JP2005502381A - B群連鎖球菌の分子的分類法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、B群連鎖球菌の分子的分類方法およびこのような方法に有用なポリヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
B群連鎖球菌(GBS)-Streptococcus agalactiae-は、新生児および産科敗血症の最も一般的な原因であり、高齢の患者および免疫無防備状態の患者の敗血症の原因として重要性が増大している。新生児GBS敗血症の発生率は、分娩時抗生物質予防法の使用によって近年減少しているが、このアプローチに伴う問題は多数ある。今後、ワクチン接種が好ましいようであり、結合型(conjugate)多糖GBSワクチンの開発がかなりの進展を遂げている。
【0003】
結合型ワクチンの導入前に、疾病の負担だけでなく、ワクチン抗原の最適な処方を決定するために、GBS型(莢膜多糖類遺伝子血清型、血清亜型;タンパク質抗原遺伝子の亜型;可動遺伝因子の亜型を含む)の分布を評価する、広範な疫学的および他の関連研究が必要である。1つの地理的位置または少数の患者に基づいた型分布は、一般に適用不可能である。異なる地理的位置における異なる標的集団についてのGBSワクチン抗原の組み合わせの適合性を評価するために、継続的なモニタリングが必要である。
【0004】
9種の莢膜多糖類GBSの血清型が説明されている(Harrisonら、1998;Hickmanら、1999)。種々の血清型分類法(免疫沈降(Wilkinson and Moody、1969)、酵素免疫アッセイ(Holm and Hakansson、1988)、共凝集(Hakanssonら、1992)、対向免疫電気泳動法、および毛細管沈殿(Triscott and Davies、1979)、ラテックス凝集(Zuerleinら、1991)、蛍光顕微鏡法(Croppら、1974)、ならびに阻害ELISA(Arakereら、1999))などが使用されている。これらの方法は、骨の折れる作業であり、高力価血清型特異的抗血清が必要であるが、これらは高価である上に作製が困難であり、たった6種の血清型(Ia〜V)しか市販されていない(Arakereら、1999)。パルスフィールドゲル電気泳動(Rollandら、1999)、制限酵素分析(Naganoら、1991)などの分子的遺伝子型同定法は、疫学研究に有用であるが、一般に血清型は同定されない。したがって、GBS血清型同定のための信頼できる分子的方法が必要である。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明者らは、異なる型(莢膜多糖類遺伝子血清型、血清亜型;タンパク質抗原遺伝子の亜型;可動遺伝因子の亜型を含む)を識別するために使用することができるB群連鎖球菌ゲノム内の特異的な型間配列異種性領域を同定した。本発明者らは、これらの配列異種性を検出する分子的方法を使用して、B群連鎖球菌を正確に識別および分類できることを示す。
【0006】
したがって、第1の局面では、本発明は、細菌のcpsD、cpsE、cpsF、cpsG、cpsI/M遺伝子内の1つまたは複数の領域のヌクレオチド配列を分析する工程を含み、前記領域が型によって配列が異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、B群連鎖球菌の分類方法を提供する。
【0007】
詳細には、ヌクレオチド配列を、図1に記載の62位、78〜86位、138位、139位、144位、198位、204位、211位、281位、240位、249位、300位、321位、419位、429位、437位、457位、466位、486位、602位、606位、627位、636位、645位、803位、971位、1026位、1044位、1173位、1194位、1251位、1278位、1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する1つまたは複数の位置について分析することができる。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの領域は、B群連鎖球菌のcpsE-cpsF-cspG遺伝子クラスターのcpsE遺伝子の3’末端の136塩基およびcpsG遺伝子の5’末端の218塩基で示される配列内のものである。詳細には、ヌクレオチド配列を、図1に記載の1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する1つまたは複数の位置について分析することができる。
【0009】
1つの態様では、少なくとも1つの領域は、B群連鎖球菌のcpsI/M遺伝子内に存在する。
【0010】
本発明者らはまた、rib遺伝子、alp2遺伝子、またはalp3遺伝子を含む多数の表面タンパク質抗原遺伝子、および5個の可動遺伝因子を、GBSの分子的亜型分類に使用できることを示す。したがって、本発明はまた、細菌のゲノム中において、rib、alp2、またはalp3遺伝子から選択される1つまたは複数の表面タンパク質抗原遺伝子、ならびに/または、IS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1から選択される1つまたは複数の可動遺伝因子の有無を決定する工程を含む、B群連鎖球菌の分類方法を提供する。好ましくは、このような方法を、本発明の上記方法と組み合わせる。
【0011】
ヌクレオチド配列分析工程は、1つまたは複数の領域を配列決定する工程を含み得る。または、あるいはさらに、ヌクレオチド配列分析工程は、細菌から得たポリヌクレオチドが1つまたは複数の前記領域を含むポリヌクレオチドプローブ、好ましくは1つまたは複数の前記領域に対応する複数のポリヌクレオチドプローブの1つまたは複数と選択的にハイブリッド形成するかどうかを決定する工程を含み得る。
【0012】
好ましい態様では、分析手段として複数のプローブへのハイブリッド形成を使用する場合、複数のポリヌクレオチドプローブがマイクロアレイとして存在する。
【0013】
別の態様では、ヌクレオチド配列分析工程は、1つまたは複数のプライマーを使用し、少なくともその1つが型間で異なる配列と特異的にハイブリッド形成する増幅工程を含む。典型的には、少なくとも1つが型間で異なる配列と特異的にハイブリッド形成するプライマー対を使用する。好ましくは、プライマーは、表2および/または表6および/または表10に記載のプライマーから選択される。
【0014】
第2の局面では、本発明は、本質的にB群連鎖球菌のcpsD-cpsE-cpsF-cpsG遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、GBSの型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
好ましくは、GBS型間で異なるヌクレオチドは、1つまたは複数の図1に記載の62位、78〜86位、138位、139位、144位、198位、204位、211位、281位、240位、249位、300位、321位、419位、429位、437位、457位、466位、486位、602位、606位、627位、636位、645位、803位、971位、1026位、1044位、1173位、1194位、1251位、1278位、1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する。
【0016】
本発明はまた、本質的にB群連鎖球菌のcpsE-cpsF-cspG遺伝子クラスターのcpsEの3’末端の136塩基対およびcpsGの5’末端の218塩基対によって示される配列内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、GBS型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
好ましくは、B群連鎖球菌の型間で異なるヌクレオチドは、1つまたは複数の図1に記載の1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する。
【0018】
本発明はまた、本質的にB群連鎖球菌のcpsI/M遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、B群連鎖球菌の型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、表2に記載のヌクレオチド配列から選択される。
【0020】
本発明は、さらに、本質的にB群連鎖球菌のrib、alp2、またはalp3遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、GBSタンパク質抗原の遺伝子亜型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、表6に記載のヌクレオチド配列から選択される。
【0022】
本発明は、さらに、本質的にB群連鎖球菌のIS861、IS1548、IS1381、ISSa4、および/またはGBSi1内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、GBS可動遺伝因子の亜型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、表10に記載のヌクレオチド配列から選択される。
【0024】
本発明のポリヌクレオチドを、B群連鎖球菌の血清型分類および/または亜型分類などの分類方法に使用することができる。
【0025】
第3の局面では、本発明は、複数の本発明の第2の局面のポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。本組成物は、B群連鎖球菌の血清型分類および/または亜型分類などの分類方法に使用することができる。
【0026】
第4の局面では、本発明は、複数の本発明の第2の局面のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイを提供する。本マイクロアレイは、B群連鎖球菌の血清型分類および/または亜型分類などの分類方法に使用することができる。
【0027】
発明の詳細な説明
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリッド形成技術、および生化学)に一般的に理解されている意味を有する。分子的方法、遺伝子的方法、および生化学的方法(全般的に、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、2001、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.YおよびAusubelら、「Short Protocols in Molecular Biology」、1999、第4版、John Wiley&Sons,Inc.、およびタイトル「Current Protocols in Molecular Biology」の全版(参照として本明細書に組み入れられる)を参照のこと)ならびに化学的方法についての標準的技術を使用する。
【0028】
本発明の分子的分類法は、サンプル中、本発明者らが種々の型間で異なることを同定したB群連鎖球菌(GBS)のゲノム領域中の特定のポリヌクレオチド配列の存在を検出することに依存する。
【0029】
より詳細には、検出すべき特定のポリヌクレオチド配列は、GBSのcpsD、cpsE、cpsF、cpsG、cpsI、cpsM、rib、alp2、および/またはalp3遺伝子、ならびに可動遺伝因子IS861、IS1548、およびIS1381、ISSa4、およびGBSi1、好ましくは、cpsD、cpsE、cpsF、cpsG、および/またはcpsI/M遺伝子内のものである。
【0030】
上記遺伝子の範囲内の目的の領域は、その配列が2つまたはそれ以上の型間で変化する(すなわち、異種性)領域である。異種性は、異なる型の対応する領域間の挿入、欠失、および/または置換に起因し得る。rib、alp2、およびalp3の場合、異種性は、典型的には、全遺伝子の有無の形態をとる。同様に、因子IS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1については、異種性は、典型的には、全配列の有無の形態をとる。
【0031】
特定の異種性領域には、以下の位置が含まれる。cpsD遺伝子-62位および78〜86位;cpsD-cpsE遺伝子スペーサー-138位、139位、および144位;cpsE遺伝子-198位、204位、211位、281位、240位、249位、300位、321位、419位、429位、437位、457位、466位、486位、602位、606位、627位、636位、645位、803位、971位、1026位、1044位、1173位、1194位、1251位、1278位、1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、および1527位;cpsF遺伝子-1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、および1971位;ならびにcpsG遺伝子-2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位(番号付けは図1に記載の番号付けに対応する)。
【0032】
特に好ましい目的の位置は、cpsE-cpsF-cpsGの790bp断片(およそcpsEの3’末端の136塩基およびcpsGの5’末端の218塩基からなる)内の位置、すなわち、図1に記載の1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位である。
【0033】
別の異種性領域は、cpsDの62位、およびcpsDの78位から86位で見出される反復配列(TTACGGCGA)であるが、これはいくつかのGBS血清型におけるものであって、全てではない。
【0034】
特定の異種性領域には、図3の配列アラインメントに記載のcpsI/M遺伝子内の多数の位置も含まれる。
【0035】
これらの異種性領域を、配列決定、PCR、および標識プローブの結合を含む種々の手段を使用して分析することができる。
【0036】
血清型を同定するための配列決定の場合、異種性領域が存在する領域内またはその付近と特異的にハイブリッド形成するように配列決定プライマーを選択する。分子的血清型の割り当てに使用する配列決定プロセス時に実際の配列情報が得られるので、プライマーは特定の血清型に特異的である必要はない。したがって、プライマーは、全てのGBS血清型(少なくとも血清型IaからVII)または特定の血清型と特異的にハイブリッド形成することができる。
【0037】
