JP2005507319A - 分子デバイスの電圧アシスト組立て - Google Patents

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Abstract

基材の上に分子デバイスを選択的に組立てるための方法であって、第1の基材を、分子デバイスを含む溶液と接触させる段階と、前記基材への分子デバイス分子の結合を十分に遅くすることによって、基材へ電圧を印加すると基材の上への分子デバイスの組立てが電圧を印加していない基材上への分子デバイスの組立て速度よりも少なくとも1.5倍の速度になるようにする段階と、前記基材へ電圧を印加して、基材の上に分子デバイスを組立てる段階とを有する。さらに詳しくは、選択的な組立てが、溶液中の保護された分子デバイスから成る混合物を提供する段階と、前記分子デバイスの一部から保護基を除去する段階と、脱保護された分子デバイスを活性化する段階と、前記基材を溶液と接触させる段階と、前記活性化されたデバイスを基材と結合して、それらが第1の基材の上に組み立てることができるようにする段階とによって行うことができる。

Description

【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願はここに全体を参照によって導入する2001年3月2日に出願された“Electromechanically Accelerated Self-Assembly Of Molecular Devices”という名称の米国出願第60/272,895号からの優先権の利益を本出願は主張している。
【0002】
政府支援された研究あるいは開発に関する陳述
この仕事は、Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)、the Office of Naval Research(ONR)及びNational Science Foundation(NSF,NSR-DMR-0073046)によって支援された。
【背景技術】
【0003】
この発明は分子デバイスを組立てるための方法に関する。さらに詳しくは、この発明は所望の金属表面上における所望の組成の選択的な組立てを改善するための電圧の利用に関する。
【0004】
分子スケールエレクトロニクスは、演算装置におけるキーデバイスとして機能させるために単一の分子あるいは少数の分子グループを使用することを提案する新興分野である。この概念は、電圧を加えると線形あるいは非線形な形で電流を伝えるような分子あるいは分子グループの使用を基礎としている。特に、線形のI/V曲線を有する分子あるいは分子グループはワイヤに似ており、“分子ワイヤ”あるいは時に“モルワイヤ”と呼ばれる。非線形なI/V曲線を有する分子あるいは分子グループはその他のタイプの電子デバイスに似せることができ、従って“分子コンポーネント”や“分子スイッチ”、あるいは時には“モルスイッチ”と呼ばれる。以下ではそうした分子スケールの導電性デバイスを表すために、“分子デバイス”という用語を使用する。
【0005】
動作可能な分子デバイスを十分に選択できると仮定すると、従来の半導体をベースにしたコンピュータを構築するために使用されているものに類似した原理を利用して分子スケールのコンピュータを構築することができるであろうということが広く認識されるようになってきている。その結果として寸法の著しい低減が実現されることの他に、分子デバイスの応答時間はフェムト秒の範囲であり、今日の最速のデバイスはナノセカンドで動作する。従って、他の回路素子が動作性能を制限しないとすれば、速度の著しい増大が達成可能である。様々な置換基を使用して、負性差分抵抗(NDR)や分子メモリ機能、及び分子スケールスイッチング動作などの様々な電子特性を有する分子デバイスを提供することができる。
【0006】
分子スケールエレクトロニクスを具現化するために行われている挑戦は、分子デバイスを制御した形で組み立てることができるようにする技術の研究であった。Au上に共役チオールを自己組立てした単層膜(self-assembled mololayers)(SAMs)は、分子エレクトロニクスにおけるその利用性のために大きな関心を引いたし、分子デバイスコンポーネントとして機能することはわかったけれども、SAMsを制御した形で正確に設置して分子デバイスとして機能させることはこれまで不可能であった。分子コンピューティングの成功は、部分的には、パターン化された基材の上への、分子デバイスコンポーネントの正確な設置に依存している。従って、ある場合には、特定の電極上へコンポーネントの正確な組立てを行うことが極めて重要になる。従来の化学的な自己組立て式方法はそうした選択性を備えていない。
【0007】
いくつかのグループが、Au、Ag、Hgなどの種々の表面上にアルカンチオールを電気化学的にうまく酸化吸着することを報告している。最近では、Hsuehやその共同研究者が、+1200mVでAu電極の上に(対Ag/AgNO3)アルキルチオサルフェート(R-S2O3-)を電気化学的に酸化させることを報告している。単層膜の形成はバイアスを掛けたAu電極の上で行うことが好ましいが、バイアスが掛かっていない電極は吸着が遅い。しかし、チオサルフェート法はアルキルサルファイドラジカルを生成し、これまで単純なn-アルカン誘導体で実証されているだけである。
【0008】
分子デバイスではないいくつかのアルカンチオールを、電圧でエンハンス(enhance)して自己組立てすることも知られているが、緩やかな電圧でもって、指定された基材の上に制御された形で選択的に分子デバイスを如何に組立てるかはこれまで誰も見いだしていない。チオールをベースにした分子は、帯電した表面上とほとんど同じような速さで非帯電表面上へ組立てられることがわかっている。帯電表面と非帯電表面での同じような挙動のために、電圧アシスト組立てを使用して、分子デバイス層を制御された形で、あるいは狙ったように付けることは不可能であった。
【0009】
従って、小さな、すなわち分子スケールのデバイスを制御された形で、あるいは狙ったように素早くかつ正確に組立てることのできる方法が依然として必要とされている。好ましい方法によれば、過度な経費をかけずに所望の層を付けることが可能である。
【発明の開示】
【0010】
この発明は、緩やかな電圧を掛けて金属電極の上に分子デバイスを制御された形で選択的に組立て可能にしている点で従来技術における問題点を克服しており、過度な経費をかけずに分子スケールデバイスを素早くかつ正確に組立てるための方法を提供している。
【0011】
この発明は、小さな電圧を利用してフリーチオールあるいはチオレートを駆動し、金属表面上に組み立てている。電圧を使用するとともに、チオレートの形成速度を遅くすることによって、隣接する表面の間に十分な差を実現することができ、分子デバイスの選択的な組立てを可能にしている。
この発明をより詳しく理解するために、添付図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
