JP2007186853A - 導電性床の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電防止性能に優れた導電性床材の簡便な施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填することを含む導電性床の施工方法。

Description

本発明は、半導体、液晶デバイス、食品、医薬品、バイオテクノロジーなどの産業分野の工場、病院、小学校、中学校、高等学校、大学等の学校、個別住宅や共同住宅等の住宅、及び製粉工場等の粉体を取り扱う工場の床材及びその施工方法に関する。
床材は、例えば、長尺床材のようにコンクリートの床面の上に貼って使用するが、安全に歩行できるようにクッション性があり且つ滑りにくいことが必要であり、しかも表面の磨耗性が小さく、さらに見た目がきれいであること等が求められる。
床材には帯電防止性であることも求められる。床材が樹脂材料で構成されている場合には、歩行による摩擦で床表面が帯電して埃等を吸着し、それによって床表面が汚染される。また、半導体や液晶デバイス工場等の精密部品を扱う工場では、作業員が歩行することによって着衣や人体に静電気が帯電して埃等を吸着し、製品の品質にも影響する。さらには、人体や着衣に静電気が帯電した状態で、例えばドアノブ等に接触すると、指先とドアノブとの間で静電気が放電して不快である。このようなことから、床や人体が静電気を帯電しないように床材が導電性になるように工夫する必要がある。
従来、このような問題を解決するために、例えば、ポリエチレン系の樹脂に有機若しくは無機の帯電防止剤又は導電性材料を床材料に練りこむ方法がとられてきた(例えば、特許文献2参照)。しかし、有機系帯電防止剤では十分な帯電防止性能を得ることは困難であり、また、帯電防止剤が摩擦や揮発等によって空気中に拡散して空気を汚染するという問題がある。そして、空気中に拡散して帯電防止剤が減少することを考慮して、予め帯電防止剤を多量に添加しなければならないという不経済な問題もある。
導電性材料として、例えば、カーボン粒子や酸化亜鉛を床材表面に用いることも行われている。しかしながら、帯電防止剤の場合と同様に導電性材料を用いる場合でも空気中への放出・拡散が問題となり、実際、カーボン層や酸化亜鉛層を有する床材を用いた半導体工場では半導体製品の歩留まりや品質が低下するという問題が報告されている。
特公平2−51387号公報 特開2001−192984号公報 特開2001−261906号公報
本発明は、歩行性、クッション性、耐久性、耐磨耗性、滑りにくさ等の実用性を兼ね備え、及び帯電防止剤等の添加剤の飛散(アウトガス)の問題がなく、床表面の静電気を床下地に確実に放電できる導電性床及びその簡便な施工方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、それ自体が導電性を有する特殊な共重合体を床材として使用し、そしてそれらの床材の間隙に導電性目地材を充填することにより当該課題を解決できること見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と電気的にアース(接地)されている床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填することを含む導電性床の施工方法。
(2)表面材用フィルム層が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む樹脂である前記(1)記載の方法。
(3)目地材が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む樹脂である前記(1)又は(2)記載の方法。
(4)目地材の共重合体中のカルボキシル基のうち30〜90%が、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の1価及び/又は2価の金属との塩である前記(3)記載の方法。
(5)床材が裏面材用フィルム層をさらに有し、該裏面材用フィルム層が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含むものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(6)裏面材用フィルム層の共重合体中のカルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基である前記(5)記載の方法。
(7)表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と電気的にアース(接地)されている床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填して製造した導電性床。
(8)目地材が導電性フィラーを添加した非導電性ポリマーである前記(7)記載の導電性床。
(9)最表面が非導電性ポリマー及び導電性ポリマーの順でさらにコーティングされている前記(7)又は(8)記載の導電性床。
(10)前記導電性ポリマーが、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリ芳香族ビニレン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンからなる群より選択される少なくとも1種の主鎖構造を含むポリマーである前記(9)記載の導電性床。
(11)前記(7)〜(10)のいずれかに記載の導電性床を備えた半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場。
(12)前記(7)〜(10)のいずれかに記載の導電性床を備えた病院、製薬工場又はバイオ関連設備。
(13)前記(7)〜(10)のいずれかに記載の導電性床を備えた学校。
(14)前記(7)〜(10)のいずれかに記載の導電性床を備えた住宅。
(15)前記(7)〜(10)のいずれかに記載の導電性床を備えた粉体を取り扱う工場。
