JP2005343989A - 水性塗料組成物及びその製造方法、並びに塗布膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルケン、スチレン及びビニルナフタレンから選ばれる1種以上、イオン解離酸性基含有モノマーの1種以上、及びα、β−エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルの1種以上からの各構成単位を含む共重合体のアルカリ中和物、顔料、及び水性媒体を含み、前記共重合体のアルカリ中和物は平均径が10nmないし300nmのミセル会合体を形成している水性塗料組成物、前記共重合体をアルカリを含む水性媒体中、共重合体のTgより15℃高い温度以上に保持しつつ撹拌してミセル会合体溶液を作成し、これに顔料を分散させる水性塗料組成物の製造方法、及び塗布膜形成後加熱処理を行う塗布膜形成方法。
【選択図】 図2
Description
合成樹脂エマルションは、基体樹脂が水中で微粒子として存在していることに特徴があり、塗料に要求されるレオロジー特性を付与しやすいという利点を有している。このような合成樹脂エマルションは、基本的には水を媒体とするものであるが、微粒子状の基体樹脂は塗料に要求される造膜性に劣るために、一般に、高沸点の親水性有機溶剤が造膜助剤として水性塗料組成物に少量配合されている。この造膜助剤は、合成樹脂エマルション粒子の表面を柔らかくして、造膜時に粒子間の融合を手助けするために使われている。
以下の特許文献1には、合成樹脂エマルションの粒子と造膜助剤としての親水性有機溶剤との直接接触を防ぐために、合成樹脂エマルションに親水性有機溶剤を添加する前にアクリル系樹脂水溶液を事前混合し、合成樹脂エマルション樹脂粒子をアクリル系樹脂で覆う方法が提案されている。しかし、粒子表面のアクリル系樹脂層が親水性有機溶剤と直接接触しても柔らかくならないように設計すると、基体樹脂であるエマルション樹脂粒子の造膜が阻害されるという問題点を有している。
しかしながら、この方法では、形成される塗布膜表面の粘着性が大きくなり、耐汚染性やブロッキング性が低下してしまうという問題が生じやすくなる。
そこで、以下の特許文献2には、熱応答性モノマーを共重合し、造膜性と低粘着性とを両立させた合成樹脂エマルションが提案されている。
(1)少なくとも、1)アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーの1種以上、イオン解離する酸性基を含有するモノマーの1種以上、及びα、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルの1種以上からの各構成単位を含む共重合体のアルカリ中和物、2)顔料、及び3)水性媒体を少なくとも含む水性塗料組成物であって、前記水性塗料組成物において前記共重合体のアルカリ中和物はミセル会合体を形成し、該ミセル会合体の平均径が10nm〜300nmであることを特徴とする水性塗料組成物。
(3)前記共重合体の数平均分子量が6,000〜30,000であることを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(4)前記共重合体の、アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーからの構成単位が15〜55質量%であり、イオン解離する酸性基を含有するモノマーからの構成単位が9〜28質量%であり、α、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルからの構成単位が20〜75質量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
(6)前記共重合体の含有量が0.1〜35質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(7)前記顔料の含有量が1〜35質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(8)前記水性塗料組成物の固形分含有量が2〜40質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(9)前記ミセル会合体が水性媒体を内包することを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(11)前記水性塗料組成物のpHを、共重合体が溶解状態から上澄みを発生して沈殿を生じるpHから、0.5〜5.0高いpH領域に調節することを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(12)沸点が40℃〜150℃のpH調節剤によりpH調節を行うことを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(13)前記pH調節剤の添加量が100ミリモル/Kg〜20モル/Kgであることを特徴とする前記(1)に記載の水性塗料組成物。
