JP2005349441A - ボトル缶の製造方法及び該方法により製造されたボトル缶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 飲料用アルミニウム合金製ボトル缶製造工程において、成形された有底円筒成形体をサイズコート・焼き付けした後、ネジ部を除いて印刷し、次いで平均粒径が3〜10μmのシリカ系あるいはフッ素系の耐ブロッキング剤を外面塗料の樹脂分に対して0.01重量%〜5重量%配合した塗料を用いて塗装し、該外面塗膜をゲル分率が80〜96%の硬化状態に調整してネッキング加工及びネジ加工を行うことを特徴とするボトル缶の製造方法。
【選択図】 図1
Description
特に、塗膜割れ防止のために塗膜焼付条件の調整等によって塗膜の硬化度を調整すると、潤滑剤として添加されていた塗料中のワックス類がネジ加工後に洗い流されることと相まって、内容物充填後に行われる殺菌のための高温レトルト処理や長時間加熱が行われるホット販売などの高温処理等が、ボトル缶のネジ外面の硬化状態が調整されている塗料(不完全な硬化状態)と、キャップ内面塗料の相互融合によるブロッキングを促進するため、キャップ開閉時のトルクが極めて高いものの発生を完全に避けることが出来なかった。
[1] 飲料用アルミニウム合金製ボトル缶製造工程において、成形された有底円筒成形体をサイズコート・焼き付けした後、ネジ部を除いて印刷し、次いで耐ブロッキング剤を添加した塗料を用いて塗装し、該外面塗膜をゲル分率が80〜96%の硬化状態に調整してネッキング加工及びネジ加工を行うことを特徴とするボトル缶の製造方法、
[2] 耐ブロッキング剤として、平均粒径が3〜10μmのシリカ系あるいはフッ素系の耐ブロッキング剤を用いる上記[1]に記載のボトル缶の製造方法、
[3] 耐ブロッキング剤を、外面塗料の樹脂分に対して0.01重量%〜5重量%配合した塗料を用いる上記[1]または[2]に記載のボトル缶の製造方法、及び
ボトル缶は、コイル状に巻かれた潤滑油を塗布したアルミニウム合金板から円形のブランクを打ち抜き、これをプレスなどでカップを成形し、さらにドローイング・アイアニング加工(DI加工)により有底円筒成形体とする。この円筒の口部をトリミングした後、脱脂洗浄により缶胴内外面の潤滑油を除去し、化成皮膜処理を施した後、乾燥する。
これらの外面塗料には、例えばラノリンやカルナウバ・ワックスといった動・植物系、例えばパラフィンといった鉱物系、例えばポリエチレンワックスといった合成系ワックス又はシリコーン樹脂等の潤滑剤が添加されている塗料が使用されており、硬化させる熱履歴によって塗膜硬度、滑り性、柔軟性が変化する。本発明では、これらの潤滑剤と共に、更に粒子状あるいは粉状の、例えばシリカ系、フッ素系といった耐ブロッキング剤を添加することが特徴である。
ゲル分率が80%未満の場合には、塗膜が軟らか過ぎ、ネッキング加工及びネジ加工に際し塗膜に傷が付く恐れがある。逆に96%を超える場合には加工時に塗膜に割れや剥離が生じる恐れがある。外面塗膜を上記ゲル分率の範囲に調整する方法としては、外面塗装後及び内面塗装後のガスオーブン等による焼付け条件(温度及び時間)を調整する方法が挙げられる。一般的には、外面塗料の焼付け条件は190℃以上×20秒程度、内面塗料の焼付け条件は200℃以上×60秒程度であるが、これらの焼付け条件より若干低めの条件で行う必要はある。又、ゲル分率の他の調整方法としては、外面塗料に含まれているアミノ樹脂等の硬化剤の添加量を少なめに配合する方法が挙げられる。
(トルクの測定法)
1stトルク:ボトル缶にキャップを締め、123℃で23分処理後、60℃において開栓したとき、キャップの回し初めからトルクが上がり、下がるところまでのトルク。
2ndトルク:1stトルクの後から、スカートのブリッジが切れるまでのトルク。
リシールトルク:開栓後のキャップを再栓していく時の最大トルク(ただし、開栓原点手前までのキャップを閉栓方向に回していく間でのトルクであり、開栓原点近傍でのトルクとは異なる)
