JP4180681B2 - アンチセンスオリゴヌクレオチド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、第二世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、より詳しくは、デオキシリボヌクレオシドの糖部を修飾した修飾デオキシヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
疾病の原因が遺伝子の発現調節によるものであって、遺伝子産物(蛋白質)が感染症や癌などの原因となっている場合に、それらの原因物質の産生を抑制するために、原因物質の遺伝子情報を伝達するメッセンジャーRNA(mRNA)の働きを抑える方法の概念が近年生まれた。すなわち、mRNAをセンスRNAとし、それに対して相補的なDNAまたはRNAをアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAと呼び、アンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAがmRNAと二本鎖を形成することによりmRNAの働きを抑制し、疾病を治療する、といった考え方である。この概念に基づいて、エイズ(AIDS)等のウイルス感染症や癌などの疾病治療を目的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドについての提案が種々なされており(例えば特開平3−99093号公報、特開平4−154794号公報、特開平6−41185号公報、特開平6−179694号公報等参照)、また、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成法や生物活性などについて盛んに研究され学会等で報告されている。
【0003】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、試験管内や細胞レベルでの研究では有効であるとされているが、ヌクレアーゼによるアンチセンスオリゴヌクレオチドの分解反応に対する安定性や細胞膜の透過性に問題があるとされている。それらの問題を解決するために、DNAやRNAの天然型リン酸ジエステルをホスホン酸エステルやチオリン酸エステル或いはアミノ酸結合に変換したりするなどの工夫が従来なされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から検討されているようにアンチセンスオリゴヌクレオチドのリン酸エステルをホスホン酸エステルやチオリン酸エステルに変換したものは、非天然型の異性体を生じることから、それらの生理的効果が低いと推定されている。また、リン酸エステルをチオリン酸エステル型やアミノ酸結合型に変換したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、非特異的アンチセンス効果を示し、そのことが問題となっている。
【0005】
なお、オリゴヌクレオチドの塩基部の変換によりアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を高めようとする研究は、天然型のヌクレオチドを用いた例が僅かに報告されているが、極めて希である。
【0006】
この発明は、以上のような状況下でなされたものであり、天然型のリン酸ジエステル結合を有し、生物学的安定性を示し、すなわちヌクレアーゼによる加水分解に対して抵抗性を示し、標的とするmRNAに対して特異的でかつ熱力学的に安定な相補的結合を有する二本鎖を形成する有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1ないし請求項5に係る各発明はそれぞれ、デオキシリボヌクレオシドの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入したヌクレオシド誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成した。すなわち、請求項1に係る発明は、チミジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化1に構造式を示すチミジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチルチミジンを構成成分として含んでアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成したことを特徴とする。
【0008】
【化1】
Figure 0004180681
【0009】
請求項2に係る発明は、デオキシウリジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化2に構造式を示すデオキシウリジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシウリジンを構成成分として含んでアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成したことを特徴とする。
【0010】
【化2】
Figure 0004180681
【0011】
請求項3に係る発明は、デオキシシチジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化3に構造式を示すデオキシシチジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシシチジンを構成成分として含んでアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成したことを特徴とする。
【0012】
【化3】
Figure 0004180681
【0013】
請求項4に係る発明は、デオキシアデノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化4に構造式を示すデオキシアデノシン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシアデノシンを構成成分として含んでアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成したことを特徴とする。
【0014】
【化4】
Figure 0004180681
【0015】
請求項5に係る発明は、デオキシグアノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化5に構造式を示すデオキシグアノシン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシグアノシンを構成成分として含んでアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成したことを特徴とする。
【0016】
【化5】
Figure 0004180681
【0017】
請求項1ないし請求項5に係る各発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはそれぞれ、ヌクレアーゼによる加水分解に対して抵抗性を示し、また、相補鎖と二本鎖を形成させたときに熱安定性を示す。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最良の実施形態について説明する。
【0019】
