JPH08236836A - 部分的に導電層を有するlb膜の形成方法 - Google Patents

部分的に導電層を有するlb膜の形成方法

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JPH08236836A
JPH08236836A JP7059834A JP5983495A JPH08236836A JP H08236836 A JPH08236836 A JP H08236836A JP 7059834 A JP7059834 A JP 7059834A JP 5983495 A JP5983495 A JP 5983495A JP H08236836 A JPH08236836 A JP H08236836A
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forming
liquid
substrate
conductive
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JP7059834A
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English (en)
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Tokiaki Sha
世明 謝
Kazuo Ikezaki
和男 池崎
Toyoe Moriizumi
豊栄 森泉
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NIPPON GIYOBIYOU SEISAN YUSHIY
NIPPON GIYOBIYOU SEISAN YUSHIYUTSU KK
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NIPPON GIYOBIYOU SEISAN YUSHIY
NIPPON GIYOBIYOU SEISAN YUSHIYUTSU KK
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 任意の箇所に異分子からなる導電層を形成す
ることができるLB膜の形成方法を提供する。 【構成】 水面上に、アラキジン酸10およびピロール
20を浮かべて分子膜を形成する。ITO膜41および
ガラス基板42からなる導電性基板40を液中に浸すと
ともに、白金からなる対極30を液中に浸す。液中に
は、過塩素酸イオンClO を溶かしておく。この状
態で、導電性基板40を徐々に引き上げると、液上の分
子膜がITO膜41の表面上に移し取られ、LB膜11
が形成できる。このとき、スイッチ51をオンにして、
電源50からの電圧を印加すると、液面とITO膜41
表面とが交差するメニスカス近傍において、ピロール2
0が電圧印加重合し、導電性をもったポリピロール層2
1が形成される。ポリピロール層21の形成位置、幅な
どは、導電性基板40の引き上げ動作およびスイッチ5
1のオン/オフ動作によって自由に制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は部分的に導電層を有する
LB膜の形成方法、特に、LB膜の単分子層内に、単分
子と同程度のオーダーの寸法をもった微細な導電層を形
成する方法に関し、LB膜を用いた各種集積回路、電子
素子、センサなどに微細配線を施すために利用できる。
【0002】
【従来の技術】有機分子を水面上で単分子オーダーで配
向制御し、基板上に単分子膜を累積形成する手法とし
て、LB法(ラングミュアーブロジェット法)は従来か
らよく知られた方法であり、このLB法によって形成さ
れた膜は、一般にLB膜と呼ばれている。LB法の基本
原理は、水面上に1分子の厚みをもった単分子膜を形成
し、この単分子膜をそのまま基板の表面上に移し取ると
いう点にある。このような方法を用いれば、有機化合物
を一定に配向させながら、基板上に分子レベルで1層ず
つ累積させてゆくことができ、配向性のよい超薄膜を作
成することが可能になる。
【0003】このような有機化合物の薄膜は、今後、各
種集積回路や電子素子として広く利用されてゆくものと
考えられており、特に、ガス中や溶液中で用いるバイオ
センサとしての利用価値が注目を集めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】LB膜を用いた集積回
