JP2005353710A - 熱電素子モジュール及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の熱電素子モジュールがもつ問題点を解消し、熱効率に優れ、熱電素子モジュールの強度を向上することができると共に、良好な絶縁信頼性と接続信頼性を維持でき、小型化や量産性が向上し製造が容易である高性能の熱電素子モジュール及びその製法を提供する。
【解決手段】2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールにおいて、
各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュール及びその製法などを提供した。
【選択図】図2
【解決手段】2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールにおいて、
各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュール及びその製法などを提供した。
【選択図】図2
Description
本発明は、多数の熱電素子を配列させた熱電素子モジュール及びその製法に関し、さらに詳しくは、機械的強度や熱履歴に優れ、信頼性の高い、ゼーベック効果を利用する発電用モジュールとしても、或いはペルチェ効果を利用する冷却又は加熱用モジュールとしても用い得る熱電素子モジュール及びその製法に関する。
従来から、複数枚の基板を対向して配置すると共に、該対向する複数枚の各基板の対向面にそれぞれ導電性の金属電極を接合し、且つ該金属電極を介して複数のn型及びp型の熱電半導体素子を互に隣り合せて配設してなる熱電素子モジュールは広く知られており、多方面にわたり利用されている。
これらの熱電素子モジュールは、例えば、ゼーベック効果、すなわちn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子を直列に接続し、該接続部を高温側端部として高温に保持し、該高温側端部と反対側のn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子の各脚部を低温側端部として低温に保持して、該高温側端部と該低温側端部の問に温度差をつけたときに起電力が発生する原理を利用し、発電用熱電素子モジュールとして利用されたり、或いは、ペルチェ効果、すなわちn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子を直列に接続し、該接続部とは反対側のn型熱電半導体素子の脚部にプラス電圧を、p型熱電半導体素子の脚部にはマイナス電圧をそれぞれ掛け、n型熱電半導体素子からp型熱電半導体素子へ電流を流すと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の接合部で熱が吸収され、n型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子の各脚部に熱が発生され、逆に、p型熱電半導体素子からn型熱電半導体素子へ電流を流すと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の接合部に熱が発生され、n型半導体及びp型半導体の各脚部で熱が吸収される原理を利用し、冷却又は加熱用熱電素子モジュールとして利用されている。
これらの熱電素子モジュールは、例えば、ゼーベック効果、すなわちn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子を直列に接続し、該接続部を高温側端部として高温に保持し、該高温側端部と反対側のn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子の各脚部を低温側端部として低温に保持して、該高温側端部と該低温側端部の問に温度差をつけたときに起電力が発生する原理を利用し、発電用熱電素子モジュールとして利用されたり、或いは、ペルチェ効果、すなわちn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子を直列に接続し、該接続部とは反対側のn型熱電半導体素子の脚部にプラス電圧を、p型熱電半導体素子の脚部にはマイナス電圧をそれぞれ掛け、n型熱電半導体素子からp型熱電半導体素子へ電流を流すと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の接合部で熱が吸収され、n型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子の各脚部に熱が発生され、逆に、p型熱電半導体素子からn型熱電半導体素子へ電流を流すと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の接合部に熱が発生され、n型半導体及びp型半導体の各脚部で熱が吸収される原理を利用し、冷却又は加熱用熱電素子モジュールとして利用されている。
従来のこれら熱電素子モジュールには、1段モジュール或いは多段モジュールがあるが、対向して配置される基板が2枚である1段モジュールの場合の基本的構造は、図4に模式的断面図として示したような構造である。すなわち、熱電素子モジュールAは、対向する2枚の基板1、1′の対向面2、2′にそれぞれ金属電極4、4′が接合されており、これらの金属電極4、4′を介して複数のn型熱電半導体素子5及びp型熱電半導体素子6が交互に接続されて構成されている。図4において図示を省略したが、一般に、金属電極4、4′は、基板1、1′に例えば接着剤等の接合手段で接合されており、またn型熱電半導体素子5及びp型熱電半導体素子6は、金属電極4、4′に、例えばはんだ層等の接合手段で接合されている。また、同様に図4において図示を省略したが、基板1、1′の外面3、3′には、一般に、加熱手段、冷却手段或いは被冷却物等の部品ないし設備が接合されている。すなわち、当該熱電素子モジュールがゼーベック効果を利用する発電用熱電素子モジュールとして用いられる場合であって、基板1の対向面2側がn型熱電半導体素子5とp型熱電半導体素子6の各脚部の低温側端部側であり、基板1′の対向面2′側がn型熱電半導体素子5とp型熱電半導体素子6の接合部の高温側端部側であるとすれば、基板1の外面3には、例えば放熱フィン等の上記各脚部の低温側端部を低温に保持するための冷却手段が接合され、一方基板1′の外面3′には、例えば受熱フィン等の上記接続部の高温側端部を高温に保持するための加熱手段が接合される。また、当該熱電素子モジュールがペルチェ効果を利用する例えば冷却用熱電素子モジュールとして利用される場合であって、電流がp型熱電半導体素子6からn型熱電半導体素子5へ流され、基板1の対向面2側がn型熱電半導体素子5とp型熱電半導体素子6の各脚部の吸熱側端部側であり、基板1′の対向面2′側がn型熱電半導体素子5とp型熱電半導体素子6の接合部の発熱側端部側であるとすれば、基板1の外面3には、上記各脚部の吸熱側端部により冷却する被冷却物が接合され、一方基板1′の外面3′には、例えば放熱フィン等の上記接続部の発熱側端部の熱を放熱するための冷却手段が接合されている。
こうした熱電素子モジュールにおいては、一般に、基板として、セラミック板が用いられている。しかし、この基板としてセラミック板を用いた従来の熱電素子モジュールにおいては、セラミック板は、熱伝導性が劣るので、熱効率や冷却効率が悪いという問題がある。すなわち、ゼーベック効果を利用する発電用熱電素子モジュールとして用いる場合は、高温側端部を高温保持するための加熱も、低温側端部を低温保持するための冷却も熱伝導性が劣るセラミック基板を通して行うこととなり、必然的に熱効率や冷却効率は低下する。また、ペルチェ効果を利用する冷却又は加熱用熱電素子モジュールとして用いる場合も、吸熱側端部による被冷却物の冷却も、発熱側端部による被加熱物の加熱も、熱伝導性が劣るセラミック基板を通して行うこととなるために、必然的に熱効率や冷却効率は低下する。
また、熱電素子の上下をセラミック板で固定しているために、熱電素子モジュールの構造が剛体構造となって、熱電素子が壊れやすいという問題がある。
さらに、従来の熱電素子モジュールにおいて、熱電素子として用いるp型熱電半導体素子及びn型熱電半導体素子は、脆性材料であるために、熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合や、熱電素子モジュール使用時に、熱電素子に熱応力が加わった場合には、熱電素子が破壊されて、割れや欠けが生じる恐れがある。また、これらの熱電素子は、耐湿性に劣り、結露・融解を繰り返す間や高湿度の雰囲気下において、熱電素子が腐食し、素子性能が劣化する恐れもあった。例えば、ゼーベック係数に優れると発表されたランタノイド硫化物系の熱電素子の場合には、その硫黄成分により、硫酸成分の如き腐食性物質が副生される可能性なども考えられ、耐湿対策も必要であった。
また、熱電素子の上下をセラミック板で固定しているために、熱電素子モジュールの構造が剛体構造となって、熱電素子が壊れやすいという問題がある。
さらに、従来の熱電素子モジュールにおいて、熱電素子として用いるp型熱電半導体素子及びn型熱電半導体素子は、脆性材料であるために、熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合や、熱電素子モジュール使用時に、熱電素子に熱応力が加わった場合には、熱電素子が破壊されて、割れや欠けが生じる恐れがある。また、これらの熱電素子は、耐湿性に劣り、結露・融解を繰り返す間や高湿度の雰囲気下において、熱電素子が腐食し、素子性能が劣化する恐れもあった。例えば、ゼーベック係数に優れると発表されたランタノイド硫化物系の熱電素子の場合には、その硫黄成分により、硫酸成分の如き腐食性物質が副生される可能性なども考えられ、耐湿対策も必要であった。
従来の熱電素子モジュールが持つ問題点などを解決するために、これまで種々のものが提案されおり、例えば、セラミック基板と電極との接合材を熱硬化性樹脂にして、熱応力を吸収してサーモモジュールの耐久性を向上したもの(特許文献1参照。)が、保護板や固定部材を配置して、熱応力による破壊及び変形の発生を防止したもの(特許文献2参照。)が、熱電素子の電極との接合面以外の面に、ポリイミド蒸着重合膜からなる絶縁材による被膜を施し、熱電モジュールの強度を向上し信頼性が向上するもの(特許文献3参照。)が、スケルトン構造を有する熱電素子であって、仕切板に保持された熱電素子構造にすることにより、冷却効率の低下を防止すると共に、熱電素子の長寿命化を図ったもの(例えば、特許文献4、5参照。)などが開示されている。
しかし、これらの提案にも拘わらず、従来の熱電素子モジュールが持つ問題点などを解決し、熱効率や冷却効率に優れ、機械的強度や熱履歴などへの信頼性が向上した熱電素子モジュールは、少なく、十分に満足できなかった。
しかし、これらの提案にも拘わらず、従来の熱電素子モジュールが持つ問題点などを解決し、熱効率や冷却効率に優れ、機械的強度や熱履歴などへの信頼性が向上した熱電素子モジュールは、少なく、十分に満足できなかった。
また、本発明者も、各熱電半導体素子の間、又は各熱電半導体素子の間及び基板と金属電極との間に生じた空隙に、電気絶縁性及び断熱性を有する熱硬化樹脂、無機質物質、又は発泡体から選ばれる少なくとも1種の充填材を充填することを特徴とする熱電素子モジュール(特許文献6参照。)や、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面と接合してなる熱電素子モジュールにおいて、熱電半導体素子を行及び列においてそれぞれ複数ずつ配列するにあたり、プレート材により行方向位置を規律された熱電半導体素子が、該プレート材が列方向に重ね合わされることにより列方向位置も規律されて、熱電半導体素子を行列状に配設拘束してなることを特徴とするもの(特許文献7参照。)を提案した。