本発明によれば、半導体、液晶デバイス、食品、医薬品、バイオテクノロジーなどの産業分野の工場、病院、小学校、中学校、高等学校、大学等の学校、個別住宅や共同住宅等の住宅、及び製粉工場等の粉体を取り扱う工場の床下地に、簡単な方法で導電性床を構成することができる。
また、本発明の導電性床は、帯電防止剤等の添加剤を添加しなくてもよいため、例えばこれを工場等の床に使用すると、製造される製品が帯電防止剤等の汚染物質により汚染されることがなくなり、製品の歩留まりを向上することができるという利点がある。また、病院や学校等の床に本発明の導電性床を使用することにより、これまで病院や学校で問題にされてきたアウトガスがないので、患者、生徒、学生などをこうした汚染物質から守ることができる。さらに、本発明の導電性床を粉体を取り扱う工場に使用すると、従来、静電気によって樹脂製の床材にこびり付いてしまっていた粉体や粉塵が、こびりつかなくなるので、掃除によって容易に取り除くことができるために、工場の衛生環境を清潔に保つことができる。
本発明は、表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と電気的にアース(接地)されている床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填することを含む導電性床の施工方法である。
なお、本明細書において、カルボキシル基が「中和」されているとは、該カルボキシル基が1価及び/又は2価の金属と塩を形成していることを意味し、またカルボキシル基が「未中和」とは該カルボキシル基が遊離のカルボン酸の状態であることを意味する。また、「中和率」とは共重合体中の全カルボキシル基のうち上記金属塩を形成しているカルボキシル基の割合(%)のことを言い、「未中和率」とは共重合体中の全カルボキシル基のうち遊離酸の状態であるカルボキシル基の割合(%)のことを言う。
以下、図1を例にして本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
床材(図1の「床材A」及び「床材B」等)の構造
i)表面材用フィルム層(図1の「1」及び「1'」)
本発明の方法において使用される表面材用フィルム層は人間が歩行(接地)する面を構成する。床を帯電防止性にするために、表面材用フィルム層はその表面抵抗が10Ω以下の樹脂フィルムを用いることが好ましい。このような帯電防止性表面材用フィルム層としては、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、共重合体中のカルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体(以下、「共重合体(A)」とも言う。)を含む樹脂フィルム層が好ましい。共重合体(A)中に占めるカルボキシル基を含有する不飽和モノマー成分の割合は、α−オレフィンモノマー成分に対して通常5〜25mol%であり、好ましくは10〜20mol%である。
これらの共重合体の分子量は、それを測定するよりも、一般的には、メルトフローレート(MFR:単位g/10min)で表すのが実用的である。MFRの測定はJIS K 7120に規定されている方法に準じて、荷重2.16kgまたは10kgを掛けて、温度190℃または230℃において、10分間に流出する樹脂量(g)を測定する。樹脂の分子量が小さいほど溶融状態で流動しやすくなり、MFRは大きくなる。一方、分子量が大きいほど流れにくくなるので、MFRは小さくなる。本発明で使用する共重合樹脂のMFRは、加重2.16kgを使用して、190℃において0.1〜20(g/10min)が好ましく、さらに好ましくは、1〜15(g/10min)である。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
α−オレフィンモノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられるが、エチレンが好ましい。
本発明で用いられる共重合体(A)は、その共重合体(A)に存在するカルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属と塩を形成していることを特徴とする。該共重合体中のカルボキシル基が部分的に金属塩となることにより表面材用樹脂フィルム層の表面抵抗値が下がり、床材の帯電性を改善することができる。共重合体(A)中の全てのカルボキシル基のうち金属塩を形成しているものの割合は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂フィルム層の表面抵抗が10Ω以下、より好ましくは10Ω以下、さらに好ましくは10Ω以下となるような割合であることが好ましい。1価及び/又は2価の金属を用いて(例えば、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを併用して)、共重合体(A)中の全カルボキシル基のうち、例えば、30〜90%、好ましくは50〜80%程度を金属塩とする(即ち、中和率30〜90%、好ましくは50〜80%程度)ことにより、表面材用フィルム層の表面抵抗を10〜10Ω程度とすることができる。共重合体中の全カルボキシル基に占める金属塩の割合が低すぎると樹脂フィルム層の表面抵抗が高くなる傾向にあり、また、その割合が高すぎると樹脂フィルム層の強度が低下するので好ましくない。
カルボキシル基の金属塩としては1価及び/又は2価の金属の塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等)、及び亜鉛の塩等が挙げられ、カリウムとの塩とカルシウム及び/又は亜鉛とが好ましい。本発明では、金属としてカリウムを用いて共重合体(A)中のカルボキシル基の50〜70%を中和する(カリウム塩とする)ことが好ましい。カリウムを用いると、フィルムの電気抵抗を10Ω以下まで下げることができる上、表面の粘着性や、汚れの付きにくさ、耐摩耗性などの点で、他の金属を用いた場合よりも優れた性能の床材とすることができる。なお、共重合体(A)中のカルボキシル基の金属塩は1種類に限定されるものではなく、複数の金属塩が混在していてもよい。