路、電子素子、センサなど、いわゆる3次元分子集積回
路を製造する場合、当然、配線層が必要になる。ところ
が、LB法によって、単一の分子層内に異種の分子を配
向制御することは非常に困難である。たとえば、第1の
層を分子Aからなる分子層とし、その上の第2の層を別
な分子Bからなる分子層とする、というように、基板面
と垂直な方向に関して異種分子を交互に配向することは
LB法によって可能であるが、同一層内の任意の領域に
分子Aからなる分子層を形成し、別な任意の領域に分子
Bからなる分子層を形成するような、同一の2次元面内
のパターンニングを行うことはできない。したがって、
従来の技術では、LB法によって任意のパターンをもっ
た配線層を形成することはできなかった。
【0005】このため、LB膜を用いた集積回路、電子
素子、センサなどにおいて配線層を形成する場合、これ
までは、半導体素子におけるパターンニングと同様に、
光や電子線ビームに感応するレジストを用いたフォトリ
ソグラフィ法によるパターンニングを行っていた。しか
しながら、このフォトリソグラフィ法によるパターンニ
ングでは、露光に用いる光やビームの波長以下の寸法の
微細配線を形成することは原理的に不可能である。ま
た、半導体素子に比べれば、極めて微細な構造をもった
LB膜上に、フォトリソグラフィ法によるパターンニン
グ手法を適用すれば、LB膜の微細構造に損傷を与える
可能性が高く、LB膜を用いた素子が微細になればなる
ほど、フォトリソグラフィ法による配線層のパターンニ
ング方法は技術的に困難になる。
【0006】そこで本発明は、任意の箇所に異分子から
なる導電層を形成することができるLB膜の形成方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、部分的に導電層を有する
LB膜の形成方法において、LB膜を形成する性質をも
った第1の材料と、電圧印加により重合し導電性をもっ
た重合体を形成する性質をもった第2の材料とを、所定
の液体の表面に浮かべ、少なくとも一方の面が導電性を
有する基板を、この液体中に徐々に浸漬させ、もしくは
この液体中から徐々に引上げることにより、基板の導電
性面に第1の材料からなるLB膜を形成し、このLB膜
の形成工程における任意の段階で、基板の導電性面と液
体との間に電圧を印加することにより、第2の材料を基
板の導電性面上において重合させ、第2の材料の重合体
からなる導電層を形成するようにしたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、部分的に導
電層を有するLB膜の形成方法において、LB膜を形成
する性質をもった有機分子と、電圧印加により重合し所
定の電解質イオンを取り込むことによって導電性をもっ
た重合体を形成する性質をもった導電性高分子とを、所
定の液体の表面に浮かべ、上記電解質イオンを液体中に
溶かし、少なくとも一方の面が導電性を有する基板を、
この液体中に徐々に浸漬させ、もしくはこの液体中から
徐々に引上げることにより、基板の導電性面に有機分子
からなるLB膜を形成し、このLB膜の形成工程におけ
る任意の段階で、基板の導電性面と液体中に浸漬させた
対極との間に電圧を印加することにより、導電性高分子
を基板の導電性面上において重合させ、導電性高分子の
重合体からなる導電層を形成するようにしたものであ
る。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2
の態様に係る部分的に導電層を有するLB膜の形成方法
において、電圧印加により導電層を形成する段階では、
基板の浸漬もしくは引上げのための移動速度を、LB膜
の形成工程における移動速度よりも遅くするか、もしく
は、基板の移動を一時的に停止するようにしたものであ
る。
【0010】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第2
または第3の態様に係る部分的に導電層を有するLB膜
の形成方法において、LB膜を形成するための有機分子
としてアラキジン酸を、重合体を形成する性質をもった
導電性高分子としてピロールを、液体中に溶かす電解質
イオンとして過塩素酸を、それぞれ用い、アラキジン酸
からなるLB膜内にポリピロールからなる導電層を形成
するようにしたものである。
【0011】
【作 用】ピロール(Py)のように、一般に「導電性
高分子」と呼ばれている高分子材料は、単体では導電性