分子デバイスを所望の基材の上へ素早く、また高い精度で選択的に組み立てることができることがわかった。この発明のある実施の形態によれば、与えられた金属基材上における特定の分子デバイスの組立て速度の違いを使って、分子デバイスの設置を制御することができる。さらに詳しくは、出願人は、非帯電表面上での分子デバイスの組立てを遅くするための方法を発見した。その結果、小さな電圧を使用することによって組立て速度は十分に加速され、この発明の方法を使用することによって少なくとも0.3μmまで近接した基材の上に分子デバイスを選択的に組立てることができる。
【0013】
この発明の一つの側面においては、チオール終端の分子デバイスは塩基性溶液中で脱プロトン化(de-protonated)されて、チオレートを形成する。チオレートは帯電表面にも非帯電表面にも組立てられるが、選択された表面上の組立て速度はこれらの表面へ電圧を印加することによって大きく増加される。別の実施の形態においては、酸性溶液中の保護された分子デバイス分子からフリーチオールが形成される。フリーチオールの形成速度を十分に遅らせれば、選択表面上への堆積速度を増すことによって選択的に層を形成することができる。以下の議論は塩基を用いた方法についてなされているが、ここで説明されている概念には、酸性及び塩基性のスキームだけでなく、分子デバイス分子の組立て速度を妨げまた選択的に増加して選択的な付着を可能にするような他のスキームも含まれる。
【0014】
まず図1を参照する。ここには本発明における使用に適したいくつかのチオアセテートが示されている。図1に示されている分子は本方法において有効であることがわかっているけれども、この発明は図1に示されている分子に限定されるわけではない。他の適当な分子デバイス分子が、それらを製造するためのスキームとともに、その全体をここで参照によって導入するTour, J. M.; Rawlett, A. M.; Kozaki, M.; Yao, Y.; Jagessar, R. C.; Dirk, S. M.; Price, D. W.; Reed, M. A.; Zhou, C.; Chen J.; Wand, W.;及び Campbell, I. Chem. Eur. J. 2001, 7, No.23, 5118-5134に記載されている。また、ここでそのすべてを参照によって導入するChen, J.; Reed, M. A.; Rawlett, A. M.; Tour, J. M. Science 1999, 286, 1550, Chen, J.; Wang, W.; Reed, M. A.; Rawlett, A. M.; Price, D. W.; Tour, J. M. Appl. Phys. Lett. 2000, 77, 1224,あるいはBumm, L. A.; Arnold, J. J.; Cygan, M. T.; Dunbar, T. D.; Burgin, T. P.; Jones, L., II; Allara, D. L.; Tour, J. M.; Weiss, P. S. Science 1996, 271, 1705に教示されている分子デバイスの任意のものをこの発明では用いることができる。
【0015】
特に、この発明における使用に適した分子デバイスにはパイ共役の芳香族が含まれ、特に、保護されたチオール終端のオリゴ(フェニレンエチニレン)が分子デバイスとして使用するのに好ましい。
【0016】
この発明においては、チオール終端の分子デバイスは各チオールの上に、所望の化学的あるいは電気化学的な刺激を加えることによって取り除くことができる保護基を有している必要がある。保護基が存在することによって、塩基性溶液中におけるチオレートの形成速度、あるいは酸性溶液中のチオールの形成速度が十分に遅らされ、電極表面へ印加される電圧によって分子はその表面上へ、同じ溶液中の非帯電表面上よりもかなり速く組立てられることがわかった。さらに、pH的に中性の溶液を同じスキームにおいて使用することができ、そこではチオール保護基は電気化学的に除去される。
【0017】
一つの好ましい実施の形態においては、刺激は電圧であり、保護基は、ここで参照によって導入するGreene, T,; Wuts, P. Protective Groups in Organic Synthesis, 3d ed. (1999) に定義されている保護基から選択される。特に好ましい保護基は、その参考文献の第6章に掲載されているものであり、チオエーテル、S-ジフェニルメチルチオエーテル、置換されたS-ジフェニルメチルチオエーテル、S-トリフェニルメチルチオエーテル、置換されたS-メチル誘導体、置換されたS-エチル誘導体、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネート誘導体、及びチオカーバメイト誘導体が含まれる。また、化学式SCOCH3としても知られていて時にチオアセチル基あるいはチオールアセテートと呼ばれるチオアセテートも好ましい。このようにして保護されたチオール終端の分子デバイスを、ここでは“単層膜前駆物”と呼ぶことにする。図1に示されている分子の例は、S-アセチル−オリゴ(フェニレンエチニレン)である。
【0018】
ここで図2を参照する。この発明の方法を用いて少なくとも一つの基材10の上に第1の単層膜を選択的に組立てることができる。基材10は第2の基材14に隣接してベース12の上に取り付けられている。本方法における一つの好ましい実施の形態は、図2(A)に示されているように第1の基材10へ導電性のリード13を電気的に接続する段階を有している。リード13を設置すると、基材10及び基材14を搭載するベース12を、図2(B)に示されているように、所望の単層膜前駆物分子15を含んだ溶液16の中へ設置することができる。
【0019】
電圧は第1の基材10へリード12を介して加えられる。図2(B)においては、リード13は動作電極(WE)であり、基準電極(RE)及び補助電極(AE)と組み合わせて通常の方法で使用される。電圧を印加するには基材10が溶液16の中に浸されるまで待つ必要はない。電圧を印加すると、所望の前駆物分子15から成る層が基材10の表面の上に単層膜21として組立てられる。
【0020】
この発明によれば、また上述したように、単層膜の前駆物分子15の各々は、低濃度のフリーチオールあるいはチオレートを表面へ引き付ける電圧が存在しないときは基材の上への単層膜の急速な組立てを妨げる、あるいは遅くするような保護基を含んでいる。使用する前駆物に応じて、溶液16は酸性溶液あるいは塩基性溶液でよい。以下に限られるわけではないが、塩基が存在すると、ある単層膜前駆物分子の上の保護基は前駆物分子から解離させられると考えられる。前駆物分子上の脱保護(de-protected)されたチオール基は塩基によって脱プロトン化され、帯電したチオレート基を形成する。次にこれらの帯電したチオレート基が、正に帯電している電極(基材10)の上に引き付けられ、そこで組立てられる。同様に、この発明の方法を、メカニズムは異なるが、酸性溶液中においても使用することができることを発見した。酸性溶液中では、分子デバイス前駆物の上の終端基はチオレートを形成せず、そのかわりにチオレートに似たフリーチオールを形成し、帯電した表面へ引き付けられる。
【0021】