本発明で用いられる表面材用フィルム層はそれ自体が導電性(帯電防止性)を有しているので、有機系若しくは無機系帯電防止剤や導電性物質の樹脂フィルム層への添加量は従来の床材と比較して大幅に低減させることができる。有機系若しくは無機系帯電防止剤や導電性物質は塵埃やアウトガスの原因物質ともなるので、好ましくは、それらの帯電防止剤や導電性物質を表面材用フィルム層に添加しない。また、顔料も塵埃やアウトガスの原因物質であり空気を汚染する可能性があるので、添加剤や顔料は添加しないことが好ましい。
本発明で用いられる表面材用フィルム層の厚さは、耐久性、美観、強度等を考慮して30〜200μmとすることが好ましく、60〜100μmがさらに好ましい。
なお、表面抵抗は、例えば、アジレントテクノロジー社製のpAmeter等を使用して測定することができる。
ii)中間層及び/又は裏面材用フィルム層(図1の「2」及び「2'」)
本発明で用いられる床材は表面材用フィルム層の単層のみから構成されていてもよいが、これにさらに中間層、裏面材用フィルム層等の複数の層を積層したものであってもよい。
本発明で用いられる床材は、所望により、床材に強度やクッション性等を付与したり、床材の床下地への接着性を強化する目的で、表面材用樹脂フィルム層にさらに中間層や裏面材用フィルム層を積層したものであってもよい。
中間層
中間層としては、例えば、表面材用フィルム層と熱接着可能な樹脂組成物が挙げられる。そのような樹脂組成物としては、例えば、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリオレフィン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)及びエチレン−ポリオレフィン共重合体等のオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合によって得られる共重合体であって、エチレンに対して酢酸ビニルがモル%で1〜10%程度のものが使用できる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して作られたもので、酢酸ビニルのエステル部分の90%以上が水酸基となっているものが好ましい。ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルのエステル部分の90%以上が鹸化されて水酸基となっているものが好ましい。またエチレン及びその他のα-オレフィンを高圧・高温下で、ラジカル開始剤で重合して得られる高圧法ポリエチレン、もしくはエチレン・α-オレフィン共重合体を混合して使用することもできる。
中間層に使用される樹脂のMFRは、加重10kgで、230℃において、好ましくは0.5〜200程度であり、さらに好ましくはMFRが1〜100のものが使用される。
裏面材用フィルム層
裏面材用フィルム層はコンクリート床等の床下地に接着剤を用いて接着されるが、裏面材用フィルム層としてポリオレフィン系の樹脂が用いられた場合、両者の接着が十分ではない場合がある。このようなことから、これまでポリオレフィン系裏面材を床に接着させる方法として、例えば、接着面を加工して接着しやすくする方法等が提案されている。しかしながら、大面積の床材を加工処理するには新たな設備や余分の加工時間を必要とする。
本発明者らは、このような裏面材と床下地との接着強度の問題を、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を裏面材として用いることにより解決できることを見出した。
裏面材用フィルム層としては床下地とエポキシ又はウレタン接着剤等の接着剤により接着可能な樹脂フィルム層が好ましい。このような裏面材用フィルム層としては、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体(以下、「共重合体(B)」とも言う。)を含む樹脂フィルム層が好ましい。共重合体(B)中に占めるカルボキシル基を含有する不飽和モノマー成分の割合は、α−オレフィンモノマー成分に対して通常5〜25mol%であり、好ましくは10〜20mol%である。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
α−オレフィンモノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられるが、エチレンが好ましい。
本発明において、「カルボキシル基が未中和」とは、共重合体(B)中の全カルボキシル基のうち50%(mol)以上、好ましくは60〜99%(mol)、さらに好ましくは70〜99%(mol)が中和されていないカルボキシル基(即ち、遊離酸の状態のカルボキシル基)で存在していることをいう(即ち、未中和率50%以上、好ましくは60〜99%、さらに好ましくは70〜99%)。上記のような共重合体(B)を裏面材用フィルム層として用いることにより、接着剤(特にエポキシ系又はウレタン系接着剤)との接着性が向上する。
本発明の床材では、静電気は表面材用フィルム層から目地材を通して電気的にアース(接地)されている床下地に放電されるので、上記中間層及び裏面材用フィルム層は帯電防止性である必要はない。したがって、裏面材用フィルム層に有機若しくは無機帯電防止剤を中間層に添加しなくてもよい。しかしながら、所望により、公知の有機若しくは無機帯電防止剤を裏面材用フィルム層に添加してもよい。