を有しないが、電解質イオンを含んだ溶液中に分散させ
た状態において、導電性基板を溶液中に浸漬させ、この
基板と溶液との間に電圧を印加すると、基板表面で重合
して導電性ポリマーを形成する性質をもつことが知られ
ており、このような重合方法は、一般に「電解重合」と
呼ばれている。たとえば、水の中に電解質イオンとして
の過塩素酸イオン(ClO )と導電性高分子として
のピロール単体(モノマー状態)を分散させ、導電性基
板および対極をこの溶液中に浸漬させ、両者間に電圧を
印加(基板側が正)すると、基板表面にピロールの重合
体、すなわちポリピロール(PPy)の層が形成され
る。ここで、ポリピロールは、過塩素酸イオンを取り込
んだ重合体となっているために導電性を有する。
【0012】本願発明者は、このような導電性高分子に
ついての電解重合という手法を、LB法に取り込むこと
により、部分的に導電層を有するLB膜を形成する方法
を考え出したのである。すなわち、通常のLB法では、
LB膜を形成する性質をもった有機分子を液体の表面に
浮かべて単分子膜を形成し、この単分子膜を基板上に移
し取るという手法を用いることになるが、本発明では、
LB膜の材料となる有機分子とともに、ピロールのよう
な導電性高分子をモノマーの状態で液体の表面上に浮か
べておき、しかも、液体中には電解質イオンを溶かした
状態にして、導電性基板を用いてLB法を実施するので
ある。
【0013】この場合、導電性基板に何ら電圧を印加し
なければ、基板上には、通常のLB法と同様に、有機分
子のLB膜が形成される。もちろん、基板上の有機分子
のLB膜内には導電性高分子が混入した状態になるが、
導電性高分子はLB膜を形成する有機分子に比べて小さ
いため、LB膜自身の品質には重大な支障を及ぼすこと
はない。また、この導電性高分子は、モノマー状態でL
B膜内に分散しているだけであり導電性は示さない。
【0014】ところが、導電性基板に電圧を印加する
と、基板表面において導電性高分子の電解重合が進み、
導電性高分子のポリマーが形成されることになる。この
とき、導電性高分子は液体の表面上に浮いているだけで
あるから、ポリマーは基板面と液体表面とが交差するメ
ニスカス近傍においてのみ形成されることになる。別言
すれば、メニスカスに沿った直線状にポリマー層が形成
される。前述したように、液体中に電解質イオンを溶か
した状態でこのような電解重合を行うと、形成されたポ
リマー層は導電性を有するものになる。したがって、こ
のポリマー層を配線層として利用することが可能にな
る。
【0015】このように基板上に導電性高分子のポリマ
ー層が形成されるのは、電圧を印加しているときだけで
あるので、基板を液体中に浸漬させながら、もしくは液
体中から引上げながら、任意の時点で電圧印加を行うよ
うにすれば、LB膜内の任意の箇所に線状の導電層を形
成することが可能になる。すなわち、LB膜を用いた各
種集積回路、電子素子、センサなどに微細配線を施す技
術として利用することが可能になる。なお、本願発明者
は、この新規なLB膜の形成方法を、電圧印加重合LB
法と呼んでいる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。はじめに、本発明に関連した一般的なLB法に
よる超薄膜の形成方法を簡単に説明しておく。以下に述
べる一般的なLB法は、ラングミュアー(I. Langmuir
)とブロジェット(K. B.Blodgett)によって最初に提
案された垂直浸漬法と呼ばれている方法である。いま、
図1に示すように、水槽1内に液体2を用意し、その表
面上にLB膜の材料となる有機分子10を展開する。有
機分子10としては、気体と液体とに関して両親媒性を
示す分子であれば何でもよい。本願の図においては、有
機分子10の親水基を円で示し、疎水基を棒状のシンボ
ルで示してある。図1において、有機分子10が「マッ
チ棒」のようなシンボルで示されているのはこのためで
あり、「マッチ棒」の頭の部分が親水基、軸の部分が疎
水基に相当する。
【0017】ここで、浮き子3によって図の矢印Cの方
向に圧力をかけ、有機分子10が一定の表面圧をもった
単分子膜を形成するようにする。すなわち、液体2の表
面上では、親水基が液面に接するようになるため、図に
示すように、有機分子10は、「マッチ棒」が頭を下に
して逆立ちしたように、液体2の液面上で整列すること
になる。この状態で、基板4を液体2の中に浸漬させた
り、液体2の中から引き上げたりする。このとき、基板
