JP2005501817A - β−アミロイド産生を調節する化合物、組成物および方法 - Google Patents

β−アミロイド産生を調節する化合物、組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本出願においては、アミロイド症ならびにそれに関連した病気および疾患(例えば、アルツハイマー病)を処置するのに有用な方法および組成物が提供されている。これらの方法は、PRARαおよび/またはPRARΔ活性を調節する1種またはそれ以上の薬剤を含有する薬学的組成物を、処置が必要な被験体に投与する工程を包含し、その結果、その被験体の細胞(特に、脳細胞)からのβ−アミロイドの産生および/または放出を阻止する。

Description

【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、細胞内でのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する化合物、組成物および方法に関し、これは、アミロイドの産生、放出および/またはプラーク発生を軽減し防止する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
アルツハイマー病(AD)は、高齢者に一般的な脳障害であり、進行性痴呆を伴う。この疾患の重要な特徴は、進行性記憶障害、言語および視空間能力の喪失、および行動障害を含む。これらの認知機能の変化は、大脳皮質、海馬、前脳基底核、および脳の他の領域での神経細胞の退化の結果である。アルツハイマー病に罹った脳を死後に神経病理学的に分析したところ、一貫して、退化した神経細胞内に、多数の神経原線維のもつれが存在し、また、細胞外間隙および脳の微小血管壁には、神経突起のプラークが存在していることが明らかとなっている。この神経原線維のもつれは、過剰リン酸化タウタンパク質を含む一対のらせんフラグメントの束から成っている(Lee,V.M.and Trojanowski,J.Q.Curr.Opin.Neurobiol.2:653,1992)。この神経突起プラークは、アミロイド核を取り囲むタンパク質様物質の堆積物からなっている(Selkoe,D.J.,Annu.Rev.Neurosci.17:489〜517,1994)。
【0003】
アミロイド−βペプチド(AP)の堆積は、アルツハイマー病の病因において、重要な役割を果たす証拠が示唆されている。この証拠の一部は、家族性アルツハイマー病に関するデータから作成された研究に基づいている。現在まで、この攻撃的な形態のアルツハイマー病は、以下の(少なくとも)3種の遺伝子におけるミスセンス突然変異により引き起こされることが明らかとなっている:アミロイド前駆体タンパク質(APP)遺伝子それ自体 (Goate,A.ら、Nature 349:704〜706,1991;Mullan,M.ら、Nature Genet.1:345〜347,1992)、およびプレセニリン1および2と呼ばれる2種の遺伝子(Sherrington,R.ら、;Nature 375:754〜760,1995;Rogaev,E.I.ら、Nature 376:775〜778,1995)。
【0004】
APPにおけるミスセンス突然変異は、タンパク質分解の開裂が通常起こるタンパク質領域に位置しており、これらの突然変異体の発現により、Aβの産生が増える(Citron,M.ら、Nature 360:672〜674,1992,Cai,X−D.ら、Science 259:514〜516 1993およびReaume,A.G.ら、J Biol.Chem.271:23380〜23388,1996)。プレセニリン遺伝子の75回を超える突然変異を分析すると、一貫して、いつもアルツハイマー病を引き起こす突然変異はまた、Aβ−42として知られているAβの長いアイソフォームのレベルが高まることが明らかである(Scheuner,D.ら、Nature Medicine 2:864〜870,1996およびSelkoe,Physiological Reviews 81:741〜766(2001)).それゆえ、Aβ(特に、Aβ−42)の産生の増加は、アルツハイマー病と関連している。
【0005】
補強証拠が、少なくとも2つの他の供給源から誘導されている。第1は、変化したAPP遺伝子および/またはプレゼニリン遺伝子のいずれかを発現するトランスジェニックマウスが、神経炎性局面および加齢依存性記憶欠損を示す(Games,D.ら,「Alzheimer−type neuropathology in transgenic mice overexpressing V717F β−amyloid precursor protein」Nature 373:523−525(1995);Masliah,E.ら,「Comparison of neurodegenerative pathology in transgenic mice overexpressing V717F β−amyloid precursor protein and Alzheimer’s disease」J Neurosci.16:5795−5811(1996);Hsiao,K.ら「Correlative memory deficits,Aβ elevation,and amyloid plaques in transgenic mice」Science 274:99−103(1996);Holcombら,Nature Medicine 4:97−100(1998))。第2の証拠要素は、ダウン症候群に罹患している患者の研究から生じる。ダウン症候群に罹患している患者は、アミロイドプラークおよびアルツハイマー病の他の症状を若年齢時に発症する(Mann,D.M.A.およびM.M.Esiri,「The pattern of acquisition of plaques and tangles in the brains of patients under 50 years of age with Down’s syndrome」J.Neurol.Sci.89:169−179(1989))。APP遺伝子は、第21染色体上に見出されるので、ダウン症候群においてこの染色体の余分なコピーから生じる遺伝子量の増加が、アミロイドプラークの早期出現を説明するという仮説が立てられている(Kang,J.ら「The precursor protein of Alzheimer’s disease amyloid A4 protein resembles a cell−surface receptor」Nature 325:733−736(1987);Tanzi,R.E.ら,「Amyloid β protein gene:cDNA,mRNA distribution and genetic linkage near the Alzheimer locus」Science 235:880−884(1987))。家族性アルツハイマー病の症例から誘導された証拠と一緒にすると、このデータは、Aβ産生の増加を生じる遺伝子変化が、アルツハイマー病を誘導し得ることを示唆する。従って、Aβ沈着がアルツハイマー病における早期かつ不変の事象であるので、Aβの産生を減少させる処置が、この疾患の処置において有用であると考えられる。
【0006】
老人斑の主要成分は、4kDaのβ−アミロイドペプチド(Aβ)である。39アミノ酸長と43アミノ酸長との間の範囲で、Aβは、APPの内部タンパク質分解により形成される。選択的スプライシングによって、APPのいくつかの異なるアイソフォームが生成し、ニューロンにおいて、優勢なアイソフォームは、695アミノ酸長(APP695)である。APPは、小胞体(ER)およびトランスゴルジネットワーク(TGN)を通るので、APPは、N−グリコシル化およびO−グリコシル化ならびにチロシン硫酸化される。成熟ホロタンパク質は、いくつかの区画において、非アミロイド産生APPフラグメントおよびアミロイド産生APPフラグメントの両方を生成するように異化され得る。
【0007】
APPは、ほとんどの細胞において発現されそして構成的に異化される。優勢な異化経路は、α−セクレターゼと暫定的に名づけられた酵素によるAβ配列内でのAPP切断であるようであり、これは、APPSαとして公知の可溶性エクトドメインフラグメントの放出をもたらす。この非アミロイド産生経路とは対照的に、APPはまた、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼとして公知の酵素によって、それぞれAβのN末端およびC末端で切断され得、その後、細胞外空間へとAβが放出され得る。現在まで、BACEが、β−セクレターゼとして同定されており(Vasserら,Science 286:735−741,1999)そしてプレゼニリンが、γ−セクレターゼ活性に関係付けられている (De Strooperら,Nature 391:387−390,1998)。
【0008】
この39〜43アミノ酸Aβペプチドは、酵素β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼによるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の連続的タンパク質分解切断によって、生成される。Aβ−40は、生成される優勢な形態であるが、全Aβのうちの5〜7%は、Aβ−42として存在する(Cappaiら,Int.J.Biochem.Cell Biol.31:885−889,1999)。このAβペプチドの長さは、その生化学的特性/生物物理学的特性を劇的に変化させるようである。詳細には、Aβ−42のC末端にある付加的な2つのアミノ酸は、非常に疎水性であり、おそらく、Aβ−42が凝集する傾向を増加させる。例えば、Jarrettらは、Aβ−42が、Aβ−40と比較してインビトロで非常に迅速に凝集することを示した。このことは、この長い方のAβ形態が、ADにおける神経炎性局面の最初の薬剤供給(seeding)に関与している重要な病理タンパク質であり得ることを示唆する(Jarrettら,Biochemistry 32:4693−4697,1993;Jarrettら,Ann.NY Acad.Sci.695:144−148,1993)。
【0009】
この仮説は、遺伝学的な家族性AD形態(FAD)の症例における特定のAβ形態の寄与に関する最近の分析によって、さらに実証されている。例えば、FADに関係するAPPの「ロンドン」変異形態(APPV717I)は、Aβ40に対してAβ42/43形態の産生を選択的に増加し(Suzukiら,Science 264:1336−1340,1994)、一方、APPの「スウェーデン」変異形態(APPK670N/M671L)は、Aβ−40およびAβ−42/43の両方のレベルを増加させる(Citronら,Nature 360:672−674,1992;Caiら,Science 259:514−516,1993)。また、プレゼニリン−1(PS1)遺伝子またはプレゼニリン−2(PS2)遺伝子におけるFAD関連変異は、Aβ−24/43産生の選択的増加をもたらすが、Aβ−40の選択的増加はもたらさないことが、観察されている(Borcheltら,Neuron 17:1005−1013,1996)。この知見は、脳Aβ−42における選択的増加を示すPS変異体を発現するトランスジェニックマウスモデルにおいて実証されている(Borcheltら,Neuron 17 :1005−1013,1996;Duffら,Neurodegeneration 5(4):293−298,1996)。従って、ADの病因に関する主要な仮説は、Aβ−42産生の増加および/またはAβ−42放出の増加が、疾患の病理における原因事象であることである。
【0010】
冠状動脈疾患との関係に加えて、血清中コレステロールレベルとADの発生率および病態生理との間に、関係が存在する。疫学的研究によって、コレステロールレベルが上昇している患者は、増加したADリスクを有することが示されている(Notkolaら,Neuroepidemiology.17(1):14−20,1998;Jarvikら,Neurology.45(6):1092−6,1995)。Aβレベルの上昇がADと関係あることを示唆するデータに加えて、他の環境リスクファクターおよび遺伝的リスクファクターが、同定されている。これらのうちで最も研究されているのは、アポリポタンパク質E(ApoE)遺伝子の多型であり、ApoEのε4アイソフォーム(apoE4)についてホモ接合性である患者が、増加したADリスクを有することが一貫して示されている(Strittmatterら,Proc Natl Acad Sci USA 90:1977−1981(1993))。ApoEはコレステロール輸送タンパク質であるので、いくつかのグループが、ADを発症するリスクと、循環コレステロールレベルとの間の相関関係を観察している(Mahley.Science.240:622−630,1998;Saundersら,Neurology.43:1467−1472,1993;Corderら,Science.261:921−923,1993;Jarvikら,Annals of the New York Academy of Sciences.826:128−146,1997)。さらに、コレステロール負荷は、Aβタンパク質の産生を増加する(Simonsら,PNAS.95:6460−6464,1998)一方で、HMG CoAレダクターゼインヒビターであるシンバスタチンによるコレステロールの薬理学的還元は、Aβ−40およびAβ−42の両方のレベルをインビトロで減少させる(Fassbenderら,Proc Natl Acad Sci 98:5856−5861(2001))。これらのデータと一致するのは、特定のHMG CoAレダクターゼインヒビター(ヒトにおいてコレステロールレベルを正常化するために一般的に使用されている)による処置が、ADの有病率を減少させることを示した、疫学的研究の結果である(Wolozinら,Arch Neurol 57:1439〜1443(2000);Jickら,Lancet 356:1627−1631(2000)。まとめると、これらのデータは、コレステロールレベルの調節とADとの間の関係を示唆する。
【0011】
まとめると、1)Aβの生物物理学的特性から誘導された豊富なデータ、2)種々の細胞株のインビトロ研究から誘導された豊富なデータ、3)トランスジェニックマウスのインビボ研究から誘導された豊富なデータ、および4)FAD変異を有するヒトの分析から誘導された豊富なデータは全て、ADにおける重要な病原性タンパク質として、Aβ−42を指摘している。従って、Aβ−42の産生および/または放出を選択的に阻害する処置についての必要性が、存在する。そのような処置は、家族性ADの症例および/または散発性のADの症例の両方の処置において、非常に価値があることが示され得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、細胞からのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する方法を提供し、この方法は、その細胞を、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストとして作用する薬剤または薬剤を含有する組成物で処置する工程を包含し;1実施態様では、その細胞は、脳細胞である。
【0013】
本発明は、さらに、(2−ピリジニルチオ)アルカン酸、それらのエステル、アミド、水素化物ならびに4−置換誘導体および6−置換誘導体からなる群から選択される薬剤を使用して、細胞からのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する方法を提供する。
【0014】
本発明は、さらに、そのような抑制が必要なヒトの脳において、細胞外アミロイドレベルを抑制する方法を提供し、その方法は、そのヒトに、PPARαおよび/またはPPARδ活性を活性化する薬剤を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含する。特定の実施態様では、このアミロイドは、β−アミロイド−42である。
【0015】
それに加えて、本発明は、細胞内でのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する化合物、組成物および方法を提供し、また、アミロイドの産生、放出および/またはプラーク発生を軽減し防止する。
【0016】
本発明は、さらに、Aβ−42を産生および/または放出する標的(例えば、細胞、ヒト、非ヒト哺乳動物、およびヒトの脳から選択される標的)において、Aβの1種以上の他の形状に比べて、Aβ−42の産生および/または放出を優先的に少なくする方法を提供し、その方法は、その標的に、本明細書中で記述した化学薬剤を含有する化合物または薬学的組成物を投与する工程を包含する。この方法は、例えば、ヒトを処置するのに使用され得、ここで、そのヒトは、例えば、アルツハイマー病に冒されている。他の実施態様では、処置するそのヒトは、そのヒトがアルツハイマー病を発症する可能性を高める遺伝子的疾患素質または環境暴露を有する。例えば、そのヒトは、頭部外傷を受け、本明細書中で記述した化合物または組成物で処置される。1実施態様では、そのヒトは、初期アルツハイマー病を示唆する最小認知障害を示す。他の実施態様では、そのヒトは、頭部外傷を受け、本明細書中で記述した化合物または組成物で処置される。
【0017】
本発明はまた、例えば、アルツハイマー病を処置する際に有用な化合物および組成物を提供し、ここで、その化合物、またはその組成物中の1種またはそれ以上の活性剤は、血液脳関門を横断でき、この場合、このような化合物/薬剤は、エステル化形状のピリニキシン酸(pirinixic acid)、およびDHAと共役したピリニキシン酸を含有する。
【0018】
本発明はまた、Aβの産生および/または放出を調節できる化合物を脳に送達する方法を提供する。この送達システムは、その化合物を極性脂質または他のキャリアと共役することにより、このような化合物の特異的な送達を達成し、効率的かつ特異的に、このような化合物の有効脳内濃度に達する。
【0019】
本発明はまた、β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要なヒトにおいてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法を提供し、その方法は、そのヒトに、ヒトにおけるβ−アミロイドの産生および/または放出を調節できる化合物、またはこのような化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0020】
本発明はまた、β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要な非ヒト哺乳動物においてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法を提供し、その方法は、その非ヒト哺乳動物に、ヒトにおけるβ−アミロイドの産生および/または放出を調節できる化合物、またはこのような化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0021】
