JP2005344247A - 帯電防止床材 - Google Patents

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恵英 若山
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正幸 今福
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Abstract

【課題】
可塑剤やホルモン様物質等を含まず、さらに帯電性が低く耐久性にも優れた非塩ビ系の床材を提供することを目的とする。さらに、従来の非塩ビ系床材の表層の耐磨耗性が悪いという点を改良することと、また、非塩ビ系床材の下地層が既存の接着剤で床下地との接着が可能にするようにすることを目的とする。
【解決手段】
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む表面抵抗が10Ω以下の表面材用樹脂フィルム層と、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含む裏面材用樹脂シート層とを積層した床材。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体、液晶デバイス、食品、医薬品、バイオテクノロジーなどの産業分野の工場、あるいは病院、小学校、中学校、高等学校、大学等の床に用いられる床材、及び個別住宅や共同住宅の床材、並びに製粉工場等の粉体を取り扱う工場の床材に関するものである。
従来、床材には主に塩ビ系材料が使用されていた。塩ビ系材料では、硬質の塩ビ樹脂を加熱した時に加工しやすいように、例えばフタル酸ジオクチル(以下、「DOP」と略す)などの可塑剤が使用される。可塑剤としてDOPを使用した塩ビクロスを建物の床材に使用した場合には、塩ビ床材からDOPが空気中に揮発してくる。空気中に揮発してきたDOPは、例えば、半導体や液晶デバイス工場では、製品に吸着して、製品の歩留まりを低減するという問題があった。また、例えば、学校の場合には、DOPを含む空気を生徒が長時間にわたって呼吸すると、ホルモン様物質を体内に取り込むおそれがあり、呼吸器系の病気やホルモン様物質の取り込みによる障害が出るおそれが指摘されている。
特別の分子量を有する可塑剤を使用することにより、可塑剤の揮発の問題はある程度解決することができる。しかしながら、塩ビを廃棄物として焼却処理した場合にダイオキシンが発生することが指摘されており、早急に塩ビやDOP等の可塑剤を使用しない床材を使用する必要に迫られている。
床材は、例えば、長尺床材のようにコンクリートの床面の上に貼って使用するが、安全に歩行できるようにクッション性があり且つ滑りにくいことが必要であり、しかも表面の磨耗性が小さく、さらに見た目がきれいであること等が求められる。
床材には帯電防止性であることも求められる。床材が樹脂材料で構成されている場合には、歩行による摩擦で床表面が帯電して埃等を吸着し、それによって床表面が汚染される。また、半導体や液晶デバイス工場等の精密部品を扱う工場では、作業員が歩行することによって着衣や人体に静電気が帯電して埃等を吸着し、製品の品質にも影響する。このため、床や人体が静電気を帯電しないように床材が導電性になるように工夫する必要がある。
従来、このような問題を解決するために、例えば、ポリエチレン系の樹脂に有機若しくは無機の帯電防止剤又は導電性材料を床材料に練りこむ方法がとられてきた。しかし、有機系帯電防止剤では十分な帯電防止性能を得ることは困難であり、また、帯電防止剤が摩擦や揮発等によって空気中に拡散して空気を汚染するという問題がある。そして、空気中に拡散して帯電防止剤が減少することを考慮して、予め帯電防止剤を多量に添加しなければならないという不経済な問題もある。
導電性材料として、例えば、カーボン粒子や酸化亜鉛を床剤表面に用いることも行われている。しかしながら、帯電防止剤の場合と同様に導電性材料を用いる場合でも空気中への放出・拡散が問題となり、実際、カーボン層や酸化亜鉛層を有する床材を用いた半導体工場では半導体製品の歩留まりや品質が低下するという問題が報告されている。
特公平2−51387号公報 特開2001−192984号公報 特開2001−261906号公報
本発明は、歩行性、クッション性、耐久性、耐磨耗性、滑りにくさ等の実用性を兼ね備え、且つ焼却処理によるダイオキシン発生の問題や可塑剤及びホルモン様物質によるシックスクール及びシックハウスの問題、及び帯電防止剤等の添加剤の飛散の問題のない非帯電性の床材を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、それ自体が導電性を有する特殊なポリオレフィン系ポリマーを床材として使用することにより、従来の床材を用いた場合に付随する問題を解決できること見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む表面抵抗が10Ω以下の表面材用樹脂フィルム層と、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含む裏面材用樹脂シート層とを積層した床材。
(2)表面材用樹脂フィルム層及び裏面材用樹脂シート層に使用される、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーがアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、且つα−オレフィンモノマーがエチレン、プロピレン及び/又はブテンである前記(1)記載の床材。
(3)表面材用樹脂フィルム層の共重合体中のカルボキシル基のうち30〜90%が、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の1価及び/又は2価の金属との塩である前記(1)又は(2)記載の床材。
(4)表面材用樹脂フィルム層の共重合体中のカルボキシル基が部分的にカリウムとの塩と、カルシウム及び/又は亜鉛との塩とを含むものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の床材。
(5)裏面材用樹脂シート層の共重合体中のカルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の床材。