(16)前記ミセル会合体作製工程において、共重合体としてガラス転移点が10℃から120℃の範囲のものを用い、液の前記保持温度を前記ガラス転移点より20℃から50℃高い温度とし、かつ物理的手段により液を撹拌することを特徴とする前記(14)に記載の水性塗料組成物の製造方法。
前記ミセル会合体(micelle aggregation)は、単独の高分子ミセルが複数会合した会合体で、単独の高分子ミセルは、前記共重合体分子の中和物が複数絡み合った分子集合体であり、いずれも粒子形態を有している。以下、ミセル会合体と称する場合は、特に断らない限りこの単独で存在する高分子ミセルを複数含むものとする。水性塗料組成物において、ミセル会合体は安定にコロイド分散している。また、ミセル会合体はその内部に水性媒体を内包しているため、比重が水性媒体と近くなり重量の観点からも安定なコロイド分散状態を保持している。さらに、ミセル会合体の径は、液のpH値が多少変化しても大きく変わらないという特徴を有する。本発明におけるミセル会合体は、このような特徴を有するため、本発明の課題解決に大きく寄与し、後述のように水性塗料組成物に優れた特性を与える。
次に、本発明におけるミセル会合体について説明する。
(共重合体)
ミセル会合体を構成する共重合体は、アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーの1種以上、イオン解離する酸性基を含有するモノマーの1種以上、及びα、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルの1種以上からの各構成単位を含む共重合体である。
スチレン及びこの誘導体としては、スチレン、α―メチルスチレン、α―エチルスチレンや、これらのスチレン及びその誘導体のベンゼン環に疎水性を大きく損なわない置換基あるいはさらに疎水性を増す置換基が置換したものなどを挙げることができる。また、ビニルナフタレン及びその誘導体としてはビニルナフタレンの他、ナフタレン環に疎水性を大きく損なわない置換基あるいはさらに疎水性を増す置換基が置換したものなどが挙げられる。
中でも、アルケン、スチレン及びその誘導体は、共重合体製造時の制御性が高く有用な疎水性モノマーである。
前記構成単位が15質量%未満の共重合体は、顔料分散性の不足、貯蔵安定性の不足が生ずることがあり、また、55質量%を超えると水性媒体への溶解性が不十分となり、水性塗料組成物の作製が難しかったり、貯蔵安定性が不足したりすることがあるので前記範囲が適切である。
本発明のミセル会合体は、例えば以下のような方法により作製される。微細で均一な径のミセル会合体を作るには、前記共重合体、アルカリ及び水性媒体を含む液を、前記共重合体のガラス転移点よりも15℃以上高い温度に保持しながら撹拌することにより作製される。
まず、前記液中のアルカリ含有量は、それにより共重合体の酸性基を中和するにあたり、酸性基を完全に中和しないような量とすることが好ましい。具体的には、共重合体の全酸基を中和する量(当量)より2当量%から30当量%少ない量が好ましく、より好ましくは、6当量%から15当量%少ない量がよい。2当量%から30当量%少ない量を用いることにより微細で均一な径のミセル会合体が作製できる。2当量%少ない量よりアルカリ含有量を多くすると、ミセル会合体の径の制御性が悪くなり、特にミセル会合体を形成しなかったり、ミセル会合体の径分布が広くなったりする。その結果、顔料分散安定性が損なわれたり、塗布膜の色特性の劣化が生じることがある。一方、30当量%少ない量よりアルカリの量を少なくすると、最終的に不溶解分が生じたり、液が濃い白濁を生じたり、必要な固形分濃度のミセル会合体溶液を作製することが困難になることがある。
用いるアルカリとしては、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物、TMAH、TEAH、アンモニア、アンモニウム系化合物、第4級アンモニウム系化合物、アミン系化合物が用いられる。
アルカリの量を前記のように調節した場合でも、液温が共重合体のガラス転移点から15℃高い温度より低いと、平均径が300nm以上の白濁気味の液が生成し、この液では、分散顔料の径が小さくならず、凝集体も生じやすく、またミセル会合体に多くの顔料を内包し過ぎて重量的に重くなり、長期分散安定性が損なわれる。
