散を阻害するので、あらゆる正のシグナルは「ドット」として現れるであろう。あるいはまた、該結合したRAMプローブは、該ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)を利用して検出できる。
【0071】
結合依存性環状化可能なプローブを使用する本発明の態様において、得られる環状分子は、図19に示したような分岐-拡張増幅法(RAM)によって有利に増幅できる。RAMによる該環状化プローブの増幅は、等温条件下で、該環状化プローブの百万回の増幅を可能とすることによって、本発明の方法に更に利点を付加する。RAMを図19に示す。
RAMにおいて有用な、単一かつ完全な長さの結合依存性環状化可能なプローブは、その3'および5'末端に、該ターゲット分子の隣接かつ不連続の領域とハイブリッド化可能な領域を含む。該環状化可能なプローブは、該ターゲット核酸の一部と相補的かつこれとハイブリッド化可能な5'領域、および該プローブの該5'領域に対して相補的な該ターポリマーの部分に隣接する、該ターゲット核酸の一部と相補的かつこれとハイブリッド化可能な3'領域を含むように設計できる。該環状化可能なプローブの該5'および3'領域は、各々約20〜約35ヌクレオチドに相当する長さをもつことができる。好ましい態様では、該環状化可能なプローブの該5'および3'領域は、その長さにおいて約25ヌクレオチドである。該環状化可能なプローブは、更にリンカー領域と呼ばれる領域を含む。好ましい態様では、該リンカー領域は、その長さにおいて約30〜約60ヌクレオチドである。該リンカー領域は、該ターゲット配列と相補的でもハイブリッド化可能でもない、包括的配列で構成されている。
【0072】
RAMにより増幅するのに適した、該環状化可能なプローブは、上記の1以上の捕獲/増幅プローブと共に、本発明の方法において使用される。該環状化可能なプローブが該ターゲット核酸とハイブリッド形成する場合、その5'および3'末端は、並置されることとなる。結合剤による結合は、閉じた環状分子を形成する。
該閉じた環状分子の増幅を、該反応に第一拡張プライマー(拡張プライマー1)を添加することによって行う。拡張プライマー1は、該環状化可能なプローブの該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能であり、またその長さにおいて約15〜約30ヌクレオチドであることが好ましい。拡張プライマー1は、該プライマーを該閉じた環状分子近傍で拡張するのに十分な濃度の、dNTPおよびDNAポリメラーゼを添加することによって拡張される。円を一回転した、即ち該DNAポリメラーゼが該拡張プライマー1結合領域に達した際に、該ポリメラーゼは、該プライマーと該拡張された配列とを置換する。このように、該ポリメラーゼは、該閉じた環状のプローブに、連続的に「ロールオーバー」して、図19に示すように長い一本鎖DNAを生成する。
【0073】
RAMによる、該環状化されたプローブの増幅にとって有用なポリメラーゼは、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性をもたず、ストランド置換活性をもち、かつ少なくとも約1000塩基のプライマー拡張を可能とする任意のポリメラーゼであり得る。DNAポリメラーゼの(エキソ-)クレノーフラグメント、サーモコッカスリトラリス(Thermococcus litoralis) DNAポリメラーゼ(ベント(エキソ-) DNAポリメラーゼ、New England Biolabs)およびphi29ポリメラーゼ(Blanco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91: 12198)が好ましいポリメラーゼである。サームスアクアティカス(Thermus aquaticus (Taq)) DNAポリメラーゼも本発明の方法において有用である。文献における報告とは逆に、本発明によれば、Taq DNAポリメラーゼは、ストランド置換活性をもつことが分かっている。
該ポリメラーゼによる拡張プライマー1の拡張は、該環状化可能なプローブの配列と相補的な配列を持つ繰り返し単位を含む、長い一本鎖DNAを与える。該一本鎖DNAは、10Kbまでであり得、また例えば約20〜約100単位を含むことができ、各単位はその長さにおいて該環状化可能なプローブの長さに等しく、例えば約100塩基に相当する。RAMに代わるものとして、該ターゲットが豊富であるか、あるいは該一本鎖DNAが長い場合には、この段階において検出を行うことができる。例えば、該長い一本鎖DNAは、ポリアクリルアミドゲル上の大きな分子として得られるこの生成物を、可視化することにより、この段階で検出できる。
【0074】
RAMによる増幅の次の段階において、第二の拡張プライマー(拡張プライマー2)を添加する。拡張プライマー2は、好ましくはその長さは、約15〜約30ヌクレオチドである。拡張プライマー2は、拡張プライマー1が相補的である、該リンカー部分と重複しない、該リンカー領域の一部と同一である。従って、該長い一本鎖DNAの各繰り返し単位は、拡張プライマー2がハイブリッド化する結合サイトを含む。このように、該拡張プライマー2の多数のコピーが、図19に示すように、該長い一本鎖DNAと結合し、また該DNAポリメラーゼにより拡張される。このプライマー拡張性生物は、下流側プライマーを、これに対応する拡張性生物とを置換して、図19に示すような、多重置換一本鎖DNA分子を生成する。該置換一本鎖は、拡張プライマー1に対する結合サイトを含み、従って更なるプライマー拡張反応に対する鋳型として機能して、図19に示される多重分岐分子を生成する。この反応は、全てのDNAが二本鎖となった時点で終了する。
【0075】
RAMによって増幅されたこのDNAは、次にDNAを検出するための当分野において公知の方法によって検出される。RAMは指数関数的な増幅をもたらすので、得られる大量のDNAは、例えばゲル電気泳動およびエチジウムブロミド等による可視化によって、有利に検出することができる。該RMA拡張性生物は、該閉じた環状DNAから拡張された単位の数に依存して、サイズが異なっているので、該RAM生成物は、電気泳動した場合に、汚れ(smear)または梯子状のものとして現れる。他の態様において、該環状化可能なプローブは、固有の制限サイトを含むように設計され、また該RAM生成物は、対応する制限エンドヌクレアーゼにより消化されて、一単位の長さ、即ち該環状化可能なプローブの長さをもつ、大量の単一サイズのフラグメントを与える。該フラグメントは、ゲル電気泳動により単一のバンドとして、容易に検出できる。あるいは、ビオチンまたはジゴキシゲニン等のリガンドを、プライマー拡張中に組み込むことができ、またリガンド-標識された一本鎖生成物は、上記のように検出できる。
【0076】
該RAM拡張性生物は、例えばPCR生成物の検出に関して上記したように、ELISAを含む当分野で公知の他の方法で検出できる。
本発明の他の態様において、該RAMアッセイは、増幅性を高めるために改良される。一態様において、拡張プライマー2の添加に伴って、該反応温度を周期的に約95℃まで上げる。この温度の上昇は、二本鎖DNAの変性をきたし、拡張プライマー1および2の付随的な結合および付随的な拡張生成物の製造を可能とする。このように、PCRは、効果的にRAMと組み合わせて、図16に示すように、増幅性を高めることができる。
【0077】
もう一つの態様において、該拡張プライマー2(および該拡張可能なプローブの該リンカー領域の同等な部分)は、DNA-依存RNAポリメラーゼに対するプロモータ配列を含むように設計される。RNAポリメラーゼおよび対応するプロモータ配列は、当分野において公知であり、例えばMilligan等, Nucleic Acid Res., 1987, 15: 8783に記載されている。好ましい一態様において、該RNAポリメラーゼは、バクテリオファージT3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼである。該プロモータ配列、該対応するRNAポリメラーゼおよびrNTPを含む該拡張プライマー2の添加は、官能性プロモータを形成するための、拡張プライマー2と成長する一本鎖DNAとのハイブリッド化および該下流側配列のRNA多重コピーへの転写を可能とする。本発明の態様を図17に示す。この態様において、RAMおよび転写両者は、該プローブの有意の増幅を行うべく機能する。このRNAは、当業者には公知の方法、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動、放射性または非-放射性標識および検出法(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim))、またはシャープ(Sharp)検出アッセイ(ジゲン(Digene), Md.により検出できる。該RNAの検出は、該ターゲット核酸の存在を意味する。
【0078】
もう一つの態様において、拡張プライマー1および該環状プローブのリンカー領域の対応する部分は、そこに組み込まれた、DNA-依存RNAポリメラーゼプロモータ配列を持つように設計される。従って、拡張プライマー1が該環状化プローブと結合する場合には、官能性プロモータが形成され、該環状化プローブは、RNAポリメラーゼおよびrNTPを添加した際の、RNA転写用の鋳型として作用する。該下流側プライマーおよびそのRNA配列は、該RNAポリメラーゼによって置換され、大きなRNAポリマーを生成し得る。該RNAポリマーは、上記のように検出できる。あるいはまた、該環状プローブは、EcoRI等の制限酵素を添加することにより、一本鎖DNAに開裂することができる。該制限サイトは、図20に示したように、拡張プライマー1の5'末端に組み込まれる。
【0079】
上記方法において、RAM増幅は、該プローブを増幅するのに使用される。しかし、該Amp-プローブ-2設計の改良を、ターゲット配列の増幅のために利用できる。このような例において、該Amp-プローブ-2の3'および5'末端は、増幅すべき該ターゲット配列によって分離されている(図23)。該配列のサイズは、数個のヌクレオチドから数千個のヌクレオチドなる範囲であり得る。該プローブの3'末端および5'末端間のギャップは、5'-3'エキソヌクレアーゼおよび置換活性に欠ける、DNAポリメラーゼを用いて満たされるであろう。このようなポリメラーゼは、当業者には周知であり、T4 DNAポリメラーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性に欠ける変性されたポリメラーゼを含むが、これらに限定されない。該ターゲット核酸がRNAである場合、該プローブの3'末端および5'末端間のギャップは、逆転写酵素を用いて満たされる。拡張に続き、該ギャップは、リガーゼにより閉じられ、また該DNAの増幅は、長い一本鎖DNAを生成するように、拡張プライマー1を用いて行われる。第二のプライマー、即ち拡張プライマー2の添加は、上記のように、RAMによる該一本鎖DNAの増幅を可能とする。
【0080】
上記のように、本発明の方法は、感染性の病原性作用物質および正常な並びに異常な遺伝子を、特異的に検出するアッセイにおいて使用できる。本発明は、更に細胞内で発現される全ゲノムDNAまたはmRNAの一般的な増幅方法を提供する。このような方法の利用は、少数の細胞から、多量のDNAおよび/またはmRNAを生成するための手段を与える。このように増幅されたDNAおよび/またはmRNAは、次いで感染性作用物質を検出し、および正常な並びに異常な遺伝子を検出するために開発された技術において利用できる。
ゲノムDNAを増幅するために、ゲノムDNAサンプルを、当業者において周知の異なる様々な方法の何れかを利用して、細胞から調製する。一旦単離できたら、該ゲノムDNAサンプル選択された制限エンドヌクレアーゼで消化する。ゲノムDNAの消化に使用できる制限エンドヌクレアーゼは、例えば市販品として入手できる様々な酵素の何れかを含む。ゲノムDNAの消化後、二本鎖amp-プローブをこの反応系に添加する。このamp-プローブは、該消化されたゲノムDNAの制限エンドヌクレアーゼサイトと相補的な突出(protruding)配列を含む、約70-130ヌクレオチドを含む二本鎖DNAフラグメントである。該amp-プローブは、該ゲノムDNAをRAM増幅するのに使用される、多重プライマーサイトを含むように設計される。該DNAを消化するのに多数の制限エンドヌクレアーゼが使用される例において、多数のAmp-プローブが添加され、これは様々な制限サイトに対して相補的な突出サイトを持つ。このamp-プローブをアニールした後、リガーゼをこの反応系に添加して、該amp-プローブ配列と該フラグメント化したゲノムDNAとを結合する。この工程を多数回に渡り繰り返して、ゲノムDNAの完全な消化を保証する。
【0081】
本発明の一態様において、アダプターの自己-結合の可能性を減じるために、第一ストランドamp-プローブを、該消化されたゲノムDNAを含む反応系に添加し、該第一ストランドamp-プローブと該ゲノムDNAとを結合することができる。未結合の該第一ストランドamp-プローブを除去するための洗浄段階に続いて、該第一ストランドamp-プローブの相補性配列とハイブリッド化される、第二ストランドamp-プローブが添加される。該反応に対して二度目のリガーゼを添加し、各末端に結合された二本鎖amp-プローブを含む、ゲノムDNAフラグメントを与える。
該amp-プローブ配列の長さは、該DNAフラグメントの選択された制限エンドヌクレアーゼによる反復的消化および反復的なハイブリッド化、洗浄および結合段階によって増大し得る。該amp-プローブ反対側の端部は、制限エンドヌクレアーゼサイトを含むように設計されるので、該制限エンドヌクレアーゼによる消化は、結合するための該第一amp-プローブに対する新たなサイトを生成する。この工程を多数回に渡り繰り返して、該amp-プローブの長さを増大し、かくしてRAMプライマー結合サイト数を高めることができる。
【0082】
該amp-プローブの添加に続いて、該ゲノムDNAを変性し、かつ該amp-プローブ内の配列と結合するように設計されたRAMプライマーを添加する。この反応系にDNAポリメラーゼとdNPTとを添加し、RAM媒介増幅を開始する。この増幅反応で使用する該DNAポリメラーゼは、好ましくは強力な置換活性および高い処理性を持つもの、例えばφ29またはBst DNAポリメラーゼである。
本発明の一態様において、該消化されたゲノムDNAの末端への、amp-プローブの付加は、初めにゲルマトリックス内で行って、該DNAフラグメントの保全性を確保し、かつ全ての末端にamp-プローブ配列を含ませることが可能である。該増幅段階の効率は、該amp-プローブ配列内の利用可能なプライマー結合サイトの数に依存する。従って、効率的な増幅のためには、多数のプライマー結合サイトが、該amp-プローブ配列内で利用可能となるべきである。このDNAフラグメントは、該ゲルマトリックスから除去することができ、また後の増幅を、反応容器内で行うことができる。他のPCRに基く方法を越える、この一般的なゲノム増幅法の利点は、多数のサイクルを必要としないことであり、またこれは全てのDNAフラグメントの増幅を保証する。
【0083】
全mRNAも、この本発明のRAM技術を利用して、増幅することができる。細胞性のmRNAを、磁性ビーズ等の支持マトリックス上に、またはオリゴ(dT)捕獲/Amp-プローブ-1プローブを用いて、ニトロセルロース膜上に捕獲することを含むが、これに制限されない、RNAの単離について周知の方法を用いて精製できる。この捕獲/Amp-プローブ-1は、アンカー配列を含むように設計され、該アンカー配列はTの20ヌクレオチドを含む伸張を伴い、また該伸張は、RAMプライマー結合配列を伴う。逆転写酵素とのインキュベーションによる逆転写は、一本鎖cDNAの生成を結果する。この一本鎖cDNAは、次に当業者には周知の方法を用いて、dsDNAに転化される。第二のdsDNA AMP-プローブ-2は、該cDNAの5'末端に結合される。次いで、得られる全cDNAを、ゲノムDNAについて上記したように増幅する。
【0084】
本発明は、またここにおいて判別表示(differential display) RAM(DD-RAM)と呼ぶ、細胞間の判別mRNA発現パターンの新規な分析法をも提供する。この方法は、(i) プライマーとして5'捕獲/Amp-プローブ-1配列を用いたmRNAの逆転写、(ii) 該拡張された配列の3'末端と、該mRNAにアニールされた任意(Arbitrary)/Amp-プローブ-2の5'末端との結合、(iii) 一群のRAMプライマー(前進および逆プライマー)を用いたRAM増幅、および(iv) 得られるフラグメントの電気泳動分離を含む。異なる型の細胞から得られるフラグメントを比較して、判別的に発現されたmRNAを同定する。本発明の方法は、更にこの得られるcDNAの、該プライマー内のサイトを識別する制限エンドヌクレアーゼによる消化を含む。
該3'相補領域に加えて、各5'捕獲/Amp-プローブは、結合すべきRAMプライマーに関する包括的配列およびその5'末端におけるビオチン部分を含むであろう。該5'捕獲/Amp-プローブ-1は、該mRNAの3'末端と結合するように設計され、またmRNA単離用の捕獲プローブおよび逆転写用のプライマー両者として機能するであろう。該3'任意/Amp-プローブ-2は、該mRNAの5'末端と結合する5'縮退配列および結合すべきRAMプライマーに関する包括的な配列を含むように設計される。
【0085】
本発明の特定の態様では、該プローブのmRNAによるハイブリッド化に続き、該プローブ/mRNA複合体を、ビオチンを介して磁性ストレプタビジンビーズ等の支持マトリックス、あるいは5'アンカープローブを介するオリゴ(dT)ニトロセルロース上に捕獲することにより単離する。徹底的な洗浄を行って、あらゆる未結合プローブおよび細胞性DNAを除去する。逆転写酵素の添加は、該任意/Amp-プローブ-2の5'末端で終端している第一ストランドDNAの製造をもたらす。結合によりこれら2つのフラグメント、即ち該任意/Amp-プローブ-2の5'末端および該拡張された配列が接合され、これは次いで後のRAM増幅用の鋳型として機能する。
【0086】
該アッセイの感度を高めるために、サブトラクション段階を、逆転写の実施前に行うことができる。サブトラクションのために、長さ12-15ヌクレオチドで、既知のハウスキーピング遺伝子および/または構造遺伝子配列に対して相補的なプライマーを、該ハイブリッド化混合物に添加する。これらプライマーは、該アンカープローブと数個のヌクレオチドの重複を持つ、該ハウスキーピングおよび/または構造mRNAの3'領域と結合するように設計されており、結果的にmRNAとの結合に対して該捕獲/Amp-プローブ-1と競合する。例えば、長さ12-15ヌクレオチドで、ハウスキーピングおよび/または構造mRNAの3'末端と相補的となるように合成されたプライマー、例えばケラチン、ラミニン、チューブリン、アセチル-補酵素、アデノシンデアミナーゼ、アデニレートキナーゼ、およびアルドラーゼAを、該ハイブリッド化混合物に添加する。逆転写酵素を添加する前に、この反応系を、RNA特異的酵素と共にインキュベートする。該酵素は、RNA-DNA二重螺旋のRNAストランドを、特異的に開裂する。このような酵素は、例えばRNアーゼH等のRNアーゼを含む。このRNアーゼによる処理は、多数の高度に発現されたハウスキーピングmRNAを排除するように工夫されており、結果として、該アッセイの感度が高められる。
【0087】
更に、単一のプローブは、5'アンカー配列および5'任意配列を含むように設計される。このプローブを、結合部分(成分)、例えばビオチンで標識し、(例えば、ストレプタビジンビーズを用いた)該反応混合物からのハイブリッド分子の単離を容易にする。逆転写酵素反応を行って、該プライマー両端間の領域を伸張し、次いで結合して、後にRAMによって増幅することができる、閉じた環状分子を形成する。制限エンドヌクレアーゼによる消化の後に、得られる生成物を配列決定ゲル上で検査することができる。
本発明は、以下の点において、他の型の様々なディスプレイ法を越える利点を与える:(i) 各mRNAは、ただ一つの対応するRAM生成物を含む。というのは、該第一の利用可能な3'任意/Amp-プローブのみが、該拡張された配列と結合でき、同一のmRNAの冗長な提示を減じ、(ii) 全ての結合したプローブを同一のプライマー次いで増幅し、結果としてプライマー増幅効率の違いを最小化し、また(iii) サブトラクション段階を付加して、ハウスキーピングおよび/または構造mRNAを、該反応から除去し、かくしてアッセイの感度および特異性を高める。
【0088】
ここに記載するDD-RAM法は、異なる型の細胞内で、判別的に発現されるmRNAを同定するために使用できる。例えば、この方法は、腫瘍形成の様々な段階において、大量の腫瘍細胞を迅速にスクリーニングすることを可能とし、そのため腫瘍形成と密接に関連した重要な遺伝子を同定する方法を提供する。
本発明を実施する上で使用する試薬は、ばらばらで与えることができ、あるいはキット形式に包装することもできる。例えば、キットは、1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の増幅-プローブ-2を含み、好ましくは更に適当な包括的プライマーの包装された組合せを含むように調製できる。キットは、また1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の、完全な長さの、連結反応に独立なプローブ、例えば増幅-プローブ-2を含むように調製できる。更に別のキットは、1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の、完全な長さの、連結反応依存性の環状化可能なプローブ、例えば増幅-プローブ-2を含むように調製できる。このようなキットは、また好ましくは適当な包括的プライマーの包装された組合せを含むこともできる。場合により、(例えば、DNAリガーゼによる)結合および可能ならば増幅に必要な他の試薬を含むこともできる。また該増幅され、結合された増幅配列、例えばナノ変異型(nanovariant) RNAに相当するオリゴデオキシリボヌクレオチド等のコントロール鋳型の定量的な検出において使用するために、追加の試薬を含むことができる。更に、キットは、例えば組織サンプル中のターゲット核酸配列を現場で検出するための、試薬を含むことも可能である。環状プローブを含む該キットは、持ち込み阻止のためのエキソヌクレアーゼを含むこともできる。
該キット用容器内の該試薬の配置は、含まれる特定の試薬に依存する。各試薬は、各容器内に収容できるが、様々な組合せも可能である。
【0089】
【実施例】
本発明は、以下の実施例により例示されるが、これら実施例は本発明を何等限定するものではない。
実施例 1 :サンプル中の HIV-1 RNA の検出
オリゴヌクレオチドプローブの調製
HIV-1 RNAのgag領域を検出するための、夫々捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)およびAmp-プローブ-2(HIV)と称呼される一対のオリゴデオキシリボヌクレオチドプローブを、公知のオリゴヌクレオチド合成技術を利用して、自動化DNA合成装置(Applied Biosystems, Inc.)による自動合成によって調製した。捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)は、59個のヌクレオチドおよび3'ビオチン部分を含むオリゴデオキシリボヌクレオチドであり、該ビオチン部分は、この合成の最終段階で、3'-ビオチン化ヌクレオシドトリホスフェートを用いて付加されたものである。本実施例において使用するこの捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)は以下のようなヌクレオチド配列を持つ(以下にSEQ ID NO. 1としても記載される):
【0090】
位置24-59におけるヌクレオチドは、このプローブの包括的な3'末端を含む。この領域内には、夫々ヌクレオチド41-46、46-51および52-57において、SmaI (CCCGGG)、EcoRI (GAATTC)およびHindIII (AAGCTT)に関する認識配列がある。ヌクレオチド1-23を含む配列の5'部分は、該HIV-1 RNAのgag 領域の一部と相補的であり、またこれとハイブリッドを形成する。
Amp-プローブ-2(HIV)は、92個のヌクレオチドをもつオリゴデオキシリボヌクレオチドであり、これは以下のような配列を持つ(以下にSEQ ID NO. 2としても記載される):
【0091】
位置71-92におけるヌクレオチドは、該プローブの3'特異的部分を含み、これは、捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)のヌクレオチド1-23に対して相補的な、該gag 領域部分の直ぐ隣における、HIV-1 RNAのgag 領域の一部に対して相補的かつハイブリッド形成可能である。ヌクレオチド1-70は、Amp-プローブ-2(HIV)の包括的な5'部分を含む。
T4 DNAリガーゼを用いた、該捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)の5'末端と、Amp-プローブ-2(HIV)の3'末端との結合は、以下の配列(以下にSEQ ID NO. 3としても記載される)を持つ、結合増幅配列(HIV)を生成する:
【0092】
この結合増幅配列は、長さ151ヌクレオチドであり、これはPCRに対する理想的なサイズの鋳型を与える。
ヌクレオチド116-135(捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)のヌクレオチド24-43由来のもの)およびヌクレオチド1-70(Amp-プローブ-2(HIV)のヌクレオチド1-70由来のもの)を含む、該結合増幅配列の該包括的ヌクレオチド配列は、その配列において、Schaffner等, J. Mol. Biol., 1977, 117: 877-907によって記載された、WSIナノ変異型RNAの(-)ストランドの、ヌクレオチド1-90に対応する。WSIは、添加された鋳型なしに、Qβレプリカーゼ反応において生ずる、3種の密接に関連した、一群の6S RNA種、即ちWSI、WSIIおよびWSIIIの内の一つである。Schaffner等は、これら3つの分子を「ナノ変異体」と名付けた。
該WSI(-)ストランドの1-90ヌクレオチドに相当する、長さ90ヌクレオチドをもつオリゴデオキシリボヌクレオチドは、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 4としても記載される):
【0093】
また、2種の包括的なオリゴデオキシヌクレオチドプライマーをも、該結合増幅配列のPCR増幅を利用して合成した。長さ21ヌクレオチドをもつプライマー-1は、捕獲/Amp-プローブ-1(HIV) (ヌクレオチド38-58)の3'配列と相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 5としても記載される)を有する:
長さ20ヌクレオチドをもつプライマー-2は、その配列において、Amp-プローブ-2(HIV) (ヌクレオチド1-20)の5'配列に相当し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 6としても記載される)をもつ:
【0094】
HIV-1 RNA の捕獲および検出
ターゲットHIV-1 RNA (100μl)を、1.5mlの微量遠沈管(microfuge tube)内で、5MのGnSCN、100mMのEDTA、200mMのトリス-HCl (pH 8.0)、0.5%のNP-40(MO、セントルイスのシグマケミカル社)、および0.5%のBSAを含む、等体積の溶解バッファーに溶解する。次に、該3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV) (SEQ ID NO.1)およびAmp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO.2)を、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社から入手)と共に、該溶解バッファー中の該溶解されたサンプルに添加した。ターゲットRNA/捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)/Amp-プローブ-2 (HIV)/常磁性ビーズを含む複合体を、形成し、該ビーズ上に保持した。遠沈管ホルダラック(プロメガ社から入手)内の磁石により発生した磁場を、該複合体に印加して、該磁石に隣接する該反応チューブの一方の側にこれを維持し、未結合の物質を、サイフォン現象によって除去した。次いで、この複合体を、1.5M GnSCNで2回洗浄して、該複合体と共にトラップされている可能性のある、あらゆる未結合タンパク質、核酸、およびプローブを除去した。この磁場印加法は、該洗浄段階を簡略化した。次に、該複合体を300mM KClバッファー(300mM KCl、50mMトリス-HCl、pH7.5、0.5%のNon-IDEP-40、1mMのEDTA)で洗浄することによって、該GnSCNを除去した。
【0095】
次に、これら2つのプローブを、T4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム社)を用いて共有結合により結合して、官能性の結合増幅配列 (HIV) (SEQ ID NO.3)としたが、これはPCR増幅用の鋳型として機能し得る。該結合反応は、ベーリンガーマンハイム社から得られる、10X T4 DNAリガーゼ結合バッファー(660mMのトリス-HCl、50mMのMgCl2、10mMのジチオエリスリトール、10MのATP-pH7.5(20℃にて))の1:10希釈液を含む、1X結合バッファーの存在下で行った。
結合増幅配列(HIV)を結合状態で含むが以上磁性ビーズを、1X T4 DNAリガーゼ結合バッファーで洗浄し、100μlの1X T4 DNAリガーゼ結合バッファー中に再懸濁させた。20μlのビーズ懸濁液を、該結合反応から除去した。2μlのT4 DNAリガーゼをこの反応混合物に添加し、得られる混合物を37℃にて60分間インキュベートした。
【0096】
該結合状態にある結合増幅配列(HIV)のPCR増幅のために、Taq DNAポリメラーゼ、2つの包括的なPCRプライマー(SEQ ID NO.5および6)、デオキシヌクレオシドと32P-dCTPとの混合物を含む、80μlのPCR反応混合物を、この結合反応系に添加した。2温度PCR反応を30サイクル実施し、ハイブリッド形成およびプライマー拡張を65℃にて65秒間行い、また変性を92℃にて30秒間行った。
30サイクル後に、10μlの反応混合物を、10%ポリアクリルアミドゲル中での電気泳動にかけ、オートラジオグラフィーにより検出した(図3のレーンA)。コントロールとしては、ナノ変異型DNA (SEQ ID NO.4)をも、該結合増幅配列(HIV)と同様な条件下で30サイクルの2温度PCRにかけ、電気泳動およびオートラジオグラフィー処理した(図3のレーンB)。図3から理解されるように、該増幅された結合増幅配列(HIV)は、増幅されたナノ変異型DNA(90ヌクレオチド)よりも遅い速度で、単一バンド(151ヌクレオチド)として泳動した。この結果は、また未結合の第一および第二プローブが、増幅されないか検出されないことを示した。
【0097】
実施例2:サンプル中の HIV- 1 RNA の直接的検出
本発明の方法の、サンプルにおけるHIV-1 RNAの存在を直接検出する能力をも決定した。本実施例で使用するプローブは、実施例1(SEQ ID NO. 1および2)で使用したものと同じであった。直接検出のために、Amp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO. 2)を、その5'末端において、32P-γ-ATPを用いた、該T4 ホスホキナーゼ反応によって、32Pで標識した。種々の反応混合物は、以下の通りであった:
1. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV) (SEQ ID NO. 1)、Amp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO. 2) 5'(32P)、HIV-1 RNA転写産物;
2. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)、Amp-プローブ-2 (HIV) 5'(32P);
3. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、Amp-プローブ-2 (HIV) 5'(32P)、HIV-1 RNA転写産物。
【0098】
上記3種の反応混合物を用いたハイブリッド化は、1MのGnSCN、0.5%のNP-40(ノニデットP-40、MO、セントルイスのシグマケミカル社から入手できるN-ラウリルザルコシン)80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)および0.5%のウシ血清アルブミンを含む、20μlの1M GnSCNバッファー中で行った。
この反応混合物を、37℃にて60分間インキュベートした。このインキュベーションの後、該反応混合物を、実施例1に記載したような磁場の作用下に置き、1M GnSCNバッファーで2回(一回の洗浄当たり200μl)および300mMのKCl、50mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のNP-40および1mMのEDTAを含む300mM KClバッファーで3回洗浄した。洗浄後に、該常磁性ビーズ上に保持されている32P-標識したAmp-プローブ-2 (HIV)の量を、カウント/分(CPM)として、以下の表1に報告する。これら結果は、ターゲットHIV RNAおよび捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)両者の存在下においてのみ、有意な量のAmp-プローブ-2が、該ビーズ上に保持され、かつβ-シンチレーションカウンタによって検出されることを示している。
【0099】
【表1】
【0100】
実施例3:患者サンプル中のマイコバクテリウムアビウム-イントラセルレール(Mycobacterium avium-intracellulaire (MAI))の検出
最近の論文(Boddinghaus等, J. Clin. Microbiol., 1990, 28: 1751)は、16SリボソームRNA (rRNA)の増幅による、マイコバクテリア(Mycobacteria)種の首尾よい同定および該種の分化を報告している。増幅および同定のためのターゲットとしてバクテリア由来の16S rRNAを使用する利点は、Rogall等, J. Gen. Microbiol., 1990, 136: 1915に記載されており、以下のようなものを含む:1) rRNAは、バクテリアリボソームの基本的な成分であり;2) rRNA配列の比較分析は、高度に保存された配列の幾分かの伸張およびかなりの可変性を持つ他の伸張を示し;3) rRNAは大きなコピー数、即ち103-104分子/細胞なる値を示し、結果として高感度の検出アッセイの開発を容易にし;4) 16S rRNAのヌクレオチド配列は、如何なるクローニング手順をも必要とせずに、迅速に決定することができ、また殆どのマイコバクテリア16S rRNAの配列は既知である。
【0101】
3対の捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2を、Boddinghaus等およびRogall等によって公開された16S rRNA配列に基いて、自動化されたオリゴヌクレオチド合成(上記のような)によって調製した。該プローブの第一の対(MYC)は、該第一および第二プローブの特異的部分が、あらゆるマイコバクテリア種(Mycobacteria spp.)の16S rRNAとハイブリッド形成でき、検体内における任意のマイコバクテリアの存在を検出するのに使用される点で、包括的である。該プローブの第二の対(MAV)は、M.アビウムの16S rRNAに対して特異的であり、またプローブの第三の対(MIN)は、M.イントラセルレールの16S rRNAに対して特異的である。本発明の方法の極めて特殊な結合反応は、単一のヌクレオチドレベルにおけるこれら2つの種の識別を可能とする。
A. あらゆるマイコバクテリア種の包括的な検出に使用できるプローブは、実施例1におけるような第一および第二プローブを含む。該第一プローブは、3'-ビオチン化-捕獲/Amp-プローブ-1 (MYC)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 7として記載される)を持つ、長さ54ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0102】
このプローブの5'末端におけるヌクレオチド1-18は、マイコバクテリア16S RNAの共通部分、即ち全てのマイコバクテリア種に存在する16S RNA配列に対して相補的である。ヌクレオチド19-54を含むこのプローブの3'部分は、その配列において、実施例1の捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)の包括的部分を含む、該36ヌクレオチドと同等である。
該第二のプローブは、Amp-プローブ-2(MYC)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 8として記載される)を持つ、長さ91ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0103】
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-91は、あらゆるマイコバクテリア種について共通な、ヌクレオチド1-18または上記捕獲/Amp-プローブ-1(MYC)と相補的な上記領域と隣接する、16S rRNAの共通部分と相補的である。このプローブの5'末端におけるヌクレオチド1-70は、実施例1においてAmp-プローブ2(HIV)について示されたものと同一の包括的配列を含む。
実施例1と同様に、これら2つのプローブの末端間の結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 9として記載される)を持つ、あらゆるマイコバクテリア種を検出するための、長さ145ヌクレオチドをもつ、結合された増幅配列(MYC)を与える:
【0104】
B. M. アビウムの特異的検出用のプローブ対は以下の通りである。
第一プローブは、3'-ビオチン化-捕獲/Amp-プローブ-1(MAV)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 10として記載される)を持つ、長さ56ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
該5'末端におけるヌクレオチド1-20は、M. アビウムに対して特異的な16S rRNAの一部と相補的である。ヌクレオチド21-56は、上記と同様な包括的配列を含む。
該第二プローブは、Amp-プローブ-2(MAV)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 11として記載される)を持つ、長さ90ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0105】
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-1(MAV)によって認識される上記特異的配列に隣接する、M. アビウムに対して特異的な16S rRNAのある領域に対して相補的な、特異的ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド1-70は、上記と同様な包括的な配列を含む。
これら2つのプローブの末端間の結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 12として記載される)を持つ、M. アビウムを検出するための、長さ146ヌクレオチドをもつ、結合された増幅配列(MAV)を与える:
C. M. イントラセルレールの特異的検出用のプローブ対は、以下の通りである:
第一プローブは、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1(MIN)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 13として記載される)を持つ、長さ56ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドである:
【0106】
該5'末端におけるヌクレオチド1-20は、M. イントラセルレールに対して特異的な、16S rRNAの一部に対して相補的である。ヌクレオチド21-56は、上記と同様な包括的配列を含む。
該第二プローブは、Amp-プローブ-2(MIN)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 14として記載される)を持つ、長さ90ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-1(MIN)により認識される該特異的配列と隣接する、M. イントラセルレールの16S rRNAのある領域に対して相補的な特異的ヌクレオチド配列を含む。
これら2つのプローブの末端間結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 15として記載される)を持つ、M. イントラセルレール検出用の、長さ146ヌクレオチドの長い結合された増幅配列(MIN)を与える:
【0107】
D. 上記のマイコバクテリア種の存在を検出するために、患者血液の検体をペディアトリックアイソレータチューブ(Pediatric Isolator Tubes) (NJ、ワンポールラボラトリーズ(Wampole Laboratories))に集める。このアイソレータの溶解遠心分離技術は、血液成分の分離を可能とし、次に白血球を溶解して、細胞内生物の回収性を改善する(Shanson等, J. Clin. Pathol., 1988, 41: 687)。溶解後、約120μlの濃厚物質を、等体積の実施例1で使用した5M GnSCNバッファー中に溶解する。この混合物を、30分間沸騰させるが、これはマイコバクテリア細胞壁の性質の故に、マイコバクテリア種を溶解するために必要とされる。後の手順(即ち、捕獲、結合、PCRおよび検出)は、実施例1で使用したものと同一である。
