JP2005504572A - 縫合装置及び方法 - Google Patents

Abstract

縫合装置が一対のジョーを含む。ジョーの一方に収められた屈曲可能針が、縫合糸を支持するようになされる。任意の縫合糸受け部を対向するジョーに隣接して配置することができる。転換ブロックが、針を湾曲させ、該針支持用ジョーの軸線に全体的に平行ではない方向に配向する。針は、縫合糸を引き戻しするように構成することもできる。保持機構が、縫合糸を針によって係合されるべき所定の位置に保持する。針を収めるジョーは、縫合糸を挿入できる横方向の開口部を含むことができる。針はまた、縫合糸を受けるための横方向の開口部と位置合わせできる横方向のノッチを含むこともできる。針に連結されたアクチュエータは、使用者が、ノッチを横方向のスロットと位置合わせするように、針を近位側方向に移動させることを可能にする。

Description

【０００１】
（関連出願）
本出願は、２００１年１０月１日に出願された「縫合装置及び方法」という名称の米国特許仮出願第６０／３２６，２８７号、及び２００２年２月２５日に出願された「保持機構を備える縫合装置」という名称の米国特許仮出願第６０／３５８，９６０号に関し、これらに基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は、その開示があたかも完全に記述されたかのように引用によりここに組み入れられる。
【０００２】
（技術分野）
本発明は、一般に、縫合装置及び方法に関する。
【０００３】
（背景技術）
従来の縫合装置は、侵襲性の少ない外科処置において、カニューレを介した使用を助けるために、細長い形状を有し、かつ薄型であることが必要とされた。これらの装置は、一般的には、縫合されるべき組織上にクランプする対向するジョーを含んでいた。典型的には、はさみのハンドルにより行われるこの単純なクランプ動作に加えて、縫合糸をジョーの間及び組織に通すための機構は、非常に複雑なものであった。
この複雑さは、主として、細長く薄型の形状が、細長いチューブを通じて伝達することができる作動力を必要とするという事実からもたらされたものである。次に、器具の軸線に沿ったこの力を、ジョーの間で軸線に対してほぼ垂直に延びる力に変換しなければならない。この変換に適応するための簡単な構造体は、考案されていない。さらに、縫合機構の複雑さのため、縫合糸を機構に装填することも複雑であった。
【０００４】
（発明の開示）
本発明によって、これらの必要性に対処し、従来技術の欠陥を克服する構造体及び関連する方法が開示される。
【０００５】
一態様において、縫合装置は、互いに対して移動可能な第１ジョー及び第２ジョーを含む。屈曲可能針が、第１ジョーにより支持され、縫合糸を支持するようになっている。針は、針がジョー内に実質的に収められる第１位置と、針の遠位側部分が第１ジョーから突出する第２位置との間で移動可能である。装置は、縫合糸を、屈曲可能針により支持される前に所定位置に固定するための手段と、第１ジョーから間隔をおいて配置され、該屈曲可能針により支持された縫合糸を外すように構成された縫合糸受け部と、をさらに含む。
固定手段は、第１ジョーの遠位側部分に含まれる片持ちばね、該第１ジョーの遠位側部分に形成された溝、フラップ、又はエストラマー・パッドを含むことができる。第１ジョーは、軸線を定め、屈曲可能針を該軸線にほぼ垂直な方向に案内するようになった転換ブロックをさらに含む。
【０００６】
別の態様において、縫合装置は、進入部を定める第１ジョーと、該第１ジョーに対して移動可能な第２ジョーと、該第１ジョーにより支持され、近位位置と遠位位置との間で移動可能な屈曲可能針とを含む。針は、進入部を通して縫合糸を針スロット内に装填するのを可能にするように、該進入部と位置合わせできる針スロットが形成されている。
この装置は、第２ジョーに隣接して、又は該第２ジョーと一体に配置することができる縫合糸受け部をさらに備える。この装置は、屈曲可能針に連結され、該屈曲可能針を近位位置と遠位位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータをさらに含む。アクチュエータは、親指レバーを含むことが好ましい。第１ジョーは、軸線を定め、進入部と連通した軸方向のスロットをさらに含む。進入部は横方向の開口部を含むことができ、針スロットは横方向のスロットを含むことができる。
【０００７】
縫合糸引き戻し装置もまた提供される。この縫合糸引き戻し装置は、互いに対して移動可能な第１ジョー及び第２ジョーと、該第１ジョーから間隔をおいて配置され、かつ縫合糸を釈放可能に保持するようになった縫合糸受け部と、該第１ジョーにより支持された屈曲可能針とを含む。屈曲可能針は、近位位置と遠位位置との間で移動可能である。屈曲可能針は、該屈曲可能針が遠位位置にあるときに縫合糸に係合するようになった針の遠位側部分を有する。この針の遠位側部分は、フックを含む。第２ジョーは、縫合糸受け部を含むことができる。