しかしながら、従来、電極とビスマス・テルル系の熱電半導体素子の接合には、はんだの拡散を防止するために、熱電半導体素子の接合部分にニッケルメッキが施されていたが、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションによる絶縁信頼性の低下の問題があった。また、はんだの代わりに導電性接着剤を用いる方法も検討されたが、導電性接着剤の導電性フィラーとして典型的に用いられる銀は、溶出を起こしやすい性質を有しており、同様にイオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題を発生させやすい。さらに、近年の電子機器の更なる小型軽量化に伴ない、電子部品などに設けられる電極ピッチが狭くなってきており、ますますイオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションが発生しやすい状況になりつつある。そのため、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題解決は、不可欠である。
特開平5−275754号公報(特許請求の範囲等)
特開平11−307825号公報(特許請求の範囲等)
特開2000−164942号公報(特許請求の範囲等)
特開平10−178216号公報(特許請求の範囲等)
特開2000−58930号公報(特許請求の範囲等)
特開2003−8087号公報(特許請求の範囲等)
特開2003−86850号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、従来、電極とビスマス・テルル系の熱電半導体素子の接合には、はんだの拡散を防止するために、熱電半導体素子の接合部分にニッケルメッキが施されていたが、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションによる絶縁信頼性の低下の問題があった。また、はんだの代わりに導電性接着剤を用いる方法も検討されたが、導電性接着剤の導電性フィラーとして典型的に用いられる銀は、溶出を起こしやすい性質を有しており、同様にイオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題を発生させやすい。さらに、近年の電子機器の更なる小型軽量化に伴ない、電子部品などに設けられる電極ピッチが狭くなってきており、ますますイオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションが発生しやすい状況になりつつある。そのため、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題解決は、不可欠である。
本発明の目的は、上記熱電素子モジュールの取り巻く状況に鑑み、従来の熱電素子モジュールがもつ問題点を解消し、熱効率に優れ、熱電素子モジュールの強度を向上することができると共に、良好な絶縁信頼性と接続信頼性を維持でき、小型化や量産性が向上し製造が容易である高性能の熱電素子モジュール及びその製法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に対し鋭意研究を重ねた結果、熱電素子モジュールを構成するに当たり、熱電素子ユニットの作製については、前記特許文献6や7の方法で作製したものを用い、すなわち複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面と接合してなる熱電素子モジュールの製造方法において、行方向位置を規律可能なプレート材上に所定数の熱電半導体素子を配置する素子配置工程と、熱電半導体素子が行方向位置を規律されて配置されたプレート材を複数、列方向に重ね合わせて接合するプレート材重合工程と、これらの工程によりプレート材間に行列状に配設拘束された熱電半導体素子の各端面を、基板に形成した電極のそれぞれに対向面に接合する素子電極接合工程とを含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法で作製し、熱電素子として用いるn型及びp型の各熱電半導体素子の間に生じた空隙は、電気絶縁性及び断熱性を有する熱硬化樹脂などからなるプレート材などで充填されることにより、熱電半導体素子がプレート材に拘束され、その結果、熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合でも、熱電素子が破壊されず、信頼性や耐久性が向上することができるものを用い、本発明では、さらに、熱電素子のモジュール化について、前記熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面にマイグレーション防止導電皮膜層を形成させ、また、電極及び接合面には、導電性接着剤を用い、そして、二つの基板とその間に熱電素子ユニットを挟み、それらを一体成形することにより、熱電素子をモジュール化すると、本発明の目的を達成できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールにおいて、
各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに、導電性接着剤層を積層することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、電極は、各基板上に導電性接着剤層を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面と電極面の対応する導電性接着剤層同士を一体化することにより熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに、導電性接着剤層を積層することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、電極は、各基板上に導電性接着剤層を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面と電極面の対応する導電性接着剤層同士を一体化することにより熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、基板は、予め電気絶縁層が積層された炭素質基板であることを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、マイグレーション防止導電皮膜層は、粒径が5〜10nmの超微粒子金又はニッケルペーストで形成されることを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第2又は3の発明において、導電性接着剤層は、高導電性銀ペーストで形成されることを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、マイグレーション防止導電皮膜層は、粒径が5〜10nmの超微粒子金又はニッケルペーストで形成されることを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第2又は3の発明において、導電性接着剤層は、高導電性銀ペーストで形成されることを特徴とする熱電素子モジュールが提供される。
一方、本発明の第7の発明によれば、2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を樹脂材料にて行列状に拘束配設された熱電素子ユニットを作製し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールの製造方法において、
予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上にマイグレーション防止導電皮膜層を形成するマイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)を含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、さらに、導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成工程(B)を含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、さらに、各基板上に導電性接着剤を塗布して電極を形成する電極形成工程(C)と、上記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する素子電極接合工程(D)とを、含むことを特徴とする記載の熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上にマイグレーション防止導電皮膜層を形成するマイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)を含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、さらに、導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成工程(B)を含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、さらに、各基板上に導電性接着剤を塗布して電極を形成する電極形成工程(C)と、上記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する素子電極接合工程(D)とを、含むことを特徴とする記載の熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第7の発明において、マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)は、予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上に、インクジェットプリンターにより粒径が5〜10nmの超微粒子金又はニッケルペーストを塗布し、乾燥後、大気中で250〜300℃で10〜20分間、焼成することを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第8の発明において、導電性接着剤層形成工程(B)は、前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により厚さが70μmの導電性接着剤層を積層し、150℃で30分間、硬化させることを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第8の発明において、導電性接着剤層形成工程(B)は、前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により厚さが70μmの導電性接着剤層を積層し、150℃で30分間、硬化させることを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第9の発明において、電極形成工程(C)は、予め電気絶縁層が積層された二つの炭素質基板上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により厚さが70μmの導電性接着剤層を塗布することを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第13の発明によれば、第9の発明において、素子電極接合工程(D)は、150℃で30分間熱圧縮(ヒートプレス)することにより、行うことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第13の発明によれば、第9の発明において、素子電極接合工程(D)は、150℃で30分間熱圧縮(ヒートプレス)することにより、行うことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法が提供される。