本発明においては、上記共重合体(A)及び(B)のモノマーとして、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの他に、所望によりアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを併用して重合した共重合体を用いてもよい。これらのエステルの事例としては、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル及びヒドロキシエチルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの使用割合は、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの合計100重量部に対して5〜10重量部とすることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる表面材用フィルム層及び裏面材用フィルム層は、公知の低密度ポリエチレンを混合して使用することもできる。その場合の低密度ポリエチレンの使用量は、共重合体(A)又は共重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で添加することができる。
床下地を電気的にアース(接地)するのには種々の方法がある。2階以上の階の床下地がコンクリートの場合では、コンクリート自体に静電気を逃がすことができる程度の導電性があるため、コンクリートに配筋されている鉄筋、コンクリート製スラブやデッキのアンカーボルト又はつり金具、さらにこれらを構造的に支持する鋼材等に銅線を結線し、次いでその銅線を地面に埋設された太い銅棒に結線することによってアースを取ることができる。1階の床下地がコンクリートの場合には、上記と同様なアースのとり方をしてもよいし、あるいは1階のコンクリート床下地のコンクリートが直接地面に接触している場合には、積極的にアースを取らなくとも、コンクリートを伝って静電気を地面に逃がすこともできる。
床材の製造
次に本発明に用いられる床材の製造方法について説明する。
本発明で使用される共重合体(A)及び共重合体(B)は以下のような公知の方法により製造することができる。例えば、まず、原料のカルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル類)とを圧縮工程で加圧してオートクレーブに供給し、周囲から加熱して、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤を供給し、重合反応を行って共重合体を得る。
次いで、上記のようにして得られた共重合体をそのままシート状に成形すれば裏面材用フィルム層として使用される共重合体(B)が得られる。
また、次のように、共重合体中のカルボキシル基の一部を金属塩に変換することにより、表面材用フィルム層で使用される共重合体(A)とすることができる。まず、共重合体を粉砕して微粉化する。次いで、微粉化した共重合体を水中に分散させ、これに所定の量のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛等の1価及び/又は2価の金属の水酸化物を加えて高速攪拌することによりカルボキシル基を金属塩に変換して共重合体(A)を得ることができる。
このようにして得られる上記共重合体(A)及び(B)は、例えば、スプレードライなどによって乾燥し、次いで通常の押し出し機等によって造粒される。共重合体(A)及び(B)の造粒品は、必要に応じてその他の重合体(例えば、低密度ポリエチレン等)等を混合して押し出し成形機やフィルム成形機によってフィルム状に成形されて共重合体(A)及び(B)を含む表面材用フィルム層及び裏面材用フィルム層が得られる。
表面材用フィルム層の厚さは、目的によって異なるが、通常30〜100μmである。この程度の厚さの場合にはほとんど透明であるために、中間層及び裏面材用フィルム層の色を遮蔽してしまうことはない。このため、中間層や裏面材用フィルム層のみに顔料等を加えて着色すれば色彩の鮮やかな床材とすることができ、また中間層や裏面材用フィルム層は表面材用フィルム層によりコーティングされるため、歩行磨耗等による顔料の飛散が生じることもない。
本発明の床材を着色するには、表面材用フィルム層と接着する次の層(即ち、中間層又は裏面材用フィルム層)に着色剤を添加して着色する。着色剤は有機や無機の顔料を加えるが、その種類と使用量とは要求される色に応じてかわる。
上述のように、中間層及び裏面材用フィルム層は表面材用フィルム層により被覆されるので、中間層及び裏面材用フィルム層に添加剤(例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、抗菌剤、難燃剤等)を混合してもアウトガスや塵埃が飛散するおそれはない。
さらには、中間層及び裏面材用フィルム層にはフィラーを添加してもよい。フィラーの種類としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミ、アルミナ、水酸化マグネシウム等がある。これらのフィラーの使用割合は中間層又は裏面材用フィルム層に対して0.1〜40重量%程度とすることができる。
また、中間層を発泡して、発泡体として使用することもできる。発泡剤には、ジアゾ化合物のように、加熱すると窒素を発生するタイプのものが使用しやすい。また、よく知られている低沸点溶剤やオゾン破壊の少ないフロン化合物によって発泡することもできる。発泡倍率は、もとの容積の1.5〜10倍、通常は2〜5倍程度が好ましい。上記のフィラーを使用して、さらに発泡した物を使用することもできる。
上記の表面材用フィルム層は、押し出し機等によってシート状に押し出して成形して本発明で用いられる床材に使用される。表面材用フィルム層と中間層および/または裏面材用フィルム層とを張り合わせて床材にするには、表面材用フィルム層と裏面材用フィルム層を同時に共押出しながら、同時に熱圧着により張り合わせればよい。または、表面材用フィルム層と中間層および/または裏面材用フィルム層を別々に製造して、これらをシート状で連続的に熱ロールに供給して、加圧・加熱して本発明で用いられる床材を得ることもできる。このシートの厚みは、床材全体で貼り合わせるシートの枚数によって異なるが、通常0.3〜3.0mmである。