【０００８】
組織を縫合する方法が提供される。この方法は、縫合されるべき組織の一部をクランプし、屈曲可能針との係合のために縫合糸を所定位置に固定し、縫合糸を屈曲可能針と係合させ、屈曲可能針で該縫合糸を受け部の方向に支持し、該縫合糸を受け部で保持し、該屈曲可能針を引っ込めて、該縫合糸を外す段階を含む。
縫合されるべき組織をクランプする段階は、第１ジョー及び第２ジョーで組織の一部を捕捉する段階を含む。この方法は、屈曲可能針を軸方向に進める段階をさらに含む。
屈曲可能針で縫合糸を受け部の方向に支持する段階は、屈曲可能針を曲げ、該屈曲可能針の少なくとも一部を横方向に移動させる段階を含む。
【０００９】
縫合糸を縫合装置に装填する方法も提供される。この方法は、針スロットを有する針を第１ジョー内に収め、該針を、該針スロットが該第１ジョーの進入部と位置合わせされないように該第１ジョーに対して遠位側方向に付勢し、該針スロットを該進入部と位置合わせし、該進入部を通して縫合糸を該針スロット内に配置し、該針が該縫合糸を係合し、かつ該縫合糸を遠位側に支持するように、付勢された針を外す段階を含む。
針スロットを進入部と位置合わせする段階は、針を近位側又は遠位側のいずれかに移動させる段階を含むことができる。針を近位側に移動させる段階は、指摺動部を用いて該針を近位側に移動させる段階を含む。進入部を通して縫合糸を針スロット内に配置する段階は、縫合糸を進入部の周りでループ状にする段階を含む。
【００１０】
要約すれば、縫合装置は一対のジョーを含む。ジョーの一方に収められる屈曲可能針は、縫合糸を、対向するジョーに隣接して配置される縫合糸受け部の方向に支持するようになる。転換ブロックは、針を湾曲させ、支持用ジョーの軸線に全体的に平行ではない方向に配向する。針は、縫合糸を引き戻しするように構成することもできる。保持機構が、縫合糸を針により係合されるべき所定位置に保持する。針を収めるジョーは、縫合糸を挿入できる横方向の開口部を含むことができる。針はまた、縫合糸を受けるための横方向の開口部と位置合わせできる横方向のノッチを含むこともできる。針に連結されたアクチュエータは、使用者が、ノッチを横方向のスロットと位置合わせするように、針を近位側方向に移動させることを可能にする。
【００１１】
ここで手短に要約された本発明は、同じ要素が同じ符号によって示される以下の図面を参照することによって、より良く認識することができる。
本発明及びその様々な実施形態は、図示された実施形態が説明される以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解することができる。図示された実施形態は、例として説明されるものであり、特許請求の範囲に最終的に定義される本発明を限定する目的ではないことを明確に理解すべきである。
【００１２】
（発明を実施するための最良の形態）
縫合装置の第１の好ましい実施形態が、図１に示され、全体を参照符号１０で示される。この装置１０は、近位端１２及び遠位端１４をもった細長い形状を有するものとして示される。ハンドル組立体１６が近位端１２に配置され、はさみのハンドル１８及び２１、並びにアクチュエータ２３を含む。一対の対向するジョー２５及び２７が遠位端に配置され、長いシャフトすなわちチューブ２９を介してハンドル組立体１６に連結される。一実施形態においては、図２に示されるように、上部ジョー２５は、下部ジョー２７に対してピボット運動可能である。
【００１３】
図示される実施形態において、下部ジョー２７は、本発明に特に有用な針３２を含む。この場合、針３２は、ほぼ平坦で、狭く、細長い形状を有する。針３２は可撓性であり、該針３２は、ほぼ軸方向の力で移動させることができ、例えば９０°だけ湾曲部上で曲げて、軸線にほぼ垂直に、対向する上部ジョー２５に向けて移動させることができる。針３２は、如何なる角度にも曲げることができ、軸線から離れる如何なる方向にも進め得ることを明確に理解すべきである。好ましくは親指用ロッカー又は摺動部を含むアクチュエータ２３が、針３２に連結される。アクチュエータ２３により、使用者が、針３２を、遠位側の突出作動位置及び近位側の後退不作動位置に進めることが可能になる。