好ましいプライマーは、図1に記載のcpsE-cpsF-cpsGの790bp領域内の異種性位置の100、50、または20個の連続するヌクレオチド内にアニーリングする。適切な配列決定プライマーの例を、表2に示す(cspES3、cspFA、cspFS、cspGA、およびcspGA1)。
【0038】
PCRおよび他の特異的ハイブリッド形成ベースの血清型分類法は、典型的には、2つまたはそれ以上の血清型間で異なるヌクレオチドを含むGBS血清型のゲノム領域に特異的に結合するヌクレオチドプライマー/プローブの使用を含む。したがって、プライマー/プローブは、このような領域の1つに相補的な配列を含み得る。異種性位置が互いに近接している場合(例えば、cpsEの198位、204位、211位、および218位)、2つまたはそれ以上の異種性位置を含むGBSゲノム領域に特異的にハイブリッド形成するプライマー/プローブを使用することが望ましい。したがって、例えば、cpsEのヌクレオチド195から220に相補的なプライマー/プローブをデザインすることができる。このようなプライマー/プローブは、特異性を改善し、偽陽性の可能性を減少させる可能性が高い。
【0039】
PCRベースの検出方法は、少なくとも1つが1つまたは複数であるが全てではない血清型中の目的の領域に特異的に結合するプライマー対の使用に依存し得る。両プライマーが結合しない限り、PCR産物は得られない。したがって、特異的PCR産物の有無を使用して、特定のGBS血清型を示す配列の存在を決定することができる。しかし、述べたように、目的の遺伝子(cpsD、cpsE、cpsF、cpsG、cpsIおよび/またはcpsM遺伝子など)中の異種性領域にたった1つのプライマーが対応する必要がある。他のプライマーは、前記遺伝子内の保存もしくは異種性領域、またはcpsH遺伝子などのGBSゲノムの別の部分内の領域さえも、血清型間で保存されているもしくは異種性のいずれにせよ、結合することができる。したがって、例えば、2172位から2210位を含むcpsG遺伝子領域に結合するプライマー(cpsGS)と異種性のcpsH遺伝子領域(IacpsHA1、IIIcpsHA)に結合するプライマーとの組み合わせを、血清型(IaおよびIII)識別の基本として使用することができる。
【0040】
さらに、異種性cpsI領域に結合するプライマーを、不変のcpsG領域に結合するプライマーと組み合わせることができる。そのようなプライマー対の例は、1517bpのPCR産物を生じ、且つGBS血清型VI特異的である、プライマー対VIcpsIAおよびcpsGS1である。
【0041】
または、GBSゲノムの保存領域に結合するが、血清型間で長さが異なる領域をはさむ、プライマーを使用することができる。この場合、GBS細菌が存在するがPCR産物のサイズが血清型間で異なる場合にPCR産物が常に得られる。
【0042】
さらに、一方または両方のプライマーの特異的結合と種々の長さのPCRプライマーとの組み合わせを、特定の分子的血清型の同定手段として使用することができる。
【0043】
cpsD、cpsE、cpsF、cpsG、cpsI、またはcpsM遺伝子をターゲティングする特異的プライマー/プローブの例には、以下のものが含まれる。
プライマーの命名は、表2に記載のものに対応する。
【0044】
alp2、alp3、およびrib表面タンパク質抗原遺伝子に関して、異種性およびタンパク質抗原遺伝子の亜型を、B群連鎖球菌が遺伝子を含むかどうかのレベルでさらに評価する。本発明者らの結果は、GBSゲノム中に存在する表面タンパク質遺伝子の特定の組み合わせが血清型/血清亜型の指標であることを示す(表9を参照のこと)。したがって、本発明の方法での使用に適切なプライマー/プローブは、特定の遺伝子に特異的なものである。したがって、alp2またはalp3またはribに特異的なプローブ/プライマーが好ましい。図4は、alp2に特異的またはalp3に特異的なプライマーをデザインするために使用したalp2およびalp3のアラインメントを示す。
【0045】
alp2、alp3、およびrib遺伝子をターゲティングする特異的プライマー/プローブの例には、以下のものが含まれる。
プライマーの命名は、表6に記載のものに対応する。
【0046】
IS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1に関して、異種性および亜型を、B群連鎖球菌が因子を含むかどうかのレベルでさらに評価する。因子数を評価することもできる。本発明者らの結果は、GBSゲノム中に存在する可動因子の特定の組み合わせが血清型/血清亜型の指標となることを示す(表12を参照のこと)。したがって、本発明の方法での使用に適切なプライマー/プローブは、特定の可動遺伝因子に特異的なものである。したがって、IS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1に特異的なプローブ/プライマーが好ましい。
【0047】
IS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1をターゲティングする特異的プライマー/プローブの例には、以下のものが含まれる。
【0048】
好ましくは、プライマー/プローブは、少なくとも10、15、または20個のヌクレオチドを含む。典型的には、プライマー/プローブは、100、50、または30個未満のヌクレオチドからなる。プライマー/プローブは、一般に、デオキシヌクレオチドを含むポリヌクレオチドである。これらはまた、合成または修飾ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり得る。多数の異なる型のオリゴヌクレオチド修飾法が当技術分野において公知である。これらには、メチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、分子の3’および/または5’末端でのアクリジンまたはポリリジン鎖の付加が含まれる。本発明の目的のために、本明細書中に記載のポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の方法によって修飾してもよいと理解すべきである。プライマー/プローブを、放射性元素、蛍光分子、またはビオチンなどの任意の適切な検出可能な標識で標識することができる。
【0049】
1つの態様では、プライマー/プローブは、急速サイクル(rapid cycle)PCRで使用することができるように、高い融点(>70℃)を有する。
【0050】
cpsD、cpsE、cpsF、cpsG、またはcpsI/M遺伝子内の1つまたは複数の領域を分析するために使用される複数のヌクレオチドを含む組成物はまた、cpsH遺伝子内の1つまたは複数の領域を分析するために使用することができるヌクレオチドをさらに含むことができる。実施例に適切なヌクレオチドを記載するが、当業者は、図3に記載の配列アラインメントに基づいて他の適切な配列をデザインすることができる。
【0051】
さらに、alp2、alp3、またはrib遺伝子内の1つまたは複数の領域を分析するために使用される複数のヌクレオチドを含む組成物はまた、Cα(bca)遺伝子およびCβ(bac)遺伝子(Cβ遺伝子はbagとしても公知)内の1つまたは複数の領域を分析するために使用することができるヌクレオチドをさらに含むことができる。
【0052】
種々の技術を使用して、目的の細菌のゲノム内の1つまたは複数の領域を分析することができる。典型的には、GBS細菌を含むと疑われる目的のサンプルを、サンプル中に存在する任意の微生物からゲノムDNAを得るための標準的技術を使用して処理する。多数のその後の検出工程のために、ゲノムDNAを実質的に断片化する核酸調製技術を使用することが望ましい場合がある。サンプルは、細菌培養物または患者(典型的には、ヒト患者)由来の臨床サンプル由来であり得る。臨床サンプルは細菌培養物を産生するように培養され得る。しかし、培養工程を直接利用して臨床サンプルを試験することも可能である。
【0053】
次いで、ゲノムDNAを、配列決定、酵素的増幅、および/またはハイブリッド形成を含み得る1つまたは複数の分析工程に供する。これらの一般的なDNA分析技術は当技術分野において公知であり、例えば、Sambrookら、2001およびAusubelら、1999、前出で詳細に考察されている。
【0054】
血清型分類は、1つまたは複数の工程を含み得る。例えば、サンプル中にGBS血清型間で保存されているがいかなる他の生物でも見出されないヌクレオチド配列が存在するかどうかを決定する最初の工程を行うことが望ましい場合がある。任意(しかし唯一)のGBS細菌を検出するPCRプライマーの使用によってこれを行うことができる(例えば、プライマー対Sag59/Sag190および/またはDSF2/DSR1を使用-表2および3を参照のこと)。
【0055】
次いで、上記で考察したプローブ/プライマーに基づく配列決定、酵素的増幅、および/またはハイブリッド形成などの任意の適切な技術を使用して目的の領域中の1つまたは複数の異種性領域の存在を検出することによって、特異的GBS血清型の分子的血清型分類を行うことができる。
【0056】
特に好ましい検出技術は、急速サイクルPCR(Kongら、2000)などのPCRである。
【0057】
多工程血清型分類ストラテジー(アルゴリズム)の例を、図2に示す。しかし、種々の他のストラテジーが考えられ、当業者は本明細書中に記載の配列異種性情報を使用してデザインすることができる。特に、血清型分類手順は、cpsD、cpsE、cpsF、cpsG、および/またはcpsI/M遺伝子の1つまたは複数の領域の分析に基づいた少なくとも1つの分析工程を含むことが好ましい。この分析を、cpsH遺伝子内の1つまたは複数の領域の分析と選択的に組み合わせることができる。類似の技術を使用して、cpsH遺伝子領域を分析することができ、適切なプライマー配列および方法も、実施例に記載されている。
【0058】
実施例に記載のように、alp2、alp3、および/またはrib遺伝子の有無の分析を、Cα(bca遺伝子)、Cβ(bac)遺伝子配列の有無の分析と選択的に組み合わせることができる。類似の技術を使用してこれらの領域を分析することができ、適切なプライマー配列およびPCR法もまた実施例に記載されている。
【0059】
さらに、alp2、alp3、および/またはrib遺伝子(選択的に、bcaおよびbac遺伝子)の有無の分析を、可動遺伝因子の有無の分析と組み合わせることができる。
【0060】
したがって、分類ストラテジーは、より多くの血清亜型分類および亜型分類情報を得るための種々の組み合わせにおけるcps遺伝子、表面タンパク質遺伝子、および/または可動遺伝因子の分析を含み得る。
【0061】
上記技術を使用したGBSゲノム配列の分析を溶液中で行い、その後ゲル電気泳動などの方法を使用した標準的分離を行うことができる。しかし、本発明の好ましい局面では、アレイを形成するためにプライマー/プローブを固体基質に固定する。
【0062】
ポリヌクレオチドプローブは、典型的には、固体基質の別々の領域上または領域中に固定される。基質は、基質内への固定のために多孔質であっても実質的に無孔であってもよく、この場合プローブは典型的には、基質表面に固定される。適切な固体基質の例には、板ガラス(ホウケイ酸ガラスなど)、シリコンウェファ、マイカ、セラミックス、ならびにポリスチレンおよびポリメタクリレートを含むプラスチックなどの有機ポリマーが含まれる。広範に利用可能なニトロセルロースまたはナイロンメンブレンなどの半透膜を使用することも可能である。半透膜を、ガラスなどのより強固な固体表面に置くことができる。表面を、金、白金、または他の遷移金属などの金属層で選択的にコートすることができる。
【0063】
好ましくは、固体基質は、一般に、剛性または半剛性表面を有する材料である。好ましい態様では、少なくとも1つの基質表面は実質的に平面であるが、いくつかの態様では、例えば、隆起した領域または窪んだ溝を有する異なるポリマーのための合成領域を物理的に分離することが望ましい。固体基質が典型的には10000から40000cm-2の密度が得られる50から100μmの個別の領域中のDNA配列の高密度適用に適していることも好ましい。
【0064】
固体基質は、都合よくセクションに分けられる。フォトエッチングなどの技術によって、または疎水性インク、例えばテフロンベースのインク(Cel-line、USA)の適用によって、これを行うことができる。それぞれの異なるプローブが配置される個別の位置は、任意の都合の良い形状(例えば、円形、長方形、楕円形、V字型など)を有することができる。
【0065】
ライブラリー配列は、共有的または非共有的手段によって基質へ結合しうる。ライブラリー配列を、ライブラリー配列が結合する分子層を介して基質に結合することができる。例えば、プローブをビオチンで標識し、基質をアビジンおよび/またはストレプトアビジンでコードすることができる。ビオチン化プローブ使用の都合の良い特徴は、固体基質へのカップリング効率を容易に決定することができるという点である。ポリヌクレオチドプローブがいくつかの固体基質にはあまり結合できないことがあるので、しばしば固体基質(ガラスの場合など)とプローブとの間に化学的境界面を提供する必要がある。したがって、基質表面を、例えば、疎水性を増減する化学物質でのコーティングまたはポリヌクレオチドプローブを共有結合させる化学物質でのコーティングによって調製することができる。いくつかの化学コーティングにより、疎水性を変化させ共有結合をさせることができる。固体基質上の疎水性を、シラン処理または当技術分野において公知の他の処理によって容易に増大することができる。適切な化学コーティングの例には、ポリリジンおよびポリ(エチレンイミン)が含まれる。結合方法のさらなる詳細は、米国特許第6,248,521号に記載されている。分子への種々の官能基の導入による核酸の固定方法はまた、Bischoffら、1987(Anal.Biochem.、164、336〜3440およびKremskyら、1987(Nucl.Acids Res.、15、2891〜2910)に記載されている。
【0066】
固定化核酸分子アレイの作製技術は、当技術分野において説明されている。有用な概説は、Schenaら、1998、TibTech、16、301〜306(これに記載の技術についての参考文献も記載されている)に記載されている。
【0067】
マイクロアレイ製造テクノロジーは、主に2つのカテゴリー-合成および送達に分類される。合成アプローチでは、マイクロアレイを、生化学的基礎単位からの核酸のインサイチュー合成による段階的様式で調製する。各合成ラウンドで、ヌクレオチドを付加して所望の長さに達するまで鎖を伸長させる。多数の先行技術の方法が、例えば、固体基質上の種々の個別の位置で配列を様々に並べかえるためのマスキング技術(フォトリソグラフィ)を使用した、インサイチューでの一本鎖核酸分子ライブラリーの合成方法を記載している。米国特許第5,837,832号は、非常に大規模な組み込みテクノロジーに基づいたシリコン基質に固定化したDNAアレイの改良された作製方法を記載している。特に、米国特許第5,837,832号は、本発明の固定化DNAライブラリーの作製に使用することができる基質上の空間的に定義された位置に特定のプローブ組を合成するための「タイリング(tiling)」と呼ばれるストラテジーを記載している。米国特許第5,837,832号はまた、使用することができる初期の技術についての参考文献も記載している。