本発明は、上記した如く、2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールにおいて、各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュールなどに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、前記マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに、ハンダを積層することを特徴とする熱電素子モジュール、すなわち、第2の発明において、導電性接着剤層の替わりに、ハンダを用いることを特徴とする熱電素子モジュール。
(2)第2の発明において、電極は、導電性の金属を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面のマイグレーション防止導電皮膜層と導電性接着剤層により熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュール。
(3)上記(1)の発明において、電極は、導電性の金属を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面のマイグレーション防止導電皮膜層とハンダにより熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュール。
(4)第4の発明において、炭素質基板は、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂)により含浸されていることを特徴とする熱電素子モジュール。
(5)第4の発明において、電気絶縁層は、エポキシ樹脂により形成されることを特徴とする熱電素子モジュール。
(1)第1の発明において、前記マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに、ハンダを積層することを特徴とする熱電素子モジュール、すなわち、第2の発明において、導電性接着剤層の替わりに、ハンダを用いることを特徴とする熱電素子モジュール。
(2)第2の発明において、電極は、導電性の金属を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面のマイグレーション防止導電皮膜層と導電性接着剤層により熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュール。
(3)上記(1)の発明において、電極は、導電性の金属を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面のマイグレーション防止導電皮膜層とハンダにより熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする熱電素子モジュール。
(4)第4の発明において、炭素質基板は、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂)により含浸されていることを特徴とする熱電素子モジュール。
(5)第4の発明において、電気絶縁層は、エポキシ樹脂により形成されることを特徴とする熱電素子モジュール。
本発明によれば、熱効率に優れ、且つ熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合でも、熱電素子が破壊されず、さらに、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションを防止でき、信頼性が高い、高性能の熱電素子モジュールが提供される。本発明の熱電素子モジュールは、熱効率が良く、かつ信頼性が高くて、ゼーベック効果を利用する発電用としても、或いはペルチェ効果を利用する冷却又は加熱用としても機能することができ、種々の分野において有用である。
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
1.基板
本発明の熱電素子モジュールに用いる基板としては、従来使用されていたセラミック基板、アルミナ基板、ガラスエポキシ基板や、炭素質基板が用いられ、中でも炭素質基板が好ましい。その好ましい炭素質基板としては、一般に、炭素繊維を補強材とし、炭素をマトリックスとする炭素繊維強化炭素複合材料、或いは等方性高密度炭素材料などの炭素質材料からなる板状物が用いられる。この炭素質基板の厚さは、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、強度やコストの点から0.3〜5mmが適当である。
1.基板
本発明の熱電素子モジュールに用いる基板としては、従来使用されていたセラミック基板、アルミナ基板、ガラスエポキシ基板や、炭素質基板が用いられ、中でも炭素質基板が好ましい。その好ましい炭素質基板としては、一般に、炭素繊維を補強材とし、炭素をマトリックスとする炭素繊維強化炭素複合材料、或いは等方性高密度炭素材料などの炭素質材料からなる板状物が用いられる。この炭素質基板の厚さは、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、強度やコストの点から0.3〜5mmが適当である。
上記炭素質基板に用いる炭素繊維強化炭素複合材料としては、従来から知られた種々の炭素繊維強化炭素複合材料を、適宜選択して用いることができる。炭素繊維強化炭素複合材料には、一般に、炭素繊維の配列の仕方に種々あり、炭素繊維を一方向にそろえて配列して束にした1次配向のもの、炭素繊維を平織、綾織、朱子織等の織布にした2次配向のもの、炭素繊維をいわゆる立体織した3次配向のものなどがあり、また炭素繊維をフェルトや短繊維にして用いたものなどがある。
本発明においては、種々の炭素繊維の配列の仕方のものを、適宜選択して用いることができる。また、炭素繊維強化炭素複合材料は、一般に、上記各種の配向の仕方の炭素繊維集合体に、フェノール樹脂などのような熱硬化性樹脂、或いは石油ピッチなどのようなピッチ等のマトリックス材を含浸させてプリプレグを調製し、かかるプリプレグを、必要に応じて複数枚積層して、加圧下に加熱してマトリックス材を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で高温焼成してマトリックス材を炭素化して製造される。また、炭素繊維が短繊維の場合は、一般に、マトリックス材に炭素繊維の短繊維を混合し、該混合物を所定形状に成形し、該成形物を加圧下に加熱してマトリックス材を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で高温焼成してマトリックス材を炭素化して、炭素繊維強化炭素複合材料が製造される。
炭素質基板に用いる炭素繊維強化炭素複合材料は、炭素質基板としての所定の厚さの板状に製造されたものでも良いし、或いはブロック状に製造された炭素繊維強化炭素複合材料から、それを炭素質基板としての所定の厚さの板状に切断して切り出されたものでも良い。また、上記各種炭素繊維強化炭素複合材料を構成する炭素繊維、炭素マトリックスは黒鉛化されていても差し支えない。
炭素質基板に用いる炭素繊維強化炭素複合材料は、炭素質基板としての所定の厚さの板状に製造されたものでも良いし、或いはブロック状に製造された炭素繊維強化炭素複合材料から、それを炭素質基板としての所定の厚さの板状に切断して切り出されたものでも良い。また、上記各種炭素繊維強化炭素複合材料を構成する炭素繊維、炭素マトリックスは黒鉛化されていても差し支えない。
上記各種炭素繊維強化炭素複合材料の中でも、炭素繊維が一方向にそろえて配列された1次配向の炭素繊維強化炭素複合材料のブロックから、それを該炭素繊維の配列方向に対して直角方向に所定の厚さの板状に切断して切り出されるような、炭素マトリックス中において厚さ方向に炭素繊維が配列してなる板状物が、特に厚さ方向への熱伝導性に優れているので、炭素質基板として好ましく用いられる。上記炭素繊維強化炭素複合材料のブロックからの板状物の切り出しは、ワイヤーソー、回転ダイヤモンドソー等のそれ自体公知の切断手段により行うことができる。
また、上記炭素質基板に用いる等方性高密度炭素材料としても、従来から知られた種々の等方性高密度炭素材料を、適宜選択して用いることができる。等方性高密度炭素材料は、一般に、生コークスやメソカーボンマイクロビーズ等の焼結性を有する黒鉛前駆体の微粒子を加圧成形しつつ高温で焼成することにより、或いは黒鉛微粒子やカーボンウイスカー粉体等を、ピッチや合成樹脂等の炭素前駆体からなるバインダーと混合して加圧成形、焼成することにより製造される。炭素質基板に用いる等方性高密度炭素材料は、炭素質基板としての所定の厚さの板状に製造されたものでも良いし、或いはブロック状に製造された等方性高密度炭素材料から、それを炭素質基板としての所定の厚さの板状に切断して切り出されたものでも良い。また、上記各種等方性高密度炭素材料は黒鉛化されていても差し支えない。
上記の炭素繊維強化炭素複合材料或いは等方性高密度炭素材料のいずれも、一般に、その製造過程に由来する微細孔を有していてポーラスである。そして、これらの材料の微細孔に無機コーティング剤或いは金属を含浸させ、非多孔質化することによって、当該材料の熱伝導性や機械的強度などが一層向上される。したがって、本発明では、必要に応じて、上記各炭素質材料を、その微細孔に無機コーティング剤或いは金属を含浸させて炭素質基板として用いることができ、基板の熱伝導性や機械的強度などを一層の向上させるという観点からは、そうすることが好ましい。
上記の各炭素質材料に含浸させる無機コーティング剤としては、液状であって炭素質材料の微細孔に含浸させることができ、含浸後に硬化して炭素質材料を非多孔質化する無機質硬化物を形成する各種無機コーティング剤を適宜選択して用いることができる。その例として、常温或いは加熱下に架橋反応が進行してセラミック様の硬化物を形成する無機のケイ素含有ポリマー、アルミナセメントのようなセメント、水ガラス類等を含有する無機系バインダーなどが挙げられる。これらの無機コーティング剤は、その含浸性を高めるために、有機溶媒で希釈することができる。また、上記無機コーティング剤のなお一層具体的な例を挙げれば、ケイ素含有ポリマーを形成するHEATLESS GLASS GAシリーズ(商品名:ホーマーテクノロジー社製)、ポリシラザン類(ペルヒドロポリシラザン)であるポリシラザン(商品名:クラリアント社製)、無機バインダーであるレッドプルーフ MR−100シリーズ(商品名:熱研社製)等が挙げられる。