【0108】
該PCR増幅の前に、該磁性ビーズ上に捕獲された32P-5'-AMP-プローブ-2を表す、放射能を測定することにより、直接的検出を行う。未結合の放射性標識したAmp-プローブ-2を、徹底的な洗浄により除去した後に、106/反応を越える濃度で存在する該ターゲット16S rRNA分子は、検出可能となる。直接検出できないターゲット16S rRNAは、実施例1におけるように、結合増幅配列についてPCR増幅にかける。増幅において使用する該プライマーは、実施例1のものと同一の2種の包括的なプライマー(SEQ ID NO. 5および6)である。
実施例4:サンプル中のHCV RNAの検出
C型肝炎ウイルス(HCV)、即ちRNAウイルスは、輸血に起因する肝炎後の原因作用物質である。HCVは、フラビウイルスおよびペスチウイルスとは余り関連性がなく、従ってそのゲノムは5'および3'未翻訳領域(UTR)をもち、また大きな単一の読み取り枠をコードすることが分かっている(Lee等, J. Clin. Microbiol., 1992, 30: 1602-1604)。本発明の方法は、サンプル中のHCVの存在を検出するのに有用である。
【0109】
夫々捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)およびAmp-プローブ-2(HCV)と称呼される、一対のオリゴデオキシヌクレオチドプローブを、HCV RNAの5'UTRをターゲットとするために、実施例1と同様に調製する。
3'末端においてビオチン化されている捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)は、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 16としても記載される)を持つ、55ヌクレオチドからなる長いオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)の5'末端におけるヌクレオチド1-19は、該HCVゲノムの5'UTRの一部に対して相補的な特異的配列を含む。このプローブの3'末端におけるヌクレオチド20-55は、実施例1の捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)と同一の、36ヌクレオチドからなる包括的な配列を含む。
【0110】
Amp-プローブ-2(HCV)は、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 17としても記載される)を持つ、90ヌクレオチドからなる長いオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
ヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-2(HCV)のヌクレオチド1-19とハイブリッド形成可能な該HCVゲノム部分の直ぐ隣にある、該HCV 5'UTRの一部と相補的かつハイブリッド化可能な、該プローブの3'特異的部分を含む。ヌクレオチド1-70は、実施例1のAmp-プローブ-2(HCV)と同一の包括的配列を含む。
【0111】
実施例1におけるように、これら2つのプローブの末端間結合は、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 18としても記載される)を持つ、サンプル中のHCVを検出するための、145ヌクレオチドからなる長い結合増幅配列を与える:
該結合増幅配列(HCV)は、実施例1におけるように2温度PCR反応を利用して、増幅する。増幅のために使用するこれらPCRプライマーは、実施例1で使用したものと同一の包括的プライマー(SEQ ID NO. 5および6)である。
【0112】
実施例5:サンプル中のHCV RNAを検出するための、多数の捕獲および増幅プローブの使用
一対の増幅プローブおよび2種の捕獲/増幅プローブを用いて、サンプル中のHCV RNAについてアッセイしかつこれを検出し、結果として該アッセイの捕獲効率を高めた。
SEQ ID NO. 22をもつ捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A) (本実施例に記載する全オリゴマーを、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV A)」と称呼する)およびSEQ ID NO. 23をもつ捕獲/ Amp-プローブ-1A(HCV A)を、その5'末端がビオチン化され、かつ該プローブの3'領域が該HCV RNAの5'UTR内の配列(図4)と相補的かつハイブリッド化可能な配列を含むように設計され、かつ合成される。該ターゲット核酸配列とハイブリッド化できない該プローブの、5'領域における包括的ヌクレオチド配列は、ランダム配列および少なくとも60%のGC含有率を持つように、またこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように設計され、かつ合成される。
【0113】
5'末端においてビオチン化されている、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)は、45ヌクレオチドをもつDNAオリゴマーであって、その3'領域におけるヌクレオチド5-45は、該ターゲットHCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 22としても記載される)を持つ:
5'-AAGAGCGTGA AGACAGTAGT TCCTCACAGG GGAGTGATTC ATGGT-3'
同様に5'末端においてビオチン化されている、捕獲/Amp-プローブ-1A (HCV A)も、45ヌクレオチドをもつDNAオリゴマーであって、その3'領域におけるヌクレオチド5-45は、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A) とハイブリッド形成可能なHCV RNAの5'UTRの上記領域の直ぐ隣にある、該HCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 23としても記載される)を持つ:
5'-AAGACCCAAC ACTACTCGGC TAGCAGTCTT GCGGGGGCAC
GCCCA-3'
これら2つの増幅プローブ、即ちAmp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A (HCV A)各々は、HCV RNAの保存された5'UTRと相補的かつハイブリッド形成可能なヌクレオチド配列を含む。
【0114】
Amp-プローブ-2(HCV A)は、51個のヌクレオチドを持ち、その5'領域のヌクレオチド1-30は、該HCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またその3'末端におけるヌクレオチド34-51は、PCRプライマー-3と結合し、かつハイブリッド形成し、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 24としても記載される)を持つ:
5'-ACTCACCGGT TCCGCAGACC ACTATGGCTC GTTGTCTGTG
TATCTGCTAA C-3'
Amp-プローブ-2A (HCV A)は、69個のヌクレオチドを含むオリゴマーであり、その3'領域のヌクレオチド40-69は、Amp-プローブ-2(HCV A)のヌクレオチド1-30とハイブリッド化可能な該HCV RNAゲノムの上記部分と直ぐ隣接する、該HCV RNAゲノムの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またその5'末端における該ヌクレオチド1-18は、PCRプライマー-4と結合し、かつハイブリッド化し、更にその5'末端における該ヌクレオチド19-36は、PCRプライマー-5と結合し、かつハイブリッド化し、更にこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 25としても記載される)を持つ:
【0115】
これら2つのプローブの末端間結合は、120個のヌクレオチドを含む結合性生物、即ち結合-増幅配列(HCV A)を与え、この配列は、HCVに関する検出可能な配列並びに増幅反応用の鋳型として機能し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 26としても記載される)を持つ:
該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)の第一系列のPCR増幅で使用され、また18ヌクレオチドに相当する長さを持つプライマー-3は、Amp-プローブ-2(HCV A)の3'末端におけるヌクレオチド34-51を含む配列と相補的であり、従って該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド103-120を含む配列とも相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 27としても記載される)を持つ:
【0116】
該結合増幅配列(HCV A)、即ちSEQ ID NO. 26の該第一系列のPCR増幅で使用され、また18ヌクレオチドに相当する長さを持つプライマー-4は、Amp-プローブ-2A(HCV A)の5'末端におけるヌクレオチド1-18を含む配列と相補的であり、従って該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド1-18を含む配列とも相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 28としても記載される)を持つ:
5'-CAAGAGCAAC TACACGAA-3'
18個のヌクレオチドを含むDNAオリゴマーであるプライマー-5は、該結合増幅配列 (HCV A), SEQ ID NO. 26の第二群のPCR増幅のために使用され、該プライマーは、該Amp-プローブ-2A(HCV A)のヌクレオチド19-36を含む配列に対して相補的であり、また結果として該結合増幅配列SEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド19-36を含む配列とハイブリッド化可能であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 29としても記載される)を持つ:
5'-TTCTCGATTA GGTTACTG-3'
【0117】
上記のプローブおよびプライマーを使用するこのアッセイは、使用するまで-70℃にて保存した24個のヒト血清サンプルにおけるHCV RNAを検出するのに使用した。このアッセイのために、180μlの血清サンプルを、濃厚な溶解バッファー(5MのGnSCN、0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリスHCl(pH 7.5)、および0.5%のノニデットP-40を含む溶解バッファー250μlを、血清と溶解バッファーとの混合物が、最終濃度5M GnSCNとなるように濃縮して調製)に添加し、十分に混合し、かつ37℃にて1時間インキュベートして、HCV粒子からターゲットRNAを遊離させた。次いで、80μlのこの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40)に、1010分子の各増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A(HCV A)オリゴマー、および1011分子の各捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および各捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)と共に移した。このハイブリッド化バッファーの添加は、グアニジウムイソチオシアネート(GnSCN)の濃度を5Mから2Mに低下し、ハイブリッド化の発生を可能とした。この混合物を、37℃にて1時間インキュベートして、これら様々なプローブを、該ターゲットRNAとハイブリッド化させ、それから30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)を、37℃にて20分間インキュベートしてリガンドを結合する前に、該ハイブリッド化混合物に添加した。次いで、該ビーズを150μlの2M GnSCNで洗浄して、あらゆる遊離のプローブ、タンパク質、外来の核酸および該ハイブリッド化混合物由来の潜在的なPCR阻害剤を排除し、引き続き150μlのリガーゼバッファー(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのDTT、1mMのATP、0.5%のノニデットP-40および1mMのMnCl2)で2回洗浄することによって、該GnSCNを除去した。各洗浄段階において、上澄からの結合した複合体の磁気分離は、実施例1に記載した磁場技術によって行った。
【0118】
次に、ターゲットRNAと結合した、該増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A(HCV A)を、共有結合により結合して、PCR増幅用の鋳型として使用する、結合された増幅配列(HCV A)を生成した。このハイブリッド複合体を、5単位のT4DNAリガーゼ(ベーリンガー社)を含む20μlのリガーゼバッファー中に再懸濁し、結合反応のために37℃にて1時間インキュベートした。以下において「第一PCR反応」と呼ぶ、後のPCR反応に関連して、該ビーズを含む該結合混合物10μlを、20μlのPCR混合物(各0.06μMのプライマー-3およびプライマー-4、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、各0.2mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、1.5mMのMgCl2、10mMのトリス-HCl(pH 8.3)および50mMのKCl)に添加し、この混合物を95℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、35サイクルに渡りインキュベートした。該第一PCR反応の後、「該第二PCR反応」(該アッセイの感度を高めるためのセミ-ネステッド(semi-nested) PCR法)のために、該生成物5μlを、第二PCR混合物(該第一PCR混合物と同一の成分、但しプライマー-4をプライマー-5に代えた)に移し、該第一PCR反応と同一条件下でこの反応を行った。この第二反応の生成物10μlを、6%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。
【0119】
この方法の感度および特異性を確立するために、HCV-ネガティブ血清中の、合成HCV RNAの10-倍連続希釈物を、上記プロトコールに従ってアッセイした。ここで、HCV RNAの濃度は、10〜107分子/反応なる範囲内にあった。結合並びに増幅の後、これらPCR生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。図8に示された結果は、明らかにこの方法の特異性を示している。HCV RNAの不在下において、PCR生成物を生成するために、プローブが該ターゲットRNAを捕獲する必要があることを示す、シグナルはない。100分子のHCV RNA/サンプル程度の濃度は、このセミ-ネステッドPCR法(図8)によって検出可能であり、このことは、この方法の感度が、少なくとも従来のRT-PCR (Clementi等, PCR, 1993, 2: 191-196)の感度に匹敵することを示している。
更に、図8で可視化されたようなバンドの強度によって表される、このPCR生成物の相対的な量は、該ターゲットRNAの量(HCV RNA転写物)に比例する。従って、このアッセイは、少なくとも102〜105個のターゲット分子なる範囲に渡り定量的である。
【0120】
2つの捕獲プローブによってもたらされる、高められた捕獲効率を測定するために、32P-標識されたターゲットHCV RNAを、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)または捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)またはこれら両者を使用する、常磁性ビーズによる捕獲およびその上での保持についてアッセイした。この捕獲は、2M-GnSCNバッファーおよび該リガーゼバッファーによる徹底的な洗浄後に、該常磁性ビーズ上に保持された放射能の量により評価した。その結果は、標識されたHCV RNAの25.7%が、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)単独で捕獲した場合に、該ビーズ上に保持され、その35.8%が、捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)単独で捕獲した場合に、該ビーズ上に保持され、また該ターゲットRNAの41.5%が、これら両者の捕獲プローブを使用した場合に、該ビーズ上に保持されることを示した。従って、この二重-捕獲法は、単一の捕獲プローブを使用した場合よりも、高い効率を示した。
【0121】
実施例6:サンプル中のHIV-1 RNAを検出するための、複数の捕獲および増幅プローブの利用
実施例1に示した方法の一代替法は、捕獲/増幅プローブおよび一対の増幅プローブを使用して、HCV-1 RNAの存在を検出する。捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)、SEQ ID NO. 1および一対の増幅プローブ、即ちAmp-プローブ-2(HIV A) (本例に記載するオリゴマー全ては、実施例1のプローブ「(HIV)」と区別するために、「(HIV A)」と呼ぶ) (SEQ ID NO. 19)およびAmp-プローブ-2A(HIV A) (SEQ ID NO. 20)は、Amp-プローブ-2(HIV A)のヌクレオチド1-26から導かれたヌクレオチド1-26およびAmp-プローブ-2A(HIV A)のヌクレオチド40-65から導かれたヌクレオチド86-112を含む、該結合増幅配列(HIV A) (SEQ ID NO. 21)の包括的ヌクレオチド配列が、ランダム配列および少なくとも60%のGC含有率を持つように設計かつ合成され、またこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように使用される。
増幅プローブAmp-プローブ-2(HIV A)は、47個のヌクレオチドを含むDNAオリゴマーであり、ここでその3'領域におけるヌクレオチド27-47は、該ターゲットHIV-1 RNAのgag領域内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 19としても記載される)を持つ:
【0122】
増幅プローブAmp-プローブ-2A(HIV A)は、65個のヌクレオチドを持つDNAオリゴマーであって、ここでその5'領域におけるヌクレオチド1-39は、Amp-プローブ-2(HIV A)のヌクレオチド27-47とハイブリッド化可能な該HIV-1 RNAゲノムの上記部分と直ぐ隣接する、該ターゲットHIV-1 RNAのgag領域内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 20としても記載される)を持つ:
5'-CAAGAGCAAC TACACGAATT CTCGATTAGG TTACTGCAGC
AACAGGCGGC CTTAACTGTA GTACT-3'
これら2つのプローブの末端間結合は、112個のヌクレオチドを含む結合された増幅配列(HIV A)を与え、この配列は、HIV-1 RNAに対する検出可能な配列並びに増幅反応用の鋳型として機能し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 21としても記載される)を有している:
【0123】
更に、HIV RNAについてアッセイするために、該捕獲された結合生成物の該捕獲、検出および随意の増幅は、実施例5に記載したように行われる。増幅のために利用する該PCRプライマーは、実施例5と同一のプライマー-3、4および5(SEQ ID NO. 27、28および29)である。
実施例7:サンプル中のHCV RNAを検出するための、別々の捕獲/増幅プローブおよび結合独立性の、単一の増幅プローブの使用
このアッセイは、単一の結合独立性増幅プローブおよび2つの捕獲/増幅プローブを、サンプル中のHCV RNAを検出するために使用する。
この方法で使用する、該捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)は、実施例5で使用したものと同一である。
【0124】
該増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV B) (本例において記載する全てのオリゴマーを、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV B)」と呼ぶ)、即ちSEQ ID NO. 30は、100個のヌクレオチドを含むDNA分子であり、このオリゴマーの中央領域におけるヌクレオチド39-79によって表される配列は、該HCV RNAの5'UTR(図6)内の領域と相補的かつハイブリッド化可能であり、またその5'末端におけるヌクレオチド1-38に渡る配列およびその3'末端におけるヌクレオチド80-100で示される配列は、これらがランダムな配列および少なくとも60%なるGC含有率を有し、かつこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように設計かつ合成される。Amp-プローブ-2(HCV B)は、増幅配列とも呼ばれ、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 30としても記載される)を有する:
【0125】
該プローブ配列の捕獲、検出並びに随意の増幅は、実施例5に記載のように行ったが、プライマー-3および4のみを、単一のPCR増幅段階において使用し、該第二のPCR段階は省略し、また該結合段階をも省略した。
実施例8:サンプル中のHCV RNAを検出するための、別々の捕獲/増幅プローブおよび単一の増幅可能な、結合依存性プローブの使用
本例の方法は、実施例5に記載された、2種の捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および捕獲/Amp-プローブ1A(HCV A)、および該ターゲット核酸とハイブリッド化し、また図7に示すようにその自由末端を結合した際に環化する、単一の増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV C) (本例に記載する全てのオリゴマーは、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV C)」と呼ぶ)を使用する。
【0126】
Amp-プローブ-2(HCV C)は、108このヌクレオチドを含む増幅プローブであり、増幅配列とも言われ、このオリゴマーの5'末端におけるヌクレオチド1-26は、該ターゲットHCV RNA(図7において(a)で示されている)の5'UTRにおける配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、このオリゴマーの3'末端におけるヌクレオチド83-108は、該ターゲットHCV RNA(図7において(b)で示されている)の5'UTRにおける配列と相補的かつハイブリッド形成可能である。更に、このプローブが、該ターゲットHCV RNAとハイブリッド形成する場合、このプローブの3'および5'末端は、相互に直ぐ隣接した状態で配置され(図7)、DNAリガーゼ等の結合剤で結合した際に、閉じた環状分子を形成する。このAmp-プローブ-2(HCV C)の配列は、以下(SEQ ID NO. 31としても記載される)のように与えられる:
【0127】
該結合され、かつ環状化されたAmp-プローブ-2(HCV C)の第一系列のPCR増幅のために使用するプライマー-3(SEQ ID NO. 27)は、Amp-プローブ-2(HCV C)のヌクレオチド27-45を含む配列に対して相補的な、18個のヌクレオチドを持つ長いオリゴマーである。
同様に、該結合され、かつ環状化されたAmp-プローブ-2の第一系列のPCR増幅のために使用するプライマー-4(SEQ ID NO. 28)は、Amp-プローブ-2(HCV C)のヌクレオチド46-63を含む配列に対して相補的な、18個のヌクレオチドを持つ長いオリゴマーである。
これら2つの捕獲/増幅プローブおよび該増幅プローブのターゲットHCV RNAとのハイブリッド形成、該増幅プローブの末端間結合の際の、該プローブの環状化および該プローブ配列の増幅は、実施例5に記載のように実施するが、プライマー-3および-4のみを、単一のPCR増幅段階で使用し、該第二PCR段階を省略し、またAmp-プローブ-2(HCV C) (SEQ ID NO. 31)を、実施例5で使用した増幅プローブ対、即ちAmp-プローブ-2(HCV A) (SEQ ID NO. 24)およびAmp-プローブ-2A(HCV A) (SEQ ID NO. 25)に代えた。
【0128】
この方法の感度および特異性を確立するために、HCV-ネガティブ血清中の、合成HCV RNAの10-倍連続希釈物を、上記方法に従ってアッセイし、103〜107分子/サンプルなる範囲内のHCV RNAの標準濃度を得た。結合並びに増幅の後、これらPCR生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。
これら結果(図9、(-):コントロール(サンプル含まず))は、この方法の特異性を示している。このアッセイは高度に特異的であり、ターゲットHCV RNAが存在しない場合には、目に見えるシグナルは存在せず、このことはプローブが該ターゲットRNAを捕獲し、PCR生成物を生成する必要があることを示している。
更に、バンド強度(図9)によって表される該PCR生成物の相対的な量は、該ターゲットRNA (HCV RNA転写物)の量に比例する。従って、該アッセイは、少なくとも104〜107ターゲット分子なる範囲に渡り、かなり定量的である。
【0129】
実施例9:LD-PCRアッセイを利用した、組織サンプル中のHCVターゲット配列の検出
本例は、本発明による結合-依存性PCR(LD-PCR)と逆転写酵素PCR(RT-PCR)とを、ホルマリンで固定し、かつパラフィンに埋設した肝臓サンプルにおけるHCV配列の検出について比較する。NY、ニューヨークのマウントシナイメディカルセンタ(Mount Sinai Medical Center)において、肝臓を切除し、あるいは正位の肝臓移植を受けた患者由来の、1992年1月乃至1995年3月までの、肝臓細胞ガン(HCC)に罹った、21例の保存された肝臓検体を、この研究のために選択した。第二世代酵素-結合免疫アッセイ(EIA II) (IL、シカゴのアボットダイアグノスチック社(Abbott, Diagnostic)によって測定したところ、これら患者の内の13名は、高-HCV正であり、また8名は負であった。胆道閉鎖症に対して続発性の硬変に罹った抗-HCV負の患者由来の移植肝臓組織をコントロールとして使用した。外科手術後、この肝臓検体を、4℃にて保存し、12時間以内に切開した。この検体を、10%の緩衝化ホルマリン内で8〜12時間固定し、定法通りパラフィン中に埋設させた。これらFFPE検体を、室温にて3ヶ月から3年までの期間保存した。更に、-70℃にて保存した、22名の患者における13名を由来とする、急速凍結した肝臓組織を、LD-PCRおよびRT-PCR間の一致しない点を解明するために使用した。
【0130】
FFPE検体(約2-4 cm2)を、使い捨て用のブレードによって、ミクロトーム上で厚み10μmの薄片にし、各薄片を1.5-mlの微量遠沈管に入れた。サンプル間で、交叉汚染を回避するために、ブレードを交換し、そのホルダーを10%クロロックス(Chlorox)溶液で洗浄した。これら薄片を、1mlのキシレン(シグマ社)の存在下で、60℃にて10分間インキュベートすることにより、これらからパラフィンを除去した。乾燥エタノールで2回洗浄することにより、該キシレンを除去した。次に、これら検体を、真空下での遠心分離またはホットブロック上に65℃にて30分間放置することにより乾燥した。
LD-PCRに関連して、該パラフィンを除去した組織を、100℃にて30分間、5Mのグアニジウムチオシアネート(GnSCN)(フルカ(Fluka)社)、0.5%ウシ血清アルブミン(シグマ社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%Na-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含む250μlの溶解バッファー中でインキュベートし、次いで65℃にて30分間インキュベートすることにより溶解した。これら溶解した検体を、使用するまで-20℃にて保存した。全検体のHCV血清学的状態は、研究者に予断を抱かせないために、ブラインド状態にした。
【0131】
RT-PCRに関連して、該パラフィンを除去した組織を、60℃にて5時間、10mMのトリス-HCl(pH 8.0)、0.1mMのEDTA(pH 8.0)、2%のドデシル硫酸ナトリウムおよび500μg/mlのプロテイナーゼKを含む200μlの溶解バッファー中でインキュベートすることにより溶解した。RNAは、フェノールおよびクロロホルム抽出およびその後の0.1体積の3M酢酸ナトリウムの存在下での、等体積のイソプロパノールによる沈殿によって精製した。このRNAペレットを、70%エタノールで1回洗浄し、乾燥し、30μlの無菌ジエチルピロカーボネート-処理した水に再懸濁した。RNAは、またChomczynski等, Anal. Biochem., 1987, 162: 156により記載された、1段階RNA抽出法を用い、対応する患者から得た凍結肝臓組織の切片(厚み10nm)から抽出した。
【0132】
LD-PCRは以下のように実施した。簡単に言えば、80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン)に添加した。このバッファーは、1010分子のホスホリル化Amp-プローブ-2、1010分子のAmp-プローブ-2Aおよび1011分子の捕獲/Amp-プローブ-1および捕獲/Amp-プローブ-1Aを含んでいた。(これらプローブは、実施例5に記載されている)。該ハイブリッド化バッファーの添加は、該GnSCN濃度を5Mから2Mに低下し、ハイブリッドの形成を可能とする。この混合物を、1時間インキュベートして、2種のDNA捕獲プローブおよび該HCV RNAターゲットと結合した2種のDNAヘミプローブからなるハイブリッドを生成する。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)を、この混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドと該ビーズ表面とを結合する。次いで、このビーズを、150μlの洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40、1.5mMのMgCl2および50mMのKCl)で二度洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブ並びにGnSCN、タンパク質、核酸およびあらゆる潜在的なPCR阻害物質を除去した。
【0133】
各洗浄中、該アッセイチューブを、磁気分離スタンド(Magnetic Separation Stand; プロメガ社)上に置くことにより、該ビーズを該チューブの壁上に引き付け、吸引により上澄を除去した。次いで、このハイブリッドを20μlのリガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH 7.5)、1mMのジチオスレイトール、1mMのATP、1mMのMnCl2、5mMのMgCl2および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム))に再懸濁し、37℃にて1時間インキュベートし、該RNAターゲット上の隣接位置とハイブリッド化している、該プローブを共有結合により結合し、かくして実施例5に記載の結合増幅プローブを製造した。次いで、10μlの該結合反応混合物(ビーズを含む)を、20μlのPCR混合物に移した。この混合物は、実施例5に記載した0.66μMのPCRプライマー3および0.66μMのPCRプライマー4、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.5mMのMgCl2、10mMのトリス-HCl(pH 8.3)、および50mMのKClを含んでいた。
【0134】
該第一のPCR反応は、90℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、35サイクルに渡り、GeneAmp PCR装置9600サーモサイクラー(CT、ノルウォークのパーキンエルマー社)内でインキュベートした。この第一PCRの後、5μlの各反応混合物を、同一の成分を含むが、0.66μMのPCRプライマー3および0.66μMのPCRプライマー5を、セミ-ネステッドPCRのために使用した、30μlの第二PCR混合物に移した。この第二PCR反応を、該第一PCR反応のプロトコールに従って行った。10μlの該第二PCR反応系を、6%ポリアクリルアミドゲルを介する電気泳動により分析し、エチジウムブロミドで染色した後に、紫外蛍光により可視化した。この第二PCR生成物に関連して、102塩基対のバンドの存在を、正の結果と考えた。全てのテストを2回行い、該サンプルの血清学的状態(抗-HCV正または負)については、ブラインド状態で行った。
【0135】
RT-PCRは、Abe等, International Hepatology Communication, 1994, 2:352に記載された方法に従って行った。簡単に言えば、各検体のRNA懸濁液15μlを鋳型として使用して、HCV RNAおよびβ-アクチンRNAを検出した。該β-アクチンRNAは、細胞性RNAに関する正の内部コントロールとして使用した。RT-PCRに使用した外部プライマーの配列は、HCV RNAに対して、5'-GCGACACTCCACCATAGAT-3'(センス) (SEQ ID NO. 32)および5'-GCTCATGGTGCACGGTCTA-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 33)、およびβ-アクチンRNAに対して、5'-CTTCTACAATGAGCTGCGTGTGGCT-3' (センス) (SEQ ID NO. 34)および5'-CGCTCATTGCCAATGGTGATGACCT-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 35)である。該内部プライマーの配列は、HCV RNAに対して、5'-CTGTGAGGAACTACTGTCT- 3' (センス) (SEQ ID NO. 36)および5'-ACTCGCAAGCACCCTATCA-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 37)、およびβ-アクチンRNAに対して、5'-AAGGCCAACCGCGAGAAGAT-3' (センス) (SEQ ID NO. 38)および5'-TCACGCACGATTTCCCGC-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 39)である。
【0136】
該第一PCR反応は、50μlの以下のようにして調製された反応バッファーを含む、同一のチューブ内での該逆転写段階と組み合わせた。即ち、20単位のRナーゼ(Rnase)阻害剤(プロメガ社)、100単位のモロニー(Moloney)ネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(ギブコBRL)、100ngの各外部プライマー、200μMの各4種のデオキシヌクレオチド、1単位のTaq DNAポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム)および1.5mMのMgCl2を含む1X Taqバッファーを混合した。該サーモサイクラーを、まず初期逆転写段階として37℃にて50分間該サンプルをインキュベートし、次いで94℃にて1分間、55℃にて1分間および72℃にて2分間からなるサイクルを35回実施した。該第二のPCRのために、該第一PCR生成物5μlを、該第一PCR反応と同様の、該第二群の各内部プライマー、デオキシヌクレオチド、Taq DNAポリメラーゼおよびTaqバッファーを含むが、逆転写酵素およびRナーゼ阻害剤を含まないチューブに添加した。該第二PCR反応は、該第一PCR反応と同様のプロトコールに従って実施したが、初期の37℃における50分間のインキュベーションは省いた。該PCR生成物20μlを、2%アガロースゲルを介する電気泳動によって検査した。HCV RNAおよびβ-アクチンRNAに関する正の結果が、夫々268-塩基対および307-塩基対としての、第二PCR生成物の存在によって示された。
【0137】
LD-PCRおよびRT-PCRの結果を、以下の表2に示す。
【0138】
【表2】
(a) FFPE-ホルマリン固定され、パラフィンに埋設された肝臓組織。
(b) 固定されていない急速冷凍された、対応するFFPE検体の肝臓組織。
(c) 結合-依存性PCRによる、テストしたFFPE検体の正(+)または負(-)の数。
(d) 逆転写PCRによる、テストしたFFPE検体の正(+)または負(-)の数。
(e) 固定されていない凍結組織を用いた、RT-PCRにより確認された検体の数。
(f) 僅かに7例の未固定検体を、確認RT-PCRテストで利用できた。
(g) 僅かに7例の未固定検体を、確認RT-PCRテストで利用できた。
【0139】
22個のFFPE検体のうち13例は、EIAアッセイによりHCV正である患者由来のものであり、またそのうちの9例は、HCV負(表2)のものである。HCV RNAは、LD-PCRによれば、13例の血清学的に正のFFPE検体全てにおいて検出され、一方5例のみが、RT-PCRによれば、正であった。確認のために、7例から得られた未固定の凍結肝臓検体を、RT-PCRによりテストした。これら7例の内、HCV-RNAは、同一検体由来のFFPE組織を使用した場合、LD-PCRによれば、これら7例全てにおいて検出できたが、RT-PCRによれば、HCV RNAは1例においてのみ検出できた。しかし、該凍結組織に関するRT-PCRでは、全ての場合においてHCV-RNAの存在が確認された。β-アクチンmRNAは、全ての対応する検体において検出され、このことはRNAの分解が最小であることを示した。これら結果は、ホルマリン固定、加熱パラフィン埋設法、および3年までの保存中に、該HCV RNAが保存されることを明らかにした。
【0140】
FFPE検体に係るRT-PCRの全体としての感度は、この研究では23.8%(5/21)であったが、El-Batonony等, J. Med. Virol., 1994, 43: 380およびAbe等による以前の研究では、この感度は夫々58.6%および84%であった。これら値における相対的な差異は、これら研究における検体の選択における違い(FFPE組織に関する8例のRT-PCR負および5例の正が、この研究で選択された)によるものであった。これら8例のHCV血清学的に負の肝臓検体の内、HCCを含む7例が、原発性胆汁性肝硬変(PBC)に罹った患者から取り出され、2例が、アルコール性肝硬変に罹った患者から取り出され、2例が、B型肝炎ウイルス(HBV)肝硬変に罹った患者から取り出され、1例が、突発性の肝硬変に罹った患者から取り出され、またHCCを含まない1例は、胆道閉鎖症に罹った子供から取り出された(表3)。該7例のHCC肝臓検体の内、LD-PCRによれば、5例がHCV正であるとされたが、RT-PCRによれば、HCV正は観測されなかった。胆道閉鎖症に罹った患者由来の検体は、これら両PCRテストにおいて、負の状態を維持した。この矛盾を解明するために、これら7例の未固定凍結組織検体について、RT-PCRを実施した。得られた結果を以下の表3に示す。
【0141】
【表3】
(a) 様々な臨床的診断に掛けられた患者由来の肝臓検体:PCB-原発性胆汁性肝硬変、アルコール性-アルコール性肝硬変、HBV-HBsAgに対して正、突発性-突発性肝硬変。
(b) FFPE:ホルマリン固定し、パラフィン埋設処理した肝臓検体。
(c) 未固定:対応するFFPE検体の急速凍結した、未固定の肝臓組織。
(d) LD-PCRまたはRT-PCRにより、HCV RNAについて正であるとされた、FFPE検体の数。
(e) 未固定凍結組織を使用して、RT-PCRにより確認された検体の数。
(g) 僅かに2例の未固定検体が、確認的RT-PCRテストにおいて利用できたに過ぎなかった。
N/D:テスト実施せず:新たな凍結検体を入手できなかった。
【0142】
未固定組織に関するRT-PCRテストの結果は、上記LD-PCRテストの結果を確認しており、このことは、血清学的テストによる誤った負の結果の存在を示している。更に、FFPE検体に関するLD-PCRおよびRT-PCRテスト両者により、負であるとされたPBC検体の一例は、未固定凍結検体に関するRT-PCRでは正であり、このことは、該FFPE検体に関する両PCRテストによる、誤った負の結果の存在を示している。これらの結果は、HCV血清学的負のHCCにおいて、HCV RNAの高い検出率(6/8、75%)が観測され(表3)、またHCV血清学的正および血清学的負のHCC検体両者における、全体として正の割合が、86% (18/21)である(表2)ことを示している。FFPEおよび未固定検体の細断、および該PCRアッセイが、2つの別々の研究室で行われたことから、汚染の可能性は考えられなかった。更に、該検体の調製および適当な負のコントロールを用いたPCRテストの実施には、最善の注意が払われた。FFPE検体に関するLD-PCRと、新鮮な凍結検体に関するRT-PCRとの間の全体としての一致は、極めて高く、またLD-PCRの感度は95% (18/19)である。
【0143】