【0068】
対照的に、送達テクノロジーは、チップ製造のためにあらかじめ調製された生化学物質の外因的配置を使用する。例えば、DNAを、ピン(機械的マイクロスポッティング)または圧電性デバイス(インクジェット)のいずれかを具備したロボットデバイスを使用して基質上に直接プリントすることもできる。機械的マイクロスポッティングでは、生化学的サンプルを、毛管現象によってスポッティングピンにロードし、ピンと固体基質との間の物理的接触によって、少量を固体表面に導入する。第1のスポッティングサイクル後、ピンを洗浄し、第2のサンプルをロードし、隣接するアドレスに配置させる。ロボット制御系および多重プリントヘッドにより、マイクロアレイ製造を自動化できる。インクジェットは、圧電付属品を具備した小型ノズルにポリヌクレオチドなどの生化学的サンプルをロードする工程を含み、電流を使用してジェットから基質へ正確な量の液体を発射する。第1のジェット工程後、ジェットを洗浄し、第2のサンプルをロードし、隣接するアドレスに配置させる。複数のジェットで一連のサイクルを繰り返すことにより、迅速なマイクロアレイ作製が可能である。
【0069】
1つの態様では、マイクロアレイは、約50個、好ましくは約100個または200個を超える異なる核酸プローブを含む高密度アレイである。このような高密度プローブは、cm2あたり約50個、好ましくは約500個、より好ましくは約1000個、最も好ましくは約2000個を超える異なる核酸プローブのプローブ密度を含む。アレイは、さらに、ミスマッチコントロールプローブおよび/または基準プローブ(正のコントロールなど)を含み得る。
【0070】
本発明のマイクロアレイは、典型的には、複数の上記のプライマー/プローブを含む。プライマー/プローブは、任意の順序でアレイにグループ化することができる。しかし、特異的な型(莢膜多糖類遺伝子血清型、血清亜型;タンパク質抗原遺伝子の亜型;可動遺伝因子の亜型)または型(莢膜多糖類遺伝子血清型、血清亜型;タンパク質抗原遺伝子の亜型;可動遺伝因子の亜型)の群によってプライマー/プローブをグループ化することが望ましい場合がある。得られるパターンがコンピュータソフトウェアによるパターン認識に容易に影響を受けるように、このようなグループ化を行うことができる。
【0071】
アレイ中の因子は、たった1つのプローブ/プライマー型または多数の異なるプローブ/プライマーを含み得る。
【0072】
多数の技術を使用して、固定化プローブ/プライマーへのGBSゲノムDNAの結合を検出することができる。例えば、多数の型(莢膜多糖類遺伝子血清型、血清亜型;タンパク質抗原遺伝子の亜型;可動遺伝因子の亜型)に特異的な固定化プローブは、捕捉プローブとして機能することができる。アレイへのゲノムDNAの結合後、アレイを洗浄し、保存されたGBSゲノム領域と特異的にハイブリッド形成する1つまたは複数の標識検出プローブとインキュベートする。次いで、これらの検出プローブの結合を、標識の存在の検出によって決定することができる。例えば、標識は、蛍光標識であってよく、アレイを、電荷結合素子(CCD)カメラ下のX-Yリーダーに置くことができる。
【0073】
他の技術には、アレイとの接触前のゲノムDNAの標識が含まれる(例えば、ニックトランスレーションおよび標識dNTPを使用する)。次いで、ゲノムDNAの結合を、直接検出することができる。
【0074】
標識dNTPを使用した単一のPCR増幅工程を使用することも可能である。この態様では、ゲノムDNAフラグメントは、アレイ中の第1のプライマーに結合する。ポリメラーゼ、いくつかの標識dNTPを含むdNTP、および第2のプライマーの添加により、標識ヌクレオチドが組み込まれたPCR産物が合成される。次いで、プレート上に捕捉された標識PCRフラグメントを検出することができる。
【0075】
多数の利用可能な検出技術は、標識は必要ないが、その代わりにリガンド結合時の質量の変化に依存する(例えば、表面プラズモン共鳴-SPR)。SPRの原理およびSPRの使用に必要な固体基質の型(例えば、BIACoreチップ)は、Ausubelら、1999、前出に記載されている。
【0076】
C.使用
上記のように、B群連鎖球菌(GBS)-Streptococcus agalactiaeは、新生児および産科敗血症の最も一般的な原因であり、高齢の患者および免疫無防備状態の患者の敗血症の原因としての重要性が増大している。したがって、本発明の検出方法、プローブ/プライマー、およびマイクロアレイを、妊婦、高齢者、および/または免疫無防備状態の患者のGBS感染の診断で使用することができる。本明細書中に記載のPCRおよびマイクロアレイ技術は、従来の同定および血清型分類と比較して精度および感度が高く、妊婦の日常的な出生前スクリーニングおよび妊婦の感染診断で特に使用してもよい。これらの方法はまた、一般に十分な材料を得るために臨床サンプルを培養する必要がないので、より早く結果が得られる可能性が高い。さらに、ほとんどの研究所で専門的知識または試薬を必要としないで分子的技術を使用することができる。
【0077】
本発明の分子的分類法はまた、GBS結合型ワクチンの導入前後にGBS単離物をモニターする必要がある疫学的研究および他の関連研究に有用な包括的株同定を補助することができる。
【0078】
本発明は、ここに、以下の実施例を参照してより詳細に記載されるが、これは例示のみを目的として本発明を限定しない。実施例は、図面を参照する。
【0079】
実施例
材料と方法
GBS基準株および臨床単離物
9個のGBS血清型のパネル(Ia〜VIII)を、Lawrence Paoletti博士(Channing Laboratory、Boston USA)からご提供いただいた(基準パネル1)。Diana Martin博士(Streptococcus Reference Laboratory、ESR、Wellington、New Zealand)から血清型Ia〜VIを含む9個の国際基準GBS型株の別のパネル(基準パネル2)を入手した(表1)。さらに、本発明者らは、血清型分類のためにニュージーランドの種々の研究所に参照された146種を含む205臨床例からの単離物およびシドニーの1つの診断研究所の10年間にわたる正常な無菌部位由来の59種の単離物を試験した。1つの培養物が混合されていることが続いて示され、206種の異なる単離物を試験した。従来の血清型分類(CS)は、Streptococcus Reference Laboratory、ESR、Wellington、New Zealandで行い、MSは、Centre for Infectious Diseases and Microbiology Laboratory Services、ICPMR、Sydney、Australiaで行った。
【0080】
GBS基準株の2つのパネルおよび63種の選択された臨床単離物を、MSで使用される適切な配列を同定するためのそれぞれの>2200塩基対(bp)の配列決定によってより詳細に研究した。次いで、これらおよび残りの臨床単離物を使用して、MS法を評価し、CSの結果と比較した。最初は一方の結果を考慮せずに、両方法による分類を行った。
【0081】
血液寒天プレート(5%ウマ血液を補ったColumbiaII寒天ベース)の継代培養によって細菌単離物を保存物から取り出し、37℃で一晩インキュベートした。
【0082】
侵襲性GBS臨床単離物
可動遺伝因子研究で使用した全194種の単離物を、191人の患者(女性107人、男性80人、4人は性別記録なし;3種の培養物はそれぞれ成長の異なる2つのGBS血清型を含んでいた)の血液(177)またはCSF(17)から回収した。108種の単離物は、1996年から2001年にCentre for Infectious Diseases and Microbiology Laboratory Services、ICPMR、Sydney、Australiaに培養のために提出された標本に由来し、83種の単離物は、1994年から2000年にニュージーランドの種々の診断研究所から血清型分類のためにInstitute of Environmental Science and Research(ESR)、Porirua、Wellington、New Zealandに寄託された。
【0083】
遺伝子型分布の分析のために、患者を以下のように年齢群に分類した:新生児、早期発症(0〜6日);新生児、後期発症(7日〜3ヶ月);幼児および小児(4ヶ月〜14歳);若年成人(15〜45歳);中年(46〜60歳);高齢者(>60歳)。
【0084】
これらの単離物は、主に上記の単離物のサブセットであるが、基準株を含み、非侵襲性単離物は排除した。
【0085】
従来の血清型分類(CS)
標準的な方法(Wilkinson and Moody、1969)を使用してCSを行った。簡単に述べれば、各単離物について酸加熱(56℃)抽出物を調製し、アガロース中の型特異的抗血清の免疫沈降によって血清型を決定した。生じる沈殿がコントロール株のものと同一のラインを形成した場合に、単離物を特定の血清型について陽性と見なした。ESRでウサギにおいて血清型Ia、Ib、Ic、II、III、IV、V、およびRタンパク質抗原に対する抗血清を調製して使用した。14種の選択した単離物(血清型I〜Vに対する抗血清を使用して分類不可能な6種、CSとMSとで最初に結果が矛盾した6種、および混合培養物からの2種の個別の単離物を含む)を、全血清型に対する抗血清を使用して、Abbie Weisner氏およびAndroulla Efstratiou博士(Central Public Health Laboratory、Colindale、London、UK)が試験してくださった。
【0086】
分子的血清型同定(MS);方法の開発
オリゴヌクレオチドプライマー
本研究で使用したオリゴヌクレオチドプライマー、その標的部位、および融点を、表2、6、および10に示す。その特異性および予想されるアンプリコンの長さを、表3、7、および11に示す。プライマーは、本発明者らの仕様に従って、Sigma-Aldrich(Castle Hill NSW、Australia)によって合成された。4つの以前に公開されたオリゴヌクレオチドプライマーおよび本発明者らによってデザインされた一連の新規のプライマーを使用して、目的の遺伝子、すなわち16S/23S rRNA遺伝子間スペーサー領域および部分的cps遺伝子クラスターを配列決定し、または、各GBS血清型の固有の配列を増幅した。6つの以前に公開されたオリゴヌクレオチドプライマーおよび本発明者らによってデザインされた一連の新規のプライマーを使用して、GBS表面タンパク質をコードする遺伝子の一部を配列決定し、および/またはこの遺伝子を特異的に増幅した。本発明者らはまた、5つの公知のGBS可動遺伝因子の一部を配列決定するためおよび/またはこれを特異的に増幅するための、一連のプライマーをデザインした。いくつかは、急速サイクルPCRで使用するために高融点(>70℃)でデザインした。
【0087】
DNA調製およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
5つの個別のGBSコロニーまたは一連の培養物を、使い捨てループを使用してサンプリングし、2mlエッペンドルフチューブ中、1mlの消化緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.0)、0.45%Triton X-100、および0.45%Tween 20)に再懸濁した。GBS懸濁液を含むチューブを、100℃(ドライブロックヒーターまたは水浴)で10分間加熱し、その後氷上で反応停止させ、14,000rpmで2分間遠心分離して細胞残屑をペレット化した。抽出DNAを含む5μlの各上清を、PCRのテンプレートとして使用した(Mawnら、1993)。
【0088】
PCRシステム(検出のみのためには25μL、検出および配列決定のためには50μL)を、以前に記載(Kongら、1999)のように使用した。使用した変性、アニーリング、および伸長の温度および時間は、それぞれ96℃で1秒間、55〜72℃(プライマーのTm値による、または以前に記載)で1秒間、および74℃で1〜30秒間(アンプリコンの長さによる)を35サイクルであった。
【0089】
10μLのPCR産物を、1.5%アガロースゲルでの電気泳動で分析し、0.5μg臭化エチジウムmL-1で染色した。検出および/または血清型同定のために、紫外線透視によって示される予想される長さのPCRアンプリコンの存在を、陽性と認めた。配列決定のために、40μLのPCR産物を、ポリエチレングリコール沈殿法(Ahmetら、1999)によってさらに精製した。
【0090】
配列決定
PCR産物を、標準的なプロトコールにしたがって、Applied Biosystems(ABI)Taq DyeDeoxyターミネーターサイクル配列決定キットを使用して配列決定した。対応する増幅プライマーまたは内部プライマーを、配列決定プライマーとして使用した。
【0091】
多配列アラインメントおよび配列比較
多配列分析プログラムグループのPileupおよびPrettyプログラムを使用して、多配列アラインメントを行った。比較プログラムグループのBestfitプログラムを使用して、配列を比較した。全てのプログラムは、WebANGIS、ANGIS(Australian National Genomic Information Service)、第3版から提供されている。
【0092】
表面タンパク質遺伝子プロフィールコード
表7に示す種々のプライマー対を使用した正のPCR結果にしたがって、各単離物にタンパク質遺伝子プロフィールコードを与えた。
【0093】
ヌクレオチド配列のアクセッション番号
記載の新規の配列データを、GenBankヌクレオチド配列データベースに提出し、以下のアクセッション番号が割り当てられた:AF291411〜AF291419(基準パネル1由来の血清型Ia〜VIII基準株についての16S/23S rRNA遺伝子間スペーサー領域);AF332893〜AF332917、AF363032〜AF363060、AF367973、AF381030、およびAF381031(基準株(表)の2つのパネルの部分的cps遺伝子クラスターおよび選択された代表的臨床単離物);AF367974(1つの単離物由来の挿入配列IS1381を含む部分的bac遺伝子配列);AF362685〜AF362704(全bac陽性単離物の部分的bac遺伝子配列);およびAF373214(基準株Prague25/60(Rタンパク質標準株)の部分的rib様遺伝子)。