この針３２に縫合糸３４を通すことにより、該針が組織を貫通して動かされ、通されるべき縫合糸３４を該針と共に運ぶことが可能になる。対向するジョー２５は、針３２を戻して下部ジョー２７内に引き抜く際に、縫合糸を該針３２から外すようにされた任意の受け部を含むことができる。この時点では、縫合糸は、組織を通って上部ジョー内に延びる。図４に示されるように、ジョーを組織から外すことにより、結束又はさらなる操作のために縫合糸を所定の位置に残したままの状態で、装置１０を引き抜くことが可能になる。一旦針が引っ込められると、組織自体が縫合糸の受け部として働くことが多いので、縫合糸受け部は任意のものである。
【００１４】
本実施形態において、下部ジョーは、針３２を受けるようにされた細長い形状及びチャネル３６を含むものとして、図５Ａに示されている。針は、このジョー２７の遠位端で曲げられ、該針３２を湾曲させ、該針３２を縫合糸受け部に向けて配向するのを助ける転換ブロック３８を通って上昇する。図示された実施の形態は、針３２を下部ジョー２７の軸線に対して垂直に湾曲させる転換ブロック３８を示すが、該転換ブロック３８は、該下部ジョー２７の軸線に全体的に平行ではない特定の角度又は方向に該針３２を湾曲させ、これを方向付けるように構成できる。図５Ａは、引っ込められた針を示し、図５Ｂは、動かされた状態にあり、縫合糸３４を対向するジョー２５に運ぶためにスロット４０が設けられた針３２を示す。この構成は、図６の半径方向断面図にさらに示される。
上部ジョー２５において、縫合糸３４を針３２から外すために、縫合糸受け部４１が設けられる。図７Ａに示されるように、針３２に係合し、縫合糸３４を通すために、金属又はエストラマーのフラップ又はパドル４３が設けられる。図７に示されるように、針３２が引き込まれる際に、このフラップ４３は、縫合糸３４を針スロット４０から引き出す。
【００１５】
同様の実施形態においては、図８Ｂに示されるように、針３２及び通された縫合糸３４は、該縫合糸３４に同様に係合し、針３２が引っ込まれる際に該縫合糸３４を針スロット４０から取り外すエストラマー・パッド４５によって引き出される。
【００１６】
縫合装置の第２の好ましい実施形態が、図６と同様の断面図であるが、支持具ではなく引き戻し具として機能する針３２を示す図９に示される。この実施形態において、縫合糸３４は、最初に上部ジョー２５により支持される。この場合の針スロット４２は、針３２の側部から遠位側に延びる。図１０Ａに示されるように、この針３２及びスロット４２が延ばされると、該スロット４２が上部ジョー２５内の縫合糸３４に係合する。針３２が引っ込まれる時、縫合糸が針スロット４２内に引き戻しされ、組織を通って再び運ばれる。このプロセスの最終段階は、図４に関して前に説明されたものと同じである。
【００１７】
この装置１０は、上部ジョー２５により支持される針３２を用いて作動できることが明らかであろう。こうした特徴は、針３２が縫合糸支持具として機能する図１１の断面図に示される第３の好ましい実施形態において示される。特に、針３２内に形成された縫合糸スロット４０は、該スロット４０が受け部又は下部ジョー２７の方に向くように、端部５２に対して遠位側に配置された開口部５０を含む。このようにして、縫合糸３４は、針３２によって、対向する下部ジョー２７の方向に運ばれる。
【００１８】
図１２において、縫合装置の第４の好ましい実施形態は、針３２が上部ジョー２５により支持された縫合糸引き戻し装置を含む。この場合、針３２は、縫合糸３４の引き戻し具として機能する。針３２には、スロット４２が対向する下部ジョー２７から遠ざかる方に向くように、端部５６に対して近位側に配置された開口部５４を有するスロット４２が形成されている。図示された実施形態において、針３２の遠位側部分は、このようにフックとして形作られることが好ましい。
【００１９】
縫合装置の第５の好ましい実施形態が、図１３において、全体を参照符号１１０で示される。図１３から図１５までにおいて、装置１１０は、近位端１１２及び遠位端１１４を有する長い形状を含む。ハンドル組立体（図示せず）は、近位端１１２に配置され、遠位端１１４において一対の対向する縫合用ジョー１１６、１１８に作動的に連結されたはさみのハンドルを含むことができる。長いシャフトすなわちチューブ１２１が、ジョー１１６及び１１８をハンドル組立体に連結させる。図１３から図１５までに示されるように、一実施形態において、上部ジョー１１６は、下部ジョー１１８に対してピボット運動可能である。
図示される実施形態において、下部ジョー１１８は、本発明に特に有用な保持機構１２３を含む。装置１１０は、ハンドル組立体と、ジョー１１６、１１８の一方に収められる屈曲可能針１２５と、上述のジョー１１６、１１８のもう一方に含まれる縫合糸受け部とを含むことができる。保持機構１２３は、針１２５が係合する際に縫合糸１２７が容易に外れるようにしながら、該縫合糸１２７を固定的に保持するように働くものであるので、該機構１２３は、該針１２５を収めるジョー内に含まれるのが好ましい。例えば、針１２５が上部ジョー１１６に収められる場合には、保持機構１２３もまた該上部ジョー１１６に含まれるようにする。