撹拌時間は、2〜6時間程度が適切である。撹拌時、強力なせん断力を特にかける必要はない。したがって、撹拌装置としては、通常の物理的手段が制限なく使用できる。例えば、プロペラ撹拌法、回転子撹拌法でなく、超音波による振動撹拌が好ましく挙げられる。超音波撹拌の場合、共重合体としてガラス転移点が10℃から120℃の範囲のものを用い、このガラス転移点より20℃から50℃、好ましくは、30℃から50℃高い温度で超音波振動を与えながら共重合体溶液を撹拌することが好ましい。
色材として分散される顔料は、有機顔料、無機顔料等が適用でき、一種又は複数種混合して用いることもできる。有機顔料としては、アゾ系顔料、ナフトール系顔料、インドリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、ジケトピロロ系顔料、ペリレン系顔料、ピラゾロン系顔料、ジスアゾ系顔料、ベンゾイミダゾール系顔料等が好ましい。無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化亜鉛系、酸化チタン系、酸化鉄系、群青、金属粉末、コバルトグリーン等が好ましい。
顔料粒子の数平均粒子系(一次粒子径)は2nmから200nmの範囲が適切であり、好ましくは5nmから100nmの範囲にあることが好ましい。2nmから200nmの範囲の場合、、顔料分散性が向上し、塗布膜の透明性も向上して色再現域が広がり、高色調・高彩度の塗布膜が得られる。
顔料は、そのままでもまた顔料分散物としてミセル会合体溶液に加えることができる。その後、一時的にホモジナイザーやブラストミル等の強い分散処理を与えてもよい。
本発明においては、前記のごとき径の範囲のミセル会合体を含有する液に、顔料を分散させることにより、良好な顔料分散性と長期分散安定性が得られる。
水性塗料組成物の調製法に特に制限はなく、通常の水性塗料組成物の調製法と変わることは無いが、前記ミセル会合体のコロイド溶液中へ顔料を均一に分散した顔料ペーストを作製し、これと水性塗料に必要な材料とを配合して水性塗料組成物にする方法や、ミセル会合体のコロイド溶液、顔料及びその他の材料を最初から必要比率に配合して均一に分散して水性塗料組成物としてもよい。
顔料の分散は、例えば、ビーズミル法、ロールミル法、超音波分散法、ジェットミル法、ホモジナイザー法等の一つまたは複数を用いることにより行われる。
分散工程の精度を上げるために、分級工程として遠心分離法や各種開口径の異なるフイルターによる多段加圧ろ過分級法等も用いることができる。
本発明の水性塗料組成物には、顔料を1〜35質量%程度含有しうる。好ましくは、5〜35質量%、更に好ましくは10〜25質量%程度含むことが適切である。また、本発明の水性塗料組成物には、共重合体は、0.1〜35質量%程度含有しうる。好ましくは10〜35質量%、更に好ましくは、15〜30質量%含むことが適切である。顔料と共重合体の比(質量)は、10:1〜10:200が好ましく、より好ましくは10:5〜10:50である。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシュウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等をあげることができる。骨材としては、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、螢石、寒水石、長石等の粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ等やそれらの表面を着色コーテイングしたもの等を使用することができる。湿潤剤は、水に可溶の液体で、沸点80℃以上で、蒸気圧が100mmHg以下である液体が用いられ、水性塗料組成物に対して0.5〜10質量%程度加えることが適切である。湿潤剤としては、多価アルコール、グリコールエーテル類が用いられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコ−ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノール等であり、1種又は2種以上が用いられる。
本発明の水性塗料組成物を用いて塗布膜形成を行った後、塗布膜に特定の処理を行うことにより、耐水性などの耐候性を一層向上させることができる。例えば、酸性溶液又は酸性溶液ミストによる塗布膜面の処理やコロナ放電処理、その他塗布膜表面から塗布膜層を酸性化させる処理等が有効な処理手段となる。
さらに、前記アルカリ水性媒体の調整時、アルカリとしてその全部又は一部を沸点が40℃〜150℃以下のアルカリ(pH調整剤)を用い、塗布膜乾燥時に加熱処理を行って、前期pH調整剤を揮発せしめる処理も有効な手段である。この処理により塗布膜の耐候性が向上する他、pH調整剤が塗布膜に悪影響を与える場合、この悪影響を除くことができる。前記pH調整剤は、アンモニウム系化合物、第4級アンモニウム化合物及びアミン系化合物等である。