【0094】
本明細書中で言及した以前に報告された配列データは、GenBankヌクレオチド配列データベース中で以下のアクセッション番号で認められた:AB023574(16S rRNA遺伝子);U39765、L31412(16S/23S rRNA遺伝子間スペーサー領域);X68427(S.oralisの23S rRNA遺伝子);X72754(cfb遺伝子);AB028896(血清型Iaのcps遺伝子クラスター);AB050723(血清型Ibの部分的cps遺伝子クラスター);AF163833(血清型IIIのcps遺伝子クラスター);AF355776(血清型IVのcps遺伝子クラスター);AF349539(血清型Vのcps遺伝子クラスター);AF337958(血清型VIのcps遺伝子クラスター);M97256(bca遺伝子);X58470、X59771(bac遺伝子);U58333(rib遺伝子);AF208158(alp2遺伝子)、AF291065〜AF291072(alp3遺伝子);AF064785(IS1381);M22449(IS861);Y14270(IS1548);AF064785(IS1381);AF165983(ISSa4);およびAJ292930(GBSi1)。
【0095】
統計分析および樹状図
統計分析にSSPSバージョン11ソフトウェアを使用した。SSPSバージョン11ソフトウェアのAverage Linkage(群間)およびHierarchical Cluster Analysisを使用して、樹状図を作成した。各マーカー-MS Ia、Ib、II、IV〜VI、sst III-1〜4;pgp「A」、「R」、「a」、「as」、「alp2」、「alp3」;bac亜群1、1a、2、3、3a、3b、3c、4、4b、5a、7、7a、8、9、9a、10、n1、n2;およびmge IS1381、IS861、IS1548、ISSa4、GBSil-の有無が、分析に含まれていた。遺伝子型を、それぞれ、分子的血清型分類(MS)またはsst、pgp、およびmgeの個別の比較によって特徴付けた。
【0096】
実施例1
GBSゲノムの特定領域中の血清型/血清亜型配列間および配列内異種性の研究、ならびに分子的血清型分類/血清亜型分類の適合性の評価
ポリメラーゼ連鎖反応
2つの例外を除いて、全てのGBS特異的プライマー対により、試験した全ての基準株および臨床単離物から予想されるサイズのアンプリコンが産生された(表3)。例外は、Sag59/Sag190およびCFBS/CFBAであった。両方ともcfb遺伝子をターゲティングするが、繰り返し試みたにもかかわらず1つの臨床単離物からアンプリコンを産生できなかった。本発明者らは、この単離物はcfb遺伝子を欠くか遺伝子が変異形態で存在すると予想した。cfb遺伝子をターゲティングするPCRにより全てのGBS単離物が同定されず(Hassanら、2000)、16S rRNA遺伝子に基づいた別のプライマー対DSF2/DSR1(Ahmetら、1999)は完全に特異的ではないことが以前に示唆されている。したがって、本研究では、両プライマー対(DSF2/DSR1およびSag59/Sag190)を使用して、全単離物がGBSであることを確認した。
【0097】
16S/23S rRNA遺伝子間スペーサー領域の配列異種性
基準パネル1由来の血清型Ia〜VIIIの16S/23S rRNA遺伝子間スペーサー領域を配列決定した。多配列アラインメントにより、以下の2つの位置のみで血清型間で異なることが示された:207(血清型VはTまたはC[T/C]であり、血清型VIIおよびVIIIはCであり、他はTである)および272(血清型IIIはTであり、他はGである)。したがって、これらの領域は、MSには不適切である。
【0098】
cpsD-cpsE-cpsFの3’末端およびcpsGの5’末端の配列異種性
cpsD-cpsE-cpsFの3’末端およびcpsGの5’末端をターゲティングする一連のプライマーを使用して、9塩基反復配列の有無によって、基準株(血清型IaからVII)の両パネルおよび63種の選択した臨床単離物から2226または2217bpを増幅および配列決定した。代表的な配列を、GenBankに寄託した。基準パネル株のGenBankアクセッション番号については、表1を参照のこと。
【0099】
反復配列
cpsDの3’末端領域で、MS IaおよびIIのほとんどの単離物、MS IIIのいくつかの単離物、MS IV、V、およびVIIの全ての単離物で、9塩基反復配列(TTA CGG CGA)が見出されたが、MS IbまたはVIの単離物では見出されなかった(表4)。この反復配列の有無を使用して、MS Ia、II、およびIIIをさらに亜型分類することができる(以下を参照のこと)。
【0100】
血清型内の異種性
一般に、血清型内異種性は低かった-血清型内異種性がより複雑なMS IIIを除いて、全ての血清型の少数の単離物で無作為なバリエーションが少し存在した。MS IIIを、22の位置(62、139、144、204、300、321、429、437、457、486、602、636、971、1026、1194、1413、1501、1512、1518、1527、1629、および2134)での異種性および反復配列(78〜86)の有無に基づいて4つの配列亜型に分類することができた(表4)。
【0101】
60種のMS III単離物(58種の臨床単離物および2種の基準株)のうち、血清型III-1(30種の単離物)およびIII-2(22種の単離物)が主であった。反復配列は、血清亜型III-1中には存在したが、III-2中には存在しなかった;7つの他の部位(139、144、204、300、321、636、および1629)で相違が存在した。
【0102】
反復配列を含み、3つの可変部位(139、144、および300)で血清亜型III-1と同一であり、且つ4つの部位(204、321、626、および1629)で血清亜型III-2と同一である血清亜型III-3に属する5つの単離物が存在した。血清亜型III-3は、7つの部位(486、1026、1413、1512、1518、1527、および2134)で血清亜型III-1およびIII-2と異なっていた。血清亜型III-3中のこれらの7つの部位は、MS Iaの対応する部位と同一であった。
【0103】
配列がMS IIの対応する配列とほぼ同一である血清亜型III-4単離物が3つ存在した。437位のみが例外であり、ヌクレオチドが血清亜型III-4中ではT(MS VIIのように)であり、MS II中ではCであった。(PCR(以下を参照のこと)に加えて)この相違を使用して、血清亜型III-4とMS IIとを区別することができる。2つの血清亜型III-4単離物は反復配列を含み、他の一つは含んでいなかった。少数の血清亜型III-4単離物のために、これらをさらに亜型分類するために反復配列を使用しなかった。
【0104】
血清型間の異種性
8つのMS間に56部位の異種性が存在した(表4)。MSのPCR/配列決定での使用に最も適切な部位は、領域の3’末端に最も近い23部位の群であった(表4、図1)。第1に、これらは基準株の2つのパネルおよびほとんどの臨床単離物(少数の血清亜型III-3およびIII-4単離物のみを除く、以下を参照のこと)で一致していた。第2に、これらは、単一反応での配列決定に都合の良い長さである790bp領域内に比較的集中していた。第3に、これらは、MS Ia〜VIIの区別に十分な異種部位を含んでいた(いくつかの例外あり)。この790bp領域に基づくだけでは、血清亜型III-3をMS Iaと区別することも、血清亜型III-4をMS IIと区別することもできない。しかし、これらを、MS III特異的PCRによって同定することができる(以下を参照のこと)。
【0105】
血清型VIIIは、790bp領域をターゲティングするプライマー対を使用してもアンプリコンを形成しないが、GBSのPCR同定後の排除によって同定することができる。この研究では、(790bp領域を増幅するプライマー対に加えて)2226bp領域を増幅するプライマー対ではアンプリコンが産生されない1つのMS VIII単離物が同定された。この結果を、血清型VIII特異的抗血清の使用によって確認した。
【0106】
単一の単離物における混合血清型特異性
MS特異的PCRおよび配列全体(2226/2217bpセグメント内)に基づいて1つのMSとして11種の単離物を同定したが、その配列は同一のMSの単離物といくつかの部位で異なり、且つ別の部位特異的特徴を共有していた。これらは、5つの血清亜型III-3単離物および3つの血清亜型III-4を含んでいた(上記を参照のこと)。MS IIと同定された1つの血清型分類不可能な基準株(Prague25/60)は、領域の5’末端で5つの部位で他のMS II単離物と異なり、これらの部位の3つでMS IIIと同一であった。Prague25/60 MS III特異的PCRは、陰性であった。CS II、およびその配列全体に基づいてMS IIと同定された1つの臨床単離物は、血清型Ibに特徴的な領域の5’末端において9つの部位で塩基を有しており、MS Ib特異的PCRは陰性であった。最後に、1つのCS V基準株(Prague10/84)は、GenBankの対応する配列(AF349539)と同一の配列決定結果を有するが、両者は、研究した他のMS V株の配列と領域の5’末端において3つの部位で異なった。
【0107】
血清亜型III-3およびIII-4に関連する特異性を除いて、これらの混合血清型特異性は全て、2226/2217フラグメントの5’末端領域で生じた。このことは、MSの配列決定標的として790bpの3’末端の選択を支持した。この標的を使用して、MS III特異的PCRによって同定することができる血清亜型III-3およびIII-4に属するMS IIIを除いて、全てのMSを正確に同定した(実施例2を参照のこと)。
【0108】
実施例2
cpsG-cpsH-cpsI/cpsMの3’末端をターゲティングするMS特異的PCRに基づいた分子的血清型同定(MS)
本発明者らの配列アラインメント結果により、cpsG-cpsH-cpsI/cpsMの3’末端中に意義深い配列異種性が存在することが示され(図3)、これにより、PCRによって直接的に血清型Ia、Ib、III、IV、V、およびVIを区別するための特異的プライマー対デザインの使用が適するようになった。考えられるさらなる将来的な要件(例えば、多重(multiplex)PCRの開発)を満たすためおよび/または配列分類法をさらに評価するために、各血清型のためのいくつかのプライマー対をデザインした(表2および3)。基準株の2つのパネルおよび特定の条件を使用して、全プライマー対により対応する血清型からのみDNAが増幅された。臨床単離物を試験した場合、2組のMS特異的プライマー対を使用して類似の結果が得られた。一般に、より小さなアンプリコンを生じるプライマーと共に、よりストリンジェントな条件(より低いプライマー濃度、より高いアニーリング温度)を使用することができる。MSについて選択された条件を、表3および図2に示す。
【0109】
以下のように、MSをPCRによって206種の臨床単離物中179種(86.9%)に割り当てた:MS Ia 40;MS Ib 35;MS III 58(以前に血清亜型III-3およびIII-4と同定されたものを含む);MS IV 7;MS V 36;MS VI 3。
【0110】
実施例3
MSとCSとの間の血清型同定結果の比較
CSおよびMSが完了した後、結果を比較した。最初の結果は、15種の単離物で矛盾していたが、このうちの5種を除く全部(以下を参照のこと)は、再試験および/または誤記の訂正によって解決した。
【0111】
CSおよびMS/配列亜型分類の結果を、表5に示す。PCRおよび/または配列決定によって、CSによる206中188(91.3%)と比較して、MSを全ての単離物に割り当てた。MS IIおよびVIIIのための特異的PCRは開発されていないので、全MS II単離物を配列決定のみによって決定し、1つの推定MS VIII単離物を、排除によって決定した(実施例1を参照のこと)。他の全ての単離物について、血清亜型III-3およびIII-4ならびに上記の他の軽微な配列の相違(実施例1)を除いて、PCRおよび配列決定の結果は一致した。CSの結果は、PCRの結果と十分に相関した。
【0112】
CSおよびMSの最終結果は、両方法の結果が利用可能である188種全ての単離物(100%)で同一であった。CSによって血清型分類不可能な18種の臨床単離物を、以下のようにMSに割り当てた:Ia、2;Ib、5;II、1;血清亜型III-1、3;血清亜型III-2、1;V、5;およびVI、1。
【0113】
MS VIと同定された3種の臨床単離物の配列(2217bp)は、血清型VI基準株の配列およびGenBankの対応する配列(AF337958)と同一であった。
【0114】
混合培養物
4種の臨床単離物について、MS III特異的PCRで正の結果が得られたが、配列決定によってMS IIと暫定的に同定された。3つはCS IIIであり、1つはCS IIであり、血清型III抗血清と弱い交差反応が認められた。これらの単離物を、それぞれ12個の個々のコロニーの継代培養によってさらに研究した。全ての継代培養物を、MS III特異的PCRによって試験した。3種のCS III単離物の12個のコロニー継代培養物は全て、MS III特異的PCRによって陽性であったので、単離物を血清亜型III-4と分類した(上記を参照のこと)。しかし、第4番目の単離物の12個のコロニー継代培養物のうちの11個は、MS III特異的PCRによって陰性であり、1個はMS III特異的PCRによって陽性であった。したがって、これは主にMS/CS IIの混合培養物と予想された。その後、その1個のMS III特異的PCR陽性コロニーは血清亜型III-2と同定され、さらなる臨床単離物として含まれた(全部で206)。
【0115】
実施例4
PCRおよび配列決定によるGBSの血清型割り当てのアルゴリズム
GBS血清型同定の臨床的実施に上記のPCRおよび配列決定法がどのように使用されうるかということの例として、臨床用のアルゴリズムをデザインした。使用する全てのプライマー(内部配列決定プライマーを除く)に高い融点(>70℃)を与え、急速サイクルPCRを使用した(図2)(プライマー配列については、表2を参照のこと)。
【0116】
実施例5
タンパク質抗原遺伝子特異的亜型分類に適したalp2、alp3、およびrib遺伝子中の領域の同定