表面材用フィルム層と、所望により中間層及び/又は裏面材用フィルム層とを貼り合わせた床材は適切な柔軟性を有するが、補強のために裏面材用フィルム層に布状のバックアップ材を貼付してもよい。そうしたバックアップ材としては、綿、麻、棕櫚、カンレイシャ等の植物系繊維素材や、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポバール繊維、アクリル繊維等の合成繊維素材を用いて形成した布又は不織布等が挙げられる。
これらのバックアップ材と、表面層に中間層および/または裏面層を張り合わせたものとを圧着ロールに供給して貼り合わせる。あるいは最初に表面材用フィルム層と裏面材用フィルム層と中間層とを貼り合わせ、これを最終的に布状バックアップ材とともに熱圧着ロール機に供給して貼り合わせる方法等が挙げられる。
表面材用フィルム層と裏面材用フィルム層とを有する床材の製造方法としては、上記のように各部材を別々に製造してそれらを貼り合わせる方法が一般的であるが、これ以外に、例えば、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩であり且つ表面抵抗が10Ω以下である共重合体(A)のフィルム(表面材用フィルム層)を製造し、この表面材用フィルム層の片面を酸と接触させる方法も挙げられる。表面材用フィルム層の片面を酸と接触させることにより、表面材用フィルム層の片面側をカルボキシル基が実質的に未中和(例えば、全カルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基)である面とすることができる。酸と接触させる方法としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸や酢酸等の有機酸の水溶液で表面材用フィルム層の片面を洗い流したり、あるいはそれらの酸性水溶液を塗布する方法等が挙げられる。
この製造方法によれば、表面材と裏面材とを樹脂組成物中間層等を用いて接着するような工程は必要なく、簡単な酸処理工程で本発明の床材を製造することができる。また、この方法により製造される床材は表面材と裏面材とが1枚の共重合体フィルムから構成されるので、表面材と裏面材とが層間剥離するおそれがない。
あるいは、表面材用フィルム層及び裏面材用フィルム層を両方とも、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を用い、所望によりそれらの間に中間層等を挟んで圧着して成形し、その成形シートのどちらか一方の面だけを酸性水溶液と接触させてもよい。
目地材(図1の「3」及び「3'」)
本発明において使用する目地材としては、その抵抗値が10Ω以下であれば特に限定されない。目地材としては、例えば、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を主成分として含む樹脂が挙げられる。
また、前記共重合体中のカルボキシル基のうち30〜90%が、例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の1価及び/又は2価の金属との塩であることが好ましい。前記共重合体に、さらに、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、ヒドロキシエチルエステル等)を添加してもよい。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール-ポリオレフィン共重合から選ばれた重合体を主成分として含む樹脂を目地材として用いてもよい。また、エチレン及びその他のα-オレフィンを高圧・高温下でラジカル開始剤を用いて重合して得られる高圧法ポリエチレンや、エチレン-α-オレフィン共重合体をさらに添加してもよい。
前記共重合体は、MFRが20〜300程度が好ましく、特に50〜150程度が好ましい。
目地材には、導電性をよくするために帯電防止剤や導電性物質(導電性フィラー)を添加してもよい。帯電防止剤としては、例えば、第四級アルキルアリルアンモニウム塩、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルアミン、アルキルエーテルアミン等が挙げられ、導電性物質としては、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミ粉末等が挙げられる。
本発明においては、目地材としては、熱可塑性ポリオレフィン樹脂等の非導電性ポリマーに上記のような導電性フィラーを添加したものを用いることもできる。
次に導電性床の施工方法について説明する。
本発明の施工方法では、複数枚の上記床材が使用され、各床材は互いに隙間を開けて近接して床に配置される。各床材は表面材用フィルム層(図1の「1」及び「1'」)が上になるようにし、裏面側を接着剤(例えば、エポキシ系及びウレタン系接着剤)を用いてコンクリート等の床下地(図1の「5」)に接着する。次いで、各床材間の間隙に目地材(図1の「3」及び「3'」)を充填する。表面材用フィルム層に帯電した静電気は目地材を通って床下地に放電されるので、目地材は表面材用フィルム層と床下地との両方に接するように充填されなければならない。
上記のようにして製造された導電性床は、その最表面(即ち、最上面)が薄い非導電性ポリマー及び導電性ポリマーの順でさらにコーティングされていてもよい。非導電性ポリマーとしては熱可塑性ポリオレフィン樹脂を例示することができる。非導電性ポリマーとして、上記のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体の亜鉛塩(表面抵抗1015Ω以上)フィルムの下に、導電性ポリマーとして、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカリウム塩(表面抵抗:107〜109Ω)を用いたフィルムを貼り合わせた物があげられる。さらに、非伝導性ポリマーに添加する導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリ芳香族ビニレン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンからなる群より選択される少なくとも1種の主鎖構造を含むポリマー(又はコポリマー)を例示することができる。