本発明は、さらに、極性脂質キャリア分子に共有結合したAβの産生および/または放出を調節できる生体活性化合物を含有する組成物を提供する。好ましい実施態様はまた、2個のリンカー官能基を有するスペーサ分子を含有し、ここで、そのスペーサは、第一末端および第二末端を有し、ここで、その脂質は、第一リンカー官能基を介して、そのスペーサの第一末端に結合され、そしてその生体活性化合物は、第二リンカー官能基を介して、そのスペーサの第二末端に結合される。好ましい実施態様では、その生体活性化合物は、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストである。好ましい極性脂質には、アシル−およびアシル化カミチン、スフィンゴシン、セラミド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、カルジオリピンおよびホスファチジル酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
1実施態様では、本発明の方法における化合物/薬剤は、次式の化合物である:
【0023】
【化21】
Figure 2005501817
ここで、別個に、各出現例において、Rは、少なくとも4個の炭素を有する有機部分である;Zは、−O−、−NH−NH−および−N(R)−から選択される;Rは、水素およびC〜C30有機部分から選択されるが、但し、RおよびRは、それらが共に結合する窒素と一緒になって、複素環式部分を形成できる;RおよびRは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、低級アルキルラジカルおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;R、R、R、RおよびRは、それぞれ別個に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される;R10は、結合または直鎖もしくは分枝のアルキレン鎖もしくはアルケニレン鎖である;R11は、水素、アルキルまたはアラルキルである;そしてR12は、別個に、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される。好ましくは、RがClであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、Rがメチルであり、そしてRがメチルのとき、Zは、NRではない。
【0024】
他の実施態様では、本発明の方法における化合物/薬剤は、次式の化合物である:
【0025】
【化22】
Figure 2005501817
ここで、Rは、疎水性部分であり、その疎水性部分は、少なくとも10個の炭素原子を有する非芳香族有機部分および少なくとも6個の炭素を有する芳香族部分から選択され、そしてRは、水素である;またはRおよびRの各々は、少なくとも1個の炭素原子を有する疎水性有機部分から選択され、但し、RおよびRは、全体で、少なくとも6個の炭素原子を有し、さらに但し、RおよびRは、それらが両方結合する窒素と一緒になって、複素環式部分を形成し得る。
【0026】
他の実施態様では、本発明の方法における化合物/薬剤は、(1)PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであり、(2)細胞でのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する化合物である。
【0027】
他の実施態様では、本発明の方法における化合物/薬剤は、次式の化合物である:
【0028】
【化23】
Figure 2005501817
ここで、Rは、少なくとも4個の炭素を有する有機部分である;R13およびR14は、それぞれ別個に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される;R10は、結合または直鎖もしくは分枝のアルキレン鎖もしくはアルケニレン鎖である;R11は、水素、アルキルまたはアラルキルである;R12は、別個に、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される;そしてnは、1、2または3である。
【0029】
他の実施態様では、本発明の方法における化合物/薬剤は、次式の化合物である:
【0030】
【化24】
Figure 2005501817
ここで、別個に、各出現例において、R15およびR17は、それぞれ別個に、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;R16は、水素、ハロゲンおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;Wは、ヒドロキシ、低級アルコキシ、−OMおよび−(NH)NHラジカルからなる群から選択され、ここで、pは、0または1であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである;mは、0、1、2または3である;Yは、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカル;
【0031】
【化25】
Figure 2005501817
からなる群から選択される;ここで、R18は、水素または低級アルキルラジカルである;R19は、水素、HN−、
【0032】
【化26】
Figure 2005501817
、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシ−フェニルであるが、但し、R18が水素であり、そしてR19が、水素、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるとき、R16は、ハロまたは低級アルコキシである;R20は、低級アルキルラジカル、ハロラジカル、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカルおよび6個〜10個の炭素原子を有するハロアリールラジカルからなる群から選択される;R21は、水素、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロラジカルからなる群から選択される;R22は、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;そしてEは、
【0033】
【化27】
Figure 2005501817
からなる群から選択される;ここで、R23は、水素または低級アルキルである;R24は、水素または低級アルキルである;そしてqは、0〜3の整数である。
【0034】
さらに他の実施態様では、本発明は、本明細書中で記述した化合物、および本明細書中で記述した化合物を含有する組成物を提供する。
【0035】
本発明のこれらの局面および関連する局面は、以下でさらに詳細に記述する。
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明は、哺乳動物細胞を特定のPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストに曝すと、その細胞からのAβ(特に、Aβ−42)の産生および/または放出が調節(具体的には、減少)するという本発明者の発見に基づいている。全てのPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストがこの効果を果たす訳ではないので、本発明はまた、これらのアゴニストおよび関連した化合物および誘導体をスクリーニングして、インビボでのAβの産生および/または放出を調節するのに適切かどうかを決定する方法を提供する。これらのアゴニストの特定の誘導体は、血液脳関門を透過する性能が高い。
【0037】
本発明はまた、以前にコレステロールレベルを下げることが明らかとなった特定の化学化合物が、Aβ−42の産生および/または放出に対して効果があるという発見に基づいている。これらの化合物には、一般式(I)を有するものが挙げられる:
【0038】
【化28】
Figure 2005501817
ここで、R15、R16、R17、Y、Wおよびmは、本明細書の他の箇所で定義されており、このような化合物の例には、以下の構造を有するピリニキシン酸(pirinixic acid)がある:
【0039】
【化29】
Figure 2005501817
本発明は、初めて、細胞からのβ−アミロイド(具体的には、42−アミノ酸形態のAβ−42であって、これは、アルツハイマー病(AD)の発症および進行に関与している)の産生および/または放出を少なくするために、これらの化合物およびそれらの誘導体を使用することを開示している。血清コレステロールレベルと、ADの発生率および病態生理学との間には、関連があるので、コレステロールを下げるのに関与することが知られている化合物を使用すると、ADを処置し、予防し、そのリスクを下げるのに有効であり得る。しかしながら、本発明者は、コレステロール低下効果だけでは、ある化合物がAβの産生および/または放出に対して効果があるかどうか明らかではないことを発見した。従って、本発明は、β−アミロイドに対するこの所望の効果を有する薬剤を選択する方法を提供する。1つのこのような群の化合物には、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)(特に、PPARαおよびPPARδ)のファミリーのメンバーに対するアゴニストである。
【0040】
(1.PPARαアゴニストおよびPPARδアゴニスト)
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)[α、δ、βおよびγ]は、核レセプター遺伝子ファミリーのサブファミリーである(DesvergneおよびWahli,Endocrine Rev 20:649−688(1999)に概説される)。すべてのPPARは、種々の程度、脂肪酸および誘導体によって活性化される。PPARαは、抗高脂血症薬フィブレート(fibrate)に結合し、一方、高糖尿病薬グリタゾンは、PPARδについてのリガンドである。PPARα活性化は、多面的効果(例えば、いくつかを列挙すると、脂質酸化の刺激、リポタンパク質代謝の変化、および脈管炎症の阻害)を媒介する。PPARαアクチベーターは、脂肪酸輸送タンパク質およびアシル−CoAシンテターゼの発現を刺激することによって、遊離脂肪酸の肝臓取込みおよびエステル化を増加する。骨格筋および心臓において、PPARαは、筋肉型カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIを刺激することによって、ミトコンドリアの遊離脂肪酸取込みおよび生じる遊離脂肪酸の酸化を増加する。トリグリセリドリッチなリポタンパク質の代謝に対するフィブレートの効果は、リポタンパク質リパーゼのPPARα依存性刺激およびアポリポタンパク質C−III発現の阻害に起因し、一方、血漿HDLコレステロールの増加は、アポリポタンパク質A−Iおよびアポリポタンパク質A−IIの過剰発現に依存する。
【0041】
PPARαとは対照的に、PPARδの機能は、十分には理解されていない。PPARδは、脳において遍在的に発現されるが、脂肪組織および皮膚は、それより高い相対的mRNA発現レベルを有する(Peters,J.M.ら,Mol.Cell.Biol.20:5119−5128,2000)。その発現プロフィールに基づいて、Xing G.ら(Biochem.Biophys.Res.Commun.217:1015−1025,1995)は、PPARδが、脳機能に関与し得ることを示唆する。さらに、PPARδは、逆コレステロール輸送に関与し得る(Oliver,W.R.ら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.98:5306−5311,2001)。PPARδアゴニストの例としては、バルプロ酸(Lampenら,Tox.Appl.Pharmacol.160:238−249,1999)、GW501516(Oliver,W.R.ら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.98:5306−5311,2001)、L165041、L−165461、L−783483およびL−796449(Bergerら,J.Biol.Chem.274:6718−6725,1999)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
例えば、本発明は、β−アミロイドの産生および/または放出を調節する必要があるヒトにおいて、β−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法を提供し、この方法は、式
【0043】
【化30】
Figure 2005501817
の化合物をこのヒトに投与する工程を包含し、
ここで、Rは、C〜Cアルキル、水素、金属カチオンおよびアンモニウムカチオンからなる群から選択され;R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され;R10は、結合あるいは直鎖または分枝アルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり;R11は、水素、アルキルまたはアラルキルであり;R12は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択され;そしてnは、1、2または3である。
【0044】
PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニスト活性を有する特定の化合物には、次式を有する化合物がある:
【0045】
【化31】
Figure 2005501817
ここで、一実施形態において、Rは、水素であり、別の実施形態において、Rは、金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであり、別の実施形態において、Rは、少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個の炭素を有する有機部分であり;一方、別の実施形態において、Rは、Rが水素である対応する化合物と比較して、血液−脳関門を通る化合物の透過を促進し;R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され;R10は、結合あるいは直鎖または分枝アルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり;R11は、水素、アルキルまたはアラルキルであり;R12は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択され;そしてnは、1、2または3である。種々の実施形態では、Rは、30個未満の炭素、および1,000未満、または900未満、または800未満、または700未満、または600未満、または500未満の式量を有する有機基である。それに加えて、またはその代わりに、Rは、疎水性であるように記述され得る。それに加えて、またはその代わりに、Rは、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される。それに加えて、またはその代わりに、Rは、16個と26個との間の炭素原子を含有する直鎖炭化水素部分であり、ここで、その部分は、C16:0;C16:1;C16:2;C20:1;C20:2;C20:3;C20:4;C22:4;C22:5;C22:6およびC24:4からなる群から選択される。それに加えて、またはその代わりに、Rは、インスリンのフラグメントであり、ここで、そのインスリンフラグメントは、インスリンレセプターと結合し、例えば、そのインスリンフラグメントは、(a)インスリン鎖AのN末端に由来の14個〜21個のアミノ酸残基を有するペプチド鎖;および(b)インスリン鎖BのN末端に由来の16個〜22個のアミノ酸残基を有する別のペプチド鎖からなる。それに加えて、またはその代わりに、Rは、トランスフェリンレセプターに結合するタンパク質である。それに加えて、またはその代わりに、Rは、脳内でリガンドに結合できる抗体またはそのフラグメントであり、例えば、その抗体は、モノクローナル抗体であり得る。それに加えて、またはその代わりに、Rは、成長因子であり、例えば、その成長因子は、EGFであり得る。
【0046】
他の代表的なPPARαアゴニストは、以下の構造からなる:
【0047】
【化32】
Figure 2005501817
ここで、Xは、以下で示す(a〜t)基から選択され、そしてYは、以下で示す(1〜8)基から選択される。
【0048】
他の代表的なPPARδアゴニストは、以下の構造からなる:
【0049】
【化33】
Figure 2005501817
ここで、Xは、以下で示す(a〜t)基から選択され、そしてYは、以下で示す(1〜8)基から選択される。
【0050】
【化34】
Figure 2005501817
この群のアゴニストの好ましいメンバーは、次式を有する:
【0051】
【化35】
Figure 2005501817
これはまた、ベザフィブラートと呼ばれ(Brown,P.J.ら、Chem.And Biol.4:909〜918,1997)、ここで、この化合物またはそのエステル(すなわち、このベザフィブラートのカルボン酸またはその反応性等価物)は、アルコールまたはその反応性等価物と反応されて、R’基を有する対応するエステルを形成し、本発明の方法で使用され得る。
【0052】
別の好ましい化合物であるPPARδアゴニストもまた、Brown,P.J.らで開示されており、9w2433と呼ばれ、そして以下の構造を有する:
【0053】
【化36】
Figure 2005501817
ここで、9w2433およびそのエステル(すなわち、9w2433のカルボン酸またはその反応性等価物)は、アルコールまたはその反応性等価物と反応されて、R基を有する対応するエステルを形成し、好ましい化合物であり、本明細書中で開示した方法および組成物で好ましい薬剤である。
【0054】
PPAR類はまた、アテローム硬化型外傷で発現される(Bishop Bailey,Br.J.Pharmacol.129:823〜834,2000)。PPARαは、内皮細胞および平滑筋細胞、単球および単球由来マクロファージで存在している。それは、マクロファージにおける誘導酸化窒素合成酵素を阻害し、そして核因子κBおよび活性化タンパク質−1シグナル伝達経路の負の転写制御の結果として、IL−6およびシクロオキシゲナーゼ−2のIL−1誘発発現ならびにトロンビン誘発エンドセリン−1発現を防止する。PPARはまた、たぶん、核因子κB活性の阻害によって、ヒト単球由来マクロファージでのアポトーシスを誘発する。従って、血漿脂質プロフィールおよび血管壁炎症に対するPPARα活性剤の多面性効果は、おそらく、アテローム硬化症の発症の阻止に関与している。コレステロールを下げることに加えて、本発明によれば、それらはまた、ADを処置し、予防し、そのリスクを下げるのに有効であり得る。
【0055】
(2.ピリニキシン酸ならびにそのアナログおよび誘導体)
従って、本発明は、β−アミロイドのレベルを低くし、それにより、β−アミロイドの蓄積に関連した疾患(例えば、アルツハイマー病)を軽減し、処置し、そして/または予防する際に使用するPPARαアゴニストならびに/またはPPARδアゴニストおよびそれらの誘導体を提供する。本発明によれば、代表的なPPARαアゴニストであるピリニキシン酸は、細胞からのAβ−42の産生および/または放出を少なくする際に有用である。Aβ−42の産生および/または放出を阻止することにより、Aβ−42の蓄積およびプラークの形成は、低下または防止され得る。これらの結果は、アルツハイマー病におけるAβの役割に関する現在のモデルと一致している。しかしながら、β−アミロイドの産生および/または放出を少なくするのに、全てのPPARαアゴニストが使用できる訳ではない。例えば、PPARαアゴニストであるETYAおよびクロフィブレート(Clofibrate)は、図2および3で示すように、また、実施例で詳細に述べるように、細胞からのAβ−42の産生および/または放出を高めることが発見された。これらの結果は、PPARαアゴニストとしての化合物の定義が有効な応答(すなわち、Aβの産生および/または放出の減少)を決定する唯一の要因ではないことを立証している。むしろ、この応答は、その化学構造に特異的であると思われる。本発明の新規な局面は、インビボでの細胞からのAβの産生および/または放出を調節する際の適合性を決定するために、PPARαアゴニストならびに/またはPPARδアゴニストおよび関連化合物および誘導体をスクリーニングする方法および物質を提供することにある。