【００２０】
第１の好ましい固定機構１２３は、ジョー１１８の遠位先端部１３２に形成されたばね１２９を含む。ばね１２９は、それ自体にそり返された片持ち部分１３４を含む。図１６及び図１７により明確に示されるように、くさび又は溝１３６が、片持ち部分１３４と対向する壁１３８との間に定められる。図１３から図１６までの図示実施形態においては、固定機構１２３は、ジョー１１８と一体に形成される。縫合糸１２７を取り付けるため、第１端部１４１はジョー１１８の下に、もう一方の端部１４３は該ジョー１１８の上に保持される。縫合糸１２７が溝１３６内に押し込まれるように、両端１４１、１４３を近位側方向に引っ張ることができる。溝１３６内に配置されたとき、片持ち部１３４は、縫合糸１２７を対向する壁１３８に向けて付勢し、よって、該縫合糸１２７は、針１２５による係合のために、所定の位置に固定的に挟まれることになる。
ばね１２９の付勢力は、縫合糸１２７が、針１２５による係合がない状態でもしっかりと保持され、しかも、係合時に容易に外せるように構成される。したがって、ばね１２９は、針との係合時に縫合糸１２７が外れることを可能にしながら、該縫合糸１２７を対向する面に当接させるか又は該対向する面に押し当てて挟むことができる様々な機構を含み得ることが明確に理解される。両端１４１、１４３が近位側方向に引っ張られるときに、針１２５を横切って延びている通路に沿って該縫合糸１２７の一部１４７が位置するように、溝１３６が針出口ポート１４５と位置合わせされるか、又は該針出口ポートに隣接して配置されることが好ましい。
【００２１】
図１８において、第２の好ましい保持機構１２３ａは、ジョー１１８ａから切り離して形成されたばね機構１２９ａを含むことができる。このばね機構１２９ａは、ジョー１１８ａ内に形成されたスロット１５２の中に嵌まるように構成された固定具１４９を含む。
【００２２】
図１９及び図２０において、第３の好ましい保持機構１２３ｂは、近位に延びるにつれて次第に狭くなるジグザグ形の溝１５４を含む。ジグザグ形のパターンは、近位側の先細形状と共に、縫合糸１２７が近位側方向に引っ張られた時のしっかりと嵌合を助ける。特に、溝１５４の近位側の先細構成が、該縫合糸が近位側に引っ張られる際に該縫合糸を所定の位置に挟む一方で、ジグザグ形のパターンが、縫合糸１２７をジョー１１８ｂから遠位側で外れないようにする。
【００２３】
縫合装置の第６の実施形態が、図２１から図２７までにおいて、全体が参照符号２１０で示される。この装置２１０は、互いに対してピボット運動可能な第１ジョー２２０及び第２ジョー２２２を含む。図２１から図２３までにおいて、第１ジョー２２０は、屈曲可能針２２４を収めるように構成される。この針支持用ジョー２２０は、装置２１０の下部又は上部ジョーのいずれかからなるものとすることができる。屈曲可能針２２４は、該針２２４が非作動位置すなわち非穿刺位置にあるとき、第１ジョー２２０の中のチャネル２２６内に実質的に配置される。
【００２４】
図２２において、第１ジョー２２０は、軸方向のスロット２３１と連通する開口部すなわち進入部２２８を定める。進入部２２８には、第１ジョー２２０の側面の１つに開いている比較的広い口２２３が設けられるのが好ましい。この好ましい横方向の進入部２２８は、該侵入部２２８が軸方向のスロット２３１に接近するにつれて先細になる。
【００２５】
図２３において、本発明にとって特に関心ある針２２４は第１ジョー２２０の上に重なるものであるが、分かりやすくするために位置から外れて示される。上述のように、組立てられたときには、針２２４は、チャネル２２６の中にある。針２２４は、横方向のスロットすなわちノッチ２３５を含む。縫合糸を切断しないように、ノッチ２３５を定める縁部は、丸みをつけるか、又は滑らかにするのが好ましい。針２２４は、遠位側の三日月形部分２３７と隣接する近位側の三日月形部分２３９とを含む。三日月形部分２３７、２３９は、針２２４が曲げられた時に全ての応力がノッチ２３５に集中しないように、協働して、該針２２４の大きな長さにわたって広がる可撓性を与える。ノッチ２３５は、三日月形部分２３７、２３９間に配置されるのが好ましい。
【００２６】