本発明により構成がシンプルで静電気を確実に放電できる導電性床の簡単な施工方法が提供される。本発明の導電性床は、表面材に導電性を付与するための帯電防止剤や導電性物質等を添加しなくても優れた帯電防止性能を有する。
本発明の床材は、例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場の床材に使用することができる。従来の床材では帯電防止性を上げるために有機系帯電防止剤又は酸化亜鉛等の無機系の導電性フィラーを添加する必要があった。有機系帯電防止剤は使用条件によってはアウトガスとなってクリーンルームの空気中に揮発して空気を汚染する場合があり、また、無機系の導電性フィラーは床材の膜表面に単に付着しているだけなので、床材表面から剥がれやすく、空気中の塵埃の原因となっていた。このため従来の床材は、これまで、微粒子数の許容範囲が1000個/立方フィート(ft3)以上程度のかなり制限のゆるい工場でしか使用できなかった。これに対して、本発明の床材はアウトガス及び粉塵の発生がないために、空気中の微粒子数の制限がもっと厳しい10個/ft3クラスのクリーンルーム(例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場)の床材に使用することができる。本発明の床材をこれらの工場で使用することにより、アウトガス及び塵埃による製品の汚染を防ぐことができ、製品の歩留まり及び品質を向上することができる。
また、本発明の床材は、病院、製薬工場、バイオ関連設備等の衛生管理が必要とされる建築物の床材として使用することができる。例えば、病院の場合には、従来の床材では静電気によって床面に細菌・ウイルス類が吸着し、場合によってはこれが院内感染の原因となることもあるが、本発明の床材は帯電しないのでその表面に細菌・ウイルス類が付着するおそれはなく、院内感染の問題は生じない。また、従来の床材のように床材内部から可塑剤(所謂環境ホルモンでもある)が揮発して、患者及び病院内の人の健康を害することもなくなる。同様に、製薬工場及びバイオ関連設備で使用する場合においても、アウトガスや塵埃の発生がないために優れた清浄度の製造環境を提供することができる。
また、本発明の床材は、乳幼児や生徒や学生が集まる保育園、幼稚園、学校、大学、専門学校等の教室の床材や、多くの人々が集まるホールや講堂等の床材に使用することができる。従来の床材の場合には、表面材に帯電防止性を付与するために多くの帯電防止剤を添加するので、該添加剤の空気中への揮発による空気汚染の危険性があった。これに対して本発明の床材は帯電防止剤を添加しなくても十分な帯電防止性能を有し、また従来の塩ビ製の床材のような環境ホルモンとなるような可塑剤も必要としないため、これらのアウトガスが発生しないために教室やホール等の床材に使用しても安全である。また、多くの生徒が出入りする教室やホール等では衣服からの繊維等による綿埃が発生するが、本発明の床材は帯電防止性であるために、これらの綿埃の床への付着による床面の汚れを防止することができる。
また、本発明の床材は、戸建住宅、共同住宅等の住宅の床面に使用することができる。綿埃等の床への付着による床面の汚れを防止するので床を清潔に維持することができる。また、化学物質に対する耐性が大人の1/3程度しかない乳幼児や子供がいる家庭では、アウトガスや環境ホルモンを出さない床材を使用することは乳幼児・子供の健全な育成には特に重要である。また、乳幼児・子供に対してだけでなく、大人であってもアウトガスや環境ホルモンが微量でも存在する住宅内に長時間滞在すると、それらが体内に蓄積するおそれがあるため、本発明の床材を使用することが好ましい。
さらに、本発明の床材は粉体を取り扱う工場の床面に使用することができる。本発明で言う粉体を取り扱う工場としては、例えば、食品等の粉砕工場、樹脂の混練工場、薬品の粉砕工場等が挙げられる。粉体を扱う工場では空気中舞い上がって静電気を帯びた粉体が床面に付着して床面を汚染することが問題であったが、本発明の床材を使用すれば粉体は床面に付着することなく床面は常に清潔に保たれる。
以上述べたように、本発明の床材は耐久性、耐磨耗性、床下地への接着性等の実用性を兼ね備えているだけでなく、アウトガスや添加剤の飛散がなく且つ非帯電性のため塵埃の吸着が少ないのでその環境が清浄に維持される。そのため、本発明の床材は、半導体工場、製薬工場及び学校等の床材として有用である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
床材の物性評価は以下のようにして行った。
床材のアウトガス(有機物)量の測定
樹脂フィルム又は床材からのアウトガス発生量は、ダイナミックヘッドスペース/ガスクロマトグラム・マススペクトル(DHS/GC/MS)法で測定した。試料中の揮発性成分を気化させるため、サンプルホルダーの試料にヘリウムガスを流しながら温度150℃で30分間加熱した。加熱によりヘリウム中に気化してきたアウトガスをテナックス管(GESTEL社製)に導入して吸着させた。吸着管に捕集されたアウトガスをGC/MS装置に流して種類と量とを測定した。ガスクロマトグラム装置のカラムはキャピラリーカラム(液層:フェニルメチルシロキサン)で、その長さは60mであり、また、測定温度は常温から280℃とした。DHS/GC/MS装置はアジレントテクノロジー社製の分析装置を使用した。
歩行帯電性試験
以下の実施例で得られた床材を300mm角に切断し、それを300mm角のコンクリート床板にエポキシ樹脂接着剤で貼り付けたものを4個用意した。この試験体を、温度23℃、湿度40%に保たれたクリーンルーム内に設置した。歩行帯電性測定機器には、シシド静電気社製のスタチロンDSを使用した。
半導体や液晶デバイス製造工場のクリーンルーム内で着用するようなクリーン服(ガードナー社製)、及び帯電防止性の歩行靴(ガードナー社製)を着用した被試験者に歩行帯電性測定機器の測定端子を付けて床材上で30秒間足踏みをさせる。この動作により被試験者には静電気が発生・蓄積する。被試験者に発生した静電気は被試験者の足から帯電防止靴を通して床に伝えられる。もし、床材が十分に静電気を放電できるものであれば、歩行者に蓄積した静電気は床材を通して放電されるため被試験者に蓄積する静電気量は少なくなるので、被試験者に蓄積する静電気量を測定することにより床材の帯電防止性能を評価することができる。