【0056】
本発明はまた、以下の構造式の(2−ピリミジニルチオ)アルカン酸、エステル、アミドおよびヒドラジド構造を有する化合物、およびその化合物を含有する組成物の使用に関する:
【0057】
【化37】
Figure 2005501817
ここで、独立して、各出現例において、R15およびR17は、それぞれ独立して、水素および低級アルキル基からなる群から選択され;R16は、水素、ハロゲンおよび低級アルコキシ基からなる群から選択され;Wは、1実施形態では、水素であるのに対して、他の実施形態では、Wは、ヒドロキシル、低級アルコキシ、−OMおよび−(NH)NH基からなる群から選択され、ここで、pは、0または1であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンであり;mは、0、1、2または3であり;Yは、6個〜10個の炭素原子を有するアリール基、
【0058】
【化38】
Figure 2005501817
からなる群から選択され;ここで、R18は、水素または低級アルキル基であり;R19は、水素、HN−、
【0059】
【化39】
Figure 2005501817
、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるが、但し、R18が水素であり、そしてR19が水素、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるとき、R16は、ハロまたは低級アルコキシであり;R20は、低級アルキル基、ハロ基、6個〜10個の炭素原子を有するアリール基および6個〜10個の炭素原子を有するハロアリール基からなる群から選択され;R21は、水素、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロ基からなる群から選択され;R22は、水素および低級アルキル基からなる群から選択され;そしてEは、
【0060】
【化40】
Figure 2005501817
からなる群から選択され;ここで、R23は、水素または低級アルキルであり;R24は、水素または低級アルキルであり;そしてqは、0〜3の整数である。
【0061】
その化合物は、以下の構造を有するピリニキシン酸およびエステルなどにより、例示される:
【0062】
【化41】
Figure 2005501817
1局面では、これらのピリニキシン酸誘導体化合物は、次式を有する:
【0063】
【化42】
Figure 2005501817
ここで、独立して、各出現例において、Rは、一実施形態において、水素であり、一方で、Rは、種々の実施形態において、少なくともとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個および少なくとも5個の炭素を有する有機部分であり;Zは、−O−、−NH−NH−および−N(R)−から選択され;Rは、水素およびC〜C30有機部分から選択されるが、但し、RおよびRは、それら両方が共に結合する窒素と一緒になって、複素環式部分を形成し得;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル基および低級アルコキシ基からなる群から選択され;R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され;R10は、結合または直鎖または分枝アルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり;R11は、水素、アルキルまたはアラルキルであり;そしてR12は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される。必要に応じて、これらの化合物は、RがClであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、Rがメチルであり、そしてRがメチルのとき、Zは、NRではないという条件で記載される。
【0064】
別の局面では、これらのピリニキシン酸誘導体化合物は、次式を有するピリニキシン酸のアミドである:
【0065】
【化43】
Figure 2005501817
ここで、RおよびRは、水素または有機部分である。本発明の種々の実施態様では、この式の化合物を記述するために、以下の基準の1つ、2つまたはそれ以上がさらに適用され得るが、この場合、任意の2つまたはそれ以上の基準は、それらの基準が互いに矛盾しない限り、組み合わされ得る:Rは、芳香族であり、Rは、非芳香族であり、Rは、脂肪族であり、Rは、30個以下の炭素原子を有し、Rは、25個以下の炭素原子を有し、Rは、20個以下の炭素原子を有し、Rは、少なくとも2個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも3個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも5個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも6個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも7個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも9個の炭素原子を有し、Rは、少なくとも10個の炭素原子を有し、Rは、1,000未満の式量を有し、Rは、900未満の式量を有し、Rは、800未満の式量を有し、Rは、700未満の式量を有し、Rは、600未満の式量を有し、Rは、500未満の式量を有し、Rは、400未満の式量を有し、Rは、アルキルであり、Rは、アルケニルであり、Rは、アリールであり、Rは、アラルキルであり、Rは、アラルケニルであり、Rは、シクロアルキルであり、Rは、シクロアルキルアルキルであり、Rは、シクロアルキルアルケニルであり、Rは、ハロゲンであり、Rは、ハロアルキルであり、Rは、ハロアルケニルであり、Rは、シアノであり、Rは、ニトロであり、Rは、R10−N=N−O−R11であり、Rは、−OR12であり、Rは、−C(O)OR12であり、Rは、−N(R12であり、Rは、−C(O)N(R12であり、Rは、−N(R12)C(O)OR11(ここで、R10、R11およびR12は、本明細書中の他の箇所で定義されている)であり、Rは、ヘテロシクリルであり、Rは、ヘテロシクリルアルキルであり、Rは、炭化水素であり、Rは、16個と26個の間の炭素原子を含有する直鎖炭化水素部分(ここで、その部分は、C16:0;C16:1;C16:2;C20:1;C20:2;C20:3;C20:4;C22:4;C22:5;C22:6およびC24:4からなる群から選択される)であり、Rは、インスリンのフラグメント(ここで、そのインスリンフラグメントは、インスリンレセプターに結合する)であり、例えば、Rは、以下からなるインスリンのフラグメントである:(a)インスリン鎖AのN末端に由来の14個〜21個のアミノ酸残基を有するペプチド鎖;および(b)インスリン鎖BのN末端に由来の16個〜22個のアミノ酸残基を有する別のペプチド鎖;Rは、トランスフェリンレセプターに結合するタンパク質である;Rは、脳内でリガンドに結合できる抗体またはそのフラグメントであり、例えば、Rは、モノクローナル抗体である;Rは、成長因子(例えば、EGF)である;Rは、その化合物に、Rが水素でありRが水素である対応する化合物と比べて血液脳関門の透過が高いという特性を与え、Rは、Rが上で定義したとおりであり得る群から選択され、RおよびRは、それらが共に結合する窒素と一緒になって結合し、複素環式部分を形成し、RおよびRは、全体で、少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個の炭素原子を有する。例えば、1実施態様では、Rは、疎水性部分であり、その疎水性部分は、少なくとも10個の炭素原子を有する非芳香族有機部分および少なくとも6個の炭素を有する芳香族部分から選択され、そしてRは、水素である。別の例として、別の実施態様では、RおよびRの各々は、少なくとも1個の炭素原子を有する疎水性有機部分から選択され、但し、RおよびRは、全体で、少なくとも6個の炭素原子を有し、さらに但し、RおよびRは、それらが共に結合する窒素と一緒になって結合し、複素環式部分を形成する。
【0066】
本発明の方法で有用な代表的な組成物は、本明細書中で記述したピリニキシン酸およびその誘導体と、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤とを含有する。
【0067】
アルキルおよびアルコキシとの用語を修飾するために使用される「低級」との表現は、出願人は、パラフィン性誘導体の一価基、分枝基および非分枝基の脂肪族鎖長を、1個〜6個の炭素原子に限定することを意味する。「ハロ」または「ハロゲン」との用語は、出願人は、塩素、フッ素、ヨウ素および臭素を包含することを意味する。
【0068】
「アルキル」との用語は、飽和脂肪族基のラジカルを意味し、これには、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。1実施態様では、直鎖アルキルまたは分枝鎖アルキルは、その骨格内に、30個またはそれより少ない炭素原子(例えば、直鎖についてC〜C30、分枝鎖についてC〜C30)、さらに好ましくは、20個またはそれより少ない炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造内に、4個〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、その環構造内に、5個、6個または7個の炭素を有する。
【0069】
さらに、本明細書および請求の範囲の全体にわたって使用される「アルキル」との用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むと解釈され、後者は、その炭化水素骨格の1個またはそれ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を意味する。このような置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシアルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ(arloxycarbonyloxy)、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含めて)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含めて)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族部分またはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。その炭化水素鎖で置換された部分は、もし適当なら、それ自体で置換できることは、当業者に理解される。シクロアルキルは、さらに、例えば、上記置換基で置換され得る。「アラルキル」部分は、アリールで置換されたアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。
【0070】
炭素数を特に明記しない限り、本明細書中で使用される場合、「低級アルキル」とは、その骨格構造内に、上記アルキル基を意味するが、1個〜10個の炭素、さらに好ましくは、1個〜6個の炭素を有する。好ましいアルキル基は、1個〜3個の炭素原子を有する低級アルキルである。
【0071】
「アリール」との用語は、フェニルラジカルまたはナフチルラジカルを意味する。本明細書中で特に明記しない限り、用語「アリール」または接頭辞「アリ」(例えば、「アラルキル」のもの)は、用語「アルキル」に関連して上記のように1個またはそれ以上の置換基で必要に応じて置換したフェニルラジカルおよびナフチルラジカルを含むことを意味する。本発明の1実施態様では、アリール基はフェニルである。別の実施態様または追加実施態様では、このアリール基は、単一置換基を有する。別の実施態様または追加実施態様では、このアリール基は、2個の置換基を有する。
【0072】
「シクロアルキル」との用語は、炭素原子および水素原子だけからなる安定な一価の単環式または二環式炭化水素ラジカルを意味し、これは、3個〜10個の炭素原子を有し、飽和であり、単結合により、その分子の残りの部分に結合されている(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリニルなど)。本明細書中で特に明記しない限り、「シクロアルキル」との用語は、「アルキル」基に関連して上で同定した置換基の群から別個に選択される1個またはそれ以上の置換基で必要に応じて置換されたシクロアルキルラジカルを含むことを意味する。1実施態様では、このアルキル基は、一置換されている。別の実施態様では、このアルキル基は、置換されていない。
【0073】
「ヘテロシクリル」との用語は、安定な3〜15員環ラジカルを意味し、これは、炭素原子および1〜5個のヘテロ原子(これは、窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される)からなる。本発明の目的のために、このヘテロシクリルラジカルは、一環式、二環式または三環式の環系であり得、これは、縮合または架橋環系を含み得る;このヘテロシクリルラジカル内の窒素原子、炭素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、酸化され得る;この窒素は、必要に応じて、四級化され得る;そして、このヘテロシクリルラジカルは、芳香族であり得るか、または部分的または完全に飽和であり得る。このヘテロシクリルラジカルは、任意のヘテロ原子で分子の残りの部分に結合され得ない。このようなヘテロシクリルラジカルの例には、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル;カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、デカヒドロイソキノリル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロフリル、トリアジニル、テトラヒドロピラニル、チエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシドおよびチアモルホリニルスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で特に明記しない限り、「ヘテロシクリル」との用語は、「アルキル」基の記述に関連して上で定義した1個またはそれ以上の置換基で必要に応じて置換した上で定義したヘテロシクリルラジカルを含むことを意味する。本発明の1実施態様では、このヘテロシクリル基は、置換基を有しない。別の実施態様では、このヘテロシクリル基は、単一の置換基を有する。
【0074】
種々の実施態様では、本明細書中で同定したピリニキシン酸誘導体およびアナログ化合物に関して、目的の化合物をさらに定義するために、以下の基準の1つ、2つまたはそれ以上が適用され得、この場合、任意の2つまたはそれ以上の基準は、それらの基準が互いに矛盾しない限り、組み合わされ得る:Zは、−O−であり、Zは、−NH−NH−であり、Zは、−N(H)−であり、Zは、−N(R)−であり、Rは、30個未満の炭素を有する有機基であり、Rは、25個未満の炭素を有する有機基であり、Rは、20個未満の炭素を有する有機基であり、Rは、15個未満の炭素を有する有機基であり、Rは、少なくとも2個の炭素を有する有機基であり、Rは、少なくとも3個の炭素を有する有機基であり、Rは、少なくとも4個の炭素を有する有機基であり、Rは、少なくとも5個の炭素を有する有機基であり、Rは、少なくとも6個の炭素を有する有機基であり、Rは、1,000未満の式量を有し、Rは、900未満の式量を有し、Rは、800未満の式量を有し、Rは、700未満の式量を有し、Rは、600未満の式量を有し、Rは、500未満の式量を有し、Rは、400未満の式量を有し、Rは、アルキルであり、Rは、アルケニルであり、Rは、アリールであり、Rは、アラルキルであり、Rは、アラルケニルであり、Rは、シクロアルキルであり、Rは、シクロアルキルアルキルであり、Rは、シクロアルキルアルケニルであり、Rは、ハロゲンであり、Rは、ハロアルキルであり、Rは、ハロアルケニルであり、Rは、シアノであり、Rは、ニトロであり、Rは、R10−N=N−O−R11であり、Rは、−OR12であり、Rは、−C(O)OR12であり、Rは、−N(R12であり、Rは、−C(O)N(R12であり、Rは、−N(R12)C(O)OR11であり、Rは、ヘテロシクリルであり、Rは、ヘテロシクリルアルキルであり、炭化水素であり、Rは、16個と26個の間の炭素原子を含有する直鎖炭化水素部分(ここで、その部分は、C16:0;C16:1;C16:2;C20:1;C20:2;C20:3;C20:4;C22:4;C22:5;C22:6およびC24:4からなる群から選択される)であり、Rは、インスリンのフラグメント(ここで、そのインスリンフラグメントは、インスリンレセプターに結合する)であり、例えば、Rは、以下からなるインスリンのフラグメントである:(a)インスリン鎖AのN末端に由来の14個〜21個のアミノ酸残基を有するペプチド鎖;および(b)インスリン鎖BのN末端に由来の16個〜22個のアミノ酸残基を有する別のペプチド鎖;Rは、トランスフェリンレセプターに結合するタンパク質である;Rは、脳内でリガンドに結合できる抗体またはそのフラグメントであり、例えば、Rは、モノクローナル抗体である;Rは、成長因子、例えば、EGFである;Rは、水素である;Rは、ハロゲンである;Rは、低級アルキルである;Rは、低級アルコキシである;Rは、水素である;Rは、ハロゲンである;Rは、低級アルキルである;Rは、低級アルコキシである;Rは、水素である;Rは、ハロゲンである;Rは、低級アルキルである;Rは、低級アルコキシである;Rは、水素である;Rは、ハロゲンである;Rは、低級アルキルである;Rは、低級アルコキシである;Rは、水素である;Rは、ハロゲンである;Rは、低級アルキルである;Rは、低級アルコキシである;Rは、その化合物に、Rが水素である対応する化合物と比べて血液脳関門の透過が高いという特性を与える。
【0075】
本発明に従って使用されるAβ調節化合物は、(4,6−ジクロロ−2−ピリミジニルチオ)アルカン酸中間体から容易に調製され得、これらの中間体は、それ自体、例えば、α−ハロ(低級)アルカン酸エステルとの反応により2−チオバルビツール酸を(4,6−ジヒドロキシ−2−ピリミジニルチオ)アルカン酸に変換することに続いて、POCl、PClなどのような試薬との反応により4−位置および6−位置の水酸基を塩素で置き換えることにより、得られる。例えば、
【0076】
【化44】
Figure 2005501817