静止状態において、針２２４は、進入部２２８に対していずれの静止位置に向けて付勢してもよい。例えば、静止位置は、図２３に示されるように、進入部２２８の遠位側に、又は該進入部２２８の近位側に配置されたノッチ２３５を含むことができる。縫合糸を装填するために、針２２４が装填位置に移動させられ、これにより、ノッチ２３５が、図２４に示されるように進入部２２８と位置合わせされる。ノッチ２３５が進入部２２８の遠位側になるように針２２４が付勢された場合には、該針２２４を第１ジョー２２０に対して近位側方向に移動させることによって位置合わせが達成される。したがって、ノッチ２３５が進入部２２８の近位側になるように針２２４が付勢された場合には、該針２２４を第１ジョー２２０に対して遠位側方向に移動させることによって位置合わせが達成される。図２５は、縫合装置２１０の好ましいハンドル組立体２４３を示す。図２５において、手動操作可能なアクチュエータ２４４が、その近位側及び遠位側の両方に移動できるように針に連結される。図示された実施形態において、アクチュエータ２４４は、使用者の親指で後方にコックさせて針を近位側に移動させてノッチを進入部と位置合わせし、また、前方に動かして、これにより該針を遠位側に進めることができる親指レバー又はロッカーを含むことが好ましい。
【００２７】
図２６は、装置２１０に装填されている状態の縫合糸２４６を示す。縫合糸２４６は、ループ状に形成され、進入部２２８の中に通される。縫合糸２４６が第１ジョー２２０を横切ってわずかに張りを持たせて保持された状態で、該縫合糸２４６が、進入部２２８に入って、針のノッチ内に位置させられている。この状態では、図２５に示される指摺動部を弛め、それにより捕捉された縫合糸２４６を有する針を遠位側に付勢して、図２７に示される静止位置にすることができる。第１ジョー２２０の軸方向のスロット２３１は、捕捉された縫合糸２４６が針２２４により運ばれるときに、該糸が自由に移動することを可能にするものであることが分かる。
【００２８】
転換ブロック２４８が、第１ジョー２２０の遠位側部分に設けられ、該ブロックはジョー２２０と一体にしてもよく、又は該ジョー２２０とは別であってもよい。転換ブロック２４８は、如何なる所望の角度にも針を湾曲させ、かつ該針を方向付けこともでき、図示実施形態においては、第１ジョー２２０にほぼ垂直なものとして示されている。
【００２９】
図２６及び図２７において、第２ジョー２２２は、側部開口部２５５を有する孔２５３を定める遠位側フック２５１を含む。ジョー２２０、２２２が組織片の上にクランプされるとき、孔２５３は、組織を穿刺した後の針が通過するのを可能とするように構成される。針が引き抜かれる場合には、針２２４が引っ込められたときに縫合糸２４６を保持することによって、組織は、縫合糸受け部として働く。このことにより、ジョー２２２と接触する組織の側に縫合糸２４６のループ又は自由線が残される。次に、フック２５１をループ内に置き、引っ張ることができる。或いは、２つのジョー２２０、２２２を、縫合糸の自由線上に把持し、組織を通して引っ張ることができる。図２５において、固定された指サポート部２５７が、アクチュエータ２４４に対する反力板として働く。
【００３０】
図２８において、好ましい屈曲可能針２２４は、組織が針２２４のいずれかの部分に引っかかるか又は捕捉されるのを防止することによって、該組織の滑らかな穿刺を助ける遠位側部分を含む。針２２４は、ノッチ側２５９と反対側の三日月形側２６２とを含む。特に、針２２４は、ノッチ２３５の近位側に配置された、まっすぐなノッチ側縁部２６４を含む。針２２４はまた、ノッチ側縁部２５９とほぼ平行に延びる針の軸線「Ａ」も定める。
針２２４が組織を穿刺するとき、該組織は、ノッチ２３５の遠位側に配置された遠位側レッジ２６８をもたらすノッチ側傾斜路２６６に沿って移動する。遠位側レッジ２６８は、軸線「Ａ」から横方向の距離「Ｂ」だけ間隔をおいて配置され、近位側レッジ２７１は、軸線「Ａ」から横方向の距離「Ｃ」だけ間隔をおいて配置されることが分かるであろう。好ましい実施形態において、遠位側レッジ２６８が穿刺された組織を外側に押し付け、それによりノッチ２３５内に捕捉されることが回避されるように、距離「Ｂ」は、距離「Ｃ」より大きい。組織はノッチ２３５の上を移動するので、ほぼ丸い隆起部２７３は、組織が引っかかることを防止する。
【００３１】
反対側の三日月形側２６２では、三日月形部２３７、２３９は、針２２４が曲げられるとき、該針２２４を横切ってより均等に応力を分散させ、応力がノッチの近くで最小になるようにする。ノッチ２３５の開口部は遠位側に向けられており、縫合糸が組織を通って動かされる間に針の中に押し込まれ、該針が引っ込められたときに該縫合糸が容易に外れるようになる。
【００３２】
縫合糸受け部２８０のさらに好ましい実施形態が、図２９及び図３０に示される。受け部２８０は、例えば、針を収めるジョーとは反対側のジョーにより支持することができる。縫合糸受け部２８０は、受け部ハウジング２８４内に配置された一対のフラップ又はパドル２８２を含む。パドル２８２は、針が引っ込められたときに支持されている縫合糸を保持しながら、針がそれらの間を移動するのを可能にするように、図３０に示されるピンチ・ポイントで互いに当接するように構成されることが好ましい。上述のように、穿刺された組織自体が、縫合糸受け部として機能できることが多いので、該縫合糸受け部を用いることは任意である。特に、縫合糸を支持する針が組織の一部を穿刺した後、穿刺された組織は、多くの場合、針が引っ込められたときに縫合糸をループの形態で十分に保持する。