上記結果は、ホルマリン固定により引き起こされる架橋が、逆転写酵素による新生DNAストランドの鎖伸張を途絶させ、FFPE組織におけるRT-PCRの低い感度をもたらすことを示唆している。これに対して、LD-PCRは、該架橋した鋳型に沿って、プライマー拡張段階を迂回することによって、プローブ配列を増幅する。更に、該増幅プローブは、長さ30-ヌクレオチドの相補領域をもつに過ぎず、その結果架橋されていない領域を、容易に利用する。従って、LD-PCRは、FFPE検体におけるHCV RNAの高い検出感度を達成することができる。このアッセイの感度値は、上記結果により確認されており、これら結果は、血清学的に負の検体においてさえ、HCV RNAの高い検出率を達成することを明らかにしている。
実施例10:環状増幅配列に関するプライマー拡張-置換
本例はで、DNAポリメラーゼのクレノーフラグメントの、下流側ストランド置換能力およびポリマー生成能力を明らかにする。
【0144】
SEQ ID NO. 31をもつホスホリル化された環状化可能なプローブ分子1012個と、合成HCV DNAターゲット分子1013個とを、1X結合バッファー10μl中で混合し、65℃にて2分間加熱し、次いで10分間かけて室温まで冷却することにより、該合成DNAターゲットを検出した。1μlのリガーゼをこの混合物に添加し、37℃にて1時間インキュベートし、次いでSEQ ID NO:27の32P-標識した拡張プライマー(Ext-primer) 分子1013個を添加した。この混合物を、100℃にて5分間加熱し、20分間かけて室温まで冷却した。40μlのクレノー混合物およびdNTPを、この反応系に添加し、37℃にてインキュベートした。10μlのアリコートを、0、1、2および3時間後に取り出して、8%ポリアクリルアミドゲル上で検査した。これら結果を図18に示す。その左側のレーンは、リガーゼのない場合の結果を示す。その右側のレーンは、結合後の拡張を示す。105〜600塩基に渡るバンドは、該右側のレーンにおいて可視化できる。これら結果は、クレノーが、該拡張プライマーから伸張され、かつ該下流側ストランドを置換し、ポリマーを生成することを立証している。
【0145】
実施例11:結合-依存性PCRによる、耳下腺の多形性腺腫における、EBV初期RNA (EBER-1)の検出
環状化プローブを用いるLD-PCRを実施して、良性混合腫(BMT)患者の唾液における、エプスタインバーウイルスの初期RNA (EBER-1) を検出した。BMTおよび隣接する耳下腺組織の6種の検体、および正常な耳下腺組織の3種の検体(嚢胞から取り出した2検体および過形成リンパ節由来の1検体)を、凍結組織検体用の埋設媒体(OCT、IN、エルクハートのマイルズ(Miles, Inc.)社)および液体窒素中で、迅速凍結し、-70℃にて保存した。対応するホルマリン固定し、パラフィンに埋設した(FFPE)組織のブロックを得、新鮮な組織と平衡して検討した。全組織をミクロトーム上で裁断したが、そのブレードは、交叉汚染を回避するために、各場合において10%クロロックスで洗浄した。各検体の2〜3個の切片を、1.5mlの微量遠沈管に入れた。FFPE組織を、1mlのキシレン(シグマ社)と共に60℃にて10分間インキュベートすることにより、これからパラフィンを除去し、該キシレンを引き続き絶乾エタノールで2回洗浄することによって除去した。これら検体を、65℃にて30分間ホットブロック上に置くことによって乾燥させた。パラフィンを除去した組織を、100℃にて30分間、次いで65℃にて30分間、250μlの溶解バッファー中でインキュベートすることによって、該組織を溶解させた。該溶解バッファーは、5Mのグアニジウムチオシアネート(GTC、フルカ社)、0.5%のウシ血清アルブミン(シグマ社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含む。新鮮な凍結組織を、同一の溶解バッファー中で37℃にて60分間インキュベートすることにより溶解した。この溶解した検体を、使用するまで-20℃にて保存した。
【0146】
EBER-1を隣接するように設計された2種の捕獲/増幅プローブを使用して、ターゲットRNAを捕獲した。捕獲プローブ1 (SEQ ID NO:40)および捕獲/増幅プローブ2 (SEQ ID NO:41)に関する配列を、以下の表4に与える。該環状増幅プローブ (SEQ ID NO:42) は、該選択されたターゲット配列に対して相補性の3'および5'領域を持つように設計された。非-相補性リンカー配列が、これら2つの領域間に挿入されている。この環状プローブは、該5'および3'末端が相互に並置されるような方法で、ターゲットハイブリッド化の際に環化される。同様に表4に示された、このリンカー配列を指向するプライマー対を用いて、セミネステッドPCRを行った。
【0147】
【表4】
(下の場合:EBER-1に対して相補的、上の場合:包括的に設計)
【0148】
LD-PCRは以下のように行った。簡単に説明すると、80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー[0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社) (これは、ホスホリル化ターゲットプローブの1010分子および捕獲プローブ1および捕獲プローブ2の1011分子を含む)]に添加した。このハイブリッド化バッファーの添加は、該GnSCN濃度を5Mから2Mに減じ、ハイブリッドを形成させた。この混合物を1時間インキュベートして、ハイブリッドを形成させ、これは該ターゲットRNA上でハイブリッド化された2つのDNA捕獲/増幅プローブと1種のDNA環状増幅プローブとからなっていた。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)をこの混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドを該ビーズ表面に結合させた。該ビーズを、洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40および1.5mMのMgCl2、および50mMのKCl) 150μlで2回洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブおよび潜在的なPCRの阻害剤(GTC、タンパク質)および非-特異的なPCR生成物の潜在的な源(細胞性の核酸)を除去した。各洗浄中に、該ビーズを、磁気分離スタンド(プロメガ社)上に該アッセイチューブを置くことによって、該チューブ壁に引き付けて、吸引による上澄の除去を可能とした。相互に該ターゲットRNA上で隣接した状態で、直接ハイブリッド化された、該環状増幅プローブの3'および5'末端は、20μlのリガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのジチオスレイトール、1mMのATP、1mMのMnCl2および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガー))と共に37℃にて1時間インキュベートすることによって、共有結合により結合し、結果として環化された。
【0149】
磁性ビーズを含む、10μlの該結合反応混合物を、0.66μMのPCRプライマー、0.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.5mMのMg2および10mMのトリス-HCl(pH8.3)および50mMのKClを含有するPCR混合物20μl中に移した。この第一PCR反応系を94℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、GeneAmp PCR装置9600サーモサイクラー(CT、パーキンエルマー(Perkin Elmer))内で、35サイクルに渡りインキュベートした。この第一PCR反応の後、同一の成分を含むが、セミネステッドPCRのために0.66μMのPCRプライマー1および0.66μMのPCRプライマー2を使用した、第二PCR混合物25μlに、5μlの各反応混合物を移した。該セミネステッドPCRは、増幅の特異性を犠牲にすることなく、シグナル検出感度を高める。この共有結合により環化されたプローブに沿った、PCRプライマーの拡張は、大きな多重単位を含むポリマーの生成(ローリングサークル重合)に導く。事実、モノマー単位まで消化することなしに、このPCRポリマー生成物を、ポリアクリルアミドゲル内で移動させることはできない。10μlの該第二PCR反応系を、50mMのNaCl、100mMのトリス-HCl(pH 7.5)、10mMのMgCl2、0.025%のトライトン(Triton) X-100の存在下で、制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、また6%ポリアクリルアミドゲルを介するゲル電気泳動により分析し、エチジウムブロミドで染色した後に、紫外蛍光により可視化した。90塩基対のバンド(第二PCR生成物)および108塩基対の生成物(第一PCR)の存在は、正の結果であると考えられる。これら結果を表5にまとめた。
【0150】
【表5】
表5:LD-PCRにより検出された、EBV初期RNA(EBER-1)
注:ケース1および2は、多形性腺腫以外の理由から切除された耳下腺組織由来のものであった。ケース3-8は、多形性腺腫を含んでいた。
FFPE:ホルマリンで固定され、パラフィン内に埋設された組織。液体窒素中で迅速凍結された、凍結-組織。
ND:組織が入手できなかったので実施しなかった。
【0151】
要するに、EBER-1配列は、8例の耳下腺サンプル中の6例で検出された。該6例の多形性腺腫研究中の、4例が、EBER-1について正であった。EBERが該腫瘍中に観測されなかった該2例において、配列は、包囲する耳下腺組織内に存在した。対応するホルマリンで固定され、パラフィン内に埋設された組織内のEBER-1配列の検出は、著しく低感度であって、8例の検体中2例のみが正であった。 まとめると、環状プローブを用いた結合依存性PCRに関するこれら結果は、検討された多形性腺腫の大多数に、EBV-関連配列が存在することを立証している。本発明の方法は、Taira等, J. Of Otorhinolaryngol Soc. Jap., 1992, 95: 860によって行われたような、EBV DNA検出に関する標準的なPCRに対して、著しく高い検出率を示す。本発明の方法において、環化可能なプローブの3'および5'末端は、該ターゲット配列とハイブリッドを形成して、並置された状態をもたらした。次いで、これら並置された配列は結合され、結果的に該ターゲット配列上に固定され、かつ厳格な洗浄に対して耐性の、環化され、共有結合によって結合したプローブを与えた。該環状プローブ上でのPCRは、ローリングサークルポリマーを生成し、このポリマーはモノマー単位に消化され、ゲル上で可視化された。環状プローブを用いた、結合依存性PCRの利用、およびこれに続く該ローリングサークルモデルによる、該プローブの増幅は、新鮮な凍結組織におけるターゲットの極めて高い検出感度をもたらした。
【0152】
実施例12:判別ディスプレイRAM
5'捕獲/Amp-プローブおよび3'任意/Amp-プローブを、以下のように設計する。24の異なるデカマー3'任意/Amp-プローブとの組合せで使用される、12種の可能な5'捕獲/Amp-プローブオリゴ(dT)プローブが、哺乳動物細胞内に存在する10,000個のmRNA種をディスプレイするのに十分である(Liang等, Science, 1992, 257: 967-971)。該5'捕獲オリゴ(dT)プローブの3'末端塩基が、選択性の大部分を与えるので、捕獲オリゴ(dT)プローブの数は、12から3に減じることができる(Liang等, Science, 1992, 257: 967-971; Liang等, Nucl. Acid Res., 1994, 22: 5763-5764)。
まず、各々3'末端にヌクレオチドG、AまたはCを含む、3つの別々の5'捕獲/Amp-プローブを合成する。オリゴ(dT)11が、該末端ヌクレオチドに隣接しており、これは捕獲およびアンカー配列両者として機能するはずである。該捕獲/AMP-プローブの該5'領域は、その5'末端にビオチン成分を含む、複数、即ち5-20個の包括的プライマー結合配列を含む。これら複数のプライマー結合配列は、RAM増幅のために設計され、感度を保証する。3種の捕獲/アンカープローブを用いた初期テストが、良好な判別ディスプレイを与えない場合には、4-12個の別の捕獲/アンカープローブを、最後の2つのヌクレオチド(T12MN、M=縮重A、GまたはC;N=A、C、GおよびT)の組合せに基いて合成できる。
【0153】
長さ10ヌクレオチドをもつ3'任意/Amp-プローブは、mRNAとハイブリッドを形成し、配列決定ゲルにより分析するのに十分なディスプレイバンドを生成する。しかし、長さ10ヌクレオチドをもつプローブが何れも適当であるという訳ではない。従って、プローブは、実験的にテストすべきである(Bauer, Nucl. Acid Res., 1993, 21: 4272-4280)。殆どのmRNA種をディスプレイするのに必要な実際の3'任意/Amp-プローブの数は、24〜26個の異なるプローブである。従って、初めに24個の3'任意/Amp-プローブを別々に合成する。各3'任意/Amp-プローブは、例えば長さ10ヌクレオチドをもつ5'任意配列および長さ70-130ヌクレオチドであり得る、3'RAMプライマー結合配列を含む。各3'任意/Amp-プローブの5'末端は、結合を起こさせるために、T4 DNAキナーゼと共にインキュベートすることによって、ホスホリル化される。これら3'任意/Amp-プローブは、等モル比で、最終濃度が1011分子/μlとなるように混合される。各3'任意/Amp-プローブの濃度は、最良の判別ディスプレイを達成するように変えることができる。
【0154】
該DD-RAMアッセイは、僅かに変更を加えて、上記のように実施する(Zhang等, Gene, 1998, 211: 277-285; Park, Amer. J. Path., 1996, 149: 1485-1491)。組織切片(厚み5-10μm)または細胞懸濁液(1×106 細胞/ml)を、5Mのグアニジウムチオシアネート(GTC;フルカ社)、0.5%のウシ血清アルブミン(MO、セントルイスのシグマケミカル社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含有する溶解バッファー250μl中で、37℃にて60分間インキュベートすることにより溶解させる。80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン)に添加する。このバッファーは、各捕獲/アンカープローブ1012 分子およびホスホリル化された任意配列のプローブ1011 分子を含む。ハイブリッド化バッファーの添加は、該GTC濃度を5Mから2Mに低下し、結果的にハイブリッド形成を可能とする。このハイブリッド化混合物を、37℃にて1時間インキュベートして、ハイブリッドの形成を可能とする。このハイブリッドは、そのmRNAターゲットと結合した、5'捕獲/Amp-プローブおよび3'任意/Amp-プローブを含む。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(1mg/ml、WI、マディソンのプロメガ社)を、この混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドを該ビーズ表面に結合させる。次いで、該ビーズを、180μlの洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、50mMのKCl、および1.5mMのMgCl2、並びに0.5%のノニデットP-40(シグマ社))で2回洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブ並びにGTC、タンパク質、核酸、およびあらゆる可能な結合並びにRAM阻害物質を除去する。
【0155】
次いで、これらハイブリッドを、20μlのRT/リガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのジチオスレイトール、1nMのATP、0.2mMのdTAP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1mMのMnCl2、5mMのMgCl2、および200単位のモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(ベーリンガーマンハイム)および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム)) (Hsuih, 1996)に再懸濁し、37℃にて1時間インキュベートして、該5'捕獲/Amp-プローブから3'下流側任意配列プローブまで拡張する。該任意配列と拡張された配列との間のギャップを結合して、上記のようにRAMアッセイによって増幅できる、共有結合によって結合した環状プローブを形成する。次に、10μlの該RT/結合反応混合物(ビーズを含む)を、0.66μMのRAM前進プライマーおよび0.66μMのRAM逆プライマー、90ngのφ29 DNAポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム)、80μMの32P-dATP、80μMのdCTP、80μMのdGTP、80μMのdTTP、5mMのMgCl2、および66mMのトリス-HCl(pH7.5)を含む、RAM混合物40μlに移す。このRAM反応系を、35℃にて2時間インキュベートする。感度が、希有なmRNAをディスプレイするのに不十分である場合、該第一RAM反応混合物5μlを、該第二RAM反応用の成分と同一の成分を含む第二RAM混合物25μlに移す。この反応系15μlを、6%ポリアクリルアミドゲルを介して電気泳動させることにより分析し、オートラジオグラフにより可視化する。
【0156】
実施例13:多数のプライマーを用いたRAMアッセイ
多数のRAMプライマーの添加が、該RAM反応の効率を増大し得るか否かをテストするために、EBER Amp-プローブ-2および3種のRAMプライマーを用いて、反応を行った。合成EBER DNAターゲット分子1011個を、1011個のEBER Amp-プローブ-2分子とハイブリッド化した。結合に続き、1種のRAM前進プライマーおよび2種のRAMプライマー(1種の前進プライマーと1種の逆プライマー)または3種のRAMプライマー(1種の前進プライマーと2種の逆プライマー)を、φ29 DNAポリメラーゼと共に各反応に添加した。
これら反応の生成物を、8%ポリアクリルアミドゲル上で検査した。これらの結果は、一つのプライマーを用いた場合、マルチマーssDNAが生成され、またこれら生成物のサブセットが大き過ぎて、該ゲルに入り得ないことを示した。生成物の量は、使用するプライマーの数の増加に伴って増大する(図21参照:2プライマー:レーンB;3プライマー:レーンC)が、指数的な増幅は観測されなかった。ターゲットの不在下において、生成物は観測されなかった(レーンD)。このことは、この反応が特異的であることを示す。
【0157】
この反応の効率を高めるために、プライマーの数を、3から6に増やし、またこれらプライマーの長さを、18ヌクレオチドから12ヌクレオチドに減らした。このプライマーの長さの短縮は、鋳型に対する該プライマーの利用性が増し、一方で該プライマー数の増大は、該反応の平衡位置をハイブリダイゼーション側に偏らせる。
RAM反応に、6mMの(NH4)2SO4、10%のDMSOおよび0.5μgのジーン(Gene) 32タンパクを添加することによって、条件の更なる最適化が可能である。このような条件の下で、EBERターゲット104分子を検出できる(図23)。
生成したDNAの量(104分子の初期Amp-プローブ-2から、1013分子のDNAが生成される)によって判断すると、十億-倍の増幅が達成された。プライマーの長さの縮小は、非-特異的なバックグラウンドを増大しなかったことは、注目する価値がある。
【0158】
2つの追加のプローブAmp-プローブ-2は、6種のプライマーの存在下での該反応の効率をテストするように工夫された。1種のAmp-プローブ-2は、3つの前進-プライマー結合サイトおよび3つの逆プライマー結合サイトを含み、各プライマーが対向するプライマーと隔置されるように合成した。この第二Amp-プローブ-2は、6個のプライマー結合サイトを含むように設計されるが、僅かに2つのプライマー配列(一つの前進および一つの逆)のみを含んでいた。この特別なプライマー設計は、ハイブリッド化の割合を高め、しかもAmp-プローブ-2と結合したプライマー間の妨害を最小化するという2つの利点をもつ。
種々の刊行物がここに引用されており、その内容全体を、本発明の参考とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ターゲット核酸の捕獲、結合依存性増幅および検出するための本発明の方法で使用する様々な成分を示す、包括的、模式的図である。
【図2】
本発明の方法の様々な段階を一般的に示す、模式的な流れ図である。
【図3】
HIV-1 RNAを検出するPCR増幅プローブの、検出を示すオートラジオグラフである。レーンAは、本発明による結合増幅配列であり、レーンBはコントロールであり、HIV-1-特異的配列を全く含まない、PCR増幅されたナノ変異DNAである。
【図4】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAの捕獲および結合-依存性検出で使用する種々の成分、および結合したビオチン部分を含む、2つの捕獲/増幅プローブおよび2つの結合依存性増幅プローブを使用する、後におけるその配列の増幅を示す、本発明の一態様の模式的な図である。
【図5】
単一の捕獲/増幅プローブおよび2つの増幅プローブを用いる、HCV RNA検出用の、磁気分離、ターゲット特異的結合およびPCR増幅を示す、模式的な流れ図である。
【図6】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAを増幅し、検出するのに使用する様々な成分を示す模式的な図であり、この検出では各々結合したビオチン部分を含む2つの捕獲/増幅プローブおよび単一の増幅プローブを使用する。
【図7】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAを検出するのに使用する様々な成分を示す模式的な図であり、この検出では各々結合したビオチン部分を含む2つの捕獲/増幅プローブおよび該ターゲット核酸とハイブリッド形成し、また遊離末端の結合の際に環化する、単一の増幅プローブを使用する。
【図8】
サンプル中のHCV RNAを検出するのに使用する、PCR増幅されたプローブを示す、エチジウムブロミドで染色されたDNAの写真である。該サンプル中のHCV RNAの量は、サンプルのバンド密度と、HCV転写物の標準的連続希釈物のバンド密度とを比較することにより決定される。
【図9】
サンプル中のHCV RNAを検出するのに使用する、PCR増幅された単一の、完全な長さの、結合-依存性および環化可能なプローブを示す、エチジウムブロミドで染色されたDNAの写真である。該サンプル中のHCV RNAの量は、サンプルのバンド密度と、HCV転写物の標準的連続希釈物のバンド密度とを比較することにより決定される。
【図10】
ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)による、ターゲット核酸の捕獲並びに検出を示す模式的な図である。
【図11】
ビオチン処理した抗体およびビオチン処理したシグナルプローブを用いた、抗原の検出のための、HSAMの使用を例示する模式的な図である。
【図12】
ホルマリン固定において形成されたRNA-タンパク質架橋を例示する模式的な図である。Aは逆転写PCR(RT-PCR)法における、架橋によるプライマー拡張の防止を示す。Bは、本発明のプローブのハイブリッド化および結合が、タンパク質-RNA架橋によって阻害されないことを示す。
【図13】
多重PCRを示す模式的な図である。夫々HIV-1およびHCVに対する特異性を持つ、二組の捕獲/増幅プローブを、ターゲット捕獲のために使用するが、一対のみの包括的PCRプライマーを用いて、結合されたプローブを増幅する。各ターゲットの存在は、該増幅された生成物のサイズにより、あるいは酵素-結合イムノソルベントアッセイによって決定できる。
【図14】
環状ターゲットプローブおよび3つの環状シグナルプローブを用いるHSAMの模式的な図である。AB、CDおよびEFはリンカー領域におけるヌクレオチド配列を示し、該配列は、環状シグナルプローブの3'および5'ヌクレオチド配列と相補的である。AB'、CD'およびEF'は、該シグナルプローブの3'および5'ヌクレオチド配列を示し、これら配列は、もう一つの環状シグナルプローブのリンカー領域に係る相補配列と結合することによって、並置状態に置かれる。
【図15】
環状ターゲットプローブおよび線状シグナルプローブを用いる、HSAMの模式的な図である。
【図16】
プライマー-拡張/置換およびPCRによる、環化されたプローブの増幅を示す模式的な図である。
【図17】
RAMの一態様を示す模式的な図であり、この態様では、T3プロモータが、転写によって該環状プローブの増幅を可能とする、拡張-プライマー2に組み込まれている。
【図18】
拡張-プライマー1の拡張による環状プローブの増幅を示す、ポリアクリルアミドゲルを与える。
【図19】
分岐-拡張増幅法(RAM)による、環化されたプローブの増幅にかかわる模式図である。
【図20】
RAMアッセイの図であり、ここでRNAポリメラーゼプロモータ配列は、該プライマーに組み込まれている。
【図21】
1、2および3個のプライマーの存在下におけるRAMアッセイを示す。
【図22】
ターゲットDNAの連続的希釈によるRAMアッセイを示す模式図である。
【図23】
増大された長さを持つターゲット配列が増幅される、RAMアッセイを示す図である。
【図24】
環状プローブを用いる、固体担体上でのターゲット核酸の捕獲を示す図である。
【図25】
抗体または抗原と特異的に結合する捕獲/プライマーを使用した、抗体または抗原の検出を示す図である。
【図26】
アダプタ分子を用いる、ゲノムDNAの遺伝的増幅を示す。
【技術分野】
本発明は、感染性の病原的作用物質および正常な並びに異常な遺伝子を、迅速に、自動的に検出するための、アッセイおよび該アッセイを実施するためのキットに関する。本発明は、更にゲノムDNAおよび全mRNAの一般的な増幅方法およびここに記載される増幅方法を利用して、判別(differential) mRNA発現を分析する方法にも関する。
【0002】
【背景技術】
最近、ウイルス、バクテリアおよび真菌等の感染性作用物質の迅速かつ正確な検出、および正常な並びに異常な遺伝子の検出に対する要求を満たすべく、多くの技術が開発されている。一般に、テストサンプル中の少量のターゲット核酸(DNAまたはRNA)を増幅し、かつ検出する工程を含むこのような技術は、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR) (Saiki等, Science, 1985, 230: 1350; Saiki等, Science, 1988, 239: 487; PCR Technology, Henry A. Erlich編, Stockton Press, 1989; Patterson等, Science, 1993, 260: 976)、リガーゼ連鎖反応(LCR) (Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88: 189)、ストランド置換増幅(strand displacement amplification; SDA) (Walker等, Nucl. Acids Res. 1992, 20: 1691)、Qβレプリカーゼ増幅(QβRA) (Wu等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1992, 89: 11769; Lomeli等, Clin. Chem. 1989, 35: 1826)および自立式複製(self-sustained replication) (3SR) (Guatelli等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1990, 87: 1874-1878)を包含する。これら技術の全てが、サンプル中の少量のターゲット核酸を検出し、かつ同定するための強力な手段であるが、これらは全て様々な問題点を含み、臨床的な研究室における、日常的な診断技術で使用するための、一般的なその利用を妨げている。
【0003】
その最も困難な問題点の一つは、増幅および検出を行う前における、該ターゲット核酸の調製である。この調製法は、時間および労力を要し、従って一般的には、迅速かつ正確な結果が要求される、臨床的なセッティングにおいては不適当である。特にPCRおよびSDAに係るもう一つの問題は、後の検出および随意の定量のために、該ターゲット核酸を増幅するための諸条件が、テスト毎に変動すること、即ちテストの標準化を助ける一定の条件が存在しないことにある。この後者の問題は、競合的PCRによりターゲット核酸を定量し、また多数のターゲット核酸を同時に検出するために重大である。
上記問題点の解消は、上記した様々な技術を利用する、迅速な標準化されたアッセイの開発を可能とし、このようなアッセイは、疫学的な検討を行う上で、並びに患者サンプル中の病原的な微生物およびウイルスを検出するための、臨床的研究室のセッティングにおいて特に有用であろう。このような微生物は、ヒトの健康に多大な脅威を与える感染性の疾患を引き起こす。感染性疾患の作用物質に特異的なターゲット核酸の迅速かつ高感度の同定に基く、標準的かつ自動的な分析技術およびそのためのキットの開発は、バクテリアおよびウイルスの免疫学的なまたは培養検出を含む技術を越える、利点をもたらすであろう。
【0004】
試薬は、特定の生物またはある範囲に渡る関連する生物に対して特異的となるように設計できる。これら試薬は、様々な抗体に対する耐性を与える微生物遺伝子および疾患をもたらす有毒なファクタを直接アッセイするのに利用できる。迅速な標準化された分析技術の開発は、適当な治療の選択において役立つであろう。
幾つかの場合において、中程度の感度を持つ(しかし、高い特異性を持つ)アッセイは、例えば初期のスクリーニングテストにおいては十分なものであり得る。他の場合においては、(特異性と同程度に)高い感度が必要とされ、例えば感染血液中のHIVゲノムの検出では、10〜100,000例のヒトゲノム等価物当たり一つのサンプル中における、該ウイルス核酸配列を見出す必要がある(Harper等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1986, 83: 772)。
【0005】
特に、HIV、HTLV-I、B型肝炎およびC型肝炎を含む血液汚染物質は、輸血を受ける患者にとっては大変な脅威であり、またこのような作用物質を迅速かつ高感度で検出するための、これら作用物質の核酸を含む日常的な診断テストの開発は、臨床的な診断が許された研究室にとって極めて大きな利点となろう。例えば、HIVゲノムは、自由なウイルス粒子を表すRNA分子として、あるいは統合されたプロウイルスを表すDNA分子として、PCR技術を利用して、血液サンプル中に検出できる(Ou等, Science, 1988, 239: 295; Murakawa等, DNA, 1988, 7: 287)。
更に、古典的な培養技術を利用した疫学的な検討は、散在性細胞内マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium-intracellulaire; MAI)感染が、子供および成人における後期-段階の後天性免疫不全症候群(AIDS)の合併症の一つであることが示された。しかし、この問題の正確な大きさは明確でない。というのは、マイコバクテリアを検出するための従来の培養による方法は、厄介で、緩慢かつ感度に問題のあるものであったからである。従って、迅速で、高感度かつ特異的なMAI検出技術を工夫することは、HIV-感染患者および他の免疫抑制を被った患者における、関連事象の明確な病像を与えるために望ましく、またきわめて有利なことである。このような研究は、ターゲット核酸の検出に基く、分子生物学的な方法を含むはずであり、これらは標準的な培養法よりも高い感度を示すことが一般的に示されている(Boddinghaus等, J. Clin. Med. 1990, 28: 1751)。
【0006】
このような技術の他の用途は、個人および集団における単一遺伝子による遺伝的疾患の検出および特徴付けを包含する(例えば、Landergren等, Science, 1988, 241: 1077を参照のこと:この技術は点突然変異を含む、単一遺伝子欠陥を検出するための結合技術を開示している)。このような技術は、疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)並びに欠失または複製(重複)遺伝配列(例えば、タラセミア)をもたらす可能性のある、単一ヌクレオチド差(点突然変異)を、明確に識別できるものであるべきである。
【0007】
上記の方法は、手順が比較的複雑であり、知られている通り、臨床的研究室で、感染性諸疾患および遺伝的な異常性の日常的な診断および疫学的な研究の目的で使用することを困難にしている、諸欠点を有している。記載した方法全ては、検出すべき該ターゲット核酸の増幅を含む。ターゲット核酸の調製に必要とされる多大な時間および労力、並びに増幅鋳型(例えば、当該検出が測定すべき特異的なターゲット核酸)における変動および条件は、臨床的な研究室のセッティングにおいて必要とされる標準化および自動化にとって、このような手順を不適当なものとしている。
本発明は、病原性生物の検出および追跡並びに個人における異常な遺伝子の検出のとって有用な、迅速かつ高感度なアッセイの開発を目的とする。更に、本発明の方法は、臨床研究室セッティングにおいて使用する目的で、容易に標準化並びに自動化することができる。
【0008】
【発明の開示】
感染性疾患に罹患した患者由来のサンプルの、病原性微生物由来の核酸を、迅速な、高感度かつ標準化された検出並びに定量を可能とする改善された方法が、今や開発された。この改良法は、また遺伝的疾患または腫瘍形成状態にある患者由来のサンプル内の、核酸における遺伝的な変動の、迅速で高感度な検出および定量をも可能とする。
この方法は、従来技術の方法を越える幾つかの利点を持つ。この方法は、該ターゲット核酸の単離手順を簡略化し、該単離は、必要ならば、マイクロチューブ、マイクロチップまたはマイクロウエルプレート内で行うことができる。この方法は、同一のサンプル容器、例えばチューブまたはマイクロウエルプレート内での、対象とする該ターゲット核酸に相当する核酸配列の単離、増幅並びに検出の実施を可能とする。
本発明のもう一つの局面では、ここに記載される技術は、ゲルマトリックスまたはスライドフォーマット(slide format)を使用した、単一細胞レベルでの、特異的遺伝子またはマーカーの検出のために利用することができる。単一細胞内の核酸配列の、その場での増幅並びに検出は、半-固体ゲルマトリックス中に埋設した細胞を利用して行うことができる。このような方法は、単一細胞、例えば腫瘍細胞内の突然変異を検出するために、または単一細胞、例えば胚細胞内の、染色体異常を検出するために利用できる。
【0009】
本発明の方法は、条件の標準化をも可能とする。というのは、本発明の方法では、様々なターゲット核酸を検出するために、僅かに一対の遺伝子増幅プローブを使用するに過ぎず、従って効率的に多数の増幅を可能とする。この方法は、更にDNAの鋳型を作る必要なしに、プローブの増幅による、RNAの直接的な検出をも可能とする。この方法では、末端間を共有結合的に結合できる、該増幅プローブは、連続的に結合された増幅配列を形成する。結合により、該増幅可能なDNAのアセンブリーは、特異性を増し、またターゲットにおける単一の突然変異の検出を可能とする。該ターゲット核酸というよりも、寧ろこの結合された増幅配列が、直接検出もしくは増幅され、様々な異なる感染性の作用物質について、実質的に同一の増幅条件を使用することを可能とし、かくしてより制御されたまた矛盾のない結果を得ることを可能とする。更に、単一サンプル中の、多数の感染性作用物質を、ここに記載する多重増幅法を利用して検出できる。
【0010】
本発明の付随的な利点は、記載される方法のプロトコールを自動化できる能力を含み、これは、特に臨床研究室において日常的にアッセイを行う上で重要であり、また様々な核酸増幅システム、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ストランド置換増幅(SDA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)および自立式配列複製(3SR)法を利用できる能力を含む。
本発明の方法は、根源的な疾患の原因となる作用物質の検出を容易にするために、リガンド結合部分で被覆された常磁性粒子またはビーズを用いた、磁気分離技術を組み合わせている。ここで、該リガンド結合部分は、オリゴヌクレオチド捕獲プローブ上のリガンドを認識して、これと結合し、可能性のある病原性微生物または遺伝子異常等を含む臨床検体のサンプルから、ターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離する。
【0011】
本発明の一局面においては、ターゲット核酸を、ストレプタビジン等のリガンド結合部分で被覆した、常磁性ビーズの存在下で、一対の重複のないオリゴヌクレオチド増幅プローブとハイブリッド化して、複合体を形成する。これらプローブは、夫々捕獲/増幅プローブおよび増幅プローブと呼ばれる。該捕獲/増幅プローブは、該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分によって認識され、かつこれと結合するビオチン等のリガンドを含む。これらプローブは、各々が包括的配列(即ち、ターゲット核酸特異性ではない)および該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列に対して相補的な、特異的配列を含むように設計される。これらプローブの特異的配列は、該ターゲット核酸の隣接領域に対して相補的であり、従って相互に重複することはない。引き続き、これら2つのプローブを、結合剤を使用して一緒に接合して、連続的に結合された増幅配列を形成する。この結合剤はDNAリガーゼ等の酵素または化学試薬であり得る。次いで洗浄し、該サンプル中の未結合反応物および他の物質を除去し、元のサンプル中の該ターゲット核酸の検出を、該結合された増幅配列の検出によって行う。この結合された増幅配列は、ターゲット核酸が元のサンプル中に十分な量(例えば、106-107個の分子)で存在する場合には、直接検出することができる。ターゲット核酸が該サンプル中に不十分な量(例えば、<106個の分子)で存在する場合には、該結合された増幅配列(該ターゲット核酸ではない)は、検出のために、PCR等の適当な増幅技術を用いて、増幅することができる。あるいは、捕獲(捕獲)および増幅機能を、別々の独立したプローブによって行うこともできる。例えば、2つの増幅プローブを結合して、増幅すべき連続配列を作ることができる。結合されていないプローブ並びに該ターゲット核酸は、この技術では増幅されない。更に別のものは、該ターゲットとハイブリッド化して、その3'および5'末端を並列状態とするような、単一の増幅プローブである。次いで、これら末端を、DNAリガーゼで結合して、増幅により同定できる、共有結合的に結合された環状プローブを形成する。
【0012】
本発明は、更に細胞内で発現される、全ゲノムDNAまたはmRNAの一般的な増幅方法をも提供する。このような方法の利用は、少数の細胞から多量のDNAおよび/またはmRNAを発生させる手段をもたらす。このような増幅されたDNAおよび/またはmRNAを、次に感染性作用物質を検出し、および正常なまたは異常な遺伝子を検出するために開発された技術において利用できる。
更に、本発明は、様々な型の細胞内で判別的に発現されたmRNAを同定するための、新規なディファレンシャルディスプレイ結合依存性RAM法(differential display ligation dependent RAM method)を提供する。
更に、本発明は、該捕獲/増幅プローブが、抗体と結合するように設計できる、方法を提供する。例えば、一つの抗体を一つの捕獲/増幅プローブに結合し、かつ他方の抗体をターゲット配列と結合することができる。この例では、両方の抗体が同一の抗原に結合する場合にのみ、結合が起こるであろう。この技術は、液相RAM反応またはその場での固相RAM反応における、ELISAのために利用できる。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、テストサンプル中の病原性微生物を検出し、かつ追跡するための、並びに個人における異常な遺伝子を検出するための臨床的アッセイにおいて使用する、単純化されたサンプル調製および一般的な増幅システムの提供を意図する。一般的な増幅システムは、臨床的利用のために記載され、そこでは磁気分離技術と、サンプル中の核酸を検出し、かつ測定するための結合/増幅技術とを組み合わせる。該分離技術は、特にPCR、LCRおよびSDA増幅技術を含む、殆どの増幅システムと組み合わせることができる。本発明は、更に本発明の方法において有用な、分岐-拡張増幅法(ramification-extension amplification method; RAM)およびハイブリッド化シグナル増幅(hybridization signal amplification; HSAM)と呼ばれる別の増幅システムを提供する。本発明の利点は、(1) 臨床的研究室のセッティングに対する適合性、(2) 制御された、かつ一貫性のある(標準化可能な)結果を与える能力、(3) 特定のサンプル中の核酸を定量する能力、(4) テストサンプル中の多数のターゲット核酸を検出し、かつ定量する能力、(5) 血清サンプル中のおよびその場での、高感度かつ効率的な核酸の検出能力、および(6) ターゲット中の単一の突然変異を検出する能力を含む。更に、ここに記載する方法の完全なプロトコールを、容易に自動化することができ、この自動化は、このプロトコールを、臨床的研究室のセッティングにおける日常的な診断テストにとって有用なものとする。RAMおよびHSAMの利用によって、等温的な増幅を行うことが可能となる。
【0014】
本発明は、リガンド結合部分で被覆されている、常磁性粒子、ビーズまたは球を利用する、磁気分離と組み合わされるが、ここで該リガンド結合部分は、以下に記載するオリゴヌクレオチド捕獲プローブ上に存在するリガンドを認識し、これと結合して、臨床的なサンプルからターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離し、その検出を簡単にする。