少数の例外を除き、全てのプライマー対により、正の結果が得られる単離物由来の予想される長さのアンプリコンが産生された(表7)。例外は、プライマー対GBS1360S/GBS1937AおよびGBS1717S/GBS1937A(共にbac遺伝子をターゲティングする)を使用したPCRによって陽性であるが、他のbac遺伝子陽性単離物よりも有意に長いアンプリコンが産生される、1つの単離物を含んでいた。配列決定により、公開された配列(Tamuraら、2000)と比較して、アンプリコンは軽微なバリエーションを含む挿入配列IS1381を含むことが示された。プライマーIgAagGBS/RIgAagGBSおよびIgAS1/IgAA1(bac遺伝子もターゲティングする)を使用して産生したアンプリコンは長さが異なり(Bernerら、1999)、さらなる亜型分類のために配列決定した(以下および表8を参照のこと)。
【0117】
アンプリコン配列決定の結果
デザインまたは改変された選択プライマー対の特異性を確認するために、基準株の2つのパネルおよび31種の無作為に選択した臨床単離物由来の、bcaS1/bcaA(bca遺伝子の5’末端をターゲティングする)によって産生された23個のアンプリコンのうち10個、ならびにribS1/ribA3(rib遺伝子をターゲティングする)およびGBS1360S/GBS1937A(bac遺伝子をターゲティングする)によって産生された全てのものを配列決定した。
【0118】
プライマーbcaS1/bcaAの全10アンプリコンおよびプライマーribS1/ribA3の13のうちの12は、GenBankの対応する遺伝子配列と同一であった(それぞれ、M97256はbca遺伝子、およびU58333はrib遺伝子)。1つのさらなる単離物(すなわち、基準パネル2中のPrague25/60(R抗血清の惹起に使用))により、低アニーリング温度(55℃)でのみプライマー対ribS1/ribA3を使用してアンプリコンが産生されたが、ribS2/ribA1およびribS2/ribA2では産生されなかった。したがって、rib遺伝子を含まないと予想されるが、アンプリコン配列はrib遺伝子とかなりの相同性を示した(71.4%または66.6%、プライマー配列を含む場合または含まない場合)(図3)。この単離物は、試験した224種のうちのたった1種であり、PCRはribS2/ribA1およびribS2/ribA2を使用して陰性であったが、ribS1/ribA3を使用して陽性であった。後者のプライマー対は、rib遺伝子と完全に特異的ではないと考えられるので、配列決定のためだけに使用した。
【0119】
プライマー対GBS1360S/GBS1937A(bac遺伝子をターゲティングする)の10アンプリコンのうちの4つは、GenBank中の対応する配列(X58470、X59771)と同一であった。残る6つのbac遺伝子アンプリコンにおいて点変異(AからG、X59771の1441)が認められ、そのうちの1つは挿入配列IS1381(上記およびAF367974参照)を含んでいた。
【0120】
プライマー対bcaS1/balA(alp2/alp3遺伝子をターゲティングする)、bal23S1/bal2A2(alp2遺伝子をターゲティングする)、およびIgAagGBS/RIgAagGBS(bac遺伝子をターゲティングする)を使用して陽性のPCR結果が得られる224種の全単離物由来のアンプリコンを配列決定した。
【0121】
プライマー対bcaS1/balAを使用して、50種の単離物からアンプリコンを産生した。9個の配列はalp2遺伝子の公開された配列(AF208158)の対応する部分と同一であり、41個はalp3遺伝子(AF291065)と同一であった。bcaS1/balAアンプリコンの配列中のalp2遺伝子とalp3遺伝子との間に2つの一致する異種部位が存在し(図4)、alp2およびalp3遺伝子特異的PCRに加えて、これらを区別するために使用することができる。プライマー対bal23S1/bal2A2の9つ全てのアンプリコンは、GenBankのalp2遺伝子配列(AF208158)の対応する部分と同一であった。
【0122】
プライマー対IgAagGBS/RIgAagGBSにより、52種の単離物中のbac遺伝子が同定された。アンプリコン長および配列異種性に基づいてそれぞれbac遺伝子陽性単離物を11の群および20の亜群に分離することができる多数の配列バリエーションが存在した(表8)。群は、B1(20種の単離物、2亜群)およびB4(11種の単離物、3亜群)を除いて、少数(1から5種)の単離物を含んでいた。アンプリコン長の相違は概して、短い反復配列の有無に起因していた。
【0123】
表面タンパク質遺伝子特異的プライマー対の特異性のさらなる確認
プライマー特異性を確認するために、bac遺伝子PCR用にデザインまたは改変したプライマー配列を使用したPCRの結果と以前に公開されたプライマーを使用したPCRとを比較し、100%相関することを見出した。
【0124】
公開プライマー対bcaRUS/bcaRUA(bca遺伝子反復単位をターゲティングする)の以前に報告された非特異性を確認した。これらのプライマーを使用して、9つ全てのalp2遺伝子陽性(bcaS1/bcaA陰性)単離物およびプライマーbcaS1/bcaA、bcaS2/bcaA(bca遺伝子の5’末端をターゲティングする)、bal23S1/bal2A2、およびbal23S2/bal2A1(alp2遺伝子の5’末端をターゲティングする)を使用してPCR陰性であった53種により、アンプリコンが産生された。配列決定により、bca遺伝子およびalp2遺伝子は、alp2遺伝子陽性株からアンプリコンが形成されるbcaRUS/bcaRUAによってターゲティングされる領域中に有意な相同性を有することが示された。これらの偽陽性の結果は、bca遺伝子反復単位に相同な領域(bca遺伝子反復単位様配列)を含む他のCα様タンパク質の存在に起因し得る。
【0125】
各遺伝子(rib、alp2、およびalp3遺伝子)のためにデザインした2つまたはそれ以上のプライマー対を使用したPCRの結果が十分に相関し、各組の特異性を支持することも示した。上記のように、試験された224種の単離物のうちの1つに由来する非特異的アンプリコンを産生するribS1/ribA3のみが例外であった。
【0126】
実施例6
表面タンパク質抗原遺伝子プロフィールとcps血清型/血清亜型との関係
表面タンパク質遺伝子プロフィール
各遺伝子(bca遺伝子反復単位またはbca遺伝子反復単位様領域を除く)について、PCRによるGBS表面タンパク質の同定および特徴づけのために2つのプライマー対を選択した。各単離物に、PCRの結果によって以下のタンパク質遺伝子プロフィールコードを与えた。
「A」:bcaS1/bcaAおよびbcaS2/bcaAによって増幅されたbca遺伝子の5’末端;
「a」または「as」:それぞれ複数または単一バンドのアンプリコンを有する、bcaRUS/bcaRUAによって増幅されたbca遺伝子反復単位またはbca遺伝子反復単位様領域;
「B」:GBS1360S/GBS1937AおよびIgAagGBS/RIgAagGBSによって増幅されたbac遺伝子(配列異種性に基づいた>20の亜群);
「R」:ribS2/ribA1およびribS2/ribA2によって増幅されたrib遺伝子;
「alp2」:bal23S1/bal2A2およびbal23S2/bal2A1によって増幅されたalp2遺伝子;および
「alp3」:bal23S1/bal3Aおよびbal23S2/bal3Aによって増幅されたalp3遺伝子(表7)。
【0127】
4つの共通のプロフィールが224種の単離物中の203種(90.6%)を占めた:「R」(62単離物)、「AaB」(51単離物)、「a」(49単離物)、および「alp3」(41単離物)(表4を参照のこと)。2種の単離物のみが、表面タンパク質遺伝子マーカーを含まなかった。bac遺伝子を含む単離物(「B」)は1つを除いて全て、反復単位を含むbca遺伝子も有し(「Aa」)、1種はrib遺伝子を有していた。全ての「alp2」単離物は、単一のbca反復単位様配列を含んでいた(「as」)。「A」、「R」、「alp2」、「alp3」は全て相互に排他的である。rib遺伝子を有する63種の単離物(「R」)のうちの62種およびalp3遺伝子を有する41種の単離物のうちの41種は、他のタンパク質抗原マーカーを有していなかった。
【0128】
表面タンパク質抗原遺伝子プロフィールとcps血清型/血清亜型との関係
cps分子的血清型(MS)を、実施例1から4に記載の方法にしたがって全単離物に割り当て、この結果は、抗血清を使用して分類不可能な224種の単離物のうちの19種を除いて従来の血清型分類(CS)の結果と相関した。表面タンパク質遺伝子プロフィールとcpsMSとの関係を、表9にまとめる。
【0129】
以下のものの間に強力な関係が確認または証明された:MS Iaとbca遺伝子反復単位またはbca遺伝子反復単位様配列(ほとんどがプロフィール「a」を有する);MS血清亜型III-1およびIII-2とrib遺伝子;MS血清亜型III-3とalp2遺伝子;MS Ibとbca/bac遺伝子;およびMS Vとalp3遺伝子。MS IIは、最も変化した表面タンパク質遺伝子プロフィールを示した。しかし、この関係は絶対的ではなく、cps血清型とタンパク質遺伝子プロフィールとの異なる組み合わせにより、bac遺伝子(「B」)亜群を考慮した場合に、31種の異なる血清変異型(serovariant)または51種が産生された。
【0130】
実施例7
表面タンパク質抗原とタンパク質遺伝子プロフィールとの関係
従来の血清型分類に基づいて、33種の単離物(CS Ia/c、Ib/c、IIc、IIb、IIIc、またはIIIbに属する)は、C抗血清と反応した。これら全ての単離物の表面タンパク質遺伝子プロフィールは、bca遺伝子(「A」)またはbca遺伝子反復単位関連マーカー(「a」または「as」)を含んでいた:Aa、3;AaB、18;a、11;alp2as、1。29種の単離物はR抗血清と反応し、これらのうちの22種はrib遺伝子を含み、6種はalp3遺伝子を含んでいた。Rタンパク質抗血清を惹起するために使用した株(Prague25/60)は、推定rib様遺伝子を含んでいた(上記および図3を参照のこと)。
【0131】
実施例8
分子的亜型分類に適した可動遺伝因子の同定
GBS血清型中の5つの可動因子の存在をスクリーニングするための一連のPCRプライマーを開発した。
【0132】
プライマー対の特異性
全てのプライマー対により、いくつかの基準単離物および/またはいくつかの臨床単離物から予想される長さのアンプリコン(表11)が産生された(表12)。本発明者らのプライマー対の特異性を評価するために、プライマーIS1548S/IS1548A3およびISSa4S/ISSa4A2によって産生された全アンプリコン、ならびにIS861S/IS861A2(12単離物)、IS1381S1/IS1381A(24単離物)、およびGBSi1S1/GBSi1A2(11単離物)によって産生された基準単離物および臨床単離物両方から選択されたアンプリコンを配列決定した。
【0133】
41種のIS1548および15種のISSa4アンプリコン配列の全てがGenBankの対応する配列(それぞれ、Y14270およびAF165983)と同一であった。12種のIS861アンプリコン配列のうちの5種は、GenBankの対応するIS861配列(M22449)と同一であった。他の7種は、公開された配列と732位が異なり(G→A)、基準株Prague25/60は、M22449の576位および830位に2つのさらなる相違を有していた(それぞれG→AおよびT→A)。
【0134】
以前に、本発明者らは、元の公開された配列(AF064785)と比較して以下のいくつかの相違を有する、臨床単離物のCβ抗原遺伝子内に全長挿入配列IS1381(AF367974)を見出した:末端逆位反復配列は20塩基対(bp)ではなく15bpを含み、3bpが欠失し、(元のGenBank配列の)419位と429位との間の推定トランスポザーゼ偽遺伝子中で4つの個々の塩基対が異なる-
。12種の基準単離物および12種の選択された臨床単離物由来のプライマー対IS1381S1/IS1381Aの全てのアンプリコンは、互いに同一であり、且つGenBankの本発明者らのIS1381配列(AF367974)のアンプリコンと一致するが、上記のように、最初に報告されたIS1381配列(AF064785)と異なっていた。
【0135】
4種のGBSi1陽性基準株および7種の選択した臨床単離物の全て由来のプライマー対GBSi1S1/GBSi1A2のアンプリコンを配列決定した。6種(3種の基準株のものを含む)は、GenBankの対応するGBSi1配列(AJ292930)と同一であった。4種の臨床単離物由来のアンプリコンは、3つの部位バリエーション(AJ292930配列の767位でのC→T、846位でのA→C、および923位でのT→C)を示した。基準株Prague25/60は、これらの部位バリエーションのうち最初の2つのみを示した。
【0136】
配列決定に加えて、各標的に対する2つまたはそれ以上のプライマー対のPCR結果を比較することによって本発明者らのプライマー対の特異性を評価した(表11)。全ての場合、同一の可動遺伝因子をターゲティングするPCRで試験した場合に同一の単離物の組は陽性の結果を示したので、プライマー対の特異性が確認された。
【0137】
5つ全ての可動遺伝因子の特異的プライマー対を使用したPCRの結果
それぞれ単離物の55%、18%、85%、7%、および19%でIS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1が同定された。10種の単離物(4%)で可動因子は検出されなかった。前の実施例で試験した224種のGBS単離物におけるPCRによって同定された5つの可動因子の分布を、表12に示す。79種の単離物中でIS1381のみが検出され、1種の単離物中でGBSi1のみが検出された。46種の単離物は2つの異なる挿入配列(IS861およびIS1381、42単離物;IS1548およびIS1381、3単離物;ISSa4およびIS1381、1単離物)を含んでいた。44種の単離物は、3つの挿入配列(IS861、IS1548、およびIS1381、34;IS861、ISSa4、およびIS1381、10)を含み、1種の単離物は4つ全ての挿入配列を含んでいた。41種の単離物は、1つ(IS861、22;IS1381、1単離物)、2つ(IS861およびIS1381、11;ISSa4およびIS1381、3単離物)、または3つ(IS861、IS1548、およびIS1381、4単離物)の挿入配列と組み合わせてGBSi1を含んでいた。
【0138】
5つ全ての可動遺伝因子に特異的プライマー対を使用した194種の侵襲性単離物のPCR結果
異なる可動遺伝因子(mge)組み合わせ(単離物あたり0から4種)を含む単離物の数を、表13に示す。それぞれ単離物の87%、52%、17%、6%、および18%で、IS1381、IS861、IS1548、ISSa4、およびGBSi1が同定された。6種(3%)の単離物は、mgeを含んでいなかった。
【0139】
実施例9
cps血清型、血清亜型、表面タンパク質遺伝子プロフィール、および可動遺伝因子の関係