前記のpH調整剤は、水性塗料組成物中の濃度が、100mmモル/Kgから20モル/Kgの範囲、好ましくは、0.11モル/Kgから10モル/Kgの範囲、より好ましくは、0.66モル/Kgから5モル/Kgの範囲が適切である。
前記共重合体のpH特性は、電気化学的現象解析法である「EQCM法」により評価することができる。EQCM測定装置は、容器の中にpH特性を測定すべき共重合体溶液を収納し、溶液中にセンサー(水晶振動子と作用電極を有する)、対抗電極及び参照電極を置き、これらを電圧印加装置に連結したもので、対向電極と作用電極の間にかける印加電圧を変化させて、作用電極上への共重合体の付着量の変化を調べるものである。
本発明の共重合体の酸性基がカルボキシル基の場合、このヒステリシス特性への寄与が大きい。
また、このようなヒステリシス特性を有する共重合体を含む水性塗料組成物のpHが、その溶解状態から上澄みを発生して沈殿を生ずるpH点(白濁開始pH点)から、好ましくは、0.5から5.0高いpH領域、より好ましくは、1.0から3.0高いpH領域にあると、塗布膜の水性媒体に対する耐性が発現し、塗布膜の凝集力が高まり耐候性が向上する。
実施例1
共重合体(スチレン―アクリル酸―アクリル酸ヘキシルのランダム三元共重合体:重量平均分子量19,000、質量組成比36/18/46、酸価120、ガラス転移点55℃、流動開始点90℃、分解点237℃、析出開始点pH5.8)200g、蒸留水750g及び水酸化カリウム21gを徐々に混合しながら溶解を行い、得られた溶液を89℃に加熱しながら、5時間30分スリーワンモータープロペラ撹拌機を用いて溶解兼コロイド溶液の作成を行った。そして、最終的に液の濃度調整を蒸留水で行い、固形分濃度が20質量%のコロイド水溶液(平均コロイド径52nm、pH8.1)を調整した。
フィルムアプリケーターを用いて、水性塗料組成物をPETフィルム上にウェット膜厚が150μmになるように塗布し、これを−15℃〜25℃の温度勾配を持つ金属板上に載せ、最低造膜温度を測定した。
<表面粘着性評価>
フィルムアプリケーターを用いて、2枚のガラス板上に水性塗料組成物をウェット膜厚が200μmになようにそれぞれ塗布し、1枚は25℃で、他の1枚は60℃の恒温オーブン乾燥機でそれぞれ48時間乾燥したた。このガラス板を室温にて水平に置き黒色珪砂を塗布膜表面にまばらに出来るだけ均一に散布した後、ガラス板を垂直に立てて黒色珪砂を自然落下させた。表面粘着性は、目視観察により、このときの黒色珪砂が殆ど残存しない場合を10、散布した黒色珪砂が殆ど全て残存している場合を1とし、10段階評価にて行った。評価にあたっては、この10段階の限度見本を予め作成しておき、これと比較して評価を行った。
フィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に水性塗料組成物をウェット膜厚が200μmになように塗布し、25℃での室温乾燥及び恒温オーブン乾燥機中での60℃乾燥の2段階乾燥(全48時間)を行った。このガラス板をpH6.5の水に48時間浸漬した後、塗布膜の状態を目視にて評価した。評価は、膨れ・剥れがみられない場合を5、膨れ・剥れが見られる場合を1とし、5段階評価で行った。
<貯蔵安定性評価>
水性塗料組成物を40℃の恒温水槽で20日間貯蔵した後の粘度(E型粘度計)を、初期の粘度に対する変化率(%)で評価し、±15%未満を○、±15%以上を×として評価した。
結果を表1に示す。
実施例1で用いた共重合体を200g、蒸留水750g及び水酸化カリウム21gを徐々に混合しながら溶解を行い、得られた溶液を65℃に加熱しながら、5時間スリーワンモータープロペラ撹拌機を用いて溶解兼コロイド溶液の作成を行った。そして最終的に液の濃度調整を蒸留水で行い、固形分濃度20質量%のコロイド水溶液(平均コロイド径360nm、pH7.9)を調整した。得られたコロイド水溶液は、巨大ミセル会合体(500nm近辺)の存在に基づく乳白色を呈していた。
このコロイド水溶液と銅フタロシアニン青色超微粒子顔料を固形分比率(質量)で4対6に混合し、強制加圧型顔料分散装置を用いて分散させ水性塗料組成物を得た。分散顔料粒子径をレーザー散乱微粒子径測定装置を用いて測定したところ、平均粒子径は450nmであった。得られた水性塗料組成物について実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、水酸化カリウム21gを40gに変更する他は、実施例1と同様にして共重合体溶液を調製したところ、透明な液が得られたが、ミセル会合体は得られなかった。共重合体溶液に顔料を実施例1と同様にして分散させ水性塗料組成物を得た。得られた水性塗料組成物について評価した結果を表1に示す。