4,6−ハロ基の種々の改変は、置換(substitution)反応および置換(displacement)反応により、達成され得る。それゆえ、(4,6−ジクロロ−2−ピリジニルチオ)アルカン酸エステルを第一級アミンと反応させると、対応する4−アミノ誘導体または6−アミノ誘導体が得られ、ヒドラジンと反応させると、4−ヒドラジノ誘導体または6−ヒドラジノ誘導体(これは、アルデヒドとの反応により、ヒドラゾンに容易に変換されるか、またはカルボン酸ハライドとの反応により、カーボンヒドラジドに容易に変換される)が得られる。アリール基は、もし望ましいなら、出発反応物として、チオバルビツール酸に代えて6−フェニル−2−チオウラシルを使用することにより、そのピリミジン核の4−位置または6−位置に直接位置付けられる。中間体であるモノクロロ−4または6−置換−2−ピリミジニルチオ酢酸エステルから、そのカルボン酸官能基の改変は、その遊離カルボキシル基または対応する酸ハライドのエステル交換、ケン化および加水分解だけでなくアミド化により、容易に達成される。
【0077】
【化45】
Figure 2005501817
これらの化合物は、アルツハイマー病に罹っている個体に、0.05〜25ミリグラムの活性成分(公知のアジュバントを構成する処方物の残部)を含有する単位用量で、投与される。その療法の目標は、アミロイドの産生および/または放出の調節にある。この調節は、1つまたはそれ以上の化学的に誘導した生理学的機構によってであり得る。
【0078】
「被験体」との用語は、アミロイドの産生および/または放出(1つまたはそれ以上のアミロイドに関連した症状を含めて)を有する哺乳動物、またはアミロイドの産生および/または放出に影響されやすい哺乳動物を含むと解釈される。このような被験体の例には、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ラットおよびマウスが挙げられる。
【0079】
ヒトの処置では、1〜10ミリグラム、通常、5ミリグラム用量の本発明の活性化合物は、制御して投与するために均一に提供するという見地から、最も望ましいと考えられている。本発明の化合物は、単独で、または薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、投与され得、その割合は、選択した投与経路および標準的な製薬方法により、決定される。例えば、それらは、必要とされ得る場合、通常の香料、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤または結合剤との錠剤またはカプセルの形状で、経口投与され得る。それらは、溶液の形状で、経口投与され得るか、またはそれらは、非経口的に注射され得る。非経口投与には、それらは、他の溶質(例えば、その溶液を等張性にするのに十分な生理食塩水またはグルコース)を含有する無菌溶液の形状で、使用され得る。
【0080】
適当な錠剤処方は、以下のとおりである:
Figure 2005501817
【0081】
非経口投与に適当な処方は、以下のとおりである:
Figure 2005501817
【0082】
好ましい化合物には、次式のものが挙げられる:
【0083】
【化46】
Figure 2005501817
ここで、別個に、各出現例において、R16は、水素およびクロロラジカルからなる群か
ら選択される;R、R17およびR22は、別個に、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;R20は、低級アルキル、低級アルコキシ、6個〜10個の炭素原子のアリール、6個〜10個の炭素原子およびハロラジカルを有するハロアリールからなる群から選択される;R21は、−H、低級アルキル、ハロおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;Eは、以下からなる群から選択される:
【0084】
【化47】
Figure 2005501817
ここで、R23およびR24は、別個に、−Hまたは低級アルキルであり、そしてqは、0〜3の整数であるが、但し、qが0であり、そしてR20が低級アルコキシであるとき、R21は、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロである;そしてZは、−OH、OM、低級アルコキシおよび−(NH)−NHからなる群から選択され、ここで、pは、0〜1の整数であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムカチオンである。
【0085】
好ましい化合物には、[4−クロロ−6−アリールアミノ−2−ピリミジニルチオ]酢酸、そのアルカリ金属塩、アミド、ヒドラジドおよび低級アルキルエステル(ここで、そのアリール基は、7個〜12個の炭素原子を含有する)、および6−パラ−クロロフェニルアミノおよびその6−パラ−クロロベンジルアミノアナログがある。
【0086】
本発明のさらに好ましい化合物は、以下の式で表わされ得る:
【0087】
【化48】
Figure 2005501817
ここで、別個に、各出現例において、Aは、6個〜10個の炭素原子を有するアリールおよび
【0088】
【化49】
Figure 2005501817
からなる群から選択される要素であり、ここで、R18は、−Hまたは低級アルキルであり、そしてR19は、水素、HN−、
【0089】
【化50】
Figure 2005501817
であり、Rは、−Hおよび低級アルキルからなる群から選択される;R17は、−Hおよび低級アルキルからなる群から選択される;R16は、H、クロロおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択されるが、但し、Aは、アミノ基またはフェニルアミノ基であり、Rは、クロロまたは低級アルコキシである;そしてZは、−NHNH、低級アルコキシ、−OHおよびOMからなる群から選択され、ここで、Mは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムカチオンである。
【0090】
具体的に好ましい化合物には、以下が挙げられる:
(4,6−ジクロロ−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
(4−アミノ−6−クロロ−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
(4−アニリノ−6−クロロ−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−(p−クロロアニリノ)−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−フルオロアニリノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルイジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(2,3−キシリジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(2,4,6−トリメチルアニリノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−メトキシアニリノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−(4−ビフェニルイルアミノ)−6−クロロ−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−[4−(p−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]−2−ピリジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(2,3−キシリジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸、
[4−クロロ−6−(2,3−キシリジノ)−2−ピリミジニルチオ]アセトアミド、
[4−クロロ−6−(2,3−キシリジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸ヒドラジド、
[4−クロロ−6−(p−クロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−フルオロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(3,4−ジクロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(2,4−ジメトキシアニリノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸、
[4−クロロ−6−(2,4−ジメチルベンジルアミノ(dimethyqlbenzylamino))−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−クロロフェネチルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−[(p−クロロベンジル)メチルアミノ]−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−クロロ−α−メチルベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸、
(4−クロロ−6−[3,4−(メチレンジオキシ)ベンジルアミノ]−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−クロロベンジリデンヒドラジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−[(p−フルオロベンジリデン)ヒドラジノ]−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−ヒドラジノ−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル塩酸塩、
[4−クロロ−6−(p−クロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸、
(4−クロロ−6−(p−クロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ)酢酸ヒドラジド、
2−(4,6−ジクロロ−2−ピリミジニルチオ)プロピオン酸エチルエステル、
2−[4−クロロ−6−(p−クロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]プロピオン酸、
(4−クロロ−6−フェニル−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
(4−メトキシ−6−フェニル−2−ピリミジニルチオ)酢酸、
[4−(p−クロロベンジルアミノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
[4−(p−クロロベンジル)メチルアミノ−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
(4,6−ジクロロ−5−メチル−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−(p−クロロベンジルアミノ)−5−メチル−2−ピリミジニルチオ]酢酸エチルエステル、
(4−クロロ−6−[p−(クロロベンジル)メチルアミノ]−5−メチル−2−ピリミジニルチオ)酢酸エチルエステル、
[4−クロロ−6−2,3−キシリジノ)−2−ピリミジニルチオ]酢酸ナトリウム塩半水物。
【0091】
上記の化合物は、インビトロでの試験を使用して、Aβ放出に対する効果について慣用的に試験される。慣用的実験はまた、組成物が、インビボでの少なくとも1つの細胞からのAβ放出に影響を与えるか否かを決定するためにも、実施され得る。他の適切なアッセイが、本明細書中の実施例に開示される。簡単に述べると、SM−4細胞(これは、スウェーデン変異アミロイド前駆体タンパク質で安定にトランスフェクトされている)が、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニスト(例えば、ピリニキシン酸(pirinixic acid)またはその誘導体)で処理される。処理後、その培地が収集され、そしてAβ−40および/またはAβ−42についてアッセイされる。適切なコントロールと比較したその培地中のAβ−40濃度またはAβ−42濃度の統計学的に有意な減少(p<0.05)は、その処理が、その細胞からのAβ−40および/またはAβ−42の産生および/または放出を阻害または防止したことを示す。化合物が、Aβ−42の産生および/または放出を、コントロール(その化合物が存在しないかまたはビヒクルが存在する)と比較して統計学的に有意な量減少させる場合、その化合物は、本発明によるAβ−42調節因子であると見なされる。
【0092】
ADと、コレステロールホメオスタシスと、身体においてコレステロールレベルを調節するために使用される薬剤との間には、複雑な関係が存在する。WO 00/28981は、アルツハイマー病の発症リスクを減少するために、HMG CoAレダクターゼ(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ)のインヒビターを投与することを開示する。使用されたインヒビターは、ロバスタチン、プラバスタチン、またはその組み合わせであった。しかし、類似する相関性は、シンバスタチンを用いては観察されなかった。WO 00/31548はまた、HMG CoAレダクターゼのインヒビター(特に、スタチン)を開示する。興味深いことに、シンバスタチンは、WO 00/28981に開示される結果と対照的に、示唆されたインヒビターである。WO 00/28981は、シンバスタチン処置患者におけるADの有病率が減少されなかったことを記載する。
【0093】
Fassbender,K.ら,PNAS/www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/−pnas.081620098は、モルモットを使用して、インビトロおよびインビボで、β−アミロイドペプチドであるAβ−42およびAβ−40のレベルを減少させるためにシンバスタチンを使用することを記載する。Wolozin,B.ら,Arch.Neurol.57:1439−1443,2000は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターで処置された患者集団の分析を記載する。その著者らは、ADの有病率が、これらの患者において、他の薬剤を投与された患者においてよりも60〜73%低かったことを報告した。この研究において、因果関係は、確立され得なかった。Jick,H.ら,The Lancet 356:1627−1631,2000もまた、患者の記録を総説し、そして50歳以上の個体において、スタチン投与が、痴呆(アルツハイマー病および他の状態を含む)のリスクの実質的減少と関係があったことを見出した。同様に、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビターが、種々の動物モデル(ラット、モルモット、およびウサギを含む)において、血漿中コレステロールを減少させるために使用された(Tanakaら,J.Med.Chem.41:2390−2410,1998;Junqueroら,Biochem.Pharmacol.61:97−108,2001)。ACATインヒビターの例としては、グリベンクラミド、CI−976(PD128042)、NTE−122、脂肪酸アニリド、F12511、アバシミベ(Avasimibe)、TS−962(HL−004)、N−クロロスルホニルイソシアネートおよび誘導体、SR−9223i、ピリピロペン、PD−132301、PD−132301−2、DUP−128、YM−17E、BW447A、AD 6591、CL−277,082、メリナミド(Melinamide)、ヒドロキシフェニル尿素誘導体、R−106578、アミド部分もしくは尿素部分を含むインドリン誘導体、57−118、58−035、CI−999、CI−1011、N−アルキル−N−[(フルオロフェノキシ)ベンジル]−N’−アリール尿素および誘導体、SKF−99085、EAB309、N−アルキル−N−(ヘテロアリール置換ベンジル)−N’−アリール尿素および誘導体、F−1394、N−アルキル−N−ビフェニリルメチル−N’−アリール尿素および誘導体、CL277,082、CL283,546、CL283,796、CP−113,818、CP−105,191、ポリアセチレンアナログ−パナキシトール、パナキシドール、パナキシジオール、およびパナキシトリオール、T−2591、4,4−ビス(トリフルオロメチル)イミダゾリンおよび誘導体、FR145237、FR186054、FR129169、ナリンゲニン(Naringenin)、ウルモイドール(Ulmoidol)、23−ヒドロキシウルソリン酸(hydroxyursolic acid)、27−トランス−p−クーマロイルオキシウルソリン酸(coumaroyloxyursolic acid)、27−シス−p−クーマロイルオキシウルソリン酸(coumaroyloxyursolic acid)、トリテルペンおよび誘導体、N−(4,5−ジフェニルチアゾール−2−イル)−N’−アリール(チオ)尿素またはN−(4,5−ジフェニルチアゾール−2−イル)−N’−アルキル(チオ)尿素および誘導体、N−(4,5−ジフェニルチアゾール−2−イル)アルカンアミドおよび誘導体、RP73163、RP64477、ジアリール置換複素環式尿素および誘導体、複素環式アミドおよび誘導体、チオアルデヒドと1,3−ジエンとのヘテロ−ディールス−アルダー反応に由来する環状スルフィド、E5324、(+/−)−2−ドデシル−α−フェニル−N−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−2H−テトラゾール−5−アセトアミドのテトラゾールアミド誘導体、エピ−コクリオキノン(cochlioquinone)A、非環式(ジフェニルエチル)ジフェニルアセトアミド、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)−4,5−ジフェニル−1H−イミダゾールおよび誘導体、N−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)アミド誘導体、FCE 27677、GERI−BP002−A、TMP−153、1,2−ジアリールエチルアミンのアミドおよび誘導体、ル7677,ゆうどうたいlic acid,.05)ha,F−1394、N−(4−オキソクロマン−8−イル)アミド誘導体、テルペンドール、短鎖セラミドおよびジヒドロセラミド、FY−087,447C88、シクランデレート(Cyclandelate)、3−キノリル尿素誘導体、N−フェニル−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−11−カルボキサミドおよび関連誘導体、ジプセチン(Gypsetin)、AS−183、AS−186、2,6−二置換−3−イミダゾリルベンゾピラン誘導体、ラテリチン(Lateritin)、2−(アルキルチオ)−4,5−ジフェニル−1H−イミダゾール誘導体、グリソプレニン(Glisoprenin)、アカテリン(Acaterin)、U−73482、プルパクチン(Purpactin)およびクロロプロマジン(Chlorpromazine)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明に従う例示的化合物は、ピリニキシン酸(pirinixic acid)として公知である。本明細書中の実施例によると、ピリニキシン酸は、SM−4細胞からのAβ−42産生および/またはAβ−42放出の減少を、濃度依存様式で誘導した。ピリニキシン酸は周知であるが、本発明は、Aβ産生および/またはAβ放出を減少するためにピリニキシン酸を使用することを初めて開示する。ピリニキシン酸は、抗高脂血症薬として同定されており、そして米国特許第3,814,761号(1974年6月4日)にておいて最初に開示された。この米国特許第3,814,761号は、ピリニキシン酸および関連化合物を、抗脂血症薬として特徴付けた。特に、高コレステロール血症とアルツハイマー病との間の臨床的相関性(Wolozin,Proc Natl Acad Sci 98:5371−5373(2001))に概説される)を考慮すると、Aβ−42産生および/またはAβ−42放出に対するピリニキシン酸の活性をピリニキシン酸の抗脂血症的役割に直接関連していると考えることは魅力的であり得るが、実際は、これらの機構は別個であるようである。従って、コレステロール低下剤は、下記により十分に考察されるように、定義からして、さらなる実験を行わなければ、ADのための適切な処置ではない。