磁気分離は、リガンド結合部分で被覆した、常磁性粒子またはビーズを使用して、サンプルからターゲット核酸(DNAまたはRNA)を単離するシステムである(Lomeli等, Clin. Chem., 1989, 35: 1826)。この方法を強調する原理は、リガンドを含む捕獲プローブとターゲット核酸との間に、該プローブとターゲットとの間における特異的相補配列を介する、一種のハイブリッド形成である。ハイブリッド化は、該プローブと該ターゲット核酸中の相補配列との特異的な結合を容易にする、適当なカオトロピック作用物質、例えばグアニジンチオシアネート(GnSCN)の存在下で行われる。このようにして形成されたハイブリッドは、次に該捕獲プローブ上のリガンドと該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分との特異的な結合を通して、該ビーズ上に捕獲される。
【0015】
ここで使用する用語「リガンド」とは、ここにおいて「リガンド結合部分(ligand binding moiety)」と呼んでいるもう一つの成分に対して、アフィニティーを示す任意の成分を意味する。該リガンドの該リガンド結合部分との結合は、これら2つの成分間にアフィニティー対を形成する。例えば、このようなアフィニティー対は、特にビオチンとアビジン/ストレプタビジン、抗原またはハプテンと抗体、重金属誘導体とチオ基、様々なポリヌクレオチド、例えばホモポリヌクレオチド等、ポリdG (poly dG)とポリdC、ポリdAとポリdT、およびポリdAとポリU等を含む。相互に強いアフィニティーを持つ任意の成分の対は、このアフィニティー対、即ちリガンド-リガンド結合部分として使用できる。適当なアフィニティー対は、また免疫学的方法で使用されるリガンドと複合体にも見出される。本発明において使用するのに好ましいリガンド-リガンド結合部分は、ビオチン/ストレプタビジンアフィニティー対である。
【0016】
一局面において、本発明は、図1に示すようなターゲット核酸の捕獲並びに検出法を提供し、ここで図1は、ターゲット核酸の捕獲並びに検出法の模式的な描写を与える。リガンド結合部分(b)によって被覆された常磁性ビーズまたは粒子(a)の存在下において、該ターゲット核酸は、一対のオリゴヌクレオチド増幅プローブ、即ち図1において夫々捕獲/Amp-プローブ-1(dおよびe)およびAmp-プローブ-2 (fおよびg)と称呼される第一ヌクレオチドプローブ(捕獲/増幅プローブとも呼ばれる)および第二ヌクレオチドプローブ(増幅プローブとも呼ばれる)と同時にハイブリッド化される。これらプローブは、後の増幅法に依存して、選択された分子の型により、オリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドであり得る。ここで言う「プローブ」とは、一般にあるプローブの多数のコピーを意味する。
【0017】
該捕獲/増幅プローブは、一般的な3'ヌクレオチド配列(d)を持つように設計され、即ちこのプローブは、分析すべき特定のターゲット核酸に対して特異的ではなく、従って様々なターゲット核酸と共に使用できる。換言すれば、該第一プローブの該3'配列は、該ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して相補的でも、ハイブリッド化可能でもない。該捕獲/増幅プローブの5'部分(e)は、該特定のターゲット核酸のヌクレオチド配列の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な、ヌクレオチド配列を含んでいる。好ましくは、病原性微生物およびウイルスと共に使用するために、該捕獲/増幅プローブを、その3'一般配列(d)が、全システムについて同一であり、該5'特異的配列(e)は、生物の個々の種または亜種もしくは異常な遺伝子、例えば嚢胞性線維症または鎌状赤血球貧血の原因となる遺伝子のターゲット核酸に対して、特異的に相補性である。幾つかの例において、該捕獲/増幅プローブの該5'特異的部分は、生物の特定の株に係る、ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して、特異的に相補的であることが望ましい可能性がある。捕獲/Amp-プローブ-1は、更に該プローブ(d)の3'末端にリガンド(c)を含み、これは該常磁性ビーズ(a)上に被覆された該リガンド結合部分(b)によって認識され、かつこれと結合する。
【0018】
該第二または増幅プローブ、即ち図1におけるAmp-プローブ-2は3'配列(f)を含み、これは捕獲/Amp-プローブ-1の5'末端とハイブリッド化した、該ターゲットの配列と極近接した(しかし、重複はしていない)ターゲット核酸のヌクレオチド配列の一部に対して相補的であり、しかもこれとハイブリッド化する。Amp-プローブ-2は、また5'一般配列(g)を含み、これは該ターゲット核酸に対して相補的でもハイブリッド化可能でもなく、これは場合によりその5'末端において、ラベルまたはシグナル発生部分(***)と結合していても良い。このようなシグナル発生部分は、特に放射性同位元素、例えば32Pまたは3H、蛍光性分子、例えばフルオレセインおよび色素産生分子または酵素、例えばパーオキシダーゼを包含する。このようなラベルは、該ターゲット核酸の直接的な検出のために利用され、またこの検出段階中に、該ターゲット核酸と結合したAmp-プローブ-2の存在を検出する。32Pは、電気泳動ゲルの放射性同位元素の計数またはオートラジオグラフィーによる、検出、分析にとって好ましい。色素産生試薬は、例えば酵素結合発色アッセイによる、検出、分析にとって好ましい。
【0019】
該常磁性ビーズ上の該リガンド結合部分の、該捕獲/増幅プローブ上のリガンドに対するアフィニティーの結果として、該プローブの特異的な5'部分とハイブリッド化したターゲット核酸は、該常磁性ビーズによって捕獲される。更に、同様に該ターゲット核酸とハイブリッド化したAmp-プローブ-2も、該常磁性ビーズによって捕獲される。
該常磁性ビーズ上の該2種のハイブリッド化プローブおよび該ターゲット核酸の捕獲後に、これらプローブを、結合剤を使用して一緒に結合し(図1に垂直方向の矢印で描いたサイトにおいて)、連続した一本鎖オリゴヌクレオチド分子を形成した。これをここでは結合(された)増幅配列という。この結合剤は、DNAまたはRNAリガーゼ等の酵素、あるいはシアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学結合剤であり得る(Sokolova等, FEBS Lett., 1988, 232: 153-155)。この結合増幅配列は、該ターゲット核酸に対して相補性の、該結合増幅配列の領域(例えば、図1における(e)および(f))において、該ターゲット核酸(DNAまたはRNA)とハイブリッド化する。
【0020】
十分な量(例えば、106-107分子)のターゲット核酸が、サンプル中に存在する場合、該ターゲット核酸の検出は、更に該結合増幅配列の如何なる増幅も行うことなしに、例えばAmp-プローブ-2の5'末端における随意のシグナル発生部分の存在を検出することによって行うことができる。
該サンプル中のターゲット核酸が、直接的な検出のためには不十分(例えば、<106分子)である場合には、上記のように、捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2の結合によって上記のように形成される、該結合増幅配列は、以下に記載するようにして、検出のために増幅できる。
【0021】
あるいはまた、好ましくは70-90ヌクレオチドなる範囲の長さを持つ捕獲/増幅プローブは、2つのリガンド部分、即ち5'末端に位置する一つと、該5'末端から約50ヌクレオチド下流側に位置するリガンド部分を含むように設計される。AMP-プローブ-2と称呼される第二の環状プローブをも合成する。このAMP-プローブ-2のリンカー領域は、ヌクレオチド1-50の範囲で、該捕獲/プライマーと相補的である。このアッセイ系において、該捕獲/増幅プローブは、支持マトリックスに結合されたリガンド結合部分と、リガンド/リガンド結合相互作用を介して結合することができる。ここで、リガンドは、ビオチン、抗原、抗体、重金属誘導体およびポリヌクレオチドを含む。リガンド結合部分は、ストレプタビジン、アビジン、抗体、抗原、チオ基およびポリヌクレオチドを含む。支持マトリックスは、例えば磁気ビーズを含むが、他の型の支持体を使用することも可能であり、その例はスライドまたはマイクロタイタープレートを含むが、これらに制限されない。該AMP-プローブ-2は、該相補領域を介して、該捕獲/増幅プローブと結合するであろう。この捕獲/増幅プローブの3'末端は、環状となって、該AMP-プローブ-2のリンカー領域の5'末端と結合するように設計され、また拡張用のプライマーとして機能する。最後に、該ターゲットは、相補領域を介して、該AMP-プローブ-2と結合して、例えば図24に記載するように、磁性ビーズ等のマトリックス上にこれを捕獲することを可能とする。結合は、該AMP-プローブ-2の3'および5'末端同士を結合して、共有結合により結合した環状プローブを生成する。結合プローブを、強くかつ厳密に洗浄して、非-特異的な捕獲に起因するバックグラウンドを下げる。該C-プローブに沿った、該捕獲/増幅プローブからの拡張は、多重ユニットのssDNAを生成し、これは次いでプライマー拡張または上記のようにRAMプライマーの添加によるRAMによって増幅できる。アッセイの特異性を更に一層高めるために、二重結合を行うことができ、そこでは各々該AMP-プローブ-2の半分からなる2つのプローブを使用する。
【0022】
更に、該捕獲/増幅プローブは、抗体と結合するように設計できる。上記のように、このAMP-プローブ-2は、該捕獲/増幅プローブの捕獲領域を標的とするであろう(図25)。結合後、プライマー拡張またはRAM反応を上記のように実施する。あるいはまた、一種の抗体を捕獲/増幅プローブに結合し、かつ他方の抗体をターゲット配列に結合することができる。この例では、これら2つの抗体が同一の抗原に結合する場合にのみ、結合が生じるであろう。この技術は、液相RAM反応またはその場での固相RAM反応において、ELISAのために利用できる。検出の目的にとって、FITC-標識したdUTPまたはdig-標識されたdUTPを使用して、該RAM生成物を検出することができる。
【0023】
あるいは、該結合増幅配列は、ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)の利用により、該結合配列の核酸増幅なしに、検出できる。HSAMは図10に示されている。HSAMのために、該ターゲット特異的核酸プローブ(例えば、Amp-プローブ-2)を、リガンドで内部標識する。このリガンドは、該核酸プローブと結合できる分子であり、また少なくとも二価のリガンド結合分子に対する、結合パートナーを与えることができる。好ましい態様において、該リガンドはビオチンまたは抗原、例えばジゴキシゲニンである。該核酸プローブは、当分野において公知の方法により、該リガンドで標識できる。好ましい態様において、該プローブは、約3〜約10分子のリガンド、好ましくはビオチンまたはジゴキシゲニンで標識する。該捕獲プローブおよびリガンド-標識したターゲット特異的プローブを該サンプルに添加し、かつ得られる複合体を上記のように洗浄した後に、該結合剤を添加して、上記のように該プローブを結合する。該捕獲プローブと該ターゲット特異的プローブとを結合した結果、該ターゲット特異的プローブは、該ビーズ上に維持される。同時にまたは引き続き、過剰のリガンド結合部分を、該反応に添加する。このリガンド結合部分は、該リガンドと結合し、かつこれとアフィニティー対を形成する部分(成分)である。該リガンド結合部分は、該リガンドに対して少なくとも二価である。好ましい態様において、このリガンドはビオチンであり、また該リガンド結合部分は、ストレプタビジンである。他の好ましい態様において、該リガンドは抗原であり、また該リガンド結合分子は、該抗原に対する抗体である。結合剤およびリガンド結合分子の添加は、該捕獲プローブと共有結合により結合した、該ターゲット特異的プローブを含む複合体を与え、該リガンド-標識されたターゲット特異的プローブは、該リガンドと結合したリガンド結合分子を持つ。
【0024】
次に、シグナルプローブを該反応混合物に添加する。このシグナルプローブは、該リガンド結合分子と結合するリガンドで内部標識された、一般的な核酸である。好ましい一態様において、該リガンドは、該ターゲット特異的増幅プローブを標識するのに使用したものと同一のリガンドである。該シグナルプローブは、該ターゲット核酸およびその他のプローブに対して相補的ではなく、あるいはハイブリッド化可能ではない一般的な配列を持つ。好ましい一態様において、該シグナルプローブは、約30〜約100個のヌクレオチドを含み、また約3〜約10分子のリガンドを含む。
過剰のリガンド結合分子の存在下における、該複合体に対する該シグナルプローブの添加は、大きくかつ容易に検出できる複合体の生成を結果する。この複合体のサイズは、該リガンド結合分子の多重原子価による。例えば、該ターゲット特異的増幅プローブ内のリガンドがビオチンである場合、ストレプタビジン1分子が、該プローブ内のビオチン1分子につき結合する。該結合したストレプタビジンは、ビオチンの追加の3分子と結合できる。該シグナルプローブを添加した場合、該シグナルプローブ上のビオチン分子は、該増幅プローブと結合したストレプタビジンの利用可能な結合サイトと結合する。図10において模式的に描写したように、ウエブ-状の複合体が生成される。
【0025】
上記のように洗浄して、未結合のシグナルプローブおよびリガンド結合分子を除去した後、該複合体を検出する。この複合体の検出が、該ターゲット核酸存在の指標となる。かくして、このHSAM法は、核酸の増幅を行わずに、該ターゲット核酸の検出を可能とする。
該複合体は、当分野において公知の、選択されたリガンドおよびリガンド結合部分に適した方法により検出できる。例えば、該リガンド結合部分がストレプタビジンである場合、これはストレプタビジン抗体を用いた免疫アッセイにより検出できる。あるいはまた、該リガンド結合分子は、本発明の方法において、容易に検出できる結合体として利用できる。例えば、該リガンドは、蛍光色素とまたは酵素-結合色素産生アッセイにより検出可能な酵素、例えばアルカリホスファターゼまたはホースラディシュパーオキシダーゼと結合することができる。例えば、該リガンド結合分子は、アルカリホスファターゼ-結合ストレプタビジンであり得、これは色素産生アルカリホスファターゼ基質、例えばニトロブルーテトラゾリウムクロリドの添加により検出できる。
【0026】
該HSAM法は、また以下に記載する環状化可能な増幅プローブと共に使用できる。該環状化可能な増幅プローブは、該ターゲット核酸中の隣接するが不連続の配列と相補的かつハイブリッド化可能な、3'および5'領域および該ターゲット核酸に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域を含む。該環状化可能なプローブを該ターゲット核酸に結合する際に、該3'および5'領域は並置される。これら3'および5'領域の、結合剤の添加による結合は、該ターゲット核酸と結合した、閉じた環状分子の生成をもたらす。次に、このターゲット/プローブ複合体を十分に洗浄して、未結合のプローブを除去する。
HSAMのために、例えばプローブを合成する際に、リガンド分子を、該環状化可能なプローブの該リンカー領域に組み込む。次いで、このHSAMアッセイを上記のように、かつ図15に記載のように、リガンド結合分子およびシグナルプローブを添加して、大きな複合体を形成し、洗浄し、次に該複合体を検出することによって実施する。核酸の検出法は、当分野には公知であり、例えばEssers等, J. Clin. Microbiol., 1980, 12: 641に記載されているような、ラテックス凝集法を包含する。HSAMと組合せた環状化可能なプローブの使用は、その場でのハイブリッド化にとって特に有用である。
【0027】
HSAMは、また抗体または抗原の検出にとっても有用である。リガンド-含有抗原または抗体は、夫々対応する抗体または抗原と結合するのに使用する。洗浄後、過剰のリガンド結合分子を、リガンド-標識した一般の核酸プローブと共に添加する。大きな複合体を生成し、上記のように検出することができる。好ましい一態様において、該リガンドはビオチンであり、かつ該リガンド結合分子はストレプタビジンである。ビオチン処理した抗体およびビオチン処理したシグナルプローブを利用して、抗原を検出するためのHSAMの利用を、図11に示す。
本発明の方法は、臨床診断研究室により、検査の目的で得た日常的な臨床サンプルについて利用できる。この方法で使用可能なサンプルは、特に全血、分離白血球、痰、尿、組織の生検、喉の拭い液等、即ち通常分析のために臨床研究室に送られてくる、あらゆる患者サンプルを含む。
【0028】
本発明の結合-依存性増幅法は、特にホルマリン固定された、パラフィンに埋設された(FFPE)検体におけるターゲット配列を検出するのに有用であり、またFFPE検体におけるターゲットRNA配列を検出するための、公知の方法、即ち逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法の欠点を解消する。RT-PCRは、変動する検出感度を持つが、これはホルマリン固定中の、RNA-RNAおよびRNA-タンパク架橋の生成が、逆転写酵素の該プライマーの拡張を阻害しているためであると考えられる。本発明の方法において、該プローブは、架橋の変わりに該ターゲットとハイブリッド化することができ、逆転写は、必要とされず、該ターゲット配列ではなく、寧ろ該プローブが増幅される。従って、本発明の方法の感度は、架橋の存在によって低下されることはない。RT-PCRと関連する本発明の方法の利点を、模式的に図12に記載する。
サンプル中のターゲット核酸の磁気分離およびターゲット-依存性検出を、一般的模式的に与えている、図2を参照すると、本発明の方法のこの局面は、以下の諸段階を含む:
【0029】
(a) 第一の段階は、血清等の分析すべきサンプル中に存在する、ターゲット核酸の捕獲または単離である。マイクロウエルプレート内で実施するのに適した分析用の、適当なサンプルのサイズは、約100μlである。本発明の方法による、サンプルの分析のための、マイクロウエルプレートの使用は、この方法の自動化を簡略化する。病原性の微生物またはウイルスもしくは異常な遺伝子を含むものと思われるサンプルを、カオトロピック試薬(即ち、化合物中の水素結合を破壊する薬物)、安定剤および該サンプル中に存在するあらゆる核酸およびタンパク質を放出させる洗浄剤を含む、等体積の溶解バッファーと共にインキュベートする。例えば、本発明の方法で使用するのに適した溶解バッファーは、2.5-5 Mのグアニジンチオシアネート(GnSCN)、10%デキストランサルフェート、100 mMのEDTA、200 mMのTris-HCl (pH8.0)および0.5% NP-40 (MO、セントルイスのシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)から入手できるノニデット(Nonidet) P-40、即ちノニオン性洗浄剤N-ラウロイルザルコシン)を含む。該バッファー中の、カオトロピック試薬としてのGnSCNの濃度は、該微生物またはウイルスの病原性に関与するタンパク質および他の分子を変性する作用をも併せ持つ。このことは、病原体を含むサンプルの、後の取り扱い中に起こる可能性のある、あらゆる偶発的な感染の可能性を回避するのに役立つ。
【0030】
該溶解バッファーによる処理と同時に、または該処理に先立って、該リガンド結合部分で被覆された常磁性粒子またはビーズを、該サンプルに添加する。本発明の方法で使用する、該常磁性粒子またはビーズは、水素化珪素で被覆された著しく複雑な表面を持つ、酸化第二鉄粒子(一般に、<1μmなる径を持つ)を含む。該リガンド結合部分は、該水素化珪素と共有結合により結合している。該常磁性粒子またはビーズは、それ自体磁性をもたず、一緒に凝集することはない。しかし、磁場内に置かれた場合には、これらは該磁気源に付着する。従って、該常磁性粒子またはビーズは、これらと結合する何らかの物質と共に、磁気分離デバイスによって与えられた強力な磁場の存在下に、該反応容器を置くことによって、混合物の他の成分から分離することができる。このようなデバイスは、例えばプロメガ社(Promega Corporation)またはストラタジーヌ社(Stratagene, Inc.)から市販品として入手できる。
【0031】
本発明の方法で使用するのに適した常磁性ビーズは、ビオチンと結合する、ストレプタビジンで被覆されたものである。このようなビーズは、幾つかの供給元から得られ、例えばプロメガ社から入手できるストレプタビジンマグネスフェア(Streptavidin MagneSphereTM)常磁性粒子およびCA、ラミラダのアメリカンカレックス(American Qualex)から入手できるストレプタビジン-マグネチックビーズ(Streptavidin-Magnetic Beads) (カタログ#MB002)等がある。
引き続き、上記のように一対のオリゴヌクレオチド増幅プローブを、該溶解サンプルおよび常磁性ビーズに添加する。一変法では、これらプローブおよび常磁性ビーズは、同時に添加することができる。上記のように、これら2つのオリゴヌクレオチドプローブは、第一プローブ、即ちその3'末端にリガンドを含む、(図1において捕獲/Amp-プローブ-1と称呼する)捕獲/増幅プローブおよび第二プローブ、即ち増幅プローブ(図1にAmp-プローブ-2と称呼する)である。ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと共に使用するためには、該第一プローブは、3'-ビオチン化捕獲/増幅プローブであることが好ましい。
【0032】
これらプローブは、核酸合成装置を使用する、標準的なホスホロアミダイト技術を通して、公知の自動化されたオリゴヌクレオチド合成技術により、ヌクレオシドトリホスフェートから合成できる。このような合成装置は、Applied Biosystems, Inc. (CA、フォスターシティー)から入手できる。
該オリゴヌクレオチドプローブ各々は、長さ約40-200ヌクレオチド、好ましくは長さ約50-100ヌクレオチドであり、これは該プローブの結合後に、長さ約80-400、好ましくは100-200ヌクレオチドなる長さをもつ結合増幅配列を与え、これはPCR、QβレプリカーゼまたはSDA反応を介する増幅に対して適している。
該プローブのターゲット核酸特異的部分、即ち該第一捕獲/増幅プローブの5'末端および該ターゲット核酸のヌクレオチド配列に対して相補的な、該第二増幅プローブの3'末端は、各々約15-60ヌクレオチド、好ましくは約18-35ヌクレオチドなる長さをもち、これは該プローブと該ターゲット核酸との十分なハイブリッド化にとって十分な長さを与える。
【0033】
該プローブの包括的な部分、即ち該ターゲット核酸に対して相補的ではない、該捕獲/増幅プローブの3'末端および該増幅プローブの5'末端に関連して、特に以下の考察が、当てはまる:
(1) オリゴヌクレオチド捕獲/増幅プローブの包括的なヌクレオチド配列は、長さ約6ヌクレオチドの、少なくとも一つの、好ましくは2〜4個の制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含み、これは、必要ならば以下に論じるような特異的制限エンドヌクレアーゼにより、該常磁性ビーズから該結合増幅配列を開裂するのに使用できる。好ましい制限サイトは、特にEcoRI(GAATTC)、SmaI(CCCGGG)およびHindIII(AAGCTT)を包含する。
【0034】
(2) 該包括的なヌクレオチド配列は、G-Cに富む領域を含む。該領域は、プライマーとハイブリッド化した際に、以下に記載するように、より安定な二重螺旋分子、例えば変性のために高温度を要する分子を与える。該捕獲/増幅および増幅プローブのG-Cに富む包括的部分を含む結合された増幅配列は、二段階温度PCR反応を利用して増幅でき、この技術では、プライマーハイブリッド化および拡張両者を、約60-65℃(PCR増幅のために通常使用される37℃なるハイブリッド化温度に対して)なる温度で実施され、また以下に論じるように、約92℃における変性を含む。このような2種の反応温度の利用は、各PCR反応サイクルの長さを短縮し、かつより短縮されたアッセイ時間をもたらす。
該プローブ、磁性ビーズおよびターゲット核酸の、約37℃なる温度での、溶解バッファー中での約30-60分間のインキュベートの後、該ターゲット核酸およびハイブリッド化されたプローブを含む3成分複合体が生成され、これは該リガンド(例えば、ビオチン)の結合を介して、該捕獲/増幅プローブ上の常磁性ビーズおよび該常磁性ビーズ上のリガンド結合部分(例えば、ストレプタビジン)と結合する。この方法は、以下のようにして行われる:
【0035】
(a) ターゲット核酸-プローブ-ビーズを含むこの複合体を、次に該ビーズを引き付ける、磁気デバイスによって発生した磁場によって、該溶解バッファーから分離する。この磁場は、該複合体を該反応容器、例えばマイクロウエルプレートまたはマイクロチューブの壁に維持するために使用され、結果としてターゲット核酸およびハイブリッド化プローブのかなりの部分を失うことなしに、例えばデカンテーションによって、該溶解バッファーおよびあらゆる未結合の反応試薬の除去を可能とする。次いで、この複合体を、磁場の存在下で、カオトロピック試薬および該複合体を分解する恐れのない量の洗浄剤を含むバッファーで2-3回洗浄する。本発明の方法で使用するのに適した適当な洗浄バッファーは、約1.0-1.5 MのGnSCN、10 mMのEDTA、100 mMのトリス(Tris)-HCl (pH 8.0)および0.5%のNP-40 (MO、セントルイスのシグマ社から入手できるノニデットP-40ノニオン性洗浄剤)を含む。他のノニオン性洗浄剤、例えばトライトン(Triton) X-10を使用することも可能である。このバッファーによる洗浄は、後の段階を妨害する恐れのある、未結合のタンパク質、核酸およびプローブを除去する。次にこの洗浄した複合体を、KClの溶液で洗浄して、該GnSCNおよび洗浄剤を除去し、かつ該複合体を保存する。KClの適当な濃度は、約100〜500mMKClである。あるいは、このKCl洗浄段階は、リガーゼバッファーを用いた2回の洗浄により、省略することができる。
【0036】
(b) 該プローブを一緒に結合する場合、本発明の方法の次の段階は、段階(a)からの該複合体を該2つのプローブを結合するであろう結合剤で処理する。この結合剤は、DNAまたはRNAリガーゼ等の酵素、あるいはシアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学試薬であり得る。これは、該第一オリゴヌクレオチドプローブの5'末端と、第二オリゴヌクレオチドプローブの3'末端とを結合(夫々、捕獲/増幅プローブおよび増幅プローブ)して、ここで結合(された)増幅プローブと呼ぶ、連続の官能性一本鎖オリゴヌクレオチド分子を形成する。(Amp-プローブ-2の5'-末端におけるシグナル発生部分を介して)検出された該結合増幅配列の存在は、間接的に該サンプル中のターゲット核酸の存在を示す。この結合増幅配列は、PCRまたはSDA等の様々な増幅系の何れに対しても、その鋳型として機能する。処理後に未結合状態を維持する該第一および第二プローブの何れも、本発明による方法の後の段階において増幅されない。
【0037】
捕獲/増幅および増幅オリゴデオキシヌクレオチドプローブは、DNAまたはRNAリガーゼ等の適当な結合剤を用いて結合できる。あるいはまた、該結合剤は、シアノゲンブロミドまたはカルボジイミド等の化学試薬であっても良い(Sokolova等, FEBS Lett., 1988, 232: 153-155)。好ましいDNAリガーゼは、PCR技術を用いて増幅に付されるプローブに対しては、T4 DNAリガーゼおよび熱安定性Taq DNAリガーゼを含み、後者が最も好ましい。このTaq DNAリガーゼ使用の利点は、これが高温(65-72℃)において安定である点にある。このような高温度における該オリゴヌクレオチドプローブの結合は、非-特異的な結合を減じる。好ましくは、この結合段階は、高温度(約65-72℃)にて30-60分間行い、この時間の経過後、場合によって、あらゆる未結合の第二増幅プローブ(図1におけるAmp-プローブ-2)を、変性条件下で除去することができる。
【0038】
変性は、該結合段階後に、TEバッファー(10 mMのトリス-HCl (pH 7.5)、0.1 mMのEDTA)を該混合物に添加することにより行う。次いで、この混合物の温度を、約1-5分間約92-95℃まで高めて、該ハイブリッド化した核酸を変性する。この処理は、該ハイブリッド化され、結合された増幅配列から、該ターゲット核酸(および未結合のAmp-プローブ-2)を分離し、ここで該ターゲット核酸は該常磁性ビーズと結合状態に保たれる。上記のように、磁場の存在下で、該結合状態にある結合増幅配列を、高温にてTEバッファーで洗浄して、変性されたターゲット核酸およびあらゆる未結合のAmp-プローブ-2を除去し、更なる分析のためにTEバッファーに再懸濁する。
(c) この方法の第三段階は、該結合増幅配列の検出であり、その検出は、元のテストサンプルにおける該ターゲット核酸の存在を示す。該サンプル中に、あるいは該結合増幅配列の増幅後に、十分なターゲット核酸(約106-107分子)が存在する場合には、PCRまたはSDA等の種々の増幅技術を利用して、この検出を直接行うことができる。例えば、急性感染AIDS患者由来の血清サンプル中の、HIV-1 RNAを検出するのに、直接検出法を利用できる。このような血清サンプルは、該サンプル1ml当たり該ウイルスRNA約106コピー個の複製体なる濃度で含むものと考えられている。
【0039】
直接的な検出のために、上記のように該結合増幅配列の、該Amp-プローブ-2部分の5'末端に対して相補的であるように、自動合成により調製した、約10-15ヌクレオチドなる長さのオリゴヌクレオチド検出プローブは、該常磁性ビーズに結合した、該結合増幅配列に添加することができる。放射性同位元素、色素産生試薬または蛍光剤等のシグナル発生部分で標識された、該検出プローブが該結合増幅配列とハイブリッド化できるのに十分な時間並びに条件下で、該プローブを該複合体と共にインキュベートする。このインキュベーション時間は、約1-60分なる範囲であり得、また約4-60℃なる範囲の温度にて行うことができる。好ましくは、該ラベルが蛍光発生剤である場合、該インキュベーション温度は約4℃であり得、色素産生剤の場合には、約37℃であり、また放射性同位元素の場合には、約37-60℃である。好ましいシグナル発生部分は、特に32P (放射性同位元素)、パーオキシダーゼ(色素産生剤)およびフルオレセイン、アクリジンまたはエチジウム(蛍光剤)を包含する。
【0040】
あるいはまた、上記のような直接検出のためには、該Amp-プローブ-2を、場合によりその5'末端において、32P等のシグナル発生部分で標識することができる。次いで、このシグナル発生部分を、該捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2の結合に続き、該結合増幅配列内に組み込む。このように、該ターゲット核酸の存在を示すための、該結合増幅配列の直接検出は、結合並びに洗浄後即座に行うことができる。
該結合増幅プローブに直接結合したまたは該検出プライマーを介して、これとハイブリッド化された、該シグナル発生部分を検出するためのあらゆる適当な技術が、利用可能である。このような技術は、当分野において公知の、シンチレーション計数(32Pに対して)および色素産生または蛍光発光検出法を含む。例えば、適当な検出法は、特にSambrook等の「分子クローニング-アラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989);「Methods in Enzymology」, 1987, Vol. 152, アカデミックプレス刊;またはWu等, 組換えDNA法(Recombinant DNA Methodology), 1987,アカデミックプレス刊に見出すことができる。
該元のサンプル中に不十分な量(<106分子)のターゲット核酸が存在する場合、増幅系を利用して、検出のために、該結合増幅配列を増幅することができる。
【0041】
例えば、本発明の方法で使用する該プローブが、オリゴデオキシリボヌクレオチド分子である場合、PCR法を利用して、公知技術により、該結合増幅配列を増幅することができる(例えば、PCR Technology, H.A. Erlich編、ストックトンプレス(1989);Sambrook等の「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989)を参照のこと)。増幅のためにPCRを利用する場合、2種のプライマーを使用し、その第一のプライマーは、該結合増幅配列の捕獲/Amp-プローブ-1領域の包括的な3'末端に対して相補的であり、またその第二のプライマーは、その配列において、該結合増幅配列のAmp-プローブ-2の包括的な5'末端に対応する。これらプライマーが結合している該プローブの配列と同様に、これらプライマーは、包括的であるように設計され、また該ターゲット核酸の配列とは無関係に、あらゆるアッセイにおいて使用できる。該第一のプライマーは、該結合増幅配列の3'末端における包括的な配列にアニールするように設計され、また該第二プライマーが、その配列において、該結合増幅配列の5'末端における包括的な配列と対応するので、包括的なプライマーを利用して、あらゆる結合増幅配列を増幅することができる。
【0042】
あるいはまた、該結合増幅配列の該捕獲/AMP-プローブ-1領域の包括的3'末端および該結合増幅配列の該AMP-プローブ-2領域の包括的5'末端に対して相補的となるように設計された多数のプライマーを使用して、これら両末端間の配列と共に、結合増幅配列を増幅することができる。ここに記載する実施例において明らかにされるように、プライマー数の増大は、増幅効率を実質的に高め、結果的にDNA検出の感度を高めることが立証された。
本発明の方法で使用する、PCRオリゴヌクレオチドプライマーの包括的な対は、該オリゴヌクレオチドプローブの合成について上で論じたように、公知の自動化合成技術によって、ヌクレオチドトリホスフェートから合成できる。これらプライマーは、10-60ヌクレオチドなる長さをもつものであり得る。好ましくは、該オリゴヌクレオチドプライマーは、約18-35ヌクレオチドなる長さをもつものであり得、12-21ヌクレオチドなる長さをもつものが最も好ましい。該プライマー対は、夫々該第一捕獲/増幅プローブおよび第二増幅プローブの包括的部分と相補的となるように設計され、従って、高いG-C含有率を持つ。該プライマーを、これらが如何なる第二の構造をも持たないように、即ち各プライマーが自己アニール性に導く、それ自体の内部に相補領域を全く含まないことも好ましい。
【0043】
該包括的PCRプライマーおよび該結合増幅配列の包括的部分の、上記した高いG-C含有率は、通常の3温度法ではなく、寧ろ2温度でのPCR反応の実施を可能とする。一般に、3温度法においては、増幅の各サイクルは、以下のようにして行われる:
-該プライマーの該結合増幅配列へのアニールは、約37-50℃にて行い、ヌクレオシドTaqポリメラーゼによる該プライマー配列の拡張は、約70-75℃にて行い、また該拡張プライマーを遊離する変性段階は、約90-95℃にて行う。この2温度PCR技術において、該アニールおよび拡張段階は、両者共に約60-65℃にて行い、このようにして各増幅サイクルの長さを減じかつより短時間のアッセイ時間をもたらす。
例えば、適当な3温度PCR増幅(Saiki等, Science, 1988, 239: 487-491に与えられている)は、以下のようにして実施できる:
【0044】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、0.01〜1.0 ng の鋳型結合増幅配列、10〜100 pMの各包括的プライマー、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(プロメガ社)、0.2 mMのdATP、0.2 mMのdCTP、0.2 mMのdGTP、0.2 mMのdTTP、15 mMのMgCl2、10 mMのトリス-HCl (pH9.0)、50 mMのKCl、1μg/mlのゼラチン、10μg/mlのトライトンX-100を含む、約25-50μlのサンプル中で行う(Saiki, 1988)。反応は、94℃にて1分間、約37〜55℃にて2分間(該プライマーの同一性に依存して)、および約72℃にて3分間インキュベートし、30-40サイクル、好ましくは35サイクル繰り返す。各反応液の4μlのアリコートを、2%アガロースゲルによる電気泳動で分析し、該サンプル中のDNA製品を、エチジウム-ブロミドによる該ゲルの染色によって可視化する。
上で論じたように、2温度PCR技術は、2つの温度ではなく、単一の温度にて、例えば約60-65℃にて約5分間、該アニール/拡張段階を実施する点においてのみ異なっている。
【0045】
また、図2を参照すると、競合的PCRアッセイを利用して、該ターゲット核酸の定量的検出を行うことも可能である。このような定量的な検出のためには、一般に上記のように合成される、オリゴデオキシリボヌクレオチド放出プライマーが、該常磁性ビーズと結合した、結合増幅配列に添加される。該放出プライマーは、上で論じた第一PCRプライマーであっても、そうでなくても良いが、好ましくは該プライマーと同一である。この放出プライマーは、該結合増幅配列の、該捕獲/Amp-プローブ-1の包括的な3'末端とハイブリッド化するように設計されており、これは上記のように、少なくとも一つの、好ましくは2-4個の制限エンドヌクレアーゼによって識別され、少なくとも一つの、好ましくは2-4個の二本鎖制限酵素開裂サイト、例えばEcoRI、SmaIおよび/またはHindIIIサイトを形成するヌクレオチド配列を含む。
この点に関連して、定量的PCR増幅および検出系で使用するためには、該捕獲/Amp-プローブ-1を、該プローブの3'末端に位置する制限酵素により識別される、少なくとも一つの、好ましくは2-4個のヌクレオチド配列を用いて合成することが重要である。これにより該ヌクレオチド配列が与えられ、該放出プライマーが、この配列と結合して、二本鎖制限酵素開裂サイトを形成する。
【0046】
該第一および第二プローブを結合して、該結合増幅配列を生成した後、該放出プライマーを該結合増幅配列とハイブリッド化する。少なくとも一つの制限酵素、例えばEcoRI、SmaIおよび/またはHindIIIを、次にこのハイブリッド化したプライマーおよび結合増幅配列に添加する。該結合増幅配列は、該制限酵素サイト、例えばEcoRIサイトにおける開裂によって、該ビーズから遊離される。
該配列の該ビーズからの遊離に伴って、該結合増幅配列は順次希釈され、次いで上記のように適当なPCR増幅技術を用いた該DNA Taqポリメラーゼによって、定量的に増幅される。
該サンプル中の元のターゲット核酸の定量は、例えばSambrook等の「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」, 第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989)に与えられているように、該結合増幅配列を定量的に増幅するための、競合的PCR法によって行うことができる。
【0047】
一般に、この方法は、2つの鋳型、即ち一連の増幅反応において既知量で添加される、該結合増幅配列およびコントロール(例えば、該結合増幅配列の該包括的部分または挿入された、該ターゲット核酸の配列とは無関係な、ヌクレオチド配列を持つ包括的な部分)の同時-増幅を含む。これらコントロールおよび結合増幅配列は、同一の包括的PCRプライマー対によって増幅されるが、該コントロール鋳型は、例えばサイズにおいて異なることから、該結合増幅配列から識別される。該コントロールおよび該結合増幅配列の鋳型は同一の増幅反応中に存在し、また同一のプライマーを使用しているので、この増幅反応の効率に影響するであろう変数の数の作用は、本質的に無効とされる。このような変数は、特に(1) 試薬の量および濃度(Taq DNAポリメラーゼ、プライマー、鋳型、dNTP)、(2) 変性、アニールおよびプライマー拡張のために使用する条件、(3) 反応温度の変更速度および(4) 該オリゴヌクレオチドプライマーのプライミング(priming)効率を含む。これら2つの増幅された生成物、即ち結合された増幅配列およびコントロール鋳型の相対的な量は、該出発時の鋳型の相対的な濃度を反映している。
【0048】
この定量的なPCR法は、一般に以下のようにして実施される:
1. コントロール鋳型、例えばナノ変異(nanovariant)RNAに対応するDNA配列、即ちQβレプリカーゼ(Schaffner等, J. Mol. Biol., 1977, 117: 877-907)の天然の鋳型は、自動化オリゴヌクレオチド合成法により合成されまたその濃度は、例えば分光光度法またはエチジウム-ブロミド媒介蛍光法によって測定される。
2. 10 ng/ml〜1 fg/mlの該コントロール鋳型を含む、一連の10倍希釈物(TEバッファー中)を製造し、使用するまで-70℃にて保存する。
3. 該遊離状態の結合増幅配列に係る一連のPCR増幅反応を生じさせる。通常のPCR成分に加えて、これら反応は、約10μl/反応なる該コントロール鋳型の10倍希釈物および約10μCi/反応なる[α-32P] dCTP (Sp.act. 3000 Ci/mM)を含む。
4. PCR増幅反応は、所定のサイクル数、例えば30-40回に渡り実施する。
【0049】
5. 次に、これら反応生成物を、アガロース電気泳動およびオートラジオグラフィーに掛けて、これら2つの(サイズの異なる)増幅生成物を分離する。該コントロールおよび結合増幅配列の増幅されたバンドを、適当な技術を利用して該ゲルから取り出し、また各バンドに見られる放射能を、シンチレーションカウンターにより計数することで測定する。これら2つの生成物の相対的な量を、各バンドにおける放射能の量に基いて算出する。これら2つのサンプル内の放射能の量は、該2種の生成物の分子量における違いに関して相関性である必要がある。
6. これら反応を、コントロール鋳型のより狭い濃度範囲を用いて反復し、結合増幅配列の濃度をより良好に評価することが可能である。
【0050】
本発明の他の局面においては、2つ以上のプローブ、即ち単一の捕獲/増幅プローブ、および単一の増幅プローブを使用できる。例えば、1以上の捕獲/増幅プローブおよび1以上の増幅プローブを、該ターゲット核酸の検出並びに捕獲において、また図4および5に模式的に示したような該ターゲット配列の随意の増幅において使用できる。本発明のこの局面によれば、該捕獲/増幅プローブは、該ターゲット核酸に対して相補的な3'配列および該ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できる、その5'末端におけるビオチン部分を持つことができる。また、該捕獲/増幅プローブは、該ターゲット核酸に対して相補的な5'配列およびその3'末端におけるビオチン部分を含むことができる。