実施例1において共重合体として、(スチレン―アクリル酸―アクリル酸ヘキシルのランダム三元共重合体:重量平均分子量20,000、質量組成比30/25/45、酸価190、ガラス転移点80℃、流動開始点125℃、分解点221℃、析出開始点pH4.8)を用い、液撹拌温度を85℃にする他は、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。前記の水性塗料組成物の調製過程(高分子ミセル形成工程)で得た共重合体溶液は透明液体であり、粒子測定から完全溶解状態となっており、良好な高分子ミセルは形成されていなかった。得られた水性塗料組成物について実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、共重合体として、スチレンーアクリル酸のランダム二元共重合体(重量平均分子量18,000、質量組成比50/50、酸価260、ガラス転移点155℃、流動開始点175℃、分解点210℃、析出開始点pH4.1)を用いる他は、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。前記水性塗料組成物の調製過程(高分子ミセル形成工程)で得た共重合体溶液は透明であり、光散乱測定法で調べたところ高分子ミセル会合体は検出されず、完全溶解状態となっており、良好な高分子ミセルは形成されていなかった。得られた水性塗料組成物について実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
共重合体(α―メチルスチレン―アクリル酸―アクリル酸ブチルのブロック共重合体:重量平均分子量9,000、質量組成比30/15/50、酸価108、ガラス転移点39℃、流動開始点76℃、分解点209℃、析出開始点pH6.2)450g、蒸留水1000g及び水酸化テトラメチルアンモニウム(25質量%水溶液)200gを混合しながら溶解を行い、得られた溶液を90℃に加熱しながら、4時間スリーワンモータープロペラ撹拌機を用いて溶解兼コロイド溶液調製を行った。そして最終的に液の濃度調整を行い、固形分濃度40質量%コロイド水溶液(平均コロイド径80nm、pH8.2)を調整した。
共重合体(α―メチルスチレン―アクリル酸―メタアクリル酸ブチルのブロック共重合体:重量平均分子量17,000、質量組成比36/14/50、酸価111、ガラス転移点75℃、流動開始点104℃、分解点235℃、析出開始点pH6.2)400g、水酸化カリウム11g及び蒸留水1700gを混合しながら溶解し、得られた溶液を90℃に加熱しながら、6時間高強度の強制撹拌をスリーワンモータープロペラ撹拌機を用いて行い、溶解兼コロイド溶液の調製を行った。そして最終的に液の濃度調整を行い、固形分濃度20質量%のコロイド水溶液(平均コロイド径32nm、pH8.1)を得た。次に、このコロイド溶液とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率(質量)8対2で混合し、高強度サンドミル分散装置を用いて顔料を含む水性塗料組成物を調製した。この水性塗料組成物の分散顔料粒子径をレーザー散乱微粒子径測定装置を用いて測定したところ、平均粒子径46nmであった。得られた水性塗料組成物について評価した結果を表1に示す。
共重合体(α―メチルスチレン―メタアクリル酸―アクリル酸エチルのランダム共重合体:重量平均分子量20,000、質量組成比31/15/54、酸価121、ガラス転移点75℃、流動開始点104℃、分解点245℃、析出開始点pH6.2)400g、蒸留水1000g及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド200gを混合しながら溶解し、得られた溶液を90℃に加熱しながら、3時間高強度の強制撹拌をスリーワンモータープロペラ撹拌機と超音波振動機も併用して行い、溶解兼コロイド溶液の調製を行った。そして最終的に液の濃度調整を行い、固形分濃度27質量%のコロイド水溶液(平均コロイド径68nm、pH8.1)を調製した。次にこのコロイド水溶液とカーボンブラック黒色超微粒子顔料とを固形分比率(質量)で4対6で混合し、高強度ロールミル分散装置を用いて、顔料を含む水性塗料組成物を作成した。この水性塗料組成物の分散顔料粒子径をレーザー散乱微粒子径測定装置を用いて測定したところ、平均粒子径76nmであった。得られた水性塗料組成物について評価した結果を表1に示す
Claims (17)