異なるcps血清型、血清型III亜型、および表面タンパク質遺伝子プロフィール中の5つの各可動遺伝因子の分布を、表12および13に示す。各血清型/血清亜型について最も一致した所見は以下のとおりであった:
1)血清型Ia-ほとんど(>80%)が、Cαタンパク質と密接に関連するタンパク質を発現し、IS1381を含んでいた。
2)血清型Ib-ほとんど(>90%)が、CαおよびCβタンパク質を発現し、IS861およびIS1381を含んでいた。
3)血清型II-以下の2つの共通のパターンを示す:
a)>50%が、Cαタンパク質(およびしばしばCβ)を発現し、IS861、IS1381および時々他の可動因子、特にISSa4を含んでいた、または
b)>25%が、Ribタンパク質を発現し、IS861、IS1381、およびGBSi1を含んでいた。
4)血清亜型III-1:全てがRibタンパク質を発現し、IS861、IS1548、およびIS1381を含むがGBSi1を含まなかった。
5)血清亜型III-2:全てがRibタンパク質を発現し、IS861およびGBSi1を含むがIS1548およびIS1381のいずれも含まなかった。
6)血清亜型III-3:全てがCα様タンパク質2を発現し、可動遺伝因子を含まなかった。
7)血清亜型III-4:種々のタンパク質を発現し、全てがGBSi1を含んでいた。
8)血清型IV-ほとんどが、Cαタンパク質と密接に関連するタンパク質を発現し、IS1381を含んでいた。
9)血清型V-ほとんどがCα様タンパク質3を発現し、IS1381を含んでいた。
10)GBSi1およびIS1548は血清型III(III-1、III-2、およびIII-4)において互いに排他的であるが、血清型IIではそうではない。
11)Cα様タンパク質2を発現した単離物は全て、挿入配列を含まなかった。
【0140】
MS/sst、pgp、およびmgeの主な関係
図5は、種々の遺伝子マーカー間の関係を示す。IS1381は、MS Ia、Ib、IV、V、およびVIのほぼ全ての単離物に存在したが、sstIII-2またはIII-3には存在しなかった。血清型IIまたはIIIでIS1548が排他的に見出され、GBSi1が最も共通して見出され;3種の単離物(全てMS II)は、GBSi1およびIS1548の両方を含んでいた。全てのsst III-1およびIII-2ならびにほとんどのMS IIおよびIb単離物でIS861が見出されたが、他のMS単離物ではたった14%であった。ISSa4は、6%の単離物のみに存在し、その過半数はMS IIであり;これは1996年以前(1994年)に得られた1つの侵襲性単離物中に存在していた。IS1381は、挿入配列を有さないクラスター8中の単離物(pgp「alp2」)以外のほとんどの単離物中で見出された。IS861は、pgp「AaB」(クラスター3および4)を有するほとんどの遺伝子型およびpgp「R」(クラスター6および7)を有する全ての遺伝子型で見出された。
【0141】
MS/sst、pgp、bac亜型、およびmgeに基づく遺伝子型
MS/sst、pgp、bac亜型(pgp「B」を含む単離物について)、およびmgeの種々の組み合わせの存在により、PCR/配列決定ベースの遺伝子型同定系が得られる。本研究における194種の侵襲性単離物により、bac亜型(主にMS Ib)が含まれる場合に、pgpおよびmgeまたは56種の遺伝子型の分布に基づいて、7種の血清型、10種のMS/sst、41種の亜型が示された(図5)。
【0142】
理論的GBSクローン集団構造
理論上は、13種の可能なGBS MS/sst(8種のMS-Ia、Ib、II、IV〜VIII、4種のsst III 1〜4およびcps遺伝子クラスター不在)および少なくとも10種のpgp(なし、「Aa」、「AaB」、「a」、「as」、「R」、「RB」、「alp2as」、「alp3」、または「alp4a」)が存在する。これまでに同定された22種のbac亜型が含まれる場合、31種までのpgpが存在する。5種のmgeが独立して無作為に分布して存在するまたは存在しない場合、13×31×25=12,896種の分子マーカーの異なる組み合わせが存在する可能性がある。56種の異なる組み合わせしか見出されないという事実(図5)は、マーカーが無作為に分布しない、言い換えれば、これらの侵襲性オーストラレーシアGBS単離物はクローン集団構造を有することを示している。考えにくいことであるが、これらの単離物は非常に限られた数のGBS遺伝子型しか示さない可能性がある。
【0143】
オーストラレーシア侵襲性GBSの系統発生的関係
56種の遺伝子型は8種のクラスターを形成し、約16の遺伝的距離で分離されていた(あるいは、3つのクラスター群が約22.5の距離で分離していた)。pgpは、クラスター分離の主な決定因子であった(図5)。94%の単離物は、5種のMS(Ia、Ib、II、III、およびV)に属し、62%が5種(9%)の遺伝子型(Ia-1、Ib-1、III-1、III-2、V-1)に属し、92%が5種の最も大きいクラスター(1、2、4、6、および7)に属していた。クラスター群A(最も大きい)は、139種(72%)の単離物および48種(86%)の遺伝子型を含み、そのうちの45種が5種未満の単離物を含み、クラスター群Bは49種(25%)の単離物および5種(9%)の遺伝子型を含んでいた。
【0144】
各クラスターの主な特徴は、以下のとおりである:
クラスター1:「alp3」、IS1381(39種の単離物、4種のMS、11種の遺伝子型;主な遺伝子型V-1)。
クラスター2:「a」または「as」、IS1381(55種の単離物、4種のMS、12種の遺伝子型、主な遺伝子型Ia-1)。
クラスター3:「Aa」または「AaB」、MS II、IS1381、IS861(10種の単離物、6種の遺伝子型)。
クラスター4:「AaB」、IS1381、IS861(35種の単離物、2種のMS:VIまたはIb;18種の遺伝子型;主な遺伝子型Ib-1)。
クラスター5:「AaB」、IS861、GBSi1、遺伝子型III-4-1(1種の単離物)。
クラスター6:「R」、IS861、およびGBSi1(22種の単離物、3種のMS/遺伝子型;主な遺伝子型III-2)。
クラスター7:「R」、IS1381およびIS861(27種の単離物;2種のMS/遺伝子型;主な遺伝子型III-1)。
クラスター8:「alp2as」、ISなし(6種の単離物;3種のMS/遺伝子型;1つがGBSi1を含む)。
【0145】
系統発生研究により、SSPSによって推測された樹状図は非常に強固であることが示された。
【0146】
遺伝子型とGBS疾患パターンとの関係
侵襲性GBS疾患患者の異なる年齢群におけるMSおよび遺伝子型の分布を、表14に示す。1つを超える患者群で全ての共通のMSが示された。しかし、(全ての他の年齢群と比較すると)sstIII-2と遅発型新生児感染症との間(p=0.0005)およびMS Vと高齢者の感染症との間(p=0.001)に、非常に有意な関係が存在した。
【0147】
脳脊髄液標本由来の17種の単離物が存在し、そのうちの9種(53%)がMS III(それぞれ異なるクラスター中の3種の異なるsst/遺伝子型由来)であった。他の8種の単離物は、5種のMS、7種の遺伝子型、および4種のクラスターに分布していた。全年齢群で髄膜炎を発症していたが、他の全ての群での5%と比較して、遅発型新生児群では症例の23%であった。
【0148】
考察
GBSにおける莢膜産生は、我々の研究開始前に血清型Iaおよび血清型IIIについて配列決定されていた莢膜多糖類合成(cps)遺伝子クラスターによって調節される。プロジェクトがほぼ終了して、血清型Ibの対応する配列(Miyakeら、2001年GenBank提出、GenBankアクセッション番号AB050723)および血清型IV、V、およびVIに対応する配列(McKinnonら、2001年GenBank提出、それぞれGenBankアクセッション番号:AF355776、AF349539、AF337958)が最近公開されたが、他の3種の血清型(II、VII、およびVIII)の対応する配列(cps遺伝子クラスター配列)は、以前に公開されていなかった。
【0149】
血清型IaおよびIIIのcps遺伝子クラスターの配列は、cpsD-cpsE-cpsFの3’末端およびcpsGの5’末端で相同性が高かった。本発明者らは、この領域中の2226/2217bpセグメントを増幅するための一連のプライマーをデザインし、VIII以外の全ての血清型からアンプリコンが得られることを見出した。これにより、この領域で血清型VIIIが他の血清型と著しく異なるという以前の示唆が確認された。
【0150】
本発明者らは、8種の血清型(IaからVII)の基準株を使用して、血清型の間で50種を超える異なる点を示した(図1、表4)。従来の方法によって血清型分類した63種の選択された臨床単離物を使用して、これらの血清型間の相違が一般に一貫し且つ特異的であり、特に23個の部位が領域の3’末端にクラスター化していることを見出した。本発明者らは、従来の方法によって得られた血清型に関する知識を使用せずに、これらの相違を使用して本研究で回収した残りの臨床単離物に血清型を割り当てた。
【0151】
血清型Ia、III、Ib、IV、V、およびVIのcpsG-cpsH-cpsI/cpsMの3’末端の配列分析により、この領域の可変性が高く(図3)、この領域はPCRによる直接的血清型同定の適切な標的となることが示された。本発明者らは、MS Ia、Ib、III、IV、V、およびVIのいくつかのMS特異的プライマー対をデザインし、これを使用して2つのCS基準パネルを試験した。206種の臨床単離物の86.9%のMSについて、PCRのみによる選択したプライマー対を使用した。急速サイクルMS特異的PCRを使用して、1作業日内に結果を利用することができる。後に、この領域中のcps遺伝子クラスター配列が血清型II、VII、およびVIIIで利用可能である場合、全MSに対してこの方法を拡大することが可能である。一方で、MS IIおよびVIIを、cpsE-cpsFの3’末端-cpsGの5’末端の790bpPCRアンプリコンの配列決定によって同定することができる(図1、表4)。790bpを増幅する全プライマーを使用した陽性のGBS特異的PCR結果および陰性のPCR結果により、排除によってMSVIIIが同定された。
【0152】
後に、および現在いくつかの研究所において、全単離物のcpsE-cpsFの3’末端-cpsGの5’末端の790bpPCRアンプリコンの配列決定は、たった1つの方法およびより少数のプライマーしか必要でないので、より都合がよい可能性がある。しかし、院内で配列決定が利用できない場合、納期がより長くなり、割合の低い血清型が間違って割り当てられることが考えられる(血清亜型III-3およびIII-4がそれぞれMS IaおよびIIとして)。最初にMS III特異的PCRを使用してスクリーニングすることによって、これを回避することができる。790bpPCRアンプリコンの配列決定により、配列異種性に基づいてMS IIIを亜型分類することが可能である。
【0153】
以前の研究により、血清型Ia、Ib、II、III、およびVは、米国およびいくつかの国で正常な無菌部位から最も頻繁に単離されるものであることが示されている。血清型VIおよびVIIIは、日本の患者から単離された主な血清型であるが、他の地域では一般的ではない。本発明者らの単離物を選択したが、これらはおそらくオーストラレーシアで疾患を発症させるものの代表であり、Ia、Ib、II、III、およびVは同定された最も一般的な血清型であったが、少数の血清型IV、VI、およびVIIIが存在した。
【0154】
13%までのGBS単離物は血清型分類することができず、本研究では、利用可能な抗血清を使用して、その割合は8.7%(18/206)であった。これは、型特異的抗原合成の減少;非莢膜形成期の変化;またはcps遺伝子クラスターの遺伝子の挿入もしくは変異に起因している可能性がある。本研究における1つの血清型分類不可能な株GBSは、cpsG遺伝子のT塩基が欠失しており、これによりcpsG遺伝子の読み取り枠が変化していた。
【0155】
本発明者らは、GBS表面タンパク質遺伝子を同定し、さらにこれらの単離物を特徴付けるPCRベースの方法も開発した。公開されたbac遺伝子配列を使用して、bac遺伝子特異的プライマーを改変し、全ての主要な表面タンパク質遺伝子をターゲティングする急速サイクルPCRに適切な高融点(>70℃)を有する新規のプライマーをデザインした。
【0156】
以前に報告されたように、bca遺伝子反復単位(bca遺伝子の3’末端)をターゲティングする公開されたPCRプライマー対は、bca遺伝子に完全に特異的なわけではなかった。本発明者らは、特異性を改善するために、bca遺伝子の5’末端をターゲティングする新規の2つのプライマー対をデザインした。しかし、これらのプライマーを使用して非常に少数の血清型Ia株しか正の結果が得られないのに対して、bca遺伝子反復単位をターゲティングするプライマーを使用すると全てがPCR陽性であった。これらの結果は、bca遺伝子の5’末端をターゲティングするプローブは9種の血清型Ia株の1種のみとしかハイブリッド形成しないが、タンデムリピート領域を含む巨大なbca遺伝子プローブは9種すべての株とハイブリッド形成するという以前の報告と一致した。
【0157】
rib、alp2、およびalp3遺伝子に特異的なPCRは、以前には記載されていなかった。本発明者らがデザインしたプライマー対は、主に遺伝子の5’末端をターゲティングし、遺伝子の異種性と関連遺伝子の配列との比較後に選択した。本発明者らは、同一の遺伝子をターゲティングする異なるPCRの結果の比較によってプライマーの特異性をチェックするための各遺伝子について2つまたはそれ以上のプライマー対をデザインした。タンパク質遺伝子プロフィール「alp2」および「alp3」を、alp2およびalp3遺伝子特異的PCRならびに/またはbcaS1/balAもしくはbcaS2/balAのアンプリコン中の2つの配列異種性部位に基づいて区別した。
【0158】
本発明者らのプライマーの特異性を確認するために、本発明者らは、これらを使用して2つの基準パネルおよび選択したGBS単離物を試験した。各遺伝子についてPCRによって産生された最も長いアンプリコンを配列決定して最大の配列情報を得て、確実に内部プライマーが株異種性部位に位置しないようにした。本発明者らの配列決定結果により、プライマーの特異性が確認された。各遺伝子の2つのプライマー対を、類似の結果と比較した。最後に、6種の遺伝子/領域特異的プライマー対(bca遺伝子反復単位をターゲティングするものを含む)を使用して、224種全ての単離物のタンパク質抗原遺伝子プロフィールを定義した。
【0159】