まず、アンチセンスオリゴヌクレオチドを化学的に合成する場合の第1段階として、図1に示すように、それぞれ官能基を保護したデオキシリボヌクレオシド誘導体(化合物1)からオリゴヌクレオチド合成ユニット(化合物2)を合成する。化合物1および化合物2のそれぞれの構造式中、Bは塩基、すなわちチミン、ウラシル、シトシン、アデニンまたはグアニンである。例えば、塩基Bがチミンであるときは、化合物1は5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジン、化合物2は3’−O−[2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノ)]−5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジンであり、塩基Bがウラシルであるときは、化合物1は5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチル−2’−デオキシウリジン、化合物2は3’−O−[2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノ)]−5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチル−2’−デオキシウリジンである。
【0020】
続いて、第2段階として、上記したオリゴヌクレオチド合成ユニットからアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成する。オリゴヌクレオチドは、公知の固相合成法により、DNA合成機を使用して合成する。
【0021】
以上のようにして合成されたオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入したヌクレオシド誘導体を構成成分として含む。すなわち、化合物2の構造式中の塩基Bがチミンであるオリゴヌクレオチド合成ユニットからは、チミジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化1に構造式を示すチミジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチルチミジンを、塩基Bがウラシルであるオリゴヌクレオチド合成ユニットからは、デオキシウリジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化2に構造式を示すデオキシウリジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシウリジンを、塩基Bがシトシンであるオリゴヌクレオチド合成ユニットからは、デオキシシチジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化3に構造式を示すデオキシシチジン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシシチジンを、塩基Bがアデニンであるオリゴヌクレオチド合成ユニットからは、デオキシアデノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化4に構造式を示すデオキシアデノシン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシアデノシンを、塩基Bがグアニンであるオリゴヌクレオチド合成ユニットからは、デオキシグアノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化5に構造式を示すデオキシグアノシン誘導体、すなわち4’−C−(N−アミノエチルカルバモイル)オキシエチル−2’−デオキシグアノシンを、それぞれ構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが合成される。
【0022】
【化1】
Figure 0004180681
【化2】
Figure 0004180681
【化3】
Figure 0004180681
【化4】
Figure 0004180681
【化5】
Figure 0004180681
【0023】
例えば、化1に構造式を示すチミジン誘導体を構成成分として含むDNAオリゴヌクレオチド(XT−1〜XT−8)の塩基配列の例を、配列番号1〜8にそれぞれ示す。
【0026】
また、配列番号1〜8に配列を示したオリゴヌクレオチドの、化1に構造式を示したチミジン誘導体をチミジンに置き換えたオリゴヌクレオチドのC(デオキシシチジン)、T(チミジン)、A(デオキシアデノシン)またはG(デオキシグアノシン)を、化3に構造式を示すデオキシシチジン誘導体、化2に構造式を示すデオキシウリジン誘導体、化4に構造式を示すデオキシアデノシン誘導体、または化5に構造式を示すデオキシグアノシン誘導体でそれぞれ置き換えた各種のアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成することが可能である。
【0027】
上記したようにして得られたオリゴヌクレオチドに含まれるヌクレオシド誘導体は、それぞれの相補的ヌクレオシドと水素結合対を形成して、熱安定性およびヌクレアーゼに対する抵抗性を示すものと想定される。
【0028】
【実施例】
以下に、この発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの具体的な製法例、ならびに、得られたアンチセンスオリゴヌクレオチドの熱安定性およびヌクレアーゼに対する抵抗性について検討した結果を示す。
【0029】
〔オリゴヌクレオチド合成ユニット:3’−O−[2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノ)]−5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジンの合成例〕
アルゴンガス雰囲気下において、5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジン(化合物1)423mg(0.55mmol)を塩化メチレン10mlに溶解させ、この溶液にジイソプロピルエチルアミン192μl(1.1mmol,2eq)と2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト184μl(0.83mmol,1.5eq)を添加し、その混合液を室温で30分間撹拌した。その後さらに、混合液にジイソプロピルエチルアミン48μl(0.5eq)と2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト61μl(0.5eq)を添加し、その混合液を室温で1時間半、撹拌した。次に、反応液にクロロホルム50mlを添加し、飽和重曹水40mlで2回分液し、飽和食塩水40mlで1回分液した。そして、抽出された有機層を無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた後、溶媒を留去させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル:φ3.0×13cm、カラムクロマトグラフィー溶媒:ヘキサン−酢酸エチル(ヘキサン:酢酸エチル=1:1〜1:3)または酢酸エチルのみ)により精製し、3’−O−[2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノ)]−5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジン(化合物2)を385mg(0.4mmol、収率72%)、白色泡状物質として得た。機器分析値は、FAB−MS(m/z):971(M+1)、31P−NMR(500MHz,CDCl)δ:150.28,149.88であった。
【0030】
〔オリゴデオキシヌクレオチドの合成例および精製例〕
合成は、DNA自動合成機(Applied Biosystems 391DNA synthesizer)を使用し、ホスホロアミダイト法に従って、1μmolスケールで行なった。デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジンおよびチミジンの各ホスホロアミダイト体については、それぞれの濃度を0.1Mとしたアセトニトリル溶液として、3’−O−[2−シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノ)]−5’−O−ジメトキシトリチル−4’−C−[N−(N−トリフルオロアセチルアミノエチル)カルバモイル]オキシエチルチミジンについては、その濃度を0.12Mとしたアセトニトリル溶液としてそれぞれ用いた。