第1の基材10の上に層が組み立てられている間に第2の基材14上へいくつかの単層膜前駆物分子が組立てられるかもしれないが、帯電した表面上と非帯電表面上への組立て速度の間の不一致が十分に大きいと、選択的な組立てが可能であることがわかった。さらに詳しくは、前駆物上の保護基を使用すると、チオール基が組み立てられないようになり、チオレート基の形成が妨げられる。一方、第1の基材10の上に電圧を印加すると、基材10の上への組立て速度が加速される。これらの効果を組み合わせると、第1の基材10の上に所望の層を組立てるのに必要な時間の間に第2の基材14の上へ組立てる単層膜の量が比較的少なくなるように、二つの基材の上への組立て速度を隔てることができる。例えば、あるシステムでは、アセテートで妨げられて電圧アシストされた組立ては、アセテートで妨げられて電圧アシストされない組立てよりも一桁あるいは二桁速い。組立ての全体的な速度は、部分的には分子構造に依存する。この発明においては、保護基がアセテート基以外であるときにも、同じような差別化を行うことができる。
【0022】
さらに図2を参照する。一つあるいは複数の基材10の上に単層膜を選択的に設置したあと、ベース12を第2の前駆物分子20を含む第2の溶液18の中へ設置することができる。第2の前駆物は分子デバイスであることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。また、第2の前駆物は保護されていても保護されていなくてもよく、また単層膜への第2の前駆物の組立ては電圧アシストしても、しなくてもよい。第1の基材の表面はすでに第1の単層膜15によって覆われているために、第2の前駆物の分子は基材10へ急速には結合しない。この発明の脱保護され脱プロトン化されたチオレートはすでに形成された単層膜と比較的ゆっくりと置き換わる傾向を示すことがこの発明の利点である。第2の単層膜25が基材14の上に形成されたら、ベース12を溶液18から取り出して、当業者に周知のものなど、別の分子デバイス及び/あるいは金属ナノ粒子27に対する前駆物23を含んだ第3の溶液28の中に設置することができる。従って、それまでに付けた層に影響を与えずに、異なる分子デバイス種を次々に付けることが可能である。この発明の方法を用いて様々な分子デバイスを順々に付けることによって、複雑なデバイスを構成することが可能である。特に好ましい実施の形態においては、前駆物23は図1(a)から生じるチオールを有する共役分子を各終端に有している。
【0023】
一つの基材に電圧を印加すると、その基材に非常に近接した前駆物分子のみに影響を与えることがわかった。従って、この発明はこの発明の方法を用いて、0.3μmまでの小さなギャップによって隔てられた二つの基材の一方の上に選択的に単層膜を形成することができ、また非常に小さい距離を隔てて基材の弁別が可能である。下限は、リソグラフィあるいは電子ビームなどのその他のパターニングタイプの限界によってのみ決まる。従って、この発明の方法は、マイクロあるいはナノ電子デバイスの構成における利用に適している。
【0024】
この発明の別の利点は、チオレートあるいはチオールの溶液を貯蔵あるいは取り扱う必要性なく、チオレートあるいはチオールの組立てに関係して速い組立て速度が可能なことである。特に、チオレートと芳香族チオールは酸化に対して不安定であり、チオアセテートは劣化せずに空気中で長期間にわたって貯蔵することができる。この発明においては、チオアセテートの貯蔵液を有するという便利さと、素早い吸着を組み合わせることができる。
【0025】
電子を付与する基を含んだ分子デバイスコンポーネントは電子を引き込む基を有するものよりも速く組立てることがわかった。例えば、この発明を用いて、例えば図1(f)の電子を付与する基を有する分子を電極の上へ堆積させ、そのあと例えば図1(c)の電子を引き込む基を有する分子を別の電極の上へ堆積させることができる。隣接する基材の上に異なる層を形成するところが図2に描かれている。二つの分子ワイヤで修飾された電極を導電性材料でつなぐことによって、デバイスの挙動を観察してもよい。
【0026】
分子デバイスの当業者はこの発明の原理を、種々の分子デバイス分子を含んだシステムへ適用できることがわかるであろう。この発明の方法を用いて付着あるいは選択的に付着できる分子デバイスには図9〜図14に示されている種々の分子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0027】
この発明の概念は、一般的に金属基材で有用であり、さらには金やパラジウム、銀、銅、プラチナなどを含む貨幣金属あるいは遅遷移金属で有用であるが、それらに限定されるわけではない。
【0028】
同様に、この発明の金属結合終端は、硫黄以外でもよい。例えば、セレニウムやテルルなどを硫黄に置き換えることができる。従って、この発明はチオール終端の分子デバイスに限定されず、当業者に周知のselenolやtellurolsmも含んでいる。例えばReinerth, W. A.: Tour, J. M. の“Protecting Groups for Organoselenium Compounds,” J. Org. Chem. 1998, 63, 2397-2400を参照のこと。
【0029】
この発明において有用な溶剤にはアルコール、水、及び任意の非反応性有機溶剤及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるわけではない。同様に、電解質は、電極に対して腐食性でない任意の可溶性イオン塩でよい。
【0030】
金属表面上の分子デバイスコンポーネントの特定と方向付けが、この発明の電気化学的組立て法にとって別の重要な問題である。表面上の化合物(a)の平均的な方向は、オリゴ(フェニレンエチニレン)の軸に平行あるいは垂直な分子振動に対応する一対のIR吸収バンドの相対強度から導くことができる。ランダムな方向では、単層膜の外部反射IRスペクトルとバルクサンプルの透過スペクトルの両方において同じ相対バンド強度が得られるであろう。これに対して、分子の方向が並んでいると、平行振動の強度が増大するであろう。分子が表面の方へ傾いている(角度>54.7°)と、垂直バンドが単層膜スペクトルで支配的になる。この発明に従って選択的にコーティングされた基材のIRスペクトルによって、単層膜が存在することが確認される。この発明の方法に従って堆積された層は、従来の電圧アシストでない方法で堆積された層の構造に類似した構造を有している。
【0031】
結論
電圧を印加した状態でのチオレート終端のオリゴ(フェニレンエチニレン)分子デバイスコンポーネントの組立て速度は非常に加速される。チオアセテート誘導体の貯蔵液の一部を現場で (in situ) 脱保護することによって、低チオレート濃度を維持することができる。正に帯電した電極の上での加速吸着と、溶液中の低チオレート濃度を組み合わせると、特定の電極の上へ分子を堆積させることが可能になる。電圧を印加した状態で製造されるSAM中の分子の方向は、通常の自己組立て法によって製造されるSAMと同様である。チオレート誘導体の現場開裂によって、チオレートあるいはチオールの溶液の不安定性についての問題が軽減される。チオアセテート自身は金属表面へゆっくりとしか吸着しない。塩基性溶液を用いて、同様の速度差及び選択性を得ることができる。酸性溶液法は、より完全な層が得られることから、いくつかの分子にとって好ましい。
【0032】
実施例
以下の例はこの発明のいくつかの実施の形態の有効性を示すためのものであり、如何なる意味でも発明を限定するものではない。
【0033】
塩基脱保護を用いた金の上へのチオレートの自己組立て