【0051】
本発明のこの局面によれば、更に各プローブが、該ターゲット核酸と特異的に相補性かつハイブリッド化可能な配列を含むように、1種以上の増幅プローブを使用する。例えば、一つの増幅プローブ、例えば図4のAmp-プローブ-2(HCV A) の5'末端は、該ターゲット核酸の異なる部分に対して相補的な配列を含む。第二の増幅プローブ、例えば図4のAmp-プローブ-2A (HCV A) の3'末端は、該第一増幅プローブに対してハイブリッド化可能な、該ターゲット核酸の部分に直ぐ隣の該ターゲット核酸の領域に対して相補的な特異的配列を含む。該捕獲/増幅プローブおよび該増幅プローブ対は、上記のようにGnSCNの存在下で、該ターゲット核酸とハイブリッドを形成する。このように生成した複合体は、該捕獲/増幅プローブ上のビオチン部分によってストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと、また上記のような磁気分離によって、未反応成分から分離された該複合体と結合する。次に、この増幅プローブは、例えばリガーゼ酵素により結合することができる。これにより、PCRによる増幅反応中の、Taq DNA ポリメラーゼに対する鋳型として機能する、結合された増幅配列を製造する。
【0052】
本発明の一特別な局面では、2またはそれ以上の捕獲/増幅プローブおよび2対の増幅プローブを、該ターゲット核酸を検出するために使用する。
多数の捕獲/増幅プローブの使用は、より一層良好な捕獲効率をもたらし、包括的な(generic)捕獲プローブによる多数のターゲットの捕獲を可能とする。これは、特に単一の反応系中に多数のターゲットを検出できる、多重PCR反応にとって望ましい。
例えば、本発明の方法で使用する捕獲/増幅プローブは、細胞性mRNAのpoly-Aテール領域と結合し、このような全てのmRNAを、単一の捕獲-洗浄段階で単離できるように設計することが可能である。後のPCR増幅は、このようなmRNAプールから、特異的病原性または疾患遺伝子配列を検出し、かつ増幅するように設計することができる。このような遺伝子は、特に嚢胞性線維症貫膜調節タンパク質(CFTR)または遺伝性疾患に関与するヘモグロビンまたは他のタンパク質をコードする遺伝子を含むことができる。
【0053】
更に別の本発明の局面では、該多数の捕獲/増幅プローブは、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)等の特定の病原体のあらゆる株を標的としており、また増幅プローブは、該病原体(例えば、HCV)の個々のHCV遺伝子型を検出し、かつ更に同定するように設計することができる。
更なる態様では、例えば図4に示されたように、2つの捕獲/増幅プローブを使用する。これは、単一の捕獲/増幅プローブの2倍ほどの長いものであり得る、該ターゲット核酸に対して相補的かつハイブリッド形成可能な、該捕獲/増幅プローブの全特異的配列を与え、結果的により一層高い捕獲効率をもたらす。
例えば図4に示されているような、捕獲/増幅プローブの対は、各々該ターゲット核酸に相補的な3'配列およびその5'末端における、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できるビオチン部分を有する。あるいはまた、該捕獲/増幅プローブの対は、各々該ターゲット核酸に相補的な5'配列およびその3'末端における、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズと相互作用できるビオチン部分を有する。
【0054】
更に、該結合ターゲットプローブがPCRによって増幅される、本発明の方法は、図13に示され、多重LD-PCRと呼称されている、単一の反応における多数のターゲットの検出を可能とする。ターゲット核酸の従来技術によるPCR増幅法では、単一の反応容器内での、多数のプライマー対による、多数のターゲットを検出する試みは、変動するプライマーの効率およびプライマー対間の競合のために、制限される。これに対して、本発明の方法では、各捕獲/増幅プローブは、ターゲット特異的領域と包括的領域とをもつ。本発明による多重LD-PCR法では、該PCRプライマーが結合している該包括的領域は、あらゆる捕獲/増幅プローブに共通のものであり得る。従って、多数のターゲットに対して特異性を持つ捕獲/増幅プローブの多数の対を使用できるが、包括的PCRプライマー一対のみが、該結合捕獲/増幅プローブの増幅のために必要である。これら捕獲/増幅プローブの該ターゲット特異的領域の長さを変えることによって、特定のターゲットに対応する増幅されたPCR生成物を、サイズに基いて同定することができる。
【0055】
このPCR生成物は、また酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により同定することもできる。このPCR生成物は、増幅中に、ジゴキシゲニン等の抗原で標識できる。次いで、この標識したPCR生成物を、該増幅プローブの該ターゲット特異的領域とハイブリッド形成する、核酸プローブを上部に持つ、マイクロタイタープレート上に捕獲する。該領域は、該増幅された生成物中に存在する。次いで、該標識された捕獲生成物を、該抗原ラベルに対する酵素結合抗体、例えばホースラディッシュパーオキシダーゼ抗-ジゴキシゲニン抗体および該マイクロタイタープレートの各ウエルに対するカラー指示薬を添加することによって、検出することができる。各ウエルの光学密度は、PCR生成物の量に関する尺度を与え、この量はまた元のサンプルにおける該ターゲット核酸の存在を示す。
【0056】
更に別の態様では、本発明は、単一の増幅性の「完全な長さのプローブ」および図6に示す1種以上の捕獲/増幅プローブを使用できる。更に、HCV RNA等の該ターゲット核酸を含む、該ハイブリッド化された核酸の二重螺旋、並びに該捕獲/増幅プローブおよび増幅配列とも呼ばれる完全長さの増幅プローブは、該ハイブリッド化された二重螺旋分子を、RNAアーゼHで処理することにより、該磁性ビーズから遊離できる。また、DNA等の該ターゲット核酸を含む該ハイブリッド化された二重螺旋並びに該捕獲/増幅プローブおよび完全長さの増幅プローブは、該ハイブリッド化された二重螺旋分子を、上記のような適当な制限酵素で処理することにより、該磁性ビーズから遊離することができる。
完全長さの増幅プローブを使用してターゲット核酸配列を検出する場合、上記のような結合段階を使用することなしに、PCR等の増幅反応において、このプローブを使用することができる。この後者の方法は、特に該アッセイを単純化し、また特に少なくとも104個のターゲット核酸分子が、該テストサンプル中で利用できる場合に有用であり、結果として結合独立検出反応における非-特異的結合の機会が減じられる。殆どの臨床的検出アッセイにおいて、該ターゲット核酸(例えば、病原体)は、サンプル1ml当たり>105個の分子なる密度で存在するので、この方法によって検出並びに増幅することを可能とする。
【0057】
本発明の更に別の態様は、図7に示すように、各々ビオチン部分を含む、1以上の捕獲/増幅プローブおよび増幅配列とも呼ばれ、該ターゲット核酸とハイブリッドを形成し、自由末端部の結合の際に環状化する、単一の増幅プローブを使用する。該増幅プローブは、該ターゲット核酸配列とハイブリッド形成可能な該プローブの相補領域(例えば、図7において太字で示された領域を参照)が、該プローブの各末端に位置するように設計できる(Nilsson等, Science, 1994, 265: 2085-2088に記載されている)。該プローブを該ターゲットとハイブリッド化した場合、その末端は相互に近接して配置され、リガーゼ酵素等の結合剤で結合した場合には、閉じた環状の分子を形成する。この環状分子は、次いで図7に示されたもの等のプライマーを使用して、PCR等の増幅段階中の、鋳型として使用することができる。この環状分子は、また以下に記載するように、RAMによって増幅し、あるいは以下に記載するように、改良HSAMアッセイにより検出できる。
【0058】
例えば、上記のプローブは、様々な遺伝子型の病原体、例えば血清検体由来のHCVの種々の遺伝子型を持つ病原体を検出するために利用できる。遺伝子型特異的プローブを、公開されたHCV配列(Stuyver等, J. Gen. Virol., 1993, 74: 1093-1102)に基いて、該ターゲット核酸内の突然変異を検出できるように設計することができる。というのは、このような突然変異は、(1) 該プローブと該ターゲット核酸との適当なハイブリッド形成、および(2) その後の、該プローブの環状分子への結合を妨害するであろうからである。以下で論じるように、該環状化プローブの性質のために、未結合のプローブは、厳格な洗浄条件下で除去することができる。
本発明の方法で使用する該単一の、完全な長さをもつ、結合-依存性の環状化可能なプローブは、該ターゲット核酸配列の検出並びに増幅の高い効率を与える。二本鎖核酸分子のへリックス形成特性のために、環状化プローブは、該ターゲット核酸ストランドの周りに巻き付けられる。該結合段階の結果として、該プローブは、連環化によって、該ターゲット分子と共有結合できる。これは、該プローブの該ターゲット分子への固定化をもたらし、厳格な洗浄条件に対して実質的に耐性のハイブリッド分子を形成する。これは、該アッセイ中の非-特異的シグナルの大幅な減少、より低いバックグラウンドノイズおよび該アッセイの特異性における増加をもたらす。
【0059】
本発明のもう一つの態様は、環状プローブを使用して、増幅方法における持込汚染物質およびバックグラウンドを減じる方法を提供する。従来の増幅法とは異なり、本発明の連結反応-依存性増幅方法は、該ターゲット核酸ではなく、寧ろ該結合されたプローブの増幅を含む。該結合プローブが、閉じた環状分子である場合、これはエキソヌクレアーゼ消化されやすい自由末端を含まない。プローブの結合、即ち環状化の後、該反応混合物のエキソヌクレアーゼによる処理は、「清浄化(clean-up)」段階を与え、かくして閉じた環状分子ではなく、未結合のプローブまたは洗浄DNAフラグメントを消化することにより、バックグラウンドおよび持ち込み汚染物を減じる。これら共有結合により結合した環状分子は、後の増幅および検出のために、完全な状態に保たれる。従来のPCRでは、一本鎖プライマーまたは持込DNAフラグメントを排除するための、エキソヌクレアーゼの使用は、該ターゲット核酸も分解される危険性をもたらす。本発明は、このような危険性を示さない。というのは、ターゲット核酸は、増幅されないからである。好ましい態様では、該エキソヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼVII、ヤエナリヌクレアーゼまたはヌクレアーゼBAL-31である。エキソヌクレアーゼは、連結反応後、かつ増幅前に該反応に添加され、また例えば37度にて30分間インキュベートされる。
【0060】
更に、本発明は、結合して、単一の共有結合により閉じられた環状プローブを形成し得る、多数のプローブを使用することも意図する。例えば、第一のプローブを、該ターゲットのある領域とハイブリッド形成するように選択する。第二のプローブは、その3'および5'末端を、該第一プローブの5'および3'末端と隣接するが、連続ではない該ターゲットの領域とハイブリッド化するように選択する。次いで、2つの連結反応が、共有結合により閉じられた環状プローブを得るために必要とされる。該プローブを共有結合により閉じるために、酵素並びに化学的リガーゼ等の2種のリガーゼを用いて、これら連結反応の順序を調節することができる。この態様は、単一ターゲット内の近接する2つの変異を同定するのに有用である。
この環状化プローブは、また大きなポリマーの生成により、増幅並びに検出することができる。該ポリマーは、該環状化プローブに沿ったプライマー1のローリングサークル拡張および下流側配列の置換を通して生成される。この段階は、多数の単位を含む一本鎖DNAを生成し、該DNAは図9および16に記載するような、後のPCRのための鋳型として機能する。ここに示したように、プライマー2は、該一本鎖DNAポリマーと結合することができ、同時に拡張して、上流側プライマーによる、下流側プライマーの置換を生じる。プライマー拡張/置換およびPCR両者を使用して、より検出性の高い生成物を、同一数のサイクルによって製造する。
【0061】
該環状化プローブは、また該HSAMアッセイを改良することによって、検出できる。図14に示されたこの方法において、該環状化可能な増幅プローブは、上で述べたように、該ターゲット核酸の隣接領域と相補的な3'および5'領域を含む。これら環状化可能なプローブは、また非-相補的な、または包括的なリンカー領域をも含む。このシグナル増幅法において、該環状化可能なプローブの該リンカー領域は、第一の包括的な、環状化可能なシグナルプローブ(CS-プローブ)の該3'および5'領域に対して相補的な、少なくとも一対の隣接領域を含む。該第一CS-プローブは、その3'および5'領域内に、該環状化可能な増幅プローブの該リンカー領域の、隣接領域と相補的な配列を含む。該環状化可能な増幅プローブの該ターゲット核酸との結合は、連結反応に引き続き、第一CS-プローブの該3'および5'末端との結合に利用できる該リンカー内に、ある領域を持つ、共有結合により結合した環状プローブを与える。該第一CS-プローブの添加は、その3'および5'領域の、該環状増幅プローブの該リンカーの相補領域との結合をもたらす。該第一CS-プローブの3'および5'領域は、該結合剤によって結合され、該閉じた環状の増幅プローブに結合した、閉じた環状のCS-プローブを形成する。該第一CS-プローブは、更に第二CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的であるように設計された、少なくとも一対の隣接する、連続な領域を含む、リンカー領域を含有する。
【0062】
該第二CS-プローブは、その3'および5'領域に、該第一CS-プローブのリンカー領域の該隣接領域に対して相補的な配列を含む。この第二CS-プローブの添加は、その3'および5'領域の、該第一CS-プローブリンカーの該相補領域との結合をもたらす。該第二CS-プローブの3'および5'領域を、結合剤によって結合し、閉じた環状のCS-プローブを形成し、これは更に該閉じた環状増幅プローブと結合する。
多数の相補領域の対を持つ、多数のCS-プローブを用いて上記方法を実施することによって、連鎖分子の大きなクラスタを、該ターゲット核酸上に形成する。好ましい態様では、3つのCS-プローブを用いる。該3'および5'領域に加えて、該CS-プローブ各々は、第二CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的な一対の相補領域および第三CS-プローブの3'および5'領域に対して相補的な更に一対の相補領域を含む。本発明の方法において、これら「三価」のCS-プローブを用いることによって、図14に示すような連鎖(鎖状)分子のクラスタを製造する。
【0063】
該ターゲットとは結合していない非-特異的な連鎖反応生成物を除去するための徹底的な洗浄に引き続き、該ターゲット核酸を、該鎖状分子のクラスタを検出することにより検出する。これら鎖状分子は、該複合体を制限エンドヌクレアーゼで消化することにより容易に検出でき、この制限エンドヌクレアーゼでは、認識配列が、固有の様式で、各CS-プローブのリンカー領域に組み込まれている。制限エンドヌクレアーゼによる消化は、ポリアクリルアミドゲル上で可視化できる線状化された分子を与える。該CS-プローブに、検出可能な分子、例えばジゴキシゲニン、ビオチンまたは蛍光性分子を組み込み、抗-ジゴキシゲニン、ストレプタビジンまたは蛍光検出に従って検出することによって、他の検出方法を実施することができる。例えば、Essers等, J. Clin. Microbiol., 1980, 12: 641に記載されているような、ラテックス凝集を利用することも可能である。
更に、特定の応用において、上記のような該増幅プローブおよび/または増幅配列は、その場でのLD-PCRにおいて使用することができる。その場でのPCRは、ターゲットウイルス核酸の直接的な局在化および可視化のために利用でき、また更にウイルス感染と組織病理学的な発見との関連付けのために有用である。
【0064】
ターゲットウイルスRNA配列をアッセイするための従来の方法は、この目的のために、RT PCR技術を利用していた(Nuovo等, Am. J. Surg. Pathol., 1993, 17(7): 683-690)。この方法において、その場での逆転写によってターゲットウイルスRNAから得たcDNAは、このPCR法により増幅される。後の、該増幅されたcDNAの細胞内局在化は、該増幅cDNAと標識プローブとの、その場でのハイブリッド化、または該増幅反応中における、標識ヌクレオチドの、該DNAへの組み込みによって達成し得る。
しかし、該RT PCR法は、本発明によって解消できる欠点を持つ。例えば、サンプル組織を処理するのに使用する種々の組織固定液は、タンパク-RNAおよびRNA-RNA複合体等の、細胞核酸とタンパク質との架橋を生じ、このRT-PCRにおけるキー段階である、逆転写を隠蔽してしまう。その上、ターゲットRNAにおける二次構造も、逆転写を妨害する恐れがある。更に、単一細胞内の多数のターゲット配列を検出するための、RT PCR法への、多数回のPCRの適用は、各プライマー対の異なる効率のために、重大な問題を提示する可能性がある。
【0065】
本発明の方法は、上記のように1以上の増幅プローブおよび/または増幅配列およびその場でのターゲット核酸の局在化および検出のための、該LD-PCR技術を使用しており、これは該RT-PCR法を越える幾つかの利点をもたらす。第一に、該プローブとターゲット核酸とのハイブリッド化および該プローブ配列の後の増幅は、該RT-PCR法の該逆転写段階を排除するので、該ターゲットRNAの二次構造は、このアッセイの結果に影響を与えない。その上、上記のように、組織固定液によるターゲット核酸と細胞タンパクとの架橋は、プローブ配列の増幅を妨害しない。というのは、該RT-PCR法におけるような、該ターゲットRNAのプライマー拡張がないからである。
特に、本発明による増幅プローブは、その内部に共通のプライマー結合配列を持ち、ターゲット病原体の種々の遺伝子型の変異体を検出するように設計することができる。このことは、該アッセイによる、単一サンプル中の、多数のターゲットの検出を可能とする。例えば、また何等限定的なものではないが、このアッセイは、本発明に従って2以上のHCV RNAおよびβ-アクチンRNAを検出し、これにより該β-アクチンプローブは、このアッセイに対する内部コントロールとして機能する。
【0066】
更に、このプローブ内のプライマー-結合配列は、(1) 非-特異的プライマーのオリゴマー化を最小化し、(2) 優れたプライマー結合性およびPCR製品の高い収率を達成し、かくして該アッセイの感度を高めるように設計することができる。
該増幅プローブは、ターゲット核酸と結合した後環状化して、環状分子となるので、マルチマー(multimeric)生成物を、重合中に製造でき、そのため増幅生成物は、上記のように、また図9および16に記載のように、容易に検出することができる。
本発明によって、組織学的検体中のターゲット核酸を検出するための、その場でのLD-PCRアッセイは、完全な長さの増幅プローブに依存する連結反応を利用し、また以下の段階を含む。
凍結し、あるいはフォルマリンで固定しかつパラフィン中に埋設することのできる、肝臓等の組織サンプルは、シラン-被覆スライド上で裁断され、かつその上に配置される。これら切片をキシレンおよびエタノールで洗浄して、該パラフィンを除去する。次いで、これら切片を、タンパク分解酵素、例えばトリプシンで処理して、膜透過性を高めることができる。該切片を、更にRNAアーゼを含まないDNAアーゼで処理して、細胞性のDNAを除去できる。
【0067】
増幅プローブを適当なバッファー中に懸濁し、該スライド上のサンプル切片に添加し、該ターゲット配列とハイブリッド形成させる。好ましくは、このプローブは、20%のホルムアミドを含む2xSSC中に溶解し、該スライドに添加し、得られた混合物を、ハイブリッド化する目的で、37℃にて2時間インキュベートすることができる。DNAリガーゼを該サンプルに適用する前に、このスライドを2xSSCで一回および1xリガーゼバッファーで2回洗浄できる。好ましくは、1 U/20μlの該リガーゼ酵素を各スライドに添加し、また得られるこの混合物を、37℃にて2時間インキュベートして、該プローブの感化を行うことができる。このスライドを0.2xSSC(高厳密性のバッファー)および1xPCRバッファーで洗浄して、次の段階のPCRによる増幅前に、未結合のプローブを除去することができる。該増幅プライマーおよび1種以上の標識ヌクレオチドを含む、このPCR反応混合物を、該ターゲット配列の増幅のために、該スライド上のサンプルに添加する。該ヌクレオチド上のラベルは、特に32Pまたは3H等の放射性同位元素、フルオレセイン等の蛍光性分子色素産生分子またはおよび前に記載したようなパーオキシダーゼ等の酵素を包含する任意のシグナル発生成分であり得る。色素産生試薬が、例えば酵素結合色素産生アッセイによって、検出分析するために好ましい。
【0068】
更に好ましい局面において、ジゴキシニン(digoxinin)-標識ヌクレオチドを使用する。このような場合には、ジゴキシニン-標識ヌクレオチドで標識された該PCR生成物は、抗-ジゴキシニン抗体-アルカリホスファターゼ複合体と共にインキュベートした場合に検出可能となる。このアルカリホスファターゼを主成分とする比色的検出法は、ニトロブルーテトラゾリウムを使用し、これは5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートの存在下で、該プローブの増幅サイトにおいて、パープル-ブルーの沈殿を生じる。
本発明の一局面において、該その場での(現場)LD-PCR検出法の該連結反応および該PCR増幅段階は、同時にかつ高温にて、熱安定性のリガーゼ酵素を用いて実施し、該増幅プローブを環状化することができる。
【0069】
本発明によれば、現場LD-PCRの更なる態様は、HCV等の病原体の様々な遺伝子型の変異型を検出するように設計された、増幅プローブを利用でき、該プローブは、これら変異型の既知のHCV配列に基くものである(Stuyver等, J. Gen. Vir., 1993, 74: 1093-1102)。例えば、種々の型-特異的プローブを、該サンプルに一緒に添加し、HCV配列の検出および該プローブ配列の増幅を、上記のように現場LD-PCRによって実施することができる。次に、該増幅されたプローブ配列を、型-特異的内部プローブとの現場でのハイブリッド化により、個々の変異型の遺伝子型の存在につきアッセイし、ここで該内部プローブは、検出を簡略化するために標識されている。
本発明の幾つかの局面において、該ターゲット核酸配列は、上記のような様々な増幅プローブおよび/または増幅配列を用いて、これら配列の増幅なしに、直接検出することができる。このような局面においては、該増幅プローブおよび/または増幅配列を標識して、これらを検出可能なものとすることができる。
【0070】
本発明の一態様において、ここに記載する該RAM増幅法は、蛍光性プライマーと組み合わせたゲルマトリックス形式またはスライド形式で利用して、単一細胞内の異数染色体形成(aneusomy)またはその場での遺伝子突然変異を検出できる。ゲルマトリックス内への単一細胞の埋設は、ゲノム物質の喪失なしに、該細胞の酵素的処理、即ちDNAを遊離させるためのプロテイナーゼ消化を可能とする。該ゲルマトリックスは、また剪断損傷からDNAを保護し、かつ該細胞の元の三次元構成の維持を可能とする。
該プローブのハイブリッド化、連結反応および増幅は、ポリアクリルアミドまたはアガロース等のゲルマトリックス内で行うことができる(例えば、Dubiley等, Nucleic Acids Research, 1999, 27: i-ivを参照のこと)。プライマー拡張増幅および/またはその後の分岐増幅により生成する、大きなマルチマーアンプリコンは、蛍光顕微鏡により可視化することができる。該ゲルマトリックスは拡散を阻害するので、あらゆる正のシグナルは「ドット」として現れるであろう。あるいはまた、該結合したRAMプローブは、該ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)を利用して検出できる。
【0071】
結合依存性環状化可能なプローブを使用する本発明の態様において、得られる環状分子は、図19に示したような分岐-拡張増幅法(RAM)によって有利に増幅できる。RAMによる該環状化プローブの増幅は、等温条件下で、該環状化プローブの百万回の増幅を可能とすることによって、本発明の方法に更に利点を付加する。RAMを図19に示す。
RAMにおいて有用な、単一かつ完全な長さの結合依存性環状化可能なプローブは、その3'および5'末端に、該ターゲット分子の隣接かつ不連続の領域とハイブリッド化可能な領域を含む。該環状化可能なプローブは、該ターゲット核酸の一部と相補的かつこれとハイブリッド化可能な5'領域、および該プローブの該5'領域に対して相補的な該ターポリマーの部分に隣接する、該ターゲット核酸の一部と相補的かつこれとハイブリッド化可能な3'領域を含むように設計できる。該環状化可能なプローブの該5'および3'領域は、各々約20〜約35ヌクレオチドに相当する長さをもつことができる。好ましい態様では、該環状化可能なプローブの該5'および3'領域は、その長さにおいて約25ヌクレオチドである。該環状化可能なプローブは、更にリンカー領域と呼ばれる領域を含む。好ましい態様では、該リンカー領域は、その長さにおいて約30〜約60ヌクレオチドである。該リンカー領域は、該ターゲット配列と相補的でもハイブリッド化可能でもない、包括的配列で構成されている。
【0072】
RAMにより増幅するのに適した、該環状化可能なプローブは、上記の1以上の捕獲/増幅プローブと共に、本発明の方法において使用される。該環状化可能なプローブが該ターゲット核酸とハイブリッド形成する場合、その5'および3'末端は、並置されることとなる。結合剤による結合は、閉じた環状分子を形成する。
該閉じた環状分子の増幅を、該反応に第一拡張プライマー(拡張プライマー1)を添加することによって行う。拡張プライマー1は、該環状化可能なプローブの該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能であり、またその長さにおいて約15〜約30ヌクレオチドであることが好ましい。拡張プライマー1は、該プライマーを該閉じた環状分子近傍で拡張するのに十分な濃度の、dNTPおよびDNAポリメラーゼを添加することによって拡張される。円を一回転した、即ち該DNAポリメラーゼが該拡張プライマー1結合領域に達した際に、該ポリメラーゼは、該プライマーと該拡張された配列とを置換する。このように、該ポリメラーゼは、該閉じた環状のプローブに、連続的に「ロールオーバー」して、図19に示すように長い一本鎖DNAを生成する。
【0073】
RAMによる、該環状化されたプローブの増幅にとって有用なポリメラーゼは、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性をもたず、ストランド置換活性をもち、かつ少なくとも約1000塩基のプライマー拡張を可能とする任意のポリメラーゼであり得る。DNAポリメラーゼの(エキソ-)クレノーフラグメント、サーモコッカスリトラリス(Thermococcus litoralis) DNAポリメラーゼ(ベント(エキソ-) DNAポリメラーゼ、New England Biolabs)およびphi29ポリメラーゼ(Blanco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91: 12198)が好ましいポリメラーゼである。サームスアクアティカス(Thermus aquaticus (Taq)) DNAポリメラーゼも本発明の方法において有用である。文献における報告とは逆に、本発明によれば、Taq DNAポリメラーゼは、ストランド置換活性をもつことが分かっている。
該ポリメラーゼによる拡張プライマー1の拡張は、該環状化可能なプローブの配列と相補的な配列を持つ繰り返し単位を含む、長い一本鎖DNAを与える。該一本鎖DNAは、10Kbまでであり得、また例えば約20〜約100単位を含むことができ、各単位はその長さにおいて該環状化可能なプローブの長さに等しく、例えば約100塩基に相当する。RAMに代わるものとして、該ターゲットが豊富であるか、あるいは該一本鎖DNAが長い場合には、この段階において検出を行うことができる。例えば、該長い一本鎖DNAは、ポリアクリルアミドゲル上の大きな分子として得られるこの生成物を、可視化することにより、この段階で検出できる。
【0074】
RAMによる増幅の次の段階において、第二の拡張プライマー(拡張プライマー2)を添加する。拡張プライマー2は、好ましくはその長さは、約15〜約30ヌクレオチドである。拡張プライマー2は、拡張プライマー1が相補的である、該リンカー部分と重複しない、該リンカー領域の一部と同一である。従って、該長い一本鎖DNAの各繰り返し単位は、拡張プライマー2がハイブリッド化する結合サイトを含む。このように、該拡張プライマー2の多数のコピーが、図19に示すように、該長い一本鎖DNAと結合し、また該DNAポリメラーゼにより拡張される。このプライマー拡張性生物は、下流側プライマーを、これに対応する拡張性生物とを置換して、図19に示すような、多重置換一本鎖DNA分子を生成する。該置換一本鎖は、拡張プライマー1に対する結合サイトを含み、従って更なるプライマー拡張反応に対する鋳型として機能して、図19に示される多重分岐分子を生成する。この反応は、全てのDNAが二本鎖となった時点で終了する。
【0075】
RAMによって増幅されたこのDNAは、次にDNAを検出するための当分野において公知の方法によって検出される。RAMは指数関数的な増幅をもたらすので、得られる大量のDNAは、例えばゲル電気泳動およびエチジウムブロミド等による可視化によって、有利に検出することができる。該RMA拡張性生物は、該閉じた環状DNAから拡張された単位の数に依存して、サイズが異なっているので、該RAM生成物は、電気泳動した場合に、汚れ(smear)または梯子状のものとして現れる。他の態様において、該環状化可能なプローブは、固有の制限サイトを含むように設計され、また該RAM生成物は、対応する制限エンドヌクレアーゼにより消化されて、一単位の長さ、即ち該環状化可能なプローブの長さをもつ、大量の単一サイズのフラグメントを与える。該フラグメントは、ゲル電気泳動により単一のバンドとして、容易に検出できる。あるいは、ビオチンまたはジゴキシゲニン等のリガンドを、プライマー拡張中に組み込むことができ、またリガンド-標識された一本鎖生成物は、上記のように検出できる。
【0076】
該RAM拡張性生物は、例えばPCR生成物の検出に関して上記したように、ELISAを含む当分野で公知の他の方法で検出できる。
本発明の他の態様において、該RAMアッセイは、増幅性を高めるために改良される。一態様において、拡張プライマー2の添加に伴って、該反応温度を周期的に約95℃まで上げる。この温度の上昇は、二本鎖DNAの変性をきたし、拡張プライマー1および2の付随的な結合および付随的な拡張生成物の製造を可能とする。このように、PCRは、効果的にRAMと組み合わせて、図16に示すように、増幅性を高めることができる。
【0077】
もう一つの態様において、該拡張プライマー2(および該拡張可能なプローブの該リンカー領域の同等な部分)は、DNA-依存RNAポリメラーゼに対するプロモータ配列を含むように設計される。RNAポリメラーゼおよび対応するプロモータ配列は、当分野において公知であり、例えばMilligan等, Nucleic Acid Res., 1987, 15: 8783に記載されている。好ましい一態様において、該RNAポリメラーゼは、バクテリオファージT3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼである。該プロモータ配列、該対応するRNAポリメラーゼおよびrNTPを含む該拡張プライマー2の添加は、官能性プロモータを形成するための、拡張プライマー2と成長する一本鎖DNAとのハイブリッド化および該下流側配列のRNA多重コピーへの転写を可能とする。本発明の態様を図17に示す。この態様において、RAMおよび転写両者は、該プローブの有意の増幅を行うべく機能する。このRNAは、当業者には公知の方法、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動、放射性または非-放射性標識および検出法(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim))、またはシャープ(Sharp)検出アッセイ(ジゲン(Digene), Md.により検出できる。該RNAの検出は、該ターゲット核酸の存在を意味する。
【0078】
もう一つの態様において、拡張プライマー1および該環状プローブのリンカー領域の対応する部分は、そこに組み込まれた、DNA-依存RNAポリメラーゼプロモータ配列を持つように設計される。従って、拡張プライマー1が該環状化プローブと結合する場合には、官能性プロモータが形成され、該環状化プローブは、RNAポリメラーゼおよびrNTPを添加した際の、RNA転写用の鋳型として作用する。該下流側プライマーおよびそのRNA配列は、該RNAポリメラーゼによって置換され、大きなRNAポリマーを生成し得る。該RNAポリマーは、上記のように検出できる。あるいはまた、該環状プローブは、EcoRI等の制限酵素を添加することにより、一本鎖DNAに開裂することができる。該制限サイトは、図20に示したように、拡張プライマー1の5'末端に組み込まれる。
【0079】
上記方法において、RAM増幅は、該プローブを増幅するのに使用される。しかし、該Amp-プローブ-2設計の改良を、ターゲット配列の増幅のために利用できる。このような例において、該Amp-プローブ-2の3'および5'末端は、増幅すべき該ターゲット配列によって分離されている(図23)。該配列のサイズは、数個のヌクレオチドから数千個のヌクレオチドなる範囲であり得る。該プローブの3'末端および5'末端間のギャップは、5'-3'エキソヌクレアーゼおよび置換活性に欠ける、DNAポリメラーゼを用いて満たされるであろう。このようなポリメラーゼは、当業者には周知であり、T4 DNAポリメラーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性に欠ける変性されたポリメラーゼを含むが、これらに限定されない。該ターゲット核酸がRNAである場合、該プローブの3'末端および5'末端間のギャップは、逆転写酵素を用いて満たされる。拡張に続き、該ギャップは、リガーゼにより閉じられ、また該DNAの増幅は、長い一本鎖DNAを生成するように、拡張プライマー1を用いて行われる。第二のプライマー、即ち拡張プライマー2の添加は、上記のように、RAMによる該一本鎖DNAの増幅を可能とする。
【0080】
上記のように、本発明の方法は、感染性の病原性作用物質および正常な並びに異常な遺伝子を、特異的に検出するアッセイにおいて使用できる。本発明は、更に細胞内で発現される全ゲノムDNAまたはmRNAの一般的な増幅方法を提供する。このような方法の利用は、少数の細胞から、多量のDNAおよび/またはmRNAを生成するための手段を与える。このように増幅されたDNAおよび/またはmRNAは、次いで感染性作用物質を検出し、および正常な並びに異常な遺伝子を検出するために開発された技術において利用できる。
ゲノムDNAを増幅するために、ゲノムDNAサンプルを、当業者において周知の異なる様々な方法の何れかを利用して、細胞から調製する。一旦単離できたら、該ゲノムDNAサンプル選択された制限エンドヌクレアーゼで消化する。ゲノムDNAの消化に使用できる制限エンドヌクレアーゼは、例えば市販品として入手できる様々な酵素の何れかを含む。ゲノムDNAの消化後、二本鎖amp-プローブをこの反応系に添加する。このamp-プローブは、該消化されたゲノムDNAの制限エンドヌクレアーゼサイトと相補的な突出(protruding)配列を含む、約70-130ヌクレオチドを含む二本鎖DNAフラグメントである。該amp-プローブは、該ゲノムDNAをRAM増幅するのに使用される、多重プライマーサイトを含むように設計される。該DNAを消化するのに多数の制限エンドヌクレアーゼが使用される例において、多数のAmp-プローブが添加され、これは様々な制限サイトに対して相補的な突出サイトを持つ。このamp-プローブをアニールした後、リガーゼをこの反応系に添加して、該amp-プローブ配列と該フラグメント化したゲノムDNAとを結合する。この工程を多数回に渡り繰り返して、ゲノムDNAの完全な消化を保証する。
【0081】
本発明の一態様において、アダプターの自己-結合の可能性を減じるために、第一ストランドamp-プローブを、該消化されたゲノムDNAを含む反応系に添加し、該第一ストランドamp-プローブと該ゲノムDNAとを結合することができる。未結合の該第一ストランドamp-プローブを除去するための洗浄段階に続いて、該第一ストランドamp-プローブの相補性配列とハイブリッド化される、第二ストランドamp-プローブが添加される。該反応に対して二度目のリガーゼを添加し、各末端に結合された二本鎖amp-プローブを含む、ゲノムDNAフラグメントを与える。
該amp-プローブ配列の長さは、該DNAフラグメントの選択された制限エンドヌクレアーゼによる反復的消化および反復的なハイブリッド化、洗浄および結合段階によって増大し得る。該amp-プローブ反対側の端部は、制限エンドヌクレアーゼサイトを含むように設計されるので、該制限エンドヌクレアーゼによる消化は、結合するための該第一amp-プローブに対する新たなサイトを生成する。この工程を多数回に渡り繰り返して、該amp-プローブの長さを増大し、かくしてRAMプライマー結合サイト数を高めることができる。
【0082】
該amp-プローブの添加に続いて、該ゲノムDNAを変性し、かつ該amp-プローブ内の配列と結合するように設計されたRAMプライマーを添加する。この反応系にDNAポリメラーゼとdNPTとを添加し、RAM媒介増幅を開始する。この増幅反応で使用する該DNAポリメラーゼは、好ましくは強力な置換活性および高い処理性を持つもの、例えばφ29またはBst DNAポリメラーゼである。
本発明の一態様において、該消化されたゲノムDNAの末端への、amp-プローブの付加は、初めにゲルマトリックス内で行って、該DNAフラグメントの保全性を確保し、かつ全ての末端にamp-プローブ配列を含ませることが可能である。該増幅段階の効率は、該amp-プローブ配列内の利用可能なプライマー結合サイトの数に依存する。従って、効率的な増幅のためには、多数のプライマー結合サイトが、該amp-プローブ配列内で利用可能となるべきである。このDNAフラグメントは、該ゲルマトリックスから除去することができ、また後の増幅を、反応容器内で行うことができる。他のPCRに基く方法を越える、この一般的なゲノム増幅法の利点は、多数のサイクルを必要としないことであり、またこれは全てのDNAフラグメントの増幅を保証する。
【0083】
全mRNAも、この本発明のRAM技術を利用して、増幅することができる。細胞性のmRNAを、磁性ビーズ等の支持マトリックス上に、またはオリゴ(dT)捕獲/Amp-プローブ-1プローブを用いて、ニトロセルロース膜上に捕獲することを含むが、これに制限されない、RNAの単離について周知の方法を用いて精製できる。この捕獲/Amp-プローブ-1は、アンカー配列を含むように設計され、該アンカー配列はTの20ヌクレオチドを含む伸張を伴い、また該伸張は、RAMプライマー結合配列を伴う。逆転写酵素とのインキュベーションによる逆転写は、一本鎖cDNAの生成を結果する。この一本鎖cDNAは、次に当業者には周知の方法を用いて、dsDNAに転化される。第二のdsDNA AMP-プローブ-2は、該cDNAの5'末端に結合される。次いで、得られる全cDNAを、ゲノムDNAについて上記したように増幅する。
【0084】
本発明は、またここにおいて判別表示(differential display) RAM(DD-RAM)と呼ぶ、細胞間の判別mRNA発現パターンの新規な分析法をも提供する。この方法は、(i) プライマーとして5'捕獲/Amp-プローブ-1配列を用いたmRNAの逆転写、(ii) 該拡張された配列の3'末端と、該mRNAにアニールされた任意(Arbitrary)/Amp-プローブ-2の5'末端との結合、(iii) 一群のRAMプライマー(前進および逆プライマー)を用いたRAM増幅、および(iv) 得られるフラグメントの電気泳動分離を含む。異なる型の細胞から得られるフラグメントを比較して、判別的に発現されたmRNAを同定する。本発明の方法は、更にこの得られるcDNAの、該プライマー内のサイトを識別する制限エンドヌクレアーゼによる消化を含む。
該3'相補領域に加えて、各5'捕獲/Amp-プローブは、結合すべきRAMプライマーに関する包括的配列およびその5'末端におけるビオチン部分を含むであろう。該5'捕獲/Amp-プローブ-1は、該mRNAの3'末端と結合するように設計され、またmRNA単離用の捕獲プローブおよび逆転写用のプライマー両者として機能するであろう。該3'任意/Amp-プローブ-2は、該mRNAの5'末端と結合する5'縮退配列および結合すべきRAMプライマーに関する包括的な配列を含むように設計される。
【0085】
本発明の特定の態様では、該プローブのmRNAによるハイブリッド化に続き、該プローブ/mRNA複合体を、ビオチンを介して磁性ストレプタビジンビーズ等の支持マトリックス、あるいは5'アンカープローブを介するオリゴ(dT)ニトロセルロース上に捕獲することにより単離する。徹底的な洗浄を行って、あらゆる未結合プローブおよび細胞性DNAを除去する。逆転写酵素の添加は、該任意/Amp-プローブ-2の5'末端で終端している第一ストランドDNAの製造をもたらす。結合によりこれら2つのフラグメント、即ち該任意/Amp-プローブ-2の5'末端および該拡張された配列が接合され、これは次いで後のRAM増幅用の鋳型として機能する。
【0086】