図３１において、フック又はあご２９１の第１の好ましい実施形態が、ジョー、好ましくは、屈曲可能針を収める第１ジョーに対向する第２ジョーの遠位端に形成される。あご２９１は、例えば、屈曲可能針が引っ込められた後、組織自体によって保持されるループ状の縫合糸を引っ掛けるように構成される。図３２においては、代替的に、ジョーの遠位端は、一対のあご２９３を有するように形成することができる。
【００３３】
全ての実施形態において、使い捨ての針を用い得ることが明確に理解されるべきである。したがって、使い捨て針を交換しながら、（針を除いた）縫合装置を再利用することができるシステム又はキットが提供されることが理解されるであろう。
【００３４】
当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び修正をなすことができる。したがって、図示された実施形態は、例示のためだけに述べられたものであり、上記の特許請求の範囲によって定められる本発明を限定するものとみなすべきではないことを理解すべきである。例えば、特許請求の範囲の要素は、特定の組み合わせのもとで述べられるという事実にもかかわらず、本発明は、開示された要素より少ない、多い、又は異なるものの他の組み合わせを含むことを明確に理解しなければならない。
本発明及びその様々な実施形態を説明するために、本明細書において用いられる用語は、通常定義される意味だけで理解されるべきではなく、本明細書中の特別な定義により、単一の種類を表す一般的な構造体、材料、又は動作を含ませるべきである。
したがって、上記の特許請求の範囲の用語又は要素の定義は、本明細書においては、文字どおりに述べられた要素の組み合わせを含むだけではないように定められる。したがって、この意味で、上記の特許請求の範囲の要素のいずれについても、２つ又はそれ以上の要素の均等技術置換をなすことができ、或いは単一の要素を特許請求の範囲における２つ又はそれ以上の要素に置き換え得ることが考えられる。要素は、特定の組み合わせにおいて働くものとして上で説明され、さらに最初にそのように特許請求されるが、場合によっては、特許請求された組み合わせからの１つ又はそれ以上の要素を、その組み合わせから削除することが可能であること、及び、特許請求された組み合わせを、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に向けることができることを明確に理解すべきである。
【００３５】
当業者によって見られるような、現在周知の又は後に工夫される特許請求された主題からの実質的でない変更は、特許請求の範囲内の均等技術に入るものと明示的に考えられる。したがって、当業者に現在周知の又は後に周知になる自明な代替物は、定義された要素の範囲内に入るものと定義される。
このように、特許請求の範囲は、上で具体的に示され説明されたもの、概念上同等なもの、明らかに置き換えることができるもの、及び本発明の本質的な考えを組み入れるものを含むように理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【００３６】
【図１】本発明による縫合装置の第１の好ましい実施形態の側面図ある。
【図２】下部ジョー内に実質的に収められた屈曲可能針を示す、第１の好ましい縫合装置の拡大図である。
【図３】組織の一部を穿刺する屈曲可能針を示す第１の好ましい縫合装置の拡大図である。
【図４】組織の一部から取り外された第１の好ましい縫合装置の拡大図である。
【図５Ａ】屈曲可能針を収める第１の好ましい縫合装置のジョーの斜視図である。
【図５Ｂ】遠位の穿刺位置に前進させられた屈曲可能針を示す図５Ａのジョーの斜視図である。
【図６】第１の好ましい縫合装置の正端面図である。
【図７Ａ】針により支持された縫合糸を途中で捕らえる好ましい縫合糸受け部を示す作動図である。
【図７Ｂ】針が引っ込められた後に縫合糸を保持する図７Ａの好ましい縫合糸受け部の斜視図である。
【図８Ａ】さらに別の好ましい縫合糸受け部の作動図である。
【図８Ｂ】針が引っ込められた後に縫合糸を保持する図８Ａの好ましい縫合糸受け部の作動図である。
【図９】縫合糸引き戻し装置を含む、縫合装置の第２の好ましい実施形態の正端面図である。
【図１０Ａ】図９の好ましい縫合糸引き戻し装置の作動図である。