材料
使用するまえに、エタノール(Pharmco Products Inc., 200 proof, USP Grade)を窒素で脱気した。THF(Aldrich)を窒素雰囲気のもとでNa/ベンゾフェノンから新たに蒸留して、すぐに使用した。テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボーレートをAldrichから購入して、それ以上の精製はせずに使用した。オリゴ(フェニレンエチニレン)の合成は周知のものであり、上述した参考文献に記載されている。清浄な単結晶Siウェハーの上にCr(50nm)とAu(120nm)を順番に堆積させてAu基材を作成した。金属の堆積は、1Å/sの蒸発速度と〜4×10-6mmHgの圧力のもとでAuto 306 Vaccum Coater(Edwards High Vacuum International)を用いて行った。清浄な単結晶Siウェハーの上に、クロムの〜50nmの層を、そのあとPtの〜120 nmの層をスパッタリング(Plasma Sciences, Inc.のCrC-100スパッタリングシステム)することによってPt基材を作成した。Au基材は、使用するまえに、H2O2/NH4OH(H2O2 : NH4OH : H20 = 1 : 1 : 5)からなる水溶性溶液の中に15分間設置し、そのあと脱イオン水及びエタノールを用いて完全に洗うことによって即座に洗浄した。Pt基材はそれ以上洗浄せずに使用した。
【0034】
Au上へのチオアセテートの自己組立ては、Au基材と、オリゴ(フェニレンエチニレン)化合物(1.0 mg)と、エタノール(20 mL)と、NaOH(最終濃度0.27 mMの0.27 M溶液20 μL)を含むバイアルの中で行った。サンプルを取り出して、アセトンとTHFと、エタノールで洗浄した。
【0035】
電気化学的組立て
電圧駆動電気化学的組立てを行うための溶液は以下のようにして調整した。バイアルに、エタノール(20 mL)と、オリゴ(フェニレンエチニレン)(1.0 mg)と、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボーレート(0.33 g、1 mmol)と、水溶性の0.27 MのNaOHを20 μL加えた。電極へ印加する電圧の制御には、CV-50W Voltammetric Analyzer(BAS, Bioanalytical Systems, Inc)を使用した。補助電極はPtワイヤであり、基準としては非水溶性のAg/AgNO3電極を使用した。以下の動作電極、すなわち、蒸発させたAuもしくはPt、Auディスク電極、あるいはPtディスク電極のうちの一つを使用した。動作電極へ印加する電圧は+ 400 mV(対Ag/AgNO3電極)であった。組立てられたサンプルは、アセトン、脱イオン水で洗浄し、エタノールの中で短時間、超音波洗浄した。
【0036】
測定
自己組立てした単層膜の厚みを偏光解析器(Rudolph Instruments, Model: 431A31WL633)を使用して測定した。He-Neレーザ(632.8 nm)をサンプル表面へ70°で入射させた。膜の厚み計算には1.55の屈折率(nf)を用いた。Ptカウンタ電極と、飽和カロメル基準電極(SCE)を用いて、サイクリックボルタンモグラムをCV-50W Voltammetric Analyzer(Bioanalytical Systems, Inc)によって記録した。動作電極は、特定のオリゴ(フェニレンエチニレン)で覆ったAu電極(MF-2014, Bioanalytical Systems, Inc.)あるいはPt電極(MF-2013, Bioanalytical Systems, Inc.)である。Au及びPtの電極の直径は1.6 mmであった。100 mV/sの電圧走査速度を用いて、KCl/K3[Fe(CN)6](0.1 M/1.0 mM)の水溶性溶液の中でサイクリックボルタメトリを行った。
【0037】
赤外分光
組み立てた単層膜の方向及び厚みを、IR分析を用いて調べた。外部反射及び透過IR測定に使用する手順及び装置に関する詳細は、当業者に周知のものである。
【0038】
考察
選択した基材の上へ分子デバイスを電気化学的に堆積させるには三つの方法がある。1)バイアスの掛かっていない電極があるときに、バイアスを掛けたAu電極上にチオールを選択的に堆積させることができる。この方法が有用であるためには、バイアスの掛かった電極とバイアスの掛かっていない電極との間にかなり違った組立て速度を必要とする。2)逆に、他方の電極上の組立てを防止するために高電圧を使用しつつ、バイアスの掛かっていない電極の上で組立てを行うことができる。3)最後に、両方の電極の上にSAMを均等に形成し、そのあと高電圧を選択的に印加して一方の電極をもとの裸の状態に回復することもできる。分子エレクトロニクス応用に対しては、第1の方法が好ましい。上述したように、この発明は、電圧が掛かっていない電極の上よりも電圧が掛かった電極の上で分子がより速く組立てができるようにすることによって、第1の方法を実現する技術を提供している。
【0039】
塩基あるいは静電圧を用いたとき及び用いないときのAu上へのチオール吸着反応速度論
【表1】
Figure 2005507319
【0040】
アルカンチオール吸着アイソサームは、一般的に、カバー率が単層膜の80〜85 %に達するまで最初は急激に上昇し、そのあと第2のゆっくりとした段階が続く。チオレート濃度が1 mmolであれば最初の500 msecのうちに、また1 μmolの濃度に対しては60 sec以内に40%以上が通常はカバーされる。全体としては、芳香族チオール吸着はn-アルカンチオール吸着よりもゆっくりであることがわかった。
【0041】
エタノール中のチオール終端オリゴ(フェニレンエチニレン)の約0.1 mM溶液では1分以内で単層膜の半分をカバーする。エタノール中での可溶性が低いことが、拡散速度の遅さ(表1)をおそらくは補ってくれる。mL溶液当たり1 μL 0.27 MのNaOHを加えても、吸着速度にはほとんど影響のないことがわかった。
【0042】
塩基が存在しないときに正の電圧はチオール吸着を加速し、塩基と組み合わせるとさらにずっと加速する。表1の(i)に示されている可溶性の低い置換されていないチオールは急速に多層膜を形成し、可溶性の大きい窒素置換のチオール(ii)は〜1hではなく1分でその理論的な単層膜の厚みに到達する。
チオアセテートはチオールよりもずっとゆっくりと吸着する。20 mLのエタノール当たり1 mgのチオアセテートを有する、すなわちおよそ0.1 mM濃度の溶液は、30分以内で0.2 nmの厚みになるが、チオアセテートを含まない溶液で同じことが観察された。従って、層の形成は、チオアセテートそのものではなくて、吸着不純物のせいである。
【0043】
塩基を用いるが電圧を印加しないチオアセテートの組立て
図1に示されており、また二つの保護されたチオール終端を特徴とする化合物(a)の0.1 mMエタノール溶液を、mL溶液当たり1 μL 0.27MのNaOHを加えた後にAu上で組立て、時間に対する厚みの変化を測定した(図3)。両端にチオアセテート基を有するにもかかわらず、吸着は、フリーチオールに対するよりもゆっくりであった。
【0044】