該アッセイの感度を高めるために、サブトラクション段階を、逆転写の実施前に行うことができる。サブトラクションのために、長さ12-15ヌクレオチドで、既知のハウスキーピング遺伝子および/または構造遺伝子配列に対して相補的なプライマーを、該ハイブリッド化混合物に添加する。これらプライマーは、該アンカープローブと数個のヌクレオチドの重複を持つ、該ハウスキーピングおよび/または構造mRNAの3'領域と結合するように設計されており、結果的にmRNAとの結合に対して該捕獲/Amp-プローブ-1と競合する。例えば、長さ12-15ヌクレオチドで、ハウスキーピングおよび/または構造mRNAの3'末端と相補的となるように合成されたプライマー、例えばケラチン、ラミニン、チューブリン、アセチル-補酵素、アデノシンデアミナーゼ、アデニレートキナーゼ、およびアルドラーゼAを、該ハイブリッド化混合物に添加する。逆転写酵素を添加する前に、この反応系を、RNA特異的酵素と共にインキュベートする。該酵素は、RNA-DNA二重螺旋のRNAストランドを、特異的に開裂する。このような酵素は、例えばRNアーゼH等のRNアーゼを含む。このRNアーゼによる処理は、多数の高度に発現されたハウスキーピングmRNAを排除するように工夫されており、結果として、該アッセイの感度が高められる。
【0087】
更に、単一のプローブは、5'アンカー配列および5'任意配列を含むように設計される。このプローブを、結合部分(成分)、例えばビオチンで標識し、(例えば、ストレプタビジンビーズを用いた)該反応混合物からのハイブリッド分子の単離を容易にする。逆転写酵素反応を行って、該プライマー両端間の領域を伸張し、次いで結合して、後にRAMによって増幅することができる、閉じた環状分子を形成する。制限エンドヌクレアーゼによる消化の後に、得られる生成物を配列決定ゲル上で検査することができる。
本発明は、以下の点において、他の型の様々なディスプレイ法を越える利点を与える:(i) 各mRNAは、ただ一つの対応するRAM生成物を含む。というのは、該第一の利用可能な3'任意/Amp-プローブのみが、該拡張された配列と結合でき、同一のmRNAの冗長な提示を減じ、(ii) 全ての結合したプローブを同一のプライマー次いで増幅し、結果としてプライマー増幅効率の違いを最小化し、また(iii) サブトラクション段階を付加して、ハウスキーピングおよび/または構造mRNAを、該反応から除去し、かくしてアッセイの感度および特異性を高める。
【0088】
ここに記載するDD-RAM法は、異なる型の細胞内で、判別的に発現されるmRNAを同定するために使用できる。例えば、この方法は、腫瘍形成の様々な段階において、大量の腫瘍細胞を迅速にスクリーニングすることを可能とし、そのため腫瘍形成と密接に関連した重要な遺伝子を同定する方法を提供する。
本発明を実施する上で使用する試薬は、ばらばらで与えることができ、あるいはキット形式に包装することもできる。例えば、キットは、1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の増幅-プローブ-2を含み、好ましくは更に適当な包括的プライマーの包装された組合せを含むように調製できる。キットは、また1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の、完全な長さの、連結反応に独立なプローブ、例えば増幅-プローブ-2を含むように調製できる。更に別のキットは、1以上の第一の、例えば捕獲/増幅-1プローブおよび1以上の第二の、完全な長さの、連結反応依存性の環状化可能なプローブ、例えば増幅-プローブ-2を含むように調製できる。このようなキットは、また好ましくは適当な包括的プライマーの包装された組合せを含むこともできる。場合により、(例えば、DNAリガーゼによる)結合および可能ならば増幅に必要な他の試薬を含むこともできる。また該増幅され、結合された増幅配列、例えばナノ変異型(nanovariant) RNAに相当するオリゴデオキシリボヌクレオチド等のコントロール鋳型の定量的な検出において使用するために、追加の試薬を含むことができる。更に、キットは、例えば組織サンプル中のターゲット核酸配列を現場で検出するための、試薬を含むことも可能である。環状プローブを含む該キットは、持ち込み阻止のためのエキソヌクレアーゼを含むこともできる。
該キット用容器内の該試薬の配置は、含まれる特定の試薬に依存する。各試薬は、各容器内に収容できるが、様々な組合せも可能である。
【0089】
【実施例】
本発明は、以下の実施例により例示されるが、これら実施例は本発明を何等限定するものではない。
実施例 1 :サンプル中の HIV-1 RNA の検出
オリゴヌクレオチドプローブの調製
HIV-1 RNAのgag領域を検出するための、夫々捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)およびAmp-プローブ-2(HIV)と称呼される一対のオリゴデオキシリボヌクレオチドプローブを、公知のオリゴヌクレオチド合成技術を利用して、自動化DNA合成装置(Applied Biosystems, Inc.)による自動合成によって調製した。捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)は、59個のヌクレオチドおよび3'ビオチン部分を含むオリゴデオキシリボヌクレオチドであり、該ビオチン部分は、この合成の最終段階で、3'-ビオチン化ヌクレオシドトリホスフェートを用いて付加されたものである。本実施例において使用するこの捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)は以下のようなヌクレオチド配列を持つ(以下にSEQ ID NO. 1としても記載される):
【0090】
位置24-59におけるヌクレオチドは、このプローブの包括的な3'末端を含む。この領域内には、夫々ヌクレオチド41-46、46-51および52-57において、SmaI (CCCGGG)、EcoRI (GAATTC)およびHindIII (AAGCTT)に関する認識配列がある。ヌクレオチド1-23を含む配列の5'部分は、該HIV-1 RNAのgag 領域の一部と相補的であり、またこれとハイブリッドを形成する。
Amp-プローブ-2(HIV)は、92個のヌクレオチドをもつオリゴデオキシリボヌクレオチドであり、これは以下のような配列を持つ(以下にSEQ ID NO. 2としても記載される):
【0091】
位置71-92におけるヌクレオチドは、該プローブの3'特異的部分を含み、これは、捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)のヌクレオチド1-23に対して相補的な、該gag 領域部分の直ぐ隣における、HIV-1 RNAのgag 領域の一部に対して相補的かつハイブリッド形成可能である。ヌクレオチド1-70は、Amp-プローブ-2(HIV)の包括的な5'部分を含む。
T4 DNAリガーゼを用いた、該捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)の5'末端と、Amp-プローブ-2(HIV)の3'末端との結合は、以下の配列(以下にSEQ ID NO. 3としても記載される)を持つ、結合増幅配列(HIV)を生成する:
【0092】
この結合増幅配列は、長さ151ヌクレオチドであり、これはPCRに対する理想的なサイズの鋳型を与える。
ヌクレオチド116-135(捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)のヌクレオチド24-43由来のもの)およびヌクレオチド1-70(Amp-プローブ-2(HIV)のヌクレオチド1-70由来のもの)を含む、該結合増幅配列の該包括的ヌクレオチド配列は、その配列において、Schaffner等, J. Mol. Biol., 1977, 117: 877-907によって記載された、WSIナノ変異型RNAの(-)ストランドの、ヌクレオチド1-90に対応する。WSIは、添加された鋳型なしに、Qβレプリカーゼ反応において生ずる、3種の密接に関連した、一群の6S RNA種、即ちWSI、WSIIおよびWSIIIの内の一つである。Schaffner等は、これら3つの分子を「ナノ変異体」と名付けた。
該WSI(-)ストランドの1-90ヌクレオチドに相当する、長さ90ヌクレオチドをもつオリゴデオキシリボヌクレオチドは、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 4としても記載される):
【0093】
また、2種の包括的なオリゴデオキシヌクレオチドプライマーをも、該結合増幅配列のPCR増幅を利用して合成した。長さ21ヌクレオチドをもつプライマー-1は、捕獲/Amp-プローブ-1(HIV) (ヌクレオチド38-58)の3'配列と相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 5としても記載される)を有する:
長さ20ヌクレオチドをもつプライマー-2は、その配列において、Amp-プローブ-2(HIV) (ヌクレオチド1-20)の5'配列に相当し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 6としても記載される)をもつ:
【0094】
HIV-1 RNA の捕獲および検出
ターゲットHIV-1 RNA (100μl)を、1.5mlの微量遠沈管(microfuge tube)内で、5MのGnSCN、100mMのEDTA、200mMのトリス-HCl (pH 8.0)、0.5%のNP-40(MO、セントルイスのシグマケミカル社)、および0.5%のBSAを含む、等体積の溶解バッファーに溶解する。次に、該3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV) (SEQ ID NO.1)およびAmp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO.2)を、ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社から入手)と共に、該溶解バッファー中の該溶解されたサンプルに添加した。ターゲットRNA/捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)/Amp-プローブ-2 (HIV)/常磁性ビーズを含む複合体を、形成し、該ビーズ上に保持した。遠沈管ホルダラック(プロメガ社から入手)内の磁石により発生した磁場を、該複合体に印加して、該磁石に隣接する該反応チューブの一方の側にこれを維持し、未結合の物質を、サイフォン現象によって除去した。次いで、この複合体を、1.5M GnSCNで2回洗浄して、該複合体と共にトラップされている可能性のある、あらゆる未結合タンパク質、核酸、およびプローブを除去した。この磁場印加法は、該洗浄段階を簡略化した。次に、該複合体を300mM KClバッファー(300mM KCl、50mMトリス-HCl、pH7.5、0.5%のNon-IDEP-40、1mMのEDTA)で洗浄することによって、該GnSCNを除去した。
【0095】
次に、これら2つのプローブを、T4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム社)を用いて共有結合により結合して、官能性の結合増幅配列 (HIV) (SEQ ID NO.3)としたが、これはPCR増幅用の鋳型として機能し得る。該結合反応は、ベーリンガーマンハイム社から得られる、10X T4 DNAリガーゼ結合バッファー(660mMのトリス-HCl、50mMのMgCl2、10mMのジチオエリスリトール、10MのATP-pH7.5(20℃にて))の1:10希釈液を含む、1X結合バッファーの存在下で行った。
結合増幅配列(HIV)を結合状態で含むが以上磁性ビーズを、1X T4 DNAリガーゼ結合バッファーで洗浄し、100μlの1X T4 DNAリガーゼ結合バッファー中に再懸濁させた。20μlのビーズ懸濁液を、該結合反応から除去した。2μlのT4 DNAリガーゼをこの反応混合物に添加し、得られる混合物を37℃にて60分間インキュベートした。
【0096】
該結合状態にある結合増幅配列(HIV)のPCR増幅のために、Taq DNAポリメラーゼ、2つの包括的なPCRプライマー(SEQ ID NO.5および6)、デオキシヌクレオシドと32P-dCTPとの混合物を含む、80μlのPCR反応混合物を、この結合反応系に添加した。2温度PCR反応を30サイクル実施し、ハイブリッド形成およびプライマー拡張を65℃にて65秒間行い、また変性を92℃にて30秒間行った。
30サイクル後に、10μlの反応混合物を、10%ポリアクリルアミドゲル中での電気泳動にかけ、オートラジオグラフィーにより検出した(図3のレーンA)。コントロールとしては、ナノ変異型DNA (SEQ ID NO.4)をも、該結合増幅配列(HIV)と同様な条件下で30サイクルの2温度PCRにかけ、電気泳動およびオートラジオグラフィー処理した(図3のレーンB)。図3から理解されるように、該増幅された結合増幅配列(HIV)は、増幅されたナノ変異型DNA(90ヌクレオチド)よりも遅い速度で、単一バンド(151ヌクレオチド)として泳動した。この結果は、また未結合の第一および第二プローブが、増幅されないか検出されないことを示した。
【0097】
実施例2:サンプル中の HIV- 1 RNA の直接的検出
本発明の方法の、サンプルにおけるHIV-1 RNAの存在を直接検出する能力をも決定した。本実施例で使用するプローブは、実施例1(SEQ ID NO. 1および2)で使用したものと同じであった。直接検出のために、Amp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO. 2)を、その5'末端において、32P-γ-ATPを用いた、該T4 ホスホキナーゼ反応によって、32Pで標識した。種々の反応混合物は、以下の通りであった:
1. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV) (SEQ ID NO. 1)、Amp-プローブ-2 (HIV) (SEQ ID NO. 2) 5'(32P)、HIV-1 RNA転写産物;
2. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)、Amp-プローブ-2 (HIV) 5'(32P);
3. ストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ、Amp-プローブ-2 (HIV) 5'(32P)、HIV-1 RNA転写産物。
【0098】
上記3種の反応混合物を用いたハイブリッド化は、1MのGnSCN、0.5%のNP-40(ノニデットP-40、MO、セントルイスのシグマケミカル社から入手できるN-ラウリルザルコシン)80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)および0.5%のウシ血清アルブミンを含む、20μlの1M GnSCNバッファー中で行った。
この反応混合物を、37℃にて60分間インキュベートした。このインキュベーションの後、該反応混合物を、実施例1に記載したような磁場の作用下に置き、1M GnSCNバッファーで2回(一回の洗浄当たり200μl)および300mMのKCl、50mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のNP-40および1mMのEDTAを含む300mM KClバッファーで3回洗浄した。洗浄後に、該常磁性ビーズ上に保持されている32P-標識したAmp-プローブ-2 (HIV)の量を、カウント/分(CPM)として、以下の表1に報告する。これら結果は、ターゲットHIV RNAおよび捕獲/Amp-プローブ-1 (HIV)両者の存在下においてのみ、有意な量のAmp-プローブ-2が、該ビーズ上に保持され、かつβ-シンチレーションカウンタによって検出されることを示している。
【0099】
【表1】
【0100】
実施例3:患者サンプル中のマイコバクテリウムアビウム-イントラセルレール(Mycobacterium avium-intracellulaire (MAI))の検出
最近の論文(Boddinghaus等, J. Clin. Microbiol., 1990, 28: 1751)は、16SリボソームRNA (rRNA)の増幅による、マイコバクテリア(Mycobacteria)種の首尾よい同定および該種の分化を報告している。増幅および同定のためのターゲットとしてバクテリア由来の16S rRNAを使用する利点は、Rogall等, J. Gen. Microbiol., 1990, 136: 1915に記載されており、以下のようなものを含む:1) rRNAは、バクテリアリボソームの基本的な成分であり;2) rRNA配列の比較分析は、高度に保存された配列の幾分かの伸張およびかなりの可変性を持つ他の伸張を示し;3) rRNAは大きなコピー数、即ち103-104分子/細胞なる値を示し、結果として高感度の検出アッセイの開発を容易にし;4) 16S rRNAのヌクレオチド配列は、如何なるクローニング手順をも必要とせずに、迅速に決定することができ、また殆どのマイコバクテリア16S rRNAの配列は既知である。
【0101】
3対の捕獲/Amp-プローブ-1およびAmp-プローブ-2を、Boddinghaus等およびRogall等によって公開された16S rRNA配列に基いて、自動化されたオリゴヌクレオチド合成(上記のような)によって調製した。該プローブの第一の対(MYC)は、該第一および第二プローブの特異的部分が、あらゆるマイコバクテリア種(Mycobacteria spp.)の16S rRNAとハイブリッド形成でき、検体内における任意のマイコバクテリアの存在を検出するのに使用される点で、包括的である。該プローブの第二の対(MAV)は、M.アビウムの16S rRNAに対して特異的であり、またプローブの第三の対(MIN)は、M.イントラセルレールの16S rRNAに対して特異的である。本発明の方法の極めて特殊な結合反応は、単一のヌクレオチドレベルにおけるこれら2つの種の識別を可能とする。
A. あらゆるマイコバクテリア種の包括的な検出に使用できるプローブは、実施例1におけるような第一および第二プローブを含む。該第一プローブは、3'-ビオチン化-捕獲/Amp-プローブ-1 (MYC)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 7として記載される)を持つ、長さ54ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0102】
このプローブの5'末端におけるヌクレオチド1-18は、マイコバクテリア16S RNAの共通部分、即ち全てのマイコバクテリア種に存在する16S RNA配列に対して相補的である。ヌクレオチド19-54を含むこのプローブの3'部分は、その配列において、実施例1の捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)の包括的部分を含む、該36ヌクレオチドと同等である。
該第二のプローブは、Amp-プローブ-2(MYC)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 8として記載される)を持つ、長さ91ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0103】
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-91は、あらゆるマイコバクテリア種について共通な、ヌクレオチド1-18または上記捕獲/Amp-プローブ-1(MYC)と相補的な上記領域と隣接する、16S rRNAの共通部分と相補的である。このプローブの5'末端におけるヌクレオチド1-70は、実施例1においてAmp-プローブ2(HIV)について示されたものと同一の包括的配列を含む。
実施例1と同様に、これら2つのプローブの末端間の結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 9として記載される)を持つ、あらゆるマイコバクテリア種を検出するための、長さ145ヌクレオチドをもつ、結合された増幅配列(MYC)を与える:
【0104】
B. M. アビウムの特異的検出用のプローブ対は以下の通りである。
第一プローブは、3'-ビオチン化-捕獲/Amp-プローブ-1(MAV)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 10として記載される)を持つ、長さ56ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
該5'末端におけるヌクレオチド1-20は、M. アビウムに対して特異的な16S rRNAの一部と相補的である。ヌクレオチド21-56は、上記と同様な包括的配列を含む。
該第二プローブは、Amp-プローブ-2(MAV)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 11として記載される)を持つ、長さ90ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
【0105】
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-1(MAV)によって認識される上記特異的配列に隣接する、M. アビウムに対して特異的な16S rRNAのある領域に対して相補的な、特異的ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド1-70は、上記と同様な包括的な配列を含む。
これら2つのプローブの末端間の結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 12として記載される)を持つ、M. アビウムを検出するための、長さ146ヌクレオチドをもつ、結合された増幅配列(MAV)を与える:
C. M. イントラセルレールの特異的検出用のプローブ対は、以下の通りである:
第一プローブは、3'-ビオチン化捕獲/Amp-プローブ-1(MIN)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 13として記載される)を持つ、長さ56ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドである:
【0106】
該5'末端におけるヌクレオチド1-20は、M. イントラセルレールに対して特異的な、16S rRNAの一部に対して相補的である。ヌクレオチド21-56は、上記と同様な包括的配列を含む。
該第二プローブは、Amp-プローブ-2(MIN)、即ち以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 14として記載される)を持つ、長さ90ヌクレオチドのオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
このプローブの3'末端におけるヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-1(MIN)により認識される該特異的配列と隣接する、M. イントラセルレールの16S rRNAのある領域に対して相補的な特異的ヌクレオチド配列を含む。
これら2つのプローブの末端間結合は、以下のような配列(以下において、SEQ ID NO. 15として記載される)を持つ、M. イントラセルレール検出用の、長さ146ヌクレオチドの長い結合された増幅配列(MIN)を与える:
【0107】
D. 上記のマイコバクテリア種の存在を検出するために、患者血液の検体をペディアトリックアイソレータチューブ(Pediatric Isolator Tubes) (NJ、ワンポールラボラトリーズ(Wampole Laboratories))に集める。このアイソレータの溶解遠心分離技術は、血液成分の分離を可能とし、次に白血球を溶解して、細胞内生物の回収性を改善する(Shanson等, J. Clin. Pathol., 1988, 41: 687)。溶解後、約120μlの濃厚物質を、等体積の実施例1で使用した5M GnSCNバッファー中に溶解する。この混合物を、30分間沸騰させるが、これはマイコバクテリア細胞壁の性質の故に、マイコバクテリア種を溶解するために必要とされる。後の手順(即ち、捕獲、結合、PCRおよび検出)は、実施例1で使用したものと同一である。
【0108】
該PCR増幅の前に、該磁性ビーズ上に捕獲された32P-5'-AMP-プローブ-2を表す、放射能を測定することにより、直接的検出を行う。未結合の放射性標識したAmp-プローブ-2を、徹底的な洗浄により除去した後に、106/反応を越える濃度で存在する該ターゲット16S rRNA分子は、検出可能となる。直接検出できないターゲット16S rRNAは、実施例1におけるように、結合増幅配列についてPCR増幅にかける。増幅において使用する該プライマーは、実施例1のものと同一の2種の包括的なプライマー(SEQ ID NO. 5および6)である。
実施例4:サンプル中のHCV RNAの検出
C型肝炎ウイルス(HCV)、即ちRNAウイルスは、輸血に起因する肝炎後の原因作用物質である。HCVは、フラビウイルスおよびペスチウイルスとは余り関連性がなく、従ってそのゲノムは5'および3'未翻訳領域(UTR)をもち、また大きな単一の読み取り枠をコードすることが分かっている(Lee等, J. Clin. Microbiol., 1992, 30: 1602-1604)。本発明の方法は、サンプル中のHCVの存在を検出するのに有用である。
【0109】
夫々捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)およびAmp-プローブ-2(HCV)と称呼される、一対のオリゴデオキシヌクレオチドプローブを、HCV RNAの5'UTRをターゲットとするために、実施例1と同様に調製する。
3'末端においてビオチン化されている捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)は、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 16としても記載される)を持つ、55ヌクレオチドからなる長いオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
捕獲/Amp-プローブ-1(HCV)の5'末端におけるヌクレオチド1-19は、該HCVゲノムの5'UTRの一部に対して相補的な特異的配列を含む。このプローブの3'末端におけるヌクレオチド20-55は、実施例1の捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)と同一の、36ヌクレオチドからなる包括的な配列を含む。
【0110】
Amp-プローブ-2(HCV)は、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 17としても記載される)を持つ、90ヌクレオチドからなる長いオリゴデオキシリボヌクレオチドである:
ヌクレオチド71-90は、捕獲/Amp-プローブ-2(HCV)のヌクレオチド1-19とハイブリッド形成可能な該HCVゲノム部分の直ぐ隣にある、該HCV 5'UTRの一部と相補的かつハイブリッド化可能な、該プローブの3'特異的部分を含む。ヌクレオチド1-70は、実施例1のAmp-プローブ-2(HCV)と同一の包括的配列を含む。
【0111】
実施例1におけるように、これら2つのプローブの末端間結合は、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 18としても記載される)を持つ、サンプル中のHCVを検出するための、145ヌクレオチドからなる長い結合増幅配列を与える:
該結合増幅配列(HCV)は、実施例1におけるように2温度PCR反応を利用して、増幅する。増幅のために使用するこれらPCRプライマーは、実施例1で使用したものと同一の包括的プライマー(SEQ ID NO. 5および6)である。
【0112】
実施例5:サンプル中のHCV RNAを検出するための、多数の捕獲および増幅プローブの使用
一対の増幅プローブおよび2種の捕獲/増幅プローブを用いて、サンプル中のHCV RNAについてアッセイしかつこれを検出し、結果として該アッセイの捕獲効率を高めた。
SEQ ID NO. 22をもつ捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A) (本実施例に記載する全オリゴマーを、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV A)」と称呼する)およびSEQ ID NO. 23をもつ捕獲/ Amp-プローブ-1A(HCV A)を、その5'末端がビオチン化され、かつ該プローブの3'領域が該HCV RNAの5'UTR内の配列(図4)と相補的かつハイブリッド化可能な配列を含むように設計され、かつ合成される。該ターゲット核酸配列とハイブリッド化できない該プローブの、5'領域における包括的ヌクレオチド配列は、ランダム配列および少なくとも60%のGC含有率を持つように、またこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように設計され、かつ合成される。
【0113】
5'末端においてビオチン化されている、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)は、45ヌクレオチドをもつDNAオリゴマーであって、その3'領域におけるヌクレオチド5-45は、該ターゲットHCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 22としても記載される)を持つ:
5'-AAGAGCGTGA AGACAGTAGT TCCTCACAGG GGAGTGATTC ATGGT-3'
同様に5'末端においてビオチン化されている、捕獲/Amp-プローブ-1A (HCV A)も、45ヌクレオチドをもつDNAオリゴマーであって、その3'領域におけるヌクレオチド5-45は、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A) とハイブリッド形成可能なHCV RNAの5'UTRの上記領域の直ぐ隣にある、該HCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 23としても記載される)を持つ:
5'-AAGACCCAAC ACTACTCGGC TAGCAGTCTT GCGGGGGCAC
GCCCA-3'
これら2つの増幅プローブ、即ちAmp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A (HCV A)各々は、HCV RNAの保存された5'UTRと相補的かつハイブリッド形成可能なヌクレオチド配列を含む。
【0114】
Amp-プローブ-2(HCV A)は、51個のヌクレオチドを持ち、その5'領域のヌクレオチド1-30は、該HCV RNAの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またその3'末端におけるヌクレオチド34-51は、PCRプライマー-3と結合し、かつハイブリッド形成し、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 24としても記載される)を持つ:
5'-ACTCACCGGT TCCGCAGACC ACTATGGCTC GTTGTCTGTG
TATCTGCTAA C-3'
Amp-プローブ-2A (HCV A)は、69個のヌクレオチドを含むオリゴマーであり、その3'領域のヌクレオチド40-69は、Amp-プローブ-2(HCV A)のヌクレオチド1-30とハイブリッド化可能な該HCV RNAゲノムの上記部分と直ぐ隣接する、該HCV RNAゲノムの5'UTR内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またその5'末端における該ヌクレオチド1-18は、PCRプライマー-4と結合し、かつハイブリッド化し、更にその5'末端における該ヌクレオチド19-36は、PCRプライマー-5と結合し、かつハイブリッド化し、更にこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 25としても記載される)を持つ:
【0115】
これら2つのプローブの末端間結合は、120個のヌクレオチドを含む結合性生物、即ち結合-増幅配列(HCV A)を与え、この配列は、HCVに関する検出可能な配列並びに増幅反応用の鋳型として機能し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 26としても記載される)を持つ:
該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)の第一系列のPCR増幅で使用され、また18ヌクレオチドに相当する長さを持つプライマー-3は、Amp-プローブ-2(HCV A)の3'末端におけるヌクレオチド34-51を含む配列と相補的であり、従って該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド103-120を含む配列とも相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 27としても記載される)を持つ:
【0116】
該結合増幅配列(HCV A)、即ちSEQ ID NO. 26の該第一系列のPCR増幅で使用され、また18ヌクレオチドに相当する長さを持つプライマー-4は、Amp-プローブ-2A(HCV A)の5'末端におけるヌクレオチド1-18を含む配列と相補的であり、従って該結合増幅配列、即ちSEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド1-18を含む配列とも相補的であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 28としても記載される)を持つ:
5'-CAAGAGCAAC TACACGAA-3'
18個のヌクレオチドを含むDNAオリゴマーであるプライマー-5は、該結合増幅配列 (HCV A), SEQ ID NO. 26の第二群のPCR増幅のために使用され、該プライマーは、該Amp-プローブ-2A(HCV A)のヌクレオチド19-36を含む配列に対して相補的であり、また結果として該結合増幅配列SEQ ID NO. 26(HCV A)のヌクレオチド19-36を含む配列とハイブリッド化可能であり、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 29としても記載される)を持つ:
5'-TTCTCGATTA GGTTACTG-3'
【0117】
上記のプローブおよびプライマーを使用するこのアッセイは、使用するまで-70℃にて保存した24個のヒト血清サンプルにおけるHCV RNAを検出するのに使用した。このアッセイのために、180μlの血清サンプルを、濃厚な溶解バッファー(5MのGnSCN、0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリスHCl(pH 7.5)、および0.5%のノニデットP-40を含む溶解バッファー250μlを、血清と溶解バッファーとの混合物が、最終濃度5M GnSCNとなるように濃縮して調製)に添加し、十分に混合し、かつ37℃にて1時間インキュベートして、HCV粒子からターゲットRNAを遊離させた。次いで、80μlのこの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40)に、1010分子の各増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A(HCV A)オリゴマー、および1011分子の各捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および各捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)と共に移した。このハイブリッド化バッファーの添加は、グアニジウムイソチオシアネート(GnSCN)の濃度を5Mから2Mに低下し、ハイブリッド化の発生を可能とした。この混合物を、37℃にて1時間インキュベートして、これら様々なプローブを、該ターゲットRNAとハイブリッド化させ、それから30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)を、37℃にて20分間インキュベートしてリガンドを結合する前に、該ハイブリッド化混合物に添加した。次いで、該ビーズを150μlの2M GnSCNで洗浄して、あらゆる遊離のプローブ、タンパク質、外来の核酸および該ハイブリッド化混合物由来の潜在的なPCR阻害剤を排除し、引き続き150μlのリガーゼバッファー(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのDTT、1mMのATP、0.5%のノニデットP-40および1mMのMnCl2)で2回洗浄することによって、該GnSCNを除去した。各洗浄段階において、上澄からの結合した複合体の磁気分離は、実施例1に記載した磁場技術によって行った。
【0118】
次に、ターゲットRNAと結合した、該増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV A)およびAmp-プローブ-2A(HCV A)を、共有結合により結合して、PCR増幅用の鋳型として使用する、結合された増幅配列(HCV A)を生成した。このハイブリッド複合体を、5単位のT4DNAリガーゼ(ベーリンガー社)を含む20μlのリガーゼバッファー中に再懸濁し、結合反応のために37℃にて1時間インキュベートした。以下において「第一PCR反応」と呼ぶ、後のPCR反応に関連して、該ビーズを含む該結合混合物10μlを、20μlのPCR混合物(各0.06μMのプライマー-3およびプライマー-4、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、各0.2mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、1.5mMのMgCl2、10mMのトリス-HCl(pH 8.3)および50mMのKCl)に添加し、この混合物を95℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、35サイクルに渡りインキュベートした。該第一PCR反応の後、「該第二PCR反応」(該アッセイの感度を高めるためのセミ-ネステッド(semi-nested) PCR法)のために、該生成物5μlを、第二PCR混合物(該第一PCR混合物と同一の成分、但しプライマー-4をプライマー-5に代えた)に移し、該第一PCR反応と同一条件下でこの反応を行った。この第二反応の生成物10μlを、6%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。
【0119】
この方法の感度および特異性を確立するために、HCV-ネガティブ血清中の、合成HCV RNAの10-倍連続希釈物を、上記プロトコールに従ってアッセイした。ここで、HCV RNAの濃度は、10〜107分子/反応なる範囲内にあった。結合並びに増幅の後、これらPCR生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。図8に示された結果は、明らかにこの方法の特異性を示している。HCV RNAの不在下において、PCR生成物を生成するために、プローブが該ターゲットRNAを捕獲する必要があることを示す、シグナルはない。100分子のHCV RNA/サンプル程度の濃度は、このセミ-ネステッドPCR法(図8)によって検出可能であり、このことは、この方法の感度が、少なくとも従来のRT-PCR (Clementi等, PCR, 1993, 2: 191-196)の感度に匹敵することを示している。
更に、図8で可視化されたようなバンドの強度によって表される、このPCR生成物の相対的な量は、該ターゲットRNAの量(HCV RNA転写物)に比例する。従って、このアッセイは、少なくとも102〜105個のターゲット分子なる範囲に渡り定量的である。
【0120】
2つの捕獲プローブによってもたらされる、高められた捕獲効率を測定するために、32P-標識されたターゲットHCV RNAを、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)または捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)またはこれら両者を使用する、常磁性ビーズによる捕獲およびその上での保持についてアッセイした。この捕獲は、2M-GnSCNバッファーおよび該リガーゼバッファーによる徹底的な洗浄後に、該常磁性ビーズ上に保持された放射能の量により評価した。その結果は、標識されたHCV RNAの25.7%が、捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)単独で捕獲した場合に、該ビーズ上に保持され、その35.8%が、捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)単独で捕獲した場合に、該ビーズ上に保持され、また該ターゲットRNAの41.5%が、これら両者の捕獲プローブを使用した場合に、該ビーズ上に保持されることを示した。従って、この二重-捕獲法は、単一の捕獲プローブを使用した場合よりも、高い効率を示した。
【0121】
実施例6:サンプル中のHIV-1 RNAを検出するための、複数の捕獲および増幅プローブの利用
実施例1に示した方法の一代替法は、捕獲/増幅プローブおよび一対の増幅プローブを使用して、HCV-1 RNAの存在を検出する。捕獲/Amp-プローブ-1(HIV)、SEQ ID NO. 1および一対の増幅プローブ、即ちAmp-プローブ-2(HIV A) (本例に記載するオリゴマー全ては、実施例1のプローブ「(HIV)」と区別するために、「(HIV A)」と呼ぶ) (SEQ ID NO. 19)およびAmp-プローブ-2A(HIV A) (SEQ ID NO. 20)は、Amp-プローブ-2(HIV A)のヌクレオチド1-26から導かれたヌクレオチド1-26およびAmp-プローブ-2A(HIV A)のヌクレオチド40-65から導かれたヌクレオチド86-112を含む、該結合増幅配列(HIV A) (SEQ ID NO. 21)の包括的ヌクレオチド配列が、ランダム配列および少なくとも60%のGC含有率を持つように設計かつ合成され、またこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように使用される。