(6)表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層との間に両層を熱接着可能な樹脂組成物中間層をさらに有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の床材。
(7)熱接着可能な樹脂組成物が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリオレフィン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)及びエチレン−ポリオレフィン共重合体からなる群より選択される前記(6)記載の床材。
(8)布状のバックアップ材が裏面材用樹脂シート層に貼り付けられている前記(1)〜(7)のいずれかに記載の床材。
(9)布状のバックアップ材が、綿、麻、棕櫚、ポリプロピレン、ポリエステル、ポバール及びアクリルからなる群より選択される素材の繊維により形成された布又は不織布である前記(8)記載の床材。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の床材を半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場の床に使用していることを特徴とする半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場。
(11)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の床材を病院、製薬工場又はバイオ関連設備の床に使用していることを特徴とする病院、製薬工場又はバイオ関連設備。
(12)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の床材を学校の教室の床に使用していることを特徴とする学校。
(13)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の床材を住宅の床に使用していることを特徴とする住宅。
(14)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の床材を粉体を取り扱う工場の床に使用していることを特徴とする粉体を取り扱う工場。
(15)カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり表面抵抗が10Ω以下の共重合体フィルムの片面を酸と接触させることを特徴とする床材の製造方法。
(16)カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり表面抵抗が10Ω以下の共重合体フィルムの片面を酸と接触させて得られる床材。
本発明の床材を半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の工場に使用すると、床材から出てくる汚染物質や添加剤が少なく、製造される製品を汚染することがなくなるので、製品の歩留まりを向上することができるという利点がある。また、病院や学校等の床に使用することにより、これまで病院や学校で問題にされてきた溶剤やホルモン様物質が出てこないので、患者、生徒、学生などをこうした汚染物質から守ることができる。さらに、本発明の床材を粉体を取り扱う工場に使用すると、従来、静電気によって樹脂製の床材にこびり付いてしまっていた粉体や粉塵が、こびりつかなくなるので、掃除によって容易に取り除くことができるために、工場の衛生環境を清潔に保つことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の床材は、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む表面抵抗が10Ω以下の表面材用樹脂フィルム層と、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含む裏面材用樹脂シート層とを積層した床材である。
本明細書において、カルボキシル基が「中和」されているとは、該カルボキシル基が1価及び/又は2価の金属と塩を形成していることを意味し、またカルボキシル基が「未中和」とは該カルボキシル基が遊離のカルボン酸の状態であることを意味する。また、「中和率」とは共重合体中の全カルボキシル基のうち上記金属塩を形成しているカルボキシル基の割合(%)のことを言い、「未中和率」とは共重合体中の全カルボキシル基のうち遊離酸の状態であるカルボキシル基の割合(%)のことを言う。
表面材用樹脂フィルム層
本発明の床材において、表面材用樹脂フィルム層は人間が歩行(接地)する面を構成する。表面材用樹脂フィルム層には、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体(以下、「共重合体(A)」とも言う。)を含む樹脂フィルム層が使用される。共重合体(A)中に占めるカルボキシル基を含有する不飽和モノマー成分の割合は、α−オレフィンモノマー成分に対して通常5〜25mol%であり、好ましくは10〜20mol%である。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
α−オレフィンモノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられるが、エチレンが好ましい。
本発明で用いられる共重合体(A)は、その共重合体(A)に存在するカルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属と塩を形成していることを特徴とする。該共重合体中のカルボキシル基が部分的に金属塩となることにより樹脂フィルム層の表面抵抗値が下がり、床材の帯電性を改善することができる。共重合体(A)中の全てのカルボキシル基のうち金属塩を形成しているものの割合は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂フィルム層の表面抵抗が10Ω以下、より好ましくは10Ω以下となるような割合であることが好ましい。1価及び/又は2価の金属を用いて(例えば、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを併用して)、共重合体(A)中の全カルボキシル基のうち、例えば、30〜90%、好ましくは50〜80%程度を金属塩とする(即ち、中和率30〜90%、好ましくは50〜80%程度)ことにより、樹脂フィルム層の表面抵抗を10〜10Ω程度とすることができる。共重合体中の全カルボキシル基に占める金属塩の割合が低すぎると樹脂フィルム層の表面抵抗が高くなる傾向にあり、また、その割合が高すぎると樹脂フィルム層の強度が低下するので好ましくない。