【0095】
フィブレート(fibrate)は、しばしば、コレステロール低下剤として使用されるが、Aβ−42産生および/またはAβ−42放出を一般的には減少させない。例えば、SM−4細胞が、クロフィブレートで処理され、そしてAβ−42レベルをアッセイするために培養培地が収集される。図2に示されるように、クロフィブレートは、50μM〜500μMの濃度範囲にて、細胞外Aβ−42レベルを有意に増加させた。同様の結果が、図3に示されるように、20μM〜50μM濃度のETYAを用いて見出された。3つのPPARαアゴニスト(そのすべてが、コレステロール低下剤である)が、SM−4細胞からのAβ−42産生および/またはAβ−42放出に対して異なる効果を有するという事実は、本発明の前提(いくつかのPPARαアゴニストが、コレステロール低下剤としての役割には厳密には付随しない機構を介して、Aβ−42産生および/またはAβ−42放出に影響する)を支持する。
【0096】
従って、本発明は、Aβ−42の産生および/または放出を低減可能である、薬剤ピリニキシン酸ならびに他のPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストに関し、この薬剤は、薬学的組成物として構成され、そしてこの薬剤は、例えば、下記のように、血液脳関門の透過を促進するためのキャリアに結合されても結合されなくてもよい。
【0097】
(3.血液脳関門の透過の増大)
細胞からのAβ産生および/またはAβ放出を阻害するためにインビトロまたはインビボで有用であり得る化合物は、脳中の標的細胞に接近し得る場合には、脳におけるAβ産生および/またはAβ放出を軽減または予防する際により有効である。脳細胞は、本明細書中において、頭部(脊髄を含む)の頭蓋骨内に存在するすべての細胞として規定される。脳細胞の非限定的例は、ニューロン、神経膠細胞(神経膠星状細胞、稀突起神経膠細胞、小神経膠細胞)、脳血管細胞(筋肉細胞、内皮細胞)、血球(赤血球、白血球、血小板など)、ならびに髄膜を含む細胞である。しかし、血液脳関門(BBB)(脳実質を全身循環から隔てる物理的機能的遮蔽物)に起因して、接近は制限されている(Pardridgeら,J Neurovirol 5(6):556−569,1999;RubinおよびStaddon.Rev.Neurosci 22:11−28,1999に論説される)。循環する分子は、通常は、2つのプロセスのうちの1つを介して脳細胞に接近し得る。その2つのプロセスは、(i)自由拡散によりBBBを通る低分子の脂質媒介性輸送、または(ii)触媒輸送である。従って、Aβ産生および/またはAβ放出を阻害するために有用な化合物は、好ましくは、血液脳関門の透過を用意にする薬剤に連結される。1つの実施形態において、本発明の方法は、Aβ産生および/またはAβ放出を阻害するのに有用な低分子に連結された天然に存在するポリアミンを使用する。リンカーとして使用され得る天然の細胞代謝物としては、プトレシン(putrescine)(PUT)、スペルミジン(SPD)、スペルミン(SPM)、またはDHAが挙げられるが、これらに限定されない。BBBを通って化合物を送達するための代替的方法は、脳室内ポンプによる。
【0098】
神経学的薬剤はまた、鼻腔に送達され得る。気道上皮内の毛細血管ではなく末梢嗅覚ニューロンへとその薬剤を輸送するのを促進するために、鼻腔の上部3分の1にある嗅覚領域(特に、嗅上皮)にその薬剤を送達することが、好ましい。好ましい実施形態において、脳に神経学的薬剤を輸送することは、Aβ産生および/またはAβ放出を阻害する低分子が脳の適切な領域へと送達され得るように、循環器系の代わりに神経系によって達成される。
【0099】
嗅覚ニューロン中に吸収されるために、嗅上皮の嗅覚受容器細胞の線毛を取り囲む粘膜により分泌される流体中に神経学的薬剤が少なくとも部分的に溶解可能であることが、好ましい。あるいは、その薬剤は、鼻放出におけるその薬剤の溶解を助成するキャリアおよび/または他の物質と合わされ得る。可能なアジュバントとしては、GM−1、ホスファチジルセリン(PS)、および乳化剤(例えば、ポリソルベート80)が、挙げられる。
【0100】
嗅覚系中にその神経学的薬剤が輸送するのをさらに容易にするために、本発明の方法は、その薬剤を、嗅上皮を通るその薬剤の吸収を増大する物質と合わせ得る。その添加物は、末梢嗅覚受容器細胞中にその薬剤を吸収するのを促進するのが好ましい。臭気検出における末梢ニューロンの役割が原因で、これらの末梢ニューロンは、脳と外部環境との間の直接的連絡を提供する。
【0101】
嗅覚受容器細胞は、鼻腔中に延びる毛髪様線毛により覆われた隆起を有する、双極ニューロンである。反対側の端において、これらの細胞からの軸索が集合して凝集物となり、そして鼻蓋で頭蓋腔に入る。この神経学的薬剤は、嗅上皮を通り嗅覚ニューロンに吸収されるのを容易にするために、親油性であることが好ましい。親油性である神経学的薬剤の中には、ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS)がある。あるいは、この神経学的薬剤は、その薬剤が嗅覚ニューロンに吸収されるのを増大するキャリアおよび/または他の物質と合わされ得る。好ましい補助物質には、親油性物質(例えば、ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS))がある。非親油性神経学的薬剤(例えば、神経成長因子(NGF))の取込みは、親油性物質との組み合わせによって増大され得る。
【0102】
本発明の方法の1つの実施形態において、その神経学的薬剤は、親油性物質から構成されるミセルと合わされ得る。そのようなミセルは、その薬剤の鼻膜透過性を改変し得そしてその薬剤の吸収を増加し得る。好ましい親油性ミセルの中には、ガングリオシド(特に、GM−1ガングリオシド)およびホスファチジルセリン(PS)がある。その神経学的薬剤は、1つの型またはいくつかの型のミセル物質と合わされ得る。
【0103】
一旦その薬剤が鼻上皮を越えると、本発明はさらに、その神経学的薬剤を嗅覚神経通路に沿って輸送することを提供する。その薬剤は、神経栄養特性または軸索生成(neuritogenic)特性を保有し、次いで神経細胞損傷部位にその薬剤を輸送するのを補助し得る物質と、合わされ得る。予防治療は、その薬剤を、単独でか、あるいはその薬剤が嗅覚ニューロンに吸収されるのを増大し得るキャリア、他の薬剤、および/または他の物質と組み合わせて、適用し得る。
【0104】
その薬剤を嗅覚ニューロンへと送達するために、その薬剤単独か、または薬学的組成物として他の物質と組み合わせたその薬剤が、鼻腔の上部3分の1に位置する嗅覚領域へと投与され得る。その組成物は、散剤または液体経鼻スプレー、経鼻液滴、ゲルもしくは軟膏として、チューブもしくはカテーテルを介してか、シリンジによってか、パックテール(packtail)によってか、綿撒糸によってか、または粘膜下注入によって、鼻内に供給され得る。
【0105】
血液脳関門の透過を高めるために本明細書中で記述した化合物の他の改変は、当該技術分野で公知の方法および誘導体を使用して達成でき、これには、以下の特許文献(各々の内容は、本明細書中で参考として援用されている)で開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない:
2000年2月5日にYatvinに登録された米国特許第6,024,977号は、脳および中枢神経系を標的にする共有結合極性脂質結合体を開示している。
【0106】
1991年5月21日にBodorに登録された米国特許第5,017,566号は、βおよびγシクロデキストリン誘導体を開示しており、これは、類脂質形状のジヒドロピリジンレドックス標的部分の包接化合物を含有する。
【0107】
1991年6月11日にHseihに登録された米国特許第5,023,252号は、神経活性薬剤と血液脳関門を横切るその薬剤の輸送を促進する化合物とを含有する薬学的組成物の使用を開示しており、この化合物には、大環状エステル、ジエステル、アミド、ジアミド、アミジン、ジアミジン、チオエステル、ジチオエステル、チオアミド、ケトンまたはラクトンが挙げられる。
【0108】
1991年6月18日にBodorに登録された米国特許第5,024,998号は、βおよびγシクロデキストリン誘導体を有する水性−不溶性薬剤の非経口溶液を開示している。
【0109】
1991年8月13日にWierらに登録された米国特許第5,039,794号は、血液脳関門を横切る化合物の輸送を促進するために、転移性腫瘍由来イグレス(egress)因子を使用することを開示している。
【0110】
1992年5月12日にHashimotoらに登録された米国特許第5,112,863号は、血液脳関門を横切って送達するために、抗精神病薬として、N−アシルアミノ酸誘導体を使用することを開示している。
【0111】
1992年6月23日にNeuweltに登録された米国特許第5,124,146号は、脳の外傷に伴う浸透性増加部位で血液脳関門を横切って治療剤を送達する方法を開示している。
【0112】
1992年10月6日にEiblに登録された米国特許第5,153,179号は、細胞膜の透過を高める医薬品で使用するアシル化グリセロールおよび誘導体を開示している。
【0113】
1993年1月5日にBodorに登録された米国特許第5,177,064号は、血液脳関門を横切って送達するために、ヌクレオシド抗菌剤の類脂質性ホスホネート誘導体を使用することを開示している。
【0114】
1993年10月19日にShenらに登録された米国特許第5,254,342号は、そのプロセスを向上または促進する製薬化合物と共にトランスフェリンレセプターを使用する血液脳関門のレセプター媒介トランスサイトーシスを開示している。
【0115】
1993年11月2日にMaryanoffに登録された米国特許第5,258,402号は、抗痙攣性スルファミン酸塩のイミデート誘導体で癲癇を治療することを開示している。
【0116】
1993年12月14日にGlaseらに登録された米国特許第5,270,312号は、中枢神経系剤としての置換ピペラジンを開示している。
【0117】
1994年2月8日にShashouaに登録された米国特許第5,284,876号は、ドーパミン薬剤の脂肪酸結合体を開示している。
【0118】
1995年2月14日にBodorに登録された米国特許第5,389,623号は、血液脳関門を横切って送達するために抗炎症性ステロイドまたはステロイド性ホルモンの類脂質性ジヒドロピリジン誘導体を使用することを開示している。
【0119】
1995年4月11日にBundgaardらに発行された米国特許第5,405,834号は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのプロドラッグ誘導体を開示している。
【0120】
1995年5月9日にBodorに登録された米国特許第5,413,996号は、脳組織で神経活性薬剤をアニオン隔絶するためのこのような薬剤のアシルオキシアルキルホスホネート結合体を開示している。
【0121】
1995年7月18日にBlackに登録された米国特許第5,434,137号は、頚動脈に注入されるブラジキニンを使用して、異常な脳組織毛細血管を選択的に開く方法を開示している。
【0122】
1995年8月15日にFukutaらに登録された米国特許第5,442,043号は、生体活性を有しかつ血液脳関門を横断できないペプチドと生体活性を示さずかつレセプター媒介エンドサイトーシスにより血液脳関門を通過できるペプチドとの間のペプチド結合体を開示している。
【0123】
1995年11月14日にSterlingらに登録された米国特許第5,466,683号は、癲癇を治療する抗痙攣薬の水溶性アナログを開示している。
【0124】
1996年6月11日にBodorに登録された米国特許第5,525,727号は、脳組織での取り込みおよび保持に差をつける組成物を開示しており、これは、麻薬性鎮痛薬およびそのアゴニストおよびアンタゴニストと、類脂質性形状のジヒドロピリジン(これは、血液脳関門を横切って取り込まれるとレドックス塩を形成し、体循環に戻って分配するのを防止する)との結合体を含有する。
【0125】
1985年6月6日に公開されたMax−Planck Instituteの国際特許出願公開第WO85/02342号は、グリセロ脂質またはその誘導体を含有する薬剤組成物を開示している。
【0126】
1989年11月30日に公開されたState of Oregonの国際特許出願公開第WO89/11299号は、抗体と酵素(これは、別々に投与した神経活性プロドラッグを活性化するために、脳外傷部位に特異的に送達される)との化学結合体を開示している。
【0127】
1991年4月4日に公開されたSynergen,Inc.の国際特許出願公開第WO91/04014号は、輸送特異的レセプターリガンドまたは抗体を使用して、脳組織を標的にしたリポソームに治療薬および診断薬をカプセル化することにより、血液脳関門を横切ってこれらの薬剤を送達する方法を開示している。
【0128】
1991年4月18日に公開されたAthena Neurosciences,Inc.の国際特許出願公開第WO91/04745号は、血管内皮での密着帯の浸透を高めるために、細胞接着分子およびそれらのフラグメントを使用して、血液脳関門を横切って輸送することを開示している。
【0129】
1991年10月3日に公開されたColumbia Universityの国際特許出願公開第WO91/14438号は、血液脳関門を横切る物質の輸送を促進するために、改変キメラモノクローナル抗体を使用することを開示している。
【0130】
1994年1月20日に公開されたEukarion,Inc.の国際特許出願公開第WO94/01131号は、抗体を含めた脂質化タンパク質を開示している。
【0131】
1994年2月17日に公開されたIshikiraらの国際特許出願公開第WO94/03424号は、血液脳関門を横切る輸送を促進するために、薬剤結合体として、アミノ酸誘導体を使用することを開示している。
【0132】
1994年3月31日に公開されたUniversity of Floridaの国際特許出願公開第WO94/06450号は、神経活性薬剤とジヒドロピリジン型レドックス標的部分との結合体を開示しており、これは、アミノ酸連鎖および脂肪族残基を含有する。
【0133】
1994年2月3日に公開されたthe U.S.Government,Department of Health and Human Servicesの国際特許出願公開第WO94/02178号は、血液脳関門を横切って送達するための抗体標的化リポソームを開示している。
【0134】
1995年3月16日に公開されたthe University of Medicine and Dentistry of New Jerseyの国際特許出願公開第WO95/07092号は、血液脳関門を横切って薬剤を送達するために薬剤−成長因子結合体を使用することを開示している。
【0135】
1996年1月11日に公開されたSouthern Research Instituteの国際特許出願公開第WO96/00537号は、中枢神経系内の部位に生物活性剤を送達するための注射可能薬剤送達ビヒクルとしての高分子微小球体を開示している。
【0136】
1996年2月15日に公開されたMolecular/Structural Biotechnologies,Inc.の国際特許出願公開第WO96/04001号は、脳組織送達用の神経活性剤のオメガ−3−脂肪酸結合体を開示している。
【0137】
1996年7月25日に公開されたthe Commonwealth Scientific and Industrial Research Organizationの国際特許出願公開第WO96/22303号は、脳組織に送達するための神経活性剤の脂肪酸およびグリセロ脂質結合体を開示している。
【0138】
一般に、対応するカルボン酸および適当な試薬から、エステル、アミドまたはヒドラジド誘導体を調製することは、全く当該技術分野の範囲内である。例えば、カルボン酸含有化合物またはその反応性等価物は、対応するエステルを提供するために、ヒドロキシル含有化合物またはその反応性等価物と反応され得る。以下の参考文献および教本は、このような変換を達成するための代表的な反応条件を提供する:「Synthetic Organic Chemistry」、John Wiley & Sons,Inc.,New York;S.R.Sandlerら、「Organic Functional Group Preparations」、2版、Academic Press,New York,1983;H.O.House,「Modern Synthetic Reactions」、2版、W.A.Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.1972;T.L.Gilchrist,「Heterocyclic Chemistry」、2版、John Wiley & Sons,New York,1992;J.March,「Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure」、4版、Wiley−Interscience,New York,1992。
【0139】
当業者は、上記第1章および第2章で述べたアゴニストのいずれかを容易に改変でき、それらを、所望の活性および血液脳関門を透過する性能について、試験できる。
【0140】
トランスサイトーシスもまた、血液脳関門を横切る組成物のレセプター媒介輸送を含めて、本発明の化合物に適当である。トランスフェリンレセプター媒介送達は、米国特許第5,672,683号;第5,383,988号;第5,527,527号;第5,977,307号;および第6,015,555号で開示されている。トランスフェリン媒介輸送はまた、Friden,P.M.ら、Pharmacol.Exp.Ther.278:1491〜1498,1996;およびLee,H.J.,J.Pharmacol.Exp.Ther.292:1048〜1052,2000で開示されている。EGFレセプター媒体送達は、Deguchi,Y.ら、Bioconjug.Chem.10:32〜37,1999で開示されており、また、トランスサイトーシスは、Cerletti,A.ら、J.Drug Target.8:435〜446,2000で記述されている。血液脳関門を横切って送達するキャリアとしてインスリンフラグメントを使用することは、Fukuta,M.ら、Pharm.Res.11:1681〜1688,1994で述べられている。中性アビジンおよびカチオン化ヒトアルブミンの結合体を経由した化合物の送達は、Kang,Y.S.ら、Pharm.Res.1:1257〜1264,1994により記述されている。