増幅プローブAmp-プローブ-2(HIV A)は、47個のヌクレオチドを含むDNAオリゴマーであり、ここでその3'領域におけるヌクレオチド27-47は、該ターゲットHIV-1 RNAのgag領域内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 19としても記載される)を持つ:
【0122】
増幅プローブAmp-プローブ-2A(HIV A)は、65個のヌクレオチドを持つDNAオリゴマーであって、ここでその5'領域におけるヌクレオチド1-39は、Amp-プローブ-2(HIV A)のヌクレオチド27-47とハイブリッド化可能な該HIV-1 RNAゲノムの上記部分と直ぐ隣接する、該ターゲットHIV-1 RNAのgag領域内の配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、またこのオリゴマーは、以下のヌクレオチド配列(以下においてSEQ ID NO. 20としても記載される)を持つ:
5'-CAAGAGCAAC TACACGAATT CTCGATTAGG TTACTGCAGC
AACAGGCGGC CTTAACTGTA GTACT-3'
これら2つのプローブの末端間結合は、112個のヌクレオチドを含む結合された増幅配列(HIV A)を与え、この配列は、HIV-1 RNAに対する検出可能な配列並びに増幅反応用の鋳型として機能し、また以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 21としても記載される)を有している:
【0123】
更に、HIV RNAについてアッセイするために、該捕獲された結合生成物の該捕獲、検出および随意の増幅は、実施例5に記載したように行われる。増幅のために利用する該PCRプライマーは、実施例5と同一のプライマー-3、4および5(SEQ ID NO. 27、28および29)である。
実施例7:サンプル中のHCV RNAを検出するための、別々の捕獲/増幅プローブおよび結合独立性の、単一の増幅プローブの使用
このアッセイは、単一の結合独立性増幅プローブおよび2つの捕獲/増幅プローブを、サンプル中のHCV RNAを検出するために使用する。
この方法で使用する、該捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および捕獲/Amp-プローブ-1A(HCV A)は、実施例5で使用したものと同一である。
【0124】
該増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV B) (本例において記載する全てのオリゴマーを、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV B)」と呼ぶ)、即ちSEQ ID NO. 30は、100個のヌクレオチドを含むDNA分子であり、このオリゴマーの中央領域におけるヌクレオチド39-79によって表される配列は、該HCV RNAの5'UTR(図6)内の領域と相補的かつハイブリッド化可能であり、またその5'末端におけるヌクレオチド1-38に渡る配列およびその3'末端におけるヌクレオチド80-100で示される配列は、これらがランダムな配列および少なくとも60%なるGC含有率を有し、かつこれらが最小の二次構造、例えばヘアピンまたは折り畳み構造を示すように設計かつ合成される。Amp-プローブ-2(HCV B)は、増幅配列とも呼ばれ、以下の配列(以下においてSEQ ID NO. 30としても記載される)を有する:
【0125】
該プローブ配列の捕獲、検出並びに随意の増幅は、実施例5に記載のように行ったが、プライマー-3および4のみを、単一のPCR増幅段階において使用し、該第二のPCR段階は省略し、また該結合段階をも省略した。
実施例8:サンプル中のHCV RNAを検出するための、別々の捕獲/増幅プローブおよび単一の増幅可能な、結合依存性プローブの使用
本例の方法は、実施例5に記載された、2種の捕獲/増幅プローブ、即ち捕獲/Amp-プローブ-1(HCV A)および捕獲/Amp-プローブ1A(HCV A)、および該ターゲット核酸とハイブリッド化し、また図7に示すようにその自由末端を結合した際に環化する、単一の増幅プローブ、Amp-プローブ-2(HCV C) (本例に記載する全てのオリゴマーは、実施例4のプローブ「(HCV)」と区別するために、「(HCV C)」と呼ぶ)を使用する。
【0126】
Amp-プローブ-2(HCV C)は、108このヌクレオチドを含む増幅プローブであり、増幅配列とも言われ、このオリゴマーの5'末端におけるヌクレオチド1-26は、該ターゲットHCV RNA(図7において(a)で示されている)の5'UTRにおける配列と相補的かつハイブリッド形成可能であり、このオリゴマーの3'末端におけるヌクレオチド83-108は、該ターゲットHCV RNA(図7において(b)で示されている)の5'UTRにおける配列と相補的かつハイブリッド形成可能である。更に、このプローブが、該ターゲットHCV RNAとハイブリッド形成する場合、このプローブの3'および5'末端は、相互に直ぐ隣接した状態で配置され(図7)、DNAリガーゼ等の結合剤で結合した際に、閉じた環状分子を形成する。このAmp-プローブ-2(HCV C)の配列は、以下(SEQ ID NO. 31としても記載される)のように与えられる:
【0127】
該結合され、かつ環状化されたAmp-プローブ-2(HCV C)の第一系列のPCR増幅のために使用するプライマー-3(SEQ ID NO. 27)は、Amp-プローブ-2(HCV C)のヌクレオチド27-45を含む配列に対して相補的な、18個のヌクレオチドを持つ長いオリゴマーである。
同様に、該結合され、かつ環状化されたAmp-プローブ-2の第一系列のPCR増幅のために使用するプライマー-4(SEQ ID NO. 28)は、Amp-プローブ-2(HCV C)のヌクレオチド46-63を含む配列に対して相補的な、18個のヌクレオチドを持つ長いオリゴマーである。
これら2つの捕獲/増幅プローブおよび該増幅プローブのターゲットHCV RNAとのハイブリッド形成、該増幅プローブの末端間結合の際の、該プローブの環状化および該プローブ配列の増幅は、実施例5に記載のように実施するが、プライマー-3および-4のみを、単一のPCR増幅段階で使用し、該第二PCR段階を省略し、またAmp-プローブ-2(HCV C) (SEQ ID NO. 31)を、実施例5で使用した増幅プローブ対、即ちAmp-プローブ-2(HCV A) (SEQ ID NO. 24)およびAmp-プローブ-2A(HCV A) (SEQ ID NO. 25)に代えた。
【0128】
この方法の感度および特異性を確立するために、HCV-ネガティブ血清中の、合成HCV RNAの10-倍連続希釈物を、上記方法に従ってアッセイし、103〜107分子/サンプルなる範囲内のHCV RNAの標準濃度を得た。結合並びに増幅の後、これらPCR生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色し、紫外光の照射下で可視化した。
これら結果(図9、(-):コントロール(サンプル含まず))は、この方法の特異性を示している。このアッセイは高度に特異的であり、ターゲットHCV RNAが存在しない場合には、目に見えるシグナルは存在せず、このことはプローブが該ターゲットRNAを捕獲し、PCR生成物を生成する必要があることを示している。
更に、バンド強度(図9)によって表される該PCR生成物の相対的な量は、該ターゲットRNA (HCV RNA転写物)の量に比例する。従って、該アッセイは、少なくとも104〜107ターゲット分子なる範囲に渡り、かなり定量的である。
【0129】
実施例9:LD-PCRアッセイを利用した、組織サンプル中のHCVターゲット配列の検出
本例は、本発明による結合-依存性PCR(LD-PCR)と逆転写酵素PCR(RT-PCR)とを、ホルマリンで固定し、かつパラフィンに埋設した肝臓サンプルにおけるHCV配列の検出について比較する。NY、ニューヨークのマウントシナイメディカルセンタ(Mount Sinai Medical Center)において、肝臓を切除し、あるいは正位の肝臓移植を受けた患者由来の、1992年1月乃至1995年3月までの、肝臓細胞ガン(HCC)に罹った、21例の保存された肝臓検体を、この研究のために選択した。第二世代酵素-結合免疫アッセイ(EIA II) (IL、シカゴのアボットダイアグノスチック社(Abbott, Diagnostic)によって測定したところ、これら患者の内の13名は、高-HCV正であり、また8名は負であった。胆道閉鎖症に対して続発性の硬変に罹った抗-HCV負の患者由来の移植肝臓組織をコントロールとして使用した。外科手術後、この肝臓検体を、4℃にて保存し、12時間以内に切開した。この検体を、10%の緩衝化ホルマリン内で8〜12時間固定し、定法通りパラフィン中に埋設させた。これらFFPE検体を、室温にて3ヶ月から3年までの期間保存した。更に、-70℃にて保存した、22名の患者における13名を由来とする、急速凍結した肝臓組織を、LD-PCRおよびRT-PCR間の一致しない点を解明するために使用した。
【0130】
FFPE検体(約2-4 cm2)を、使い捨て用のブレードによって、ミクロトーム上で厚み10μmの薄片にし、各薄片を1.5-mlの微量遠沈管に入れた。サンプル間で、交叉汚染を回避するために、ブレードを交換し、そのホルダーを10%クロロックス(Chlorox)溶液で洗浄した。これら薄片を、1mlのキシレン(シグマ社)の存在下で、60℃にて10分間インキュベートすることにより、これらからパラフィンを除去した。乾燥エタノールで2回洗浄することにより、該キシレンを除去した。次に、これら検体を、真空下での遠心分離またはホットブロック上に65℃にて30分間放置することにより乾燥した。
LD-PCRに関連して、該パラフィンを除去した組織を、100℃にて30分間、5Mのグアニジウムチオシアネート(GnSCN)(フルカ(Fluka)社)、0.5%ウシ血清アルブミン(シグマ社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%Na-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含む250μlの溶解バッファー中でインキュベートし、次いで65℃にて30分間インキュベートすることにより溶解した。これら溶解した検体を、使用するまで-20℃にて保存した。全検体のHCV血清学的状態は、研究者に予断を抱かせないために、ブラインド状態にした。
【0131】
RT-PCRに関連して、該パラフィンを除去した組織を、60℃にて5時間、10mMのトリス-HCl(pH 8.0)、0.1mMのEDTA(pH 8.0)、2%のドデシル硫酸ナトリウムおよび500μg/mlのプロテイナーゼKを含む200μlの溶解バッファー中でインキュベートすることにより溶解した。RNAは、フェノールおよびクロロホルム抽出およびその後の0.1体積の3M酢酸ナトリウムの存在下での、等体積のイソプロパノールによる沈殿によって精製した。このRNAペレットを、70%エタノールで1回洗浄し、乾燥し、30μlの無菌ジエチルピロカーボネート-処理した水に再懸濁した。RNAは、またChomczynski等, Anal. Biochem., 1987, 162: 156により記載された、1段階RNA抽出法を用い、対応する患者から得た凍結肝臓組織の切片(厚み10nm)から抽出した。
【0132】
LD-PCRは以下のように実施した。簡単に言えば、80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン)に添加した。このバッファーは、1010分子のホスホリル化Amp-プローブ-2、1010分子のAmp-プローブ-2Aおよび1011分子の捕獲/Amp-プローブ-1および捕獲/Amp-プローブ-1Aを含んでいた。(これらプローブは、実施例5に記載されている)。該ハイブリッド化バッファーの添加は、該GnSCN濃度を5Mから2Mに低下し、ハイブリッドの形成を可能とする。この混合物を、1時間インキュベートして、2種のDNA捕獲プローブおよび該HCV RNAターゲットと結合した2種のDNAヘミプローブからなるハイブリッドを生成する。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)を、この混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドと該ビーズ表面とを結合する。次いで、このビーズを、150μlの洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40、1.5mMのMgCl2および50mMのKCl)で二度洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブ並びにGnSCN、タンパク質、核酸およびあらゆる潜在的なPCR阻害物質を除去した。
【0133】
各洗浄中、該アッセイチューブを、磁気分離スタンド(Magnetic Separation Stand; プロメガ社)上に置くことにより、該ビーズを該チューブの壁上に引き付け、吸引により上澄を除去した。次いで、このハイブリッドを20μlのリガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH 7.5)、1mMのジチオスレイトール、1mMのATP、1mMのMnCl2、5mMのMgCl2および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム))に再懸濁し、37℃にて1時間インキュベートし、該RNAターゲット上の隣接位置とハイブリッド化している、該プローブを共有結合により結合し、かくして実施例5に記載の結合増幅プローブを製造した。次いで、10μlの該結合反応混合物(ビーズを含む)を、20μlのPCR混合物に移した。この混合物は、実施例5に記載した0.66μMのPCRプライマー3および0.66μMのPCRプライマー4、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.5mMのMgCl2、10mMのトリス-HCl(pH 8.3)、および50mMのKClを含んでいた。
【0134】
該第一のPCR反応は、90℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、35サイクルに渡り、GeneAmp PCR装置9600サーモサイクラー(CT、ノルウォークのパーキンエルマー社)内でインキュベートした。この第一PCRの後、5μlの各反応混合物を、同一の成分を含むが、0.66μMのPCRプライマー3および0.66μMのPCRプライマー5を、セミ-ネステッドPCRのために使用した、30μlの第二PCR混合物に移した。この第二PCR反応を、該第一PCR反応のプロトコールに従って行った。10μlの該第二PCR反応系を、6%ポリアクリルアミドゲルを介する電気泳動により分析し、エチジウムブロミドで染色した後に、紫外蛍光により可視化した。この第二PCR生成物に関連して、102塩基対のバンドの存在を、正の結果と考えた。全てのテストを2回行い、該サンプルの血清学的状態(抗-HCV正または負)については、ブラインド状態で行った。
【0135】
RT-PCRは、Abe等, International Hepatology Communication, 1994, 2:352に記載された方法に従って行った。簡単に言えば、各検体のRNA懸濁液15μlを鋳型として使用して、HCV RNAおよびβ-アクチンRNAを検出した。該β-アクチンRNAは、細胞性RNAに関する正の内部コントロールとして使用した。RT-PCRに使用した外部プライマーの配列は、HCV RNAに対して、5'-GCGACACTCCACCATAGAT-3'(センス) (SEQ ID NO. 32)および5'-GCTCATGGTGCACGGTCTA-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 33)、およびβ-アクチンRNAに対して、5'-CTTCTACAATGAGCTGCGTGTGGCT-3' (センス) (SEQ ID NO. 34)および5'-CGCTCATTGCCAATGGTGATGACCT-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 35)である。該内部プライマーの配列は、HCV RNAに対して、5'-CTGTGAGGAACTACTGTCT- 3' (センス) (SEQ ID NO. 36)および5'-ACTCGCAAGCACCCTATCA-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 37)、およびβ-アクチンRNAに対して、5'-AAGGCCAACCGCGAGAAGAT-3' (センス) (SEQ ID NO. 38)および5'-TCACGCACGATTTCCCGC-3' (アンチセンス) (SEQ ID NO. 39)である。
【0136】
該第一PCR反応は、50μlの以下のようにして調製された反応バッファーを含む、同一のチューブ内での該逆転写段階と組み合わせた。即ち、20単位のRナーゼ(Rnase)阻害剤(プロメガ社)、100単位のモロニー(Moloney)ネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(ギブコBRL)、100ngの各外部プライマー、200μMの各4種のデオキシヌクレオチド、1単位のTaq DNAポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム)および1.5mMのMgCl2を含む1X Taqバッファーを混合した。該サーモサイクラーを、まず初期逆転写段階として37℃にて50分間該サンプルをインキュベートし、次いで94℃にて1分間、55℃にて1分間および72℃にて2分間からなるサイクルを35回実施した。該第二のPCRのために、該第一PCR生成物5μlを、該第一PCR反応と同様の、該第二群の各内部プライマー、デオキシヌクレオチド、Taq DNAポリメラーゼおよびTaqバッファーを含むが、逆転写酵素およびRナーゼ阻害剤を含まないチューブに添加した。該第二PCR反応は、該第一PCR反応と同様のプロトコールに従って実施したが、初期の37℃における50分間のインキュベーションは省いた。該PCR生成物20μlを、2%アガロースゲルを介する電気泳動によって検査した。HCV RNAおよびβ-アクチンRNAに関する正の結果が、夫々268-塩基対および307-塩基対としての、第二PCR生成物の存在によって示された。
【0137】
LD-PCRおよびRT-PCRの結果を、以下の表2に示す。
【0138】
【表2】
(a) FFPE-ホルマリン固定され、パラフィンに埋設された肝臓組織。
(b) 固定されていない急速冷凍された、対応するFFPE検体の肝臓組織。
(c) 結合-依存性PCRによる、テストしたFFPE検体の正(+)または負(-)の数。
(d) 逆転写PCRによる、テストしたFFPE検体の正(+)または負(-)の数。
(e) 固定されていない凍結組織を用いた、RT-PCRにより確認された検体の数。
(f) 僅かに7例の未固定検体を、確認RT-PCRテストで利用できた。
(g) 僅かに7例の未固定検体を、確認RT-PCRテストで利用できた。
【0139】
22個のFFPE検体のうち13例は、EIAアッセイによりHCV正である患者由来のものであり、またそのうちの9例は、HCV負(表2)のものである。HCV RNAは、LD-PCRによれば、13例の血清学的に正のFFPE検体全てにおいて検出され、一方5例のみが、RT-PCRによれば、正であった。確認のために、7例から得られた未固定の凍結肝臓検体を、RT-PCRによりテストした。これら7例の内、HCV-RNAは、同一検体由来のFFPE組織を使用した場合、LD-PCRによれば、これら7例全てにおいて検出できたが、RT-PCRによれば、HCV RNAは1例においてのみ検出できた。しかし、該凍結組織に関するRT-PCRでは、全ての場合においてHCV-RNAの存在が確認された。β-アクチンmRNAは、全ての対応する検体において検出され、このことはRNAの分解が最小であることを示した。これら結果は、ホルマリン固定、加熱パラフィン埋設法、および3年までの保存中に、該HCV RNAが保存されることを明らかにした。
【0140】
FFPE検体に係るRT-PCRの全体としての感度は、この研究では23.8%(5/21)であったが、El-Batonony等, J. Med. Virol., 1994, 43: 380およびAbe等による以前の研究では、この感度は夫々58.6%および84%であった。これら値における相対的な差異は、これら研究における検体の選択における違い(FFPE組織に関する8例のRT-PCR負および5例の正が、この研究で選択された)によるものであった。これら8例のHCV血清学的に負の肝臓検体の内、HCCを含む7例が、原発性胆汁性肝硬変(PBC)に罹った患者から取り出され、2例が、アルコール性肝硬変に罹った患者から取り出され、2例が、B型肝炎ウイルス(HBV)肝硬変に罹った患者から取り出され、1例が、突発性の肝硬変に罹った患者から取り出され、またHCCを含まない1例は、胆道閉鎖症に罹った子供から取り出された(表3)。該7例のHCC肝臓検体の内、LD-PCRによれば、5例がHCV正であるとされたが、RT-PCRによれば、HCV正は観測されなかった。胆道閉鎖症に罹った患者由来の検体は、これら両PCRテストにおいて、負の状態を維持した。この矛盾を解明するために、これら7例の未固定凍結組織検体について、RT-PCRを実施した。得られた結果を以下の表3に示す。
【0141】
【表3】
(a) 様々な臨床的診断に掛けられた患者由来の肝臓検体:PCB-原発性胆汁性肝硬変、アルコール性-アルコール性肝硬変、HBV-HBsAgに対して正、突発性-突発性肝硬変。
(b) FFPE:ホルマリン固定し、パラフィン埋設処理した肝臓検体。
(c) 未固定:対応するFFPE検体の急速凍結した、未固定の肝臓組織。
(d) LD-PCRまたはRT-PCRにより、HCV RNAについて正であるとされた、FFPE検体の数。
(e) 未固定凍結組織を使用して、RT-PCRにより確認された検体の数。
(g) 僅かに2例の未固定検体が、確認的RT-PCRテストにおいて利用できたに過ぎなかった。
N/D:テスト実施せず:新たな凍結検体を入手できなかった。
【0142】
未固定組織に関するRT-PCRテストの結果は、上記LD-PCRテストの結果を確認しており、このことは、血清学的テストによる誤った負の結果の存在を示している。更に、FFPE検体に関するLD-PCRおよびRT-PCRテスト両者により、負であるとされたPBC検体の一例は、未固定凍結検体に関するRT-PCRでは正であり、このことは、該FFPE検体に関する両PCRテストによる、誤った負の結果の存在を示している。これらの結果は、HCV血清学的負のHCCにおいて、HCV RNAの高い検出率(6/8、75%)が観測され(表3)、またHCV血清学的正および血清学的負のHCC検体両者における、全体として正の割合が、86% (18/21)である(表2)ことを示している。FFPEおよび未固定検体の細断、および該PCRアッセイが、2つの別々の研究室で行われたことから、汚染の可能性は考えられなかった。更に、該検体の調製および適当な負のコントロールを用いたPCRテストの実施には、最善の注意が払われた。FFPE検体に関するLD-PCRと、新鮮な凍結検体に関するRT-PCRとの間の全体としての一致は、極めて高く、またLD-PCRの感度は95% (18/19)である。
【0143】
上記結果は、ホルマリン固定により引き起こされる架橋が、逆転写酵素による新生DNAストランドの鎖伸張を途絶させ、FFPE組織におけるRT-PCRの低い感度をもたらすことを示唆している。これに対して、LD-PCRは、該架橋した鋳型に沿って、プライマー拡張段階を迂回することによって、プローブ配列を増幅する。更に、該増幅プローブは、長さ30-ヌクレオチドの相補領域をもつに過ぎず、その結果架橋されていない領域を、容易に利用する。従って、LD-PCRは、FFPE検体におけるHCV RNAの高い検出感度を達成することができる。このアッセイの感度値は、上記結果により確認されており、これら結果は、血清学的に負の検体においてさえ、HCV RNAの高い検出率を達成することを明らかにしている。
実施例10:環状増幅配列に関するプライマー拡張-置換
本例はで、DNAポリメラーゼのクレノーフラグメントの、下流側ストランド置換能力およびポリマー生成能力を明らかにする。
【0144】
SEQ ID NO. 31をもつホスホリル化された環状化可能なプローブ分子1012個と、合成HCV DNAターゲット分子1013個とを、1X結合バッファー10μl中で混合し、65℃にて2分間加熱し、次いで10分間かけて室温まで冷却することにより、該合成DNAターゲットを検出した。1μlのリガーゼをこの混合物に添加し、37℃にて1時間インキュベートし、次いでSEQ ID NO:27の32P-標識した拡張プライマー(Ext-primer) 分子1013個を添加した。この混合物を、100℃にて5分間加熱し、20分間かけて室温まで冷却した。40μlのクレノー混合物およびdNTPを、この反応系に添加し、37℃にてインキュベートした。10μlのアリコートを、0、1、2および3時間後に取り出して、8%ポリアクリルアミドゲル上で検査した。これら結果を図18に示す。その左側のレーンは、リガーゼのない場合の結果を示す。その右側のレーンは、結合後の拡張を示す。105〜600塩基に渡るバンドは、該右側のレーンにおいて可視化できる。これら結果は、クレノーが、該拡張プライマーから伸張され、かつ該下流側ストランドを置換し、ポリマーを生成することを立証している。
【0145】
実施例11:結合-依存性PCRによる、耳下腺の多形性腺腫における、EBV初期RNA (EBER-1)の検出
環状化プローブを用いるLD-PCRを実施して、良性混合腫(BMT)患者の唾液における、エプスタインバーウイルスの初期RNA (EBER-1) を検出した。BMTおよび隣接する耳下腺組織の6種の検体、および正常な耳下腺組織の3種の検体(嚢胞から取り出した2検体および過形成リンパ節由来の1検体)を、凍結組織検体用の埋設媒体(OCT、IN、エルクハートのマイルズ(Miles, Inc.)社)および液体窒素中で、迅速凍結し、-70℃にて保存した。対応するホルマリン固定し、パラフィンに埋設した(FFPE)組織のブロックを得、新鮮な組織と平衡して検討した。全組織をミクロトーム上で裁断したが、そのブレードは、交叉汚染を回避するために、各場合において10%クロロックスで洗浄した。各検体の2〜3個の切片を、1.5mlの微量遠沈管に入れた。FFPE組織を、1mlのキシレン(シグマ社)と共に60℃にて10分間インキュベートすることにより、これからパラフィンを除去し、該キシレンを引き続き絶乾エタノールで2回洗浄することによって除去した。これら検体を、65℃にて30分間ホットブロック上に置くことによって乾燥させた。パラフィンを除去した組織を、100℃にて30分間、次いで65℃にて30分間、250μlの溶解バッファー中でインキュベートすることによって、該組織を溶解させた。該溶解バッファーは、5Mのグアニジウムチオシアネート(GTC、フルカ社)、0.5%のウシ血清アルブミン(シグマ社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含む。新鮮な凍結組織を、同一の溶解バッファー中で37℃にて60分間インキュベートすることにより溶解した。この溶解した検体を、使用するまで-20℃にて保存した。
【0146】
EBER-1を隣接するように設計された2種の捕獲/増幅プローブを使用して、ターゲットRNAを捕獲した。捕獲プローブ1 (SEQ ID NO:40)および捕獲/増幅プローブ2 (SEQ ID NO:41)に関する配列を、以下の表4に与える。該環状増幅プローブ (SEQ ID NO:42) は、該選択されたターゲット配列に対して相補性の3'および5'領域を持つように設計された。非-相補性リンカー配列が、これら2つの領域間に挿入されている。この環状プローブは、該5'および3'末端が相互に並置されるような方法で、ターゲットハイブリッド化の際に環化される。同様に表4に示された、このリンカー配列を指向するプライマー対を用いて、セミネステッドPCRを行った。
【0147】
【表4】
(下の場合:EBER-1に対して相補的、上の場合:包括的に設計)
【0148】
LD-PCRは以下のように行った。簡単に説明すると、80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー[0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社) (これは、ホスホリル化ターゲットプローブの1010分子および捕獲プローブ1および捕獲プローブ2の1011分子を含む)]に添加した。このハイブリッド化バッファーの添加は、該GnSCN濃度を5Mから2Mに減じ、ハイブリッドを形成させた。この混合物を1時間インキュベートして、ハイブリッドを形成させ、これは該ターゲットRNA上でハイブリッド化された2つのDNA捕獲/増幅プローブと1種のDNA環状増幅プローブとからなっていた。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(プロメガ社)をこの混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドを該ビーズ表面に結合させた。該ビーズを、洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、0.5%のノニデットP-40および1.5mMのMgCl2、および50mMのKCl) 150μlで2回洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブおよび潜在的なPCRの阻害剤(GTC、タンパク質)および非-特異的なPCR生成物の潜在的な源(細胞性の核酸)を除去した。各洗浄中に、該ビーズを、磁気分離スタンド(プロメガ社)上に該アッセイチューブを置くことによって、該チューブ壁に引き付けて、吸引による上澄の除去を可能とした。相互に該ターゲットRNA上で隣接した状態で、直接ハイブリッド化された、該環状増幅プローブの3'および5'末端は、20μlのリガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのジチオスレイトール、1mMのATP、1mMのMnCl2および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガー))と共に37℃にて1時間インキュベートすることによって、共有結合により結合し、結果として環化された。
【0149】
磁性ビーズを含む、10μlの該結合反応混合物を、0.66μMのPCRプライマー、0.5単位のTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.5mMのMg2および10mMのトリス-HCl(pH8.3)および50mMのKClを含有するPCR混合物20μl中に移した。この第一PCR反応系を94℃にて30秒間、55℃にて30秒間および72℃にて1分間、GeneAmp PCR装置9600サーモサイクラー(CT、パーキンエルマー(Perkin Elmer))内で、35サイクルに渡りインキュベートした。この第一PCR反応の後、同一の成分を含むが、セミネステッドPCRのために0.66μMのPCRプライマー1および0.66μMのPCRプライマー2を使用した、第二PCR混合物25μlに、5μlの各反応混合物を移した。該セミネステッドPCRは、増幅の特異性を犠牲にすることなく、シグナル検出感度を高める。この共有結合により環化されたプローブに沿った、PCRプライマーの拡張は、大きな多重単位を含むポリマーの生成(ローリングサークル重合)に導く。事実、モノマー単位まで消化することなしに、このPCRポリマー生成物を、ポリアクリルアミドゲル内で移動させることはできない。10μlの該第二PCR反応系を、50mMのNaCl、100mMのトリス-HCl(pH 7.5)、10mMのMgCl2、0.025%のトライトン(Triton) X-100の存在下で、制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、また6%ポリアクリルアミドゲルを介するゲル電気泳動により分析し、エチジウムブロミドで染色した後に、紫外蛍光により可視化した。90塩基対のバンド(第二PCR生成物)および108塩基対の生成物(第一PCR)の存在は、正の結果であると考えられる。これら結果を表5にまとめた。
【0150】
【表5】
表5:LD-PCRにより検出された、EBV初期RNA(EBER-1)
注:ケース1および2は、多形性腺腫以外の理由から切除された耳下腺組織由来のものであった。ケース3-8は、多形性腺腫を含んでいた。
FFPE:ホルマリンで固定され、パラフィン内に埋設された組織。液体窒素中で迅速凍結された、凍結-組織。
ND:組織が入手できなかったので実施しなかった。
【0151】
要するに、EBER-1配列は、8例の耳下腺サンプル中の6例で検出された。該6例の多形性腺腫研究中の、4例が、EBER-1について正であった。EBERが該腫瘍中に観測されなかった該2例において、配列は、包囲する耳下腺組織内に存在した。対応するホルマリンで固定され、パラフィン内に埋設された組織内のEBER-1配列の検出は、著しく低感度であって、8例の検体中2例のみが正であった。 まとめると、環状プローブを用いた結合依存性PCRに関するこれら結果は、検討された多形性腺腫の大多数に、EBV-関連配列が存在することを立証している。本発明の方法は、Taira等, J. Of Otorhinolaryngol Soc. Jap., 1992, 95: 860によって行われたような、EBV DNA検出に関する標準的なPCRに対して、著しく高い検出率を示す。本発明の方法において、環化可能なプローブの3'および5'末端は、該ターゲット配列とハイブリッドを形成して、並置された状態をもたらした。次いで、これら並置された配列は結合され、結果的に該ターゲット配列上に固定され、かつ厳格な洗浄に対して耐性の、環化され、共有結合によって結合したプローブを与えた。該環状プローブ上でのPCRは、ローリングサークルポリマーを生成し、このポリマーはモノマー単位に消化され、ゲル上で可視化された。環状プローブを用いた、結合依存性PCRの利用、およびこれに続く該ローリングサークルモデルによる、該プローブの増幅は、新鮮な凍結組織におけるターゲットの極めて高い検出感度をもたらした。
【0152】
実施例12:判別ディスプレイRAM
5'捕獲/Amp-プローブおよび3'任意/Amp-プローブを、以下のように設計する。24の異なるデカマー3'任意/Amp-プローブとの組合せで使用される、12種の可能な5'捕獲/Amp-プローブオリゴ(dT)プローブが、哺乳動物細胞内に存在する10,000個のmRNA種をディスプレイするのに十分である(Liang等, Science, 1992, 257: 967-971)。該5'捕獲オリゴ(dT)プローブの3'末端塩基が、選択性の大部分を与えるので、捕獲オリゴ(dT)プローブの数は、12から3に減じることができる(Liang等, Science, 1992, 257: 967-971; Liang等, Nucl. Acid Res., 1994, 22: 5763-5764)。
まず、各々3'末端にヌクレオチドG、AまたはCを含む、3つの別々の5'捕獲/Amp-プローブを合成する。オリゴ(dT)11が、該末端ヌクレオチドに隣接しており、これは捕獲およびアンカー配列両者として機能するはずである。該捕獲/AMP-プローブの該5'領域は、その5'末端にビオチン成分を含む、複数、即ち5-20個の包括的プライマー結合配列を含む。これら複数のプライマー結合配列は、RAM増幅のために設計され、感度を保証する。3種の捕獲/アンカープローブを用いた初期テストが、良好な判別ディスプレイを与えない場合には、4-12個の別の捕獲/アンカープローブを、最後の2つのヌクレオチド(T12MN、M=縮重A、GまたはC;N=A、C、GおよびT)の組合せに基いて合成できる。
【0153】
長さ10ヌクレオチドをもつ3'任意/Amp-プローブは、mRNAとハイブリッドを形成し、配列決定ゲルにより分析するのに十分なディスプレイバンドを生成する。しかし、長さ10ヌクレオチドをもつプローブが何れも適当であるという訳ではない。従って、プローブは、実験的にテストすべきである(Bauer, Nucl. Acid Res., 1993, 21: 4272-4280)。殆どのmRNA種をディスプレイするのに必要な実際の3'任意/Amp-プローブの数は、24〜26個の異なるプローブである。従って、初めに24個の3'任意/Amp-プローブを別々に合成する。各3'任意/Amp-プローブは、例えば長さ10ヌクレオチドをもつ5'任意配列および長さ70-130ヌクレオチドであり得る、3'RAMプライマー結合配列を含む。各3'任意/Amp-プローブの5'末端は、結合を起こさせるために、T4 DNAキナーゼと共にインキュベートすることによって、ホスホリル化される。これら3'任意/Amp-プローブは、等モル比で、最終濃度が1011分子/μlとなるように混合される。各3'任意/Amp-プローブの濃度は、最良の判別ディスプレイを達成するように変えることができる。
【0154】
該DD-RAMアッセイは、僅かに変更を加えて、上記のように実施する(Zhang等, Gene, 1998, 211: 277-285; Park, Amer. J. Path., 1996, 149: 1485-1491)。組織切片(厚み5-10μm)または細胞懸濁液(1×106 細胞/ml)を、5Mのグアニジウムチオシアネート(GTC;フルカ社)、0.5%のウシ血清アルブミン(MO、セントルイスのシグマケミカル社)、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン(シグマ社)を含有する溶解バッファー250μl中で、37℃にて60分間インキュベートすることにより溶解させる。80μlの溶解混合物を、120μlのハイブリッド化バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、80mMのEDTA、400mMのトリス-HCl(pH 7.5)、および0.5%のNa-N-ラウロイルザルコシン)に添加する。このバッファーは、各捕獲/アンカープローブ1012 分子およびホスホリル化された任意配列のプローブ1011 分子を含む。ハイブリッド化バッファーの添加は、該GTC濃度を5Mから2Mに低下し、結果的にハイブリッド形成を可能とする。このハイブリッド化混合物を、37℃にて1時間インキュベートして、ハイブリッドの形成を可能とする。このハイブリッドは、そのmRNAターゲットと結合した、5'捕獲/Amp-プローブおよび3'任意/Amp-プローブを含む。30μlのストレプタビジン-被覆常磁性ビーズ(1mg/ml、WI、マディソンのプロメガ社)を、この混合物に添加し、37℃にて20分間インキュベートして、該ハイブリッドを該ビーズ表面に結合させる。次いで、該ビーズを、180μlの洗浄バッファー(10mMのトリス-HCl(pH 7.5)、50mMのKCl、および1.5mMのMgCl2、並びに0.5%のノニデットP-40(シグマ社))で2回洗浄して、ハイブリッド化されなかったプローブ並びにGTC、タンパク質、核酸、およびあらゆる可能な結合並びにRAM阻害物質を除去する。
【0155】
次いで、これらハイブリッドを、20μlのRT/リガーゼ溶液(66mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのジチオスレイトール、1nMのATP、0.2mMのdTAP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1mMのMnCl2、5mMのMgCl2、および200単位のモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(ベーリンガーマンハイム)および5単位のT4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム)) (Hsuih, 1996)に再懸濁し、37℃にて1時間インキュベートして、該5'捕獲/Amp-プローブから3'下流側任意配列プローブまで拡張する。該任意配列と拡張された配列との間のギャップを結合して、上記のようにRAMアッセイによって増幅できる、共有結合によって結合した環状プローブを形成する。次に、10μlの該RT/結合反応混合物(ビーズを含む)を、0.66μMのRAM前進プライマーおよび0.66μMのRAM逆プライマー、90ngのφ29 DNAポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム)、80μMの32P-dATP、80μMのdCTP、80μMのdGTP、80μMのdTTP、5mMのMgCl2、および66mMのトリス-HCl(pH7.5)を含む、RAM混合物40μlに移す。このRAM反応系を、35℃にて2時間インキュベートする。感度が、希有なmRNAをディスプレイするのに不十分である場合、該第一RAM反応混合物5μlを、該第二RAM反応用の成分と同一の成分を含む第二RAM混合物25μlに移す。この反応系15μlを、6%ポリアクリルアミドゲルを介して電気泳動させることにより分析し、オートラジオグラフにより可視化する。
【0156】
実施例13:多数のプライマーを用いたRAMアッセイ
多数のRAMプライマーの添加が、該RAM反応の効率を増大し得るか否かをテストするために、EBER Amp-プローブ-2および3種のRAMプライマーを用いて、反応を行った。合成EBER DNAターゲット分子1011個を、1011個のEBER Amp-プローブ-2分子とハイブリッド化した。結合に続き、1種のRAM前進プライマーおよび2種のRAMプライマー(1種の前進プライマーと1種の逆プライマー)または3種のRAMプライマー(1種の前進プライマーと2種の逆プライマー)を、φ29 DNAポリメラーゼと共に各反応に添加した。
これら反応の生成物を、8%ポリアクリルアミドゲル上で検査した。これらの結果は、一つのプライマーを用いた場合、マルチマーssDNAが生成され、またこれら生成物のサブセットが大き過ぎて、該ゲルに入り得ないことを示した。生成物の量は、使用するプライマーの数の増加に伴って増大する(図21参照:2プライマー:レーンB;3プライマー:レーンC)が、指数的な増幅は観測されなかった。ターゲットの不在下において、生成物は観測されなかった(レーンD)。このことは、この反応が特異的であることを示す。
【0157】
