JP2005350386A - デオキシウリジン誘導体および光応答性ヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)
【化11】
〔Xは水素原子、ジメトキシトリチル基、リン酸基または1塩基以上のヌクレオチド鎖を示し、Yは水素原子、次式(2)のフォスフォロアミダイト基
【化12】
(Aは結合部位を示す。)、リン酸基または1塩基以上のヌクレオチド鎖を示す。〕で表される5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシウリジン誘導体。および、一般式(3)
【化13】
(Zは水素原子、ジメトキシトリチル基、リン酸基または1塩基以上のヌクレオチド鎖を示し、Wは水素原子、前記式(2)のフォスフォロアミダイト基、リン酸基または1塩基以上のヌクレオチド鎖を示す。)で表される5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシウリジン誘導体。
【選択図】図1
Description
この出願の発明の提供する光による結合は、相手となる生体分子、つまりDNA、RNA、PNA、あるいはタンパク質の共存下に光照射することで可能とされる。一方、光解裂については、より短波長の光を照射することで連結部での特異的な解裂として実施される。具体的には、たとえば330nmよりも長波長の光励起により光連結を生じさせ、320nmより単波長の光励起により解裂を生じさせることができる。これら光の照射の方法としては各種の手段から選択され、たとえばトランスイルミネータを用いることができる。
以下に実施例を用いてこの出願の発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例はこの出願の発明のひとつの態様にすぎず、この出願の発明の実施の態様が下記実施例に制限されるものではない。
ヨードウラシル (4.76 g, 20mmol) をトルエン 250 ml に加え窒素置換した。これに硫酸アンモニウム (264 mg, 2 mmol) 、アセトアミド (118 mg, 2mmol) 、ヘキサメチルジシラザン (250 ml, 1185 mmol) を加えた後、3時間環流下で130℃ 加熱した。反応終了後トルエンと過剰のヘキサメチルジシラザンをエバポレーターで蒸発させ、さらに真空ポンプで3時間攪拌しながら減圧下で除いた。減圧後、窒素置換してからアセトニトリル 400 ml に溶かしクロロシュガー (9.06g, 22 mmol) とヨウ化銅 (4.19 g, 22 mmol) を加えて室温で14時間攪拌した。この溶液をアセトニトリルで濾過した後、エバポレーターで溶媒を除いてさらにクロロホルムで濾過をした。クロロホルムをエバポレーターで除いた後クロロホルム: メタノール= 98:2でシリカゲルカラムにかけて生成物5−ヨード−3′,5′−O−p−ジトルオイル−2′−デオキシウリジン反応中間体(収量9.54 g, 16.2 mmol, 収率 88%;式(4)) を得た。前記生成物の物性値を下記に示す。
Rf値(クロロホルム: メタノール= 98:2) 0.10.
HRMS (ES) calc. for C25H23IN2O7 ([M + Na]+) 613.0442, found 613.0440
〔実施例2〕<5−ヨード−2′−デオキシウリジン反応中間体の合成>
実施例1で得た5−ヨード−3′,5′−O−p−ジトルオイル−2′−デオキシウリジン反応中間体(10.4 g, 17.7 mmol;式(4)) にメタノール (100 ml )と28% アンモニア水 (300 ml) を加え室温で12時間攪拌した。エバポレーターで溶媒を除きクロロホルム: メタノール= 9:1の溶液で3回洗浄操作を行い生成物5−ヨード−2′−デオキシウリジン反応中間体(収量 5.52 g , 15.6 mmol 収率 90%;式(5))を得た。前記生成物の物性値を下記に示す。
Rf値 (クロロホルム: メタノール= 9:1) 0.11.