カルボキシル基の金属塩としては1価及び/又は2価の金属の塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等)、及び亜鉛の塩等が挙げられ、カリウムとの塩とカルシウム及び/又は亜鉛とが好ましい。本発明では、金属としてカリウムを用いて共重合体(A)中のカルボキシル基の50〜70%を中和する(カリウム塩とする)ことが好ましい。カリウムを用いると、フィルムの電気抵抗を10Ω以下まで下げることができる上、表面の粘着性や、汚れの付きにくさ、耐摩耗性などの点で、他の金属を用いた場合よりも優れた性能の床材とすることができる。なお、共重合体(A)中のカルボキシル基の金属塩は1種類に限定されるものではなく、複数の金属塩が混在していてもよい。
本発明で用いられる表面材用樹脂フィルム層はそれ自体が導電性(帯電防止性)を有しているので、有機系若しくは無機系帯電防止剤や導電性物質の樹脂フィルム層への添加量は従来の床材と比較して大幅に低減させることができる。有機系若しくは無機系帯電防止剤や導電性物質は塵埃やアウトガスの原因物質ともなるので、好ましくは、それらの帯電防止剤や導電性物質を表面材用樹脂フィルム層に添加しない。また、顔料も塵埃やアウトガスの原因物質であり空気を汚染する可能性があるので添加しないことが好ましい。さらに、本発明で用いられる表面材用樹脂フィルム材は、塩ビ系樹脂と異なり可塑剤も添加する必要はない。
本発明で用いられる表面材用樹脂フィルム層の厚さは、耐久性、美観、強度等を考慮して30〜200μmとすることが好ましく、60〜100μmがさらに好ましい。
なお、表面抵抗は、例えば、アジレントテクノロジー社製のpAmeter等を使用して測定することができる。
裏面材用樹脂シート層
本発明の床材において、裏面材用樹脂シート層は床地に接着される面を構成する。
裏面材用樹脂シート層はコンクリート床等の床地に接着剤を用いて接着されるが、裏面材用樹脂シート層としてポリオレフィン系の樹脂が用いられた場合、両者の接着が十分ではない場合がある。このようなことから、これまでポリオレフィン系裏面材を床に接着させる方法として、例えば、接着面を加工して接着しやすくする方法等が提案されている。しかしながら、大面積の床材を加工処理するには新たな設備や余分の加工時間を必要とする。その他に、カンレイシャを裏面材に貼った床材も提案されているが、カンレイシャとポリオレフィン樹脂との接着強度が十分ではなく、各層が剥離しやすいという問題があった。
本発明者らは、このような裏面材と床地との接着強度の問題を、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を裏面材として用いることにより解決できることを見出した。
本発明では裏面材用樹脂シート層としては、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体(以下、「共重合体(B)」とも言う。)を含む樹脂シート層が使用される。共重合体(B)中に占めるカルボキシル基を含有する不飽和モノマー成分の割合は、α−オレフィンモノマー成分に対して通常5〜25mol%であり、好ましくは10〜20mol%である。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
α−オレフィンモノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられるが、エチレンが好ましい。
本明細書において「カルボキシル基が実質的に未中和」とは、共重合体(B)中の全カルボキシル基のうち50%(mol)以上、好ましくは60〜99%(mol)、さらに好ましくは70〜99%(mol)が中和されていないカルボキシル基(即ち、遊離酸の状態のカルボキシル基)で存在していることをいう(即ち、未中和率50%以上、好ましくは60〜99%、さらに好ましくは70〜99%)。上記のような共重合体(B)を裏面材用樹脂シート層として用いることにより、接着剤(特にエポキシ系又はウレタン系接着剤)との接着性が向上する。
本発明においては、共重合体(A)及び(B)のモノマーとして、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの他に、所望によりアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを併用して重合した共重合体を用いてもよい。これらのエステルの事例としては、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル及びヒドロキシエチルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの使用割合は、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの合計100重量部に対して5〜10重量部とすることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる表面材用樹脂フィルム層及び裏面材用樹脂シート層は、公知の低密度ポリエチレンを混合して使用することもできる。その場合の低密度ポリエチレンの使用量は、共重合体(A)又は共重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で添加することができる。
樹脂組成物中間層