表面カバー率の指標としてのサイクリックボルタメトリ(CV)によって、偏光解析器による測定の裏付けを行った。図4は(a)の溶液の中へ浸す前後のAu電極のサイクリックボルタンモグラムを示している。図4において、実線は裸のAu電極を示しており、点線は0.1 mMの(a)のエタノール溶液20 mLに0.27 MのNaOHの水溶性溶液20 μLを加えたものに20分間浸したあとのAu電極に対応しており、破線は同じ溶液に10分間浸したあとのAu電極に対応している。2分間浸したあとではピーク電流強度は〜10%低下し、10分間浸したあとは、ピーク電流強度は〜55 %低下しており、Au電極上の(a)の表面カバー率は、2分後は〜10 %、10分後は〜55 %であることを示していて、エリプソメータのデータとよく一致している。
【0045】
電子を引き込む(electron-withdrawing)基と一つだけのチオアセテート終端を含む化合物はさらにゆっくりと組み立てられた。例えば、中央のフェニル環にニトロ基を有する化合物(b)は0.4 nmの膜厚に達するのに15分かかった。
【0046】
最小極性(least polar)メチルメルカプト−終端のバイフェニルチオールは、電子リッチのN,N-ジメチルアミノ−終端のチオールより7倍、また電子プアのニトロ−終端のものよりも20倍速く吸着した。電子ドナー基は金硫黄の結合エネルギを増大させるが、分子間のダイポールとダイポールの反発相互作用のために単層膜を不安定化する。電子アクセプタ終端基を有する芳香族チオールの吸着が遅いのは、硫黄の結合エネルギが弱くて分子間の静電反発が強いためである。
【0047】
エタノール中の脱保護されたチオアセテートの大部分は、置換基が何であろうと、硫黄上の大きな電子密度を有するチオレートへ解離する。しかし、電圧を印加しないときの0.1 mmolの芳香族チオアセテート/チオレート混合物に対する初期吸着速度は、芳香族チオールよりも大きさが1〜2桁小さい。すなわち、10%の表面カバー率に対する〜2分と、芳香族チオールでの5秒以下である。硬−軟の酸−塩基 (hard-soft acid-base)(HSAB)原理によれば、軟塩基としての中性ArS−Hと軟酸としてのAuとの間の反応は速く、金上のチオレート吸着には、同時に還元されるために別の分子が必要である。
【0048】
電子ドナー基を有するチオレートとジチオレートの比較的速い吸着も、大きな金硫黄結合エネルギだけでなく、小さな解離定数にも関係する。電子アクセプタ基は、解離した吸着の遅いチオレートへ平衡をシフトし、ドナー基はチオールのプロトンの酸性を下げる。
【0049】
金の上に正の電圧を加えると、表面と負に帯電したチオレートとの間に、チオールの解離平衡を変えることなく引き付け力を加える。引き付けは、硫黄原子の表面に負の電荷が存在する電子リッチのチオレートに対して最も強い。従って、正の電圧によって、電子ドナー基を有する既に好ましいチオレートに対する吸着速度がさらに増大する。上述した観察は説明のためのものであり、この発明に関係する化学メカニズムを限定したり、請求範囲を制限するものではない。
【0050】
電圧を印加した分子デバイスの組立て
表2は、少量の苛性ソーダ溶液を加えたときに、Auの上に一連のチオアセテート誘導体を電気化学的に組み立てた結果のまとめを示している。これらの条件のもとでは、本化合物は電圧を加えたもとでは急速に組立てられ(図3を表2のエントリ1−3と比較されたい)、層の厚みは時間とともに増加する(表2のエントリ1−3、14−16)。エチル基やメソキシ基などの電子ドナー基はSAMの形成を助けることができる(エントリ1、17、19)。ニトロ基(エントリ8、12)やキノンユニット(エントリ14)などの電子を引き込む基は、成長速度を遅らせる傾向がある。+ 400 mVにおいては、2分後には、電子ドナー基を含んだ分子からの層の大部分はAu電極の上でそれらの完全な長さに到達した。(これらの化合物の分子長さは〜2.1 nmである)。逆に、強い電子引き抜き基を有する化合物は2分ではその完全な長さまで組立てることはできなかった。完全な単層膜カバー率に対する適正な条件は、分子デバイスの構造に依存し、個々の分子に対して決めなければならない。+ 400 mVの正の電圧におけるAu表面上での2分の吸着時間は、化合物1(a)及び1(b)にはちょうど適正であるが、1(c)及び1(d)に対しては短すぎ、1(e)及び1(f)に対しては長すぎる。
【0051】
モノ−チオアセテート分子デバイスコンポーネントに対しては、組立てられた層の厚みは、大雑把には分子長さに関係する。一つの例外は化合物(e)である。この場合には、層は分子の長さよりも厚い(エントリ17、18)。機能化されていないフェニレン−エチニレン−オリゴマ(e)、(h)の場合には、エタノール中におけるその溶解性が低いことによって過剰な吸着が引き起こされていると考えられる。同様の現象は、エタノールからのAu上の長鎖アルカンチオールの自己組立てにおいて観測されており、層は分子の長さよりも20%厚くなる。おそらくトレース酸素あるいは印加電圧によって促進される二硫化物の形成のために、ジチオアセテートは長い組立て時間では多層膜を形成した。ジチオアセテートの分子デバイスの単層膜を得るには、酸素を含んだ大気中での短い組立て時間を採用すべきであろう。
【0052】
上述したプロセスによって組み立てた層を除去しようと試みたが、いったん乾燥すると、層の厚みはTHF中での超音波処理のあと実質的に変わらないままであり、これは過剰な分子は下側の層へ化学的に結合されたか、酸化してずっと可溶性の小さい二硫化物になったことを示している。
【表2】
Figure 2005507319
【0053】
図5は(a)で覆った金電極のCVを示している。これは裸の金電極からのCVデータ(図5における実線)と、電圧を掛けずに2分間組み立てた、覆った金電極(図5における点線)と、電圧を掛けて2分間組み立てた覆った金電極(図5における破線)とを比較している。2分で、金表面のほぼ100 %が(a)の層で覆われた。図5に示されているように、電圧を印加した分子の組立ては、電圧を印加しないときよりもずっと速い。
【0054】
図5におけるCVのすべてをKCl/K3[Fe(CN)6]の水溶性溶液(0.1 M/1 mM)の中で記録した。点線は、裸のプラチナ電極を、電圧を掛けずに、(a)(1.0 mg, 2.1 μmol)、Bu4NBF4 (0.33 g, 1 mmol)を含んだ20 mLのエタノール溶液と、NaOH (20 μL, 5.4 × 10-3 mmol)の水溶性溶液の中に2分間浸すことによって作成した電極を表している。破線は、(a)(0.1 mM)、Bu4NBF4 (0.05 M)の20 mLエタノール溶液とNaOH (20 μL, 5.4 × 10-3 mmol)の水溶性溶液の中で2分間にわたって、裸の金電極の上に+ 400 mV印加(対Ag/AgNO3電極)することによって得られた電極を表している。
【0055】
電圧を加えて行うこの組立て方法はプラチナでもうまくいく。上の表2には、プラチナの上に化合物(a)及び(b)を電圧アシスト組立てするときのデータが含まれている(エントリ6、7、10、11)。分子デバイスコンポーネントの層はプラチナの上では金の上よりもゆっくりと成長する。図6は電圧組立て方法によって形成された(a)で覆われたプラチナ電極のサイクリックボルタンモグラムを示している。10分で、表面カバー率はほぼ100 %であった。これに対して、プラチナ上への、1の従来の化学的自己組立ては、同じ塩基濃度条件のもとでは非常にゆっくりである。プラチナ電極をエタノール中の1の溶液に10分間浸したあとでは、表面カバー率はたった〜5 %であった(図4を参照)。