この反応の効率を高めるために、プライマーの数を、3から6に増やし、またこれらプライマーの長さを、18ヌクレオチドから12ヌクレオチドに減らした。このプライマーの長さの短縮は、鋳型に対する該プライマーの利用性が増し、一方で該プライマー数の増大は、該反応の平衡位置をハイブリダイゼーション側に偏らせる。
RAM反応に、6mMの(NH4)2SO4、10%のDMSOおよび0.5μgのジーン(Gene) 32タンパクを添加することによって、条件の更なる最適化が可能である。このような条件の下で、EBERターゲット104分子を検出できる(図23)。
生成したDNAの量(104分子の初期Amp-プローブ-2から、1013分子のDNAが生成される)によって判断すると、十億-倍の増幅が達成された。プライマーの長さの縮小は、非-特異的なバックグラウンドを増大しなかったことは、注目する価値がある。
【0158】
2つの追加のプローブAmp-プローブ-2は、6種のプライマーの存在下での該反応の効率をテストするように工夫された。1種のAmp-プローブ-2は、3つの前進-プライマー結合サイトおよび3つの逆プライマー結合サイトを含み、各プライマーが対向するプライマーと隔置されるように合成した。この第二Amp-プローブ-2は、6個のプライマー結合サイトを含むように設計されるが、僅かに2つのプライマー配列(一つの前進および一つの逆)のみを含んでいた。この特別なプライマー設計は、ハイブリッド化の割合を高め、しかもAmp-プローブ-2と結合したプライマー間の妨害を最小化するという2つの利点をもつ。
種々の刊行物がここに引用されており、その内容全体を、本発明の参考とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ターゲット核酸の捕獲、結合依存性増幅および検出するための本発明の方法で使用する様々な成分を示す、包括的、模式的図である。
【図2】
本発明の方法の様々な段階を一般的に示す、模式的な流れ図である。
【図3】
HIV-1 RNAを検出するPCR増幅プローブの、検出を示すオートラジオグラフである。レーンAは、本発明による結合増幅配列であり、レーンBはコントロールであり、HIV-1-特異的配列を全く含まない、PCR増幅されたナノ変異DNAである。
【図4】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAの捕獲および結合-依存性検出で使用する種々の成分、および結合したビオチン部分を含む、2つの捕獲/増幅プローブおよび2つの結合依存性増幅プローブを使用する、後におけるその配列の増幅を示す、本発明の一態様の模式的な図である。
【図5】
単一の捕獲/増幅プローブおよび2つの増幅プローブを用いる、HCV RNA検出用の、磁気分離、ターゲット特異的結合およびPCR増幅を示す、模式的な流れ図である。
【図6】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAを増幅し、検出するのに使用する様々な成分を示す模式的な図であり、この検出では各々結合したビオチン部分を含む2つの捕獲/増幅プローブおよび単一の増幅プローブを使用する。
【図7】
ターゲット核酸、例えばHCV RNAを検出するのに使用する様々な成分を示す模式的な図であり、この検出では各々結合したビオチン部分を含む2つの捕獲/増幅プローブおよび該ターゲット核酸とハイブリッド形成し、また遊離末端の結合の際に環化する、単一の増幅プローブを使用する。
【図8】
サンプル中のHCV RNAを検出するのに使用する、PCR増幅されたプローブを示す、エチジウムブロミドで染色されたDNAの写真である。該サンプル中のHCV RNAの量は、サンプルのバンド密度と、HCV転写物の標準的連続希釈物のバンド密度とを比較することにより決定される。
【図9】
サンプル中のHCV RNAを検出するのに使用する、PCR増幅された単一の、完全な長さの、結合-依存性および環化可能なプローブを示す、エチジウムブロミドで染色されたDNAの写真である。該サンプル中のHCV RNAの量は、サンプルのバンド密度と、HCV転写物の標準的連続希釈物のバンド密度とを比較することにより決定される。
【図10】
ハイブリッド化シグナル増幅法(HSAM)による、ターゲット核酸の捕獲並びに検出を示す模式的な図である。
【図11】
ビオチン処理した抗体およびビオチン処理したシグナルプローブを用いた、抗原の検出のための、HSAMの使用を例示する模式的な図である。
【図12】
ホルマリン固定において形成されたRNA-タンパク質架橋を例示する模式的な図である。Aは逆転写PCR(RT-PCR)法における、架橋によるプライマー拡張の防止を示す。Bは、本発明のプローブのハイブリッド化および結合が、タンパク質-RNA架橋によって阻害されないことを示す。
【図13】
多重PCRを示す模式的な図である。夫々HIV-1およびHCVに対する特異性を持つ、二組の捕獲/増幅プローブを、ターゲット捕獲のために使用するが、一対のみの包括的PCRプライマーを用いて、結合されたプローブを増幅する。各ターゲットの存在は、該増幅された生成物のサイズにより、あるいは酵素-結合イムノソルベントアッセイによって決定できる。
【図14】
環状ターゲットプローブおよび3つの環状シグナルプローブを用いるHSAMの模式的な図である。AB、CDおよびEFはリンカー領域におけるヌクレオチド配列を示し、該配列は、環状シグナルプローブの3'および5'ヌクレオチド配列と相補的である。AB'、CD'およびEF'は、該シグナルプローブの3'および5'ヌクレオチド配列を示し、これら配列は、もう一つの環状シグナルプローブのリンカー領域に係る相補配列と結合することによって、並置状態に置かれる。
【図15】
環状ターゲットプローブおよび線状シグナルプローブを用いる、HSAMの模式的な図である。
【図16】
プライマー-拡張/置換およびPCRによる、環化されたプローブの増幅を示す模式的な図である。
【図17】
RAMの一態様を示す模式的な図であり、この態様では、T3プロモータが、転写によって該環状プローブの増幅を可能とする、拡張-プライマー2に組み込まれている。
【図18】
拡張-プライマー1の拡張による環状プローブの増幅を示す、ポリアクリルアミドゲルを与える。
【図19】
分岐-拡張増幅法(RAM)による、環化されたプローブの増幅にかかわる模式図である。
【図20】
RAMアッセイの図であり、ここでRNAポリメラーゼプロモータ配列は、該プライマーに組み込まれている。
【図21】
1、2および3個のプライマーの存在下におけるRAMアッセイを示す。
【図22】
ターゲットDNAの連続的希釈によるRAMアッセイを示す模式図である。
【図23】
増大された長さを持つターゲット配列が増幅される、RAMアッセイを示す図である。
【図24】
環状プローブを用いる、固体担体上でのターゲット核酸の捕獲を示す図である。
【図25】
抗体または抗原と特異的に結合する捕獲/プライマーを使用した、抗体または抗原の検出を示す図である。
【図26】
アダプタ分子を用いる、ゲノムDNAの遺伝的増幅を示す。
Claims (30)
- DNAの一般的な増幅方法であって、
(a) 制限エンドヌクレアーゼでDNAサンプルを消化して、フラグメント化DNAを得、
(b) 二本鎖Amp-プローブを、該フラグメント化DNAの各端部に連結し、ここで該Amp-プローブは、該フラグメント化DNAを増幅するための多重プライマーサイトを含み、
(c) 該フラグメント化DNAから、過剰の未結合Amp-プローブを分離し、
(d) 該フラグメント化DNAを変性し、
(e) 該フラグメント化DNAと、該Amp-プローブの一部に対して相補的であり、かつこれとハイブリッド化可能な多数の前進RAMプライマー、および該多数の前進RAMプライマーが相補的である該Amp-プローブの上記部分と重複することのない、該Amp-プローブの一部に対して相補的であり、かつこれとハイブリッド化可能な多数の逆プライマー、dNTP、およびストランド置換活性を示すDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させて、該フラグメント化DNAを増幅し、ここで該条件とは、該DNAフラグメントの端部にまで該前進RAMプライマーが伸び、各端部に繰り返し単位を持つ多数の一本鎖DNAを形成し、かつ該逆RAMプライマーの多数のコピーが、Amp-プローブ領域において、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼによって拡張されて、拡張生成物を与え、また該RAMプライマーの該拡張生成物は、該RAMプライマーの下流側のコピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖に該Amp-プローブ配列の多数のコピーが結合して、該DNAポリメラーゼによって伸張されるような条件であり、および
(f) 該増幅を、変動する長さをもつ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが製造されるまで継続することを特徴とする、上記DNAの増幅法。 - 該Amp-プローブが、多数のプライマー結合サイトを含む、請求項1記載の方法。
- 該DNAポリメラーゼが、φ29 DNAポリメラーゼまたはBst DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
- 該消化並びに結合をゲルマトリックス内で行う、請求項1記載の方法。
- mRNAの一般的な増幅方法であって、
(a) 捕獲/Amp-プローブの、mRNAの3'ポリ-A配列とのハイブリッド化、ここで該捕獲/Amp-プローブは、多数のRAMプライマーサイトを含み、
(b) 該mRNAの逆転写による相補的DNAストランドの生成、
(c) 該一本鎖相補DNAの、二本鎖cDNAへの転化、
(d) 二本鎖AMP-プローブと、該二本鎖cDNAの末端との結合、ここで該二本鎖AMP-プローブは、該二本鎖cDNAフラグメントを増幅するための、多数のプライマーサイトを含み、
(e) 該二本鎖cDNAの変性、
(f) 該DNAを、該二本鎖Amp-プローブの一部に対して相補的であり、かつこれとハイブリッド化可能な第一前進RAMプライマー、および該Amp-プローブの一部に対して相補的であり、かつこれとハイブリッド化可能な逆プライマー、dNTP、およびストランド置換活性を示すDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させて、該二本鎖cDNAを増幅し、ここで該条件とは、該cDNAの該AMP-プローブ端部まで該前進RAMプライマーが伸び、繰り返し単位を持つAMP-プローブおよび一本鎖DNAを形成し、かつ該逆RAMプライマーの多数のコピーが、該一本鎖DNA およびAMP-プローブの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼによって拡張されて、拡張生成物を与え、また該RAMプライマーの該拡張生成物は、該RAMプライマーの下流側のコピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖に該RAMプライマーの多数のコピーが結合して、該DNAポリメラーゼによって伸張されるような条件であり、および
(i) 該増幅を、変動する長さをもつ、増幅された二本鎖cDNAの多数のコピーが製造されるまで継続することを特徴とする、上記DNAの増幅法。 - 該AMP-プローブが、多数のRAMプライマー結合サイトを含む、請求項5記載の方法。
- ターゲット核酸の検出方法であって、
(a) 反応容器内のサンプル中の該核酸を、核酸の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、リガンド結合部分で被覆された支持マトリックスの存在下で、オリゴヌクレオチドプローブと接触させ、該オリゴヌクレオチドプローブは、1またはそれ以上の捕獲/AMP-プローブを含み、その各々は、該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列と相補的でも、またハイブリッド化可能でもない3'ヌクレオチド配列および該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列と相補的かつハイブリッド化可能な5'ヌクレオチド配列、または該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列と相補的でも、またハイブリッド化可能でもない5'ヌクレオチド配列および該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列と相補的かつハイブリッド化可能な3'ヌクレオチド配列を有し、各捕獲/Amp-プローブ-2は、更に該プローブの非-相補的配列と結合したリガンドを持ち、ここで該リガンドは、該支持マトリックス上に被覆された該リガンド結合部分と結合して、アフィニティー対を形成し、該オリゴヌクレオチドプローブは、更に該ターゲット核酸内の隣接するが連続してはいない配列と相補的な3'および5'領域を持つAMP-プローブ-2を含み、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列と相補的でも、またハイブリッド化可能でもないリンカー領域により分離されており、結果として複合体が形成され、該複合体は該ターゲット核酸、AMP-プローブ-2、捕獲/Amp-プローブおよび支持マトリックスを含み、ここで該捕獲/Amp-プローブは、該ターゲット核酸内の該相補的ヌクレオチド配列とハイブリッド化され、かつ該捕獲/Amp-プローブ上のリガンドと該支持マトリックス上の該リガンド結合部分との結合を通して、該支持マトリックスと結合し、また該Amp-プローブ-2は、その3'および5'末端において、該ターゲット核酸内の隣接するが連続してはいない配列と結合しており、該複合体を未結合の反応物から分離し、かつ該複合体を洗浄し、
(b) 該Amp-プローブ-2の3'および5'末端を、環状のAmp-プローブ-2を生成するように、核酸配列を接合する連結剤で結合し、
(c) 該複合体と、該Amp-プローブ-2のリンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよび該前進RAMプライマーが重複することのない、該リンカー領域の部分と重複しない、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部と実質的に同一の、逆RAMプライマー、dNTP、およびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることによって、該環状Amp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状増幅プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ、一本鎖DNAを形成し、また該付随的なRAMプライマーの多数のコピーが、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼにより伸張されて、拡張生成物を与え、更に該付随的なRAMプライマーの該拡張生成物が、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖は、該前進RAMプライマーの多数のコピーと結合し、かつ該DNAポリメラーゼにより拡張されるようなものであり、(d) この増幅を、変動する長さを持つ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成するまで継続し、および
(e) 該増幅されたDNAを検出し、ここでその検出が、該臨床サンプル中における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 該リガンドが、ビオチン、抗原、ハプテン、抗体、重金属誘導体、およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項7記載の方法。
- 該リガンド結合部分が、ストレプタビジン、アビジン、抗体、抗原、チオ基およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項7記載の方法。
- ターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 反応容器内のサンプル中の該核酸を、核酸の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、オリゴヌクレオチドプローブと接触させ、該オリゴヌクレオチドプローブは、更に該ターゲット核酸中の隣接するが連続ではない配列に対して相補的である、3'および5'領域を含むAmp-プローブ-2をも含み、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中の核酸配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域によって分離されており、
(b) 該Amp-プローブ-2の3'および5'末端と、環状のAmp-プローブ-2が生成されるように、核酸配列を接合する結合剤とを結合し、
(c) 該複合体と、該Amp-プローブ-2のリンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよび該前進RAMプライマーが重複することのない、該リンカー領域の部分と重複しない、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部と実質的に同一の、逆RAMプライマー、dNTP、およびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることによって、該環状Amp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状増幅プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ、一本鎖DNAを形成し、また該付随的なRAMプライマーの多数のコピーが、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼにより伸張されて、拡張生成物を与え、更に該付随的なRAMプライマーの該拡張生成物が、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖は、該前進RAMプライマーの多数のコピーと結合し、かつ該DNAポリメラーゼにより拡張されるようなものであり、
(d) この増幅を、変動する長さを持つ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成するまで継続し、および
(e) 該増幅されたDNAを検出し、ここでその検出が、該臨床的サンプル中における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 付随的プライマーの数が、少なくとも2つである、請求項7または10記載の方法。
- 細胞内のターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在を分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸中の隣接するが連続ではない配列に対して相補的である、3'および5'領域を含むAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中の核酸配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域によって分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸と環状のプローブとを含む複合体を生成するように、リガンドによって標識されており、
(c) 該環式化可能なAmp-プローブ-2の該3'および5'末端と、環式プローブが生成するように核酸配列を接合する結合剤と結合させ、
(d) 該リガンドおよび該リガンドにより内部標識されるオリゴヌクレオチドシグナルプローブと結合し、かつこれらとアフィニティー対を形成する、リガンド結合部分を添加し、これにより該リガンド結合部分を、該Amp-プローブ-2上のリガンドおよび該オリゴヌクレオチドシグナルプローブ上のリガンドと結合させて、標識された複合体を生成し、
(e) 該標識された複合体を洗浄し、および
(f) 該標識された複合体を検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 該リガンドが、ビオチン、抗原、ハプテン、抗体、重金属誘導体、およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
- 該リガンド結合部分が、ストレプタビジン、アビジン、抗体、抗原、チオ基およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
- 細胞内のターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在を分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸中の配列と相補的であるが連続ではない、3'および5'領域を含むAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中の核酸配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域によって分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸と環状化可能なプローブとを含む複合体を生成するように、リガンドによって標識されており、
(c) DNAポリメラーゼを添加して、該3'および5'領域間の領域を拡張し、
(d) 該拡張された配列の3'末端と、該Amp-プローブ-2の5'末端とを、環状Amp-プローブ-2を生成するように核酸配列を接合する結合剤で結合し、
(e) 該リガンドおよび該リガンドにより内部標識されるオリゴヌクレオチドシグナルプローブと結合し、かつこれらとアフィニティー対を形成する、リガンド結合部分を添加し、これにより該リガンド結合部分を、該Amp-プローブ-2上のリガンドおよび該オリゴヌクレオチドシグナルプローブ上のリガンドと結合させて、標識された複合体を生成し、
(f) 該標識された複合体を洗浄し、および
(g) 該標識された複合体を検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 該リガンドが、ビオチン、抗原、ハプテン、抗体、重金属誘導体、およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
- 該リガンド結合部分が、ストレプタビジン、アビジン、抗体、抗原、チオ基およびポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
- 細胞内のターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在を分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸中の配列と相補的であるが連続ではない、3'および5'領域を含むAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中の核酸配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域によって分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸およびAmp-プローブ-2を含む複合体を生成するように、少なくとも一対の隣接ヌクレオチド配列を含み、該Amp-プローブ-2は、該ターゲット核酸中の非-連続配列と、3'および5'末端において結合しており、
(c) 該Amp-プローブ-2の該3'および5'末端を、環状のAmp-プローブ-2を形成するように核酸配列を接合する結合剤で結合し、
(d) 該複合体を、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよび該第一の拡張プローブと相補的な、該リンカー領域の部分とは重複しない、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部と実質的に同一の逆RAMプライマー、dNTPおよびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることにより、該環状のAmp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ一本鎖DNAを形成し、また該逆RAMプライマーの多数のコピーが、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼにより伸張されて、拡張生成物を与え、更に該逆RAMプライマーの該拡張生成物が、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖は、該前進RAMプライマーの多数のコピーと結合し、かつ該DNAポリメラーゼにより拡張されるようなものであり、
(e) この増幅を、変動する長さを持つ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成するまで継続し、および
(f) 該増幅されたDNAを検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 細胞内のターゲット核酸をその場で検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在につき分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸内の隣接するが連続ではない配列と相補的な3'および5'領域を持つAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域により分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸とAmp-プローブ-2とを含む複合体を形成するように、少なくとも一対の隣接ヌクレオチド配列を含み、該Amp-プローブ-2は、その3'および5'末端において該ターゲット核酸内の隣接するが連続ではない配列と結合しており、
(c) 該Amp-プローブ-2の該3'および5'末端を、環状のAmp-プローブ-2を形成するように核酸配列を接合する結合剤で結合し、
(d) 該複合体を、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよびdNTP、並びにストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることにより、該環状のAmp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ一本鎖DNAを形成するようなものであり、
(e) 該一本鎖DNAを検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 細胞内のターゲット核酸をその場で検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在につき分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸内の不連続な配列と相補的な3'および5'領域を持つAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域により分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸とAmp-プローブ-2とを含む複合体を形成するように、少なくとも一対の隣接ヌクレオチド配列を含み、該Amp-プローブ-2は、その3'および5'末端において該ターゲット核酸内の不連続な配列と結合しており、
(c) DNAポリメラーゼを添加して、該プローブの該5'および3'末端間の領域を拡張し、
(d) 該拡張配列の3'と、該Amp-プローブ-2の5'末端とを、環状配列が形成されるようにヌクレオチド配列を接合する結合剤により結合し、
(e) 該複合体を、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよび該第一の拡張プローブと相補的な、該リンカー領域の部分とは重複しない、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部と実質的に同一の逆RAMプライマー、dNTPおよびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることにより、該環状のAmp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ一本鎖DNAを形成し、また該逆RAMプライマーの多数のコピーが、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、また該DNAポリメラーゼにより伸張されて、拡張生成物を与え、更に該逆RAMプライマーの該拡張生成物が、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張生成物と入れ替わり、置換された一本鎖を与え、該一本鎖は、該前進RAMプライマーの多数のコピーと結合し、かつ該DNAポリメラーゼにより拡張されるようなものであり、
(f) この増幅を、変動する長さを持つ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成するまで継続し、および
(g) 該増幅されたDNAを検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 細胞内のターゲット核酸をその場で検出する方法であって、
(a) 該ターゲット核酸の存在につき分析すべき該細胞を、マトリックス内に埋設し、
(b) 該ターゲット核酸内の隣接かつ不連続な配列と相補的な3'および5'領域を持つAmp-プローブ-2を添加し、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸内のヌクレオチド配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもないリンカー領域により分離されており、該リンカー領域は、該ターゲット核酸とAmp-プローブ-2とを含む複合体を形成するように、少なくとも一対の隣接ヌクレオチド配列を含み、該Amp-プローブ-2は、その3'および5'末端において、該ターゲット核酸内の隣接かつ不連続な配列と結合しており、
(c) DNAポリメラーゼを添加して、該プローブの該5'および3'末端間の領域を拡張し、
(d) 該Amp-プローブ-2の3'および5'末端を、環状Amp-プローブ-2が形成されるようにヌクレオチド配列を接合する結合剤により結合し、
(e) 該複合体を、該Amp-プローブ-2の該リンカー領域の一部に対して相補的かつハイブリッド化可能な前進RAMプライマーおよびdNTP、並びにストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼとを、ある条件下で接触させることにより、該環状のAmp-プローブ-2を増幅し、ここで該条件とは、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り該環の回りに伸びて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ一本鎖DNAを形成するようなものであり、および
(f) 該一本鎖DNAを検出し、ここでその検出が、該埋設された細胞における、該ターゲット核酸の存在を意味することを特徴とする、上記方法。 - 判別mRNA発現を検出する方法であって、
(a) 5'捕獲/Amp-プローブ-1および3'任意/Amp-プローブ-2を、mRNAサンプルとハイブリッド化し、ここで該5'捕獲/Amp-プローブ-1は、mRNAと相補的かつハイブリッド化可能な、3'オリゴ(dT)配列、該mRNAの5'末端と結合できる5'任意配列および該ターゲット核酸内の配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもない、リンカー領域を含み、また一般的なRAMプライマー結合配列を含み、
(b) 逆転写酵素を添加して、該Amp-プローブ-1の3'末端から、該Amp-プローブ-2の5'末端まで伸びているcDNAを形成し、
(c) 該5'任意配列を該拡張されたcDNAの3'末端に結合し、
(d) 該cDNAのRAM増幅用の、前進RAMプライマーおよび逆RAMプライマーを添加し、
(e) 該増幅されたcDNAを分析することを特徴とする、上記方法。 - 判別mRNA発現を検出する方法であって、
(a) Amp-プローブ-2とmRNAサンプルとをハイブリッド化し、ここで該Amp-プローブ-2は、3'オリゴ(dT)配列、該mRNAの5'末端と結合できる5'任意配列および該ターゲット核酸内の配列に対して相補的でもハイブリッド化可能でもない、リンカー領域を含み、また一般的なRAMプライマー結合配列を含み、
(b) 逆転写酵素を添加して、該Amp-プローブ-2の3'末端から、該Amp-プローブ-2の5'末端まで伸びているcDNAを形成し、
(e) 該Amp-プローブ-2の5'末端を、拡張されたcDNAの3'末端に結合し、
(f) 前進RAMプライマーおよびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼをある条件下で添加し、該条件が、該前進RAMプライマーが、多重回転に渡り伸びて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ一本鎖DNAを形成するようなものであり、および
(g) 該一本鎖DNAを検出する、ことを特徴とする、上記方法。 - Amp-プローブを添加する前に、以下の諸工程によって、細胞内で発現される最も豊富なmRNAを除去する、請求項22および23記載の方法:
(a) 細胞内で発現される最も豊富な該mRNAと、該mRNAサンプルとをハイブリッド化するように設計されたプライマーを添加し、および
(b) 該mRNAサンプルを、RNA-DNAデュプレックスを開裂するRNA特異的酵素と共にインキュベートする工程。 - 該酵素が、RNアーゼHである、請求項24記載の方法。
- サンプル中のターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 核酸内の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、該サンプル中の該核酸と、オリゴヌクレオチドプローブとを、リガンド結合部分で被覆した固体担体の存在下で接触させ、ここで該オリゴヌクレオチドプローブの一つは、該ターゲット核酸中の隣接するが不連続の配列に対して相補的な3'および5'領域を持つAmp-プローブ-2を含み、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中のヌクレオチド配列と相補的でもハイブリッド化可能でもない、リンカー領域によって分離されているが、捕獲/Amp-プローブ-1とハイブリッドを形成して複合体を形成することができ、該複合体は、該ターゲット、環状化可能なAmp-プローブ-2および捕獲/Amp-プローブ-1を含み、この捕獲/Amp-プローブ-1は、該プローブの5'配列に結合したリガンド、該プローブの5'リガンドから分離されている該プローブと結合した第二のリガンドおよび該環状化可能なAmp-プローブ-2内のヌクレオチド配列と相補的かつハイブリッド形成可能な3'プライマー配列を含み、該リガンドは、該担体上に塗布された該リガンド結合部分と結合し、かつアフィニティー対を形成することができ、
(b) 該複合体を、未結合の試薬から分離し、かつ該複合体を洗浄し、
(c) 該環状化可能なAmp-プローブ-2の3'および5'末端を、環状の増幅プローブを形成するようにヌクレオチド配列を結合する結合剤で結合し、
(d) RAMプライマー、dNTP、およびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼを、所定条件下で添加して、該環状Amp-プローブ-2を増幅し、該捕獲/Ampプローブの該3'プライマー配列を、多重回転に渡り該環の回りに伸ばして、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を含む、一本鎖DNAを形成し、該逆RAMプライマーの多数のコピーを、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、かつ該DNAポリメラーゼによって拡張させて、拡張生成物を形成し、しかも該逆RAMプライマーの該拡張生成物を、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張性生物と入れ替えて、置換された一本鎖を形成し、該前進プライマーの多数のコピーが該一本鎖と結合し、また該DNAポリメラーゼによって拡張され、
(f) 該増幅を、変動する長さを持つ、増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成されるまで継続し、および
(g) 該増幅されたDNAを検出し、ここで該DNAの検出が、該臨床的サンプルにおける該ターポリマー核酸の存在を示すことを特徴とする、上記方法。 - サンプル中のターゲット核酸を検出する方法であって、
(a) 核酸内の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、該サンプル中の該核酸と、オリゴヌクレオチドプローブとを、リガンド結合部分で被覆した固体担体の存在下で接触させ、ここで該オリゴヌクレオチドプローブの一つは、該ターゲット核酸中の隣接するが不連続の配列に対して相補的な3'および5'領域を持つAmp-プローブ-2を含み、該3'および5'領域は、該ターゲット核酸中のヌクレオチド配列と相補的でもハイブリッド化可能でもない、リンカー領域によって分離されているが、捕獲/Amp-プローブ-1とハイブリッドを形成して複合体を形成を形成し、該複合体は、該ターゲット、環状化可能なAmp-プローブ-2および捕獲/Amp-プローブ-1を含み、この捕獲/Amp-プローブ-1は、該プローブの5'配列に結合したリガンド、該プローブの5'リガンドから分離されている該プローブと結合した第二のリガンドおよび該環状化可能なAmp-プローブ-2内のヌクレオチド配列と相補的かつハイブリッド形成可能な3'プライマー配列を含み、該リガンドは、該担体上に塗布された該リガンド結合部分と結合し、かつアフィニティー対を形成することができ、
(b) 該複合体を、未結合の反応試薬から分離し、かつ該複合体を洗浄し、
(c) 該環状化可能なAmp-プローブ-2の3'および5'末端を、環状の増幅プローブを形成するようにヌクレオチド配列を結合する結合剤で結合し、
(d) ストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼを所定の条件下で添加して、該捕獲/Amp-プローブ-1の3'末端を、多重回転に渡り伸張させて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を含む一本鎖DNAを形成し、および
(e) 該一本鎖DNAを検出し、ここで該一本鎖DNAの検出が、該ターゲット核酸の存在を示すことを特徴とする、上記方法。 - 該固体担体が、ガラススライド、マイクロタイタープレート、抗体、タンパクまたは磁性ビーズである、請求項26または27記載の方法。
- ターゲット核酸配列の増幅方法であって、
(a) 該核酸内の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、該サンプル中の該核酸と、該ターゲット核酸内の不連続配列に対して相補的な3'および5'領域を含む、環状化可能なAmp-プローブ-2とを接触させ、ここで該3'および5'領域は該増幅すべきターゲット配列により分離されており、
(b) 該環状化可能なAmp-プローブ-2の該3'末端から該Amp-プローブ-2の5'末端まで伸びているDNAポリメラーゼを添加し、
(c) 該拡張配列の3'末端と、該Amp-プローブ-2の5'末端とを、環状Amp-プローブ-2が形成されるようにヌクレオチド配列を接合する結合剤で結合し、
(d) 前進RAMプライマー、dNTP、およびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼを、所定の条件下で添加することによって、該環状増幅プローブを増幅し、該前進RAMプライマーを多重回転により該環の周りに伸張させて、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ、一本鎖DNAを形成し、また該逆RAMプライマーの多数のコピーを、該一本鎖DNAの相補領域とハイブリッド化し、かつ該DNAポリメラーゼによって拡張し、拡張生成物を形成し、しかも該逆RAMプライマーの該拡張生成物を、該逆RAMプライマーの下流側コピーおよび対応する拡張生成物と置換えて、置換された一本鎖を与え、該一本鎖と該前進RAMプライマーの多数のコピーと結合し、かつ該DNAポリメラーゼで拡張させ、
(e) 該増幅を、変動する長さを持つ増幅された二本鎖DNAの多数のコピーが生成されるまで継続し、および
(f) 該増幅されたDNAを検出し、ここで該DNAの検出が、該臨床的サンプルにおける該ターゲット核酸の存在を示すことを特徴とする、上記方法。 - ターゲット核酸配列の増幅方法であって、
(a) 該核酸内の相補配列間でのハイブリッド化を可能とする条件下で、該サンプル中の該核酸と、該ターゲット核酸内の不連続配列に対して相補的な3'および5'領域を含む、環状化可能なAmp-プローブ-2とを接触させ、ここで該3'および5'領域は該増幅すべきターゲット配列により分離されており、
(b) 該環状化可能なAmp-プローブ-2の該3'末端から該Amp-プローブ-2の5'末端まで伸びているDNAポリメラーゼを添加し、
(c) 該拡張配列の3'末端と、該Amp-プローブ-2の5'末端とを、環状Amp-プローブ-2が形成されるようにヌクレオチド配列を接合する結合剤で結合し、
(d) 前進RAMプライマーおよびストランド置換活性を持つDNAポリメラーゼを、所定の条件下で添加し、該前進RAMプライマーを多重回転に渡り伸張させ、該環状プローブの配列に対して相補的な繰り返し単位を持つ、一本鎖DNAを形成し、および
(e) 該一本鎖DNAを検出し、ここで該DNAの検出が、該ターゲット核酸の存在を示すことを特徴とする、上記方法。
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