本発明の床材では、所望により、表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層との間にそれら両層を熱接着可能な樹脂組成物を中間層として設けてもよい。そのような樹脂組成物としては、例えば、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリオレフィン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)及びエチレン−ポリオレフィン共重合体が挙げられる。これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記中間層に使用できるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとα‐オレフィンとの共重合体としては、先に記載したのと同様のものが挙げられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合によって得られる共重合体であって、エチレンに対して酢酸ビニルがモル%で1〜10%程度のものが使用できる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して作られたもので、酢酸ビニルのエステル部分の90%以上が水酸基となっているものが好ましい。ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルのエステル部分の90%以上が鹸化されて水酸基となっているものが好ましい。
次に本発明に用いられる樹脂フィルム層の製造方法について説明する。
本発明で使用される共重合体(A)及び共重合体(B)は以下の公知の方法により製造することができる。例えば、まず、原料のカルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル類)とを圧縮工程で加圧してオートクレーブに供給し、周囲から加熱して、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤を供給し、重合反応を行うことにより共重合体を得る。
次いで、上記のようにして得られた共重合体をそのままシート状に成形すれば裏面材用樹脂シート層として使用される共重合体(B)が得られる。
また、次のように、共重合体中のカルボキシル基の一部を金属塩に変換することにより、表面材用樹脂フィルム層で使用される共重合体(A)とすることができる。まず、共重合体を粉砕して微粉化する。次いで、微粉化した共重合体を水中に分散させ、これに所定の量のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛等の1価及び/又は2価の金属の水酸化物を加えて高速攪拌することによりカルボキシル基を金属塩に変換して共重合体(A)を得ることができる。
このようにして得られる上記共重合体(A)及び(B)は、例えば、スプレードライなどによって乾燥し、次いで通常の押し出し機等によって造粒される。共重合体(A)及び(B)の造粒品は、必要に応じてその他の重合体(例えば、低密度ポリエチレン等)等を混合して押し出し成形機やフィルム成形機によってフィルム状に成形されて共重合体(A)及び(B)を含む表面材用樹脂フィルム層及び裏面材用樹脂シート層が得られる。
表面材用樹脂フィルム層の厚さは、目的によって異なるが、通常30〜100μmである。この程度の厚さの場合にはほとんど透明であるために、中間層及び裏面材用シート層の色を遮蔽してしまうことはない。このため、中間層や裏面材用シート層のみに顔料等を加えて着色すれば色彩の鮮やかな床材とすることができ、また中間層や裏面材用シート層は表面材用フィルム層によりコーティングされるため、歩行磨耗等による顔料の飛散が生じることもない。
本発明の床材を着色するには、表面材用フィルム層と接着する次の層(即ち、中間層又は裏面材用樹脂シート層)に着色剤を添加して着色する。着色剤は有機や無機の顔料を加えるが、その種類と使用量とは要求される色に応じてかわる。
上述のように、中間層及び裏面材用シート層からはアウトガスや塵埃が飛散するおそれはないので、中間層及び裏面材用シート層に他の添加剤(例えば、帯電防止剤、導電性物質、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、抗菌剤、難燃剤等)等を添加してもよい。帯電防止剤としては、例えば、第四級アルキルアリルアンモニウム塩、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルアミン、アルキルエーテルアミン等が挙げられ、導電性物質としては、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミ粉末等が挙げられる。中間層や裏面材用樹脂シート層の帯電防止性を向上させるために、上記のような帯電防止剤又は導電性物質を添加して、その表面抵抗を1012Ω以下、好ましくは1010Ω以下、さらに好ましくは10Ω以下とする。
さらには、中間層及び裏面材用シート層にはフィラーを添加してもよい。フィラーの種類としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミ、アルミナ、水酸化マグネシウム等がある。これらのフィラーの使用割合は中間層又は裏面材用樹脂シート層に対して0.1〜40重量%程度とすることができる。
また、中間層を発泡して、発泡体として使用することもできる。発泡剤には、ジアゾ化合物のように、加熱すると窒素を発生するタイプのものが使用しやすい。また、よく知られている低沸点溶剤やオゾン破壊の少ないフロン化合物によって発泡することもできる。発泡倍率は、もとの容積の1.5〜10倍、通常は2〜5倍程度が好ましい。上記のフィラーを使用して、さらに発泡した物を使用することもできる。
上記の表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層と、必要によりそれらの層の間に樹脂組成物中間層を挟んで押し出し機等によってシート状に押し出して成形し、場合により熱ロールで両者を加熱しながら貼り合わせて本発明の床材を得る。このシートの厚みは、床材全体で貼り合わせるシートの枚数によって異なるが、通常0.3〜3.0mmである。あるいは、表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層とを別々に生産してそれぞれロール状にして巻き取って保管し、別途接着工場において、表面材用樹脂フィルム層ロールと裏面材用樹脂シート層ロールとを圧着ロールに供給して貼り合わせてもよい。