HRMS (ES) calc. for C9H11IN2O5 ([M + Na]+) 376.9605, found 376.9626
〔実施例3〕<5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシウリジンの合成>
トリフェニルフォスフィン (342 mg, 8.70 mmol) とパラジウムアセテート (II) (97 mg, 0.44 mmol)、トリエチルアミン (1.1 ml, 10.4 mmol) をジオキサン (60 ml) に溶かし込みオイルバスで75℃, 3分撹拌すると暗褐色に色が変化した。これに実施例2で得た5−ヨード−2′−デオキシウリジン反応中間体(3.08 g, 8.70 mmol;式(5)) とアクリロニトリル (0.923 ml, 17.4 mmol)を加えて75℃, 3時間撹拌した。反応終了後にろ過をしてパラジウムの粉を取り除き、エバポレーターで溶媒を蒸発させ酢酸エチル (20 ml、3回)と水 (30 ml)で分液し有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。エバポレーターで溶媒を蒸発させた後、クロロホルム: メタノール= 95:5でシリカゲルカラムにかけ生成物 (0.77 g , 2.35 mmol , 収率 27%)を得た。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシウリジン(式(6))と同定された。なお、2′−デオキシウリジン(CAS [951-78-0])は2−デオキシ−D−リボースの1位のCとウラシルの1位のNがβ-グリコシド結合した分子であるが、前記生成物は式(6)に示すとおり、2−デオキシ−D−リボースの1位のCと5−シアノビニルウラシル((E)−5−シアノビニル−2,4−ジヒドロキシピリミジン)の1位のNがα-グリコシド結合した分子である。
Rf値 (クロロホルム: メタノール= 9:1) 0.35.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 11.6 (br.s, 1H, NH); 8.41 (s, 1H, H-C(6)); 7.36 (d, 1H, J= 15.9, CH=CH); 6.84 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH); 6.12 (d, 1H, J= 6.3, H-C(1′)); 5.25 (d, 1H, J= 4.5, H-C(3′-OH));5.16 (t, 1H, J= 5.4, H-C(5′-OH)) 4.42 (m, 1H, H-C(3′)); 3.79 (m, 1H, H-C(4′)); 3.66-3.57 (m, 2H, , H-C(5′)); 2.17 (m, 2H, Ha-C(2′)).
HRMS (MALDI) calc. for C12H13N3O5 ([M + Na]+) 302.0753, found 302.0615
(max(() = 276 nm ( 0.89 ( 104 M-1( cm-1)
(max(() = 300 nm ( 1.08 ( 104 M-1( cm-1)
(max(() = 366 nm ( 80 M-1( cm-1)
〔実施例4〕<5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル―ウリジンの合成>
実施例3で得た5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシウリジン(872 mg , 3.12 mmol;式(6)) をピリジン (3 ml、2回)で共沸した後、ピリジン(4 ml)に溶かし込んだ。そこへピリジン(4 ml)に溶かし込んだ 4,4−ジメトキシトリチルクロライド (2.19 g , 6.45 mmol)をシリンジで滴下し、さらにピリジン(2 ml)に溶かし込んだN,N−ジメチルアミノピリジン (157 mg , 1.29 mmol)を氷浴下で加えて室温12時間撹拌した。反応終了後に脱酢酸した酢酸エチル (50 ml、3回)と水 (60 ml)で分液し有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。エバポレーターで溶媒を蒸発させた後、クロロホルム: エタノール= 97:3でシリカゲルカラムにかけ生成物 (933 mg , 1.60 mmol , 収率 54%)を得た。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル―ウリジン(式(7))と同定された。
Rf 値 (クロロホルム: エタノール= 97:3) 0.25.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 8.18 (br.s, 1H, NH); 7.97 (s, 1H, H-C(6)); 7.39- 7.21 (m, 10H, arom. H, arom. OCH3, CH=CH); 6.93 (d, 1H, J= 15.6, CH=CH); 6.83 (d, 4H, J= 9.3, arom. H); 6.27 (dd, 1H, J= 7.2, 1.5 H-C(1′)); 4.44 (m, 2H, H-C(3′), H-C(4′); 3.78 (s, 6H,arom. H); 3.47 (bs, 1H, OH); 3.27 (dd, 1H, J= 10.0, 4.5, Ha-C(5′)); 3.17 (dd, 1H, J= 10.0, 3.6, Hb-C(5′)); 2.85- 2.75 (m, 1H, Ha-C(2′)); 2.16- 2.11 (m, 1H,, Hb-C(2′)).