【0141】
この活性剤の最適濃度は、必然的に、使用する特定の薬剤、患者の特徴およびその治療を使用する疾患または病気の性質に依存している。この薬剤は、単独で、または薬学的組成物として他の物質と併用して、使用され得る。
【0142】
本発明は、さらに、薬学的に受容可能なビヒクル(例えば、液体または粉末キャリアおよび/または種々の任意のアジュバント)と併用して、そこに投与したとき、アルツハイマー病のような脳障害を処置または予防するのに有効な量の本明細書中で開示した化合物または神経学的薬剤を含有する薬学的組成物に関する。
【0143】
1実施態様では、本発明は、β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要な非ヒト哺乳動物においてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を法癌する処置方法を提供する。他の実施態様では、本発明は、β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要なヒトにおいてββ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を法癌する処置方法を提供する。この処置がヒトに対するものであろうと非ヒト哺乳動物に対するものであろうと、本発明の方法は、その被験体に、本明細書中で記述した化合物または組成物、特に、次式の化合物から選択される化合物を投与する工程を包含し、各々は、その種々の実施態様を含めて、本明細書中で定義されている:
【0144】
【化51】
Figure 2005501817
【0145】
【化52】
Figure 2005501817
種々の実施態様では、これらの化合物において、−Z−Rは、−OHを表わし、−O−Rは、−OHを表わし、−N(R)(R)は、NHを表わし、そしてWは、−OHを表わし、その結果、上記化合物は、カルボン酸または第一級アミドのいずれかである。種々の他の実施態様では、−Z−Rは、−Oを表わし、−O−R−は、−Oを表わし、そしてWは、−Oを表わし、その結果、上記化合物は、カルボキシレートであり、これらは、金属カチオンおよびアンモニウムカチオンから選択される対イオンと会合されている。好ましい実施態様では、R基またはW基は、RまたはWがカルボン酸を生じるようにHまたはOHであること以外は同じ化合物と比べて、その化合物の血液脳関門の透過を高める。
【0146】
これらの化合物はまた、細胞を有効量の化合物またはその化合物を含有する組成物で処理することにより、その細胞内でのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節するのに使用され得る。本明細書中で使用する「a」との用語は、1種またはそれ以上を意味し、例えば、「a compound」とは、1種またはそれ以上の化合物を意味する。
【0147】
1実施態様では、本明細書中で記述した化合物または組成物は、ヒトを処置するのに使用され、ここで、そのヒトは、アルツハイマー病に冒されている。他の実施態様では、処置されるヒトは、アルツハイマー病を発症する可能性を高める遺伝子的疾患素質または環境暴露を有する。例えば、そのヒトは、脳傷害に罹っており、本明細書中で記述する化合物または組成物で処置される。1実施態様では、前記ヒトは、初期アルツハイマー病を示唆する最小認知障害を示す。他の実施態様では、そのヒトは、脳傷害に罹っており、本明細書中で記述する化合物または組成物で処置される。
【0148】
この組成物のキャリアは、薬学的に受容可能であってかつ組成物の活性成分と適合性の任意の物質であり得る。このキャリアが液体である場合、そのキャリアは、鼻液と低張性または等張性であり、pH4.5〜7.5の範囲内であることが好ましい。このキャリアが粉末形状である場合、そのキャリアはまた、受容可能な非毒性pH範囲内であることが好ましい。
【0149】
この薬学的組成物中で神経学的薬剤と配合され得る任意の物質のうちには、親油性物質があり、これらは、鼻膜を横切る薬剤の吸収および嗅神経経路による脳への送達を高め得る。この神経学的薬剤は、親油性アジュバントのみ、またはキャリアと組み合わせて、混合され得る。好ましい親油性物質には、ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS)がある。この薬剤には、1種または数種の親油性アジュバントが配合され得る。この親油性アジュバントは、ミセルとして加えられるのが好ましい。
【0150】
この薬学的組成物は、粉末、顆粒、溶液、軟膏、クリーム、エアロゾル、粉末またはドロップとして、処方され得る。この溶液は、無菌、等張性または低張性であり得るか、そうでなければ、注射または他の手段による投与に適当であり得る。この神経学的薬剤に加えて、この溶液は、適当なアジュバント、緩衝液、防腐剤および塩を含有し得る。この粉末または顆粒形状の薬学的組成物は、溶液および希釈剤、分散剤および/または界面活性剤と配合され得る。点鼻薬のような溶液は、酸化防止剤、緩衝液などを含有し得る。
【0151】
日常的な実験は、組成物がインビボで血液脳関門を透過できるかどうかをインビトロで決定するために、実行できる。例えば、単層培養モデルを使用して、物質は、その培養物の一面に加えることができ、この化合物が培養物の他面で検出できるかどうかを調べるために、試験が実行される。
【0152】
血液脳関門のインビトロモデルは、Gaillardら、Eur.Jour.Pharm.Sci.12:215〜222,2001で記述されている。このモデルでは、脳毛細血管の内皮細胞は、星状細胞で共に培養される。別のシステムは、Frankeら、Brain Res.Protocols 5:248〜256,2000で記述されているように、脳微小血管の内皮細胞を使用する。著者によれば、このモデルシステムは、中枢神経系を処置する薬剤に関する前臨床研究に使用され、この文献は、例えば、放射標識薬剤を使用することにより、浸透を測定する詳細な工程を提供する。他のモデルは、ラット毛細血管脳内皮細胞の不滅細胞系からなるが、Martelら、Naunyn−Schmiedeberg’s Archives of Pharmacology,September 5,2000で記述されている。血液脳関門原理を特定種類の薬剤に適用することは、Pardidge,W.M.,Jour.Neurochem.70:1781〜1792,1998で述べられている。
【0153】
Terasakiら、Biol.Pharm.Bull.24:111〜118(2001)は、血液脳関門(特に、脳への薬剤輸送)のモデルとして、条件付き不滅細胞系を記述している。
【0154】
インビボモデルもまた、使用され得る。この薬剤は、放射標識または蛍光標識され、そして静脈注射により(Pan,W.,ら、Neuropharmacol.37:1553〜1561,1998)、経口的に(Shulkin,B.L.ら、J.Neurochem.64:1252〜1257,1995)または鼻内で(Thorne,R.G.ら、Brain Res.692:278〜282,1995)末梢的に投与され、この薬剤の血液内での濃度は、脳と比較して、モニターされる。類似のモデルは、当該技術分野で周知である。
【0155】
PPARαアゴニストに加えて、PPARδアゴニストもまた、本発明に従って使用するのに適当であり得る。PPARδアゴニストおよび活性化剤は、Willson,T.M.ら、Jour.Med.Chem.43:527〜550,2000で記述されている。このPPARδレセプターは、コレステロール恒常性を含めた脂質恒常性において、一定の役割を果たすと考えられている。例えば、Oliver,W.R.ら(Proc.Nat’l.Acad.Sci.98:5306〜5311,2001)は、PPARδアゴニストであるGW501516を肥満のサルに投与すると、血清HDLコレステロールが上昇することを明らかにした。別の実験では、約50μMの濃度では、ピリニキシン酸は、コレステロール流出を変えることにより測定されるように、PPARδの有効アゴニストであることが分かった(Oliver,W.R.ら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.98:5306〜5311,2001)。これは、PPARαのアゴニストとしてピリニキシン酸を使って本発明で使用される濃度に匹敵する。使用するのに適当な他のPPARアゴニストには、Brown,P.B.ら(J.Med.Chem.43:3785〜3788,1999)で記述されているように、ウレイド−チオイソ酪酸(GW 9578)および誘導体が挙げられる。
【0156】
代表的な好ましい化合物は、ピリニキシン酸の誘導体であり、ここで、その分子は、血液脳関門の透過を促進するように、エステル化されている:
【0157】
【化53】
Figure 2005501817
他の好ましい化合物は、DHAと結合体化したピリニキシン酸からなり、これもまた、血液脳関門の透過を促進する:
【0158】
【化54】
Figure 2005501817
ここで、Rは、DHAから誘導される。
【0159】
血液脳関門の透過を促進するために、当該技術分野で公知の方法を使用して、本発明のピリニキシン酸および他の化合物の追加誘導体が調製できる。例えば、米国特許第6,024,977号は、共有結合極性脂質結合体との神経活性化合物を開示している。この極性脂質キャリアには、スフィンゴシン、セラミド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよび他のスフィンゴ脂質が挙げられる。必要に応じて、その脂質部分と生体活性成分との間には、スペーサが配置され得、このスペーサは、例えば、2個〜25個のアミノ酸を有するポリペプチドを含有し得る。他の例では、米国特許第6,197,764号は、脂肪酸分子および生物活性化合物の結合体を開示している;好ましい脂肪酸には、ドコサヘキサエン酸(DHA)である。さらに他の例では、米国特許第5,994,392号は、血液脳関門を通るプロドラッグを開示しており、これは、16個〜26個の炭素原子を有する脂肪酸キャリアを含有し、ここで、この脂肪酸キャリアは、部分的に飽和した直鎖分子である。この薬剤とキャリアとの間の共有結合は、好ましくは、アミド結合である。
【0160】
本発明はまた、以下の実施例を参照して記述されているが、これらは、限定であるとは解釈されない。上でおよび実施例で参照した全ての特許および刊行物の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【実施例】
【0161】
(実施例1)
(細胞からのβ−アミロイド産生および/またはβ−アミロイド放出に対する、ピリニキシン酸処理の効果)
(細胞株および薬理学的処理) スウェーデン変異体アミロイド前駆体タンパク質695(SM4細胞)で安定にトランスフェクトした293 EBNA細胞(InVitrogen,Carlsbad,CA)を、ピルビン酸ナトリウム(1mM)と10%ウシ胎仔血清とを補充したDMEM培において慣用的に維持した。細胞を、ポリ−D−リジン(SIGMA)コートした6ウェルプレートに、密度5〜7×10細胞/ウェルで播種した。その後、その細胞を1mlのPBSでリンスし、そして無血清/無フェノールレッドDMEM中の10〜500μMのピリニキシン酸で16時間処理した。
【0162】
(Aβ検出および正規化) この薬理学的処理の後、曝露培地を収集し、そして10%サンプル処理緩衝液(40mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、40mMトリエタノールアミン、0.1% Triton X−100、200mM NaCI、2mM EGTA、0.1%アジ化ナトリウム)を補充し、そして製造業者のプロトコル(Biosource International Inc,California)に従う比色ELISAによって、Aβ−40またはAβ−42のいずれかについてアッセイした。その細胞を、5μMヨウ化プロピジウム(Molecular Probes,Eugene,OR)を補充したPBS中の0.1% Triton X−100中に溶解し、そして37℃で30分間インキュベートした後に、蛍光を測定した。Aβ−40およびAβ−42を、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロピジウム蛍光に対して正規化した。
【0163】
PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸は、16時間後に、SM−4細胞からのAβ−42産生および/またはAβ−42放出の有意な減少を誘導した。50μM程度の低さの濃度によって、Aβ−42の15%減少(p<0.001)が誘導された。500μMにて、Aβ−42の60%減少が観察された(図1)。興味深いことに、Aβ産生および/またはAβ放出のピリニキシン酸媒介性減少は、選択的であった。なぜなら、Aβ−40産生および/またはAβ−40放出の有意な変化は存在しなかったからである。
【0164】
(実施例2)
(細胞からのβ−アミロイド産生および/またはβ−アミロイド放出を減少する能力についての薬剤のスクリーニング)
スウェーデン変異体アミロイド前駆体タンパク質695で安定にトランスフェクトした293 EBNA細胞を、ピルビン酸ナトリウム(1mM)と10%ウシ胎仔血清とを補充したDMEMにおいて維持した。細胞を、ポリ−D−リジンコートした6ウェルプレートに、密度5〜7×10細胞/ウェルで播種した。その後、その細胞を1mlのPBSでリンスし、そして無血清/無フェノールレッドDMEM中の10〜500μMのPPARαまたはPPARδアゴニストで16時間処理した。
【0165】
この薬理学的処理の後、曝露培地を収集し、そして10%サンプル処理緩衝液(40mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、40mMトリエタノールアミン、0.1% Triton X−100、200mM NaCI、2mM EGTA、0.1%アジ化ナトリウム)を補充し、そして製造業者のプロトコル(Biosource International,Inc.,California)に従う比色ELISAによって、Aβ−40またはAβ−42のいずれかについてアッセイした。その細胞を、5μMヨウ化プロピジウム(Molecular Probes,Eugene,Oregon)を補充したPBS中の0.1% Triton X−100中に溶解し、そして37℃で30分間インキュベートした後に、蛍光を測定した。分泌Aβ−40および分泌Aβ−42を、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロピジウム蛍光に対して正規化した。
【0166】
(実施例3)
(血液脳関門に透過する能力についての薬剤のスクリーニング)
インビトロモデル(例えば、Franke,H.ら,Brain Res.Prot.5:248−256,2000に開示されるモデル)またはインビボモデル(例えば、Shulkin,B.L.ら,J.Neurochem.64:1252−1257,1995;Thorne,R.G.ら,Brain Res.692:278−282,1995;Pan,W.,ら,Neuropharmacol.37:1553−1561,1998により記載されるモデル)を使用して、本発明の薬剤を、血液脳関門に透過する能力について慣用的に試験し得る。そのインビトロモデルは、ドナー区画からアクセプター区画へと物質が通過する能力を測定し得るように配置された、PBEC(ブタ脳微小血管内皮細胞)単層を使用する。このモデルは、物質が脳微小血管から脳区画へと到達するインビボ状況を、反映する。本発明の薬剤の透過特性を、その薬剤を例えば、Hで放射性標識し、そしてその薬剤をドナー区画に添加することによって測定する。このドナー区画およびアクセプター区画から、慣用的間隔でサンプルを収集し、そして透過性を、Franke,H.ら(2000)に記載されるように算定する。
【0167】
このインビボモデルは、血液脳関門を通る物質の通過の脳侵入指数または尺度を測定する。その薬剤を放射性標識または蛍光標識し、そして静脈内注射によって末梢投与する(Pan,W.ら,Neuropharmacol.37:1553−1561,1998)か、経口投与する(Shulkin,B.L.ら,J.Neurochem.64:1252−1257,1995)か、または経鼻投与し(Thorne,R.G.ら,Brain Res.692:278−282,1995)、脳中でのその薬剤の濃度と比較しての血液中でのその薬剤の濃度を、モニターする。
【0168】
(実施例4)
(アミロイド前駆体タンパク質およびそのタンパク質分解フラグメントの産生に対する、ピリニキシン酸処理の効果)
(細胞株および薬理学的処理) SM4細胞を慣用的に維持し、実施例1に記載されるように、ポリ−D−リジン(SIGMA)コートした6ウェルプレートに播種し、PBS中にリンスし、そして無血清/無フェノールレッドDMEM中の50〜500μMのピリニキシン酸で16時間処理した。
【0169】
(アミロイド前駆体タンパク質およびそのタンパク質分解フラグメントの検出) この薬理学的処理の後、その馴化培地を採集し、そして細胞溶解物を、100μlの冷SAPK溶解緩衝液(0.01% Nonidet P−40、20mM MOPS、5mM EDTAおよび75mM β−グリセロール、リン酸、プロテアーゼインヒビターカクテル(Boehringer Mannheim,Laval,QC))中に収集し、そしてプローブソニケーターを使用して、氷上で8秒間超音波処理した。各サンプルから、全タンパク質濃度を、ビシンコニン酸(bicinchonic acid)アッセイ(Pierce,Rockford,Il,USA)を使用して決定した。細胞APPレベルおよび分泌APPSαレベルを、抗APP N末端抗体(22C11、Boehringer Mannheim,Laval,QC)(Millsら、1997;Connopら、1999)およびモノクローナル6E10(Senetek Research,Maryland Heights,MO,USA)をそれぞれ使用して、10% Tris−グリシンSDS−PAGEウェスタンブロット分析によって定量した。C99を、モノクローナル抗体6E10(Senetek Research,Maryland Heights,MO,USA)を使用して、16.5% Tris−トリシンSDS−PAGEウェスタンブロット分析によって細胞溶解物から定量した。免疫反応性のバンドを、ECL検出(Amersham,Oakville,ON)を使用して可視化し、そして標準的デンシトメトリー技術によって分析した。
【0170】
(統計学的分析) 統計学的有意性を、Tukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。データを、平均±標準偏差として表す。p<0.05および**p<0.01であり、n=4である。
【0171】