表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層と、必要により樹脂組成物中間層とを貼り合わせた床材は適切な柔軟性を有するが、強度を上げるために裏面材用樹脂シート層に布状のバックアップ材を貼付することが好ましい。そうしたバックアップ材としては、綿、麻、棕櫚、カンレイシャ等の植物系繊維素材や、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポバール繊維、アクリル繊維等の合成繊維素材を用いて形成した布又は不織布等が挙げられる。
これらのバックアップ材を裏面材用樹脂シート層に貼り合わせる方法としては、裏面材用樹脂シート層と一緒に圧着ロールに供給して貼り合わせたり、あるいは、表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層と、必要に応じて中間層とを貼り合わせ、これを最終的に布状バックアップ材とともに熱圧着ロール機に供給して貼り合わせる方法等が挙げられる。
本発明の床材の製造方法としては、上記のように各部材を別々に製造してそれらを貼り合わせる方法が一般的であるが、これ以外に、例えば、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり且つ表面抵抗が10Ω以下である共重合体(A)のフィルム(表面材用樹脂フィルム層)を製造し、この表面材用樹脂フィルム層の片面を酸と接触させる方法も挙げられる。表面材用樹脂フィルム層の片面を酸と接触させることにより、表面材用樹脂フィルム層の片面側をカルボキシル基が実質的に未中和(例えば、全カルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基)である面とすることができる。酸と接触させる方法としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸や酢酸等の有機酸の水溶液で表面材用樹脂フィルム層の片面を洗い流したり、あるいはそれらの酸性水溶液を塗布する方法等が挙げられる。
この製造方法によれば、表面材と裏面材とを樹脂組成物中間層等を用いて接着するような工程は必要なく、簡単な酸処理工程で本発明の床材を製造することができる。また、この方法により製造される床材は表面材と裏面材とが1枚の共重合体フィルムから構成されるので、表面材と裏面材とが層間剥離するおそれがない。
あるいは、表面材樹脂フィルム層及び裏面材樹脂シート層を両方とも、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を用い、所望によりそれらの間に中間層等を挟んで圧着して成形し、その成形シートのどちらか一方の面だけを酸性水溶液と接触させてもよい。
上記のようにして得られる本発明の床材は帯電性が少なく、また床材からのアウトガス(床材の添加剤、可塑剤、溶剤、及びその他の揮発成分)がほとんどないので、アウトガスや塵埃の発生が問題となる場所において使用するのに適している。
本発明の床材は、例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場の床材に使用することができる。従来のポリ塩化ビニル製の床材では帯電防止性を上げるために有機系帯電防止剤又は酸化亜鉛等の無機系の導電性フィラーを添加する必要があった。有機系帯電防止剤は使用条件によってはアウトガスとなってクリーンルームの空気中に揮発して空気を汚染する場合があり、また、無機系の導電性フィラーは床材の膜表面に単に付着しているだけなので、床材表面から剥がれやすく、空気中の塵埃の原因となっていた。このためポリ塩化ビニル製の床材は、これまで、微粒子数の許容範囲が1000個/立方フィート(ft3)以上程度のかなり制限のゆるい工場でしか使用できなかった。これに対して、本発明の床材はアウトガス及び粉塵の発生がないために、空気中の微粒子数の制限がもっと厳しい10個/ft3クラスのクリーンルーム(例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場)の床材に使用することができる。本発明の床材をこれらの工場で使用することにより、アウトガス及び塵埃による製品の汚染を防ぐことができ、製品の歩留まり及び品質を向上することができる。
また、本発明の床材は、病院、製薬工場、バイオ関連設備等の衛生管理が必要とされる建築物の床材として使用することができる。例えば、病院の場合には、従来の床材では静電気によって床面に細菌・ウイルス類が吸着し、場合によってはこれが院内感染の原因となることもあるが、本発明の床材は帯電しないのでその表面に細菌・ウイルス類が付着するおそれはなく、院内感染の問題は生じない。また、従来のポリ塩化ビニル製床材のように床材内部から可塑剤(所謂環境ホルモンでもある)が揮発して、患者及び病院内の人の健康を害することもなくなる。同様に、製薬工場及びバイオ関連設備で使用する場合においても、アウトガスや塵埃の発生がないために優れた清浄度の製造環境を提供することができる。
また、本発明の床材は、乳幼児や生徒や学生が集まる保育園、幼稚園、学校、大学、専門学校等の教室の床材や、多くの人々が集まるホールや講堂等の床材に使用することができる。従来のポリオレフィンからなる床材の場合には、帯電防止性を付与するために多くの帯電防止剤を添加するので、該添加剤の空気中への揮発による空気汚染の危険性があった。これに対して本発明の床材は帯電防止剤を添加しなくても十分な帯電防止性能を有し、また従来の塩ビ製の床材のような環境ホルモンとなるような可塑剤も必要としないため、これらのアウトガスが発生しないために教室やホール等の床材に使用しても安全である。また、多くの生徒が出入りする教室やホール等では衣服からの繊維等による綿埃が発生するが、本発明の床材は帯電防止性であるために、これらの綿埃の床への付着による床面の汚れを防止することができる。
また、本発明の床材は、戸建住宅、共同住宅等の住宅の床面に使用することができる。例えば、準不燃性の床材が使用される台所や風呂等に使用することが好ましい。本発明の床材は耐汚染性に優れているので、台所からでる油や調味料が付着しにくく、床を清潔に維持することができる。また、化学物質に対する耐性が大人の1/3程度しかない乳幼児や子供がいる家庭では、アウトガスや環境ホルモンを出さない床材を使用することは乳幼児・子供の健全な育成には特に重要である。また、乳幼児・子供に対してだけでなく、大人であってもアウトガスや環境ホルモンが微量でも存在する住宅内に長時間滞在すると、それらが体内に蓄積するおそれがあるため、本発明の床材を使用することが好ましい。