(実施例1)
表面材用フィルム層のエチレン−アクリル酸共重合体として、三井デュポンケミカル社製の商品名ハイミラン樹脂(エチレン:アクリル酸=85mol%:15mol%、MFR=0.5、表面抵抗値=7.8x107Ω)のカリウム中和塩(中和率60%)を使用し、また、裏面材用フィルム層には、上記共重合体のカルシウムによる中和塩(中和率30mol%、未中和率70%、表面抵抗値=2.5x1012Ω)を用いた。これらの樹脂を、共押出機によって二種類の樹脂を別々のダイから同時にシート状に押し出すと同時に熱接着して、本発明の実施例に使用するシート状床材を製造した。この床材のアウトガス量を、上記の方法で測定し、測定結果を表1に記載した。
上記の方法で製造したシート状床材を、コンクリート製床下地にエポキシ樹脂系接着剤(コニシボンド社製、E250)を用いて床下地に接着して本発明の導電性床シートを貼り付け、まだ目地が充填されていない樹脂シート貼り床を施工した。なお、別に行った接着試験(JIS A5536:2003に準じて実施)では、床材とコンクリート下地の間の接着強度は1.3MPa/cm2であり、十分な接着強度を持つことがわかった。なお、このコンクリート製床には、つり金具に銅線を取り付けて、それを地面に埋設した太い銅線につながっている地上銅線に結線して、アースを取ってある。
次に、床に施工した複数のシート状床材間の目地を充填する目地材としては、表面材用フィルム層と同様のエチレン−アクリル酸共重合体のカリウム中和塩の樹脂(抵抗値2.5x10Ω)、MFR=100)を用いた。この樹脂を押し出し機で、直径3mmの紐状に押し出して、それを巻き取って本発明で使用する目地材を得た。次いで床に施工した複数のシート状床材間の目地に、上記の目地材を床下地までつくように充填し、さらに加熱にして溶融した目地材が前記シート状床材の表面材用フィルム層に接触するようにして、床材の施工を行った。
このようにして得られた長尺樹脂シートを貼った床の帯電性について、上記の歩行帯電試験法によって評価して、その結果を表1に記載した。
表1の結果より、本発明の床の施工法による床は歩行帯電の値は小さく、十分に使用できることがわかった。人体の歩行帯電は靴から床材面へ、そして床面から目地材を経て建物本体に伝えられ、さらに建物に取り付けられているアース線を通って地面へと放電されることがわかった。
(実施例2)
表面材用フィルム層の原料として、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合樹脂の金属塩樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、商品名ハイミラン)を用い、その亜鉛塩の樹脂(ハイミラン1650)50重量%とカリウム塩の樹脂(ハイミラン)50重量%とをブレンドしたものをシート状に成形して、本発明で使用する表面材用フィルム層(表面抵抗7.2x107Ω)を得た。次に、中間層としてオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学、商品名ミラストマー)を押し出しによってシート化したものを使用した。裏面材用フィルム層として、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用い、その亜鉛塩の樹脂(ハイミラン1650)50重量%と全く中和していない樹脂(du Pont社製、NUCREL、50重量%)とをブレンドしたものを押し出し機によって、シート状に成形したものを使用した。
また目地材として、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合樹脂の金属塩樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製)の亜鉛塩の樹脂(ハイミラン1650、電気抵抗:1015Ω以上)100重量部に、導電性ポリマーとしてテェエイケミカル社製のSSPY(3-メチル-4-ピロールカルボン酸エチルと3-メチル-4-ピロールカルボン酸ブチル)5重量部とドーパントTCNA(2,3,6,7-テトラシアノ-1,4,5,8-テトラアザナフタレン)0.5重量部とを添加したもの(抵抗値2.5x108Ω)を用いた。この樹脂を押し出し機で直径3mmの紐状に押し出して、それを巻き取って本発明で使用する目地材を得た。
床に施工した複数のシート状床材間の目地に、上記の目地材を床下地までつくように充填し、さらに加熱にして溶融した目地材が前記シート状床材の表面材用フィルム層に接触するように施工した。
このようにして施工した床の帯電性について、上記の歩行帯電試験法によって評価し、その結果を表1に示した。表1の結果に示されるとおり、歩行帯電の値は小さく、床材を通して効果的に放電されていることがわかった。また、床材本体から発生するアウトガス量も少ないことがわかった。
(実施例3)
表面材用フィルム層の原料として、オレフィン系熱可塑性エラストマー(エチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛塩、三井化学製、商品名ミラストマー)100重量部に、導電性ポリマーとしてテェエイケミカル社製のSSPY(3-メチル-4-ピロールカルボン酸エチルと3-メチル-4-ピロールカルボン酸ブチル)5重量部とドーパントTCNA(2,3,6,7-テトラシアノ-1,4,5,8-テトラアザナフタレン)0.5重量部とを添加したものを用い、押し出し機で100μmの厚みにシート状に成形して表面層とした。また、裏面材用フィルム層としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、商品名 エバフレックス)に炭酸カルシウムを添加したものを厚さ約2mmに押し出したものを使用した。なお、中間層は無い。上記表面材用フィルム層と裏面材用フィルム層とを熱ロールで連続的に接着し、本発明の施工に使用する床材を得た。