【0056】
図6における三つのサイクリックボルタンモグラムはすべてKCl/K3[Fe(CN)6] (0.1 M/1 mM)の水溶液中で記録した。実線は裸のプラチナ電極を表しており、点線は(a)(1.0 mg, 2.1 μmol)、Bu4NBF4 (0.33 g,1 mmol)、NaOH (20 μL, 5.4 × 10-3 mmol)のエタノール水溶液中に10分間浸すことによって電圧を掛けずに作成したプラチナ電極を表しており、破線は同じ溶液中で10分間裸のプラチナ電極の上に+ 400 mV(対Ag/AgNO3電極)を印加することによって作成したプラチナ電極を表している。
【0057】
この観点からは、プラチナ電極は金電極よりもよい。なぜなら、チオールは従来の化学的自己組立てによればプラチナ上で金の上よりもゆっくりと成長するからである。電圧を加えた条件のもとでは、成長速度はプラチナ上で若干ゆっくりではあるが、ほぼ同じである。このより大きい違いの結果、分子デバイスコンポーネントの制御された形での堆積に対して、より広い動作時間窓が得られる。別の点では、同じ条件のもとでは、バイアスを掛けないプラチナ電極はバイアスを掛けない金電極よりもさらにきれいである。
【0058】
これまでは正の電圧を加えたもとでの金あるいはプラチナ基材の表面上で分子デバイスコンポーネントのSAMを形成することについて検討した。逆に、上述したように負の電圧によってこの層の形成を防止することができる。表2には、負の電圧を加えて金電極へ(a)を付けた結果が掲載されている(エントリ4、5)。印加した電圧が十分に大きな負の値であれば、金電極上での分子デバイスの成長を著しく遅くすることが可能である。
【0059】
図7は、KBrマトリックス中の多結晶(a)ジチオアセテートのIRスペクトル(上部)と、金上での三つの単層膜のスペクトルを示している。単層膜の一つは電圧を加えて堆積させ、他の二つは電圧を印加せずに堆積させた。電圧を印加した吸着からの単層膜はまだそのチオアセテート基の約半分が開裂されていない。我々は開裂されていない終端は大部分、膜と空気の境界にあると仮定している。なぜなら、金上の部分的に開裂されたモノチオアセテート溶液からの単層膜のIRスペクトルには、チオアセテートのバンドが観測されなかったからである。
【0060】
真性バンドの強度は、KBrで希釈して透明なペレットにプレスした多結晶バルクサンプルの透過スペクトルから決定することができる。単層膜とバルクのスペクトルにおける強度の差は、分子が選択的な方向に揃っている非等方性膜であることを示している。バルクと単層膜のスペクトルが異なる二つの方向を有する、すなわち分子の主軸に対して平行あるいは垂直な少なくとも二つの十分に強いバンドを有していれば、半定量的な解析が可能である。単層膜及びバルクのスペクトルにおけるこれら二つのバンドに対する同様の相対強度は、分子がランダムな方向を有しているか、分子が表面法線に対して〜54.7°(マジック角)だけ均一に傾斜しているかを示している。
【0061】
すべてのIRバンドがそうした半定量的解析に使用できるわけではない。バンドのいくつかは分子間の距離や移動度の変化に対してより敏感である。半定量的解析に最適なバンドは、単層膜と多結晶バルクのフェーズにおいて同じ位置及び半値幅高さを有している。1499 cm-1における平行モードはこのカテゴリに入る。垂直モードの中では、単層膜スペクトルにおいては826cm-1の単一バンドへと変化するバルクスペクトルにおける830/822cm-1のダブレットのみを取り上げることができる。これら二つのバンドを積分した面積の比が、化学的に、また電圧駆動で堆積された単層膜それぞれに対して0.61 : 1及び0.62 : 1である。この比は多結晶サンプルの参照スペクトルから得られた結果(0.58 : 1)とも一致する。高速の電圧駆動による堆積と、標準の24時間吸着によって、同じ方向を有する単層膜が得られる。分子はサブ単層膜を覆うときのように表面上でフラットにはならないが、もっとカバー率を大きくすることは垂直方向に達するのに十分というわけではない。
【0062】
図7には、透過(T)及び反射(R)のスペクトルが -log (T/To)及び-log (R/Ro)として定義された吸光度で報告されている。電圧を加えたもとでの堆積を、400 mVの正電圧で、1を2 μmolとNaOHを5 μmol有する20 mLのエタノール溶液の中で2分間行った。他の二つの単層膜は、塩基として水酸化アンモニウムを有するTHFと、塩基としてNaOHを有するエタノールから、それぞれ17時間以上かけて作成した。
【0063】
酸脱保護を用いた金上でのチオレートの自己組立て
この発明の概念は、塩基で駆動されるシステム以外のシステムにも適用できる。特に、図8に示されているものを含めたいくつかの分子デバイスを、以下で詳しく説明するように酸脱保護を用いて選択的に付けることができる。
【0064】
金基材
単結晶のシリコンウェハーを6 × 16 mm2のシートに切断し、そのあと温かい(40℃)新鮮な酸性過酸化物(3:1 H2SO4/H2O2, v/v)溶液の中で30分間洗浄し、流れている(flowing)蒸留水、エタノール及びアセトンでリンスし、流れている超純度のN2ガスの中でSi片を乾燥した。2×10-6 Torrの真空のもとで1Å/sの速度で25 nmのCr接着層を付けて200 nm厚のAuをSiシートの上へ熱蒸発させ、金の薄膜を堆積させた。金のサンプルは最終的にはN2雰囲気中で貯蔵した。使用するまえに、金の基材はUV/O3クリーナ(Boekel Industries, Inc., Model 135500)によって10分間洗浄して有機物の汚染を除去し、エタノール中で20分間にわたって超音波洗浄して金の酸化物層を除去し、エタノール及びアセトンでリンスして、流れているNの中で乾燥させた。この手順によれば、清浄で再現性のよい金基材が提供できることを確認した。
【0065】
薬品
塩化メチレン(CH2Cl2)及びアセトニトリルを水酸化カルシウムから蒸留した。テトラハイドロフランをナトリウム/ベンゾフェノンケチルから蒸留した。他の薬品はすべてそれ以上の精製はせずに受け取ったまま使用した。図8に示されているような化合物の合成は、周知のものである。例えば、上で引用したChem. Eur. J. 2001, 7, No.23, 5118-5134を参照のこと。
【0066】
酸促進法用の溶液作成
化合物(1 mg)を、4 mLのバイアルの中で、CH2Cl2/MeOH (2:1, v/v)の溶剤混合物で溶解した。50〜70 μLの濃縮H2SO4を加えて、その溶液を1〜4時間、培養して、チオールモイアティの脱保護を行った。
【0067】
化学的組立て
洗浄した金基材を室温で20〜24時間の間、吸着物質溶液の中に浸した。すべての溶液は新たに作成し、予め酸素のない環境を実現するためにN2でパージして、光による酸化を防止するために浸漬している間は暗闇の中に保管した。組立てのあと、サンプルを溶液から取り出し、アセトン、MeOH、CH2Cl2で完全にリンスして、最後にN2を吹き付けて乾燥させた。