(結果) 図4は、ウェスタンブロット分析により定量した、SM−4細胞からの細胞APPレベルに対するPPARαおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す。C99ウェスタンブロットデータの代表的顕微鏡写真が、対応するデンシトメトリー値とともに、上記される。データを、平均±標準偏差として表す。n=4である。統計学的有意性を、p<0.05および**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。
【0172】
図5は、ウェスタンブロット分析により定量した、SM−4細胞からのAPPSα放出に対するPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す。C99ウェスタンブロットデータの代表的顕微鏡写真を、対応するデンシトメトリー値とともに上記に示す。データを、平均±標準偏差として表す。n=4であり、統計学的有意性を、**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。
【0173】
図6は、ウェスタンブロット分析により定量した、SM−4細胞からのC99レベルに対するPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す。C99ウェスタンブロットデータの代表的顕微鏡写真を、対応するデンシトメトリー値とともに上記に示す。データを、平均±標準偏差として表す。n=4であり、統計学的有意性を、**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。
【0174】
(実施例5)
(ヒト神経芽細胞からのAβ−40/Aβ−42の産生および/または分泌に対するピリニキシン酸の効果)
(細胞株および薬理学的処理)
ヒト神経芽細胞(hDAT;SK−N−MC安定過剰発現ヒトドーパミントランスポーター)を、ピルビン酸ナトリウム(1mM)と10%ウシ胎仔血清とを補充したDMEM中に慣用的に維持した。細胞を、6ウェルプレート中に密度2.5×10細胞/ウェルで播種し、そしてリポフェクトアミンらのAbe−tす,ON)Aによって末梢投与する(Life Technologies,Rockville,Maryland)を製造業者が提唱したプロトコルに従って使用して、APPsw(スウェーデン変異体アミロイド前駆体タンパク質695)で一過性トランスフェクトした。その後、トランスフェクションの48時間後に、その細胞をPBSでリンスし、そしてビヒクル(0.1% DMSO)または無血清/無フェノールレッドDMEM中にある100〜200μMピリニキシン酸で24時間処理した。
【0175】
(Aβの検出および正規化)
この薬理学的処理の後、曝露培地を収集し、そして10%サンプル処理緩衝液(40mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、40mMトリエタノールアミン、0.1% Triton X−100、200mM NaCl、2mM EGTA、0.1%アジ化ナトリウム)を補充し、そして製造業者のプロトコル(Biosource International Inc,California)に従う比色ELISAによって、Aβ−40またはAβ−42のいずれかについてアッセイした。その細胞を、5μMヨウ化プロピジウム(Molecular Probes,Eugene,OR)を補充したPBS中の0.1% Triton X−100中に溶解し、そして37℃で30分間インキュベートした後に、蛍光を測定した。分泌Aβ−40レベルおよび分泌Aβ−42レベルを、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロピジウム蛍光に対して正規化した。
【0176】
(統計学的分析) データを、コントロールのパーセントとして表す。これは、平均±標準偏差を表す。n=11である。統計学的有意性を、***p<0.001でTukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。
【0177】
図7は、APPswで一過性トランスフェクトしたヒト神経芽細胞からのAβ−40/Aβ−42に対するPPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す。濃度200μMのピリニキシン酸は、Aβ−40を変化させることなく、Aβ−42を40%(p<0.001、n=11)選択的に減少させる。
【0178】
(実施例6)
(初代マウス皮質ニューロンからの全AβおよびAβ−42の産生および/または分泌に対する、ピリニキシン酸の効果)
(セムリキ森林ウイルス(SFV)ストック)
ヒトAPP695をコードするcDNAを、以前に記載された(Simonsら,J.Neurosci.16:899−908,1996;Tienariら,Embo.J.15:5218−29,1996)ように、pSFV−1のSmaI部位にクローニングした。PSFV−1/huAPP695構築物を、SpIで線状化し、そしてSP6ポリメラーゼを使用するランオフ(run−off)転写を実施して、mRNAを生成させた。APPとpSFVヘルパーとの転写混合物を、エレクトロポレーションによってBHK細胞中に同時トランスフェクトして、組換えSFVを得た(Olkkonenら,J.Neurosci.Res.35:445−51,1993)。BHK細胞を、5%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100mg/mlストレプトマイシンを補充した、DMEM/F12中で増殖させた。トランスフェクションの24時間後、感染性組換えSFVを含む培養上清を、収集した。アリコートを液体窒素中で瞬間凍結させ、そして使用するまで−70℃で保存した。
【0179】
(ニューロン培養物)
すべての実験を、確立された手順(Annaertら,J.Cell Biol.147:277−294,1999;Cupersら,J.Cell Biol.154:731−40,2001;De Strooperら,Nature 391:387−90,1998)に従って、E14胚由来のマウス初代皮質ニューロンに対して行った。簡単に述べると、14日齢のマウス胚の皮質を剖検し、ハンクス緩衝化塩溶液(HBSS,Gibco BRL,Rockville,MD)中に移し、そして37℃にて15分間トリプシン処理した。解離した細胞懸濁物を、ポリL−リジン(I mg/ml,Sigma,St.Louis,MO)コートしたディッシュ(Nucn,Naperville,IL)において、10%ウマ血清を補充した最小必須培地(MEM;Gibco BRL)中に慣用的にプレーティングし、そしてCOインキュベーターに移した。3時間後、培養培地を、B27補助物質(Gibco BRL)を含む無血清神経基礎培地で置換した。24時間後、シトシンアラビノシド(5μM)を各ディッシュに添加して、非ニューロン(神経膠)細胞増殖を妨げた。プレーティングの3〜4日間後、混合皮質ニューロン培養物を、薬物試験のために使用した。
【0180】
(セムリキ森林ウイルス感染)
皮質ニューロンを、漸増濃度のピリニキシン酸(ストック溶液:DMSO中400μM)とともにインキュベートした。まず、4mM化合物、20mM化合物、40mM化合物および200mM化合物を含む濃縮希釈系列を、DMSO中で調製した。これらの溶液各々から、2.5μlを、2mlの神経基礎培地中のニューロン培養物に添加して(1/800希釈物)、5μM、25μM、50μMおよび250μMの最終濃度を生じた。コントロールとして、2.5μlのDMSOを、1つのディッシュに添加した。
【0181】
37℃で一晩(16時間)のインキュベーションの後、その培地を1.2ml神経基礎培地で置換し、培養物を、組換えpSFV−humAPP695wt(1/10希釈物)を1時間添加してウイルスの侵入を可能にすることによって、形質導入した。ウイルス非存在下での2時間のインキュベーションの後、培養物を、100μCi[35S]−メチオニン(ICN)を含む無メチオニン神経基礎培地を使用して、代謝標識した。37℃で4時間の後、その馴化培地および細胞抽出物を収集し、そして遠心分離した(14,000rpm、15分間)。
【0182】
(馴化培地からの全Aβ検出およびAPP検出)
清澄化した画分を、プロテインG−Sepharose(Pharmacia)上で異なる抗体を用いる免疫沈降に供した。APPの最後の20アミノ酸を認識するPab B11(De Strooperら,Embo J.14:4932−8,1995)を、上記細胞抽出物に添加して、APPを免疫沈降した。全Aβを、pab B7を使用する(Aβの最初の17アミノ酸に対する)免疫沈降によって、清澄にした馴化培地から試験した(De Strooperら,Embo.J.14:4932−8,1995)。一晩回転させた後、その免疫沈降物を抽出緩衝液中で5回洗浄し、そしてTBS中で1回洗浄した。結合した物質をサンプル緩衝液中で改変させ、そしてAPPおよび全Aβについて、それぞれ、成形済みの10%または4〜12%のNupageゲル上でのゲル電気泳動に供した。デンシトメトリー分析を、ホスホイメージャー(Molecular Dynamics)およびImagQuant 5.0を使用して実施した。全Aβレベルを、プレート間の変動についてコントロールに対するAPPレベルに対して正規化した。
【0183】
(ELISAによるAβ−42の定量)
長い方のAβ−42ペプチドのレベルを、サンドウィッチELISA試験((De Strooperら,Nature 391:387−90,1998)およびInnogenetics,Ghent,Belgium)を使用しそして製造業者の指示に従って、馴化培地および細胞抽出物の両方において定量した(Vandersticheleら,Amyloid.7:245−58,2000もまた参照のこと)。要約すると、800μlの馴化培地または細胞抽出物を凍結乾燥し(Savant Speedvac濃縮機)、乾燥ペレットを400μlサンプル希釈物中に溶解し、そして捕捉抗Aβ−42モノクローナル抗体(mAb)21F12で予めコートした96ウェルELISAプレート上に適用した。この抗体は、Aβ−42配列の最後の2アミノ酸のみを認識する。洗浄後、そのウェルを、Aβの最初の7アミノ酸に対するビオチン標識モノクローナル抗体(mAb)3D6とともにインキュベートし、その後、ストレプトアビジン−HRPとともにインキュベートした。最後に、HRP基質を添加し、そして比色反応を、450nmフィルターを備えたVictor 2(Wallac)を使用して分光光度法により定量した。各実験について、Aβ−42についての二連の標準曲線を含めた。そのサンプル中のAβ−42濃度を、Aβ−42標準物非線形回帰式に基づき、Mathematica 4.1ソフトウェアパッケージ(Wolfram Research,Champaign,IL)を使用して、最終的に算出した。
【0184】
(統計学的分析)
データを、コントロールのパーセントとして表す。これは、平均±標準偏差を示し、n=6である。統計学的有意性を、**p<0.01および***p<0.001でTukeyの事後検定を用いるANOVAを使用して決定した。
【0185】
図8は、APP695に感染した初代マウス皮質ニューロンからの全AβレベルおよびAβ−42レベルに対する、PPARαアゴニストおよびPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す。Aβ−42における濃度依存性減少が、観察された。Aβ−42における20%の減少が、5μMピリニキシン酸にて観察された(p<0.01、n=6)。対照的に、細胞を250μMピリニキシン酸で処理するまで、全Aβに対する有意な効果は観察されなかった。このデータは、全Aβを変化させることなく、5〜50μMピリニキシン酸でのAβ−42の選択的減少を示す。
【0186】
本明細書中で言及されそして/または出願データシート中に列挙される、上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物(2001年6月12日出願の米国特許出願番号60/297,845および2001年7月31日出願の米国特許出願60/309,257号が挙げられるが、これらに限定されない)はすべて、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0187】
本発明の特定の実施形態が例示のために本明細書中に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが、上記から認識される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によって以外は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】図1は、SM−4細胞からのAβ−40およびAβ−42の産生および/または放出に対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸(pirinixic acid)の効果を示す、棒グラフである。細胞を、10〜500μMのピリニキシン酸で処理した。16時間後、その培養培地を採集し、そして細胞外Aβ−40レベルおよび細胞外Aβ−42レベルについて、ELISAによりアッセイした。細胞外Aβを、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロプリジウム蛍光に対して正規化した。データを、平均±標準偏差として表す。n=3〜13であり、統計学的有意性を、***p<0.001にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。二重斜線を付した棒は、Aβ−40レベルを示し、斜線を付した棒は、Aβ−42レベルを示す。
【図2】図2は、SM−4細胞由来のAβ−40およびAβ−42の細胞外レベルに対する、クロフィブレート(Clofibrate)の効果を示す、棒グラフである。細胞を、10〜500μMのクロフィブレートで処理した。16時間後、その培養培地を採集し、そして細胞外Aβ−40レベルおよび細胞外Aβ−42レベルについて、ELISAによりアッセイした。分泌されたAβを、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロプリジウム蛍光に対して正規化した。データを、平均±標準偏差として表す。n=5であり、統計学的有意性を、***p<0.001にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。二重斜線を付した棒は、Aβ−40レベルをビヒクルのパーセントとして示し、斜線を付した棒は、Aβ−42レベルをビヒクルのパーセントとして示す。
【図3】図3は、SM−4細胞由来のAβ−40およびAβ−42の細胞外レベルに対する、ETYAの効果を示す、棒グラフである。細胞を、5〜100μMのETYAで処理した。16時間後、その培養培地を採集し、そして細胞外Aβ−40レベルおよび細胞外Aβ−42レベルについて、ELISAによりアッセイした。分泌されたAβを、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロプリジウム蛍光に対して正規化した。データを、平均±標準偏差として表す。n=5であり、統計学的有意性を、p<0.05および**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。二重斜線を付した棒は、Aβ−40レベルをビヒクルのパーセントとして示し、斜線を付した棒は、Aβ−42レベルをビヒクルのパーセントとして示す。
【図4】図4は、SM−4細胞由来の細胞APPレベルに対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す、代表的顕微鏡写真(上側の図)および棒グラフ(下側の図)である。細胞を、50〜500μMのピリニキシン酸で16時間処理し、細胞APPを、ウェスタンブロット分析によって定量した。データを、平均±標準偏差として表す。n=4であり、統計学的有意性を、p<0.05および**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定した。
【図5】図5は、SM−4細胞からのAPPSα放出に対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す、代表的顕微鏡写真(上側の図)および棒グラフ(下側の図)である。細胞を、50〜500μMのピリニキシン酸で16時間処理し、APPSα放出を、ウェスタンブロット分析によって定量した。データを、平均±標準偏差として表す。n=4であり、統計学的有意性を、**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。
【図6】図6は、SM−4細胞からのC99レベルに対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す、代表的顕微鏡写真(上側の図)および棒グラフ(下側の図)である。細胞を、50〜500μMのピリニキシン酸で16時間処理し、C99を、ウェスタンブロット分析によって定量した。データを、平均±標準偏差として表す。n=4であり、統計学的有意性を、**p<0.01にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定した。
【図7】図7は、ヒト神経芽細胞から分泌されたAβ−40およびAβ−42に対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す、棒グラフである。細胞を、スウェーデン変異体APPによる一過性トランスフェクションの後に、100〜200μMのピリニキシン酸で処理した。16時間の処理後、その培養培地を採集し、そして(方法および材料)において記載されるように、Aβ−40およびAβ−42についてELISAによりアッセイした。分泌されたAβを、全細胞数の尺度としてのヨウ化プロプリジウム蛍光に対して正規化した。データを、平均±標準偏差として表す。n=11であり、統計学的有意性を、***p<0.001にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。
【図8】図8は、APP695に感染したマウス初代皮質ニューロン由来の全AβおよびAβ−42に対する、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであるピリニキシン酸の効果を示す、棒グラフである。細胞を、5〜250μMのピリニキシン酸で16時間処理し、全AβレベルおよびAβ−42レベルを、それぞれ、免疫沈降およびELISAによって定量した。データを、平均±標準偏差として表す。n=6であり、統計学的有意性を、**p<0.01および***p<0.001にてTukeyの事後検定を用いてANOVAにより決定する。

Claims (48)

  1. 次式:
    Figure 2005501817
    の化合物であって、
    ここで、各出現例において別個に、
    は、少なくとも4個の炭素を有する有機部分である;
    Zは、−O−、−NH−NH−および−N(R)−から選択される;
    は、水素およびC〜C30有機部分から選択され、但し、RおよびRは、それらが共に結合する窒素と一緒になって、複素環式部分を形成し得る;
    およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、低級アルキルラジカルおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;
    、R、R、RおよびRは、それぞれ別個に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される;