【0031】
合成されたオリゴヌクレオチドに濃アンモニア水3mlを添加し、その溶液を55℃の温度で16時間静置させ、樹脂からの切り出しおよびアミノ基の脱保護を行った。樹脂を濾去させた後、濾液の溶媒を留去させ、残渣をC−18逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ1.0×12cm、溶媒:0〜40%アセトニトリルを含むトリエチルアンモニウムアセテート緩衝液により精製した。逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)により、目的物を高純度に含むフラクションを確認し、それらを集め、濃縮した。続いて、水で数回共沸させた後、残渣を80%酢酸4mlに溶解させ、エーテルで洗浄した。その後に、水層を濃縮し、逆相HPLCによりオリゴヌクレオチドの純度を確認し、必要な場合には、さらに分取精製して、高純度のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜8に配列を示したXT−1〜XT−8)を得た。
【0032】
〔二本鎖の熱安定性の検討〕
上記したようにして合成、精製された、配列番号1〜8に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−1〜XT−8のそれぞれと、それらと相補的なオリゴヌクレオチド(配列番号9に配列を示した標的DNAおよび配列番号10に配列を示した標的RNA)のそれぞれとで二本鎖を形成させて、それぞれの場合における二本鎖の熱安定性を測定した。これには、まず、配列番号1〜5に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−1〜XT−5のそれぞれと相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチド(標的DNA):配列番号9、および、配列番号6〜8に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−6〜XT−8のそれぞれと相補的なオリゴリボヌクレオチド(標的RNA):配列番号10をそれぞ、公知の方法により合成する。また、コントロールオリゴヌクレオチドとして、配列番号1に示したオリゴヌクレオチドXT−1のチミジン誘導体をチミジンに置き換えたControl−1:配列番号11、および、配列番号6に示したオリゴヌクレオチドXT−6のチミジン誘導体をチミジンに置き換えたControl−2:配列番号12をそれぞ、公知の方法により合成する。続いて、配列番号1〜5に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−1〜XT−5のそれぞれと相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチド(配列番号9に配列を示した標的DNA)と配列番号11に配列を示したコントロールオリゴヌクレオチドControl−1および配列番号1〜5に配列を示した新規なオリゴヌクレオチドXT−1〜XT−5との二本鎖をそれぞれ形成させて、それぞれの場合における二本鎖の熱安定性を測定した。また、配列番号6〜8に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−6〜XT−8のそれぞれと相補的なオリゴリボヌクレオチド(配列番号10に配列を示した標的RNA)と配列番号12に配列を示したコントロールオリゴヌクレオチドControl−2および配列番号6〜8に配列を示した新規なオリゴヌクレオチドXT−6〜XT−8との二本鎖をそれぞれ形成させて、それぞれの場合における二本鎖の熱安定性を測定した。
【0033】
二本鎖の熱安定性の測定は、緩衝液として、配列番号1〜5に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−1〜XT−5および配列番号11に配列を示したコントロールオリゴヌクレオチドControl−1のそれぞれと配列番号9に配列を示した標的DNAとでそれぞれ形成された二本鎖については0.05Mの塩化ナトリウムと0.01Mの燐酸ナトリウムとの混合水溶液(pH7.0)を用い、配列番号6〜8に配列を示したオリゴヌクレオチドXT−6〜XT−8および配列番号12に配列を示したコントロールオリゴヌクレオチドControl−2と配列番号10に配列を示した標的RNAとでそれぞれ形成された二本鎖については0.5Mの塩化ナトリウムと0.01Mの燐酸ナトリウムとの混合水溶液(pH7.0)を用い、それぞれオリゴマーの3μMの溶液を調製して、それぞれの溶液の融点Tmを測定することにより行った。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004180681
【0035】
表1に示した結果より、アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれるチミジンを、チミジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入したチミジン誘導体に置き換えても、二本鎖の熱安定性が低下することはなく、二本鎖が安定に存在することが分かる。
【0036】
〔ヌクレアーゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの抵抗性試験〕
一方、アンチセンスオリゴヌクレオチドの生体内での安定性を調べるために、ヌクレアーゼによるアンチセンスオリゴヌクレオチドの加水分解に対する抵抗性を検討した。
【0037】
試験は、次のような方法により行った。すなわち、エキソヌクレアーゼによる加水分解では、オリゴヌクレオチドXT−5:配列番号5を用いて表2に示すような組成の溶液を調製し、また、エンドヌクレアーゼによる加水分解では、オリゴヌクレオチドXT−1:配列番号1を用いて表3に示すような組成の溶液を調製した。
【0038】
【表2】
Figure 0004180681
【0039】
【表3】
Figure 0004180681
【0040】
そして、調製された溶液を37℃に加温し、10、20、30、60、120分後にそれぞれ溶液4μlずつを5mMのエチレンジアミン四酢酸水溶液10μlと混合させ、100℃の温度で5分間加熱した後に濃縮乾固させた。この操作によって得られた試料を20%ポリアクリルアミドの電気泳動によって解析した。また、コントロールオリゴヌクレオチドControl−1:配列番号11を用いて表2および表3に示すような組成の溶液をそれぞれ調製して、上記と同様の解析を行った。それらの結果を図2および図3にそれぞれ示す。
【0042】
図2に示すように、2時間以内においてはエキソヌクレアーゼによる分解がほとんど観察されなかった。これは、ヌクレオシドの糖部の4’位に導入されたアミノ側鎖の存在がヌクレアーゼに対する抵抗性を増強することを示唆している。
【0043】
以上のことより、この発明に係るオリゴヌクレオチドは新規のアンチセンスオリゴヌクレオチドとして応用することが可能であることが分かった。
【0044】
【発明の効果】
請求項1ないし請求項5に係る各発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生物学的安定性を示すとともに、標的とするmRNAに対して特異的でかつ熱力学的に安定な相補的結合を有する二本鎖を形成するので、エイズウイルス、サイトメガロウイルスなどに対する抗ウイルス剤や慢性骨髄性白血病等に対する抗癌剤として開発が進められているアンチセンスオリゴヌクレオチドで問題となっている特異性、熱安定性及び生体内安定性の要求を克服することができ、より効果的な薬剤としての利用が期待される。