HRMS (MALDI) calc. for C33H31N3O7 ([M + Na]+) 604.2060, found 604.2192
〔実施例5〕<5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル−ウリジン−3´−O−(シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピル)フォスフォロアミダイトの合成>
実施例4で得た5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル―ウリジン(190 mg , 0.34 mmol;式(7)) をアセトニトリル (1 ml)で共沸した後アセトニトリル(1.5 ml)、2- シアノエチル N、N、N′、N′−テトライソプロピルフォスフォロアミダイト (0.10 ml, 0.34 mmol)と0.5 M テトラゾール (0.95 ml)を加えて2時間撹拌した。反応終了後にアセトニトリルをエバポレーターで蒸発させ、脱酢酸した酢酸エチル (10 ml、3回)と飽和炭酸水素ナトリウム (15 ml)で分液し硫酸マグネシウムを用いて脱水した。そして硫酸マグネシウムをろ過で取り除き、溶媒をエバポレーターと真空ポンプで蒸発させた。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−α−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル−ウリジン−3´−O−(シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピル)フォスフォロアミダイト(式(8))と同定された。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 8.01 (br.s, 1H, NH); 7.98 (s, 1H, H-C(6)); 7.32- 7.20 (m, 10H, arom. H, arom OCH3, CH=CH); 6.93 (d, 1H, J= 15.6, CH=CH); 6.83 (d, 4H, J= 9.3, arom. H); 6.35 (dd, 1H, J= 6.0, 2.7, H-C(1′)); 4.28- 4.07 (m, 2H, H-C(3′), H-C(4′); 3.78 (s, 6H,arom. H); 3.59- 3.40 (m, 7H OCH 2CH2CN, CH(CH3)2 , H-C(5′)); 2.74(t , 1H, J= 6.0, CH2CN); 2.60 (t , 1H, J= 6.0, CH2CN); 2.26- 2.24 (m, 1H, Ha-C(2′)); 2.16- 2.11 (m, 1H,, Hb-C(2′)). 1.17- 1.12(m, 9H, CH(CH3) ); 1.03( d, 3H, J= 6.9, CH(CH3)
HRMS (MALDI) calc. for C42H48N5O8P ([M + Na]+) 804.3139, found 804.3851
〔実施例6〕<5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシウリジンの合成>
トリフェニルフォスフィン (342 mg, 8.70 mmol) とパラジウムアセテート (II) (97 mg, 0.44 mmol)、トリエチルアミン (1.1 ml, 10.4 mmol) をジオキサン (60 ml)に溶かし込みオイルバスで75℃, 3分撹拌すると暗褐色に色が変化した。そこへ5- ヨード- 1'-α - 2'- デオキシウリジン (3.08 g, 8.70 mmol) とアクリロニトリル (0.923 ml, 17.4 mmol)を加えて75℃, 3時間撹拌した。反応終了後にろ過をしてパラジウムの粉を取り除き、エバポレーターで溶媒を蒸発させ酢酸エチル (20 ml、3回)と水 (30 ml)で分液し有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。エバポレーターで溶媒を蒸発させた後、クロロホルム: メタノール= 95:5でシリカゲルカラムにかけ生成物 (0.77 g , 2.35 mmol , 収率 27%)を得た。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシウリジン(式(9))と同定された。
Rf値 (クロロホルム: メタノール= 9:1) 0.30.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 11.70 (br.s, 1H, NH); 8.33 (s, 1H, H-C(6)); 7.36 (d, 1H, J= 15.9, CH=CH); 6.84 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH); 6.12 (d, 1H, J= 6.3, H-C(1')); 5.25 (d, 1H, J= 4.5, H-C(3'-OH));5.16 (t, 1H, J= 5.4, H-C(5'-OH)) 4.42 (m, 1H, H-C(3')); 3.79 (m, 1H, H-C(4')); 3.66-3.57 (m, 2H, , H-C(5')); 2.17 (m, 2H, Ha-C(2')).