4の主面を液体2の表面に対してほぼ垂直に保つように
すると、1回の浸漬過程あるいは1回の引上げ過程にお
いて、基板4の表面に有機分子10の1分子分の厚みを
もった層が形成されることになる。
【0018】図2は、この分子レベルでの層形成過程を
示す図である。たとえば、図2(a)に示すように、基板
4を液体2内から上方へと引き上げるように、矢印Aに
沿って移動させると、液体2の表面は表面張力によって
基板4の移動方向に引き上げられ、親水基が基板4の基
板面側に付着する。こうして、液体2上の分子膜が基板
4の表面上に移し取られ、基板4上に1分子の厚みから
なる第1層LB膜11が形成されることになる。続い
て、図2(b) に示すように、基板4を液体2内に浸漬さ
せるように、矢印Bに沿って下方に移動させると、液体
2の表面は表面張力によって基板4の移動方向に引き下
げられ、疎水基が第1層LB膜11側に付着する。こう
して、第1層LB膜11上に、第2層LB膜12が形成
される。更に続けて、図2(c) に示すように、基板4を
液体2内から上方へと引き上げるように、矢印Aに沿っ
て移動させると、液体2の表面は表面張力によって基板
4の移動方向に引き上げられ、親水基が第2層LB膜1
2側に付着する。こうして、第2層LB膜12上に、第
3層LB膜13が形成される。
【0019】このような浸漬および引上げ過程を繰り返
し実行すれば、基板4上に多層構造をもったLB膜を形
成することができる。しかも、個々の層はいずれも規則
正しい分子配向をもった1分子膜を形成し、また、1層
ごとに親水基/疎水基の分子配向が逆転した構造を得る
ことができる。このようなLB膜を用いると、各種集積
回路、電子素子、バイオセンサなどの素子を実現するこ
とができる。
【0020】本発明は、このようなLB膜内に、導電層
を形成するための新規な手法を提案するものである。本
発明によれば、LB法によってLB膜と導電層とを同時
に形成することができ、しかも導電層の形成位置を任意
に制御することが可能になる。以下、この方法を図示す
る実施例に基づいて説明する。
【0021】いま、図3に示すように、液体2として、
過塩素酸イオン(ClO )の水溶液を用意する。こ
のような水溶液は、たとえば、水に過塩素酸リチウム
(LiClO)などを溶かすことにより得ることがで
きる。一方、LB膜の形成材料となる両親媒性の有機分
子10としてのアラキジン酸(C1939COOH)
と、導電性高分子20としてのピロールと、を用意し、
これらを溶媒としてのベンゼンに溶かした上で液体2の
上に流す。ベンゼンは揮発性を有するため、やがて蒸発
して除去されてしまい、結局、水面上にアラキジン酸1
0とピロール20とが浮かんだ状態になる。図では、ア
ラキジン酸10を前述したように「マッチ棒」のような
シンボルで示し、ピロール20を白抜きの小さな正方形
で示してある。この実施例では、アラキジン酸10とピ
ロール20とをモル比1:1でベンゼンに溶かしたもの
を用いたが、本発明はこの比率に何ら限定されるもので
はない。本願発明者が行った実験によれば、アラキジン
酸:ピロールをモル比1:30程度でベンゼンに溶かし
た場合でも、本発明の作用効果には何ら問題は生じなか
った。
【0022】さて、このように用意した液体2内に、対
極30と基板40とを浸漬させる。この実施例では、対
極30としては白金電極を用い、基板40としてはIT
O(Indium Tin Oxide)膜41をガラス基板42上に形
成した導電性基板を用いているが、本発明はこれらに限
定されるものではない。要するに、対極30は、電極と
して利用できる材料であればどのような材料を用いても
よいし、基板40は、少なくとも一方の面が導電性を有
する基板であればどのようなものでもかまわない。そし
て、電源50およびスイッチ51を用意し、対極30と
ITO膜41との間に電圧を印加できるようにする。こ
の実施例では、電解質イオンとして過塩素酸イオン(C
lO )を用いているため、ITO膜41側が正にな
るような極性で電圧を印加できるようにしている。
【0023】このような状態において、図示されていな
い浮き子3により、液体2上に展開しているアラキジン
酸10およびピロール20の膜に対して所定の表面圧を
加え、水面上に分子膜が形成されるようにする。この実
施例では、図の横方向に対して、25mN/m程度の圧
力を浮き子3によって加えることにした。ここで、スイ
ッチ51をオフの状態に保ったまま、たとえば、導電性