【0068】
電圧アシスト組立て
上述した同じ3電極セルを、動作電極としての金基材と、カウンタ電極としてのプラチナワイヤと、Ag/AgNO3(アセトニトリル中の10 m M AgNO3及び0.1 M Bu4NBF4)基準電極とともに使用した。SAM溶液の中で5〜60分の間400 mVの一定電圧によって単層膜を堆積させた。修正のあと、サンプルを溶液から取り出し、アセトン、MeOH及びCH2Cl2でリンスして、N2を吹き付けて乾燥した。
【0069】
電気化学測定
SAM形成に対するサイクリックボルタンメトリを、1 mM K3[Fe(CN)6]及び0.1 M KClを有する水溶性溶液の中で-0.2と+0.6Vの間で(対SCE)100 mV/sの速度で実施した。直径1.6 mmのAuディスク電極(MF-2014、BAS)を動作電極として使用し、飽和カロメル電極(SCE)を基準電極として、Ptワイヤをカウンタ電極として使用した。
【0070】
偏光解析
単層膜の厚みはRudolphのシリーズ431A偏光解析器を用いて求めた。He-Neレーザ(632.8 nm)光を70°でサンプルへ入射した。測定は単層膜吸着の前と直後に行った。厚みはすべて屈折率nf = 1.55に基づいて計算した。分子ワイヤの長さは、分子力学によってエネルギが最小になるような形で延びた硫黄原子から最も遠いプロトンまで計算した。次に、理論的な厚みを、直線的なAu-S-C結合角度と、Au-S結合長さとして0.24 nmを仮定して求めた。
【0071】
UV-Vis分光
UV-Vis分光を、UV-Vis-NIR走査型分光光度計(Shimadzu,UV-3101 PC)を用いて記録した。
【0072】
考察
上述したように、分子デバイス化合物のチオールアセチル基はNH4OHを用いた脱アシル化(deacylation)によって容易にフリーチオールあるいはチオレートへ脱保護され、SAMがAu-S結合によって金表面上に形成される。表3は単一の溶剤中における分子ワイヤの化学的組立てを示している。モノニトロ化合物(1及び2)の測定した厚みは、理論値に近い。このことは、コンパクトな単層膜が形成されたことを示している。他方において、マルチニトロ化合物の厚みは、計算値と比較すると大きく異なっている。検出された吸着速度は遅い。強い電子引き込み作用のあるニトロ基によってAu及びSの相互作用が小さくなり、最終的に組立て速度が遅くなり、Au表面での吸着が少なくなる。さらに、共役分子のマルチニトロ基は長い組立て時間の間に水酸化物によって侵される可能性があり、これによって化合物が分解され、不安定な溶液中に沈殿を引き起こし、そのあと黄緑から茶色へ色が変化する。
【表3】
Figure 2005507319
【0073】
従って、マルチニトロ分子ワイヤの並びのよいSAMを得るためには、混合溶剤が好ましく、溶解性と脱保護システムに基づいて選択される。表4に示されているように、アセトン/メタノールの溶剤混合物が塩基促進法においては最もよい。ジニトロ化合物のSAMはすべて((8c)、(8d)、(8e))24時間の反応のあとは理論値と同じ厚みを示しており、従って完全な組立てが実現されている。逆に、テトラニトロ化合物(8f)は、測定された厚みと理論的な厚みが比較的大きく違っていることが示すように、塩基促進システムにおいてはあまりうまく組立てられない。
【表4】
Figure 2005507319
【0074】
液体/金の境界に外部から電界を加えると組立て反応速度が大きく変化し、熱力学的に制御されるというというよりも、機械的に制御される堆積プロセスになる。UV-Visスペクトルによって、酸促進法によればより安定した溶液が得られ、信頼性の高いことが確かめられる。表5は、金電極上での種々の分子ワイヤの電圧アシスト組立ての結果をまとめたものである。組立て速度は非常に速く、SAMの厚みは時間とともに増加している。電圧アシスト組立ての速度は、化学的組立ての速度に比べて10〜100倍増大している。塩基促進の電気化学的組立てにおいては、モノニトロ及びジニトロの化合物((8a)、(8c)、(8e))は良好な組立てを示しており、Auの上をほぼ完全に覆っている。テトラニトロ化合物(8f)は、表4に示されているように、電圧アシスト処置か、あるいは化学的方法を用いて塩基触媒によってSAMをゆっくりと形成する。しかし、酸促進法の電気化学的方法を使用することによって、すべてのニトロ化合物((8c)、(8e)、(8f))を60分の堆積時間のあとに完全に組立てることができる。電圧アシスト組立ては高速であり、再現性がある。UV-Visスペクトルによって、酸促進法によればより安定した溶液が得られ、信頼性の高いことが確かめられる。
【表5】
Figure 2005507319
【0075】
受動的な培養プロセスである一般的な化学的組立てにおいては、開放回路電圧は約-200から-300 mVである。しかし、外部から正の電界を加えた場合には、負電荷を有するチオール及びチオレートはAuの上に強く吸着可能であり、従って適度な陽極電圧(すなわち400 mV)によって組立て速度は著しく高められる。低い負電圧は組立て反応を遅くし、既存のSAMを剥がしてしまうことさえある。逆に、高い正の電圧はMeOHとAuの酸化を引き起こし、それによってSAMも変形する。電圧と溶液を慎重に選択すれば、一つの電子デバイスの上の異なる部分に異なる分子ワイヤを堆積させることができ、より複雑な論理回路を構築することができる。
【0076】
この発明は、アセテート基などの化学的インヒビタを使用する結果として生じる速度差を用いた、また用いない、基材上への分子デバイスの電界アシスト組立てに関する。従って、電圧を用いて基材の上への分子デバイス層の組立て速度を加速することはこの発明の範囲内であるとみなされる。
【0077】
ここではこの発明の実施の形態を詳しく説明してきたが、発明の範囲から逸脱することなくその種々の変更が可能であることが理解できよう。例えば、分子デバイスや、保護基、溶剤、電解質、電極、基材、基材表面、脱保護機構、駆動機構はすべて変更することができる。さらに、この発明の方法の様々な段階の順番を変えることができる。請求項に順番が明確に記載されていない限り、ある順番での請求項の段階の単なる列挙は、その段階をその順番で実行することや、あるいは一つの段階を次の段階が始まるまえに完了しなければならないということが必要であるということを意味していない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この発明に従って選択的に組立てることが可能な分子の六つの例を示している。
【図2】この発明の方法に対する実施の形態に含まれる段階の概略を示している。
【図3】電圧を掛けないときの、Au表面上への分子(a)層の成長速度をプロットしたものである。
【図4】KCl/K3[Fe(CN)6](0.1M/1mM)の溶液中における金電極のサイクリックボルタンモグラムを示すプロットである。
【図5】図1の分子デバイス(a)で覆われた金電極のサイクリックボルタンモグラムを示すプロットである。
【図6】図1の分子デバイス(a)で覆われたプラチナ電極のサイクリックボルタンモグラムを示すプロットである。
【図7】KBrマトリックス中の分子デバイス(a)の層(上部)と、電気化学的に成長させた、あるいは電圧なしで溶液から吸着させた金電極上の単層膜との間の比較である。