【図１０Ｂ】縫合糸に係合する引き戻し針を示す好ましい縫合糸引き戻し装置の作動図である。
【図１０Ｃ】縫合糸を引き戻しする針を示す好ましい縫合糸引き戻し装置の作動図である。
【図１１】屈曲可能針が上部ジョーにより支持された、第３の好ましい縫合装置の正端面図である。
【図１２】屈曲可能針が上部ジョーにより支持された、第４の好ましい縫合糸引き戻し装置の正端面図である。
【図１３】固定機構を含む第５の好ましい縫合装置の斜視図である。
【図１４】第５の縫合装置の正端面図である。
【図１５】第５の縫合装置の側立面図である。
【図１６】固定機構を組み入れる縫合ジョーの拡大した斜視図である。
【図１７】図１６の縫合ジョーの先端の平面図である。
【図１８】別の固定機構を組み入れる縫合ジョーの斜視図である。
【図１９】さらに別の固定機構を組み入れる縫合ジョーの拡大した斜視図である。
【図２０】図１９の縫合ジョーの斜視図である。
【図２１】第６の好ましい縫合装置の部分的に取りはずされた側面図である。
【図２２】第６の好ましい縫合装置の針支持用ジョーの平面図である。
【図２３】分かりやすくするために、重ねられた状態で示される屈曲可能針を有する、図２２の針支持用ジョーの斜視図である。
【図２４】位置合わせされた位置に重ねられた状態で示される屈曲可能針を有する針支持用ジョーの斜視図である。
【図２５】好ましい針アクチュエータを含む第６の好ましい縫合装置のためのハンドル組立体の斜視図である。
【図２６】縫合糸が装填されている第６の好ましい縫合装置の斜視図である。
【図２７】縫合糸が装填された状態の第６の好ましい縫合装置の斜視図である。
【図２８】本発明による好ましい屈曲可能針の立面図である。
【図２９】好ましい縫合糸受け機構の部分分解斜視図である。
【図３０】図２９の好ましい縫合糸受け機構の斜視図である。
【図３１】単一のあごを含むジョーの斜視図である。
【図３２】一対のあごを含むジョーの斜視図である。

Claims (33)

1. 互いに対して移動可能な第１ジョー及び第２ジョーと、
   前記第１ジョーにより支持され、縫合糸を支持するようになった屈曲可能針と、
   を備え、
   前記針は、該針が前記ジョー内に実質的に収められる第１位置と該針の遠位側部分が前記第１ジョーから突出する第２位置との間で移動可能であり、
   前記縫合糸を、前記屈曲可能針により支持される前に所定の位置に固定するための手段が設けられた、
   ことを特徴とする縫合装置。
2. 前記固定手段が、前記第１ジョーの遠位側部分に含まれる片持ちばねを備えることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 前記固定手段が、前記第１ジョーの遠位側部分に形成された溝からなることを特徴とする請求項１に記載の装置。
4. 前記第１ジョーから離間して配置され、前記屈曲可能針により支持される前記縫合糸を外すように構成された縫合糸受け部をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の装置。
5. 前記縫合糸受け部が、少なくとも１つのフラップを備えることを特徴とする請求項４に記載の装置。
6. 前記縫合糸受け部が、エストラマー・パッドを備えることを特徴とする請求項４に記載の装置。
7. 前記第１ジョーが軸線を定め、前記屈曲可能針を前記軸線に全体的に平行ではない方向に案内するようになった転換ブロックをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の装置。
8. 進入部を定める第１ジョーと、
   前記第１ジョーに対して移動可能な第２ジョーと、
   前記第１ジョーにより支持され、近位位置と遠位位置との間で移動可能な屈曲可能針と、
   を備え、
   前記針には針スロットが形成され、前記針スロットは、前記進入部を通して縫合糸を該針スロット内に装填することを可能にするように該進入部と位置合わせできることを特徴とする縫合装置。
9. 前記第２ジョーに隣接して配置された縫合糸受け部をさらに備えることを特徴とする請求項８に記載の装置。
10. 前記第２ジョーが、一体の縫合糸受け部をさらに備えることを特徴とする請求項８に記載の装置。
11. 前記屈曲可能針に連結され、該屈曲可能針を前記近位位置と前記遠位位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータをさらに備えることを特徴とする請求項８に記載の装置。
12. 前記アクチュエータが親指レバーを備えることを特徴とする請求項１１に記載の装置。
13. 前記第１ジョーが、軸線を定め、前記進入部と連通した軸線方向のスロットをさらに備えることを特徴とする請求項８に記載の装置。