炭素質材料の微細孔に無機コーティング剤を含浸させる方法としては、炭素質材料に無機コーティング剤を刷毛等により塗布する方法、炭素質材料を無機コーティング剤中に浸漬する方法、高圧にて炭素質材料に無機コーティング剤を圧入する方法、高真空にて炭素質材料に無機コーティング剤を吸入する方法等が挙げられる。炭素質材料に含浸された無機コーティング剤は、硬化される。この際、無機コーティング剤の硬化条件は、用いた無機コーティング剤の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば無機コーティング剤がHEATLESS GLASSである場合は、一般に約130℃で60分間加熱するのが適当である。
上記の各炭素質材料に含浸させる金属としては、一般に、アルミニウム、銅、或いはこの両者が好ましい。炭素質材料の微細孔に金属を含浸させる方法としては、溶融したアルミニウムや銅などの金属を高温高圧下にて含浸させる等の方法を用いることができる。アルミニウムを含浸させた炭素質材料としては、CC−MA(商品名:炭素繊維を一次配列させた先端材料社製のC/Cコンポジットベース)やC−MA(商品名:先端材料社製の等方性高密度炭素材料ベース)等が挙げられ、また、銅を含浸させた炭素質材料としては、MB−18(商品名:炭素繊維を一次配列させたメビウス・A・T社製のC/Cコンポジットベース)等が挙げられる。
尚、上記した炭素質材料は、硬質板として得られるものであるが、本発明においての炭素質基板は、硬質板である必要性は比較的少なく、その点でグラファイトシートやグラファイトフィルムと呼ばれるフレキシブルな炭素質材料をも用いることができる。また、各炭素質材料にフェノールなどの樹脂材料を含浸したものも、用いることができる。
尚、上記した炭素質材料は、硬質板として得られるものであるが、本発明においての炭素質基板は、硬質板である必要性は比較的少なく、その点でグラファイトシートやグラファイトフィルムと呼ばれるフレキシブルな炭素質材料をも用いることができる。また、各炭素質材料にフェノールなどの樹脂材料を含浸したものも、用いることができる。
2.熱電半導体素子
本発明において、熱電素子モジュールに用いるn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子としては、従来から知られた各種のn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子を適宜選択して用いることができ、これらの例として、Bi−Te系、Si−Ge系、ランタノイド硫化物系等のp型或いはn型の熱電半導体素子が挙げられる。また、熱電半導体素子は、針状単結晶素子やインゴット状多結晶素子の切り出し品を用いることができる。
本発明において、熱電素子モジュールに用いるn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子としては、従来から知られた各種のn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子を適宜選択して用いることができ、これらの例として、Bi−Te系、Si−Ge系、ランタノイド硫化物系等のp型或いはn型の熱電半導体素子が挙げられる。また、熱電半導体素子は、針状単結晶素子やインゴット状多結晶素子の切り出し品を用いることができる。
3.電極
熱電素子モジュールにおいて、用いられるn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続する導電性の電極の金属としては、一般に、銅やニッケル等が用いられる。電極は、前記した基板に、金属を接合又は蒸着して用いられるのが従来一般的であるが、本発明では、これに加えて、基板の熱電半導体素子側に、電気絶縁層を介して、導電性接着剤を塗布することにより、その導電性接着剤層を用いて電極を直接形成することが好ましい。
基板に接合又は蒸着する方法や熱電半導体素子側に直接形成する方法としては、従来から知られた種々の方法を適宜、採用することができる。尚、蒸着方法には、メッキ方法も含まれ、無電解メッキ等の湿式法、真空蒸着、低温スパッタ、イオンプレーティング等の乾式法を挙げることができる。その中でも、無電解メッキや真空蒸着による方法が好ましく用いられる。尚、当然ではあるが、炭素質材料を基板に用いるときは、炭素質材料上に電気絶縁層(薄膜)を積層した後に、電極を形成する必要がある。
熱電素子モジュールにおいて、用いられるn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続する導電性の電極の金属としては、一般に、銅やニッケル等が用いられる。電極は、前記した基板に、金属を接合又は蒸着して用いられるのが従来一般的であるが、本発明では、これに加えて、基板の熱電半導体素子側に、電気絶縁層を介して、導電性接着剤を塗布することにより、その導電性接着剤層を用いて電極を直接形成することが好ましい。
基板に接合又は蒸着する方法や熱電半導体素子側に直接形成する方法としては、従来から知られた種々の方法を適宜、採用することができる。尚、蒸着方法には、メッキ方法も含まれ、無電解メッキ等の湿式法、真空蒸着、低温スパッタ、イオンプレーティング等の乾式法を挙げることができる。その中でも、無電解メッキや真空蒸着による方法が好ましく用いられる。尚、当然ではあるが、炭素質材料を基板に用いるときは、炭素質材料上に電気絶縁層(薄膜)を積層した後に、電極を形成する必要がある。
上記の導電性接着剤としては、導電性フィラーと有機バインダーとを備えており、それらを混合分散して構成された高導電性ペーストが用いられる。
導電性フィラーとしては、銀(Ag)の他、金(Au)、AgコートCu、Cu−Ag合金、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、Ag−Pd合金などを用いても良い。ただし、体積固有抵抗値や材料コストを考慮すると、銀(Ag)が好ましい。すなわち、高導電性銀ペーストが好ましい。
また、有機バインダーとしては、エポキシ樹脂を用いることができるほか、他の樹脂、すなわち、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂などを用いても良い。また、金属錯体であってもよい。
導電性フィラーとしては、銀(Ag)の他、金(Au)、AgコートCu、Cu−Ag合金、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、Ag−Pd合金などを用いても良い。ただし、体積固有抵抗値や材料コストを考慮すると、銀(Ag)が好ましい。すなわち、高導電性銀ペーストが好ましい。
また、有機バインダーとしては、エポキシ樹脂を用いることができるほか、他の樹脂、すなわち、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂などを用いても良い。また、金属錯体であってもよい。
また、本発明の熱電素子モジュールでは、電極の片面、すなわち下部電極の場合下面に、上部電極の場合上面に、電気絶縁層である熱良導性電気絶縁薄膜を接合することが好ましい。熱良導性電気絶縁薄膜は、厚さが数十〜数百μm、好ましくは15〜100μm程度であり、材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド樹脂、或いはそれらに熱良導性フィラーを添加したもの、フッ素樹脂コート、シリコン系熱伝導性接着材などであり、例えば、シート状やフィルム状のものを用いることができる。
4.マイグレーション防止導電皮膜層
本発明の熱電素子モジュールは、熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層が積層されることに最大の特徴がある。
マイグレーション防止導電皮膜層は、超微粒子金又はニッケルペーストで形成することができる。その超微粒子金ペーストとしては、例えば、独立分散超微粒子ペースト、すなわち、粒径が5〜10nmで、金60重量%程度で、他はトルエンやα−テルピネオールなど溶媒(分散剤)からなるペーストが挙げられ、具体的には、真空冶金(株)製の「パーフェクトゴールド」(Auペースト)が挙げられる。また、超微粒子ニッケルペーストとしては、導電性の、粒径が数〜数十nm、好ましくは5〜10nmのニッケルナノ粒子ペーストが挙げられる。さらに、マイグレーション防止導電皮膜層には、金やニッケル以外のナノサイズの金属微粒子の導電ペーストを用いることもできる。そのナノサイズの金属微粒子の導電ペーストは、金やニッケル以外に、例えば、銅、パラジウム、スズ、さらに銀−パラジウム、銀−スズ、鉄−ニッケル(パーマロイ)といった合金の導電ペーストが挙げられる。
また、マイグレーション防止導電皮膜層は、ハケ塗り、ディッピング、スピンコート、メタルマスク、スクリーン印刷等の方法で、容易に金の薄膜が形成できる。例えば、(i)塗布(ハケ塗り、ディッピング、スピンコートなど)、(ii)乾燥(100℃、3分間)、(iii)大気中250〜300℃で15分間の焼成工程で、容易に最小膜厚0.1μmの薄膜が形成できる。
本発明の熱電素子モジュールは、熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層が積層されることに最大の特徴がある。
マイグレーション防止導電皮膜層は、超微粒子金又はニッケルペーストで形成することができる。その超微粒子金ペーストとしては、例えば、独立分散超微粒子ペースト、すなわち、粒径が5〜10nmで、金60重量%程度で、他はトルエンやα−テルピネオールなど溶媒(分散剤)からなるペーストが挙げられ、具体的には、真空冶金(株)製の「パーフェクトゴールド」(Auペースト)が挙げられる。また、超微粒子ニッケルペーストとしては、導電性の、粒径が数〜数十nm、好ましくは5〜10nmのニッケルナノ粒子ペーストが挙げられる。さらに、マイグレーション防止導電皮膜層には、金やニッケル以外のナノサイズの金属微粒子の導電ペーストを用いることもできる。そのナノサイズの金属微粒子の導電ペーストは、金やニッケル以外に、例えば、銅、パラジウム、スズ、さらに銀−パラジウム、銀−スズ、鉄−ニッケル(パーマロイ)といった合金の導電ペーストが挙げられる。
また、マイグレーション防止導電皮膜層は、ハケ塗り、ディッピング、スピンコート、メタルマスク、スクリーン印刷等の方法で、容易に金の薄膜が形成できる。例えば、(i)塗布(ハケ塗り、ディッピング、スピンコートなど)、(ii)乾燥(100℃、3分間)、(iii)大気中250〜300℃で15分間の焼成工程で、容易に最小膜厚0.1μmの薄膜が形成できる。
本発明の熱電素子モジュールは、上記のマイグレーション防止導電皮膜層の上に、好ましくは、さらに、導電性接着剤層を積層し、一方、各基板上に、前記の好ましくは導電性接着剤層を用いて電極を形成し、両者の対応する導電性接着剤層同士を一体化することにより、熱電半導体素子端面と電極面とが接合されることも特徴とする。
また、熱電半導体素子端面と電極面との接合は、半田付け等の従来知られた接合手段で接合することもできる。
さらに、上記の導電性接着剤層を形成する導電性接着剤としては、前記の電極に用いた導電性接着剤を用いることができ、高導電性銀ペーストが好ましい。
また、熱電半導体素子端面と電極面との接合は、半田付け等の従来知られた接合手段で接合することもできる。
さらに、上記の導電性接着剤層を形成する導電性接着剤としては、前記の電極に用いた導電性接着剤を用いることができ、高導電性銀ペーストが好ましい。
5.熱電素子ユニットの作製
本発明の、2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面と接合してなる熱電素子モジュールの製造方法においては、予め、熱電素子ユニットを作製するのが好ましい。