さらに、本発明の床材は粉体を取り扱う工場の床面に使用することができる。本発明で言う粉体を取り扱う工場としては、例えば、食品等の粉砕工場、樹脂の混練工場、薬品の粉砕工場等が挙げられる。粉体を扱う工場では空気中舞い上がって静電気を帯びた粉体が床面に付着して床面を汚染することが問題であったが、本発明の床材を使用すれば粉体は床面に付着することなく床面は常に清潔に保たれる。
以上述べたように、本発明の床材は耐久性、耐磨耗性、床地への接着性等の実用性を兼ね備えているだけでなく、アウトガスや添加剤の飛散がなく且つ非帯電性のため塵埃の吸着が少ないのでその環境が清浄に維持される。そのため、本発明の床材は、半導体工場、製薬工場及び学校等の床材として有用である。また、本発明の床材からは環境ホルモンの発生はなく、さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害物質を発生することもなく、環境・人体に優しい床材である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例では、床材及びその材料の物性の評価は以下のようにして行った。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体中のカルボキシル基の金属塩の分析
本発明においては、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体中のカルボキシル基と塩を形成する金属の種類とその金属塩を形成した割合(中和率)とが重要であり、次のような方法で共重合体試料を分析した。すなわち、1Lのポリエチレン製のふた付きビンに共重合体試料100gを詰め、これに特級の希硝酸(2重量%濃度)を300g加え、次いで振盪機に24時間かけて振り続けて金属を溶出させた。溶出した金属の種類と量を誘導結合プラズマ・マススペクトル(ICP/MS)装置(横河アナリティカルシステムズ社製HP-4500)を用いて測定した。また、裏面の表層をCOOHにする場合には、試験シート全体をこの装置に入れて、硝酸水溶液中で振盪して試験シートを作った。部分中和にする場合には、振盪時間を短くして調整した。また、床材の歩行面となる表層に使用する試料に混合金属による中和品がない場合には、カリウム中和シートを、硝酸での洗浄時間を調整ながらカリウムを洗い出し、次に、水酸化カルシウムのスラリーにこのフィルムを入れて、表層だけを混合中和する方法をとった。混合中和品がある場合には、それを使用した。
表面抵抗の測定
表面抵抗は、アジレントテクノロジー社製のpAmeter/DC VOLTAGE SOURCE 4140Bを用いて測定した。この表面抵抗計では、この測定端子をシートに押し付けることによって、表面抵抗値が表示される。
床材のアウトガス(有機物)量の測定
樹脂フィルム又は床材からのアウトガス発生量は、ダイナミックヘッドスペース/ガスクロマトグラム・マススペクトル(DHS/GC/MS)法で測定した。試料中の揮発性成分を気化させるため、サンプルホルダーの試料にヘリウムガスを流しながら温度150℃で30分間加熱した。加熱によりヘリウム中に気化してきたアウトガスをテナックス管(GESTEL社製)に導入して吸着させた。吸着管に捕集されたアウトガスをGC/MS装置に流して種類と量とを測定した。ガスクロマトグラム装置のカラムはキャピラリーカラム(液層:Pheny Methyl Siloxaneで、その長さは60mであり、また、測定温度は常温から280℃とした。DHS/GC/MS装置はアジレントテクノロジー社製の分析装置を使用した。
耐摩耗性の測定
耐摩耗性の測定はJIS K 7204記載の方法に準じて行った。耐摩耗性の測定機械は、理学工業社製のテーバー磨耗試験機を使用した。
帯電防止性の測定
帯電防止性能は、JIS L 1094に記載の方法に準じて、シシド静電気社製の帯電圧測定装置を用いて測定した。温度23℃、相対湿度50%において、同社のスタチックネオストメーターにより試料を帯電させ、最大帯電圧の半分の電圧になるまでに要する時間、つまり半減期を測定する。半減期が短いほど放電し易い(即ち、帯電し難い)ということができる。
床材の接着試験
床材の接着試験は、JISに準拠した90度はく離法で行った。すなわち、床材の試験体(長さ200mmx幅30mm)の接着面(長さ150mmx幅30mm)にエポキシ系接着剤(コニシボンド社製、E250)を塗布し、これを長さ150mmx幅70mmx厚さ5mmのフレキシブル板に接着した。接着剤の使用量は、500g/m2とした。接着強度の測定は、JIS A5536:2003(16頁)に記載の試験法に準じて行ない、上記床材試験体の縦(長さ)方向のフレキシブル板より長い部分で接着されていない部分をチャックで掴んで、インストロン試験機で引っ張り上げて測定した。
クリーンルームでの試験条件
本実施例では床材を施工する建築物のモデルとして以下のような小型のクリーンルームを使用した。
大きさ・・・・・・ 4.4m(縦)×4.0m(横)×2.7m(高さ)
壁紙の施工面積・・ 45m
床材の施工面積 17.1m2
循環空気量・・・・ 1400m/hr
取り入れ空気量・・ 240m/hr
クリーンルームの温度 23℃
クリーンルームの相対湿度 40%
後述する実施例及び比較例の床材を、上記クリーンルームの床に貼って3日後にテナックス吸着管で空気を取り入れて、空気中の有機物濃度を測定した。
上記の条件にて3日間運転した後にサンプリングしてクリーンルーム中の空気を分析した。空気中の壁紙からのアウトガス(有機物)量は、クリーンルームから排出される空気をテナックス吸着管に導入し、吸着前後のテナックス吸着管の重量変化から求めた。また、テナックス吸着管に吸着した有機物をGC/MS装置で分析した。分析条件は上述の「アウトガス(有機物)量の測定」に記載した条件と同じである。クリーンルーム中の有機物量(μg/m)は、テナックス吸着管に吸着した有機物量(μg)を導入空気量(m)で除して求めた。
歩行帯電性試験
歩行帯電性の試験は次のようにして行った。300mm角に切断した床材試験片を300mm角のコンクリート床板にエポキシ樹脂接着剤で貼り付けたものを4個用意し、これを温度23℃、湿度40%に保たれたクリーンルーム内に設置した。被験者に、半導体や液晶デバイス製造等のクリーンルーム内で着るクリーン服(ガードナー社製)、帯電防止性の歩行靴(ガードナー社製)、及び静電気測定端子を装着した。被験者に床材試験片上を毎分60歩で足踏みしてもらい、歩行帯電性測定機器(シシド静電気社製、スタチロンDS)を使用して被験者に帯電した静電気を測定した。