14. 前記進入部が横方向の開口部からなり、
    前記針スロットが横方向のスロットからなる、
    ことを特徴とする請求項８に記載の装置。
15. 前記第２ジョーが、少なくとも１つのフックを備えることを特徴とする請求項８に記載の装置。
16. 前記針スロットが前記屈曲可能針の第１側面上に配置され、
    前記屈曲可能針が前記第１側面とは反対側の第２側面をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項８に記載の装置。
17. 前記屈曲可能針が、前記第２側面上に形成された少なくとも１つの三日月形部をさらに備えることを特徴とする請求項１６に記載の装置。
18. 前記屈曲可能針が、前記第１側面とほぼ平行に延びる針の軸線を定め、
    前記屈曲可能針が、前記ノッチの遠位側において前記第１側面上に配置された遠位側レッジと、該ノッチの近位側において該第１側面上に配置された近位側レッジとを備え、
    前記遠位側レッジが前記針の軸線からの第１の横方向距離を定め、前記第１の横方向距離が、前記近位側レッジにより定められる前記針の軸線からの第２の横方向距離より大きい、
    ことを特徴とする請求項１６に記載の装置。
19. 互いに対して移動可能な第１ジョー及び第２ジョーと、
    前記第１ジョーから離間して配置され、縫合糸を釈放可能に保持するようになった縫合糸受け部と、
    前記第１ジョーにより支持され、近位位置と遠位位置との間で移動可能な屈曲可能針と、
    を備え、前記屈曲可能針は、該針が前記遠位位置にあるときに前記縫合糸に係合するようになった針の遠位側部分を有することを特徴とする縫合糸引き戻し装置。
20. 前記第２ジョーが、前記縫合糸受け部を備えることを特徴とする請求項１９に記載の装置。
21. 前記針の遠位側部分がフックを備えることを特徴とする請求項１９に記載の装置。
22. 屈曲可能針と係合させるために縫合糸を所定位置に固定し、
    縫合されるべき組織の一部をクランプし、
    縫合糸を屈曲可能針と係合させ、
    前記屈曲可能針で前記組織の一部を通して前記縫合糸を支持し、
    前記屈曲可能針を引っ込めて、前記縫合糸を外す、
    段階を含むことを特徴とする組織の一部を縫合する方法。
23. 縫合されるべき組織をクランプする前記段階が、第１ジョー及び第２ジョーで前記組織の一部を捕捉する段階を含むことを特徴とする請求項２２に記載の方法。
24. 前記屈曲可能針を軸方向に進める段階をさらに含むことを特徴とする請求項２３に記載の方法。
25. 前記屈曲可能針で前記組織の一部を通して前記縫合糸を支持する前記段階が、
    前記屈曲可能針を曲げ、
    前記屈曲可能針の少なくとも一部を前記軸方向と全体的に平行ではない方向に移動させる、
    段階を含むことを特徴とする請求項２４に記載の方法。
26. 前記屈曲可能針を引っ込めて前記縫合糸を外す前記段階の間、前記組織の一部で該縫合糸を保持する段階をさらに含むことを特徴とする請求項２２に記載の方法。
27. 前記屈曲可能針を引っ込めて前記縫合糸を外す前記段階の間、縫合糸受け部で該縫合糸を保持する段階をさらに含むことを特徴とする請求項２２に記載の方法。
28. 縫合糸を屈曲可能針と係合させる前記段階が、前記屈曲可能針に形成されたノッチ内に前記縫合糸を配置する段階を含み、
    前記穿刺された組織が前記ノッチ内に引っ掛かるのを防止するために、前記屈曲可能針の遠位側部分を形成する段階をさらに含む、
    ことを特徴とする請求項２２に記載の方法。
29. 縫合糸を縫合装置に装填する方法であって、
    針スロットを有する針を第１ジョー内に収め、
    前記針を、該第１ジョーに対して、前記針スロットが前記第１ジョーの進入部と位置合わせされない位置に付勢し、
    前記針スロットを前記進入部と位置合わせし、
    前記進入部を通して縫合糸を前記針スロット内に配置し、
    前記針が前記縫合糸に係合するように、前記付勢された針を外す、
    段階を含むことを特徴とする方法。
30. 前記針スロットを前記進入部と位置合わせする前記段階が、前記針を近位側に移動させる段階を含むことを特徴とする請求項２９に記載の方法。
31. 前記針を近位側に移動させる前記段階が、指摺動部を用いて前記針を近位側に移動させる段階を含むことを特徴とする請求項３０に記載の方法。
32. 前記進入部を通して縫合糸を前記針スロット内に配置する前記段階が、前記縫合糸を該進入部の周りでループ状にする段階を含むことを特徴とする請求項２９に記載の方法。
33. 前記針スロットを前記進入部と位置合わせする前記段階が、前記針を遠位側に動かす段階を含むことを特徴とする請求項２９に記載の方法。