HRMS (MALDI) calc. for C12H13N3O5 ([M + Na]+) 302.0753, found 302.0615
(max(() = 276 nm ( 0.89 ( 104 M-1( cm-1)
(max(() = 300 nm ( 1.08 ( 104 M-1( cm-1)
(max(() = 366 nm ( 80 M-1( cm-1)
〔実施例7〕<5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル―ウリジンの合成>
実施例6で得た5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシウリジン(872 mg , 3.12 mmol;式(9)) をピリジン (3 ml、2回)で共沸した後、ピリジン(4 ml)に溶かし込んだ。そこへピリジン(4 ml)に溶かし込んだ 4,4−ジメトキシトリチルクロライド (2.19 g , 6.45 mmol)をシリンジで滴下し、さらにピリジン(2 ml)に溶かし込んだN,N-ジメチルアミノピリジン (157 mg , 1.29 mmol)を氷浴下で加えて室温12時間撹拌した。反応終了後に脱酢酸した酢酸エチル (50 ml、3回)と水 (60 ml)で分液し有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。エバポレーターで溶媒を蒸発させた後、クロロホルム: エタノール= 97:3でシリカゲルカラムにかけ生成物 (933 mg , 1.60 mmol , 収率 54%)を得た。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル―ウリジン(式(10))と同定された。
Rf 値 (クロロホルム: エタノール= 97:3) 0.20. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 11.95 (br.s, 1H, NH); 8.22 (s, 1H, H-C(6)); 7.59- 7.45 (m, 5H, arom. H); 7.08 (dd,4H, J- 9.0, 2.1, arom. H); 6.85 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH); 6.70 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH); 6.37 (t , 1H, J= 6.9, H-C(1')); 4.50 (t, 1H, J= 4.5, H-C(3'), 4.15- 4.11 (m, 1H, H-C(4'); 3.95 (s, 6H, OCH3); 3.49- 3.45 (m, 1H, OH- C(3')); 3.41- 3.37 (m, 2H, H-C(5')); 2.47 (m, 2H,, H-C(2')).
HRMS (MALDI) calc. for C33H31N3O7 ([M + Na]+) 604.2060, found 604.2105
〔実施例8〕<5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル−ウリジン−3´−O−(シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピル)フォスフォロアミダイトの合成>
実施例7で得た5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル−ウリジン(190 mg , 0.34 mmol;式(10)) をアセトニトリル (1 ml)で共沸した後アセトニトリル(1.5 ml)、2- シアノエチル N, N, N', N'- テトライソプロピルフォスフォロアミダイト (0.10 ml, 0.34 mmol)と0.5 M テトラゾール (0.95 ml)を加えて2時間撹拌した。
反応終了後にアセトニトリルをエバポレーターで蒸発させ、脱酢酸した酢酸エチル (10 ml、3回)と飽和炭酸水素ナトリウム (15 ml)で分液し硫酸マグネシウムを用いて脱水した。そして硫酸マグネシウムを濾過で取り除き、溶媒をエバポレーターと真空ポンプで蒸発させた。この生成物は下記に示す物性値より、5−シアノビニル−1′−β−2′−デオキシ−5′−O−ジメトキシトリチル−ウリジン−3´−O−(シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピル)フォスフォロアミダイト(式(11))と同定された。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 8.01 (br.s, 1H, NH); 7.98 (s, 1H, H-C(6)); 7.32- 7.26 (m, 5H, arom. H, arom,); 7.21 (dd, 4H, J= 7.8, 2.1, arom. H) 6.83 (dd, 4H, J= 9.3, 2.6, arom.H); 6.47 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH arom. H); 6.34 (dd, 1H, J= 12.6, 6.0 , H-C(1')); 5.53 (d, 1H, J= 16.2, CH=CH,) 4.23- 4.04 (m, 2H, H-C(3'), H-C(4'); 3.78 (s, 6H, OCH3); 3.58- 3.38 (m, 6H, CE, CH(CH3)2 , H-C(5')); 2.74- 2.32(m , 4H,CE, H-C(2')); 1.19- 1.02(m, 12H, CH(CH 3)2 ).