試料を5cm×5cmに切断し、トルエン溶液(100℃)30分抽出した後デシケータ中で1時間放置したものを測定する。
抽出前の塗装板重量(=A)、抽出乾燥後の塗装板の重量(=B)とし、その差(A−B=C)とする。
抽出、乾燥後の塗装板から塗膜をはがして(角砂糖にアセトンをしみこませたもので掻き取る。)、板の重量を計測(=D)する。ゲル分率は次の式により求める。
ゲル分率(%)=100−[100×C/(A−D)]
通常の製缶工程により製造された有底円筒体の外面に、サイズコート処理・焼付けし(190℃×20秒)、その上に所定の印刷を施し、外面塗料にシリカ系あるいはフッ素系の耐ブロッキング剤を表1に示す割合で添加したポリエステル系樹脂を含む塗料によるオーバーコート(外面塗装)処理を行い、ガスオーブンにて190℃×15秒焼付けした。次に、エポキシ−アクリル系樹脂による内面塗装を行い、ガスオーブンにて200℃×50秒の加熱焼付けを行った。ネッキング加工を行うに当たり外面塗膜のゲル分率を測定したところ、表2に示すような硬化度を示した。
この塗装・焼付け処理を行った円筒体に対し、ネッキング加工及びネジ加工を行い、キャップ取付部分の外面塗膜の表面状態を目視にて観察したところ、塗膜の割れ等の欠陥は見られなかった。
これらのボトル缶に対して、試験的に水を充填後キャッピングし、123℃で23分のレトルト処理を施した後、60℃にて開栓及び再栓した時の開栓トルク及び再栓トルクの変化を測定し、結果を表2に示した。
実施例と同様に製造された有底円筒体の外面に、サイズコート処理・焼付けし(190℃×20秒)、その上に所定の印刷及び外面塗料としてポリエステル系樹脂を含む塗料によるオーバーコート(外面塗装)処理を行い、ガスオーブンにて190℃×15秒焼付けした。次に、エポキシ−アクリル系樹脂による内面塗装を行い、ガスオーブンにて200℃×50秒の加熱焼付けを行った。ネッキング加工を行うに当たり外面塗膜のゲル分率を測定したところ、90%であった。
この塗装・焼付け処理を行った円筒体に対し、ネッキング加工及びネジ加工を行い、キャップ取付部分の外面塗膜の表面状態を目視にて観察したところ、塗膜の割れ等の欠陥は見られなかった。しかし耐ブロッキング剤を添加していないので、1stトルク・2ndトルク、リシールトルク共に実施例より高い数値となった。
(比較例2)
比較例1と同様にしてオーバーコート、内面塗装をし、オーバーコート塗膜のゲル化率98%となるまで焼付を行い、ネッキング加工及びネジ加工をした。これのキャップ取付部分外面塗膜の表面状態を目視にて観察したところ、塗膜の一部に微細な亀裂が発見された。
この事から、ゲル分率の調整が外面塗膜割れの防止に有効であると共に、耐ブロッキング剤の添加が開栓トルク及び再栓トルクを下げるのに有効である結果となった。
Claims (4)
- 飲料用アルミニウム合金製ボトル缶製造工程において、成形された有底円筒成形体をサイズコート・焼き付けした後、ネジ部を除いて印刷し、次いで耐ブロッキング剤を添加した塗料を用いて塗装し、該外面塗膜をゲル分率が80〜96%の硬化状態に調整してネッキング加工及びネジ加工を行うことを特徴とするボトル缶の製造方法。
- 耐ブロッキング剤として、平均粒径が3〜10μmのシリカ系あるいはフッ素系の耐ブロッキング剤を用いる請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 耐ブロッキング剤を、外面塗料の樹脂分に対して0.01重量%〜5重量%配合した塗料を用いる請求項1または2に記載のボトル缶の製造方法。
- 耐ブロッキング剤を添加した外面塗膜が、ゲル分率として80〜96%の硬化状態になっており、且つ耐ブロッキング剤が少なくともネジ部の外面塗膜中に均一に分散していることを特徴とする飲料用アルミニウム合金製ボトル缶。
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