本研究により、反復配列を含む表面タンパク質遺伝子ファミリー(rib、bca、alp2、およびalp3遺伝子)のたった1つのメンバーしか任意の1つの単離物に存在することができないことが示された。しかし、反復配列を含む表面タンパク質遺伝子ファミリーのメンバーではないbac遺伝子を含む全ての単離物もまた、bca遺伝子(51/52)またはrib遺伝子(1/52)のいずれかを含んでいた。
【0160】
bac遺伝子は、単離物の23%中に存在し、その類似の比率(19〜22%)が以前に報告されている。他と共通して、bac遺伝子中に可変性の小さな内部反復配列に起因するバリエーションが見出された。これらのbac遺伝子反復配列は不規則であった(bca-rib遺伝子ファミリーのものとは異なる)。その役割は明らかではないが、疫学研究用の有用な分子マーカーである可能性がある。
【0161】
本発明者らのデータは、いくつかの血清型III単離物(MS血清亜型III-1およびIII-2)がrib遺伝子と密接に関連し、他の単離物(MS血清亜型III-3)がalp2遺伝子に関連することを示す。血清型Ibは、bcaおよびbac遺伝子と関連し、血清型Vはalp3と関連していた。しかし、この関係は絶対的ではないので、cps血清型-血清亜型/タンパク質遺伝子プロフィールの異なる組み合わせにより、疫学研究および結合型ワクチンの処方に有用な多数の血清バリアントが同定された。PCRのみに基づいて、224種の単離物を、bac遺伝子(B)群に基づいて31種の血清バリアントに分類するか、亜群に基づいて51種に分類することができた。理論的には、さらなる血清バリアントが存在する可能性が高い。
【0162】
本発明者らは、抗血清「c」および「R」タンパク質抗原が、ある特定のタンパク質遺伝子に完全に特異的なわけではないことを見出した。しかし、「c」抗血清との反応のほとんどが、Cα(bca遺伝子)および関連タンパク質抗原(少なくともalp2遺伝子を含む)をコードする遺伝子、ならびにRib(rib遺伝子)をコードする遺伝子を有する「R」、および関連タンパク質(少なくともalp3遺伝子および稀な推定rib様遺伝子を含む)に対する抗血清の存在を反映していた。
【0163】
GBSの異なる血清型の多数の可動因子の存在も調査した。以前にGBS中に4つの異なる挿入配列が同定されている。いくつかの血清型III単離物中のIS861の複数のコピーが、莢膜遺伝子発現の増大に関連していた。全ての血清亜型III-1およびIII-2ならびにほとんどの血清型IIおよびIb単離物中でIS861が見出されたが、その他はほとんど見出されなかった。全IS861含有単離物は、少なくとも1つのさらなる可動因子を含んでいた。
【0164】
IS1381の複数のコピーが高い比率でGBSおよび他のStreptococcus種(S. pneumoniaeを含む)で見出されており、これは、疫学研究のためのGBSの制限フラグメント長多型(RFLP)分析用のプローブとして使用されている(Tamuraら、2000)。本発明者らは、単離物全体の85%においてIS1381を見出した。これらは血清亜型III-1の全単離物中に存在していたが、血清亜型III-2またはIII-3には存在しなかった。24種の単離物由来のIS1381配列は互いに同一であるが、以前に記載された単離物(AF064785)由来のものはいくつかの部位が異なっていた。これらの相違の有意性は不明であるが、できるだけ多数の異なる株由来の配列を確認することの重要性が強調される。
【0165】
非溶血性GBS単離物中で、溶血素の産生に関与するABC輸送体の一部である遺伝子cylBの挿入性不活化を引き起こす、ISSa4が最初に同定された。(主に溶血性の)GBS単離物のわずかな割合(4%)にISSa4が含まれ、その全てが1996年から単離されており、ISSa4はGBSに新規に獲得されたと推測された。本発明者らも単離物中のわずかな割合(7%)でISSa4を見出したが、1996年以前(44中4)および以降(162中11)で得られた臨床単離物と類似の割合で存在していた。
【0166】
IS1548は、いくつかのヒアルロニダーゼ陰性GBS血清型III単離物中で最初に発見され、これは、遺伝子hylB(ヒアルロニダーゼ(重要なGBS毒性因子)の産生を担うクラスターの1つ)の挿入性不活化を引き起こす(Granlundら、1998)。IS1548のコピーもまた、これを含む単離物中のC5aペプチダーゼ遺伝子(毒性にも関連する)の下流で見出される。ほとんどのIS1548含有単離物は心内膜炎患者に由来し、ヒアルロニダーゼ産生の不活化および/またはC5aペプチダーゼに対するいくつかの効果によりGBS単離物が心臓弁に接着してそこで生存することができる可能性が示唆された。
【0167】
本発明者らは、表面(12中8)および正常に滅菌した(46中22)検体由来の回収物中の58種の血清型III単離物の52%を占める全血清亜型III-1単離物中にIS1548を見出した。後者は新生児(20中7)、成人(6中3)、および年齢が特定されていない被験体(20中12)(データ示さず)に由来した。特定の臨床データが利用できなかったが、GBS心内膜炎は稀であり、存在するとしてもこれらの被験体にはわずかしか存在しなかった可能性が高い。この挿入配列と特定の毒性因子および臨床的な症候群との関連を解明するためのさらなる研究が必要である。
【0168】
本発明者らは、224種の単離物全体の19%においてGBSi1(グループIIイントロン)を見出した;これは、IS861とよく関連し、血清型/血清亜型によって分布が異なっていた。IIおよびIII以外の血清型で見出されることは稀であった。IS1548も含んでいた4種を含む、50%をこえる血清型II単離物に存在していた。GBSi1は、IS1548が見出されない全ての血清亜型III-2およびIII-4単離物中で見出されたが、IS1548を含む血清亜型III-1単離物またはIS548を含まない血清亜型III-3単離物では見出されなかった。
【0169】
cps遺伝子クラスター内の相違に基づいたGBS血清型IIIの4つの血清亜型への下位区分は、本研究に記載の表面タンパク質遺伝子プロフィールの対応する相違および5種の可動因子の分布によって支持された。本発明者らの単離物はヒアルロニダーゼ活性について試験しなかったが、Ribタンパク質を発現し、IS1548、IS861、およびIS1381を含む本発明者らの血清亜型III-1は、Bohnsackら、2001に記載のヒアルロニダーゼ陰性亜型III-2に相当する可能性が高い。本発明者らの血清亜型III-2はまた、Ribタンパク質を発現し、IS861およびGBSi1を含み、おそらくBohnsackら、2001の亜型III-3に相当する。血清亜型III-3およびIII-4は、比較的少数の単離物で示された。前者(いくつかの血清型Ia単離物と共通)は、Cα様タンパク質2を発現し、可動因子を含まなかった(別の一般的でない所見)。後者は、血清型IIと密接に関連し、cps遺伝子クラスター区分、種々の表面タンパク質プロフィール、および可動因子と配列相同性を有する。
【0170】
まとめ
本発明者らの目的は、B群連鎖球菌(GBS)のための包括的遺伝子型同定システムの開発である。このようなシステムは、理想的には、再現性があり、客観的であり、研究所間で移動可能であり、他の分類法と同等の相補的なものであり、公知の毒性マーカーを組み込むことができなければならない。これらの基準に基づいて、本発明者らは、最初に、cps遺伝子クラスターに基づいた分子的血清分類(MS)法を開発した。これは、従来の血清分類法(CS)と比較して優れており、感度が高く、他で記載されているような血清型(sst)IIIのいくつかの亜型を同定することができた。本発明者らは、可変性表面タンパク質抗原をコードする遺伝子ファミリー(bca/rib/alp2/alp3/alp4)およびIgA結合タンパク質Cβ(bac)に基づいた第2の分子的亜型分類法も開発し、これは、全ての単離物を分類することができず且つ時に誤った方向に導く従来のタンパク質血清型分類よりも、高感度且つ客観的である。本発明者らの方法は、可変性抗原遺伝子ファミリーのより多数のメンバーを同定し、多数のbac亜群を区別することもできる。第3の亜型分類法は、GBSで同定された4つの異なる挿入配列(IS)およびII型イントロンを含む5つの可動遺伝因子(mge)を使用する。この第3の方法の使用により、本発明者らの遺伝子型同定システムの識別能力が、さらに高められる。
【0171】
本発明者らは、次いで、集団遺伝子構造および194種の侵襲性GBS単離物の遺伝子型の年齢に関係する疾患分布の試験に本発明者らの分類システムを使用した。
【0172】
主に、本発明者らの遺伝子型同定システムの実用的価値を証明し、クローン集団構造を確認し、異なる患者群の遺伝子型分布を決定するために、侵襲性GBS単離物を使用した。単離物は、GBS敗血症を有する全年齢の患者に由来した。約半分は、産科ユニットを有する総合病院の大規模な診断室での血液またはCSF由来の連続GBS単離物であった(すなわち、新生児以外の幼児由来の単離物は存在しなかった)。残りは、ニュージーランド全土からの血清分類のために参照された連続単離物であった。したがって、新生児早期を超える幼児がおそらく過小評価されること以外は、全体的な年齢分布が、GBS疾患に罹患した集団の分布を表す。しかし、各年齢群内の遺伝子型の分布が示すべきである。
【0173】
194種のオーストラレーシア侵襲性GBS単離物のうち、本発明者らは56種の遺伝子型を同定し、そのうちの5種(Ia-1、Ib-1、III-1、III-2、およびV-1)が単離物の62%を占めていた。
【0174】
本発明者らの結果に由来する樹状図により、cps血清型とタンパク質遺伝子プロフィール(pgp)との関係が示された。本発明者らの結果はまた、特定の公知の毒性マーカー-Cβ、Cα変バリアント、およびヒアルロニダーゼ産生(間接的)が異なるクローン系統と関連したことを示す。
【0175】
3つの遺伝子マーカー組に基づく本発明者らの遺伝子型同定システムは識別力が高い。抗原性組成物を含む有用な表現型データが得られるので、特に潜在的なGBSワクチンの使用に関するGBSの疫学的調査に有用である。推定高毒性遺伝子型と患者の特徴(年齢および/または基本的な危険因子)との関係、CSF単離物(または遺伝子型)と他の侵襲性またはコロニー化株との間に有意差があるかどうかについての研究が、本発明者らの遺伝子型同定によって容易になる。このシステムを使用して、侵襲性オーストラレーシアGBS単離物の間のクローン集団構造を証明した。このシステムを、コロニー化GBS単離物に応用して、毒性マーカーを同定しうる。
【0176】
したがって、本発明者らは、正確且つ再現性があり、PCR/配列決定法が利用可能な任意の研究所で実施することができ、重要なことには、維持が困難になる血清型特異的抗血清のパネルを必要としない、GBSの従来の血清型分類の代替法を開発した。全ての単離物が血清型分類可能であり、比較的限られた790bp領域の配列決定によりMS IIIについてのさらなる血清亜型分類情報を得ることができる。タンパク質プロファイリング(またはタンパク質抗原亜型分類)および可動遺伝因子の同定(または可動遺伝因子の亜型分類)と共に血清型同定について本発明者らが述べた分子的方法により、さらなるGBSの系統発生学研究および疫学研究ならびにGBS結合型ワクチンの導入前後にGBS単離物をモニターするために必要な疫学研究および他の関連研究に有用な包括的株同定に潜在的に有用なマーカーが得られる。
【0177】
上記の各節に記載の本発明の種々の特徴および態様を、必要な変更を加えて他の節に適切に適用する。したがって、1つの節で特定された特徴を他の節で特定された特徴と適切に組み合わせることができる。
【0178】
上記明細書に記載の全ての刊行物は、参照として本明細書に組み入れられる。記載された本発明の方法およびシステムの種々の修正形態および変更形態は、本発明の範囲および本旨から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明を特定の好ましい態様と併せて記載しているが、特許請求の範囲に記載の発明がこのような特定の態様に過度に制限されないと理解すべきである。実際、分子生物学分野または関連分野の当業者に容易に明らかな本発明の実施のために記載の様式の種々の修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0179】
参考文献
【0180】
(表1)本研究で使用したGBS基準パネル
注釈
1.基準パネル1:Lawrence Paoletti博士(Channing Laboratory、Boston、USA)から提供。
2.基準パネル2:Diana Martin博士(ESR、Porirua、Wellington、New Zealand)から提供されたNew Zealand Reference Medical Culture Collection株。
3.配列異種性に基づいたMS III血清亜型(詳細についてはテキストを参照のこと)。
【0181】
(表2)本研究で使用したオリゴヌクレオチドプライマー
注釈
1.プライマーのTm値は、プライマー合成機(Sigma-Aldrich)によって得られる。
2.数字は、プライマー配列が開始および終結する番号付けした塩基の位置を示す(開始点「1」の番号付けは、対応する遺伝子GenBankアクセッション番号の開始点「1」をいう)。
3.下線を引いた配列は、以前に公開されたプライマーを改変するために付加した塩基を示す。
4.「/」の後ろの文字は、異なる血清型における別のヌクレオチドを示す。
5.Keら、2000。
6.Ahmetら、1999。
【0182】
(表3)異なるオリゴヌクレオチドプライマー対を使用したアンプリコンの特異性および予想される長さ
注釈
*プライマー配列については表2およびいくつかのプライマー部位については図1を参照のこと。分子的血清型同定のためのアルゴリズムで使用したプライマー-図2。a.GBSの同定のため、b.配列決定のため、c.MS特異的PCRのため。
【0183】
(表4)cpsD-cpsE-cpsFの3’末端領域およびcpsGの5’末端領域中の8種のGBS血清型の異種性
注釈
1.反復配列:血清亜型Ia-1あり(+);血清亜型Ia-2なし(-)(テキストを参照のこと)。
2.反復配列:血清亜型II-1あり(+);血清亜型II-2なし(-)(テキストを参照のこと)。
3.反復配列:血清亜型III-1およびIII-3あり(+);血清亜型III-2なし(-);血清亜型III-4可変(テキストを参照のこと)。
4.1つのCSII株は、9つの部位で変異を有する(テキストを参照のこと)。
5.138位、198位、および249位で、1つのCS V基準株(Prague10/84)が、GenBankの対応する配列(GenBankアクセッション番号AF349539)と同一であり、配列はそれぞれG、A、およびTである;別のCS V基準株(CJB 111)および全ての他の配列決定したCS V株は同一であり、配列はそれぞれA、C、およびCである。
【0184】