熱電素子ユニットの作製方法については、所望形状、例えば立方体の型内に、所定数の熱電半導体素子を、行方向位置を規律可能な、例えば熱電半導体素子の落ち込みが可能な筋溝を形成したプレート材上に、すなわち熱電半導体素子を配置するための凹部を有するプレート材上に、配置する素子配置工程(a)と、熱電半導体素子が行方向位置を規律されて配置されたプレート材を複数、列方向に重ね合わせて接合するプレート材重合工程(b)とが採られることが望ましい。そして、両工程(a)(b)においては、プレート材間及びプレート材と熱電半導体素子との間に充填接着剤を塗布又は充填して、熱電半導体素子を行列状に配設拘束してなるものである。
本発明の、2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面と接合してなる熱電素子モジュールの製造方法においては、予め、熱電素子ユニットを作製するのが好ましい。
熱電素子ユニットの作製方法については、所望形状、例えば立方体の型内に、所定数の熱電半導体素子を、行方向位置を規律可能な、例えば熱電半導体素子の落ち込みが可能な筋溝を形成したプレート材上に、すなわち熱電半導体素子を配置するための凹部を有するプレート材上に、配置する素子配置工程(a)と、熱電半導体素子が行方向位置を規律されて配置されたプレート材を複数、列方向に重ね合わせて接合するプレート材重合工程(b)とが採られることが望ましい。そして、両工程(a)(b)においては、プレート材間及びプレート材と熱電半導体素子との間に充填接着剤を塗布又は充填して、熱電半導体素子を行列状に配設拘束してなるものである。
上記の充填接着剤としては、プレート材間、又はプレート材と熱電半導体素子との接合を行うために、プレート材の材質に応じて、適宜、エポキシ系など、種々のものが用いられる。このようにして、熱電素子間の空隙がプレート材及び充填接着剤で塗布又は充填された熱電素子ユニットを得ることができる。
従来の熱電素子モジュールは、前記したように、素子間を基板でがっちり挟み込んでいるために、すなわち、モジュール全体としては剛体構造であるものの、n型熱電半導体素子やp型熱電半導体素子は脆弱材料であり、それら素子間には空隙を有して変形余地が残されていたが故に、熱による歪や外部からの衝撃や荷重に耐えることが難しく、それが熱電素子モジュールの故障原因となり、耐久性と信頼性に乏しかった。
そのため、熱電半導体素子の周りの空隙を支持体となるプレート材で充填し、すなわち、空隙は、熱硬化樹脂などからなるプレート材などで埋め尽くされる状態になり、熱電半導体素子がプレート材で補強されることにより、熱歪による応力や外部衝撃等に対する機械強度を向上させ、熱電素子モジュールの耐久性、信頼性を向上させることができる。
このような性能向上のために、熱電素子間の空隙を埋めるプレート材には、熱による体積膨張しにくい材料や、基板又は熱電素子の熱膨張率の近接した材料などが望ましい。さらに、熱伝導率の低い材料、すなわち断熱性の材料を用いることにより、熱変換の高効率化も期待できる。また、材料中に不純物、例えば溶剤、水、アルコールなどが混入していると、加熱時に発泡し、熱電素子ブロックの破損の原因になるために、発泡性不純物の混入は、避ける必要がある。
そのため、熱電半導体素子の周りの空隙を支持体となるプレート材で充填し、すなわち、空隙は、熱硬化樹脂などからなるプレート材などで埋め尽くされる状態になり、熱電半導体素子がプレート材で補強されることにより、熱歪による応力や外部衝撃等に対する機械強度を向上させ、熱電素子モジュールの耐久性、信頼性を向上させることができる。
このような性能向上のために、熱電素子間の空隙を埋めるプレート材には、熱による体積膨張しにくい材料や、基板又は熱電素子の熱膨張率の近接した材料などが望ましい。さらに、熱伝導率の低い材料、すなわち断熱性の材料を用いることにより、熱変換の高効率化も期待できる。また、材料中に不純物、例えば溶剤、水、アルコールなどが混入していると、加熱時に発泡し、熱電素子ブロックの破損の原因になるために、発泡性不純物の混入は、避ける必要がある。
プレート材としては、電気絶縁性及び断熱性が必須の性能であり、体積膨張しにくい材料や熱伝導率の低い材料が望ましいが、本発明の熱電素子モジュールの使用温度域に応じて、150℃までの低温用では、有機系の樹脂、例えば耐熱性樹脂や熱硬化性樹脂の硬化物(すなわち、熱硬化樹脂)が望ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂)、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、縮合型シリコーン樹脂(ゴム)などが挙げられる。これらの樹脂には、適宜各種の添加剤や充填剤(材)が配合されていてもよい。エポキシ樹脂には、エポキシ樹脂(A)に、末端にグリシジル基を有するポリアルキレングリコール重合体(B)とアミン系化合物(C)を適宜混合した樹脂(例えば重量比A/B/C=100/100/31)や、或いはその混合した樹脂に、更に断熱性を付与するために硼珪酸シリカからなるシリカバルーンとフェノール樹脂からなるフェノールバルーンを適量混合したものも挙げられる。また、縮合型シリコーン樹脂(ゴム)には、室温硬化性の縮合型ポリシロキサン重合体に、断熱性を付与するために硼珪酸シリカからなるシリカバルーンとフェノール樹脂からなるフェノールバルーンを適量混合し、更に酸化アンチモンとリン酸エステル系化合物を配合したものも挙げられる。一方、150℃以上の高温用では、無機系材料が用いられ、このようなものとしては、例えば厚さが0.2〜0.5mm程度のガラスエポキシ板、アルマイト加工を施したアルミニウム板、或いはヒートレスガラス等にシラスバルーンのような無機フィラーを混ぜ込み焼成した板などが挙げられる。
6.熱電素子モジュールの製造
本発明の熱電素子モジュールは、例えばそれが1段モジュールである場合、一般に、次の製法から得ることができる。
すなわち、本発明の熱電素子モジュールの製造方法は、予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上にマイグレーション防止導電皮膜層を形成するマイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)を含むことを特徴とし、好ましくは、さらに、その両マイグレーション防止導電皮膜層上に導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成工程(B)と、各基板上に導電性接着剤を塗布して電極を形成する電極形成工程(C)と、上記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する素子電極接合工程(D)とを含むことを特徴とするものである。
本発明の熱電素子モジュールは、例えばそれが1段モジュールである場合、一般に、次の製法から得ることができる。
すなわち、本発明の熱電素子モジュールの製造方法は、予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上にマイグレーション防止導電皮膜層を形成するマイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)を含むことを特徴とし、好ましくは、さらに、その両マイグレーション防止導電皮膜層上に導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成工程(B)と、各基板上に導電性接着剤を塗布して電極を形成する電極形成工程(C)と、上記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する素子電極接合工程(D)とを含むことを特徴とするものである。
(1)マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)
マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)は、予め、作製した熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面にマイグレーション防止導電皮膜層を形成する工程である。熱電素子ユニットの作製方法は、前記のとおりである。その熱電半導体素子の両端面に、例えばインクジェツトプリンターにより、超微粒子金ペーストやニッケルペーストを塗布し、乾燥(100℃、3分間)し、その後焼成(大気中250〜300℃で15分間)して、マイグレーション防止導電皮膜層が形成される。
マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)は、予め、作製した熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面にマイグレーション防止導電皮膜層を形成する工程である。熱電素子ユニットの作製方法は、前記のとおりである。その熱電半導体素子の両端面に、例えばインクジェツトプリンターにより、超微粒子金ペーストやニッケルペーストを塗布し、乾燥(100℃、3分間)し、その後焼成(大気中250〜300℃で15分間)して、マイグレーション防止導電皮膜層が形成される。
(2)導電性接着剤層形成工程(B)
導電性接着剤層形成工程(B)は、前記の両マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに導電性接着剤層を形成する工程である。導電性接着剤層は、両マイグレーション防止導電皮膜層の上に、メタルマスク又はスクリーン印刷により、導電性接着剤を厚さが70μm程度塗布し、その後、硬化(150℃、30分)させて、形成される。
また、この導電性接着剤層形成工程(B)の替わりに、熱電半導体素子端面と電極面との接合には、前記したように、はんだ付け等の従来知られた接合手段で接合することもできる。すなわち、前記の両マイグレーション防止導電皮膜層に、従来のはんだ付け等の接合層を形成することもできる。
導電性接着剤層形成工程(B)は、前記の両マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに導電性接着剤層を形成する工程である。導電性接着剤層は、両マイグレーション防止導電皮膜層の上に、メタルマスク又はスクリーン印刷により、導電性接着剤を厚さが70μm程度塗布し、その後、硬化(150℃、30分)させて、形成される。
また、この導電性接着剤層形成工程(B)の替わりに、熱電半導体素子端面と電極面との接合には、前記したように、はんだ付け等の従来知られた接合手段で接合することもできる。すなわち、前記の両マイグレーション防止導電皮膜層に、従来のはんだ付け等の接合層を形成することもできる。
(3)電極形成工程(C)
電極形成工程(C)は、各基板上に、例えば二つの炭素質基板上に電気絶縁層を介して、好ましくは、導電性接着剤を塗布して電極を形成する工程である。炭素質材料からなる炭素質基板上に、必要に応じてその微細孔に上記のような無機コーティング剤又は金属を含浸させた後、電気絶縁層を介して、導電性接着剤からなる電極が接合、形成される。
例えば、炭素質基板上への電極の接合、形成は、一つの方法として、まず、炭素質基板に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などからなる電気絶縁層(薄膜)を積層した後、導電性接着剤をメタルマスク又はスクリーン印刷によって、厚さが70μm程度塗布することにより、炭素質基板上への電極の接合、形成を行うことができる。