基板40を矢印Aの方向に引き上げてみると、図2(a)
で示した原理により、導電性基板40の表面上には、ア
ラキジン酸10からなる第1層LB膜11が形成される
ことになる。もちろん、液体2の表面上には、アラキジ
ン酸10とともにピロール20が分布しているので、第
1層LB膜11の一部分には、ピロール20が混入した
状態になる。しかしながら、モノマーとしてのピロール
20の大きさは、5〜6オングストロームであるのに対
し、アラキジン酸10の1分子の大きさは、28オング
ストローム程度と大きいため、第1層LB膜11内にお
いて、モノマーとしてのピロール20が混入することに
よって、LB膜の性質に大きな支障が生じることはな
い。
【0024】ところが、スイッチ51をオンにすると、
ITO膜41側に正、対極30側に負の極性の電圧が印
加されることになり、液体2とITO膜41との間に電
圧がかかることになる。前述したように、ピロール20
は、電圧印加により重合し、ポリピロールを形成する性
質をもった導電性高分子なので、液体2内に溶けている
過塩素酸イオン(ClO )を取り込みながら重合が
行われ、ITO膜41の表面上にポリピロール層21が
形成されることになる。図では、このポリピロール層2
1を黒い小さな正方形を複数個並べて示してある。もち
ろん、このポリピロール層21は導電性をもった層にな
る。ここで重要な点は、このポリピロール層21は、I
TO膜41の表面と液体2の液面とが交差するメニスカ
スの部分だけに形成されるという点である。なぜなら、
重合に必要な電圧は、ITO膜41の表面と液体2との
界面にかかっており、しかも、ピロール20は、液体2
の溶液中には存在せず、その表面上の膜内にのみ存在す
るからである。このため、ピロール20の重合は、液面
とITO膜41の表面とが交差するメニスカスのライン
に沿った線状の領域において行われ、形成されるポリピ
ロール層21は、メニスカスに沿った線状の導電層にな
る。
【0025】もちろん、実際に形成される導電層は、幅
をもった線になるが、導電性基板40を徐々に引き上げ
てゆく工程において、スイッチ51をオン状態に維持す
る時間により、この導電層の幅を制御することが可能に
なる。具体的には、スイッチ51をオン状態に維持する
時間が長ければ長いほど、幅の広い導電層が形成される
ことになる。また、電源50からの印加電圧によって
も、導電層の性質を制御することが可能である。図3に
示すポリピロール層22は、ポリピロール層21の形成
時より前に形成された導電層である。すなわち、このポ
リピロール層22がメニスカスの位置にあったときに、
スイッチ51がオン状態にされ、続いて、スイッチ51
をオフ状態にして導電性基板40を引き上げてゆき、再
び、図3に示す位置において、スイッチ51をオン状態
にすることにより、ポリピロール層21が形成されたこ
とになる。
【0026】この様子は、図4の斜視図に明瞭に示され
ている。ポリピロール層21は、図4の一点鎖線に沿っ
た線状の導電層を形成している。この一点鎖線は、液体
2の表面とITO膜41の表面とが交差するメニスカス
の位置を示している。ポリピロール層22は、過去にこ
の位置がメニスカスの位置にあったときに、スイッチ5
1をオンにすることにより電圧印加重合が行われて形成
された導電層ということになる。もちろん、ポリピロー
ル層22の形成位置からポリピロール層21の形成位置
まで、継続的にスイッチ51をオン状態に保っていれ
ば、面状の導電層を形成することも可能である。このよ
うに、導電性基板40を引き上げながら、もしくは浸漬
させながら、任意の時点でスイッチ51をオンにするこ
とにより、所望の位置にポリピロールからなる導電層を
形成できる点が、本発明の特徴である。
【0027】本実施例では、スイッチ51をオフの状態
に維持して、導電性基板40を上方へ3mm/minの
速度で引き上げながら、アラキジン酸10からなる第1
層LB膜11を形成する第1のプロセスと、導電性基板
40の移動を停止させた状態において、スイッチ51を
オンにして電源50から10Vの電圧を印加し、10分
間そのままの状態を維持しながら、メニスカスの近傍領
域にポリピロール層を形成する第2のプロセスとを、導
電性基板40を1cm引き上げるごとに交互に繰り返し
実行した。その結果、ITO膜41上に、アラキジン酸
の1分子の厚みをもった第1層LB膜を得るとともに、
幅100μm程度の線状のポリピロール層を1cmピッ
チで得ることができた。実用上は、ポリピロール層の幅