HRMS (MALDI) calc. for C42H48N5O8P ([M + Na]+) 804.3139, found 804.3440
〔実施例9〕<光応答性ヌクレオチドの合成>
Applide Biosystems 3400 DNA Synthesizerを用いてシアノエチルフォスフォロアミダイト法によりデオキシオリゴヌクレオチド(以下ODNと称する)合成した。なお、ODN1合成およびODN6合成においては前記実施例5で作成した式(8)のアミダイトを、またODN6合成においてはさらにおよび実施例8で作成した式(11)のアミダイトをそれぞれアミダイド試薬として用いた。合成完了後55℃のアンモニア水中で8時間かけてODNの固相担体からの切り出し、保護基の脱離操作を行い、下記に示すODN1、ODN2、ODN3、ODN4、ODN5およびODN6を得た。これらODNは、日本分光PU-980、UV-970、HG-980-31による逆相高速液体クロマトグラフィーを通じて精製した。 それぞれのODNはApplide Biosystems Voyager-DE-PRO-SFによる質量分析とP1ヌクレアーゼ、アルカリンフォスファターゼを用いて酵素分解を行いA、G、C、T、Uの各ヌクレオシドの組成比から表1のとおり塩基配列と分子量が同定された。
なお、表1および以下に示すヌクレオチド配列おいて「αCNVU」は前記実施例5で取得したα体のアミダイト由来の塩基で、(E)−5−シアノビニルウラシルが1位のNでデオキシリボースの1位のCにα−グリコシド結合した塩基を、「βCNVU」は前記実施例8で取得したβ体のアミダイト由来の塩基で、(E)−5−シアノビニルウラシルが1位のNでデオキシリボースの1位のCにβ−グリコシド結合した塩基を、「αCNVUp」は3′末端にリン酸基が付加されていることをそれぞれ示す。
実施例9で作成したODN1(10(M)とODN2(10(M) の混合溶液に対し、相補的な鋳型ODN3(13(M)の共在下において、366 nmの光照射を行った。反応条件は0 (Cでカコジル酸ナトリウム 25 mM、塩化ナトリウム 50 mM、トランスイルミネータを用いた。この光照射により連結体ODNC1を得た。光照射前、光照射後0分、5分、30分でそれぞれ逆相HPLC分析を行った結果を図1に示した。溶離液は30分間にギ酸アンモニウム:アセトニトリル= 94:6から85:15へと移動相の組成を変化させたものを用いた。実施例9と同様の方法で連結体ODNC1の塩基配列および分子量を測定した結果、連結体ODNC1はODN1の3′末端のαCNVUとODN2の5′末端が結合した5′−d(TGTGCαCNVUTGCGTG)− 3′と同定された(表1)。
〔実施例11〕<光応答性ヌクレオチドによるDNAの切断>
実施例10で得られた連結体ODNC1にさらに312 nmの光照射を5分間行った。光照射前、光照射後5分でそれぞれ逆相HPLC分析を行った。得られた各ピークに対し実施例7と同様に分子量と塩基配列を同定し、その結果を図1に示す。ODNC1は光照射後、αCNVUの3′側で解裂し、ODN1およびODN2に分離切断されたことが明らかとなった。これよりこの出願の発明の提供する光応答性ヌクレオチドにおいては図2の模式図で示すようなαCNVUの3′側で可逆的に結合・切断を行うことが可能であることが確認された。
〔実施例12〕<光応答性ヌクレオチドによるDNAの両末端における双方向連結>
実施例11で作成したODN2(10(M)、ODN4(10(M)、およびODN5(10(M)の混合溶液に対し、相補的な鋳型鎖ODN6(10(M)共在下において、366 nmの光照射を行った。反応条件は0 (Cでカコジル酸ナトリウム 50 mM、塩化ナトリウム 100 mM、トランスイルミネータで60分光照射を行った。この光照射により連結体ODNC2を得た。光照射前、光照射後30分でそれぞれ逆相HPLC分析を行った結果を図3に示した。溶離液は30分間にギ酸アンモニウム:アセトニトリル= 94: 6から85: 15へと移動相の組成を変化させたものを用いた。実施例9と同様の方法で連結体ODNC2の塩基配列および分子量を測定した結果、連結体ODNC2は5′側よりODN4、ODN5、ODN2が結合しており、ODN5の3′末端のαCNVUとODN2の5′末端が結合し、ODN5の5′末端のβCNVUとODN4の3′末端が結合した5′−d(GACAGCβCNVUGTGCαCNVUTGCGTG)−3′と同定された(表1)。また、この光連結の作用機構は図4に示す機構と考察される。
Claims (8)
- Yが前記式(2)のフォスフォロアミダイト基である請求項1記載のデオキシウリジン誘導体。
- Wが前記式(2)に示すフォスフォロアミダイト基である請求項3記載のデオキシウリジン誘導体。
- 請求項2記載または請求項4記載のデオキシウリジン誘導体のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする核酸合成用フォスフォロアミダイト試薬。
- 請求項1記載または請求項3記載のデオキシウリジン誘導体のうち少なくとも一方をヌクレオチド鎖中あるいは鎖末端に含むことを特徴とする光応答性ヌクレオチド。
- 請求項6記載の光応答性ヌクレオチドと生体関連高分子との系に光照射して両者の結合を形成することを特徴とする光連結方法。
- 請求項6記載の光応答性ヌクレオチドと生体関連高分子との連結構造を光照射により切断することを特徴とする光解裂方法。
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