次に、目地材として実施例2で使用した目地材と同じものを使用した。
実施例1及び2と同様の方法により床材を施工した。
実施例3の床材のアウトガスや床の帯電歩行試験の結果を表1に示す。その結果によれば、本発明による床材はアウトガスも少なく、また、歩行帯電も小さいことが分かった。
(比較例1)
比較例に使用した床材は主材料がポリ塩化ビニル製であるロンクリーンリウムLS(ロンシール社製の商品名)であり、その表面層は炭酸カルシウム及び有機系帯電防止剤が添加された塩化ビニル樹脂である。また、裏面層も炭酸カルシウム及び有機系帯電防止剤が添加された塩化ビニル樹脂である。目地材には、同社が提供している塩ビ系の目地材を使用して、塩化ビニルシート貼り床を施工した。
歩行帯電試験ではこの床材は帯電防止性に優れていることがわかったが、この床材を分析した結果、環境ホルモンとなるフタル酸エステル系の可塑剤を含有していることがわかった。また、アウトガス量も、本発明の床材と比較して、発生量が多いという問題点を持っていることが分かった。さらに、ポリ塩化ビニルを使用しているので、焼却時にダイオキシンが出るという本質的な問題を持っている。
(比較例2)
オレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学製、商品名ミラストマー)100重量部に有機系帯電防止剤(花王社製、商品名エレクトロストリッパー)1重量部を添加した樹脂をシート状に成形して表面層とし、また、オレフィン系熱可塑性エラストマー(同上)に炭酸カルシウム及び有機系帯電防止剤を添加した樹脂をシート状に成形したものを裏面層として使用した。なお、中間層は無い。これらの表面材と裏面材を熱ロールで圧着して一体化して床材を得た。目地材には実施例2で使用したものを試用した。
床材のアウトガス量を測定したところその発生量が多いことがわかった。また、有機系帯電防止剤では十分な帯電防止性能を発揮できず、歩行帯電性が大きいことがわかった。
上記実施例及び比較例で使用した床材及び実験結果を表1に示す。
Figure 2007186853
本発明によれば、帯電防止性に優れ、しかもアウトガスが少なく、また環境や人に優しく、構成がシンプルな導電性床及びその簡便な施工方法を提供できる。本発明の床材は清浄な環境が必要とされる施設、例えば、半導体工場等の精密部品工場、病院、学校等の床材として有用である。
図1は、本発明の導電性床の断面図である。
符号の説明
1及び1'・・・表面材用フィルム層
2及び2'・・・中間層及び/又は裏面材用フィルム層
3及び3'・・・目地材
4・・・・・・・・・・接着剤
5・・・・・・・・・・床下地

Claims (15)

  1. 表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と電気的にアース(接地)されている床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填することを含む導電性床の施工方法。
  2. 表面材用フィルム層が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む樹脂である請求項1記載の方法。
  3. 目地材が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が部分的に1価及び/又は2価の金属との塩である共重合体を含む樹脂である請求項1又は2記載の方法。
  4. 目地材の共重合体中のカルボキシル基のうち30〜90%が、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の1価及び/又は2価の金属との塩である請求項3記載の方法。
  5. 床材が裏面材用フィルム層をさらに有し、該裏面材用フィルム層が、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとα−オレフィンモノマーとの共重合体であって、カルボキシル基が実質的に未中和である共重合体を含むものである請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 裏面材用フィルム層の共重合体中のカルボキシル基のうち60〜99%が遊離カルボキシル基である請求項5記載の方法。
  7. 表面抵抗が10Ω以下の表面材用フィルム層を有する床材の複数枚を床に配置して床下地に接着し、次いで抵抗値が10Ω以下の目地材を、目地材が前記表面材用フィルム層と電気的にアース(接地)されている床下地との双方に接するように、各床材間の隙間に充填して製造した導電性床。
  8. 目地材が導電性フィラーを添加した非導電性ポリマーである請求項7記載の導電性床。
  9. 最表面が非導電性ポリマー及び導電性ポリマーの順でさらにコーティングされている請求項7又は8記載の導電性床。
  10. 前記導電性ポリマーが、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリ芳香族ビニレン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンからなる群より選択される少なくとも1種の主鎖構造を含むポリマーである請求項9記載の導電性床。
  11. 半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場の床用である請求項7〜10のいずれか1項記載の導電性床。
  12. 病院、製薬工場又はバイオ関連設備の床用である請求項7〜10のいずれか1項記載の導電性床。
  13. 学校の床用である請求項7〜10のいずれか1項記載の導電性床。
  14. 住宅の床用である請求項7〜10のいずれか1項記載の導電性床。
  15. 粉体を取り扱う工場の床用である請求項7〜10のいずれか1項記載の導電性床。
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