をある程度確保しておかないと、断線のない信頼性の高
いオーミックな配線層としては利用できない。このよう
にある程度の幅をもった導電層を得るためには、上述の
実施例のように、導電層形成プロセス(上述の第2のプ
ロセス)において、基板を所定時間だけ静止した状態に
保つか、あるいは引き上げもしくは浸漬のための移動速
度をある程度遅くするのが好ましい。
【0028】図5は、ITO膜41上に、第1層LB膜
11〜第4層LB膜14までの4層からなるLB膜を1
層ずつ形成し、任意の箇所において、ポリピロール層2
1,22,23を線状導電層(紙面に垂直な方向に伸び
ている)として形成した状態を示す断面図である。第2
層LB膜12において2回、第3層LB膜13において
1回、それぞれ導電層形成プロセス(スイッチ51をオ
ンにして電圧印加重合を行うプロセス)を実行し、ポリ
ピロール層21,22および23が形成されたことにな
る。ここで、もしポリピロール層21と23とを電気的
に接続したいのであれば、たとえば、図6に示すよう
に、第3層LB膜13および第4層LB膜14に接続用
配線層を構成するポリピロール層24を形成するように
すればよい。特に、第4層LB膜14内に形成されたポ
リピロール層24は、2次元平面的に広がった導電層で
あり、スイッチ51をオン状態に維持したままITO膜
41を移動させることにより形成できる。
【0029】このように、上述の実施例に係る電圧印加
重合LB法によってLB膜を形成すると、アラキジン酸
のLB膜内の一部分にポリピロール層が存在することに
なるが、アラキジン酸層もポリピロール層もいずれも同
一のLB法プロセスによって形成される層であるため、
ポリピロール層の存在によって、アラキジン酸のLB膜
としての基本的な性質に影響が及ぶことはない。
【0030】以上説明した電圧印加重合LB法の第1の
利点は、同一平面上のLB膜の任意の一部分に異種分子
層を混在させることができるという点である。これま
で、各層ごとに異なる分子を累積する層間でのヘテロ接
合の手法は知られていたが、本発明はLB膜の同一層内
における異種分子間のヘテロ接合を可能にすることがで
きる。この手法は、LB法の用途や応用範囲を大きく拡
大する。第2の利点は、一般のLB膜は、基板および基
板上の分子との間でのファンデルワールス力(分子間
力)による結合によって形成される膜であるのに対し、
本発明によって形成される導電性高分子の導電層は、電
解重合によって形成される層になるため、基板との間の
密着性が大きくなり、信頼性の高い配線層を実現できる
点である。また、第3の利点は、フォトリソグラフィ法
のように、レジストに光や電子ビームを照射してパター
ニングする配線層の形成方法に比べて、本発明による方
法は光や電子ビームを使用しないため、光や電子ビーム
の波長以下の微細な分子レベルの寸法をもった配線層を
形成することができる点である。更に、第4の利点は、
電子ビーム露光法とは異なり、超高真空を必要とせず、
常温、常圧において導電層を形成することができるた
め、配線形成工程を簡略化させることができる点であ
る。
【0031】以上、本発明を図示する実施例に基づいて
説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
なく、この他種々の態様で実施可能である。要するに、
本発明の基本概念は、LB膜を形成する性質をもった第
1の材料と、電圧印加により重合し導電性をもった重合
体を形成する性質をもった第2の材料とを、所定の液体
の表面に浮かべ、少なくとも一方の面が導電性を有する
基板を、この液体中に浸漬させ、もしくはこの液体中か
ら引上げることにより、基板の導電性面に第1の材料か
らなるLB膜を形成し、このLB膜の形成工程における
任意の段階で、基板の導電性面と液体との間に電圧を印
加することにより、第2の材料を基板の導電性面上にお
いて重合させ、第2の材料の重合体からなる導電層を形
成する点にあり、この基本思想から逸脱しない範囲内に
おいて、本発明は種々の態様で実施可能である。
【0032】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る部分的に導電
層を有するLB膜の形成方法によれば、導電性高分子の
電圧印加重合を利用して導電層を形成するようにしたた
め、LB膜の任意の箇所に異分子からなる導電層を形成
することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連した一般的なLB法による超薄膜