【0045】
【配列表】
Figure 0004180681

【0046】
Figure 0004180681

【0047】
Figure 0004180681

【0048】
Figure 0004180681

【0049】
Figure 0004180681

【0050】
Figure 0004180681

【0051】
Figure 0004180681

【0052】
Figure 0004180681

【0053】
Figure 0004180681

【0054】
Figure 0004180681

【0055】
Figure 0004180681

【0056】
Figure 0004180681

【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドを化学的に合成する場合の第1段階として、それぞれ官能基を保護したデオキシリボヌクレオシド誘導体(化合物1)からオリゴヌクレオチド合成ユニット(化合物2)を合成する場合の反応式を示す。
【図2】この発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの、エキソヌクレアーゼに対する抵抗性試験の結果を示す図である。
【図3】この発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの、エンドヌクレアーゼに対する抵抗性試験の結果を示す図である。

Claims (5)

  1. チミジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化1に構造式を示すチミジン誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    Figure 0004180681
  2. デオキシウリジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化2に構造式を示すデオキシウリジン誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    Figure 0004180681
  3. デオキシシチジンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化3に構造式を示すデオキシシチジン誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    Figure 0004180681
  4. デオキシアデノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化4に構造式を示すデオキシアデノシン誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    Figure 0004180681
  5. デオキシグアノシンの糖部の4’位のα位にアミノ側鎖を導入した、化5に構造式を示すデオキシグアノシン誘導体を構成成分として含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    Figure 0004180681
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