また、本発明においては、導電性接着剤を塗布して電極を形成する工程の替わりに、基板に、従来の金属電極を接合又は蒸着して用いることもできる。基板に接合又は蒸着する方法としては、従来から知られた種々の方法を適宜、採用することができる。尚、蒸着方法には、メッキ方法も含まれ、無電解メッキ等の湿式法、真空蒸着、低温スパッタ、イオンプレーティング等の乾式法を挙げることができる。その中でも、無電解メッキや真空蒸着による方法が好ましく用いられる。尚、当然ではあるが、炭素質材料を基板に用いるときは、炭素質材料上に電気絶縁層を積層した後に、金属電極を形成する必要がある。
電極形成工程(C)は、各基板上に、例えば二つの炭素質基板上に電気絶縁層を介して、好ましくは、導電性接着剤を塗布して電極を形成する工程である。炭素質材料からなる炭素質基板上に、必要に応じてその微細孔に上記のような無機コーティング剤又は金属を含浸させた後、電気絶縁層を介して、導電性接着剤からなる電極が接合、形成される。
例えば、炭素質基板上への電極の接合、形成は、一つの方法として、まず、炭素質基板に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などからなる電気絶縁層(薄膜)を積層した後、導電性接着剤をメタルマスク又はスクリーン印刷によって、厚さが70μm程度塗布することにより、炭素質基板上への電極の接合、形成を行うことができる。
また、本発明においては、導電性接着剤を塗布して電極を形成する工程の替わりに、基板に、従来の金属電極を接合又は蒸着して用いることもできる。基板に接合又は蒸着する方法としては、従来から知られた種々の方法を適宜、採用することができる。尚、蒸着方法には、メッキ方法も含まれ、無電解メッキ等の湿式法、真空蒸着、低温スパッタ、イオンプレーティング等の乾式法を挙げることができる。その中でも、無電解メッキや真空蒸着による方法が好ましく用いられる。尚、当然ではあるが、炭素質材料を基板に用いるときは、炭素質材料上に電気絶縁層を積層した後に、金属電極を形成する必要がある。
(4)素子電極接合工程(D)
素子電極接合工程(D)は、好ましい態様として、前記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する工程である。
上記の如くして得られた電極の接合、形成された炭素質基板2枚を対向させ、それらに接合、形成されている電極を介して、n型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子を交互に接続するに際し、予め、作製した、熱電半導体素子間が熱硬化性樹脂などのプレート材で充填された熱電素子ユニットを用いて、本発明の熱電素子モジュールが製造される。熱電素子モジュールの作製方法としては、炭素質基板2枚を対向させ、その間に前記の熱電素子ユニットを挟み、例えば、150℃、30分の条件で熱圧縮(ヒートプレス)し、一体成形することができる。
この際、電極とn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子との接合は、はんだ付け等の従来知られた接合手段で接合することができるが、本発明においては、好ましい態様として、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層と導電性接着剤層とが順次積層されて、前記の好ましくは導電性接着剤層からなる電極面と、すなわち導電性接着剤層同士が接合されることに特徴がある。
この方法は、以下の2つの理由により、信頼性の向上、環境対策両面で有望な方法である。第1に、導電性接着剤は、エポキシ樹脂等の樹脂材料を含んでおり、金属材料であるはんだと比較して、外力や熱応力に対して柔軟な接続となり、信頼性の向上が実現できる。第2に、導電性接着剤は、導電成分として主に銀粒子を用いており、鉛を用いないクリーン実装が実現できる。
しかしながら、導電性接着剤を用いた構造は、以下の2つの課題があり、その第1の課題は、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションによる絶縁信頼性の低下である。イオンマイグレーション(低温の電解現象による)やエレクトロマイグレーション(高温の電子運動による)とは、一種の電解作用であり、電圧の印加された電極間に水などの電解液が存在した場合に、電極間に絶縁破壊が発生する現象である。そして、第2の課題は、硫化による接続抵抗の上昇である。硫化とは、金属が硫化水素や二酸化硫黄など硫黄を含む弱酸性気体と反応して、金属硫化物とよばれる導電性の低い物質に変化する現象をいう。導電性接着剤に配合される導電性フィラーは、上述したように、主として銀を主成分にして構成されるが、銀は硫化しやすい金属であるため、銀が硫化すると導電性接着剤の体積固有抵抗が増大し、それに伴って接続抵抗の上昇を引き起こす。
ところが、本発明では、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することにより、特に、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題点や導電性接着剤を用いた問題点は、解決できる。すなわち、マイグレーション防止導電皮膜層の作用効果として、接続抵抗の減少、接着性の向上、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの防止が挙げられる。尚、従来のはんだ付け等の接合手段においても、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題は生じるが、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することにより、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションを防止できる。
素子電極接合工程(D)は、好ましい態様として、前記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する工程である。
上記の如くして得られた電極の接合、形成された炭素質基板2枚を対向させ、それらに接合、形成されている電極を介して、n型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子を交互に接続するに際し、予め、作製した、熱電半導体素子間が熱硬化性樹脂などのプレート材で充填された熱電素子ユニットを用いて、本発明の熱電素子モジュールが製造される。熱電素子モジュールの作製方法としては、炭素質基板2枚を対向させ、その間に前記の熱電素子ユニットを挟み、例えば、150℃、30分の条件で熱圧縮(ヒートプレス)し、一体成形することができる。
この際、電極とn型熱電半導体素子及びp型熱電半導体素子との接合は、はんだ付け等の従来知られた接合手段で接合することができるが、本発明においては、好ましい態様として、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層と導電性接着剤層とが順次積層されて、前記の好ましくは導電性接着剤層からなる電極面と、すなわち導電性接着剤層同士が接合されることに特徴がある。
この方法は、以下の2つの理由により、信頼性の向上、環境対策両面で有望な方法である。第1に、導電性接着剤は、エポキシ樹脂等の樹脂材料を含んでおり、金属材料であるはんだと比較して、外力や熱応力に対して柔軟な接続となり、信頼性の向上が実現できる。第2に、導電性接着剤は、導電成分として主に銀粒子を用いており、鉛を用いないクリーン実装が実現できる。
しかしながら、導電性接着剤を用いた構造は、以下の2つの課題があり、その第1の課題は、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションによる絶縁信頼性の低下である。イオンマイグレーション(低温の電解現象による)やエレクトロマイグレーション(高温の電子運動による)とは、一種の電解作用であり、電圧の印加された電極間に水などの電解液が存在した場合に、電極間に絶縁破壊が発生する現象である。そして、第2の課題は、硫化による接続抵抗の上昇である。硫化とは、金属が硫化水素や二酸化硫黄など硫黄を含む弱酸性気体と反応して、金属硫化物とよばれる導電性の低い物質に変化する現象をいう。導電性接着剤に配合される導電性フィラーは、上述したように、主として銀を主成分にして構成されるが、銀は硫化しやすい金属であるため、銀が硫化すると導電性接着剤の体積固有抵抗が増大し、それに伴って接続抵抗の上昇を引き起こす。
ところが、本発明では、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することにより、特に、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題点や導電性接着剤を用いた問題点は、解決できる。すなわち、マイグレーション防止導電皮膜層の作用効果として、接続抵抗の減少、接着性の向上、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの防止が挙げられる。尚、従来のはんだ付け等の接合手段においても、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションの問題は生じるが、熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することにより、イオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションを防止できる。
また、本発明の熱電素子モジュールは、隣り合う熱電半導体素子同士の離間した空隙をプレート材及び充填接着剤で塗布又は充填すること、基板として、例えば、好ましく炭素質基板が用いられること、電極が導電性接着剤層からなること、及び熱電半導体素子端面にマイグレーション防止導電皮膜層と導電性接着剤層とが順次積層されていることを除けば、その基本的構造(図2)は、図4に断面を模式的に示した従来の1段の熱電素子モジュールの基本的構造と同様である。また、本発明の多段の熱電素子モジュールも、その基本的構造は、上記の点を除けば、従来の多段の熱電素子モジュールの基本的構造と同様である。
なお、上述のような、複数枚の基板の全て(例えば1段の熱電素子モジュールにおける2枚の基板)に、例えば、炭素質材料からなる炭素質基板を用いる場合の他、複数枚の基板の内の一部に炭素質基板を用いる場合も、本発明に包含される。したがって、例えば、受熱側の基板のみに炭素質基板を用い、放熱側の基板は、従来のセラミック基板とすることもできる。
なお、上述のような、複数枚の基板の全て(例えば1段の熱電素子モジュールにおける2枚の基板)に、例えば、炭素質材料からなる炭素質基板を用いる場合の他、複数枚の基板の内の一部に炭素質基板を用いる場合も、本発明に包含される。したがって、例えば、受熱側の基板のみに炭素質基板を用い、放熱側の基板は、従来のセラミック基板とすることもできる。
また、本発明の熱電素子モジュールにおいては、例えばそれが1段モジュールである場合、例えば、セラミック基板や炭素質基板の外面に、従来の一段の熱電素子モジュールと同様に、加熱手段、冷却手段或いは被冷却物等の部品ないし設備を接合することができる。このセラミック基板や炭素質基板の外面へのこれらの部品ないし設備の接合に当たっては、その接合手段は特に電気絶縁性である必要はなく、またこれらの部品ないし設備を強固にセラミック基板や炭素質基板に接合できる手段であれば適宜選択して用いることができる。また、本発明の熱電素子モジュールにおいては、例えばそれが1段モジュールである場合、セラミック基板や炭素質基板の外面に例えば受熱あるいは放熱用フィンを一体成形することもできる。具体例として、セラミック基板や炭素質基板にディスクカッターや鋸刃等でスリットを形成することにより、セラミック基板や炭素質基板自体をフィン形状に加工する場合が挙げられる。