- 少なくとも、1)アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーの1種以上、イオン解離する酸性基を含有するモノマーの1種以上、及びα、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルの1種以上からの各構成単位を含む共重合体のアルカリ中和物、2)顔料、及び3)水性媒体を少なくとも含む水性塗料組成物であって、前記水性塗料組成物において前記共重合体のアルカリ中和物はミセル会合体を形成し、該ミセル会合体の平均径が10nm〜300nmであることを特徴とする水性塗料組成物。
- 前記共重合体の酸価が60〜160であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記共重合体の数平均分子量が6,000〜30,000であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記共重合体の、アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーからの構成単位が15〜55質量%であり、イオン解離する酸性基を含有するモノマーからの構成単位が9〜28質量%であり、α、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルからの構成単位が20〜75質量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
- 前記顔料の一次粒子の数平均粒径が2〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記共重合体の含有量が0.1〜35質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記顔料の含有量が1〜35質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記水性塗料組成物の固形分含有量が2〜40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記ミセル会合体が水性媒体を内包することを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記共重合体として、共重合体水溶液のpHを変化させた場合、pH変化量が2.5以内において、共重合体が溶解又はコロイド状態から上澄みを生じて沈殿する共重合体を用いることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記水性塗料組成物のpHを、共重合体が溶解状態から上澄みを発生して沈殿を生じるpHから、0.5〜5.0高いpH領域に調節することを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 沸点が40℃〜150℃のpH調節剤によりpH調節を行うことを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記pH調節剤の添加量が100ミリモル/Kg〜20モル/Kgであることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- アルケン、スチレン及びその誘導体ならびにビニルナフタレン及びその誘導体から選ばれるモノマーの1種以上、イオン解離する酸性基を含有するモノマーの1種以上、及びα、β―エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルの1種以上からの各構成単位を含む共重合体、アルカリ及び水性媒体を含む液を、前記共重合体のガラス転移点よりも15℃以上高い温度に保持しながら撹拌して、共重合体アルカリ中和物のミセル会合体を作製する工程、前記ミセル会合体を含む液に顔料微粒子を添加分散させる工程、を少なくとも有する水性塗料組成物の製造方法。
- 前記ミセル会合体作製工程において、アルカリの量が、共重合体の全酸基を中和する量(当量)より2当量%から30当量%少ない量であることを特徴とする請求項14に記載の水性塗料組成物の製造方法。
- 前記ミセル会合体作製工程において、共重合体としてガラス転移点が10℃から120℃の範囲のものを用い、液の前記保持温度を前記ガラス転移点より20℃から50℃高い温度とし、かつ超音波振動により液を撹拌することを特徴とする請求項14に記載の水性塗料組成物の製造方法。
- 請求項1に記載の水性塗料組成物を用いて固体表面の上に塗布膜を形成した後、固体表面の塗布膜面に、50℃〜250℃の温度での加熱処理を行う塗布膜形成方法。
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