(表5)206種の臨床GBS単離物の従来の血清型分類(CS)と分子的血清型同定(MS)/亜型分類との結果比較
注釈
1.MS III血清亜型の詳細については、テキストを参照のこと。
2.1つの混合培養物は、2つの個別の単離物(1つが血清型II、1つが亜型III-2)として含まれていた。
【0185】
(表6)本研究で使用したオリゴヌクレオチドプライマー
注釈
#配列決定のみでの使用については、rib遺伝子に完全に特異的なわけではない。
1.プライマーのTm値は、プライマー合成機(Sigma-Aldrich)によって得られる。
2.数字は、プライマー配列が開始および終結する番号付けした塩基の位置を示す(開始点「1」の番号付けは、いくつかの配列に対しては2つ存在する、対応するGenBankアクセッション番号の開始点「1」をいう)。
3.下線を引いた配列は、以前に公開されたプライマーを改変するために付加した塩基を示す。
4.本研究での使用のためにデザインしたプライマー。
5.Mawnら、1993。
6.Maelandら、1997。
7.Maelandら、2000。
【0186】
(表7)異なるプライマー対を使用したアンプリコンの特異性および予想される長さ
注釈
*プライマー配列については表6を参照のこと。
#配列決定のみでの使用については、rib遺伝子に完全に特異的なわけではない(詳細については、テキストを参照のこと)。
【0187】
(表8)アンプリコン長(プライマーIgAagGBS/RIgAagGBSを使用)および配列異種性に基づいたbac遺伝子(Cβタンパク質遺伝子)の遺伝子群および亜群
注釈
*タンパク質抗原との血清型/血清亜型の関係の詳細については表9を参照のこと。
【0188】
(表9)GBSタンパク質遺伝子プロフィールと莢膜多糖類(cps)分子的血清型/血清亜型との関係
注釈
*cps血清亜型の説明についてはテキストを参照し、タンパク質抗原遺伝子プロフィールコードの説明については表7を参照のこと。
【0189】
(表10)本研究で使用したオリゴヌクレオチドプライマー
注釈
1.プライマーのTm値は、プライマー合成機(Sigma-Aldrich)によって得られた。
2.数字は、プライマー配列が開始および終結する番号付けした塩基の位置を示す(開始点「1」の番号付けは、対応する遺伝子GenBankアクセッション番号の開始点「1」をいう)。
【0190】
(表11)異なるオリゴヌクレオチドプライマー対を使用したアンプリコンの特異性および予想される長さ
注釈
*プライマー配列については表10を参照のこと。
#本発明者らの配列決定結果(GenBankアクセッション番号AF367974)は、Tamuraら、2000によって以前に記載された結果(GenBankアクセッション番号AF064785)よりも3bp短かった。
【0191】
(表12)可動遺伝因子と莢膜多糖類血清型、血清型III亜型と表面タンパク質遺伝子プロフィールとの関係
注釈
A:bca遺伝子(Cαタンパク質)の5’末端;
a:bca遺伝子反復単位またはbca遺伝子反復単位様配列(多バンドアンプリコン);
as:bca遺伝子反復単位またはbca遺伝子反復単位様配列(単一バンドアンプリコン);
B:Cβ/IgA結合タンパク質(bac)遺伝子;
R:Ribタンパク質(rib)遺伝子;
alp2:Cα様タンパク質2(alp2)遺伝子;
alp3:Cα様タンパク質3(alp3)遺伝子;
r:推定Rib様タンパク質遺伝子。
【0192】
(表13)194種の侵襲性GBS単離物の可動遺伝因子の分布
注釈
データは、種々のmge組み合わせを含む単離物数である。
【0193】
(表14)GBS遺伝子型と侵襲性疾患年齢との関係
注釈
1.「+」の後の番号は、CSF単離物をさす;その他は全て血液に由来する。
2.5症例は4ヶ月から1歳であり、1症例は3歳であった。
3.他の全ての群と比較した遅発型感染症におけるsst III-2:p=0.0005、オッズ比(OR)6.8;95%信頼区間(CI)2.4〜19.4。
他の全年齢群と比較した高齢者のMS-V:p=0.001、OR 0.28、95%CI 0.13〜0.59)。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】cpsD-cpsE-cpsFの3’末端およびcpsGの5’末端の配列異種性に基づいた分子的血清型同定を示す図である(関連プライマーを示す)。
【図2】PCRおよび配列決定によるGBS分子的血清型(MS)同定のアルゴリズムを示す図である。
【図3】血清型Ia、Ib、II、III、IV、V、およびVIについてのcpsG-cpsH-cpsI/Mの遺伝子配列の多配列アラインメントを示す図である(開始コドンおよび終止コドンを太字で強調する)。
【図4】識別するために使用したalp2(AF208158、上のライン)とalp3(AF291065、下のライン)との間の配列異種性の2つの部位(*)を示す図である(関連プライマーを示す)。
【図5】194種の侵襲性オーストラレーシアGBS株(または56種の遺伝子型)の遺伝的関係を示す図である。見出し「GBS遺伝子型の遺伝子マーカー」の列の注釈。タンパク質抗原遺伝子プロフィールコード: 「A」:bca陽性の5’末端、 「a」または「as」:それぞれ多数または単一のバンドのアンプリコンを有するbca反復単位またはbca反復単位様領域陽性、 「B」:bac陽性、 「R」:rib陽性、 「alp2」:alp2陽性、 「alp3」:alp3陽性、 「None」:単離物は上記タンパク質遺伝子を含まない。太字の分子マーカーは、各クラスターで共通の特徴を示す。見出し「株数」の列の注釈。
「+」の後がCSF単離物数であり、他が血液単離物である。見出し「遺伝子型」の列の注釈。
各遺伝子型を、cps遺伝子、タンパク質遺伝子プロフィール、および可動遺伝因子の個別の組み合わせによって特徴付けた。各血清型中の主な遺伝子型を、その血清型の数字「1」遺伝子型とした。樹状図の注釈。
距離約16で、56種の遺伝子型を8個のクラスター(1〜8)に分離することができ、距離約22.5で、56種の遺伝子型を3個のクラスター群(A、B、C)に分離することができた。
Claims (35)
- 細菌のcpsD、cpsE、cpsF、cpsG、および/またはcpsI/M遺伝子内の1つまたは複数の領域のヌクレオチド配列を分析する工程を含み、該領域が型によって配列が異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、B群連鎖球菌の分類方法。
- ヌクレオチド配列を、図1に記載の62位、78〜86位、138位、139位、144位、198位、204位、211位、281位、240位、249位、300位、321位、419位、429位、437位、457位、466位、486位、602位、606位、627位、636位、645位、803位、971位、1026位、1044位、1173位、1194位、1251位、1278位、1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する1つまたは複数の位置について分析する、請求項1記載の方法。
- 少なくとも1つの領域が、連鎖球菌のcpsE-cpsF-cspG遺伝子クラスターのcpsE遺伝子の3’末端の136塩基およびcpsG遺伝子の5’末端の218塩基で示される配列内にある、請求項1記載の方法。
- ヌクレオチド配列を、図1に記載の1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位に対応する1つまたは複数の位置について分析する、請求項3記載の方法。
- 少なくとも1つの領域が、細菌のcpsI/M遺伝子内にある、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- ヌクレオチド配列分析工程が、1つまたは複数の領域を配列決定する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- ヌクレオチド配列分析工程が、細菌から得たポリヌクレオチドが1つまたは複数の領域を含むポリヌクレオチドプローブと選択的にハイブリッド形成するかどうかを決定する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 細菌から得たポリヌクレオチドが1つまたは複数の領域に対応する複数のポリヌクレオチドプローブの1つまたは複数とハイブリッド形成するかどうかを決定する工程を含む、請求項7記載の方法。
- 複数のポリヌクレオチドプローブがマイクロアレイとして存在する、請求項9記載の方法。
- ヌクレオチド配列分析工程が、1つまたは複数のプライマーを使用する増幅工程を含み、その少なくとも1つが型間で異なる配列と特異的にハイブリッド形成する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- ヌクレオチド配列分析工程が、プライマー対を使用する増幅工程を含み、その少なくとも1つが型間で異なる配列と特異的にハイブリッド形成する、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
- プライマーが、表2に記載のプライマーから選択される、請求項10または請求項11記載の方法。
- 細菌のゲノム中におけるrib、alp2、またはalp3遺伝子から選択される1つまたは複数の表面タンパク質遺伝子の有無を決定する工程を含む、B群連鎖球菌の分類方法。
- 表面タンパク質遺伝子の有無を決定する工程が、細菌から得たポリヌクレオチドが該表面タンパク質遺伝子の領域に対応するポリヌクレオチドプローブと選択的にハイブリッド形成するかどうかを決定する工程を含む、請求項13記載の方法。
- 表面タンパク質遺伝子の有無を決定する工程が、該表面タンパク質遺伝子の領域を特異的に増幅する1つまたは複数のプライマーを使用した増幅工程を含む、請求項13記載の方法。
- プライマーが、表6に記載のプライマーから選択される、請求項15記載の方法。
- 細菌のゲノム中におけるrib、alp2、またはalp3遺伝子から選択される1つまたは複数の表面タンパク質遺伝子の有無を決定する工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
- 細菌のゲノム中におけるIS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1から選択される1つまたは複数の可動遺伝因子の有無を決定する工程を含む、B群連鎖球菌の分類方法。
- 可動遺伝因子の有無を決定する工程が、細菌から得たポリヌクレオチドが該可動遺伝因子の領域に対応するポリヌクレオチドプローブに選択的にハイブリッド形成するかどうかを決定する工程を含む、請求項18記載の方法。
- 可動遺伝因子の有無を決定する工程が、該可動遺伝因子の領域を特異的に増幅する1つまたは複数のプライマーを使用した増幅工程を含む、請求項18記載の方法。
- プライマーが、表10に記載のプライマーから選択される、請求項20記載の方法。
- 細菌のゲノム中におけるIS861、IS1548、IS1381、ISSa4、およびGBSi1から選択される1つまたは複数の可動遺伝因子の有無を決定する工程をさらに含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の方法。
- 本質的にB群連鎖球菌のcpsD-cpsE-cpsF-cpsG遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、B群連鎖球菌の血清型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- B群連鎖球菌の血清型間で異なるヌクレオチドが、図1に記載の62位、78〜86位、138位、139位、144位、198位、204位、211位、281位、240位、249位、300位、321位、419位、429位、437位、457位、466位、486位、602位、606位、627位、636位、645位、803位、971位、1026位、1044位、1173位、1194位、1251位、1278位、1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位の1つまたは複数に対応する、請求項23記載のポリヌクレオチド。
- 本質的にB群連鎖球菌のcpsE-cpsF-cspG遺伝子クラスターのcpsEの3’末端の136塩基対およびcpsGの5’末端の218塩基対によって示される配列内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、B群連鎖球菌の型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- B群連鎖球菌の型間で異なるヌクレオチドが、図1に記載の1413位、1495位、1500位、1501位、1512位、1518位、1527位、1595位、1611位、1620位、1627位、1629位、1655位、1832位、1856位、1866位、1871位、1892位、1971位、2026位、2088位、2134位、2187位、および2196位の1つまたは複数に対応する、請求項25記載のポリヌクレオチド。
- 本質的にB群連鎖球菌のcpsI/M遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、連鎖球菌の血清型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- 表2に記載のヌクレオチド配列から選択される、請求項27記載のポリヌクレオチド。
- 本質的にB群連鎖球菌のrib、alp2、またはalp3遺伝子内の領域に対応する少なくとも10個の連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであって、B群連鎖球菌の亜型間で異なる1つまたは複数のヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- 表6に記載のヌクレオチド配列から選択される、請求項29記載のポリヌクレオチド。
- B群連鎖球菌の血清型分類法および/または亜型分類法における、請求項23〜30のいずれか一項記載のポリヌクレオチドの使用。
- 請求項23〜30のいずれか一項記載の複数のポリヌクレオチドを含む組成物。
- B群連鎖球菌の血清型分類法および/または亜型分類法における、請求項32記載の組成物の使用。
- 請求項23〜30のいずれか一項記載の複数のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイ。
- B群連鎖球菌の血清型分類法および/または亜型分類法における、請求項34記載のマイクロアレイの使用。
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