勿論、本発明の熱電素子モジュールにおいては、熱電半導体素子側に直接、すなわち、熱電素子ユニット上の表裏に露出した熱電半導体素子の端面同士を跨ぐように回路電極を直接形成して、熱電半導体素子同士を電気的に接合し、その上に更に電気絶縁性かつ耐熱性を有するフィルムなどを貼着して、熱電素子モジュールとすることもできる。その場合、フィルムは樹脂フィルムでもよいが、電気絶縁層を介せばグラファイトシートやグラファイトフィルムと呼ばれるフレキシブルな炭素質材料を貼着するようにしてもよい。
勿論、本発明の熱電素子モジュールにおいては、熱電半導体素子側に直接、すなわち、熱電素子ユニット上の表裏に露出した熱電半導体素子の端面同士を跨ぐように回路電極を直接形成して、熱電半導体素子同士を電気的に接合し、その上に更に電気絶縁性かつ耐熱性を有するフィルムなどを貼着して、熱電素子モジュールとすることもできる。その場合、フィルムは樹脂フィルムでもよいが、電気絶縁層を介せばグラファイトシートやグラファイトフィルムと呼ばれるフレキシブルな炭素質材料を貼着するようにしてもよい。
以下、本発明について、図面を用いた実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
[実施例1][熱電半導体素子間の空隙がプレート材及び充填接着剤で塗布又は充填された熱電素子ユニットの作製(図1)]
熱電半導体素子モジュールを作製するにあたり、予め、熱電半導体素子間の空隙がプレート材及び充填接着剤で塗布又は充填された熱電素子ユニットを作製する。その作製工程は、次の2[(i)、(ii)]工程又は所望により3[(i)〜(iii)]工程からなり、図1で示される。
熱電半導体素子モジュールを作製するにあたり、予め、熱電半導体素子間の空隙がプレート材及び充填接着剤で塗布又は充填された熱電素子ユニットを作製する。その作製工程は、次の2[(i)、(ii)]工程又は所望により3[(i)〜(iii)]工程からなり、図1で示される。
(i)素子配置工程(a):プレート材上に所定数の熱電半導体素子を行方向位置が規律されて配置する工程であって、図1(A)に示す実施例では、矩形溝状の凹部を所定間隔で所定数形成して熱電半導体素子の行方向位置を規律可能としたプレート材上に、その凹部へn型、p型の熱電半導体素子を交互に落とし込むようにして隣り合わせて配置している。なお、この際のプレート材及び熱電半導体素子の長さ(図示紙面に直交する方向長さ)は、ほぼ同じ長さであり、後のスライス工程を予定しなければ、1枚の熱電素子モジュールの厚さ程度となり、後のスライス工程を予定すれば、その複数倍の厚さ長さとなるが、それらは多分に均質な熱電半導体素子がどの程度の長さで製造できるかに係わる。また、熱電半導体素子は、図示実施例のような円形断面のもので、矩形断面のものでもよいが、その断面形状を考慮してプレート材の凹部形状を決定するのが望ましい。
そして、素子配置工程(a)における本来の目的は、プレート材上に所定数の熱電半導体素子を行方向位置が規律されて配置することにあるので、熱電半導体素子がその凹部に留まっておりさえすれば、この工程において充填接着剤を塗布ないし充填するまでもないが、その後の作業途中において熱電半導体素子の行方向位置が動いてしまうことを憂慮すれば、この工程において、充填接着剤が余剰に溢れた状態で固化しない程度に熱電半導体素子とプレート材上の凹部との接触位置などに充填接着剤を塗布又は充填して仮接着ないし一次接着を行っておくのが好ましい。なお、当然ではあるが、プレート材と熱電半導体素子の少なくとも一方の端面位置を同じ面に揃えておく。
なお、この素子配置工程(a)は、これを繰り返して、熱電半導体素子が配置されたプレート材の多数を予め得るようにしても良いし、一つの熱電素子ユニットが得られるまで、次工程のプレート材重合工程(b)とを交互に繰り返すようにしても良い。また、プレート材上の凹部へ熱電半導体素子を落とし込むようにして配置するにあたっては、手作業でこれを行ってもよいが、超音波振動などを与えて熱電半導体素子を自立運動的に移動させて落とし込むようにしてもよく、また、電極のパターン如何によっては、必ずしもn型、p型の熱電半導体素子を交互に配置する必要はなく、プレート材によってn型のみの熱電半導体素子、p型のみの熱電半導体素子を配置するようにしてもよい。
なお、この素子配置工程(a)は、これを繰り返して、熱電半導体素子が配置されたプレート材の多数を予め得るようにしても良いし、一つの熱電素子ユニットが得られるまで、次工程のプレート材重合工程(b)とを交互に繰り返すようにしても良い。また、プレート材上の凹部へ熱電半導体素子を落とし込むようにして配置するにあたっては、手作業でこれを行ってもよいが、超音波振動などを与えて熱電半導体素子を自立運動的に移動させて落とし込むようにしてもよく、また、電極のパターン如何によっては、必ずしもn型、p型の熱電半導体素子を交互に配置する必要はなく、プレート材によってn型のみの熱電半導体素子、p型のみの熱電半導体素子を配置するようにしてもよい。
(ii)プレート材重合工程(b):熱電半導体素子が行方向位置を規制されて配置されたプレート材を複数、列方向に重ね合わせ(図面上では上方向へ積み重ね)て充填接着剤により各プレート材及び熱電半導体素子を相互に接合する工程であって、図1(B)に示す実施例では、立方状箱体における三面を開放除去したような形状の規制枠型に各プレート材の一面と二辺を各当接させながら、順次重ね合わせるようにしている。
前述もしたが、例えばこの規制枠型上で、このプレート材重合工程(b)と素子配置工程(a)とを、一つの熱電素子ユニットが得られるまで交互に繰り返すようにしても、あるいは、素子配置工程(a)を繰り返して予め多数得ておいたプレート材を一気に重ね合わせるようにしてもよい。何れの場合でも、各プレート材及び熱電半導体素子の間をよく接着できるように接着充填材を塗布又は充填し、また隙間なく充填するのが望ましい。そのためには、例えば、もう一回り小振りの規制枠型を対向させるように用いて、規制枠型内を閉じるようにした上で更に充填接着剤を加圧注入したり、両規制枠型同士を型締めするように加圧押圧するのが好ましい。
前述もしたが、例えばこの規制枠型上で、このプレート材重合工程(b)と素子配置工程(a)とを、一つの熱電素子ユニットが得られるまで交互に繰り返すようにしても、あるいは、素子配置工程(a)を繰り返して予め多数得ておいたプレート材を一気に重ね合わせるようにしてもよい。何れの場合でも、各プレート材及び熱電半導体素子の間をよく接着できるように接着充填材を塗布又は充填し、また隙間なく充填するのが望ましい。そのためには、例えば、もう一回り小振りの規制枠型を対向させるように用いて、規制枠型内を閉じるようにした上で更に充填接着剤を加圧注入したり、両規制枠型同士を型締めするように加圧押圧するのが好ましい。
なお、図1(B)の(イ)(ロ)に示すように、プレート材(7)上の凹部形状は、熱電素子ユニットを構成する両端に位置する列のプレート材形状と中間に位置する列のプレート材形状とを合い異ならせても、全て同一としてもよい。すなわち、(イ)の図の場合は、中間に位置する列のプレート材においては、熱電半導体素子の径の半分程度の深さの凹部をその両面に形成しており、(ロ)の図の場合は、何れのプレート材も熱電半導体素子の径と同じ深さの凹部をその片面に形成している。これらは、全製造工程中における諸効率を総合的に勘案して決定するのが望まれる。なお、図示では充填接着剤の存在が分かり易いように、プレート材間が多少広く隔離し、その間に充填接着剤があたかも層として存在するかのように描いたが、充填接着剤とプレート材の熱伝導率や接着剤の一般的接着力等からして、プレート材の凹部の深さを熱電半導体素子の径とほぼ同じとして薄膜状の充填接着剤にて各プレート材間を接着するのが好ましい。
規制枠型同士を型締めするなどして、少なくともプレート材間を加圧押圧し、望ましくは充填接着剤の硬化促進のために高温下に適宜な時間放置したら、充填接着剤の硬化具合を見計らって加圧押圧を解除し、一体的に固化したブロック(図示では立方体状)を得る。このブロックの厚さが、1枚の熱電素子モジュールの厚さであれば、それで熱電素子ユニットが得られるものであり、複数倍の厚さであれば、後のスライス工程を経て、熱電素子ユニットの1枚1枚が得られる。
規制枠型同士を型締めするなどして、少なくともプレート材間を加圧押圧し、望ましくは充填接着剤の硬化促進のために高温下に適宜な時間放置したら、充填接着剤の硬化具合を見計らって加圧押圧を解除し、一体的に固化したブロック(図示では立方体状)を得る。このブロックの厚さが、1枚の熱電素子モジュールの厚さであれば、それで熱電素子ユニットが得られるものであり、複数倍の厚さであれば、後のスライス工程を経て、熱電素子ユニットの1枚1枚が得られる。
(iii)スライス工程(Y):専ら素子配置工程(a)に供される熱電半導体素子の長さにより、前工程のプレート材重合工程(b)の後に、プレート材間に行列状に配設拘束された熱電半導体素子をプレート材毎、つまり、図1(C)で示す如く、ブロックの形にある熱電ユニットを熱電半導体素子と直交する方向に適宜な厚さで切断する工程である。切断にあたっては従来公知の適宜な切断手段を用いればよいが、半導体素子切断用のディスクカッターなどが好適に用いられる。
前工程のプレート材重合工程(b)で得られた熱電素子ユニット又はこのスライス工程(Y)で所望の厚さにスライスして得られた熱電素子ユニットは、行列状に配設拘束した熱電半導体素子の端面を表裏に露出した平板状であり、必要により、余剰の充填接着剤の除去等のために表裏研磨を行った上で、熱電素子モジュールに仕上げられる。
すなわち、熱電素子モジュールとしては、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子の端面が電気的に接合されていれば、本来機能たるペルチェ効果又はゼーベック効果を奏し得るので、直接にこの熱電素子ユニット上に金属電極を回路的に形成して、表裏に露出した熱電半導体素子の端面同士を電気的に接合しただけで熱電素子モジュールとしてよい。しかし、この場合には、その金属電極が露出したままとなるので、熱電素子モジュールを機器に組み込んでそのペルチェ効果やゼーベック効果を利用しようとする場合には、熱電素子モジュールを機器の対象部位への取り付けに際し電気絶縁的に不利であるため、電極上及びその余の熱電素子ユニットの表裏全面に電気絶縁性かつ耐熱性を有するフィルムなどを貼着して、汎用性に富む熱電素子モジュールとすることができる。勿論、このフィルムは熱伝導性にも優れるのが望ましく、また、従来と同様に、セラミックス製やC/C材製の基板上に形成した電極を、熱電素子ユニット上の対向する熱電半導体素子の端面とハンダ等で接合して熱電素子モジュールとするのも、勿論よい。
前工程のプレート材重合工程(b)で得られた熱電素子ユニット又はこのスライス工程(Y)で所望の厚さにスライスして得られた熱電素子ユニットは、行列状に配設拘束した熱電半導体素子の端面を表裏に露出した平板状であり、必要により、余剰の充填接着剤の除去等のために表裏研磨を行った上で、熱電素子モジュールに仕上げられる。