【図8】この発明の別の実施の形態によって選択的に組立てることが可能な分子の六つの例を示している。
【図9】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。
【図10】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。
【図11】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。
【図12】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。
【図13】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。
【図14】分子デバイスを形成するためにこの発明の方法で使用することができる種々の分子を示している。

Claims (21)

  1. 第1の基材上に分子デバイスを選択的に組立てるための方法であって、
    (a)前記第1の基材を、分子デバイス分子を含む溶液と接触させること、
    (b)前記基材への電圧の印加によって、基材上における分子デバイスの組立ての速度が、電圧を印加していない基材上への分子デバイスの組立ての速度よりも少なくとも1.5倍となるように、前記基材への分子デバイス分子の結合を十分に遅くすること、及び
    (c)前記第1の基材へ電圧を印加して、第1の基材上における分子デバイス分子の組立てを生じさせること、
    を有する方法。
  2. 前記基材へ電圧を印加すると、基材上における分子デバイスの組立てが、電圧を印加していない基材上における分子デバイスの組立て速度よりも少なくとも2倍の速度になる請求項1記載の方法。
  3. 前記基材へ電圧を印加すると、基材上における分子デバイスの組立てが、電圧を印加していない基材上における分子デバイスの組立て速度よりも少なくとも10倍の速度になる請求項1記載の方法。
  4. 前記基材へ電圧を印加すると、基材上における分子デバイスの組立てが、電圧を印加していない基材上における分子デバイスの組立て速度よりも少なくとも100倍の速度になる請求項1記載の方法。
  5. (d)前記第1の基材に隣接する第2の基材を設けること、
    (e)前記第1及び第2の基材を、段階(a)の分子デバイス分子とは異なる第2のタイプの分子デバイス分子を含む溶液と接触させて、前記第2のタイプの分子デバイス分子が前記第2の基材上に組立てされるようにすること、
    とをさらに有する請求項1記載の方法。
  6. 前記第1の基材上に組立てられた分子デバイス分子と、第2の基材上に組立てられた第2のタイプの分子デバイス分子とを、導電性材料で電気的に接続することをさらに有する請求項5記載の方法。
  7. 前記基材への分子デバイスの結合が、分子デバイス分子上に保護基を設けることによって妨げられる請求項1記載の方法。
  8. 前記分子デバイスがオリゴ(フェニレンエチニレン)を有する請求項1記載の方法。
  9. 前記分子デバイスがチオール終端のオリゴ(フェニレンエチニレン)を有しており、溶液が塩基を含んでいる請求項1記載の方法。
  10. 第1の基材上に分子回路を組立てるための方法であって、
    (a)各分子デバイスが保護基によって保護された金属結合終端を有するような、溶液中の分子デバイス分子を有する混合物を提供すること、
    (b)前記分子デバイス分子の一部から保護基を除去すること、
    (c)脱保護された分子デバイス分子の金属結合1終端を活性化すること、
    (d)前記第1の基材を溶液と接触させること、及び
    (e)前記活性化された金属結合終端が基材に結合して、分子デバイスが第1の基材の上に組立てられるようにすること、
    を有する方法。
  11. 前記段階(c)が溶液中に塩基を提供する段階を有する請求項10記載の方法。
  12. 前記段階(c)が溶液中に酸を提供する段階を有する請求項10記載の方法。
  13. 前記段階(c)が基材へ電圧を印加する段階を有する請求項10記載の方法。
  14. 前記分子デバイスがオリゴ(フェニレンエチニレン)である請求項10記載の方法。
  15. 前記保護基が、チオエーテルと、S-ジフェニルメチルチオエーテルと、置換されたS-ジフェニルメチルチオエーテル及びS-トリフェニルメチルチオエーテルと、置換されたS-メチル誘導体と、置換されたS-エチル誘導体と、シリルチオエーテルと、チオエステルと、チオカーボネート誘導体と、チオカーバメート誘導体と、チオアセテート/チオールアセテート/チオアセチルから成るグループから選択される請求項10記載の方法。
  16. 前記保護基がアセテートを有する請求項10記載の方法。
  17. (f)前記基材へ電圧を印加することによって、第1の基材へ活性化された分子デバイスを引き寄せること、をさらに有する請求項10記載の方法。
  18. 第2の基材と、第1の基材の上へ組立てられた分子デバイスとは異なる第2のタイプの分子デバイスとを用いて、段階(a)〜(f)を繰り返すことをさらに有する請求項17記載の方法。
  19. 金属基材の上に分子回路を組立てるための方法であって、
    (a)各分子デバイス分子が金属結合基を有するような、溶液中の分子デバイス分子を有する混合物を提供すること、
    (b)前記金属基材を溶液と接触させること、及び
    (c)前記基材へ電圧を印加して、金属結合基を引き寄せて基材へ結合させそれにより分子デバイスを基材の上へ組立てること、
    を有する方法。
  20. (a)第1の基材を、分子デバイス分子を含む溶液と接触させること、
    (b)前記基材への電圧の印加によって、基材上における分子デバイスの組立ての速度が、電圧を印加していない基材上への分子デバイスの組立ての速度よりも少なくとも1.5倍となるように、前記基材への分子デバイス分子の結合を十分に遅くすること、及び
    (c)前記第1の基材へ電圧を印加して、第1の基材上における分子デバイス分子の組立てを生じさせること、
    によって作られる分子回路。
  21. (a)第1の基材を、分子デバイス分子を含む溶液と接触させること、
    (b)前記基材への電圧の印加によって、基材上における分子デバイスの組立ての速度が、電圧を印加していない基材上への分子デバイスの組立ての速度よりも少なくとも1.5倍となるように、前記基材への分子デバイス分子の結合を十分に遅くすること、
    (c)前記第1の基材へ電圧を印加して、第1の基材上に分子デバイス分子を組立てること、
    (d)前記第1の基材に隣接する第2の基材を設けること、
    (e)前記第1及び第2の基材を、段階(a)の分子デバイス分子とは異なる第2のタイプの分子デバイス分子を含む溶液と接触させて、前記第2のタイプの分子デバイス分子が前記第2の基材の上に組立てられるようにすること、及び
    (f)前記第1の基材の上に組立てられた分子デバイス分子を、第2の基材の上に組立てられた第2のタイプの分子デバイス分子と、導電性材料で電気的に接続すること、
    によって作られる分子回路。
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