クリーン服の摩擦により静電気が生じ、被験者は静電気を帯電する。この静電気は帯電防止製の靴を通して床に伝えられる。このとき、床材の帯電防止性能が高ければ、被験者に帯電した静電気は床を通して放電される。したがって、被験者に帯電する静電気を測定することにより床材の帯電防止性能を評価することができる。
クリーンルームのガス状有機物量(アウトガス)の評価
実施例で作成した床材及び市販の塩ビ系床材(ロンシール工業製、ロンンスタック)を上記クリーンルームの床に貼り、運転開始7日後にテナックス吸着管に空気を送り込んで空気中の有機物濃度を測定した。有機物濃度の測定は、上記「床材のアウトガス(有機物)量の測定」に記載した方法に準じて行った。その結果、実施例の床材は市販の床材よりもクリーンルーム内でのガス状有機物量の発生量が少ないことが分った。
(実施例1)
表面材用樹脂フィルム層のエチレン−アクリル酸共重合体として、三井デュポンケミカル社製の商品名ハイミラン樹脂のカリウム中和品(エチレン:アクリル酸=85mol%:15mol%、中和率(60%)を使用し、また、裏面材用樹脂シート層には、同上共重合体(但し、カルシウムで30mol%中和;未中和率70%)を用い、2層を重ね合わせて共押し出し成形機によって成形と同時に接着した。できあがった床材は厚さ200μmであった(図1)。得られた床材用シートの諸物性を測定した。もともと、ガス状有機物が出にくい材料なので、加熱によって発生する有機物も少ないことがわかった。
このシートをアルミダイキャスト床板に熱接着した。アルミとの接着性は十分にあり、その表面保護剤として使用できることが分った。(図2)
(実施例2)
実施例2では上層の表面材用樹脂フィルム層として上記ハイミラン樹脂(中和によりカリウム塩とカルシウム塩とを形成(中和率70%))と、中間層として三井デュポンケミカル社製のエチレン−酢酸ビニルEVA樹脂(商品名エバフレックス)と、最下層の裏面材用樹脂シート層としてエチレン−(メタ)アクリル酸樹脂(du Pont社のNUCREL)フィルム(カルボキシル基の未中和率100%)とを重ね合わせて圧着して3層からなる床材を成形した(図3)。上層の樹脂フィルム層は約80μmで、中間層が約2mmで、最下層の樹脂シート層が約80μmで、合計の厚みは約2.2mmであった。
この床材について種々の試験を行なった。その結果、市販の床材及び有機系帯電防止剤を配合したオレフィン系床材と比較して、本発明の床材はガス状有機物(アウトガス)が少ないことが分った。また、オレフィン系床材の問題点である耐摩耗性も十分であることが分った。また、中間層が存在しても本発明の床材は十分な帯電防止効果を有することがわかった。さらに、エポキシ樹脂を用いてコンクリート下地にこの床材を貼り付けたところ、十分な接着強度を有することが分った。
(実施例3)
表面材用樹脂フィルム層としてエチレンーアクリル酸共重合体(中和によりカリウム塩とCa塩とを形成(中和率80%))と、中間層として炭酸カルシウムを20重量%含む上記EVA樹脂シートと、裏面材用樹脂シート層としてカルボキシル基の約30mol%がカルシウム塩であるエチレンーアクリル酸共重合体(未中和率70%)とを用い、これらを重ね合わせて圧着し、3層からなる床材を成形した。
この床材について種々の試験を行なった。その結果、市販の床材及び有機系帯電防止剤を配合したオレフィン系床材と比較して、床材自体から出るガス状有機物(アウトガス)が少ないことが分った。また、オレフィン系床材の問題点である耐摩耗性も十分であることが分った。また、フィラーを含有する中間層を使用しても十分な帯電防止効果を有することがわかった。さらに、エポキシ樹脂を用いてコンクリート下地にこの床材を貼り付けたところ、十分な接着強度を有することが分った。
(実施例4)
最上層の表面材用樹脂フィルム層として、(1)エチレン−アクリル酸共重合体(中和によりカリウム塩と亜鉛塩とを形成(中和率75%))と、(2)接着層として上記EVA樹脂とを共押し出しして張り合わせたものを使用した。また、(3)中間層として通常の高圧法ポリエチレン樹脂に炭酸カルシウム10重量%と酸化亜鉛20重量%とを加えて成形したシートを使用し、裏面材用樹脂シート層として、(4)上記EVA樹脂からなるフィルム(中間層との接着面)と(5)カルボキシル基の約30mol%がカリウム塩(未中和率70%)であるエチレン−アクリル酸共重合体とを用い、上記(1)〜(5)を重ね合わせて圧着し、5層からなる床材を成形した。
この床材について種々の試験を行なった。その結果、本発明の床材は十分な耐摩耗性を有していることが示された。また、最上層(1)と最下層(5)にカリウムで中和したエチレン−アクリル酸共重合体層を配し、さらに中間層に酸化亜鉛のような導電性を有するフィラーを使用すると、優れた帯電防止効果を奏することがわかった。また、エポキシ樹脂を用いてコンクリート下地にこの床材を貼り付けたところ、十分な接着強度を有することが分った。
(実施例5)
表面材用樹脂フィルム層として、エチレン−アクリル酸共重合体(中和によりカリウム塩と亜鉛塩とを形成(中和率75%))と、中間層として炭酸カルシウムを20重量%含む上記EVA樹脂シートと、裏面材用樹脂シート層として表面材用樹脂フィルム層と同じ樹脂材料を用い、これら3層を重ね合わせて、3層からなる床材を成形した。次に、この床材の裏面材用樹脂シート層の床下地と接着する面に連続的に5%の希硝酸を掛けて洗い、次いで温風で乾燥した。これにより、裏面材用樹脂シート層のカルボキシル基は塩の形態から遊離酸の形態に戻り、裏面材用樹脂シート表層のカルボキシル基の未中和率が95%である床材を得た。
この床材について種々の試験を行なった。その結果、本発明の床材は優れた耐摩耗性を有することが分った。また、中間層が存在しても十分な帯電防止効果を有することがわかった。この希硝酸洗浄面にエポキシ系接着剤を塗布してコンクリート下地にこの床材を貼り付けたところ、十分な接着強度を有することが分った。
(実施例6)
表面材用樹脂フィルム層として、エチレン−アクリル酸共重合体(中和によりカリウム塩とカルシウム塩とを形成(中和率80%))と、中間層として炭酸カルシウムを30重量%含むEVA樹脂シートと、裏面材用樹脂シート層としてカルボキシル基の約30mol%がカルシウム塩であるエチレン−アクリル酸共重合体(未中和率70%)とを用い、これらを重ね合わせて圧着した。さらに、この床材にバックアップ材としてポバール繊維製の布を貼り付けて4層ならなる床材を作った。