すなわち、熱電素子モジュールとしては、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子の端面が電気的に接合されていれば、本来機能たるペルチェ効果又はゼーベック効果を奏し得るので、直接にこの熱電素子ユニット上に金属電極を回路的に形成して、表裏に露出した熱電半導体素子の端面同士を電気的に接合しただけで熱電素子モジュールとしてよい。しかし、この場合には、その金属電極が露出したままとなるので、熱電素子モジュールを機器に組み込んでそのペルチェ効果やゼーベック効果を利用しようとする場合には、熱電素子モジュールを機器の対象部位への取り付けに際し電気絶縁的に不利であるため、電極上及びその余の熱電素子ユニットの表裏全面に電気絶縁性かつ耐熱性を有するフィルムなどを貼着して、汎用性に富む熱電素子モジュールとすることができる。勿論、このフィルムは熱伝導性にも優れるのが望ましく、また、従来と同様に、セラミックス製やC/C材製の基板上に形成した電極を、熱電素子ユニット上の対向する熱電半導体素子の端面とハンダ等で接合して熱電素子モジュールとするのも、勿論よい。
[実施例2][熱電半導体素子モジュール及びその製法(図2、図3)]
図2は、実施例1で予め作製しておいた熱電素子ユニットを用いた、実施例2の熱電素子モジュールを示す断面図である。この実施例2では、炭素マトリックス中において厚さ方向に炭素繊維が配列されるとともに銅が高圧含浸された、厚さ1mmの板状の炭素繊維強化炭素複合材料(以下「C/Cコンポジット」という)をベースとして、このC/Cコンポジット上全面に、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂の電気絶縁層(9、9’)を積層形成し、更にその上に所定の導電性接着剤からなる電極(4)を形成してなる、C/Cコンポジット製の基板(1、1’)を用いている。そして、実施例1で予め作製しておいた熱電素子ユニット上の熱電半導体素子の端面とこの基板(1、1’)上の電極とを対向する同士を、マイグレーション防止導電皮膜層である金皮膜層(8)と導電性接着剤層(11又は4)で接合して熱電素子モジュールとしている。
図2は、実施例1で予め作製しておいた熱電素子ユニットを用いた、実施例2の熱電素子モジュールを示す断面図である。この実施例2では、炭素マトリックス中において厚さ方向に炭素繊維が配列されるとともに銅が高圧含浸された、厚さ1mmの板状の炭素繊維強化炭素複合材料(以下「C/Cコンポジット」という)をベースとして、このC/Cコンポジット上全面に、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂の電気絶縁層(9、9’)を積層形成し、更にその上に所定の導電性接着剤からなる電極(4)を形成してなる、C/Cコンポジット製の基板(1、1’)を用いている。そして、実施例1で予め作製しておいた熱電素子ユニット上の熱電半導体素子の端面とこの基板(1、1’)上の電極とを対向する同士を、マイグレーション防止導電皮膜層である金皮膜層(8)と導電性接着剤層(11又は4)で接合して熱電素子モジュールとしている。
次に、熱電半導体素子モジュールの作製工程は、次の4[(i)〜(iv)]工程からなり、図3で示される。
(i)マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A):予め、作製した熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面にマイグレーション防止導電皮膜層を形成する工程であって、図3(A)に示す実施例では、熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面に、例えばインクジェツトプリンターにより、超微粒子金ペーストを厚さが数μmに塗布し、乾燥(100℃、3分間)し、その後焼成(大気中250〜300℃で15分間)して、マイグレーション防止導電皮膜層である金皮膜層が形成される。
(i)マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A):予め、作製した熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面にマイグレーション防止導電皮膜層を形成する工程であって、図3(A)に示す実施例では、熱電素子ユニットの熱電半導体素子の両端面に、例えばインクジェツトプリンターにより、超微粒子金ペーストを厚さが数μmに塗布し、乾燥(100℃、3分間)し、その後焼成(大気中250〜300℃で15分間)して、マイグレーション防止導電皮膜層である金皮膜層が形成される。
(ii)導電性接着剤層形成工程(B):前記の両マイグレーション防止導電皮膜層である金皮膜層に、さらに導電性接着剤層を形成する工程であって、図3(B)に示す実施例では、両金皮膜層の上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により、導電性接着剤を厚さが70μm程度塗布し、その後、硬化(150℃、30分)させて、導電性接着剤層が形成される。
(iii)電極形成工程(C):二つの炭素質基板に電気絶縁層を介して導電性接着剤を塗布して電極を形成する工程であって、図3(C)に示す実施例では、炭素質材料からなる炭素質基板上に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などからなる電気絶縁層(薄膜)を積層した後、導電性接着剤をメタルマスク又はスクリーン印刷法によって、厚さが70μm程度塗布し、導電性接着剤層からなる電極が炭素質基板上へ形成される。
(iv)素子電極接合工程(D):前記(A)、(B)、(C)工程により行列状に配設拘束された熱電半導体素子の両各端面を、電極にて電気的に各接合する工程であって、図3(D)に示す実施例では、前記(C)工程により得られた炭素質基板2枚を対向させ、その間に前記の(A)、(B)工程により得られた熱電素子ユニットを挟み、例えば、150℃、30分の条件で熱圧縮(ヒートプレス)し、一体成形することができ、本発明の熱電素子モジュールが作製される。
このように作製された熱電素子モジュールは、熱電半導体素子の強度が補強され、熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合でも、熱電半導体素子が破壊されず、さらに、良好な絶縁信頼性と接続信頼性を維持でき、熱効率に優れ、小型化や量産性が向上し製造が容易である高性能の熱電素子モジュールである。
このように作製された熱電素子モジュールは、熱電半導体素子の強度が補強され、熱電素子モジュールに衝撃や荷重が加わった場合でも、熱電半導体素子が破壊されず、さらに、良好な絶縁信頼性と接続信頼性を維持でき、熱効率に優れ、小型化や量産性が向上し製造が容易である高性能の熱電素子モジュールである。
1 :基板
1’ :基板
2 :基板の対向面
2’ :基板の対向面
3 :基板の外面
4 :電極(導電性接着剤層)
5 :n型熱電半導体素子
6 :p型熱電半導体素子
7 :プレート材
8 :マイグレーション防止導電皮膜層(金皮膜層)
9 :絶縁層
9’ :絶縁層
10 :充填接着剤
11 :導電性接着剤層
12 :リード線
1’ :基板
2 :基板の対向面
2’ :基板の対向面
3 :基板の外面
4 :電極(導電性接着剤層)
5 :n型熱電半導体素子
6 :p型熱電半導体素子
7 :プレート材
8 :マイグレーション防止導電皮膜層(金皮膜層)
9 :絶縁層
9’ :絶縁層
10 :充填接着剤
11 :導電性接着剤層
12 :リード線
Claims (13)
- 2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を行列状に配設し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールにおいて、
各熱電半導体素子端面の表面上にマイグレーション防止導電皮膜層を積層することを特徴とする熱電素子モジュール。 - 前記マイグレーション防止導電皮膜層に、さらに、導電性接着剤層を積層することを特徴とする請求項1に記載の熱電素子モジュール。
- 電極は、各基板上に導電性接着剤層を用いて形成され、かつ熱電半導体素子端面と電極面の対応する導電性接着剤層同士を一体化することにより熱電半導体素子端面と電極面とを接合することを特徴とする請求項2に記載の熱電素子モジュール。
- 基板は、予め電気絶縁層が積層された炭素質基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電素子モジュール。
- マイグレーション防止導電皮膜層は、粒径が5〜10nmの超微粒子金又はニッケルペーストで形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱電素子モジュール。
- 導電性接着剤層は、高導電性銀ペーストで形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱電素子モジュール。
- 2つの基板間に、複数のn型及びp型の熱電半導体素子を樹脂材料にて行列状に拘束配設された熱電素子ユニットを作製し、熱電半導体素子端面と電極面とを接合してなる熱電素子モジュールの製造方法において、
予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上にマイグレーション防止導電皮膜層を形成するマイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)を含むことを特徴とする熱電素子モジュールの製造方法。 - 前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、さらに、導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成工程(B)を含むことを特徴とする請求項7に熱電素子モジュールの製造方法。
- さらに、各基板上に導電性接着剤を塗布して電極を形成する電極形成工程(C)と、
上記(B)及び(C)工程により形成された対応する導電性接着剤層同士を一体化させて、熱電半導体素子の両各端面を対応する電極にそれぞれ電気的に接合する素子電極接合工程(D)とを、
含むことを特徴とする請求項8に記載の熱電素子モジュールの製造方法。 - マイグレーション防止導電皮膜層形成工程(A)は、予め、作製した熱電素子ユニットの各熱電半導体素子の両端面上に、インクジェットプリンターにより粒径が5〜10nmの超微粒子金又はニッケルペーストを塗布し、乾燥後、大気中で250〜300℃で10〜20分間、焼成することを特徴とする請求項7に記載の熱電素子モジュールの製造方法。
- 導電性接着剤層形成工程(B)は、前記両マイグレーション防止導電皮膜層上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により厚さが70μmの導電性接着剤層を積層し、150℃で30分間、硬化させることを特徴とする請求項8に記載の熱電素子モジュールの製造方法。
- 電極形成工程(C)は、予め電気絶縁層が積層された二つの炭素質基板上に、メタルマスク又はスクリーン印刷法により厚さが70μmの導電性接着剤層を塗布することを特徴とする請求項9に記載の熱電素子モジュールの製造方法。
- 素子電極接合工程(D)は、150℃で30分間熱圧縮(ヒートプレス)することにより、行うことを特徴とする請求項9に記載の熱電素子モジュールの製造方法。
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