の形成方法の原理を説明する図である。
【図2】図1に示す原理に基づいて、LB膜を形成する
具体的な方法を示す図である。
【図3】本発明に係る部分的に導電層を有するLB膜の
形成方法の基本原理を説明する原理図である。
【図4】図3に示す原理を説明するための斜視図であ
る。
【図5】図3に示す原理によって形成された部分的に導
電層を有するLB膜の一例を示す断面図である。
【図6】図3に示す原理によって形成された部分的に導
電層を有するLB膜の別な一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…水槽 2…液体 3…浮き子 4…基板 10…有機分子(アラキジン酸) 11…第1層LB膜 12…第2層LB膜 13…第3層LB膜 14…第4層LB膜 20…導電性高分子(ピロール) 21〜24…ポリピロール層 30…対極(白金) 40…導電性基板 41…ITO膜 42…ガラス基板 50…電源 51…スイッチ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LB膜を形成する性質をもった第1の材
    料と、電圧印加により重合し導電性をもった重合体を形
    成する性質をもった第2の材料とを、所定の液体の表面
    に浮かべ、 少なくとも一方の面が導電性を有する基板を、前記液体
    中に徐々に浸漬させ、もしくは前記液体中から徐々に引
    上げることにより、前記基板の導電性面に前記第1の材
    料からなるLB膜を形成し、 このLB膜の形成工程における任意の段階で、前記基板
    の導電性面と前記液体との間に電圧を印加することによ
    り、前記第2の材料を前記基板の導電性面上において重
    合させ、前記第2の材料の重合体からなる導電層を形成
    することを特徴とする部分的に導電層を有するLB膜の
    形成方法。
  2. 【請求項2】 LB膜を形成する性質をもった有機分子
    と、電圧印加により重合し所定の電解質イオンを取り込
    むことによって導電性をもった重合体を形成する性質を
    もった導電性高分子とを、所定の液体の表面に浮かべ、
    前記電解質イオンを前記液体中に溶かし、 少なくとも一方の面が導電性を有する基板を、前記液体
    中に徐々に浸漬させ、もしくは前記液体中から徐々に引
    上げることにより、前記基板の導電性面に前記有機分子
    からなるLB膜を形成し、 このLB膜の形成工程における任意の段階で、前記基板
    の導電性面と前記液体中に浸漬させた対極との間に電圧
    を印加することにより、前記導電性高分子を前記基板の
    導電性面上において重合させ、前記導電性高分子の重合
    体からなる導電層を形成することを特徴とする部分的に
    導電層を有するLB膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の形成方法において、 電圧印加により導電層を形成する段階では、基板の浸漬
    もしくは引上げのための移動速度を、LB膜の形成工程
    における移動速度よりも遅くするか、もしくは、基板の
    移動を一時的に停止することを特徴とする部分的に導電
    層を有するLB膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の形成方法にお
    いて、 LB膜を形成するための有機分子としてアラキジン酸
    を、重合体を形成する性質をもった導電性高分子として
    ピロールを、液体中に溶かす電解質イオンとして過塩素
    酸を、それぞれ用い、アラキジン酸からなるLB膜内に
    ポリピロールからなる導電層を形成することを特徴とす
    る部分的に導電層を有するLB膜の形成方法。
JP7059834A 1995-02-23 1995-02-23 部分的に導電層を有するlb膜の形成方法 Pending JPH08236836A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005507319A (ja) * 2001-03-02 2005-03-17 ウィリアム・マーシュ・ライス・ユニバーシティ 分子デバイスの電圧アシスト組立て

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