この床材について種々の試験を行なった。その結果、市販の床材及び有機系帯電防止剤を配合したオレフィン系床材と比較して、床材自体から出るガス状有機物(アウトガス)が少ないことが分った。また、オレフィン系床材の問題点である耐摩耗性も十分であることが分った。また、フィラーを含有する中間層を使用しても十分な帯電防止効果を有することがわかった。さらに、エポキシ樹脂を用いてコンクリート下地にこの床材を貼り付けたところ、十分な接着強度を有することが分った。
(比較例1)
比較例として工場等に使用される塩ビ系床材(ロンシール工業、ロンンスタック)を用いた。この製品は帯電防止性に優れているが、環境ホルモンとなる可塑剤が添加されており、また、塩ビを使用しているので焼却時にダイオキシンが発生するという問題があった。また、アウトガス量も、本発明の塩ビ系のものに比べて極めて多いことが分った。
(比較例2)
比較例として、通常の高圧法ポリエチレンに炭酸カルシウムと酸化亜鉛を添加した床材を用いた。炭酸カルシウムは接着性の向上のために、また酸化亜鉛は帯電防止のために添加した。この床材は、(1)磨耗量が多い、(2)帯電防止性能が不十分である、そして(3)接着性が悪いという問題みられ、床材として不適当であった。
(比較例3)
ポリエチレン系材料を使用して、これに有機系帯電防止剤を使用した床材を製造した。この床材は耐摩耗性が悪く、またアウトガス量が多く、さらに接着性が悪いという問題があり、床材として不適当であった。
本発明によれば、耐摩耗性や帯電防止性に優れ、しかもアウトガスの少ない床材を提供できる。また、塩ビ系材料やDOP等の環境ホルモン物質を含まず、環境や人に優しい床材である。本発明の床材は清浄な環境が必要とされる施設、例えば、半導体工場等の精密部品工場、病院、学校等の床材として有用である。
図1は、実施例1の床材の断面図である。 図2は、実施例1の床材をアルミダイキャストに接着したものの断面図である。 図3は、実施例2の床材の断面図である。 図4は、実施例6の床材の断面図である。

Claims (16)

  1. カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む表面抵抗が10Ω以下の表面材用樹脂フィルム層と、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含む裏面材用樹脂シート層とを積層した床材。
  2. 表面材用樹脂フィルム層及び裏面材用樹脂シート層に使用される、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーがアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、且つα−オレフィンモノマーがエチレン、プロピレン及び/又はブテンである請求項1記載の床材。
  3. 表面材用樹脂フィルム層の共重合体中のカルボキシル基のうち30〜90%が、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の1価及び/又は2価の金属との塩である請求項1又は2記載の床材。
  4. 表面材用樹脂フィルム層の共重合体中のカルボキシル基が部分的にカリウムとの塩と、カルシウム及び/又は亜鉛との塩とを含むものである請求項1〜3のいずれか1項記載の床材。
  5. 裏面材用樹脂シート層の共重合体中のカルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基である請求項1〜4のいずれか1項記載の床材。
  6. 表面材用樹脂フィルム層と裏面材用樹脂シート層との間に両層を熱接着可能な樹脂組成物中間層をさらに有する請求項1〜5のいずれか1項記載の床材。
  7. 熱接着可能な樹脂組成物が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリオレフィン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)及びエチレン−ポリオレフィン共重合体からなる群より選択される請求項6記載の床材。
  8. 布状のバックアップ材が裏面材用樹脂シート層に貼り付けられている請求項1〜7のいずれか1項記載の床材。
  9. 布状のバックアップ材が、綿、麻、棕櫚、ポリプロピレン、ポリエステル、ポバール及びアクリルからなる群より選択される素材の繊維により形成された布又は不織布である請求項8記載の床材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の床材を半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場の床に使用していることを特徴とする半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項記載の床材を病院、製薬工場又はバイオ関連設備の床に使用していることを特徴とする病院、製薬工場又はバイオ関連設備。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項記載の床材を学校の教室の床に使用していることを特徴とする学校。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項記載の床材を住宅の床に使用していることを特徴とする住宅。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項記載の床材を粉体を取り扱う工場の床に使用していることを特徴とする粉体を取り扱う工場。
  15. カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり表面抵抗が10Ω以下の共重合体フィルムの片面を酸と接触させることを特徴とする床材の製造方法。
  16. カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり表面抵抗が10Ω以下の共重合体フィルムの片面を酸と接触させて得られる床材。
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