    10は、結合であるか、または直鎖アルキレン鎖もしくは分枝アルキレン鎖または直鎖アルケニレン鎖もしくは分枝アルケニレン鎖である;
    11は、水素、アルキルまたはアラルキルである;そして
    12は、別個に、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される;
    但し、RがClであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、Rがメチルであり、そしてRがメチルのとき、Zは、NRではない、
    化合物。
  2. Zが、−O−であり、そしてRが、30個未満の炭素および1,000未満の式量を有する有機基である、請求項1に記載の化合物。
  3. Zが、−N(H)−であり、そしてRが、30個未満の炭素および1,000未満の式量を有する有機基である、請求項1に記載の化合物。
  4. Zが、−N(R)−であり、そしてRが、30個未満の炭素および1,000未満の式量を有する有機基である、請求項1に記載の化合物。
  5. が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  6. が、16個と26個との間の炭素原子を含有する直鎖炭化水素部分であり、ここで、該部分は、C16:0;C16:1;C16:2;C20:1;C20:2;C20:3;C20:4;C22:4;C22:5;C22:6およびC24:4からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  7. が、インスリンのフラグメントであり、ここで、該インスリンフラグメントは、インスリンレセプターと結合する、請求項1に記載の化合物。
  8. 前記インスリンフラグメントが、
    (a)インスリン鎖AのN末端に由来の14個〜21個のアミノ酸残基を有するペプチド鎖;および
    (b)インスリン鎖BのN末端に由来の16個〜22個のアミノ酸残基を有する他のペプチド鎖からなる、請求項7に記載の化合物。
  9. が、トランスフェリンレセプターに結合するタンパク質である、請求項1に記載の化合物。
  10. が、脳内でリガンドに結合可能な抗体または抗体フラグメントである、請求項1に記載の化合物。
  11. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項10に記載の化合物。
  12. が、成長因子である、請求項1に記載の化合物。
  13. 前記成長因子が、EGFである、請求項12に記載の化合物。
  14. 、R、R、RおよびRの各々が、別個に、水素、ハロゲン、低級アルキルラジカルおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  15. 請求項1に記載の化合物であって、Zが−O−のときにRが水素でありそしてZが−N(R)−のときにRおよびRの両方が水素である対応する化合物と比べて増大した血液脳関門の透過を有する、化合物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含有する、組成物。
  17. 次式:
    Figure 2005501817
    の化合物であって、
    ここで、
    は、疎水性部分であり、該疎水性部分は、少なくとも10個の炭素原子を有する非芳香族有機部分および少なくとも6個の炭素を有する芳香族部分から選択され、そしてRは、水素であるか;あるいは
    およびRの各々は、少なくとも1個の炭素原子を有する疎水性有機部分から選択され、但し、RおよびRは、全体で、少なくとも6個の炭素原子を有し、さらに但し、RおよびRは、それらが結合する窒素と一緒になって、複素環式部分を形成し得る、
    化合物。
  18. 請求項17に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含有する、組成物。
  19. 化合物であって、
    (1)PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストであり、かつ
    (2)細胞におけるβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する、
    化合物。
  20. 次式:
    Figure 2005501817
    を有する、請求項19に記載の化合物であって、
    ここで、
    は、少なくとも4個の炭素を有する有機部分である;
    13およびR14は、それぞれ別個に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される;
    10は、結合であるか、または直鎖アルキレン鎖または分枝アルキレン鎖または直鎖アルケニレン鎖または分枝アルケニレン鎖である;
    11は、水素、アルキルまたはアラルキルである;そして
    12は、別個に、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される;そして
    nは、1、2または3である、
    化合物。
  21. 13が、
    Figure 2005501817
    から選択され、そしてR14が、
    Figure 2005501817
    から選択される、請求項20に記載の化合物。
  22. 次式:
    Figure 2005501817
    を有し、
    ここで、nが、2である、請求項20に記載の化合物。
  23. 次式:
    Figure 2005501817
    を有し、
    ここで、nが、3である、請求項20に記載の化合物。
  24. が、30個未満の炭素および1,000未満の式量を有する有機基である、請求項20に記載の化合物。
  25. が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される、請求項20に記載の化合物。
  26. が、16個と26個との間の炭素原子を含有する直鎖炭化水素部分であり、ここで、該部分は、C16:0;C16:1;C16:2;C20:1;C20:2;C20:3;C20:4;C22:4;C22:5;C22:6およびC24:4からなる群から選択される、請求項20に記載の化合物。
  27. が、インスリンのフラグメントであり、ここで、該インスリンフラグメントは、インスリンレセプターと結合する、請求項20に記載の化合物。
  28. 前記インスリンフラグメントが、
    (a)インスリン鎖AのN末端に由来の14個〜21個のアミノ酸残基を有するペプチド鎖;および
    (b)インスリン鎖BのN末端に由来の16個〜22個のアミノ酸残基を有する他のペプチド鎖からなる、請求項27に記載の化合物。
  29. が、トランスフェリンレセプターに結合するタンパク質である、請求項20に記載の化合物。
  30. が、脳内でリガンドに結合可能である抗体または抗体フラグメントである、請求項20に記載の化合物。
  31. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項30に記載の化合物。
  32. が、成長因子である、請求項20に記載の化合物。
  33. 前記成長因子が、EGFである、請求項32に記載の化合物。
  34. 請求項20に記載の化合物であって、Rが水素である対応する化合物と比べて増大した血液脳関門の透過を有する、化合物。
  35. 請求項19〜34のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含有する、組成物。
  36. 細胞においてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する方法であって、該細胞を、請求項1〜15、17または19〜34のいずれか1項に記載の化合物または請求項16、18および35のいずれか1項に記載の組成物で処理する工程を包含する、方法。
  37. 細胞でのβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する方法であって、該細胞を、次式:
    Figure 2005501817
    の化合物で処理する工程を包含する、方法であって、
    ここで、各出現例において別個に、
    15およびR17は、それぞれ別個に、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;
    16は、水素、ハロゲンおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;
    Wは、ヒドロキシ、低級アルコキシ、−OMおよび−(NH)NHラジカルからなる群から選択され、ここで、pは、0または1であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである;
    mは、0、1、2または3である;
    Yは、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカル;
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    18は、水素または低級アルキルラジカルである;
    19は、水素、HN−、
    Figure 2005501817
    、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシ−フェニルであり、但し、R18が水素であり、そしてR19が、水素、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるとき、R16は、ハロまたは低級アルコキシである;
    20は、低級アルキルラジカル、ハロラジカル、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカルおよび6個〜10個の炭素原子を有するハロアリールラジカルからなる群から選択される;
    21は、水素、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロラジカルからなる群から選択される;
    22は、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;そして
    Eは、
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    23は、水素または低級アルキルである;
    24は、水素または低級アルキルである;そして
    qは、0〜3の整数である、
    方法。
  38. 前記細胞が、脳細胞である、請求項36または37に記載の方法。
  39. 前記β−アミロイドが、β−アミロイド−42である、請求項36または37に記載の方法。
  40. β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要なヒトにおいてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法であって、該ヒトに、請求項1〜15、17または19〜34のいずれか1項に記載の化合物または請求項16、18および35のいずれか1項に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
  41. β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要なヒトにおいてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法であって、該ヒトに、次式:
    Figure 2005501817
    の化合物を投与する工程を包含する、方法であって:
    ここで、各出現例において別個に、
    15およびR17は、それぞれ別個に、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;
    16は、水素、ハロゲンおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;
    Wは、ヒドロキシ、低級アルコキシ、−OMおよび−(NH)NHラジカルからなる群から選択され、ここで、pは、0または1であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである;
    mは、0、1、2または3である;
    Yは、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカル;
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    18は、水素または低級アルキルラジカルである;
    19は、水素、HN−、
    Figure 2005501817
    、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシ−フェニルであり、但し、R18が水素であり、そしてR19が、水素、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるとき、R16は、ハロまたは低級アルコキシである;
    20は、低級アルキルラジカル、ハロラジカル、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカルおよび6個〜10個の炭素原子を有するハロアリールラジカルからなる群から選択される;
    21は、水素、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロラジカルからなる群から選択される;
    22は、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;そして
    Eは、
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    23は、水素または低級アルキルである;
    24は、水素または低級アルキルである;そして
    qは、0〜3の整数である、
    方法。
  42. β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要なヒトにおいてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法であって、該ヒトに、次式:
    Figure 2005501817
    の化合物を投与する工程を包含する、方法であって:
    ここで、
    は、C〜Cアルキル、水素、金属カチオン、およびアンモニウムカチオンからなる群から選択される;
    13およびR14は、それぞれ別個に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、−R10−N=N−O−R11、−OR12、−C(O)OR12、−N(R12、−C(O)N(R12、−N(R12)C(O)OR11、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される;
    10は、結合であるか、または直鎖アルキレン鎖もしくは分枝アルキレン鎖または直鎖アルケニレン鎖もしくは分枝アルケニレン鎖である;
    11は、水素、アルキルまたはアラルキルである;
    12は、別個に、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルからなる群から選択される;そして
    nは、1、2または3である、
    方法
  43. 前記ヒトが、アルツハイマー病に冒されている、請求項40〜42に記載の方法。
  44. 前記ヒトが、頭部外傷を受けている、請求項40〜42に記載の方法。
  45. 前記ヒトが、該ヒトがアルツハイマー病を発症する可能性を高める遺伝子的疾病素質または環境暴露を有する、請求項40〜42に記載の方法。
  46. 前記ヒトが、初期アルツハイマー病を示唆する最小認知障害を示す、請求項40〜42に記載の方法。
  47. β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要な非ヒト哺乳動物においてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法であって、該非ヒト哺乳動物に、請求項1〜15、17または19〜34のいずれか1項に記載の化合物または請求項16、18および35のいずれか1項に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
  48. β−アミロイドの産生および/または放出を調節することを包含する処置が必要な非ヒト哺乳動物においてβ−アミロイドの産生および/または放出を調節する工程を包含する処置方法であって、該非ヒト哺乳動物に、次式:
    Figure 2005501817
    の化合物を投与する工程を包含する、方法であって、
    ここで、各出現例において別個に、
    15およびR17は、それぞれ別個に、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;
    16は、水素、ハロゲンおよび低級アルコキシラジカルからなる群から選択される;
    Wは、ヒドロキシ、低級アルコキシ、−OMおよび−(NH)NHラジカルからなる群から選択され、ここで、pは、0または1であり、そしてMは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである;
    mは、0、1、2または3である;
    Yは、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカル;
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    18は、水素または低級アルキルラジカルである;
    19は、水素、HN−、
    Figure 2005501817
    、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシ−フェニルであり、但し、R18が水素であり、そしてR19が、水素、フェニル、(低級)アルコキシフェニルまたはジ(低級)アルコキシフェニルであるとき、R16は、ハロまたは低級アルコキシである;
    20は、低級アルキルラジカル、ハロラジカル、6個〜10個の炭素原子を有するアリールラジカルおよび6個〜10個の炭素原子を有するハロアリールラジカルからなる群から選択される;
    21は、水素、低級アルキル、低級アルコキシおよびハロラジカルからなる群から選択される;
    22は、水素および低級アルキルラジカルからなる群から選択される;そして
    Eは、
    Figure 2005501817
    からなる群から選択される;
    ここで、
    23は、水素または低級アルキルである;
    24は、水素または低級アルキルである;そして
    qは、0〜3の整数である、
    方法。
JP2003503604A 2001-06-12 2002-06-12 β−アミロイド産生を調節する化合物、組成物および方法 Withdrawn JP2005501817A (ja)

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